(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】鉄系焼結軸受及び鉄系焼結含油軸受
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20220216BHJP
C22C 38/60 20060101ALI20220216BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20220216BHJP
B22F 5/00 20060101ALI20220216BHJP
B22F 3/26 20060101ALI20220216BHJP
F16C 33/10 20060101ALI20220216BHJP
F16C 33/12 20060101ALI20220216BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C22C38/00 304
C22C38/60
C22C33/02 103E
B22F5/00 C
B22F3/26 G
C22C33/02 101
F16C33/10 A
F16C33/12 B
F16C17/02 Z
(21)【出願番号】P 2017189786
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 亮一
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-076152(JP,A)
【文献】特開2014-177658(JP,A)
【文献】特開2010-077474(JP,A)
【文献】特開2014-209023(JP,A)
【文献】特開2001-316780(JP,A)
【文献】特開2009-215630(JP,A)
【文献】特開昭54-020911(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100660(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00
C22C 38/60
C22C 33/02
B22F 5/00
B22F 3/26
F16C 33/10
F16C 33/12
F16C 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の外周面を支持する軸受面を有し、潤滑油を含浸可能な気孔が分散する鉄系焼結合金によって構成される鉄系焼結軸受であって、 前記鉄系焼結合金の全体組成が、質量比で、Cu:0.5~3%、Mo:0.3~3.3%、C:1~5%、S:0.2~2.2%、残部:Fe及び不可避不純物からなり、
前記鉄系焼結合金の密度が5.2~7.2Mg/m
3であり、 前記鉄系焼結合金の金属組織は、前記気孔が分散する基地と、前記基地に分散する銅相及び黒鉛相と、前記基地及び前記銅相の少なくとも一方から析出して分散する硫化物相とを有し、
前記基地は、ベイナイトの単相組織、ベイナイトとパーライトの混合組織、ベイナイトとフェライトの混合組織、及び、ベイナイトとパーライトとフェライトの混合組織のうちの1つの金属組織を呈する鉄系焼結軸受。
【請求項2】
前記硫化物相は、前記基地及び前記銅相の少なくとも一方における結晶粒界及び結晶粒内に析出して分散する請求項1に記載の鉄系焼結軸受。
【請求項3】
前記硫化物相は、硫化鉄及び硫化銅によって
構成される請求項1又は2に記載の鉄系焼結軸受。
【請求項4】
前記硫化物相は、前記鉄系焼結合金の断面において、気孔を含む断面の面積に対して0.9~6%の面積率で存在するように前記鉄系焼結合金に分散している請求項1~3のいずれか一項に記載の鉄系焼結軸受。
【請求項5】
前記軸受面の気孔率は、面積率で
10~
25%である請求項1~
4のいずれか一項に記載の鉄系焼結軸受。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか一項に記載の鉄系焼結軸受と、前記鉄系焼結軸受の気孔に含浸される潤滑油とを有する鉄系焼結含油軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸の外周面を支持する軸受面を有する鉄系焼結軸受、及び、その気孔に潤滑油が含浸された鉄系焼結含油軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
