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特許7028686流体輸送用可撓管および流体輸送用可撓管の製造方法
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  • 特許-流体輸送用可撓管および流体輸送用可撓管の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】流体輸送用可撓管および流体輸送用可撓管の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/08 20060101AFI20220222BHJP
   B29C 48/15 20190101ALI20220222BHJP
   B29C 48/34 20190101ALI20220222BHJP
   F16L 59/147 20060101ALI20220222BHJP
   F16L 59/153 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
F16L11/08 Z
B29C48/15
B29C48/34
F16L59/147
F16L59/153
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018055878
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019168027
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 博紀
(72)【発明者】
【氏名】籠浦 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆博
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 大輔
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-251636(JP,A)
【文献】特開2015-057557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/08
B29C 48/15
B29C 48/34
F16L 59/147
F16L 59/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する内管と、
前記内管の外周に設けられた補強層と、
前記補強層の外周に設けられた断熱層と、
前記断熱層の外周に設けられた緩衝層と、
最外周部に設けられた保護層と、
を具備し、
前記緩衝層の圧縮弾性率は、前記断熱層の圧縮弾性率よりも小さく、
前記断熱層よりも前記緩衝層が潰された状態により、前記緩衝層の潰れ代が少なくなっていることを特徴とする流体輸送用可撓管。
【請求項2】
前記緩衝層の軟化温度が、前記保護層の軟化温度よりも低いことを特徴とする請求項1記載の流体輸送用可撓管。
【請求項3】
前記緩衝層の厚みが、前記断熱層の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項1または請求項2記載の流体輸送用可撓管。
【請求項4】
内管の外周に補強層を形成する工程と、
前記補強層の外周に、断熱部材を巻きつけて断熱層を形成する工程と、
前記断熱層の外周に、緩衝部材を巻きつけて緩衝層を形成する工程と、
前記緩衝層の外周に、保護層を押出被覆する工程と、
を具備し、
前記緩衝層の圧縮弾性率が、前記断熱層の圧縮弾性率よりも小さく、
前記断熱層よりも前記緩衝層が潰された状態により、前記緩衝層の潰れ代が少なくなっていることを特徴とする流体輸送用可撓管の製造方法。
【請求項5】
前記保護層の押し出し被覆前の前記緩衝層の外径が、前記保護層を押出被覆する際の口金径よりも大きく、前記緩衝層が口金で圧縮されながら、前記保護層が押出被覆されることを特徴とする請求項記載の流体輸送用可撓管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温である液化天然ガス(LNG)等の流体を輸送する際に用いられる流体輸送用可撓管および流体輸送用可撓管の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海上の洋上浮体施設からタンカへ極低温である液化天然ガス等の流体を輸送する際には、可撓性を有する内管の外周に補強層や断熱層や防水層が設けられ、極低温でも使用できる耐久性と断熱性を併せ持つ可撓管が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-243518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4は、従来の可撓管100を製造する工程を示す図である。可撓管100は、内管101と、内管101の外周部に設けられた補強層103と、補強層103の外周部に設けられた断熱層105と、断熱層105の外周部に設けられた保護層107とで構成される。
【0005】
内管101は例えば金属製の波付きの可撓管である。補強層103は、ステンレスやアラミド製のテープが巻き付けられて形成され、可撓管100の軸力を補強する。補強層103の外周部に設けられる断熱層105は、内管101内の流体が外温の影響を受けないように、また、断熱層105の外周部に設けられる保護層107が流体の温度の影響を受けないように、内管101内の流体と外部とを断熱する。保護層107は、例えば樹脂製であり、内管101に追従して変形可能である。
【0006】
保護層107は、口金109aと口金109bとの間に加熱した樹脂を注入し(図中矢印D)、断熱層105の外周に押し出された後、冷却することで形成される。ここで、断熱層105は例えば発泡樹脂やエアロジェル等が用いられる。このため、断熱層105は圧縮弾性率が比較的低い。
【0007】
このため、図4に示すように、断熱層105の外周に樹脂を押し出すと、樹脂の圧力によって断熱層が局所的に変形しやすい。例えば、図示したように、断熱層105が潰れると、保護層107と口金109aとの間に隙間が生じるなど、保護層107の厚みや形状が安定せず、押し出し後の縦じわなどの外観不良の要因となる。
