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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】光偏向システム及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20220216BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20220216BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
B81B3/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017049242
(22)【出願日】2017-03-14
(65)【公開番号】P2018151583
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】福岡 直紀
(72)【発明者】
【氏名】三木 芳彦
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-101474(JP,A)
【文献】特開2012-154989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
G02B 26/08
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射面を有する反射部と、
前記反射部を揺動可能に支持する支持部と、
前記支持部に配置され、入力された駆動信号に基づいて前記支持部を変形させ、該変形を検知して検知信号を出力する兼用圧電素子と、
前記駆動信号を出力する出力手段と、
前記駆動信号または前記検知信号を伝送する伝送路と、
前記伝送路に常時接続する前記検知信号の検知信号処理回路と、
切替タイミング信号に基づいて前記伝送路と前記出力手段との接続を切り離す信号切替回路と、
を有し、
前記検知信号処理回路は、前記伝送路と前記出力手段との接続が切り離されている期間に前記伝送路から入力される信号を前記検知信号として抽出する、
光偏向システム。
【請求項2】
更に、
前記入力された駆動信号に基づいて前記支持部を変形させる駆動用圧電素子を有する、
請求項1に記載の光偏向システム。
【請求項3】
前記信号切替回路は、前記切替タイミング信号に基づいて、前記検知信号が伝送する前記伝送路と前記出力手段との接続および切り離しを繰り返すことにより、前記検知信号が伝送する前記伝送路に離散的な前記駆動信号を伝送する、
請求項1または2に記載の光偏向システム。
【請求項4】
反射面を有する反射部と、
前記反射部を揺動可能に支持する支持部と、
前記支持部に配置され、入力された駆動信号に基づいて前記支持部を変形させ、該変形を検知して検知信号を出力する兼用圧電素子と、
前記駆動信号または前記検知信号を伝送可能な共通配線を有する伝送路と、
を有する光偏向を制御する制御装置であって、
前記駆動信号を出力する出力手段と、
前記伝送路に常時接続する前記検知信号の検知信号処理回路と、
切替タイミング信号に基づいて前記伝送路と前記出力手段との接続を切り離す信号切替回路とを有し、
前記検知信号処理回路は、前記伝送路と前記出力手段との接続が切り離されている期間に前記伝送路から入力される信号を前記検知信号として抽出する、
制御装置。
【請求項5】
更に、
前記駆動信号の駆動信号波形または前記切替タイミング信号の波形パターンの変更を受け付ける受付部を有する
請求項4に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光偏向システム及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)光スキャナなどの光偏向器において、ミラー支持部を屈曲変形させることによりミラー部を揺動させる駆動用圧電素子と、ミラー支持部の屈曲変形量を検知する検知用圧電素子とを備えたものがある。駆動用圧電素子は、駆動電圧の印加により変形してミラー支持部を屈曲変形させるものであり、検知用圧電素子は、圧電効果に基づくミラー支持部の変形により分極し、変形量に応じた電気を発生させるものである。
【0003】
この場合において生じる混信(クロストーク)を防止する目的で、検知用の圧電素子と接続している配線と駆動用の圧電素子と接続している配線との間に接地用配線を設けたものなどが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の光偏向器は、ミラー支持部に駆動用圧電素子と検知用圧電素子とをそれぞれ備えている。このため、ミラー支持部における駆動用圧電素子の配置面積が検知用圧電素子の配置面積をとることにより小さくなり、駆動用圧電素子の駆動力が低下するという問題がある。更に、駆動用圧電素子と検知用圧電素子のそれぞれに配線を所定の配線エリアを渡して接続することになるが、配線エリアが細いため、駆動用の配線と検知用の配線との間隔を十分にとることが難しい。このため、駆動用の配線と検知用の配線との混信(クロストーク)により駆動制御精度が低下するという問題もある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、少なくとも混信(クロストーク)による駆動制御精度の低下を防止することが可能な光偏向システム及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の光偏向システムは、反射面を有する反射部と、上記反射部を揺動可能に支持する支持部と、上記支持部に配置され、入力された駆動信号に基づいて上記支持部を変形させ、該変形を検知して検知信号を出力する兼用圧電素子と、上記駆動信号を出力する出力手段と、上記駆動信号または上記検知信号を伝送する伝送路と、上記伝送路に常時接続する上記検知信号の検知信号処理回路と、切替タイミング信号に基づいて上記伝送路と上記出力手段との接続を切り離す信号切替回路と、を有し、上記検知信号処理回路は、上記伝送路と上記出力手段との接続が切り離されている期間に上記伝送路から入力される信号を上記検知信号として抽出する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、少なくとも混信(クロストーク)による駆動制御精度の低下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、MEMS光スキャナの平面図である。
