(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム描画装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20220218BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20220218BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
H01L21/30 541W
H01J37/305 B
G03F7/20 504
(21)【出願番号】P 2017249436
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100088487
【氏名又は名称】松山 允之
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 宗博
【審査官】冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-147725(JP,A)
【文献】特開2012-004415(JP,A)
【文献】特開2015-095566(JP,A)
【文献】特開昭58-025235(JP,A)
【文献】特表2014-532298(JP,A)
【文献】米国特許第09040942(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ独立した荷電粒子ビームを発生する複数の照射源と、該各荷電粒子ビームを試料面に結像する為の静電または電磁レンズ場を荷電粒子ビーム毎に有し、荷電粒子ビーム毎に配置され、対応荷電粒子ビームを試料となる基板上の所望の位置に偏向する複数の対物偏向器と、を各々が有する複数のマルチビームセットと、
マルチビームセット毎に配置され、同じマルチビームセット内に配置される前記複数の対物偏向器を共通に制御する、複数の共通偏向アンプと、
各照射源から照射されるビームを個別にON/OFFする複数の個別ON/OFF機構と、
を備え、
前記複数のマルチビームセットの各マルチビームセットは、前記複数の照射源の1つと前記複数の対物偏向器の1つとを各々が有する複数のマルチビームカラムをフレームに嵌め込んでユニット化された状態で構成され、
更に複数のマルチビームセットをフレームに嵌め込んでユニット化された状態でマルチビームブロックが構成され、
更に複数のマルチビームブロックをフレームに嵌め込んでユニット化された状態でマルチビームクラスタが構成され、
更
に、1個以上のマルチビームクラスタから構成されたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項2】
複数の基板を所定の方向に移動可能に載置するステージをさらに備え、
前記ステージは、移動方向に前記複数の基板を並べて配置し、
前記複数のマルチビームセットは、前記複数の基板の移動方向と同方向に配列され、
前記複数のマルチビームセットは、前記複数の基板が前記移動方向に移動している状態で、前記複数の基板を連続的に描画することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項3】
前記複数のマルチビームセットは、同一基板上の異なる露光ピクセル群を描画し、
更に、1つのマルチビームセットにより露光された露光ピクセル群の間に異なるマルチビームセットにより露光される露光ピクセル群が配置され、
前記基板が前記複数のマルチビームセットの照射可能領域を通過することによって、前記基板の描画処理が完了することを特徴とする請求項1又は2記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法に係り、例えば、マルチビームを用いてウェハ上に直接パターンを描画する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、露光用マスクを介さずに電子線を使って半導体ウェハにパターンを直接描画することが行われている。
【0003】
更に、試料の露光面積をS、レジスト感度をd、ビーム平均電流をIbとすると、ビームの移動時間等の無駄な時間Tneを除くと、描画時間Ttot=Sd/Ib+Tneで与えられる。即ち、露光時間を短縮する為には、ビーム平均電流Ibを大きくすること、或いは/及び、無駄な時間Tneを短くすることが必要であることが判る。
従来電子ビーム描画で主に用いられている可変成形ビーム方式においては、電流密度は通常ビーム寸法によらない為、パターンが細かくなると、ビーム寸法が小さくなり、従って、ビーム平均電流Ibが小さくなる。また、ビームの移動にかかる時間Tneが増大する。その為、Ttotを短くすることが難しい。
【0004】
時間Tneを短くし、ビーム平均電流Ibを大きくする方式として、例えば、マルチビームを使った描画装置がある。1本の電子ビームで描画する場合に比べて、マルチビームを用いることで一度に多くのビームを照射できるのでパターンによらずビーム平均電流Ibを大きくでき、また、一度に多くのビームの偏向を行うので、時間Tneの増大を抑えることができるため、スループットを大幅に向上させることができる。かかるマルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを複数の穴を持ったマスクに通してマルチビームを形成し、各々、ブランキング制御され、遮蔽されなかった各ビームが光学系で縮小され、共通偏向器でマルチビーム全体が一括偏向され試料上の所望の位置へと照射される。
【0005】
かかるマルチビーム描画装置では、1つの照射源から放出される1本のビームからマルチビームに分割するため、マルチビーム全体でのビーム電流量を大きくするには限界がある。よって、さらなるスループットの向上には限界がある。
【0006】
また、各々に電子銃、レンズ、及び偏向器を備えたビーム1本ずつの電子ビームカラムを組み合わせたマルチカラムを用いた描画装置も検討されている。かかるマルチカラム描画装置では、半導体ウェハ上に形成される同じパターンの複数のダイ(チップ)を各カラムが1つずつ担当して描画する。マルチカラム描画装置では、各ビームが個別の電子銃によって放出されるため、電流量を上げることは可能かもしれない。しかしながら、マルチカラム描画装置では、個々のカラムが独立して制御されるため、偏向器の偏向アンプの数も、それに応じて必要となる。1つの偏向器が例えば8極の電極によって構成される場合、ビーム1本あたり8個の偏向アンプが必要となる。よって、マルチビームとして、1度に例えば2000本のビームを照射する場合、16000個の偏向アンプが必要となり、16000個の偏向アンプの制御が必要となってしまう。そのため、実用上、搭載できるビーム本数には限界があり、描画スループットの向上といったマルチビーム描画がもつ、特異の性能を十分に発揮することが困難となる。仮に、さらにカラムの増設ができたとしても、1枚のウェハ上に形成されるダイ(チップ)の数と同数が上限となるため、ビーム本数が限定され、やはり半導体ウェハの量産には限界がある。
【0007】
これらに対して、複数の電子銃からそれぞれビームを放出して、電子銃の数だけのマルチビームを形成し、共通の電子光学系でマルチビーム全体を一括で集束および偏向させて試料上の所望の位置へと照射する描画装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる構成では各ビームが個別の電子銃によって放出されるため、電流量を上げることは可能である。しかしながら、ビーム全体の径サイズが大きくなってしまうので、偏向器に用いる電極が大きくなってしまう。よって、搭載できるビーム本数が限定され、やはり半導体ウェハの量産には限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の一態様は、マルチビーム描画のスループットを向上させ、半導体基板の量産が可能な描画装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画装置は、
それぞれ独立した荷電粒子ビームを発生する複数の照射源と、該各荷電粒子ビームを試料面に結像する為の静電または電磁レンズ場を荷電粒子ビーム毎に有し、荷電粒子ビーム毎に配置され、対応荷電粒子ビームを試料となる基板上の所望の位置に偏向する複数の対物偏向器と、を各々が有する複数のマルチビームセットと、
マルチビームセット毎に配置され、同じマルチビームセット内に配置される前記複数の対物偏向器を共通に制御する、複数の共通偏向アンプと、
各照射源から照射されるビームを個別にON/OFFする複数の個別ON/OFF機構と、
を備え、
前記複数のマルチビームセットの各マルチビームセットは、前記複数の照射源の1つと前記複数の対物偏向器の1つとを各々が有する複数のマルチビームカラムをフレームに嵌め込んでユニット化された状態で構成され、
更に複数のマルチビームセットをフレームに嵌め込んでユニット化された状態でマルチビームブロックが構成され、
更に複数のマルチビームブロックをフレームに嵌め込んでユニット化された状態でマルチビームクラスタが構成され、
更に、1個以上のマルチビームクラスタから構成されたことを特徴とする。
【0011】
また、複数の基板を所定の方向に移動可能に載置するステージをさらに備え、
ステージは、移動方向に複数の基板を並べて配置し、
複数のマルチビームセットは、複数の基板の移動方向と同方向に配列され、
複数のマルチビームセットは、複数の基板が移動方向に移動している状態で、複数の基板を連続的に描画すると好適である。
【0012】
複数のマルチビームセットは、同一基板上の異なる露光ピクセル群を描画し、
更に、1つのマルチビームセットにより露光された露光ピクセル群の間に異なるマルチビームセットにより露光される露光ピクセル群が配置され、
基板が複数のマルチビームセットの照射可能領域を通過することによって、基板の描画処理が完了するように構成すると好適である。
【0013】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画方法は、
所定の方向に並べた複数の基板を所定の方向に連続移動させる工程と、
