(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】ピクセル型温度制御式基板支持アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220214BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2020091016
(22)【出願日】2020-05-26
(62)【分割の表示】P 2020024027の分割
【原出願日】2015-01-07
【審査請求日】2020-05-26
(32)【優先日】2014-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】パルキー ビジャイ ディー
(72)【発明者】
【氏名】マフラチェフ コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】小野 真徳
(72)【発明者】
【氏名】グオ ジキアング
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-508968(JP,A)
【文献】国際公開第2013/033394(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0220989(US,A1)
【文献】国際公開第2013/042027(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセル型基板支持アセンブリであって、
上面及び下面を有するピクセル化基板支持体と、
ピクセル化基板支持体に配置された1つ以上の主抵抗ヒータと、
1つ以上の主抵抗ヒータと列をなし、ピクセル化基板支持体に配置された複数のピクセルヒータ
であって、
複数のピクセルヒータの数量は、1つ以上の主抵抗ヒータの数量よりも一桁大きく、
複数のピクセルヒータのうちのピクセルヒータの各組み合わせは、1つ以上の主抵抗ヒータの各々と同様に、複数のピクセルヒータのうちの他のすべてのピクセルヒータのオン状態を変更することなく、オン状態とオフ状態を独立して制御可能になっている
、ピクセルヒータと、
ピクセル化基板支持体に結合された冷却板と、
複数のピクセルヒータの各ピクセルヒータの温度出力を調整するように構成されたピクセルヒータコントローラであって、
ピクセルヒータコントローラは冷却板に結合され、
ピクセルヒータコントローラは、ある範囲の電流又は電圧を各ピクセルヒータに供給し、
ピクセルヒータコントローラは光ファイバ制御回路及び電力制御手段を備えている、ピクセルヒータコントローラとを備えるピクセル型基板支持アセンブリ。
【請求項2】
複数のピクセルヒータは、ピクセル化基板支持体の中心の周りに同心状に配置され、共通の半径に沿ってピクセルヒータのグループへ分けられている、請求項1に記載のピクセル型基板支持アセンブリ。
【請求項3】
複数のピクセルヒータは、さらに極格子状に配置されている、請求項2に記載のピクセル型基板支持アセンブリ。
【請求項4】
複数のピクセルヒータと上面との間に配置されたチャック電極をさらに備える、請求項1に記載のピクセル型基板支持アセンブリ。
【請求項5】
複数のスイッチであって、各スイッチは、ピクセルヒータのそれぞれと独自に対になって、ピクセルヒータのそれぞれを、他の全てのピクセルヒータのオン状態に対して独立して制御している複数のスイッチをさらに備える、請求項1に記載のピクセル型基板支持アセンブリ。
【請求項6】
基板支持アセンブリであって、
基板支持面と下面とを有する基板支持体と、
誘電体に結合又は配置された主抵抗ヒータと、
基板支持体に結合又は配置された複数の抵抗ヒータ
であって、
複数の抵抗ヒータのうちの各抵抗ヒータは、独立して対処可能であり、主抵抗ヒータと同様に、他の全ての抵抗ヒータのオン状態に対してオフ状態とオン状態を制御され、
抵抗ヒータの各組み合わせは、他の抵抗ヒータの各々に印加される電圧又は電流とは無関係に電圧又は電流を受け取るように構成されている
、抵抗ヒータと、
基板支持体に結合された冷却板と、
複数の抵抗ヒータの各抵抗ヒータの温度出力を調整するヒータコントローラであって、
ヒータコントローラは冷却板に結合され、
ヒータコントローラは、電圧又は電流を各抵抗ヒータに供給し、
ヒータコントローラは光ファイバ制御回路及び電力制御手段を備えている、ヒータコントローラとを備える基板支持アセンブリ。
【請求項7】
複数の抵抗ヒータと基板支持面との間に配置されたチャック電極をさらに備える、請求項6に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項8】
基板支持体は静電チャックであり、静電チャックの誘電体がセラミックである、請求項6に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項9】
複数の抵抗ヒータは、共通の半径に沿った抵抗ヒータのグループで同心状に配置されている、請求項6に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項10】
主抵抗ヒータは誘電体の下面に形成されている、請求項6に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項11】
主抵抗ヒータは、誘電体の下面に結合されたポリマ体内に配置されている、請求項6に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項12】
処理チャンバであって、
チャンバ本体と、
チャンバ本体内に配置されたピクセル型基板支持アセンブリであって、
上面及び下面を有するピクセル化基板支持体と、
ピクセル型基板支持アセンブリに配置された1つ以上の主抵抗ヒータとを備えるピクセル型基板支持アセンブリと、
1つ以上の主抵抗ヒータと列をなし、ピクセル化基板支持体に配置された複数のピクセルヒータ
であって、
複数のピクセルヒータの数量は、1つ以上の主抵抗ヒータの数量よりも一桁大きく、
複数のピクセルヒータのうちのピクセルヒータの各組み合わせは、1つ以上の主抵抗ヒータと同様に、複数のピクセルヒータのうちの他のすべてのピクセルヒータのオン状態を変更することなく、オン状態とオフ状態を独立して制御可能であり、
前記数量は2以上である
、ピクセルヒータと、
ピクセル化基板支持体に結合された冷却板と、
複数のピクセルヒータの各ピクセルヒータの温度出力を調整するヒータコントローラであって、
ヒータコントローラは冷却板に結合され、
ヒータコントローラは、ある範囲の電流又は電圧を各ピクセルヒータに供給し、
ヒータコントローラは光ファイバ制御回路及び電力制御手段を備えている、ヒータコントローラとを備える処理チャンバ。
【請求項13】
ピクセル化基板支持体は、セラミック体を有する静電チャックである、請求項12に記載の処理チャンバ。
【請求項14】
主抵抗ヒータ及び複数のピクセルヒータの少なくとも一方は、セラミック体の下面に結合されたポリマ体に配置されている、請求項12に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本明細書に記載した実施形態は、一般的に、半導体製造に関し、特に、温度制御式基板支持アセンブリ及びそれを用いる方法に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
デバイスパターンの加工寸法が小さくなると、これらの加工の臨界寸法(CD)要件は、安定しかつ繰り返し可能なデバイス性能のさらに重要な判断基準になる。処理チャンバ内において処理される基板全体の許容可能なCDのばらつきは、チャンバ及び基板温度等のチャンバ非対称性、フローコンダクタンス、ならびにRFフィールドにより、達成するのが困難である。
【0003】
静電チャックを利用する処理において、基板の表面全体の温度制御の均一性は、基板の下のチャックの非均質な構造により、さらに困難である。例えば、静電チャックの一部の領域は、ガス孔を有し、一方、他の領域は、ガス孔から横方向にオフセットしたリフトピンホールを有する。さらに他の領域は、チャック電極を有し、一方、他の領域は、チャック電極から横方向にオフセットしたヒータ電極を有する。静電チャックの構造が横方向及び方位角方向双方にばらつき得ることから、チャックと基板との間の熱伝達の均一性は、複雑で実現するのが極めて困難であり、その結果、チャック表面全体に局所的な熱い及び冷たいスポットが生じ、これによって、基板の表面に沿う処理結果の不均一性が生じる。
【0004】
チャックと基板との間の熱伝達の横方向及び方位角方向の均一性は、静電チャックが搭載される従来の基板支持体に通常用いられる熱伝達方式によってさらに複雑になる。例えば、従来の基板支持体は、通常、端部から中心までの温度制御手段だけを有する。従って、静電チャック内における局所的な熱い及び冷たいスポットは、従来の基板支持体の熱伝達の特徴を利用しながらでは、補正できない。
【0005】
従って、基板支持アセンブリ基板支持アセンブリに対する改善の必要がある。
【概要】
【0006】
本明細書に述べた実施形態は、静電チャックと加熱アセンブリとの間の熱伝達の横方向及び方位角方向双方の調整を可能にするピクセル型基板支持アセンブリを提供する。ピクセル型基板支持アセンブリは、上面及び下面と、ピクセル型基板支持体に配置された1つ又は複数の主抵抗ヒータと、主抵抗ヒータと列をなし、また基板支持体内に配置される複数のピクセルヒータとを含む。ピクセルヒータの数量は、主抵抗ヒータの数量より一桁大きく、ピクセルヒータは、主抵抗ヒータと同様、互いに独立して制御可能である。
【0007】
