(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】自走式作業機の制御方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
A01D 34/64 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
A01D34/64 M
(21)【出願番号】P 2019115190
(22)【出願日】2019-06-21
(62)【分割の表示】P 2018029185の分割
【原出願日】2018-02-21
【審査請求日】2020-12-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社ササキコーポレーション「電動作業機スマモ」カタログ平成30年2月19日配布 株式会社ササキコーポレーションホームページ平成30年2月19日掲載 農経しんぽう 平成30年2月19日 第10面 農機新聞 平成30年2月20日 第13面 農村ニュース 平成30年2月19日 第10面
(73)【特許権者】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100102015
【氏名又は名称】大澤 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100099690
【氏名又は名称】鷺 健志
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【氏名又は名称】安原 正義
(72)【発明者】
【氏名】甲地 重春
(72)【発明者】
【氏名】梅田 洵平
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
(72)【発明者】
【氏名】栗原 英治
(72)【発明者】
【氏名】山下 晃平
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-85907(JP,A)
【文献】特開2016-195545(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0227368(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラによって操作される自走式草刈機において、
該自走式草刈機は、駆動走行をさせる複数の走行モータと、刈刃を回転駆動させる複数の刈刃モータと、前記刈刃を上下に昇降駆動させるリフトモータを有する刈刃リフト部と、前記走行モータ及び前記刈刃モータの回転駆動、前記刈刃の上下昇降を制御する制御部と、前記刈刃モータの負荷に応じた前記走行モータの電流又は回転数を予め設定した設定値を記憶する記憶部と、前記走行モータ及び前記刈刃モータの回転数及び電流を検出し検出値を出力すると共に、前記走行モータ及び前記刈刃モータを前記制御部によって決定された回転数で出力させる回転制御部と、を備え、
前記走行モータ及び前記刈刃モータのいずれか1つの検出値が、設定された設定値を超えた場合、前記走行モータ及び前記刈刃モータ及び前記リフト部を含む全ての駆動を停止させ、
左走行モータ負荷電流以上か否かを判断し、左走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
左走行モータ負荷電流以上でない場合は、右走行モータ負荷電流以上か否かを判断し、右走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
右走行モータ負荷電流以上でない場合は、左刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断し、左刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
左刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、右刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断し、右刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
右刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、再度、左走行モータ負荷電流以上か否かを判断する、
ことを特徴とした自走式作業機の制御方法。
【請求項2】
コントローラによって操作される自走式草刈機において、
