(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】先進的なパッケージアプリケーションのための再配線層形成の方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220214BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
(21)【出願番号】P 2019569927
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(86)【国際出願番号】 US2018036298
(87)【国際公開番号】W WO2018236585
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-02-13
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ハンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハヴェルベク, スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ゴウク, ローマン
(72)【発明者】
【氏名】シー, グァン フアイ
(72)【発明者】
【氏名】クー, ユイ
(72)【発明者】
【氏名】スンダラジャン, アービン
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0106855(US,A1)
【文献】特開2016-039238(JP,A)
【文献】特開2012-248583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02 - 23/50
H01L 25/00 - 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形化合物に配置された複数のデバイスを含む再構成基板の表面にポリマーを堆積することと、
前記ポリマー
を120°Cか
ら150°Cの間まで加熱することと、
前記ポリマーに複数の開口部を形成するため、加熱されたインプリントスタンプを前記ポリマーに押圧することにより、前記ポリマーにパターンをインプリントすることと、
前記パターンをインプリントした後、前記ポリマー
を250°Cか
ら400°Cの間まで加熱することと
を含む、再配線層を形成するための方法。
【請求項2】
前記ポリマーはポリイミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インプリントスタンプ
が200°Cか
ら300°Cの間まで加熱される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記再構成基板はさらに、前記複数のデバイスの上に配置された形成済み再配線層を含み、前記形成済み再配線層は内部に配置された複数の金属相互接続を有する誘電体ポリマー層を含み、前記形成済み再配線層の表面は、シード層と金属層の一部をそこから取り除くため平坦化されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記誘電体ポリマー層はポリイミドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
キャリア基板の第1の表面の上にポリマーを堆積することと、
加熱されたインプリントスタンプを前記ポリマーに押圧することにより、前記ポリマーにパターンをインプリントして、複数の開口部を有するポリマー層を形成することと、
前記ポリマー層に複数の金属相互接続を形成することと、
を含むパッケージング方法であって、
前記ポリマー層に複数の金属相互接続を形成することは、
前記キャリア基板及びその上に形成された前記ポリマー層の上にシード層を堆積することと、
前記シード層の上に銅層を形成することと、
前記ポリマー層の第2の表面から前記シード層及び前記銅層の一部を除去することと
を含む、パッケージング方法。
【請求項7】
前記ポリマー層はポリイミドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記インプリントスタンプ
が200°Cか
ら300°Cの間まで加熱される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記インプリントスタンプ