軸の外周面を支持する軸受面を有するすべり軸受には、従来から、焼結合金製の焼結含油軸受が多用されている。焼結含油軸受は、気孔を有する焼結合金製の焼結軸受の気孔中に潤滑油を含浸したものであり、含浸した潤滑油による自己潤滑性を付与できるため、耐焼付き性と耐摩耗性が良好で広く用いられている。
【0003】
焼結含油軸受の潤滑理論を、
図1を参照して説明する。焼結含油軸受の本体である焼結軸受1を構成する焼結体は、金属基地中に気孔が分散する多孔質体であり、気孔中に潤滑油2が含浸されている。焼結軸受は略円管又は略円環に形成され、その内径面で軸3を支承する。ここで、軸が回転すると、軸との摩擦熱により気孔に含浸された潤滑油が熱膨張するとともに、気孔中に含浸された潤滑油が軸の回転によって吸い出され、
図1に矢印4で示すように、油圧の低い上の部分から高い油圧を受ける摺動部に向かって潤滑油が流れる。この潤滑油の流れによって軸受の内径面から軸を持ち上げて、軸受内径面と軸との金属接触を防止する。また、軸と軸受内径面の間に入り込む潤滑油の流れによって、軸は回転方向に片寄せられ、軸受内径面での油圧分布5は、
図1のようになる。一方、油圧が生じても気孔を通じて潤滑油が逃げるため、気孔を通じて潤滑油が焼結軸受内を循環して、再び内径面で効果的な潤滑作用を発揮する。軸の回転が停止すると、熱膨張していた潤滑油は収縮するとともに、潤滑油が気孔中に毛細管力により吸収されて初期状態に戻る。これを繰り返すことで、長期にわたり、無給油で良好な潤滑特性が発揮される。
【0004】
軸受が支持する軸は、一般に安価な鉄合金からなり、焼結軸受には、銅系の焼結合金が適用された銅系焼結軸受が多用されてきた。近年、銅の価格が高騰しているため、安価な鉄を主成分とする鉄系焼結合金を用いた鉄系焼結軸受に対するニーズが高まってきている。しかし、このような鉄を主成分とする軸受の場合には、焼付き易く、また、相手部品であるシャフトを傷付け易いという欠点がある。特に、熱処理を施していない硬さが低いシャフトと、鉄を主成分とする軸受とを組み合わせて用いると、上記の現象は顕著となる。
【0005】
このような状況の下、特許文献1では、焼結合金の全体組成が、質量比で、Cu:2.0~9.0%、C:1.5~3.7%、残部:Feおよび不可避不純物からなる鉄系焼結軸受が提案されている。この軸受の内部は、面積率でフェライトが20~85%および残部がパーライトからなる鉄合金相中に、軸受の軸方向に対して交差する方向に延在する銅相と、黒鉛相および気孔が分散する金属組織を示し、軸受面に、銅相が8~40%の面積率で露出する。この軸受は、優れた耐摩耗性を有するとともに、鉄銅系焼結合金を用いた鉄銅系焼結軸受に匹敵する耐焼付き性および相手部品への攻撃緩和性を有することが記載されている。
【0006】
また、内径面に高い面圧が作用するような軸受に用いて好適である摺動部材用鉄基焼結合金として、全体組成が、質量比で、C:0.6~1.2%、Cu:3.5~9.0%、Mn:0.6~2.2%、S:0.4~1.3%、残部:Feおよび不可避不純物からなる摺動部材用鉄基焼結合金が提案(特許文献2)されている。この合金組織は、マルテンサイト基地中に、遊離したCu相及び遊離したCu-Fe合金相の少なくとも一方が分散しているとともに、MnS相が1.0~3.5質量%分散していることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-077474号公報
【文献】特開2009-155696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、焼結含油軸受では、軸の回転により気孔中から引き出された潤滑油が、軸の回転につれて軸と軸受内径面と間に引き込まれ、軸と軸受の内径面の間に油膜を形成することで軸と軸受の内径面の金属接触を防止して良好な潤滑特性を示す。このため、各種用途への適用が進んでいるが、良好な油膜を形成しにくい用途に対しては、その適用が進んでいない。更なる用途拡大のためには、焼結軸受のさらなる改良が必要である。
【0009】
このような焼結含油軸受の適用が難しいと考えられてきた分野として、例えば、複写機等の紙送りローラや、ヘッド駆動モータ等のような、正逆に回転する軸を支承するとともに、正転、逆転それぞれの駆動時間が短い用途のための軸受がある。このような用途の場合、
図2(a)に示すように、良好な潤滑油膜が形成される前に回転が停止することから、軸と軸受の内径面との金属接触が発生しやすい。
【0010】
また、スクロール式圧縮機等のような、固定子に対して偏心して回転する回転子の軸を支承する軸受としての用途においては、