該自走式草刈機は、駆動走行をさせる複数の走行モータと、刈刃を回転駆動させる複数の刈刃モータと、前記刈刃を上下に昇降駆動させるリフトモータを有する刈刃リフト部と、前記走行モータ及び前記刈刃モータの回転駆動、前記刈刃の上下昇降を制御する制御部と、前記刈刃モータの負荷に応じた前記走行モータの電流又は回転数を予め設定した設定値を記憶する記憶部と、前記走行モータ及び前記刈刃モータの回転数及び電流を検出し検出値を出力すると共に、前記走行モータ及び前記刈刃モータを前記制御部によって決定された回転数で出力させる回転制御部と、を備え、
前記制御部は、前記走行モータ及び前記刈刃モータのいずれか1つの検出値が、設定された設定値を超えた場合、前記走行モータ及び前記刈刃モータ及び前記リフト部を含む全ての駆動を停止させ、
左走行モータ負荷電流以上か否かを判断し、左走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
左走行モータ負荷電流以上でない場合は、右走行モータ負荷電流以上か否かを判断し、右走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
右走行モータ負荷電流以上でない場合は、左刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断し、左刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
左刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、右刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断し、右刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
右刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、再度、左走行モータ負荷電流以上か否かを判断する、
ことを特徴とした自走式作業機の制御装置。
【請求項3】
前記自走式草刈機は作動状態を知らせるランプをさらに設けられ、
該ランプは、前記制御部によって前記走行モータ及び前記刈刃モータ及び前記リフト部を含む全ての駆動を停止させられたのちに点滅発光する、
ことを特徴とした請求項1に記載の自走式作業機の制御方法。
【請求項4】
前記自走式草刈機は作動状態を知らせるランプをさらに設けられ、
該ランプは、前記制御部によって前記走行モータ及び前記刈刃モータ及び前記リフト部を含む全ての駆動を停止させられたのちに点滅発光する、
ことを特徴とした請求項2に記載の自走式作業機の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自走式作業機の制御方法及び制御装置に係る。
【背景技術】
【0002】
特許文献1:「草刈り作業車」には、カッターに加わる負荷を監視する過負荷検出手段により、過負荷状態が検出された場合には、過負荷検出手段より走行制御手段に対して指令が送られる。走行制御手段はこれに基づいて走行駆動手段を制御し、走行速度を減速するよう制御する草刈り作業車についての記載がある。
特許文献2:「芝刈機」には、刈刃の回転状態について異常を検知する刈刃異常検知部と、刈刃異常検知部の検知情報に基づいて刈刃の異常状態を周囲に報知する刈刃異常報知部を備えた芝刈機についての記載がある。この芝刈機はさらに、刈刃異常検知部で異常が検知された場合に、刈刃モータを自動停止させる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-310026号公報
【文献】特開2016-158594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者が、草刈機本体から離れてコントロール可能な草刈機は、草刈作業は連続的に作業ができることが求められている反面、草刈機本体の周囲の詳細までは把握できない物理的問題がある。
すなわち、この発明に係る、自走式作業機の制御方法及び制御装置は、コントローラ操作者とは、10mとか20m離れた地上を走行するため、走行中の動作をコントローラ操作者は確認できない。そのため、自走式作業機の安全を見越しておく必要がある。
草刈作業において、刈刃への刈取対象物である草以外(石など)の異物の噛み込み、草の回転刃への巻付きによる刈刃モータへの過負荷や、衝突及び駆動輪への草の巻付き等による走行モータへの過負荷が生じることがある。各モータへの回転過負荷はモータへの過電流を生じさせ、結果として各モータが損傷し、草刈作業が以後継続できなくなる問題がある。他方、刈刃への負荷は、刈刃を回転させながらでも自己の回転による遠心力で異物を除去できる場合が多い。
【0005】
特許文献1「草刈り作業車」においては、刈刃モータの負荷時間に応じて走行速度が減速し、さらに負荷状態の時間が続くと、刈刃や走行が停止する。この負荷の検出は回転の変化や油圧の変化を捉えているものであるが、回転の変化時間による判断で刈刃が停止してしまうと、その都度刈刃を点検する必要があるため作業効率が悪い問題点を有する。
