(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】抗ウイルス用組成物、抗ノロウイルス用組成物、スプレー、ワイパー、化合物
(51)【国際特許分類】
A01N 31/02 20060101AFI20220209BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20220209BHJP
A01N 37/18 20060101ALI20220209BHJP
A01N 37/34 20060101ALI20220209BHJP
A01N 37/36 20060101ALI20220209BHJP
A01N 31/04 20060101ALI20220209BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20220209BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20220209BHJP
C07C 69/675 20060101ALI20220209BHJP
C07C 235/06 20060101ALI20220209BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20220209BHJP
A61K 31/22 20060101ALI20220209BHJP
A61K 31/164 20060101ALI20220209BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220209BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220209BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220209BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20220209BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220209BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220209BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A01N31/02
A01P1/00
A01N37/18 Z
A01N37/34 101
A01N37/36
A01N31/04
A01N25/02
A01N25/04 103
C07C69/675 CSP
C07C235/06
A61K31/045
A61K31/22
A61K31/164
A61P31/12
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/12
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/18
(21)【出願番号】P 2020532469
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2019029231
(87)【国際公開番号】W WO2020022437
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2018141739
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 寛記
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚俊
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-189645(JP,A)
【文献】特開2013-040167(JP,A)
【文献】特許第6165953(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
C07C
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
sp
3炭素に結合した水酸基を有し、且つ、pKaが9~15である化合物と、
溶媒と、を含み、
pHが、9.0~14.0である、抗ウイルス用組成物
であって、
前記化合物が、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される化合物である、抗ウイルス用組成物。
【化1】
式(1A)中、X
1
は、酸素原子又はNR
A
を表す。R
A
は、水素原子又は1価の置換基を表す。X
1
が酸素原子を表す場合、R
1
は、炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。X
1
がNR
A
を表す場合、R
1
は、炭素数5以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
式(1B)中、X
2
は、酸素原子又はNR
B
を表す。R
B
は、水素原子又は1価の置換基を表す。X
2
が酸素原子を表す場合、R
2
は、炭素数12以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。X
2
がNR
B
のとき、R
2
は、炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。R
3
は、水素原子又はシアノ基を表す。
【請求項2】
前記pKaが10~14である、請求項
1に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項3】
前記化合物のClogPが5.00以上である、請求項1
又は2に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項4】
前記化合物のClogPが7.00以上である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項5】
前記溶媒がアルコールを含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項6】
前記アルコールの含有量が、前記溶媒の全体積に対して、25~100体積%である、請求項
5に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項7】
前記アルコールが、炭素数2以下のアルコールと、炭素数3以上のアルコールと、を含む、請求項
5又は
6に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項8】
前記炭素数2以下のアルコールがエタノールを含み、前記炭素数3以上のアルコールがイソプロパノールを含む、請求項
7に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項9】
さらに界面活性剤を含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項10】
さらに4級アンモニウム塩を含む、請求項1~
9のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項11】
前記pHが10.0~12.0である、請求項1~
10のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項12】
液剤である、請求項1~
11のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項13】
ジェル剤である、請求項1~
11のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物からなる、抗ノロウイルス用組成物。
【請求項15】
スプレー容器と、前記スプレー容器に収容された請求項1~
13のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物と、を含む、スプレー。
【請求項16】
基布と、前記基布に含浸させた請求項1~
13のいずれか1項に記載の抗ウイルス用組成物と、を含むワイパー。
【請求項17】
下記式(1A)又は下記式(1B)で表される化合物。
【化2】
式(1A)中、X
1は、酸素原子又はNR
Aを表す。R
Aは、水素原子又は1価の置換基を表す。X
1が酸素原子を表す場合、R
1は、炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。X
1がNR
Aを表す場合、R
1は、炭素数5以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
式(1B)中、X
2は、酸素原子又はNR
Bを表す。R
Bは、水素原子又は1価の置換基を表す。X
2が酸素原子を表す場合、R
2は、炭素数12以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。X
2がNR
Bのとき、R
2は、炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。R
3は、水素原子又はシアノ基を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス用組成物、抗ノロウイルス用組成物、スプレー、ワイパー、及び化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスは、細胞構造を有する細菌及び真菌等の微生物と異なり、細胞構造を持たず、ゲノムをカプシドという外殻タンパク質の中に持つ構造体である。ウイルスは、ゲノムがDNA(deoxyribonucleic acid)又はRNA(ribonucleic acid)かによって2種類に大別され、カプシドが脂質二重膜からなるエンベロープで覆われている有膜ウイルスとエンベロープで覆われていない無膜ウイルスかによって更に分類される。具体的には、DNAタイプの有膜ウイルスには、ヒトヘルペスウイルス、及びB型肝炎ウイルス等、DNAタイプの無膜ウイルスには、アデノウイルス、及びB19ウイルス等、RNAタイプの有膜ウイルスには、インフルエンザウイルス、及びSARS(severe acute respiratory syndrome)コロナウイルス等、RNAタイプの無膜ウイルスには、ノロウイルス、ポリオウイルス、及びエンテロウイルス等が含まれる。
【0003】
近年、より簡便な手段でウイルス(特に、ノロウイルス)を不活化できる薬剤が希求されている。例えば、特許文献1では、ウイルスを不活化できる抗ウイルス剤組成物として、ベンジルアルコールを含む抗ウイルス剤組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特許文献1の実施例欄に記載された抗ウイルス剤組成物を調製し、ネコカリシウイルス(ノロウイルスの近縁種であり、ノロウイルスに類似のゲノム組成、カプシド構造及び生化学的特性を有しているので現在最も広く使用されている代用ウイルスである)に対する抗ウイルス活性について検討したところ、抗ウイルス活性を更に改善する余地があることを明らかとした。
【0006】
そこで、本発明は、抗ウイルス活性に優れた抗ウイルス用組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記抗ウイルス用組成物からなる抗ノロウイルス用組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記抗ウイルス用組成物を用いたスプレー及びワイパーを提供することを課題とする。
また、本発明は、新規化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定組成の抗ウイルス用組成物によれば上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
〔1〕 sp3炭素に結合した水酸基を有し、且つ、pKaが9~15である化合物と、
溶媒と、を含み、
pHが、9.0~14.0である、抗ウイルス用組成物。
〔2〕 上記化合物が、後述する式(1)で表される化合物である、〔1〕に記載の抗ウイルス用組成物。
〔3〕 上記RX1~RX3で表される上記1価の置換基は、-C(=O)-O-RX4で表される基、-C(=O)-NRX5-RX6で表される基、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンイミド基、又はシアノ基を表し、RX4及びRX6は、各々独立に、1価の置換基を表し、RX5は、水素原子又は1価の置換基を表す、〔2〕に記載の抗ウイルス用組成物。
〔4〕 RX1~RX3のうち2つが-CF3又はシアノ基を表す、〔2〕又は〔3〕に記載の抗ウイルス用組成物。
〔5〕 上記RX1~RX3で表される上記1価の置換基が、-C(=O)-O-RX4で表される基、-C(=O)-NRX5-RX6で表される基、-CF3、又はシアノ基であり、RX4及びRX6が、各々独立に、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、アリール基、又はヘテロアリール基である、〔2〕~〔4〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔6〕 上記RX1~RX3で表される上記1価の置換基が、-C(=O)-O-RX4で表される基、-C(=O)-NRX5-RX6で表される基、-CF3、又はシアノ基であり、RX4及びRX6が、いずれも炭素数8以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である、〔2〕~〔5〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔7〕 上記pKaが10~14である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔8〕 上記化合物のClogPが5.00以上である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔9〕 上記化合物のClogPが7.00以上である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔10〕 上記溶媒がアルコールを含む、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔11〕 上記アルコールの含有量が、上記溶媒の全体積に対して、25~100体積%である、〔10〕に記載の抗ウイルス用組成物。