図2図2は、MEMS光スキャナのP-P’断面図である。
図3図3は、MEMS光スキャナのQ-Q’断面図である。
図4図4は、MEMS光スキャナを制御する制御装置のハードウェアブロックの構成の一例を示す図である。
図5図5は、信号切替回路の動作説明図である。
図6図6は、変形例1に係る制御装置のハードウェアブロックの構成の一例を示す図である。
図7図7は、変形例2に係る制御装置のハードウェアブロックの構成の一例を示す図である。
図8図8は、変形例3に係る制御装置の構成の一例を示す図である。
図9図9は、変形例4に係る制御装置の構成の一例を示す図である。
図10図10は、変形例5に係る制御装置の構成の一例を示す図である。
図11図11は、駆動信号がノコギリ波形(その一)である場合の信号切替回路の動作説明図である。
図12図12は、駆動信号がノコギリ波形(その二)である場合の信号切替回路の動作説明図である。
図13図13は、第1の動作時の動作説明図である。
図14図14は、第2の動作時の動作説明図である。
図15図15は、第1の動作から第2の動作に変更される前後の第1の共通伝送路上の信号の変化を示す比較図である。
図16図16は、兼用圧電素子と駆動専用の圧電素子とを配置エリアに配置したときの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、光偏向システム、光偏向器、及び制御装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、上記光偏向器をMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)光スキャナへ適用した光偏向システムの一例を示す。
【0010】
図1図3は、MEMS光スキャナの一例を示す図である。図1は、MEMS光スキャナの平面図である。図2は、図1に示すMEMS光スキャナのP-P’断面図である。図3は、図1に示すMEMS光スキャナのQ-Q’断面図である。
【0011】
図1に示す一例のMEMS光スキャナ1は、ミラー部11(11a、11b)と、第1の支持部12(12a、12b、12c)と、第2の支持部13(13a、13b)と、電極接続部14とを有する。ミラー部11は「反射部」に相当し、第1の支持部12と第2の支持部13は「支持部」に相当し、電極接続部14は「伝送路」の一部に対応する。
【0012】
MEMS光スキャナ1は、1枚のSOI(Silicon On Insulator)基板をエッチング処理等により一体的に形成したものが基礎になっている。SOI基板は、単結晶シリコン(Si)からなる第1のシリコン層(以下、「シリコン支持層」と言う)111の上に酸化シリコン層112を設け、更に酸化シリコン層112の上に単結晶シリコンからなる第2のシリコン層(以下、「シリコン活性層」と言う)113を設けたものである。
【0013】
シリコン活性層113は、図1図3に示すZ軸方向における厚みが小さい。このため、シリコン支持層111と酸化シリコン層112とを有さない部分においては、シリコン活性層113は屈曲可能な弾性体として機能する。
【0014】
SOI基板に対し、以下に示すような反射面や、圧電素子や、外部端子などの構成部品を形成する。構成部品の形成は、SOI基板の成形中であっても成形後であっても良い。
【0015】
図1に示すように、ミラー部11は、円形部を有する基体11aと、基体11aの円形部の+Z側の面上に設けた反射面11bとから構成されており、入射する光を、その反射面11bにより反射する。基体11aは、第1の支持部12のシリコン活性層113(図2参照)と一体に構成されている。反射面11bは、例えば、アルミニウム、金、銀等を含む金属薄膜で構成されている。なお、基体11aの-Z側の面に補強用のリブを設けていても良い。補強用のリブは、例えばシリコン支持層111(図2参照)及び酸化シリコン層112(図2参照)により構成され、基体11aの歪みを抑制するように機能する。
【0016】
第1の支持部12は、上記弾性体としての一対のトーションバー12cと、一対のトーションバー12cを支持する一対のカンチレバー12aと、一対のカンチレバー12aを支持する第1の支持体12bとにより構成されている。第1の支持体12bは、ミラー部11を囲み一対のカンチレバー12aのそれぞれの一端を支持する矩形形状の支持体である。
【0017】
図2に断面構造を示すように、カンチレバー12aは、シリコン活性層113と、シリコン活性層113上に設けた第1の圧電素子15とにより構成されている。なお、シリコン活性層113と第1の圧電素子15の間に酸化シリコン層を設けてもよい。
【0018】
第1の支持体12bは、シリコン活性層113と酸化シリコン層112とシリコン支持層111とにより構成されている。なお、シリコン活性層113の上に酸化シリコン層を設けてもよい。また、第1の支持体12bの+Z側の面上に示す配線131aは、第1の配線131(131a、131b)の内の、第1の圧電素子15の上部電極123に接続される配線を表している。
