(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】プリプレグ及び成形品
(51)【国際特許分類】
C08J 5/24 20060101AFI20220216BHJP
C08F 290/00 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C08J5/24 CEY
C08F290/00
(21)【出願番号】P 2021542165
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020044968
(87)【国際公開番号】W WO2021131564
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2019234211
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】安村 隆志
(72)【発明者】
【氏名】新地 智昭
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/110446(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/065209(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/119234(WO,A1)
【文献】特開2017-214463(JP,A)
【文献】特開2017-114936(JP,A)
【文献】特表2019-510848(JP,A)
【文献】特開昭62-292839(JP,A)
【文献】特開2009-237284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B11/16、15/08-15/14、C08J5/04-5/10、5/24、
C08F283/01、290/00-290/14、299/00-299/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)、
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)以外のエチレン性不飽和単量体(B)、重合開始剤(C)、及び強化繊維(D)を含有するプリプレグであって、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和基及び芳香族骨格を有するポリオール(a2)との反応物、及び/又は、ポリイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和基を有さず芳香族骨格を有するポリオール(a3)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a4)との反応物であり、前記エチレン性不飽和単量体(B)が、分子量が320
~2,000であり、
官能基数が2~4であり、(メタ)アクリレート基当量が150~1,000である(メタ)アクリレートであり、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率(%)が2未満であることを特徴とするプリプレグ。
【請求項2】
前記エチレン性不飽和単量体(B)が、2官能(メタ)アクリレートである請求項1記載のプリプレグ。
【請求項3】
前記エチレン性不飽和単量体(B)が、ビスフェノール骨格、及び/又は脂環式骨格を有するものである請求項1
又は2記載のプリプレグ。
【請求項4】
前記エチレン性不飽和単量体(B)の含有量が、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と前記エチレン性不飽和単量体(B)との合計中、5~50質量%である請求項1~
3いずれか1項記載のプリプレグ。
【請求項5】
常圧下、150℃、3分間の加熱時の重量減少率(%)が2以上のエチレン性不飽和単量体のプリプレグ中の含有量が、1質量%以下である請求項1~
4いずれか1項記載のプリプレグ。
【請求項6】
前記ポリオール(a2)が、多官能エポキシ(メタ)アクリレートである請求項1~
5いずれか1項記載のプリプレグ。
【請求項7】
前記ポリオール(a3)が、ビスフェノールのオキシアルキレン付加物である請求項1~
6いずれか1項記載のプリプレグ。
【請求項8】
請求項1~
7いずれか1項記載のプリプレグの硬化物であることを特徴とする成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグ及びその成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維にて強化した繊維強化樹脂複合材料は、軽量でありながら耐熱性や機械強度に優れる特徴が注目され、自動車や航空機の筐体或いは各種部材をはじめ、様々な構造体用途での利用が拡大している。この繊維強化樹脂複合材料の成形方法としては、例えば、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグと呼ばれる中間材料を用いて、オートクレーブ成形、プレス成形により、硬化、成形させる方法が用いられる。
【0003】
プリプレグ用の樹脂としては、通常、常温での安定性と加熱等による硬化性を兼ね備えた樹脂であることが必要であるため、一般にはエポキシ樹脂組成物を始めとする熱硬化性樹脂が多用されてきた。しかしながら、エポキシ樹脂を用いたプリプレグは、常温で硬化が進行してしまうため、冷蔵保管を必要とする問題がある。
【0004】