が340°Cを超えて加熱される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記インプリントスタンプが、前記ポリマーのガラス転移温度を超えて加熱される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項11】
前記パターンのインプリント後に、前記ポリマー層
を250°Cか
ら400°Cの間まで加熱することをさらに含む、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリア基板は、ガラス又は硬質ポリマーから形成された構造ベース、前記構造ベースの上に配置されたリリース層を含み、前記ポリマーは前記リリース層の上に堆積される、請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
基板上にポリイミドを堆積することと、
前記ポリイミド
を120°Cか
ら150°Cの間まで加熱することと、
加熱されたインプリントスタンプを前記ポリイミドに押圧することにより、前記ポリイミドをインプリントして、複数の開口部を有する誘電体層を形成することと、
前記ポリイミドのインプリント後に、前記誘電体層
を250°Cか
ら400°Cの間まで加熱することと、
を含むパッケージング方法。
【請求項14】
前記インプリントスタンプ
が200°Cか
ら300°Cの間まで加熱され、前記ポリイミドをインプリントすることは
、大気圧未満の環境で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリイミドをインプリントすることは、前記インプリントスタンプを介して前記ポリイミドをUV照射に曝露することを含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本書に記載の実施形態は概して半導体の分野に関し、より具体的には半導体デバイスのパッケージングの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 次世代の半導体デバイスに関しては、回路密度が高まり、デバイスサイズが縮小しているため、このようなデバイスに外部からの接続、すなわち配線を提供するには高度なパッケージング技術が要求される。このようなパッケージング技術の1つが、ウエハレベルパッケージングである。
【0003】
[0003] ウエハレベルパッケージングは、デバイス製造、パッケージアセンブリ(パッケージング)、電気試験、及びウエハレベルでの信頼性試験(バーンイン)を統合することによって、製造及びパッケージングのプロセスを効率化する。パッケージングの上部層及び底部層の形成、I/O接続の作成、及びパッケージ化されたデバイスの試験はすべて、デバイスが個々のパッケージ化された構成要素に一体化される前に行われる。ウエハレベルパッケージングの利点には、最終デバイスの総製造コストの削減、パッケージサイズの縮小、電気及び熱性能の改善などが含まれる。しかしながら、典型的なウエハレベルパッケージングの方式(schemes)では、半導体デバイスに作られうるI/O接続の数は、ダイ表面上に広げることが可能なI/O端子の数に制限される。ファンアウトウエハレベルパッケージングは、ウエハレベルパッケージングの利点を保持したまま、一又は複数の再配線層を利用して、ダイの表面の外部領域にI/O端子を再配置することによって、I/O端子に利用できる領域を増やすことができる。
【0004】
[0004] ファンアウトウエハレベルパッケージングプロセスでは、個々のダイに対するI/O端子再配線層の表面積が、個々のダイの表面積よりも大きいことが必要となる。しかしながら、デバイス製造時のコストを最小化するためには、ウエハ上のデバイス(ダイ)の数を最大化することが望ましいため、個々のデバイス間の空間(ダイス線)は通常、ウエハを個々のダイに切り分けるために使用されるダイシングソーの幅を収めるのに十分な大きさであればよい。ダイ表面の外部に所望の付加的な表面積を作り出す1つの方法は、離間されたパターンで再配置されるダイを有する新しいウエハを形成することで、これは再構成基板(reconstituted substrate)として知られている。
【0005】
