(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】心磁計測装置、較正方法、および較正プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/243 20210101AFI20220221BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
A61B5/243
G01R33/02 R
G01R33/02 X
(21)【出願番号】P 2019008593
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2018063190
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 威信
(72)【発明者】
【氏名】岡武 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】森安 嘉貴
【審査官】樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-003345(JP,A)
【文献】特開2003-199723(JP,A)
【文献】特開2017-191040(JP,A)
【文献】特表2012-508116(JP,A)
【文献】特開2017-166895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0023380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気センサアレイと、
前記磁気センサアレイが環境磁場内で複数の向きに向けられたことに応じて、前記磁気センサアレイによって計測された環境磁場計測データを取得する磁場取得部と、
前記環境磁場計測データを用いて、被験者の心磁計測で前記磁気センサアレイにより計測される計測データを較正するための較正パラメータを算出する較正パラメータ算出部と、
算出された前記較正パラメータを記憶する較正パラメータ記憶部と、
前記計測データを、記憶された前記較正パラメータを用いて較正する較正演算部と、
較正した前記計測データを出力するデータ出力部と、
を備え、
前記磁気センサアレイは、三次元に配列された、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを有する心磁計測装置。
【請求項2】
前記磁場取得部は、前記環境磁場計測データをオンサイトで取得する請求項1に記載の心磁計測装置。
【請求項3】
前記磁場取得部は、被験者に対する第1心磁計測を行う場合に、前記第1心磁計測で計測される前記磁気センサアレイの計測データの較正に用いる前記環境磁場計測データを取得する請求項1または2に記載の心磁計測装置。
【請求項4】
前記磁場取得部は、前記第1心磁計測の前および後の少なくとも一方において計測された前記環境磁場計測データを取得する請求項3に記載の心磁計測装置。
【請求項5】
前記磁場取得部は、直前の被験者の心磁計測の後かつ前記第1心磁計測の前、および前記第1心磁計測の後かつ直後の被験者の心磁計測の前の少なくとも一方において計測された前記環境磁場計測データを取得する請求項4に記載の心磁計測装置。
【請求項6】
前記磁場取得部は、前記第1心磁計測の前に計測された第1の環境磁場計測データおよび前記第1心磁計測の後に計測された第2の環境磁場計測データを取得し、
前記較正パラメータ算出部は、前記第1の環境磁場計測データを用いて前記較正パラメータを算出し、
前記第2の環境磁場計測データを用いて、前記第1心磁計測で計測された前記磁気センサアレイの計測データの有効性を判定する判定部を更に備える請求項4または5に記載の心磁計測装置。
【請求項7】
前記第2の環境磁場計測データは、前記第1の環境磁場計測データよりもデータ要素の数が少ない請求項6に記載の心磁計測装置。
【請求項8】
前記磁気センサアレイの向きを変更する駆動部を更に備え、
前記磁場取得部は、前記磁気センサアレイが前記駆動部によって前記複数の向きに向けられたことに応じて前記環境磁場計測データを取得する
請求項1から7のいずれか一項に記載の心磁計測装置。
【請求項9】
前記駆動部は、前記磁気センサアレイの向きを連続的に変化させ、
前記磁場取得部は、前記磁気センサアレイの向きの変更中に、予め定められたタイミングで前記環境磁場計測データのデータ要素をサンプリングする請求項8に記載の心磁計測装置。
【請求項10】
前記駆動部は、前記磁気センサアレイの天頂角および方位角を変更する
請求項8または9に記載の心磁計測装置。
【請求項11】
前記駆動部は、前記磁気センサアレイを被験者に対向させる前記心磁計測装置のヘッドに対する前記磁気センサアレイの向きを変更する請求項8から10のいずれか一項に記載の心磁計測装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記磁気センサアレイを被験者に対向させる前記心磁計測装置のヘッドから前記磁気センサアレイを取り外して前記磁気センサアレイの向きを変更する請求項8から10のいずれか一項に記載の心磁計測装置。
【請求項13】
心磁計測装置が心磁計測の計測データを較正する較正方法であって、
前記心磁計測装置が、三次元に配列された、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを有する磁気センサアレイが環境磁場内で複数の向きに向けられたことに応じて、前記磁気センサアレイによって計測された環境磁場計測データを取得することと、
前記心磁計測装置が、前記環境磁場計測データを用いて、被験者の心磁計測で前記磁気センサアレイにより計測される計測データを較正するための較正パラメータを算出することと、
前記心磁計測装置が、算出された前記較正パラメータを記憶することと、
前記心磁計測装置が、前記計測データを、記憶された前記較正パラメータを用いて較正することと、を含む較正方法。
【請求項14】
前記環境磁場計測データの取得において、前記心磁計測装置は、被験者に対する第1心磁計測を行う場合に、前記第1心磁計測で計測される前記磁気センサアレイの計測データの較正に用いる前記環境磁場計測データを取得する請求項13に記載の較正方法。
【請求項15】
前記環境磁場計測データの取得において、前記心磁計測装置は、前記第1心磁計測の前および後の少なくとも一方において計測された前記環境磁場計測データを取得する請求項14に記載の較正方法。
【請求項16】
前記心磁計測装置が、前記磁気センサアレイの向きを変更することを更に備え、
前記環境磁場計測データの取得において、前記心磁計測装置は、前記磁気センサアレイが前記複数の向きに向けられたことに応じて前記環境磁場計測データを取得する請求項13から15のいずれか一項に記載の較正方法。
【請求項17】
前記磁気センサアレイの向きの変更において、前記心磁計測装置は、前記磁気センサアレイの向きを連続的に変化させ、
前記環境磁場計測データの取得において、前記心磁計測装置は、前記磁気センサアレイの向きの変更中に、予め定められたタイミングで前記環境磁場計測データのデータ要素をサンプリングする請求項16に記載の較正方法。
【請求項18】
前記磁気センサアレイの向きの変更において、前記心磁計測装置は、前記磁気センサアレイの天頂角および方位角を変更する
請求項16または17に記載の較正方法。
【請求項19】
コンピュータにより実行されて、前記コンピュータを、
三次元に配列された、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを有する磁気センサアレイが環境磁場内で複数の向きに向けられたことに応じて、前記磁気センサアレイによって計測された環境磁場計測データを取得する磁場取得部と、
前記環境磁場計測データを用いて、被験者の心磁計測で前記磁気センサアレイにより計測される計測データを較正するための較正パラメータを算出する較正パラメータ算出部と、
算出された前記較正パラメータを記憶する較正パラメータ記憶部と、
前記計測データを、記憶された前記較正パラメータを用いて較正する較正演算部と、
して機能させる較正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心磁計測装置、較正方法、および較正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた心磁計が実用化されている(特許文献1)。SQUID心磁計は、高価であり、液体ヘリウムによる冷却が必要であることから、トンネル磁気抵抗効果(TMR)素子または巨大磁気抵抗効果(GMR)素子等の磁気抵抗効果(「MR」または「xMR」と示す。)素子を用いた心磁計の開発が進められている(特許文献2、3)。
特許文献1 特開2001-87237号公報
