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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】電気分解用還元電極およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 11/093 20210101AFI20220221BHJP
   C25B 11/052 20210101ALI20220221BHJP
   C25B 1/46 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
C25B11/093
C25B11/052
C25B1/46
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020560183
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 KR2019008151
(87)【国際公開番号】W WO2020009475
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0078916
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】オム、ヒ-チュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン-イ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミョン-フン
(72)【発明者】
【氏名】イ、トン-チョル
(72)【発明者】
【氏名】チョン、サン-ユン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、キョ-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チョン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】パン、ヨン-チュ
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-193768(JP,A)
【文献】特開2008-240001(JP,A)
【文献】特開平08-269763(JP,A)
【文献】国際公開第2017/050873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 11/00-11/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材と、前記金属基材の少なくとも一面上に位置する活性層と、を含む電気分解用還元電極であって、
前記活性層は、ルテニウム酸化物、白金酸化物、およびセリウム酸化物を含み、
前記活性層を複数のピクセルに均等分割した時に、前記均等分割した複数のピクセル間のルテニウムの組成の標準偏差が0.4以下であり、
前記活性層中に、N原子がルテニウムに対して20~60モル%で存在する、電気分解用還元電極。
前記標準偏差は、横0.6m、縦0.6mの前記電極を16個のピクセルに均等分割した後にそれぞれ測定した標準偏差である。
【請求項2】
前記ルテニウムの組成の標準偏差が0.35以下である、請求項1に記載の電気分解用還元電極。
【請求項3】
前記活性層は、活性層中の金属成分の合計100モル%に対して、前記ルテニウムを3~7モル%で含む、請求項1または2に記載の電気分解用還元電極。
【請求項4】
前記活性層は、前記セリウムとルテニウムを1:1~1:1.5のモル比で含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気分解用還元電極。
【請求項5】
前記活性層上に位置し、酸化タンタル、酸化ニッケル、および炭素からなる群から選択される1つ以上を含む水素吸着層をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気分解用還元電極。
【請求項6】
金属基材の少なくとも一面上に還元電極用活性層組成物を塗布、乾燥、および熱処理するコーティングステップを含む電気分解用還元電極の製造方法であって、
前記塗布は、静電噴霧堆積法により行い、
前記還元電極用活性層組成物は、ルテニウム系化合物、白金系化合物、およびセリウム系化合物を含む金属前駆体混合物と、アルコール系化合物およびアミン系化合物を含む有機溶媒と、を含む、請求項1に記載の電気分解用還元電極の製造方法。
【請求項7】
前記金属前駆体混合物は、前記ルテニウム系化合物1モルに対して、前記白金系化合物0.01~0.7モルと、前記セリウム系化合物0.01~0.5モルと、を含む、請求項6に記載の還元電極の製造方法。
【請求項8】
