(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】搬送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/20 20060101AFI20220210BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20220210BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20220210BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20220210BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
B65H9/20
B65H9/00 H
B65H9/00 J
B65H7/14
B65H5/06 F
G03G15/00 450
(21)【出願番号】P 2017236344
(22)【出願日】2017-12-08
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2017113181
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017002601
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】松本 到
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-108152(JP,A)
【文献】特開2014-058369(JP,A)
【文献】特開平11-165916(JP,A)
【文献】特開2008-230823(JP,A)
【文献】特開2008-100846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/20
B65H 9/00
B65H 7/14
B65H 5/06
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路においてシートを搬送する搬送装置であって、
駆動手段によって回転駆動されて、シートを挟持した状態で搬送する挟持ローラ対と、
前記搬送経路において搬送されるシートの先端部を突き当てるゲート手段と、
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の上流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第1検知手段と、
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の下流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第2検知手段と、
を備え、
シートの先端部を前記ゲート手段に突き当てた後に、前記第1検知手段の検知結果に基いて当該シートを挟持した状態で前記挟持ローラ対を幅方向に移動させて当該シートの位置を補正する第1の補正がおこなわれ、
前記第1の補正後に、当該シートを前記挟持ローラ対によって搬送しながら前記第1検知手段と第2検知手段とによって当該シートの位置を検知して、その検知結果に基いて前記挟持ローラ対を幅方向
及び回転方向に移動させて当該シートの位置を補正する第2の補正がおこな
われ、
前記ゲート手段は、前記挟持ローラ対であって、
前記挟持ローラ対は、前記駆動手段による回転駆動が停止された状態で当該挟持ローラ対に向けて搬送されたシートの先端部を突き当てて当該シートの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記第1検知手段によって当該シートの幅方向の位置ズレ量を検知して、その後に前記第1検知手段の検知結果に基いて当該シートの幅方向の位置ズレ量を補正するように当該シートを挟持した状態で搬送しながら基準位置から補正位置に幅方向に移動し、
前記挟持ローラ対によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートの幅方向及び回転方向の位置ズレ量が前記挟持ローラ対によって挟持された状態で搬送されながら前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって連続的に検知されて、その検知結果に基いてフィードバック制御によって当該シートの幅方向及び回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記挟持ローラ対が幅方向及び回転方向に前記補正位置から移動することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送経路においてシートを搬送する搬送装置であって、
駆動手段によって回転駆動されて、シートを挟持した状態で搬送する挟持ローラ対と、
前記搬送経路において搬送されるシートの先端部を突き当てるゲート手段と、
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の上流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第1検知手段と、
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の下流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段又は/及び前記第2検知手段の検知結果に基いて前記挟持ローラ対の動作を制御する制御部と、
を備え、
シートの先端部が前記ゲート手段に突き当てられて、当該シートが前記挟持ローラ対に挟持された後に、
前記制御部は、
前記第1検知手段の検知結果に基いて前記挟持ローラ対を幅方向に移動させて、
当該シートを前記挟持ローラ対によって搬送させながら前記第1検知手段と第2検知手段との検知結果に基いて前記挟持ローラ対を幅方向
及び回転方向に移動
させ、
前記ゲート手段は、前記挟持ローラ対であって、
前記挟持ローラ対は、前記駆動手段による回転駆動が停止された状態で当該挟持ローラ対に向けて搬送されたシートの先端部を突き当てて当該シートの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記第1検知手段によって当該シートの幅方向の位置ズレ量を検知して、その後に前記第1検知手段の検知結果に基いて当該シートの幅方向の位置ズレ量を補正するように当該シートを挟持した状態で搬送しながら基準位置から補正位置に幅方向に移動し、
前記挟持ローラ対によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートの幅方向及び回転方向の位置ズレ量が前記挟持ローラ対によって挟持された状態で搬送されながら前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって連続的に検知されて、その検知結果に基いてフィードバック制御によって当該シートの幅方向及び回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記挟持ローラ対が幅方向及び回転方向に前記補正位置から移動することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
搬送経路においてシートを搬送する搬送装置であって、
駆動手段によって回転駆動されて、シートを挟持した状態で搬送する挟持ローラ対と、
前記搬送経路において搬送されるシートの先端部を突き当てるゲート手段と、
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の上流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第1検知手段と、
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の下流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第2検知手段と、
を備え、
シートの先端部を前記ゲート手段に突き当てた後に、前記第1検知手段の検知結果に基いて当該シートを挟持した状態で前記挟持ローラ対を幅方向に移動させて当該シートの位置を補正する第1の補正がおこなわれ、
前記第1の補正後に、当該シートを前記挟持ローラ対によって搬送しながら前記第1検知手段と第2検知手段とによって当該シートの位置を検知して、その検知結果に基いて前記挟持ローラ対を幅方向及び回転方向に移動させて当該シートの位置を補正する第2の補正がおこなわれ、
前記ゲート手段は、前記挟持ローラ対の駆動ローラとともに回転可能に形成された突当部材であって、
前記挟持ローラ対は、前記駆動手段による回転駆動が停止された状態で当該挟持ローラ対に向けて搬送されたシートの先端部を前記突当部材に突き当てて当該シートの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記第1検知手段によって当該シートの幅方向の位置ズレ量を検知して、その後に前記第1検知手段の検知結果に基いて当該シートの幅方向の位置ズレ量を補正するように当該シートを挟持した状態で搬送しながら基準位置から補正位置に幅方向に移動し、
前記挟持ローラ対によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートの幅方向及び回転方向の位置ズレ量が前記挟持ローラ対によって挟持された状態で搬送されながら前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって連続的に検知されて、その検知結果に基いてフィードバック制御によって当該シートの幅方向及び回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記挟持ローラ対が幅方向及び回転方向に前記補正位置から移動することを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
搬送経路においてシートを搬送する搬送装置であって、
駆動手段によって回転駆動されて、シートを挟持した状態で搬送する挟持ローラ対と、
前記搬送経路において搬送されるシートの先端部を突き当てるゲート手段と、
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の上流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第1検知手段と、
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の下流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段又は/及び前記第2検知手段の検知結果に基いて前記挟持ローラ対の動作を制御する制御部と、
を備え、
シートの先端部が前記ゲート手段に突き当てられて、当該シートが前記挟持ローラ対に挟持された後に、
前記制御部は、
前記第1検知手段の検知結果に基いて前記挟持ローラ対を幅方向に移動させて、
当該シートを前記挟持ローラ対によって搬送させながら前記第1検知手段と第2検知手段との検知結果に基いて前記挟持ローラ対を幅方向及び回転方向に移動させ、
前記ゲート手段は、前記挟持ローラ対の駆動ローラとともに回転可能に形成された突当部材であって、
前記挟持ローラ対は、前記駆動手段による回転駆動が停止された状態で当該挟持ローラ対に向けて搬送されたシートの先端部を前記突当部材に突き当てて当該シートの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記第1検知手段によって当該シートの幅方向の位置ズレ量を検知して、その後に前記第1検知手段の検知結果に基いて当該シートの幅方向の位置ズレ量を補正するように当該シートを挟持した状態で搬送しながら基準位置から補正位置に幅方向に移動し、
前記挟持ローラ対によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートの幅方向
