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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】光感応基を含むブロック共重合体
(51)【国際特許分類】
   C08G 81/00 20060101AFI20220215BHJP
   C08F 297/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
C08G81/00
C08F297/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020539081
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2019000947
(87)【国際公開番号】W WO2019147009
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2018-0010050
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、ノ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン コン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、チュン リョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、スン スー
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02007686(GB,A)
【文献】特表2015-509129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G,C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1高分子セグメント、第2高分子セグメント及び第3高分子セグメントを含み、
前記3個の高分子セグメントが一つの連結ドットを共有しながら共有結合されている星状構造を有し、
前記3個の高分子セグメントのうち少なくとも一つの高分子セグメントを前記連結ドットに連結するリンカーは切断性リンカーであり、
前記第1高分子セグメント、前記第2高分子セグメント、および前記第3高分子セグメントのうち少なくとも一つはビニルピリジン単位を含む、
ブロック共重合体であって、
前記第1高分子セグメント、前記第2高分子セグメント、および前記第3高分子セグメントのうち2個の高分子セグメントは、互いに同一であり、
他の一つの高分子セグメントは、前記2個の高分子セグメントとは異なり、
前記2個の高分子セグメントとは異なる高分子セグメントは、ビニルピリジン単位を含み、
前記第1高分子セグメント、前記第2高分子セグメント、および前記第3高分子セグメントのうち互いに同一である2個のセグメントのうちいずれか一つのセグメントが前記切断性リンカーにより前記連結ドットに連結されており、
前記切断性リンカーは、2-ニトロベンジル基、クマリニル基、またはピレニルアルキル基を含み、
前記第1高分子セグメント、前記第2高分子セグメント、および前記第3高分子セグメントは、それぞれ独立に、ポリビニルピロリドンセグメント、ポリ乳酸セグメント、ポリビニルピリジンセグメント、ポリスチレンセグメント、ポリアルキレンオキシドセグメント、ポリブタジエンセグメント、ポリオレフィンセグメント、およびポリ(アルキル(メト)アクリレート)セグメントからなる群より選択される、
ブロック共重合体。
【請求項2】
前記第1高分子セグメント、前記第2高分子セグメント、および前記第3高分子セグメントのうち互いに同一であるセグメントは、構成単量体単位の50%以上が互いに同一であり、
また前記同一である単量体の該当セグメント内での差が20重量%以内である、
請求項に記載のブロック共重合体。
【請求項3】
前記第1高分子セグメント、前記第2高分子セグメント、および前記第3高分子セグメントのうち互いに同一であるセグメントは、各高分子セグメントの溶解度パラメータの偏差が10%以内にある、
請求項またはに記載のブロック共重合体。
【請求項4】
前記第1高分子セグメント、前記第2高分子セグメント、および前記第3高分子セグメントのうち前記2個の高分子セグメントは、スチレン単位を含む、
請求項1からのいずれか1項に記載のブロック共重合体。
【請求項5】
数平均分子量が1,000~1,000,000の範囲内にある、
請求項1からのいずれか1項に記載のブロック共重合体。
【請求項6】
分子量分布が1.01~2の範囲内にある、
請求項1からのいずれか1項に記載のブロック共重合体。
【請求項7】
自己組織化された請求項1からのいずれか1項に記載のブロック共重合体を含む、
高分子膜。
【請求項8】
スフィア(sphere)、シリンダー(cylinder)、ジャイロイド(gyroid)及びラメラ(lamella)構造からなる群より選択された2個以上の相分離構造が同時に存在する、
請求項に記載の高分子膜。
【請求項9】
ブロック共重合体の第1~第3高分子セグメントのうち一つのセグメントが切断された状態で他の2個のセグメントを含むブロック共重合体と混合している、
請求項またはに記載の高分子膜。
【請求項10】
切断された状態の高分子セグメントがスチレン単位を含む、
請求項に記載の高分子膜。
【請求項11】
自己組織化された請求項1に記載のブロック共重合体を含む高分子膜を基板上に形成する方法であって、
請求項1からのいずれか1項に記載のブロック共重合体を用いて第1相分離構造を具現するステップ;及び
前記第1相分離構造を具現しているブロック共重合体の切断性リンカーを切断するステップを含み、
