(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/184 20210101AFI20220216BHJP
H01M 50/109 20210101ALI20220216BHJP
H01M 50/153 20210101ALI20220216BHJP
H01M 50/166 20210101ALI20220216BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
H01M50/184 E
H01M50/109
H01M50/153
H01M50/166
H01M10/04 Z
(21)【出願番号】P 2020564170
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(86)【国際出願番号】 KR2019008155
(87)【国際公開番号】W WO2020009477
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0078966
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン、ドン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュ ビン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビュン スー
【審査官】浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011150(JP,A)
【文献】特開2010-211944(JP,A)
【文献】特開2005-011748(JP,A)
【文献】特開2000-138044(JP,A)
【文献】特開2017-015659(JP,A)
【文献】特開2016-152231(JP,A)
【文献】特開2011-086760(JP,A)
【文献】特開2017-168439(JP,A)
【文献】特開2003-178765(JP,A)
【文献】特開平06-150895(JP,A)
【文献】特表2015-527723(JP,A)
【文献】独国特許出願公告第02842697(DE,B1)
【文献】特開2004-014171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00~50/198
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベース面の周縁に沿って第1側面が垂直に形成された第1缶;
前記第1缶の第1ベース面よりさらに大きい直径を有する第2ベース面を有し、前記第2ベース面の周縁に沿って第2側面が垂直に形成され、この際、前記第2側面にはベントホールが打孔された第2缶;及び
前記第1缶と第2缶が結合されるとき、前記第1側面と第2側面との間に位置するガスケット;を含み、
前記第1缶と第2缶は、第1側面が第2側面の内側に進入するように結合され、前記ガスケットがベントホールに挟まれるように変形されて第1缶と第2缶の固定がなされる、二次電池。
【請求項2】
前記第1缶の第1側面は第1ベース面から上方に向かい、前記第2缶の第2側面は第2ベース面から下方に向かい、前記第2缶が前記第1缶の上側を覆うように結合される、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記ベントホールは、第2缶側面の周縁に沿って少なくとも二つ以上形成された、請求項1
または請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第2缶は、平面上で円盤状を有し、前記ベントホールは、偶数個が形成され、それぞれは円盤の中心を基準に対称を成す対を有するように配置された、請求項
3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記第2缶は、平面上で円盤状を有し、前記円盤状の周縁を基準に前記ベントホールは、他の領域より特定の領域でさらに密集されるように配置された、請求項
3に記載の二次電池。
【請求項6】
第1ベース面の周縁に沿って第1側面が垂直に形成された第1缶と、前記第1ベース面よりさらに大きい直径を有する第2ベース面を有し、前記第2ベース面の周縁に沿って第2側面が垂直に形成された第2缶とが結合された二次電池の製造方法であって、
前記第2缶の側面にベントホールを打孔する打孔ステップ;
第1缶の第1側面と第2缶の第2側面との間にガスケットが位置し、前記ガスケットがベントホールと向い合うように前記第1缶と第2缶を結合させる結合ステップ;及び