図2(b)に示すように、軸受内径面に対して軸の位置が偏心して移動することとなる。このような用途においても、良好な潤滑油膜を形成することが難しく、軸と軸受の内径面との金属接触が発生しやすい。
【0011】
これらの用途においては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂で内径面を構成したすべり軸受が適用されているが、軟質なフッ素系樹脂は、摩耗が生じ易く、耐久性に問題がある。したがって、このような金属接触が発生しやすい用途であっても、良好な摺動特性を示す焼結軸受が提供できれば、焼結軸受の適用が拡大できることとなる。
【0012】
この点について、特許文献1の鉄系焼結軸受は、良好な潤滑油膜が形成できる用途に対しては優れた耐摩耗性を有し、鉄銅系焼結含油軸受に匹敵する耐焼付き性および相手部品への攻撃緩和性を有する。しかし、金属接触が発生しやすい用途に対しては、さらなる改良が必要である。
【0013】
一方、特許文献2の鉄基焼結摺動部材は、遊離したCu相またはCu-Fe合金相とMnS相によって潤滑を行い、摺動特性を発揮する。この点に関して、MnS相は、原料粉末に添加したMnS粉末がそのまま残留して形成されるので、MnS相は鉄粉末どうしの粒界(粉末粒界)のみに分散する。しかし、MnS粉末は、安定で、他の粉末と反応しないので、基地を形成する鉄粉末と反応せず、従って、基地への固着性が悪い。また、鉄粉末の粒界に存在して鉄粉末粒子どうしの結合を阻害するので、基地の強度が低下する虞がある。
【0014】
本発明は、固着性の乏しい特許文献2の手法によらず、鉄系焼結含油軸受に対して、よりいっそうの潤滑特性の向上を果たし、金属接触が発生しやすい用途においても良好な潤滑特性を示す鉄系焼結軸受およびその製造方法、並びに、気孔に潤滑油を含浸した鉄系焼結含油軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成する鉄系焼結軸受につき検討し、鉄系焼結軸受の本体を構成する鉄系焼結合金の基地中に硫化物を析出分散させることで、金属接触が発生しやすい用途においても良好な潤滑特性を示すことができ、二硫化モリブデンの利用が有用であることを見出した。
本発明の一態様によれば、鉄系焼結軸受は、軸の外周面を支持する軸受面を有し、潤滑油を含浸可能な気孔が分散する鉄系焼結合金によって構成される鉄系焼結軸受であって、記鉄系焼結合金の全体組成が、質量比で、Cu:0.5~3%、Mo:0.3~3.3%、C:1~5%、S:0.2~2.2%、残部:Fe及び不可避不純物からなり、前記鉄系焼結合金の密度が5.2~7.2Mg/m3であり、前記鉄系焼結合金の金属組織は、前記気孔が分散する基地と、前記基地に分散する銅相及び黒鉛相と、前記基地及び前記銅相の少なくとも一方から析出して分散する硫化物相とを有し、前記基地は、ベイナイトの単相組織、ベイナイトとパーライトの混合組織、ベイナイトとフェライトの混合組織、及び、ベイナイトとパーライトとフェライトの混合組織のうちの1つの金属組織を呈することを要旨とする。
又、本発明の一態様によれば、鉄系焼結含油軸受は、前記鉄系焼結軸受と、前記鉄系焼結軸受の気孔に含浸される潤滑油とを有することを要旨とする。
【0016】
上記鉄系焼結軸受において、前記硫化物相は、前記基地及び前記銅相の少なくとも一方における結晶粒界及び結晶粒内に析出して分散する。前記硫化物相は、硫化鉄及び硫化銅によって主に構成され、前記硫化物相は、前記鉄系焼結合金の断面において、気孔を含む断面の面積に対して0.9~6%の面積率で存在するように前記鉄系焼結合金に分散しているとよい。前記硫化物相は、粒状であり、最大粒径が50μm以下であると好適である。前記軸受面において、銅相、及び、硫化銅によって構成される硫化物相は、軸受面全体に対して5~20%の面積率で分散していると潤滑特性の点で好適である。前記基地の金属組織断面においてベイナイトが占める割合は、面積率で10%以上であるとよい。又、前記軸受面の気孔率は、面積率で15~30%であると含油軸受として好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態によれば、鉄系焼結軸受は、潤滑特性について優れた改善が施され、金属接触が発生しやすい用途においても良好な潤滑特性を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】焼結含油軸受の潤滑作用を説明する模式図である。
【