前記切断するステップ後に前記第1相分離構造とは異なる第2相分離構造が高分子膜内に形成される、
高分子膜の形成方法。
【請求項12】
第1相分離構造は、それぞれスフィア(sphere)構造を含み、
第2相分離構造は、シリンダー(cylinder)構造を含む、
請求項11に記載の高分子膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年1月26日に提出された大韓民国特許出願第10-2018-0010050号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、光感応基を含むブロック共重合体に関する。
【背景技術】
【0003】
ブロック共重合体は、互いに異なる化学的構造を有する高分子ブロックが共有結合を通じて連結されている分子構造を有している。ブロック共重合体は、相分離によってスフィア(sphere)、シリンダー(cylinder)、ジャイロイド(gyroid)又はラメラ(lamella)などのような周期的に配列された構造を形成することができる。ブロック共重合体の自己組織化現象によって形成された構造のドメインの大きさは広範囲に調節され得、多様な形態の構造の製作が可能なので高密度磁気保存媒体、ナノ線の製作、量子ドット又は金属ドットなどのような多様な次世代ナノ素子や磁気記録媒体又はリソグラフィーなどによるパターン形成などに応用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、ブロック共重合体及びその用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、ブロック共重合体に関する。本出願で用語「ブロック共重合体」は、互いに相異なっている2個の高分子セグメントが共有結合によって連結されている形態の共重合体である。
【0006】
本出願で「ある2種の高分子セグメントが同一である」とは、次の3種の場合のうちいずれか一つの場合に該当する場合である。(1)ある2種の高分子セグメントが主成分で含む単量体単位の種類が互いに同一である場合、又は(2)ある2種の高分子セグメントが含む単量体単位の種類が50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上又は90%以上共通され、各高分子セグメントの前記共通単量体単位の重量割合の偏差が30%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内又は5%以内である場合に、両高分子セグメントは同一であると取り扱われ得る。上記で共通される単量体単位の割合は、両高分子セグメントモードに対して満足するのが適切である。例えば、ある高分子セグメント1がA、B、C、D及びFの単量体単位を有し、他の高分子セグメント2がD、F、G及びHの単量体単位を有する場合には、高分子セグメント1と2で共通される単量体単位はD及びFであるが、高分子セグメント1の立場では、全体5種の単量体のうち2種が共通されるので、共通割合は、40%(=100×2/5)であるが、高分子セグメント2の立場では、上記割合は、50%(=100×2/5)である。したがって、このような場合には共通の割合が高分子セグメント2でのみ50%以上であるので、両高分子セグメントは同じではないと認められ得る。一方、上記で共通単量体の重量割合の偏差は、大きい重量割合から小さい重量割合を引いた数値を小さい重量割合で分けた数値の百分率である。例えば、上記場合に、セグメント1のD単量体単位の重量割合がセグメント1の全体単量体単位の重量割合の合計100%を基準で約40%であり、セグメント2のD単量体単位の重量割合がセグメント2の全体単量体単位の重量割合の合計100%を基準で約30%である場合、前記重量割合の偏差は、約33%(=100×(40-30)/30)程度になり得る。2個のセグメント内に共通される単量体単位が2種以上である場合、同一なセグメントと言うためには、前記重量割合の偏差30%以内が全て共通される単量体に対して満足されるか、あるいは主成分である単量体単位に対して満足されると、共通される単量体と見なされ得る。
【0007】
他の例示で、ある2個のセグメントの溶解度パラメータ(solubility)の偏差が30%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内又は5%以内である場合にも両セグメントは同一であると見なされ得る。上記偏差は、前記重量割合の偏差の場合のように、大きい溶解度パラメータから小さい溶解度パラメータを引いた数値を小さい重量割合で分けた数値の百分率である。
【0008】
上記のような基準によって同一であると認められる各高分子セグメントは、互いに異なる形態の重合体であってもよいが(例えば、いずれか一つのセグメントは、ブロック共重合体の形態であり、他の一つのセグメントは、ランダム共重合体の形態)、適切には、同一の形態の重合体であってもよい。
【0009】
本出願では、前記3個の基準のうちいずれか一つの基準のみを満足すると、同一であると見なされ得る。例えば、前記溶解度パラメータの偏差が30%を超過しても、共通単量体の割合が50%以上であり、重量割合の偏差で30%以下であると、同一セグメントであり得、反対の場合も同様である。反対に、前記3種の基準を全て満足しない場合は、互いに相異なっているセグメントと見なされ得る。
【0010】
本明細書で「ある成分がある対象内に主成分で含まれる」とは、前記含まれる成分の重量割合が前記対象の全体重量を基準で55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上又は90%以上である場合を意味し、この場合、上記割合の上限は特に制限されず、例えば、約100%であってもよい。例えば、「成分Aが成分B内に主成分で含まれる」とは、前記成分Bの総重量を基準で該当成分Bに含まれている成分Aの重量が前記範囲内である場合である。