前記アミン系化合物は、n-オクチルアミン、t-オクチルアミン、イソオクチルアミン、トリオクチルアミン、オレイルアミン、トリブチルアミン、およびセチルトリメチルアンモニウムブロミドからなる群から選択される1つ以上である、請求項6または7に記載の還元電極の製造方法。
【請求項9】
前記アルコール系化合物は、炭素数1~4のアルキル基を有する第一級アルキルアルコール、および炭素数1~4のアルコキシ基が置換基として結合された炭素数1~4のアルキル基を有するアルコキシアルキルアルコールからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の還元電極の製造方法。
【請求項10】
前記アルコール系化合物は、炭素数1~4のアルキル基を有する第一級アルキルアルコールと、炭素数1~4のアルコキシ基が置換基として結合された炭素数1~4のアルキル基を有するアルコキシアルキルアルコールと、を含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の還元電極の製造方法。
【請求項11】
前記コーティングステップの後に、水素吸着層を製造するステップをさらに含む、請求項6~10のいずれか一項に記載の還元電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年7月6日付けの韓国特許出願第10-2018-0078916号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気分解用還元電極およびその製造方法に関し、均等分割した複数のピクセル間のルテニウムの組成の標準偏差が0.4以下である電気分解用還元電極、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
海水などの低価の塩水(Brine)を電気分解して水酸化物、水素、および塩素を生産する技術が広く知られている。このような電気分解工程は、通常、クロル-アルカリ(chlor-alkali)工程とも呼ばれており、既に、数十年間における商業運転によりその性能および技術の信頼性が立証された工程であるといえる。
【0004】
かかる塩水の電気分解は、電解槽の内部にイオン交換膜を設けて電解槽内を陽イオン室と陰イオン室に仕切り、電解質として塩水を用いて酸化電極で塩素ガスを、還元電極で水素および苛性ソーダを得るイオン交換膜法が、現在最も広く用いられている方法である。
【0005】
一方、塩水の電気分解工程は、下記の電気化学反応式で示したような反応を経て行われる。
【0006】
酸化電極反応:2Cl-→Cl2+2e-(E0=+1.36V)
還元電極反応:2H2O+2e-→2OH-+H2(E0=-0.83V)
全体反応:2Cl-+2H2O→2OH-+Cl2+H2(E0=-2.19V)
【0007】
塩水の電気分解を行うに際し、電解電圧は、理論的な塩水の電気分解に必要な電圧に加えて、酸化電極(陽極、anode)および還元電極(陰極、cathode)のそれぞれの過電圧、イオン交換膜の抵抗による電圧、および電極間の距離による電圧を何れも考慮しなければならず、これらの電圧の中でも、電極による過電圧が重要な変数として作用している。
【0008】
そこで、電極の過電圧を減少させることができる方法が研究されている。例えば、酸化電極としては、DSA(Dimensionally Stable Anode)と呼ばれる貴金属系電極が開発されて用いられており、還元電極においても、過電圧が低く、且つ耐久性を有する優れた素材の開発が求められている。
【0009】
かかる還元電極としては、ステンレス鋼またはニッケルが主に用いられており、近年、過電圧を減少させるために、ステンレス鋼またはニッケルの表面を酸化ニッケル、ニッケルとスズの合金、活性炭と酸化物の組み合わせ、酸化ルテニウム、白金などで被覆して用いる方法が研究されている。
【0010】
また、活性物質の組成を調節して還元電極の活性を高めるために、ルテニウムのような白金族元素と、セリウムのようなランタン族元素を用いて組成を調節する方法も研究されている。しかし、過電圧現象が発生し、逆電流による劣化が起こるという問題が発生した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2003-2977967号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、活性層中に活性物質が均一に分布され、高い効率を示すとともに、過電圧現象および寿命特性が改善された電気分解用還元電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、金属基材と、前記金属基材の少なくとも一面上に位置する活性層と、を含む電気分解用還元電極であって、前記活性層は、ルテニウム酸化物、白金酸化物、およびセリウム酸化物を含み、前記活性層を複数のピクセルに均等分割した時に、前記均等分割した複数のピクセル間のルテニウムの組成の標準偏差が0.4以下であり、前記活性層中に、N原子がルテニウムに対して20~60モル%で存在する、電気分解用還元電極を提供する。
