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特許7026052高温プロセスのための基板支持アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】高温プロセスのための基板支持アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220217BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220217BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H02N13/00 D
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018546552
(86)(22)【出願日】2017-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 US2017014531
(87)【国際公開番号】W WO2017151238
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-01-09
(31)【優先権主張番号】15/061,734
(32)【優先日】2016-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】パルキー ビジャイ ディー
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-344955(JP,A)
【文献】特開2014-060421(JP,A)
【文献】特表2013-535842(JP,A)
【文献】特開2004-104113(JP,A)
【文献】特開平11-193868(JP,A)
【文献】特表2014-534614(JP,A)
【文献】特表2016-503234(JP,A)
【文献】特開2011-192661(JP,A)
【文献】特許第4450106(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックであって、
上面及び底面を有するセラミック本体と、
セラミック本体内に配置された1以上の加熱要素と、
セラミック本体内に配置された1以上の電極と、
セラミック本体の底面に金属ボンドにより接合された複数のアダプタオブジェクトを含み、複数のアダプタオブジェクトは、集合的に、セラミック本体の底面により画定される円の中心から複数の異なる距離でセラミック本体の底面に分配された複数の開口部を形成し、複数の開口部は第1の開口部を含み、第1の開口部はファスナと結合してベースプレートをセラミック本体の底面に取り外し可能に固定し、1つ以上のスプリングが、ベースプレートの凹部に配置された冷却プレートを静電チャックの底面に押圧している、静電チャック。
【請求項2】
複数の異なる距離は中心からの第1の距離と中心からの第2の距離を含み、複数のアダプタオブジェクトは、
第1の直径を有する内側リング又は内側ディスクであって、中心から第1の距離を有する複数の開口部の第1のサブセットを含む内側リング又は内側ディスクと、
第2の直径を有する外側リングであって、中心から第2の距離を有する複数の開口部の第2のサブセットを含む外側リングを含む請求項1記載の静電チャック。
【請求項3】
複数のアダプタオブジェクトは複数のディスクを含み、複数のディスクの各々は、複数の開口部の1を含む請求項1記載の静電チャック。
【請求項4】
セラミック本体の底面は少なくとも1の凹部を含み、複数のアダプタオブジェクトの少なくとも1のアダプタオブジェクトは少なくとも1の凹部に挿入され、少なくとも1のアダプタオブジェクトの底部はセラミック本体の底面とほぼ同一面になる請求項1記載の静電チャック。
【請求項5】
複数のアダプタオブジェクトは、a)モリブデン、b)ニッケル-コバルト鉄合金、c)AlSi合金で浸透されたSiC多孔質体、又は、d)Si、SiC及びTiを含む金属マトリックス複合体の少なくとも1を含む請求項1記載の静電チャック。
【請求項6】
セラミック本体はAlN又はAl2O3を含み、複数のアダプタオブジェクトの各々は、金属、金属合金、又は、金属マトリックス複合体の少なくとも1を含む請求項1記載の静電チャック。
【請求項7】
基板支持アセンブリであって、
底部に金属ボンドにより接合された1以上のオブジェクトを含む静電チャックであって、1以上のオブジェクトは、集合的に、静電チャックの底部により画定される円の中心から複数の異なる距離で静電チャックの底部に分配された複数のフィーチャを含み、複数のフィーチャは集合的に複数のファスナを収容する静電チャックと、
複数のファスナにより静電チャックに結合されたベースプレートであって、複数のファスナの各々は、ベースプレートを静電チャックに結合するためにほぼ等しい締結力を加えるベースプレートと、
ベースプレートの凹部に配置された冷却プレートであって、
冷却プレートは、冷却材を受け入れるための複数のチャネルを備え、
1つ以上のスプリングが冷却プレートの底面をベースプレートに接続している、冷却プレートとを含む基板支持アセンブリ。
【請求項8】
静電チャックの周縁部で静電チャックとベースプレートの間に配置されたO-リングであって、静電チャックとベースプレートの間に真空シールを提供するO-リングをさらに含む、請求項7記載の基板支持アセンブリ。
【請求項9】
冷却プレートの少なくとも1部の上部に配置されたガスケットを含み、ガスケットは冷却プレートと静電チャックの間で圧縮され、冷却プレートと静電チャックの間で熱チョークとして作用し、1つ以上のスプリングは、冷却プレートを静電チャックに押圧している、請求項8記載の基板支持アセンブリ。
【請求項10】
ガスケットは、
第1のグラフォイル層と、
第1のグラフォイル層上の第1のポリイミド層と、
第1のポリイミド層上の第2のグラフォイル層と、
第2のグラフォイル層上の第2のポリイミド層と、
第2のポリイミド層上の第3のグラフォイル層とを含んでいる、請求項9記載の基板支持アセンブリ。
【請求項11】
1以上のオブジェクトは静電チャックの底部から突出するパターンを形成し、冷却プレートの上部はパターンのネガを形成する複数の凹部を含み、静電チャックの底部から突出するパターンは、冷却プレートの上部のパターンのネガに嵌め込まれる請求項7記載の基板支持アセンブリ。
【請求項12】
複数の異なる距離は中心からの第1の距離と中心からの第2の距離を含み、1以上のオブジェクトは、
第1の直径を有する内側リング又は内側ディスクであって、中心から第1の距離を有する複数のフィーチャの第1のサブセットを含む内側リング又は内側ディスクと、
第2の直径を有する外側リングであって、中心から第2の距離を有する複数のフィーチャの第2のサブセットを含む外側リングを含む請求項7記載の基板支持アセンブリ。
【請求項13】
1以上のオブジェクトは複数のディスクを含み、複数のディスクの各々は複数のフィーチャの1を含む請求項7記載の基板支持アセンブリ。
【請求項14】
静電チャックの底部は少なくとも1の凹部を含み、1以上のオブジェクトの少なくとも1のオブジェクトは少なくとも1の凹部に挿入され、少なくとも1のオブジェクトの底部は静電チャックの底部とほぼ同一面になる請求項7記載の基板支持アセンブリ。
【請求項15】
1以上のオブジェクトは、a)モリブデン、b)ニッケル-コバルト鉄合金、c)AlSi合金で浸透されたSiC多孔質体、又は、d)Si、SiC及びTiを含む金属マトリックス複合体の少なくとも1を含む請求項7記載の基板支持アセンブリ。
【請求項16】
ベースプレートの第1のガス配送経路と、
ベースプレートの第1のガス配送経路と整列する静電チャックの第2のガス配送経路と、
第1のガス配送経路と第2のガス配送経路との境界でシールを提供する第2のOリングとをさらに備える、請求項7記載の基板支持アセンブリ。
【請求項17】
複数のファスナは複数のネジ付きファスナを備え、
複数のフィーチャは、複数のネジ付きファスナを受け入れるための複数の開口部を備えている、請求項7記載の基板支持アセンブリ。
【請求項18】
基板支持アセンブリ用のベースプレートであって、
凹部を備える金属本体と、
凹部に配置された金属冷却プレートであって、冷却材を受け入れるための複数のチャネルを備え、金属冷却プレートの上部に1つ以上の表面フィーチャをさらに備える金属冷却プレートと、
金属冷却プレートの底部を金属本体に接続する複数のスプリングとを備えるベースプレート。
【請求項19】
金属本体は、ファスナを収容する1つ以上のフィーチャを備え、
ベースプレートは、金属冷却プレートの上部に熱ガスケットをさらに備え、
熱ガスケットは、ポリイミドの1つ以上の層及びグラフォイルの複数の層を備えている、請求項18記載のベースプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の幾つかの実施形態は、一般に、高温プロセスに使用可能な基板支持アセンブリに関する。
【0002】
