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特許7022336ボーリングコア試料の破断装置、及び、ボーリングコア試料の破断方法
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  • 特許-ボーリングコア試料の破断装置、及び、ボーリングコア試料の破断方法 図1
  • 特許-ボーリングコア試料の破断装置、及び、ボーリングコア試料の破断方法 図2
  • 特許-ボーリングコア試料の破断装置、及び、ボーリングコア試料の破断方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ボーリングコア試料の破断装置、及び、ボーリングコア試料の破断方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/08 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
G01N1/08 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018096910
(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2019203702
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】西角 楽
(72)【発明者】
【氏名】久米田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】有村 辰雄
(72)【発明者】
【氏名】大野 道治
(72)【発明者】
【氏名】園田 則秋
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-222685(JP,A)
【文献】特開2006-133169(JP,A)
【文献】実開昭58-039810(JP,U)
【文献】特開2014-238401(JP,A)
【文献】特開2000-111459(JP,A)
【文献】米国特許第4534225(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け皿と、
該受け皿の表面に形成されている支持部と、
鏨状の破断具と、
チューブ型カバーと、を備え、
前記チューブ型カバーは、中空円筒形状の弾性部材からなる、
ボーリングコア試料の破断装置。
【請求項2】
前記支持部は、円柱形状のボーリングコア試料を、該ボーリングコア試料の2箇所の母線を挟持して支持することができる一対の棒状の鋼材である、
請求項1に記載のボーリングコア試料の破断装置。
【請求項3】
受け皿と、
該受け皿の表面に形成されている支持部と、
鏨状の破断具と、
を備える破断装置を用いて行う、ボーリングコア試料の破断方法であって、
前記ボーリングコア試料を中空円筒形状の弾性部材からなるチューブ型カバーに挿入する工程と、
前記破断具を、前記チューブ型カバーの上から、前記ボーリングコア試料の中心軸に向けて押しつける工程と、を含んでなる、
ボーリングコア試料の破断方法。
【請求項4】
前記ボーリングコア試料が、モース硬度が7以上の鉱石を含有するボーリングコアから採取されたものである、請求項3に記載のボーリングコア試料の破断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボーリングコア試料の破断装置、及び、ボーリングコア試料の破断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
岩石や土砂によって構成されている地下の構造を調査するために、ボーリング調査が広く行われている(特許文献1参照)。特に、各種の鉱山におけるボーリング調査では、鉱脈の位置を特定するために採取したボーリングコアの分析作業を行い、目的金属の鉱山内での分布や鉱石の品位に係るデータを収集している。
【0003】
このようなボーリング調査においては、円筒形の切削ビットによってボーリング孔が掘削され、円柱形状のボーリングコアが採取される(特許文献2参照)。このボーリング孔の長さは、長い場合には数百mにも達する場合があり、この場合、膨大な数のボーリングコアが採取されることとなる。
【0004】