[0005] 典型的には、再構成基板を形成するため、ウエハは個別のダイに分離され、次に互いに離間され、接着層によって一時的に固定された成形プレート(キャリア基板)の上に配置される。成形化合物は、キャリア基板とその上に固定されたダイの上に吐出され、その後硬化される。これによって離間されたダイは成形化合物に組み込まれ、再構成基板を形成する。次に、ダイの端子側は接着層を取り除くことによって露出され、内部に配置された相互接続(interconnect)を有する再配線層は再構成基板の上に形成され、デバイスのI/O端子の一部又はすべてをダイの表面の外側領域に再分配し、これにより、I/O接続可能な領域、及びその結果として可能なI/O端子の数を増やす。
【0006】
[0006] 再構成基板の形成に関連するプロセスの不具合、例えば、接着層上の元の配置位置から再構成基板内のダイの望ましくない再配置(ダイシフトとも呼ばれる)は、再配線層にその後形成されるビア相互接続とダイ上の電気接点との間のずれを引き起こす。加えて、再配線層は一般的に、従来のフォトリソグラフィとエッチング処理によって形成されるが、これらは高コストで、設備集約的で、長い時間を要する。
【0007】
[0007] したがって、ファンアウトウエハレベルパッケージングの方式に関しては、先行技術では、再構成基板及びその上に配置される再配線層の形成方法の改善が必要になっている。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本書の実施形態は、概してデバイスパッケージングプロセスに関し、具体的には、ファンアウトウエハレベルパッケージングプロセスで再構成基板上に再配線層を形成する方法に関する。
【0009】
[0009] 一実施形態では、再配線層を形成するための方法が提供される。方法は、形成化合物内に配置された複数のデバイスを含む再構成基板の表面上にポリマーを堆積することと、ポリマーを約120°Cから約150°Cの間まで加熱することと、ポリマーにパターンをインプリントして、そこに複数の開口部を形成することと、パターンをインプリントした後にポリマーを約250°Cから約400°Cの間まで加熱することとを含む。
【0010】
[0010] 別の実施形態では、パッケージング方法が提供される。方法は、キャリア基板の第1の表面上にポリマーを堆積することと、ポリマーにパターンをインプリントして複数の開口部を有するポリマー層を形成することと、ポリマー層に配置される複数の金属相互接続を形成することとを含む。本書では、複数の金属相互接続を形成することは、キャリア基板とその上に形成されたポリマー層の上にシード層を堆積することと、シード層の上に銅層を形成することと、ポリマー層の第2の表面からシード層と銅層の一部を取り除くこととを含む。
【0011】
[0011] 別の実施形態では、別のパッケージング方法が提供される。パッケージング方法は、基板上にポリイミドを堆積することと、ポリイミドを約120°Cから約150°Cの間まで加熱することと、ポリイミドをインプリントして、貫通する複数の開口部を有する誘電体層を形成することと、ポリイミドをインプリントした後に誘電体層を約250°Cから約400°Cの間まで加熱することとを含む。
【0012】
[0012] 別の実施形態では、マイクロインプリントリソグラフィ(MIL)プロセスを用いて再配線層を形成する方法が提供される。この方法では、非感光性ポリイミドなどのポリマー層が再構成基板などの基板上に吐出され、ポリマー層に開口部を形成するためMILスタンプが使用され、電気メッキ及び平坦化処理を用いて開口部に金属相互接続が形成される。
【0013】
[0013] 上述の本開示の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1のAからGは、先行技術による、従来のフォトリソグラフィプロセスを用いた再配線(redistribution)層相互接続の形成を示している
【
図2】
図2のAからFは、
図3に記した方法による一又は複数の再配線層の形成を示している。
【
図3】本書に記載の実施形態による再配線層の形成方法を示すフロー図である。
【
図4】
図4のAとBは、先行技術による第2の再配線層の形成を示している。
【
図5】
図5のAとBは、本書で開示した実施形態による第2の再配線層の形成を示している。
【
図6】
図6のAからCは、本書に記載の実施形態による、ファンアウトウエハレベルパッケージング再配線層で使用される高アスペクト比相互接続構造の形成を示している。
【
図7】代替的な実施形態による、パネルファンアウトパッケージングプロセスでの、一又は複数の再配線層の形成方法を示している。
【
図8】
図7で説明した方法により、上部に形成された一又は複数の再配線層を有するパネルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0022] 本開示の実施形態は概して、インプリントリソグラフィを用いて、一又は複数のデバイス端子再配線層を形成する方法を記述している。
【0016】
[0023] 従来、ファンアウトウエハレベルパッケージング方式の再配線層は、時間とコストのかかるフォトリソグラフィとエッチング処理(
図1のA~Gに示した処理)を用いて形成されている。
【0017】
[0024]
図1のA~Gは、先行技術による従来のフォトリソグラフィ処理を用いた再配線層相互接続の形成を示している。
図1のA~Gは、再構成基板(図示せず)に埋め込まれた1つのデバイス104の一部を示している。
図1のAに示したように、感光性ポリマーなどの誘電体層106は、再構成基板とその内部に埋め込まれたデバイス104の上に堆積され、デバイス104は、上部に配置される金属層と安定化処理層105を有するアクティブ部101を含む。一般的に、開口部は、その下の金属層の接触パッド103を露出するように、安定化処理層105に形成される。次に、
図1のBに示したビア開口部107は、従来のフォトリソグラフィ及びエッチング処理を用いて、誘電体層106に形成される。パターンは感光性ポリマーの上で曝露され、次いでポリマーはエッチングされ、ビア開口部107を形成する。ビア開口部107が形成されると、
図1のCに示したようにシード層109は再構成基板の上に配置され、また、その上に特徴が形成され、その後堆積した金属層の電気メッキを促進する。ビアとワイヤとの相互接続構造を形成するため、再構成基板とその上に配置される特徴を被覆するようにフォトレジスト層111が堆積され、また、
図1のDに示したように、付加的なフォトリソグラフィとエッチング処理によって、トレンチ開口部113がその中に形成される。次に、相互接続構造117を形成するため、電気メッキ処理を用いてトレンチ開口部に銅が形成され、その後、
図1のE~Fに示したように、フォトレジスト層111が除去され、その下のシード層109の一部を露出する。シード層109の露出した部分は次に、
図1のGに示したように、エッチング処理を用いて除去される。上述のビア開口部107及びトレンチ開口部113を形成するために用いられるフォトリソグラフィとエッチング処理には、複数の操作と複数個の機器が含まれるため、再配線層の形成は、スループットが低く、高コストで、労働及び機器集約的な処理になる。これとは対照的に、本書に記載のマクロインプリントリソグラフィ法は、処理操作が大幅に少ないため、大幅にコストを削減した上で、高いスループットのパッケージング処理が可能になる。さらに、本書に記載のマイクロインプリンティング処理は、現像能力とスループットを考慮して制限される従来のフォトリソグラフィ処理と比較した場合、より厚い誘電体ポリマー層に高アスペクト比の開口部を形成するために使用されうる。
【0018】
[0025]
図2のA~Fは、
図3に示した方法による一又は複数の再配線層の形成を図解している。
図3は、本書に記載の実施形態による、再配線層を形成する方法を示すフロー図である。方法300は、再構成基板(図示せず)の表面上に、誘電体ポリマー層(例えば、ポリイミド層)などのポリマー層221を堆積する作業305から始まる。本書では、ポリマー層221は、上部にポリイミド前駆体の一様な層が形成されるまで、回転する再構成基板の上にポリイミド前駆体が吐出される、スピンコーティングとソフトベーク法を用いて堆積される。再構成基板とその上に配置されるポリイミド前駆体は、その後のインプリンティングに適したポリマー層221を作るポリイミド前駆体に含まれる溶媒の一部だけを除去するため、約120°Cから約150°C(ソフトベーク)の間まで加熱される。
図2のAは、上部に配置されたポリマー層221を有する再構成基板(図示せず)に埋め込まれたデバイス204の一部を示している。デバイス204は、上部に配置される金属層と安定化処理層205とを有するアクティブ部201と、下にある金属層の接触パッド203を露出するため安定化処理層205に形成された開口部を含む。
【0019】
[0026] 方法300は、
図2Bに示したMILスタンプ228などのマイクロインプリントリソグラフィ(MIL)スタンプを用いて、ポリマー層221にパターンを物理的にインプリントする作業310を継続する。この実施形態では、作業310は、MILスタンプ228が加熱される熱インプリント処理を含み、ポリマー層221は非感光性ポリイミドを含む。他の実施形態では、作業310は、UV MIL処理を含み、ポリマー層221は感光性ポリイミドを含む。
【0020】