図2】良好な潤滑油膜が形成されない場合を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明における鉄系焼結含油軸受の本体である鉄系焼結軸受を構成する鉄系焼結合金の金属組織および数値特定の根拠を、本発明の作用とともに説明する。
【0020】
本発明において、鉄系焼結含油軸受の本体である鉄系焼結軸受は、軸の外周面を支持する軸受面を有し、Fe(鉄)を主成分とする鉄系焼結合金によって構成される。鉄系焼結合金には、潤滑油を含浸可能な気孔が分散し、気孔に潤滑油を含浸することによって、焼結含油軸受が構成される。Feは、Cu(銅)に比して安価であり、機械的強さに優れることから、鉄系焼結合金の主成分として好適な成分である。Feは、鉄粉末又は後述するFe-Mo合金粉末の形態で導入され、鉄粉末又はFe-Mo合金粉末を主成分とする原料粉末を用いることによって、鉄系焼結合金の基地が形成される。鉄系焼結合金の基地には、気孔が分散する。気孔は、粉末冶金法に起因して生じるものであり、原料粉末を圧粉成形した際の粉末粒子間の空隙が、原料粉末の結合によって形成された基地中に残留したものである。
【0021】
鉄系焼結軸受を構成する鉄系焼結合金の基地の金属組織は、ベイナイトの単相組織、ベイナイトとパーライトの混合組織、ベイナイトとフェライトの混合組織、ベイナイトとパーライトとフェライトの混合組織のうちの何れか1つであるとよい。つまり、ベイナイトを含む金属組織を呈する基地であるとよい。ベイナイトは、マルテンサイトに次いで硬く、且つ、粘り強さを有するので、機械的強さが高い組織要素である。本発明の鉄系焼結合金においては、このようなベイナイトを基地の組織に用い、鉄系焼結合金の機械的強さの向上を図るとともに、耐摩耗性の向上を図る。このため、本発明の鉄系焼結軸受においては、基地の金属組織においてベイナイトが占める割合は、金属組織断面における面積率で10%以上であることが好ましい。基地の残部は、パーライト及びフェライトのうちの一方又は両方であってよい。
【0022】
フェライトは、軟質であり、相手材となる軸とのなじみ性が良好であるが、機械的強さが低い。一方、パーライトは、基地硬さが高く、機械的強さが高いが、相手材となる軸を摩耗させる虞がある。このため、鉄系焼結合金の基地の金属組織は、鉄系焼結軸受の要求特性に応じて、ベイナイト単相の金属組織、ベイナイトとパーライトの混合組織、ベイナイトとフェライトの混合組織、ベイナイトとパーライトとフェライトの混合組織のいずれかになるように、黒鉛及びMoの配合量及び配合形態によって調整するとよい(詳細は後述する)。
【0023】
上述したように、焼結合金には製法に起因する気孔が形成されるため、焼結合金の密度(焼結体密度)は、理論密度よりも低くなる。つまり、焼結合金の密度が高いと、気孔量は少なくなり、焼結合金の密度が低いと、気孔量は多くなる。焼結軸受においては、このような気孔を利用し、鉄系焼結合金に形成される気孔に潤滑油を含浸することで焼結軸受に潤滑性を付与し、その潤滑特性は、無給油で長期にわたって発揮される。本発明において、鉄系焼結軸受を構成する鉄系焼結合金に形成される気孔量が乏しい、すなわち鉄系焼結合金の密度が高いと、含浸される潤滑油の量が乏しくなり、良好な潤滑特性が発揮できなくなる。逆に、鉄系焼結合金に形成される気孔量が過多、すなわち鉄系焼結合金の密度が低いと、鉄系焼結合金の基地の量が少なくなる結果、鉄系焼結合金の機械的強さが低下することとなる。この観点から、鉄系焼結合金の密度は5.2~7.2Mg/m3であるとよい。この範囲の鉄系焼結合金の密度は、鉄系焼結合金の気孔率でおよそ10~25%に相当する。なお、焼結体の密度比は、日本工業規格(JIS)Z2505に規定の金属焼結材料の焼結密度試験方法により測定される。
【0024】
Cuは、軟質な銅相を形成して、相手材となる軸とのなじみ性を良好なものとするとともに、潤滑性に優れる硫化銅を形成して潤滑性を向上させることが可能な成分である。Cu量が乏しいと、基地中に分散する銅相が少なくなり、上記の効果が十分に得られない。一方、高価なCuが過大であると、その分、コストが増加する。このため、Cu量は全体組成の0.5~3質量%とする。
【0025】
