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▶ メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】反応性メソゲンベースのポリマー粒子
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/30 20060101AFI20220217BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20220217BHJP
   G02F 1/17 20190101ALI20220217BHJP
   G02F 1/19 20190101ALI20220217BHJP
【FI】
C08F20/30
G02F1/167
G02F1/17
G02F1/19
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2016552277
(86)(22)【出願日】2015-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2015000048
(87)【国際公開番号】W WO2015120950
(87)【国際公開日】2015-08-20
【審査請求日】2018-01-15
【審判番号】
【審判請求日】2020-02-03
(31)【優先権主張番号】14000508.3
(32)【優先日】2014-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン グラシア,エドゥーアルド
(72)【発明者】
【氏名】パッリ,オウェイン ライヤー
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】福井 悟
【審判官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-201222(JP,A)
【文献】国際公開第2012/152409(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/00-299/08
C08J3/00-7/18
C09K19/00-19/60
G02F1/00-1/39
CA(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4.1~1.3の(A/B)または(C/D)比を有し光学異方性および形状異方性を有するポリマー粒子の分散重合による製造方法であって、
a)ポリマー粒子におけるπ相互作用、水素結合および/またはハロゲン-ハロゲン相互作用を提供する分子構造を有する少なくとも1種の反応性メソゲン、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の開始剤、少なくとも1種の界面活性剤および任意に少なくとも1種のコモノマーを含む溶液を形成すること、
b)溶液を重合すること、
および任意に
c)ポリマー粒子を分離すること、洗浄すること、および/または乾燥させること
ここで、
前記反応性メソゲンが式I
【化1】
式中
P=アクリレートまたはメタクリレート、
Sp =基-(A-B) -であり、ここでA=1~6個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン、B=O、およびm=1、
Sp =-COO-、
r’、r’’およびr’’’=0または1、
L’、L’’およびL’’’=FまたはCl、
1 =O-R 2 、ここでR 2 =Hまたは1~3個のC原子を有するアルキル、
で表される化合物であり、
ここで、前記界面活性剤が、PVPである、を含む、前記方法
【請求項2】
II~Vで表される化合物から選択された少なくとも1種の反応性メソゲンを使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【化2】
【請求項3】
少なくとも1種のコモノマーが、重合性色素、式Iによる以外の反応性メソゲン、イオン性コモノマーおよび重合性安定剤から選択され、ここでコモノマーが1つ以上のエチレン系不飽和基を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
重合が熱重合であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
水、トルエン、エチレングリコール、グリシン、エタノール、3-ペンタノールおよびブタノールから選択された少なくとも1種の極性溶媒を使用することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の方法によって製造した、4.1~1.3の(A/B)または(C/D)比を有し光学異方性および形状異方性を有するポリマー粒子。
【請求項7】
請求項に記載のポリマー粒子の、光学的、電気光学的、電子的 電気化学的、電子写真、エレクトロウェティングおよび電気泳動ディスプレイおよび/またはデバイスにおける、ならびにセキュリティ、コスメティック、装飾および診断的適用における使用。
【請求項8】
ポリマー粒子を、単色性、二色性または多色性電気泳動性デバイスの製造に使用することを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項9】
請求項に記載のポリマー粒子を含む、電気泳動性流体。
【請求項10】
請求項に記載の電気泳動性流体を含む、電気泳動ディスプレイデバイス。
【請求項11】
電気泳動性流体を、インクジェット印刷、スロットダイ噴霧、ノズル噴霧、およびフレキソ印刷から選択される技術、または任意の他の接触もしくは非接触印刷もしくは堆積技術によって適用することを特徴とする、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の反応性メソゲンのモノマー単位を含む光学的および形状異方性ポリマー粒子の製造方法に、かかる粒子自体に、光学的、電気光学的、電子的 電気化学的、電子写真、エレクトロウェッティングおよび電気泳動ディスプレイおよび/またはデバイスの製造のための、ならびにセキュリティ、コスメティック、装飾および診断的適用のためのこれらの粒子の使用に、ならびに電気泳動流体およびディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
反応性メソゲン(RM)は、それらがサーモトロピック液晶相(典型的には、ネマチック、コレステリックまたはスメクチック)を示す温度で重合したときに、ある程度の光学異方性を有するポリマーを生産する。封入した液晶の特性および適用の研究は、長い間開発されているが、大量生産されたRM製のポリマー粒子の合成は、この種の材料のための適用の新たな分野を開拓する新たな研究の分野であり、本発明の報告の問題である。分子ダイレクタの配列が凍結されているために、粒子は光学異方性を示し、それらは単独で電界および磁界に応答する液晶として挙動する。
【0003】