複数の基板が所定の方向に連続移動させられている状態で、各々がマルチビームを照射する複数のマルチビームセットを用いて、各マルチビームセットが、各基板に設けられる同一パターンが形成される複数のダイ領域の各ダイ領域よりも小さい、同一基板上の同一小領域内の異なる露光ピクセル群を順に描画しながら、複数の基板を描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、複数の基板は、周回軌道に沿って連続移動し、
複数のマルチビームセットは、周回軌道に沿って配置され、
各基板が周回軌道上を1周または複数回周回するまでの間に各基板の描画処理が完了するように、複数のマルチビームセットが複数の基板を描画すると好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、マルチビーム描画のスループットを向上させ、半導体基板の量産ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
【
図2】実施の形態1におけるマルチビームクラスタのシステム構成の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態1におけるマルチビームブロックのシステム構成の他の一例を示す図である。
【
図4】実施の形態1におけるマルチビームクラスタのシステム構成の他の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態1におけるマルチビームセットのシステム構成の他の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態1におけるマルチビームセットのシステム構成の他の一例を示す図である。
【
図7】実施の形態1におけるマルチビームセットのシステム構成の他の一例を示す図である。
【
図8】実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の一例を示す図である。
【
図9】実施の形態1における静電レンズの一例を示す断面図である。
【
図10】実施の形態1における静電レンズの他の一例を示す断面図である。
【
図11】実施の形態1における対物偏向器と偏向アンプとの関係の一例を示す上面図である。
【
図12】実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。
【
図13】実施の形態1における描画手順の一例を説明するための図である。
【
図14】実施の形態1における描画手順の一例を説明するための図である。
【
図15】実施の形態1におけるチップ領域内の小領域をマルチビームセットで描画する場合の描画手法の一例を示す図である。
【
図16】実施の形態1における複数の基板の連続描画を行う手法の一例を説明するための図である。
【
図17】実施の形態1における複数の基板の連続描画を行う手法の他の一例を説明するための図である。
【
図18】実施の形態1における複数の基板の連続描画を行う手法の他の一例を説明するための図である。
【
図19】実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の他の一例を示す図である。
【
図20】実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の他の一例を示す図である。
【
図21】実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の他の一例を示す図である。
【
図22】実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の他の一例を示す図である。
【
図23】実施の形態1における静電レンズアレイの一例を示す上面図である。
【
図24】実施の形態1における静電レンズアレイの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
【0018】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
図1において、描画装置100は、描画機構150と制御系回路160を備えている。描画装置100は、荷電粒子ビーム描画装置の一例である。描画機構150は、描画室102を備えている。描画室102内には、複数のマルチビームクラスタ16、及びステージ105が配置される。
図1の例では、複数のマルチビームクラスタ16が配置される場合を示しているが、これに限るものではなく、1個以上のマルチビームクラスタ16が配置される場合であればよい。ステージ105の上部には基板101固定用の例えば静電チャックを複数設けてある。図示していない搬送システムの働きにより、基板101をステージ105上に搬送または、ステージ105から外部に取り出す。かかる動作により、ステージ105上には、描画対象となる複数の基板101が描画される面を上面に向けて配置される。ステージ105の位置は、各基板101位置測定の為に、例えばレーザー干渉計やリニアスケールの様な位置測定機構138により測定される。各基板101の位置は、測定されるステージ位置から相対的に求めることができる。かかる位置測定手段は複数設けることが望ましい。描画時のステージ移動方向をx方向とする時にy方向の測定手段を複数設けておく。複数のy方向測定手段の出力から、各マルチビームセット12でのy方向のウェハ位置を推定し、その値とx方向のウェハ位置の推定値をステージトラッキングに用いる。各マルチビームクラスタ16は、1個以上のマルチビームブロック14により構成される。各マルチビームブロック14は、複数のマルチビームセット12により構成される。言い換えれば、マルチビームクラスタ16は、複数のマルチビームセット12から構成される。マルチビームセット12はマルチビームカラムの一種である。電子ビームカラム10は電子源と電子源から放出された電子ビームを基板101面に集束結像させるためのレンズ機構と対物偏向器とを有する単位と定義する。電子ビームカラム10単位のレンズ機構として、複数のレンズを配列したレンズアレイの一部である場合を含む。レンズ機構は、電子ビームを試料面に結像する為の静電または電磁レンズ場を形成する。各マルチビームセット12は、複数の電子ビームカラム10を有しており、同じマルチビームセット12内の各対物偏向器には共通の偏向器駆動入力信号が入力され、共通の偏向器駆動電場または電流により、各対物偏向器を駆動する様に構成されたものとして定義される。更に、マルチビームセット12は共通な機械的固定手段にそのマルチビームセット12に属する各電子ビームカラム10が取り付けられている。言い換えれば、複数のマルチビームセット12は、それぞれ独立した電子ビームを発生する複数の照射源と、該各電子ビームを試料面に結像する為の静電または電磁レンズ場を電子ビーム毎に有し、電子ビーム毎に配置され、対応電子ビームを試料となる基板上の所望の位置に偏向する複数の対物偏向器と、を各々が有する。マルチビームクラスタ16、マルチビームブロック14、及びマルチビームセット12は、マルチカラムの一例である。基板101として、例えば、レジストが塗布された半導体基板(半導体ウェハ)、或いは半導体ウェハにマスクパターンを転写するための、レジストが塗布されたマスク基板等が用いられる。また、描画室102内は、図示しない真空ポンプにより排気され、大気圧よりも低い真空環境に制御される。電子光学鏡筒の真空排気はマルチビームクラスタ16単位で行い、複数の基板101が載置されるステージ105が格納される試料チェンバの真空排気はシステム全体でまとめて行う様にすれば、電子光学系全体を一括して真空排気するよりも小型化出来る。
【0019】
制御系回路160は、制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、デジタル・アナログ変換(DAC)アンプ132、レンズ制御回路134、ステージ駆動回路139、電源回路170、中継回路180,182,184,186、及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142を有している。制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、レンズ制御回路134、ステージ駆動回路139、電源回路170、及び記憶装置140,142は、図示しないバスを介して互いに接続されている。偏向制御回路130には、DACアンプ132及び中継回路184が接続されている。DACアンプ132の出力は中継回路186に接続される。電源回路170は、中継回路180に接続される。レンズ制御回路134は、中継回路182に接続される。なお、
図1では、DACアンプ132及び中継回路186が1つずつしか示されていないが、後述する偏向器の電極数にマルチビームセット12の数を乗じた数が配置される。同様に、
図1では、各中継回路180,182,184が1つずつしか示されていないが、各中継回路180,182,184は、例えば、マルチビームセット12毎に配置されると好適である。各中継回路180,182,184,186は、描画室102内に配置されると好適である。その他の制御系回路160は、図示しない制御室に配置されればよい。ステージ駆動回路139は、ステージ105を移動させる。
【0020】
制御計算機110内には、ラスタライズ部50、照射量演算部52、照射時間データ加工部54、及び描画制御部56が配置されている。ラスタライズ部50、照射量演算部52、照射時間データ加工部54、及び描画制御部56といった各「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。ラスタライズ部50、照射量演算部52、照射時間データ加工部54、及び描画制御部56に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
【0021】
また、描画装置100の外部から描画データが入力され、記憶装置140に格納される。描画データには、通常、描画するための複数の図形パターンの情報が定義される。具体的には、図形パターン毎に、図形コード、座標、及びサイズ等が定義される。或いは、図形パターン毎に、図形コード、及び各頂点座標等が定義される。
