(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】記録テープカートリッジ、バーコード印刷システム、バーコード印刷方法及びバーコード付き記録テープカートリッジの製造方法
(51)【国際特許分類】
G11B 23/107 20060101AFI20220210BHJP
G11B 23/38 20060101ALI20220210BHJP
B41J 3/01 20060101ALI20220210BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20220210BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220210BHJP
B65H 75/02 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
G11B23/107
G11B23/38 B
B41J3/01
B41J3/407
B41J2/01 129
B41J2/01 109
B65H75/02 F
(21)【出願番号】P 2019056192
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大迫 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】角屋 陽介
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-373479(JP,A)
【文献】特開平07-037365(JP,A)
【文献】特開2003-246172(JP,A)
【文献】特開平11-216851(JP,A)
【文献】特開2013-140657(JP,A)
【文献】特開2003-272343(JP,A)
【文献】特開2000-311467(JP,A)
【文献】米国特許第09824720(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 23/00 - 23/50
B41J 3/01
B41J 3/407
B41J 2/01
B65H 75/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の周囲に第1周壁が立設された第1ハーフと底板の周囲に第2周壁が立設された第2ハーフとが前記第1周壁と前記第2周壁とを互いに突き合わせた状態で接合されることで構成され、記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、
前記ケースのドライブ装置への装填方向とは反対側における前記第1周壁の第1ハーフラベル面と前記第2周壁の第2ハーフラベル面とで構成されたラベル面と、
を備え、
前記第1ハーフラベル面又は前記第2ハーフラベル面のみに、個体識別情報が記録された1次元又は2次元バーコードが印刷され
、
前記1次元又は2次元バーコードが印刷されていない前記第1ハーフラベル面又は前記第2ハーフラベル面に、前記1次元又は2次元バーコードに対応した文字コードが印刷されている記録テープカートリッジ。
【請求項2】
前記
第1ハーフラベル面及び前記第2ハーフラベル面の表面粗さが0.2μm~0.5μmとされている請求項1に記載の記録テープカートリッジ。
【請求項3】
少なくとも前記1次元又は2次元バーコードが印刷される前の前記第1ハーフラベル面及び前記第2ハーフラベル面が白色に形成されている請求項1又は請求項2に記載の記録テープカートリッジ。
【請求項4】
天板の周囲に第1周壁が立設された第1ハーフと底板の周囲に第2周壁が立設された第2ハーフとが前記第1周壁と前記第2周壁とを互いに突き合わせた状態で接合されることで構成され、記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、前記ケースのドライブ装置への装填方向とは反対側における前記第1周壁の第1ハーフラベル面と前記第2周壁の第2ハーフラベル面とで構成されたラベル面と、を備えた記録テープカートリッジを搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された前記記録テープカートリッジにおける前記第1ハーフラベル面又は前記第2ハーフラベル面のみに、個体識別情報が記録された1次元又は2次元バーコードを印刷する印刷部と、
を備えたバーコード印刷システム。
【請求項5】
前記第1ハーフラベル面と前記第2ハーフラベル面との境界線として前記ラベル面に形成されたパーティングラインを検知する検知部と、
前記検知部で検知した前記パーティングラインの位置に基づいて前記搬送部の位置を調整する調整部と、
を備えた
請求項4に記載のバーコード印刷システム。
【請求項6】
前記
印刷部は、