加えて、粒子はまた、異方性形状を示し、それは、適用、例えば光スイッチ(Applied Physics Letters 2001, 78, 2643-2645)、アクチュエータ(Journal of the American Chemical Society 2011, 133, 5305-5311)、異方性粒子の自己集合による光子結晶構築(ACS Nano 2012, 8, 6695-6700)、偏光活性(例えば散乱偏光子(Digest of Technical Papers - Society for Information Display International Symposium 2002, 834-837)において使用する外部刺激の下の応答に、または表面効果によるセルの取り込みを改善するのに(Chem. Commun. 2008, 3507-3509)、有用である。
【0004】
さまざまなRMを使用して粒子(時に、フレークと記載する)を製造することができることが、WO 2003027761、DE 19602848、DE 19602795、JP 2001262144およびWO 2004005425に開示されている。これらの粒子は、様々な波長の色を反射することができ、顔料および広帯域反射フィルムにおける適用が明らかになっている。さらに、様々な量のRMを含む粒子を電気光学的デバイスにおいて使用する方法が、JP 10062739に開示されており、それは、熱的に切り換えられるPDLCデバイスについて議論する。
【0005】
2001年に、Crawford et al. (Applied Physics Letters, 78(18), (2001), 2643-2645)は、グリセロール中での乳化プロセス、続いてUV光でのin-situ光重合ステップを使用して、RM257から粒子を製造した。これらの粒子は、面内電界下で回旋する。Shafran et at. (Mater. Res. Soc. Symp. Proc. 1096 (2008))にはまた、鋳型およびUV光を使用して配置を固定させた、RM257から製造したナノロッドが報告されている。これらのロッドは、DCおよびAC電界の下での回旋および並進運動を示す。
【0006】
異方性LC粒子の製造はまた、Fernandez et al. (Soft Matter, 2, (2006), 105-108)によって、マイクロフルイディクスを使用して単分散性粒子を水中で生成して記載されている。PVAの量を増大させることによって、伸長させて紡錘体状粒子を得ることができるフィルムを作成することが、可能である。この配置を、伸長させたフィルムのUV光の下での重合によって固定することができる。このプロセスを使用して形状異方性および内部異方性の両方を有する粒子を得ることができるが、それは、光学異方性および形状異方性の両方を有する粒子を作成するための簡単な方法ではない。
【0007】
Sandomirski et al.は、RM257の100nm~1μmコロイド粒子を、水溶液中での乳化およびin-situ光重合によって製造した(J. Phys.:Condens. Matter, 16, (2004), 4137- 4144)。界面活性剤に依存するLCコロイドの生成および安定性に関する研究は、Spillmann et al. (Langmuir, 25, (2009), 2419-2426)によって行われ、ここで200nmのコロイドが、クロロホルムおよび水に溶解したRMの超音波処理によって製造された。Terentjev et al.は、主鎖液晶ポリマー製の粒子をミニエマルジョン(mini-emulsion)技術によって合成した(Nature Materials, 4, (2005), 486-490)。彼らは、粒子サイズに依存して種々のアスペクト比を有する楕円体粒子を観察した。
【0008】
Zentel et al.は、RM粒子をまた、エタノール/メトキシエタノール(Macromolecules, 39, (2006), 8326-8333)およびTHF/シリコン油(Macromol. Chem. Phys, 210, (2009), 1394-1401およびSoft Matter, (2010), 6, 4112-4119)の混合物中での分散重合によって作成することができることを示した。
【0009】
この方法によって得られた球状の粒子は、光学異方性を示し、電界および光ピンセットの下で操作することができた。しかしながら、異なるダイレクタ配向の混合物は、同一の系の内側に存在し、それらは、形状異方性を示さない。Zentel et alはまた、エラストマーLC粒子を、楕円体形状を示すマイクロフルイディクスによって合成した(Adv. Mater, (2009), 21, 4859-4862)。形状異方性は、エラストマー球状粒子をエラストマー粒子より小さい直径を有する毛細管中に導入することにより達成される。追加のステップにおいて、早期に歪んだ粒子を、重合させる。
【0010】
同様の鋳型プロセスアプローチは、Cairns et al.によって、RM257製の光学異方性ナノ棒を生産するために記載された(Material Letters, (2010) 64, 1133-1166)。鋳型の除去および音波処理プロセスの後に、粒子は、光学異方性および形状異方性を示した。
【0011】
光学異方性および形状異方性を示す粒子の例は、WO 2012/152409に見出され、それは、光学異方性の、およびある場合において形状異方性のRM粒子をエマルジョン重合に基づいた不均質系によって生産する方法を記載する。この重合において、モノマーは、連続相(溶媒)への低い可溶性を有し、重合を開始するための開始剤の添加に対する前のステップにおいて乳化する必要がある(開始剤は、連続相への低い可溶性を有する)。
【0012】
形状異方性ポリマー粒子を得るためのいくつかの方法、例えばエマルジョン重合、ミニエマルジョン重合、シードエマルジョン重合、シード分散重合、シード懸濁液重合、鋳型技術、種々のリソグラフィーアプローチ、変形に基づいた方法などが、開発されている(Langmuir, 2010, 16, 13086-13096)。しかしながら、それらのほとんどすべては、例えばそれらがいくつかのステップ、精巧な装置、サイズに関する問題および粒子の均質性を含む、ならびに/またはそれらが粒子生産を拡大することができないことにおけるいくつかの制限を有する。
【0013】
したがって、光学異方性および形状異方性ポリマー粒子に対する、ならびに光学的および異方性形状粒子を得るための簡単であり、産業的に実行可能な合成プロセスに対する必要性が、未だに存在する。
【発明の概要】
【0014】
この目的は、光学異方性および形状異方性ポリマー粒子の製造方法であって、ポリマー粒子における非共有結合的相互作用を提供する分子単位を有する少なくとも1種の反応性メソゲンの分散重合を含む、前記方法によって、解決される。
【0015】
本発明は、形状異方性および光学異方性を有するポリマー粒子の複雑な製造を単純化する。本発明は、追加のステップを伴わずに分散重合によって得られた、少なくとも1種の反応性メソゲン(RM)のモノマー単位を含む光学異方性および形状異方性ポリマー粒子の直接的な合成に関する。
【0016】
さらに、本発明は、本方法によって製造した光学異方性および形状異方性を有するポリマー粒子に、ポリマー粒子における非共有結合的相互作用を提供する分子単位を有する少なくとも1種の特定の反応性メソゲンのモノマー単位を含む、光学異方性および形状異方性を有するポリマー粒子、ならびに本発明によるポリマー粒子の光学的、電気光学的、電子的、電気化学的、電子写真、エレクトロウェティングおよび電気泳動ディスプレイおよび/またはデバイスの製造のための、ならびにセキュリティ、コスメティック、装飾および診断的適用のためのこれらの粒子の使用、ならびに当該ポリマー粒子を含む電気泳動流体およびディスプレイに関する。
