(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】分散板およびこれを含む精製塔
(51)【国際特許分類】
B01J 8/02 20060101AFI20220209BHJP
C07C 11/167 20060101ALI20220209BHJP
C10G 7/08 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B01J8/02 Z
C07C11/167
C10G7/08
(21)【出願番号】P 2019569963
(86)(22)【出願日】2018-07-05
(86)【国際出願番号】 KR2018007650
(87)【国際公開番号】W WO2019009647
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2019-12-17
(31)【優先権主張番号】10-2017-0086529
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヨンス
(72)【発明者】
【氏名】ト、キュ-チョル
(72)【発明者】
【氏名】イム、イェ-フン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、トン-ラク
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-507149(JP,A)
【文献】特表2004-514647(JP,A)
【文献】米国特許第08205863(US,B2)
【文献】特開2016-120485(JP,A)
【文献】米国特許第04526757(US,A)
【文献】特表2016-523179(JP,A)
【文献】中国実用新案第206045985(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00-8/46
B01B 1/00-1/08
B01D 1/00-8/00
C07B 31/00-61/00,63/00-63/04
C07C 1/00-409/44
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板と、
前記支持板を貫通して位置する少なくとも1つ以上の第1流体管と、
前記第1流体管と離隔し、前記第1流体管を囲むように配置された複数の第2流体管とを含み、
前記第2流体管のうち少なくともいずれか1つの長さは、他の第2流体管の長さより長く、前記第1流体管の長さより短いか同一であり、
前記第2流体管はそれぞれ、前記支持板の一面から第1距離で離れて位置する第1終点と、前記第1距離より長い第2距離で離れて位置する第2終点とを連結する楕円形入口を有し、
前記第2流体管は、第1長さを有する第1管と、前記第1長さより長い第2長さを有する第2管とを含み、前記第1管の第2終点は、前記第2管の第1終点と前記支持板の一面からの距離が同じである、
ブタジエン精製塔用分散板。
【請求項2】
前記第2流体管は、前記第1流体管の周りに沿って一定の間隔をおいて配置されている、請求項1に記載の
ブタジエン精製塔用分散板。
【請求項3】
前記第1流体管の周りに沿って前記第1管と前記第2管は交互に配置されている、請求項1又は2に記載の
ブタジエン精製塔用分散板。
【請求項4】
前記第1管と前記第2管の直径は、同一である、請求項1~3のいずれかに記載の
ブタジエン精製塔用分散板。
【請求項5】
前記第2流体管は、
前記第1流体管を囲み、一定の間隔をおいて配置されており、同一の長さを有する複数の第1管と、
隣り合う第1管の間にそれぞれ位置し、互いに異なる長さを有する複数の第2管とを含む、請求項1~4のいずれかに記載の
ブタジエン精製塔用分散板。
【請求項6】
前記第1管は、円形の横断面を有する第1流体管を均等分割する角度で配置されている、請求項1~5のいずれかに記載の
ブタジエン精製塔用分散板。
【請求項7】
前記第2流体管は、同一数の前記第1管と前記第2管とを含む、請求項1~6のいずれかに記載の
ブタジエン精製塔用分散板。
【請求項8】
下部からスチームが注入され、上部からブタジエンが注入される精製チャンバと、
前記精製チャンバの内部に横切って設けられる少なくとも1つ以上の分散板と、
前記分散板と離隔して位置し、前記ブタジエンの不純物を除去する少なくとも1つ以上の触媒層とを含む精製塔であって、
前記分散板は、
支持板と、
前記支持板を貫通して位置する少なくとも1つ以上の第1流体管と、
前記第1流体管と離隔し、前記第1流体管を囲むように配置された複数の第2流体管とを含み、
前記第2流体管のうち少なくともいずれか1つの長さは、他の第2流体管の長さより長く、前記第1流体管の長さより短いか同一であり、
前記第2流体管はそれぞれ、前記支持板の一面から第1距離で離れて位置する第1終点と、前記第1距離より長い第2距離で離れて位置する第2終点とを連結する楕円形入口を有し、