前記第1ハーフラベル面及び前記第2ハーフラベル面の少なくとも一方に白色の下地を印刷する下地印刷手段と、
前記第1ハーフラベル面又は前記第2ハーフラベル面に印刷された前記下地に黒色の1次元又は2次元バーコードを印刷するバーコード印刷手段と、
を
有する請求項4又は請求項5に記載のバーコード印刷システム。
【請求項7】
前記
下地印刷手段は、前記第1ハーフラベル面及び前記第2ハーフラベル面の両方に白色の下地を印刷し、
前記印刷部は、前記1次元又は2次元バーコードが印刷されていない前記第1ハーフラベル面に印刷された前記下地又は前記第2ハーフラベル面に印刷された前記下地に、前記1次元又は2次元バーコードに対応した文字コードを印刷する文字コード印刷手段を有する請求項
6に記載のバーコード印刷システム。
【請求項8】
天板の周囲に第1周壁が立設された第1ハーフと底板の周囲に第2周壁が立設された第2ハーフとが前記第1周壁と前記第2周壁とを互いに突き合わせた状態で接合されることで構成され、記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、前記ケースのドライブ装置への装填方向とは反対側における前記第1周壁の第1ハーフラベル面と前記第2周壁の第2ハーフラベル面とで構成されたラベル面と、を備え、搬送部によって搬送される記録テープカートリッジにおける前記第1ハーフラベル面及び前記第2ハーフラベル面の少なくとも一方に白色の下地を印刷する下地印刷工程と、
前記第1ハーフラベル面に印刷された前記下地又は前記第2ハーフラベル面に印刷された前記下地のみに、個体識別情報が記録された1次元又は2次元バーコードを印刷するバーコード印刷工程と、
を有す
るバーコード印刷
方法。
【請求項9】
前記1次元又は2次元バーコードが印刷されていない前記第1ハーフラベル面に印刷された前記下地又は前記第2ハーフラベル面に印刷された前記下地に、前記1次元又は2次元バーコードに対応した文字コードを印刷する文字コード印刷工程を有する
請求項8に記載のバーコード印刷方法。
【請求項10】
前記
第1ハーフラベル面と前記第2ハーフラベル面との境界線として前記ラベル面に形成されたパーティングラインを検知する検知工程と、
前記検知工程で検知した前記パーティングラインの位置に基づいて前記搬送部の位置を調整する調整工程と、
を有する
請求項8又は請求項9に記載のバーコード印刷方法。
【請求項11】
請求項8~請求項10の何れか1項に記載のバーコード印刷方法により、記録テープカートリッジに1次元又は2次元バーコードを印刷するバーコード付き記録テープカートリッジの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録テープカートリッジ、バーコード印刷システム、バーコード印刷方法及びバーコード付き記録テープカートリッジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューター等の外部記録媒体として使用される記録テープカートリッジは、ライブラリーと呼ばれる収納庫に複数収納されて保管される場合がある。所望の記録テープカートリッジをドライブ装置へ装填する際には、ライブラリーに設けられたロボットハンドにより、その記録テープカートリッジが、後部を把持されることでライブラリーから取り出され、ドライブ装置へ装填される。
【0003】
ところで、ライブラリーに収納されている各記録テープカートリッジは、そのケースの後壁に形成されたラベル面に貼り付けられたバーコードラベルのバーコードによって個体が識別される。つまり、ライブラリーにおいて、ロボットハンドが記録テープカートリッジの後部を把持した際、そのラベル面に貼り付けられているバーコードラベルのバーコードが、ロボットハンドに設けられたバーコード読取装置によって読み取られる。
【0004】
バーコードラベルとしては、メモ書き可能なバーコードラベルが、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような個体識別用のバーコードラベルは、バーコードが印刷されてからケースのラベル面に人手により貼り付けられるため、その人手による貼付作業が煩瑣となる難点がある。
【0005】
一方、バーコードをケースのラベル面にレーザー又はインク等を用いて形成(印刷)してもよいことが、従来に提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、記録テープカートリッジのケースは、上ハーフの周壁と下ハーフの周壁とを突き合わせた状態で接合して構成するため、バーコードがパーティングラインを越えて印刷されていると、バーコードを構成する複数のラインが途中で切れたり、ずれてしまったりして、バーコードに対する読み取り不良が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-49727号公報