特許文献2「芝刈機」においては、異常負荷を検知すると刈刃の回転は停止するが、走行モータが停止するわけではないので、無駄に走行しバッテリ電圧を無駄に消費させる問題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、
コントローラによって操作される自走式草刈機において、
該自走式草刈機は、駆動走行をさせる複数の走行モータと、刈刃を回転駆動させる複数の刈刃モータと、前記刈刃を上下に昇降駆動させるリフトモータを有する刈刃リフト部と、前記走行モータ及び前記刈刃モータの回転駆動、前記刈刃の上下昇降を制御する制御部と、前記刈刃モータの負荷に応じた前記走行モータの電流又は回転数を予め設定した設定値を記憶する記憶部と、前記走行モータ及び前記刈刃モータの回転数及び電流を検出し検出値を出力すると共に、前記走行モータ及び前記刈刃モータを前記制御部によって決定された回転数で出力させる回転制御部と、を備え、
前記走行モータ及び前記刈刃モータのいずれか1つの検出値が、設定された設定値を超えた場合、前記走行モータ及び前記刈刃モータ及び前記リフト部を含む全ての駆動を停止させ、
左走行モータ負荷電流以上か否かを判断し、左走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
左走行モータ負荷電流以上でない場合は、右走行モータ負荷電流以上か否かを判断し、右走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
右走行モータ負荷電流以上でない場合は、左刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断し、左刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
左刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、右刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断し、右刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
右刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、再度、左走行モータ負荷電流以上か否かを判断する、
ことを特徴とした自走式作業機の制御方法、
からなる。
【0007】
この発明は、
コントローラによって操作される自走式草刈機において、
該自走式草刈機は、駆動走行をさせる複数の走行モータと、刈刃を回転駆動させる複数の刈刃モータと、前記刈刃を上下に昇降駆動させるリフトモータを有する刈刃リフト部と、前記走行モータ及び前記刈刃モータの回転駆動、前記刈刃の上下昇降を制御する制御部と、前記刈刃モータの負荷に応じた前記走行モータの電流又は回転数を予め設定した設定値を記憶する記憶部と、前記走行モータ及び前記刈刃モータの回転数及び電流を検出し検出値を出力すると共に、前記走行モータ及び前記刈刃モータを前記制御部によって決定された回転数で出力させる回転制御部と、を備え、
前記制御部は、前記走行モータ及び前記刈刃モータのいずれか1つの検出値が、設定された設定値を超えた場合、前記走行モータ及び前記刈刃モータ及び前記リフト部を含む全ての駆動を停止させ、
左走行モータ負荷電流以上か否かを判断し、左走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
左走行モータ負荷電流以上でない場合は、右走行モータ負荷電流以上か否かを判断し、右走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
右走行モータ負荷電流以上でない場合は、左刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断し、左刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
左刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、右刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断し、右刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータを駆動停止させ、併せて走行モータも駆動停止させ、更に、リフトモータも駆動停止され、
右刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、再度、左走行モータ負荷電流以上か否かを判断する、
ことを特徴とした自走式作業機の制御装置、
からなる。
【0008】
この発明は、更に、
前記自走式草刈機は作動状態を知らせるランプをさらに設けられ、