静電チャックは、様々な用途(例えば、物理気相堆積、エッチング、又は、化学気相堆積)に用いられる処理チャンバ内での基板処理中に、基板(例えば、半導体ウェハ)を保持するために広く使用される。静電チャックは、典型的には、単一のチャック本体内に埋設された1以上の電極を含み、チャック本体は誘電体又は半導性セラミック材料を含み、材料に亘って静電クランプ電場を生成することができる。
【0003】
静電チャックは、機械的クランプ装置及び真空チャックよりも幾つかの利点を提供する。例えば、静電チャックは、機械的クランプにより引き起こされる応力誘起クラックを低減し、基板のより広い面積を処理のために露出することができ(エッジの排除が殆ど又は全くない)、低圧又は高真空環境で使用することができる。更に、静電チャックは、基板をより均一にチャッキング面に保持することができ、これにより、基板温度をより高度に制御することを可能にする。
【0004】
集積回路の製造に使用される様々なプロセスは、基板処理のために高温及び/又は広い温度範囲を必要とすることがある。例えば、エッチングプロセスにおける静電チャックは、典型的には、約120℃までの温度範囲で動作する。約120℃を超える温度では、多くの静電チャックのコンポーネントは、様々な問題(例えば、Al静電チャックにおけるチャッキング解除、腐食性化学物質によるプラズマ侵食、接合信頼性等)により機能不能になる可能性がある。
【概要】
【0005】
本明細書に記載の本発明の幾つかの実施形態は、上部及び底部を有するセラミック本体と、セラミック本体内に配置された1以上の加熱要素と、セラミック本体内に配置された1以上の電極を含む静電チャックをカバーする。更に、静電チャックは、セラミック本体の底部に金属ボンドにより接合された複数のオブジェクトを含み、複数のオブジェクトは、集合的に、セラミック本体の底部により画定される円の中心から複数の異なる距離でセラミック本体の底部に分配された複数のフィーチャを含み、複数のフィーチャの1のフィーチャはファスナを収容する。
【0006】
本明細書で説明される本発明の幾つかの実施形態は、底部に金属ボンドにより接合された1以上のオブジェクトを含む静電チャックであって、1以上のオブジェクトは、集合的に、静電チャックの底部により画定される円の中心から複数の異なる距離で静電チャックの底部に分配された複数のフィーチャを含み、複数のフィーチャは集合的に複数のファスナを収容する静電チャックを含む基板支持アセンブリをカバーする。更に、基板支持アセンブリは、複数のファスナにより静電チャックに結合されたベースプレートであって、複数のファスナの各々は、ベースプレートを静電チャックに結合するためにほぼ等しい締結力を加えるベースプレートを含む。更に、基板支持アセンブリは、静電チャックの周縁部で静電チャックとベースプレートの間に配置されたO-リングを含む。
【0007】
本明細書に記載の本発明の幾つかの実施形態は、凹部を含む金属本体を含む基板支持アセンブリのためのベースプレートであって、金属本体はファスナを収容する1以上のフィーチャを含むベースプレートをカバーする。更に、ベースプレートは、凹部内に配置された金属冷却プレートを含み、金属冷却プレートは冷却材を受け入れる複数のチャンネルを含み、更に、金属冷却プレートは金属冷却プレートの上部に1以上の表面フィーチャを含む。更に、ベースプレートは、金属冷却プレートの底部を金属本体と接続する複数のスプリングと、冷却プレートの上部の熱ガスケットを含み、熱ガスケットは、ポリイミドと複数のグラフォイルの1以上の層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態は、同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面の図において、限定ではなく例として示される。本開示における「1の」又は「一」実施形態への異なる参照は、必ずしも同じ実施形態に限定されず、そのような参照は少なくとも1を意味することに留意すべきである。
図1】処理チャンバの一実施形態の側断面図を示す。
図2】基板支持アセンブリの一実施形態の分解図を示す。
図3】基板支持アセンブリの一実施形態の断面上面図を示す。
図4A】静電チャックの一実施形態の斜視図を示す。
図4B】静電チャックの他の実施形態の斜視図を示す。
図5】基板支持アセンブリの一実施形態の側断面図を示す。
図6A】静電チャックの一実施形態の斜視図を示す。
図6B】静電チャックの他の実施形態の斜視図を示す。
図7】基板支持アセンブリの一実施形態の側断面図を示す。
図8】基板支持アセンブリを製造するプロセスの一実施形態を示す。
【実施形態の詳細な説明】
【0009】
本発明の実施形態は、金属ボンドにより静電チャックの底部に結合された複数のアダプタオブジェクトを含む静電チャックを提供する。一実施形態のアダプタオブジェクトは、ファスナを受けるための複数のフィーチャを各々含むディスク及び/又はリングである。他の実施形態では、アダプタオブジェクトは、ファスナを受けるための1又は幾つかのフィーチャを各々含む他の形状を有するディスク又はオブジェクトである。アダプタオブジェクトは、静電チャックの平坦な底部に接合されてもよく、又は静電チャックの底部に形成された凹部に挿入されて接合されてもよい。
【0010】
更に、実施形態は、静電チャックの底部に結合された複数のアダプタオブジェクトを有する静電チャックを含む基板支持アセンブリを提供する。追加的に、基板支持アセンブリは、静電チャックを押圧するスプリングで負荷された冷却プレートを有するベースプレートを含むことができる。冷却プレートは、冷却プレートと静電チャックの間の熱チョークとして作用する低熱伝導率を有するガスケットを含むことができる。ガスケットを含むスプリングで負荷された冷却プレートを使用することにより、静電チャックが冷却プレートの温度よりも200℃又は300℃まで高い温度を維持することが可能になる。
【0011】
静電チャックはファスナの集合によりベースプレートに結合することができ、ここで、ファスナの各々は静電チャックの底部に接合されたアダプタオブジェクトの1に挿入される。複数のファスナは、静電チャックの底部により画定される円の中心から異なる距離に配置される。一実施形態では、ファスナの第1のセットは静電チャックの中心から第1半径に配置され、ファスナの第2セットは静電チャックの中心から第2半径に配置される。複数のファスナは、静電チャックの底部にほぼ均一に分布させることができ、これにより、静電チャックをベースプレートに結合するための締結力を均一に分布させることができる。ファスナは全て同じ量で締め付けられてもよく、これにより、各々のファスナにより加えられる締結力がほぼ同じになることを確実にする。これにより、静電チャック上の静電チャックと冷却プレートの間の均一な熱伝導特性が促進される。
【0012】
幾つかの実施形態では、高温O-リング又はガスケットが、ベースプレートと静電チャックの間で圧縮される。高温O-リング又はガスケットは、アダプタオブジェクトを処理ガスへの暴露から保護することができる。更に、静電チャックは、ベースプレート内のガス配送ホールと整列するガス配送ホールを含むことができる。O-リングをガス配送ホールの周りに配置し、静電チャックとベースプレートの間で圧縮することができる。
【0013】
図1は、内部に配置された基板支持アセンブリ150を有する半導体処理チャンバ100の一実施形態の断面図である。基板支持アセンブリ150は静電チャック166を含み、静電チャック166は、以下でより詳細に説明するように、静電チャック166の底部に結合された複数のアダプタオブジェクト167を含む。静電チャック166は、以下により詳細に説明するように、複数のファスナにより冷却プレートに結合される。
【0014】
処理チャンバ100は、内部容積106を囲むチャンバ本体102と蓋104を含む。チャンバ本体102は、アルミニウム、ステンレス鋼又は他の適切な材料から製造することができる。チャンバ本体102は、一般に、側壁108及び底部110を含む。外側ライナ116は側壁108に隣接して配置され、チャンバ本体102を保護することができる。外側ライナ116は、プラズマ又はハロゲン含有ガスに耐性を有する材料で製造され、及び/又は、コーティングされることができる。一実施形態では、外側ライナ116は酸化アルミニウムから製造される。他の実施形態では、外側ライナ116は、イットリア、イットリウム合金又はそれら酸化物から製造されるか、又は、コーティングされる。
【0015】
排気ポート126はチャンバ本体102内に画定され、内部容積106をポンプシステム128に結合することができる。ポンプシステム128は、処理チャンバ100の内部容積106の圧力を排気及び調整するために用いられる1以上のポンプ及びスロットルバルブを含むことができる。
【0016】