前記ガスケットがベントホールに挟まれるように前記ガスケットを変形させ、第1缶と第2缶を固定する固定ステップ;を含む、二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記固定ステップにおいて、前記ガスケットは、外部から前記ベントホールに陰圧(negative pressure)が加えられると、前記ベントホールに挟まれるように変形される、請求項
6に記載の二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記ベントホールに陰圧を加える前に、第1缶と第2缶の動きを固定させる臨時固定ステップ;をさらに含む、請求項
7に記載の二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記ガスケットが第1缶側面の表面に付着された状態で陰圧が加えられる、請求項
7または請求項
8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
変形がなされるようになる前記ガスケットの一部領域は、他の領域より付着力が低下した状態で付着されるか、付着されていない状態で陰圧が加えられるようになる、請求項
9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項11】
変形がなされるようになる前記ガスケットの一部領域は、他の領域と厚さが異なって形成された、請求項
9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記打孔ステップにおいて、前記ベントホールは、第2缶側面の周縁に沿って少なくとも二つ以上が形成される、請求項
6から請求項
11のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年7月6日付韓国特許出願第10-2018-0078966号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願等の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池とその製造方法に関し、さらに詳しくは、内部空間を増大させてさらに大きい電極組立体を搭載することで、容量を増大させることができるボタン型二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、コイン型電池、ボタン型電池などでも通用されるボタン型電池は、薄いボタンの形状を有し、リモコン、時計、おもちゃ、コンピュータ部品など多くの機器で広く用いられている。
【0004】
このようなボタン型電池は、主に再充電が不可能な一次電池で製造されたが、最近、小型化機器の開発に合わせて充放電が可能な二次電池でも広く製造されている。そして、ボタン型二次電池もまた、円筒型またはパウチ型二次電池のようにケース内に電極組立体と電解質が内蔵されて繰り返して充放電が可能な構造を有する。
【0005】
図1は、従来のボタン型二次電池の断面図である。図示されているように、ボタン型二次電池の外部姿(第1缶と第2缶と結合された姿)は、シャーレ(Schale)状と類似して平らな円筒形状を有し、ただし、上側が開口された第1缶1の内部に電極組立体4が安着すると、前記電極組立体4の周辺部品(図示せず)が装着されて(液状型電解液を含む)電解質が注入された後、前記第1缶1の上側を第2缶2が覆うように構成される。
【0006】
このとき、前記第1缶1の側面の上側縁部と第2缶2の縁部には、互いに嵌め込まれるクランプ1a、2aがそれぞれ形成される。すなわち、前記第1缶1と第2缶2は、第2缶2が電極組立体4上に置かれるとき、互いに噛み合って結合されるように縁部が折り曲がってそれぞれクランプ1a、2aが形成され、ただし、それぞれのクランプ1a、2aは、第2缶2が進入する際に発生する圧力によって弾性変形した状態で、第2缶2の進入が完了すると、弾性復元して図示されたように締結がなされる。
【0007】
そして、内部を密閉させるためのゴム材質のガスケット3が前記クランプ1a、2aの間に挟まれるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、前記のようにクランプを用いた締結方式は、全高(電池の最下端から最上端部分までの高さ)に比べて第1缶1と第2缶2との間の内部空間の高さが低く形成され、電極組立体4の大きさが制限されるので、電池の全体積に比べての電池の容量を増大させ難いという問題があった。
【0009】
したがって、本発明は、内部空間を従来の構造に比べてさらに大きく確保し、同一体積に比べての容量がさらに増加された(さらに大きい電極組立体を搭載できる)ボタン型二次電池及びその製造方法を提供することに主たる目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するための本発明は、内部空間をさらに増大させることができるボタン型二次電池及びその製造方法を提供する。