【0019】
第1の圧電素子15は、シリコン活性層113の+Z側の面上に下部電極121と、圧電体122と、上部電極123とを形成により設けたものである。上部電極123および下部電極121には、例えば金(Au)または白金(Pt)などを使用することができる。圧電体122には、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電材料を使用することができる。本実施の形態において、第1の圧電素子15は、カンチレバー12aを変形させる駆動用と、その変形を検知して変形量(「変位」の一例)を示す信号(検知信号)を出力する検知用との、兼用圧電素子として設けたものである。
【0020】
図1に示すように、第2の支持部13は、上記弾性体としてのミアンダ弾性体13aとミアンダ弾性体13aを支持する第2の支持体13bとにより構成されている。
【0021】
ミアンダ弾性体13aは、複数の梁を端部でつなげて折り返したような形状(ミアンダ形状)のもので、部分的に、斜線により示した第2の圧電素子16を有する。第2の圧電素子16は、ミアンダ弾性体13aを変形させる駆動用と、その変形を検知して検知信号を出力する検知用との、兼用圧電素子として設けたものである。ミアンダ弾性体13aは、ミラー部11の点対称位置に設けられており、それぞれの一端が第1の支持体12bに繋がり、他端が第2の支持体13bに繋がっている。第2の支持体13bは、第1の支持体12bを囲み、点対称位置にあるミアンダ弾性体13aのそれぞれの一端を支持する矩形形状の支持体である。
【0022】
図3に断面構造を示すように、ミアンダ弾性体13aは、シリコン活性層113と、シリコン活性層113上に設けた第2の圧電素子16とにより構成されている。第2の支持体13bは、シリコン支持層111の補強がなされたものである。
【0023】
第2の圧電素子16は、第1の圧電素子15と同様に、シリコン活性層113の+Z側の面上に下部電極121と、圧電体122と、上部電極123とを形成により設けたものである。
【0024】
図3の第2の圧電素子16の+Z側の面上に示す配線131bは、第1の配線131の内の、第1の圧電素子15の下部電極121に接続される接地用の配線を表している。その他の配線については図示を省略している。
【0025】
なお、第2の圧電素子16の上部電極123の+Z側の面上の各配線は、酸化シリコン膜からなる絶縁層(不図示)を介して上部電極123の+Z側の面上に配線されている。上部電極123と配線とを接続する接続スポットのみ、絶縁層を除去または絶縁層を形成しないことによる開口部を設けている。これにより、圧電素子や配線などの設計自由度をあげ、更に電極同士の接触による短絡抑制や、酸化シリコン膜による反射防止材としての機能などが備わる。
【0026】
一対のカンチレバー12a及び点対称位置のミアンダ弾性体13aは、ミラー部11を揺動可能に支持し、ミラー部11は第1の圧電素子15の駆動により図中のY軸に平行な第1の軸周りに向きを変え、第2の圧電素子16の駆動により図中のX軸に平行な第2の軸周りに向きを変える。
【0027】
続いて、第1の圧電素子15及び第2の圧電素子16への配線について説明する。以下では、配線の電気的な接続関係を単に配線の接続と言う。
【0028】
第1の配線131は、第1の圧電素子15への駆動信号の伝送と第1の圧電素子15からの検知信号の伝送とを行うための信号線である。本実施の形態では、駆動用の信号線のみとし、駆動用の信号線に検知信号の伝送も兼用させる。
【0029】
第1の配線131は、3つの配線131a、131b、131cにより構成されている。配線131aは第1の支持部12(図1参照)上の配線エリアを使って2つの第1の圧電素子15の上部電極123に接続する。配線131bは、第2の支持部13上の配線エリアを使って1つの第1の圧電素子15の下部電極121に接続する接地用の配線である。配線131cは、2つの第1の圧電素子15の下部電極121同士を接続する配線である。なお、2つの第1の圧電素子15のそれぞれの下部電極121に配線131bを接続しても良い。なお、配線131aは、ミラー部11に対して+X方向のミアンダ弾性体13aの上を通るように配線する。また、配線131bはミラー部11に対して-X方向のミアンダ弾性体13aの上を通るように配線する。このように配線することで、2つのミアンダ弾性体13aの重量バランスを略同様にできる。
【0030】
第2の配線133(133a~133f)は、第2の圧電素子16への駆動信号の伝送と第2の圧電素子16からの検知信号の伝送とを行うための信号線である。本実施の形態では、第1の配線131と同様に、駆動用の信号線のみとし、駆動用の信号線に検知信号の伝送も兼用させる。
【0031】
図1において第1の支持部12より+X側に示す第2の配線133a、133b、133cは、第1の支持部12より+X側の第2の圧電素子16を駆動する駆動用の信号線に対応し、第1の支持部12より-X側に示す第2の配線133d、133e、133fは、第1の支持部12より-X側の第2の圧電素子16を駆動する駆動用の信号線に対応するものである。本例では、第1の支持部12の+X側から奇数番目の梁の第2の圧電素子16aと、+X側から偶数番目の梁の第2の圧電部16bとでグループ分けを行い、各グループに異なる信号を入力して各グループで制御する。また、第1の支持部12の-X側から奇数番目の梁の第2の圧電素子16fと、-X側から偶数番目の梁の第2の圧電素子16eとでグループ分けを行い、各グループに異なる信号を入力して各グループで制御する。
【0032】