【0022】
ここで、
図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
【0023】
図2は、実施の形態1におけるマルチビームクラスタのシステム構成の一例を示す図である。
図2(a)の例では、x,y方向(縦横)に配列される3×3個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・により1つのマルチビームセット12が構成される。各電子ビームカラム10は、断面が正方形のフレーム内に例えば円筒状のカラム(鏡筒)が配置される。そして、マルチビームセット12では、これらの3×3個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・をまとめ、図示しないフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。そして、
図2(b)の例では、x,y方向(縦横)に配列される3×3個のマルチビームセット12a,b,c,・・・により1つのマルチビームブロック14が構成される。マルチビームブロック14では、これらの3×3個のマルチビームセット12a,b,c,・・・をまとめ、図示しないフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。
図2(c)の例では、そして、x,y方向(縦横)に配列される2×2個のマルチビームブロック14a,b,・・・により1つのマルチビームクラスタ16が構成される。マルチビームクラスタ16では、これらの2×2個のマルチビームブロック14a,b,・・・をまとめ、図示しないフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。
図2(a)~
図2(c)の例では、1つのマルチビームクラスタ16によって、324本のマルチビームの照射が可能となる。マルチビームクラスタ16のシステム構成は、これに限るものではない。
また、フレームには反射電子検出器や光てこを利用したZセンサ機構を設けておくと好適である。更に、温度調整用の水冷配管もフレームに設ける様にすると良い。
【0024】
図3は、実施の形態1におけるマルチビームブロックのシステム構成の他の一例を示す図である。
図4は、実施の形態1におけるマルチビームクラスタのシステム構成の他の一例を示す図である。
図3及び
図4の例では、ハニカム状に配列される例えば19個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・により1つのマルチビームセット12が構成される。各電子ビームカラム10は、断面が正6角形のフレーム内に例えば円筒状のカラム(鏡筒)が配置される。そして、マルチビームセット12では、これらの19個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・をまとめ、断面が正6角形のフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。そして、ハニカム状に配列される例えば19個のマルチビームセット12a,b,c,・・・により1つのマルチビームブロック14が構成される。そして、マルチビームブロック14では、これらの19個のマルチビームセット12a,b,c,・・・をまとめ、断面が正6角形のフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。そして、ハニカム状に配列される例えば19個のマルチビームブロック14a,b,c,・・・により1つのマルチビームクラスタ16が構成される。そして、マルチビームクラスタ16では、これらの19個のマルチビームブロック14a,b,c,・・・をまとめ、断面が正6角形のフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。ハニカム構造に配列することにより無駄な隙間を低減して、単位面積あたりの電子ビームカラム10の配列数を多くできる(電子ビームカラム10を密に配置できる)。言い換えれば、単位面積あたりのマルチビームのビーム数を多くできる(マルチビームを密に配置できる)。
図3及び
図4の例では、1つのマルチビームクラスタ16によって、6859本のマルチビームの照射が可能となる。
【0025】
図5は、実施の形態1におけるマルチビームセットのシステム構成の他の一例を示す図である。
図5の例では、複数の正3角形の辺同士を合わせて正6角形を形作るように配列される例えば24個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・により1つのマルチビームセット12が構成される。各電子ビームカラム10は、断面が正3角形のフレーム内に例えば円筒状のカラム(鏡筒)が配置される。そして、マルチビームセット12では、これらの24個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・をまとめ、断面が正6角形のフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。マルチビームブロック14及びマルチビームクラスタ16のシステム構成は、
図3及び
図4と同様で構わない。
図5の例では、1つのマルチビームクラスタ16によって、8664本のマルチビームの照射が可能となる。
【0026】
図6は、実施の形態1におけるマルチビームセットのシステム構成の他の一例を示す図である。
図6の例では、複数の正3角形の辺同士を合わせて正3角形を形作るように配列される例えば9個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・により1つのマルチビームセット12が構成される。各電子ビームカラム10は、断面が正3角形のフレーム内に例えば円筒状のカラム(鏡筒)が配置される。そして、マルチビームセット12では、これらの9個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・をまとめ、断面が正3角形のフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。マルチビームブロック14及びマルチビームクラスタ16のシステム構成についても、
図6に示すように、複数の正3角形の辺同士を合わせて正3角形を形作るように配列されればよい。
図6の例では、1つのマルチビームクラスタ16によって、例えば729本のマルチビームの照射が可能となる。
【0027】
図7は、実施の形態1におけるマルチビームセットのシステム構成の他の一例を示す図である。
図7の例では、複数の正3角形の辺同士を合わせて平行四辺形を形作るように配列される例えば8個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・により1つのマルチビームセット12が構成される。各電子ビームカラム10は、断面が正3角形のフレーム内に例えば円筒状のカラム(鏡筒)が配置される。そして、マルチビームセット12では、これらの8個の電子ビームカラム10a,b,c,・・・をまとめ、断面が平行四辺形のフレームに嵌め込んでユニット化された状態に構成されると好適である。マルチビームブロック14及びマルチビームクラスタ16のシステム構成は、それぞれ複数の平行四辺形の辺同士を合わせて平行四辺形を形作るように配列されればよい。
【0028】
図2~
図7のいずれの配列構成においても、複数の電子ビームカラム10a,b,c,・・・により1つのユニット化されたマルチビームセット12が構成される。同様に、複数のマルチビームセット12a,b,c,・・・により1つのユニット化されたマルチビームブロック14が構成される。同様に、複数のマルチビームブロック14a,b,・・・により1つのユニット化されたマルチビームクラスタ16が構成される。ユニット化された複数の階層に分けることで、ビームの増設本数のレベルに応じて容易にユニットを組合せることができる。言い換えれば、マルチビームのビーム本数の増設を増設本数のレベルに応じて容易にできる。
【0029】
図8は、実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の一例を示す図である。各電子ビームカラム10a,b,c,・・・内には、電子銃201、制限アパーチャ基板202、ブランキング偏向器204、静電レンズ205、制限アパーチャ基板206、静電レンズ208、及び対物偏向器209が配置される。
図8の例では、電子銃201、制限アパーチャ基板202、ブランキング偏向器204、静電レンズ205、制限アパーチャ基板206、静電レンズ208、及び対物偏向器209が、1つの例えば円筒状の鏡筒(カラム)内に配置されることによって、各電子ビームカラム10a,b,c,・・・が個別に構成される場合を示している。
図8の例に示すように、各電子ビームカラム10a,b,c,・・・内には、電子ビームを照射する独立した照射源となる電子銃201が個別に配置される。さらに、各電子ビームカラム10a,b,c,・・・内には、対応電子ビームを試料となる基板101上の所望の位置に偏向する対物偏向器209が個別に配置される。よって、各マルチビームセット12は、それぞれ独立した電子ビームを照射する複数の電子銃201と、電子ビーム毎に配置され、対応電子ビームを基板101上の所望の位置に偏向する複数の対物偏向器209と、を各々が有する。また、
図8の例では、各電子ビームカラム10a,b,c,・・・内に、対応電子ビームを基板101上に焦点を合わせるように導く複数の静電レンズ205,208が個別に配置される。1本の電子ビームカラム10の占める領域の直径は例えば2mm程度、電子銃先端から基板101面への距離は例えば20mm程度とする。加速電圧は例えば3kVである。この様な小さい構造のレンズの製造はMEMS技術や微細機械加工技術を用いることで可能である。
ここで、ステージ移動方向をx方向とした時に、ある電子ビームカラム10のy方向の偏向領域の最小値をy1,最大値をy2とし、y1≦y≦y2で定義されるy方向の範囲をwyと定義する時にすべてのwyを合わせて得られる全範囲Wytotの覆うy方向範囲は、少なくとも描画対象のy方向範囲を覆い、且つ、隙間が無い様にしておく。このことにより、x方向のみのステージ移動によっても描画対象の全領域を露光することが可能となる。