【0017】
本発明は、ナノ粒子および微粒子に基づいた2モード系を提供しない。したがって、ナノ粒子および微粒子を単離するための追加のステップは、必要でない。その上、新たな粒子は、好ましくは、電界および磁界の下での優れた応答ならびに、特に電気泳動デバイスおよびコーティングに望ましい、単分散サイズを示す。
【0018】
本発明は、光学異方性および形状異方性の両方を有するRM粒子の、分散重合によるワンステップ合成を記載する。分散重合は、均質な重合である。用語「均質な重合」は、均質な媒体(つまり1相のみからなる媒体)における重合を意味する。用語「分散重合」は、モノマーおよび開始剤の両方が重合媒体に可溶である重合を意味する。重合は重合媒体中で開始し、ポリマーは重合媒体から沈殿する。
【0019】
均質な重合によって、通常、粒子と媒体との間の界面自由エネルギーの最小化のために、球状の粒子が得られる。しかしながら、特定の相互作用(つまり非共有結合的相互作用)を制御することによって、種々の形状、例えば種々のアスペクト比を有する偏球の、または扁長の粒子を規定することが可能であり、潜在的な適用のため、コロイド分野に関する最も困難な問題の1つである。
【0020】
偏球の粒子は、回転楕円面であるかまたは球状形状を有し、ここで赤道直径がポール間の距離より大きい、例えば「スマーティー(smartie)」形状である粒子を意味する。
扁長の粒子は、回転楕円面であるかまたは球状形状を有し、ここで原線が赤道直径より大きい、例えば「ラグビーボール」形状である粒子を意味する。
【0021】
さらなる粒子形状は、さらに種々のアスペクト比を有する、トロイダル(ドーナツ様)または赤血球状、ダイヤモンド形状およびタクトイド状形状であり得る。
【0022】
本発明は、好ましくは以下の特性の1つ以上を有する、RM粒子の産業的に実行可能な合成を提供する:
・明確に規定された分子ダイレクタ配向
・調整可能な形状異方性(アスペクト比、長さ/幅および平滑化の種々の値が得られる)
・調整可能な屈折率
・着色された粒子
・蛍光粒子
・反射性粒子
【0023】
明細書の全体にわたって、以下の用語を使用する:
用語「粒子(単数、複数)」および「ポリマー粒子(単数、複数)」を、交換可能に使用し、好ましくはモノマー材料から重合プロセスによって、好ましくは均質重合プロセスによって、特に分散重合によって直接得られる、均質な形状および規定された寸法を有する多くの単離された固体粒子を意味する。本発明による粒子は、光学的に異方性の特性および異方性形状を有する。
【0024】
用語「メソゲン性基」は、液晶(LC)相挙動を誘発する能力を有する基を意味する。メソゲン性基、特に非両親媒性タイプのものは、通常はカラミティック(calamitic)またはディスコティックのいずれかである。メソゲン性基を含む化合物は、必ずしもそれら自体LC相を示す必要はない。また、それらが他の化合物との混合物においてのみ、またはメソゲン性化合物もしくはそれらの混合物を重合するときにLC相挙動を示すことが、可能である。簡潔性のために、用語「液晶」を、以下でメソゲン性およびLC材料の両方に対して使用する。
【0025】
用語「反応性メソゲン」(RM)は、重合性のメソゲン性または液晶化合物を意味し、それは、好ましくはモノマー化合物である。
また以下で「Sp」とも称する、用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、当業者に知られており、文献に記載されている。他に述べない限り、本明細書中の用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、フレキシブルな有機基を示し、それは、重合性メソゲン性化合物(「RM」)中でメソゲン性基および重合性基(単数、複数)を結合させる。
【0026】
液晶およびメソゲンと関連する用語および定義の概観のために、Pure Appl. Chem. 73(5), 888 (2001) およびC. Tschierske, G. Pelzl and S. Diele, Angew. Chem. 2004, 116, 6340-6368を参照されたい。
【0027】
特に、本発明は、ポリマー粒子において非共有結合的相互作用を提供する分子の単位を有する少なくとも1種の反応性メソゲンのモノマー単位を含む、光学異方性および形状異方性を有する新たなポリマー粒子に関する。本発明のポリマー粒子は、好ましくは、ポリマー粒子においてπ相互作用、水素結合および/またはハロゲン-ハロゲン相互作用を提供する分子単位を有する少なくとも1種の反応性メソゲンのモノマー単位を含む。この種の非共有結合的相互作用の証拠は、モノマー中には存在しないポリマーの蛍光である。
【0028】
本発明によるポリマー粒子の製造に好ましく使用する反応性メソゲンは、「トラン基」としても知られている少なくとも1つのジフェニルアセチレン基を含む。
【0029】
式Iで表されるRMが、特に好ましい:
【化1】
式中、
P = 重合性基、
SpおよびSp = 互いに独立して、スペーサー基、
L’、L’’およびL’’’ = 互いに独立してP-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR00000、-C(=O)X、-C(=O)OR00、-C(=O)R、-NR00000、-OH、-SF、1~12個、好ましくは任意に置換されているシリル、アリールまたはヘテロアリール、これは1~6個のC原子を有する、および1~12個、好ましくは1~6個のC原子を有し、ここで1個以上のH原子が任意にFまたはClによって置き換えられている直鎖状または分枝状アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、
【0030】
= H、1~12個のC原子を有するアルキルまたはO-R、ここでR = Hまたは1~12個のC原子を有するアルキル、
、R00およびR000 = 互いに独立してHまたは1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
r’、r’’およびr’’’ = 互いに独立して0、1、2、3または4。
【0031】
重合性基Pは、好ましくはメタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、アクリロニトリル、α置換アクリレート、スチレン、ビニル、置換ビニルから選択される。メタクリレートおよび/またはアクリレート基が、特に好ましい。
【0032】
好ましいスペーサー基Spは、アルキレン鎖、(ポリ)エーテル、ポリ-ジアルキルシロキサンである。スペーサー基Spは、例えば基-(A-B)-であり得、ここでA = 好ましくは1~12個の炭素原子を有する、特に1~6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキレン、B = OまたはS、好ましくはO、およびm = 0~5、好ましくは1~3、特に1である。
【0033】