【0014】
また、本発明は、金属基材の少なくとも一面上に電気分解用還元電極用触媒組成物を塗布、乾燥、および熱処理するコーティングステップを含む電気分解用還元電極の製造方法であって、前記塗布は静電噴霧堆積法(electrostatic spray deposition)により行い、前記還元電極用活性層組成物は、ルテニウム系化合物、白金系化合物、およびセリウム系化合物を含む金属前駆体混合物と、アルコール系化合物およびアミン系化合物を含む有機溶媒と、を含む、電気分解用還元電極の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電気分解用還元電極は、静電噴霧堆積法により製造されることで、活性層中に活性物質が均一に分布されることができ、これにより、高い効率を示すとともに、過電圧現象が減少され、寿命特性が改善される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が容易に理解されるように、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
本明細書および請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0018】
本明細書で用いられる「酸化電極」という用語は、塩水の電気分解において、塩素の酸化反応が起こって塩素気体が発生する電極を意味し、電子を与えながら酸化反応が起こり、陽の電位を有する電極であるという点から、陽極(anode)と称されることができる。
【0019】
塩素酸化反応:2Cl-→Cl2+2e-(E0=+1.36V)
【0020】
本明細書で用いられる「還元電極」という用語は、塩水の電気分解において、水素の還元反応が起こって水素気体が発生する電極を意味し、電子を受けて還元反応が起こり、陰の電位を有する電極であるという点から、陰極(cathode)と称されることができる。
【0021】
水素還元反応:2H2O+2e-→2OH-+H2(E0=-0.83V)
【0022】
1.電気分解用還元電極
本発明の一実施形態に係る電気分解用還元電極は、金属基材と、前記金属基材の少なくとも一面上に位置する活性層と、を含む。
【0023】
前記金属基材は、ニッケル、チタン、タンタル、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、ステンレス鋼、またはこれらの合金であってもよく、中でも、ニッケルであることが好ましい。
【0024】
前記金属基材の形状は、棒状、シート状、または板材状であってもよい。前記金属基材の厚さは、50~500μmであってもよく、塩素アルカリ電気分解工程に通常適用される電極に適用可能であれば特に制限されず、前記金属基材の形状および厚さは一例として提案されるものである。
【0025】
前記金属基材は、表面に凹凸が形成されたものであってもよい。
【0026】
前記活性層は、ルテニウム酸化物、白金酸化物、およびセリウム酸化物を含み、前記活性層を複数のピクセルに均等分割した時に、前記均等分割した複数のピクセル間のルテニウムの組成の標準偏差が0.4以下であり、この活性層中に、N原子がルテニウムに対して20~60モル%で存在する。
【0027】
前記ルテニウムの組成の標準偏差は0.35以下であることが好ましく、0.30以下であることがより好ましい。
【0028】
前記ルテニウムの組成の標準偏差は、活性層中の活性物質の均一度、すなわち、活性層中に活性物質が均一に分布された程度を表すものであり、ルテニウムの組成の標準偏差が小さいということは、活性層中の活性物質の均一度が優れることを意味する。活性物質が均一に分布されていない場合、電極における電子の流れが抵抗の低い部位に集中されるため、活性層の薄い部分から速くエッチングされ得る。また、活性層中の気孔に電子が侵入して不活性化が速く進み、電極寿命が短縮される恐れがある。また、電子の流れが集中された箇所の周りで還元電極電解質の濃度が低くなり、酸素選択度、すなわち、酸素発生量が多くなり、不均一な電流分布によって過電圧が増加する恐れもある。これに加えて、電子の流れが偏在することにより、セル駆動時のセパレータの負荷が不均一であるため、セパレータの性能および耐久性が低下する恐れがある。
【0029】
ここで、前記ルテニウムの組成の標準偏差は、前記電気分解用還元電極を複数のピクセルに均等分割し、均等分割した各ピクセルにおけるルテニウムの重量%を測定し、測定値を下記式に代入して計算したものである。
【0030】
具体的に、前記電気分解用還元電極を横0.6m、縦0.6mの規格(横×縦=0.6m×0.6m)に製作し、それを16個のピクセルに均等分割した後、XRF(X-ray fluorescence)成分分析器を用いて各ピクセル中のルテニウムの重量%を測定する。その後、測定したそれぞれのルテニウムの重量%を用いて、下記数学式1により分散(V(x))を計算し、それを用いて、下記数学式2により標準偏差(σ)を計算する。