【0030】
各電子ビームカラム10a,b,c,・・・内において、電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム20は、制限アパーチャ基板202全体を照明する。制限アパーチャ基板202には、中心に矩形或いは円形の穴(開口部)が形成され、電子ビーム20の一部が、かかる穴を通過することによって、ビーム形状が成形される。このように、マルチビームセット12内の複数の電子銃201は、電源回路170による制御のもと中継回路180を介して、共通の電圧が印加される。
図8の例では、電子銃201として、例えば、微小電界電子源(電界放出型電子銃)が用いられる。微小電界電子源では、図示しないエミッタと引出電極(アノード)間への電源回路170からの加速電圧の印加と共に、図示しない引出電極(ウェネルト)の電圧の印加によってエミッタから放出された電子群が加速させられ、電子ビーム20となって放出される。複数の電子銃201に同じ電源回路170(或いは同じ中継回路180)から共通の電圧が印加されるので、ビーム本数に対して、電源系および制御系の数を大幅に低減できる。但し、これに限るものではない。各電子銃201の引出電極(ウェネルト)に加える電圧を制御して、エミッタから放出される電流を制御することが出来る。また、各電子銃201を個別にON/OFF制御しても構わない。1つの電子銃から放出されたビームからマルチビームを形成する場合と異なり、各電子ビーム20の電子銃201が異なるため、各電子銃201の出力アップが複数のビームに分散されず、ビーム1本あたりの電流量を大幅に上げることができる。よって、各電子銃201からの電流量を上げれば、マルチビーム全体としての電流量を大幅に増加できる。よって、単位面積あたりの電流量が大きくなるので、その分、単位時間あたりのドーズ量も大きくできる。よって、基板101上のレジストの解像に必要なドーズ量を与えるための照射時間を大幅に短縮でき、スループットを向上させることができる。
【0031】
制限アパーチャ基板202の穴を通過した電子ビーム20は、ブランキング偏向器204内を通過する。かかるブランキング偏向器204は、個別に通過する電子ビーム20を偏向する(ブランキング偏向を行う)。ブランキング偏向器204によってビームONとして偏向されなかった電子ビーム20は、静電レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に形成された中心の穴に向かって進む。ここで、ブランキング偏向器204によってビームOFF状態になるように偏向された電子ビーム20(点線)は、制限アパーチャ基板206の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板206によって遮蔽される。一方、ブランキング偏向器204によって偏向されなかった電子ビーム20は、
図8に示すように制限アパーチャ基板206の中心の穴を通過する。ブランキング偏向器204と制限アパーチャ基板206とによって構成される個別ブランキング機構のON/OFF(個別ON/OFF機構)によって、ブランキング制御が行われ、ビームのON/OFFが制御される。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板206を通過したビームにより、1回分のショットのビームが形成される。このように、マルチビームセット12内の複数の個別ブランキング機構(個別ON/OFF機構)は、偏向制御回路130による制御のもと中継回路184を介して、照射源となるそれぞれ対応する電子銃201から照射されるビームを個別にON/OFFする。よって、マルチビームクラスタ16、マルチビームブロック14、及びマルチビームセット12のいずれの階層においても、各ビームは、独立して、個別にビームのON/OFF制御が行われる。
【0032】
制限アパーチャ基板206を通過した電子ビーム20は、対物レンズとなる静電レンズ208により基板101上に焦点が合わされ、所望の縮小率のパターン像となる。そして、対物偏向器209によって、制限アパーチャ基板206を通過した電子ビーム20が偏向され、試料101上の所望の照射位置に照射される。
図8では偏向収差の増大を抑える為に、偏向器を2段にした2段偏向を採用した例を示している。
【0033】
図9は、実施の形態1における静電レンズの一例を示す断面図である。中央部が開口された3段の円盤状の電極17,18,19によって、1つの静電レンズ205(或いは208)が構成される。上下の電極17,19にはグランド電位が印加され、中央の電極18の電位を調整することによって電子を屈折させるレンズ作用の強度を調整する。
図8の例では、縮小、投影および対物レンズに静電レンズを用いたが、これに限るものではない。電磁レンズを配置しても構わない。或いは静電レンズと電磁レンズの組合せであっても良い。
図8の例では、同じマルチビームセット12内に配置される各静電レンズ205は、レンズ制御回路134による制御のもと、中継回路182を介して、共通に制御されると好適である。同様に、同じマルチビームセット12内に配置される各静電レンズ208は、レンズ制御回路134による制御のもと、中継回路182を介して、共通に制御されると好適である。かかる構成により、1つのマルチビームセット12内の複数の電子ビームカラム10a,b,c,・・・の各静電レンズに対して、共通の信号を分配することにより制御できる。よって、マルチビームセット12を構成する電子ビームカラム10の数に関わらず、制御系を簡略化できる。
【0034】
図10は、実施の形態1における静電レンズの他の一例を示す断面図である。
図10に示すように、静電レンズを多段にして用いることも出来る。これは印加電圧低減に有効である。電極18,18bには同じ電圧を加えることも出来るし、別の電圧出力を接続して、異なる電圧を加えることも出来る。段数は更に増やすことも出来る。電極17bにはグランド電位が印加される。
【0035】
図11は、実施の形態1における対物偏向器と偏向アンプとの関係の一例を示す上面図である。
図11の例では、対物偏向器209が、例えば、8極の電極209-1~209-8により構成される場合を示している。各電極209-1~209-8に印加する電位を調整することによって、8極の電極209-1~209-8により囲まれる中央部を通過する電子ビーム20を偏向できる。ここで、
図11の例では、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209は、偏向制御回路130による制御のもと、共通のDACアンプ132からの出力を用いて、中継回路186を介して、共通に制御される。具体的には、例えば、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209a,b,・・・の電極209-1同士には、同じDACアンプ132-1の出力が同じ中継回路186-1によって分配された電位が印加される。同様に、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209a,b,・・・の電極209-2同士には、同じDACアンプ132-2の出力が同じ中継回路186-2によって分配された電位が印加される。同様に、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209a,b,・・・の電極209-3同士には、同じDACアンプ132-3の出力が同じ中継回路186-3によって分配された電位が印加される。同様に、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209a,b,・・・の電極209-4同士には、同じDACアンプ132-4の出力が同じ中継回路186-4によって分配された電位が印加される。同様に、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209a,b,・・・の電極209-5同士には、同じDACアンプ132-5の出力が同じ中継回路186-5によって分配された電位が印加される。同様に、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209a,b,・・・の電極209-6同士には、同じDACアンプ132-6の出力が同じ中継回路186-6によって分配された電位が印加される。同様に、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209a,b,・・・の電極209-7同士には、同じDACアンプ132-7の出力が同じ中継回路186-7によって分配された電位が印加される。同様に、同じマルチビームセット12内に配置される各対物偏向器209a,b,・・・の電極209-8同士には、同じDACアンプ132-8の出力が同じ中継回路186-8によって分配された電位が印加される。このように、マルチビームセット12毎に配置された共通偏向アンプとなる複数の共通DACアンプ132が、それぞれ、同じマルチビームセット12内に配置される複数の対物偏向器209を共通に制御する。よって、マルチビームセット12を構成する電子ビームカラム10の数に関わらず、マルチビームセット12内の1つの電子ビームカラム10を構成する対物偏向器209の電極数と同数の偏向アンプで制御できる。よって、1つの対物偏向器209が例えば8極の電極によって構成される場合、ビーム1本あたり8個のDACアンプ132が必要となるが、マルチビームとして、1度に例えば1800本のビームを照射する場合、従来のように、14400個のDACアンプ132が必要となり、14400個のDACアンプ132の制御が必要となってしまうことは回避できる。マルチビームセット12が9個の電子ビームカラム10で構成される場合、マルチビームとして、1度に例えば1800本のビームを照射する場合、1600個のDACアンプ132で足り、1600個のDACアンプ132の制御で足りる。マルチビームセット12を構成する電子ビームカラム10の数が増えれば、さらにDACアンプ132の数とDACアンプ132の制御対象数を低減できる。