この問題を解決するため、高い生産性と常温での安定性を実現できるプリプレグの開発が進められている(例えば、特許文献1参照。)。このプリプレグは、特定のウレタン変性エポキシ(メタ)アクリレートと、エチレン性不飽和単量体と、重合開始剤と、強化繊維とからなるものであるが、150℃の金型上に放置した際、白煙が発生、作業環境が悪化するという問題があった。さらに、成形温度付近での加熱重量減少率の高いエチレン性不飽和単量体を使用しているため、成形品の内部に膨れが生じたり、成形品表面に硬化不良が生じたり、金型のシェアエッジ等に未硬化樹脂成分が付着して脱型時間、清掃時間が長くなるなど、成形品の品質や成形時の生産性に悪影響を与えることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、成形性に優れ、曲げ強度、層間せん断強度等の各種物性に優れる成形品が得られ、かつ、150℃の金型上に放置した場合にも白煙が発生しないプリプレグ及びその成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、特定のウレタン(メタ)アクリレート、特定のエチレン性不飽和単量体、重合開始剤、及び強化繊維を含有するプリプレグが、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、エチレン性不飽和単量体(B)、重合開始剤(C)、及び強化繊維(D)を含有するプリプレグであって、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和基及び芳香族骨格を有するポリオール(a2)との反応物、及び/又は、ポリイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和基を有さず芳香族骨格を有するポリオール(a3)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a4)との反応物であり、前記エチレン性不飽和単量体(B)が、分子量が320以上であり、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率(%)が2未満であることを特徴とするプリプレグに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプリプレグから得られる成形品は、曲げ強度、及び層間せん断強度等に優れることから、自動車部材、鉄道車両部材、航空宇宙機部材、船舶部材、住宅設備部材、スポーツ部材、軽車両部材、建築土木部材、OA機器等の筐体等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のプリプレグ用樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、エチレン性不飽和単量体(B)、重合開始剤(C)、及び強化繊維(D)を含有するプリプレグであって、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和基及び芳香族骨格を有するポリオール(a2)との反応物、及び/又は、ポリイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和基を有さず芳香族骨格を有するポリオール(a3)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a4)との反応物であり、前記エチレン性不飽和単量体(B)が、分子量が320以上であり、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率(%)が2未満であるものである。
【0011】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、ポリイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和基及び芳香族骨格を有するポリオール(a2)との反応物、及び/又は、ポリイソシアネート(a1)とエチレン性不飽和基を有さず芳香族骨格を有するポリオール(a3)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a4)との反応物である。
【0012】
前記ポリイソシアネート(a1)は、成形品の耐熱性がより向上することから、環状骨格を有するポリイソシアネートを含むことが好ましい。これらのポリイソシアネート(a1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0013】
前記ポリイソシアネート(a1)は、例えば、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートのヌレート変性体、ビュレット変性体、ウレタンイミン変性体、ジエチレングリコールやジプロピレングリコール等の数平均分子量1,000以下のポリオールで変性したポリオール変性体、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート変性体、ビュレット変性体、アダクト体、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。 これらの中でも、成形品の耐熱性がより向上することから、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが好ましい。なお、これらのポリイソシアネート(a1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0014】
前記ポリオール(a2)は、エチレン性不飽和基と芳香族骨格を有するものである。耐熱性がより向上することから、多官能エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸との反応
物である。好ましくは、エポキシ当量が180~500の範囲であるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応から得られるものである。官能基数としては、1.5~3.0が耐熱性、強度物性のバランスから好ましい。
【0015】