〔12〕 上記アルコールが、炭素数2以下のアルコールと、炭素数3以上のアルコールと、を含む、〔10〕又は〔11〕に記載の抗ウイルス用組成物。
〔13〕 上記炭素数2以下のアルコールがエタノールを含み、上記炭素数3以上のアルコールがイソプロパノールを含む、〔12〕に記載の抗ウイルス用組成物。
〔14〕 さらに界面活性剤を含む、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔15〕 さらに4級アンモニウム塩を含む、〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔16〕 上記pHが10.0~12.0である、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔17〕 液剤である、〔1〕~〔16〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔18〕 ジェル剤である、〔1〕~〔16〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物。
〔19〕 〔1〕~〔18〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物からなる、抗ノロウイルス用組成物。
〔20〕 スプレー容器と、上記スプレー容器に収容された〔1〕~〔18〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物と、を含む、スプレー。
〔21〕 基布と、上記基布に含浸させた〔1〕~〔18〕のいずれかに記載の抗ウイルス用組成物と、を含むワイパー。
〔22〕 後述する式(1A)又は後述する式(1B)で表される化合物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、抗ウイルス活性が優れた抗ウイルス用組成物を提供できる。
また、本発明によれば、上記抗ウイルス用組成物からなる抗ノロウイルス用組成物を提供できる。
また、本発明によれば、上記抗ウイルス用組成物を用いたスプレー及びワイパーを提供できる。
また、本発明によれば、新規化合物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基及び連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
更に、本明細書中、基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0011】
[抗ウイルス用組成物]
本発明の抗ウイルス用組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、
sp3炭素に結合した水酸基を有し、且つ、pKaが9~15である化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)と、
溶媒と、を含み、
pHが、9.0~14.0である。
本発明の組成物は、上記構成により、抗ウイルス活性(特に、ネコカリシウイルス(ノロウイルスの近縁種)に対する抗ウイルス活性)が顕著に優れる。
また、本発明の組成物は、上記構成により、細菌及び真菌等の微生物(例えば、大腸菌、及びブドウ球菌等)に対する抗菌活性にも優れる。
本発明の抗ウイルス用組成物は、ウイルスに作用させてウイルスの活性を減少させるために使用される用途に使用され得る。特に、抗ノロウイルス用組成物として用いられることが好ましい。なお、本発明の抗ウイルス用組成物は、細菌及び真菌等の微生物に作用させて微生物の活性を減少させるために使用される用途にも使用され得る。
【0012】
本発明の作用機序については、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の組成物において、特定化合物は、有効成分として機能する。
上記組成物のpHが9.0~14.0の範囲である場合、特定化合物中の水酸基は、水素イオンが解離することによりプロトン受容体(-O-)となる。このプロトン受容体が、ウイルス表面に存在する酸基を脱プロトン化することにより、ウイルスが不活性化されると推測される。このとき、特定化合物のpKaが9以上の場合、ウイルス表面酸基の脱プロトン化反応がより生じやすくなる。一方、特定化合物のpKaが15超の場合、特定化合物中の水酸基から水素イオンが解離しにくくなる。つまり、特定化合物のpKaが9~15の場合、特定化合物中の水酸基から水素イオンが解離しやすく、且つ、脱プロトン化反応がより生じやすいため、特定化合物は、優れた抗ウイルス活性を示す。
なお、特定化合物の上記pKaは、特定化合物中の水酸基の酸解離に由来する値であることが好ましい。
【0013】
また、後述するように、特定化合物がより疎水的である場合(言い換えると、特定化合物のClogP値が5.00以上である場合)、抗ウイルス活性がより優れる。ウイルスは、一般的に、親水部位と疎水部位を有している。このため、特定化合物がより疎水的である場合、特定化合物は、ウイルスにより吸着しやすくなると考えられる。この結果として、特定化合物は、抗ウイルス活性がより優れる。
【0014】
また、後述するように、本発明の組成物のpHが12.0以下である場合、金属の腐食が生じにくく、本発明の組成物により消毒できる対象物の適用範囲が広い。例えば、アルミ、銅、及び真鍮等の金属に対しても腐食が生じにくい。
本発明の組成物は、特に、ネコカリシウイルス(ノロウイルスの近縁種)に対する抗ウイルス活性に優れることから、抗ノロウイルス用組成物として用いられることが好ましい。
【0015】
以下、本発明の組成物が含む各成分について詳述する。
〔特定化合物〕
本発明の組成物は、sp3炭素に結合した水酸基を有し、且つ、pKaが9~15である化合物(特定化合物)を含む。
特定化合物のpKaは、抗ウイルス活性がより優れる点で、10~14が好ましい。
【0016】
上記特定化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0017】
【0018】
式(1)中、RX1~RX3は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。
上記1価の置換基としては特に制限されないが、例えば、-C(=O)-O-RX4(以下、「式(1-1)」ともいう。)で表される基、又は、-C(=O)-NRX5-RX6(以下、「式(1-2)」ともいう。)で表される基、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンイミド基、又はシアノ基等が挙げられる。
【0019】
但し、特定化合物のpKaを9~15とする観点から、上記式(1)中、RX1~RX3のうち少なくとも1つは-CF3又はシアノ基を表す。なかでも、RX1~RX3のうち2つが、-CF3又はシアノ基を表すことが好ましい。
【0020】
式(1-1)及び式(1-2)中のRX4及びRX6は、各々独立に、1価の置換基を表す。
式(1-1)及び式(1-2)中のRX4及びRX6で表される1価の置換基としては、例えば、後述する置換基群Wに例示されるものが挙げられ、脂肪族炭化水素基、アリール基、又はヘテロアリール基が好ましい。
【0021】
RX4及びRX6で表される脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状及び環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。なお、RX4及びRX6で表される脂肪族炭化水素基は、-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい。
なかでも、RX4及びRX6で表される脂肪族炭化水素基としては、抗ウイルス活性がより優れる点で、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。また、上述した脂肪族炭化水素基は、抗ウイルス活性がより優れる点で、炭素数8以上であることが好ましい。炭素数の上限値は特に制限されないが、例えば30以下である。
【0022】
RX4及びRX6で表される脂肪族炭化水素基の具体例としては、-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状及び分岐鎖状の炭素数1~30のアルキル基、-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状及び分岐鎖状の炭素数2~30のアルケニル基、-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状及び分岐鎖状の炭素数2~30のアルキニル基、並びに-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数3~30の脂環式炭化水素基等が挙げられる。但し、上記脂肪族炭化水素基において、式(1-1)及び式(1-2)中に明示される酸素原子との連結位置は、ヘテロ原子で置換されないことが好ましい(言い換えると、上記脂肪族炭化水素基において、式(1-1)及び式(1-2)中に明示される酸素原子との連結位置は、炭素原子であることが好ましい。)。
ヘテロ原子の種類は特に制限されないが、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、及びテルル原子等が挙げられる。なかでも、抗ウイルス活性がより優れる点で、ヘテロ原子は、-Y1-、-N(Ra)-、-C(=Y2)-、-CON(Rb)-、-C(=Y3)Y4-、-SOt-、-SO2N(Rc)-、又はこれらを組み合わせた基の態様で含まれることが好ましい。
Y1~Y4は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、及びテルル原子からなる群から選択される。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子が好ましい。tは、1~3の整数を表す。上記Ra、Rb、及びRcは、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
【0023】
上記-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状及び分岐鎖状の炭素数1~30のアルキル基としては、炭素数1~20が好ましく、炭素数8~20がより好ましく、炭素数12~20が更に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、3,7-ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル、ヘンイコシル基、ヘンエイコシニル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、及びトリアコンチル基等が挙げられる。
【0024】
上記-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状及び分岐鎖状の炭素数2~30のアルケニル基としては、炭素数2~20が好ましく、炭素数8~20がより好ましく、炭素数12~20が更に好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ヘンエイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、デトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、オクタデカジエニル基、オクタデカトリエニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、及びオクタジエニル基等が挙げられる。
なお、上記-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状及び分岐鎖状の炭素数2~30のアルケニル基において、不飽和結合の位置は制限されず、シス及びトランス異性体のどちらであってもよい。例えば、オクタデセニル基は、オレイル基(cis-9-オクタデセニル基)及びエライジル基(trans-9-オクタデセニル基)を、オクタデカジエニル基は、リノレイル基(cis,cis-9,12-オクタデカジエニル基)及びエライドリノレイル基(trans,trans-9,12-オクタデカジエニル基)を、オクタデカトリエニル基は、リノレニル基(cis,cis,cis-9,12,15-オクタデカトリエニル基)及びエライドレノレニル基(trans,trans,trans-9,12,15-オクタデカトリエニル基)を、ヘキサデセン基は、パルミトレイル基(cis-9-ヘキサデセン基)を含む。
【0025】
上記-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状及び分岐鎖状の炭素数2~30のアルキニル基としては、炭素数2~20が好ましく、炭素数8~20がより好ましく、炭素数12~20が更に好ましい。具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基、エキコシニル基、ヘンイコシニル基、ヘンエイコシニル基、ドコシニル基、トリコシニル基、テトラコシニル基、ペンタコシニル基、ヘキサコシニル基、ヘプタコシニル基、オクタコシニル基、オクタコシニル基、ノナコシニル基、及びトリアコンチニル基等が挙げられる。
【0026】
上記-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数3~30の脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、及び架橋環式のいずれであってもよい。脂環式炭化水素基を構成する環の具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロノナン、シクロノネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、及びアダマンタン等が挙げられる。
【0027】
RX4及びRX6で表されるアリール基としては、例えば、炭素数6~18のアリール基が挙げられる。
アリール基は、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造(縮合環構造)であってもよい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、及びピレニル基等が挙げられ、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0028】