【文献】特開2018-129103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本開示は、ケースのラベル面にバーコードを印刷しても、そのバーコードに対する読み取り不良の発生を抑制できる記録テープカートリッジと、そのバーコード印刷システム、バーコード印刷方法及びバーコード付き記録テープカートリッジの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本開示に係る記録テープカートリッジは、天板の周囲に第1周壁が立設された第1ハーフと底板の周囲に第2周壁が立設された第2ハーフとが第1周壁と第2周壁とを互いに突き合わせた状態で接合されることで構成され、記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、ケースのドライブ装置への装填方向とは反対側における第1周壁の第1ハーフラベル面と第2周壁の第2ハーフラベル面とで構成されたラベル面と、を備え、第1ハーフラベル面又は第2ハーフラベル面のみに、個体識別情報が記録された1次元又は2次元バーコードが印刷され、1次元又は2次元バーコードが印刷されていない第1ハーフラベル面又は第2ハーフラベル面に、1次元又は2次元バーコードに対応した文字コードが印刷されている。
【0009】
また、本開示に係るバーコード印刷システムは、天板の周囲に第1周壁が立設された第1ハーフと底板の周囲に第2周壁が立設された第2ハーフとが第1周壁と第2周壁とを互いに突き合わせた状態で接合されることで構成され、記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、ケースのドライブ装置への装填方向とは反対側における第1周壁の第1ハーフラベル面と第2周壁の第2ハーフラベル面とで構成されたラベル面と、を備えた記録テープカートリッジを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された記録テープカートリッジにおける第1ハーフラベル面又は第2ハーフラベル面のみに、個体識別情報が記録された1次元又は2次元バーコードを印刷する印刷部と、を備えている。
【0010】
また、本開示に係るバーコード印刷方法は、天板の周囲に第1周壁が立設された第1ハーフと底板の周囲に第2周壁が立設された第2ハーフとが第1周壁と第2周壁とを互いに突き合わせた状態で接合されることで構成され、記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、ケースのドライブ装置への装填方向とは反対側における第1周壁の第1ハーフラベル面と第2周壁の第2ハーフラベル面とで構成されたラベル面と、を備え、搬送部によって搬送される記録テープカートリッジにおける第1ハーフラベル面及び第2ハーフラベル面の少なくとも一方に白色の下地を印刷する下地印刷工程と、第1ハーフラベル面に印刷された下地又は第2ハーフラベル面に印刷された下地のみに、個体識別情報が記録された1次元又は2次元バーコードを印刷するバーコード印刷工程と、を有している。
【0011】
また、本開示に係るバーコード付き記録テープカートリッジの製造方法は、上記バーコード印刷方法により、記録テープカートリッジに1次元又は2次元バーコードを印刷する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ケースのラベル面にバーコードを印刷しても、そのバーコードに対する読み取り不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る記録テープカートリッジを後方から見て示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る記録テープカートリッジを下方から見て示す分解斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る記録テープカートリッジのラベル面にバーコードを印刷する印刷システムを示す構成図である。
【
図4】本実施形態に係る記録テープカートリッジのラベル面にバーコードを印刷する印刷システムの要部を搬送方向と直交する方向から見て示す拡大図である。
【
図5】本実施形態に係る記録テープカートリッジのラベル面にバーコードを印刷する印刷システムの要部を搬送方向から見て示す拡大図である。
【
図6】本実施形態に係る記録テープカートリッジのラベル面を示す拡大図である。
【
図7】本実施形態に係る記録テープカートリッジのラベル面にバーコードを印刷する印刷システムの作用を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る記録テープカートリッジの変形例を後方から見て示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、