特許文献2 特開2012-152514号公報
特許文献3 国際公開第2017/209273号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
MRセンサは、強磁性体材料を使用するので、製品出荷後に磁石が接近する等の磁場被曝を受けると磁気特性が大きく変動してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、心磁計測装置を提供する。心磁計測装置は、磁気センサアレイを備えてよい。心磁計測装置は、磁気センサアレイが環境磁場内で複数の向きに向けられたことに応じて磁気センサアレイによって計測された環境磁場計測データを取得する磁場取得部を備えてよい。心磁計測装置は、環境磁場計測データを用いて、被験者の心磁計測で磁気センサアレイにより計測される計測データを較正するための較正パラメータを算出する較正パラメータ算出部を備えてよい。心磁計測装置は、算出された較正パラメータを記憶する較正パラメータ記憶部を備えてよい。心磁計測装置は、計測データを、記憶された較正パラメータを用いて較正する較正演算部を備えてよい。心磁計測装置は、較正した計測データを出力するデータ出力部を備えてよい。磁気センサアレイは、三次元に配列された、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを有してよい。
【0005】
磁場取得部は、環境磁場計測データをオンサイトで取得してよい。
【0006】
磁場取得部は、被験者に対する第1心磁計測を行う場合に、第1心磁計測で計測される磁気センサアレイの計測データの較正に用いる環境磁場計測データを取得してよい。
【0007】
磁場取得部は、第1心磁計測の前および後の少なくとも一方において計測された環境磁場計測データを取得してよい。
【0008】
磁場取得部は、直前の被験者の心磁計測の後かつ第1心磁計測の前、および第1心磁計測の後かつ直後の被験者の心磁計測の前の少なくとも一方において計測された環境磁場計測データを取得してよい。
【0009】
磁場取得部は、第1心磁計測の前に計測された第1の環境磁場計測データおよび第1心磁計測の後に計測された第2の環境磁場計測データを取得してよい。較正パラメータ算出部は、第1の環境磁場計測データを用いて較正パラメータを算出してよい。心磁計測装置は、第2の環境磁場計測データを用いて、第1心磁計測で計測された磁気センサアレイの計測データの有効性を判定する判定部を更に備えてよい。
【0010】
第2の環境磁場計測データは、第1の環境磁場計測データよりもデータ要素の数が少なくてよい。
【0011】
心磁計測装置は、磁気センサアレイの向きを変更する駆動部を更に備えてよい。磁場取得部は、磁気センサアレイが駆動部によって複数の向きに向けられたことに応じて環境磁場計測データを取得してよい。
【0012】
駆動部は、磁気センサアレイの向きを連続的に変化させてよい。磁場取得部は、磁気センサアレイの向きの変更中に、予め定められたタイミングで環境磁場計測データのデータ要素をサンプリングしてよい。
【0013】
駆動部は、磁気センサアレイの天頂角および方位角を変更してよい。
【0014】
駆動部は、磁気センサアレイを被験者に対向させる心磁計測装置のヘッドに対する磁気センサアレイの向きを変更してよい。
【0015】
駆動部は、磁気センサアレイを被験者に対向させる心磁計測装置のヘッドから磁気センサアレイを取り外して磁気センサアレイの向きを変更してよい。
【0016】
本発明の第2の態様においては、心磁計測装置が心磁計測の計測データを較正する較正方法を提供する。較正方法は、心磁計測装置が、三次元に配列された、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを有する磁気センサアレイが環境磁場内で複数の向きに向けられたことに応じて磁気センサアレイによって計測された環境磁場計測データを取得することを含んでよい。較正方法は、心磁計測装置が、環境磁場計測データを用いて、被験者の心磁計測で磁気センサアレイにより計測される計測データを較正するための較正パラメータを算出することを含んでよい。較正方法は、心磁計測装置が、算出された較正パラメータを記憶することを含んでよい。較正方法は、心磁計測装置が、計測データを、記憶された較正パラメータを用いて較正することを含んでよい。
【0017】
環境磁場計測データの取得において、心磁計測装置は、被験者に対する第1心磁計測を行う場合に、第1心磁計測で計測される磁気センサアレイの計測データの較正に用いる環境磁場計測データを取得してよい。
【0018】
環境磁場計測データの取得において、心磁計測装置は、第1心磁計測の前および後の少なくとも一方において計測された環境磁場計測データを取得してよい。
【0019】
心磁計測装置が、磁気センサアレイの向きを変更することを更に備えてよい。環境磁場計測データの取得において、心磁計測装置は、磁気センサアレイが複数の向きに向けられたことに応じて環境磁場計測データを取得してよい。
【0020】
磁気センサアレイの向きの変更において、心磁計測装置は、磁気センサアレイの向きを連続的に変化させてよい。環境磁場計測データの取得において、心磁計測装置は、磁気センサアレイの向きの変更中に、予め定められたタイミングで環境磁場計測データのデータ要素をサンプリングしてよい。
【0021】
磁気センサアレイの向きの変更において、心磁計測装置は、磁気センサアレイの天頂角および方位角を変更してよい。
【0022】
本発明の第3の態様においては、較正プログラムを提供する。較正プログラムは、コンピュータにより実行されてよい。較正プログラムは、コンピュータを、三次元に配列された、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを有する磁気センサアレイが環境磁場内で複数の向きに向けられたことに応じて磁気センサアレイによって計測された環境磁場計測データを取得する磁場取得部として機能させてよい。較正プログラムは、コンピュータを、環境磁場計測データを用いて、被験者の心磁計測で磁気センサアレイにより計測される計測データを較正するための較正パラメータを算出する較正パラメータ算出部として機能させてよい。較正プログラムは、コンピュータを、算出された較正パラメータを記憶する較正パラメータ記憶部として機能させてよい。較正プログラムは、コンピュータを、計測データを、記憶された較正パラメータを用いて較正する較正演算部として機能させてよい。
【0023】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係る磁場計測装置10の構成を示す。
【
図2】本実施形態に係る磁気センサユニット110の構成を示す。
【
図3】本実施形態に係る磁気抵抗素子を有する磁気センサの入出力特性の一例を示す。
【
図4】本実施形態に係るセンサ部400の構成例を示す。
【
図5】本実施形態に係るセンサ部400の入出力特性の一例を示す。
【
図6】本実施形態に係る磁気センサアレイ210、センサデータ収集部230、およびセンサデータ処理部600の構成を示す。
【
図7】本実施形態に係る磁場計測装置10の心磁計測フローの一例を示す。
【
図8】本実施形態に係る磁場計測装置10のキャリブレーションフローの一例を示す。
【
図9】本実施形態に係る磁場計測装置10のキャリブレーションにおける楕円体フィッティングおよび球への変換の一例を示す。
【
図10】本実施形態に係る磁場計測装置10による球への変換前の計測データの一例を示す。
【
図11】
図10に示した球への変換前の計測データのYZ平面への投影図を示す。
【
図12】本実施形態に係る磁場計測装置10による球への変換後の計測データの一例を示す。
【
図13】
図12に示した球への変換後の計測データのYZ平面への投影図を示す。
【
図14】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0026】
図1は、本実施形態に係る磁場計測装置10の構成を示す。磁場計測装置10は、MR素子を用いて生体(人体等)の電気活動により生成される磁場(「生体磁場」と示す。)を計測する。磁場計測装置10は、高精度で簡便なキャリブレーション機能を有し、これによってシールドルーム内に設置しなくても高精度に生体磁場を計測することができる。
【0027】
磁場計測装置10は、心磁計測装置の一例であり、生体の心臓の電気活動により生成される磁場(「心磁」と示す。)を計測する。本実施形態において、磁場計測装置10は、被験者の心磁を計測するために用いられる。これに代えて、磁場計測装置10は、人間以外の生体の心磁を計測するために用いられてもよい。磁場計測装置10は、本体部100と、情報処理部150とを備える。本体部100は、被験者の心磁をセンシングするためのコンポーネントであり、磁気センサユニット110と、ヘッド120と、駆動部125と、ベース部130と、ポール部140とを有する。