RX4及びRX6で表されるヘテロアリール基としては、硫黄原子、酸素原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む、単環式又は多環式の環構造を有するヘテロアリール基が挙げられる。
【0029】
上記ヘテロアリール基中の炭素数は特に制限されないが、3~18が好ましく、3~5がより好ましい。
ヘテロアリール基が有するヘテロ原子の数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~4がより好ましく、1~2が更に好ましい。
ヘテロアリール基の環員数は特に制限されないが、3~8が好ましく、5~7がより好ましく、5~6が更に好ましい。
上記ヘテロアリール基としては、フリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、プテリジニル基、ピラジニル基、キノキサリニル基、ピリミジニル基、キナゾリル基、ピリダジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、トリアジニル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピロリル基、インドリル基、イミダゾピリジニル基、及びカルバゾリル基等が挙げられる。
【0030】
式(1-1)及び式(1-2)中のRX4及びRX6としては、なかでも、抗ウイルス活性がより優れる点で、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、アリール基、又はヘテロアリール基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数8以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が特に好ましい。
【0031】
式(1-1)及び式(1-2)中のRX4及びRX6で表される脂肪族炭化水素基、アリール基、及びヘテロアリール基は、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては特に制限されないが、例えば、後述する置換基群Wに例示されるものが挙げられる。
【0032】
式(1-2)中のRX5は、水素原子又は1価の置換基を表す。
RX5で表される1価の置換基としては特に制限されないが、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基(炭素数1~10が好ましい。)が挙げられる。
RX5としては、水素原子が好ましい。
【0033】
式(1)中、RX1~RX3で表される脂肪族炭化水素基としては、RX4及びRX6で表される脂肪族炭化水素基と同義である。
RX1~RX3で表される脂肪族炭化水素基としては、なかでも、-CH2-がヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基が好ましい。上記アルキル基は、炭素数1~30が好ましく、炭素数1~20がより好ましく、炭素数1~10が更に好ましい。但し、RX1~RX3で表される脂肪族炭化水素基において、式(1)中に明示されるsp3炭素との連結位置は、ヘテロ原子で置換されないことが好ましい(言い換えると、上記脂肪族炭化水素基において、式(1)中に明示されるsp3炭素との連結位置は、炭素原子であることが好ましい)。
なお、RX1~RX3で表される脂肪族炭化水素基は、-CH2-がヘテロ原子で置換されていないことが好ましい。
【0034】
RX1~RX3で表されるアリール基としては、RX4及びRX6で表されるアリール基と同義であり、好適態様も同じである。
【0035】
RX1~RX3で表されるヘテロアリール基としては、RX4及びRX6で表されるヘテロアリール基と同義であり、好適態様も同じである。
【0036】
RX1~RX3で表されるアラルキル基としては、上述したRX1~RX3で表される直鎖状及び分岐鎖状の炭素数1~30のアルキル基中の水素原子の1つを上述したRX1~RX3で表されるアリール基又は上述したRX1~RX3で表されるヘテロアリール基で置き換えた基が挙げられる。アラルキル基としては、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、及びナフチルメチル基等が挙げられる。
【0037】
RX1~RX3で表される、上記脂肪族炭化水素基、上記アリール基、上記ヘテロアリール基、及び上記アラルキル基は、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては特に制限されないが、例えば、後述する置換基群Wに例示されるものが挙げられ、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、なかでもフッ素原子が好ましい)、水酸基、又はヘキサフルオロイソプロパノール基が好ましい。
なお、置換基を有する脂肪族炭化水素基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられ、具体的には-CF3が挙げられる。
【0038】
RX1~RX3としては、なかでも、抗ウイルス性がより優れる点で、水素原子、-C(=O)-O-RX4で表される基(RX4としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、アリール基、又はヘテロアリール基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数8以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が更に好ましい。)、-C(=O)-NRX5-RX6(RX6としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、アリール基、又はヘテロアリール基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数8以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が更に好ましい。)で表される基、ハロゲン化されていてもよい脂肪族炭化水素基(例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられ、具体的には-CF3が挙げられる)、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、又はシアノ基が好ましく、水素原子、-C(=O)-O-RX4で表される基、-C(=O)-NRX5-RX6で表される基、-CF3、又はシアノ基がより好ましい。
【0039】
特定化合物としては、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される化合物が好ましい。
【0040】
【0041】
式(1A)中、X1は、酸素原子又はNRAを表す。RAは、水素原子又は1価の置換基を表す。RAとしては、なかでも水素原子が好ましい。
RAで表される1価の置換基としては特に制限されないが、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基(炭素数1~10が好ましい。)が挙げられる。
上記X1が酸素原子を表す場合、R1は、炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
上記炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルキル基、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルケニル基、並びに、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルキニル基が挙げられる。
【0042】
上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルキル基としては、炭素数8~20が好ましく、炭素数12~20がより好ましい。具体的には、n-ヘキシル基、2-ヘチルヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、3,7-ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基、エイコサニル基、ヘンイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基、トリコサニル基、トリコサニル基、テトラコサニル基、ペンタコサニル基、ヘキサコサニル基、ヘプタコサニル基、オクタコサニル基、ノナコサニル基、及びトリアコンタニル基等が挙げられる。なかでも、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、又はイコサニル基が好ましい。
【0043】
上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルケニル基としては、炭素数8~20が好ましく、炭素数12~20がより好ましい。具体的には、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ヘンエイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、デトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、オクタデカジエニル基、オクタデカトリエニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、及びオクタジエニル基等が挙げられる。なかでも、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、又はイコセニル基が好ましい。
【0044】
上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルキニル基としては、炭素数8~20が好ましく、炭素数12~20がより好ましい。具体的には、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基、エキコシニル基、ヘンイコシニル基、ヘンエイコシニル基、ドコシニル基、トリコシニル基、テトラコシニル基、ペンタコシニル基、ヘキサコシニル基、ヘプタコシニル基、オクタコシニル基、オクタコシニル基、ノナコシニル基、及びトリアコンチニル基等が挙げられる。なかでも、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、又はイコシニル基が好ましい。
【0045】
上記X1がNRAを表す場合、R1は、炭素数5以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
上記炭素数5以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数5~30のアルキル基(炭素数8~20が好ましく、炭素数12~20がより好ましい。)、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数5~30のアルケニル基(炭素数8~20が好ましく、炭素数12~20がより好ましい。)、並びに、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数5~30のアルキニル基(炭素数8~20が好ましく、炭素数12~20がより好ましい。)が挙げられる。
上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数5~30のアルキル基、上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数5~30のアルケニル基、及び、上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数5~30のアルキニル基の具体例としては、上記R1で表される直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルキル基、上記R1で表される直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルケニル基、及び、上記R1で表される直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルキニル基として例示したものが挙げられる。
【0046】
式(1B)中、X2は、酸素原子又はNRBを表す。RBは、水素原子又は1価の置換基を表す。RBとしては、なかでも水素原子が好ましい。
RBで表される1価の置換基としては、式(1A)中のRAと同義であり、好適態様も同じである。
上記X2が酸素原子を表す場合、R2は、炭素数12以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
上記炭素数12以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数12~30のアルキル基、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数12~30のアルケニル基、並びに、直鎖状及び分岐鎖状の炭素数12~30のアルキニル基が挙げられる。
上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数12~30のアルキル基、上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数12~30のアルケニル基、及び、上記直鎖状及び分岐鎖状の炭素数12~30のアルキニル基の具体的には、上記R1で表される直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルキル基、上記R1で表される直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルケニル基、及び、上記R1で表される直鎖状及び分岐鎖状の炭素数6~30のアルキニル基として示したもののうち炭素数が12以上のものが挙げられる。
【0047】
上記X2がNRBのとき、R2は、炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。上記R1で表される炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、上記R1で表される炭素数6以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と同義であり、好適態様も同じである。
上記式(1B)中、R3は、水素原子又はシアノ基を表す。
【0048】