前記ポリオール(a3)は、エチレン性不飽和基を有さず芳香族骨格を有するものである。例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物、及びビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物;1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等のジヒドロキシベンゼン化合物のアルキレンオキサイド付加物;2’-[(1,1’-ビフェニル-4,4’-ジイル)ビスオキシ]ビスエタノール等のビフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物;ジヒドロキシナフタレン化合物のアルキレンオキサイド付加物、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。これらの中でも、相溶性、耐熱性、耐水性、強度物性のバランスの観点から、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。より好ましくは、ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付加物であり、
平均付加モル数が、2~10モルである。
【0016】
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a4)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、強度物性のバランスから、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、これらのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a4)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0017】
また、必要に応じて、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の原料として、前記ポリオール(a2)~(a4)以外のその他のポリオールを併用することができる。その他のポリオールとしては、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアルキレンポリオール等を使用することができる。
【0018】
前記ポリオール(a3)と前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a4)とのモル比(a3/a4)は、耐熱性、硬化性がより向上することから、60/40~20/80が好ましく、50/50~30/70がより好ましい。
【0019】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の原料となる、イソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO)と水酸基を有する化合物の水酸基(OH)とのモル比(NCO/OH)は、耐熱性、強度物性のバランスから、0.7~1.3が好ましく、0.8~1.1がより好ましく、0.8~1.0がさらに好ましい。
【0020】
前記エチレン性不飽和単量体(B)が、分子量が320以上であり、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率(%)が2未満であることにより、150℃の金型上に放置した場合に、白煙の発生を防止することができる。
【0021】
本発明において、エチレン性不飽和単量体(B)の、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率(%)の測定方法は、次の通りである。内径約62mmのブリキ製のシャーレに、常温のエチレン性不飽和単量体を0.5~0.6g計り取り、1分間なじませたのち、常圧下、表面温度150℃の金型に前記シャーレを3分間静置する。3分間経過した後、シャーレを回収、室温にて30~60秒後、精密天秤にて重量を小数点以下4桁まで計測し、加熱減少量(%)を小数点第二位まで算出する。N数は2とする。
【0022】
前記エチレン性不飽和単量体(B)としては、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,12ドデカンジオールジメタクリレート、水素添加ビスフェノールAジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、9,9-ビス[4-(2-メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、イソソルバイドのエチレンオキサイド付加物のジメタクリレート、水素添加ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジメタクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリメタクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のヘキサメタクリレート等が挙げられる。硬化性、耐熱性、強度物性のバランスから、分子量は、320~2,000が好ましく、(メタ)アクリル基当量は、150~1,000が好ましく、150~500がより好ましい。同様に、硬化性、耐熱性、強度物性のバランスから、官能基数は、2~4が好ましく、2がより好ましい。
【0023】
本発明のプリプレグには、常圧下、150℃、3分間の加熱時の重量減少率(%)が2以上のエチレン性不飽和単量体を含有することができるが、高温の金型上に放置した場合の白煙の発生を防止する観点から、プリプレグ中の含有率が1質量%未満であることが好ましい。
【0024】
また、作業環境の汚染防止と、プリプレグ取り扱い性、成形品の品質、生産性とのバランスがより向上することから、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と前記エチレン性不飽和単量体(B)との合計中の前記エチレン性不飽和単量体(B)の含有量(以下、「含有量(B)」と略記する。)は、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
【0025】