図1において、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を矢印Aで示し、それを記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とする。そして、矢印Aと直交する矢印B方向を右方向(右側)とし、矢印A及び矢印Bと直交する矢印C方向を上方向(上側)とする。
【0015】
まず、記録テープカートリッジ10の全体構成について簡単に説明する。
図1、
図2に示されるように、記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。すなわち、ケース12は、略矩形状の天板14Aと天板14Aの周縁に立設された第1周壁14Bとを有する第1ハーフ14と、略矩形状の底板16Aと底板16Aの周縁に立設された第2周壁16Bとを有する第2ハーフ16と、で構成されている。なお、ケース12は、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製である。
【0016】
また、
図2に示されるように、第1ハーフ14には、非貫通穴とされ、かつ内周面にネジ山が切られた複数(例えば4個)のビスボス42が、第1ハーフ14の各コーナー部近傍に形成されている。そして、第2ハーフ16には、貫通孔とされた複数(例えば4個)のビスボス44が、第1ハーフ14と第2ハーフ16とを重ね合わせたときに(第1周壁14Bの下端面と第2周壁16Bの上端面とを突き合わせたときに)各ビスボス42と対応する位置、即ち第2ハーフ16の各コーナー部近傍に形成されている。
【0017】
ケース12を組み立てるときには、第1周壁14Bの下端面と第2周壁16Bの上端面とを突き合わせるが、このとき、各ビスボス42の下端面と各ビスボス44の上端面とが突き合わされる。そして、この状態で、底板16A側からビス60がビスボス44に挿入されてビスボス42に螺合されることにより、第1ハーフ14と第2ハーフ16とが接合される。なお、第1ハーフ14と第2ハーフ16とを接合する手段は、ビス60に限定されるものではなく、例えば超音波溶着によって接合するようにしてもよい。
【0018】
ケース12の内部には、樹脂製のリール20が1つだけ回転可能に収容されている。リール20は、有底円筒状のリールハブ22と、リールハブ22の軸方向両端部にそれぞれ設けられた円板状の上フランジ24及び下フランジ26と、で構成されている。情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTは、リールハブ22の外周面に巻回されており、その幅方向両端部が、それぞれ上フランジ24と下フランジ26とで位置規制されている。
【0019】
また、
図1、
図2に示されるように、ケース12の右壁12Bには、リール20に巻装された記録テープTを引き出すための開口18が形成されている。そして、
図2に示されるように、この開口18から引き出される記録テープTの自由端部には、ドライブ装置(図示省略)の引出部材(図示省略)によって引き出し操作される略円柱状のリーダーピン30が取り付けられている。
【0020】
記録テープTの幅方向両端部よりも軸方向外側へ突出したリーダーピン30の両端部31における軸方向内側には、それぞれ環状溝32が形成されており、各環状溝32が引出部材のフック等に係止されるようになっている。これにより、引出部材が記録テープTを引き出す際に、そのフック等が記録テープTに接触して、その記録テープTを傷付けることがないようになっている。
【0021】
また、ケース12の開口18の内側、即ち第1ハーフ14の天板14Aの内面及び第2ハーフ16の底板16Aの内面には、ケース12内において、リーダーピン30を位置決めして保持する上下一対のピン保持部36が形成されている。このピン保持部36は、記録テープTの引き出し側が開放された平面視略半円形状をしており、直立状態のリーダーピン30の両端部31は、その開放側からピン保持部36内に出入可能とされている。
【0022】
また、ピン保持部36の近傍には、板バネ34が固定配置されている。この板バネ34の二股状の先端部34Aがリーダーピン30の両端部31をそれぞれ押さえて、そのリーダーピン30をピン保持部36に保持するようになっている。なお、リーダーピン30がピン保持部36に出入する際には、板バネ34の先端部34Aは、適宜弾性変形してリーダーピン30の移動を許容するようになっている。
【0023】