好ましいスペーサー基Spは、-COO-、-OCO-、-CHCH-、-CFO-、-OCF-、-C≡C-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-または単結合、特に-COO-および-C≡C-である。
【0034】
L’、L’’およびL’’’は、好ましくは、また1つのフェニル環中での複数の出現の場合において、互いに独立して、ハロゲン、好ましくはFもしくはCl、CNまたは、1~5個のC原子を有する任意にハロゲン化されたアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ、特に-F、-Cl、-CNまたは任意にハロゲン化されたアルキルから選択される。
【0035】
は、好ましくは、1~3個のC原子を有するアルキル、または-O-Rであり、ここでR = 1~3個のC原子を有するアルキル、特に-O-CHである。
r’、r’’およびr’’’は、好ましくは、互いに独立して0または1である。
【0036】
有利には、式Iで表される化合物であって、式中、Pがアクリレートまたはメタクリレート基であり、Spが-(CH-O-、ここでn = 1~6、であり、Spが-COOまたは-C≡C-であり、L’’がハロゲン、ここでr’’ = 0または1、r’およびr’’’ = 0、であり、およびRが-O-CHである、該化合物が使用される。特に、L’’は、Spに対してオルト位にある。
【0037】
特に、式II~Vによる、特に式IIで表されるRMを、使用する。
【化2】
【0038】
本発明のポリマー粒子はさらに、少なくとも1種のコモノマーを含んでいてもよい。ポリマー粒子は、選択されたRMと、または反応性メソゲン混合物(RMM)として知られている数種の反応性メソゲンのブレンドと、共重合することができる、あらゆる好適なモノマーであり得るコモノマーを含むことができる。粒子を、ほとんどのモノマータイプ、特にメタクリレート、アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、α置換アクリレート、スチレンおよびビニルエーテル、ビニルエステルおよびプロペニルエーテルから製造することができる。モノマーの混合物もまた、使用してもよい。
【0039】
好ましくは、少なくとも1種のコモノマーを、式I~Vで表されるものとは異なる反応性メソゲン、重合性色素、イオン性コモノマーおよび重合性安定剤から選択し、ここでコモノマーは、1つ以上のエチレン系不飽和基を含む。
【0040】
有利には、ポリマー粒子の形状を調整するために、キラル添加剤を、重合性混合物に加えてもよい。重合性または非重合性のキラル添加剤を、使用してもよい。好適なキラル添加剤を、キラルRMおよびキラルドーパントから選択することができ、それらの多くは、当業者に周知であり、商業的に入手できる。
【0041】
好適な非重合性のキラル化合物は、例えばキラルドーパント、例えばR-もしくはS-811、R-もしくはS-1011、R-もしくはS-2011、R-もしくはS-3011、R-もしくはS-4011、R-もしくはS-5011、またはCB 15である(すべて、Merck KGaA, Darmstadt、ドイツから入手できる)。
【0042】
好適な重合性キラル化合物は、例えば以下に列挙したキラルRM(R1)~(R10)、または重合性キラル材料Paliocolor(登録商標)LC756(BASF AG, Ludwigshafen、ドイツから)である。
【化3】
【0043】
【化4】
【0044】
【化5】
【0045】
式中、Pは、上のPに対して示した意味の1つを有し、Z、u、v、x、y、RおよびAは、上に定義したとおりであり、LおよびLは、互いに独立して上に示したLの意味の1つを有する。
【0046】
少量のみを使用するためには、高いらせんねじれ力値(HTP)を有するキラル化合物が、特には、例えばWO 98/00428に記載されている、ソルビトール基を含む化合物、例えばGB 2,328,207に記載されている、ヒドロベンゾイン基を含む化合物、例えばWO 02/94805に記載されている、キラルなビナフチル誘導体、例えばWO 02/34739に記載されている、キラルなビナフトールアセタール誘導体、例えばWO 02/06265に記載されている、キラルなTADDOL誘導体、ならびに例えばWO 02/06196またはWO 02/06195に記載されている、少なくとも1つのフッ素化された結合基および末端の、または中心のキラル基を有するキラルな化合物が、極めて好ましい。
【0047】
40μm-1以上の、極めて好ましくは60μm-1以上の、最も好ましくは80μm-1以上の、HTPを有する、キラル化合物が、特に好ましい。
重合性ソルビトール、例えば式(R8)および(R9)で表されるものならびに重合性ヒドロベンゾイン、例えば式(R10)で表されるものが、特に好ましい。
【0048】
以下の式M1およびM2で表される非重合性ソルビトールおよびヒドロベンゾインが、さらに好ましい。以下の式M3およびM4で表されるキラルなビナフトールが、さらに好ましい。
【化6】
【0049】
式中、P、Z、A、L、L、vおよびxは、上に示した意味を有し、Rは、上に示したRの意味の1つを有するか、またはP-Spであり、Rは、Rの意味の1つを有し、mは、0、1、2または3であり、r1およびr2は、0、1、2、3または4である。
【0050】
式M3で表される化合物であって、式中、RがP-Spである、該化合物が、極めて好ましい。式M3で表される化合物であって、式中、mが0または1であり、Zが-COO-、-OCO-または単結合であり、Aが任意に1つまたは2つの基Lによって置換されている1,4-フェニレンまたはトランス-1,4-シクロヘキシレンである、該化合物が、さらに好ましい。
【0051】
特に、ポリマー粒子の形状を偏球から扁長に調整するために、Merck KGaAからのBDH1281、以下の式VIで表される化合物を、好ましくは使用することができる。
【化7】
【0052】
コモノマーとして使用する式I~Vで表されるものと異なる追加の反応性メソゲンを、広範囲の反応性メソゲンから選択することができる。原則として、少なくとも1つの重合性基、好ましくは少なくとも2つの重合性基を有する任意の反応性メソゲンが、好適である。反応性メソゲン混合物(RMM)として知られている、数種の反応性メソゲンのブレンドを使用することもまた、可能である。コモノマーを使用することによって、粒子の屈折率および物理的特性を調整することができる。好ましくは、以下のRM、RM 257、RM A、RM BおよびRM C、特にRM 257およびRM Aを使用することができる。
【化8】
【0053】
着色されたポリマー粒子を、好ましくは、重合性の二色性色素または、好ましくは別の重合性色素を粒子形成ステップにおいて包含させることにより得ることができる。特に、WO 2010/089057およびWO 2010/089060に記載されている重合性色素は、本発明のポリマー粒子中の包含に適している。好ましくは、コモノマーとして使用する重合性色素を、粒子の色調を調整するために、アゾ色素、好ましくはモノアゾ色素、ジアゾ色素、および/または金属化アゾ色素、金属化色素、アントラキノン色素、フタロシアニン色素、ベンゾジフラノン色素、ブリリアントブルー誘導体、ピロリン色素、スクアリリウム色素、トリフェンジオキサジン色素またはこれらの色素の混合物から選択する。好ましくは、Disperse red 1のアクリレートまたはメタクリレート誘導体、式VIIで表される色素、特にカチオン性Basic Blue 41のメタクリレートまたはアクリレート誘導体、および式VIIIで表される色素、特にR5およびR6=CHであるもの、および式IXで表される色素、特にR7およびR8 = CHであるものを、本発明のために使用する。