Cuは、銅粉末の形態で原料粉末に配合される。なお、銅粉末は、扁平状あるいは箔状の銅粉末を用いることが好ましい。Cu原料として扁平状の銅粉を用いると、ダイキャビティ内を原料粉末が落下する際に、コアロッドに扁平状の銅粉がまとわり付き、コアロッドに銅粉が張り付いた状態となるため、これを軸受に成形すると、摺動特性が求められる軸受内径面に露出する銅相の量が軸受内部と比較して多くなる。従って、全体組成中のCu量を削減して軸受内部のCu量が低下しても、軸受内径面に露出する銅相の量を必要量に維持することができる。この点に関し、軸受内径面に分散する銅相および硫化銅によって構成される硫化物相(後述する)の合計の適量を、面積率で軸受面全体の5~20%とすることができ、軟質な銅相および銅相から析出する硫化銅によって、摺動特性をより向上させることができる。扁平状の銅粉は、粒径が20~150μm程度のものを好適に用いることができる。粒径が小さい銅粉は、鉄粒子間の間隙に入り易く、過大な銅粉は、コアロッド周囲に遍在し難くなる。粒子径と厚さとの比は、2.5~20程度であると好適である。
【0026】
Mo(モリブデン)は、基地を形成するFe中に固溶して基地の強化に寄与する。また、Moは、鉄基地の焼入れ性を向上させる機能を有しており、焼結後の冷却過程で基地組織中にベイナイトを形成して鉄系焼結軸受の機械的強さの向上および耐摩耗性の向上に寄与する。Mo量が乏しいと上記の効果が乏しくなる。一方、高価なMoが過大となると、その分、コストが増加する。このため、Mo量は、全体組成の0.3~3.3質量%、好ましくは0.6~3.0質量%とする。
【0027】
Moは、主原料である鉄粉末に合金化させてFe-Mo合金粉末の形態で配合してよく、或いは、二硫化モリブデンとして配合してもよい。鉄粉末の代わりにFe-Mo合金粉末を用いると、Moが全体に均一に分散するので、Moの効果が基地中に均一に作用し、基地組織をベイナイト単相組織にすることができる。一方、二硫化モリブデン粉末を用いてMoを配合すると、焼結過程で二硫化モリブデンがMoとSに分解して生成したMoが基地中に拡散し、Moが拡散した部分の基地組織の焼入れ性を向上させてベイナイト相を形成する。従って、Moの拡散が乏しい部分はパーライトになる。故に、Moの配合形態を利用して、ベイナイトの生成割合を調整することが可能である。
【0028】
S(硫黄)は、基地を形成するFeと結合して硫化鉄を形成し、又、銅相を形成するCuと結合すると、硫化銅を形成する。なお、主原料である鉄粉末は、製法に起因する不可避不純物として極微量(1質量%以下)のMnを含有する。このため、ごく一部に硫化マンガンも分散し得る。これらの硫化物は、潤滑性に富むので、このような硫化物を基地中に析出分散させることで、金属接触が発生しやすい摺動条件の下でも優れた潤滑特性を発揮する基地を形成できる。本発明において、硫化物相は、具体的には上記の硫化物の全て、つまり、硫化鉄、硫化銅及び不可避不純物由来の硫化物(硫化マンガン)を含み得るものと見なされ、状況に応じて、上記硫化物の一種以上が硫化物相として焼結合金の金属組織に存在する。
【0029】
Sは、硫化鉄粉末及び二硫化モリブデン粉末のうち少なくとも一つの形態で原料粉末に配合することで導入される。硫化鉄粉末の形態で付与されるSは、焼結工程の昇温過程において988℃を超えると、Fe-Sの共晶液相を発生し、液相焼結が進行して粉末粒子間のネックの成長を促進する。一方、二硫化モリブデンの形態でSを導入すると、昇温過程でMoSの分解によって生成するSが鉄粉末中に拡散し、988℃を超えるとFe-Sの共晶液相を発生して、液相焼結が進行し粉末粒子間のネックの成長を促進する。このようにして発生した共晶液相からSが鉄基地中に均一に拡散した後、基地の結晶粒界および結晶粒内から再度硫化鉄粒子として析出する。従って、硫化鉄粒子は、基地の結晶粒界および結晶粒内に均一に分散し、析出する硫化鉄粒子の固着性は高い。また、Sの一部が銅相に拡散して銅相中のCuと結合することが可能であり、それにより、銅相の結晶粒界および結晶粒内に硫化銅粒子として析出し得る。従って、硫化銅粒子も、このように銅相の結晶粒界および結晶粒内に析出して分散するので、固着性が高い。尚、硫化物の形成し易さについて、Fe及びCuは同程度に硫化物を形成し易く、Moは、Fe及びCuより硫化物を形成し難いことから、基地中に分散する硫化物は、主として鉄硫化物および銅硫化物である。硫化物相は、基地及び銅相の少なくとも一方において析出し、結晶粒界及び結晶粒内に存在する。
【0030】
S量が乏しいと、基地中に分散する硫化物の量が減少して、潤滑特性が不十分になる。S量が過剰であると、析出する硫化物の量が過多となって基地の強度が低下し、その結果、鉄系焼結軸受を構成する鉄系焼結合金の機械的強さが低下する。このようなことから、S量は全体組成の0.2~2.2質量%、好ましくは0.4~2.0質量%であるとよい。このような割合である時、鉄系焼結合金の金属組織における硫化物相は、金属組織断面を観察した時の気孔を含む断面の面積に対する面積率で、0.9~6%となる。