蓋104は、チャンバ本体102の側壁108に支持されることができる。蓋104は、処理チャンバ100の内部容積106へのアクセスを可能にするように開口することができ、閉鎖された状態で処理チャンバ100に対してシールを提供することができる。ガスパネル158を処理チャンバ100に連結し、蓋104の一部であるガス分配アセンブリ130を介して内部容積106にプロセスガス、及び/又は、クリーニングガスを供給することができる。処理ガスの例は処理チャンバ内でのプロセスに用いることができ、とりわけ、ハロゲン含有ガス(例えば、C、SF、SiCl、HBr、NF、CF、CHF、CH、Cl及びSiF)、及び、他のガス(例えば、O又はNO)を含む。キャリアガスの例は、N、He、Ar、及び、プロセスガスに対して不活性な他のガス(例えば、非反応性ガス)を含む。ガス分配アセンブリ130は、ガス分配アセンブリ130の下流表面上に複数の開口132を有し、ガスフローを基板144の表面に向けることができる。追加的又は代替的に、ガス分配アセンブリ130は、ガスがセラミックガスノズルを介して供給される中央ホールを有することができる。ガス分配アセンブリ130は、セラミック材料(例えば、炭化ケイ素、酸化イットリウム等)により製造及び/又はコーティングされ、これにより、ハロゲン含有化学物質に対する耐性を提供し、ガス分配アセンブリ130の腐食を防止することができる。
【0017】
基板支持アセンブリ150は、ガス分配アセンブリ130の下の処理チャンバ100の内部容積106内に配置される。基板支持アセンブリ150は、処理中に基板144を保持する。内側ライナ118は、基板支持アセンブリ150の周縁部でコーティングされてもよい。内側ライナ118は、外側ライナ116に関して説明されたようなハロゲン含有ガス耐性材料であってもよい。一実施形態では、内側ライナ118は外側ライナ116の同じ材料から製造することができる。
【0018】
一実施形態では、基板支持アセンブリ150は、装着プレート162、支持ペデスタル152、ベースプレート162及び静電チャック166を含む。一実施形態では、ベースプレート164は、複数のファスナにより静電チャック166に結合される。一実施形態では、ベースプレート164は、本明細書で冷却プレートと呼ばれる熱伝導ベースを含む。実施形態に記載の基板支持アセンブリ150は、Johnsen-Rahbek及び/又はクーロン静電チャッキングに用いることができる。
【0019】
一実施形態では、保護リング146は、静電チャック166の外側周縁部において、静電チャック166の一部の上に配置される。一実施形態では、静電チャック166は保護層136でコーティングされる。代替的に、静電チャック166は保護層136でコーティングされなくてもよい。保護層136は、Y(イットリア又は酸化イットリウム)、YAl(YAM)、Al(アルミナ)、YAl12(YAG)、YAlO(YAP)、石英、SiC(炭化ケイ素)、SiN(窒化ケイ素)サイアロン、AlN(窒素アルミニウム)、AlON(酸窒化アルミニウム)、TiO(チタニア)、ZrO(ジルコニア)、TiC(炭化チタン)、ZrC(炭化ジルコニウム)、TiN(窒化チタン)、TiCN(炭窒化チタン)、Y安定化ZrO(YSZ)等のセラミックであってもよい。また、保護層は、Alマトリックス内に分散されたYl512、Y-ZrO固溶体、又は、SiC-Si固溶体のようなセラミック複合体であってもよい。また、保護層は、酸化イットリウム(イットリア及びYとして知られている)含有固溶体を含むセラミック複合材料であってもよい。例えば、保護層は、YAl(YAM)化合物とY-xZrxO固溶体(Y-ZrO固溶体)とからなるセラミック複合体であってもよい。純粋な酸化イットリウム及び酸化イットリウム含有固溶体は、ZrO、Al、SiO、B、Er、Nd、Nb、CeO、Sm、Yb又は他の酸化物の1以上と共にドープされてもよいことに留意すべきである。また、純粋な窒化アルミニウム、及び、ZrO、Al、SiO、B、Er、Nd、Nb、CeO、Sm、Yb又は他の酸化物でドープされた窒化アルミニウムを用いることもできることに留意すべきである。代替的に、保護層は、サファイア又はMgAlONであってもよい。
【0020】
静電チャック166は、180℃以上の温度での半導体プロセスに使用可能な誘電体又は電気絶縁性材料(例えば、1014オーム・メートルより大きな電気抵抗率を有する)で形成されたパックであってもよく、又は、これを含んでもよい。一実施形態では、静電チャック166は、約20℃~約500℃で使用可能な材料で構成される。一実施形態では、静電チャック166はAlNである。AlN静電チャック166はドープされていなくても、ドープされていてもよい。例えば、AlNは、酸化サマリウム(Sm)、酸化セリウム(CeO)、二酸化チタン(TiO)、又は遷移金属酸化物でドープされてもよい。一実施形態では、静電チャック166はAlである。Al静電チャック166は、ドープされていなくても、ドープされていてもよい。例えば、Alは、二酸化チタン(TiO)又は遷移金属酸化物でドープされてもよい。
【0021】
1以上のアダプタオブジェクト167は、静電チャック166の底部に接合されてもよい。アダプタオブジェクト167は、静電チャック166の熱膨張係数にほぼ調和する熱膨張係数を有してもよい。一実施形態では、アダプタオブジェクト167は、AlSi合金(AlSiSiCと呼ばれる)が浸透しているSiC多孔体で形成される。一実施形態では、アダプタオブジェクト167はモリブデンである。他の材料を使用することもできる。
【0022】
載置プレート162はチャンバ本体102の底部110に結合することができ、ユーティリティ(例えば、流体、電力線、センサリード等)をベースプレート164及び静電チャック166にルーティングするための経路を含む。ベースプレート164、及び/又は、静電チャック166は、1以上の任意の埋設加熱要素176、任意の埋設熱アイソレータ174、及び/又は、任意のコンジット168、170を含み、基板支持アセンブリ148の横方向の温度プロファイルを制御することができる。一実施形態では、熱ガスケット138は、ベースプレート164の少なくとも一部に配置される。
【0023】
コンジット168、170は流体源172に流体的に結合され、コンジット168、170を介して温度調節流体を循環させることができる。一実施形態では、埋設熱アイソレータ174をコンジット168、170の間に配置することができる。埋設加熱要素176はヒータ電源178により調整される。コンジット168、170及び埋設加熱要素176は、静電チャック166の温度を制御するため、及び、静電チャック166及び処理される基板(例えば、ウエハ)を加熱及び/又は冷却するために用いることができる。一実施形態では、静電チャック166は、別個の温度を維持することができる2つの別個の加熱ゾーンを含む。他の実施形態では、静電チャック166は、異なる温度を維持することができる4つの異なる加熱ゾーンを含む。また、より多くの又はより少ない加熱ゾーンを使用することもできる。静電チャック166及びベースプレート164の温度は、コントローラ195を用いてモニタすることができる複数の温度センサ190、192を用いてモニタすることができる。
【0024】
更に、静電チャック166は、複数のガス経路(例えば、静電チャック166の上面に形成することができる溝、メサ及び他の表面フィーチャ)を含むことができる。ガス経路は、パック166に穿孔されたホールを介して熱伝導(又は、背面)ガス(例えば、He)源に流体的に結合することができる。動作中、背面ガスは制御された圧力でガス経路に供給され、静電チャック166と基板144の間の熱伝導を向上することができる。
【0025】
一実施形態では、静電チャック166は、チャッキング電源182により制御される少なくとも1のクランプ電極180を含む。更に、クランプ電極180(チャッキング電極とも呼ばれる)は、整合回路188を介して1以上のRF電源184、186に結合され、処理チャンバ100内のプロセス及び/又は他のガスから形成されたプラズマを維持することができる。一般に、1以上のRF電源184、186は、約50kHz~約3GHzの周波数、約10、000ワットまでの電力を有するRF信号を生成することができる。一実施形態では、RF信号が金属ベースに印加され、交流(AC)がヒータに印加され、直流(DC)がクランプ電極180に印加される。
【0026】
図2は、静電チャック166、載置プレート162、ベースプレート164、冷却プレート165、及びペデスタル152を含む基板支持アセンブリ150の一実施形態の分解図を示す。図示のように、一実施形態では、ベースプレート164は内側凹部を含み、冷却プレート165は内側凹部に挿入され、取り付けられることができる。O-リング(図示せず)が、ベースプレート164の周縁部240においてベースプレート164上に配置されてもよい。一実施形態では、O-リングは、パーフルオロポリマー(PFP)O-リングである。代替的に、他のタイプの高温O-リングを用いてもよい。一実施形態では、断熱性高温O-リングが使用される。O-リングは、第1の厚さの第1のステップと第2の厚さの第2のステップを有する段付きO-リングであってもよい。これにより、ファスナを締め付けるために使用される力の量によるファスナの均一な締結を、PFPO-リングの設定量の圧縮後に劇的に増加させることができる。
【0027】
また、追加のO-リング(図示せず)を、ケーブルが通る冷却プレート165の中心のホール280の周囲の冷却プレート165及び/又はベースプレート164の上面に配置することもできる。他のより小さいO-リングを、他の開口の周り、リフトピンの周り等の冷却プレート165及び/又はベースプレート164上に配置することもできる。O-リングは、チャンバ内部容積と基板支持アセンブリ150内の内部容積の間の真空シールを提供する。基板支持アセンブリ150内の内部容積は、コンジット及び配線をルーティングするためのペデスタル152内の開放空間を含む。