【0011】
本出願のブロック共重合体は、第1高分子セグメント、第2高分子セグメント及び第3高分子セグメントを少なくとも含む。前記3個のセグメントは、互いに同一であるか、相異なっているセグメントであってもよいが、3個のセグメントが全て同一である場合は含まれない。一つの例示で、前記3個の高分子セグメントが一つの連結ドットを共有しながら共有結合されている星状構造(star-like structure)を有することができる。このようなブロック共重合体は、業界でいわゆるミクトアーム(miktoarm)ブロック共重合体でも公知されている。本出願のブロック共重合体は、前記3個のセグメントを少なくとも含む限り、追加の高分子セグメントを有してもよい。一つの例示で、本出願のブロック共重合体の高分子セグメントは、3個~10個、3個~8個、3個~6個、3個又4個であってもよい。
【0012】
前記ブロック共重合体で前記3個の高分子セグメントのうち少なくとも一つの高分子セグメントは、前記連結ドットにいわゆる切断性リンカー(cleavable linker)で連結され得る。本出願では、前記切断性リンカーは、熱の印加又は光の照射のような外部作用により切断され得るリンカーを意味する。このようなリンカーは多様に公知されている。
【0013】
本出願人は、上記のような星状構造を有するブロック共重合体で高分子セグメントのうちで少なくとも一つを切断性リンカーで連結することで、後述するように自己組織化構造を形成した後に該当自己組織化構造を変更することができるという点を確認した。例えば、理論に制限されるものではないが、3個のセグメントを含むブロック共重合体を適用して自己組織化構造を形成した後に外部作用を通じて前記切断性リンカーを切断する場合に、切断されたセグメントと残存するブロック共重合体のブレンドが形成され、形成されたブレンドによる相分離構造から分離された相の界面での曲率が変更されることで、前記相分離構造が変更される。
【0014】
本出願人は、特に、前記三つの高分子セグメント、すなわち、第1~第3高分子セグメントのうち少なくともいずれか一つのセグメントがビニルピリジン単位を含むようにすることで、特にスフィア構造とシリンダー構造間のスイッチングが効率的に行われるブロック共重合体が得られる点を確認した。特に、前記構造のブロック共重合体は、3個のセグメントが全て連結された状態ではスフィア構造を形成してから、切断性リンカーが分離されると、シリンダー構造を具現するブロック共重合体であってもよい。前記ビニルピリジン単位を含むセグメントは、前記ビニルピリジン単位を主成分で含むことができる。
【0015】
上記のような作用をより効果的に達成するために、前記ブロック共重合体で前記第1~第3高分子セグメントのうちいずれか一つは、他の2個の高分子セグメントとは相異なっていてもよい。一つの例示で、前記ブロック共重合体で前記第1~第3高分子セグメントのうち2個の高分子セグメントは互いに同一であり、他の一つの高分子セグメントは、前記2個の高分子セグメントとは相違なっていてもよい。このような構造で前記切断性リンカーにより連結されるセグメントは、前記互いに同一な2個の高分子セグメントのうちいずれか一つであってもよい。このような場合に、切断により形成された前記ブレンドから切断されたセグメントは、相分離構造を具現する残存ブロック共重合体のセグメントのうちいずれか一つのセグメントと混和され、他のセグメントとは混和されないことで、新しい構造の相分離構造が具現され得る。
【0016】
前記ブロック共重合体の各セグメントの具体的な種類は特に制限されない。例えば、前記第1~第3高分子セグメントは、それぞれポリビニルピロリドンセグメント、ポリ乳酸(polylactic acid)セグメント、ポリビニルピリジンセグメント、ポリスチレン又はポリトリメチルシリルスチレン(poly trimethylsilylstyrene)などのようなポリスチレン(polystyrene)セグメント、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)のようなポリアルキレンオキシドセグメント、ポリブタジエン(poly butadiene)セグメント、ポリイソプレン(poly isoprene)セグメント又はポリエチレン(poly ethylene)などのポリオレフィンセグメント又はポリメチルメタクリレートなどのポリ(アルキル(メト)アクリレート)セグメントからなる群より上記条件を満足するようにそれぞれ選択され得る。
【0017】
一つの例示で、前記2個の高分子セグメントとは異なる高分子セグメントが前記ビニルピリジン単位を含む高分子セグメントであってもよい。また、このような場合に、前記ビニルピリジン単位を含む高分子セグメントとは異なる2個の高分子セグメントは、それぞれスチレン単位を含んでもよく、このようなスチレン単位は、主成分で含まれ得る。
【0018】
本出願で前記高分子セグメントを連結する前記切断性リンカーの種類は特に制限されず、公知の切断性リンカーを適用することができる。例えば、前記リンカーとしては、光切断性リンカー(photocleavable linker)と公知されているものであって、2-ニトロベンジル基、クマリニル基、ピレニルアルキル基などを含むリンカーであってもよい。このような種類のリンカーは、多様に公知されており、このようなリンカーを適用してセグメントを連結する方式も公知にされている。本出願では、このような公知のリンカーのうち適切なリンカーを制限なしに選択して用いることができる。
【0019】