図1に示す配線133aは、+X側に示す偶数番グループ(第2の圧電素子16b)の上部電極123に接続する。偶数番グループの上部電極123への配線は、第2の圧電素子16を一つ飛ばしで上部電極123同士を結線するなどして配線133aを直接的又は間接的に偶数番グループの各上部電極123へ配線する。配線133bは、+X側に示す奇数番グループ(第2の圧電素子16a)の上部電極123に接続する。奇数番グループの上部電極123への配線は、第2の圧電素子16を一つ飛ばしで上部電極123同士を結線するなどして配線133bを直接的又は間接的に奇数番グループの各上部電極123へ配線する。配線133cは、+X側に示す第2の圧電素子16(第2の圧電素子16a及び第2の圧電素子16b)の下部電極121に接続する接地用の配線である。接地用の配線については、各第2の圧電素子16の下部電極121同士を結線するなどして接地する。
【0033】
配線133dは、-X側に示す第2の圧電素子16(第2の圧電素子16e及び第2の圧電素子16f)の下部電極121に接続する接地用の配線である。配線133eは、-X側に示す奇数番グループ(第2の圧電素子16f)の上部電極123に接続する。配線133fは、-X側に示す偶数番グループ(第2の圧電素子16e)の上部電極123に接続する。なお、-X側の各配線133d、133e、133fの配線方法については、それぞれ、+X側の各配線133c、133b、133aの配線方法に従うものとする。なお、各電極や各支持部に絶縁膜を設けて、その上に配線し、各電極との接続箇所だけコンタクトホールを形成して接続しても良い。これにより配線自由度が向上する。
【0034】
電極接続部14は、第2の支持体13bの+Z側の面上に設けられている。電極接続部14は、外部端子141a、141b、142a、142b、・・・、142fを有し、これらに対し、各配線(配線131a、131b、133a、133b、・・・133f)が電極配線(アルミニウム(Al)等)を介して配線されている。
【0035】
外部端子141aには、配線131aが配線されている。外部端子141bには、配線131bが配線されている。外部端子142aには、配線133aが配線されている。外部端子142bには、配線133bが配線されている。外部端子142cには、配線133cが配線されている。外部端子142dには、配線133dが配線されている。外部端子142eには、配線133eが配線されている。外部端子142fには、配線133fが配線されている。
【0036】
電極接続部14の各外部端子141a、141b、142a、142b、・・・、142fに対し、後述する制御装置2(「外部の制御装置」の一例)から同数の制御線をコネクタなどにより接続することにより、MEMS光スキャナ1と制御装置2との間に第1の配線131を使用する信号伝送路(第1の共通伝送路)と第2の配線133を使用する信号伝送路(第2の共通伝送路)とが形成される。ここで、「共通伝送路」とは、駆動信号と検知信号の共通の伝送路のことを指している。制御装置2は、第1の共通伝送路を介して、後述するように第1の圧電素子15を制御し、第2の共通伝送路を介して、第2の圧電素子16を制御する。
【0037】
なお、ここでは一例として、SOI基板として平面上のものを示したが、平面状である必要はなく、曲率等を有していても良い。また、SOI基板に限らず、エッチング処理等により一体的に成形でき、部分的に弾性機能を持たせられるものであれば、他の基板を利用しても良い。
【0038】
また、第1の支持部12や第2の支持部13の構成は、これに限定されない。ミラー部11が第1の軸周り又は第2の軸周りに駆動できるものであれば、適宜変形しても良い。例えば、カンチレバー12aや第1の圧電素子15などを曲率を有するものに変更しても良い。
【0039】
また、圧電体122を弾性機能を有するシリコン活性層113の一面(+Z側の面)のみに設けたものを示しているが、弾性機能を有する部分の他の面(例えばシリコン活性層113の-Z側の面など)に設けても良いし、弾性機能を有する部分の一面および他の面の双方に設けても良い。
【0040】
図4は、MEMS光スキャナを制御する制御装置のハードウェアブロックの構成の一例を示す図である。図4に示す一例の制御装置2は、主に駆動信号出力回路21と、検知信号処理回路22と、信号切替回路23とを有する。駆動信号出力回路21は、「出力手段」に相当する。検知信号処理回路22は、「入力手段」に相当する。信号切替回路23は「切替手段」に相当する。
【0041】
駆動信号出力回路21は、信号切替回路23へ上りの信号である駆動信号(駆動電圧など)S1を出力する回路である。
【0042】
検知信号処理回路22は、下りの信号である検知信号S2を処理する回路である。
【0043】
信号切替回路23は、MEMS光スキャナ1との間の上りと下りの信号を伝送する共通伝送路(第1の共通伝送路や第2の共通伝送路)Aとの接続を、時分割した期間ごとに、駆動信号出力回路21と検知信号処理回路22との何れか一方へ切り替える回路である。つまり、信号切替回路23は、時分割した期間ごとに、駆動信号の信号伝送と検知信号の信号伝送とを切り替える。信号切替回路23は、例えば、切替タイミング出力回路231とスイッチ回路(CMOS(Complementary MOS)スイッチ等)232とにより構成され、切替タイミング出力回路231からの切替タイミング信号S3の入力に応じ、スイッチ回路232が接続先を切り替える。
【0044】
本実施の形態では、上記共通伝送路Aとして第1の共通伝送路と第2の共通伝送路とを有するものを一例として示している。従って、駆動信号出力回路21、検知信号処理回路22、及び信号切替回路23は、第1の共通伝送路の信号と第2の共通伝送路の信号とを個別に扱い、第1の共通伝送路の信号と第2の共通伝送路の信号との信号別に動作する。例えば、信号切替回路23では、第1の共通伝送路に対しての駆動信号出力回路21と検知信号処理回路22との接続切替と第2の共通伝送路に対しての駆動信号出力回路21と検知信号処理回路22との接続切替とを個別に行う。