【0031】
【数1】
【0032】
前記数学式1において、E(x2)は、16個のピクセル中のルテニウムの重量%の二乗の平均値を表し、[E(x)]2は、16個のピクセル中のルテニウムの重量%の平均値の二乗を表す。
【0033】
前記ルテニウムは、前記電気分解用還元電極の活性物質であり、活性層中の金属成分の合計100モル%に対して、前記ルテニウムが3~7モル%で含まれてもよく、4~6モル%で含まれることが好ましい。
【0034】
上述の範囲を満たす場合に、電気分解用還元電極の性能には影響を与えずに耐久性を改善することができる。また、電気分解用還元電極の活性層にルテニウムが過度にコーティングされないため、工程コストおよび試薬コストを低減することができ、活性化または電気分解時にルテニウムの損失を最小化することができる。
【0035】
前記活性層は、前記セリウムとルテニウムを1:1~1:1.5の重量比で含んでもよく、1:1~1:1.3の重量比で含むことが好ましい。
【0036】
上述の範囲を満たす場合に、電気分解用還元電極の性能には影響を与えずに耐久性を改善することができる。
【0037】
前記白金は、電気分解用還元電極の過電圧現象を改善することができ、電気分解用還元電極の初期性能と、一定時間が経過した後の性能との偏差を最小化することができて、結果として、電気分解用還元電極に対する別の活性化工程を最小化することができ、さらには、行わなくても還元電極の性能を担保することができる。
【0038】
前記セリウムは、電気分解用還元電極の耐久性を改善し、活性化または電気分解時に、電気分解用電極の活性層中のルテニウムの損失を最小化することができる。具体的に説明すると、電気分解用還元電極の活性化または電気分解時に、活性層中におけるルテニウムを含むルテニウム酸化物粒子は、構造が変化することなく金属性Ru(metallic Ru)になるか、部分的に水和されて活性種(active species)に還元される。そして、活性層中のセリウムを含むセリウム酸化物粒子は、構造が変化し、活性層中でルテニウムを含む粒子とネットワークを形成し、結果として、電気分解用還元電極の耐久性を改善させ、活性層中のルテニウムの損失を防止することができる。また、逆電流の発生時に、セリウムがルテニウムよりも低い電位で溶出されることで、貴金属の溶出を防止する役割を果たすことになる。
【0039】
前記活性層中に含まれたN原子は、還元電極の製造時に活性層組成物中に含まれるアミン系化合物に由来のものを意味し得る。この際、N原子は、活性層のルテニウム成分のモルを基準として、約20~60モル%で含まれていてもよく、好ましくは30~55モル%、より好ましくは35~50モル%で含まれていてもよい。
【0040】
前記活性層中にN原子が上記の範囲内で存在することで、セリウム系化合物に由来のセリウム酸化物粒子の針状構造を、初期駆動過程でさらに拡大させることにより、活性層中にネットワークを堅固に形成することができ、結果として、還元電極の耐久性を改善することができる。
【0041】
前記アミン系化合物は、n-オクチルアミン、t-オクチルアミン、イソオクチルアミン、トリオクチルアミン、オレイルアミン、トリブチルアミン、およびセチルトリメチルアンモニウムブロミドからなる群から選択される1種以上であってもよく、中でも、n-オクチルアミン、t-オクチルアミン、およびイソオクチルアミンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0042】
本発明の一実施形態に係る電気分解用還元電極は、前記活性層上に位置し、酸化タンタル、酸化ニッケル、および炭素からなる群から選択される1種以上を含む水素吸着層をさらに含んでもよい。
【0043】
前記水素吸着層は、電気分解用還元電極の水素ガス発生の活性を向上させる層であり、前記水素層の水素イオンまたは水の酸化還元反応を妨害しない程度の量で存在することができる。
【0044】
前記水素吸着層は空隙を含んでもよい。
【0045】
前記水素吸着層は、酸化タンタル、酸化ニッケル、および炭素からなる群から選択される1種以上が0.1~10mmol/m2になるように位置することができる。
【0046】
上述の条件を満たす場合に、電気分解を妨害することなく、水素吸着を促進することができる。
【0047】
本発明の一実施形態に係る電気分解用還元電極は、塩化物を含む水溶液の電気分解用電極、具体的に、還元電極として用いることができる。前記塩化物を含む水溶液は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む水溶液であってもよい。
【0048】
2.電気分解用還元電極の製造方法
本発明の一実施形態に係る電気分解用還元電極の製造方法は、金属基材の少なくとも一面上に電気分解用還元電極用触媒組成物を塗布、乾燥、および熱処理するコーティングステップを含む。
【0049】
前記コーティングステップを行う前に、前記金属基材を前処理するステップをさらに含んでもよい。
【0050】