一実施形態では、基板支持アセンブリは、基板支持面及び下面を有する基板支持体と、基板支持体に結合又はその中に配置された複数の抵抗ヒータであって、互いに対して独立して制御可能な複数の抵抗ヒータと、複数の抵抗ヒータに結合されたピクセルヒータ・コントローラとを含み、ピクセルヒータ・コントローラには、光学系及びヒータコントローラが含まれる。
【0008】
さらに他の実施形態では、処理チャンバは、チャンバ本体及びピクセル型基板支持アセンブリを含む。ピクセル型基板支持アセンブリは、上面及び下面と、ピクセル型基板支持体内に配置された1つ又は複数の主抵抗ヒータと、主抵抗ヒータと列をなし、また、基板支持体内に配置された複数のピクセルヒータとを含む。ピクセルヒータの数量は、主抵抗ヒータの数量より1桁大きく、ピクセルヒータは、主抵抗ヒータと同様に、互いに対して独立して制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上記列挙した特徴を詳細に理解できるように、簡潔に要約して上に述べた本発明のさらに詳細な説明を、そのいくつかを添付図面に示す実施形態を参照して行う。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、従って、本発明が他の同様に有効な実施形態を含み得るため、その範囲を限定するものと解釈されないことを留意すべきである。
【
図1】ピクセル型基板支持アセンブリの一実施形態を有する処理チャンバの概略断面側面図である。
【
図2】ピクセル型基板支持アセンブリの部位を詳細に示す部分概略断面側面図である。
【
図3D】
図2の断面線A-Aに沿う横断面図であって、ピクセルヒータ用の他の選択肢のレイアウトを示す図である。
【
図4E】ピクセル型基板支持体内におけるピクセルヒータ及び主抵抗ヒータ用の様々な位置を示す部分概略側面図である。
【
図5】ピクセル型基板支持アセンブリを利用して基板を処理するための方法の一実施形態のフロー図である。
【
図6】ピクセルヒータを動作するための簡易概略配線図である。
【
図7】ハードウェアキーを備えた主抵抗ヒータの配線を示す描写図である。
【
図8】ハードウェアキーを用いるように構成された施設板の上部平面図である。
【
図9】ハードウェアキーを備えていない主抵抗ヒータ用の代替の配線方式を示す描写図である。
【
図10】
図9に示す配線方式のために構成された冷却ベースの上部平面図である。
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合、同じ参照番号を用いて、全ての図に共通な同じ要素を指定した。一実施形態において開示した要素を特定の引用無しで他の実施形態に有利に用いてもよいと考えられる。
【詳細な説明】
【0011】
本明細書に述べた実施形態は、基板支持アセンブリを構成する静電チャックの温度の横方向及び方位角方向双方の調整を可能にし、これによって、基板支持アセンブリ上で処理される基板の横方向の温度プロファイルの横方向及び方位角方向双方の調整を可能にするピクセル型基板支持アセンブリを提供する。さらに、ピクセル型基板支持アセンブリにより、基板上の局所的な熱い又は冷たいスポットが実質的に解消できる。ピクセル型基板支持アセンブリ上で処理される基板の横方向の温度プロファイルを調整するための方法も本明細書で述べる。ピクセル型基板支持アセンブリについては、エッチング処理チャンバにおいて後述するが、ピクセル型基板支持アセンブリは、他の種類のプラズマ処理チャンバ、とりわけ、例えば、物理蒸着チャンバ、化学蒸着チャンバ、イオン注入チャンバ、及び横方向の温度プロファイルの方位角方向の調整が望ましい他のシステムに用いてもよい。また、ピクセル型ヒータは、半導体処理に用いられないものを含む他の面の温度を制御するためにも用いてもよいと考えられる。
【0012】
1つ又は複数の一実施形態では、ピクセル型基板支持アセンブリは、基板温度を利用して、チャンバの不均一性、例えば、温度、フローコンダクタンス、電界、プラズマ密度等を補償することによって、エッチング、成膜、注入等の真空処理時、基板の端部における臨界寸法(CD)のばらつきの補正が可能になる。さらに、いくつかの実施形態では、基板全体の温度均一性を約±0.3℃未満に制御する能力が実証されている。
【0013】
図1は、ピクセル型基板支持アセンブリ126を有する例示的なエッチング処理チャンバ100の概略断面図である。上述したように、ピクセル型基板支持アセンブリ126は、表面又は基板等のワークピースの温度プロファイルを制御する能力が望ましい他のシステムのみならず、他の処理チャンバ、とりわけ、例えば、プラズマ処理チャンバ、アニーリングチャンバ、物理蒸着チャンバ、化学蒸着チャンバ、及びイオン注入チャンバに用いてもよい。表面全体の多数の離散的領域に渡って温度を局所的に独立して制御すると、温度プロファイルの方位角調整、温度プロファイルの中心から端部への調整、ならびに熱い及び冷たいスポット等の局所的な温度の凹凸の低減が可能になり有益である。
【0014】
処理チャンバ100には、接地されたチャンバ本体102が含まれる。チャンバ本体102には、内部容積124を密閉する壁104、底部106、及び蓋108が含まれる。ピクセル型基板支持アセンブリ126は、内部容積124内に配置され、処理中、その上で基板134を支持する。
【0015】
処理チャンバ100の壁104には、開口部(図示せず)が含まれ、これを通して、基板134を内部容積124の内外にロボット制御で搬入・搬出し得る。ポンピングポート110が、壁104の内の1つに又はチャンバ本体102の底部106に形成され、ポンピングシステム(図示せず)に流体接続される。このポンピングシステムは、処理副生成物を除去しつつ、処理チャンバ100の内部容積124内に真空環境を維持するために用いられる。
【0016】
ガスパネル112は、チャンバ本体102の蓋108又は壁104の内の少なくとも1つを通って形成される1つ又は複数の吸気ポート114を介して、処理ガス及び/又は他のガスを処理チャンバ100の内部容積124に提供する。ガスパネル112によって提供された処理ガスは、内部容積124内において活性化されて、ピクセル型基板支持アセンブリ126上に配置された基板134を処理するために用いられるプラズマ122を形成する。処理ガスは、チャンバ本体102の外側に配置されたプラズマアプリケータ120から処理ガスに誘導結合されたRF電力によって活性化し得る。
図1に示す実施形態では、プラズマアプリケータ120は、整合回路118を介してRF電源116に結合された一対の同軸コイルである。
【0017】
コントローラ148が、処理チャンバ100に結合され、処理チャンバ100の動作及び基板134の処理を制御する。コントローラ148は、工業的な環境において、様々なサブプロセッサやサブコントローラを制御するために用いることができる、任意の形態の汎用データ処理システムの内の1つであってもよい。一般的に、コントローラ148には、共通の構成要素の中でもとりわけメモリ174及び入出力(I/O)回路176と通信状態にある中央処理装置(CPU)172が含まれる。コントローラ148のCPUによってソフトウェア命令が実行されると、処理チャンバは、例えば、エッチャント-ガス混合物(即ち、処理ガス)を内部容積124に導入して、プラズマアプリケータ120からRF電力を印加することによって処理ガスからプラズマ122を形成し、そして、基板134上の一層の材料をエッチングする。
【0018】
ピクセル型基板支持アセンブリ126には、一般的に、少なくとも基板支持体132が含まれる。基板支持体132は、真空チャック、静電チャック、サセプタ、又は他のワークピース支持面であってもよい。
図1の実施形態では、基板支持体132は、静電チャックであり、本明細書では以下、静電チャック132と記載する。ピクセル型基板支持アセンブリ126は、ヒータアセンブリ170をさらに含んでもよい。ピクセル型基板支持アセンブリ126は、冷却ベース130をさらに含んでもよい。冷却ベースは、ピクセル型基板支持アセンブリ126と交互に分離していてもよい。ピクセル型基板支持アセンブリ126は、支持台座125に着脱可能に結合してもよい。支持台座125は、台座ベース128及び施設板180を含んでもよいが、チャンバ本体102に搭載される。ピクセル型基板支持アセンブリ126は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の1つ又は複数の構成要素を改修するために、支持台座125から定期的に取り外してもよい。
【0019】
施設板180は、複数のリフトピンを昇降させるように構成された複数の駆動機構を収容するように構成されている。さらに、施設板180は、静電チャック132及び冷却ベース130からの複数の流体接続部を収容するように構成されている。施設板180は、さらに、静電チャック132及びヒータアセンブリ170からの複数の電気的接続部を収容するように構成されている。その無数の接続部は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の内部又は外部を走らせてもよいが、一方で、施設板180は、それぞれの末端への接続部用のインターフェイスを提供する。
【0020】
静電チャック132は、搭載面131及び搭載面131に対向するワークピース面133を有する。静電チャック132には、一般的に、誘電体150に埋め込まれたチャック電極136が含まれる。チャック電極136は、単極又は双極の電極、又は他の適切な仕組みとして構成してよい。チャック電極136は、RF又はDC電力を提供するチャック電源138にRFフィルタ182を介して結合され、誘電体150の上面に基板134を静電的に固定する。RFフィルタ182は、処理チャンバ100内においてプラズマ122を形成するために用いられるRF電力が、電気設備を破壊することやチャンバ外部に電気的な危険性を生じさせることを防ぐ。誘電体150は、AlN又はAl2O3等のセラミック材料から製造してもよい。あるいは、誘電体150は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン等のポリマから製造してもよい。