前記第2流体管は、第1長さを有する第1管と、前記第1長さより長い第2長さを有する第2管とを含み、前記第1管の第2終点は、前記第2管の第1終点と前記支持板の一面からの距離が同じである、精製塔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散板に関し、特に、ブタジエン精製塔に用いられる分散板に関する。
【背景技術】
【0002】
ブタジエン(butadiene)は、合成ゴムと電子材料など数多くの石油化学製品の中間体として用いられ、石油化学市場で最も重要な基礎油分の一つとしてその需要と価値が次第に増加している。
【0003】
ブタジエンは、C4混合物中のブタジエンを精製して得ることができ、1次抽出系および2次抽出系と、精製系とを含む。
【0004】
この時、精製系では、ブタジエンの純度を高めるために不純物を除去する工程が進行し、精製塔内で行われる。
【0005】
精製塔は、内部に分散板、触媒層を含み、下部から注入されるスチームが上部に移動し、上部から注入されたブタジエンは下部に移動し、触媒層で不純物除去反応が起こる。
【0006】
この時、分散板は、ブタジエンとスチームの流れを区分して精製が効率的に進行するようにする。
【0007】
分散板は、ブタジエンとスチームが流れる複数の管を含み、ブタジエンが流れる管のうち一部が工程中に発生するポップコーン(popcorn)状の不純物(以下、ポップコーンポリマーという)によって詰まることがある。
【0008】
このように、管の一部が詰まると、分散板が本来の機能を果たせず、ブタジエンの液面が上昇してブタジエンがスチームの流れる管に流れて精製効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、ブタジエンが排出される管の一部が詰まって液面が上昇しても、精製効率が減少しないブタジエン精製塔用分散板およびこれを含む精製塔を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による精製塔用分散板は、支持板と、支持板を貫通して位置する少なくとも1つ以上の第1流体管と、第1流体管と離隔し、前記第1流体管を囲むように配置された複数の第2流体管とを含み、第2流体管のうち少なくともいずれか1つの長さは、他の第2流体管の長さより長く、前記第1流体管の長さより短いか同一である。
【0011】
前記第2流体管は、前記第1流体管の周りに沿って一定の間隔をおいて配置されていてもよい。
【0012】
前記第2流体管は、第1長さを有する第1管と、第1長さより長い第2長さを有する第2管とを含み、第1流体管の周りに沿って前記第1管と前記第2管は交互に配置されていてもよい。
【0013】
前記第2流体管はそれぞれ、前記支持板の一面から第1距離で離れて位置する第1終点と、前記第1距離より長い第2距離で離れて位置する第2終点とを連結する楕円形入口を有してもよい。
【0014】
前記第1管の第2終点は、前記第2管の第1終点と同一線上に位置してもよい。
【0015】
前記第1管と前記第2管の直径は、同一であってもよい。
【0016】
前記第2流体管は、前記第1流体管を囲み、一定の間隔をおいて配置されており、同一の長さを有する複数の第1管と、隣り合う第1管の間にそれぞれ位置し、互いに異なる長さを有する複数の第2管とを含み、第2管の長さは、前記第1管の長さより長くてもよい。
【0017】
前記第1管は、円形の横断面を有する第1流体管を均等分割する角度で配置されていてもよい。
【0018】
前記第2流体管は、同一数の前記第1管と前記第2管とを含むことができる。
【0019】
本発明の他の実施形態による精製塔は、下部からスチームが注入され、上部からブタジエンが注入される精製チャンバと、精製チャンバの内部に横切って設けられる少なくとも1つ以上の分散板と、分散板と離隔して位置し、前記ブタジエンの不純物を除去する少なくとも1つ以上の触媒層とを含むが、分散板は、支持板と、支持板を貫通して位置する少なくとも1つ以上の第1流体管と、第1流体管と離隔し、前記第1流体管を囲むように配置された複数の第2流体管とを含み、第2流体管のうち少なくともいずれか1つの長さは、他の第2流体管の長さより長く、前記第1流体管の長さより短いか同一である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によれば、ブタジエン精製塔に設けられる分散板のブタジエン管の長さを多様に形成することによって、ポップコーンポリマーによって管が詰まっても、精製効率が低下することを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による精製塔の概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態による分散板の概略斜視図である。