【0028】
一実施形態では、ガスケット(例えば、PFPガスケット)を冷却プレート165の上面に配置することができる。ガスケット又はO-リング240に使用可能なPFPの例は、Dupont(商標名)社製のECCtreme(商標名)、Dupont社製のKALREZ(商標名)、及び、Daikin(商標名)社製のDUPRA(商標名)である。代替的に、ガスケットはグラフォイルとポリイミドの交互の層のスタックであってもよい。
【0029】
追加的に、冷却プレート165、及び/又は、ベースプレート164は、ファスナが挿入される多数のフィーチャ242を含む。幾つかの実施形態では、ガスケットは、フィーチャ242の各々に切り欠きを有することができる。
【0030】
ファスナは、各々のフィーチャ242を通って延び、静電チャック166に接着されたアダプタオブジェクトに形成された追加のフィーチャに挿入されるファスナ(又は、追加のファスナ)の追加部分に取り付けられる。例えば、ボルトは、冷却プレート164のフィーチャ242を通って延び、静電チャック166のフィーチャに配置されたナットにねじ込まれることができる。代替的に、ファスナがフィーチャ242を通って延び、静電チャック166の底部に接合されたアダプタオブジェクトに形成されたフィーチャに取り付けられてもよい。冷却プレート164内の各々のフィーチャは、静電チャック166の同様のフィーチャ(図示せず)に整列していてもよい。
【0031】
静電チャック166は、その上に配置された基板144の形状及びサイズに実質的に適合することができる環状周縁部230を有する円盤状の形状を有する。静電チャック166の上面は、外側リング216、複数のメサ206、210、及び、メサ210間のチャンネル208、212を有することができる。静電チャック166は、ベースプレート162の外側周縁部240上に載置されるリップ232を含む。一実施形態では、静電チャック150は、電気絶縁性セラミック材料により製造することができる。セラミック材料の好適な例は、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)等を含む。
【0032】
静電チャック166は、静電チャック166の底部に接合された2以上のアダプタオブジェクト(図示せず)を含むことができる。各々のアダプタオブジェクトは、ファスナを受け入れるための1以上のフィーチャ(図示せず)を含むことができる。フィーチャは、静電チャック166の表面に亘ってほぼ均一に分布させることができ、静電チャック166の底部により画定される円の中心から第1の距離にある第1セットのフィーチャと、静電チャック166の底部により画定される円の中心から第2の距離にある第2セットのフィーチャを含むことができる。
【0033】
静電チャック166の下に取り付けられたベースプレート164はディスク形状を有し、載置プレート162上に配置することができる。一実施形態では、ベースプレート164は、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属又は他の適切な材料で製造することができる。一実施形態では、冷却プレート165は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属又は他の材料で製造することができる。代替的に、冷却プレート165は、静電チャック166の熱膨張係数に合致するアルミニウム-シリコン合金浸透SiCのような複合セラミック又はモリブデンで製造することができる。
【0034】
図3は、静電チャック166の一実施形態の断面上面図を示す。図示のように、静電チャック166は半径R3を有し、これは静電チャックにより支持されるべき基板又はウエハの半径と実質的に同様である。追加的に、静電チャック166は複数のフィーチャ305を含む。フィーチャは、静電チャック166に取り付けられる冷却プレート内の同様のフィーチャに適合することができる。各々のフィーチャ305はファスナを収容する。例えば、ボルト(例えば、ステンレス鋼ボルト、亜鉛メッキ鋼ボルト等)を各々のフィーチャに配置し、これにより、ボルトの頭部が頭部を収容するのに十分な大きさの開口部の内側に配置し、ボルトのシャフトは静電チャック166の底面から延びることができる。ボルトは、冷却プレートの対応するフィーチャに配置されたナット上で締め付けられてもよい。代替的に、フィーチャ305は、ナットを収容するような大きさとすることができ、冷却プレートの対応するフィーチャに収容されるボルトのシャフトを受け入れることができるホールを含むことができる。他の例では、ヘリカルインサート(例えば、Heli-Coil(商標名))又は他のネジ付きインサート(例えば、プレスフィットインサート、モールドインインサート、キャプティブナット等)を、1以上のフィーチャに挿入し、ネジ付きホールを追加することができる。一実施形態では、フィーチャ305は、ボルト又はネジ付きロッドを挿入することができるネジ付きホールである。その後、ベースプレートの内側に配置され、冷却プレートから突出しているボルトは、ネジ付きインサート又はネジ付きフィーチャに挿入され、ベースプレート及び冷却プレートを静電チャック166に固定することができる。代替的に又は追加的に、ネジ付きインサートは冷却プレート及び/又はベースプレート内で用いることができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、フィーチャ305をファスナのサイズに比べてわずかに大きくし、これにより、ファスナのより大きい熱膨張係数を収容することができる。一実施形態では、ファスナが500又は600℃にまで加熱されたときに、ファスナはフィーチャに力を及ぼさないようなサイズである。
【0036】
図示のように、フィーチャ305の複数のセットが静電チャック166に含まれてもよい。フィーチャ305の各々のセットは、静電チャック166により画定される円の中心から特定の半径又は距離で均等に離間されてもよい。例えば、図示のように、第1のセットのフィーチャ305が半径R1に配置され、第2のセットのフィーチャ305が半径R2に配置される。また、フィーチャの付加のセットは、追加の半径に配置されてもよい。
【0037】
一実施形態では、フィーチャ305は、静電チャック166上に均一なロードを生成するように配置される。一実施形態では、ボルトが約30~70平方センチメートル毎(例えば、50平方センチメートル毎)に配置されるようにフィーチャが配置される。一実施形態では、12インチ静電チャック166に対して3セットのフィーチャが用いられる。第1セットのフィーチャは静電チャック166の中心から約4インチに配置することができ、約4個のフィーチャを含む。第2のセットのフィーチャは静電チャック166の中心から約6インチに配置することができ、約6個のフィーチャを含む。第3のセットのフィーチャは静電チャック166の中心から約8インチに配置することができ、約8個のフィーチャを含む。一実施形態では、静電チャック166は、2~3の異なる半径でセットに配置された約8~24のフィーチャを含み、各々のフィーチャはファスナを収容する。
【0038】
図4Aは、静電チャック400の底部の一実施形態の斜視図を示す。静電チャック400は、静電チャック400の特定の構成要素をよりよく示すために上下逆さまに示されている。図示のように、静電チャック400の底部は円を画定する。複数のホールが静電チャックの底部に穿孔され、アダプタオブジェクト420、424がこれらのホールに挿入され、金属ボンドを用いて静電チャック400に接合される。各々のアダプタオブジェクト420、424は1以上のフィーチャ422、426を含む。例えば、静電チャック400の周縁部近傍のアダプタオブジェクト420はフィーチャ420を含み、静電チャック400の底部に画定された円の中心近傍のアダプタオブジェクト424はフィーチャ426を含む。図示のように、各々のアダプタオブジェクト420、424は円形形状を有し、単一のフィーチャ422、426を含む。しかしながら、代替的な実施形態では、アダプタオブジェクト420、424は、異なる形状を有してもよく、異なるサイズを有してもよく、及び/又は、複数のフィーチャを含むことができる。例えば、アダプタオブジェクト420、424は、正方形、長方形、六角形、八角形、又は他の形状を有することができる。
【0039】
追加的に、静電チャック400は1以上のリフトピンホール499、及び/又は、ガス配送ホール480を含むことができる。図示の例では、ラインA1-A1‘は、2つの外側アダプタオブジェクト420、2つの内側アダプタオブジェクト424及びガス配送ホール480を通過するように示される。
【0040】