なお、個別ビームにアライメント及び非点補正用の偏向器を設けておいて軌道を微調整できる構成としておくことが出来る。この様な個別のアライメント偏向器は基本的に静的で、描画動作中に偏向しないので回路が大幅に単純化出来る。
同様に焦点の微調整用静電レンズを設けておくことも出来る。これも基本的に静的であり、電圧も低いので回路は単純化出来る。
【0036】
図12は、実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。
図3において、基板101が半導体基板(ウェハ)である場合、半導体基板(ウェハ)の描画領域330には、複数のチップ(ウェハダイ)領域332が2次元のアレイ状に設けられる。各チップ領域332には、1チップ分の同一パターンが描画装置100によってマスクパターンを介さずに直接描画される。
図12の例では、各チップ領域332内は、例えば、2次元状の横(x方向)m
2列×縦(y方向)n
2段(m
2,n
2は2以上の整数)個の複数の小領域33に分割される。各小領域33は更に、ピクセルに分解される。各ピクセルの位置と照射量(照射時間)とが照射時間データに定義される。複数のマルチビームセット12は、同一基板101上の異なる露光ピクセル群を描画する。なお、更に、一つのマルチビームセット12により露光された露光ピクセル群の間に異なるマルチビームセット12により露光される露光ピクセル群が配置される。そして、基板101が複数のマルチビームセット12の照射可能領域を通過することによって、基板101の描画処理が完了する。具体的には以下のように動作する。
【0037】
描画は、ステージ105を連続移動させながら行う。この間、各電子ビームがそれぞれ対応する1つのピクセルに照射する間、偏向器209を用いて、各電子ビームの照射位置が基板101面上のそれぞれ照射していたピクセルから外れてしまうことなく、同一ピクセル上にある様にステージ105の移動に合わせて偏向する。これをステージトラッキングと呼ぶ。ここで、ステージ位置情報はステージ位置測定機構138を用いて求める。ステージトラッキングは与えられた最大偏向量を越えない範囲で行い、ステージ105が一定量の距離を移動後に偏向位置を初期偏向位置付近の次の照射位置に戻す。これを繰り返して描画を行う。ステージトラッキングは1ピクセルに電子ビームを照射する毎に初期偏向位置付近に戻すように構成しても良いし、複数ピクセルを照射した後で初期偏向位置付近の次の照射位置に戻すように構成しても良い。各ピクセルへの電子ビームの照射量は各ビームのブランキング手段を用いて独立にビームの基板101面への照射時間を調整することで行う。また、ピクセル間を移動する間には全ビームが試料面に到達しない様にブランキング動作を行う。ステージは連続移動するので、同じ小領域内の異なるピクセルに異なるマルチビームブロック14の照射も行われる様に制御し、基板101が全マルチクラスタ16の下流を通過した際に基板101上の全ピクセルに所定の照射量だけ電子ビームが照射される様にする。言い換えれば、小領域内ピクセル配列の中で同じマルチビームブロック14のビームを露光する部分もあるし、異なるマルチビームブロック14のビームを露光する部分もある。以下、概算を行うにあたり、簡単の為、ビームをオフにして偏向を元に戻す時間については無視する。また、マルチビームセット12やマルチビームブロック14を固定する際に用いるフレームの幅の影響も無視する。
【0038】
例えば,1ピクセルを10nm□として、10nmピッチの全ピクセルを電子ビームで露光することを考える。1本の電子ビームが1ピクセル領域を照射出来る電子ビームカラム10が
図2の様に正方格子状に配置されていて、電子ビームカラム10の間隔を2mmとすると、隣接する4つの電子ビームカラム10がそれぞれ囲む2mm□の領域内に4×10^10個のピクセルが含まれる。現実には、電子ビームの電流分布は10nm□に局在するものではなくて、例えばガウス分布をしていて、電流の80%程度が10nm□に存在すると言うものとなる。但し、説明を簡単にする為に10nm□に局在していると近似して説明する。小領域寸法を2mm□として説明する。偏向領域は10μm□とする。今、ステージ速度を10mm/s、実効的な電流密度(全電流が10nm□に一様に流れている場合の電流密度)を500A/cm
2、レジスト感度を50uC/cm
2とする。1重描画で描画する場合、1ピクセルへの照射時間が100nsである。この間ステージ105は、1nmだけ移動する。
【0039】
図13は、実施の形態1における描画手順の一例を説明するための図である。
図14は、実施の形態1における描画手順の一例を説明するための図である。
図13及び
図14に示す様にステージを-x方向に連続移動させながら、偏向により、電子ビームの試料面上のx方向座標を固定した上で露光し、1ピクセル露光後試料面上y方向隣のピクセルに電子ビームを移動して露光し、これを10μm幅連続して行う。10μm幅にy方向に並ぶ1000ピクセルを露光する間にステージ105は-x方向に1000×1nm=1μmだけ移動している。この間電子ビームも-x方向に1μm偏向されている。次に電子ビームをx方向に1μm偏向してカラム内の元のx方向及び、y方向の偏向位置に戻し、露光を繰り返す。この時y方向には偏向位置を戻さない場合は次の露光の間のy方向の偏向は、先の露光シーケンスとは逆方向にすることも出来る。
【0040】
10μm×2mmの領域に含まれるピクセル数は2×10^8個で、ステージが2mm移動する時間は0.2秒。この間照射出来るピクセル数は2,000,000個である。従って、同一小領域の1偏向幅領域に2×10^8/2x10^6=100本の異なる電子ビームを照射する様にする。更に、ステージ進行方向に対して垂直な方向については2mm/10um=200列存在する。従って、最も単純なモデルにおいては、2mm×2mmの領域の4×10^10個のピクセルを100×200=20,000本の異なる電子ビームで照射することが必要となる。300mm幅をこの様にして埋め尽くすことを考えると、20,000×300/2=3,000,000本の電子ビームが必要となる。この時、横方向には150列、縦方向には、200×100=20,000列電子ビームを並べることが必要となる。
【0041】
なお、この時一つの2mm幅のストライプの中に20,000本の電子ビームカラム10を配置する必要はない。必要なことは、基板101面上の全露光ピクセルを露光出来ることであり、これを満たす条件下で適宜ステージ進行方向に対して垂直な方向位置についてオフセットを加えても良い。この場合、最も端のビームを1列分増やす必要があるが、全体システムに与える影響は小さい。逆に、基板101設置の位置誤差を考えると、システムとしては、電子ビームの露光可能幅としては、基板101の設置誤差分程度以上に広く出来るだけの数の電子ビームを有することが望ましい。
この条件を満たす最も単純な構成では電子ビームアレイとして、幅が約300mm長さが約40mに配列された3,000,000本の電子ビームアレイが必要となる。
【0042】
もう一つの、より現実的な構成においては、ステージ進行方向には20,000列並んだ電子ビームを並べる代わりに、もっと少ない、例えば進行方向に2,000列のビームアレイを配置し、同じマルチビームクラスタ16の下を10回以上繰り返し同じ基板101が通過する様にして、実効的に20,000列通過したのと同じ効果を得るものである。2000列のビームアレイのステージ進行方向の長さは約4mで基板101寸法に比べて遥かに大きい。これに応じて、1度に描画装置に搭載すべき例えば直径30cmの基板101(例えば300mmウェハ)の枚数を(4m/30cm≒)13から14枚以上とする。
【0043】
かかる動作を実現させるには、ステージ上に複数のウェハを1列に配置し、(1)ステージを往復動作させる、(2)ステージを周回動作させ、ウェハを円周状に配置する方法の2つが考えられる。いずれも、必要な移動距離だけウェハを移動させることで、所望の全ピクセルに電子ビームを照射させられる様にする。更に、(2)においては、ステージの周回動作の例として、円状に動作させること、レーストラック状に動作させることが考えられる。複数のウェハを搭載して、それに対応して、複数のクラスターを動作させることにより、システム全体の実効的な電流量を増加させることが出来、ウェハ1枚当たりの露光時間を短縮できる。上記で説明した例で、1回の通過で露光が完了する場合、理想的にはウェハ1枚当たりの描画時間は300mm/10m/s~30秒である。但し、無駄時間を考慮するとステージ移動速度はこれよりもやや低くなる為、描画時間はこの値よりは長くなる。複数回転を行う場合には、その回数にほぼ比例して必要な露光時間は長くなる。
【0044】
ここで、各ビームについては、各電子ビームの偏向は少なくとも1つのマルチビームセット12内では同じ制御電圧を使用し、露光時間だけを独立に制御している。これにより、偏向制御に必要な偏向アンプ数を大幅に低減できる。また、入出力部も簡易化が可能である。
上記の例においては、露光ピクセルのピッチは10nmとしたが、更に小さいピッチとすることも出来る。例えば、露光ピクセルが5nm角であり、これを電子ビームを5nmずらせた2重描画を行うことで露光することも出来る。或いは露光ピッチを拡げることも出来る。
【0045】
なお、上記の議論ではウェハ寸法が300mm□である場合の条件を与えたこととなる。実際には、ウェハ形状は丸いのでウェハ中心からy方向に離れた位置では、x方向に必要なビーム数は少なくなる。従って、ビームクラスターの形状は矩形ではなく、ウェハ中心からy方向に離れるに従って、段階的にx方向の幅が小さくなる様にマルチビームブロック14を配置したものでも良い。この様にクラスターの形状は、試料形状に合わせて変更することが出来る。
【0046】
以上説明した描画方法では、描画中ステージを連続移動させ、且つ、1つの小領域に異なるマルチビームセット12、マルチビームブロック14、マルチビームクラスタ16に属する電子ビームが照射される様にすることでビームピッチがピクセル寸法に比べて遥かに大きい場合でも高速に描画することを可能としている。更に、複数のマルチビームクラスタ16を1つの試料面積を越えて配置することができることにより、システム全体としてのビーム電流を増加させることができ、ウェハ当たりの描画時間を大幅に短縮できる。