このようにして採取されたボーリングコアは、上述の分析に付されるまでの間、通常、0.1m~1m程度の長さの円柱形状の試料として保管される。本明細書においては、この程度のサイズに分割されているボーリングコアであって、上記の分析作業に付される試料のことを「ボーリングコア試料」と称する。後の分析作業の精度を十分に担保するためには、保管される多数のボーリングコア試料について、各試料のボーリング孔内での採取位置や方向に関する情報、及び、各ボーリングコア試料内におけるコア構成物の分散や配置の状況が正確に把握された状態で保管する必要がある。
【0005】
上述した鉱山におけるボーリング調査では、鉱床を含む地盤から採取したボーリングコア試料の分析作業を行う際、円柱形状のボーリングコア試料を、その中心軸に略平行な面において破断して、大凡二分割された破断片の一方を保管用試料とし、残りの一方を分析用試料として分析作業に付することが広く行われている。円柱形状のボーリングコア試料を、上記態様で破断して得ることができる分析用試料を分析作業に付すことにより、ボーリング孔の深さ方向毎の分析値を正確に得ることができるからである。
【0006】
ここで、従来、ボーリングコア試料を破断する方法としては、楔状の先端部を有する破断具等をボーリングコア試料に押しつける方法が広く行われている(特許文献3参照)。ところが、ボーリングコア試料の破断を、破断具の押圧によって行う場合、破断対象のボーリングコア試料を形成する鉱石等の硬度や、或いはその石目の状態によっては、ボーリングコア試料が、必ずしも、中心軸に沿って望ましい状態で分割されるとは限らず、全体が不規則に圧潰されて多数の細かな破断片が飛散して散逸してしまう場合もあった。このような破断片の飛散は危険を伴うのみならず、各破断片が元のボーリングコア試料内でどの位置にあったものなのかということが不明となってしまい、分析作業の精度維持に重大な支障をきたすこととなる。
【0007】
この問題に対して、例えば、ダイヤモンドカッター等の高硬度の物質に対応したタイプの切断装置を使用すれば、ボーリングコア試料の飛散を防止しながら、その中心軸に沿って正確に切断することは可能である。しかしながら、ボーリングコア試料の破断においては、そのような高精度の破断は要求されておらず、そのような高価な破断装置の導入は、費用増加のデメリットが導入による破断精度向上のメリットを上回ってしまうことが明白であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-52960号公報
【文献】特開平10-61365号公報
【文献】特開2009-222685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みて考案されたものであり、ボーリングコア試料を破断する際に、その破断片の飛散を回避することにより、ボーリングコア試料の分析のための破断作業の安全性と分析データの精度維持に寄与することができる手段、具体的には、そのような効果を享受することが可能な、ボーリングコア試料の破断装置及び破断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、円柱形状のボーリングコア試料を、中空円筒形状の弾性部材からなるチューブ型カバーに挿入した状態で、破断作業を行うことにより、上記課題解決ができることを見出し、本発明を完成した。本発明は、具体的には、以下のものを提供する。
【0011】
(1) 受け皿と、該受け皿の表面に形成されている支持部と、鏨状の破断具と、チューブ型カバーと、を備え、前記チューブ型カバーは、中空円筒形状の弾性部材からなる、ボーリングコア試料の破断装置。
【0012】
(1)の発明においては、円柱形状のボーリングコア試料を破断具の押圧によって破断するための装置を、破断対象のボーリングコア試料を、中空円筒形状の弾性部材からなるチューブ型カバーに挿入した状態で破断することができる装置とした。仮に、ボーリングコア試料をこのようなチューブ型カバーには挿入せずに、上記の破断具による破断を行った場合には、微細な破断片が作業域周辺に散逸してしまう可能性を排除しえない。これに対して、(1)の装置を導入することにより、たとえ、ボーリングコア試料が破断時に圧壊して多数の細片となってしまった場合であっても、それらをチューブ型カバー内に保持して破断片の飛散により散逸を回避して、ボーリングコア試料の分析のための破断作業の安全性と分析データの要求精度を維持することができる。