図4Bは、静電チャック402の底部の一実施形態の斜視図を示す。静電チャック402は、静電チャック402の特定の構成要素をよりよく示すために、上下逆さまに示されている。図示のように、静電チャック400の底部は円を画定する。2つのリング状トレンチが静電チャック402の底部に機械加工され、アダプタオブジェクト430、440がリング状トレンチに挿入され、金属ボンドを用いて静電チャック402に接合される。各々のアダプタオブジェクト430、440は複数のフィーチャ432、442を含む。例えば、静電チャック402の周縁部近傍のアダプタオブジェクト430はフィーチャ432を含み、静電チャックの底部により画定される円の中心近傍のアダプタオブジェクト440はフィーチャ442を含む。図示のように、各々のアダプタオブジェクト430、440はリング形状を有し、複数のフィーチャ432、442を含む。しかしながら、代替的な実施形態では、アダプタオブジェクト430、440は、異なる形状を有してもよく、異なるサイズを有してもよく、及び/又は、異なる数のフィーチャを含んでいてもよい。例えば、静電チャックは、1以上の直線状の長方形のアダプタオブジェクトを含むことができ、その幾つかは静電チャックの中心近傍のフィーチャ及び静電チャックの周縁部近傍のフィーチャを含むことができる。追加的又は代替的に、静電チャックは、複数の外側フィーチャ又は複数の内側フィーチャを含む部分的なリングの形状を有するアダプタオブジェクトを含むことができる。
【0041】
追加的に、静電チャック402は、1以上のリフトピンホール499、及び/又は、ガス配送ホール480を含むことができる。図示の例では、ラインA2-A2‘は、アダプタオブジェクト430、アダプタオブジェクト440及びガス配送ホール480を通過するように示される。
【0042】
図5は基板支持アセンブリ505の一実施形態の側断面図を示す。一実施形態では、基板支持アセンブリ505は図1及び図2の基板支持アセンブリ150に対応する。基板支持アセンブリ505は、静電チャック515、ベースプレート595、冷却プレート536、及び、載置プレート540を含む。
【0043】
一実施形態では、静電チャック515は、図4Aの静電チャック400に対応する。一実施形態では、図5の断面図は、図4AのラインA1-A1‘に対応する切断線で示される。一実施形態では、静電チャック515は、図4Bの静電チャック402に対応する。一実施形態では、図5の側断面図は、図4BのラインA2-A2‘に対応する切断線で示される。
【0044】
静電チャック515は、電気絶縁性(誘電性)セラミックス(例えば、AlN又はAl)で構成される。静電チャック515は、クランプ電極527及び1以上の加熱素子529を含む。クランプ電極527は、整合回路(図示せず)を介して、チャッキング電源(図示せず)、RFプラズマ電源(図示せず)、及び/又は、RFバイアス電源(図示せず)に接続することができる。加熱素子529は、静電チャック515を加熱するためのヒータ電源(図示せず)に電気的に接続される。
【0045】
一実施形態では、静電チャック515は、複数の凹部563、567を含む。凹部563、567は、様々な形状、深さ、及びサイズのホール、及び/又は、トレンチであってもよい。静電チャック515が図4Aの静電チャック400に対応する実施形態では、凹部563、567は円形のホールであり、複数の別個の凹部563及び複数の別個の凹部567が存在する。静電チャック515が図4Bの静電チャック402に対応する実施形態では、凹部563はリング形状のトレンチであり、凹部567は他のリング形状のトレンチである。
【0046】
凹部563は、金属ボンド550により凹部563に接合されるアダプタオブジェクト552を含む。アダプタオブジェクト552は、凹部563内で静電チャックの底部に接合されてもよい。同様に、凹部567は、凹部567に金属ボンド550で接合されるアダプタオブジェクト562を含む。アダプタオブジェクト562は、凹部567内で静電チャックの底部に接合されることができる。アダプタオブジェクト552は1以上のフィーチャ554を含む。追加的に、アダプタオブジェクト562は1以上のフィーチャ564を含む。各々のフィーチャは、以下により詳細に説明するように、ファスナを受けるように構成される。
【0047】
好ましくは、アダプタオブジェクト552、562は、静電チャック515のCTEと一致又は近似するCTEを有する材料で作られる。一実施形態では、アダプタオブジェクト552、562はモリブデンである。他の実施形態では、アダプタオブジェクトは、Kovar(商標名)のようなニッケル-コバルト鉄合金で作られる。
【0048】
他の実施形態では、アダプタオブジェクト552、562は、導電性金属マトリックス複合材料(MMC)材料で作られる。MMC材料は、金属マトリックスと、マトリックス全体に埋設され分散された補強材料を含む。金属マトリックスは、単一の金属又は2つ以上の金属又は金属合金を含むことができる。金属は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、コバルト(CO)、コバルト-ニッケル合金(CoNi)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。補強材料は、MMCに所望の構造強度を提供するように選択することができ、また、MMCの他の特性(例えば、熱伝導率及びCTE等)の所望の値を提供するように選択することもできる。使用することができる補強材料の例は、シリコン(Si)、炭素(C)、又は炭化ケイ素(SiC)を含むが、他の材料を使用することもできる。
【0049】
好ましくは、MMC材料は、基板支持アセンブリ505の動作温度範囲に亘って静電チャック515のCTEと実質的に一致するように選択される。一実施形態では、温度は約20℃~約500℃の範囲であってもよい。一実施形態では、CTEのマッチングはMCC材料の選択に基づき、これにより、MCC材料が、静電チャック515においても使用される少なくとも1の材料を含むことができる。一実施形態では、静電チャック515はAlNを含む。一実施形態では、MMC材料は、AlSi合金を浸透させたSiC多孔体(本明細書では、AlSiSiCと呼ぶ)を含む。
【0050】
MMCの構成材料及び組成百分率は、所望の設計目的を満たす工学的材料を提供するように選択することができる。例えば、静電チャック515のCTEと近接して一致するようなMCC材料の適切な選択により、アダプタオブジェクト552、562と静電チャック515の間の界面における熱―機械的応力が低減される。
【0051】
アダプタオブジェクト552、562と静電チャック515の間の熱膨張係数を一致させることにより、アダプタオブジェクト552、562を静電チャック515に接合することにより生じる応力を最小限に抑えることができる。一実施形態では、拡散接合が、金属ボンド550を生成するために用いられる。他の実施形態では、金属ボンド550を生成するため、ロウ付けが用いられる。しかしながら、金属ボンドを生成するため他の接合方法を用いることもできる。
【0052】
金属ボンド550は、静電チャック515とアダプタオブジェクト552、562の間の接合領域に配置されたアルミニウム箔又は他の金属箔の「中間層」を含むことができる。圧力と熱を加えて、アルミニウム箔と静電チャック515の間及びアルミニウム箔とアダプタオブジェクト552、562の間に拡散接合を形成することができる。他の実施形態では、静電チャック515及びアダプタオブジェクト552に用いられる材料に基づいて選択される他の中間層材料を用いて拡散接合を形成することができる。一実施形態では、金属ボンド550は約0.2~0.3mmの厚さを有する。一実施形態では、静電チャック515は、接合を形成するために中間層が使用されない直接拡散接合を用いて、アダプタオブジェクト552、562に直接接合されてもよい。
【0053】
静電チャック515は約5~35mmの厚さを有することができる。一実施形態では、静電チャック515は約8~15mmの厚さを有する。クランプ電極527を静電チャック515の上面から約0.3~1mmの位置に配置し、加熱素子529をクランプ電極527の下の約2mmの位置に配置してもよい。加熱素子529は約10~200ミクロンの厚さを有するスクリーン印刷された加熱素子であってもよい。代替的に、加熱素子529は、静電チャック515の約1~3mmの厚さを用いる抵抗性コイルであってもよい。追加的に、一実施形態では、静電チャック515は、凹部563、567と挿入されるアダプタオブジェクト552、562を収容するのに十分な追加の厚さを含む。幾つかの実施形態では、アダプタオブジェクト552、562は、約5mm~約25mmの厚さを有することができる。
【0054】
一実施形態では、静電チャック515は約300mmの直径を有する。代替的に、静電チャック515は他の直径を有していてもよい。ベースプレート595の縁部は、静電チャック515の直径と同様の直径を有することができる。プラズマ耐性の高温O-リング545を、静電チャック515とベースプレート595の間に配置することができる。このO-リング545は、基板支持アセンブリ505の内部と処理チャンバの間の真空シールを提供することができる。O-リング545は、パーフルオロポリマー(PFP)から製造することができる。一実施形態では、O-リング545は、SiC等の無機添加剤を含むPFPである。O-リング545は、交換可能であってもよい。
【0055】
ベースプレート595は、静電チャック515のためのヒートシンクとして作用することができる冷却プレート536を含む。冷却プレート536の材料は、冷却プレート536の熱伝導特性に影響する可能性がある。例えば、アルミニウム冷却プレート536は、ステンレス鋼冷却プレート536よりも熱を良好に伝導する。