【
図3】
図2に含まれている流体管の長さを比較説明するための図である。
【
図4】
図2に含まれている1つの単位グループに含まれている流体管の配置図である。
【
図5】本発明の一実施形態による分散板における流体流れを説明するための概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態による分散板における流体流れを説明するための概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態による分散板における流体流れを説明するための概略図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による分散板の概略配置図である。
【
図9】
図8に含まれている流体管の長さを比較説明するための図である。
【
図10】本発明の他の実施形態による精製塔の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0023】
図面において、本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0024】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のところに限定されない。
【0025】
明細書全体において、ある部分が他の部分に「連結」されているとする時、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、他の部材を挟んで「間接的に連結」されていることも含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態によるブタジエン精製塔に設けられる分散板について具体的に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による精製塔の概略構成図である。
【0028】
本発明の一実施形態によるブタジエンの精製は、精製塔内で行われ、
図1に示すように、本発明の一実施形態による精製塔1000は、精製チャンバ100と、精製チャンバ100を横切って設けられている分散板200と、精製チャンバ100内に流体を注入および排出する注入口H1、H2および排出口H3、H4と、不純物を除去するための触媒層300とを含む。
【0029】
精製チャンバ100は、ブタジエンが触媒と反応して精製され、外部環境から分離された空間を提供する。
【0030】
精製チャンバ100には、ブタジエンが供給される第1注入口H1と、スチームが注入される第2注入口H2と、スチームが排出される第1排出口H3と、精製されたブタジエンが排出される第2排出口H4とを含む。
【0031】
第1注入口H1は、精製チャンバの上部に位置し、第2排出口H4は、精製チャンバの下部に位置して、ブタジエンが上部から下部に供給され、精製されたブタジエンが下部の第2排出口H4に排出される。
【0032】
そして、第2注入口H2は、精製チャンバの下部に位置し、第1排出口H3は、精製チャンバ100の上部に位置して、下部に供給されるスチームが精製チャンバ100の上部に移動した後、第1排出口H3を通して排出される。
【0033】
触媒層300は、供給されるブタジエンから除去しようとする不純物に応じて選択可能であり、金属を含む触媒であってよい。
【0034】
分散板200は、触媒層300、ブタジエンおよびスチームを分離するためのもので、精製チャンバ100を横切って設けられる。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態による分散板の概略斜視図であり、
図3は、
図2に含まれている流体管の長さを比較説明するための図であり、
図4は、
図2に含まれている1つの単位グループに含まれている流体管の配置図である。
【0036】
図2を参照すれば、分散板200は、支持板20と、支持板20を貫通して位置する少なくとも1つ以上の第1流体管21と、第1流体管21と離隔し、第1流体管21を囲むように配置された複数の第2流体管23とを含むことができる。この時、第2流体管23は、第1流体管21の周りに沿って一定の間隔をおいて配置される。
【0037】
第1流体管21には蒸気(スチーム)が流れ、第2流体管23にはブタジエンが流れる。
【0038】
図3を参照すれば、第1流体管21の直径D1は、第2流体管23の直径D2より大きくてもよい。第2流体管23の長さは、第1流体管21の長さより短くてもよいし、第2流体管23のうち少なくともいずれか1つの長さは、他の第2流体管23の長さより長くてもよいし、これに限定されるものではなく、互いに異なる長さの第2流体管が3つまたは4つまたはそれ以上で形成される。
【0039】