なお、ステージのy方向移動を不要にする為には、電子ビームピッチが2mm、偏向幅が10umの場合で、2mm/10um=100列のステージ進行方向ビーム列があれば可能である。従って、最小単位として、150列x100列のマルチビームクラスタ16を1組用いて、ステージを往復動作させながらウェハを露光することも可能である。この場合は、ウェハが1枚の場合は描画中に、ウェハの未露光領域が存在する割合が高くなる為描画効率は低いのでステージにウェハを2枚搭載し、常に電子ビームを動作させる様にすることが望ましい。
【0047】
また、以上の議論では理想的な装置について説明したが、実際には、様々な要因で描画位置には誤差が発生し、ビーム露光領域が密に並ばず、隙間が出来たり、重なりが出来たりする。このうち電子ビーム照射位置に再現性のある誤差がある場合には、例えば、ビーム露光の多重度を増やして、全ピクセルにビームが露光できる様にした上で、露光量を再配分することで、欠陥の発生を防ぐことができる。例えば8重描画にしておき、各露光時間に約15%余分の時間を割り当てておけば、最大1回分の無露光分を残りに7回の露光で補填出来る。多重描画方式は再現性のない誤差の影響の抑制も有効である。
この様に複数のマルチビームクラスタ16からなる描画装置でウェハ上にパターン描画を行う場合のデータ処理の方法の例について以下に説明する。
【0048】
まず、複数のマルチビームクラスタ16からなる描画システムを用いて描画を行う場合に、各ビームについて、露光するピクセルとそのピクセルへの寄与を求める。一般には偏向位置は、露光するピクセルと一致する様に調整するが、偏向器の個体差により、一つのマルチビームセット12に属するすべてのビームについて露光するピクセルとビーム照射位置とを一致させることは難しい。ビーム中心とピクセル中心とが一致する時を1として、ずれる場合、そのピクセルへの照射量に応じて実数で与える。通常1以下の実数となる。一般には、装置条件が変わらなければこの割当は各描画共通である。この割当作業は1度で良い。
【0049】
次に、ウェハ上に描画するLSIの設計データを元に、各ウェハ上の露光量分布を求める。ウェハ上に同一のLSIパターンを並べて描画する場合には、最も単純な方法は、1つのLSIに関して露光量分布を求めて置き、それをLSIパターンの配列に合わせて並べることである。一般にはプロセス誤差の影響を抑える為に最適な露光量が同じLSIパターンでも、ウェハ上の場所によって異なる。この補正が必要な場合は、補正も含めた露光量分布を求める。
【0050】
次に、各ピクセルに与えられた露光量分布と、先に求めた各ビームの寄与との関係とから、各ビームの照射位置ごとの照射量を求める。この計算は、一般に計算時間がかかるので適宜近似を行うことで計算時間を節約する。ビーム照射位置と露光ピクセルとのずれが小さい場合には、ビーム照射位置と露光ピクセル中心とが一致していると近似して、更に、照射量を該露光ピクセルに割り当てられた照射量と一致させる様にして描画することが出来る。全体のブラーをビームブラーとプロセスブラーとを合わせたものとするとき、多くの場合は1つの電子ビームによる全体のブラーは露光ピクセルよりも大きいので、この場合でも、得られた照射量分布は所望の照射量分布からのずれは小さい。
得られた各ビームの各照射位置での照射時間に基いて描画を行う。
なお、照射量の階調が少なくて良い場合、例えば8重描画で8階調で良く、ビーム照射位置誤差の影響を考えなくて良い場合には、各ビームについて照射するかしないかの切り替えを行い、照射する全ビームの照射時間はすべて同じにすることも出来る。この場合は照射量制御システムを大幅に単純化出来る。
【0051】
進行方向に2000列以上のビームアレイを実現する方法として、例えば、150列x150列のマルチビームクラスタ16を15本並べることが考えられる。更に、各マルチビームクラスタ16を例えば50列x50列のマルチビームブロック14、更に各マルチビームブロック14を10x10列のマルチビームセット12と言う構成にしておき、各ビームセット、マルチビームブロック14、マルチビームクラスタ16単位で本体システムから着脱可能な構成にすることは装置の構成上、及び保守上きわめて有効である。偏向動作をブロック単位としておいて、マルチビームセット12のマルチビームブロック14への接続部分に、偏向信号の接点を設けておくことが望ましい。また、静電レンズの制御はマルチビームセット12単位とすることは細かい調整を可能と出来る。
この様に階層を持たせた構成とすることでシステムの拡張性が容易となり、求める試料寸法、露光時間に応じて、マルチビームクラスタ16の寸法、個数を変える。
【0052】
図15は、実施の形態1におけるチップ領域内の小領域をマルチビームセットで描画する場合の描画手法の一例を示す図である。
図15の例では、マルチビームセット12が、例えば、3×3の電子ビームカラム10で構成される場合を示している。よって、マルチビームセット12が、例えば、3×3のマルチビームを照射することができる。
図15の例では、チップ領域332内の小領域33のy方向サイズをマルチビームセット12のビーム本数(9本)で割った短冊状の複数のストライプ領域に分割する。そして、3×3のマルチビームの各電子ビーム20がストライプ領域を1つずつ担当できる角度にマルチビーム像を回転させている。これは、マルチビームセット12の位相をステージ進行方向に対して傾けて配置することで実現出来る。この
図15は各ストライプの幅が偏向幅以内である例を示しているそして、ステージ105を例えば-x方向に連続移動させる。これにより、各電子ビーム20a,b,c,・・・がステージ105の移動に合わせて担当するストライプ領域をラスタースキャンしながら描画していく。具体的には、パターンが存在する位置ではビームON、パターンが存在しない位置ではビームOFFにすればよい。
図15において、各ビームが露光した位置を実線で示している。各電子ビームはステージの移動速度に合わせて、-x方向に偏向され、1ピクセルの露光終了後y方向に移動する。端のピクセルを露光後、x方向に偏向されて、元の偏向位置に戻り、描画を再開する。この例ではy方向に露光が終わった時にストライプ幅と同じだけステージが-x方向に移動する場合を示している。試料面上では露光ストライプはy方向直線が一定間隔でx方向に並んでいる。なお、これは例であり、必ずしもy方向に連続に露光領域が並ぶ必要はない。ストライプ領域に線で覆われない領域が残っており、ステージが1回通過する間では、332内全体を露光することができないことを示している。異なるマルチビームセット12のビームの露光位置は他のマルチビームセット12の露光位置とは異なる様にしてあり、この露光出来ない領域は、後続のマルチビームセット12により露光する。以下、ある小領域をあるマルチビームセット12が1回通過する時にそのマルチビームセット12にぞくするある1本のビームで露光されるピクセルの集合をその小領域に属する、そのビームに対応する露光ピクセル群と呼ぶ。その小領域内のすべての露光ピクセル群を露光することで、その小領域内の全ピクセルが露光される。異なるビームに対応する露光ピクセル群には重なりがあっても良い。
【0053】
また、システムの健全性を確認する為に、ステージ上の試料位置の外部にビーム測定手段を設けることが望ましい。ビーム測定手段では、個別ビームのビーム電流、位置、ビームぼけの測定が出来ることが望ましい。この測定手段設置領域を露光中、或いは、露光の前後に全電子ビーム下を通過させることで各電子ビームの健全性を確認出来る。異常が生じたビームが見つかった場合には、例えば通常は使用しない予備のカラムを設けておいて、異常が生じたカラムからの電子ビームの放出を止めて、代わりに予備カラムで補う様にする。異常カラムが一定数を越えて増加した場合はシステムを停止して、異常ビームを含むマルチビームセット12を交換する。取り外されたマルチビームセット12は異常なカラムを修理或いは交換して予備のマルチビームセット12として保管する。
ビーム測定手段の具体的な構成としては、電流測定用ファラデーカップ、位置測定用開口型マーク、ナイフエッジ付ファラデーカップを含んだものとすれば良い。
【0054】
図16は、実施の形態1における複数の基板の連続描画を行う手法の一例を説明するための図である。
図16の例では、ステージ105は、移動方向(-x方向)に複数の基板101a,b,c,d,eを並べて配置する。そして、ステージ105を-x方向に移動させることで、ステージ105上の複数の基板101a,b,c,d,eを-x方向に移動させることができる。
図16の例では、複数の基板101が、複数のマルチビームクラスタ16の各マルチビームクラスタ16の照射領域を順に通過するように、複数のマルチビームクラスタ16が複数の基板101の移動方向と同方向に配列される。言い換えれば、複数のマルチビームセット12が複数の基板101の移動方向と同方向に配列される。ステージ105の移動方向の前後には、各基板101の描画室102への搬入及び描画室102からの搬出を行うためのロードロック(L/L)チャンバシステム300a,300bが配置される。L/Lチャンバシステム300aからステージ105に順に搬入された複数の基板101a,b,c,d,eは、ステージ105の移動に合わせて、順に-x方向に移動させる。各マルチビームクラスタ16a,b,cに属する各ビームは、自己の照射領域内に順に移動してきた各基板101a,b,c,d,e内の各小領域に対してそれぞれのビームに対応する露光ピクセル群を描画する。この様に描画することで、一般に一つの小領域内に複数のマルチビームクラスタ16に属するビームによる露光が行われる。複数のマルチカラムは、複数の基板101が移動方向に移動している状態で、複数の基板101を連続的に描画する。そして、各基板101が複数のマルチカラム(ここでは、3台のマルチビームクラスタ16a,b,c)の照射可能領域を通過することによって、各基板101の描画処理が完了する。1回の移動で全ピクセルの露光が完了しない場合は、ステージを更に必要な回数往復させて、全ピクセルを露光する。描画処理が完了した基板101は、L/Lチャンバシステム300bによって、順に、描画室102から外部に搬出される。以上のように、移動方向に並べた複数のマルチビームクラスタ16a,b,cの照射領域を複数の基板101が連続的に通過するように構成することで、連続的に描画処理が進められ、大量の半導体基板を製造できる。実施の形態1では、1枚の基板101に形成されるチップ領域332の数に関わりなく、小領域33サイズを小さくして、その分、マルチビームセット12の増設を行うことで、スループットをさらに向上させることができる。よって、半導体ウェハの量産ができる。