【0045】
駆動信号出力回路21と、検知信号処理回路22と、信号切替回路23とにおける一連の動作は、対象が第1の共通伝送路の信号であっても第2の共通伝送路の信号であっても共に共通する。このため、以下における説明を簡単にするために、共通伝送路Aを第1の共通伝送路に見立て、以下に、第1の共通伝送路の信号を対象とする動作について説明する。
【0046】
図5は、信号切替回路23の動作説明図である。図5(a)は、駆動信号出力回路21から出力される駆動信号S1の信号波形の一例を示す図である。図5(b)は、信号切替回路23の切替タイミング信号S3の切替タイミングの一例を示す図である。図5(c)は、信号切替回路23から第1の共通伝送路Aに出力される出力信号(上りの信号)の信号波形の一例を示す図である。図5(d)は、第1の共通伝送路Aから信号切替回路23に入力される検知信号(下りの信号)の信号波形の一例を示す図である。各図には、時間を横軸に設定し、電圧レベルを縦軸に設定したものを示している。
【0047】
図5(a)には、駆動信号S1の一例として正弦波形の信号(正弦波形信号)を示している。駆動信号出力回路21(図4参照)が上記駆動信号S1として正弦波形信号を出力すると、信号切替回路23(図4参照)は、図5(b)に示す切替タイミング信号S3の各「HIGH」の期間に第1の共通伝送路A(図4参照)との接続を未接続状態から駆動信号出力回路21(図4参照)に切り替え、図5(b)に示す各「LOW」の期間に第1の共通伝送路A(図4参照)との接続を検知信号処理回路22(図4参照)に切り替える。ここで、「HIGH」と「LOW」が切り替わる時間間隔は等間隔であり、信号切替回路23(図4参照)は、駆動信号S1の一周期を所定時間で分割した等間隔の期間おきに接続を切り替える。
【0048】
従って、正弦波形信号が出力されている期間において、「HIGH」期間では、第1の圧電素子15の駆動用の第1の配線131(配線131a及び配線131b)に対し駆動信号出力回路21(図4参照)が接続されるので、図5(c)のように離散的な正弦波形の駆動電圧が第1の共通伝送路A(図4参照)上に発生する。第1の圧電素子15は、駆動電圧が印加されないタイミング(「LOW」期間)を間欠的に含むものの、その時間は十分短いため、連続的に変形する。
【0049】
また、「LOW」期間では、第1の圧電素子15の駆動用の第1の配線131(配線131a及び配線131b)に対し検知信号処理回路22(図4参照)が接続されるので、第1の圧電素子15の変形により生じる信号電圧が、例えば図5(d)に示す、図5(c)の離散的な正弦波形に追随する大きさの信号電圧として、離散的に発生する。このように共通伝送路A上において駆動信号の信号伝送時間と検知信号の信号伝送時間とを重ならせないようにすることができる。
【0050】
本実施の形態では、光偏向システムとしてMEMS光スキャナ1を制御装置2が制御する態様について示した。光偏向システムは、駆動信号出力回路21、検知信号処理回路22、及び信号切替回路23によりMEMS光スキャナ1を制御する態様のものであればその他のものでも良い。例えば、制御装置2が備える駆動信号出力回路21、検知信号処理回路22、及び信号切替回路23の内の一部を外部装置に設け、制御装置2と外部装置との通信によりMEMS光スキャナ1を制御する態様としても良い。
【0051】
以上に示すような制御装置2は、駆動用の上りの信号と検知用の下りの信号とを時分割で伝送させる。つまり、制御装置2は、駆動用の第1の圧電素子15の駆動期間外において第1の圧電素子15を検知用として動作させるため、駆動用の第1の圧電素子15を駆動用と検知用の兼用圧電素子として利用することが可能になる。従って、検知専用の圧電素子を別途設ける必要がなくなるため、検知専用の圧電素子の配置面積を駆動用の圧電素子に割り当てることが可能になり、十分な駆動力を得ることが可能になる。また、駆動用の上りの信号と検知用の下りの信号とは、伝送される時間帯が異なるため、混信による駆動制御の精度低下を防止することが可能になる。ここでは、第1の共通伝送路を例に動作を示したが、第2の共通伝送路についても同様に動作するので、第2の圧電素子16についても効果は同様である。
【0052】
(変形例1)
図4に示す検知信号処理回路22を共通伝送路A(ここでも第1の共通伝送路Aを一例として示す)に常時接続させる場合の制御装置2の変形例について示す。
【0053】
図6は変形例1に係る制御装置のハードウェアブロックの構成の一例を示す図である。図6に示す制御装置3では、検知信号処理回路32と第1の共通伝送路Aとが常時接続された構成を有する。以下、主な変形箇所である信号切替回路33と検知信号処理回路32との構成について説明し、それらの動作について図5に示す正弦波形を例に説明する。
【0054】
信号切替回路33は、駆動信号出力回路21と第1の共通伝送路Aとを切替タイミング信号S3の「HIGH」で接続し、「LOW」で切り離すように動作する。また、信号切替回路33は、検知信号処理回路32に対し、上記切替タイミング信号S3を出力する。信号切替回路33は、例えば、切替タイミング出力回路331とスイッチ回路(CMOSスイッチ等)332とにより構成される。切替タイミング出力回路331は、スイッチ回路332と検知信号処理回路32とに切替タイミング信号S3を出力する。スイッチ回路332は、切替タイミング出力回路331からの切替タイミング信号S3の入力に応じ、第1の共通伝送路Aに対する駆動信号出力回路21の接続をオンオフする。
【0055】