以下、4つの互いに異なる長さを有する第2流体管を例に挙げて説明し、説明の便宜上、互いに異なる長さの第2流体管のうち最も短い長さの第2流体管を第1管23aとし、長くなる順に第2管23b、第3管23c、第4管23dとする。
【0040】
図2および
図3を参照すれば、第2流体管23は、斜線に切断され、第2流体管23の入口は、支持板20の一面から第1距離LD1で離れて位置する第1終点X1と、第1距離LD1より長い第2距離LD2で離れて位置する第2終点X2とを連結する楕円形入口を有してもよい。
【0041】
この時、第2終点は、相対的に第1流体管21と隣接して位置し、第1終点は、相対的に第1流体管21から遠く位置する。したがって、第2流体管23の楕円形入口は、第1流体管21に対向しないように配置され、ブタジエンが容易に流入できるようにする。第1管23aの長さL21と第2管23bの長さL22との差、第2管23bの長さL22と第3管23cの長さL23との差、第3管23cの長さL23と第4管23dの長さL24との差はそれぞれ、第2距離LD2と第1距離LD1との差LD(以下、楕円形入口の高さという)であってもよい。
【0042】
したがって、第1管23aの第2終点X2は、第2管23bの第1終点X1と同一線上に位置し、第2管23bの第2終点X2は、第3管23cの第1終点X1と同一線上に位置し、第3管23cの第2終点X2は、第4管23dの第1終点X1と同一線上に位置してもよい。つまり、基準長さを有する第2流体管よりやや長い長さの第2流体管を配置する時は、基準長さの(または先に配置された)第2流体管より楕円形入口の高さLDだけより長い第2流体管を配置し、基準長さの第2流体管の第2終点X2と、その後に配置される第2流体管の第1終点X1とが同一線上に位置するように配置される。
【0043】
一方、1つの第1流体管21を中心に第1流体管21を囲む複数の第2流体管23を1つの単位グループGとする時、分散板200は、精製塔の精製容量に応じて複数の単位グループGを含むことができる。例えば、分散板200は、7つの単位グループGを含むことができ、単位グループGは、支持板内で一定の間隔をおいて配置される。
【0044】
図2および
図4を参照すれば、単位グループGに含まれる互いに異なる長さの第2流体管23は、同一の長さの第2流体管23を少なくとも1つ以上含むことができる。1つの単位グループGが6つの第2流体管を有する場合、第1管23aを3つ、第2管23bをそれぞれ3つずつ含むことができ、第1管23aと第2管23bは交互に配置される。あるいは、第1管23aを3つ、第2管23bを1つ、第3管23cを1つ、第4管23dを1つずつ含むことができ、隣り合う第1管23aの間に第2管23b、第3管23c、第4管23dが配置される。
【0045】
本発明の実施形態のように、ブタジエンが流れる第2流体管23の長さを異ならせると、ブタジエン以外に不必要に生成されるポップコーンポリマーによって第2流体管23の一部が詰まっても、分散板の機能を延長させることができる。
【0046】
図5~
図7は、本発明の一実施形態による分散板における流体流れを説明するための概略図である。発明の理解のために、流体管は、長さに応じて配置されたものを示した。
【0047】
図5を参照すれば、ブタジエンは、精製塔の上部から供給され、支持板20の上に貯蔵され、一定水位以上になると、第2流体管23を通して下部の触媒層に伝達される。
【0048】
複数の第2流体管のうち一部は、ポップコーンポリマーで詰まることがあり、ポップコーンポリマーで詰まると、供給されるブタジエンと第2流体管23を通して排出されるブタジエンとの流量の差が発生する。したがって、供給されるブタジエンが触媒層にすべて伝達されずに貯蔵され、ブタジエンの液面Wの高さは上昇する。
【0049】
本発明のように、多段に第2流体管23を設けると、正常状態では第1管23aを通してブタジエンが排出され、第1管23aの一部が詰まると、液面Wが上昇して、
図6のように、液面Wが第2管23bの入口に到達し、ブタジエンは第2管23bを通して排出され始める。例えば、7つのグループを有する分散板で、長さが120mmの第1管23aのうち2つが詰まる場合、液面の高さは150mmまで上昇しうる。したがって、第2管23bの入口は、液面の高さの150mmに第1終点が位置してもよい。
【0050】
この後、第2管23bの一部も詰まると、液面Wは再び上昇し、
図7のように、第3管23cに到達して第3管23cを通して排出される。続いて、第3管23cの一部が詰まって液面が上昇すると、第4管23dを通して排出されるもので、第2流体管を通した排出は、第1流体管に到達する前まで順次に進行できる。
【0051】
従来は、同一の長さに形成される複数の第2流体管のうち一部が詰まると、液面が上昇する間には、触媒層に供給されるブタジエンの流量が少なくて精製効率が低下する。そして、液面の高さが急速に上昇したブタジエンは第1流体管を通して排出され、スチームの移動を妨げて精製効率を低下させていた。