及び回転方向の位置ズレ量が前記挟持ローラ対によって挟持された状態で搬送されながら前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって連続的に検知されて、その検知結果に基いてフィードバック制御によって当該シートの幅方向
及び回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記挟持ローラ対が幅方向
及び回転方向に前記補正位置から移動することを
特徴とする搬送装置。
【請求項5】
前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の下流側に配設されて、シートを搬送する下流側搬送ローラを備え、
前記第1検知手段は、幅方向に並設された複数のフォトセンサからなる第1CISであって、
前記第2検知手段は、前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の下流側であって、前記下流側搬送ローラに対して前記搬送経路の上流側に配設されて、幅方向に並設された複数のフォトセンサからなる第2CISであることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1CISと第2CISとの検知結果に基いて前記挟持ローラ対を幅方向及び回転方向に移動させるときに、
前記第1CISによって検知されたシートの幅方向の位置ズレ量と、前記第2CISによって検知された当該シートの幅方向の位置ズレ量と、の平均値に基いて、当該シートの幅方向の位置ズレ量を検知して、
前記第1CISによって検知された当該シートの幅方向の位置ズレ量と、前記第2CISによって検知された当該シートの幅方向の位置ズレ量と、の差を、前記第1CISと前記第2CISとの搬送方向の離間距離で除した値に基いて、当該シートの回転方向の位置ズレ量を検知することを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記挟持ローラ対は、シートを画像形成部に向けてタイミングを合わせて搬送するレジストローラであって、
前記下流側搬送ローラは、前記画像形成部において像担持体に当接する転写ローラであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記ゲート手段は、
駆動ローラと従動ローラとによってシートを挟持・搬送するためのニップ部が形成された搬送ローラ対であって、
回転駆動が停止された状態で当該搬送ローラ対に向けて搬送されたシートの先端部を、前記ニップ部、又は、前記駆動ローラとともに回転可能に形成された突当部材、に突き当てて当該シートの回転方向の位置ズレ量を補正することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項9】
前記ゲート手段に対して前記搬送経路の上流側に配設されて、前記ゲート手段に突き当たったシートが搬送方向に撓むように当該シートをガイドする搬送ガイド板と、
前記挟持ローラ対の幅方向及び回転方向の移動量を検知する移動量検知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかに記載の搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートを搬送する搬送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機やオフセット印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、搬送経路においてシートの回転方向の位置ズレ(斜行)を補正した後に、シートの幅方向(搬送方向に直交する方向である。)の位置(以後、適宜に「横レジスト」と呼ぶ。)のズレを正規の位置に補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1において、複数の搬送ローラ対によって搬送経路を搬送されたシートは、ストッパに突き当たって斜行補正(スキュー補正)がされる。そして、その後に、ストッパに当接した状態のシートは、ストッパの上流側に配設された横レジストローラ対(挟持ローラ対)によって挟持された状態で、幅方向に移動して横レジストが補正されることになる。その後、横レジストが補正されたシートは、横レジストローラ対によって画像形成部に向けて挟持・搬送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術は、斜行補正と横レジスト補正とがされた後のシートが、挟持ローラ対(横レジストローラ対)によって挟持・搬送されているときに、僅かではあるものの回転方向や幅方向に再び位置ズレしてしまう可能性があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、斜行補正と横レジスト補正とがされた後のシートが、回転方向や幅方向に再び位置ズレしてしまうことがなく、シートの斜行補正と横レジスト補正とがさらに高精度におこなわれる、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における搬送装置は、搬送経路においてシートを搬送する搬送装置であって、駆動手段によって回転駆動されて、シートを挟持した状態で搬送する挟持ローラ対と、前記搬送経路において搬送されるシートの先端部を突き当てるゲート手段と、前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の上流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第1検知手段と、前記挟持ローラ対に対して前記搬送経路の下流側に配設されて、前記搬送経路において搬送されるシートの位置を検知する第2検知手段と、を備え、シートの先端部を前記ゲート手段に突き当てた後に、前記第1検知手段の検知結果に基いて当該シートを挟持した状態で前記挟持ローラ対を幅方向に移動させて当該シートの位置を補正する第1の補正がおこなわれ、前記第1の補正後に、当該シートを前記挟持ローラ対によって搬送しながら前記第1検知手段と第2検知手段とによって当該シートの位置を検知して、その検知結果に基いて前記挟持ローラ対を幅方向及び回転方向に移動させて当該シートの位置を補正する第2の補正がおこなわれ、前記ゲート手段は、前記挟持ローラ対であって、前記挟持ローラ対は、前記駆動手段による回転駆動が停止された状態で当該挟持ローラ対に向けて搬送されたシートの先端部を突き当てて当該シートの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記第1検知手段によって当該シートの幅方向の位置ズレ量を検知して、その後に前記第1検知手段の検知結果に基いて当該シートの幅方向の位置ズレ量を補正するように当該シートを挟持した状態で搬送しながら基準位置から補正位置に幅方向に移動し、前記挟持ローラ対によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートの幅方向及び回転方向の位置ズレ量が前記挟持ローラ対によって挟持された状態で搬送されながら前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって連続的に検知されて、その検知結果に基いてフィードバック制御によって当該シートの幅方向及び回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、当該シートを挟持した状態で搬送しながら前記挟持ローラ対が幅方向及び回転方向に前記補正位置から移動するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、斜行補正と横レジスト補正とがされた後のシートが、回転方向や幅方向に再び位置ズレしてしまうことがなく、シートの斜行補正と横レジスト補正とがさらに高精度におこなわれる、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図6】
図5に続く搬送装置の動作を示す概略図である。
【
図7】2つのCISと、幅方向と回転方向とに位置ズレしたシートと、を示す概略図である。
【
図8】この発明の実施の形態2における搬送装置に設置される挟持ローラ対の、(A)全体を示す斜視図と、(B)ローラ部を示す拡大斜視図と、である。
【
図9】
図8の挟持ローラ対が設置された搬送装置の動作を示す概略図である。
【
図10】
図9に続く搬送装置の動作を示す概略図である。
【
図11】この発明の実施の形態3における搬送装置の動作を示す概略図である。
【
図13】この発明の実施の形態4における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図14】この発明の実施の形態5における画像形成装置を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
<実施の形態1>
図1~
図7にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、
図1にて、画像形成装置における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は像担持体としての感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写部としての転写ローラ、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12~14は用紙等のシートP(記録媒体)が収納された給紙部(給紙カセット)、20はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、30はシートPを搬送経路に沿って搬送する搬送装置、31は転写ローラ7(画像形成部)に向けてシートPを搬送するレジストローラ(タイミングローラ)として機能する挟持ローラ対(横レジスト・斜行補正ローラ)、を示す。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置1における、通常の画像形成時(片面プリントモード時)の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいた露光光L(レーザ光)が、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0012】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5の表面に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5の表面に形成された画像は、転写ローラ7と感光体ドラム5とが当接する画像形成部(転写ニップ)で、レジストローラとして機能する挟持ローラ対31により搬送されたシートP上に転写される。
【0013】
一方、
図1及び
図2を参照して、転写ローラ7の位置(画像形成部)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12~14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、装置本体1に内設された給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納されたシートPの最上方の1枚が、給紙ローラ40によって、第1搬送ローラ対41、第2搬送ローラ対42、第3搬送ローラ対43が設置された湾曲搬送経路に向けて給送される。
【0014】
その後、シートPは、湾曲搬送経路から合流部X(装置本体1の外部に設置された2つの給紙部13、14からの搬送経路が合流する部分である。)の位置を通過した後に、第4搬送ローラ対44(上流側搬送ローラ対)、整合部51が設置された直線搬送経路を通過して、整合部51を構成する挟持ローラ対31の位置に達する。そして、整合部51を構成する挟持ローラ対31によって、斜行補正と横レジスト補正とがおこなわれて、さらに感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて転写ローラ7の位置(画像形成部)に向けて搬送される。
【0015】