ブロック共重合体の数平均分子量(Mn(Number Average Molecular Weight))は、例えば、1000~1000000の範囲内にあってもよい。本明細書で用語「数平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を用いて測定した標準ポリスチレンに対する換算数値であり、本明細書で用語「分子量」は、特に異に規定しない限り、数平均分子量を意味する。分子量(Mn)は、他の例示では、例えば、5000以上、10000以上、50000以上、100000以上、300000以上、400000以上又は500000以上であってもよい。分子量(Mn)は、また他の例示で、900000以下、800000以下又は700000以下程度であってもよい。ブロック共重合体は、1.01~2の範囲内の分散度(polydispersity、Mw/Mn)を有することができる。分散度は、他の例示で、約1.05以上又は約1.1以上であってもよい。前記分散度は、他の例示で、約1.5以下であってもよい。
【0020】
このような範囲でブロック共重合体は、適切な自己組織化特性を示すことができる。ブロック共重合体の数平均分子量などは、目的とする自己組織化構造などを考慮して調節され得る。
【0021】
ブロック共重合体が前記第1~第3セグメントを少なくとも含む場合に、前記ブロック共重合体内で各セグメントの割合は特に制限されず、目的とする自己組織化特性を考慮して適切に選択できる。例えば、上述したように、第1~第3セグメントのうちいずれか2個が同一なセグメントであり、他の一つが相異なっているセグメントである場合に、前記ブロック共重合体で前記一つの相異なっているセグメントの割合は、10モル%~90モル%の範囲内にあってもよい。
【0022】
本出願の前記ブロック共重合体を製造する方法は特に制限されず、公知の方式が適用され得る。
【0023】
例えば、ブロック共重合体は、各セグメントを形成する単量体を用いたCLP(Controlled/Living Polymerization)方式で製造することができる。例えば、有機希土類金属複合体を重合開始剤で用いるか、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤で用いてアルカリ金属又はアルカリ土金属の塩などの無機酸塩の存在下で合成する陰イオン重合、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤で用いて有機アルミニウム化合物の存在下で合成する陰イオン重合方法、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を用いる原子移動ラジカル重合法(ATRP)、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を用いるが、電子を発生させる有機又は無機還元剤下で重合を行うARGET(Activators Regenerated by Electron Transfer)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、ICAR(Initiators for continuous activator regeneration)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、無機還元剤可逆付加-開裂連鎖移動剤を用いる可逆付加-開裂連鎖移動による重合法(RAFT)又は有機テルル化合物を開始剤として用いる方法などがあり、このような方法のうち適切な方法が選択されて適用され得る。
【0024】
このような過程で、星状構造を形成するために、保護基(protecting group)などが適用された開始剤や鎖伝達物質又はブロック共重合体が適用され得、切断性リンカーを導入するための公知の工程も行われ得る。
【0025】
また、本出願は、前記ブロック共重合体を含む高分子膜に関する。前記高分子膜は、多様な用途に用いられ得、例えば、多様な電子又は電子素子、前記パターンの形成工程又は磁気保存記録媒体、フラッシュメモリーなどの記録媒体又はバイオセンサーなどに用いられ得る。
【0026】
一つの例示で、前記高分子膜で前記ブロック共重合体は、自己組織化を通じてスフィア(sphere)、シリンダー(cylinder)、ジャイロイド(gyroid)又はラメラ(lamella)などを含む周期的構造を具現していてもよい。
【0027】
例えば、ブロック共重合体で第1又は第2セグメント又はそれと共有結合された他のセグメント内で、他のセグメントがラメラ形態又はシリンダー形態などのような規則的な構造を形成していてもよい。
【0028】
一つの例示で、前記ブロック共重合体内の相分離構造は、上述した構造のうち2個以上が一緒に存在する構造であってもよい。このような構造は、上述したように、本出願のブロック共重合体を適用して自己組織化構造を形成した後に前記切断性リンカーを切断する過程を通じて形成することができる。したがって、このような場合に、前記高分子膜内には、前記第1~第3高分子セグメントのうち一つのセグメントが切断された状態で他の2個のセグメントを含むブロック共重合体と混合されていてもよい。
【0029】
一つの例示で、前記高分子膜内で第1~第3セグメントが全て連結されている状態又は部分ではスフィア構造が具現されており、前記第1~第3高分子セグメントのうち一つのセグメントが切断された状態で他の2個のセグメントを含むブロック共重合体と混合されている状態又は部分ではシリンダー構造が具現されていてもよい。
【0030】
上記で切断された状態で他の2個のセグメントを含むブロック共重合体と混合されている高分子セグメントは、スチレン単位を含むセグメントであってもよい。
【0031】