[0027] 本書ではMILスタンプ228は、別の領域でのステップ及び反復で、再構成基板の一又は複数のダイに対するファンアウト再配線層の形成で使用される相互接続パターンを含む。他の実施形態では、MILスタンプ228は、1つのインプリントでの複数のダイに対して、複数のファンアウト再配線相互接続の形成で用いられる複数のパターンを含む。いくつかの実施形態では、1つのインプリント内の再構成基板全体に対して、ポリマー層221に複数の開口部を形成するため、1つのMILスタンプが使用される。本書では、MILスタンプ228は、約200°Cから約300°Cの間まで加熱され、MILスタンプ228のパターンの周囲に配置されるポリマー層221に押圧される。
図2のCに示した開口部225などのビア開口部にトレンチを残すため、MILスタンプ228はその後冷却され、ポリマー層221から除去される。MILスタンプ228は再構成基板上の別のダイの上に移動され、再構成基板上のすべての所望のダイに対して、ポリマー層221に開口部225が形成されるまで、処理は反復される。UV MIL処理を用いる実施形態では、MILスタンプ228は石英などのUV透過性の材料を含み、感光性ポリイミドを含むポリマー層221はスタンプを経由して、200mJ/cm
2で約365nmのUV照射に曝露される。いくつかの実施形態では、作業310は、大気圧未満の圧力で、例えば、大気圧の2分の1未満、又は約400Torr未満、例えば、約300Torr未満で維持される処理容積を有する処理システム内などの低い大気圧で行われる。低い大気圧で加熱したMILスタンプ228を用いてポリマー層221にパターンを物理的にインプリントすることは望ましいことに、形成中及び/又は形成後にポリマー層221に形成されるボイドを除去、削減、及び/又は実質的に消去する。
【0021】
[0028] 開口部225の形成後、再構成基板は窒素環境内で、熱MILプロセスの場合には約250°Cから400°Cの間で、約250°Cから350°Cの間で、或いは約325°Cから400°Cの間で、例えば、約300°Cで、UV MILプロセスの場合には、約375°Cで熱硬化される。接触パッド203上の残存ポリマーはその後、酸素プラズマデスカム(oxygen plasma descum)又は他の好適な方法を用いて、除去される。いくつかの実施形態では、例えば、UV MILを用いた実施形態では、酸素プラズマデスカムは熱硬化の前に行われる。
【0022】
[0029] 方法300は、ポリマー層221の上にシード層209を堆積し、その上に開口部225を配置する作業315に続く。シード層209により、金属(本書では銅)層の電気メッキが可能になり、その後形成された金属層から周囲のポリマー層221及び接触パッド203に銅原子が拡散するのを防止するバリアを提供する。ここでは、シード層209は、タンタル、窒化タンタル、タングステン、チタン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化タングステン、チタン銅、或いはこれらの組み合わせは、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)、或いはこれらの組み合わせなど、任意の好適な方法を用いて堆積される。
【0023】
[0030] 方法300は、電気メッキ処理を用いて、シード層209の上に
図2のEに示した金属層217などの金属層を形成する作業320に続く。本書では、金属層217は銅を含む。他の実施形態では、金属層217及びその後形成された金属相互接続は、銅、ニッケル、金、アンチモン銀、或いはこれらの組み合わせを含む。
【0024】
[0031] 方法300は、ポリマー層221の表面に配置された金属層217とシード層209の一部を除去するため、再構成基板の表面を平坦化し、
図2のFに示したように、第1の再配線層214に一又は複数の相互接続構造227を形成する作業325で終わる。再構成基板の表面の平坦化は、化学機械研磨(CMP)及び/又は研削処理を用いて行われる。
【0025】