そして、転写工程後のシートPは、転写ローラ7(転写部)の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着されたシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0016】
なお、シートPの両面(オモテ面とウラ面とである。)へのプリントをおこなう「両面プリントモード」が選択されている場合には、オモテ面への定着工程が終了したシートPは、上述した「片面プリントモード」が選択されているときのようにそのまま排紙されることなく、
図1にて破線で示す両面搬送経路に導かれて、その搬送方向が反転された後に、再び転写ローラ7(転写部)の位置に向けて搬送される。そして、転写部の位置で先に説明したものと同様の画像形成プロセス(画像形成動作)によってシートPのウラ面への画像形成がおこなわれ、その後に定着装置20での定着工程を経て、画像形成装置本体1から排出される。
【0017】
ここで、
図2を参照して、本実施の形態1における画像形成装置1は、3つの給紙部12~14からシートPを転写ローラ7の位置(画像形成部)に向けて給送できるように構成されている。
また、搬送装置30に設置された搬送ローラ対41~44(符号を付していない搬送ローラ対も含む。)は、いずれも、駆動ローラ(駆動機構によって回転駆動されるローラである。)と従動ローラ(駆動ローラとの摩擦抵抗によって従動回転するローラである。)とからなるローラ対であって、シートPを2つのローラで挟持しながら搬送できるように構成されている。また、転写ローラ7は、所定の転写バイアスが印可された状態で、画像形成部(転写ニップ)において像担持体としての感光体ドラム5に当接して、図中の反時計方向に回転して感光体ドラム5との間に挟持されたシートPを搬送しながら、感光体ドラム5に担持された画像をシートPに転写することになる。
【0018】
ここで、第1の給紙部12からの搬送経路と、第2、第3の給紙部13、14からの搬送経路と、が合流する合流部Xから、転写ローラ7の位置(画像形成部)までの搬送経路として、シートPの搬送方向に沿って略直線状に形成された直線搬送経路が設けられている。この直線搬送経路は、主として直線搬送ガイド板(搬送されるシートPの表裏面を挟むように搬送経路に対して略平行に設置されている。)によって形成されていて、搬送方向に沿って第4搬送ローラ対44(上流側搬送ローラ対)、第1CIS36、傾斜搬送ガイド板35(搬送ガイド板)、挟持ローラ対31(整合部51)、第2CIS37、が設置されている。第4搬送ローラ対44と挟持ローラ対31とは、いずれも、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対であって、シートPを2つのローラで挟持しながら搬送することになる。そして、挟持ローラ対31は、斜行補正(搬送方向に対して回転方向の位置ズレに対する補正である。)と横レジスト補正(幅方向の位置ズレに対する補正である。)との整合動作をおこなうための整合部51としても機能することになるが、これについては後で詳しく説明する。
【0019】
次に、
図2~
図7を用いて、本実施の形態1において特徴的な搬送装置30について詳述する。
以下、主として、合流部Xから転写ローラ7(画像形成部)に至る搬送経路における構成やそこでおこなわれる動作について説明する。
図2及び
図3を参照して、搬送装置30には、シートPの直線搬送経路(合流部Xから転写ローラ7に至る搬送経路である。)に沿って、第4搬送ローラ対44(上流側搬送ローラ対)、第1検知手段として機能する第1CIS36、傾斜搬送ガイド板35(搬送ガイド板)、整合部51として機能するとともにレジストローラとしても機能する挟持ローラ対31、第2検知手段として機能する第2CIS37、が設置されている。第1CIS36と第2CIS37とは、いずれも、幅方向(
図2の紙面垂直方向で合って、
図3の上下方向である。)に並設された複数のフォトセンサからなるコンタクト・イメージ・センサであって、その位置を通過するシートPの側端部(エッジ部)を光学的に検知するものである。
【0020】
ここで、挟持ローラ対31は、幅方向に複数分割されたローラ部を有する搬送ローラ対であって、駆動手段(第1駆動手段)としての第1駆動モータ61(
図4を参照できる。)によって回転駆動される駆動ローラ31aと、駆動ローラ31aの回転に従動して回転する従動ローラ31bと、で構成されている。駆動ローラ31aと従動ローラ31bとによってシートPを挟持・搬送するためのニップ部が形成される。すなわち、挟持ローラ対31は、シートPを挟持した状態で回転することによってシートPを搬送可能に形成されている。
なお、本実施の形態1では、挟持ローラ対31として、幅方向に複数分割されたローラ部を有するローラ対を用いたが、幅方向に分割されずに幅方向にわたって延在するローラ部を有するローラ対を用いることもできる。
【0021】
また、挟持ローラ対31は、シートPの搬送面内における回転方向に回動(
図3の破線両矢印W方向の回動である。)できるように形成されるとともに、幅方向(
図3の破線矢印S方向である。)に移動できるように形成されている。
【0022】
詳しくは、
図4を参照して、挟持ローラ対31(駆動ローラ31a及び従動ローラ31b)は、駆動手段(第1駆動手段)としての第1駆動モータ61によって回転駆動されて、シートPを挟持した状態で搬送する搬送ローラ対である。
具体的に、第1駆動モータ61(第1駆動手段)は、搬送装置30(画像形成装置1)のフレームに固定して設置されている。第1駆動モータ61は、そのモータ軸に設置された駆動ギア61aが、ベース部71(フレーム)の起立部71bに回転可能に保持されたフレーム側回転軸76のギア部76a(幅方向に充分長い歯幅となるように形成されている。)に噛合していて、フレーム側回転軸76を
図4の矢印方向に回転駆動する。そして、フレーム側回転軸76が回転駆動されると、その回転駆動力がカップリング75を介して、駆動ローラ31aの回転軸に伝達されて駆動ローラ31aが回転して、それに従動して従動ローラ31bも回転することになる。
ここで、駆動ローラ31aの回転軸と、フレームに保持されたフレーム側回転軸76と、の間に介在されたカップリング75は、等速ジョイント、ユニバーサルジョイント等のカップリング(軸継ぎ手)であって、後述する第2駆動モータ62の駆動によって挟持ローラ対31が保持部材72とともに回動して、駆動ローラ31aの回転軸とフレーム側回転軸76との軸角度が変化しても回転速度に変化が生じることなく回転駆動力が伝達されるものである。
【0023】
また、第1駆動モータ61(駆動手段)は、制御部による制御によって、所定のタイミングで挟持ローラ対31の回転駆動をおこなったり回転駆動を停止したりできるように構成されている。そして、挟持ローラ対31は、第1駆動モータ61(駆動手段)による回転駆動が停止された状態で挟持ローラ対31に向けて搬送されたシートPの先端部を、そのニップ部(駆動ローラ31aと従動ローラ31bとが当接する当接部である。)に突き当ててシートPの回転方向の位置ズレ量βを補正(スキュー補正)するように構成されている。すなわち、本実施の形態1では、挟持ローラ対31が、搬送経路において搬送されるシートPの先端部を突き当てるゲート手段として機能することになる。
具体的に、上流側搬送ローラ対としての第4搬送ローラ対44によって挟持ローラ対31に向けて搬送されるシートPは、その先端部が、回転停止状態の挟持ローラ対31(ゲート手段)のニップ部に突き当たることになる。そして、その状態のシートPが、さらに第4搬送ローラ対44によって少しだけ搬送方向に送り出されることで、傾斜搬送ガイド板35の傾斜に沿うようにシートPに搬送方向の撓み(
図5(B2)に示すような上方への凸状の撓みである。)が形成されて、シートPのスキュー(斜行)が補正される。すなわち、シートPが搬送方向に対して斜めの姿勢で搬送されていても(スキューしていても)、その先端の一端がまずゲート手段としての挟持ローラ対31のニップ部に突き当たりその一端を中心にしてやがて他端もニップ部に突き当たることになり、最終的にシートPのスキューが補正される。
【0024】
なお、搬送ガイド板としての傾斜搬送ガイド板35は、挟持ローラ対31に対して搬送経路の上流側に配設されている。詳しくは、挟持ローラ対31に近接するように、搬送経路の上方において、上流側端部から下流側端部にかけて下方に傾斜するように配置されている。傾斜搬送ガイド板35の下方には搬送経路を介して直線搬送ガイド板が設置されていて、傾斜搬送ガイド板35の上流側には直線搬送ガイド板が隣接するように設置されている。
そして、傾斜搬送ガイド板35は、第1駆動モータ61(駆動手段)による回転駆動が停止された状態の挟持ローラ対31に突き当たったシートPが搬送方向に撓むようにシートPをガイドすることになる。
【0025】
また、挟持ローラ対31は、略矩形枠体状の保持部材72(可動部材)によって、回転可能に保持されるとともに、幅方向に移動可能に保持されている。具体的に、駆動ローラ31aと従動ローラ31bとは、それぞれ、回転軸の幅方向両端部が軸受(保持部材72に固設されている。)を介して、保持部材72に回転可能に保持されている。また、駆動ローラ31aと従動ローラ31bとは、それぞれ、保持部材72において幅方向(回転軸方向)に移動可能に保持されている。特に、保持部材72の一端側の支柱部72bとギア部72aとの間には充分な空隙が設けられていて、駆動ローラ31aと従動ローラ31bとが幅方向一端側にスライド移動しても、それらの回転軸がギア部72aに干渉しないように構成されている。
【0026】
また、保持部材72は、搬送装置30(画像形成装置1)のフレームの一部として機能するベース部71に対して、軸部71aを中心にして回動可能に支持されている。さらに、ベース部71の幅方向一端側には第2駆動手段としての第2駆動モータ62(回動モータ)が固定して設置されていて、この第2駆動モータ62のモータ軸62aに形成されたギアが、保持部材72の幅方向一端側に形成されたギア部72aに噛合するように形成されている。これにより、第2駆動モータ62の正逆方向の回転駆動によって、保持部材72とともに挟持ローラ対31が軸部71aを中心にして回動(
図3、
図4のW方向の移動である。)することになる。この第2駆動モータ62(第2駆動手段)は、後述する2つのCIS36、37の検知結果に基いて、挟持ローラ対31とともに保持部材72を回転方向に回動可能に構成されたものである。
ここで、第2駆動モータ62(回動モータ)のモータ軸には、公知のエンコーダが設置されていて、挟持ローラ対31の基準位置に対する回転方向の回動量や回動方向が間接的に検知されるように構成されている。これにより、後述する2つのCIS36、37の検知結果に基いた挟持ローラ対31による斜行補正が可能になる。すなわち、エンコーダが設置された第2駆動モータ62は、挟持ローラ対31の回転方向の移動量を検知する移動量検知手段として機能することになる。
なお、本実施の形態1では、挟持ローラ対31(保持部材72)が幅方向の中央位置を中心にして回動するように構成したが、挟持ローラ対31(保持部材72)が幅方向の端部側の位置を中心にして回動するように構成することもできる。
【0027】
また、ベース部71(フレーム)に回転可能に保持されたフレーム側回転軸76の幅方向他端側には、第3駆動手段としての第3駆動モータ63(シフトモータ)のモータ軸63aに形成されたピニオンギアに噛合するラックギア部78が、フレーム側回転軸76に対して相対的に回転可能に設置されている。ラックギア部78は、フレームに形成された案内レールに沿って、非回転で幅方向にフレーム側回転軸76とともにスライド移動(
図3、
図4のS方向の移動である。)できるように、フレームに保持されている。ここで、第3駆動モータ63(第3駆動手段)は、第1、第2駆動モータ61、62と同様に、搬送装置30(画像形成装置1)のフレームに固定して設置されている。
一方、カップリング75と、保持部材72における他端側の支柱部と、の間には、駆動ローラ31aと従動ローラ31bとが互いに連動して幅方向に移動するように双方のローラ31a、31bを回転可能に連結した連結部材73が設けられている。具体的に、連結部材73は、駆動ローラ31aの回転軸と従動ローラ31bの回転軸とにそれぞれ形成された溝部に設置された止め輪80によって挟持されていて、駆動ローラ31aが幅方向に移動すると、それに連動して従動ローラ31bも同じ距離だけ幅方向に移動するように構成されている。