【化9】
【0054】
式中、R1、R2、R3=アルキル、好ましくはC1~C4アルキル、R4=HまたはCH、A=ハロゲン、一塩基酸(オキソ)アニオン、好ましくは酢酸、プロピオン酸、乳酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、水酸化物または硝酸、好ましくはここでR1、R2、R4=CHおよびR3=CおよびA=メタンスルホン酸;
【化10】
式中、R5 = C1~C4アルキル、好ましくはCH
R6 = HまたはCH3、好ましくはCH
Hal = ハロゲン、好ましくはCl;
【化11】
式中、R7=アルキル、好ましくはC1~C4アルキル、特にCH
R8 = HまたはCH3、好ましくはCH
【0055】
Disperse red 1メタクリレート、カチオン性Basic Blue 41のメタクリレート誘導体、ならびに式3、ここでR7およびR8 = CH、で表される色素である。後者の色素の製造は、WO 2010/089057およびWO 2010/089060に記載されている。
【0056】
少なくとも2つの重合性基を有する好ましい重合性色素は、式Xで表される化合物から例えば選択され得る:
【化12】
【0057】
式中、芳香族または複素芳香族環は、H、アルキル、好ましくはC1~C6アルキル、置換または非置換アリール、-F、-Cl、-Br、-I、-OR’、-SR’、-C(O)R’、-C(O)OR’、-NHCOR’、-NO、-CN、-SOH、-NR’R’’、好ましくは-CH、-NO、-CN、-COCH、-COCHCH、-NHCOCH、ここで、R’およびR’’は、互いに独立してHまたはアルキル、好ましくはC1~C6アルキルに等しい、からなる群から選択された1つ以上の異なるかまたは同一の基Rによって置換されており、
【0058】
ならびにLおよびLは、互いに独立して、単結合、任意に置換されているシクロアルキルまたは芳香族環、直鎖状または分枝状であり、任意に置換されているアルキレンであり、ここで1個以上の隣接していないC原子は、O、Sおよび/もしくはNによって置き換えられていてもよく、ならびに/あるいは1つ以上の二重および/もしくは三重結合が、鎖および/もしくは側鎖またはその組み合わせ中に存在してもよく、好ましくはフェニレンまたはC1~C6アルキル、好ましくは同一であり、ならびにYおよびYは、互いに独立して重合性基、好ましくはアクリレートまたはメタクリレート、好ましくは同一である。
【0059】
好ましくは、基Rは、H、C1~C6アルキル、好ましくはCH、-C(O)R’、-C(O)OR’、-NO、-CN、-NHCOR’、ここで、R’は、互いに独立してC1~C6アルキル、好ましくはC1またはC2アルキルに等しい、から選択される。
好ましくは、基LおよびLは、フェニレンまたはC1~C6アルキル、ポリエーテルアルキル鎖またはその組み合わせ、好ましくはC2~C4アルキル、特にC2およびC4アルキルから選択される。特に、同一の基LおよびLが、好ましい。
【0060】
好ましくは、基YおよびYは、アクリレートおよびメタクリレートから選択される。特に、同一の基YおよびYが、好ましい。
【0061】
N,N-ビス-(2-メタクリロイルオキシエチル)-4-(4-ニトロフェニルアゾ)-アニリン(MR3)は、特に好ましい、式XIで表される色素である。この色素を、商業的なCI Disperse Red 19のメタクリロイルクロリドとの、トリエチルアミンの存在下での反応によって製造してもよい。同様の色素を、相応に製造してもよい。
【化13】
【0062】
本プロセスはまた、粒子の電荷および電荷異方性を調整するためのルートを提供する。このパラメーターは、さらに、好適なモノマーの共重合を通じて粒子に加えた電荷によって影響され得る。この電荷がさらに、液晶ダイレクタと、粒子が電荷異方性を採ることができるように配列することができる場合、これによってさらに、ディスプレイにおける粒子の切換速度が増大し得る。これを、好適な荷電した基、例えばSO およびNR 、特にCOOを含む荷電した反応性メソゲンの使用によって達成することができる。
【0063】
本発明によるポリマー粒子はまた、官能性ナノ粒子、例えばチタニアまたは銀ナノ粒子を含むことができる。好ましくは、チタニアナノ粒子、例えばDu Pont R96およびHuntsman TR-92を、本発明において使用することができる。他の官能性の単一のものまたは重合性化合物を、所望される特性、例えば選択的反射性、高い屈折率、pH応答または高い熱安定性を提供するために加えることができる。
【0064】
本発明による光学異方性および形状異方性を有するポリマー粒子を、好ましくは光学的、電気光学的、電子的 電気化学的、電子写真、エレクトロウェティングおよび電気泳動ディスプレイおよび/またはデバイスにおいて、ならびにセキュリティ、コスメティック、装飾および診断的適用において使用する。これらのポリマー粒子を、特に単色性、二色性または多色性電気泳動デバイスの製造に使用する。好ましくは、少なくとも1種の反応性メソゲンおよび少なくとも1種の重合性色素のモノマー単位を含む、光学異方性および形状異方性を有する新たなポリマー粒子を、使用し、ここでポリマー粒子は、反応性メソゲンおよびコモノマーの好ましい変形および組み合わせを含む。
【0065】
さらに、本発明は、前に記載した光学異方性および形状異方性を有するポリマー粒子の製造方法に関する。特に、本発明は、分散重合によるRM製のポリマー粒子の直接の製造に関する。
【0066】
本明細書中で使用する用語「分散重合」は、モノマーまたはモノマーおよび開始剤の両方が重合媒体に可溶である重合を意味する。重合は重合媒体中で開始し、ポリマーは重合媒体から沈殿する。分散重合は、均質な媒体(つまり1相のみからなる媒体)中での重合を意味する均質な重合の特別の場合である。好ましくは、本発明による重合は、フリーラジカル重合、好ましくは熱重合である。
【0067】
エマルジョン重合またはシード重合とは違って、分散重合は1相をベースとした均質な系であるので、溶媒は、RM、開始剤および界面活性剤を溶解しなければならない。好ましい溶媒は、極性、例えばエタノールであるが、極性-極性または極性-無極性溶媒の混合物を、粒子の形状およびサイズを調整するために、または誘電定数、屈折率、密度および粘度を調整するために使用することができる。好適な溶媒は、水、トルエン、エチレングリコール、グリシン、エタノール、3-ペンタノールおよびブタノール、特にエタノールおよび3-ペンタノールである。
【0068】