【0013】
(2) 前記支持部は、円柱形状のボーリングコア試料を、該ボーリングコア試料の2箇所の母線を挟持して支持することができる一対の棒状の鋼材である、(1)に記載のボーリングコア試料の破断装置。
【0014】
(2)の発明においては、破断時に円柱形状のボーリングコア試料を支持する支持部を、破断対象とする円柱形状のボーリングコア試料の一対の母線に沿って支持する構造とした。これによれば、ボーリングコア試料の中心軸に向けた鉛直下方への破断具の押圧による破断力を、より効率よく、ボーリングコア試料に伝えて、圧壊によるボーリングコア試料の破断片の細分化を抑制することができる。よって、(1)の奏しうる破断片の飛散を回避する上記効果を、より高い確度で享受することができる。
【0015】
(3) 受け皿と、該受け皿の表面に形成されている支持部と、鏨状の破断具と、を備える破断装置を用いて行う、ボーリングコア試料の破断方法であって、前記ボーリングコア試料を中空円筒形状の弾性部材からなるチューブ型カバーに挿入する工程と、前記破断具を、前記ボーリングコア試料の母線方向に合せて、前記チューブ型カバーの上から押しつける工程と、を含んでなる、ボーリングコア試料の破断方法。
【0016】
(3)の発明においては、円柱形状のボーリングコア試料を破断具の押圧によって破断する方法において、破断対象のボーリングコア試料を、中空円筒形状の弾性部材からなるチューブ型カバーに挿入した状態で破断する方法とした。これによれば、ボーリングコア試料が破断時に圧壊して多数の細片となってしまった場合であっても、それらをチューブ型カバー内に保持して破断片の飛散により散逸を回避して、ボーリングコア試料の分析のための破断作業の安全性と分析データの要求精度を維持することができる。
【0017】
(4) 前記ボーリングコア試料が、モース硬度が7以上の鉱石を含有するボーリングコアから採取されたものである、(3)に記載のボーリングコア試料の破断方法。
【0018】
(4)の発明によれば、(3)に記載のボーリングコア試料の破断方法を、例えば、石英(モース硬度7)のような、高硬度の鉱物を含む試料に適用するものとした。このようなボーリングコア試料は、押圧によるコアの2分割は、極めて困難で、破断時には、圧壊によってボーリングコア試料が細分化してしまう可能性が高い。しかしながら、そのような試料が破断対象物である場合であっても、破断片の飛散を確実に回避することができるため、(4)の発明は、そのような高硬度の鉱物を含むボーリングコア試料の破断への適用時に、特に有用な破断方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ボーリングコア試料を破断する際に、その破断片の飛散を回避することにより、ボーリングコア試料の分析のための破断作業の安全性と分析データの精度維持に寄与することができる手段、具体的には、そのような効果を享受することが可能な、ボーリングコア試料の破断装置及び破断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のボーリングコア試料の破断装置の全体構成の説明に供する斜視図である。
図2】本発明のボーリングコア試料の破断装置の使用方法の説明に供する図面であり、受け皿に作業対象のボーリングコア試料が設置されている状態を表す斜視図である。
図3】本発明のボーリングコア試料の破断方法の実施態様の説明に供する図面であり、図2の状態をボーリングコア試料の上面側から視た図面である。
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<ボーリングコア試料の破断装置>
本発明のボーリングコア試料の破断装置100は、図1に示す通り、その表面に円塔形状のボーリングコア試料4を安定的に支持することができる支持部12が形成されている受け皿1と、チューブ型カバー2と、鏨状の破断具3と、を少なくとも備えて構成される破断装置である。
【0023】
又、この破断装置100は、図2に示すように、破断対象とする円柱形状のボーリングコア試料4を、チューブ型カバー2に挿入した状態で、受け皿1の表面の支持部12に載置し、その状態において、図3に示すように、鏨状の破断具3を、チューブ型カバー2の上面から、ボーリングコア試料4に対して押しつけ、この破断具3の押圧により、ボーリングコア試料4を破断して所望の態様にて分割する装置である。