該ランプは、前記制御部によって前記走行モータ及び前記刈刃モータ及び前記リフト部を含む全ての駆動を停止させられたのちに点滅発光する、自走式作業機の制御方法、
からなる。
【0009】
この発明は、更に、
前記自走式草刈機は作動状態を知らせるランプをさらに設けられ、
該ランプは、前記制御部によって前記走行モータ及び前記刈刃モータ及び前記リフト部を含む全ての駆動を停止させられたのちに点滅発光する、自走式作業機の制御装置、
からなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各部駆動モータの損傷を防止し、長時間連続して効率的に草刈作業が行えることができる自走式草刈機の制御方法及び制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施の形態に係る実施例の平面図である。
【
図2】この発明の実施の形態に係る実施例の左側面図である。
【
図3】この発明の実施の形態に係る実施例の正面図である。
【
図4】この発明の実施の形態に係る実施例の背面図である。
【
図5】この発明の実施の形態に係る実施例の本体部操作スイッチの拡大平面図である。
【
図6】この発明の実施の形態に係る実施例の刈刃モータの回転数と走行モータの駆動出力を表すフロー図である。
【
図7】この発明の実施の形態に係る実施例の刈刃モータ電流との走行モータの駆動出力を表すフロー図である。
【
図8】この発明の実施の形態に係る実施例の草刈機の制御の相関を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
Aは、自走式草刈機である。Bは、操作送信機からなるコントローラである。自走式草刈機Aは、コントローラBによって操作する。Jは受信機であり自走式草刈機A上に設置される。
自走式草刈機Aには、本体フレーム01が設けられ、前部に刈刃部C、刈刃部Cの後部には走行部Dを有する。Eは制御部であり、自走式草刈機Aの駆動、作動を制御する。Fは刈刃リフト部であり、走行部Dに取り付けられ刈刃部Cを昇降する。
【0013】
走行部Dには、走行フレーム11が設けられる。走行フレーム11は、自走式草刈機Aの進行方向両側に平行にそれぞれ設ける。12は駆動輪、13は従動輪である。121は、駆動輪12の回転軸である。駆動輪12は、走行フレーム11の後部に取り付けられ、12aは右駆動輪、12bは左駆動輪である。従動輪13は、走行フレーム11の前部に取り付ける。14は、転輪である。転輪14は、駆動輪12、従動輪13の間の走行フレーム11に取り付ける。15は走行モータであり、15aは右走行モータ、15bは左走行モータである。走行モータ15は、左右駆動輪12の左右駆動軸にそれぞれ取り付ける。16は、クローラである。16aは右クローラ、16bは左クローラである。クローラ16は、駆動輪12、転輪14、従動輪13間に架け渡す。
2個の走行モータ15a、15bを駆動して、各駆動輪12を駆動させクローラ16を駆動させ、転輪14、従動輪13を回転することで、自走式草刈機Aは、駆動走行する。
【0014】
21、22は、バッテリである。バッテリ21、バッテリ22は、それぞれ自走式草刈機Aに積載される。23は、電源スイッチであり、バッテリ21、バッテリ22をそれぞれ入切する。
31は、本体部操作スイッチである。本体部操作スイッチ31は、自走式草刈機Aの走行部Dに積載される。本体部操作スイッチ31には、右刈刃スイッチ32、左刈刃スイッチ33、非常停止スイッチ34の各スイッチが設置される。右刈刃スイッチ32は、右刈刃を駆動停止及び回転方向を選択するためのスイッチである。左刈刃スイッチ33は、左刈刃を駆動停止及び回転方向を選択するためのスイッチである。非常停止スイッチ34は、緊急時に自走式草刈機Aの作動を停止させるためのスイッチである。
【0015】
本体部操作スイッチ31には、左刈刃運転ランプ35、右刈刃運転ランプ36、電源ランプ37の各ランプが設置される。左刈刃運転ランプ35は、左刈刃運転ランプの作動時に点灯して知らせる。右刈刃運転ランプ36は、右刈刃運転ランプの作動時に点灯して知らせる。電源ランプ37は、自走式草刈機Aの電源の入切、自走式草刈機Aの作動状態を知らせるランプである。
これらランプは、制御部Eによって走行モータ及び刈刃モータ及びリフト部を含む全ての駆動を停止させられたのちに点滅発光する。
【0016】
41は昇降支点基部、42は刈刃昇降支点軸、43は刈刃昇降アーム、44は昇降シリンダであり、これらで刈刃リフト部Fを構成する。刈刃リフト部Fは、刈刃部Cを上下に昇降駆動させる。
昇降支点基部41は、自走式草刈機Aの走行部Dに取り付ける。刈刃昇降支点軸42は、昇降支点基部41に取り付ける。刈刃昇降アーム43の一方は刈刃昇降支点軸42に取り付ける。昇降シリンダ44は、基部は自走式草刈機Aの走行部Dに取り付け、先端は刈刃昇降アーム43に取り付け、刈刃昇降アーム43の先端を昇降させる。昇降シリンダ44は、リフトモータ(図示せず)の駆動により作動され刈刃昇降アーム43の先端を昇降させる。