【0028】
磁気センサユニット110は、心磁計測時に被験者の胸部における心臓に向かう位置に配置され、被験者の心磁をセンシングする。ヘッド120は、磁気センサユニット110を支持し、磁気センサユニット110を被験者に対向させる。駆動部125は、磁気センサユニット110およびヘッド120の間に設けられ、キャリブレーションを行う場合にヘッド120に対する磁気センサユニット110の向きを変更する。本実施形態に係る駆動部125は、図中のZ軸を中心に磁気センサユニット110を360度回転させることができる第1アクチュエータと、Z軸と垂直な軸(図中の状態においてはX軸)を中心に磁気センサユニット110を回転させる第2アクチュエータとを含み、これらを用いて磁気センサユニット110の方位角および天頂角を変更する。図中の駆動部125'として示したように、駆動部125は図中のY軸方向から見るとY字形状を有し、第2アクチュエータは、磁気センサユニット110を図中X軸中心に360度回転させることができる。
【0029】
ベース部130は、本体部100を他の部品を支える基台であり、本実施形態においては心磁計測時に被験者が乗る台となっている。ポール部140は、ヘッド120を被験者の胸部の高さに支持する。ポール部140は、磁気センサユニット110の高さを被験者の胸部の高さに調整するべく上下方向に伸縮可能であってよい。
【0030】
情報処理部150は、本体部100による計測データを処理して表示・印刷等により出力するためのコンポーネントである。情報処理部150は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。これに代えて、情報処理部150は、心磁計測の情報処理用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。
【0031】
本実施形態に係る磁場計測装置10においては、被験者の心理負担を減らして簡便な心磁計測を提供するべく、被験者が立位で心磁計測をすることができる構成をとる。これに代えて、磁場計測装置10は、被験者の位置をより安定的に固定して心磁計測の精度を高めるために、被験者を臥位で心磁計測する構成としてもよい。
【0032】
また、本実施形態に係る駆動部125は、ヘッド120によって磁気センサユニット110を支持した状態で磁気センサユニット110の向きを変更する。これに代えて、駆動部125は、心磁計測時には磁気センサユニット110およびヘッド120とは接触せず使用されないロボットアーム等を含んで構成され、キャリブレーション時にヘッド120から、磁気センサユニット110を取り外して磁気センサユニット110の向きを変更するようにしてもよいし、磁気センサユニット110を構成する後述の磁気センサアレイ210を取り外して磁気センサアレイ210の向きを変更するようにしてもよい。
【0033】
なお、本実施形態に係る磁場計測装置10は、一例として心磁計測装置であるが、これに代えて磁場計測装置10は脳磁場等の、生体に生じる心磁以外の生体磁場を計測するように構成されてもよい。ベース部130およびポール部140の構造、並びにヘッド120の向き等は、生体の測定部位に応じて好適な構造・配置に変更されてよい。
【0034】
図2は、本実施形態に係る磁気センサユニット110の構成を示す。磁気センサユニット110は、磁気センサアレイ210およびセンサデータ収集部230を有する。磁気センサアレイ210は、複数の磁気センサセル220を一次元、二次元、または三次元に配列した構成をとる。本図において、磁気センサアレイ210は、X方向に4個、Y方向に4個、Z方向に2個の磁気センサセル220を含む。ここで、磁気センサアレイ210における各磁気センサセル220の位置は、X方向の位置i、Y方向の位置j、およびZ方向の位置kの組[i,j,k]により表される。ここで、iは0≦i≦Nx-1を満たす整数であり(NxはX方向に配列された磁気センサセル220の個数を示す)、jは0≦j≦Ny-1を満たす整数であり(NyはY方向に配列された磁気センサセル220の個数を示す)、kは0≦k≦Nz-1を満たす整数である(NzはZ方向に配列された磁気センサセル220の個数を示す)。
【0035】
センサデータ収集部230は、磁気センサアレイ210に含まれる複数の磁気センサセル220に電気的に接続され、複数の磁気センサセル220からのセンサデータ(検出信号)を収集して情報処理部150へと供給する。
【0036】
図3は、本実施形態に係る磁気抵抗素子を有する磁気センサの入出力特性の一例を示す。本図は、横軸が磁気センサに入力する入力磁場の大きさBを示し、縦軸が磁気センサの検出信号の大きさV_xMR0を示す。磁気センサは、例えば、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto-Resistance)素子およびトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magneto-Resistance)素子等を有し、予め定められた一軸方向の磁場の大きさを検出する。
【0037】
このような磁気センサは、入力磁場Bに対する検出信号V_xMR0の傾きである磁気感度が高く、10pT程度の微小な磁場を検出することができる。その一方で、磁気センサは、例えば、入力磁場Bの絶対値が1μT程度で検出信号V_xMR0が飽和してしまい、入出力特性の直線性が良好な範囲が狭い。そこで、このような磁気センサにフィードバック磁場を発生させる閉ループを加えると、磁気センサの直線性を改善することができる。このような磁気センサについて次に説明する。
【0038】
図4は、本実施形態に係るセンサ部400の構成例を示す。センサ部400は、複数の磁気センサセル220のそれぞれの内部に設けられ、磁気センサ420と、磁場生成部430と、出力部440とを有する。なお、センサ部400の一部、例えば増幅回路432および出力部440は、磁気センサセル220側ではなくセンサデータ収集部230側に設けられてもよい。
【0039】
磁気センサ420は、
図3で説明した磁気センサと同様に、GMR素子およびTMR素子等の磁気抵抗効果素子を有する。磁気センサ420は、感磁軸の正の方向を+X方向とした場合に、+X方向の磁場が入力すると抵抗値が増加し、-X方向の磁場が入力すると抵抗値が減少するように形成されてよい。即ち、磁気センサ420の抵抗値の変化を観測することにより、当該磁気センサ420に入力する磁場Bの大きさを検出することができる。例えば、磁気センサ420の磁気感度をSとすると、磁気センサ420の入力磁場Bに対する検出結果は、S×Bと算出できる。なお、磁気センサ420は、一例として、電源等が接続され、抵抗値の変化に応じた電圧降下を、入力磁場の検出結果として出力する。
【0040】
磁場生成部430は、磁気センサ420が検出した入力磁場を低減させるフィードバック磁場を磁気センサ420に与える。磁場生成部430は、例えば、磁気センサ420に入力する磁場Bとは逆向きで、絶対値が当該入力磁場と略同一のフィードバック磁場B_FBを発生させ、入力磁場を打ち消すように動作する。磁場生成部430は、増幅回路432と、コイル434とを含む。
【0041】
増幅回路432は、磁気センサ420の入力磁場の検出結果に応じた電流をフィードバック電流I_FBとして出力する。増幅回路432は、例えば、トランスコンダクタンスアンプを含み、磁気センサ420の出力電圧に応じたフィードバック電流I_FBを出力する。例えば、増幅回路432の電圧・電流変換係数をGとすると、フィードバック電流I_FBは、G×S×Bと算出できる。
【0042】
コイル434は、フィードバック電流I_FBに応じたフィードバック磁場B_FBを発生させる。コイル434は、磁気センサ420の全体にわたって均一のフィードバック磁場B_FBを発生させることが望ましい。例えば、コイル434のコイル係数をβとすると、フィードバック磁場B_FBは、β×I_FBと算出できる。ここで、フィードバック磁場B_FBは、入力磁場Bを打ち消す向きに発生するので、磁気センサ420に入力する磁場は、B-B_FBに低減されることになる。したがって、フィードバック電流I_FBは、次式のように示される。
【数1】
【0043】
(数1)式をフィードバック電流I_FBについて解くと、センサ部400の定常状態におけるフィードバック電流I_FBの値を算出することができる。磁気センサ420の磁気感度Sおよび増幅回路432の電圧・電流変換係数Gが十分に大きいとすると、(数1)式から次式が算出される。
【数2】
【0044】