【0021】
静電チャック132のワークピース面133は、基板134と静電チャック132のワークピース面133との間に画成された格子間空間に裏面熱伝達ガスを提供するためのガス経路(図示せず)を含んでもよい。静電チャック132には、さらに、処理チャンバ100の内外へのロボット搬入・搬出を円滑にするために、静電チャック132のワークピース面133の上方に基板134を持ち上げるためのリフトピンを収容するためのリフトピンホール(双方共図示せず)を含んでもよい。
【0022】
温度制御式冷却ベース130は、熱伝達流体源144に結合される。熱伝達流体源144は、ベース130に配置された1つ又は複数の管160中を循環する熱伝達流体、例えば、液体、ガス又はその組合せを提供する。隣接する管160を流れる流体は、隔離して、静電チャック132と冷却ベース130の異なる領域との間の熱伝達の局所的な制御を可能にすることができ、これによって、基板134の横方向の温度プロファイルの制御を支援する。
【0023】
流体分配器は、熱伝達流体源144の出口と温度制御式冷却ベース130との間で流体結合してもよい。流体分配器は、管160に提供された熱伝達流体の量を制御するように動作する。流体分配器は、処理チャンバ100外に、ピクセル型基板支持アセンブリ126内に、台座ベース128内に又は他の適切な位置に配置してもよい。
【0024】
ヒータアセンブリ170には、本体152に埋め込まれた1つ又は複数の主抵抗ヒータ154及び/又は複数のピクセルヒータ140を含んでもよい。主抵抗ヒータ154は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の温度を、チャンバ処理を行う温度に上昇させるために設けてもよい。ピクセルヒータ140は、主抵抗ヒータ154によって生成されたピクセル型基板支持アセンブリ126の温度プロファイルの局所的な調整を行う。従って、ピクセルヒータが局所的なミクロな規模で動作する一方で、主抵抗ヒータ154は、全体的なマクロな規模で動作する。主抵抗ヒータ154は、RFフィルタ184を介して主ヒータ電源156に結合される。電源156は、主抵抗ヒータ154に500ワット以上の電力を提供してもよい。コントローラ148は、一般的に、基板134を所定の温度付近まで加熱するために設定される主ヒータ電源156の動作を制御してもよい。一実施形態では、主抵抗ヒータ154には、複数の横方向に分離された加熱ゾーンが含まれ、1つ又は複数の他のゾーンに配置された主抵抗ヒータ154と対比して、コントローラ148により、主抵抗ヒータ154の1つのゾーンを優先的に加熱することができる。例えば、主抵抗ヒータ154は、複数の分離された加熱ゾーンに同心円状に配置してもよい。
【0025】
ピクセルヒータ140は、RFフィルタ186を介して、ピクセルヒータ電源142に結合される。ピクセルヒータ電源142は、ピクセルヒータ140に10ワット以下の電力を提供してもよい。一実施形態では、ピクセルヒータ電源142によって供給される電力は、主抵抗ヒータの電源156によって供給される電力より一桁小さい。ピクセルヒータ140は、ピクセルコントローラ202にも結合してもよい。ピクセルコントローラ202は、基板支持アセンブリ126内に又はその外に配置してもよい。基板支持アセンブリ126の全体に横方向に分散された各ピクセルヒータ140において局所的に生成される熱を制御するために、ピクセルコントローラ202は、ピクセルヒータ電源142から個別の又はグループのピクセルヒータ140に提供される電力を管理してもよい。光学電源178は、コントローラ148にピクセルコントローラ202を結合して、処理チャンバ100によるRFエネルギの影響からコントローラ148を切り離してもよい。
【0026】
あるいは、1つ又は複数の主抵抗ヒータ154及び/又はピクセルヒータ140は、静電チャック132内に形成してもよい。主抵抗ヒータ154及びピクセルヒータ140双方が静電チャック132内に形成される一実施形態では、ピクセル型基板支持アセンブリ126は、ヒータアセンブリ170無しで形成してもよく、静電チャック132は、冷却ベース130上に直接配置してもよい。
【0027】
静電チャック132は、主ヒータ電源156によって主抵抗ヒータ154に印加された電力を制御するための、冷却ベース130の動作を制御するための、またピクセルヒータ電源142によってピクセルヒータ140に印加された電力を制御するための、コントローラ148に温度フィードバック情報を提供するための1つ又は複数の熱電対(図示せず)を含んでもよい。
【0028】
処理チャンバ100における基板134の表面の温度は、ポンプによる処理ガスの排気、スリット弁ドア、プラズマ122及び他の要因によって影響され得る。冷却ベース130、1つ又は複数の主抵抗ヒータ154、及びピクセルヒータ140は全て、基板134の表面温度の制御に役立つ。
【0029】
主抵抗ヒータ154の2ゾーン構成において、主抵抗ヒータ154は、1つのゾーンから他の1つのゾーンまでのばらつき約+/-10℃での処理に適する温度まで基板134を加熱するために用いてもよい。主抵抗ヒータ154用の4ゾーンアセンブリでは、主抵抗ヒータ154は、特定のゾーン内においてばらつき約+/-1.5℃での処理に適する温度まで基板134を加熱するために用いてもよい。各ゾーンは、処理条件及びパラメータに依存して、隣接するゾーンから約0℃から約20℃まで変動してもよい。しかしながら、基板全体の重要な寸法のばらつきを最小にするための要件によって、基板面の表面の決定された処理温度の許容可能なばらつきが小さくなっている。基板134の表面温度が0.5度ばらつくと、そこでの構造物の形成時、ナノメートルもの差異が生じ得る。ピクセルヒータ140は、温度プロファイルのばらつきを約+/-0.3℃に低減することによって、主抵抗ヒータ154によって生成される基板134の表面の温度プロファイルを改善する。温度プロファイルは、所望の結果を実現できるようにピクセルヒータ140を利用して、基板134の領域全体で一様にしたり、あるいは所定の方法で正確に変動したりするようにしてもよい。
【0030】
図2は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の部位を示す部分概略断面図である。
図2に含まれるものは、静電チャック132、ヒータアセンブリ170、及び施設板180の部位である。
【0031】
ヒータアセンブリ170の本体152は、ポリイミド等のポリマから製造してもよい。本体152は、一般的に、平面視で円柱状であってもよいが、他の幾何学的形状に形成してもよい。本体152は、上面270及び下面272を有する。上面270は、静電チャック132に面し、一方、下面272は、冷却ベース130に面する。
【0032】
ヒータアセンブリ170の本体152は、2つ以上の誘電体層(3つの誘電体層260、262、264として
図2に示す)から形成してもよく、圧力をかけた状態で層260、262、264を加熱して単一の本体152を形成してもよい。例えば、本体152は、主及びピクセルヒータ154、140を分離するポリイミド層260、262、264から形成し得るが、これらが圧力をかけた状態で加熱され、ヒータアセンブリ170の単一の本体152が形成される。ピクセルヒータ140は、本体152の形成に先立って、第1、第2、又は第3層260、262、264内、上、又はそれらの間に配置してもよい。さらに、主抵抗ヒータ154は、層260、262、264の内の少なくとも1つがヒータ154、140を分離し電気的に絶縁した状態で、組立に先立って、第1、第2、又は第3層260、262、264内、上、又はそれらの間に配置してもよい。このようにして、ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154は、ヒータアセンブリ170の一体化部位になる。
【0033】
主抵抗ヒータ154及びピクセルヒータ140の位置の他の構成では、ヒータ154、140の内の1つ又は双方を静電チャック132の中又は下に配置してよい。
図4A-4Eは、ピクセル型基板支持アセンブリ126の部分概略図であり、全ての実施形態に限定するものではないが、ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154用の様々な位置を詳細に示す。
【0034】
図4Aに示す実施形態では、ピクセル型基板支持アセンブリ126は、ヒータアセンブリ170を有さず、ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154は、静電チャック132内に、例えば、チャック電極136の下に配置される。ピクセルヒータ140は、主抵抗ヒータ154の下に示すが、ピクセルヒータ140は、他の選択肢として、主抵抗ヒータ154の上方に配置してもよい。
図4Bに示す実施形態では、ピクセル型基板支持アセンブリ126用のヒータアセンブリ170には、ピクセルヒータ140が含まれ、一方、主抵抗ヒータ154は、静電チャック132内に、例えば、チャック電極136の下に配置される。他の選択肢として、ピクセルヒータ140は、静電チャック132内に配置でき、一方、主抵抗ヒータ154は、ヒータアセンブリ170内に配置される。
図4Cに示す実施形態では、ピクセル型基板支持アセンブリ126用のヒータアセンブリ170には、主抵抗ヒータ154が配置されている。ピクセルヒータ140は、静電チャック132内に、例えば、チャック電極136の下に配置される。