上記式(1)で表される化合物は、公知の方法に準じて合成できる。
【0049】
特定化合物の分子量は特に制限されないが、例えば、150以上である。またその上限は特に制限されないが、例えば1000以下である。特定化合物の分子量としては、なかでも、150~800が好ましい。
【0050】
特定化合物のClogPは特に制限されないが、例えば、0.70以上であり、抗ウイルス活性がより優れる点で、5.00以上が好ましく、7.00以上がより好ましい。その上限値は特に制限されないが、例えば、15.00以下であり、溶解性の観点から、12.00以下が好ましい。
特定化合物のClogPは、ChemBioDraw Ultra Ver13により求めることができる。
【0051】
(置換基群W)
例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、及びトリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、及びビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい。ヘテロアリール基を含む)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アシルチオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH)2)、スルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基及びその他の公知の置換基が挙げられる。
また、これらの置換基群Wで挙げた各基は、上記の置換基群Wに例示される基が更に置換していてもよい。例えば、アルキル基にハロゲン原子が置換していてもよい。
【0052】
以下に、式(1)で表される化合物を例示するが、本発明はこれに制限されない。
【0053】
【0054】
【0055】
特定化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、特定化合物の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.30質量%以上が更に好ましい。また、その上限は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0056】
〔溶媒〕
本発明の組成物は、溶媒を含む。
溶媒としては特に制限されないが、抗ウイルス活性がより優れる点で、アルコールを含むことが好ましい。なお、ここでいうアルコールには、特定化合物は含まれない。
以下、本発明の組成物に用いられ得る溶媒について説明する。
<アルコール>
アルコールとしては特に制限されないが、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、及び環状のアルコール(エーテルアルコールを含む)が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール酢酸モノエステル、グリセリン、n-ブタノール、2-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、ブタン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、t-アミルアルコール、イソアミルアルコール、2-メチルブタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブテノール、3-メチル-3-ブタノール、1-ペンテン-3-オール、n-ヘキサノール、カプリルアルコール、2-エチル-1-ヘキサノール、デカノール、リナロール、ゲラニオール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、3-メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、シトロネロール、テルピネオール、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、及びジエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0057】
上記アルコールとしては安全性の観点から食品添加物であることが好ましく、なかでも、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール酢酸モノエステル、n-ブタノール、2-ブタノール、ブタン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコール、2-メチル-1-ブタノール、1-デカノール、1-ペンテン-3-オール、2-エチル1-ヘキサノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブテノール、3-メチル-3-ブタノール、イソアミルアルコール、i-ブタノール、ベンジルアルコール、シトロネロール、テルピネオール、ヒドロキシシトロネラール、又はヒドロキシシトロネラールジメチルアセタールが好ましい。
【0058】
上記アルコールとしては、なかでも、抗ウイルス活性がより優れる点で、エタノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0059】
本発明の組成物は、抗ウイルス活性値のばらつきがより小さくなる点で、アルコールとして、炭素数2以下のアルコールと炭素数3以上のアルコールとを含むことが好ましい。炭素数3以上のアルコールは、炭素数2以下のアルコールと比較すると脂溶性が高く、ウイルス及びウイルスが潜伏する汚れを物理的に除去しやすいと考えられる。このため、組成物が炭素数2以下のアルコールと炭素数3以上のアルコールとを含む組成物をワイパーに含浸させ清拭に使用した場合、抗ウイルス活性値のばらつきがより小さくなると考えられる。また、炭素数3以上のアルコールは、炭素数2以下のアルコールと比較すると、界面活性機能も高いと想定されるため、特定化合物から水素が解離して形成されるプロトン受容体との相乗効果がより強化され、抗ウイルス活性が向上することも考えられる。
炭素数2以下のアルコールと炭素数3以上のアルコールとを併用する場合、炭素数2以下のアルコールに対する炭素数3以上のアルコールの体積比(炭素数3以上のアルコールの体積/炭素数2以下のアルコールの体積)は、抗ウイルス活性がより優れる点、及び/又は抗ウイルス活性のばらつきがより小さい点で、0.01以上が好ましい。また、その上限としては特に制限されないが、例えば5以下であり、1.5以下が好ましい。
【0060】
<アルコール以外の溶媒>
アルコール以外の溶媒としては、水、及び有機溶媒(アルコールは除く。)が挙げられる。
上記有機溶媒としては特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸イソプロピル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェニルエチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸メンチル、酢酸リナリル、酪酸、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、酪酸シクロヘキシル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールジメチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2-メチルプロパナール、2-メチルブチルアルデヒド、3-メチル-2-ブテナール、3-メチルブタナール、L-ペリルアルデヒド、アセトアルデヒド、アセト酢酸エチル、イソアミルアセテート、酪酸イソアミル、イソバレルアルデヒド、イソブタナール、酢酸イソプロピル、イソプロピルミリステレート、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ヘプタン酸エチル、オクタナール、オクタン酸エチル、オクタナール、オクタン酸、オクタン酸エチル、オクチルアルデヒド、ギ酸、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、シトラール、シトロネラール、ジイソプロピルエーテル、ジイソプロピルジサルファイド、ジイソプロピルジスルフィド、ジエチルエーテル、ジエチルタートレート、ジエチルピロカーボネート、デカナール、デカン酸エチル、トリアセチン、クエン酸三エチル、トルエン、ノナラクトン、バレルアルデヒド、パラメチルアセトフェノン、パラメトキシベンズアルデヒド、ひまし油、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、ブタナール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン、ヘプタン、ベンズアルデヒド、ユーカリプトール、イオノン、酢酸テルピニル、α-アミルシンナムアルデヒド、臭素化植物油、酢酸、二炭酸ジメチル、乳酸エチル、熱酸化大豆油、熱酸化大豆油とグリセリンのエステル、及び流動パラフィン等が挙げられる。
【0061】
上記有機溶媒としては安全性上の観点から食品添加物であることが好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸イソプロピル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェニルエチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸メンチル、酢酸リナリル、酪酸、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、酪酸シクロヘキシル、2-メチルプロパナール、2-メチルブチルアルデヒド、3-メチル-2-ブテナール3-メチルブタナール、l-ペリルアルデヒド、アセトアルデヒド、アセト酢酸エチル、イソアミルアセテート、酪酸イソアミル、イソバレルアルデヒド、イソブタナール、酢酸イソプロピル、イソプロピルミリステレート、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ヘプタン酸エチル、オクタナール、オクタン酸、オクタン酸エチル、オクチルアルデヒド、ギ酸、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、シトラール、シトロネラール、ジイソプロピルエーテル、ジイソプロピルジサルファイド、ジイソプロピルジスルフィド、ジエチルエーテル、ジエチルタートレート、ジエチルピロカーボネート、デカナール、デカン酸エチル、トリアセチン、クエン酸三エチル、トルエン、ノナラクトン、バレルアルデヒド、パラメチルアセトフェノン、パラメトキシベンズアルデヒド、ひまし油、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、ブタナール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン、ヘプタン、ベンズアルデヒド、ユーカリプトール、イオノン、酢酸テルピニル、α-アミルシンナムアルデヒド、臭素化植物油、酢酸、二炭酸ジメチル、乳酸エチル、熱酸化大豆油、熱酸化大豆油とグリセリンのエステル、又は流動パラフィンが好ましい。
【0062】
本発明の組成物中、溶媒の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.5~99.9質量%が好ましく、10~99.8質量%がより好ましく、50~99.8質量%が更に好ましく、80~99.8質量%が特に好ましい。
【0063】
本発明の組成物中、アルコールの含有量(複数種存在する場合はその合計)は、抗ウイルス活性がより優れる点で、溶媒の全体積に対して、25体積%以上が好ましく、40体積%以上がより好ましく、50体積%以上が更に好ましい。アルコールの含有量の上限値は特に制限されないが、例えば100体積%以下である。
【0064】
〔組成物のpH〕
本発明の組成物は、pHが9.0~14.0である。pHが9.0未満である場合、抗ウイルス活性が劣る場合がある。抗ウイルス活性がより優れる点で、pHは10.0以上が好ましく、11.0以上がより好ましい。一方、pHは14.0以下であり、金属に対する腐食性がより抑制できる点で、12.0以下が好ましい。
pHは、pH電極「6337-10D」(株式会社堀場製作所製)を使用した卓上型pH計「F-72S」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる。具体的な測定方法については、後述の通りである。
なお、本明細書において、pHは、25℃における値を意図する。
【0065】
〔任意成分〕
本発明の組成物は、本発明の効果を奏する限りにおいて、上記以外の成分が含まれてもよい。任意成分としては特に制限されないが、例えば、界面活性剤、殺菌剤、消毒剤、除菌剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、増粘剤・ゲル化剤、防腐剤、香料、及び色素等が挙げられる。本発明の組成物は、抗ウイルス活性がより優れる点で、なかでも、界面活性剤、殺菌剤、消毒剤、除菌剤、又は酸化防止剤を含むことが好ましく、界面活性剤、4級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム等)、又は酸化防止剤を含むことがより好ましく、界面活性剤、又は4級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム等)を含むことが更に好ましい。
【0066】
<界面活性剤及び乳化剤>
本発明の組成物は、界面活性剤及び/又は乳化剤を含むことが好ましい。界面活性剤及び/又は乳化剤を含む本発明の組成物を基布に含浸させてワイパーとして使用する場合、拭き残しが少なく、洗浄性により優れる。
界面活性剤、及び乳化剤としては特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤(但し、ここでいうイオン性界面活性剤に、4級アンモニウム塩は含まれない)、並びにノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0067】
イオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩(ドデシル硫酸ナトリウム等)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、アルキルリン酸塩、及び、コール酸塩(デオキシコール酸ナトリウム、リトコール酸ナトリウム、及びコール酸ナトリウム等)等のアニオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩等のカチオン性界面活性剤;が挙げられる。