【0017】
刈刃部Cは、刈刃昇降アーム43の先端に取り付ける。51は、刈刃モータであり、51aは右刈刃モータ、51bは左刈刃モータである。この実施例では刈刃モータ51は、右刈刃用モータと左刈刃用モータの2個を回転軸を垂直に並べて刈刃部Cに設置する。
52は、刈刃基部である。刈刃基部52は、それぞれ刈刃モータ51の回転軸周囲に設置高さを変えて設ける。隣接する刈刃基部52の設置高さが異なるため、刈刃基部52相互が干渉することは無い。53は、刈刃である。刈刃53は、この実施例では、それぞれ刈刃基部52に等間隔に4個取り付ける。
54は接地体である。接地体54は円盤状からなり、刈刃モータ51の刈刃53よりも先端地面側に取り付ける。
55は、刈刃ハウジングであり、両方の刈刃基部52を覆うように、刈刃部Cに取り付ける。
刈刃モータ51を駆動することで、刈刃基部52を回転させ、刈刃53を回転駆動させる。
【0018】
Hは、記憶部である。記憶部Hは、刈刃モータの負荷に応じた走行モータ15の電流又は回転数を予め設定した設定値を記憶する。
Gは、回転制御部である。回転制御部Gは、走行モータ15及び前記刈刃モータの回転数及び電流を検出し検出値を制御部Eに出力すると共に、走行モータ15及び刈刃モータ15を前記制御部Eによって決定された回転数で出力させる。
回転制御部Gは、制御部Eで制御する。
【0019】
Eは、制御部である。制御部Eは、走行モータ15及び前記刈刃モータ51の回転駆動、前記刈刃53の上下昇降を制御する。記憶部H、回転制御部G、制御部Eは、近接させて設置する。
制御部Eは、回転制御部Gで検出された検出値を、前記記憶部Hで記憶され設定された複数の前記設定値と比較し、前記設定値が前記検出値より上回った場合は、前記記憶部Hに記憶された設定値の回転数で前記走行モータ15を駆動させる。
回転制御部Gで検出された検出値が前記記憶部Hで記憶され複数設定した最大の設定値以上である場合は、走行モータ15の駆動を停止させる。
制御部Eは、走行モータ15及び前記刈刃モータのいずれか1つの検出値が、設定された設定値を超えた場合、走行モータ15及び刈刃モータ51及びリフト部Fを含む全ての駆動を停止させる。
【0020】
図8に図示するブロック図について制御関係を説明する。
送信コントローラからなる送信機Bから操作信号が送信される。受信機Jでは、送信機Bからの操作信号を受領して操作信号を制御装置eに伝送する。
操作装置eは、制御部Eと記憶部Hとからなる。制御部Eは、走行制御部E1と刈刃制御部E2とリフト制御部E3とからなる。
【0021】
走行制御部E1は、右走行モータ制御部G1、左走行モータ制御部G2、右刈刃モータ回転制御部G3、左刈刃モータ回転制御部に接続される。右走行モータ制御部G1は右走行モータ15aに、左走行モータ制御部G2は左走行モータ15bに、右刈刃モータ回転制御部G3は右刈刃モータ51aに、左刈刃モータ回転制御部G4は左刈刃モータ51bの各刈刃モータ51にそれぞれ接続される。
刈刃制御部E2は、右刈刃スイッチ32、左刈刃スイッチ33、非常停止スイッチ34、右刈刃運転ランプ36、左刈刃運転ランプ35、電源ランプ37にそれぞれ接続される。
電源スイッチ23は、制御装置eに接続される。
リフト制御部E3は、リフトモータ(図示せず)に接続される。
制御部Eは、記憶部Hに接続される。
【0022】
図6に図示する刈刃モータ51の回転数と走行モータ15の駆動出力をあらわすフロー図について説明する。
電源にオン状態をとらせる。次いで、自動刈取スイッチにオン状態をとらせる。すると、刈刃モータ電流検知はスタートする。併せて、走行モータ電流検知もスタートする。刈刃モータ51は指定方向へ回転する。走行モータ15は前進駆動する。
刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数A(この実施例では、3000rpm)以上であるか否かを判断する。刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数A以上である場合は、走行モータ15は、100パーセント出力させる。
【0023】
刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数A以上でない場合は、刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数B(この実施例では、2500rpm)以上であるか否かを判断する。刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数B以上である場合は、走行モータ15は、50パーセント出力させる。
刈刃53前方に物が有り、絡まっているため回転数A以上とならないと思われるので、取り敢えず、走行スピードを落として刈刃53間に入り込む草の量を少なくしてみる。