【0028】
このような構成により、第3駆動モータ63の正逆方向の回転駆動によって、挟持ローラ対31が幅方向(
図3、
図4のS方向である。)に移動することになる。この第3駆動モータ63(第3駆動手段)は、後述するように、第1検知手段(第1CIS36)の検知結果や、第1、第2検知手段(第1CIS36、及び、第2CIS37)の検知結果に基いて、フレーム側回転軸76とともに挟持ローラ対31を幅方向に移動可能に構成されたものである。
なお、第3駆動モータ63(シフトモータ)のモータ軸には、公知のエンコーダが設置されていて、挟持ローラ対31の基準位置に対する幅方向の移動量や移動方向が間接的に検知されるように構成されている。これにより、後述する第1検知手段(CIS36)や第1、第2検知手段(2つのCIS36、37)の検知結果に基いた挟持ローラ対31による横レジスト補正が可能になる。すなわち、エンコーダが設置された第3駆動モータ63は、挟持ローラ対31の幅方向の移動量を検知する移動量検知手段として機能することになる。
【0029】
そして、挟持ローラ対31は、第1駆動モータ61(駆動手段)による回転駆動が停止された状態で挟持ローラ対31に向けて搬送されたシートPの先端部を突き当ててシートPの回転方向の位置ズレ量βを補正した後に、第1検知手段(第1CIS36)の検知結果に基いてシートPの幅方向の位置ズレ量αを補正するようにシートPを挟持した状態で幅方向に移動する。
詳しくは、挟持ローラ対31は、第1駆動モータ61による回転駆動が停止された状態で挟持ローラ対31に向けて搬送されたシートPの先端部を突き当ててシートPの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、そのシートPを挟持した状態で搬送しながら第1検知手段(第1CIS36)によってシートPの幅方向の位置ズレ量を検知して、その後に第1検知手段(第1CIS36)の検知結果に基いてシートPの幅方向の位置ズレ量を補正するようにシートPを挟持した状態で搬送しながら基準位置(
図5(A1)に示す位置である。)から補正位置(
図5(D1)に示す位置である。)に幅方向に移動する。
すなわち、挟持ローラ対31は、回転停止状態でシートPを衝突させてシートPの斜行補正(スキュー補正)をおこなうとともに、シートPを挟持・搬送しながら幅方向に変位させてシートPの横レジスト補正をおこなう、第1の補正手段として機能するものである。
【0030】
そして、挟持ローラ対31によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートPの幅方向及び回転方向の位置ズレ量が第1、第2検知手段(第1CIS36、及び、第2CIS37)によって検知されて、その検知結果に基いてシートPの幅方向及び回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、シートPを挟持した状態で挟持ローラ対31が幅方向及び回転方向に移動する。
詳しくは、第1の補正手段として機能する挟持ローラ対31によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートPの幅方向及び回転方向の位置ズレ量が、挟持ローラ対31によって挟持された状態で搬送されながら第1、第2検知手段(第1CIS36、及び、第2CIS37)によって連続的に検知されて、その検知結果に基いてフィードバック制御によってシートPの幅方向及び回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、シートPを挟持した状態で搬送しながら挟持ローラ対Pが幅方向及び回転方向に上述した補正位置(
図5(D1)に示す位置である。)から第2の補正位置(
図6(B1)に示す位置である。)に移動する。
すなわち、挟持ローラ対31は、第1の補正がおこなわれた後に、シートPを挟持・搬送しながら回転方向に変位させてシートPの斜行補正(スキュー補正)をおこなうとともに、シートPを挟持・搬送しながら幅方向に変位させてシートPの横レジスト補正をおこなう、第2の補正手段として機能するものである。
【0031】
このように本実施の形態1では、シートPの先端部を挟持ローラ対31(ゲート手段)に突き当てた後に、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いて、そのシートPを挟持した状態で挟持ローラ対31を幅方向に移動させて、そのシートPの位置を補正する「第1の補正」がおこなわれる。そして、その第1の補正後に、そのシートPを挟持ローラ対31によって搬送しながら第1CIS36(第1検知手段)と第2CIS37(第2検知手段)とによって、そのシートPの位置を検知して、その検知結果に基いて挟持ローラ対31を幅方向や回転方向に移動させて、そのシートPの位置を補正する「第2の補正」がおこなわれる。
すなわち、ゲート手段としても機能する挟持ローラ対31によって斜行補正と「第1の補正」として横レジスト補正とがおこなわれた後に、挟持ローラ対31によって「第2の補正(再補正)」として斜行補正と横レジスト補正とが再びおこなわれて、シートPが画像形成部に達するまでに斜行補正と横レジスト補正との精度がそれぞれ高められている。
【0032】
さらに換言すると、搬送装置30には、第1CIS36(第1検知手段)と第2CIS37(第2検知手段)とのうち少なくとも一方の検知結果に基いて挟持ローラ対31の動作を制御する制御部が設けられている。
そして、シートPの先端部が挟持ローラ対31(ゲート手段)に突き当てられて、そのシートPが挟持ローラ対31に挟持された後に、制御部は、第1CIS36の検知結果に基いて挟持ローラ対31を幅方向に移動させて、そのシートPを挟持ローラ対31によって搬送させながら第1CIS36と第2CIS37との検知結果に基いて挟持ローラ対31を幅方向や回転方向に移動させる。
【0033】
ここで、上流側搬送ローラ対としての第4搬送ローラ対44は、挟持ローラ対31に対して上流側(搬送方向上流側)の位置に設置されている。第4搬送ローラ対44は、シートPを挟持した状態で回転することによってシートPを搬送可能に形成されるとともに、シートPを挟持した状態と挟持しない状態とを切り替えられるように離間可能に形成された搬送ローラ対である。そして、第4搬送ローラ対44は、シートPが挟持ローラ対31に突き当たってスキュー補正がされた後に挟持ローラ対31によって挟持・搬送される状態になると、シートPを挟持した状態から挟持しない状態に切り替えられることになる。
【0034】
また、本実施の形態1において、挟持ローラ対31は、下流側搬送ローラとしての転写ローラ7に対して搬送経路の上流側の位置に配設されていてレジストローラとしても機能する搬送ローラ対であって、シートPを挟持した状態で回転することによってシートP(挟持ローラ対31自身によって斜行補正・横レジスト補正がされた後のシートPである。)を画像形成部に向けて搬送する。
ここで、挟持ローラ対31(駆動ローラ31a)を回転駆動する第1駆動モータ61は、回転数可変型の駆動モータであって、シートPの搬送速度を可変できるように形成されている。そして、紙検知センサ(フォトセンサ)によって挟持ローラ対31にシートPが挟持されるタイミングが検知されると(挟持ローラ対31のニップ部にシートPが突き当たって斜行補正がされた後に、挟持ローラ対31によってシートPが挟持された状態が検知されると)、挟持ローラ対31によって第1の補正における横レジスト補正と第2の補正における横レジスト補正及び斜行補正がされながら、さらに紙検知センサの検知結果(検知タイミング)に基いて挟持ローラ対31による搬送速度が可変される。すなわち、挟持ローラ対31によって転写ローラ7にシートPが搬送されるタイミングと、感光体ドラム5上に形成された画像が転写ローラ7に達するタイミングと、を合わせるように、挟持ローラ対31による搬送速度が可変される(画像形成部に向けて搬送されるシートPの搬送タイミングが調整される。)。これにより、第1の補正における斜行補正がされた後に、挟持ローラ対31によってシートPの搬送を停止することなく、第1の補正における横レジスト補正と、第2の補正における横レジスト補正及び斜行補正と、をおこない、その後にシートPの所望の位置に画像を転写することができる。
なお、挟持ローラ対31は、画像形成部にシートPの先端が達した直後に、感光体ドラム5との間に線速差が生じてシートP上に転写される画像に歪みが生じないように搬送速度が可変されることになる(感光体ドラム5との線速比が1になるように搬送速度が可変される)。
【0035】
ここで、第1CIS36は、搬送経路において搬送されるシートPの位置を検知する第1検知手段として機能するものである。
図3等に示すように、第1検知手段としての第1CIS36は、挟持ローラ対31に対して搬送経路の上流側であって、第4搬送ローラ対44に対して搬送経路の下流側に設置されている。第1CIS36は、幅方向に並設された複数のフォトセンサ(LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子とからなる。)からなり、シートPの幅方向一端側の側端部Pa(エッジ部)の位置を検知することで横レジストのズレ量を検知する。すなわち、第1検知手段としての第1CIS36は、搬送装置30の搬送経路において搬送されるシートPの幅方向の位置ズレ量を検知するものである。そして、第1CIS36の検知結果に基いて、挟持ローラ対31による第1の補正における横レジスト補正がおこなわれる。具体的には、挟持ローラ対31への突き当てによって第1の補正における斜行補正がおこなわれた後のシートPに対して、第1CIS36による横レジストのズレ量αが検知されて、その検知結果に基いて挟持ローラ対31による第1の補正における横レジスト補正がおこなわれることになる。
なお、本実施の形態1では、
図3に示すように、第1CIS36を幅方向一端側のみに設置してシートPの幅方向一端側の側端部Paの位置を検知したが、第1CIS36を幅方向全域にわたって設置してシートPの幅方向両端のそれぞれの側端部の位置を検知することもできる。
【0036】
そして、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いて、挟持ローラ対31によってシートPを挟持・搬送した状態で挟持ローラ対31(保持部材72)を幅方向に移動させて、搬送経路において搬送されるシートPの幅方向の位置ズレ(横レジスト)を補正している。
具体例として、
図3を参照して、一点鎖線で示す正規位置(幅方向の位置ズレのない正規の位置である。)に対して、シートPが幅方向一端側(
図3の下方である。)に距離αだけ位置ズレしている状態が、第1CIS36によって検知されると、制御部によってその位置ズレ量αを補正量として、挟持ローラ対31でシートPを挟持・搬送した状態で挟持ローラ対31(保持部材72)を幅方向他端側(
図3の上方である。)に距離αだけ移動させることになる(シフト制御がおこなわれる)。
【0037】
このように、本実施の形態1では、ゲート手段としての挟持ローラ対31のニップ部にシートPを突き当てて斜行補正をした後に、シートPの横レジストのズレ量を検知するようにしているため、第4搬送ローラ対44と挟持ローラ対31との間の搬送経路に複数のセンサを設けることなく、シートPの側端部Paを検知する第1CIS36のみで比較的高い精度で、シートPの横レジストのズレ量を検知することができる。
【0038】
ここで、第2CIS37は、搬送経路において搬送されるシートPの位置を検知する第2検知手段として機能するものである。
図3等に示すように、第2CIS37は、挟持ローラ対31に対して搬送経路の下流側であって、転写ローラ7(下流側搬送ローラ)に対して搬送経路の上流側に設置されている。第2CIS37は、第1CIS36と同様に、幅方向に並設された複数のフォトセンサ(LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子とからなる。)からなり、シートPの幅方向一端側の側端部Pa(エッジ部)の位置を検知するものである。