【0068】
ノニオン系界面活性剤としては、炭素数が20超の化合物が好ましく、例えば、モノ-,ジ-,若しくはポリグリセリンの脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸モノエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレンアルキルエーテル、及び、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテル型(花王株式会社製、エマルゲンシリーズ等);脂肪酸ポリエチレングリコール、及び、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等のエステルエーテル型;脂肪酸アルカノールアミド等のアルカノールアミド型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエステル、及びポリエチレングリコールモノステアリルエステル等が挙げられる。
【0069】
乳化剤としては特に制限されないが、非イオン性の乳化剤の場合、炭素数20超が好ましい。乳化剤としては、具体的に、オレイン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、カプリン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、カプリル酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、ラウリン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、ガムロジングリセリンエステル、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、クエン酸ステアリル、クエン酸モノグリセリド、グリセリンの乳酸及び脂肪酸エステル類、モノ-,ジ-,若しくはポリグリセリンの脂肪酸エステル類、ステアリン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が挙げられる。)、ミリスチン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が挙げられる。)、パルミチン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が挙げられる。)、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、レシチン、水酸化レシチン、部分水解レシチン、ヒマワリレシチン、酵素処理レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、キラヤ抽出物、植物性ステロール、スフィンゴ脂質、ダイズサポニン、胆汁末、動物性ステロール、分別レシチン、ユッカフォーム抽出物、卵黄レシチン、トール油、及びロジングリセリンエステルが挙げられる。
【0070】
上記界面活性剤及び乳化剤としては、なかでも、安全性の観点から食品添加物であることが好ましく、コール酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、デオキシコール酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、オレイン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、カプリン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、カプリル酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、ラウリン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。)、ガムロジングリセリンエステル、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、クエン酸三エチル、クエン酸ステアリル、クエン酸モノグリセリド、グリセリンの乳酸及び脂肪酸エステル類、モノ-,ジ-,若しくはポリグリセリンの脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が挙げられる。)、ミリスチン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が挙げられる。)、パルミチン酸塩(塩の形態としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が挙げられる。)、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、レシチン、水酸化レシチン、部分水解レシチン、ヒマワリレシチン、酵素処理レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、キラヤ抽出物、植物性ステロール、スフィンゴ脂質、ダイズサポニン、胆汁末、動物性ステロール、分別レシチン、ユッカフォーム抽出物、卵黄レシチン、トール油、又はロジングリセリンエステルが好ましい。
【0071】
界面活性剤及び乳化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が界面活性剤及び/又は乳化剤を含む場合、界面活性剤及び乳化剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.01~2質量%が好ましく、0.05~2質量%がより好ましく、0.05~1質量%が更に好ましい。
【0072】
<殺菌剤、消毒剤、及び除菌剤>
殺菌剤、消毒剤、及び除菌剤としては特に制限されず、例えば、4級アンモニウム塩、金属を含む抗菌剤、光触媒、アルデヒド系化合物、ヨード系化合物、ピグアニド化合物、及びアクリノール水和物(例えば、乳酸6,9-ジアミノ-2-エトキシアクリジン一水和物)等が挙げられる。本発明の組成物と組み合わせた際に、抗ウイルス活性がより優れる点で、なかでも、4級アンモニウム塩が好ましい。
【0073】
(4級アンモニウム塩)
4級アンモニウム塩としては特に制限されず、例えば、下記式(2)~(5)で表される化合物が挙げられる。
【0074】
【0075】
式(2)中、R21~R24は、各々独立に、脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基、又はヘテロアリール基を示す。
R21~R24で表される脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよい。
また、R21~R24で表される脂肪族炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子の種類は特に制限されないが、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子等が挙げられる。なかでも、抗ウイルス活性がより優れる点で、-Y1-、-N(Ra)-、-C(=Y2)-、-CON(Rb)-、-C(=Y3)Y4-、-SOt-、-SO2N(Rc)-、又はこれらを組み合わせた基の態様で含まれることが好ましい。
Y1~Y4は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、及びテルル原子からなる群から選択される。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。tは、1~3の整数を表す。上記Ra、Rb、及びRcは、各々独立に、水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
なお、上記脂肪族炭化水素基がヘテロ原子を含む場合、-CH2-がヘテロ原子で置換される。
【0076】
R21~R24で表される脂肪族炭化水素基としては、具体的には、アルキル基(炭素数1~30が好ましく、炭素数1~20がより好ましい)、アルケニル基(炭素数2~30が好ましく、炭素数2~20がより好ましい)、又はアルキニル基(炭素数2~30が好ましく、炭素数2~20がより好ましい)等が挙げられる。なかでも、アルキル基が好ましい。
【0077】
R21~R24で表されるアリール基としては、上述した式(1)中のR1X~R3Xで表されるアリール基と同義であり、好適態様についても同様である。
【0078】
R21~R24で表されるアラルキル基としては特に制限されないが、例えば、炭素数7~15のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、1-(1-ナフチル)エチル基、トリフェニルメチル基、及びピレニルメチル基等が挙げられる。
【0079】
R21~R24で表されるヘテロアリール基としては、例えば、炭素数3~12のヘテロアリール基が好ましく、例えば、フリル基、チオフリル基、ピリジル基、ピラゾール基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、プリン基、ピリミジル基、ピラジル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアジル基、カルバゾリル基、キノキサリル基、及びチアジン基等が挙げられる。
【0080】
R21~R24で表される脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基、及びヘテロアリール基は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基群Wに例示されるものが挙げられる。
【0081】
X-は、水酸化物イオン以外の1価のアニオンを表す。
X-としては、具体的には、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-、Br3
-、Br2Cl-、I3
-、IBr2
-、Cl2Br-、HF2
-、H2F3
-、AuBr2
-、AuCl2
-、AuI2
-、及びFeCl4
-が挙げられる。)、カルボキシレートアニオン、シアン化物アニオン、スルホンイミドアニオン(N-(SO2R)2:Rは、フッ素原子、炭化水素基(例えば、炭素数1~20のアルキル基が挙げられる。)、又はパーフルオロ炭化水素基(例えば、炭素数1~20のパーフルオロアルキル基が挙げられる。)である。)、ボロヒドリドアニオン、ジクロロヨウ素酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスファートアニオン、過塩素酸アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、硝酸アニオン、ジシアナミドアニオン[N-(CN)2]、アジ化物アニオン(N3
-)、アルカン又はアリールスルホン酸アニオン、パーフルオロアルカン又はアリールスルホン酸アニオン、アルキル又はアリール硫酸エステルアニオン(ROSO3
-:Rは、炭素数1~20のアルキル基、又は炭素数6~18のアリール基を表す。)、アルキル又はアリールリン酸エステルアニオン((RO)2PO2
-:Rは、各々独立に、炭素数1~20のアルキル基、又は炭素数6~18のアリール基を表す。)、チオシアン化物アニオン(S-CN)、トリアセトキシボロヒドリドアニオン、ペルルテナートアニオン(RuO4
-)、Cu(CF3)4
-、C(CN)3
-、及びCF3BF3
-が挙げられる。
【0082】
以下に、式(2)で表される化合物を例示するが、本発明はこれに制限されない。
【0083】
【0084】
【0085】
式(3)中、X-は、式(2)中のX-と同義であり、好適態様も同じである。
また、R31及びR32は、式(2)中のR21~R24と同義であり、好適態様も同じである。
Y31及びY32は、各々独立に、-C(R33)2-、-NR34-、-O-、-CO-、-CO2-、-S-、-SO-、又は-SO2-を表す。なお、式(2)中、Y32が複数ある場合、複数のY32は同一であっても、異なっていてもよい。
R33は、水素原子、又は、脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基、へテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1価の有機基を表す。
R34は、水素原子、又は、脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基、及びへテロアリール基からなる群より選ばれる1価の有機基を表す。
R33及びR34で表される脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基、及びヘテロアリール基は、式(2)中のR21~R24で表される脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基、又はヘテロアリール基と同義であり、好適態様も同じである。
R33及びR34で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0086】
R33及びR34で表される脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基、又はヘテロアリール基は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基群Wに例示されるものが挙げられる。
【0087】
なお、Y31、又はY32が、-C(R33)2-又は-NR34-を表す場合、R31で表される1価の有機基は、R33又はR34と互いに連結して芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。
また、R31及びR32は、互いに連結して芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。
nは、1~18の整数を表す。
【0088】
以下に、式(3)で表される化合物を例示するが、本発明はこれに制限されない。
【0089】
【0090】
式(4)中、X-は、式(2)中のX-と同義であり、好適態様も同じである。
また、R41は、式(2)中のR21~R24と同義であり、好適態様も同じである。
Y41~Y45は、各々独立に、窒素原子、又は=CR42-を表す。R42は、水素原子、又は、1価の置換基を示す。
R42で表される1価の置換基としては特に制限されないが、例えば、上述した置換基群Wに例示されるものが挙げられる。