検知信号処理回路32は、駆動信号出力回路21と第1の共通伝送路Aとが接続されているHIGH期間(図5(b)参照)は駆動信号出力回路21が出力する駆動信号S1を入力し、駆動信号出力回路21と第1の共通伝送路Aとが切り離されているLOW期間(図5(b)参照)は、MEMS光スキャナ1からの検知信号S2を入力する。そして、検知信号処理回路32は、信号切替回路33から出力される切替タイミング信号S3に基づき、連続して入力される入力信号から上記検知信号S2のみを抽出する。
【0056】
具体的に、検知信号処理回路32には、上記入力信号として、HIGH期間に図5(c)の離散的な駆動信号が入力され、LOW期間に図5(d)の離散的な検知信号が入力される。検知信号処理回路32は、上記入力信号から、信号切替回路33から出力される切替タイミング信号S3のLOW期間に入力される信号を上記検知信号として抽出する。
【0057】
このように、変形例1でも、駆動用の上りの信号と検知用の下りの信号とを、時分割で伝送することができるため、兼用圧電素子を利用することや、混信を防止することが可能になる。
【0058】
(変形例2)
実施の形態では兼用圧電素子をMEMS光スキャナに設けた場合の光偏光システムの態様について示した。ここでは、駆動専用の圧電素子(駆動用圧電素子)と検知専用の圧電素子(検知用圧電素子)とをMEMS光スキャナに設けた場合の光偏光システムの変形例について示す。なお、MEMS光スキャナの構成としては、兼用圧電素子の代わりに駆動用圧電素子と検知用圧電素子とを配置したものになる。また、第1の配線131(配線131aと配線131b)は駆動専用配線と検知専用配線としてそれぞれ設けられる。ここでは、主に、駆動用と検知用とに利用される共通伝送路A(ここでも第1の共通伝送路Aを一例として示す)を、駆動専用の伝送路と検知専用の伝送路との個別の伝送路に変更した場合の制御装置の変形例について示す。
【0059】
図7は、変形例2に係る制御装置のハードウェアブロックの構成の一例を示す図である。図7に示す制御装置4は、制御装置2(図4参照)において第1の共通伝送路A(図4参照)を駆動専用配線で形成される駆動専用伝送路と検知専用配線で形成される検知専用伝送路とに変形し、この構成に対応するものに信号切替回路23の構成を変形したものである。以下、主な変形箇所である信号切替回路43の構成について説明し、その動作について図5に示す正弦波形を例に説明する。
【0060】
信号切替回路43は、例えば、切替タイミング出力回路431とスイッチ回路(CMOSスイッチ等)432とにより構成される。切替タイミング出力回路431は、スイッチ回路432に切替タイミング信号S3を出力する。スイッチ回路432は、切替タイミング信号S3の入力に応じ、HIGHで駆動専用伝送路B-1と駆動信号出力回路21とを接続し、LOWで駆動専用伝送路B-1と駆動信号出力回路21とを切り離す。また、スイッチ回路432は、駆動信号出力回路21の接続と切り離しと同じタイミングで、HIGHで検知専用伝送路B-2と検知信号処理回路22とを切り離し、LOWで検知専用伝送路B-2と検知信号処理回路22とを接続する。
【0061】
このように切替タイミング信号S3の各「HIGH」の期間に駆動信号出力回路21と駆動専用伝送路B-1とを接続し、切替タイミング信号S3の各「LOW」の期間に検知信号処理回路22と検知専用伝送路B-2とを接続する。このような切り替えにより、信号切替回路43から駆動専用伝送路B-1に対し、図5(c)の離散的な正弦波形で変化する駆動電圧が出力される。また、LOWの期間に図5(d)に示す離散的な検知信号S2が検知信号処理回路22に入力される。
【0062】
以上のように、変形例2では、MEMS光スキャナに駆動用圧電素子と検知用圧電素子とを設け、それぞれ異なる配線で、駆動用の上りの信号と検知用の下りの信号とを伝送する。この場合においても、駆動用の上りの信号と検知用の下りの信号とを、時分割で伝送するため、混信を防止することが可能になる。
【0063】
(変形例3)
実施の形態、変形例1、及び変形例2では、制御装置が、駆動信号出力回路と、検知信号処理回路と、信号切替回路とを備えるものとして示した。当該制御装置は、これらの回路を全て備えているため、上述した時分割伝送の機能を制御装置内で完結させることができる。これに限らず、制御装置は、その内の一部の回路を一つ又は複数の外部装置に配置し、各外部装置との通信により上述した時分割伝送の機能を実現するようにしても良い。各外部装置には、上記一部の回路の他に、その他の任意の回路が備えられていても良い。
【0064】
図8は、変形例3に係る制御装置の構成の一例を示す図である。図8(a)と図8(b)に、変形例3についての二つの形態を示している。図8(a)は第1の共通伝送路Aを有する形態のものであり、図8(b)は駆動専用伝送路B-1と検知専用伝送路B-2とを個別に有する形態のものである。なお、図8において、実施の形態や、変形例1や、変形例2などと同様の箇所については同一の符号を付している。
【0065】
図8(a)と図8(b)の各制御装置5は、信号切替回路(それぞれ、信号切替回路23(又は33)、信号切替回路43)を備えている。また、各制御装置5は、「通信手段」の一例として第1の外部通信インタフェース51と第2の外部通信インタフェース52とを備えている。上記駆動信号出力回路及び上記検知信号処理回路については外部装置(不図示)が備えるものとする。
【0066】
第1の外部通信インタフェース51は、駆動信号出力回路から出力される駆動信号を外部装置(不図示)から受信し、その受信した駆動信号を信号切替回路に出力する、外部装置との第1の通信インタフェースである。第2の外部通信インタフェース52は、信号切替回路から信号(検知信号含む)を入力して、入力した信号を外部装置の検知信号処理回路に向けて送信する、外部装置との第2の通信インタフェースである。