【0055】
図17は、実施の形態1における複数の基板の連続描画を行う手法の他の一例を説明するための図である。
図17の例では、ステージ105は、中心を軸に回転移動(θ方向)し、周回軌道上に複数の基板101a,b,c,d,e,fを並べて配置する。そして、ステージ105を回転移動させることで、ステージ105上の複数の基板101a,b,c,d,e,fを周回軌道に沿って連続移動させることができる。
図17の例では、複数の基板101が、複数のマルチビームクラスタ16の各マルチビームクラスタ16の照射領域を順に通過するように、複数のマルチビームクラスタ16が複数の基板101の周回軌道に沿って配列される。言い換えれば、複数のマルチビームセット12が複数の基板101の移動方向と同方向に配列される。周回軌道上の1か所には各基板101の描画室102への搬入を行うためのL/Lチャンバシステム300aが配置される。そして、周回軌道上を移動してL/Lチャンバシステム300aの手前に各基板101の描画室102からの搬出を行うためのL/Lチャンバシステム300bが配置される。L/Lチャンバシステム300aからステージ105に順に搬入された複数の基板101a,b,c,d,e,fは、ステージ105の移動に合わせて、順に周回軌道上を移動させられる。各マルチビームクラスタ16a,b,c,dに属する各ビームは、自己の照射領域内に順に移動してきた各基板101a,b,c,d,e,f内の各小領域に対してそれぞれのビームに対応する露光ピクセル群を描画する。
図17の例では、周回軌道上のマルチビームクラスタ16aの個所(所定の個所)から各基板101の描画処理が開始され、各基板101が周回軌道上を移動してマルチビームクラスタ16dの個所(所定の個所の手前)まで戻ってくるまでの間に各基板101の描画処理が完了するように、複数のマルチカラム(ここではマルチビームクラスタ16a,b,c,d)が複数の基板101を描画する。言い換えれば、各基板101が周回軌道上を1周するまでの間に各基板101の描画処理が完了するように、複数のマルチカラム(ここでは、4台のマルチビームクラスタ16a,b,c,d)が複数の基板を描画する。各マルチビームクラスタ16a,b,c,dは、この様に描画することで、一般に一つの小領域内に複数のマルチビームクラスタ16に属するビームによる露光が行われる。複数のマルチカラムは、複数の基板101が移動方向に移動している状態で、複数の基板101を連続的に描画する。そして、各基板101が複数のマルチカラム(ここでは、4台のマルチビームクラスタ16a,b,c,d)の照射可能領域を通過することによって、各基板101の描画処理が完了する。1回の回転で全ピクセルの露光が完了しない場合は、ステージを更に必要な回数回転させて、全ピクセルを露光する。言い換えれば、各基板10が周回軌道上を1周または複数回周回するまでの間に各基板101の描画処理が完了するように、複数のマルチビームセット12が複数の基板101を描画する。描画処理が完了した基板101は、L/Lチャンバシステム300bによって、順に、描画室102から外部に搬出される。以上のように、移動方向に並べた複数のマルチビームクラスタ16a,b,c,dの照射領域を複数の基板101が連続的に通過するように構成することで、連続的に描画処理が進められ、大量の半導体基板を製造できる。実施の形態1では、1枚の基板101に形成されるチップ領域332の数に関わりなく、小領域33サイズを小さくして、その分、マルチビームセット12の増設を行うことで、スループットをさらに向上させることができる。よって、半導体ウェハの量産ができる。周回回数を複数回周回させること露光可能ピクセル数を増やすことが可能である。この時回転速度を周回数に合わせて速くして、露光時間の増加を抑制することが望ましい。
【0056】
図18は、実施の形態1における複数の基板の連続描画を行う手法の他の一例を説明するための図である。
図17の例では、周回軌道上に基板101の搬入/搬出のためのL/Lチャンバシステム300a,bを配置する場合について説明したが、これに限るものではない。
図18の例では、周回軌道上に、基板101の搬入/搬出のためのL/Lチャンバシステム300a,bの配置個所にも、マルチビームクラスタ16を配置する。これにより、同じ周回軌道上に、例えば6つのマルチビームクラスタ16a,b,c,d,e,fを配置できる。L/Lチャンバシステム300a,bは、周回軌道から外れた位置に配置すればよい。或いは、6枚の基板101を6つのマルチビームクラスタ16a,b,c,d,e,fの照射可能領域にまず搬入して、それから、ステージ105を回転させても良い。そして、各基板101が最初に配置されたマルチビームクラスタ(例えば、マルチビームクラスタ16a)から各基板101の描画処理が開始され、各基板101が周回軌道上を移動して最後のマルチビームクラスタ(例えば、マルチビームクラスタ16f)まで戻ってくるまでの間に各基板101の描画処理が完了するように、複数のマルチカラム(ここではマルチビームクラスタ16a,b,c,d,e,f)が複数の基板101を描画する。言い換えれば、各基板101が周回軌道上を1周するまでの間に各基板101の描画処理が完了するように、複数のマルチカラム(ここでは、6台のマルチビームクラスタ16a,b,c,d,e,f)が複数の基板101を描画する。
図17の例よりもビーム本数が増えるので、さらに、スループットを向上できる。この場合も1回の回転で全ピクセルの露光が完了しない場合は、ステージを更に必要な回数周回させて、全ピクセルを露光する。
【0057】
図17及び
図18の例では、周回軌道に沿って複数の基板101が移動するが、かかる周回軌道上の移動と共に、各基板101自体を自転するように回転させても良い。基板を自転させることにより、基板上の各ピクセルについてピクセルの近傍の他のピクセルを照射する電子ビームカラムの種類を増やすことが出来、装置内の電子ビームコラム特性のずれを平均化出来る。この場合、電子ビームコラムの配置と基板上のピクセルの並びとの位相が時間とともに変化するので、厳密な意味ではステージトラッキングは出来ないが、位相のずれの変化は1ピクセルの露光時間に比べて遅い為、一般には露光量分布誤差への影響は小さいとして無視出来る。また、各電子ビームコラムに露光量を割り当てる際にこの位相のずれに伴うステージトラッキングの誤差を考慮して求める様にすることでより露光分布制御の精度を高めることも可能である。
【0058】
図19は、実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の他の一例を示す図である。
図19は、下流の静電レンズは2段(207,208)、また、偏向器209は下流の静電レンズよりも試料側に配置された例を示している。
図19の例では、各電子ビームカラム10a,b,c,・・・内の電子銃201として、光電子源を用いる場合を示している。その他の構成は、
図8と同様である。なお、
図19と
図8とは縮尺等を一致させていない。光電子源では、先端を尖らせたエミッタ23と引出電極(アノード)22間への電源回路170内の高圧電源172から加速電圧を印加すると共に、エミッタ23の裏面側に中継回路180(或いは電源回路170)内のLEDアレイ回路174から紫外光を照射(励起)することで、エミッタ23から電子ビーム20が放出される。複数の電子銃201に同じ電源回路170(或いは同じ中継回路180)から供給の電圧が印加されると共に、同じ中継回路180(或いは電源回路170)から紫外光が照射されるので、ビーム本数に対して、電源系および制御系の数を大幅に低減できる。但し、これに限るものではない。各電子銃201を個別にON/OFF制御しても構わない。1つの電子銃から放出されたビームからマルチビームを形成する場合と異なり、各電子ビーム20の電子銃201が異なるため、各電子銃201の出力アップが複数のビームに分散されず、ビーム1本あたりの電流量を大幅に上げることができる。よって、各電子銃201からの電流量を上げれば、マルチビーム全体としての電流量を大幅に増加できる。よって、単位面積あたりの電流量が大きくなるので、その分、単位時間あたりのドーズ量も大きくできる。よって、基板101上のレジストの解像に必要なドーズ量を与えるための照射時間を大幅に短縮でき、スループットを向上させることができる。
【0059】
図20は、実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の他の一例を示す図である。
図20の例では、各電子ビームカラム10a,b,c,・・・内の電子銃201として、MIM(金属絶縁体金属)型電子源を用いる場合を示している。その他の構成は、
図8と同様である。なお、
図20と
図8とは縮尺等を一致させていない。MIM型電子源では、エミッタ21と引出電極(アノード)22間への電源回路170内の高圧電源172から加速電圧を印加すると共に、エミッタ21の上部電極と下部電極(ゲート電極)間に高圧電源172から電圧を印加するとことで、エミッタ21から電子ビーム20が放出される。高圧電源172と下部電極(ゲート電極)との間にゲートパルス発生器176を配置して、パルス信号を出力することで、各電子銃201を個別にON/OFF制御しても構わない。複数の電子銃201に同じ電源回路170(或いは同じ中継回路180)から供給の電圧が印加されるので、ビーム本数に対して、電源系および制御系の数を大幅に低減できる。また、1つの電子銃から放出されたビームからマルチビームを形成する場合と異なり、各電子ビーム20の電子銃201が異なるため、各電子銃201の出力アップが複数のビームに分散されず、ビーム1本あたりの電流量を大幅に上げることができる。よって、各電子銃201からの電流量を上げれば、マルチビーム全体としての電流量を大幅に増加できる。よって、単位面積あたりの電流量が大きくなるので、その分、単位時間あたりのドーズ量も大きくできる点は、上述した場合と同様である。