なお、Y41~Y45のうちの2以上が=CR42-を表す場合、隣接する炭素原子に置換するR42同士は、互いに連結して芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。
また、Y41~Y45が=CR42-を表す場合、R42で表される1価の置換基は、R41と互いに連結して芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。
【0091】
以下に、式(4)で表される化合物を例示するが、本発明はこれに制限されない。
【0092】
【0093】
【0094】
式(5)中、X-は、式(2)中のX-と同義であり、好適態様も同じである。
Y51~Y53は、式(4)のY41~Y45と同義であり、好適態様も同じである。
Y54は、>NR51、硫黄原子、又は酸素原子を表す。
R51及びR52は、式(2)中のR21~R24と同義であり、好適態様も同じである。
【0095】
以下に、式(5)で表される化合物を例示するが、本発明はこれに制限されない。
【0096】
【0097】
【0098】
(金属を含む抗菌剤)
金属を含む抗菌剤としては特に制限されず、公知のものを使用できる。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、水銀、亜鉛、鉄、鉛、ビスマス、チタン、錫、及びニッケル等が挙げられる。また、金属を含む抗菌剤に含まれる金属の態様は特に限定されず、金属粒子、金属イオン、及び金属塩(金属錯体を含む)等の形態が挙げられる。なかでも、抗菌性がより優れる点で、金属は、金、銀、又は銅が好ましい。
【0099】
また、金属を含む抗菌剤としては、担体と、担体上に担持された上記金属を含む金属担持担体であってもよい。
担体の種類は特に限定されず、公知の担体を使用できる。担体としては、例えば、無機酸化物(例えば、ゼオライト(結晶性アルミノケイサン塩)、シリカゲル、粘土鉱物等のケイ酸塩、ガラス(水溶性ガラスを含む)、リン酸ジルコニウム、及びリン酸カルシウム等)、活性炭、金属担体、及び有機金属等が挙げられる。
【0100】
金属を含む抗菌剤としては、抗菌性により優れる点で、銀を含む抗菌剤が好ましい。
銀を含む抗菌剤としては、具体的には、硝酸銀、塩化銀、硫酸銀、乳酸銀、及び酢酸銀等の銀塩;銀アンモニア錯体、銀クロロ錯体、及び銀チオスルファト錯体等の銀錯体;銀粒子;銀イオン;これらを上記担体に担持させた銀担持担体;等が挙げられる。
【0101】
(光触媒)
光触媒としては、光触媒作用を示すことが知られている物質であれば特に制限されず、例えば、TiO2、SrTiO2、ZnO、CdS、SnO2、及びWO3等が挙げられる。
【0102】
(アルデヒド系化合物)
アルデヒド系化合物としては特に制限されないが、例えば、グルタラール、フタラール、及びホルマリン等が挙げられる。
【0103】
(ヨード系化合物)
ヨード系化合物としては特に制限されないが、例えば、ポピドンヨード、及びヨードチンキ等が挙げられる。
【0104】
(ピグアニド化合物)
ピグアニド化合物としては特に制限されないが、例えば、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩、及びクロルヘキシジン酢酸塩等が挙げられる。
【0105】
殺菌剤、消毒剤、及び除菌剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が殺菌剤、消毒剤、及び/又は除菌剤を含む場合、殺菌剤、消毒剤、及び除菌剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~10質量%が好ましく、0.01~3質量%がより好ましく、0.01~1質量%が更に好ましい。
【0106】
<酸化防止剤>
本発明の組成物は、酸化防止剤(但し、特定化合物を除く。)を含むことが好ましい。本発明の組成物が酸化防止剤を含む場合、抗ウイルス活性がより優れる。
酸化防止剤としては特に制限されず、例えば、「抗酸化剤の理論と実際」(梶本著、三書房 1984)、及び「酸化防止剤ハンドブック」(猿渡、西野、田端著、大成社 1976)に記載の各種酸化防止剤を使用できる。
【0107】
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩;エリソルビン酸、エリソルビン酸誘導体、及びそれらの塩;フェノール性水酸基を有する化合物;フェニレンジアミン等のアミン系化合物;が挙げられる。
【0108】
上記アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩としては、例えば、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸カリウム、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L-アスコルビン酸硫酸エステル、L-アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L-アスコルビン酸2-グルコシド、L-アスコルビル酸パルミチン酸エステル、及びテトライソパルミチン酸L-アスコルビル等が挙げられる。
【0109】
上記エリソルビン酸、エリソルビン酸誘導体、及びそれらの塩としては、例えば、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウム、エリソルビン酸カルシウム、エリソルビン酸リン酸エステル、及びエリソルビン酸硫酸エステル等が挙げられる。
【0110】
上記フェノール性水酸基を有する化合物としては、ポリフェノール類(例えば、茶抽出物に含まれるカテキン)、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、没食子酸エステル類(例えば、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、及び没食子酸オクチル等)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、カルシノン酸類(ローズマリー抽出物等)、フェルラ酸、ビタミンE類、及びビスフェノール類等が挙げられる。
なお、上記ビタミンE類としては、例えば、トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体、並びに、トコトリエノール及びその誘導体等が挙げられる。
上記トコフェロール及びその誘導体としては、例えば、dl-α-トコフェロール、dl-β-トコフェロール、dl-γ-トコフェロール、dl-δ-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸-dl-α-トコフェロール、リノール酸-dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、及びこれらの酢酸エステル等が挙げられる。
上記トコトリエノール及びその誘導体としては、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、及びこれらの酢酸エステル等が挙げられる。
【0111】
上記アミン系化合物としては、フェニレンジアミン、ジフェニル-p-フェニレンジアミン、及び4-アミノ-p-ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0112】
上記酸化防止剤としては、なかでも、安全性の観点から食品添加物であることが好ましく、4-ヘキシルレゾルシン、BHT、ブチルヒドロキシアニソール、エチレンジアミン四酢酸カルシウムニナトリウム、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル、tert-ブチルヒドロキノン、d-α-トコフェロール濃縮物、dl-α-トコフェロール、アノクソマー、イソアスコルビン酸、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸イソプロピル、グアヤク脂、グアヤク樹脂、ジラウリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ジステアリルエステル、チオ硫酸ナトリウム、ノルジヒドログアヤレチック酸、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、プロトカテキュ酸エチル、フェルラ酸、没食子酸プロピル、没食子酸イソアミル、没食子酸ドデシル、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、又は塩化第一錫が好ましい。
【0113】
酸化防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~2質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましく、0.01~0.5質量%が更に好ましい。
【0114】
<pH調整剤>
pH調整剤としては特に制限されないが、金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、及びナトリウムエトキシド等)、金属酸化物(例えば、酸化カルシウム、及び酸化マグネシウム等)、炭酸水素塩(炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、及び炭酸水素カルシウム等)、金属水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アルミニウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ユウロピリウム(II)、及び水酸化タリウム(I)等)、炭酸塩(炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸セシウム等)、水酸化4級アンモニウム、有機塩基(グアニジン誘導体、ジアザビシクロウンデセン、及びジアザビシクロノネン等)、フォスファゼン塩基、及びプロアザフォスファトラン塩基等が挙げられる。
pH調整剤としては、安全性の観点から食品添加物として使用されるものが好ましく、ナトリウムメトキシド、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸マグネシウムが好ましい。
【0115】
pH調整剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物がpH調整剤を含む場合、pH調整剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、特定化合物の含有量等によって適宜変更されるため、限定することはできないが、組成物のpHが9.5超となるように、組成物の全質量に対して、0.001~30質量%が好ましく、0.005~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が更に好ましい。
【0116】
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては特に制限されないが、例えば、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、及びサリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系化合物;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、及びパラジメチルアミノ安息香酸2-エチルへキシル等のパラアミノ安息香酸系化合物;4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、及びヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、及び2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、及びp-メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系化合物;2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、及び4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系化合物;2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸-2-エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルへキシル、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、シノキサート、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、並びにシラン誘導体等が挙げられる。
【0117】
紫外線吸収剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~3質量%が好ましく、0.001~2質量%がより好ましく、0.001~1質量%が更に好ましい。
【0118】
<キレート剤>
キレート剤としては特に制限されないが、例えば、アミノポリカルボン酸系キレート剤、芳香族又は脂肪族カルボン酸系キレート剤、アミノ酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、リン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤、ジメチルグリオキシム、チオグリコール酸、フィチン酸、グリオキシル酸、及びグリオキサール酸等が挙げられる。これらのキレート剤は、それぞれフリーの酸型であっても、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の塩の形であってもよい。
【0119】
アミノポリカルボン酸系キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、及びこれらの塩類等が挙げられる。
【0120】
芳香族又は脂肪族カルボン酸系キレート剤としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イタコン酸、アコニット酸、ピルビン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸(アントラニル酸を含む)、フタル酸、フマル酸、トリメリット酸、没食子酸、ヘキサヒドロフタル酸、及びこれらの塩類等が挙げられる。
【0121】