【0024】
そして、ボーリングコア試料4への破断具3の押圧は、梃子の原理や万力の機構を利用したもの等手動操作によるものも含め、いかなる機構で行うものであってもよい。例えば、油圧プレス装置で破断具3を破断対象物に向けて下降させる機構を、破断具3による押圧を行うための好ましい機構の一例として挙げることができる。又、このような機構による油圧プレス装置においては、更には、油圧計を備えることにより、ボーリングコア試料4が、実際に破断する際の凡その圧力を把握することができるようになり、下降操作の過程で経時的に圧力を最適化することにより、作業効率及び安全性の面でより優れた破断装置とすることができる。
【0025】
尚、ボーリングコア試料の破断装置100全体を覆う態様で、破断作業空間の全体を透明なビニールシート等で遮蔽することにより、破断作業の空間外への微細な砕片の万一の飛散をも防ぐことができるため、これにより、安全性について更に万全が期された破断装置を構成することができる。
【0026】
[受け皿]
受け皿1は、ボーリングコア試料4を載置することを想定する側の面(試料載置面)に、円柱形状のボーリングコア試料4を、破断具3からの圧力がかかった際に、破断に至るまでの間、安定的に支持することができる構造からなる支持部12が形成されているものであればよい。又、採取されたボーリングコア試料4の破断片を、受け皿1内に、それらが散逸しないように一時的に保持するために、受け皿1は、試料載置面の長手方向の両側端から、或いは、同面の全ての側端から立ち上がる側壁11を有するものであることが好ましい。例えば、図1図3に示すような、試料載置面の長手方向の両側端に側壁11を有する受け皿1は、所望のサイズの断面コの字型の鋼材により構成することができる。
【0027】
受け皿1のサイズは特に限定されない。その長手方向のサイズは、破断対象とするボーリングコア試料4の長さに合わせて設計すればよい。一方、その短手方向のサイズについても、同様に破断対象とするボーリングコア試料4の直径に合わせ、設計すればよい。尚、通常、鉱山のボーリング工事で採取するボーリングコア試料の長さは、0.1m~1m程度であり、その直径は、30mm~70mm程度である。
【0028】
[支持部]
支持部12は、受け皿1の試料載置面において、円柱形状のボーリングコア試料4を、安定的に支持できるものであればよく、特定の形状や配置に限定されない。ここで「ボーリングコア試料4の安定的な支持」とは、具体的には、ボーリングコア試料4をチューブ型カバー2に挿入した状態で載置して、これに破断具3を当該試料が破断可能となる圧力で押しつけたときに、ボーリングコア試料4の破断が完了するまで、当該ボーリングコア試料4の位置を一定の位置に保持し続けることができる支持態様のことを意味する。支持部12は、そのような機能的要件を満たすものであれば、特定の形状や構造には限定されない。
【0029】
但し、支持部12は、図3に示すように、円柱形状のボーリングコア試料4を、その2箇所の母線を挟持して安定的に支持することができる一対の棒状の鋼材であることが好ましく、円柱形状の鋼材からなるものであることがより好ましい。この棒状の鋼材からなる支持部12は、円柱形状のボーリングコア試料4を、その一対の母線に沿って支持することができる。そして、破断対象とするボーリングコア試料4の直径に応じて、一対の棒状の鋼材の配置間隔を最適化することにより、図3に示すように、一対の支持部12のボーリングコア試料4の母線への線接触のみで、尚且つ、ボーリングコア試料4の側面最下部が受け皿1の試料載置面から離間した状態で、ボーリングコア試料4を安定的に支持することができる。このような支持構造によれば、ボーリングコア試料4の中心軸に向けた鉛直下方への破断具3の押圧による破断力を、より効率よく、ボーリングコア試料4に伝えることができる。
【0030】
[破断具]