図4Dに示す実施形態では、ピクセル型基板支持アセンブリ126用のヒータアセンブリ170には、ピクセルヒータ140が配置されており、一方、主抵抗ヒータ154は、ヒータアセンブリ170又は静電チャック132の内の1つに接して配置されている。ヒータアセンブリ170は、冷却板130からピクセルヒータ140を隔離する。
図4Eに示す実施形態では、ピクセル型基板支持アセンブリ126のヒータアセンブリ170には、主抵抗ヒータ154が配置されている。ピクセルヒータ140は、ヒータアセンブリ170内に又はその上に、例えば、静電チャック132の下に配置される。ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154は、他の方位に構成してもよいと考えられる。例えば、ピクセル型基板支持アセンブリ126は、基板134を加熱するための複数のピクセルヒータ140だけを有してもよい。一実施形態では、ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154は、ピクセル型基板支持アセンブリ126内において互いの下に直接配置される。ピクセルヒータ140は、ピクセル型基板支持アセンブリ126によって支持された基板134の温度プロファイルの微調整制御を行う。
【0035】
ピクセルヒータ140は、ヒータアセンブリ170の本体152又は静電チャック132上に又は内に形成又は配置してもよい。ピクセルヒータ140は、めっき、インクジェット印刷、スクリーン印刷、物理蒸着、スタンピング、ワイヤメッシュ又は他の適切な方法で形成してもよい。このようにして、ピクセル型基板支持アセンブリ126の製造は、簡易化される。一実施形態では、ピクセルヒータ140は、ヒータアセンブリ170を形成しつつ、ヒータアセンブリ170内に配置される。他の実施形態では、ピクセルヒータ140は、静電チャック132の搭載面131上に直接配置される。例えば、ピクセルヒータ140は、静電チャック132の搭載面131に付着することができるシート状であってもよく、あるいは、ピクセルヒータは、他の手段によって成膜してもよい。例えば、ピクセルヒータ140は、物理蒸着、化学蒸着、スクリーン印刷又は他の適切な方法によって搭載面131上に成膜することができる。主抵抗ヒータ154は、上に示したように、静電チャック132又は加熱アセンブリ170内にあってよい。
【0036】
主抵抗ヒータ154は、ヒータアセンブリ170の本体152又は静電チャック132上に又は内に形成又は配置してもよい。主抵抗ヒータ154は、めっき、インクジェット印刷、スクリーン印刷、物理蒸着、スタンピング、ワイヤメッシュ又は他の適切な方法によって形成してもよい。このようにして、ピクセル型基板支持アセンブリ126の組立は、簡易化される。一実施形態では、主抵抗ヒータ154は、ヒータアセンブリ170を形成しつつ、ヒータアセンブリ170内に配置される。他の実施形態では、主抵抗ヒータ154は、静電チャック132の搭載面131上に直接配置される。例えば、主抵抗ヒータ154は、静電チャック132の搭載面131に付着することができるシート状であってもよく、あるいは、主抵抗ヒータ154は、他の手段によって成膜してもよい。例えば、主抵抗ヒータ154は、物理蒸着、化学蒸着、スクリーン印刷又は他の適切な方法によって搭載面131上に成膜することができる。ピクセルヒータ140は、上に示したように、静電チャック132又は加熱アセンブリ170内にあってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、主抵抗ヒータ154は、ピクセルヒータ140と同様に製造でき、また、そのような実施形態では、追加のピクセルヒータ140の恩恵無しで自由に利用してもよい。言い換えると、ピクセル型基板支持アセンブリ126の主抵抗ヒータ154は、複数の目立たない抵抗加熱要素にピクセル化、即ち、セグメント化される。小さい抵抗ヒータの形態に主抵抗ヒータ154をセグメント化することによって、基板134の表面上の熱い及び冷たいスポットの局所的な制御が可能である。追加の層のピクセルヒータ140は、温度制御の所望のレベルに依存して、取捨選択できる。
【0038】
図7は、複数のユニットヒータ846から形成されたセグメント型主抵抗ヒータ154用の配線レイアウトの描写図である。ユニットヒータ846は、上述したようにピクセルコントローラ202を用いて、又は、
図7に示すように、ハードウェア配線キー802の形態でピクセルヒータ・コントローラを利用して、制御してもよい。ハードウェア配線キー802を用いるための一実施形態を
図8に示す施設板180の上部平面図に示す。
【0039】
図7及び8を一緒に参照すると、ピクセル型基板支持アセンブリ126は、4ゾーン810、820、830、840の内の1つを各々画成する4つの主抵抗ヒータ154として例示的に図示した1つ又は複数の主抵抗ヒータ154を有してもよい。各ゾーン810、820、830、840における温度は、ゾーンに関連付けられた主抵抗ヒータ154によって独立して制御してもよい。さらに、各主抵抗ヒータ154は、複数の分離型ユニットヒータ846を含む。ユニットヒータ846は、活性(活性ユニットヒータ842)又は不活性(不活性ユニットヒータ844)のいずれかであってもよい。活性ユニットヒータ842は、電源に結合され、主抵抗ヒータ154に熱を付与する。不活性ユニットヒータ844は、電源であり、従って、主抵抗ヒータ154に熱を付与しない。従って、どの主抵抗ヒータ154が活性ユニットヒータ842又は不活性ユニットヒータ844であるかを選択的に選ぶことによって、基板支持アセンブリ126の温度プロファイルを制御して、例えば、局所的な熱い又は冷たいスポットを制御したり、温度プロファイルの中心から端部への調整をしたり、ピクセル型基板支持アセンブリ126の横方向の温度プロファイルの方位角調整をしたりしてもよく、その結果、基板134がその上で処理される。
【0040】
各主抵抗ヒータ154用のユニットヒータ846を選択して、各ゾーン810、820、830、840内において活性ヒータ密度の1つのパターンを形成してもよい。ユニットヒータ846のパターンは、854と表記されたユニットヒータのパターンと同様に、密集させ均一にしてもよい。あるいは、ユニットヒータ846用のパターンは、疎に間隔をおいて配置してもよい。ユニットヒータ846は、ハードウェア配線キー802、ピクセルコントローラ202等のハードウェアを用いて、コントローラ148によって実行されるソフトウェア又はファームウェアを用いて、又は他の方法又は装置を介して、活性ユニットヒータ842と不活性ユニットヒータ844との間で切換えてもよい。従って、各ゾーン810、820、830、840において、主抵抗ヒータ154から生成された温度プロファイルは、ユニットヒータ846を選択的に起動して、主抵抗ヒータ154によって供給される熱を制御することによって洗練してもよい。
【0041】
各ユニットヒータ846、即ち、全ての活性ユニットヒータ842及び全ての不活性ユニットヒータ844は、有線接続860を有する。有線接続860は、受け口804に配線され、例えば、施設板180内に形成される。一実施形態では、有線接続860は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の外部に延在して、ピクセル型基板支持アセンブリ126の外側を施設板180の受け口804まで走ってもよい。あるいは、有線接続860は、ヒータアセンブリ170の内部を通って、例えば、冷却ベース130の孔を通って施設板180の受け口804に走らせてもよい。
【0042】
施設板180の受け口804は、内面805及び側面806を有する。有線接続860は、内面805で終端することによって、コネクタ又はソケットを形成してもよい。制御盤接続868は、コネクタ又はソケットで側面806において終端してもよい。制御盤接続868は、単一の電力リード線又は複数の電力リード線であってよい。有線接続860及び制御盤接続868は、回路の一部である。あるいは、有線接続860及び制御盤接続868は、双方共、施設板180の同一面にあってもよい。例えば、有線接続860及び制御盤接続868は、双方共、受け口804の内面805にあってもよい。電流が回路を横切って、即ち、制御盤接続868から有線接続860に流れないように、回路の間隙が受け口804に形成される。
【0043】
ハードウェア配線キー802は、受け口804に装着されるように構成される。ハードウェア配線キー802は、施設板180の外面880と面一であってもよく、一方、ハードウェア配線キー802の前面885は、受け口804の内面805に接触している。さらに、ハードウェア配線キー802の側面886は、受け口の側面806に接触している。ハードウェア配線キー802は、電流が制御盤接続868から選択された有線接続860に流れてもよいように、受け口804における回路の間隙を選択的に埋めるように構成されている。このようにして、有線接続860と制御盤接続868との間を電気的に接続できる。従って、ハードウェア配線キー802は、選択的に電力をユニットヒータ846に提供するように構成されている。
【0044】
ハードウェア配線キー802は、共通の負端子を各有線接続860に対して用いてもよい。例えば、全ての負端子は、ハードウェア配線キー802の外装に形成し得る共通のバスを利用するか、又は、負端子は、共有ピン接続であってもよい。あるいは、ハードウェア配線キー802は、各有線接続860に対して個別の負端子を用いてもよい。負端子は、ゲートスイッチ又は端子を流れる電流を選択的に遮断するための他の手段を有してもよい。