【0031】
硫化物は、金属組織中に粒状で分散することが好ましい。また、析出する硫化物粒子の大きさが粗大であると、硫化物粒子の存在箇所が偏在し、硫化物粒子の存在が乏しい箇所において、金属接触時に摩耗、凝着等が生じ易くなる。このため、硫化物相は最大粒径が50μm以下の粒子として分散する状態が好ましい。
【0032】
C(炭素)は、黒鉛粉末の形態で配合される。黒鉛相は、黒鉛粉末粒子が未拡散の状態で鉄系焼結合金中に残留することで形成される。このため、黒鉛相は、鉄系焼結合金の気孔中に分散する。黒鉛相は、鉄系焼結合金に潤滑性を付与する。また、黒鉛粉末の一部は、基地を構成するFe粉末粒子中に拡散して固溶し、パーライトを形成して基地の機械的強さの向上に寄与する。これによって、パーライトの単相組織、または、フェライトとパーライトとの混合組織を示す基地が生成する。
【0033】
C量が乏しいと、鉄系焼結合金中に分散する黒鉛相の量が減少し、潤滑特性が低下する。一方、C量が過多であると、分散する黒鉛相の量が過剰になり、基地の強度が低下する。その結果、鉄系焼結軸受を構成する鉄系焼結合金の機械的強さが低下する。このため、C量は全体組成の1~5質量%であると好適である。平均粒径が40~80μm程度の黒鉛粉末を使用すると、基地への拡散や摺動特性等の点において好適である。
【0034】
以上より、本発明の好適な実施形態において、鉄系焼結軸受を構成する鉄系焼結合金は、全体組成が、質量比で、Cu:0.5~3%、Mo:0.3~3.3%、C:1~5%、S:0.2~2.2%、残部:Feおよび不可避不純物からなり、前記鉄系焼結合金の気孔率が10~25%である。鉄系焼結合金は、基地中に気孔、銅相及び黒鉛相が分散するとともに、硫化物相が基地及び/又は銅相から析出して分散する金属組織構造を有し、基地は、ベイナイト単相組織、ベイナイトとパーライトの混合組織、ベイナイトとフェライトの混合組織、及び、ベイナイトとパーライトとフェライトの混合組織のうちの1つの金属組織を呈する。
【0035】
なお、硫化物相の面積率は、鉄系焼結軸受(鉄系焼結合金)の断面または表面を金属顕微鏡、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)等によって観察した画像に基づいて、三谷商事株式会社製WinROOF等の画像分析ソフトウエアを用いて測定することができる。
【0036】
本発明における鉄系焼結軸受の製造方法において、鉄系焼結軸受を構成する鉄系焼結合金の原料粉末としては、鉄粉末またはFe-Mo合金粉末に、銅粉末、黒鉛粉末、および、硫化鉄粉末及び二硫化モリブデン粉末の少なくとも一種の硫化物粉末を添加し混合して、質量比で、Cu:0.5~3%、Mo:0.3~3.3%、C:1~5%、S:0.2~2.2%、残部:Feおよび不可避不純物からなる組成に調製された混合粉末を用いることができる。
【0037】
鉄系焼結軸受の製造方法は、上記の原料粉末を、軸受形状(ネットシェイプ)、すなわち、軸と摺動する内径面を備えた略円管又は略円環の形状に成形する成形工程と、得られた成形体を焼結する焼結工程を有する。成形工程において、原料粉末の成形圧力を250~650MPaとすることで、焼結後の鉄系焼結合金の密度が5.2~7.2Mg/m3となるように鉄系焼結軸受を製造することができる。
【0038】
焼結工程において、焼結温度が低すぎると、硫化鉄が溶融せず、鉄系焼結合金の基地中に硫化物を分散析出させることができなくなるので、焼結温度は990℃以上がよい。また、焼結温度が高すぎると、黒鉛が基地へ拡散して残留する黒鉛相が減少するとともに、銅粉末が溶融して残留する銅相が乏しくなるので、焼結温度は1080℃以下が適正である。尚、Sは、水素及び酸素と反応し易く、焼結雰囲気が酸化性のガスであると、原料粉末に導入したS成分が離脱して鉄系焼結合金中のS量が低下するので、焼結雰囲気は、非酸化性の雰囲気とする必要がある。また、露点が低い雰囲気を用いることが好ましい。本発明においては、モリブデンによる焼き入れ効果によってベイナイトが生じるので、特に焼き入れ処理を行う必要はない。
【0039】
本発明において、鉄系焼結含油軸受の製造方法は、上述のような鉄系焼結軸受の製造方法に従って鉄系焼結軸受を調製する工程と、潤滑油を鉄系焼結軸受に含浸する含浸工程とを有し、必要に応じて、含浸前の鉄系焼結軸受にサイジング、コイニング等の最終圧縮加工を施してもよい。潤滑油は、用途及び動作環境を勘案して各種潤滑油から適宜選択して使用することができ、例えば、鉱物油、合成炭化水素油、エステル油などから1種又は2種以上を組み合わせて使用して良い。