また、第2ハーフ16(底板16A)の中央部には、リール20のリールギア28を外部に露出するためのギア開口40が形成されている。リール20は、リールギア28がドライブ装置の駆動ギア(図示省略)に噛合されることで、ケース12内で回転駆動されるようになっている。また、リール20は、第1ハーフ14及び第2ハーフ16の内面にそれぞれ部分的に突設されて、ギア開口40と同軸的な円形の軌跡上にある遊動規制壁38によってガタつかないように位置規制されている。
【0024】
また、
図1、
図2に示されるように、開口18は、ドア50によって開閉されるようになっている。このドア50は、開口18を閉塞可能な大きさの矩形板状に形成されており、ケース12の右壁12Bに沿って移動できるように、開口18の内側における天板14Aの内面及び底板16Aの内面には、ドア50の上下端部を摺動可能に嵌入させる溝部35が形成されている。
【0025】
また、ドア50の後端部中央には、シャフト52が突設されており、そのシャフト52には、コイルバネ58が嵌挿されている。そして、シャフト52の後端には、そのコイルバネ58がシャフト52から脱落するのを防止する拡開部54が形成されている。また、第2ハーフ16には、そのシャフト52に嵌挿されたコイルバネ58の後端が係止される係止突起64を有する支持台62が突設されている。
【0026】
したがって、ドア50は、シャフト52が支持台62上に摺動自在に支持され、かつコイルバネ58の後端が係止突起64に係止されることにより、そのコイルバネ58の付勢力によって、開口18の閉塞方向へ常時付勢されるようになっている。なお、開口18の開放時にシャフト52を支持する支持台(図示省略)を、支持台62の後方側に更に突設しておくことが好ましい。
【0027】
また、ドア50の前端部には、開閉操作用の凸部56が外方(右方)に向かって突設されている。この凸部56が、記録テープカートリッジ10の前壁12A側からのドライブ装置への装填に伴い、そのドライブ装置の開閉部材(図示省略)と係合するようになっている。これにより、ドア50がコイルバネ58の付勢力に抗して開放されるようになっている。
【0028】
また、
図2に示されるように、第2ハーフ16の底板16Aには、非貫通穴とされた一対の基準穴46、48が左右方向に離間して、かつ前後方向で同じ位置に形成されている。右壁12B側の基準穴46は、底面視で略正方形状に形成されており、左壁12C側の基準穴48は、底面視で左右方向に長い略楕円形状に形成されている。
【0029】
そして、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されたときには、基準穴46及び基準穴48にドライブ装置に設けられた位置決め部材(図示省略)がそれぞれ挿入されるようになっている。これにより、ドライブ装置内において、記録テープカートリッジ10(ケース12)の前後方向及び左右方向が位置決めされるようになっている。
【0030】
また、底板16Aにおける基準穴46及び基準穴48の周りには、それぞれ鏡面仕上げされた円形状の基準面47及び楕円形状の基準面49が形成されている。そして、底板16Aにおける後端角部にも、それぞれ鏡面仕上げされた矩形状(前後方向が長手方向とされた長方形状)の基準面66及び基準面68が形成されている。なお、各基準面47、49、66、68は同一平面上にある。
【0031】
記録テープカートリッジ10がドライブ装置へ装填されたときには、基準面47及び基準面49と基準面66及び基準面68とにドライブ装置に設けられた位置決め面(図示省略)がそれぞれ当接するようになっている。これにより、ドライブ装置内において、記録テープカートリッジ10(ケース12)の厚み方向(高さ方向)が位置決めされるようになっている。
【0032】
以上のような構成とされた記録テープカートリッジ10において、次にそのケース12の後壁12Dに形成されたラベル面70に、記録テープカートリッジ10の個体識別情報が記録された1次元のバーコードBC等(白色の下地を含む)を直接印刷するバーコード印刷システム(以下「印刷システム」という場合がある)80及びバーコード印刷方法(以下「印刷方法」という場合がある)と、そのバーコードBC等が印刷された記録テープカートリッジ10(バーコード付き記録テープカートリッジ10の製造方法)について詳細に説明する。
【0033】
図1に示されるように、ケース12の後壁12Dには、左右方向が長手方向とされた略長方形状のラベル面70が形成されている。ラベル面70は、ケース12の後壁12Dの上部(第1周壁14B)に形成された第1ハーフラベル面72と、ケース12の後壁12Dの下部(第2周壁16B)に形成された第2ハーフラベル面74と、で構成されている。
【0034】