【0045】
ハードウェア配線キー802は、ユニットヒータ846に電力を供給するために、活性状態にして利用可能にしたい回路だけを予め選択する方法で形成してもよい。不活性回路は、主抵抗ヒータ154内のユニットヒータ846の有線接続860への電力の流れを遮断するための他の適切な手段の中でもとりわけ、間隙又はゲート864、又はハードウェア配線キー802内の無定形の回路、又は絶縁キャップ(図示せず)を有してもよい。従って、1つのハードウェア配線キー802は、1つの処理を実施しつつ基板の所定の横方向の温度分布を提供するために用いてもよく、また、他の処理を実施しつつ基板の異なる所定の横方向の温度分布を生成するユニットヒータ846に電力を供給するために、活性状態にして利用可能にしたい異なる予め選択した回路を有するハードウェア配線キー802によって置き換えてもよい。このようにして、異なるハードウェア配線キー802は、効率的に取り替えて、異なる温度プロファイルを提供してもよく、それに応じて、有益な処理結果の実現を確保する際の柔軟性を高めることができる。
【0046】
有線接続860は、分割して、施設板180の外面880の周囲に等間隔に配置してもよい。一実施形態では、施設板は、4つの受け口804を有し、各受け口は、実質的に同じ数の有線接続860を有する。この構成によって、ピクセル型基板支持アセンブリ126は、対称的にバランスをとることができ、処理チャンバ100内において起こる処理に対する配線の影響を最小限にできる。利点として、ユニットヒータ846の構成及び接続は、ピクセル型基板支持アセンブリ126に均質な構造を提供し、また、処理の対称性を促進する。
【0047】
主抵抗ヒータ154のユニットヒータ846によって、主抵抗ヒータ154は、約0.3℃の単位でプロファイルされた横方向の温度を制御する能力を備えた状態で、ほぼ周囲温度と約500℃との間の温度範囲を有することができる。ピクセル型基板支持アセンブリ126は、ユニットヒータ846で構成された主抵抗ヒータ154を有するが、その上で処理される基板の温度均一性を約±1.5℃未満に制御する能力を実証した。
【0048】
図2に示す実施形態に戻ると、ヒータアセンブリ170は、接合剤244を利用して、静電チャック132の搭載面131に結合してもよい。接合剤244は、アクリル系の接着材、エポキシ樹脂、シリコン系の接着材、ネオプレン系の接着材又は他の適切な接着材等の、接着材であってもよい。一実施形態では、接合剤244は、エポキシ樹脂である。接合剤244は、0.01から200W/mKの範囲において選択された熱伝導率の係数を有してもよいが、例示的な一実施形態では、0.1から10W/mKの範囲内のものを有してもよい。接合剤244を構成する接着材材料には、さらに、少なくとも1つの熱伝導性セラミック充填剤、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、二ホウ化チタン(TiB
2)等を含んでもよい。
【0049】
一実施形態では、ヒータアセンブリ170は、接合剤242を利用して、冷却ベース130に結合される。接合剤242は、接合剤244と同様であってもよく、また、アクリル系の接着材、エポキシ樹脂、ネオプレン系の接着材又は他の適切な接着材等の、接着材であってもよい。一実施形態では、接合剤242は、エポキシ樹脂である。接合剤242は、0.01から200W/mKの範囲において選択された熱伝導率の係数を有してもよいが、例示的な一実施形態では、0.1から10W/mKの範囲内のものを有してもよい。接合剤242を構成する接着材材料には、さらに、少なくとも1つの熱伝導性セラミック充填剤、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、二ホウ化チタン(TiB2)等を含んでもよい。
【0050】
接合剤244、242は、静電チャック132、冷却ベース130及びヒータアセンブリ170の内の1つ又は双方を改修する時、除去してもよい。他の実施形態では、ヒータアセンブリ170は、締結具又は締め付け具(図示せず)を利用して、静電チャック132及び冷却ベース130に着脱可能に結合される。
【0051】
ヒータアセンブリ170には、ピクセルヒータ140a、140b、140cとして例示的に図示した複数のピクセルヒータ140が含まれる。ピクセルヒータ140は、一般的に、複数の抵抗ヒータがヒータアセンブリ170と静電チャック132との間の熱伝達を実現するヒータアセンブリ170内の密閉された容積である。各ピクセルヒータ140は、ヒータアセンブリ170全体に渡って横方向に構成でき、従って、セル200に位置合わせされたヒータアセンブリ170の領域(及び主抵抗ヒータ154の一部)に追加の熱を局所的に提供するためのそのセル200をヒータアセンブリ170内に画成してもよい。ヒータアセンブリ170内に形成されるピクセルヒータ140の数は、変動してもよく、主抵抗ヒータ154の数より少なくとも1桁大きいピクセルヒータ140(及びセル200)が存在すると考えられる。ヒータアセンブリ170が4つの主抵抗ヒータ154を有する一実施形態では、40を超える数のピクセルヒータ140が存在してもよい。しかしながら、300mm基板に用いるために構成された基板支持アセンブリ126の所与の一実施形態では、約200、約400又はそれを超える数のピクセルヒータ140が存在してもよいと考えられる。ピクセルヒータ140の例示的な分布については、
図3A-3Dを参照してさらに後述する。
【0052】
セル200は、ヒータアセンブリ170の本体152を構成する1つ又は複数の層260、262、264を介して形成してもよい。一実施形態では、セルは、本体152の下面及び上面272、272に対して開口している。セルは、側壁214を含んでもよい。側壁214は、熱チョーク216としての役割を果たす材料(又は間隙)から構成してもよい。熱チョーク216は、本体152の上面270に形成される。熱チョーク216は、隣接セル200間の伝導を分離し低減する。従って、各ピクセルヒータ140に提供される電力を、そして、その結果、セル200を介した熱伝達を個別にまた独立して制御することによって、温度制御に対するピクセル毎のアプローチを実現して基板134の特定の点を加熱又は冷却でき、これによって、基板134の表面の正確に対処可能な横方向の温度プロファイル調整及び制御が可能になる。
【0053】
追加の熱チョーク216は、半径方向に最も外側のセル200と本体152の横方向に最も外側の側壁280との間に形成し得る。セル200と本体152の横方向に最も外側の側壁280との間に配置されたこの最も外側の熱チョーク216は、横方向に最も外側の側壁280に隣接するセル200と処理チャンバ100の内部容積124との間の熱伝達を最小にする。これによって、ピクセル型基板支持アセンブリ126の端部により近いさらに高精度の温度制御が可能であり、その結果、基板134の外側直径端部に対して、より良い温度制御が可能になる。
【0054】
上述したように、各ピクセルヒータ140は、ピクセルコントローラ202に独立して結合してもよい。ピクセルコントローラ202は、ピクセル型基板支持アセンブリ126内に配置してもよい。ピクセルコントローラ202は、各セル200におけるヒータアセンブリ170のピクセルヒータ140の温度を他のセル200に対して調整してもよいか、又は、他の選択肢として、1つのグループのセル200全体に渡ってヒータアセンブリ170の1つのグループのピクセルヒータ140の温度を他のグループのセル200に対して調整してもよい。ピクセルコントローラ202は、個別の又はグループのピクセルヒータ140のオン/オフ状態を切り換えてもよいか、又は、そのデューティサイクルを制御できる。あるいは、ピクセルコントローラ202は、個別の又はグループのピクセルヒータ140に供給される電力の量を制御してもよい。例えば、ピクセルコントローラ202は、1つ又は複数のピクセルヒータ140に10ワットの電力を、他のピクセルヒータ140に9ワットの電力を、またさらに、他のピクセルヒータに1ワットの電力を提供してもよい。
【0055】
一実施形態では、各セル200は、例えば、さらに高精度の温度制御を可能にする熱チョーク216を用いて、隣り合ったセル200から熱的に絶縁してもよい。他の実施形態では、各セル200は、熱的に隣接するセルと結合して、ヒータアセンブリ170の上面270に沿って、アナログ(即ち、滑らかな又は合成された)温度プロファイルを生成してもよい。例えば、主抵抗ヒータ154とピクセルヒータ140との間でアルミ箔等の金属層を熱拡散機として用いてもよい。
【0056】
独立して制御可能なピクセルヒータ140を用いて、主抵抗ヒータ154によって生成される温度プロファイルを滑らかにするか又は補正すると、基板全体における局所的な温度の均一性を極めて小さい許容誤差に制御することが可能になり、これによって、基板134を処理する場合、高精度の処理及びCD制御が可能になる。さらに、主抵抗ヒータ154に対してピクセルヒータ140のサイズが小さくまた密度が高いと、実質的に隣接エリアの温度に影響を及ぼすことなく、ピクセル型基板支持アセンブリ126の特定の位置における温度制御が可能になり、これによって、スキュー又は他の温度非対称性を招くことなく局所的な熱い及び冷たいスポットの補正が可能になる。複数のピクセルヒータ140を有するピクセル型基板支持アセンブリ126は、その上で処理される基板134の温度均一性を約±0.3℃未満に制御する能力を実証した。
【0057】