【実施例】
【0040】
[第1実施例]
還元鉄粉末、扁平状の銅粉末、二硫化モリブデン粉末、および、黒鉛粉末を用意し、表1に示す割合で添加し混合した原料粉末を用いて、成形圧力300MPaで、外径16mm、内径10mm、高さ10mmの円管形状に成形し、非酸化性ガス雰囲気中、1000℃で焼結を行って試料番号1~21の軸受試料を作製した。尚、以下の測定を行うために、各試料番号について複数の焼結軸受試料を作製した。
【0041】
これらの軸受試料について、日本工業規格(JIS)Z2505に規定の金属焼結材料の焼結密度試験方法により測定した鉄系焼結合金の密度は、5.6~6.0Mg/m3の範囲であった。
【0042】
また、各試料番号の軸受試料について、日本工業規格(JIS)Z2507に規定の圧環強さ試験方法により各軸受試料の圧環強さを測定した。この結果を表1に併せて示す。
【0043】
さらに、各試料番号の軸受試料について、焼結含油軸受の内径面における摩擦係数を測定した。摩擦係数の測定は、水平にしたモータの回転軸に炭素鋼S45C製のシャフトを取り付けた。このシャフトを、ハウジングに取り付けた軸受に隙間を持たせて挿入し、ハウジングに鉛直方向の荷重を与えた状態でシャフトを回転させて行った。この試験において、周囲の温度は25℃に保持し、シャフトの回転数を500rpm、負荷面圧を0.3MPaに設定した。これらの結果を表1に併せて示す。
【0044】
又、上記と同様に潤滑油を含浸した各試料番号の軸受試料を用いて摩耗試験を行った。摩耗試験においては、上述の摩擦係数の測定と同じ条件で、ハウジングに取り付けた軸受試料にシャフトを挿入してハウジングに負荷を与え、120分間シャフトを回転させた後の軸受面の摺動位置における摩耗量を測定した。摩耗量の測定においては、各軸受試料について、シャフトの摺動位置を含む鉛直方向の内径を試験前に予め測定し、試験後に再度測定して、試験前後の変動量として摩耗量を算出した。結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
表1の試料番号1~7の軸受試料を比較することで、Cu量の影響を調べることができる。表1より、Cuを含まない試料番号1の軸受試料は、軟質な銅相が形成されないことから、摩擦係数の値が大きい。Cuの添加量が0.5質量%の試料番号2の軸受試料では、軟質な銅相が形成され、摩擦係数が0.25まで低減される。また、Cu量が増加するに従って摩擦係数が低減されることがわかる。但し、Cuの添加量が増加するにつれて、圧環強さが低下し、3質量%を超える試料番号7では、圧環強さが150MPa未満になり、摩耗量も20μmを超える。これらのことから、Cu量が0.5~3質量%の範囲において、良好な摺動特性が得られることが確認された。この結果は、良好な潤滑油膜を形成しにくい摺動条件であっても、Cu量が0.5~3質量%の軸受は対応可能であることを示す。
【0047】
一方、試料番号3,16~21の軸受試料を比較することで、C量の影響を調べることができる。C量が0.5質量%である試料番号16の軸受試料は、黒鉛相が乏しいことから、摩擦係数の値が大きい。Cの添加量が1質量%の試料番号17の軸受試料は、充分な量の黒鉛相が形成され、摩擦係数が0.24まで低減される。また、C量が増加するに従って摩擦係数が低減することがわかる。しかし、C量が増加するに従って圧環強さは低下し、C量が5質量%を超える試料番号21の軸受試料では圧環強さが140MPaまで低下し、摩耗量の値も20μmに近い値に増加する。これらのことから、C量が0.5~5質量%の範囲において、摺動特性が良好で、且つ、機械的特性が高い鉄系焼結含油軸受を得られることが確認された。この結果は、良好な潤滑油膜を形成しにくい摺動条件であっても、C量が0.5~5質量%の軸受は対応可能であることを示す。
【0048】