好ましくは、界面活性剤を加えて、極性媒体中での粒子の分散および安定化を保持する。典型的な界面活性剤は、粒子の合体を防止するブロック、分枝状、櫛状またはグラフトポリマーである。例示的なものは、当該分野における専門家に知られており、タイプA-BまたはA-B-Aのブロックコポリマー、ここでブロックの一方は、好ましくは、および芳香族ブロック、例えばポリスチレンまたはポリビニルナフタレンであり、他方は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンまたはポリブタジエンである、を含む(しかし限定されない)。商業的に入手できるKraton G 1701およびSepton 1001は、好適な例である。荷電した界面活性剤、例えばラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)または荷電していない界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリエチレングリコールアルキルエーテルもしくはポリプロピレングリコールアルキルエーテル。好ましくは、PVPを使用する。
【0069】
ポリビニルピロリドン(PVP)は、生理学的に不活性であり、分散体であり、ならびに水に、および数種の有機溶媒、例えばエタノールまたはトルエンに可溶である、分枝状ポリマーである。これらの特性は、PVPに産業的適用、例えばコーティング、接着剤、洗剤および石鹸、布地、重合添加剤、着色剤分散体または薬学的適用における高いフレキシビリティを付与する。
【0070】
開始剤は、それが重合を開始するために必要であり、それがポリマー上に荷電した残基を残留させることによりポリマーを荷電させることができるため、二重の機能を有することができる。開始剤は、溶媒に可溶でなければならない。この種の荷電した脱離する開始剤の例は、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)、4,4’-アゾビスシアノ吉草酸(Vazo 68)(和光ケミカル)、2,2’-アゾビス(2メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(V-50)(和光ケミカル)または2,2’-アゾビスシアノ吉草酸(ACVA)(和光ケミカル)のようなものである。原則として、この種の開始剤を使用することができるが、本プロセスにおいてもである。使用する開始剤は、ポリマーに電荷を残留させず、それらは、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(Vazo 59)(和光ケミカル)、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)(和光ケミカル)、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、アゾビスシクロヘキセンカルボニトリル、ラウロイルペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキサン(Sigma-Aldrich)のようなものである。
【0071】
一般に、反応性メソゲン(RM)、界面活性剤および他の化学物質を、エタノールに溶解する。次に、熱開始剤(それは溶媒に可溶である)を加え、反応物を窒素下に放置して重合させる。有利には、当該プロセスは、少なくとも1種のRM、開始剤および界面活性剤を有機溶媒に溶解し、慣用の重合を使用してRMを重合するステップを含む。好ましくは、大量生産に上がるのが容易であるので熱重合を使用するが、光開始もまた使用することができる。
【0072】
上に記載したプロセスによって、光学異方性および/または形状異方性を有する単分散性、非反射性、反射性、着色、非着色、蛍光性RM粒子を、単一のステップで製造することが可能になる。
【0073】
さらに、この合成的手順を使用することによって、粒子は、以下の特性を有し得る:それは、溶媒耐性特性、非膨潤性質、衝撃強度、硬度、容易な溶媒移送プロセスの後の無極性連続相への分散性、低いフィールドでの電気的および磁気的応答、明るい色、それらを散乱反射性または溶媒整合粒子として好適にする範囲にわたる調整可能な屈折率を加えるための導入された架橋剤に対して可能である。広範な数の可能な異方性形状を、粒子の配合における小さい変更を以って、得ることができる。種々の形状は、上に記載した粒子のための種々の特性および新たな可能な適用を意味する。粒子は、内部ダイレクタ配向、形状異方性、極めて低い電界および磁界の下での応答を示し、それらは、蛍光特性を示す。
【0074】
上に記載した反応性メソゲンおよびコモノマーの好ましい変形および組み合わせを、好ましくは本発明によるプロセスにおいて使用する。
【0075】
重合条件に依存して、粒子の形状を制御して、例えば偏球形状または扁長形状またはダイヤモンド形状を有する粒子を得ることができる(図1)。
【0076】
好ましくは、偏球形状を有する粒子の製造のために、70mlのエタノール中の5gのRM、100~200mgの開始剤および200~1000mg、好ましくは250mgの界面活性剤を、使用することができる。PVPは、界面活性剤として好ましい。好ましくは、1~8%wt、特に2~6%wtのキラル化合物を、加えてもよい。
【0077】
好ましくは、扁長形状を有する粒子の製造のために、70mlのエタノール中の5gのRM、100~150mgの開始剤および200~1000mg、好ましくは500mgの界面活性剤を、使用することができる。PVPは、界面活性剤として好ましい。好ましくは、1~6%wt、特に4~6%wtのキラル化合物を、加えてもよい。
【0078】
好ましくは、ダイヤモンド様形状を有する粒子の製造のために、70mlのエタノール中の5gのRM、150~200mgの開始剤、好ましくは200mgおよび200~1000mg、好ましくは500mgの界面活性剤を、使用することができる。PVPは、界面活性剤として好ましい。好ましくは、1~6%wt、特に4~5%wtのキラル化合物を、加えてもよい。すべてのwt%(重量百分率)は、主なRMの量に基づく。
【0079】
ここで開発したプロセスは、それが産業的に実行可能であり、以下の特性の1つまたは組み合わせを有する粒子を生じることができるという、最先端技術に記載されているものに対する利点を有する:
・調整可能な形状の範囲内の、形状異方性
・調整可能な屈折率の粒子
・多分域の液晶粒子
・球状のダイレクタ立体配置を有する液晶粒子
・着色された粒子。
【0080】
本発明によるポリマー粒子は、1.4~1.0ミクロンの範囲内のサイズおよび好ましくはこれと共に単分散性のサイズ分布を有してもよい。好ましい粒子サイズは、1ミクロン、特に1ミクロン未満である。粒子サイズを、一般的な装置、例えばMalvern NanoZS粒子アナライザーによる、または電子顕微鏡法および画像解析による非水性粒子分散の光子相関分光法によって決定する。
【0081】
粒子の寸法を、図1に示す表示に従うことにより記載する(左:上面図;右:側面図):
・本発明によるポリマー粒子は、1.7~1.3の範囲内、好ましくは1.7の(C/D)比を有してもよい。
・本発明によるポリマー粒子は、4.1~1.3の、好ましくは2.0より大きい(A/B)または(C/D)比を有してもよい。
・本発明によるポリマー粒子は、450~350ナノメートル、好ましくは200~100ナノメートルの範囲内のB値を有してもよい。
【0082】
本プロセスによって製造したポリマー粒子は、良好な明状態および黒色状態ならびに現在のディスプレイよりも低い電圧で両方の状態間でより迅速に切り換えられる能力を提供する新たなディスプレイモードについての必要性があるので、光学的ディスプレイ分野において特に好適である。