第1ハーフラベル面72は、第1周壁14Bに形成された略長方形状の第1凹部14Cの底面で構成されており、第2ハーフラベル面74は、第2周壁16Bに形成された略長方形状の第2凹部16Cの底面で構成されている。また、第1ハーフラベル面72及び第2ハーフラベル面74の表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、共に0.2μm~0.5μmとされている。つまり、第1ハーフラベル面72及び第2ハーフラベル面74は、他の部位よりも滑らかに形成されている。
【0035】
なお、第1ハーフラベル面72及び第2ハーフラベル面74の表面粗さRaは、第1ハーフ14及び第2ハーフ16をそれぞれ成形する金型(図示省略)の成形面の粗さを適宜調整することによって設定することができる。そして、後述するように、第2ハーフラベル面74のみにバーコードBCが印刷され、第1ハーフラベル面72のみに文字コードの一例としての数値NV等が印刷される。
【0036】
図3~
図5に示されるように、印刷システム80は、複数個の記録テープカートリッジ10を纏めて搬送する搬送部82と、搬送部82によって搬送された各記録テープカートリッジ10における第2ハーフラベル面74のみにバーコードBCを印刷し、かつ第1ハーフラベル面72のみに数値NV等を印刷する印刷部90と、を備えている。
【0037】
そして、印刷システム80は、第1ハーフラベル面72と第2ハーフラベル面74との境界線としてラベル面70に形成されているパーティングライン76(
図6参照)を検知する検知部96と、検知部96で検知したパーティングライン76の位置に基づいて搬送部82の位置を適宜調整する調整部88と、各部を制御する制御部78と、を備えている。
【0038】
搬送部82は、複数のローラーからなるステージ86上に、一方向(
図3、
図4において矢印Fで示す)へ周回移動するように支持された無端状の搬送ベルト84を含んで構成されている。そして、搬送ベルト84上には、記録テープカートリッジ10を保持する保持部85が一体に設けられている。具体的に説明すると、保持部85は、記録テープカートリッジ10の天板14A、底板16A、右壁12B、左壁12Cに接触して、記録テープカートリッジ10の倒れ込みを防止する複数の平板状の壁部85Aで構成されている。
【0039】
したがって、記録テープカートリッジ10は、その複数の壁部85Aで囲まれた空間内に前壁12A側から挿入され、その前壁12Aを搬送ベルト84の上面に接触させた状態で起立させられるようになっている。これにより、各記録テープカートリッジ10のラベル面70が上方を向いた状態で搬送されるようになっている。
【0040】
図4、
図5に示されるように、印刷部90は、第1ハーフラベル面72及び第2ハーフラベル面74に白色の下地を印刷する下地印刷手段としてのホワイトのインクジェット記録ヘッド92Wと、第2ハーフラベル面74に印刷された白色の下地上に、黒色のバーコードBCを印刷するバーコード印刷手段としてのブラックのインクジェット記録ヘッド92Kと、を有している。
【0041】
そして、印刷部90は、バーコードBCが印刷されていない第1ハーフラベル面72に印刷された白色の下地上に、バーコードBCに対応した数値NVを、色分けされたカラー下地CF(
図1参照)と共に印刷する文字コード印刷手段としてのイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクジェット記録ヘッド92Y、92M、92C、92Kを有している。
【0042】
なお、文字コード印刷手段としてのブラックのインクジェット記録ヘッド92Kは、バーコード印刷手段としてのブラックのインクジェット記録ヘッド92Kでもある。また、各インクジェット記録ヘッド92W、92Y、92M、92C、92Kは、記録テープカートリッジ10の搬送方向上流側から、この順番で配置されている。
【0043】
また、
図4に示されるように、印刷部90における記録テープカートリッジ10の搬送方向下流側(インクジェット記録ヘッド92Kよりも搬送方向下流側)には、各インクジェット記録ヘッド92W、92Y、92M、92C、92Kから吐出されたUV(紫外線)インクを硬化させるUV(紫外線)ランプ94が設けられている。このUVランプ94でUVインクが硬化されることにより、ラベル面70に印刷されたバーコードBC等が、そのラベル面70に定着されるようになっている。
【0044】
なお、バーコードBC等を印刷するインクは、光沢度の低いインクであることが好ましく、UVインクが最適である。また、UVインクの粘度は、0.2Pa・s以上であることが好ましい。また、ラベル面70にバーコードBC等を印刷するタイミングは、ユーザーの所望とする個体識別情報にフレキシブルに対応するため、記録テープカートリッジ10を出荷する直前のタイミングであることが好ましい。
【0045】
また、
図3に示されるように、検知部96は、公知の画像センサー98で構成されており、印刷部90よりも記録テープカートリッジ10の搬送方向上流側に配置されている。この画像センサー98の検知結果を基に制御部78が調整部88を制御することにより、搬送部82(ステージ86及び搬送ベルト84)の位置が調整されるようになっている。