【0067】
例えば、図8(a)において、第1の外部通信インタフェース51は、上記外部装置の駆動信号出力回路(駆動信号出力回路21に相当)から出力される駆動信号を上記外部装置から受信し、その受信した駆動信号を駆動信号S1として信号切替回路23(又は信号切替回路33)に出力する。第2の外部通信インタフェース52は、信号切替回路23(又は信号切替回路33)から信号(検知信号S2含む)を入力して、入力した信号を上記外部装置の検知信号処理回路22(又は検知信号処理回路32)に向けて送信する。
【0068】
変形例3に係る制御装置5は、このような、第1の外部通信インタフェース51と第2の外部通信インタフェース52とによる上記外部装置との通信を介し、上記外部装置と連携して時分割伝送の機能を実現することになる。なお、上記駆動信号出力回路と、上記検知信号処理回路と、上記信号切替回路との時分割伝送のための動作については、実施の形態や、変形例1や、変形例2に示す通りであり、説明の繰り返しになるため、ここでの、これ以上の説明は省略する。
【0069】
(変形例4)
検知信号処理回路を上記外部装置に配置し、駆動信号出力回路と信号切替回路とを制御装置に設けた場合の変形例について示す。
【0070】
図9は、変形例4に係る制御装置の構成の一例を示す図である。図9に示す一例の制御装置6は、駆動信号出力回路21と信号切替回路23とを備える。更に、制御装置6は、「通信手段」の一例として第3の外部通信インタフェース61と第4の外部通信インタフェース62とを備えている。なお、ここでは、信号切替回路の一例として信号切替回路23を示しているが、信号切替回路33や信号切替回路43などであっても良い。上記信号切替回路が信号切替回路23や信号切替回路33の場合、制御装置6は、図9に省略しているが共通伝送路Aの形態をとる。上記信号切替回路が信号切替回路43の場合、制御装置6は、駆動専用の伝送路B-1と検知専用の伝送路B-2の形態をとる。
【0071】
第3の外部通信インタフェース61は、外部装置(不図示)から出力される信号を受信し、その受信した信号を駆動信号出力回路21に出力する、外部装置との第3の通信インタフェースである。受信する信号としては、例えば駆動信号の波形パターンや、出力タイミングや、電圧レベルなどを調節する調節信号などである。駆動信号出力回路21は、受信信号に基づいて駆動信号S1を出力する。第4の外部通信インタフェース62は、信号切替回路23から信号(検知信号S2含む)を入力して、入力した信号を上記外部装置の検知信号処理回路(検知信号処理回路22に相当)に向けて送信する、外部装置との第4の通信インタフェースである。
【0072】
変形例4に係る制御装置6は、このような、第3の外部通信インタフェース61と第4の外部通信インタフェース62とによる上記外部装置との通信を介し、上記外部装置と連携して時分割伝送の機能を実現することになる。なお、上記駆動信号出力回路と、上記検知信号処理回路と、上記信号切替回路との時分割伝送のための動作については、実施の形態や、変形例1や、変形例2に示す通りであり、説明の繰り返しになるため、ここでの、これ以上の説明は省略する。
【0073】
(変形例5)
制御装置が備える駆動信号出力回路と検知信号処理回路と信号切替回路とを外部装置から制御するための構成について示す。
【0074】
図10は、変形例5に係る制御装置の構成の一例を示す図である。図10に一例を示す制御装置7は、駆動信号出力回路21と検知信号処理回路22と信号切替回路23とのそれぞれの外部通信インタフェースとして第5の外部通信インタフェース71と第6の外部通信インタフェース72と第7の外部通信インタフェース73とを備えている。
【0075】
なお、ここでは、信号切替回路の一例として信号切替回路23を示しているが、信号切替回路33や信号切替回路43などであっても良い。上記信号切替回路が信号切替回路23や信号切替回路33の場合、制御装置7は、図9に図示を省略しているが共通伝送路Aの形態をとる。上記信号切替回路が信号切替回路43の場合、制御装置7は、駆動専用の伝送路B-1と検知専用の伝送路B-2の形態をとる。また、上記信号切替回路が信号切替回路33の場合、検知信号処理回路は検知信号処理回路32に変更する。
【0076】
駆動信号出力回路21と検知信号処理回路22と信号切替回路23とは、それぞれ、設定値を受け付ける受付部を有する。各外部通信インタフェース71、72、73は、それぞれ、外部装置と通信を行い、外部装置から送信される設定値などを、駆動信号出力回路21や検知信号処理回路22や信号切替回路23のそれぞれの受付部に出力する。
【0077】
設定値としては、信号切替回路23については例えば切替タイミング信号S3の波形パターン(「切替パターン」の一例)の変更を示す設定値などとする。駆動信号出力回路21については、例えば正弦波形からノコギリ波形への駆動信号波形(「切替パターン」の一例)の変更を示す設定値などとする。
【0078】
これにより、外部装置からの設定の変更が可能になる。なお、ここでは各外部通信インタフェースを設定変更のために使用しているが、外部装置が備える任意の回路との通信に使用して良い。
【0079】
(変形例6)
駆動信号出力回路21が出力する駆動信号のその他の一例を示す。
【0080】
図11は、駆動信号S1がノコギリ波形(その一)である場合の信号切替回路23の動作説明図である。図11(a)は、駆動信号出力回路21から出力される駆動信号S1の信号波形の一例を示す図である。図11(b)は、信号切替回路23の切替タイミング信号S3の切替タイミングの一例を示す図である。図11(c)は、信号切替回路23から第1の共通伝送路Aに出力される出力信号(上りの信号)の信号波形の一例を示す図である。図11(d)は、第1の共通伝送路Aから信号切替回路23に入力される検知信号(下りの信号)の信号波形の一例を示す図である。各図には、時間を横軸に設定し、電圧レベルを縦軸に設定したものを示している。