又、試料番号3,08~15の軸受試料を比較することで、S量の影響を調べることができる。Sを含まない試料番号8の軸受試料は、硫化物相が形成されないことから、摩擦係数及び摩耗量が大きい値となっている。これに対し、S量が0.2質量%の試料番号9の軸受試料は、硫化物相が形成され、摩擦係数が0.25に低下し、摩耗量も16μmに低減している。試料番号3,10~13の値を考慮すると、S量が増加するに従って摩擦係数及び摩耗量が低減されることが明らかであり、Sの割合が0.2質量%以上において、摩擦係数及び摩耗量は低い値を示すので好ましい。但し、S量が増加するに従って圧環強さは低下し、S量が2.2質量%を超える試料番号15の軸受試料では圧環強さが120MPaまで低下している。これらのことから、S量が0.2~2.2質量%の範囲において、摺動特性が良好で、且つ、機械的特性が高い鉄系焼結含油軸受を得られることが解る。好ましくは、S量が0.4~2.0質量%になるように原料粉末を調製すると良い。上記の結果に対応して、Mo量についても0.3~3.3質量%の範囲が好適であり、0.6~3.0質量%の範囲が好ましいことが明らかである。この結果は、良好な潤滑油膜を形成しにくい摺動条件であっても、S量が0.2~2.2質量%、Mo量が0.3~3.3質量%である軸受は対応可能であることを示す。
【0049】
配合割合と摺動特性との相関関係において、上述したように、銅粉末及び黒鉛粉末については、配合割合の増加に従って、圧環強さが低下して摩耗量が増加する。これに対し、二硫化モリブデン粉末については、配合割合の増加に従って圧環強さは同様に低下するが、摩耗量は増加せず、逆に減少する。これは、Moの導入に起因する効果であり、Moは、Fe中に固溶して基地の強化に寄与し、鉄基地の焼き入れ性を向上させてベイナイト相を形成するので、これによって基地に粘り強さが付与されて耐摩耗性が向上すると考えられる。この点は、二硫化モリブデン粉末の代わりに硫化鉄粉末を用いてS量が同じであるように原料粉末を配合した場合に得られる鉄系焼結含油軸受において、摩耗量が相対的に多くなることによって確認されている。例えば、Moを含有しない点以外は試料番号3と同じ全体組成を有する鉄系焼結軸受(二硫化モリブデン粉末に代えて硫化鉄粉末3.3質量%を使用)において、金属組織にベイナイトは見られず、上述の摩耗試験における摩耗量の測定値は19μm程度であった。
【0050】
試料番号3,8,9及び15の鉄系焼結軸受について、電子線マイクロアナライザを用いて軸受の断面を観察し、観察画像に基づいてベイナイト組織の面積を測定し、基地中のベイナイト組織の面積率を算出した。尚、測定においては、画像分析ソフトウエア(WinROOF、三谷商事株式会社製)を使用した。その結果、ベイナイト相の割合は、モリブデンを含まない試料番号8においては0%であり、試料番号9、試料番号3、試料番号15の順にベイナイト相の割合は、3%から40%へ増加していた。又、基地のベイナイト組織以外の部分は、何れもフェライト及びパーライトから構成されていた。
【0051】
[第2実施例]
第1実施例の試料番号3の原料粉末を用い、成形圧力を変えて成形を行い、第1実施例と同様の焼結条件で焼結を行って、試料番号22~29の軸受試料を作製した。これらの軸受試料について、第1実施例と同様にして、各軸受試料の鉄系焼結合金の密度、圧環強さ、摩擦係数及び摩耗量を測定した。これらの結果、及び、第1実施例の試料番号3における結果を併せて表2に示す。
【0052】
【0053】
表2における試料番号3,22~29を比較することで、鉄系焼結合金の密度の影響を調べることができる。摩擦係数は、密度5.0~7.2Mg/m3の範囲において0.25以下に低減できている。気孔率が増加するに従って、軸受とシャフトの接触面積が低下して摩擦係数が低減されることが分かる。一方、圧環強さは、密度が減少するに従って低下し、密度が5.0Mg/m3の試料番号22の試料では150MPaまで低下している。摩耗量については、密度が低下するに従って減少し、摩耗量を20μm程度以下に抑制するには、5.2Mg/m3以上の密度に成形することが必要である。このことから、密度が5.2~7.2Mg/m3の範囲において、摺動特性が良好で、且つ、機械的特性が高い鉄系焼結含油軸受を得られることが確認された。この結果は、良好な潤滑油膜を形成しにくい摺動条件であっても対応可能であることを示す。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の鉄系焼結軸受は、基地の粘り強さを有し、潤滑油を含浸して鉄系焼結含油軸受として使用する際に、良好な潤滑油膜を形成し難く金属接触が発生し易い摺動条件の下でも、良好な潤滑特性を発揮できる。複写機等の紙送りローラや、ヘッド駆動モータ等のような、正逆に回転する軸を支承し、正転、逆転それぞれの駆動時間が短い用途のための軸受として好適であり、又、スクロール式圧縮機等のような、固定子に対して偏心して回転する回転子の軸を支承する軸受等に好適である。
【符号の説明】
【0055】
1 焼結軸受
2 潤滑油
3 軸
5 油圧分布