【0046】
調整部88は、ステージ86及び搬送ベルト84を含む搬送部82を、印刷部90に対して、記録テープカートリッジ10の搬送方向と直交する水平方向と鉛直方向とに移動可能に支持する公知の機構(図示しないガイドレール及びシリンダー等)によって構成されている。
【0047】
この調整部88が制御部78によって制御されることにより、搬送ベルト84によって搬送される各記録テープカートリッジ10のラベル面70(第2ハーフラベル面74及び第1ハーフラベル面72)の位置が、各インクジェット記録ヘッド92W、92Y、92M、92C、92Kに対して調整されるようになっている。
【0048】
以上のような構成とされた本実施形態に係るバーコード印刷システム80において、次にその作用(バーコード印刷方法及びそれによるバーコード付き記録テープカートリッジ10の製造方法を含む)について説明する。
【0049】
図7に示されるように、まず搬送部82の搬送ベルト84によって複数個(例えば5個)の記録テープカートリッジ10を搬送方向(矢印F方向)へ搬送する。このとき、各記録テープカートリッジ10は、搬送ベルト84上に形成された保持部85(複数の壁部85A)によって倒れないように保持され、ラベル面70を上方へ向けた状態で搬送されている。
【0050】
そして、最初に搬送される記録テープカートリッジ10のラベル面70におけるパーティングライン76の位置が検知部96(画像センサー98)によって検知される(検知工程:ステップS1)。すると、その検知結果を基に、制御部78が調整部88を制御する。
【0051】
すなわち、必要に応じて搬送部82(ステージ86及び搬送ベルト84)を上昇させ(ステップS2)、更に搬送部82を記録テープカートリッジ10の搬送方向と直交する水平方向に移動させる(ステップS3)。これにより、印刷部90における各インクジェット記録ヘッド92W、92Y、92M、92C、92Kに対して、搬送される記録テープカートリッジ10のラベル面70(第2ハーフラベル面74及び第1ハーフラベル面72)の位置が調整される(調整工程)。
【0052】
こうして、印刷部90(インクジェット記録ヘッド92)に対して、第2ハーフラベル面74及び第1ハーフラベル面72の位置が調整されたら、まずホワイトのインクジェット記録ヘッド92Wにより、白色の下地が第2ハーフラベル面74及び第1ハーフラベル面72に印刷される(下地印刷工程)。
【0053】
そして、ブラックのインクジェット記録ヘッド92Kにより、第2ハーフラベル面74に印刷された白色の下地上に、バーコードBCが印刷される(バーコード印刷工程:ステップS4)。なお、第2ハーフラベル面74に印刷されたバーコードBCは、UVランプ94によって硬化される。
【0054】
一方、バーコードBCの印刷と共に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各インクジェット記録ヘッド92Y、92M、92C、92Kにより、第1ハーフラベル面72に印刷された白色の下地上に、色分けされたカラー下地CF及び数値NVが印刷される(文字コード印刷工程:ステップS4)。そして、第1ハーフラベル面72に印刷されたカラー下地CF及び数値NVが、UVランプ94によって硬化される。
【0055】
こうして、全ての記録テープカートリッジ10のラベル面70(第2ハーフラベル面74及び第1ハーフラベル面72)にバーコードBC及び数値NV等が印刷されたら、制御部78が調整部88を制御し、搬送部82(ステージ86及び搬送ベルト84)を必要に応じて下降させる(ステップS5)。そして、バーコードBC及び数値NV等がラベル面70に印刷された各記録テープカートリッジ10(バーコード付き記録テープカートリッジ10)は、次の工程へと搬送される(ステップS6)。
【0056】
以上のように、記録テープカートリッジ10のラベル面70には、バーコードBC及び数値NV等が直接印刷される。したがって、ラベル面70にバーコードラベル(図示省略)を人手によって貼り付ける場合よりも、記録テープカートリッジ10の生産性を向上させることができ、かつ製造コストを低減させることができる。また、ラベル面70に対するバーコードラベルの貼り間違えも防止することができる。
【0057】
更に、バーコードBCは、第1ハーフラベル面72と第2ハーフラベル面74との両方に跨るようにして(パーティングライン76を越えて)形成されていないため、バーコードBCを構成する複数のラインが途中で切れたり、ずれてしまったりすることがない。そのため、バーコード読取装置(図示省略)におけるバーコードBCに対する読み取り不良の発生を抑制又は防止することができる。