【0052】
しかし、本発明では、液面が上昇して第1流体管に到達する間にもブタジエンが排出可能にすることで、精製効率が低下することを減少させることができる。
【0053】
また、本発明の実施形態では、相対的に先に排出を開始する第2流体管、例えば、第2管23bより先に排出を開始する第1管23aの第2終点X2と、次の排出を開始する第2管23bの第1終点X1とを同一線上に位置させることによって、液面が上昇しても直ちに排出可能にすることで、精製効率が低下するのを防止することができる。
【0054】
また、液面の上昇時、ブタジエンと共に、ポップコーンポリマーも第1流体管を通して触媒層に到達して精製効率が低下しうるが、本発明の実施形態では、液面の上昇を最大限に遅延させることによって、ポップコーンポリマーが触媒層に伝達されて精製効率が低下することを遅延させることができる。
【0055】
図8は、本発明の他の実施形態による分散板の概略配置図であり、
図9は、
図8に含まれている流体管の長さを比較説明するための図である。
【0056】
図8および
図9に示す分散板は、概ね
図2~
図4に示す分散板と同一であるので、異なる部分についてのみ具体的に説明する。説明の便宜上、1つの単位グループを例に挙げて説明し、分散板にはこのような単位グループが複数含まれてもよい。
【0057】
図8および
図9に示す分散板202は、第1流体管21と、第2流体管23とを含み、第2流体管23は、互いに異なる長さの管23a、23b、23c、23d、23eを含み、多段に設けられる。
【0058】
図8および
図9の第2流体管23は、
図2~
図4の第2流体管より1つの段をさらに含む。これは、第1管23aから第1流体管21までの距離が、
図2~
図4の第1管23aから第1流体管21までの距離より長いか、入口の高さLDが短いからである。
【0059】
この時、
図2~
図4の第2流体管と、
図8および
図9の第2流体管の配置は、同一の方式で進行できる。
【0060】
つまり、第1流体管21の周りに沿って一定の間隔をおいて基準管を配置する。この時、基準管は、第1管23aでもよいし、第1管23aは、すべて同一の長さを有し、第2流体管のうち最も短い長さの管である。
【0061】
第2流体管は、第1流体管の中心から放射状に配置され、例えば、
図3の基準管の第1管23aは3つであるので、円形断面を有する第1流体管を120度に分割する位置に配置され、
図4の基準管の第1管は4つであるので、第1流体管を90度に分割する位置に配置される。
【0062】
隣り合う基準管の間には、基準管より長い長さを有する隔管がそれぞれ配置される。この時、隔管は、第2管23b、第3管23c、第4管23dおよび第5管23eでもよいし、これらの長さは、すべて異なっていてもよい。
【0063】
図4は、3つの互いに異なる長さの隔管が隣り合う基準管の間にそれぞれ配置され、
図8は、4つの互いに異なる長さの隔管が隣り合う基準管の間にそれぞれ配置される。
【0064】
以上の実施形態では、
図4の4段、
図8の5段の第2流体管を有することを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、より多い段数、またはより少ない段数を含むことができる。
【0065】
基準管は、円形の横断面を有する第1流体管を均等分割する角度で配置され、その間に隔管が配置されるので、基準管の個数と隣り合う基準管との間に位置する隔管の個数は、同一であってもよい。
【0066】
また、
図4および
図8の実施形態では、基準管を除き、隔管が1つであることを説明したが、これに限定されるものではなく、ブタジエンの流量に応じて各段に含まれる隔管は、複数であってもよい。
【0067】
さらに、以上の実施形態では、第1流体管が円形の横断面を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、第1流体管は、四角形、五角形のように多様な横断面を有することができる。この時、第2流体管は、第1流体管を囲み、第1流体管の中心から放射状に一定の角度で配置される。
【0068】
以上の実施形態では、1つの分散板を有する精製塔について説明したが、これに限定されるものではなく、
図10に示すように、必要に応じて複数設けられる。
【0069】
図10は、本発明の他の実施形態による精製塔の概略構成図である。
【0070】
図10に示すように、精製塔1002は、2つの分散板200を含むことができ、精製塔の下部から触媒層300、分散板200、触媒層300、分散板200の順に設けられる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0072】
20:支持板
21:第1流体管
23:第2流体管
100:精製チャンバ
200、202:分散板
300:触媒層
1000、1002:精製塔
H1、H2:注入口
H3、H4:排出口