破断具3は、従来、鉱石等の破断に用いられている各種の鏨状の破断具を特に限定なく用いることができる。破断具3の先端の刃部の材料は、破断対象のボーリングコア試料、或いは、その含有鉱物の硬度に応じて適宜選択すればよい。例えば、破断具3の刃部を銑鉄からなるものとすることにより、石英等の高硬度の鉱石を含んでなるボーリングコア試料4の破断にも本発明を十分に好ましい態様で適用することができる。尚、この刃部の刃渡りについては、破断対象とするボーリングコア試料4の母線の長さ以上の長さであることが好ましい。そしてこの程度の長さの刃部をボーリングコア試料4の母線に合わせて当接させ、中心軸に向けて適切な圧力をかけることで、ボーリングコア試料を、概ね、中心軸に平行な面において破断することができる。
【0031】
[チューブ型カバー]
チューブ型カバー2は、ボーリングコア試料4を挿入可能な中空円筒形状の弾性部材からなるものであればよい。円筒形状のチューブ型カバー2の長さは、少なくとも、破断対象とするボーリングコア試料の長さに応じて、その側面全体を被覆することができる長さ以上の長さであり、且つ、当該ボーリングコア試料よりも各5~15cm程度大きな長さ以下の長さであることが好ましい。例えば、ボーリングコア試料の長さが30cm程度であれば、チューブ型カバー2の長さは概ね40cm程度であることが好ましい。チューブ型カバー2の長さを、この程度の長さとすることにより、ボーリングコア試料4の挿入の容易性を維持しつつ、破断片の飛散をより確実に防止することができる。又、中空のチューブ型カバー2の径は、その内径が破断対象とするボーリングコア試料4の外径と概ね等しいか、これよりも僅かに小さいものであることが好ましい。チューブ型カバー2の径を、このような径とすることにより、ボーリングコア試料4の挿入の容易性を維持しつつ、尚且つ、破断作業時におけるボーリングコア試料の位置安定性をより高めることができる。
【0032】
図2に示す通り、チューブ型カバー2には、その側面の最上部近傍の一の母線に沿って、当該母線の両端部近傍域を除いた部分にスリット21が形成されていることが好ましい。スリット21が形成されていることにより、ボーリングコア試料4の挿入、或いは、その破断片の取り出し作業が容易となる。又、スリット21を貫通した破断具の刃部が、ボーリングコア試料4の側面に直接触れる形で破断が開始されることとなり一定の押圧に対する破断力をより高めることができる。
【0033】
尚、チューブ型カバー2の材料としては、例えば、汎用品として入手容易な各種のゴム製のホースを適当なサイズに切断加工したものを用いることができる。
【0034】
<ボーリングコア試料の破断方法>
本発明のボーリングコア試料の破断方法は、ボーリングコア試料4をチューブ型カバー2に挿入する工程と、破断具3を、ボーリングコア試料4の中心軸に向けて押しつける工程とを、順次行う方法である。この、破断方法は、上記において詳細を説明した破断装置100を用いて好ましく行うことができる。又、この破断方法は、例えば、上述のようなゴムホースの加工により適切なサイズのチューブ型カバーのみを新たに用意することにより、ボーリングコア試料を安定的に支持することができる受け皿と、鏨状の破断具とを少なくとも備える、既存の破断装置においても、ごく少ない追加コスト負担の範囲内で、実施することができる。
【0035】
[ボーリングコア試料をチューブ型カバーに挿入する工程]
本発明の製造方法は、ボーリングコア試料の破断作業に先行して、予めチューブ型カバーに挿入する工程を経ることを特徴とする。
【0036】
[破断具をボーリングコア試料の中心軸に向けて押しつける工程]
チューブ型カバーに挿入された状態のボーリングコア試料を受け皿の支持部に載置し、この状態で、破断具を下降させて適切な圧力をかけることにより、円柱形状のボーリングコア試料をその中心軸に略平行な面で破断する。
【0037】
コアの破断後、大凡2分割された各破断片の一方を保管用試料とし、残りの一方を分析用試料として分析作業に付する。保管用試料とする破断片は、各破断片同士の位置関係を保持したままの状態で収納箱に保管する。
【0038】
又、本発明のボーリングコア試料の破断方法は、例えば、各種の鉱山におけるボーリング調査において得られる、石英等、モース硬度が7以上の鉱石を含有する高硬度のボーリングコアが破断対象である場合に、従来方法による場合に問題となっていた試料の圧壊に伴う散逸リスクを確実に回避することができるという点において、とりわけ有利な効果を発揮するものである。
【符号の説明】
【0039】
1 受け皿
11 側壁
12 支持部
2 チューブ型カバー
21 スリット
3 破断具
4 ボーリングコア試料
100 破断装置
図1
図2
図3