ピクセル型基板支持アセンブリ126のいくつかの実施形態の他の利点は、RF電力が制御回路を通過することを防止する能力である。例えば、ピクセルコントローラ202には、電力回路210及び光制御回路220を含んでもよい。電力回路210は、ピクセルヒータ140に結合される。各ピクセルヒータ140は、電力回路210に接続された一対の電力リード線(コネクタ250)を有する。50個のピクセルヒータ140を有する例示的なヒータアセンブリ170では、50対の電力リード線(コネクタ250)が、ピクセルヒータ140を制御するために必要である。プラズマを形成するための処理チャンバ100に供給されるRFエネルギは、電力リード線に結合する。
図1に示すRFフィルタ182、184、186等のフィルタは、主ヒータ電源156等の電気設備をRFエネルギから保護するために用いられる。電力回路210において電力リード線(コネクタ250)を終端することによって、また、光制御回路220を利用して、各ピクセルヒータ140に提供する電力の量を制御することによって、単一のRFフィルタ184だけが、電力回路210と電源156との間に必要になる。従来の用途では、各ヒータは、専用のRFフィルタを必要とする。従って、専用のRFフィルタのためのスペースが非常に制限されているため、基板支持アセンブリ内において利用されるヒータの数も制限され、これによって、用い得る主なヒータゾーンの数が制限され、また、ピクセル型矯正ヒータの実現が不可能になる。従って、光制御回路220と共に電力回路210を用いると、より多くのヒータを可能とし、その結果、優れた横方向の温度制御が可能になる。
【0058】
簡単に
図6を参照すると、ピクセルヒータ140用の簡易化した配線概略図は、RF信号から電気的なチャンバ構成要素を保護するのに必要なRFフィルタの低減された数を示す。フレックス回路600は、複数のピクセルヒータ140の制御を支援するために用いてもよい。フレックス回路600は、ピクセルヒータ140と共に行列パターンを形成してもよい。フレックス回路600は、多数の交差しない正極リード線640及び負極リード線650から構成してもよく、各々、一端においてピクセルコントローラ202に取り付けられている。各正極リード線640は、対応する負極リード線650に接続を橋渡しする複数のピクセルヒータアセンブリ662を有してもよい。従って、ピクセルヒータアセンブリ662は、正極及び負極リード線640、650の各接続間に配置される。例示的な一実施形態では、フレックス回路600は、9つの正極リード線640と9つの負極リード線650を有してもよく、従って、81個ものピクセルヒータアセンブリ662を有してもよい。
【0059】
ピクセルヒータアセンブリ662は、直列に接続されたピクセルヒータ663及びダイオード664を有する。ピクセルヒータ663は、正極リード線640に取り付け、ダイオード664は、負極リード線650に取り付けてもよい。あるいは、ピクセルヒータ663は、負極リード線650に取り付け、ダイオード630は、正極リード線640に取り付けてもよい。ダイオード664は、電流が一方向だけに流れることを保証する。一実施形態では、各ピクセルヒータアセンブリ662の電流の方向は、正極リード線640から負極リード線650である。
【0060】
ピクセルコントローラ202は、個々の回路を開く及び/又は閉じて、正極リード線640及び負極リード線650の内の選択したものに所定の電流を提供する。例えば、ピクセルコントローラ202は、他の全ての正極及び負極リード線640、650が開回路としての役割を果たす状態で、641と表記された正極リード線に電流を提供し、653と表記された負極リード線にその電流のリターンフローを提供してもよい。あるいは、ピクセルコントローラ202は、他の全ての正極及び負極リード線640、650が開回路としての役割を果たす状態で、負極リード線652にリターンフローを提供しつつ、642及び643と表記された正極リード線に選択的に電流を提供してもよい。ピクセルコントローラ202は、従って、正極及び負極リード線640、650の選択された組合せのものの間に配置されたピクセルヒータアセンブリ662に選択的に電流を提供してもよい。フレックス回路600は、各ピクセルヒータ663に電力を供給するために、ピクセルコントローラ202へ戻る最小数の接続で個々の回路を完成する。
【0061】
一実施形態では、ピクセルコントローラ202は、641と表記された正極リード線に電流を提供し、その電流の帰路は、全ての負極リード線650に提供される。最上行612に沿うピクセルヒータ140は、選択的にオン(活性状態)になり、一方、残りのピクセルヒータ140は、不活性状態である。他の実施形態では、ピクセルコントローラ202は、641及び642と表記された正極リード線に電流を提供し、651及び652と表記された負極リード線にその電流の帰路を提供する。この構成では、小さいグループの4つのピクセルヒータ691、692、693、694が、選択的にオンになり、一方、残りのピクセルヒータ140は、不活性状態(即ち、無通電状態)のままである。従って、ピクセルコントローラ202は、選択された正極リード線640及び選択された負極リード線650を導通状態にすることによって、様々なピクセルヒータ140を選択的に導通状態にするために用いてもよい。ピクセルコントローラ202は、さらに、所定のピクセルヒータ両端の電圧又はそれを通過する電流を制御して、特定のピクセルヒータによって生成される熱の量を制御してもよい。ピクセルコントローラ202は、他の選択肢として又は追加的に、所定のピクセルヒータのデューティサイクルを制御して、時間が経つにつれて特定のピクセルヒータによって生成される熱の量を制御してもよい。ピクセルコントローラ202は、他の選択肢として又は追加的に、ピクセルヒータを走査して、時間が経つにつれて特定のピクセルヒータによって生成される熱の量を制御してもよい。
【0062】
フレックス回路600は、ヒータアセンブリ170の本体152を構成する層260、262、264の内の1つの中、上、又は下に形成してもよい。ピクセルヒータ140は、フレックス回路600の上方に又はそれと共に配置してもよい。フレックス回路600は、成膜、メッキ、インクジェット印刷、スクリーン印刷、又は何らかの適切なやり方で形成してもよい。正極リード線640及び負極リード線650は、フレックス回路600をピクセルコントローラ202に接続する1つ又は複数のコネクタ250を形成してもよい。コネクタ250は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の内部を通って延在してもよい。例えば、冷却ベース130及び施設板180は、そこを通して形成された1つ又は複数の経路を有し、コネクタ250の経路を収容してもよい。コネクタ250は、処理チャンバ100内で進行中のプラズマ処理に対する配線のあらゆる影響のバランスをとるように、ピクセル型基板支持アセンブリ126全体に分割、配置、分散してもよい。例えば、4つのコネクタ250は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の中心周辺に形成された4つの等間隔に配置された経路を通過してもよい。一実施形態では、フレックス回路600は、50個以上のピクセルヒータ140を動作させるための100本以上の端子リード線を備えたヒータアセンブリ170の層上又は層内に印刷してもよい。一例では、400本の端子リード線が、200個のピクセルヒータ140に電力を提供するために用いられる。端子リード線は、冷却板130に形成されたスロットを通り抜けるリボンケーブル又は回路等の分離した可撓性帯状片に分割してもよい。端子リード線を含む可撓性帯状片は、冷却板130を通り施設板180まで形成された等間隔に配置されたスロットを通り抜けて、対称の温度制御及び処理の均一性に寄与する対称の幾何学的形状を提供してもよい。
【0063】
図2に戻ると、電力回路210は、フレックス回路600からの複数のコネクタ250への電力を切換え又は循環させてもよい。電力回路210は、各コネクタ250に電力を提供して、1つ又は複数のピクセルヒータ140を導通状態にする。この電源は、最終的に複数のピクセルヒータ140に電力を供給するが、電力回路210は、単一の電源、即ち、ピクセルヒータ電源142を有し、従って、単一のフィルタ184だけを必要とする。利点として、追加のフィルタ用のスペースと経費が軽減され、一方、多くのヒータ及びヒータゾーンが使用可能になる。
【0064】
光制御回路220は、光ファイバケーブル等の光ケーブル226によって電力回路210に結合して、コネクタ250に供給される電力を、従って、ピクセルヒータ140を制御してもよい。光制御回路220は、光導波路228を介して光学電源178に結合してもよい。光学電源178は、ピクセルヒータ140の機能を制御する信号を提供するためのコントローラ148に結合される。光ケーブル226及び光導波路228は、電磁干渉又は無線周波数(RF)エネルギの影響を受けない。従って、ピクセルコントローラ202においてRFエネルギから光学電源178を保護するRFフィルタは不要であり、これによって、基板支持アセンブリ126内に他の有用な物のための配線用のスペースを確保できる。
【0065】
光制御回路220は、各ピクセルヒータ140又はピクセルヒータ140のグループ/領域を調整するための命令又は指示を電力回路210に送ってもよい。
図6のフレックス回路600において分かるように、単一のピクセルヒータ140又はピクセルヒータ140のグループ/領域は、電力回路210に戻る最小数の接続を用いて導通状態にし、光制御回路220によって制御してもよい。
【0066】