【0011】
本発明に係るボタン型二次電池は、第1ベース面の周縁に沿って第1側面が垂直に形成された第1缶;前記第1缶の第1ベース面よりさらに大きい直径を有する第2ベース面を有し、前記第2ベース面の周縁に沿って第2側面が垂直に形成され、この際、前記第2側面にはベントホールが打孔された第2缶;及び前記第1缶と第2缶が結合されるとき、前記第1側面と第2側面との間に位置するガスケット;を含み、前記第1缶と第2缶は、第1側面が第2側面の内側に進入するように結合され、前記ガスケットがベントホールに挟まれるように変形されて第1缶と第2缶の固定がなされることを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記第1缶の第1側面は第1ベース面から上方に向かい、前記第2缶の第2側面は第2ベース面から下方に向かい、前記第2缶が前記第1缶の上側を覆うように結合される。
【0013】
そして、前記第1缶と第2缶によって形成された空間の内部の圧力と、前記第1缶と第2缶の外部の圧力差に対応する大きさにより前記ガスケットの変形がなされる。
【0014】
本発明の実施例において、前記ベントホールは、第2缶側面の周縁に沿って少なくとも二つ以上形成されてよい。
【0015】
例えば、前記第2缶は、平面上で円盤状を有し、前記ベントホールは、偶数個が形成され、それぞれは円盤の中心を基準に対称を成す対を有するように配置されてよい。
【0016】
他の構成として、前記第2缶は、平面上で円盤状を有し、前記円盤状の周縁を基準に前記ベントホールは、他の領域より特定の領域でさらに密集されるように配置されてよい。
【0017】
さらに、本発明に係るボタン型二次電池の製造方法は、第1ベース面の周縁に沿って第1側面が垂直に形成された第1缶と、前記第1ベース面よりさらに大きい直径を有する第2ベース面を有し、前記第2ベース面の周縁に沿って第2側面が垂直に形成された第2缶とが結合された二次電池の製造方法において、前記第1缶を用意するステップ;前記第2缶を用意するステップ;前記第2缶の側面にベントホールを打孔する打孔ステップ;(電極組立体及び電解質などが装着された後に)第1缶の側面と第2缶の側面との間にガスケットが位置し、前記ガスケットがベントホールを覆うように前記第1缶と第2缶を結合させる結合ステップ;及び前記ガスケットがベントホールに挟まれるように前記ガスケットを変形させ、第1缶と第2缶を固定する固定ステップ;を含むことを特徴とする。
【0018】
前記固定ステップにおいて、前記ガスケットは、外部から前記ベントホールに陰圧(negative pressure)が加えられると、前記ベントホールの外部に突出されるように変形される。
【0019】
本発明では、前記ベントホールに陰圧を加える前に、第1缶と第2缶の動きを固定させる臨時固定ステップ;をさらに含む。
【0020】
そして、前記ガスケットが第1缶側面の表面に付着された状態で陰圧が加えられる。
【0021】
さらに、(第1缶側面の変形が発生しないように)変形がなされるようになる前記ガスケットの一部領域は、他の領域より付着力が低下した状態で付着されるか、付着されていない状態で陰圧が加えられるようになってよい。
【0022】
また、(陰圧が集中されて変形がさらに容易に誘発され得るように)変形がなされるようになる前記ガスケットの一部領域は、他の領域と厚さが異なって形成されてよい。
【0023】
前記打孔ステップにおいて、前記ベントホールは、第2缶側面の周縁に沿って少なくとも二つ以上が形成されてよい。
【発明の効果】
【0024】
前述したような構成を有する本発明は、第1缶と第2缶の締結地点が電池の上側から側面に移動され、全高に比べての内部空間の高さを増大させることができるので、体積が同一である場合、よりさらに大きい容量の電極組立体の搭載が可能であるという効果がある。
【0025】
本発明では、ガスケットがベントホールに挟まれるように変形されて第1缶と第2缶の固定がなされるので、第1缶と第2缶で表面を滑らかに構成することができる。
【0026】
前記ガスケットの変形は、第1缶と第2缶によって形成された空間の内部の圧力と、前記第1缶と第2缶の外部の圧力差に対応する大きさでなされるので、ストレス及び/又は不要な変形を誘発する物理的圧力が第1缶と第2缶に加えられない。
【0027】
前記ベントホールは、少なくとも二つ以上形成されてよいので、要求されるスペックに応じて締結力の調節が可能である。
【0028】
さらに、前記ベントホールは、特定の領域でさらに密集されるように配置され得るので、電極リードなどが更に付着される特定の位置で締結力をさらに増大させることができる。
【0029】