前記重合開始剤(C)としては、特に限定されないが、有機過酸化物が好ましく、例えば、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、ケトンパーオキサイド化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカーボネート化合物、パーオキシケタール等が挙げられ、成形条件に応じて適宜選択できる。なお、これらの重合開始剤(C)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0026】
また、これらの中でも、成形時間を短縮する目的で10時間半減期を得るための温度が60℃以上110℃以下の重合開始剤を使用するのが好ましい。70℃以上105℃以下であればプリプレグの常温でのライフが長く、また加熱により短時間(5分以内)で硬化ができるため好ましく、本発明のプリプレグに使用することで硬化性と成形性がより優れる。このような重合開始剤としては、例えば、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシジエチルアセテート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、t-アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-アミルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジーtert-ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、t-アミルパーオキシトリメチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシイソノナエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート等が挙げられる。成形条件に応じて、最適な有機過酸化物を選定、使用する。
【0027】
前記重合開始剤(C)の添加量としては、硬化特性と保存安定性が共に優れることから、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と前記エチレン性不飽和単量体(B)との合計100質量部に対し、0.5~3質量部の範囲が好ましい。
【0028】
前記強化繊維(D)としては、炭素繊維、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、テトロン繊維等の有機繊維などが挙げられるが、より高強度、高弾性の成形品が得られることから、炭素繊維又はガラス繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。これらの強化繊維(D)は単独で用いることも、2種以上併用することもできる。
【0029】
前記炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系などの各種のものが使用できるが、これらの中でも、容易に高強度の炭素繊維が得られることから、ポリアクリロニトリル系のものが好ましい。
【0030】
前記強化繊維(D)の形状としては特に制限はなく、強化繊維フィラメントを収束させた強化繊維トウや、強化繊維トウを一方向に引き揃えた一方向材、製織した織物又は短く裁断した強化繊維、または、短く裁断した強化繊維からなる不織布や紙等が挙げられるが、強化繊維として一方向材を用い、積層させ成形することで高い機械物性が得られるため好ましい。
【0031】
短く裁断した強化繊維を用いる場合は、成形時の金型内流動性、成形品の外観がより向上することから、2.5~50mmにカットした炭素繊維を用いることが好ましい。
【0032】
織物の場合は、平織、綾織、朱子織、若しくはノン・クリンプト・ファブリックに代表される、繊維束を一方向に引き揃えたシートや角度を変えて積層したようなシートをほぐれないようにステッチしたステッチングシート、等が挙げられる。
【0033】
強化繊維の目付け(繊維1m2当たりの重さ)としては特に制限されるものではないが、10g/m2~650g/m2が好ましい。10g/m2以上の目付けになると繊維幅のムラが少なく機械物性が良好になるので好ましい。650g/m2以下の目付けであれば樹脂の含浸が良好になるので好ましい。この目付けは、更には50~500g/m2がより好ましく、50~300g/m2が特に好ましい。
【0034】
本発明のプリプレグ中の、前記強化繊維(D)の含有率は、得られる成形品の機械強度がより向上することから、20~85質量%の範囲が好ましく、40~80質量%の範囲がより好ましい。
【0035】
本発明のプリプレグの成分としては、上記した以外のものを使用してもよく、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、重合禁止剤、硬化促進剤、充填剤、低収縮剤、離型剤、増粘剤、減粘剤、顔料、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、紫外線安定剤、補強材、光硬化剤等を含有することができる。
【0036】
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。また、これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0037】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂およびこれらを共重合等により変性させたものが挙げられる。これらの中でも、脆さの改善効果が高いことから、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、熱可塑樹脂は、粒子状で添加して用いることも、溶融して混合して用いることもできる。粒子状の熱可塑性樹脂を用いる場合は、繊維への分散性の観点から、粒子系は30μm以下が好ましく、5~20μmがより好ましい。
【0038】