また、本出願は、前記ブロック共重合体を用いて高分子膜を形成する方法に関する。上記方法は、前記ブロック共重合体を含む高分子膜を自己組織化された状態で基板上に形成することを含むことができる。例えば、前記方法は、前記ブロック共重合体又はそれを適正な溶媒に希釈したコーティング液の層を塗布などにより基板上に形成し、必要に応じて、前記層を熟成するか熱処理する過程を含むことができる。
【0032】
前記熟成又は熱処理は、例えば、ブロック共重合体の相転移温度又はガラス転移温度を基準で行われ得、例えば、前記ガラス転移温度又は相転移温度以上の温度で行われ得る。このような熱処理が行われる時間は特に制限されず、例えば、約1分~72時間の範囲内で行われ得るが、これは必要によって変更され得る。また、高分子薄膜の熱処理温度は、例えば、100℃~250℃程度であってもよいが、これは用いられるブロック共重合体を考慮して変更され得る。
【0033】
前記形成された層は、他の例示では、常温の非極性溶媒及び/又は極性溶媒内で、約1分~72時間の間溶媒熟成されてもよい。
【0034】
一つの例示で、前記高分子膜の形成方法は、上述したブロック共重合体を用いて第1相分離構造を具現するステップ;及び前記第1相分離構造を具現しているブロック共重合体の切断性リンカーを切断するステップを含むことができ、上述したように、前記切断ステップによって前記第1相分離構造とは異なる第2相分離構造が高分子膜内に形成され得る。この場合、前記切断性リンカーを切断する方式は特に制限されず、適用されたリンカーの種類を考慮して適切な方式を選択することができる。
【0035】
一つの例示で、前記第1相分離構造は、スフィア構造であり、第2相分離構造は、シリンダー構造であってもよい。
【0036】
このような切断は、高分子膜に全体的に行われてもよく、マスキングなどを通じて一部に対してのみ行われてもよい。また、前記第1及び第2相分離構造は、それぞれスフィア(sphere)、シリンダー(cylinder)、ジャイロイド(gyroid)及びラメラ(lamella)構造からなる群より選択されたいずれか一つであってもよい。
【0037】
また、本出願は、パターン形成方法に関する。前記方法は、例えば、基板及び前記基板の表面に形成されており、自己組織化されたブロック共重合体を含む前記高分子膜を有する積層体で前記ブロック共重合体のいずれか一つのセグメントを選択的に除去する過程を含むことができる。前記方法は、前記基板にパターンを形成する方法であってもよい。例えば、前記方法は、前記ブロック共重合体を含む高分子膜を基板に形成し、前記膜内に存在するブロック共重合体のいずれか一つ又はその以上のブロックを選択的に除去した後に基板を蝕刻することを含むことができる。このような方式で、例えば、ナノスケールの微細パターンの形成が可能である。また、高分子膜内のブロック共重合体の形態によって前記方式を通じてナノロード又はナノホールなどのような多様な形態のパターンを形成することができる。必要に応じて、パターンの形成のために前記ブロック共重合体とは異なる共重合体あるいは単独重合体などが混合され得る。このような方式に適用される前記基板の種類は特に制限されず、必要によって選択され得、例えば、酸化ケイ素などが適用され得る。
【0038】
例えば、前記方式は、高い縦横比を示す酸化ケイ素のナノスケールのパターンを形成することができる。例えば、酸化ケイ素上に前記高分子膜を形成し、前記高分子膜内のブロック共重合体が所定構造を形成している状態で、ブロック共重合体のいずれか一つのブロックを選択的に除去した後に酸化ケイ素を多様な方式、例えば、反応性イオン蝕刻などでエッチングしてナノロード又はナノホールのパターンなどを含んだ多様な形態を具現することができる。
【0039】
上記方法でブロック共重合体のいずれか一つのセグメントを選択的に除去する方式は特に制限されず、例えば、高分子膜に適正な電磁気波、例えば、紫外線などを照射して相対的にソフトなブロックを除去する方式を用いることができる。この場合、紫外線の照射条件は、ブロック共重合体のブロックの種類によって決定され、例えば、約254nm波長の紫外線を1分~60分間照射して行うことができる。
【0040】
また、紫外線の照射に引き続いて高分子膜を酸などで処理して紫外線により分解されたセグメントを追加で除去するステップを行ってもよい。
【0041】
また、選択的にブロックが除去された高分子膜をマスクにして基板をエッチングするステップは特に制限されず、例えば、CF4/Arイオンなどを用いた反応性イオン蝕刻ステップを通じて行うことができ、この過程に引き続いて酸素プラズマ処理などにより高分子膜を基板から除去するステップをまた行うことができる。
【発明の効果】
【0042】
本出願は、ブロック共重合体及びその用途を提供することができる。本出願のブロック共重合体は、優れた自己組織化特性または相分離特性を有すると同時に形成された自己組織化構造を変更することができる特性を有するか、あるいは高分子膜に相分離構造のパターンを形成することができるブロック共重合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図2】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図3】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図4】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図5】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図6】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図7】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図8】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図9】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図10】製造例で製造された化合物又は重合体に対する分析結果である。