そして、本実施の形態1では、第1CIS36と第2CIS37とが、第2の補正(再補正)をおこなうための検知手段として機能することになる。すなわち、第1CIS36の検知結果と、第2CIS37の検知結果と、からシートPの横レジストズレ量とスキュー量とがそれぞれ検知されることになる。
【0039】
詳しくは、
図7を参照して、第2の補正時には、第1CIS36によって検知されたシートPの幅方向の位置ズレ量M1と、第2CIS37によって検知されたシートPの幅方向の位置ズレ量M2と、の平均値((M1+M2)/2)に基いて、シートPの幅方向の位置ズレ量を検知する。そして、上述した平均値((M1+M2)/2)を補正すべき補正量αとして、その値αを相殺するように、挟持ローラ対31でシートPを挟持・搬送した状態で挟持ローラ対31(保持部材72)を反対側にシフト移動させることになる(シフト制御がおこなわれる)。
また、第2の補正時には、第1CIS36によって検知されたシートPの幅方向の位置ズレ量M1と、第2CIS37によって検知されたシートPの幅方向の位置ズレ量M2と、の差(M2-M1)を、第1CIS36と第2CIS37との搬送方向の離間距離Hで除した値((M2-M1)/H)に基いて、シートPの回転方向の位置ズレ量を検知する。そして、上述した値((M2-M1)/H)をtanβとして補正すべき補正角度βを求めて、その角度βを相殺するように、挟持ローラ対31でシートPを挟持・搬送した状態で挟持ローラ対31(保持部材72)を反対側に回動させることになる(回動制御がおこなわれる)。
なお、上述した幅方向の位置ズレ量M1、M2は、いずれも、一点鎖線Rで示す正規位置(幅方向の位置ズレのない正規の位置である。)からのズレ量である。
【0040】
ここで、本実施の形態1では、上述したように2つのCIS36、37を第2の補正時における検知手段として機能させるときに、連続的に検知される2つのCIS36、37の検知結果に基いてフィードバック制御によってシートPの幅方向及び回転方向の位置ズレ量をさらに補正している。すなわち、第2の補正は、2つのCIS36、37によってそれぞれシートPの位置情報が時々刻々と検知される。そして、それらの位置情報に基いてシートPの幅方向及び回転方向の位置ズレ量が算出されて制御部にフィードバックされ、シートPの幅方向及び回転方向の位置ズレ補正量(エンコーダカウント数)が時々刻々と修正される。
このようにフィードバック制御をおこなうことで、第2の補正時に生じるシートPの位置ズレや、第2の補正時の補正誤差などを応答性よく補正することができて、さらに精度の高い横レジスト補正及び斜行補正をおこなうことができる。
【0041】
さらに詳しく、「第2の補正」について説明する。
演算部(制御部)では、上述したように2つのCIS36、37による検知結果に基いて、幅方向の位置ズレ量αが計算されて、その位置ズレ量αに基いて第3駆動モータ63のエンコーダ(シフトモータエンコーダ)におけるカウント数p(シフトモータエンコーダカウント数)が計算される。そして、このカウント数pが第3駆動モータ63(シフトモータ)の「目標搬送エンコーダカウント数p」として記憶される。そして、計算された「目標搬送エンコーダカウント数p」に基いて、シフトモータエンコーダによるシフト位置の検知をおこないながら、コントローラ(シフトコントローラ)によってモータドライバが制御されて第3駆動モータ63(シフトモータ)が駆動されることになる。
また、演算部(制御部)では、上述したように2つのCIS36、37による検知結果に基いて、回転方向の位置ズレ量βが計算されて、その位置ズレ量βに基いて第2駆動モータ62のエンコーダ(回動モータエンコーダ)におけるカウント数q(回動モータエンコーダカウント数)が計算される。そして、このカウント数qが第2駆動モータ62(回動モータ)の「目標搬送エンコーダカウント数q」として記憶される。そして、計算された「目標搬送エンコーダカウント数q」に基いて、回動モータエンコーダによる回動位置の検知をおこないながら、コントローラ(回動コントローラ)によってモータドライバが制御されて第2駆動モータ62(回動モータ)が駆動されることになる。
なお、「目標搬送エンコーダカウンタ数」の計算は、設計値からの計算などによって、1カウント(1パルス)あたりの補正量(搬送量)を予め調べておいて、それを演算部に記憶しておく。
【0042】
このようにシートPを挟持ローラ対31に突き当てて斜行補正を一度おこなって、挟持ローラ対31によってシートPを挟持・搬送しながら横レジスト補正を一度おこなった後に、2つのCIS36、37の検知結果に基いて、挟持ローラ対31によってシートPを挟持・搬送しながら横レジスト補正と斜行補正とを再びおこなうのは、挟持ローラ対31によってシートPが挟持・搬送されているときに、挟持ローラ対31のローラ部に偏心があったり組み付け不良があるなどの理由により、僅かながら横レジストの位置ズレや斜行が生じてしまう可能性があるためである。
これに対して、本実施の形態1では、挟持ローラ対31によってシートPの横レジスト補正と斜行補正とを一度おこなった後に、シートPが挟持ローラ対31に挟持・搬送されている状態で2つのCIS36、37によって幅方向及び回転方向のズレ量を検知して、その検知結果に基いて、挟持ローラ対31によってシートPを挟持・搬送しながら横レジスト補正と斜行補正とを再びおこなっているため、上述したような可能性が制限されて、さらに高精度に横レジスト補正と斜行補正とをおこなうことができる。
また、本実施の形態1における搬送装置30は、上述したような2度の補正(第1の補正と第2の補正とである。)をおこなうために、第4搬送ローラ対44と挟持ローラ対31との間に1つのセンサ(第1CIS36)を設置して、挟持ローラ対31と転写ローラ7との間に1つのセンサ(第2CIS37)を設置しているだけなので、搬送経路を無駄に長くすることなく、高精度に横レジスト補正と斜行補正とをおこなうことができる。すなわち、装置が大型化することなく、高精度に横レジスト補正と斜行補正とをおこなうことができる。
【0043】
以下、
図5及び
図6にて、上述のように構成された搬送装置30の動作の一例について詳述する。
なお、
図5(A1)~(D1)、
図6(A1)~(C1)は、搬送装置30の動作をその順番にそって示す上面図であって、
図5(A2)~(D2)、
図6(A2)~(C2)は、
図5(A1)~(D1)、
図6(A1)~(C1)の動作にそれぞれ対応した搬送装置30の側面図である。
まず、
図5(A1)及び(A2)に示すように、給紙部12から給送されたシートPは、第4搬送ローラ対44によって挟持ローラ対31の位置に向けて挟持・搬送される(白矢印方向の搬送である。)。このとき、挟持ローラ対31は、回動方向の位置が第1基準位置(斜行のないシートPに対応した正規の位置である。)にあり、幅方向の位置が第2基準位置(横レジストの位置ズレのないシートPに対応した正規の位置である。)にある。また、挟持ローラ対31は回転停止した状態である。
そして、
図5(B1)及び(B2)に示すように、シートPの先端部が回転停止状態の挟持ローラ対31(ゲート手段)のニップ部に突き当たって、その後も僅かな時間だけ第4搬送ローラ対44による挟持・搬送がおこなわれる。これにより、シートPは、傾斜搬送ガイド板35に沿うように湾曲して、その先端部が挟持ローラ対31のニップ部に幅方向にわたって当接することにより、一度目の斜行補正がおこなわれることになる。
なお、シートPの先端部が挟持ローラ対31に達するタイミングは、第1CIS36によってシートPの先端部を検知するタイミングと、シートPの搬送速度と、斜行検第1CIS36の位置から挟持ローラ対31の位置までの距離、などに基いて演算部(制御部)で求めることもできる。
【0044】
その後、
図5(C1)及び(C2)に示すように、挟持ローラ対31の回転駆動(図の矢印方向の回転駆動である。)が開始され、シートPが挟持ローラ対31に挟持・搬送されると、第4搬送ローラ対44が搬送経路を開放してシートPを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。そして、挟持ローラ対31によって挟持・搬送された状態のシートPの横レジストの位置ズレ量αが第1CIS36によって検知される。
そして、
図5(D1)及び(D2)に示すように、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、保持部材72とともに、第1CIS36で検知された位置ズレ量αを相殺する方向に距離αだけ第2基準位置から幅方向(黒矢印方向)にシフト移動する。
【0045】
その後、
図6(A1)及び(A2)に示すように、補正後のシートPが第2CIS37の位置に達すると、挟持ローラ対31によって挟持・搬送されているシートPの横レジストの位置ズレ量αとスキュー量βとが2つのCIS36、37によって連続的に検知される。
そして、
図6(B1)及び(B2)に示すように、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、保持部材72とともに、2つのCIS36、37で検知された横レジストの位置ズレ量αを相殺する方向に距離αだけ
図6(A1)の補正位置から幅方向(黒矢印方向)にシフト移動する。また、これとほぼ同じタイミングで、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、保持部材72とともに、2つのCIS36、37で検知されたスキュー量βを相殺する方向に軸部71aを中心に角度βだけ
図6(A1)の第1基準位置から矢印方向に回動する。
こうして、シートPは、再び横レジスト補正と斜行補正とがおこなわれながら、転写ローラ7(画像形成部)に向けて搬送されることになる。このとき、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせるように、挟持ローラ対31の回転数(転写ローラ7に達するまでのシートPの搬送速度)が可変される。
【0046】
そして、
図6(C1)及び(C2)に示すように、シートPが転写ローラ7(画像転写部)に向けて搬送されて、シートP上の所望の位置に画像が転写されることになる。このとき、シートPが転写ローラ7によって搬送されると、挟持ローラ対31が搬送経路を開放してシートPを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。そして、挟持ローラ対31は、次に搬送されるシートPの斜行補正及び横レジスト補正に備えて、第1基準位置及び第2基準位置に戻されることになる。また、離間状態にあった第4搬送ローラ対44が当接状態に戻されて、次に搬送されるシートPの搬送動作に備えることになる。その後、シートPの後端が挟持ローラ対31の位置を通過すると、挟持ローラ対31が搬送経路を閉鎖してシートPを挟持できる方向に当接移動して、
図5(A1)及び(A2)の状態になって、次に搬送されるシートPのスキュー補正に備えることになる。
このような動作が繰り返されて、搬送装置30における一連の動作が終了することになる。
【0047】
ここで、本実施の形態1における搬送装置30において、先に
図1を用いて説明した「両面プリントモード」が選択されている場合に、シートPのオモテ面に形成したパターン画像G(
図7を参照して、搬送方向に延在するように形成された帯状のベタ画像である。)を形成して、ウラ面への画像形成動作がおこなわれるときに、そのパターン画像Gを2つのCIS36、37で検知することにより、シートP上に形成される画像の幅方向及び回転方向の位置ズレ量を検知することもできる。
ただし、その場合には、シートPのウラ面への画像形成動作時に、オモテ面に形成したパターン画像Gに2つのCIS36、37が対向している必要があるため、2つのCIS36、37は、本実施の形態1のようにシートPの上面に対向するように配置されるのではなくて、シートPの下面に対向するように配置されることになる。
【0048】
詳しくは、