【0056】
冷却プレート536は、ヒートシンク536を静電チャック515に押圧するように動作する1以上のスプリング570によりベースプレート595に結合されてもよい。一実施形態では、スプリング570はコイルスプリングである。スプリング570は、ヒートシンク536を静電チャック515に押圧する力を加える。静電チャック515は、冷却プレート536に結合され、熱伝導する。冷却プレート536は、流体源(図示せず)と流体連通している1以上のコンジット535(本明細書では、冷却チャンネルと呼ばれる)を有する。
【0057】
アダプタオブジェクト552、562は、ファスナを受け入れるための多数のフィーチャ554、564を集合的に含むことができる。ベースプレート595は、同様に、ファスナを収容するための複数のフィーチャ526を含むことができる。更に、冷却プレート536は、ファスナを収容するための複数の孔を含むことができる。一実施形態では、冷却プレート436及び/又はベースプレート495は、複数のファスナ528により静電チャック515に結合される。ファスナ528は、ネジファスナ(例えば、ボルト又はナット及びボルトペア)であってもよい。
【0058】
一実施形態では、フィーチャ526は、座ぐりを有するボルトホールである。フィーチャはベースプレート595を介して延びる貫通フィーチャであってもよい。一実施形態では、フィーチャ554、564は、アダプタオブジェクト552、562のネジ付きホールである。代替的に、フィーチャは、t-形状のボルトヘッド又は長方形ナットを収容するホール及び/又はスロットであってもよく、これらはスロット内に挿入され、90度回転される。一実施形態では、ヘリカルインサート(例えば、Heli-Coil(商標名))又は他のネジ付きインサート(例えば、プレスフィットインサート、モールドインインサート、キャプティブナット等)をフィーチャ524に挿入して、これにネジ付きホールを追加することができる。冷却プレート536の内部に配置され(例えば、冷却プレート536のベース部分595内のフィーチャ524内)、冷却プレート536から突出したボルトは、その後、冷却プレートをパックに固定するために、ネジ付きインサート又はネジ付きホールにねじ挿入されることができる。一実施形態では、ファスナは、ワッシャ、グラフォイル、アルミニウム箔、又は、ファスナの頭部からの力を均一にフィーチャ上に分配するための他の荷重分散材料を含む。
【0059】
一実施形態では、フィーチャ554、564は、フィーチャ554、564にネジ付きロッドを挿入する前にろう付けされるネジ付きホールである。その後、金属ボンド(例えば、拡散接合)手順を実行して、ネジ付きロッドをフィーチャ554、564に固定する。これにより、組み立て中の増加した力の適用に対する耐久性を高めることができる。
【0060】
冷却プレート536は、静電チャック515からの熱を吸収するヒートシンクとして作用することができる。一実施形態では(図示のように)、低熱伝導性ガスケット525が冷却プレート436上に配置される。低熱伝導性ガスケット525は、例えば、冷却プレート536上に配置されたPFPガスケットである。PFPガスケットは、約0.2ワット/メートルケルビン(W/(m・K))以下の熱伝導率を有することができる。
【0061】
代替的に、低熱伝導率ガスケット525は、グラフォイル層とポリイミド層の交互積層であってもよい。例えば、低熱伝導率ガスケット525は、第1のグラフォイル層、第1のグラフォイル層上のポリイミド層、及び、ポリイミド層上の第2のグラフォイル層のスタックであってもよい。他の例では、低熱伝導率ガスケット525は、第1のグラフォイル層、第1のグラフォイル層上の第1のポリイミド層、第1のポリイミド層上の第2のグラフォイル層、第2のグラフォイル層上の第2のポリイミド層、第2のポリイミド層上の第3のグラフォイル層のスタックであってもよい。
【0062】
ポリイミド層は、約0.2ワット/メートルケルビン(W/(m・K))の非常に低い熱伝導率を有することができる。しかしながら、ポリイミドの圧縮率は低い。ポリイミドが低熱伝導性ガスケット525を形成するために単独で用いられる場合、低圧縮率は静電チャック515と冷却プレート536の間の接触面積を減少させる可能性がある。グラフォイル層は高い熱伝導性を有し、また、高い圧縮性を有する。グラフオイルは、240W/(m・K)の面内の熱伝導率を有し、5W/(m・K)の面間の熱伝導率を有することができる。従って、グラフォイルとポリイミドとの交互スタックを使用することにより、低熱伝導率ガスケット525は、中程度から高い圧縮率と低い熱伝導率の両方を有することができる。実施形態では、ポリイミドの圧縮率は約1~2%であり、グラフォイルの圧縮率は約5~10%である。
【0063】
ファスナ528は、高温O-リング545及び/又は他のO-リングを均等に圧縮するように、ほぼ同じ力で締め付けることができる。低熱伝導率のガスケット525は、静電チャック515と冷却プレート536の間の熱伝導を減少し、熱チョークとして作用することができる。一実施形態では、グラフォイル層(図示せず)が低熱伝導率ガスケット525上に配置される。グラフォイルは、約10~40ミルの厚さを有することができる。ファスナは、低熱伝導率ガスケット525と同様に、グラフォイル層を圧縮するように締め付けられることができる。
【0064】
静電チャック515と冷却プレート536の間に熱チョークを維持することにより、静電チャック515を冷却プレート536よりもかなり高い温度に維持することができる。例えば、幾つかの実施形態では、静電チャック515を200~300℃の温度まで加熱することができ、一方、冷却プレート536を約80℃未満の温度に維持することができる。一実施形態では、冷却プレート536を約60℃以下の温度に維持しながら、静電チャック515を約250℃の温度まで加熱することができる。従って、実施形態では、静電チャック515と冷却プレート536の間で最大250℃までのデルタを維持することができる。静電チャック515及び冷却プレート536は、熱サイクル中に独立して自由に膨張又は収縮することができる。
【0065】
一実施形態では、載置プレート540がベースプレート595の下に配置され、ベースプレート595に結合される。一実施形態では、熱スペーサ585がベースプレート595上に(例えば、ガスケット545に隣接して)配置される。熱スペーサ585は、ベースプレート595が静電チャック515と接触しないことを確実にするために用いることができる。
【0066】
一実施形態では、冷却プレート536、ベースプレート595、及び/又は、静電チャック515に、1以上のガスホール532、542が穿孔される。ガスホール532、542は、背面ガス(例えば、ヘリウム)をチャックされた基板の背面に送るために用いることができる。一実施形態では、静電チャック515は、多孔性プラグ534で終端するガスホール532を含む。ガスホール532は、より大きな直径の穴で座ぐりされた貫通ホールであってもよく、これにより、多孔質プラグ534をより大きい直径の穴に挿入することが可能になる。多孔質プラグ534は多孔質セラミック(例えば、AlN又はAl)であってもよい。多孔質プラグ534はアーク放電を防止することができ、及び/又は、静電パック505内でプラズマが発生することを防止することができる。多孔質プラグは、約30%~約60%の間のいずれの多孔率を有する。
【0067】
一実施形態では、冷却プレート536はホールを含み、ベースプレート595は、冷却プレート536のホールを通って延びる突出部544を含む。ホール542は突出部544の中に(例えば、突出部544の中心に)穿孔することができる。一実施形態では、O-リング538が突出部544の上部に配置される。ファスナ526は、締め付けられると、O-リング538を圧縮することができる。O-リング538は、実施形態においてO-リング545と同じタイプのO-リングであってもよい。
【0068】
図6Aは、静電チャック600の底部の一実施形態の斜視図を示す。静電チャック600は、静電チャック600の特定の構成要素をよりよく示すために、上下逆さまに示されている。図示するように、静電チャック600の底部は平坦又はほぼ平坦であり、円を画定する。アダプタオブジェクト620、624は、金属ボンドを使用して静電チャック600の底部に接合される。各々のアダプタオブジェクト620、624は1以上のフィーチャ622、626を含む。例えば、静電チャック600の周縁付近のアダプタオブジェクト620はフィーチャ620を含み、静電チャック600の底部に画定された円の中心付近のアダプタオブジェクト624はフィーチャ626を含む。図示のように、各々のアダプタオブジェクト620、624は円形形状を有し、単一のフィーチャ622、626を含む。しかしながら、代替的実施形態では、アダプタオブジェクト620、624は異なる形状を有してもよく、異なるサイズを有してもよく、及び/又は、複数のフィーチャを含むことができる。例えば、アダプタオブジェクト620、624は、正方形、長方形、六角形、八角形、又は他の形状を有していてもよい。