アミノ酸系キレート剤としては、例えば、グリシン、セリン、アラニン、リジン、シスチン、システイン、エチオニン、チロシン、メチオニン、及びこれらの塩類等が挙げられる。
【0122】
ホスホン酸系キレート剤としては、例えば、イミノジメチルホスホン酸、アルキルジホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、及びこれらの塩類等が挙げられる。
【0123】
リン酸系キレート剤としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、トリリン酸、及びポリリン酸等が挙げられる。
【0124】
ヒドロキシカルボン酸系キレート剤としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、ヘプトン酸、酒石酸、乳酸、及びこれらの塩類等が挙げられる。
【0125】
高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤としては、例えば、アクリル酸重合体、無水マレイン酸重合体、α-ヒドロキシアクリル酸重合体、イタコン酸重合体、及びこれらの重合体の構成モノマー2種以上からなる共重合体、並びにエポキシコハク酸重合体等が挙げられる。
【0126】
キレート剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物がキレート剤を含む場合、キレート剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~3質量%が好ましく、0.001~2質量%がより好ましく、0.001~1質量%が更に好ましい。
【0127】
<保湿剤>
保湿剤としては特に制限されず、例えば、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アロエエキス、ゼラチン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、及びホエイ等が挙げられる。
【0128】
保湿剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が保湿剤を含む場合、保湿剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~3質量%が好ましく、0.001~2質量%がより好ましく、0.001~1質量%が更に好ましい。
【0129】
<増粘剤及びゲル化剤>
増粘剤及びゲル化剤としては、例えば、無水マレイン酸・メチルビニルエーテル共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、セルロース又はその誘導体、ケラチン及びコラーゲン又はそれらの誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、えん麦ガム、アカシアガム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、カロブビーンガム、ガティガム、アルギン酸及びその塩(塩の形態としては、アンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びナトリウム塩が挙げられる。)、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルブミン、カゼイン、カードラン、βグルカン及びβグルカン誘導体、ローカストビーンガム、ジェランガム、カッシアガム、マンナン、タラガム、トラガントガム、タマリンドガム、デキストラン、ポリデキストロース、α-グルコース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩(塩の形態としては、カルシウム塩、及びナトリウム塩が挙げられる。)、酵素分解カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル化エピ架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、アミロペクチン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、酸化ヒドロキシプロピル化エピ架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アルカリ処理デンプン、酸化ヒドロキシプロピル化エピ架橋デンプン、グリセロール架橋デンプン、酸処理デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、酢酸デンプン、漂白デンプン、酵素処理デンプン、酸化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンコハク酸ナトリウム、グルコマンナン、シクロデキストリン、デキストリン、プルラン、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ユーケマ、β-1,3-グルカン寒天、並びにα-グルコースの誘導体等が挙げられる。
【0130】
増粘剤及びゲル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が増粘剤及び/又はゲル化剤を含む場合、増粘剤及びゲル化剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~3質量%が好ましく、0.001~2質量%がより好ましく、0.001~1質量%が更に好ましい。
【0131】
<防腐剤>
防腐剤としては特に制限されないが、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、過酸化水素、ギ酸、ギ酸エチル、ジ亜塩素酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、ペクチン分解物、ポリリジン、フェノキシエタノール、チラム、チアベンダゾール、イマザリル、ジフェニル、ナタマイシン、フルジオキソニル、アゾキシストロビン、及びティートリー油が挙げられる。
【0132】
防腐剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が防腐剤を含む場合、防腐剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~3質量%が好ましく、0.001~2質量%がより好ましく、0.001~1質量%が更に好ましい。
【0133】
<香料>
香料としては特に制限されないが、例えば、ジャコウ、アカシア油、アニス油、イランイラン油、ジャスミン油、スウィートオレンジ油、スペアミント油、ゼラニウム油、ネロリ油、ハッカ油、ヒノキ油、フェンネル油、ペパーミント油、ベルガモット油、ライム油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズウッド油、アニスアルデヒド、シベトン、ムスコン、及びリモネン等が挙げられる。
【0134】
香料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が香料を含む場合、香料の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~3質量%が好ましく、0.001~2質量%がより好ましく、0.001~1質量%が更に好ましい。
【0135】
<色素>
色素としては特に制限されないが、例えば、オキアミ色素、オレンジ色素、カオリン、グンジョウ、酸化クロム、酸化鉄、二酸化チタン、及びクロロフィル等が挙げられる。
【0136】
色素は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が色素を含む場合、香料の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全質量に対して、0.001~3質量%が好ましく、0.001~2質量%がより好ましく、0.001~1質量%が更に好ましい。
【0137】
〔組成物の製造方法〕
本発明の組成物は、上述した必須成分及び任意成分を、適宜混合することによって調製できる。なお、上記成分の混合の順番は特に制限されない。
【0138】
〔剤型〕
本発明の組成物の剤型は特に制限されないが、例えば、液剤、ジェル剤、エアゾールスプレー剤、及び非エアゾールスプレー剤等が挙げられる。
【0139】
〔用途〕
本発明の組成物は、抗ウイルス用組成物として使用されることが好ましく、例えば、カリシウイルス科、オルトミクソウイルス科、コロナウイルス科、及びヘルペスウイルス科等に属するウイルスを不活化する作用を有するため、上記のウイルスに作用させて上記のウイルスの活性を減少させる用途が好ましい。なお、カリシウイルス科に属するウイルスとしては、ノロウイルス属、サポウイルス属、ラゴウイルス属、ネボウイルス属、及びベシウイルス属に属するウイルス等が挙げられる。本発明の組成物は、なかでも、ノロウイルス属に属するウイルス及びベシウイルス属に属するウイルスに対して良好な不活化効果を発揮する。
また、本発明の組成物は、細菌及び真菌等の微生物(例えば、大腸菌、及びブドウ球菌等)に対して良好な不活化効果を発揮する。
【0140】
組成物は、なかでも、抗ノロウイルス用組成物として用いられるのが好ましい。
上記組成物の使用方法としては特に制限されないが、ノロウイルスが付着、又は、付着するおそれがある箇所に、塗布する、又は、予め塗布しておくことができる。組成物を塗布する方法としては特に制限されないが、例えば組成物を上記箇所に噴霧する方法、組成物を含む基布等によって上記箇所を拭く方法、及び、液体洗浄料である組成物で手指を洗浄する方法等が挙げられる。
【0141】
[スプレー]
本発明のスプレーは、スプレー容器と、上記スプレー容器に収容された抗ウイルス用組成物と、を含む。なお、抗ウイルス用組成物としては、既に説明したとおりである。
上記スプレー容器は、エアゾールスプレー容器であっても、非エアゾールスプレー容器であってもよい。上記スプレー容器としては、なかでも、非エアゾールスプレー容器が好ましい。
上記スプレー容器がエアゾールスプレー容器である場合とは、例えば、スプレー容器が抗ウイルス用組成物以外に液体ガス及び圧縮ガス等のガスを含む形態を意図する。エアゾールスプレー容器としては、具体的には、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、及びイソペンタン等のガスを含むスプレー容器が挙げられる。
上記スプレー容器が非エアゾールスプレー容器である場合とは、スプレー容器が、液体ガス及び圧縮ガス等のガスを実質的に含まずに、容器中に収容される液体を霧状及び泡状等の形態で容器外へ噴出させる機構を備えている形態を意図する。非エアゾールスプレー容器としては、例えば、ポンプ式、及びトリガー式等の蓄圧式のスプレー容器が挙げられる。
【0142】
[ワイパー]
本発明のワイパーは、基布と、上記基布に含浸させた抗ウイルス用組成物と、を含む。
なお、抗ウイルス用組成物としては、既に説明したとおりである。
上記基布としては特に制限されず、天然繊維で形成されたものであっても、化学繊維で形成されたものであってもよい。
天然繊維としては、例えば、パルプ、綿、麻、亜麻、羊毛、キヤメル、カシミヤ、モヘヤ、及び絹等が挙げられる。
化学繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、レーヨン、ポリノジック、アセテート、トリアセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート、及びポリクラール等が挙げられる。
これらの基布のうち、組成物を含浸させやすい点で、親水性の基布が好ましい。親水性の基布とは、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、アミド基、及びスルホニル基等の親水性基を有する繊維を含む基布である。親水性の基布としては、具体的には、植物性繊維、綿、パルプ、動物性繊維、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、及びポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、基布としては、不織布、布、タオル、ガーゼ、及び脱脂綿等も使用でき、不織布が好ましい。
【0143】
また、基布の目付(単位面積当たりの質量)は、100g/m2以下が好ましい。上記組成物を基布に含浸させる際の含浸量は、基布の質量に対して1倍以上の量が好ましい。
【実施例】
【0144】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0145】
[実施例1の抗ウイルス用組成物]
〔調製方法〕
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール90mgを仕込んだガラス製容器に、エタノール8.7mLを加えた。次に、上記ガラス製容器内に、水と1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液とを、水の総量が20.4mL(溶媒の全体積に対するエタノール濃度30体積%)、且つ、調液後の抗ウイルス用組成物のpHが11.5となるように加えて、抗ウイルス用組成物を得た。
なお、pHの測定は、下記方法により実施した。
【0146】
〔pHの測定〕
pH計(製品名「pH・水質分析計 LAQUA F-72S」、(株)堀場製作所製)、及びpH電極(製品名「6377-10D」、(株)堀場製作所製)を用い、pH標準液にてpHを校正後に測定を行った。サンプル液を液温25℃に調製後、電極をサンプル液に浸漬し、1~2分程度放置し、数値が安定化したときのpHの値を読み取った。
【0147】
〔抗ウイルス剤のpKaの評価〕
以下の装置及び手順により、抗ウイルス剤のpKaを求めた。
<装置>
電位差自動滴定装置AT-610(京都電子工業株式会社製)
<手順>
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール1mmolをエタノール40mLに溶解し、精製水10mLを加えた。1mol/Lの塩酸を1mL添加後、1mol/Lの水酸化ナトリウムにて滴定することにより、pKaを算出した。なお、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノールのpKaは、11.7であった。
次いで、得られたpKaを下記基準により評価した。
また、各実施例及び各比較例で使用する抗ウイルス剤についても、上述した方法によりpKaを算出し、下記基準により評価した。
【0148】
<評価基準>
「A」:pKaが10以上14以下
「B」:pKaが9以上10未満又は14超15以下
「C」:pKaが9未満又は15超