[0032] スループットを改善し、製造コストを低減する各再配線層の形成における数少ない処理操作に加えて、方法300に記載されている熱MILプロセスにより、従来のフォトリソグラフィとエッチング処理で用いられる感光性ポリイミドなどの感光性ポリマーとは対照的に、ポリマー層221に対して非感光性ポリイミドの使用が可能になる。一般的に、ポリマー層221としての使用に適したポリイミド前駆体の中では、非感光性ポリイミド前駆体は、感光性ポリイミド前駆体と比較した場合、シード及び金属層への強力な接着、低い硬化温度、硬化処理中の少ない収縮、低い誘電率など、優れた機械的、電気的、及び熱機械的特性を有することで知られている。最後に、非感光性ポリイミド前駆体は、感光性ポリイミド前駆体よりも大幅に安価で、一般的に感光性ポリイミド前駆体よりも貯蔵寿命が長く、その結果、本書に記載の熱MILプロセスではさらに費用対効果が高い。上述の利点に加えて、本書に記載のMIL法の自己平坦化特性により、先行技術の従来のフォトリソグラフィとエッチング処理に固有の、徐々に起伏が大きくなる表面形状にみられる焦点深度の問題を引き起こすことなく複数の再配線層の形成が可能になる。
【0026】
[0033]
図4のAとBは、先行技術による第2の再配線層の形成を図解している。
図5のAとBは、本書に記載の実施形態による第2の再配線層の形成を図解している。
図4のAとBに示したように、従来のフォトリソグラフィとエッチング処理に固有の、堆積した第2のポリマー層411の形状は、ビア及び/又はトレンチ開口部425の形成後、予想されたとおりに一様でない第2のポリマー層411になる。表面形状が変化していると、フォトパターニング操作での焦点深度が低下するため、その後の操作で位置合わせの問題が生じる。このような位置合わせの問題を十分に補償するための措置としては、再配線層レベルの数を制限すること、高い許容範囲を確保するために相互接続構造のサイズを大きくすること、また、所定の領域内での相互接続構造の数並びにI/O端子の数を制限するため、これらの相互接続構造同士の間隔を広げること、などがある。一方、
図3に示した方法300によって形成される
図5のAの第1の再配線層214は、物理的なMILプロセスの自己平坦化特性の結果として、平坦な面を有する。第1の再配線層214の平坦な面により、再構成基板の平面の上にポリマー層511を一様に堆積することができる。また、ポリマー層511の表面形状の変化は、物理的なMILプロセスによって平坦化され、MILスタンプ527はポリマー層511に物理的に押圧され、ポリマー層にはビア及び/又はトレンチ開口部533が形成される。本書では、ビア及び/又はトレンチ開口部533を形成するために用いられるMILプロセスには、MILスタンプ527を約200°Cから約300°Cの間まで加熱することと、MILスタンプ527をポリマー層511に押圧することが含まれる。いくつかの実施形態では、MILプロセスは低圧雰囲気内で、例えば、大気圧の2分の1未満、又は約400Torr未満、例えば、約300Torr未満など、大気圧未満の圧力に維持された処理空間を有する処理システム内で行われる。他の実施形態では、ビア及び/又はトレンチ開口部533の形成には、本書に記載のUV MILプロセスなどのUV MILプロセスが含まれる。本書に記載のMIL法を用いて形成される分配層の平坦な表面形状は、小さく密集した整列されていない相互接続構造に加えて、再配線層の数を増やすことを可能にするが、その結果、従来のフォトリソグラフィ及びエッチング処理にみられた問題が発生する。加えて、本書で開示しているMILプロセスは、従来のフォトリソグラフィ及びエッチング処理よりも安価に高アスペクト比の相互接続構造を形成することができる。さらに、本書に記載のプロセス及び方法は望ましいことに、ポリマーの堆積処理中、或いは処理後に形成される周辺ポリマー層のボイドを除去、削減、及び/又は実質的に消去する。高アスペクト比のビア及び/又はワイヤ相互接続は、相互接続抵抗を下げることが可能で、デバイス性能を改善する。
【0027】
[0034]
図6のA~Cは、本書に記載の実施形態による、ファンアウトウエハレベルパッケージング再配線層で使用される高アスペクト比相互接続構造を示している。
図6のA~Cでは、第2のポリマー層631の堆積中に形成される望ましくないボイド609を除去、低減、及び/又は実質的に消去するため、低大気圧環境でのMIL法が使用されている。
図6のAは、デバイス604の上に配置された複数の銅ピラー607を示し、ここではデバイス604は再構成基板(図示せず)に埋め込まれている。デバイス604は、上部に配置される金属層と安定化処理層605を有するアクティブ部601と、下にある金属層の複数の接触パッド603を露出するため安定化処理層605に形成される複数の開口部とを含む。第1のポリマー層621は、複数の接触パッド603の上に配置され、シード層(図示せず)が各銅ピラー607と接触パッド603との間に配置される。ここでは、銅ピラー607は従来のフォトリソグラフィとエッチング処理を用いて形成され、約2:1を超える、例えば約3:1を超えるアスペクト比(H:W)を有する。