【0081】
図11(c)と図11(d)とに示すように、実施の形態と同様、「HIGH」期間では、第1の圧電素子15(図1参照)の駆動用の第1の配線131(配線131a及び配線131b)に対し駆動信号出力回路21(図4参照)が接続されるので、図11(c)のように離散的なノコギリ波形の駆動電圧が第1の共通伝送路A(図4参照)上に発生する。
【0082】
また、「LOW」期間では、第1の圧電素子15(図1参照)の駆動用の第1の配線131(配線131a及び配線131b)に対し検知信号処理回路22(図4参照)が接続されるので、第1の圧電素子15の変形により生じる信号電圧が、例えば図11(d)に示す、図11(c)の離散的なノコギリ波形に追随する大きさの信号電圧として、離散的に発生する。
【0083】
なお、上述の動作原理は、実施の形態に正弦波形を例に説明したものと同様で、説明の繰り返しになるため、ここでのこれ以上の説明を省略する。
【0084】
(変形例7)
図12は、駆動信号S1がノコギリ波形(その二)である場合の信号切替回路23の動作説明図である。図12(a)は、駆動信号出力回路21から出力される駆動信号S1の信号波形の一例を示す図である。図12(b)は、信号切替回路23の切替タイミング信号S3の切替タイミングの一例を示す図である。図12(c)は、信号切替回路23から第1の共通伝送路Aに出力される出力信号(上りの信号)の信号波形の一例を示す図である。図12(d)は、第1の共通伝送路Aから信号切替回路23に入力される検知信号(下りの信号)の信号波形の一例を示す図である。各図には、時間を横軸に設定し、電圧レベルを縦軸に設定したものを示している。
【0085】
図12に示すノコギリ波形(その二)は、図11に示すノコギリ波形(その一)を左右反転させた波形のものであり、動作原理は、変形例6と同様である。
【0086】
(変形例8)
Duty比や切替タイミングが変わる場合について説明する。
【0087】
図13は、第1の動作時の動作説明図である。図14は、第2の動作時の動作説明図である。図15は、第1の動作から第2の動作にDuty比や切替タイミングが変更される前後の第1の共通伝送路A上の信号の変化を示す比較図である。
【0088】
図13に示すように、第1の動作時には、駆動信号出力回路21が駆動信号S1として第1の正弦波形の駆動信号を出力する(図13(a)参照)。そして、信号切替回路23が第1の正弦波形の周期T1でHIGHとLOWとを切り替える切替タイミング信号を出力する(図13(b)参照)。
【0089】
図14に示すように、第2の動作時には、駆動信号出力回路21が駆動信号S1として第2の正弦波形の駆動信号を出力する(図14(a)参照)。そして、信号切替回路23が第2の正弦波形の周期T2でHIGHとLOWとを切り替える切替タイミング信号を出力する(図14(b)参照)。図14(c)と図13(c)とはDuty比が異なる。
【0090】
ここで、各波形は、次のような関係になっている。
周期T1>周期T2 ・・・(1)
第1の動作時の切替タイミング信号のHIGHの期間=周期T1 ・・・(2)
第2の動作時の切替タイミング信号のHIGHの期間=2×周期T2 ・・・(3)
【0091】
図13(c)から図14(c)のようにDuty比や切替タイミングが変わる場合、信号切替回路23は、変更前の駆動信号(第1の正弦波形の駆動信号)の周期と変更後の駆動信号(第2の正弦波形の駆動信号)の周期とに基づいた切替期間をとって切り替えを行う。具体的には、変更後の駆動信号が変更前の駆動信号の影響を受けないように切り替えを行う。この切替期間として、変更前の駆動信号の周期の整数倍、かつ、変更後の駆動信号の周期の整数倍であることが望ましい。
【0092】
(変形例9)
兼用圧電素子のみのときよりも強力な駆動力を得たい場合には、兼用圧電素子と駆動専用の圧電素子(駆動用圧電素子)とを併用する。駆動用圧電素子は、兼用圧電素子とは異なる配線を使用し、独立して駆動しても良い。
【0093】
図16は、兼用圧電素子と駆動用圧電素子とを配置エリアに配置したときの配置例を示す図である。図16に示す配置例は、MEMS光スキャナ1(図1参照)の平面における配置例である。図16に示す兼用圧電素子15(又は兼用圧電素子16)と駆動用圧電素子80との配置は、適宜、カンチレバー12a(図1参照)上やミアンダ弾性体13a(図1参照)上の何れかの一部や、カンチレバー12a(図1参照)とミアンダ弾性体13a(図1参照)の両方などに、適用して良い。
【0094】
図16には、兼用圧電素子15(16)と駆動用圧電素子80とを、カンチレバー12aやミアンダ弾性体13aに構成されるシリコン活性層113の長手方向に沿って平行に配置した配置例を示している。なお、これは、一例であるため、兼用圧電素子15(16)と駆動用圧電素子80との配置を任意に変更しても良い。例えば、兼用圧電素子15(16)と駆動用圧電素子80とを図1中のZ軸方向に重ねて配置しても良いし、長手方向に交互に配置しても良い。
【0095】
このように、兼用圧電素子と駆動用圧電素子とを併用することにより、より強力な駆動力を得ることが可能になる。
【符号の説明】
【0096】
2 制御装置
21 駆動信号出力回路
22 検知信号処理回路
23 信号切替回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【文献】特開2013-200337号公報
図1
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