【0083】
本発明によるポリマー粒子を、好ましくは、光学的、電気光学的、電子的 電気化学的、電子写真、エレクトロウェティングおよび電気泳動ディスプレイおよび/またはデバイスにおいて、ならびにセキュリティ、コスメティック、装飾および診断的適用において使用する。特に、これらのポリマー粒子を、単色性、二色性または多色性デバイスまたはコーティングの製造に使用する。
【0084】
本プロセスによって製造したポリマー粒子は、好ましくは、低出力、低コストおよび軽量ディスプレイデバイスに適している。EPD(電気泳動ディスプレイ)は、この要求を満たすことができる。EPDの1つの使用は、電子ペーパー用である。画像が表示された後に、画像を、さらなる電圧を印加せずに長い期間にわたって保持することができることは、必要不可欠である。したがって、これは、低出力での使用の要件を満たし、画像が別の画像が必要とされるまで視認可能であり得ることを意味する。
【0085】
極性溶媒を使用する場合における前の溶媒移送ステップ、本発明によるポリマー粒子は、すべての既知の電気泳動媒体および電気泳動ディスプレイ、例えばフレキシブルディスプレイ、一粒子系、二粒子系、染色した流体、マイクロカプセルを含む系、マイクロカップ(microcup)系、エアギャップ系および他のものに適しており、それは、Elsevier B.V., Amsterdamによって刊行されているC. M. Lampert, Displays; 2004, 25(5)に記載されているとおりである。フレキシブルディスプレイの例は、ダイナミックキーパッド、電子新聞ウォッチ、動的価格設定および広告、電子書籍リーダー、巻取り式ディスプレイ、スマートカード媒体、製品包装、携帯電話、ラブトップ(lab top)、ディスプレイカード、電子看板である。
【0086】
EPDは、一般に、流体中に分散し、各々1つ以上の電極を含む2つの基板間に閉じ込められた、荷電した電気泳動性粒子を含む。電極間の空間は、無色であるか、または粒子の色に対して異なる色である分散媒体で満たされる。電圧を電極間に印加する場合、荷電粒子は、反対の極性の電極へと移動する。粒子は、観察者の側の電極を覆うことができ、したがって、画像を観察者の側から観察するときに粒子の色と同一の色が表示される。あらゆる画像を、多様なピクセルを使用して観察することができる。
【0087】
本プロセスは、調整可能な異方性形状化粒子へのルートを提供する。EPDにおける形状異方性は、有利である。電気泳動性デバイスにおける重要なパラメーターは、切換の速度であり、それは、ひいては粒子の電荷および形状係数に関連する。この場合において、同一の体積を保持するが、1つの特別の配向において低い抗力を有する粒子は、同一の体積の同等の球状の粒子よりもデバイスにおいてより迅速に移動するだろう。また、より高い光学濃度は、球状の粒子と比較して効率的なパッキングのため、偏球の粒子の場合において予測される。
本発明によるポリマー粒子はまた、選択的反射を有する光学的コーティングを開発するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1図1は本発明において記載した種々の形状の概略図である。(左:上面図;右:側面図)。
図2図2は例1によるエタノール中のRM520製の偏球の回転楕円体粒子を示す図である。
図3図3は例1による粒子の分散体の複屈折vs磁界を示す図である。
図4図4は例2による高い平坦化値を有するエタノール中のRM520製の偏球の回転楕円体粒子を示す図である。
図5図5は例3によるエタノール中のRM520製の平坦-扁長の粒子を示す図である。
図6図6は例3による粒子の分散体の複屈折vs磁界を示す図である。
図7-a】図7aは例4によるエタノール中のRM520製のダイヤモンド形状の粒子を示す図である。
図7-b】図7bは例4によるエタノール中のRM520製のダイヤモンド形状の粒子を示す図である。
図8-a】図8aは例4による粒子の分散体の複屈折vs磁界を示す図である。
図8-b】図8bは電場の下での例4による粒子の自己集合を示す図である。
【0089】
引用した参考文献の開示は、このように明らかにまた、本出願の開示内容の一部である。文脈が他に明確に示さない限り、本明細書中で使用する用語の複数形は単数形を含み、逆もまた同様であるものと解釈すべきである。特許請求の範囲および明細書において、語「含む(comprise)/含む(comprises)/含む(comprising)」および「含む(contain)/含む(contains)/含む(containing)」は、列挙した成分が含まれるが他の成分は除外されないことを意味する。上記において、および以下の例において、他に示さない限り、すべての部および百分率は、重量(wt)による。以下の例は、本発明を、保護の範囲を限定することなく、より詳細に説明する。上記において、および以下の例において、他に示さない限り、すべての部および百分率は、重量による。
【0090】

略号のリスト:
RM520: 4-(6-アクリルオキシ-ヘキシルオキシ)安息香酸-2-クロロ-4-(4-メチルオキシフェニルエチニル)フェニルエステル
RM257: 2-メチル-1,4-フェニレン-ビス[4-(3-アクリロイルオキシプロピルオキシ)ベンゾエート]
PVP: ポリビニルピロリドン
V-59: 2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)
BDH1281: キラルドーパント
MR3: N,N-ビス-(2-メタクリロイルオキシエチル)-4-(4-ニトロフェニルアゾ)-アニリン
TiOナノ粒子: R960
【0091】
反応性メソゲンおよびキラルドーパントは、Merck KGaA, Darmstadt, Germanyから購入する。V-59は、Wakoから購入する。MR3は、WO 2012/019704の例16に従って製造する。チタニアナノ粒子は、Du Pontから得る。すべての他の化学物質を、Sigma-Aldrichから可能な最高グレードで調達し、他に述べない限りさらに精製せずに使用する。
【0092】
以下の例を、分散重合によって合成する。反応性メソゲン(RM)、界面活性剤および他の化学物質を、エタノールに溶解する。次に、熱開始剤(それは溶媒に可溶である)を加え、反応物を窒素下で放置して重合させる。粒子は内部ダイレクタ配向、形状異方性、極めて低い電界および磁界下での応答を示し、それらは蛍光性特性を示す。
【0093】
配合物の特徴づけを、Malvern NanoZS粒子アナライザーを使用して行う。この機器は、分散体中での粒子のサイズおよび電気泳動流体のゼータ電位を測定する。ゼータ電位(ZP)は、電気泳動移動度の実時間測定から誘導され、したがって電気泳動適用において使用するための流体の適応性の指標である。
【0094】
例1: RM520の粒子分散体の製造
2.5gのRM520、250mgのPVPおよび70mLのエタノールを、100mL丸底フラスコ中に加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で80℃で加熱し、500rpmで撹拌する。すべての成分が溶解した後、200mgのVazo 59(熱開始剤)を反応物中に加え、反応物を2時間放置して重合させる。2時間後、反応物を室温に冷却し、反応混合物を50マイクロメートル布を通してろ過する。