【0060】
図21は、実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の他の一例を示す図である。
図8等の上述した例では、電子銃201、制限アパーチャ基板202、ブランキング偏向器204、静電レンズ205、制限アパーチャ基板206、静電レンズ207、静電レンズ208、及び対物偏向器209が、1つの例えば円筒状の鏡筒(電子ビームカラム10)内に配置される場合を示したが、これに限るものではない。
図21の例では、電子銃201、制限アパーチャ基板202、及びブランキング偏向器204が1つの例えば円筒状の鏡筒(電子ビームカラム10)内に配置され、静電レンズ205、制限アパーチャ基板206、静電レンズ207、静電レンズ208、及び対物偏向器209が、マルチビームセット12内の共通する空間内にビーム毎に配置される。
図21の例では、制限アパーチャ基板206の図示を省略している。かかる構成により、マルチビームセット12内の各静電レンズ205が共通の基板で構成できる。同様に、マルチビームセット12内の各静電レンズ207が共通の基板で構成できる。同様に、マルチビームセット12内の各静電レンズ208が共通の基板で構成できる。また、マルチビームセット12内の各対物偏向器209が共通の基板上に配置できる。よって、マルチビームセット12をより簡易に形成できる。
【0061】
図22は、実施の形態1における電子ビームカラムの内部構成の他の一例を示す図である。
図22の例では、
図21の構成に、さらに、静電レンズ205,207,208の配置空間について各ビーム間に隔壁210を配置した場合を示している。各ビーム間に隔壁210を配置することで静電レンズにより生じる電場の影響を隣接するビームに生じさせないようにできる。この隔壁は電場遮蔽が目的であるので、例えばグリッド構造を用いることにより真空排気効率を高めることが出来る。
【0062】
図23は、実施の形態1における静電レンズアレイの一例を示す上面図である。
図24は、実施の形態1における静電レンズアレイの一例を示す断面図である。
図23及び
図24に示すように、各静電レンズ205,207,208は、マルチビームセット12内において、共通の基板212(213,214)によって構成される。かかる共通の基板中の各ビーム通過位置に各通過孔211が形成される。
図23の例では、例えば、3×3本のビーム形成に必要な構成によりマルチビームセット12が構成される場合、3×3個の通過孔211が形成される。また、静電レンズ205,207,208は、共に、3段の電極によって構成される。
図24の例では、マルチビームセット12内において、共通の3段の基板212,213,214によって構成される。上下の共通基板212,214にグランド電位を印加し、中断の共通基板213に印加する電位を調整することで、マルチビームセット12内の各ビーム用のレンズ作用を供給に制御する。なお、
図22の例に示すように、隔壁210をビーム間に配置する場合には、
図23及び
図24に示すように、格子状に複数の隔壁210を配置すればよい。
【0063】
次に、描画装置100の外部から入力され、記憶装置140に格納された描画データを使った実際の描画処理の動作について順を追って説明する。
【0064】
面積率マップ作成工程(ラスタライズ処理工程)として、ラスタライズ部50は、記憶装置140から描画データを読み出し、基板101の描画領域が例えばビームサイズと同等のサイズでメッシュ状に分割された複数の画素(照射単位領域)の画素毎に、当該画素内のパターン面積密度ρ’を演算する。かかる処理は、例えば、チップ領域332毎に実行する。
【0065】
照射量演算工程として、照射量演算部52は、まず、描画領域(ここでは、例えばチップ領域332)を所定のサイズでメッシュ状に複数の近接メッシュ領域(近接効果補正計算用メッシュ領域)に仮想分割する。近接メッシュ領域のサイズは、近接効果の影響範囲の1/10程度、例えば、1μm程度に設定すると好適である。照射量演算部52は、記憶装置140から描画データを読み出し、近接メッシュ領域毎に、当該近接メッシュ領域内に配置されるパターンのパターン面積密度ρを演算する。
【0066】
次に、照射量演算部52は、近接メッシュ領域毎に、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dp(x)(補正照射量)を演算する。未知の近接効果補正照射係数Dp(x)は、後方散乱係数η、しきい値モデルの照射量閾値Dth、パターン面積密度ρ、及び分布関数g(x)を用いた、従来手法と同様の近接効果補正用のしきい値モデルによって定義できる。
【0067】
次に、照射量演算部52は、画素毎に、当該画素に照射するための入射照射量D(x)(ドーズ量)を演算する。入射照射量D(x)は、例えば、予め設定された基準照射量Dbaseに近接効果補正照射係数Dpとパターン面積密度ρ’とを乗じた値として演算すればよい。基準照射量Dbaseは、例えば、Dth/(1/2+η)で定義できる。以上により、描画データに定義される複数の図形パターンのレイアウトに基づいた、近接効果が補正された本来の所望する入射照射量D(x)を得ることができる。
【0068】
そして、照射量演算部52は、画素毎の入射照射量D(x)を所定の量子化単位Δで階調化された照射時間tに変換した、画素毎の照射時間を定義した照射時間データマップを作成する。作成された照射時間データマップは、例えば、記憶装置142に格納される。
【0069】
照射時間データ加工工程として、照射時間データ加工部54は、照射時間データマップを読み出し、実施の形態1における描画シーケンスに沿ってショット順に並び替える。そして、ショット順に照射時間データを偏向制御回路130に転送する。
【0070】
描画工程として、偏向制御回路130は、中継回路184を介して、各ブランキング偏向器204にショット順にブランキング制御信号を出力すると共に、DACアンプ132にショット順に偏向制御信号を出力する。そして、ステージ駆動回路139による制御によりステージ105を連続移動させた状態で、描画機構150は、各電子ビームカラム10から照射された電子ビーム20の束(マルチビーム)を用いて、基板101を描画する。
【0071】
以上のように、実施の形態1によれば、マルチビームクラスタ16、マルチビームブロック14、及びマルチビームセット12と、マルチカラムを階層ごとにユニット化しているので、必要に応じて容易に増設ができ全体の電子ビーム電流を増加させることが出来る。さらに、実施の形態1によれば、チップ領域332よりも小さい小領域33単位で各マルチビームセット12の照射領域を区分けしているので、ユニット化されたマルチビームクラスタ16、マルチビームブロック14、或いはマルチビームセット12を必要なスループットに応じて増設できる。さらに、実施の形態1によれば、複数の基板101を製造ライン化された各マルチビームクラスタ16の照射領域内を順に通過させることができる。よって、マルチビーム描画のスループットを向上させ、半導体基板(ウェハ)の量産ができる。
【0072】
ウェハにLSIパターンを描画する場合、重ね合わせ精度が重要となる。これに関しては例えば次の様にすることで重ね合わせ精度を確保出来る。まず、各ウェハ上に、少なくとも3個の位置合わせマークを設けておく。そして、ウェハをステージに搭載した後移動させ、ステージを動作させて、ある1枚のウェハに着目すると、そのウェハを複数の位置(ステージ位置と呼ぶ)に移動させて、それぞれのステージ位置で各ウェハの位置と向きとを測定する。この測定には、例えば複数の光学顕微鏡をマルチビームクラスタ16の間に設けておくことによって行うことが出来る。また、電子ビームカラムの一部を測定用に動作させ、マークに照射して得られる反射電子信号からマーク位置を求めることも出来る。更に、光てこを用いたzセンサを用いて該マークの高さを求める。こうして得られる、各ステージ位置における各ウェハの位置と向き及び高さに基いて描画データを補正して描画を行う。更に、多くのマークを例えばダイの境界に配置しておいて、高次の歪も測定し、それに基づいて描画データに補正を加えることで精度を高めることが出来る。この測定は描画に先だって行い、その際はステージ速度を描画時と同じ速度で動かす。また、描画時よりも速くすることで測定にかかる時間を短縮することも出来る。
【0073】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、上述した例では、対物偏向器209が1段偏向の場合を示したが、これに限るものではない。2段以上の多段偏向であってもよい。
【0074】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0075】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0076】
10 電子ビームカラム
12 マルチビームセット
14 マルチビームブロック
16 マルチビームクラスタ
17,18,19 電極
20 電子ビーム
21,23 エミッタ
22 アノード
33 小領域
50 ラスタライズ部
52 照射量演算部
54 照射時間データ加工部
56 描画制御部
100 描画装置
101 基板
102 描画室
105 ステージ
110 制御計算機
112 メモリ
130 偏向制御回路
132 DACアンプ
134 レンズ制御回路
139 ステージ駆動回路
140,142 記憶装置
150 描画機構
160 制御系回路
170 電源回路
172 高圧電源
174 LEDアレイ回路
176 ゲートパルス発生器
180,182,184,186 中継回路
201 電子銃
202 制限アパーチャ基板
204 ブランキング偏向器
205 静電レンズ
206 制限アパーチャ基板
207 静電レンズ
208 静電レンズ
209 対物偏向器
210 隔壁
211 通過孔
212,213,214 基板
300 L/Lチャンバシステム
330 描画領域
332 チップ領域