前記前処理は、金属基材を化学的エッチング、ブラスト、または熱溶射して前記金属基材の表面に凹凸を形成することであってもよい。
【0051】
前記前処理は、金属基材の表面をサンドブラストして微細凹凸を形成し、塩処理または酸処里することで行うことができる。例えば、金属基材の表面をアルミナでサンドブラストして凹凸を形成し、硫酸水溶液に浸漬させ、洗浄および乾燥することで、金属基材の表面に微細な凹凸が形成されるように前処理することができる。
【0052】
前記塗布は、静電噴霧堆積法により行う。
【0053】
前記静電噴霧堆積法は、静電気により荷電された微細コーティング液粒子が基板に塗布される方法であり、噴霧ノズルが機械的に制御されながら一定な速度で金属基材の少なくとも一面上に活性層形成用組成物を噴霧させることができる。これにより、金属基材上に活性層形成用組成物が均一に分布されることができる。
【0054】
前記塗布は、静電噴霧堆積法により行うが、この際、金属基材上に活性層形成用組成物を1回当たり噴射量30~80ml、好ましくは40~70mlで、0.4~1.2ml/min、好ましくは0.6~1.0ml/minの速度で噴射してもよく、この場合、金属基材上に適正量の活性層形成用組成物がより均一に塗布されることができる。
【0055】
この際、「1回当たり噴射量」は、金属基材の両面を1回噴射するのに必要な量であり、前記塗布は常温で行うことができる。
【0056】
前記静電噴霧堆積法を行う際に、ノズルの電圧が、粒子の形態およびコーティング効率に大きい影響を与えるため、適切な電圧条件で行わなければならない。電圧条件が低すぎる場合には、粒子が細かく割れて噴射されず、噴射コーティングと略類似なコーティング挙動を示すことになる。また、高すぎる電圧を印加する場合には、金属基材にコーティングされる効率が急激に低くなるため、適切な電圧条件が必要である。
【0057】
前記ノズルの電圧は10kV~30kVであってもよく、15kV~25kVが好ましい。この場合、均一な含量でコーティングが可能であるため、コーティング性能がより改善されることができる。
【0058】
一般に、電気分解用還元電極は、金属基材上に還元電極反応活性物質を含有する活性層を形成して製造され、この際、前記活性層は、前記活性物質を含有する活性層形成用組成物を金属基材上に塗布し、乾燥および熱処理することで形成される。
【0059】
この際、前記塗布は、通常、ドクターブレード、ダイキャスト、コンマコーティング、スクリーン印刷、スプレー噴射、ロールコーティング、ブラッシングにより行うが、この場合、前記活性物質を金属基材上に均一に分布させることが困難であり、これにより製造された還元電極の活性層中に活性物質が均一に分布されない恐れがある。その結果として、還元電極の活性が低下するか、寿命が減少するという問題が発生し得る。
【0060】
また、従来は、コーティング効率などの理由から、静電噴霧堆積法を適用していなかった。また、実際に、静電噴霧堆積法により、活性層の均一度、コーティング効率などの様々な側面の特性を満たすことは困難であった。
【0061】
しかし、本発明の他の実施形態に係る電気分解用還元電極の製造方法は、前記活性層形成用組成物を通常の方法ではなく、静電噴霧堆積法により前記金属基材上に塗布することで、活性層中に活性物質が均一に分布する還元電極を製造することができ、これにより製造された電気分解用還元電極は、過電圧が減少することはいうまでもなく、寿命特性が改善され、酸素発生が抑制されることができる。さらに、このように静電噴霧堆積法が特に好適に適用可能であることは、静電噴霧時におけるノズルの電圧およびコーティング噴霧量の最適化によることであって、本発明の一実施形態に係る製造方法に最適化された方法である。
【0062】
前記還元電極用活性層組成物は、ルテニウム系化合物、白金系化合物、およびセリウム系化合物を含む金属前駆体混合物と、アルコール系化合物およびアミン系化合物を含む有機溶媒と、を含む。
【0063】
前記ルテニウム系化合物は、ルテニウムヘキサフルオリド(RuF6)、ルテニウム(III)クロリド(RuCl3)、ルテニウム(III)クロリドハイドレート(RuCl3・xH2O)、ルテニウム(III)ブロミド(RuBr3)、ルテニウム(III)ブロミドハイドレート(RuBr3・xH2O)、ルテニウムヨージド(RuI3)、ルテニウムヨージド(RuI3)、および酢酸ルテニウム塩からなる群から選択される1種以上であってもよく、中でも、ルテニウム(III)クロリドハイドレートが好ましい。
【0064】
前記白金系化合物は、クロロ白金酸ヘキサハイドレート(H2PtCl6・6H2O)、ジアミンジニトロ白金(Pt(NH32(NO)2)および白金(IV)クロリド(PtCl4)、白金(II)クロリド(PtCl2)、カリウムテトラクロロプラチネート(K2PtCl4)、カリウムヘキサクロロプラチネート(K2PtCl6)からなる群から選択される1種以上であってもよく、中でも、クロロ白金酸ヘキサハイドレートが好ましい。
【0065】