図7に示すように、第1CIS36によってシートPの側端部からパターン画像Gまでの幅方向の距離N1が検知されて、第2CIS37によってシートPの側端部からパターン画像Gまでの幅方向の距離N2が検知される。そして、上述した2つの距離N1、N2の平均値((N1+N2)/2)が、シートPに形成される画像の幅方向の位置ズレ量として求められる。そして、上述した平均値((N1+N2)/2)を補正すべき補正量として、その値を相殺するように、挟持ローラ対31でシートPを挟持・搬送した状態で挟持ローラ対31(保持部材72)を反対側にシフト移動させる。これにより、オモテ面の画像とウラ面の画像との幅方向の位置を合わせることができる。また、感光体ドラム5上に形成された画像が幅方向に位置ズレしているような場合には、((M1+M2)+(N1+N2))を補正すべき補正量として、その値を相殺するように、挟持ローラ対31でシートPを挟持・搬送した状態で挟持ローラ対31(保持部材72)を反対側にシフト移動させることで、オモテ面の画像とウラ面の画像との幅方向の位置を合わせることができる。
また、上述した2つの距離N1、N2の差(N2-N1)を、第1CIS36と第2CIS37との搬送方向の離間距離Hで除した値((N2-N1)/H)に基いて、シートPに形成される画像の回転方向の位置ズレ量を求める。そして、上述した値((N2-N1)/H)をtanγとして補正すべき補正角度γを求めて、その角度γを相殺するように、挟持ローラ対31でシートPを挟持・搬送した状態で挟持ローラ対31(保持部材72)を反対側に回動させる。これにより、オモテ面の画像とウラ面の画像との回転方向の位置を合わせることができる。また、感光体ドラム5上に形成された画像が回転方向に位置ズレしているような場合には、(β+2γ)を補正すべき補正角度として、その角度を相殺するように、挟持ローラ対31でシートPを挟持・搬送した状態で挟持ローラ対31(保持部材72)を反対側に回動させることで、オモテ面の画像とウラ面の画像との回転方向の位置を合わせることができる。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態1における搬送装置30は、第1駆動モータ61(駆動手段)による回転駆動が停止された状態の挟持ローラ対31(ゲート手段)に向けて搬送されたシートPの先端部を挟持ローラ対31に突き当ててシートPの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いてシートPの幅方向の位置ズレ量を補正するように挟持ローラ対31がシートPを挟持した状態で幅方向に移動する。そして、挟持ローラ対31によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量が2つのCIS36、37(第1、第2検知手段)によって検知されて、その検知結果に基いてシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、シートPを挟持した状態で挟持ローラ対31が幅方向や回転方向に移動する。
これにより、斜行補正と横レジスト補正とがされた後のシートPが、回転方向や幅方向に再び位置ズレしてしまうことがなく、シートPの斜行補正と横レジスト補正とをさらに高精度におこなうことができる。
【0050】
<実施の形態2>
図8~
図10にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図8(A)は、実施の形態2における搬送装置30に設置される挟持ローラ対31の全体を示す斜視図であって、駆動ローラ31aに対して従動ローラ31b(軸部の図示を省略したものである。)が離間した状態を示す図である。
図8(B)は、その挟持ローラ対31のローラ部を示す拡大斜視図であって、駆動ローラ31aに対して従動ローラ31bが当接した状態を示す図である。また、
図9、
図10は、実施の形態2における搬送装置30の動作を示す概略図であって、前記実施の形態1における
図5、
図6に相当する図である。
本実施の形態2における搬送装置30は、挟持ローラ対31にゲート手段としての突当部材31cが設置されている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
【0051】
図8に示すように、本実施の形態2における搬送装置30において、挟持ローラ対31は、駆動ローラ31aに突当部材31cが設けられている。そして、挟持ローラ対31は、第1駆動モータ61(駆動手段)による回転駆動が停止された状態で挟持ローラ対31に向けて搬送されたシートPの先端部を、駆動ローラ31aとともに回転可能に形成された突当部材31cに突き当てて、そのシートPの回転方向の位置ズレ量を補正する。すなわち、本実施の形態2では、挟持ローラ対31の駆動ローラに設置された突当部材31cが、搬送経路において搬送されるシートPの先端部を突き当てるゲート手段として機能することになる。
そして、本実施の形態2では、シートPの先端部を突当部材31(ゲート手段)に突き当てた後に、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いて、そのシートPを挟持した状態で挟持ローラ対31を幅方向に移動させて、そのシートPの位置を補正する「第1の補正」がおこなわれる。そして、その第1の補正後に、そのシートPを挟持ローラ対31によって搬送しながら第1CIS36(第1検知手段)と第2CIS37(第2検知手段)とによって、そのシートPの位置を検知して、その検知結果に基いて挟持ローラ対31を幅方向や回転方向に移動させて、そのシートPの位置を補正する「第2の補正」がおこなわれる。
【0052】
詳しくは、ゲート手段としての突当部材31cは、駆動ローラ31aのローラ部の端面に密着するように設置されている。突当部材31cは、その外周面の一部に、駆動ローラ31aのローラ部の外周面よりも径が大きくなる方向に突出するように突当部31c1が形成されている。この突当部31c1は、回転停止状態にある挟持ローラ対31に向けてシートPが搬送されるときに、
図8(B)に示すような回転位置に回動して、シートPの先端部を突き当ててシートPの斜行補正をおこなうためのものである。
図8に示すように、突当部材31c(突当部31c1)は、駆動ローラ31aの回転を妨げることなく、従動ローラ31bの従動回転や接離動作を妨げないように構成され配置されている。
なお、本実施の形態2における挟持ローラ対31は、前記実施の形態1のものとは異なり、駆動ローラ31aが下方に、従動ローラ31bが上方に位置している。
【0053】
以下、
図9及び
図10にて、本実施の形態2における搬送装置30の動作の一例について詳述する。
なお、
図9(A1)~(D1)、
図10(A1)~(C1)は、搬送装置30の動作をその順番にそって示す上面図であって、
図9(A2)~(D2)、
図10(A2)~(C2)は、
図9(A1)~(D1)、
図10(A1)~(C1)の動作にそれぞれ対応した搬送装置30の側面図である。
まず、
図9(A1)及び(A2)に示すように、給紙部12から給送されたシートPは、第4搬送ローラ対44によって挟持ローラ対31の位置に向けて挟持・搬送される。このとき、挟持ローラ対31は、回動方向の位置が第1基準位置にあり、幅方向の位置が第2基準位置にある。また、挟持ローラ対31は、回転停止した状態であって、突当部材31cの突当部31c1がニップ部の近傍で搬送経路を閉鎖する回動位置に位置している。
そして、
図9(B1)及び(B2)に示すように、シートPの先端部が回転停止状態の挟持ローラ対31の突当部31c1(ゲート手段)に突き当たって、その後も僅かな時間だけ第4搬送ローラ対44による挟持・搬送がおこなわれる。これにより、シートPは、傾斜搬送ガイド板35に沿うように湾曲して、その先端部が挟持ローラ対31のニップ部に幅方向にわたって当接することにより、一度目の斜行補正がおこなわれることになる。
【0054】
その後、
図9(C1)及び(C2)に示すように、挟持ローラ対31の回転駆動が開始され、シートPが挟持ローラ対31に挟持・搬送されると、第4搬送ローラ対44が搬送経路を開放してシートPを挟持しない方向に離間移動する。このとき、挟持ローラ対31(駆動ローラ31a)の回転とともに突当部材31が回転して、突当部31c1が搬送経路を開放する回動位置に移動することになる。そして、挟持ローラ対31によって挟持・搬送された状態のシートPの横レジストの位置ズレ量αが第1CIS36によって検知される。
そして、
図9(D1)及び(D2)に示すように、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、保持部材72とともに、第1CIS36で検知された位置ズレ量αを相殺する方向に距離αだけ第2基準位置から幅方向にシフト移動する。
【0055】
その後、
図10(A1)及び(A2)に示すように、補正後のシートPが第2CIS37の位置に達すると、挟持ローラ対31によって挟持・搬送されているシートPの横レジストの位置ズレ量αとスキュー量βとが2つのCIS36、37によって連続的に検知される。
そして、
図10(B1)及び(B2)に示すように、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、保持部材72とともに、2つのCIS36、37で検知された横レジストの位置ズレ量αを相殺する方向に距離αだけ
図10(A1)の補正位置から幅方向にシフト移動する。また、これとほぼ同じタイミングで、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、保持部材72とともに、2つのCIS36、37で検知されたスキュー量βを相殺する方向に軸部71aを中心に角度βだけ
図10(A1)の第1基準位置から回動する。
こうして、シートPは、再び横レジスト補正と斜行補正とがおこなわれながら、転写ローラ7(画像形成部)に向けて搬送されることになる。このとき、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせるように、挟持ローラ対31の回転数(転写ローラ7に達するまでのシートPの搬送速度)が可変される。
【0056】
そして、
図10(C1)及び(C2)に示すように、シートPが転写ローラ7(画像転写部)に向けて搬送されて、シートP上の所望の位置に画像が転写されることになる。このとき、シートPが転写ローラ7によって搬送されると、挟持ローラ対31が搬送経路を開放してシートPを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。そして、挟持ローラ対31は、次に搬送されるシートPの斜行補正及び横レジスト補正に備えて、第1基準位置及び第2基準位置に戻されることになる。また、離間状態にあった第4搬送ローラ対44が当接状態に戻されて、次に搬送されるシートPの搬送動作に備えることになる。その後、シートPの後端が挟持ローラ対31の位置を通過すると、挟持ローラ対31が搬送経路を閉鎖してシートPを挟持できる方向に当接移動して、
図9(A1)及び(A2)の状態になって、次に搬送されるシートPのスキュー補正に備えることになる。
このような動作が繰り返されて、搬送装置30における一連の動作が終了することになる。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態2における搬送装置30は、前記実施の形態1のものと同様に、第1駆動モータ61(駆動手段)による回転駆動が停止された状態の挟持ローラ対31(ゲート手段)に向けて搬送されたシートPの先端部を挟持ローラ対31の突当部材31cに突き当ててシートPの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いてシートPの幅方向の位置ズレ量を補正するように挟持ローラ対31がシートPを挟持した状態で幅方向に移動する。そして、挟持ローラ対31によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量が2つのCIS36、37(第1、第2検知手段)によって検知されて、その検知結果に基いてシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、シートPを挟持した状態で挟持ローラ対31が幅方向や回転方向に移動する。
これにより、斜行補正と横レジスト補正とがされた後のシートPが、回転方向や幅方向に再び位置ズレしてしまうことがなく、シートPの斜行補正と横レジスト補正とをさらに高精度におこなうことができる。
【0058】
<実施の形態3>
図11及び
図12にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図11、
図12は、実施の形態3における搬送装置30の動作を示す概略図であって、前記実施の形態1における