図11】実施例1で紫外線の照射前後の重合体(D)に対するGPC曲線である。
図12】実施例2の重合体(D)に対した紫外線の照射前の試料のTEMイメージである。
図13】実施例2の重合体(D)に対した紫外線の照射前の試料のSAXSグラフである。
図14】実施例2の重合体(D)に対した紫外線の照射後の試料のTEMイメージであり、左側上段の小さいイメージは、垂直方向から撮影したTEMイメージである。
図15】実施例2の重合体(D)に対した紫外線の照射後の試料のSAXSグラフである。
図16】実施例3で重合体(D)に対した紫外線の照射前の薄膜試料の断面のAFMイメージである。
図17】実施例3で重合体(D)に対した紫外線の照射後の薄膜試料のAFMイメージである。
図18】実施例4で重合体(D)に対した紫外線の照射前の薄膜試料を金属ナノ粒子に転移させたSEMイメージである。
図19】実施例4で重合体(D)に対した紫外線の照射後の薄膜試料を金属ナノワイヤに転移させたSEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、実施例を通じて本出願をより詳しく説明するが、本出願の範囲が下記提示された実施例によって限定されるものではない。
【0045】
1.NMR測定
NMR分析は、三重共鳴5mm探針(probe)を有するVarian Unity Inova(500MHz)分光計を含むNMR分光計を用いて常温で行った。NMR測定用溶媒(CDCl)に分析対象物質を約10mg/ml程度の濃度で希釈して用い、化学的移動は、ppmで表現した。
【0046】
<適用略語>
br=広い信号、s=単一線、d=二重線、dd=二重二重線、t=三重線、dt=二重三重線、q=四重線、p=五中線、m=多重線。
【0047】
2.GPC(Gel Permeation Chromatograph)
数平均分子量(Mn)及び分子量分布は、GPC(Gel permeation chromatography)を用いて測定した。5mLバイアル(vial)に実施例又は比較例のブロック共重合体又は巨大開始剤などの分析対象物質を入れ、約1mg/mL程度の濃度になるようにTHF(tetrahydro furan)に希釈する。その後、Calibration用標準試料と分析しようとする試料をsyringe filter(pore size:0.45μm)を通じて濾過した後に測定した。分析プログラムは、Agilent technologies社のChemStationを用い、試料のelution timeをcalibration curveと比較して重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)をそれぞれ求め、その割合(Mw/Mn)で分子量分布(PDI)を計算した。GPCの測定条件は下記の通りである。
【0048】
<GPC測定条件>
器機:Agilent technologies社の1200 series
コラム:Polymer laboratories社のPLgel mixed B 2個使用
溶媒:THF
コラム温度:35℃
サンプル濃度:1mg/mL、200uL注入
標準試料:ポリスチレン(Mp:3900000、723000、316500、52200、31400、7200、3940、485)
【0049】
<製造例1>
下記化学式1の化合物(5-(4-bromobutoxy)-2-nitrophenyl)methanol)を下記の方式で製造した。5-ヒドロキシ-1-ニトロベンジルアルコール(5-hydroxy-1-nitrobenzyl alcohol)5g(29.6mmol)をアセトニトリル200mLにとかした後、0℃で撹拌しながら水素化ナトリウム(sodium hydride、2.16g、90mmol)水溶液を添加した。得られた黄色沈殿物をかけてDMF(Dimethylformamide)(150mL)にとかした。完全にとかした後に常温でジブロモブタン(dibromobutane)(7.03g、32.56mmol)をゆっくり加えた。12時間の間反応させた後に蒸溜水を注いで反応を終決し、エチルアセテートで抽出した。カラムクロマトグラフィーで精製して下記化学式1の化合物を収得した。添付した図1は、前記化合物に対する分析結果である。
【0050】
【化1】
【0051】
<NMR分析結果>
H-NMR(400MHz、CDCl):d8.06(d、1H);d7.12(s、1H);d6.78(d、1H);d4.88(s、2H):d4.02(t、2H);d3.32(t、2H);d3.20(s、1H);d1.98(p、2H);d1.90(p、2H).
【0052】
<製造例2>
下記化学式2の化合物(5-(4-azidobutoxy)-2-nitrophenyl)methanol)を下記の方式で製造した。製造例1の化学式1の化合物(8.5g、27.9mmol)とアジ化ナトリウム(sodium azide、2.36g、36.3mmol)をアセトンと蒸溜水の混合溶媒(6:1)にとかし、窒素雰囲気の65℃でrefluxして目的物を得た。添付した図2は、前記化合物に対する分析結果である。
【0053】
【化2】
【0054】
<NMR分析結果>
H-NMR(400MHz、CDCl):d8.06(d、1H);d7.12(s、1H);d6.78(d、1H);d5.52(s、2H);d4.02(t、2H);d3.32(t、2H);d3.20(s、1H);d1.98(p、2H);d1.90(p、2H).