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p-t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、p-ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅、塩化銅等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0039】
前記硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、オクテン酸バナジル、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等の金属石鹸類、バナジルアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート化合物が挙げられる。またアミン類として、N,N-ジメチルアミノ-p-ベンズアルデヒド、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N-エチル-m-トルイジン、トリエタノールアミン、m-トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン、ジエタノールアニリン等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0040】
前記充填剤としては、無機化合物、有機化合物があり、成形品の強度、弾性率、衝撃強度、疲労耐久性等の物性を調整するために使用できる。
【0041】
前記無機化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、石こう、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン、鉄粉等が挙げられる。
【0042】
前記有機化合物としては、セルロース、キチン等の天然多糖類粉末や、合成樹脂粉末等があり、合成樹脂粉末としては、硬質樹脂、軟質ゴム、エラストマーまたは重合体(共重合体)などから構成される有機物の粉体やコアシェル型などの多層構造を有する粒子を使用できる。具体的には、アクリル粒子、ポリアミド粒子、ブタジエンゴムおよび/またはアクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム等からなる粒子、ポリイミド樹脂粉末、フッ素樹脂粉末、フェノール樹脂粉末などが挙げられる。これらの充填剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0043】
前記離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。好ましくは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス等が挙げられる。これらの離型剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0044】
前記増粘剤としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等の金属酸化物や金属水酸化物など、アクリル樹脂系微粒子などが挙げられ、本発明のプリプレグの取り扱い性によって適宜選択できる。これらの増粘剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0045】
本発明のプリプレグは、例えば、プラネタリーミキサー、ニーダーなどの公知の混合機を用いて、前記ポリイソシアネート(a1)、前記ポリオール(a2)、及び/又は(a3)、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a4)、エチレン性不飽和単量体(B)、及び重合開始剤(C)を混合した樹脂溶液に、前記強化繊維(D)を含浸させ、さらに、上面から離型PETフィルムではさみこみ、圧延機によって圧延し、シートを得る工程1、これを常温~50℃で静置し、前記ポリイソシアネート(a1)の有するイソシアネート基と、前記ポリオール(a2)、及び/又は(a3)と(a4)の有する水酸基とを反応させる工程2により得られる。また、工程1において、繊維への含浸性を害しない範囲で、前記ポリイソシアネート(a1)、前記ポリオール(a2)、及び又は(a3)、(a4)をあらかじめ一部反応させた樹脂溶液を用いることもできる。
【0046】
本発明のプリプレグの厚みは、0.02~1.0mmであることが好ましい。0.02mm以上の厚みになると積層するための取り扱いが容易となるので好ましく、1mm以下の厚みであれば樹脂の含浸が良好になるので好ましい。更には0.05~0.5mmがより好ましい。
【0047】
上記で得られたプリプレグから成形品を得る方法としては、例えば、プリプレグから前記離型PETフィルムから剥離し、プリプレグを8~30枚積層した後、予め110℃~160℃に加熱した金型に投入し、圧縮成形機にて型締めを行い、プリプレグを賦型させ、0.1~10MPaの成形圧力を保持することによって、プリプレグを硬化させ、その後成形品を取り出し成形品を得る方法が用いられる。この場合シェアエッジを有する金型内で金型温度130℃~160℃にて、成形品の厚さ1mm当たり1~3分間という規定の時間、1~8MPaの成形圧力を保持し、加熱圧縮成形する製造方法が好ましい。本発明のプリプレグは、チャージ作業のため型締めまで1分以上経過しても、白煙は発生しない。
【0048】
本発明のプリプレグから得られる成形品は、曲げ強度、層間せん断強度等に優れることから、自動車部材、鉄道車両部材、航空宇宙機部材、船舶部材、住宅設備部材、スポーツ部材、軽車両部材、建築土木部材、OA機器等の筐体等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0049】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。
【0050】
(合成例1:エチレン性不飽和基及び芳香族骨格を有するポリオール(a2-1)の合成)
温度計、窒素及び空気導入管、撹拌機を設けた1Lのフラスコに、エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン850-CRP」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量170)340g、メタクリル酸170g、t-ブチルハイドロキノン0.16gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.1gを入れ、110℃に昇温して12時間反応させると、酸価が1以下になったので、反応を終了した。60℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、エチレン性不飽和基及び芳香族骨格を有するポリオール(a2-1)として、エポキシメタアクリレートを得た。この樹脂の水酸基価は219mgKOH/gであり、官能基数は2であった。
【0051】
(実施例1:プリプレグ(1)の製造及び評価)
合成例1で得たエポキシメタアクリレート(a2-1)100質量部と、エチレン性不飽和単量体(B-1)(新中村化学株式会社製「NKエステル BPE-100」、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジメタクリレート、分子量478、メタクリル基当量239、常圧下、150℃、3分間の加熱時の重量減少率0.7%)75質量部、パラベンゾキノン0.021質量部、重合開始剤(C-1)(化薬アクゾ株式会社製「トリゴノックス122-C80」、有機過酸化物)2.1質量部を混合した後、ポリイソシアネート(a1-1)(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」4,4’-MDI)39質量部を混合し、樹脂組成物(X-1)を得た。
樹脂組成物(X-1)において、含有量(B)は35.0質量%であり、モル比(NCO/OH)は0.80であった。
上記で得られた樹脂組成物(X-1)を離型PETフィルムの片面に塗布した後、炭素繊維(D-1)(三菱レーヨン株式会社製「TRK979PQRW」)をかぶせ、炭素繊維含有量が55質量%となるように含浸させ、同じ離型PETフィルムをかぶせた後、45℃にて24時間加温した後、室温にて3日間静置、保管し、プリプレグ(1)を得た。このプリプレグ(1)の厚さは0.25mmであった。
【0052】
[プリプレグの白煙発生の有無の確認]
上記で得られたプリプレグ(1)を100mm角で切断した後、前記フィルムから剥離し、8枚積層した後、表面温度150℃の平面板金型の中央に充填し1分間放置し、その間目視にて白煙の有無を確認し、下記の基準により評価した。
〇:白煙が認められない。
△:極わずかに白煙が認められる。
×:大量の白煙が認められる。
【0053】
[成形品の作製]
上記で得られたプリプレグ(1)を、幅299mm×219mmで切断した後、前記フィルムから剥離し、繊維が同方向になるように8枚積層した後、離型剤を1回塗布した平面板金型の中央に充填し、圧縮成形機で圧力4MPa、上型145℃、下型143℃、成形時間2分の条件で圧縮成形した。型が開いた後、直径100mmのゴム製吸盤の使用、金型へのエアブローにより脱型、清掃作業を行い、重さ5kgのステンレス板の間に挟み、冷却した。このようにして幅300mm×220mm×2mmの平面板状の成形品(1)を得た。なお離型剤には、ダイフリーGW-251(ダイキン製)を蒸留水で10倍希釈したものを用いた。
【0054】
[成形性の評価]
上記成形品(1)を得る際の成形性を、成形品の脱型した後、エアブローによる金型清掃を行った後の、金型の表面状態を下記の基準により評価した。
〇:金型に樹脂付着が無く、直ぐに成形開始できる。
△:金型のシェアエッジに樹脂バリが付着している。
×:金型の製品表面とシェアエッジに樹脂が付着している。
【0055】
[曲げ強度の評価]
上記で得られた成形品(1)から、幅15mm、長さ100mmの試験片を切り出し、JIS K7074に従い、曲げ強度を測定し、下記の基準に従い評価した。
〇:1000MPa以上
△:900MPa以上、1000MPa未満
×:900MPa未満
【0056】
[層間せん断強度の評価]
上記で得られた成形品(1)から、幅10mm、長さ22mmの試験片を切り出し、この試験片について、JIS K7078に従い、層間せん断強度を測定し、下記の基準に従い評価した。
〇:70MPa以上
△:60MPa以上、70MPa未満
×:60MPa未満
【0057】
(実施例2:プリプレグ用樹脂組成物(2)の製造及び評価)
エチレン性不飽和基を有さず芳香族骨格をのみ有するポリオール(a3-1)(三洋化成株式会社「ニユーポール BPE-20T」、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水酸基当量161)16.5質量部、エチレン性不飽和基を有さず芳香族骨格をのみ有するポリオール(a3-2)(三洋化成株式会社「ニユーポール BPE-40」、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水酸基当量203)20.8質量部、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a4-1)62.7質量部を予め100℃で混合、常温まで冷却した樹脂液100質量部に、エチレン性不飽和単量体(B-1)55質量部、パラベンゾキノン0.025質量部、重合開始剤(C-1)2.5質量部を混合した後、ポリイソシアネート1(a1-1)26.6質量部、ポリイソシアネート(a1-2)(東ソー株式会社製「ミリオネートMR-200」ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物)64.2質量部を混合し、樹脂組成物(X-2)を得た。
樹脂組成物(X-2)において、含有量(B)は22.4質量%であり、モル比(a3/a4)は30/70、モル比(NCO/OH)は1.0であった。
実施例1で用いた樹脂組成物(X-1)を樹脂組成物(X-2)に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、プリプレグ(2)及び成形品(2)を作製し、各評価を行った。
【0058】
(実施例3:プリプレグ(3)の作製及び評価)
実施例2で用いたエチレン性不飽和単量体(B-1)をエチレン性不飽和単量体(B-2)(新中村化学株式会社製「NKエステル DCP」(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、分子量332、メタクリル基当量166、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率1.1%)に変更した以外は、実施例2と同様に操作し、樹脂組成物(X-3)、プリプレグ(3)及び成形品(3)を作製し、各評価を行った。
樹脂組成物(X-3)において含有量(B)は22.4質量%であり、モル比(a3/a4)は30/70、モル比(NCO/OH)は1.0であった。
【0059】
(実施例4:プリプレグ(4)の作製及び評価)
実施例2で用いたエチレン性不飽和単量体(B-1)55質量部を22質量部に変更し、重合開始剤(C-1)2.5質量部を2.1質量部に変更した以外は、実施例2と同様に操作し、樹脂組成物(X-4)、プリプレグ(4)及び成形品(4)を作製し、各評価を行った。
樹脂組成物(X-4)において含有量(B)は10.3質量%であり、モル比(a3/a4)は30/70、モル比(NCO/OH)は1.0であった。
【0060】
(実施例5:プリプレグ(5)の作製及び評価)
実施例2で用いたエチレン性不飽和単量体(B-1)55質量部をエチレン性不飽和単量体(B-3)(新中村化学株式会社製「NKエステル BPE-500」(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジメタクリレート、分子量804、メタクリル基当量402、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率0.7%)22質量部に変更し、重合開始剤(C-1)2.5質量部を2.1質量部に変更した以外は、実施例2と同様に操作し、樹脂組成物(X-5)、プリプレグ(5)及び成形品(5)を作製し、各評価を行った。
樹脂組成物(X-5)において含有量(B)は10.3質量%であり、モル比(a3/a4)は30/70、モル比(NCO/OH)は1.0であった。
【0061】
(比較例1:プリプレグ(R1)の作製及び評価)
実施例2で用いた不飽和単量体(B-1)をフェノキシエチルメタクリレート(分子量206、メタクリル基当量206、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率13.6%)に変更した以外は、実施例2と同様に操作し、樹脂組成物(RX-1)、プリプレグ(R1)及び成形品(R1)を作製し、各評価を行った。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と比較用エチレン性不飽和単量体の合計中の比較用エチレン性不飽和単量体の含有量は22.4質量%であり、モル比(a3/a4)は30/70、モル比(NCO/OH)は1.0であった。
【0062】
(比較例2:プリプレグ(R2)の作製及び評価)
実施例2で用いた不飽和単量体(B-1)をトリメチロールプロパントリメタクリレート(分子量338、メタクリル基当量113、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率3.6%)に変更した以外は、実施例2と同様に操作し、樹脂組成物(RX-2)、プリプレグ(R2)及び成形品(R2)を作製し、各評価を行った。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と比較用エチレン性不飽和単量体の合計中の比較用エチレン性不飽和単量体の含有量は22.4質量%であり、モル比(a3/a4)は30/70、モル比(NCO/OH)は1.0であった。
【0063】
(比較例3:プリプレグ(R3)の作成及び評価)
実施例2で用いた不飽和単量体(B-1)を1,6ヘキサンジオールジメタクリレート(分子量254、メタクリル基当量127、常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率8.5%)に変更した以外は、実施例2と同様に操作し、樹脂組成物(RX-3)、プリプレグ(R3)及び成形品(R3)を作製し、各評価を行った。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と比較用エチレン性不飽和単量体の合計中の比較用エチレン性不飽和単量体の含有量は22.4質量%であり、モル比(a3/a4)は30/70、モル比(NCO/OH)は1.0であった。
【0064】
上記で得られたプリプレグ用樹脂組成物(1)~(5)及び(R1)~(R3)の評価結果を表1及び2に示す。
【0065】
【0066】
【0067】
表2中の「エチレン性不飽和単量体の含有量(質量%)」は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)とエチレン性不飽和単量体との合計中のエチレン性不飽和単量体の含有量(質量%)である。
【0068】
実施例1~5の本発明のプリプレグは成形性に優れ、曲げ強度、層間せん断強度に優れる成形品が得られ、かつ、150℃の金型上に放置した場合にも白煙が発生しないことが確認された。
【0069】
一方、比較例1及び3は、エチレン性不飽和単量体の分子量が、本発明の下限である320より小さく、エチレン性不飽和単量体の常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率(%)が2以上の例であるが、150℃の金型上に放置した場合、大量の白煙が生じる、また成形性に劣ることが確認された。
【0070】
比較例2は、エチレン性不飽和単量体の常圧下、150℃、3分間加熱時の重量減少率(%)が2以上の例であるが、白煙が生じる、また成形品の反りが大きく、強度物性が劣ることが確認された。