図5、
図6に相当する図である。
本実施の形態3における搬送装置30は、上流側搬送ローラ対としての第4搬送ローラ対44をゲート手段としてシートPを突き当てて斜行補正をおこなっている点が、挟持ローラ対31にシートPを突き当てて斜行補正をおこなっている前記各実施の形態のものとは相違する。
【0059】
本実施の形態3における搬送装置30には、上流側搬送ローラ対(搬送ローラ対)としての第4搬送ローラ対44の駆動ローラを回転駆動する駆動モータが独立して設置されていて、第4搬送ローラ対44の回転駆動と回転駆動停止とを、他の搬送ローラ対とは別に独立して切り替えられるように構成されている。
また、
図11、
図12に示すように、本実施の形態3における搬送装置30には、第4搬送ローラ対44(搬送ローラ対)に対して搬送経路の上流側に、搬送ガイド板としての傾斜搬送ガイド板38が配設されている。この傾斜搬送ガイド板38は、回転駆動が停止された状態の第4搬送ローラ対44に突き当たったシートPが搬送方向に撓むようにシートPをガイドするものである。
【0060】
そして、本実施の形態3では、回転駆動が停止された状態の第4搬送ローラ対44(上流側搬送ローラ対)に向けて搬送されたシートPの先端部を第4搬送ローラ対44(上流側搬送ローラ対)に突き当てて、そのシートPの回転方向の位置ズレ量を補正(斜行補正)する。すなわち、本実施の形態3では、第4搬送ローラ対44(上流側搬送ローラ対)が、搬送経路において搬送されるシートPの先端部を突き当てるゲート手段として機能することになる。
そして、その後に、そのシートPが第4搬送ローラ対44によって挟持ローラ対31の位置に搬送される前に、第1CIS36(第1検知手段)で検知されたシートPの幅方向の位置ズレ量に対応して挟持ローラ対31を基準位置(幅方向の基準位置である。)から幅方向に移動して、その後にシートPを挟持した状態の挟持ローラ対31を幅方向の位置ズレ量が補正(横レジスト補正)されるように基準位置に移動する(戻す)。
そして、第4搬送ローラ対44によって回転方向の位置ズレ量が補正されて、挟持ローラ対31によって幅方向の位置ズレ量が補正された後の、シートの幅方向や回転方向の位置ズレ量が、挟持ローラ対31によって挟持された状態で搬送されながら2つのCIS36、37(第1、第2検知手段)によって連続的に検知されて、その検知結果に基いてフィードバック制御によってシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、シートPを挟持した状態で搬送しながら挟持ローラ対31が幅方向や回転方向に基準位置から移動する。
【0061】
このように、本実施の形態3では、シートPの先端部を上流側搬送ローラ対としての第4搬送ローラ対44(ゲート手段)に突き当てた後に、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いて、そのシートPを挟持した状態で挟持ローラ対31を幅方向に移動させて、そのシートPの位置を補正する「第1の補正」がおこなわれる。そして、その第1の補正後に、そのシートPを挟持ローラ対31によって搬送しながら第1CIS36(第1検知手段)と第2CIS37(第2検知手段)とによって、そのシートPの位置を検知して、その検知結果に基いて挟持ローラ対31を幅方向や回転方向に移動させて、そのシートPの位置を補正する「第2の補正」がおこなわれる。
【0062】
以下、
図11及び
図12にて、本実施の形態3における搬送装置30の動作の一例について詳述する。
なお、
図11(A1)~(D1)、
図12(A1)~(C1)は、搬送装置30の動作をその順番にそって示す上面図であって、
図11(A2)~(D2)、
図12(A2)~(C2)は、
図11(A1)~(D1)、
図12(A1)~(C1)の動作にそれぞれ対応した搬送装置30の側面図である。
【0063】
まず、
図11(A1)及び(A2)に示すように、給紙部12から給送されたシートPは、第4搬送ローラ対44(上流側搬送ローラ対)の位置に向けて搬送される(白矢印方向の搬送である。)。このとき、第4搬送ローラ対44は、回転駆動が停止した状態である。
そして、
図11(B1)及び(B2)に示すように、シートPの先端部が回転停止状態の第4搬送ローラ対44(ゲート手段)のニップ部に突き当たって、その後も僅かな時間だけ第4搬送ローラ対44の上流側の搬送ローラ対による挟持・搬送がおこなわれる。これにより、シートPは、傾斜搬送ガイド板38に沿うように湾曲して、その先端部が第4搬送ローラ対44のニップ部に幅方向にわたって当接することにより、一度目の斜行補正がおこなわれることになる。
このとき、挟持ローラ対31は、回動方向の位置が第1基準位置(斜行のないシートPに対応した正規の位置である。)にあり、幅方向の位置が第2基準位置(横レジストの位置ズレのないシートPに対応した正規の位置である。)にある。
【0064】
その後、
図11(C1)及び(C2)に示すように、第4搬送ローラ対44の回転駆動(図の矢印方向の回転駆動である。)が開始されて、斜行補正がされたシートPが、第4搬送ローラ対44によって挟持ローラ対31の位置に向けて挟持・搬送される(白矢印方向の搬送である。)。
このとき、第4搬送ローラ対44によって挟持・搬送された状態のシートPの横レジストの位置ズレ量αが第1CIS36によって検知される。そして、
図11(C1)及び(C2)に示すように、挟持ローラ対31は、第1CIS36で検知された位置ズレ量αに合わせて同じ幅方向に距離αだけ第2基準位置からシフト移動する。
【0065】
そして、
図11(D1)及び(D2)に示すように、シートPの先端部が挟持ローラ対31に達する直前に挟持ローラ対31の回転駆動(図の矢印方向の回転駆動である。)が開始され、シートPが挟持ローラ対31に挟持・搬送されると、第4搬送ローラ対44が搬送経路を開放してシートPを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。そして、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、第1CIS36で検知された位置ズレ量αを相殺するため第2基準位置に戻るように幅方向に移動する。こうして、シートPの一度目の横レジスト補正がおこなわれることになる。
なお、シートPの先端部が挟持ローラ対31に達するタイミングは、第1CIS36によってシートPの先端部を検知するタイミングと、シートPの搬送速度と、第1CIS36の位置から挟持ローラ対31の位置までの距離、などに基いて演算部(制御部)で求めることもできる。
【0066】
その後、
図12(A1)及び(A2)に示すように、補正後のシートPが第2CIS37の位置に達すると、挟持ローラ対31によって挟持・搬送されているシートPの横レジストの位置ズレ量αとスキュー量βとが2つのCIS36、37によって連続的に検知される。
そして、
図12(B1)及び(B2)に示すように、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、2つのCIS36、37で検知された横レジストの位置ズレ量αを相殺する方向に距離αだけ
図12(A1)の第2基準位置から幅方向(黒矢印方向)にシフト移動する。また、これとほぼ同じタイミングで、挟持ローラ対31は、シートPを挟持・搬送しながら、2つのCIS36、37で検知されたスキュー量βを相殺する方向に軸部71aを中心に角度βだけ
図12(A1)の第1基準位置から矢印方向に回動する。
こうして、シートPは、再び横レジスト補正と斜行補正とがおこなわれながら、転写ローラ7(画像形成部)に向けて搬送されることになる。このとき、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせるように、挟持ローラ対31の回転数(転写ローラ7に達するまでのシートPの搬送速度)が可変される。
【0067】
そして、
図12(C1)及び(C2)に示すように、シートPが転写ローラ7(画像転写部)に向けて搬送されて、シートP上の所望の位置に画像が転写されることになる。このとき、シートPが転写ローラ7によって搬送されると、挟持ローラ対31が搬送経路を開放してシートPを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。そして、挟持ローラ対31は、次に搬送されるシートPの斜行補正及び横レジスト補正に備えて、第1基準位置及び第2基準位置に戻されることになる。また、離間状態にあった第4搬送ローラ対44が当接状態に戻されて、次に搬送されるシートPのスキュー補正に備えることになる。その後、シートPの後端が挟持ローラ対31の位置を通過すると、挟持ローラ対31が搬送経路を閉鎖してシートPを挟持できる方向に当接移動して、
図11(A1)及び(A2)の状態になって、次に搬送されるシートPの横レジスト補正に備えることになる。
このような動作が繰り返されて、搬送装置30における一連の動作が終了することになる。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態3における搬送装置30は、回転駆動が停止された状態の第4搬送ローラ対44(ゲート手段)に向けて搬送されたシートPの先端部を第4搬送ローラ対44に突き当ててシートPの回転方向の位置ズレ量を補正した後に、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いてシートPの幅方向の位置ズレ量を補正するように挟持ローラ対31がシートPを挟持した状態で幅方向に移動する。そして、第4搬送ローラ対44や挟持ローラ対31によって回転方向及び幅方向の位置ズレ量が補正された後のシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量が2つのCIS36、37(第1、第2検知手段)によって検知されて、その検知結果に基いてシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、シートPを挟持した状態で挟持ローラ対31が幅方向や回転方向に移動する。
これにより、斜行補正と横レジスト補正とがされた後のシートPが、回転方向や幅方向に再び位置ズレしてしまうことがなく、シートPの斜行補正と横レジスト補正とをさらに高精度におこなうことができる。
【0069】
<実施の形態4>
図13にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図13は、実施の形態4における画像形成装置100を示す全体構成図である。本実施の形態4における画像形成装置100は、インクジェット方式のものである点が、電子写真方式のものである前記各実施の形態のものとは相違する。
図13において、100は画像形成装置としてのインクジェットプリンタ、102はシートPを搬送する搬送ドラム、103、104はシートPを搬送する搬送ローラ、105は搬送ドラム102上でシートPを把持するクリッパ、を示す。
また、106は搬送ドラム102からシートPを分離する分離部材、107は搬送ドラム102から分離されたシートPを搬送する搬送ベルト、108はプリント後のシートPが排紙・積載される排紙トレイ、を示す。
また、110Y、110M、110C、110Kはインクジェット方式により印字・印画するための画像形成部がユニット化された記録ヘッド(印字モジュール)、を示す。
そして、本実施の形態4におけるインクジェット方式の画像形成装置100にも、前記各実施の形態のものと同様に、特徴的な搬送装置30が設置されている。
【0070】
ここで、本実施の形態4における画像形成装置100は、カラー画像を形成するためのものであって、
図13に示すように、黒色用の記録ヘッド110Kと、カラー用の3色(イエロー、マゼンタ、シアン)の記録ヘッド110Y、110M、110Cと、が設置されている。これらの4つの記録ヘッド110Y、110M、110C、110Kは、搬送ドラム102に対向して、搬送ドラム102の回転方向に沿うように並設されている。
なお、4つの記録ヘッド110Y、110M、110C、110Kは、プリントに用いられるインクの色(種類)が異なる以外はほぼ同一構造である。記録ヘッド110Y、110M、110C、110Kは、その主部が圧電アクチュエータやサーマルアクチュエータなどで構成されていて、液滴としてのインクを吐出するノズルや、インクが充填されたインクタンクや、制御基板(制御部)などが設けられている。