また、変形がなされるようになる前記ガスケットの一部領域は、他の領域より付着力が低下した状態で付着されるか、付着されていない状態で陰圧が加えられるので、第1缶側面の変形を発生させないこともできる。
【0030】
そして、変形がなされるようになる前記ガスケットの一部領域は、他の領域と厚さがさらに厚く形成されるので、より容易に変形がなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来のボタン型二次電池の縦断面を単純化して示した断面図である。
【
図2】本発明の実施例によるボタン型二次電池の縦断面を単純化して示した断面図である。
【
図3a】第1缶に第2缶が安着した状態で陰圧が加えられる前と後の姿を示し、ただし、ガスケットとともに第1缶の側面に変形が発生した姿が示された断面図である。
【
図3b】第1缶に第2缶が安着した状態で陰圧が加えられる前と後の姿を示し、ただし、ガスケットの変形のみ発生した姿が示された断面図である。
【
図4a】陰圧が加えられるとき、内部空気が抜け出る経路を示した断面図である。
【
図4b】陰圧が加えられるとき、変形が発生する領域が他の領域よりさらに厚く形成されたガスケットが装着された姿が示された断面図である。
【
図5】第2缶にベントホール等が打孔され得る領域が示された底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づいて本発明に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は、いくつか異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体にわたり同一または類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付ける。
【0034】
また、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的且つ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0035】
本発明は、従来の構造に比べ、さらに大きい内部空間を有するボタン型二次電池及びその製造方法を提供し、以下、図面を参照して本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0036】
実施例1
本発明は、従来の構造に比べ、内部空間が増加されたボタン型二次電池を実施例1として提供する。本発明の二次電池は、第1缶10と第2缶20との間に配置されるガスケット30が、第2缶20に形成されたベントホール23に挟まれて固定がなされることを特徴とする。
【0037】
図2を参照すれば、前記第1缶10は、所定の大きさを有する円形であって、第1ベース面11が形成され、前記第1ベース面11の周縁に沿って第1側面12が垂直に形成された形状を有する。そして、前記第2缶20は、第1缶10の第1ベース面11よりさらに大きい直径を有する円形の第2ベース面21を有し、前記第2ベース面21の周縁に沿って第2側面22が垂直に形成され、ただし、前記第2側面22にはベントホール23が打孔された構造を有する。すなわち、第1缶10と第2缶20はシャーレ(Schale)と類似して平らな円筒形状を有し、ただし、第2缶20が少しより広い面積を有し、ベントホール23が更に打孔された構造を有する。
【0038】
本実施例において、前記第1缶10の第1側面12は第1ベース面11から上方に向かい、前記第2缶20の第2側面22は第2ベース面21から下方に向かい、前記第2缶20が前記第1缶10の上側を覆うように結合される。このとき、前記第1缶10は、第1側面12の外周面に(リング状を有する)ガスケット30が挟まれた状態で第2缶20と結合され、前記ガスケット30は第1缶10と第2缶20が結合されると、第1側面12と第2側面22との間に位置することになる。参考までに、このとき、前記ガスケット30は、接着剤を介して一部分が又は全体が、第1側面12に付着された状態であってよい。
【0039】
そして、前記第1側面12が第2側面22の内側に進入された状態で、第1側面12の外周面に結合されたガスケット30は、第2側面22の内周面に向い合うことになる。このとき、第2側面22に形成されたベントホール23を介してガスケット30は露出されるので、前記ベントホール23に陰圧(negative pressure)が加えられると、ガスケット30は、一部分がベントホール23に挟まれるように変形がなされる。
【0040】
すなわち、前記第1缶10と第2缶20によって形成された空間の内部の圧力と、前記第1缶10と第2缶20の外部の圧力差に対応する大きさにより前記ガスケット30の変形がなされ、第1缶10と第2缶20の固定がなされる。