前記白金は、電気分解用還元電極の過電圧現象を改善することができ、電気分解用還元電極の初期性能と、一定時間が経過した後の性能との偏差を最小化することができて、結果として、電気分解用還元電極に対する別の活性化工程を最小化することができ、さらには、行わなくても還元電極の性能を担保することができる。
【0066】
このような白金前駆体をさらに含むことによる効果は、単に白金を活性成分として追加したということ以上のことであって、活性成分としてルテニウムと白金、すなわち、白金族金属を2種以上含むことによる効果である。この場合、還元電極の性能が向上し、初期性能と活性化後の性能の偏差が少ないという点から、実際に現場で駆動される電極の性能が安定になり、電極性能の評価結果に対する信頼性が高いということが分かる。
【0067】
前記白金系化合物は、前記ルテニウム系化合物1モルに対して、0.01~0.7モルまたは0.02~0.5モルで含まれてもよく、中でも、0.02~0.5モルで含まれることが好ましく、より好ましくは0.1~0.5モルで含まれてもよい。
【0068】
これを満たす場合に、電気分解用還元電極の過電圧現象を著しく改善することができる。また、電気分解用還元電極の初期性能と、一定時間が経過した後の性能を一定に維持することができるため、電気分解用還元電極の活性化工程が不要である。これにより、電気分解用還元電極の活性化工程にかかる時間やコストを低減させることができる。
【0069】
前記セリウム系化合物は、セリウム(III)ニトレートヘキサハイドレート(Ce(NO33・6H2O)、セリウム(IV)サルフェートテトラハイドレート(Ce(SO42・4H2O)、およびセリウム(III)クロリドヘプタハイドレート(CeCl3・7H2O)からなる群から選択される1種以上であり、中でも、セリウム(III)ニトレートヘキサハイドレートが好ましい。
【0070】
前記セリウム系化合物は、前記ルテニウム系化合物1モルに対して、0.01~0.5モルまたは0.05~0.35モルで含まれてもよく、中でも、0.05~0.35モルで含まれることが好ましい。
【0071】
上述の範囲を満たす場合に、電気分解用還元電極の耐久性を改善させ、活性化または電気分解時に、電気分解用電極の活性層中のルテニウムの損失を最小化することができる。
【0072】
前記有機溶媒は、アミン系化合物およびアルコール系化合物を含み、前記アミン系化合物は、電極コーティング時に酸化ルテニウム結晶相を小さくする効果を奏することができる。また、アミン系化合物が含まれることにより、ランタン族金属、具体的には、酸化セリウムの針状構造の大きさを増大させることができ、これにより形成された酸化セリウムのネットワーク構造が、酸化ルテニウム粒子をより強固に固定させる役割を果たすことができる。これにより、最終的に電極の耐久性を改善することができる。結果的には、電極が長時間にわたって駆動される際にも、老化などのその他の内外部の要因に起因する剥離現象を著しく低減することができる。
【0073】
前記還元電極の活性層組成物は、有機溶媒100体積部に対して、前記アミン系化合物を0.5~10体積部で含み、好ましくは1~8体積部で含んでもよく、中でも、2~6体積部で含むことが好ましい。この範囲でアミン系化合物が含まれる場合、還元電極の活性層中におけるランタン族金属酸化物のネットワーク構造の形成と、構造の形成による白金族金属酸化物粒子の固定メカニズムが最適化されることができて、結果として、耐久性の向上と剥離現象の低減をより効果的に奏することができる。
【0074】
前記アミン系化合物の種類は、上述のとおりである。
【0075】
前記アルコール系化合物は1種以上が含まれることができ、第一級アルキルアルコールとアルコキシアルキルアルコールから選択されてもよい。前記第一級アルキルアルコールは、炭素数1~4のアルキル基を有するアルコールであってもよく、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、またはtert-ブタノールであってもよい。
【0076】
また、前記アルコキシアルキルアルコールは、炭素数1~4のアルコキシ基が置換基として結合されたアルキル基を有するものであって、このアルキル基の炭素数も1~4であってもよい。例えば、前記アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、またはtert-ブトキシであってもよく、アルコール母体は、前記第一級アルキルアルコールとして例示された物質が適用可能である。
【0077】
前記アルコール系化合物は、前記第一級アルキルアルコールとアルコキシアルキルアルコールから2種以上が選択されてもよく、好ましくはそれぞれから1種以上ずつ選択されてもよい。例えば、第一級アルキルアルコールとしてイソプロパノールが選択され、アルコキシアルキルアルコールとして2-ブトキシエタノールが選択されるといった組み合わせであってもよい。このようにアルコール系溶媒が2種以上、特に、各系毎に1種以上ずつ含まれる場合、活性層の形成時にコーティングの均一性を確保することができ、これにより、電極の全面積にわたって均一な組成を有することができる。