【0055】
<製造例3>
下記化学式3の化合物(5-(4-azidobutoxy)-2-nitrophenyl 2-bromo-2-methylpropanoate)を下記の方式で製造した。製造例2の化学式2の化合物(7.19g、27.0mmol)をTHF(Tetrahydrofuran)にとかし、窒素雰囲気でトリエチルアミン(3.24g、32.0mmol)と40℃で撹拌しながら、2-ブロモ-2-メチルプロパノイルブロマイド(2-bromo-2-methylpropanoyl bromide)(7.45g、32.4mmol)を添加した。反応中に生成される塩をフィルタリングして除去し、カラムクロマトグラフィーで精製して下記化学式3の化合物を得た。図3は、前記化合物に対する分析結果である。
【0056】
【化3】
【0057】
<NMR分析結果>
H-NMR(400MHz、CDCl):d8.06(d、1H);d7.12(s、1H);d6.78(d、1H);d5.52(s、2H);d4.02(t、2H);d3.32(t、2H);d1.99(s、6H);d1.98(p、2H);d1.90(p、2H).
【0058】
<製造例4>
下記化学式4の化合物(1-bromo-4-(1-phenylvinyl)benzene)を下記の方式で製造した。メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(methyl triphenylphosphonium bromide)(7.2g、20mmol)とカリウムtert-ブトキシド(potassium tert-butoxide)(2.3g、20mmol)をTHF(Tetrahydrofuran)(50mL)に入れ、常温で撹拌しながらp-ブロモベンゾフェノン(3.4g、17mmol)をとかしたTHF(Tetrahydrofuran)(35mL)をゆっくり入れて3時間の間反応させた。反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加して反応を終結し、ジエチルエーテルで抽出して生成物である化学式4の化合物を得た。図4は、前記化合物に対する分析結果である。
【0059】
【化4】
【0060】
<NMR分析結果>
H-NMR(400MHz、CDCl):d7.33(d、2H);d7.19(d、5H);d7.05(d、2H);d5.32(d、2H).
【0061】
<製造例5>
下記化学5の化合物(tert-butyldimethyl((4-(1-phenylvinyl)phenyl)ethynyl)silane)を下記の方式で製造した。製造例4の化学式4の化合物(3.89g、15mmol)をピペリジン(piperidine)(50mL)に完全にとかした後、tert-ブチルジメチルシリルアセチレン(tert-butyldimethylsilylacetylene)(2.53g、18mmol)を添加した。その後、50℃で24時間の間反応させた後にフィルタリングし、ヘキサンで抽出した後にカラムクロマトグラフィーで精製し、化学式5の化合物を得た。図5は、前記化合物に対する分析結果である。
【0062】
【化5】
【0063】
<NMR分析結果>
H-NMR(400MHz、CDCl):d7.33(d、2H);d7.19(d、5H);d7.05(d、2H);d5.32(d、2H);d1.03(s、9H);d0.22(d、6H).
【0064】
<製造例6>
下記化学式6の重合体(A)を合成した。製造例3の化学式3の化合物(50mg)を開始剤にし、スチレン(6mL)と臭化銅(I)(copper(I)bromide)(18mg)、そして、PMDETA(N,N,N',N",N"-pentamethyldiethylenetriamine、24μL)を混合した反応溶液を3回freeze-thawとし、窒素雰囲気下の90℃で撹拌しながら重合した。重合体溶液をアルミナカラムに通過させて触媒を除去し、メタノールに沈澱して前記重合体(A)の粉末を得た。前記重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、約12000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、約1.18であった。図6は、重合体(A)の測定結果を示す。
【0065】
【化6】
【0066】
<製造例7>
下記化学式7の重合体(B)を合成した。アルゴン雰囲気の反応器に塩化リチウム(0.3g)とTHF(80mL)を入れ、-78℃で充分にとけるように撹拌した。その後、1.2M濃度のsec-butyl lithium溶液を86μL入れ、精製されたスチレン(3.0g)を入れた。1時間程度充分に撹拌した後に製造例5の化学式5の化合物を添加した。その後、2-ビニルピリジン(2-vinyl pyridine)(2VP)(1.25g)を入れ、1時間程度撹拌した後に2-プロパノール(2-propanol)を用いて反応を終決して重合体(B)を収得した。前記重合体(B)の数平均分子量(Mn)は、約45000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、約1.20であった。また、重合体(B)でポリスチレンセグメントの質量分率は、約72%であった。図7は、重合体(B)に対するGPC測定結果である。
【0067】
【化7】
【0068】
<製造例8>