【0069】
更に、静電チャック600は、1以上のリフトピンホール699、及び/又は、ガス配送ホール680を含むことができる。図示の例では、ラインB1-B1‘は、2つの外側アダプタオブジェクト620、2つの内側アダプタオブジェクト624及びガス配送ホール680を貫通するように示されている。静電チャックに対し、アダプタオブジェクト620、624が、静電チャック400の底部に穿孔されたホールではなく、静電チャックの底面に接合されるという点を除き、静電チャック600は静電チャック400と同様である。
【0070】
図6Bは、静電チャック602の底部の一実施形態の斜視図を示す。静電チャック602は、静電チャック602の特定の構成要素をよりよく示すために、上下逆さまに示されている。図示のように、静電チャック602の底部は平坦又はほぼ平坦であり、円を画定する。2個のリング形状アダプタオブジェクト630、640は、金属ボンドを用いて静電チャック602の底部に接合された。各々のダプタオブジェクト630、640は複数のフィーチャ632、642を含む。例えば、静電チャック602の周縁付近のアダプタオブジェクト630はフィーチャ632を含み、静電チャックの底部により画定される円の中心付近のアダプタオブジェクト640はフィーチャ642を含む。
【0071】
図示のように、アダプタオブジェクト630、640はリング形状を有し、複数のフィーチャ632、642を含む。しかしながら、代替的実施形態では、アダプタオブジェクト630、640は、異なる形状を有してもよく、異なるサイズを有してもよく、及び/例えば、異なる数のフィーチャを含んでいてもよい。例えば、静電チャックは1以上の直線状の長方形のアダプタオブジェクトを含むことができ、その幾つかは、静電チャックの中心付近のフィーチャ及び静電チャックの周縁付近のフィーチャを含むことができる。追加的又は代替的に、静電チャックは、複数の外側フィーチャ又は複数の内側フィーチャを含む部分的なリング形状を有するアダプタオブジェクトを含むことができる。
【0072】
更に、静電チャック602は、1以上のリフトピンホール699及び/又はガス配送ホール680を含むことができる。図示の例では、ラインB2―B2‘は、アダプタオブジェクト630、アダプタオブジェクト640及びガス配送ホール680を通過するように示されている。静電チャック602に対して、アダプタオブジェクト630、640は静電チャック402の底部に機械加工されたトレンチではなく、静電チャックの底面に接合される点を除いて、静電チャック602は静電チャック402と同様である。
【0073】
図7は基板支持アセンブリ705の一実施形態の側断面図を示す。一実施形態では、基板支持アセンブリ705は、図1及び図2の基板支持アセンブリ150に対応する。基板支持アセンブリ705は、静電チャック715、ベースプレート795、冷却プレート736、及び、載置プレート740を含む。
【0074】
一実施形態では、静電チャック715は、図6Aの静電チャック600に対応する。一実施形態では、図7の断面側面図は、図6AのラインB1-B1‘に対応する切断線で示される。一実施形態では、静電チャック715は図6Bの静電チャック602に対応する。一実施形態では、図7の断面側面図は、図6BのラインB2-B2‘に対応する切断線で示される。
【0075】
静電チャック715は、電気絶縁性(誘電性)セラミック(例えば、AlN又はAl)で構成される。静電チャック715は、クランプ電極727及び1以上の加熱素子729を含む。クランプ電極727は、整合回路(図示せず)を介して、チャッキング電源(図示せず)、RFプラズマ電源(図示せず)、及び/又は、RFバイアス電源(図示せず)に接続することができる。加熱素子729は、静電チャック715を加熱するため、ヒータ電源(図示せず)に電気的に接続される。
【0076】
アダプタオブジェクト752は、金属ボンド750により静電チャック715の底部に結合される。また、アダプタオブジェクト762は、金属ボンド750により静電チャック715の底部に接合される。アダプタオブジェクト752は1以上のフィーチャ754を含む。更に、アダプタオブジェクト762は1以上のフィーチャ764を含む。各フィーチャはファスナを受け入れるように構成される。金属ボンド750は、先に説明した金属ボンド550と同一であってもよい。例えば、金属ボンドは、拡散接合又はろう付けにより形成された金属ボンドであってもよい。アダプタオブジェクト752、762は、約5mm~約25mmの厚さを有することができる。
【0077】
好ましくは、アダプタオブジェクト752、762は、静電チャック715のCTEと一致するか又は類似するCTEを有する材料で作られる。一実施形態では、アダプタオブジェクト752、762はモリブデンである。他の実施形態では、アダプタオブジェクトは、Kovar(商標名)のようなニッケル-コバルト鉄合金で作られる。他の実施形態では、アダプタオブジェクト752、762は、AlSiSiCのような導電性金属マトリックス複合材料(MMC)で作られる。
【0078】
静電チャック715は約3~10mmの厚さを有することができる。一実施形態では、静電チャック715は約3~5mmの厚さを有する。クランプ電極727は静電チャック715の上面から約0.3~1mmの位置に配置されてもよく、加熱要素729はクランプ電極727の下の約2mmの位置に配置されてもよい。加熱要素729は、約10~200ミクロンの厚さを有するスクリーン印刷された加熱要素であってもよい。代替的に、加熱素子729は、静電チャック715の厚さ約1~3mmを使用する抵抗性コイルであってもよい。このような実施形態では、静電チャック715は約5mmの最小厚さを有することができる。
【0079】
一実施形態では、静電チャック715は約300mmの直径を有する。代替的に、静電チャック715は他の直径を有していてもよい。ベースプレート795の縁部は、静電チャック715の直径と同様の直径を有することができる。プラズマ耐性の高温O-リング745を、静電チャック715とベースプレート795の間に配置することができる。このO-リング745は、基板支持アセンブリ705の内部と処理チャンバの間の真空シールを提供することができる。O-リング745は、パーフルオロポリマー(PFP)で製造することができる。一実施形態では、O-リング745はSiC等の無機添加剤を含むPFPである。O-リング745は、交換可能であってもよい。
【0080】
ベースプレート795は、静電チャック715のためのヒートシンクとして作用することができる冷却プレート736を含む。冷却プレート736の材料は、冷却プレート736の熱伝導特性に影響する可能性がある。例えば、アルミニウム冷却プレート736は、ステンレス鋼冷却プレート736よりも熱を良好に伝導する。
【0081】
冷却プレート736は、1以上のスプリング770によりベースプレート795に結合することができ、スプリング770はヒートシンク736を静電チャック715に押圧するように動作する。一実施形態では、スプリング770はコイルスプリングである。スプリング770は、ヒートシンク736を静電チャック715に押圧する力を加える。静電チャック715は冷却プレート736に結合され、熱伝導する。冷却プレート736は、流体源(図示せず)と流体連通している1以上のコンジット735(本明細書では、冷却チャンネルと呼ばれる)を有する。
【0082】
冷却プレート736及び/又はベースプレート795は、接着されたアダプタオブジェクト752、762を有する静電チャック715の底部の表面プロファイルの逆である(例えば、ネガティブである)表面プロファイルを有するように機械加工されることができる。従って、アダプタオブジェクト752、762が静電チャック715の底部から突出する場合、冷却プレート736及びベースプレート795は、突出するアダプタオブジェクト752、762を収容するための凹部を含む。一実施形態では、凹部は、アダプタオブジェクト752、762の厚さに応じて、約5mm~約25mmの深さを有する。
【0083】
アダプタオブジェクト752、762は、ファスナを受け入れるための多数のフィーチャ754、764を集合的に含むことができる。ベースプレート795は、同様に、ファスナを収容するための複数のフィーチャ726を含むことができる。更に、冷却プレート736は、ファスナを収容するための複数の穴を含んでもよい。一実施形態では、冷却プレート636及び/又はベースプレート695は、複数のファスナ728により静電チャック715に結合される。ファスナは、ボルト又はナット及びボルト対等のネジ付きファスナであってもよい。
【0084】