光制御回路220は、プログラムされ、各ピクセルヒータ140での温度上昇を測定することによって較正してもよい。温度上昇は、ピクセルヒータ140に対する徐々に増える電力増加量に対応付けしてもよい。例えば、温度上昇は、ピクセルヒータ140に供給される電力の百分率増加量、例えば、5%増加量に対応付けしてもよい。温度マップは、この方法を用いてもよい。このマップは、CD又は温度を各ピクセルヒータ140の電力分布曲線に関係付けてもよい。従って、ピクセルヒータ140は、個々のピクセルヒータ140用のプログラム制御電力設定値に基づき基板上の温度プロファイルを生成するために用いてもよい。論理回路は、光制御回路220に直接又はコントローラ148等の外部接続されたコントローラに配置することができる。
【0067】
次に、ピクセルヒータ140の構成について、
図3A~3Dを参照して述べる。
図3Aは、一実施形態による断面線A-Aに沿う
図2の断面図である。
図3B~3Dは、他の実施形態による
図2の同じ断面線A-Aに沿う断面図である。
【0068】
次に、
図3Aにおいて、複数のピクセルヒータ140は、ヒータアセンブリ170の本体152を通る断面線A-Aの面に沿って配置される。熱チョーク216は、各隣接セル200間に配置され、各セル200は、ピクセルヒータ140の内の少なくとも1つに対応付けられる。さらに、熱チョーク216は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の外面326に沿って配置される。図示したセル200の数は、説明のみのためのものであり、任意の数の実施形態が、実質的により多くの(又はより少ない)セル200を有してもよい。ピクセルヒータ140の数は、主抵抗ヒータ154の数より少なくとも1桁大きくてもよい。ピクセル型基板支持アセンブリ126全体に配置されたピクセルヒータ140の数は、優に数百を超えてもよい。
【0069】
各ピクセルヒータ140は、端子306、308で終端する抵抗器304を有する。電流が306と表記された端子等の一方の端子に入り、308と表記された端子等の他方の端子から出るので、電流は、抵抗器304の電線を進み、熱を発生する。ピクセルヒータ140は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の外面326に沿って適切な温度上昇を提供するための設計電力密度を有してもよい。抵抗器304によって放出される熱の量は、そこを通過する電流の二乗に比例する。電力設計密度は、約1ワット/セルと約100ワット/セルとの間、例えば、10ワット/セルであってもよい。
【0070】
抵抗器304は、ニクロム、レニウム、タングステン、プラチナ、タンタル又は他の適切な材料の膜から形成してもよい。抵抗器304は、電気抵抗率(ρ)を有し得る。低いρは、抵抗器304を電荷が容易に動く材料を示す。抵抗(R)は、ρ×長さ(l)/電線の断面積(A)に依存する、即ち、単に、R=ρ・l/Αである。プラチナは、20℃において、約1.06×10-7(Ω・m)のρを有する。タングステンは、20℃において、約5.60×10-8(Ω・m)のρを有する。ニクロムは、20℃において、約1.1×10-8から約1.5×10-8(Ω・m)のρを有する。上記3つの材料の内、ニクロムから構成された抵抗器304では、電荷の移動がより容易であり、従って、より多くの熱を発生する。しかしながら、タングステンの電気特性は、ある温度範囲では、その材料を抵抗ヒータとして差別化し得る。
【0071】
抵抗器304は、電流が抵抗器304を流れる場合、効率的に熱を提供するように構成された膜厚(図示せず)及び電線の太さ372を有し得る。抵抗器304の電線の太さ372が大きくなると、抵抗器304の抵抗Rが小さくなる。電線の太さ372は、タングステン線の場合、約0.05mmから約0.5mmまでの範囲であり、ニクロム線の場合、約0.5mmから約1mmの範囲であってもよい。
【0072】
式R=ρ・l/Αに戻ると、材質、電線の長さ、及び電線の太さは、コスト、消費電力、及び各ピクセルヒータ140によって生成される熱を制御するために、抵抗器304について選択してもよいことが分かる。一実施形態では、抵抗器304は、約0.08mmの電線の太さ372と、10ワットの電力で約50オームの抵抗とを有するタングステンを含む。
【0073】
ピクセルヒータ140は、パターン390で構成して、ピクセル型基板支持アセンブリ126の表面に沿う熱プロファイルを効率的に生成してもよい。パターン390は、リフトピン用の孔322内及びその周囲のクリアランス又は他の機械、流体又は電気接続を提供しつつ、中心点392について対称であってよい。各ピクセルヒータ140は、ピクセルコントローラ202によって制御してもよい。ピクセルコントローラ202は、ヒータ340を画成する単一のピクセルヒータ140をオンにするか、又は、内側ウェッジ362、周囲グループ364、パイ形状のエリア360、又は不連続構成を含む他の所望の幾何学的な構成を画成するためにグループ化された複数のピクセルヒータ140をオンにし得る。このようにして、温度は、ピクセル型基板支持アセンブリ126の表面に沿う独立した位置において正確に制御し得るが、そのような独立した位置は、当分野で公知の同心リングに限定されない。図示したパターンは、より小さい単位から構成されるが、このパターンは、他の選択肢として、より大きな及び/又はより小さい単位を有したり、端部まで延在したり、又は、他の形態を有したりしてもよい。
【0074】
図3Bは、他の実施形態による、本体152を通る断面線A-Aの面に沿って配置された複数のピクセルヒータ140の上面図である。熱チョーク216は、オプションとして存在してもよい。ピクセルヒータ140は、格子状に構成され、従って、同様に格子パターンに配置された温度制御セル200の配列を画成する。ピクセルヒータ140の格子パターンを行及び列から構成されるX/Y格子として示すが、ピクセルヒータ140の格子パターンは、他の選択肢として、いくつかの他の一様にぎっしり詰まった形態、例えば、六方最密構造を有してもよい。上述したように、ピクセルヒータ140は、グループで又は単独で導通状態にできることを認識すべきである。
【0075】
図3Cは、他の実施形態による、本体152を通る断面線AーAの面に沿って配置された複数のピクセルヒータ140の上面図である。
図3Cは、本体152において極配列に配置された複数のピクセルヒータ140を示す。オプションとして、1つ又は複数の熱チョーク216をピクセルヒータ140間に配置してもよい。ピクセルヒータ140の極配列パターンは、隣り合ったセル200を画成し、従って、これにより、隣り合ったセル200も極配列に構成される。オプションとして、熱チョーク216は、隣接するセル200を隣り合ったセル200から隔離するために用いてもよい。
【0076】
図3Dは、他の実施形態による、本体152を通る断面線A-Aの面に沿って配置された複数のピクセルヒータ140の上面図である。
図3Dは、本体152において同心チャネルに配置された複数のピクセルヒータ140を示す。ピクセルヒータ140の同心チャネルパターンは、オプションとして、熱チョーク216によって分離してもよい。ピクセルヒータ140及びセル200は、他の方位にも構成し得ると考えられる。
【0077】
簡単に
図9を参照すると、主抵抗ヒータ154及びピクセルヒータ140用の交互配線方式の描写図が提供されている。この配線方式は、ハードウェアキー(
図7の802)を利用しない。主抵抗ヒータ154及びピクセルヒータ140は、コントローラ902に取り付けてもよい。コントローラ902は、共通フィルタ910を介して電源978に取り付けられる。コントローラ902は、
図1及び2に示すコントローラ202と同様であり、同様のバージョンの電気コントローラ210及び光学コントローラ220を有する。
【0078】
ピクセルヒータ140(1-n)は、比喩的に図示され、ピクセルヒータ1401は、共通のゾーンにおける大きなグループのピクセルヒータ、又は他の選択肢として、ピクセル型基板支持アセンブリ126全体に配置された全てのピクセルヒータ140を表し得ると理解すべきである。主ヒータ154より1桁多いピクセルヒータ140が存在し、従って、電気コントローラ210及び光学コントローラ220への1桁多い接続が存在する。
【0079】
電気コントローラ210は、冷却ベース130を通して形成された孔又はスロット920を介して、ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154の双方から複数の電力リボン912、922を受け入れる。リボン912、922は、各ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154用の多数の電力リード線を図示する。例えば、電力リボン912は、ピクセルヒータ140(1-n)用の個別の電力リード線から構成される。一実施形態では、各電力リード線は、それぞれの制御リード線によって導通状態にし得るスイッチ960を有する。単一のリボン又は3つ以上のリボンでも、ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154用の電力リード線を配線するために用い得ると考えられる。
【0080】
光学コントローラ220は、冷却ベース130を通して形成されたスロット920を介して、ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154の双方から複数の制御リボン940、950を受け入れる。リボン940、950は、各ピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154用の多数の制御リード線を図示する。例えば、制御リボン940は、個別の制御リード線から構成される。光学コントローラ220は、プログラム、温度測定装置、外部コントローラ、ユーザ、又は他の入力元からの入力を受け取り、どのピクセルヒータ140及び主抵抗ヒータ154を通電すべきか決定し得る。光学コントローラ220は、入力装置、スイッチ及び電気コントローラ間の伝送のために光学部品を用いることから、光学コントローラは、RF干渉を受けにくく、それを処理チャンバ外の領域に伝搬しない。単一のリボン又は3つ以上のリボンでも制御リード線を配線するために用い得ると考えられる。