前記化学式7の重合体(B)から保護基(protecting group)であるTBDMSが除去された下記化学式8の重合体(C)を合成した。製造例7の重合体(B)をTHFに完全にとかした後に窒素で十分にdegassingし、テトラブチルアンモニウムフルオリド(tetrabutylammonium fluoride)溶液(1.0M in THF)を10mL添加して12時間の間常温で撹拌した。反応後にTHFを除去し、溶媒をクロロホルムに変えてカラムクロマトグラフィーを通じて精製した。図8に示したように、前記反応を通じて重合体(B)で保護基に含まれるSi(CH)に該当するd=0.2のピークが消えることを確認した。
【0069】
【化8】
【0070】
<製造例9>
前記重合体(A)と重合体(C)をカップリングさせて3個の高分子セグメントアーム(arm)を有するミクトアームブロック共重合体(重合体(D))を合成した。重合体(A)0.1g(1.2eq.)と重合体(C)0.25g(1.0eq)をTHF 5mLに充分にとかした後に窒素でdegassingした。窒素を流しながら、PMDETA(N,N,N',N",N"-pentamethyldiethylenetriamine、24mL)と臭化銅(I)(copper(I)bromide)(18mg)を順に入れた後に反応器を密封し、常温で2日間撹拌した後に精製を通じて残留する重合体(A)を除去して重合体(D)を得た。前記重合体(D)の数平均分子量(Mn)は、約60000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、約1.20であった。また、重合体(D)でポリスチレンセグメントの質量分率は、約80%であった。図9は、重合体(D)に対するGPC測定結果であり、図10は、反応前と後のNMRを比較した結果である。
【0071】
【化9】
【0072】
<実施例1>
重合体(D)10mgをTHF(5mL)にとかし、ガラス基板上にコーティングした後に約365nm波長の紫外線を照射した。1時間の間紫外線を照射した後に重合体(D)の光分割リンカーが分解されて前記重合体(A)の誘導体と重合体(C)の誘導体に完全に分解されることを確認した。また、前記分解された重合体をGPCで分析した結果、重合体(A)の誘導体と重合体(C)の誘導体に該当するピークが確認された(図11)。
【0073】
<実施例2>
重合体(D)10mgをTHF(5mL)にとかしてソルベントドロップキャスティングして2個の試料を製造し、一つの試料には紫外線を照射せず、他の試料には約365nm波長の紫外線を照射した。その後、前記二つの試料をそれぞれ約230℃で3日程度アニーリングし、microtomingを経てTEM(Transmission electron microscopy)試片を製作し、上記を用いてTEMを確認し、前記二つの試料に対してSAXS(small angle X-ray scattering)分析も行った。確認結果、前記二つの試料のうち紫外線を照射しなかった試料の場合、シリンダーモホロジーの微細相分離構造が観察された。前記測定結果に対する結果は、図12図15に示した。
【0074】
<実施例3>
シリコン基板上に前記重合体(D)をスピンコーティングして約60nm厚さの高分子薄膜試料を製造した。その後、前記試料の一部分には紫外線を照射せず、他の一部には約365nm波長の紫外線を照射した。その後、前記試料をアニーリングし、AFM(Atomic Force Microscopy)で観察した結果、紫外線を照射しなかった部分は、スフィア微細相分離構造が確認され、照射した部分は、基板に水平に配向されたシリンダー微細相分離構造が確認された。前記測定結果は、図16及び図17に示した。
【0075】
<実施例4>
シリコンウェハー基板上に下記の方式でトレンチ構造を形成した。前記基板上に公知の蒸着方式でSiOの層を約200nm程度の厚さで形成した。その後、前記SiOの層上にBARC(Bottom Anti reflective coating)を約60nm程度の厚さでコーティングし、またその上部にPR(photoresist)層(KrF用、positive-tone resist layer)を約400nm程度の厚さでコーティングした。その後、前記PR層をKrFステッパー(stepper)露光方式でパターン化した。その後、RIE(Reactive Ion Eching)方式で前記パターン化されたPR層をマスクにして、その下部のBARC層とSiO層をエッチングし、BARC層とPR層の残余物を除去することで、メッサ構造を形成した。上記方式で形成されたメッサ構造間の間隔(D)は、約150nmであり、高さ(H)は、約50nmであり、各メッサ構造の幅(W)は、約150nmであった。
【0076】
上記方式で形成された基板のメッサ構造(トレンチ構造)上に重合体(D)をスピンコーティングして約60nm程度の厚さの高分子膜試料を製造した。その後、前記試料の一部分には紫外線を照射せず、他の部分には約365nm程度の波長の紫外線を照射した後にアニーリングした。2種の微細相を有する薄膜を金属塩(Na2PtCL4)がとけている酸性溶液(HCl溶液、1%)に3時間の間浸した。その後、O2 RIEで重合体を除去すると同時に金属塩を還元させることで、白金ナノ粒子と白金ナノワイヤの2種のナノ構造を得ることができた。これに対するSEM(Scanning Electron Microscopy)結果を図18図19に示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(A)】
図8(B)】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19