【0058】
また、ラベル面70(第2ハーフラベル面74及び第1ハーフラベル面72)の表面粗さRaが0.2μm~0.5μmとされている。したがって、ラベル面70の表面粗さRaが0.2μmよりも小さい場合及び0.5μmよりも大きい場合に比べて、印刷されたバーコードBC等を定着させ易く、かつ印刷されたバーコードBC等が滲むなどして読み取り不良が発生するのを抑制又は防止することができる。
【0059】
また、ラベル面70にバーコードBC等を直接印刷するため、必要に応じてバーコードBC等を印刷し直すことができる。すなわち、記録テープカートリッジ10の個体識別情報を簡単に変更することができる。また、ケース12の後壁12Dにおいて、2色成形等により、少なくともラベル面70が予め白色に形成されていれば、白色の下地を形成する下地印刷工程(ホワイトのインクジェット記録ヘッド92Wを含む)を省略することができる。
【0060】
また、ラベル面70に印刷するバーコードBC及び数値NV等の位置は、
図1に示されるものに限定されるものではない。例えば
図8に示されるように、第1ハーフラベル面72のみにバーコードBCが印刷され、第2ハーフラベル面74のみにバーコードBCに対応する数値NV等が印刷されていてもよい。このように、本実施形態によれば、ラベル面70にバーコードBC等を直接印刷するため、必要に応じてバーコードBC等の位置も変更することができる。
【0061】
以上、本実施形態に係る記録テープカートリッジ10、バーコード印刷システム80、バーコード印刷方法及びバーコード付き記録テープカートリッジ10の製造方法について、図面を基に説明したが、本実施形態は、図示のものに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0062】
例えば、バーコードBCは、1次元のバーコードBCに限定されるものではなく、2次元のバーコード(図示省略)とされていてもよい。また、バーコードBCは、例えばケース12内に設けられたメモリーボード(図示省略)のシリアル番号と同一であってもよいし、記録テープカートリッジ10のジェネレーションを表すものであってもよい。
【0063】
また、文字コードは、数値NVに限定されるものではなく、例えばアルファベット等でもよい。また、数値NV等の文字コードを印刷する必要がない場合には、白色の下地は、バーコードBCが印刷される第1ハーフラベル面72又は第2ハーフラベル面74のみに印刷される構成とされていてもよい。
【0064】
また、色分けされたカラー下地CF上に数値NVを印刷する必要がない場合には、印刷部90に、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクジェット記録ヘッド92Y、92M、92Cを設けなくてもよい。更に、ホワイトのインクジェット記録ヘッド92Wとイエローのインクジェット記録ヘッド92Yとの間に、UVランプ94を設けて、バーコードBC等の印刷の前に白色の下地を硬化させるようにしてもよい。
【0065】
また、印刷部90は、ホワイトのインクジェット記録ヘッド92W及びUVランプ94を備えた第1印刷部(図示省略)と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクジェット記録ヘッド92Y、92M、92C、92K及びUVランプ94を備えた第2印刷部(図示省略)とに分けて設けるようにしてもよい。また、各インクジェット記録ヘッド92から吐出されるインクは、UVインクが最適であるが、UVインクに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
12A 前壁
12B 右壁
12C 左壁
12D 後壁
14 第1ハーフ
14A 天板
14B 周壁
14C 凹部
16 第2ハーフ
16A 底板
16B 周壁
16C 凹部
18 開口
20 リール
22 リールハブ
24 上フランジ
26 下フランジ
28 リールギア
30 リーダーピン
31 端部
32 環状溝
34 板バネ
34A 先端部
35 溝部
36 ピン保持部
38 遊動規制壁
40 ギア開口
42 ビスボス
44 ビスボス
46 基準穴
47 基準面
48 基準穴
49 基準面
50 ドア
52 シャフト
54 拡開部
56 凸部
58 コイルバネ
60 ビス
62 支持台
64 係止突起
66 基準面
68 基準面
70 ラベル面
72 第1ハーフラベル面
74 第2ハーフラベル面
76 パーティングライン
78 制御部
80 バーコード印刷システム
82 搬送部
84 搬送ベルト
85 保持部
85A 壁部
86 ステージ
88 調整部
90 印刷部
92 インクジェット記録ヘッド
94 UVランプ
96 検知部
98 画像センサー
BC バーコード
CF カラー下地
NV 数値
T 記録テープ