出力部440は、磁場生成部430がフィードバック磁場B_FBを発生するために流すフィードバック電流I_FBに応じた出力信号V_xMRを出力する。出力部440は、例えば、抵抗値Rの抵抗性素子を有し、当該抵抗性素子にフィードバック電流I_FBが流れることによって生じる電圧降下を出力信号V_xMRとして出力する。この場合、出力信号V_xMRは、(数2)式より次式のように算出される。
【数3】
【0045】
以上のように、センサ部400は、外部から入力する磁場を低減させるフィードバック磁場を発生するので、磁気センサ420に実質的に入力する磁場を低減させる。これにより、センサ部400は、例えば、磁気センサ420として
図3の特性を有する磁気抵抗素子を用い、入力磁場Bの絶対値が1μTを超えても、検出信号V_xMRが飽和することを防止できる。このようなセンサ部400の入出力特性を次に説明する。
【0046】
図5は、本実施形態に係るセンサ部400の入出力特性の一例を示す。本図は、横軸がセンサ部400に入力する入力磁場の大きさBを示し、縦軸がセンサ部400の検出信号の大きさV_xMRを示す。センサ部400は、磁気感度が高く、10pT程度の微小な磁場を検出することができる。また、センサ部400は、例えば、入力磁場Bの絶対値が100μTを超えても、検出信号V_xMRの良好な直線性を保つことができる。
【0047】
即ち、本実施形態に係るセンサ部400は、例えば、入力磁場Bの絶対値が数百μT以下といった、予め定められた入力磁場Bの範囲において、当該入力磁場Bに対する検出結果が線形性を有するように構成される。このようなセンサ部400を用いることにより、例えば、心磁信号といった微弱な磁気的信号を簡便に検出することができる。
【0048】
図6は、本実施形態に係る磁気センサアレイ210、センサデータ収集部230、およびセンサデータ処理部600の構成を示す。図中においては、駆動制御部615は複数の磁気センサセル220に共通の構成であるが、他の構成は1つの磁気センサセル220に対する構成のみを記載し、他の磁気センサセル220に対応する構成は記載を省略する。
【0049】
磁気センサアレイ210は、複数の磁気センサセル220を有する。本実施形態において、複数の磁気センサセル220の各々は、磁場を3軸方向で検出可能である。各磁気センサセル220は、X方向、Y方向、およびZ方向の3軸方向の磁場を計測する3つのセンサ部400を含む。各センサデータ収集部230は、複数の磁気センサセル220のそれぞれに対応して設けられ、対応する磁気センサセル220の各センサ部400が出力するアナログの検出信号(
図4のセンサ出力信号V_xMR)をデジタルの計測データ(Vx,Vy,Vz)に変換する。ここで、Vx、Vy、およびVzは、X方向、Y方向、およびZ方向のセンサ部400からの検出信号をデジタルに変換した計測値(例えばデジタルの電圧値)である。
【0050】
センサデータ処理部600は、情報処理部150内に設けられ、センサデータ収集部230からの計測データを処理して出力する。センサデータ処理部600は、駆動制御部615と、複数の磁気センサセル220のそれぞれに対応して設けられた磁場取得部625、較正パラメータ算出部630、較正パラメータ記憶部640、較正演算部660、判定部670、およびデータ出力部680とを有する。駆動制御部615、複数の磁場取得部625、複数の較正パラメータ算出部630、複数の較正パラメータ記憶部640、および複数の判定部670は、駆動部125と共に、磁気センサアレイ210により計測される計測データを較正する較正パラメータを算出する較正装置としても機能する。
【0051】
駆動制御部615は、駆動部125を駆動して、駆動部125によって磁気センサアレイ210の向きを変更させる。磁場取得部625は、センサデータ収集部230および情報処理部150間の配線を介してAD変換器610に接続され、磁気センサアレイ210が環境磁場(例えば地磁気)内で複数の向きに向けられたことに応じて磁気センサアレイ210によって計測された環境磁場計測データを取得する。磁場取得部625は、磁気センサアレイ210が複数の向きのそれぞれの向きに向けられたタイミングで計測データのデータ要素(Vx,Vy,Vz)をラッチするフリップフロップ等を用いて構成されてよい。例えば、磁場取得部625は、駆動制御部615が環境磁場内で磁気センサアレイ210を複数の向きに向ける制御をしている間に出力する環境磁場計測モード信号を受けている間、予め定められたサンプリング周期毎に計測データを取得していってよい。磁場取得部625は、複数の向きについて取得した環境磁場計測データを、一旦コンピュータのファイル等として情報処理部150内に格納してもよい。これに代えて、磁場取得部625は、計測データを入力する入力端子、入力ポート、および入力配線等の計測データを受け取ることができる任意の構成であってもよい。また、磁場取得部625は、被験者に対する心磁計測中に計測された計測データ(「心磁計測データ」とも示す。)を取得する。
【0052】
較正パラメータ算出部630は、磁場取得部625に接続され、磁場取得部625が取得した環境磁場計測データを用いて、被験者の心磁計測において磁気センサアレイ210により計測される計測データを較正するための較正パラメータを算出する。較正パラメータ記憶部640は、較正パラメータ算出部630に接続され、較正パラメータ算出部630が算出した較正パラメータを記憶する。較正演算部660は、磁場取得部625に接続され、磁気センサアレイ210によって計測された計測データを、較正パラメータ算出部630によって算出されて較正パラメータ記憶部640に格納された較正パラメータを用いて較正する。
【0053】
判定部670は、較正演算部660に接続され、被験者の心磁計測の後に計測された第2の環境磁場計測データを用いて、心磁計測で計測された磁気センサアレイの計測データの有効性を判定する。例えば、較正パラメータ算出部630が、被験者の心磁計測の前に計測された第1の環境磁場計測データを用いて較正パラメータを算出し、較正演算部660がこの較正パラメータを用いて心磁計測データを較正する場合において、判定部670は、心磁計測の後に計測された第2の環境磁場計測データを較正演算部660により較正して得られる計測データの、目標とする分布に対する相違度に基づいて、心磁計測データの有効性を判定する。すなわち、判定部670は、心磁計測の前後で環境磁場計測データの分布に相違が生じた場合に、磁気センサアレイ210の感度に変化が生じ、心磁計測が不正確であるとして、有効性が低いと判定する。判定部670は、有効性の判定結果を、データ出力部680による出力する心磁計測データに付加して出力してよい。
【0054】
データ出力部680は、較正した計測データを出力する。例えば、データ出力部680は、較正済の計測データをコンピュータのファイル等として情報処理部150内、外部のコンピュータ内、及び/又は外部の記憶装置等に格納してもよく、計測データを用いて心磁計測結果を示す画像を生成し、情報処理部150が有する表示装置に表示してもよい。
【0055】
以上に示したセンサデータ処理部600による計測データの較正の概要は、以下の通りである。位置[i,j,k]にある磁気センサセル220に入力される入力磁場をB(Bx,By,Bz)とし、X用のセンサ部400、Y用のセンサ部400、およびZ用のセンサ部400による3軸磁気センサの検出結果をV(Vx,Vy,Vz)とする。この場合、3軸磁気センサの磁気センサ特性を行列Sとすると、次式のように示すことができる。
【数4】
【0056】
ここで、Sxx、Syy、Szzは、それぞれX用センサ部400、Y用センサ部400、Z用センサ部400の主軸方向の感度を表し、Sxy、Sxz、Syx、Syz、Szx、Szyは他軸方向の感度を表している。また、Vos,x、Vos,y、Vos,zは、それぞれX用センサ部400、Y用センサ部400、Z用センサ部400の主軸方向のオフセットを表している。
【0057】
センサ部400のそれぞれが、検出すべき入力磁場の範囲において、当該入力磁場に対する検出結果が線形性を有するので、行列Sの各要素は、入力磁場Bの大きさとは無関係な略一定の係数となる。また、センサ部400が他軸感度を有していても、当該センサ部400の検出結果が線形性を有していれば、行列Sの各要素は、入力磁場Bの大きさとは無関係な略一定の係数となる。
【0058】
したがって、較正演算部660は、行列Sの逆行列S
-1とオフセット(Vos,x,Vos,y,Vos,z)とを用いることで、次式のように、計測データV(Vx,Vy,Vz)を磁場データB(Bx,By,Bz)に変換することができる。
【数5】
【0059】
較正パラメータ算出部630は、環境磁場計測データを用いて行列Sの逆行列S-1およびオフセット(Vos,x,Vos,y,Vos,z)を算出し、較正パラメータとして較正パラメータ記憶部640に格納する。較正演算部660は、磁場取得部625により取得された心磁計測データを、これらの較正パラメータを用いて磁場計測データBに変換し、データ出力部680に供給する。