【0071】
図13を参照して、画像形成装置1の動作について簡単に説明する。
まず、パソコンなどから画像形成装置100の制御部に画像情報とともにプリント指令が入力されると、給紙ローラによって給紙カセット12からシートPが給送される。給紙カセット12から給送されたシートPは、搬送装置30によって、搬送ドラム102に向けて搬送される。このとき、搬送装置30において、前記各実施の形態のものと同様に、2つのCIS36、37の検知結果に基づいて、挟持ローラ対31によるシートPの幅方向や回動方向の位置ズレ補正がおこなわれる。
他方、各色の記録ヘッド110Y、110M、110C、110Kでは、入力された画像情報に基づいて各色の書込み情報に変換される。
そして、搬送ドラム102に搬送されたシートPは、クリッパ105に把持された状態で搬送ドラム102上に位置決めされて、搬送ドラム102の反時計方向に回転に沿うように搬送される。
そして、搬送ドラム102の回転によって
図13の矢印方向に搬送されるシートP上に、各色の記録ヘッド110Y、110M、110C、110Kから書込み情報に基づいて液滴としてのインクが順次吹き付けられて、シートP上に所望のカラー画像が形成される。
その後、所望の画像が形成されたシートPは、分離部材106によって搬送ドラム102から分離される。そして、搬送ドラム102から分離されたシートPは、搬送ベルト107によって搬送されて、排紙トレイ108上に排出されることになる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態4における搬送装置30(画像形成装置100)は、前記各実施の形態のものと同様に、挟持ローラ対31(ゲート手段)への突き当てによってシートPの回転方向の位置ズレ量が補正されて、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いた挟持ローラ対31のシフト移動によってシートPの幅方向の位置ズレ量が補正された後に、シートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量が2つのCIS36、37(第1、第2検知手段)によって検知されて、その検知結果に基いてシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、シートPを挟持した状態で挟持ローラ対31が幅方向や回転方向に移動する。
これにより、斜行補正と横レジスト補正とがされた後のシートPが、回転方向や幅方向に再び位置ズレしてしまうことがなく、シートPの斜行補正と横レジスト補正とをさらに高精度におこなうことができる。
【0073】
<実施の形態5>
図14にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図14は、実施の形態5における画像形成装置1を示す全体構成図である。本実施の形態5における画像形成装置1は、画像形成後のシートPに対して穿孔処理や綴じ処理や折り処理などの後処理を施す後処理装置150が設置されている点が、前記各実施の形態のものとは相違する。
図14において、150は画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される後処理装置、151は画像形成後のシートPに対して穿孔処理を施する穿孔装置、152は画像形成後のシートPに対して綴じ処理をおこなう綴じ装置、153は画像形成後のシートPに対して折り処理をおこなう折り装置、を示す。また、155は第1排紙トレイ、156は第2排紙トレイ、157は第3排紙トレイ、を示す、
そして、本実施の形態5における後処理装置150にも、前記各実施の形態のものと同様に、特徴的な搬送装置30が設置されている。
【0074】
なお、第1搬送経路K1は、穿孔装置151によって穿孔処理が施されたシートP、又は、後処理が施されないシートPを、第1排紙トレイ155に排出するための経路である。
また、第2搬送経路K2は、シートPを綴じ装置152に向けて搬送して、綴じ処理後のシート束を第2排紙トレイ156に排出するための経路である。
また、第3搬送経路K3は、シートPを折り装置153に向けて搬送して、中折り処理後のシートPを第3排紙トレイ157に排出するための経路である。
【0075】
図14を参照して、後処理装置150の動作について簡単に説明する。
まず、画像形成装置本体1から排出されたシートPは、後処理装置150内に搬送される。そして、搬送装置30において、前記各実施の形態のものと同様に、2つのCIS36、37の検知結果に基づいて、挟持ローラ対31によるシートPの幅方向や回動方向の位置ズレ補正がおこなわれる。その後、位置補正されたシートPは、ユーザーが指定した後処理にしたがって、3つの搬送経路K1~K3のいずれかに搬送されて、指定された後処理が施されて、いずれかの排紙トレイ155~157に排出されることになる。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態5における搬送装置30(後処理装置150)は、前記各実施の形態のものと同様に、挟持ローラ対31(ゲート手段)への突き当てによってシートPの回転方向の位置ズレ量が補正されて、第1CIS36(第1検知手段)の検知結果に基いた挟持ローラ対31のシフト移動によってシートPの幅方向の位置ズレ量が補正された後に、シートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量が2つのCIS36、37(第1、第2検知手段)によって検知されて、その検知結果に基いてシートPの幅方向や回転方向の位置ズレ量がさらに補正されるように、シートPを挟持した状態で挟持ローラ対31が幅方向や回転方向に移動する。
これにより、斜行補正と横レジスト補正とがされた後のシートPが、回転方向や幅方向に再び位置ズレしてしまうことがなく、シートPの斜行補正と横レジスト補正とをさらに高精度におこなうことができる。
特に、本実施の形態5では、後処理装置150において、シートPの位置ズレの少ない、精度の高い後処理を施すことができる。
【0077】
最後に、
図15、
図16を用いて、前記各実施の形態における搬送装置30でおこなわれる「第2の補正」について、さらに補足して説明する。
図15は、「第2の補正(再補正)」の制御フローを示すフローチャートであって、
図16は第2の補正に関する制御部を示すブロック図である。
図15に示すように、第2の補正では、まず、第1CIS36と第2CIS37とによってシートPが検知され(ステップS31)、シートPの幅方向の位置ズレ量とスキュー量とが検知される(ステップS32)。そして、これらの検知結果に基いて、幅方向の補正量やスキュー補正量が算出され(ステップS33)、それぞれのエンコーダ(
図16に示す第2、第3駆動モータエンコーダである。)によりエンコーダカウント数が算出される(ステップS34)。そして、算出されたエンコーダカウント数に応じて、それぞれのモータドライバ(
図16に示す第2、第3駆動モータドライバである。)によって第2駆動モータ62や第3駆動モータ63が駆動される(ステップS35)。そして、このようなステップS31~S35のフローが、第1CIS36によってシートPが検知されている間(第1、第2CIS36、37でシートPの位置を検知可能な間)、繰り返しおこなわれる(ステップS36)。
第2の補正では、補正開始後から、第1CIS36と第2CIS37とによってシートPの位置情報が時々刻々と検知される。 そして、それらの位置情報に基いてシートPの幅方向の位置ズレ量とスキュー量とが算出されて制御部にフィードバックされ、エンコーダカウント数(シートPの幅方向の位置ズレ補正量とスキュー補正量)が時々刻々と修正される。このようにフィードバック制御がおこなわれることにより、第2の補正時に生じるシートPの位置ズレや、第2の補正時の補正の誤差等を補正することが可能となり、より精度の高い補正をおこなうことができる。
【0078】
図16において、制御部は、画像形成装置における種々の動作を制御する。制御部における位置認識部は、第1、第2CIS36、37から受けた情報からシートPの幅方向の位置ズレ量とスキュー量とをそれぞれカウントするものである。また、第2駆動モータ制御部は、位置認識部から得たスキュー量に基づいて、第2駆動モータ62の駆動量(回転角度及び回転方向)を決定する。また、第3駆動モータ制御部は、位置認識部から得た幅方向の位置ズレ量に基づいて、第3駆動モータ63の駆動量(回転角度及び回転方向)を決定する。第2、第3駆動モータドライバは、第2、第3駆動モータ制御部からそれぞれ信号を受け取り、第2、第3駆動モータをそれぞれ駆動する。第2、第3駆動モータエンコーダは、第2、第3駆動モータのそれぞれの回転量を検出する。
【0079】
なお、前記各実施の形態では、横レジスト・斜行補正ローラとして機能する挟持ローラ対31を、感光体ドラム5上に形成された画像にタイミングを合わせてシートPを搬送するレジストローラとしても機能させる搬送装置30に対して本発明を適用した。しかし、本発明を適用することができる搬送装置はこれに限定されることはなく、その他の構成の搬送装置であっても、斜行補正と横レジスト補正とをおこなう搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。例えば、横レジスト・斜行補正ローラとして機能する挟持ローラ対31の下流側にレジストローラが設置された搬送装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、画像が形成されるシートPとしての転写紙の斜行補正や横レジスト補正をおこなう搬送装置30に対して本発明を適用したが、シートPとしての原稿の斜行補正や横レジスト補正をおこなう搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される搬送装置30や、インクジェット方式の画像形成装置100に設置される搬送装置30や、画像形成装置1における後処理装置150に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、オフセット印刷機などである。)に設置される搬送装置であっても、斜行補正と横レジスト補正とをおこなう搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、前記各実施の形態では、第1検知手段や第2検知手段としてCIS36、37を用いたが、シートPの幅方向端部の位置を検知できるセンサとして、CISの代わりに、透過型のエッジセンサなどを用いることもできる。
また、前記各実施の形態では、第2の補正時に、2つのCIS36、37によって、幅方向の位置ズレ量と、回転方向の位置ズレ量と、の両方を検知したが、いずれか一方のみを再補正すれば充分である場合には、その一方のみを2つのCIS36、37によって検知するように構成することもできる。
【0081】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0082】
なお、本願において、「幅方向」とは、シートの搬送方向に対して直交する方向であるものと定義する。
また、本願において、「シート」とは、通常の紙(用紙)の他に、コート紙、ラベル紙、OHPシート、フィルム等のシート状のシートのすべてを含むものと定義する。
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
7 転写ローラ(下流側搬送ローラ)、
30 搬送装置、
31 挟持ローラ対(ゲート手段、レジストローラ)、
31a 駆動ローラ、
31b 従動ローラ、
31c 突当部材(ゲート手段)、
31c1 突当部、
35 傾斜搬送ガイド板(搬送ガイド板)、
36 第1CIS(第1検知手段)、
37 第2CIS(第2検知手段)、
44 第4搬送ローラ対(上流側搬送ローラ対)、
51 整合部、
61 第1駆動モータ(駆動手段)、
62 第2駆動モータ(回動モータ、移動量検知手段)、
63 第3駆動モータ(シフトモータ、移動量検知手段)、
P シート。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】