【0041】
さらに、本発明の実施例において、図面は、ベントホール23が一つであるものに示されたが、前記ベントホール23は、第2缶20の側面22の周縁に沿って少なくとも二つ以上形成されてよい。例えば、前記第2缶20は、平面上で円盤状を有し、
図5に示すように、前記ベントホール23は偶数個が形成され、それぞれは円盤の中心を基準に対称を成す対を有するように配置されてよい(
図5のi、ii、iii参照)。参考までに、
図5は、第2缶20を上から下に、または下から上に眺めたとき、ベントホール23が形成され得る位置を示したものであって、ベントホール23が形成された部分における第2缶の横断面図である。
【0042】
他の構成として、前記第2缶20は、平面上で円盤状を有し、前記円盤状の周縁を基準に前記ベントホール23は、他の領域より特定の領域でさらに密集されるように配置されてよい(
図5のiv、v参照)。
【0043】
実施例2
さらに、本発明は、前記のような構成のボタン型二次電池を提供する製造方法を実施例2として提供する。
【0044】
本発明に係る製造方法は、第1ベース面11の周縁に沿って第1側面12が垂直に形成された第1缶10を用意する(提供する)ステップと、前記第1ベース面11よりさらに大きい直径を有する第2ベース面21を有し、前記第2ベース面21の周縁に沿って第2側面22が垂直に形成された第2缶20を用意する(提供する)ステップから始まる。
【0045】
前記第1缶10と第2缶20は、従来の公知された成形方法で提供され得るので、ここで詳細な説明は省略される。そして、提供された第2缶20は、第2側面22に所定の大きさと個数でベントホール23の打孔が行われる。前記ベントホール23の打孔は、第2缶20の材質によってパンチングまたはドリリングなどのような公知の方法で行われてよい。
【0046】
そして、第1側面12が上方に向かうように置かれた状態で、前記第1缶10内に電極組立体が安着して電解質などが追加的に装着された後、第2側面22が下方に向かうように置かれた状態で、第2缶20が第1缶10の上側を覆う。このとき、第2缶20が第1缶10を覆う前に、前記第1缶10には第1側面12の外周面に固定されるようにガスケット30が結合される。前記ガスケット30は、第1缶10に電極組立体が安着する前に結合されてもよく、安着した後に結合されてもよく、接着材などを介して第1側面12に付着されるか、熱融着のような方法で付着されてよい。
【0047】
したがって、第1缶10と第2缶20の結合がなされると、第1側面12と第2側面22との間にガスケット30が位置し、前記ガスケット30は、ベントホール23と向い合うようになる(ベントホールの外部からみたとき、前記ベントホールを介してガスケットが外部に露出される)。
【0048】
そして、第1缶10と第2缶20を固定させるために、前記ガスケット30の変形がなされる。本発明の実施例では、
図3a、3bに示すように、第1缶10と第2缶20が平らな定盤50上に上げられた状態で、動きが固定されるように上下左右に圧力が加えられたまま(または固定された位置に挟まれるか、専用ブラケットなどに締結されて動きが制限されたまま)、第2缶20のベントホール23に真空ホース40を連結すると、第1缶10と第2缶20の内部に陰圧(negative pressure)が形成されて変形がなされる。
【0049】
このとき、第1缶10と第2缶20の内部空間は、電極組立体及び電解質が充填された状態なので陰圧が作用しても支持される反面、第1側面12と第2側面22との間の空間は、陰圧が作用する地点であって、支持力が相対的に弱いため変形が発生する。陰圧により変形が発生するとき、
図3aに示すように、第1側面12の一部分がガスケット30と共に変形されることもあり、又は、
図3bに示すように、第1側面12の変形なしにガスケット30のみ変形がなされることもある。
【0050】
このような差は、作用する陰圧の大きさと陰圧が作用する面積は勿論のこと、ガスケット30と第1側面12との間の付着力、第1缶10の材質などによって決定され、要求される設計仕様によって異なってデザインされ得る。さらに、
図3aのように第1側面12の一部の変形がなされる場合には、第1側面12に(焼成または弾性)変形を増大させるために局所的に溝(groove)などが形成されてよい。具体的に、溝は、第1側面12で折曲げまたはベンディングが発生する部分に局所的に形成されてよい。また、圧力が集中
してガスケット30の変形がなされる部分で、ガスケット30が第1側面12にさらに大きい接着力で接着されるように構成されてよい。その反面、
図3bのように第1側面12の変形が発生せず、ガスケット30の変形のみなされる場合には、ガスケット30の変形がなされる特定の部分で、第1側面12とガスケット30の接着力を他の所より低くセッティングすることが好ましい。