【0078】
本発明の一実施形態に係る活性層組成物は、活性成分となる金属前駆体の他に含まれる有機溶媒として、アミン系化合物とアルコール系化合物を含む場合、ともに使用しない場合に比べて、ランタン族金属酸化物のネットワーク構造がより堅固に形成されるため、耐久性の向上効果が極大化されることができる。
【0079】
前記還元電極の活性層組成物の濃度は、15~80g/lであってもよく、20~75g/lであることが好ましい。これを満たす場合に、ルテニウム組成の標準偏差が低くなるだけでなく、還元電極の過電圧現象も著しく減少されることができる。
【0080】
本発明の一実施形態による電気分解用還元電極の製造方法は、前記コーティングステップの後に、水素吸着層を製造するステップをさらに含んでもよい。
【0081】
前記水素吸着層の構成は上述のとおりであり、熱分解法により製造するか、酸化タンタル、酸化ニッケル、および炭素からなる群から選択される1種以上を活性層の表面に適切な樹脂を用いて固定してコーティングすることで製造するか、圧着することで製造することができる。また、前記水素吸着層は、溶融めっき、化学蒸着法、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンめっき法により製造してもよい。
【0082】
[実施例]
以下、本発明を具体的に説明するために実施例および実験例を挙げてより詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例および実験例によって制限されるものではない。本発明による実施例は、様々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0083】
[実施例1]
1)電気分解用還元電極の活性層組成物の製造
ルテニウムクロリドハイドレート(RuCl3・xH2O)(Heraeus製)2.41mmol、クロロ白金酸ヘキサハイドレート(H2PtCl6・6H2O)(喜星金属製)0.241mmol、およびセリウム(III)ニトレートヘキサハイドレート(Ce(NO33・6H2O)(Sigma-Aldrich製)0.482mmolを、イソプロピルアルコール(大井化金製)2.375mlおよび2-ブトキシエタノール(大井化金製)2.375mlに十分に溶解させ、n-オクチルアミン(大井化金製)0.25mlを投入し混合することで、電気分解用還元電極用触媒組成物を製造した。
【0084】
2)コーティング溶液の製造
前記電気分解用還元電極用触媒組成物を50℃で24時間撹拌し、濃度が33.3g/lであるコーティング溶液を製造した。
【0085】
3)電気分解用還元電極の製造
ニッケル基材(厚さ:200μm、純度:99%以上)の表面を、アルミニウムオキサイド(120mesh)で0.8kgf/cm2の条件下でサンドブラスト処理し凹凸を形成した。凹凸が形成されたニッケル基材を80℃の硫酸水溶液(5M)に3分間浸漬させて微細凹凸を形成した。次いで、蒸留水で洗浄し、十分に乾燥させて前処理済みのニッケル基材を製造した。
【0086】
前記前処理済みのニッケル基材に前記コーティング溶液を塗布した。この際、前記塗布は、ノズル電圧20kV、1回当たり噴射量50ml、噴射速度0.8ml/min、常温の条件で、静電噴霧堆積法により前記活性層組成物を塗布した。その後、170℃の対流式乾燥オーブンに入れて10分間乾燥させ、480℃の電気加熱炉に入れて10分間熱処理した。このようなコーティング、乾燥、および熱処理を、活性層中のルテニウムが5重量%になるまで繰り返して行った後、500℃で1時間熱処理することで、電気分解用還元電極を製造した。
【0087】
[実施例2]
コーティング溶液の製造において、濃度が52g/lであるコーティング溶液を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0088】
[実施例3]
コーティング溶液の製造において、濃度が70g/lであるコーティング溶液を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0089】
[実施例4]
コーティング溶液の製造において、濃度が52g/lであるコーティング溶液を使用したことと、Ru、Pt、およびCeのモル比を下記表1に記載のように変更したことを除き、実施例1と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0090】
[実施例5]
コーティング溶液の製造において、濃度が52g/lであるコーティング溶液を使用したことと、Ru、Pt、およびCeのモル比を下記表1に記載のように変更したことを除き、実施例1と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0091】
[比較例1]