【0024】
刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数B以上でない場合は、刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数C(この実施例では、2000rpm)以上であるか否かを判断する。刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数C以上である場合は、走行モータ15は、30パーセント出力させる。
刈刃53前方に物が有り、絡まっているため回転数A以上とならないと思われるので、取り敢えず、更に、走行スピードを落として刈刃53間に入り込む草の量を少なくしてみる。
【0025】
刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数C以上でない場合は、刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数D(この実施例では、1000rpm)以上であるか否かを判断する。
刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数D以上である場合は、刈刃への負荷は、刈刃を回転させながらでも自己の回転による遠心力で異物を除去できる場合が多いため、既に異物が取れている可能性があるので、走行モータ15は、再度刈刃回転数があらかじめ記憶された所定の回転数A(この実施例では、3000rpm)以上であるか否かを判断する。
検出値が最小の設定値回転数Dを満たしていないと判断した場合は、前記走行モータの駆動を停止させる、
【0026】
図6に図示するように、この発明の実施例では、複数回検出値の対比をおこなう。刈刃回転数A、刈刃回転数B、刈刃回転数C、刈刃回転数Dと順次刈刃回転数の設定値は少なくする。
第1の検出値である刈刃回転数Aよりも、第2の検出値である刈刃回転数Bの方が、負荷は大である。第2の検出値である刈刃回転数Bよりも、第3の検出値である刈刃回転数Cの方が、負荷は大である。第3の検出値である刈刃回転数Cよりも、第4の検出値である刈刃回転数Dの方が負荷は大である。それぞれ逆順に負荷は小となる。
【0027】
図7に図示する刈刃モータ51電流との走行モータ15の駆動出力をあらわすフロー図について説明する。
電源にオン状態をとらせる。すると、電源ランプが点灯する。次いで、自動刈取スイッチにオン状態をとらせる。すると、刈刃モータ電流検知はスタートする。併せて、走行モータ電流検知もスタートする。
左走行モータ負荷電流以上か否かを判断する。左走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータ51を駆動停止させる。併せて走行モータ15も駆動停止させる。更に、リフトモータも駆動停止される。電源ランプ37が点滅される。
【0028】
左走行モータ負荷電流以上でない場合は、右走行モータ負荷電流以上か否かを判断する。右走行モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータ51を駆動停止させる。併せて走行モータ15も駆動停止させる。更に、リフトモータも駆動停止される。電源ランプ37が点滅される。
【0029】
右走行モータ負荷電流以上でない場合は、左刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断する。左刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータ51を駆動停止させる。併せて走行モータ15も駆動停止させる。更に、リフトモータも駆動停止される。電源ランプ37が点滅される。
左刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、右刈刃モータ負荷電流以上か否かを判断する。右刈刃モータ負荷電流以上の場合は、刈刃モータ51を駆動停止させる。併せて走行モータ15も駆動停止させる。更に、リフトモータも駆動停止される。電源ランプ37が点滅される。
【0030】
右刈刃モータ負荷電流以上でない場合は、再度、左走行モータ負荷電流以上か否かを判断する。
刈刃モータ負荷電流を、走行モータ負荷電流よりも先に判断する。刈刃の負荷を優先して検知する方が、草刈時の過負荷をいち早く察知できるためである。
本発明の実施例によれば、各部駆動モータの損傷を防止し、長時間連続して効率的に草刈作業が行えることができる自走式草刈機の制御方法及び制御装置を提供できる。
【符号の説明】
【0031】
15 走行モータ
15a 右走行モータ
15b 左走行モータ
51 刈刃モータ
51a 右刈刃モータ
51b 左刈刃モータ
53 刈刃
A 自走式草刈機
B コントローラ
C 刈刃部
D 走行部
E 制御部
F 刈刃リフト部
G 回転制御部
H 記憶部