一実施形態では、フィーチャ726は座ぐりを有するボルトホールである。フィーチャはベースプレート795を介して延びる貫通フィーチャであってもよい。一実施形態では、フィーチャ754、764は、アダプタオブジェクト752、762内のネジ付きホールである。代替的に、フィーチャは、スロット内に挿入され、その後、90度回転されるt形状ボルトヘッド又は長方形ナットを収容するホール及び/又はスロットであってもよい。一実施形態では、ファスナは、ワッシャ、グラフォイル、アルミニウム箔、又は、ファスナの頭部からの力をフィーチャ上に均一に分配するための他の荷重分散材料を含む。一実施形態では、ヘリカルインサート(例えば、Heli-Coil(登録商標))又は他のネジ付きインサート(例えば、プレスフィットインサート、モールドインインサート、キャプティブナット等)をフィーチャ754に挿入して、これにネジ付きホールを追加することができる。冷却プレート764の内側に配置されたボルト(例えば、冷却プレート736のベース部分795の内のフィーチャ754)であって、冷却プレート736から突出しているボルトは、ネジ付きインサート又はネジ付きフィーチャにねじ込まれて、冷却プレートを静電チャックに固定することができる。代替的に、ネジ付きインサートを冷却プレートで用いてもよい。
【0085】
一実施形態では、キャプティブナット、モールドインサート、圧入インサート、又は他のネジ付きインサートは、アダプタオブジェクト752、762内のフィーチャ754、764の内部に配置される。一実施形態では、フィーチャ754、764は、ネジ付きロッドをフィーチャ754、764に挿入する前にろう付けされるネジ付きホールである。次いで、金属ボンディング(例えば、拡散接合)手順を実行して、ネジ付きロッドをフィーチャ754、764に固定することができる。これにより、組み立て中の増加した力の適用に対する増加された耐久性を提供することができる。
【0086】
冷却プレート736は、静電チャック715から熱を吸収するためのヒートシンクとして作用することができる。一実施形態では(図示のように)、低熱伝導性ガスケット725が冷却プレート736上に配置される。低熱伝導性ガスケット725は、例えば、PFPガスケット又はポリイミドとグラフォイルの交互層のスタックであってもよい。
【0087】
ファスナ728をほぼ同じ力で締め付けて、低熱伝導率ガスケット725を均一に圧縮することができる。低熱伝導率ガスケット725は、静電チャック715と冷却プレート736の間の熱伝導を減少させ、熱チョークとして作用ことができる。一実施形態では、グラフォイル層(図示せず)が低熱伝導率ガスケット725上に配置される。グラフォイルは、約10~40ミルの厚さを有することができる。ファスナを、低熱伝導率ガスケット725と同様に、グラフォイル層を圧縮するように締め付けてもよい。グラフォイルは、熱伝導性であってもよい。
【0088】
静電チャック715と冷却プレート736の間に熱チョークを維持することにより、静電チャック715を冷却プレート736よりもはるかに高い温度に維持することができる。例えば、幾つかの実施形態では、静電チャック715を200~300℃まで加熱することができ、一方、冷却プレート736を約120℃未満の温度に維持することができる。一実施形態では、冷却プレート736を約60℃以下の温度に維持しながら、静電チャック715を約250℃の温度まで加熱することができる。従って、実施形態では、静電チャック715と冷却プレート736の間に190℃までのデルタを維持することができる。静電チャック715及び冷却プレート736は、熱サイクル中に独立して自由に膨張又は収縮することができる。
【0089】
一実施形態では、載置プレート740がベースプレート795の下に配置され、ベースプレート795に結合される。一実施形態では、熱スペーサ785がベースプレート795上に(例えば、ガスケット745に隣接して)配置される。熱スペーサ785は、ベースプレート795が静電チャック715と接触しないことを確実にするために用いることができる。
【0090】
一実施形態では、冷却プレート736、ベースプレート795、及び/又は、静電チャック715に、1以上のガスホール732、742が穿孔される。ガスホール732、742は、背面ガス(例えば、ヘリウム)をチャックされた基板の背面に配送するために用いられる。一実施形態では、静電チャック715は、多孔性プラグ734で終端するガスホール732を含む。ガスホール732は、より大きい直径の穴で座ぐりされている貫通ホールであり、これにより、多孔質プラグ734をより大きい直径の穴に挿入することが可能になる。多孔質プラグ734は多孔質セラミック(例えば、AlN又はAl)であってもよい。多孔質プラグ734は、アーク放電を防止することができ、及び/又は、静電パック705内でプラズマが発生することを防止することができる。多孔質プラグは、約30%~約60%の間のいずれかの多孔度を有する。
【0091】
一実施形態では、冷却プレート736はホールを含み、ベースプレート795は冷却プレート736のホールを通って延びる突出部744を含む。ホール742は、突出部744(例えば、突出部744の中央)に穿孔することができる。一実施形態では、O-リング738が突出部744の上部に配置される。ファスナ726は、締め付けられたときにO-リング738を圧縮することができる。O-リング738は、実施形態においてO-リング745と同じタイプのO-リングであってもよい。
【0092】
図8は基板支持アセンブリを製造するためのプロセス800の一実施形態を示す。プロセス800のブロック805において、凹部が、静電チャックの底部、又は、冷却プレートの上部、及び/又は、ベースプレートの上部に形成される。ブロック810において、2以上のアダプタオブジェクトが静電チャックの底部に接合される。凹部が静電チャックの底部に形成された場合、アダプタオブジェクトは凹部に接合される。凹部が冷却プレート及び/又はベースプレートに形成された場合、アダプタオブジェクトは、凹部と整列する位置で静電チャックの底部に接合される。アダプタオブジェクトは、AlSiSiCプレート、モリブデン、又は他の適切な材料で形成することができる。アダプタオブジェクトの各々は、ファスナを収容するための1以上のフィーチャを含む。
【0093】
ブロック815において、ガスケットが冷却プレートの上部に配置される。冷却プレートは、例えば、冷却流体を流すための複数のチャンネルを備えたアルミニウム又はアルミニウム合金の冷却プレートであってもよい。ガスケットは、PFP又はポリイミドとグラフォイルの交互スタックであってもよい。また、冷却プレート及び/又はベースプレートは、内部に形成されたフィーチャを有することができる。冷却プレート及び/又はベースプレートのフィーチャ及び下部パックプレートのフィーチャは、各々、ファスナ(例えば、ボルト及び/又はナット)を収容することができる。
【0094】
ブロック820において、ファスナがアダプタオブジェクト及び/又はベースプレート内のフィーチャに挿入される。ブロック825において、静電チャックは、ファスナ(例えば、下部パックプレートのフィーチャから冷却プレート内のフィーチャにあるナットに突出するネジ付きボルト)を締め付けることによりベースプレートに結合される。
【0095】
本発明の幾つかの実施形態の良好な理解を提供するため、上述の説明は多くの具体的な詳細(例えば、特定のシステム、コンポーネント、方法等の例)を述べている。しかしながら、当業者にとって、本発明の少なくとも幾つかの実施形態をこれらの具体的な詳細なしに実施することができることは明らかであろう。他の例では、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知のコンポーネント又は方法は詳細には記載されていないか、又は単純なブロック図形式で示されている。従って、記載された具体的な詳細は単なる例示である。特定の実施形態はこれらの例示的な詳細を修正することができ、これらは依然として本発明の範囲内にあると考えられる。
【0096】
本明細書を通じて、「一実施形態」又は「実施形態」の言及は、実施形態に関連して説明した特定のフィーチャ、構造、又は特性が少なくとも1の実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」又は「実施形態では」という表現の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指しているとは限らない。更に、「又は」という用語は排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。「約」又は「およそ」という用語が本明細書で使用される場合、これは提示される名目値が±10%以内で正確であることを意図している。
【0097】
本明細書の方法のオペレーションは特定の順序で示され、説明されているが、各々の方法のオペレーションの順序は変更することができ、特定のオペレーションを逆の順序で実行してもよく、特定のオペレーションを、少なくとも部分的に、他の操作と並行して実行してもよい。他の実施形態では、個別のオペレーションの命令又はサブオペレーションは、間欠的及び/又は交互であってもよい。一実施形態では、複数の金属ボンディングオペレーションは単一ステップとして実行される。
【0098】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではないことを理解すべきである。上記の説明を読み、理解すれば、他の実施形態は当業者には明らかになるであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲と共に定められるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8