【0060】
以上のように、各センサ部400が線形性を有するので、較正演算部660は、略一定の係数を用いて計測データを磁場データに変換することができる。すなわち、較正演算部660が用いる略一定の係数は、環境磁場データを用いて一組の較正パラメータとして定めることができる。また、較正パラメータ記憶部640は、対応するセンサ部400のそれぞれの他軸感度を補正する係数を含む較正パラメータを格納することができる。
【0061】
以上において、磁場取得部625は、デジタルの計測データを取得する例を示した。これに代えて、磁場取得部625は、AD変換器610を含み、アナログの計測データを取得する構成としてもよい。
【0062】
また、本実施形態において、磁場計測装置10は、駆動部125を備え、駆動制御部615による制御に応じて自動で磁気センサユニット110の向きを変更する。これに代えて、磁場計測装置10は、駆動制御部615および駆動部125を備えず、手動で磁気センサユニット110の向きを変更する構成をとってもよい。例えば、磁場計測装置10は、磁気センサユニット110をヘッド120から取り外し可能な構成を有し、磁場計測装置10の管理者または検査技師等が、取り外された磁気センサユニット110を手動で回転させたり振ったりすることによって複数の向きに向けるようにしてもよい。磁場取得部625は、磁気センサユニット110が複数の向きに向けられたことに応じた環境磁場計測データを取得してもよい。
【0063】
図7は、本実施形態に係る磁場計測装置10の心磁計測フローの一例を示す。本実施形態に係る磁場計測装置10は、磁場計測装置10の出荷前にキャリブレーションを行うのに代えて、またはそれに加えて、心磁計測を行う検査室等に磁場計測装置10を配置した後に環境磁場計測データをオンサイトで取得してキャリブレーションを行うことができる。ここで、オンサイトとは、心磁計測を行う検査室等、心磁計測装置、較正装置のある場所、心磁計測を行う現場のことである。本実施形態に係る磁場計測装置10は、被験者の心磁計測の前後において計測された環境磁場計測データを取得して、キャリブレーションを行う。
【0064】
磁場計測装置10は、各被験者の心磁計測において、本図の心磁計測フローを実行する。S700(ステップ700)において、磁場計測装置10は、心磁計測前のキャリブレーション(検査前キャリブレーション)を行い、較正パラメータ算出部630によって算出された較正パラメータを較正パラメータ記憶部640に格納する。
【0065】
S710において、較正パラメータ算出部630は、S700のキャリブレーションが成功したか否かを判定する。較正パラメータ算出部630は、S700のキャリブレーションが成功した場合には処理をS730に進め、失敗した場合には処理をS720に進める。S720において、較正パラメータ算出部630は、検査前キャリブレーションが失敗し、目標とする精度で心磁計測ができない旨のエラーを情報処理部150が備える表示装置等を用いて報告してよい。
【0066】
S730において、磁場計測装置10は、被験者の心磁計測を行う。より具体的には、駆動制御部615は、磁気センサユニット110を被験者に対向させる向きに向ける。磁気センサアレイ210は、各磁気センサセル220が設けられた位置における磁場を検出して検出信号を出力し、センサデータ収集部230は各磁気センサセル220のそれぞれからの検出信号をデジタルの計測データに変換する。各磁場取得部625は、被験者の測定部位に生じる磁場を磁気センサアレイ210により計測した計測データを取得する。磁場取得部625は、各磁気センサセル220が設けられた位置における磁場の変化を、各タイミングにおけるデータ要素(Vx,Vy,Vz)を有する時系列の計測データとして取得してよい。較正演算部660は、較正パラメータ記憶部640に格納された較正パラメータ、すなわち例えば
図6に関連して示した、各磁気センサセル220毎の逆行列S
-1およびオフセット(Vos,x、Vos,y、Vos,z)を用い、数5に示したように計測データの各データ要素を較正して磁場の計測データを算出する。データ出力部680は、算出された磁気センサセル220毎の磁場の計測データを格納する。
【0067】
S740において、磁場計測装置10は、心磁計測後のキャリブレーション(検査後キャリブレーション)を行う。ここで駆動制御部615は、駆動部125を駆動して、駆動部125によって磁気センサアレイ210の向きを変更させる。磁場取得部625は、磁気センサアレイ210が環境磁場内で複数の向きに向けられたことに応じて磁気センサアレイ210によって計測された第2の環境磁場計測データを取得する。なお、本図のフローにおいては、S740における第2の環境磁場計測データは、心磁計測データの有効性の判断に用いられるものであり、高い精度の較正パラメータを算出するためのものではない。したがって、第2の環境磁場計測データは、S700において取得される第1の環境磁場計測データよりもデータ要素の数が少なくてもよい。
【0068】
S750において、判定部670は、心磁計測データが有効か否かを判定する。S700において較正パラメータ算出部630は、磁気センサアレイ210の各磁気センサセル220について各軸の感度およびオフセットを較正しているので、各磁気センサセル220の感度およびオフセットに変化がなければ、第2の環境磁場計測データの較正後の各データ要素(Bx,By,Bz)は、環境磁場の大きさを半径とする信号球上に分布するはずである。しかし、磁気センサセル220の感度およびオフセットの少なくとも一方が変化すると、第2の環境磁場計測データの較正後のデータ要素(Vx,Vy,Vz)の分布は、上記の信号球からずれた信号球または楕円体となる。判定部670は、較正後の第2の環境磁場計測データの分布の、目標とする信号球に対する相違度に応じて、心磁計測データが有効であるか否かを判定し、心磁計測データが有効と判定した場合にはS770に、無効と判定した場合にはS760に処理を進める。ここで相違度は、例えば、第1および第2の環境磁場計測データから得られた信号球の大きさの違いが所定の範囲内にあるか、または、信号球の中心位置の違いが所定の範囲内にあるかどうかを利用してよい。
【0069】
S760において、判定部670は、心磁計測データが無効である旨を、例えば情報処理部150が有する表示装置等に表示することにより、被験者または検査技師等に警告を行う。警告を受けた被験者または検査技師等は、磁場計測装置10による心磁計測フローを再度開始し、磁場計測装置10は、本図の心磁計測フローを実行してよい。
【0070】
S770において、データ出力部680は、心磁計測データを出力する。一例として、データ出力部680は、複数の磁気センサセル220の配置を示すマップを表示装置に表示させ、各磁気センサセル220における磁場の強度及び/又は向き、または各隣接する磁気センサセル220間の磁場勾配の大きさ及び/又は向きを、磁場強度等に応じた色及び/又は磁場等の向きに応じた矢印等を用いて表示させるように表示制御を行ってもよい。また、データ出力部680は、心磁計測データの時系列を、上記のマップの時間変化により表示させる表示制御を行ってもよい。
【0071】
データ出力部680は、以下の数6~8に示す計算式を用いて心磁場の勾配を算出してもよい。ここで、Lx、Ly、およびLzは、X方向、Y方向、およびZ方向における磁気センサセル220間の距離を表し、[i,j,k]は磁気センサセル220の位置を示す。
【数6】
【数7】
【数8】
【0072】
ここで、各磁気センサセル220に対応する心磁計測データの各データ要素(Bx,By,Bz)は、心磁場と比較して非常に大きい環境磁場の成分を含んでいる。しかし、本実施形態に係る磁場計測装置10は、後述のようにキャリブレーションによって磁気センサセル220間の感度およびオフセットを精度良く較正可能とする。これにより、上記数6~8に示した心磁場の勾配は、隣接する磁気センサセル220間で環境磁場の成分が十分にキャンセルされ、高い精度の値が得られる。
【0073】
なお、データ出力部680は、心電計等から心電信号を取得し、心磁計測データと同期して出力してもよい。これにより、データ出力部680は、心磁計測データおよび心電信号を同期させた検査を可能とする。
【0074】
本実施形態に係る磁場計測装置10によれば、被験者の心磁計測の前後でキャリブレーションを行い、心磁計測の前後で環境磁場計測データの分布に相違が生じた場合に、心磁計測データの有効性が低いと判断することができる。これにより、磁場計測装置10は、心磁計測の精度を保つことができる。
【0075】
なお、磁場計測装置10の磁場取得部625は、被験者に対する心磁計測を行う場合に、その心磁計測で計測される磁気センサアレイ210の計測データの較正に用いる環境磁場計測データを取得する他の手段を採用してよい。ここで磁場取得部625は、複数の被験者毎に較正に用いる環境磁場計測データを取得してもよく、予め定められた周期毎(例えば1時間毎)または予め定められたタイミング毎(磁場計測装置10の起動時、朝、昼、夕等)に較正に用いる環境磁場計測データを取得してもよい。