【0149】
〔ClogP値の評価〕
ChemBioDraw Ultra Ver13により、抗ウイルス剤のClogP値を求めた。
また、各実施例及び各比較例で使用する抗ウイルス剤についても、上述した方法によりClogP値を求めた。
【0150】
[実施例2~25、及び比較例1~3の抗ウイルス用組成物]
〔実施例2~25、及び比較例1~3の抗ウイルス用組成物の調製〕
実施例1の抗ウイルス用組成物の調製方法に準じて、表1に示す成分配合及びpHにて、実施例2~25、及び比較例1~3の抗ウイルス用組成物を調製した。
【0151】
〔実施例1~25、比較例1~3の抗ウイルス用組成物の評価〕
調製した実施例1~25、及び比較例1~3の抗ウイルス用組成物について、以下に示す方法により、抗ウイルス活性の評価を実施した。
【0152】
<抗ネコカリシウイルス活性の評価>
MEM(Minimum Essential Media)培地中でネコカリシウイルス(Feline calicivirus:ATCC VR-782)を培養して得たウイルス液を、上記で作製した抗ウイルス用組成物に接種した後に、10秒間撹拌した後、約25℃にて1分間静置した。次に、ウイルス液接種後の抗ウイルス用組成物の液0.1mLを回収し、9.9mLのSCDLP培地(Soybean. Casein Digest Agar with Lecithin and Polysorbate 80、血清を終濃度10%となるように添加したもの)に入れてよく混合し、試験液を得た。次に、寒天培地上で培養したCRFK細胞(猫腎由来株化細胞、ATCC CCL-94)に、上記試験液を0.1mL接種し、37℃で1時間吸着させた。次に、CRFK細胞上の試験液を洗い流し、寒天培地を重層して、2~3日間培養した。培養後、形成されたプラーク数を計数し、感染価を算出し、これを「抗ウイルス用組成物の感染価」とした。また、抗ウイルス用組成物に代えて滅菌済精製水を用いた以外は上記方法と同様にして作製した検体についても感染価を算出し、これを「対照の感染価」とした。
抗ウイルス用組成物の抗ウイルス活性(抗ウイルス活性値)は下記式1を用いて算出し、計算結果を下記基準を用いて評価した。結果を表1に示す。
【0153】
式1: 抗ウイルス活性値=A-B
上記Aは、対照の感染価の常用対数値を表す。
上記Bは、抗ウイルス用組成物の感染価の常用対数値を表す。
【0154】
(評価基準)
「A」:抗ウイルス活性値が4.0以上
「B」:抗ウイルス活性値が3.5以上4.0未満
「C」:抗ウイルス活性値が3.0以上3.5未満
「D」:抗ウイルス活性値が2.0以上3.0未満
「E」:抗ウイルス活性値が2.0未満
【0155】
以下の表において、「oleyl」とは、C18H35で表される不飽和アルキル基を意図する。
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
表1の結果から、実施例の抗ウイルス用組成物は、ネコカリシウイルスに対して優れた抗ウイルス活性を示すことが確認された。
また、実施例1~4の対比から、抗ウイルス用組成物は、アルコールの含有量が、溶媒の全体積に対して40~100体積%(好ましくは50~100体積%)である場合、ネコカリシウイルスに対してより優れた抗ウイルス活性を示すことが確認された。
また、実施例4~7の対比から、抗ウイルス用組成物は、pHが10.0以上(好ましくは11.0以上)の場合、ネコカリシウイルスに対してより優れた抗ウイルス活性を示すことが確認された。
また、実施例3、実施例11~16の対比から、抗ウイルス剤のpKaが10~14の場合、ネコカリシウイルスに対してより優れた抗ウイルス活性を示すことが確認された。
また、実施例18~25の対比から、抗ウイルス剤のClogP値が5.00以上(好ましくは7.00以上)の場合、ネコカリシウイルスに対してより優れた抗ウイルス活性を示すことが確認された。
また、実施例18~25の対比から、抗ウイルス剤として、式(1)で表される化合物を含み、且つ、上記化合物が1価の置換基として-C(=O)-O-RX4で表される基又は-C(=O)-NRX5-RX6を有し、上記RX4及び上記RX6の炭素数が8以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数が12以上の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基)である場合である場合、ネコカリシウイルスに対してより優れた抗ウイルス活性を示すことが確認された。
また、実施例18~25の結果、及び後述する実施例32~33の結果から、比較的低いpH領域(pHが9.0以上11.0未満)であっても、抗ウイルス剤のClogP値が5.00以上(好ましくは7.00以上)である場合、ClogP値による抗ウイルス性が有効に作用することで、ネコカリシウイルスに対してより優れた抗ウイルス活性を示すことが確認された。
一方、比較例の抗ウイルス用組成物は、ネコカリシウイルスに対する抗ウイルス活性が劣ることが明らかである。
【0160】
[実施例26~33、及び比較例4の抗ウイルス用組成物]
〔実施例26~33、及び比較例4の抗ウイルス用組成物の調製〕
実施例1の抗ウイルス用組成物の調製方法に準じて、表2に示す成分配合及びpHにて、実施例26~33の抗ウイルス用組成物を調製した。
また、比較例4の抗ウイルス用組成物(表中には不表示)として、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を調製した。
【0161】
〔実施例26~33、及び比較例4の抗ウイルス用組成物の評価〕
<金属腐食性の評価>
表2に記載の各抗ウイルス用組成物約100mLをステンレス製のバットにとり、密閉条件下、室温にて、アルミニウム、銅、及び真鍮の各プレートを浸漬した。一週間後、各プレートを取り出し、目視でプレート表面を観察し、下記基準で評価した。
【0162】
(評価基準)
「A」:変化なし。
「B」:光沢の低下や若干の色の変化が確認された。
「C」:錆が発生した。
【0163】
また、各抗ウイルス用組成物について、実施例1と同様の方法により抗ネコカリシウイルス活性の評価を行った。
【0164】
【0165】
表2の結果から、抗ウイルス用組成物がpH12.0以下である場合、アルミ板、銅、及び真鍮に対する腐食がほぼ観測されないことが分かった。
一方、ノロウイルス消毒剤として汎用される次亜塩素酸ナトリウム(比較例4)を抗ウイルス剤として用いた場合、アルミニウムに対する若干の腐食(B評価)と、銅及び真鍮に対する激しい腐食(C評価)が確認された。
【0166】
[実施例34~40、及び比較例5の抗ウイルス用組成物]
〔実施例34~40、及び比較例5の抗ウイルス用組成物の調製〕
実施例1の抗ウイルス用組成物の調製方法に準じて、表3に示す成分配合及びpHにて、実施例34~40、及び比較例5の抗ウイルス用組成物を調製した。
【0167】
〔実施例34~40、及び比較例5の抗ウイルス用組成物の評価〕
<ウェットワイパー形態での抗ウイルス活性の評価>
日本衛生材料工業会が定める「ウェットワイパー類の除菌性能試験方法(平成27年11月16日改定版)」を参考にして、実施例34~40、及び比較例5の抗ウイルス用組成物について、拭き取り試験を実施した。
具体的な要領としては、日本衛生材料工業会が定める「ウェットワイパー類の除菌性能試験方法(平成27年11月16日改定版)」に準じて、試験担体に、MEM(Minimum Essential Media)培地中でネコカリシウイルス(Feline calicivirus:ATCC VR-782)を培養して得たウイルス液接種し、これを乾燥後、各抗ウイルス用組成物を含浸させた試験布を巻きつけたおもりで拭き取った。次に、上記試験担体(ステンレス板)をSCDLP培地20mLに入れ、試験担体から残存したウイルスを洗い出し、検体作成用のウイルス液とした。また、抗ウイルス用組成物を含浸させた試験布に代えて、滅菌精製水を含浸させた試験布を用いた以外は上記方法と同様にして、対照検体作成用のウイルス液を得た。次に、上記検体作成用のウイルス液の0.1mLを寒天培地上で培養したCRFK細胞に接種し、37℃で1時間吸着させた。次に、CRFK細胞上の試験液を洗い流し、寒天培地を重層して2~3日間培養した。培養後、寒天培地上に形成されたプラーク数を計数し、感染価を算出し、これを「抗ウイルス用組成物の感染価」とした。また、検体作成用のウイルス液に代えて対照検体作成用のウイルス液を用いた以外は上記方法と同様にして作製した検体についても感染価を算出し、これを「対照の感染価」とした。
【0168】
式2: 抗ウイルス活性値=A-B
上記Aは、対照の感染価の常用対数値を表す。
上記Bは、抗ウイルス用組成物の感染価の常用対数値を表す。
【0169】
(評価基準)
「A」:抗ウイルス活性値が2.5以上
「B」:抗ウイルス活性値が2.0以上2.5未満
「C」:抗ウイルス活性値が2.0未満
【0170】
<拭き取りばらつきの評価>
表3に示す抗ウイルス用組成物を同一の製造ロットの抗ウイルス剤を用いてそれぞれ5ロットずつ作製し、それぞれに対して、ウェットワイパー形態での抗ウイルス活性値を評価した。なお、評価方法は、上記<ウェットワイパー形態での抗ウイルス活性の評価>に示した方法に準ずる。次いで、得られたウイルス活性値に基づき、下記評価基準により評価した。
【0171】
(評価基準)
「A」:抗ウイルス活性値の最大値と最小値の差が0.3未満
「B」:抗ウイルス活性値の最大値と最小値の差が0.3以上、0.5未満
「C」:抗ウイルス活性値の最大値と最小値の差が0.5以上
【0172】
下記表3中、「A」と「B」との体積比([B]/[A])は、C3以下のアルコールの体積/C2以下のアルコールの体積を意図する。
【0173】
【0174】
表3の結果から、アルコールとして、炭素数2以下のアルコール(例えば、エタノール、又はメタノール)と、炭素数3以上のアルコール(例えば、イソプロパノール、1-ブタノール、又は2-ペンタノール)とを併用すると、抗ネコカリシウイルス活性値が向上し、且つ、そのばらつきが小さくなることが分かった。
炭素数3以上のアルコール(イソプロパノール(CLogP値:0.0740)、1-ブタノール(CLogP値:0.823)、2-ペンタノール(CLogP値:1.13)等)は、炭素数2以下のアルコール(メタノール(CLogP値:-0.764)、エタノール(CLogP値:-0.235))よりも脂溶性が高く、界面活性機能が高いと想定される。このため、炭素数2以下のアルコール及び炭素数3以上のアルコールを併用した実施例35~40は、炭素数2以下のアルコールを単独で用いた実施例34と比較すると、アルコール類と特定化合物から水素が解離して形成されるプロトン受容体との相乗効果がより強化され、抗ウイルス活性が向上するとともに、物理的にウイルス及び汚れを除去できたと考えられる。
【0175】
[実施例41~47、及び比較例6の抗ウイルス用組成物]
〔実施例41~47、及び比較例6の抗ウイルス用組成物の調製〕
実施例1の抗ウイルス用組成物の調製方法に準じて、表4に示す成分配合及びpHにて、実施例41~47、及び比較例6の抗ウイルス用組成物を調製した。なお、添加剤の含有量は、組成物の全質量に対する含有量(質量%)である。
【0176】
〔実施例41~47、及び比較例6の抗ウイルス用組成物の評価〕
下記表4に示す抗ウイルス用組成物について、実施例34~40、及び比較例5と同様の方法によりウェットワイパー形態での抗ウイルス活性の評価、及び、拭き取りばらつきの評価を行った。
【0177】
【0178】
表4の結果から、抗ウイルス用組成物が界面活性剤を含む場合、抗ネコカリシスウイルス活性が向上し、且つ、そのばらつきも小さいことが分かった。
【0179】
[実施例48~53の抗ウイルス用組成物]
〔実施例48~53の抗ウイルス用組成物の調製〕
実施例1の抗ウイルス用組成物の調製方法に準じて、表5に示す成分配合及びpHにて、実施例48~53の抗ウイルス用組成物を調製し、実施例34~40、及び比較例5と同様の方法によりウェットワイパー形態での抗ウイルス活性の評価、及び、拭き取りばらつきの評価を行った。
【0180】
【0181】
表5の結果から、抗ウイルス用組成物が4級アンモニウム塩を含む場合、抗ネコカリシスウイルス活性が向上し、且つ、そのばらつきも小さいことが分かった。
【0182】
[実施例54~56の抗ウイルス用組成物]
〔実施例54~56の抗ウイルス用組成物の調製〕
実施例1の抗ウイルス用組成物の調製方法に準じて、表6に示す成分配合及びpHにて、実施例54~56の抗ウイルス用組成物を調製した。
【0183】
〔実施例54~56の抗ウイルス用組成物の評価〕
表6に示す抗ウイルス用組成物について、インフルエンザウイルス、及び一般細菌に対する活性評価を行った。
【0184】
<抗インフルエンザウイルス活性の評価>
MEM(Minimum Essential Media)培地中でインフルエンザウィルス(Influenza A virus(H3N2):ATCC VR-1679)を培養して得たウイルス液を、上記で作製した抗ウイルス用組成物に接種した後に、10秒間撹拌し、約25℃で1分間静置した。次に、ウイルス液接種後の抗ウイルス用組成物の0.1mLを回収し、9.9mLのSCDLP培地(Soybean-Casein Digest Broth with Lecithin & Polysorbate 80)に入れてよく混合し、試験液を得た。次に、寒天培地上で培養したMDCK細胞(犬腎尿細管上皮由来細胞、ATCC CCL-34)に、上記試験液を0.1mL接種し、34℃で1時間吸着させた。次に、MDCK細胞上の試験液を洗い流し、寒天培地を重層して2~3日間培養した。培養後、寒天培地上に形成されたプラーク数を計数し、感染価を算出し、これを「抗ウイルス用組成物の感染価」とした。また、抗ウイルス用組成物に代えて滅菌済精製水を用いた以外は上記方法と同様にして作製した検体についても感染価を算出し、これを「対照の感染価」とした。
抗ウイルス活性値の算出及び評価については、実施例1の抗ネコカリシウイルス活性の評価と同様に行った。
結果を表6に示す。
【0185】
<除菌(大腸菌・黄色ぶどう球菌)>
洗剤・石けん公正取引協議会が定める「住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法」を用いて試験を実施した。試験に用いた細菌の菌株は、大腸菌:Escherichia coli NBRC 3972、黄色ぶどう球菌:Staphylococcus aureus NBRC 12732とした。抗菌活性値の算出及び評価については、実施例1の抗ネコカリシウイルス活性の評価と同様に行った。
結果を表6に示す。
【0186】
【0187】
表6の結果から、本発明の抗ウイルス用組成物はインフルエンザウイルス及び細菌に対しても優れた抗菌活性を示すことが分かった。