【0081】
制御リード線940は、スイッチ960の状態を制御するために光学コントローラ220によって生成された信号を提供する。スイッチ960は、電界効果トランジスタ又は他の適切な電子スイッチであってもよい。あるいは、スイッチ960は、電気コントローラ210中の光制御式回路基板に埋め込んでもよい。スイッチ960は、ヒータ154、140に通電(活性)状態と非通電(不活性)状態との間の単純なサイクル動作を提供してもよい。あるいは、スイッチは、可変抵抗器、又はヒータ154、140に供給される電力の量を制御し得る他の適切なデバイスであってもよい。
【0082】
一実施形態では、コントローラ202は、制御リボン9401に沿って信号を提供して、スイッチ9601に電力の50%がそこを通過できるように指示する。電力コントローラ210は、電力リボン9121に沿って約10ワットの電力を提供する。スイッチ9601によって、供給された電力の50%が通過して、ピクセルヒータ1401に到達し、ピクセルヒータ1401は、約5ワットの電力で発熱する。
【0083】
他の実施形態では、コントローラ202は、制御リボン9502に沿って信号を提供して、スイッチ9602に電力の100%がそこを通過できるように指示する。電力コントローラ210は、電力リボン9222に沿って約100ワットの電力を提供する。スイッチ9602によって、供給された電力の100%が通過して、主抵抗ヒータ1542に到達し、主抵抗ヒータ1542は、約100ワットの電力で発熱する。同様に、主抵抗ヒータ154(1-N)は、コントローラ202から全て動作させてもよい。
【0084】
さらに他の実施形態では、ピクセルコントローラ202は、制御リボン940に沿って信号を提供して、スイッチ960に対して、電力がそこを通過できる活性状態又は電力がそこを通過できないようにする不活性状態のいずれかであるように指示する。電力コントローラ210は、活性状態においてスイッチ960に結合された各ピクセルヒータ140に約10ワットの電力を電力リボン912に沿って提供する。ピクセルコントローラ202は、スイッチ960が活性状態である持続時間と、他のスイッチ960に対する各スイッチ960のデューティサイクルとの内の少なくとも1つを独立して制御し、これによって、最終的に、ピクセル型基板支持アセンブリ126及びその上に配置された基板の温度均一性の制御を行う。主抵抗ヒータ154への電力を制御するスイッチ960も同様に制御できる。
【0085】
他の実施形態では、別個のゾーンを表す各主抵抗ヒータ154
(1-N)は、別個のコントローラ202を有してもよい。本実施形態では、1つの主抵抗ヒータ154
(1-N)を備えたゾーンに共通するピクセルヒータ
(1-N)は、共通の主抵抗ヒータ154
(1-N)とコントローラ202を共有してもよい。例えば、4つのゾーンがあった場合、4つの主抵抗ヒータ154
(1-4)及び4つの等間隔に配置されたコントローラ202が存在する。
図10は、4つのゾーン及び4つの等間隔に配置されたコントローラ202の配線方式のために構成された孔960を有する冷却ベース130の上部平面図である。
【0086】
他の実施形態では、別個のコントローラ202は、単一のコントローラによってサービスされているピクセルヒータ140の数を分割するために用いてもよい。ピクセルヒータ140の制御を分割すると、コントローラが小さくなり、
図9に示すように、冷却ベースを介して形成されたスロット920を介してリボンを配線するために必要なスペースが小さくなる。
【0087】
図2に戻ると、ピクセルヒータ140の数及び密度は、基板全体に渡る温度均一性を極めて小さい許容誤差に制御するための能力に寄与し、これによって、基板134を処理する場合、高精度の処理及びCD制御が可能になる。さらに、他のピクセルヒータ140に対して一方のピクセルヒータ140を個々に制御すると、隣接エリアの温度に実質的な影響を及ぼすことなく、ピクセル型基板支持アセンブリ126内の特定の位置における温度制御が可能になり、これによって、スキュー又は他の温度非対称性を招くことなく、局所的な熱い及び冷たいスポットの補正ができる。ピクセルヒータ140は、約0.0℃と約10.0℃との間の個々の温度範囲を有し、温度上昇を制御する能力は、約0.1℃単位である。一実施形態では、主抵抗ヒータ154と共にピクセル型基板支持アセンブリ126における複数のピクセルヒータ140は、その上で処理される基板134の温度均一性を、約±0.3℃未満に制御する能力を実証している。従って、ピクセルヒータ140によって、ピクセル型基板支持アセンブリ126上で処理される基板134の横方向の温度プロファイルの横方向及び方位角方向双方の調整が可能になる。
【0088】
図5は、とりわけ、上述したピクセル型基板支持アセンブリ等のピクセル型基板支持アセンブリを利用して基板を処理するための方法500の一実施形態のフロー図である。方法500は、ブロック502において、ピクセル型基板支持アセンブリ内に形成された主抵抗ヒータに電力を印加することによって開始する。主抵抗ヒータは、単一のヒータであったり又はゾーンにセグメント化されていたりしてもよい。主抵抗ヒータゾーンは、独立して制御可能であってもよい。
【0089】
ブロック504では、電力が、ピクセル型基板支持アセンブリ内において横方向に分散された複数のピクセルヒータに提供される。少なくとも2つのピクセルヒータが、所定の異なる量の熱を生成する。他方に対して一方のピクセルヒータによって生成される熱の差異は、デューティサイクル、電圧、電流、他方に対して一方のピクセルヒータに印加される電力の持続時間の内の少なくとも1つ又は複数を制御することによって制御してもよい。また、電力は、ピクセルヒータ全体に渡って順次走査してもよい。
【0090】
ピクセルヒータに提供される電力の制御は、ピクセル型基板支持アセンブリ内に配置されたコントローラとのインターフェイスとなる光信号を介して提供してもよい。
【0091】
ブロック506において、基板等のワークピースは、ピクセル型基板支持アセンブリ上で処理してもよい。例えば、基板は、プラズマ処理等を用いて、真空チャンバ内で処理してもよい。真空処理は、処理チャンバ内においてプラズマがある状態でオプションとして実施してもよいが、エッチング、化学蒸着、物理蒸着、イオン注入、プラズマ処理、アニーリング、酸化物除去、除害、又は他のプラズマ処理の内の1つであってもよい。ワークピースは、他の環境下で、例えば、他の用途の場合、大気圧の条件で、温度制御された面の上で処理してもよいと考えられる。
【0092】
オプションとして、ブロック506において、ピクセル型基板支持アセンブリ内において横方向に分散された複数のピクセルヒータに提供される電力は、処理条件又は処理レシピの変更に応じて変えることができる。例えば、複数のピクセルヒータに提供される電力は、ピクセルコントローラ202からの命令を利用して又は1つのハードウェア配線キー802を異なるハードウェア配線キー802に変更して、変えてもよい。
【0093】
上述した例に加えて、いくつかの追加の非制限的な実施例について以下に述べる。
(実施例1)
チャンバ本体と、
上面及び下面を含むピクセル型基板支持アセンブリと、
ピクセル型基板支持アセンブリ内に配置された1つ又は複数の主抵抗ヒータと、
主抵抗ヒータと列をなし、またピクセル型基板支持体内に配置される複数のピクセルヒータと、を含む処理チャンバであって、ピクセルヒータの数量は、主抵抗ヒータの数量より1桁大きく、ピクセルヒータは、主抵抗ヒータと同様に、互いに対して独立して制御可能である処理チャンバ。
(実施例2)
ピクセル型基板支持体は、静電チャックである実施例1の処理チャンバ。
(実施例3)
静電チャックが、セラミック本体を有する実施例1の処理チャンバ。
(実施例4)
主抵抗ヒータ及び複数のピクセルヒータの内の少なくとも1つが、セラミック本体の下面に形成される実施例3の処理チャンバ。
(実施例5)
主抵抗ヒータ及び複数のピクセルヒータの内の少なくとも1つが、セラミック本体の下面に結合されたポリマ本体内に配置される実施例3の処理チャンバ。
(実施例6)
ピクセル型基板支持体に結合された冷却板をさらに含む実施例1の処理チャンバ。
(実施例7)
各ピクセルヒータの温度出力を調整するためのピクセルヒータ・コントローラが、冷却板に結合されている実施例6の処理チャンバ。
(実施例8)
ピクセルヒータ・コントローラには、光ファイバ制御回路及び電力制御手段が含まれる実施例7の処理チャンバ。
(実施例9)
基板支持面及び下面を有する基板支持体と、
基板支持体全体に配置された複数の抵抗ヒータであって、同心ゾーンにグループ化された複数の抵抗ヒータと、
各グループの抵抗ヒータに結合されたピクセルヒータ・コントローラであって、所定ゾーン内のどの抵抗ヒータが、その所定ゾーン内の他の抵抗ヒータより多くの熱を生成するかを制御するように動作可能なピクセルヒータ・コントローラとを含む基板支持アセンブリ。
(実施例10)
ピクセルヒータ・コントローラは、光ファイバ制御回路及び電力制御手段を含む実施例9の処理チャンバ。
(実施例11)
ピクセルヒータ・コントローラは、1つ又は複数のハードウェア配線キーを含む実施例9の処理チャンバ。
【0094】
上記内容は、本発明の実施形態に向けたものであるが、本発明の他の及び更なる実施形態もその基本的な範囲から逸脱することなく創作することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。