【0076】
また、磁場取得部625は、心磁計測の前および後の少なくとも一方において計測された環境磁場計測データを取得するようにしてもよい。この場合において、磁場取得部625は、被験者毎にキャリブレーションを行うべく、直前の被験者の心磁計測の後かつ第1心磁計測の前、および第1心磁計測の後かつ直後の被験者の心磁計測の前の少なくとも一方において計測された環境磁場計測データを取得するようにしてもよい。心磁計測の前または後のみで環境磁場計測データを取得する場合には、磁場計測装置10は、本図のS740~S760に相当する有効性の判定関連の処理を省略してよい。
【0077】
較正演算部660は、磁場取得部625が取得した計測データに対して、計測データの各データ要素の取得直後に較正パラメータを用いて順次較正を行ってもよく、すでに取得された計測データに対して事後的に較正パラメータを用いて順次較正を行ってもよい。後者の場合には、磁場計測装置10は、まず心磁計測データを取得した後にS700のキャリブレーションを行って較正パラメータを算出し、その較正パラメータを心磁計測データに適用することもできる。
【0078】
図8は、本実施形態に係る磁場計測装置10のキャリブレーションフローの一例を示す。S800において、駆動制御部615は、磁気センサアレイ210の向きを複数の向きに変更し、各磁場取得部625は複数の向きのそれぞれにおいて計測された環境磁場計測データを取得する。S810において、各較正パラメータ算出部630は、各磁気センサセル220について、磁気感度行列Sおよびオフセット(Vos,x、Vos,y、Vos,z)を算出する。S820において、複数の較正パラメータ算出部630は、全磁気センサセル220について、ベクトルB(Bx,By,Bz)の基準となる軸を揃える。
【0079】
S830において、複数の較正パラメータ算出部630は、全ての磁気センサセル220について、S800において計測された環境磁場計測データの較正後のベクトルBの分布(3軸センサにおいては信号球)の誤差が、閾値以下であるか否かを判定する。具体的には、各較正パラメータ算出部630は、各磁気センサセル220により計測された環境磁場計測データの各データ要素について、較正後の値が、原点(0,0,0)を中心とし、環境磁場に応じた半径を有する球面からどれだけ外れているか、すなわち較正後の値の原点からの距離と環境磁場に応じた半径との間の誤差が、閾値以下であるか否かを判定する。ここで、較正パラメータ算出部630は、環境磁場計測データの全てのデータ要素が本条件を満たすことを本判定の条件としてもよく、予め定められた割合(例えば99.9%)のデータ要素が本条件を満たすことを本判定の条件としてもよい。S830における判定結果が否定的である場合、較正パラメータ算出部630は、処理をS840に進める。S830における判定結果が肯定的である場合、較正パラメータ算出部630は、処理をS860に進める。
【0080】
S840において、較正パラメータ算出部630は、S800~S820のキャリブレーションを行った回数が上限回数以下の場合、処理をS800に進めてキャリブレーションを繰り返す(S840:Yes)。較正パラメータ算出部630は、キャリブレーションを行った回数が上限回数を超える場合(S840:No)、キャリブレーションは失敗であるとして本図のフローを終了させる(S850)。
【0081】
S860において、磁場計測装置10は、環境磁場を再計測し、再計測した環境磁場計測データの較正後のベクトルBの分布の誤差が、閾値以下であるか否かを判定する。この判定は、S830における判定と同様であってよい。この確認を終えると、較正パラメータ算出部630は、S870においてキャリブレーションが成功したとして、較正パラメータを較正パラメータ記憶部640に格納し、本図のフローを終了させる。なお、S860における確認の結果、再計測した環境磁場計測データの較正後のベクトルBの分布の誤差が、閾値を超えた場合には、較正パラメータ算出部630は、S840に処理を進める構成をとってもよい。
【0082】
図9は、本実施形態に係る磁場計測装置10のキャリブレーションにおける楕円体フィッティングおよび球への変換の一例を示す。各磁気センサセル220が各軸方向で感度が同じであり、他軸感度が0であり、かつ検出信号にオフセットが存在しない理想的な状態である場合、各磁気センサセル220を一様な環境磁場内で回転させると、各磁気センサセル220が出力する環境磁場計測データ(Vx、Vy、Vz)は、三次元空間内で原点を中心とし環境磁場の大きさに応じた半径を有する球面上に分布する。しかし現実には、各軸方向の感度の相違、他軸感度の存在、およびオフセットの存在等の要因により、各磁気センサセル220が出力する環境磁場計測データ(Vx、Vy、Vz)は、各軸方向の感度の相違に起因して各軸方向で半径が異なり、他軸感度に起因して回転し、かつ原点からオフセットされた楕円体の面上に分布する。
【0083】
そこで、磁場計測装置10は、
図8のS810において、環境磁場計測データ(Vx,Vy,Vz)の分布を楕円体にフィッティングし、この楕円体を原点中心の球に変換することができる補正パラメータを算出する。磁場計測装置10は、一例として、以下の(1)~(3)に示すような方法で、S810の処理を行ってもよい。
【0084】
(1)楕円体フィッティング
各磁気センサセル220が出力する環境磁場計測データは、磁気センサアレイ210の方位角および天頂角を変更しながら取得されたN個のデータ要素(Vx,Vy,Vz)を含む。これらのデータ要素は、上記の要因により、楕円体の面上に分布する。そこで、較正パラメータ算出部630は、これらのデータ要素にフィットする楕円体を算出する。
【0085】
三次元空間における楕円体の一般式は、以下の数9に示すとおりである。ここで、係数a~iは定数である。
【数9】
【0086】
N≧9のデータ要素(Vx,Vy,Vz)のそれぞれについて、X=Vx,Y=Vy,Z=Vzとし、これらを用いてN個の行ベクトル(X2,Y2,Z2,2XY,2XZ,2YZ,2X,2Y,2Z)を算出する。
【0087】
N個の上記ベクトルを行方向に配列して、数10に示すN行9列の行列Dを生成する。ここで、k番目のデータ要素のX,Y,Zを、X
k,Y
k,Z
kと示す。
【数10】
【0088】
ベクトルv=(a,b,c,d,e,f,g,h,i)
Tとすると、N個のデータ要素のそれぞれを数9に代入した式から、以下の数11が導ける。ここで、1[N×1]は、成分が1のN行1列の行列を示す。
【数11】
【0089】
数11から、vの最小二乗解は、以下の数12により算出することができる。
【数12】
【0090】
較正パラメータ算出部630は、以上に示した楕円体フィッティングにより、vの各要素である定数a~iを算出することができ、数9にこれらの定数を代入することで、環境磁場計測データの分布にフィッティングした楕円体の式を得ることができる。
【0091】
(2)楕円体の重心
ベクトルv
ghi、行列A
4、行列A
3を以下の数13~15のとおり定義する。
【数13】
【数14】
【数15】
【0092】
このとき、楕円体の重心O=[ox,oy,oz]
Tは、以下の数16によって算出することができる。
【数16】
【0093】
【0094】
このとき行列A
4で表される楕円体の重心を原点に移動させた場合にその楕円体を表す行列B
4は、以下の数18によって算出することができる。
【数18】
【0095】
(3)楕円体の回転および径の補正
数18によって算出した行列B
4の各要素を以下の数19のとおり表し、これらの要素に基づく行列B
3を数20のとおり定義する。
【数19】
【数20】
【0096】
行列B3の固有値(λ1,λ2,λ3)、固有ベクトルを算出し、固有値を対角成分とした行列をΛ、固有ベクトルで作られた行列をQとする。このとき、固有値は楕円体の径の大きさに依存した量となり、行列Qは楕円体の姿勢(すなわち楕円体の軸の回転)を表す。したがって、環境磁場計測データのデータ要素(X,Y,Z)についてr=[X,Y,Z]
Tとおくと、較正パラメータ算出部630は、以下の数21によって環境磁場計測データの分布に対応する楕円体の重心を原点に移動し(図中(a))、以下の数22によって楕円体を回転して楕円体の軸をX,Y,Z軸に合わせた後に径を補正する(図中(b)(c))ことにより、楕円体の面上のデータ要素rを球面上のデータ要素dに変換することができる。
【数21】
【数22】
【0097】