電気分解用還元電極の製造において、ブラシ法を適用したことを除き、実施例1と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0092】
[比較例2]
電気分解用還元電極の製造において、ブラシ法を適用したことを除き、実施例2と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0093】
[比較例3]
電気分解用還元電極の製造において、無静電噴霧堆積法を適用したことを除き、実施例2と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0094】
[比較例4]
電気分解用還元電極の製造において、アミンを投入しなかったことを除き、実施例2と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0095】
[比較例5]
電気分解用還元電極の製造において、アミンを投入しなかったことを除き、比較例2と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0096】
[比較例6]
電気分解用還元電極の製造において、白金を適用しなかったことを除き、実施例2と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0097】
[比較例7]
電気分解用還元電極の製造において、白金を適用しなかったことを除き、比較例2と同様の方法により電気分解用還元電極を製造した。
【0098】
実施例および比較例の主構成成分の含量をまとめて下記表1に記載した。
【0099】
【表1】
【0100】
<実験例1>
実施例および比較例の電気分解用還元電極の活性層中の金属の分布程度を分析し、各実施例および比較例において、ルテニウムの含量が約5重量%になるまで要求されたコーティングの繰り返し回数をカウントし、その結果を下記表2に示した。
【0101】
具体的に、各還元電極を横0.6m、縦0.6mの規格に製作し、それを16個のピクセルに均等分割した後、各ピクセル毎に3つの地点で、XRF(X-ray fluorescence)成分分析器を用いて各ピクセル中のルテニウムおよびセリウムの重量比を測定した。その後、得られた各ルテニウムの重量%を用いて、前記数学式1により分散(V(x))を計算し、それを用いて、前記数学式2により標準偏差(σ)を計算した。
【0102】
【表2】
【0103】
実施例1~5は、何れもルテニウム含量の標準偏差が0.4以下と低かったことを確認することができ、このことから、実施例の活性層は、活性物質が均一に分布されていることを確認することができる。しかし、比較例のうち、静電噴霧堆積法を適用しなかった場合には、0.4を超える数値が導出されたことから、均一性に非常に劣っていることが分かる。このことから、静電噴霧堆積法を適用する場合、還元電極の活性層中に存在する活性成分の組成が全面積にわたって非常に均一に分布されることができることが分かる。
【0104】
また、同一のコーティング溶液濃度を適用した実施例1と比較例1を参照すると、実施例1が、コーティングを5回も少なく行ったにもかかわらず、所望のテニウム含量に到達できることが確認され、均一性も確保可能であることがわかる。これは、実施例2と比較例2および3からも明らかに確認可能である。
【0105】
<実験例2>
実施例および比較例の還元電極、対電極としてPtワイヤ、基準電極としてHg/HgO電極を、NaOH水溶液(32重量%)に浸漬させてハーフセルを製造した。
【0106】
電圧測定
前記ハーフセルを-6A/cm2の電流密度条件で1時間処理した後、直線走査ボルタンメトリーにより、電流密度-0.44A/cm2の条件で還元電極の電圧を測定し、その結果を下記表3に記載した。
【0107】
耐久性測定
前記ハーフセルに対して、Portable XRF(Olympus社、Delta-professional XRF(X-ray Fluorescence spectrometry))を用いて電解前と電解後のRuの含量変化を測定し、その結果を下記表3に記載した。
【0108】
【表3】
【0109】
表2を参照すると、実施例1~実施例5は、ルテニウムを適正量で含むだけでなく、ルテニウムの標準偏差が低いため、電気分解用還元電極の過電圧現象が改善されたことを確認することができた。しかし、比較例1~比較例3、比較例5および7は、ルテニウムを適正量で含んでも、ルテニウムの標準偏差が高いため、実施例1~実施例5に比べて電気分解用還元電極の過電圧現象が改善されなかったことを確認することができた。
【0110】
また、Ptを投入しなかった比較例6と7は、それぞれの基準となる実施例2および比較例2に比べて過電圧がより大きく生じたことを確認することができ、アミンを投入せずに製造した比較例4と5は、耐久性の側面で損失があることを確認することができる。また、無静電噴霧堆積法を適用した比較例3は、耐久性に非常に劣っていることを確認することができる。