【0095】
高度に偏球の回転楕円体粒子が、この反応から生じる(図2)。粒子は1.1ミクロンのサイズを有して単分散性であり、それらは2.05の(A/B)比を有するスマーティー様形状を示し、平坦化または偏平率(f)は0.51である。
【0096】
粒子は、ブラウン運動中のダイレクタ配向を変化させることに起因する二極性コロイド発光特性を示す。粒子は、低い電場(30mVpp、100Hz、20μmスペーサーを有するITOセル)下で回転し、それらは、極めて低い磁界の値(0.1~0.5T)で磁界に対して平行に配列した(図3)。
【0097】
例2: 高い平坦化または偏平率を有するRM520の粒子分散体の製造
5gのRM520、500mgのPVPおよび70mLのエタノールを、100mL丸底フラスコ中に加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で80℃で加熱し、500rpmで撹拌する。すべての成分が溶解した後、200mgのVazo 59(熱開始剤)を反応物中に加え、反応物を2時間放置して重合させる。2時間後、反応物を室温に冷却し、反応混合物を50マイクロメートル布を通してろ過する。
【0098】
分子ダイレクタの二極性配向を有する高度に偏球の回転楕円体粒子が、この反応から生じる。サイズは1.8ミクロンであり、例1に記載した粒子と比較して、それらはより平坦なスマーティー様形状を示し、それによって1.4の(A/B)比が得られ、平坦化または偏平率(f)は0.76である(図4)。
【0099】
例3: 扁長形状を有するRM520の粒子分散体の製造
5gのRM520、500mgのPVP、235.5mgのBDH1281および70mLのエタノールを、100mL丸底フラスコ中に加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で85℃で加熱し、500rpmで撹拌する。すべての成分が溶解した後、100mgのVazo 59(熱開始剤)を反応物中に加え、反応物を2時間放置して重合させる。2時間後、反応物を室温に冷却し、反応混合物を50マイクロメートル布を通してろ過する。
【0100】
分子ダイレクタの二極性配向を有し、磁界(0.5T)に関して垂直の配列を有する平坦-扁長粒子が、得られる(図5)。それぞれ、サイズは約1.6ミクロンであり、(C/D)比は1.33である。例3による粒子の分散体の複屈折vs磁界を、図6に示す。
【0101】
例4: ダイヤモンド形状を有するRM520の粒子分散体の製造
5gのRM520、500mgのPVP、235.5mgのBDH1281および70mLのエタノールを、100mL丸底フラスコ中に加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で85℃で加熱し、500rpmで撹拌する。すべての成分が溶解した後、200mgのVazo 59(熱開始剤)を反応物中に加え、反応物を2時間放置して重合させる。2時間後、反応物を室温に冷却し、反応混合物を50マイクロメートル布を通してろ過する。
【0102】
分子ダイレクタの二極性配向を有するダイヤモンド様異方性粒子が、この反応から生じる。粒子の寸法は、1.68の(C/D)比によって示され、(C/B)比は2.28であり、B値は0.7ミクロンである(-0.8の平坦化)(図7a/b)。
【0103】
可逆的な自己集合プロセスが、低周波電界(30mVpp、100Hz、20ミクロン)下で観察される。粒子は、電場を除去するときに再び再分散する。さらに、粒子は、磁界(1T)に対して平行に配列する(図8a/b)。
【0104】
例5: 反応性メソゲン混合物I(モノアクリレート+ジアクリレート)の粒子分散体の製造
2.5gのRM520、250mgのPVP、12.5mgのRM257および70mLのエタノールを、100mL丸底フラスコ中に加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で85℃で加熱し、500rpmで撹拌する。すべての成分が溶解した後、200mgのVazo 59(熱開始剤)を反応物中に加え、反応物を2時間放置して重合させる。2時間後、反応物を室温に冷却し、反応混合物を50マイクロメートル布を通してろ過する。
1.3ミクロンのサイズを有する偏球の回転楕円体状粒子、
(A/B)比=2.02、f=0.54および分子ダイレクタの二極性配向が、この反応から生じる。
【0105】
例6: 反応性メソゲン混合物II(モノアクリレート+モノアクリレート)の粒子分散体の製造
2.5gのRM520、250mgのPVP、125mgの4-(6-アクリロイルオキシ-n-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸および70mLのエタノールを、100mL丸底フラスコ中に加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で85℃で加熱し、500rpmで撹拌する。すべての成分が溶解した後、200mgのVazo 59(熱開始剤)を反応物中に加え、反応物を2時間放置して重合させる。2時間後、反応物を室温に冷却し、反応混合物を50マイクロメートル布を通してろ過する。
約1.3ミクロンのサイズを有する高度に偏球の回転楕円体状粒子、
(A/B)比=1.93、f=0.63および分子ダイレクタの二極性配向が、この反応から生じる。
【0106】
例7:二酸化チタンナノ粒子を含むRM520の粒子分散体の製造
2.5gのRM520、250mgのPVP、250mgのTiOナノ粒子(R960)および70mLのエタノールを、100mL丸底フラスコ中に加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で85℃で加熱し、500rpmで撹拌する。すべての成分が溶解した後、200mgのVazo 59(熱開始剤)を反応物中に加え、反応物を2時間放置して重合させる。2時間後、反応物を室温に冷却し、反応混合物を50マイクロメートル布を通してろ過する。約1.1ミクロンのサイズ、(A/B)比=2.07、f=0.52および分子ダイレクタの二極性配向を有する偏球の回転楕円体状粒子が、この反応から生じる。
【0107】
例8:RM520およびMerck Red 1の赤色着色粒子分散体の製造
2.5gのRM520、250mgのPVP、12.5mgのMethacrylated Disperse Red 1(MR3)および70mLのエタノールを、100mL丸底フラスコ中に加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で85℃で加熱し、500rpmで撹拌する。すべての成分が溶解した後、200mgのVazo 59(熱開始剤)を反応物中に加え、反応物を2時間放置して重合させる。2時間後、反応物を室温に冷却し、反応混合物を50マイクロメートル布を通してろ過する。約1.1ミクロンのサイズ、(A/B)比=1.70、f=0.40および分子ダイレクタの二極性配向を有する偏球の回転楕円体状粒子が、この反応から生じる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-a】
図7-b】
図8-a】
図8-b】