なお、数22の変換は、単位球面上への変換である。これに代えて、較正パラメータ算出部630は、環境磁場の大きさに応じた半径を有する球面への変換を行うようにしてもよい。例えば、較正パラメータ算出部630は、変換後の球が楕円体の体積を保存するようにするべく、行列B3の固有値(λ1,λ2,λ3)を利用して、環境磁場の大きさRaを以下のような数式で決定し、数22で変換されたデータに乗算してよい。
【数23】
また、較正パラメータ算出部630が使用する環境磁場の大きさは、磁場計測装置10の設置時等に設置者等により測定されて、磁場計測装置10に設定されてもよい。
【0098】
以上に例示した方法により、磁場計測装置10は、各磁場取得部625が取得した各磁気センサセル220からの環境磁場計測データを球面上の値に変換することができるようになる。しかし、上記の処理のみでは複数の磁気センサセル220の間で、環境磁場計測データを較正した計測データが分布する球の姿勢が異なる可能性がある。そこで、磁場計測装置10は、
図8のS820において、一例として以下の(4)に示すようにして複数の磁気センサセル220の間で球の姿勢を合わせる。
【0099】
(4)複数の磁気センサセル220間での補正
複数の磁気センサセル220のうち基準となる磁気センサセル220(例えば位置(0,0,0)の磁気センサセル220)について、環境磁場計測データから数22に対応する球補正を行う行列をSaとし、球補正を行った後の計測データ行列をDaとし、補正対象の磁気センサセル220について、環境磁場計測データから数22に対応する球補正を行う行列をSbとし、球補正を行った後の計測データ行列をDbとする。このとき、DaとDbの間には直交変換の関係がある。
【0100】
較正パラメータ算出部630は、行列Daと行列Dbの転置行列との積である行列DaDbTを算出し、これを特異値分解して2つのユニタリ行列UおよびVを算出する。このとき、較正パラメータ算出部630は、補正対象の磁気センサセル220における信号球の姿勢を、基準となる磁気センサセル220における信号球の姿勢に変換するための行列Rを、R=UVTにより算出することができる。
【0101】
したがって、較正パラメータ算出部630は、基準となる磁気センサセル220については数5における逆行列S-1としてSaを較正パラメータ記憶部640に格納し、補正対象の磁気センサセル220については逆行列S-1としてRSbを較正パラメータ記憶部640に格納する。以上の(1)~(4)により、較正パラメータ算出部630は、複数の磁気センサセル220について、各軸の感度を調整し、他軸感度の影響を除き、オフセットの補正、そして各磁気センサセル220間の姿勢を揃えるための補正パラメータを算出することができる。なお、各磁気センサセル220の姿勢に関しては、予め既知の磁場を直交座標系となるように測定しておくことで、直交座標系に対する姿勢を決定させておいて補正してもよい。
【0102】
図10は、本実施形態に係る磁場計測装置10による球への変換前の計測データの一例を示す。
図11は、
図10に示した球への変換前の計測データのYZ平面への投影図を示す。これらの図は、約30μTの静磁場環境において、3軸磁気センサを用いて計測された計測データを実線で示し、参考のためフィッティングされた楕円体を点線により示す。
【0103】
これらの図において、x、y、z軸方向の値の単位はμTである。駆動部125は、
図8のS800およびS860、並びに
図7のS740において、駆動制御部615の制御を受けて、磁気センサアレイ210を複数の向きに向けてよい。駆動部125は、磁気センサアレイ210を各向きに向ける度に磁気センサアレイ210を一旦静止させ、磁場取得部625は、磁気センサアレイ210が駆動部125によって複数の向きに向けられたことに応じて環境磁場計測データを取得してよい。
【0104】
これに代えて、駆動部125は、磁気センサアレイ210の向きを連続的に変化させてよい。例えば、駆動部125は、磁気センサアレイ210の天頂角および方位角をこれらの図に示すようにランダム等に連続的に変化させてもよい。磁場取得部625は、磁気センサアレイ210の向きの変更中に、予め定められたタイミング、すなわち例えば一定の時間周期毎、一定の天頂角または方位角の変化毎といった任意のタイミングで環境磁場計測データのデータ要素をサンプリングしてもよい。
【0105】
ここで、駆動部125がキャリブレーションの度に磁気センサアレイ210を全く異なる向きに向けたとしても、較正パラメータ算出部630は、計測データのデータ要素数が十分であれば、適切に楕円体フィッティングを行うことができる。
【0106】
図12は、本実施形態に係る磁場計測装置10による球への変換後の計測データの一例を示す。
図13は、
図12に示した球への変換後の計測データのYZ平面への投影図を示す。これらの図は、
図10および
図11に示した変換前の計測データの系列を、
図9に関連して示した方法を用いて球面上に変換したものを示す。
【0107】
これらの図に示すように、
図9に関連して示した方法により、較正パラメータ算出部630は、楕円体フィッティングおよび球への変換を行うことで、磁場取得部625が取得した環境磁場計測データを球面上の計測データに変換できることが分かる。特に、
図13の上側から左側にかけて比較的広い範囲に、磁気センサアレイ210が向けられていない方向がある。このような場合においても、較正パラメータ算出部630は、
図9に関連して示した方法により、取得した環境磁場計測データを球面上の計測データに変換できることが分かる。したがって、駆動部125は、磁気センサアレイ210を向けられない死角を有していてもよい。この死角の範囲は、一例として球の中心から見て半球未満の範囲であってよく、球の中心から見て90度未満の範囲であってもよく、球面上における直交する2つの方向のうち一方のみについてこれらの条件が満たされていてもよい。また、球の表面全体に対する死角部分の範囲が面積比で1/2未満、1/4未満、または1/8未満等であってもよい。
【0108】
なお、磁気センサユニット110は、さらに3軸の加速度センサを備えていてもよい。3軸の加速度センサを備えた場合、磁気センサユニット110の姿勢に応じて重力の方向を表す加速度ベクトルが得られ、加速度ベクトルと、磁気センサユニット110によって得られる一定方向を示す環境磁場のベクトルとを用いて、外積により、例えば地上を平面とした直交座標系を定義できるので、磁気センサユニット110の地上に対する姿勢を演算によって決定できる。そのため、磁気センサユニット110がどのような姿勢にあっても、演算で求めた姿勢を表す行列から、心磁計測データの直交座標系に対する姿勢補正ができる。つまり、磁気センサユニット110が何等かの原因で動いてしまった場合や、心磁計測の被験者が磁気センサユニット110を身に着けて姿勢を動かしたとしても、心磁計測データを直交座標系に対して正しく測定することができる。なお、地上に対する姿勢は、複数の磁気センサセル220のうち基準となる磁気センサセル220(例えば位置(0,0,0)の磁気センサセル220)についてのみ求めておけばよく、加速度センサは一つでよい。なお、加速度センサは、磁気センサユニット110を構成する磁気センサアレイ210に備えていてもよい。
【0109】
なお、本実施形態においては、各磁気センサセル220が3軸磁気センサである場合を例として説明した。各磁気センサセル220が3軸磁気センサである場合は、3次元上の磁場ベクトルの成分を直接測定するため、任意の姿勢において測定可能であり、また、他軸感度の補正が可能であり、較正精度及び較正後の測定精度向上に好適である。これに代えて、磁気センサセル220は2軸磁気センサまたは1軸磁気センサ等であってもよい。
【0110】
各磁気センサセル220が2軸磁気センサである場合、駆動部125は、2つの感磁軸方向に垂直な軸まわりに磁気センサアレイ210を回転させる等により磁気センサアレイ210の向きを複数の向きに変更してもよい。例えば、各磁気センサセル220がX軸方向およびZ軸方向の磁場を検出する磁気センサを有している場合、駆動部125は、磁気センサアレイ210をY軸まわりに回転させてもよい。
【0111】
これにより、較正パラメータ算出部630は、環境磁場計測データの分布として、3軸磁気センサにおける楕円体に代えて、XZ平面上の楕円の面上の分布を得ることができる。較正パラメータ算出部630は、この楕円を原点中心の円に変換し、各磁気センサセル220間でこの円の姿勢を合わせるための較正パラメータを算出することができる。
【0112】
なお、各磁気センサセル220は、磁気センサユニット110における被験者と対向する面と平行な2軸(例えば
図1におけるX軸およびY軸)方向の2つの感磁軸を有してよい。これに代えて、各磁気センサセル220は、磁気センサユニット110における被験者と対向する面と平行な1軸(例えば
図1におけるX軸またはY軸)方向の感磁軸と、磁気センサユニット110における被験者と対向する面と垂直な1軸(例えば