図6のBは、銅ピラー607の上と間に吐出される第2のポリマー層631を示し、第2のポリマー層631は非感光性ポリイミド前駆体を含み、基板の上に吐出され、特徴はスピンコート法を用いてその上に配置される。その後のインプリントに適した柔らかいポリマーを形成するポリイミド前駆体に含まれるポリイミド溶媒の一部を除去するため、基板は約120°Cから約150°C(ソフトベーク)の間まで加熱される。堆積中に第2のポリマー層631に形成された望ましくないボイド609、及びそのソフトベークは、その後のMILプロセス中に除去、削減、及び/又は実質的に消去される。ここで、ポリイミド前駆体のガラス転移温度、例えば約340°Cを超えて加熱されるMILスタンプ627は、低大気圧環境で、例えば、大気圧未満、大気圧の2分の1未満、或いは約400Torr未満、例えば約300Torr未満で、第2のポリマー層631に物理的に押圧され、
図6のCに示したように、内部に高アスペクト比の開口部633を形成する。低い大気圧で加熱したMILスタンプ627を用いて第2のポリマー層631にパターンを物理的にインプリントすることは望ましいことに、形成中及び/又は形成後に第2のポリマー層631に形成される、
図6のBに示したボイド609などのボイドを除去、削減、及び/又は実質的に消去する。残存ポリマーは、酸素プラズマデスカム処理を用いて、複数の銅ピラー607の露出した上部表面から除去され、銅ピラーの第2の層(図示せず)は、高アスペクト比開口部633に形成される。
【0028】
[0035]
図7は、代替的な実施形態により、パネルファンアウトパッケージングプロセスで、一又は複数の再配線層を形成するための方法を示すフロー図である。
図8は、
図7に記載した方法による、上部に一又は複数の再配線層を有するパネルである。方法700は、キャリア基板801上に非感光性ポリイミド層などの第1のポリマー層805を形成する作業705から始まる。ここでは、キャリア基板801は、シリコン、ガラス、硬質ポリマーなどの硬質材料から形成される矩形パネルなどの構造ベース800を含み、熱リリース層や上部に配置されるテープ又は薄膜などのリリース層802を有する。ここでは、第1のポリマー層805は、スピンコーティングなどの任意の好適な方法によって、或いは、基板の表面上にポリマーの液滴を吐出することによって形成される。いくつかの実施形態では、第1のポリマー層805は構造ベース800の上に直接形成される。
【0029】
[0036] 方法700は、本書に記載のMILプロセスを用いて、第1のポリマー層805にパターンをインプリントし、第1のポリマー層805に複数の開口部を形成する作業710に続く。いくつかの実施形態では、MILスタンプは、ポリマーのガラス転移温度(例えば、ポリイミドの場合、約340°C)を超えるまで加熱される。いくつかの実施形態では、第1のポリマー層805にパターンをインプリントすることは、低大気圧環境で、例えば、大気圧未満、大気圧の約2分の1未満、或いは約400Torr未満、例えば約300Torr未満で行われる。
【0030】
[0037] 方法700は、第1のポリマー層805の上にシード層(
図8には図示せず)を堆積する作業715に続き、その後、作業720で、電気メッキ処理を用いてシード層の上に銅層を形成することができる。
【0031】
[0038] 方法700は、CMPを用いた基板表面の平坦化、及び/又は基板表面から銅層及びシード層の一部を除去する研磨処理の作業725に続き、これにより、第1のポリマー層805とその上に配置される複数の金属相互接続812を含む第1の再配線層810を形成する。ここでは、作業705~725は、所望の数の再配線層が形成されるまで繰り返される。
【0032】
[0039] 所望の数の再配線層が形成されると、方法は、最後に形成された再配線層816の金属相互接続812の金属接触パッドに、複数の特異なデバイス804を結合する作業730に続く。
【0033】
[0040] 方法は、複数の特異なデバイスの上に成形化合物815を吐出し硬化して再構成基板814を形成し、その後、再構成基板814とその上に配置された再配線層をキャリア基板801から剥離する作業735で終わる。
【0034】
[0041] 方法700により、パネルファンアウトパッケージング方式での、低コストで高スループットの再配線層の形成が可能になる。
【0035】
[0042] 上記の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決まる。