【0051】
図4aに示すように、第1側面12と第2側面22との間で空気の移動する通路は、第1缶10と第2缶20の内部で他の所より狭く形成されるが、作用する陰圧が小さいか、第1側面12と第2側面22との間の空間が大きいと、十分な変形が発生しないことがある。したがって、ガスケット30がベントホール
23に挟まれて固定され得る程度に十分な変形がなされ得るよう、第1側面12と第2側面22との間の距離は充分近接しなければならず、加えられる陰圧は充分大きくなければならない。すなわち、さらに広い断面を流れる流体がさらに狭い断面を流れると、流体の流動速力は増加し、この際、内部圧力が低くなるベルヌーイの原理(Bernoulli's theorem)によって陰圧が加えられ、空気が流動する際に第1側面12と第2側面22との間の圧力は、他の所より相対的に低くなるようになり、ただし、第1缶10と第2缶20は固定された状態なので、ガスケット30はベントホール23に挟まれる方向(第1側面と第2側面が互いに密着されようとする方向)に圧力が作用して変形がなされる。参考までに、ベントホール23が複数個である場合には、陰圧が加えられるとき、当該ベントホール23を除いた残りは圧力漏れが発生しないように(別途の器具などを介して)塞ぐ状態で、当該ベントホール23に陰圧を加えることが好ましい。
【0052】
さらに、製造工程上の問題または他の理由で、第1側面12と第2側面22との間の距離がさらに大きく形成される場合には、
図4bに示すように、(第1側面と第2側面との間の距離を狭めて陰圧が集中される効果が誘発され得るように)ガスケット30の一部分がベントホール23に向かって突出される形状を有するように構成されてよい。すなわち、前記ガスケット30は、第1側面12と第2側面22との間の距離によって、又は、陰圧の大きさやベントホール23の大きさなどによって、一部分の厚さがさらに厚くなるように製造されてよい。
【0053】
結論として、本発明の実施例による製造方法では、陰圧が加えられる前に第1缶10と第2缶20の動きが遮断され(ガスケットによって固定される前に臨時に)仮固定された状態でなされ、ただし、第1缶10と第2缶20の大きさや陰圧の強度などによって第1缶10の材質、第1缶10とガスケット30の接着力、ガスケット30の厚さなどが異なって設計され得る。
【0054】
そして、(弾性または焼成)変形されたガスケット30は、(滑らかな外部表面を維持するため)ベントホール23から突出される必要はないが、挟まれた状態を維持しなければならない。また、一定部分突出されたとしても、滑らかな外部表面を維持するように突出された部分は切断されてよく、固定力を増大させるように突出された状態で(ガスケットの変形された部分が第2缶に堅固に固定されるように)接着剤などが更に塗布されてよい。
【0055】
一方、前記で説明されたように、前記打孔ステップにおいてベントホール23は、第2缶20の側面22の周縁に沿って複数個が打孔されてよい。すなわち、
図5に示すように、互いに向い合う方向で対を成すように構成(i、ii、iii参照)されるか、特定の方向への締結力を増大させるように一側に偏重されるように構成(iv、v参照)されてもよい。
【0056】
前述したような構成を有する本発明は、第1缶10と第2缶20の締結地点が電池の上側から側面に移動され、全高に比べての内部空間の高さを増大させることができるので、よりさらに大きい容量の電極組立体の搭載が可能であり、ガスケット30がベントホール23に挟まれるように変形され、第1缶10と第2缶20の固定がなされるので、第1缶10と第2缶20の外部表面を滑らかに構成することができる。
【0057】
そして、前記ガスケット30の変形は、第1缶10と第2缶20によって形成された空間の内部の圧力と、前記第1缶10と第2缶20の外部の圧力差に対応する大きさでなされるので、ストレス及び/又は不要な変形を誘発する物理的圧力が第1缶10と第2缶20に加えられず、前記ベントホール23は、少なくとも二つ以上形成され得るので、要求されるスペックに応じて締結力の調節が可能である。
【0058】
また、変形がなされるようになる前記ガスケット30の一部領域は、他の領域より付着力が低下した状態で付着されるか、付着されていない状態で陰圧が加えられるので、第1缶10の側面12の変形を発生させないこともできる。そして、変形がなされるようになる前記ガスケット30の一部領域は、他の領域と厚さがさらに厚く形成されるので、より容易に変形がなされ得る。
【0059】
以上で本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたとしても、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能である。