図1におけるZ軸)方向の感磁軸とを有してもよい。
【0113】
また、各磁気センサセル220が1軸磁気センサである場合、駆動部125は、感磁軸方向に垂直な軸まわりに磁気センサアレイ210を回転させる等により磁気センサアレイ210の向きを複数の向きに変更してもよい。例えば、各磁気センサセル220がZ軸方向の磁場を検出する磁気センサを有している場合、駆動部125は、磁気センサアレイ210をY軸まわりに回転させてもよい。
【0114】
これにより、較正パラメータ算出部630は、環境磁場計測データの分布として、3軸磁気センサにおける楕円体に代えて、駆動部125の回転角度と磁気センサセル220によって計測された環境磁場計測データとの関係を表すグラフを得ることができる。そして、較正パラメータ算出部630は、この環境磁場計測データを値0を中心とするサイン波またはコサイン波に変換し、各磁気センサセル220間でこのサイン波等の振幅および位相を合わせるための較正パラメータを算出することができる。ここで、駆動部125による磁気センサセル220の回転角度が別途検出可能な場合、較正パラメータ算出部630は、磁気センサセル220がある方向に向いている場合における環境磁場計測データと、磁気センサセル220が180度反対方向に向いている場合における環境磁場計測データとの平均値を、補正パラメータに含まれるオフセットとして用いてもよい。
【0115】
なお、各磁気センサセル220は、磁気センサユニット110における被験者と対向する面と平行な1軸(例えば
図1におけるX軸またはY軸)方向の感磁軸を有してよく、磁気センサユニット110における被験者と対向する面と垂直な1軸(例えば
図1におけるZ軸)方向の感磁軸を有してもよい。
【0116】
また、磁気センサアレイ210は混成型であってもよい。すなわち、磁気センサアレイ210の磁気センサセル220は、一部が3軸磁気センサセルであって、その他が2軸磁気センサセルまたは1軸磁気センサセルで構成されてもよい。混成型の磁気センサアレイ210は、3軸磁気センサセルを環境磁場の参照を行うセンサ(レファレンスセンサ)として利用する。磁場計測装置10は、3軸磁気センサセルのキャリブレーションのための磁気センサアレイ210の揺動に加え、一部の1軸、2軸磁気センサセルのための揺動を行う。1軸、2軸センサセルのための揺動は、3軸センサセルのキャリブレーション用の計測データにもなる。このような混成型の場合、3軸磁気センサセルによって環境磁場計測データが3次元のベクトル成分として計測されるが、1軸、2軸のセンサセルは1次元、2次元のベクトル成分のみ計測できる。そこで残りの次元のベクトル成分を、3軸磁気センサセルが計測した3次元のベクトル成分から推定する。
【0117】
例えば
図1に示されるように、XZ面を地平面とし、1軸磁気センサセルをZ軸に沿って配置して、Z軸に沿って心磁計測を行うとする。このとき、環境磁場BfullがYZ平面に沿ってZ軸から45度傾いて存在していたとする。この環境磁場強度と傾きは、3軸磁気センサセルを利用することにより判断することができる。そしてこの場合、Z軸方向に主軸感度を持つ1軸センサセルが検出する環境磁場の大きさはBfull×cos(45°)と推定できる。これを1軸センサセルの測定値から減算してやれば環境磁場を除去した測定結果となる。
【0118】
また同様に、XY面の磁場を検出できる2軸磁気センサセルをXY面に沿って配置し、心磁計測をXY面で行うとする。このとき、環境磁場BfullがYZ平面に沿ってZ軸から45度傾いて存在していたとする。この環境磁場強度と傾きは、3軸磁気センサセルを利用することにより判断することができる。そしてこの場合、2軸磁気センサセルの磁気センサのうち、Y軸方向に主軸感度を持つ磁気センサが検出する環境磁場の大きさはBfull×cos(45°)と推定できる。また、X軸方向に主軸感度を持つ磁気センサが検出する環境磁場の大きさは0と推定できる。これを2軸センサセルの測定値から減算してやれば環境磁場を除去した測定結果となる。
【0119】
なお、上述の説明では、本実施形態において、センサデータ処理部600の構成の一例を
図6に示した。しかしながら、センサデータ処理部600の構成は、これに限定されるものではない。例えば、センサデータ処理部600は、判定部670が取得するデータを一時的に記憶するための記憶部(以下、一時記憶用の記憶部)を備えてもよい。一時記憶用の記憶部は、例えば第1環境磁場計測データ記憶部と、第2環境磁場計測データ記憶部と、を含んでもよい。第1環境磁場計測データ記憶部は、磁場取得部625が取得した、第1の環境磁場計測データを一時的に記憶する。また、第2環境磁場計測データ記憶部は、磁場取得部625が取得した、第2の環境磁場計測データを一時的に記憶する。また、これら一時記憶用の記憶部は、較正パラメータ記憶部640から独立した記憶装置であってもよいし、較正パラメータ記憶部640の一部であってもよい。また、判定部670は、一時記憶用の記憶部(第1環境磁場計測データ記憶部、第2環境磁場計測データ記憶部)から直接的にデータを取得してもよいし、較正演算部660を介して較正後のデータとして取得してもよい。例えば、第1の環境磁場計測データを第1環境磁場計測データ記憶部に記憶し、第2の環境磁場計測データを第2環境磁場計測データ記憶部に記憶してよい。そして、判定部670は、第1環境磁場計測データ記憶部から第1の環境磁場計測データを取り出し、較正演算部660で較正した第1の較正データを取得し、また、第2環境磁場計測データ記憶部から第2の環境磁場計測データを取り出し、較正演算部660で較正した第2の較正データを取得して判定を行ってよい。これに先立ち、第1の環境磁場計測データから較正パラメータ算出部630で較正パラメータを算出しておき、較正演算部660では較正パラメータを利用して、第2の環境磁場計測データから第2の較正データを算出してよい。
【0120】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0121】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0122】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0123】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0124】
図14は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0125】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0126】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0127】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0128】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0129】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0130】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0131】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0132】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0133】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0134】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0135】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0136】
10 磁場計測装置
100 本体部
110 磁気センサユニット
120 ヘッド
125 駆動部
130 ベース部
140 ポール部
150 情報処理部
210 磁気センサアレイ
220 磁気センサセル
230 センサデータ収集部
400 センサ部
420 磁気センサ
430 磁場生成部
432 増幅回路
434 コイル
440 出力部
600 センサデータ処理部
610 AD変換器
615 駆動制御部
625 磁場取得部
630 較正パラメータ算出部
640 較正パラメータ記憶部
660 較正演算部
670 判定部
680 データ出力部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インターフェイス
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード