(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】低温の透過高温測定用検出器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20220216BHJP
G01J 5/00 20220101ALI20220216BHJP
【FI】
H01L21/66 T
G01J5/00 101C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017140803
(22)【出願日】2017-07-20
【審査請求日】2020-04-23
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハウエルズ, サミュエル シー.
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-500851(JP,A)
【文献】特表2013-507775(JP,A)
【文献】特表2009-543358(JP,A)
【文献】特表2009-532877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/00
G01J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体内の処理エリア付近からの放射を検出する検出器マニフォールドと、
前記検出器マニフォールドと光学的に連結された放射検出器
であって、回折格子と、シリンダーレンズと、検出器アレイと、を備える放射検出器と、
スペクトルマルチバンドパスフィルタと
を備える、透過高温測定検出器。
【請求項2】
前記検出器マニフォールドは、前記チャンバ本体内の複数の高温計プローブを備える、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項3】
前記検出器マニフォールドは複数の光学的スイッチを備え、前記複数の高温計プローブのサブセットが、各光学的スイッチと光学的に連結されている、請求項2に記載の透過高温測定検出器。
【請求項4】
前記放射検出器が前記チャンバ本体に取り付けられている、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項5】
前記スペクトルマルチバンドパスフィルタは、それぞれ10nmと15nmの間の帯域幅を有する2つのスペクトル帯域で放射を透過する、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項6】
前記検出器アレイが、インジウム・ガリウム・砒素のリニア検出器アレイを備える、請求項
1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項7】
前記放射検出器が走査光検出
器を備える、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項8】
前記放射検出器が光ファイバー分光計を備える、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項9】
前記検出器マニフォールドは、処理エリア付近に、及び処理エリア全体に分布して複数の放射入口を有する、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項10】
前記検出器マニフォールドに光学的に連結された複数の放射検出器をさらに備える、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項11】
前記スペクトルマルチバンドパスフィルタは前記処理エリアと前記検出器マニフォールドの間にある、請求項
10に記載の透過高温測定検出器。
【請求項12】
前記検出器マニフォールドは、光学スプリッタ及び複数の放射検出器、又は、光学結合器及び複数の高温計プローブを備える、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項13】
前記検出器マニフォールドは、複数の高温計プローブと、前記高温計プローブのそれぞれのための分光計を備える、請求項1に記載の透過高温測定検出器。
【請求項14】
チャンバ本体内の基板の放射面から透過した放射を検出することと、
スペクトルマルチバンドパスフィルタによって、検出された放射の少なくとも1つのスペクトル帯域を光検出器に伝達することと、
前記検出された放射を前記少なくとも1つのスペクトル帯域で分析し、基板の推定温度を決定することと
を含
み、
前記検出された放射を分析することは、スペクトル帯域の前記検出された放射の、波長の関数としてパワースペクトルを測定することを含む、方法。
【請求項15】
前記パワースペクトルを測定するために、少なくとも1つの分光計が使用される、請求項
14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に記載の実施形態は、基板を処理するための装置及び方法に関する。具体的には、本書に記載の装置及び方法は、放射透過による温度測定に関する。
【背景技術】
【0002】
アニールにおける新たな傾向は、ランプをベースにしたアニールチャンバ内での処理を特徴としている。こうした処理は、低温における正確な温度評価を必要とする。単なる放射放出の測定による温度評価は、約400°C未満の温度では、信号対ノイズ比が低いため、不正確なものであり得る。要求される正確さと精密さは、透過高温測定によって提供され得る。
【0003】
透過高温測定は、基板(例えば、シリコン基板)の熱状態を評価する一般的な方法である。熱処理チャンバは通常、基板を強力で非コヒーレントまたはコヒーレントな放射に曝露して、基板全体、または基板の一部もしくは基板の表面エリアの温度を上昇させる。基板の加熱に用いられる放射は、チャンバ内に強度の環境放射の環境を作り出す。
【0004】
基板の熱状態の評価には、高出力の放射が用いられる。チャンバ内の環境放射から識別され得るからである。通常、レーザが用いられる。なぜなら、レーザは高出力であるし、その基板に最適な特定の波長を選択する機会を提供するからである。レーザは、基板を透過した際にその基板の熱状態を示し得る、コヒーレントな放射を生成し、この熱状態は、温度として検出され得る。透過した放射は、高温計によって検出され、放射源の放射と比較され得る。この結果は、基板の熱状態を推定するために相互に関連付けられる。従来、放射源の放射は概して、少数の(例えば1または2の)狭波長帯域となるように選択されてきた。同様に、透過した放射も、少数の(例えば1または2の)狭波長帯域においてのみ分析されてきた。
【0005】
信頼できる透過高温測定方法が必要とされている。検出器は、放射ノイズが高い環境下で動作可能でなくてはならない。
【発明の概要】
【0006】
本書に記載の実施形態は、基板を処理するための装置及び方法に関する。具体的には、本書に記載の装置及び方法は、放射透過による温度測定に関する。
【0007】
一実施形態では、透過高温測定検出器は、チャンバ本体内の処理エリア付近からの放射を検出する検出器マニフォールドと、検出器マニフォールドと光学的に連結された放射検出器と、スペクトルマルチノッチフィルタとを含む。
【0008】
一実施形態では、方法は、チャンバ本体内の基板の放射面から透過した放射を検出することと、検出された放射の少なくとも1つのスペクトル帯域を光検出器に伝達することと、検出された放射を少なくとも1つのスペクトル帯域で分析し、基板の推定温度を決定することとを含む。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約されている本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって得ることができる。一部の実施形態は、付随する図面に示されている。しかし、付随する図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】シリコン基板が透過した放射量の、放射源の放射の波長及び基板の温度に対する、例示的なグラフを示す。
【
図3A】本書に開示する実施形態による、例示的な処理チャンバ及び検出器を示す。
【
図3B】本書に開示する実施形態による、検出アセンブリを示す。
【
図4】本書に開示する実施形態による、例示的な検出器を示す。
【
図5】
図4の検出器によって生成された、例示的なパワースペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくても、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0012】
透過高温測定検出器(TPD)は一般的に、(1つまたは2つの一次波長にとどまらず)ある範囲の波長において基板(例えばシリコン基板)の放射スペクトルを測定して、基板の温度を推定する。TPDは、透過した放射を、少なくとも2つのスペクトル帯域で確実に検出し得る。スペクトル帯域は通常、それぞれにおける放射強度をより正確に解像するため、互いに分離していてよい(例えば、スペクトル帯域間が少なくとも10nm分離しているか、または中心波長間が少なくとも25nm分離していてよい)。TPDは、選択されたスペクトル帯域内の放射を感知可能であってよく、一方で他の波長の放射はフィルタリングしてよい。例えば、TPDは、1030nm付近を中心とする約10nm~15nmの幅のスペクトル帯域を検出してよく、1080nm付近を中心とする約10nm~15nmの幅のスペクトル帯域も検出してよい。TPDは、例えば約3.0の光学濃度(OD3)まで、他の波長はフィルタリングしてよい。ある実施形態では、スペクトル帯域は、より長い波長のもの(例えば1080nm超)であってもよい。
【0013】
図1は、先行技術による急速熱処理(RTP)チャンバ300の部分斜視図である。チャンバ300は、概して、ランプアセンブリ310、チャンバ本体320、及び基板支持体アセンブリ330を備える。明確にするため、
図1ではチャンバ300は断面が示されており、チャンバ本体320の上部のみが示されている。
【0014】
図1を参照すると、ランプアセンブリ310は複数のランプ311を含み、ランプ311のそれぞれは、反射光パイプ312内に位置している。これらのランプは、タングステンハロゲン電球といった白熱電球、または、放電ランプといった他の高出力ランプであってよい。各反射光パイプ312は、合わせて、水冷ハウジング314内のハニカムアレイ313を形成する。極薄石英ウインドウ315がランプアセンブリ310の底面を形成し、ランプアセンブリ310を、チャンバ300内に通常存在する真空から分離している。石英は赤外線を透過するため、石英ウインドウ315には通常、石英が使用される。ランプアセンブリ310は、チャンバ本体320の上表面に真空気密に取り付けられている。
【0015】
図1を参照すると、チャンバ本体320は、チャンバ300の壁及び床、並びに基板開口部321及び排出口322を含む。基板は、基板開口部321を通ってチャンバ300へ、及びチャンバ300から送達される。真空ポンプ(図示せず)が、排出口322を通じてチャンバ300を排気する。必要な場合、基板開口部321及び排出口322を封止するために、スリットバルブまたはゲートバルブ(図示せず)が用いられ得る。
【0016】
図1を参照すると、基板支持体アセンブリ330は、チャンバ本体320の内部に包含されており、エッジリング331、回転石英シリンダ332、リフレクタプレート333、及び光プローブ334(例えば光ファイバー)の列を含んでいる。エッジリング331は、回転石英シリンダ332上に載っている。基板処理中、エッジリング331は、石英ウインドウ315よりも約25mm下で、基板(明確にするため図示せず)を支持する。回転石英ウインドウ332は、基板処理中、約50rpmと約300rpmの間で回転し、チャンバ300内における熱非対称性の基板に対する影響を最小化することによって、処理中の基板温度の均一性を最大化する。リフレクタプレート333は、基板の下方約5mmに位置している。熱処理中、光プローブ334はリフレクタプレート333を貫通し、基板の底部に向けられる。熱処理中の基板温度、基板前面の放射率、及び/または反射率を判定するため、光プローブ334は、放射エネルギーを基板から1つ以上の光検出器337へと透過する。ランプ311が白熱電球の場合、高温計は通常、基板の裏面からの広帯域放射を、選択された範囲の波長(例えば、約200nmから約5000nmの間の波長)で測定するように適合している。
【0017】
図1を参照すると、光検出器337は、約100°Cと約350°Cの間の基板温度において、吸収ギャップの波長を感知可能なスペクトル応答を提供し得る、フィルタを含み得る。光検出器337は、約350°C未満の温度では、シリコン光検出器であってよい。なぜならば、シリコンの吸収ギャップは、室温から350°Cまでの温度で、約1000nm~約1200nmの幅に及ぶからである。シリコン光検出器は、約1100nmを上回る波長を有する放射は、感知不可能であってよい。約350°Cを上回る温度では、吸収端はシリコン光検出器の検出限界を超える可能性があり、吸収端波長がさらに少しでも増大すると、容易には検出されない可能性がある。
【0018】
本明細書で開示されるある実施形態に関しては、透過高温測定は、概して、中赤外域放射(例えば、約1000nmから約1500nmの波長の範囲)を生成する放射源を利用する。この放射源は、高度にコリメートされた放射を生成し得る。コリメートされた放射は、ビームガイド(例えばシングルモード光ファイバー)を通ってシリコン基板上に透過されてよい。コリメートされた放射の一部は、基板を透過し得る。透過する放射の量は、基板温度及び、放射源の放射の波長に応じたものであってよい。透過した放射を受光するため、高温計プローブ(例えば光パイプ)が配列されていてよい。例えば、高温計プローブは、ビームガイドに位置合わせされていてよい。高温計プローブは、透過した放射を1つ以上の透過高温計に向かわせてよい。透過高温計は、フィルタ、回折格子、シリンダーレンズ、光検出器、及び/または分光計といった構成要素を含んでいてよい。例えば、高温計プローブは、透過した放射をスペクトル帯域フィルタへと向かわせてよい。スペクトル帯域フィルタは、選択されたスペクトル帯域においてのみ、放射の透過を許してもよい。フィルタリングされなかった放射は、回折格子へと向かわされてよい。回折格子は、透過した放射を、波長に応じて種々の方向に分離し得る。コリメート用レンズが、回折した放射を1つ以上の焦点上に合焦し得る。次に、1つ以上の光検出器が、方向に応じて(したがって波長の関数として)、放射を測定し得る。例えば、波長に応じたパワーを測定するため、インジウム・ガリウム・ヒ素のリニアアレイが、コリメート用レンズの後部焦点面に位置していてよい。選択されたスペクトル帯域における、透過した放射の(波長に応じた)パワースペクトルが、放射源の放射のパワースペクトルと比較され得る。この2つのパワースペクトルは、波長に応じた基板の透過量を計算するために使用され得る。次いでこれが、基板の温度を推定するのに使用され得る。ある実施形態では、基板のゾーンが特定されてよく、それぞれのゾーンで透過高温測定が実施され、基板の温度マップが作製されてよい。ある実施形態では、より波長の長い(例えば1080nm超の)放射源の放射が利用されてよい。
【0019】
図2は、シリコン基板が透過した放射量の、放射源の放射の波長及び基板の温度に対する、例示的なグラフを示す。16本の異なる線P(λ)は、16個の異なる放射源の波長(nm)ごとの、温度に応じた透過量を示す。温度に応じた黒体放射P(bb)もまた示されている。検出された信号は、黒体放射からのノイズが増大するのにつれて劣化するということは、理解すべきである。その結果、放射源の波長は、信号対ノイズ比が十分になるようにして選択され得る。
図2に示すように、放射源の波長が約1030nmの場合、約10°Cから約275°Cの温度帯T(1030)において十分な信号対ノイズ比を有し得る。また放射源の波長が約1080nmの場合、約125°Cから約375°Cの温度帯T(1080)において十分な信号対ノイズ比を有し得る。
図2から分かるように、放射源の放射の波長が長いものほど、より高温の測定が可能になり得る。
【0020】
透過高温測定に適切なチャンバ300が、
図3Aに示される。前述のとおり、チャンバ300は、ランプアセンブリ310、チャンバ本体320、及び基板支持体アセンブリ330を含む。基板支持体アセンブリ330は、処理エリア335を画定し得る。処理中、通常はこの処理エリア335付近に基板が配置される。示されるように、チャンバ300の外側に放射源400が設置される。他の実施形態では、放射源400はランプアセンブリ310の内側にあるか、ランプアセンブリ310に取り付けられているか、ランプアセンブリ310のすぐ外側にあるか、またはさもなければ作動要件に適合するような他の置き方をされていてよい。放射源400は、放射源マニフォールド410に入力する放射を生成するように構成されている。放射源の放射は、放射源マニフォールド410を通って移動し、最終的には、基板の受光面の入射エリア(即ち、処理エリア335の付近)に到達してよい。例えば、放射源マニフォールド410は、反射光パイプ312が点在している複数のビームガイド415を含んでいてよい。ビームガイド415の一端には、コリメート用レンズ420が設置されていてよい。コリメート用レンズ420は、放射源の放射を基板の受光面の入射エリア(即ち、処理エリア335の付近)上に向かわせ得る。各ビームガイド415からの放射源の放射の一部は、基板の受光面から、反対側の基板の放射面へと透過され得る。例えば、放射源の放射は、入射エリアで基板の受光面に入射し得、透過した放射は、発散エリアで基板の放射面から出射し得る。このため、入射エリアは発散エリアの反対側にあってよい。
【0021】
ある実施形態では、放射源400は、放射源の放射が環境放射の中から選択され得るように、及び/または環境放射から区別され得るように、構成されていてよい。例えば、放射源400は、比較の結果あらゆる環境放射が無視できるほどの、明るい放射源であってよい。別の例として、放射源400は、較正及び/または正規化用に環境放射をサンプリングするため、周期的にオフにされてよい。ある実施形態では、放射源400は、高出力放射源、例えばレーザ及び/またはLEDといった量子源であってよい。ある実施形態では、放射源400は、TPDのスペクトル特性にマッチするか、さもなければTPDのスペクトル特性を補完するように選択された波長で、放射してよい。ある実施形態では、放射源400は、放射が基板を通ってTPDに受光されるように導かれる、例えばコリメートされたまたは部分的にコリメートされた放射源といった、導かれる放射の放射源であってよい。放射をTPDの開口数に合わせ、それによってこのシステムのソース対ノイズ比が向上するようにして、コリメーションが選択されてよい。
【0022】
TPD500は、透過した放射を検出し得る。TPD500は、検出器マニフォールド530と、1つ以上の放射検出器537と、スペクトルマルチノッチフィルタ536を含み得る(
図4参照)。示されるように、チャンバ300の外側に放射検出器537が設置される。他の実施形態では、放射検出器537はチャンバ本体320の内側にあるか、チャンバ本体320に取り付けられているか、チャンバ本体320のすぐ外側にあるか、またはさもなければ作動要件に適合するような他の置き方をされていてよい。検出器マニフォールド530は、複数の高温計プローブ534を含み得る。例えば、高温計プローブ534は、透過した放射を検出するため、ビームガイド415に位置合わせされていてよい。ある実施形態では、放射源マニフォールド410の各ビームガイド415は、位置合わせされた高温計プローブ534を有し得る。他の実施形態では、高温計プローブ534よりも多数のビームガイド415が存在し得る。さらに他の実施形態では、ビームガイド415よりも多数の高温計プローブ534が存在し得る。
【0023】
透過した放射は、検出器マニフォールド530を通過して移動し得、最終的には1つ以上の放射検出器537に到達し得る。ある実施形態では、単一の放射検出器537が、全ての高温計プローブ534から透過された放射を受光し得る。ある実施形態では、複数の放射検出器537が利用されてよい。ある実施形態では、検出器マニフォールド530は、高温計プローブ534のサブセットを各放射検出器537に接続する。ある実施形態では、検出器マニフォールド530は、単一の高温計プローブ534を各放射検出器537に接続する。ある実施形態では、検出器マニフォールド530は、光学スプリッタを利用して、透過した放射を1つの高温計プローブ534から複数の放射検出器537へと送達してよい。ある実施形態では、検出器マニフォールド530は、光学結合器を利用して、透過した放射を複数の高温計プローブ534から1つの放射検出器537へと送達してよい。
【0024】
ある実施形態では、光検出器337(
図1)と放射検出器537(
図3A)の両方を使用して、処理中の基板の温度が測定され、検出アセンブリを使用して、プローブ534(または334)からの放射を光検出器337及び放射検出器537へと分離する。
図3Bは、本書に記載の実施形態による検出アセンブリ360の概略側面図である。
図3Bに示すように、検出アセンブリ360はリフレクタ362と、光検出器337と、放射検出器537を含む。第1の放射364と第2の放射366が、プローブ534(または334)から出射する。第1の放射364は、基板から放射された放射であり、コリメートされていない。したがって、第1の放射364は、大きな開口数を有する。第2の放射366は、コリメートされた放射から透過した放射であり、コリメートされている。したがって、第2の放射366は、小さな開口数を有する。リフレクタ362は、放射を方向転換できる、任意の適切な装置であってよい。一実施形態では、リフレクタ362は鏡である。リフレクタ362は、第2の放射366の経路に沿って配置され、第2の放射366の全てまたは大部分を放射検出器537へと反射する。したがって、リフレクタ362は、プローブ534及び放射検出器537のどちらとも位置合わせされている。一実施形態では、プローブ534は、放射検出器537の主軸に対してほぼ垂直な軸に沿って、配置されている。第2の放射366が高度にコリメートされているので、リフレクタ362及び放射検出器537の検出面のサイズは、比較的小さいものであることができる。第1の放射364は、光検出器337へと透過される。第1の放射364はコリメートされていないので、光検出器337の検出面は、示されているように、放射検出器537の検出面と比べて比較的大きい。さらに、リフレクタ362は第1の放射364の経路に沿って配置されているが、リフレクタ362は比較的サイズが小さいので、光検出器337へと透過される放射の量を顕著に変えることはしない。検出アセンブリ360は、放射364、366の開口数に基づいて、第1の放射364と第2の放射366を分離するのに利用される。
【0025】
図4で、例示的なTPD500が示される。透過した放射は、検出器マニフォールド530から放射検出器537に入り得る。透過した放射は、回折格子531及び/またはシリンダーレンズ532を通って移動し得、波長λによって様々な方向へと分割される。分岐した放射は、こうして焦点面533上に入射し得る。検出器アレイ535(例えばインジウム・ガリウム・ヒ素のリニア検出器アレイ)が、焦点面533で放射を受光し、波長P(λn)の関数としてパワーを測定するように構成されていてよい。
【0026】
TPD500は、1つ以上のスペクトルマルチノッチフィルタ536を含み得る。例えば、スペクトルマルチノッチフィルタ536が、検出器マニフォールド530の1つ以上の高温計プローブ534内に組み込まれていてよい。これによって、透過した放射は、チャンバ本体320内でスペクトルマルチノッチフィルタ536によってフィルタリングされてよい。別の例として、スペクトルマルチノッチフィルタ536は、検出器マニフォールド530と放射検出器537の間の光結合器に組み込まれていてよい。別の例として、スペクトルマルチノッチフィルタ536は、放射検出器537の構成要素であってよい。スペクトルマルチノッチフィルタ536は、複数の(例えば2、3、4、またはそれよりも多い)スペクトル帯域を、少なくとも約80%の効率で伝達し得る。スペクトルマルチノッチフィルタ536は、例えばOD3まで、他の波長の放射をフィルタリングし、除去し、または低減させ得る。スペクトル帯域のそれぞれは、約10nm~15nmの幅を有していてよい。各スペクトル帯域は通常、互いに分離していてよい(例えば、スペクトル帯域間が少なくとも10nm分離しているか、または中心波長間が少なくとも25nm分離していてよい)。例えば、スペクトルマルチノッチフィルタ536は、1030nm付近を中心とする約10nm~15nmの幅のスペクトル帯域を伝達してよく、1080nm付近を中心とする約10nm~15nmの幅のスペクトル帯域も伝達してよい。
【0027】
ある実施形態では、検出器アレイ535と共に、または検出器アレイ535の代わりに、走査光検出器が利用され得る。例えば、走査光検出器は、既知の速度で焦点面533に沿って移動する光学ウインドウを有していてよい。光学ウインドウが移動するのにつれて、走査光検出器は、時間P(tn)に応じたパワーを測定する。この測定値は、光学ウインドウの速度に基づく波長P(λn)に応じたパワーに変換され得る。
【0028】
ある実施形態では、放射検出器537は、1つ以上の光ファイバー分光計であってよい。
【0029】
ある実施形態では、検出器マニフォールド530は、1つ以上の光学スイッチを含み得る。例えば、光学スイッチは、高温計プローブ534のサブセットであってよい。光学スイッチが「オン」のとき、検出器マニフォールド530は、放射を、高温計プローブ534のそのサブセットから放射検出器537へと向かわせ得る。光学スイッチが「オフ」のとき、検出器マニフォールド530は、放射を、高温計プローブ534のそのサブセットから放射検出器537に到達させない。ある実施形態では、各光学スイッチとされる温度測定プローブのサブセットは、基板の各ゾーンをアイソレーションするようにして選択され得る。それによって、放射検出器537を追加で必要とすることなく、各ゾーンで透過高温測定が実施され得る。
【0030】
図5は、TPD500によって生成されたパワースペクトル600の一例を示す。示されるように、パワースペクトル600は2つのピーク帯域610、620を有する。ピーク帯域610は、約1033nmを中心としており、一方でピーク帯域620は約1081nmを中心としている。ピーク帯域610の幅は約15nmであり、一方でピーク帯域620の幅は約20nmである。ピーク帯域610、620それぞれの中の信号は、波長に応じて変動する。波長に応じた基板の透過量を計算するため、パワースペクトル600は、放射源の放射のパワースペクトルと比較され得る。次いでこれが、基板の温度を推定するのに使用され得る。
【0031】
ある実施形態では、パワースペクトル600は、2つよりも多いピーク帯域(例えば3つのピーク帯域)を有し得る。例えば、放射源の放射は、1080nmよりも長い波長(例えば1120nm)を有し得る。このように、TPD500は、約1000nmと約1500nmの間の波長に対して感知可能であってよい。
【符号の説明】
【0032】
300 チャンバ
310 ランプアセンブリ
311 ランプ
312 反射光パイプ
313 ハニカムアレイ
314 水冷ハウジング
315 石英ウインドウ
320 チャンバ本体
321 基板開口部
322 排出口
330 基板支持体アセンブリ
331 エッジリング
332 回転石英シリンダ
333 貫通リフレクタプレート
334 光プローブ
335 処理エリア
337 光検出器
360 検出アセンブリ
362 リフレクタ
364 第1の放射
366 放射
400 放射源
410 放射源マニフォールド
415 ビームガイド
420 コリメート用レンズ
500 例示のtpd
530 検出器マニフォールド
531 回折格子
532 シリンダーレンズ
533 焦点面
534 位置合わせされた高温計プローブ
536 スペクトルマルチノッチフィルタ
537 マルチプル放射検出器
600 パワースペクトル
610 ピーク帯域
620 ピーク帯域