【0008】
また、図5(a)は、可撓管100を曲げた状態を示す図、図5(b)は、図5(a)に示す範囲F付近の断面を拡大した図である。図5(a)に示すように、可撓管100を矢印Eに示す方向に大きく曲げると、図5(b)に示すように、断熱層105が保護層107とともに変形し、曲げの内側でしわ113が発生しやすくなる。
【0009】
このようなしわ113は、外観不良となるばかりでなく、断熱層105による断熱効果が、周囲と異なるようになる。この結果、保護層107に温度分布が形成されて熱応力が発生し、使用回数を重ねることで、保護層107の亀裂に進展する場合がある。
【0010】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、外観不良などの生じにくい流体輸送用可撓管および流体輸送用可撓管の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために第1の発明は、可撓性を有する内管と、前記内管の外周に設けられた補強層と、前記補強層の外周に設けられた断熱層と、前記断熱層の外周に設けられた緩衝層と、最外周部に設けられた保護層と、を具備し、前記緩衝層の圧縮弾性率は、前記断熱層の圧縮弾性率よりも小さく、前記断熱層よりも前記緩衝層が潰された状態により、前記緩衝層の潰れ代が少なくなっていることを特徴とする流体輸送用可撓管である。
【0012】
前記緩衝層の軟化温度が、前記保護層の軟化温度よりも低いことが望ましい。
また、前記緩衝層の厚みが、前記断熱層の厚みよりも薄いことも望ましい。
【0013】
第1の発明によれば、保護層と断熱層の間に緩衝層を設けることで、緩衝層が断熱層等の変形を吸収し、断熱層の変形に伴う保護層の変形を抑制することができる。特に、緩衝層の圧縮弾性率が断熱層の圧縮弾性率よりも小さいため、断熱層の変形を抑制することができる。この際、緩衝層は断熱効果が不要であるため、厚みを薄くすることができ、圧縮弾性率が低い緩衝層を用いても、保護層の変形量は抑制することができる。
【0014】
また、緩衝層の軟化温度が保護層の軟化温度よりも低ければ、保護層の押し出し被覆時に緩衝層を軟化させて、緩衝層と保護層とを密着させることができる。このため、緩衝層と保護層との間に隙間が生じにくく、しわの発生を抑制することができる。また、断熱層には融着部が形成されないため、断熱性には影響がない。
【0015】
第2の発明は、内管の外周に補強層を形成する工程と、前記補強層の外周に、断熱部材を巻きつけて断熱層を形成する工程と、前記断熱層の外周に、緩衝部材を巻きつけて緩衝層を形成する工程と、前記緩衝層の外周に、保護層を押出被覆する工程と、を具備し、前記緩衝層の圧縮弾性率が、前記断熱層の圧縮弾性率よりも小さく、前記断熱層よりも前記緩衝層が潰された状態により、前記緩衝層の潰れ代が少なくなっていることを特徴とする流体輸送用可撓管の製造方法である。
【0016】
前記緩衝層を巻き付けた状態の外径が、前記保護層を押出被覆する際の口金径よりも大きく、前記緩衝層が口金で圧縮されながら、前記保護層が押出被覆されることが望ましい。
【0017】
第2の発明によれば、縦じわ等の発生を抑制して、効率よく流体輸送用可撓管を製造することができる。
【0018】
この際、緩衝層を巻き付けた状態の外径を、保護層を押出被覆する際の口金径よりも大きくすることで、緩衝層を口金で圧縮しながら保護層を押出すことができる。このようにすることで、保護層押出時における緩衝層の変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外観不良などの生じにくい流体輸送用可撓管および流体輸送用可撓管の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】可撓管1の構造を示す斜視図。
図2】可撓管1の部分断面図。
図3】可撓管1の製造工程を示す図。
図4】従来の可撓管100の製造工程を示す図。
図5】(a)は従来の可撓管100を曲げた状態を示す図、(b)は(a)のF部部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる可撓管1の斜視図、図2は、可撓管1の軸方向の部分断面図である。LNGなどの低温流体を輸送可能な可撓管1は、主に、内管3、補強層7、断熱層9、緩衝層11、保護層13等から構成される。
【0022】
内管3は、内部に流体(以下、LNGが流れるものとして説明する)が流される。内管3は、可撓性を有する管体であり、ある程度の強度と低温耐性が優れることが望ましい。すなわち、内管3の内部にLNG等の極低温流体が流されても、可撓性を維持でき、割れやクラック等の発生しにくい材質が好ましい。内管3は、例えば金属製であり、望ましくはステンレス製の波付き管が使用できる。
【0023】
内管3の外周部には補強層7が設けられる。補強層7は、主に内管3が軸方向へ変形する(伸びる)ことを抑えるとともに、内管3の可撓性に追従して変形可能である。補強層7は、例えば、繊維テープや金属テープ等の補強テープや繊維や金属素線の織物構造により形成される。
【0024】
なお、補強層7は、断熱層9の内側に位置し、内管3の内部にLNG等の極低温流体が流された場合に、LNG等の極低温流体に近い温度まで冷やされる。そのため、極低温下でも高い強度を維持し、脆化が生じない低温特性に優れた材質であることが望ましい。
【0025】
また、必要に応じて、内管3の外周部には不織布等による座床層5(図2では図示省略)が設けられる。座床層5は、内管3の外周における凹凸形状を略平らにならすための層であり、内管3の可撓性に追従して変形可能である。すなわち、座床層は、ある程度の厚みを有し、凹凸形状のクッションとしての役割を有する。
【0026】
補強層7の外周には断熱層9が設けられる。断熱層9は、内管3内を流れるLNGと可撓管1の外部とを断熱するとともに、内管3の可撓性に追従して変形可能である。断熱層9としては、例えばガラスファイバー、セラミックファイバー、ロックウールなどのブランケット状断熱材、エアロジェル、発泡プラスチック、ガラスビーズ等のフィラー材を分散したプラスチックが用いられる。
【0027】
エアロジェルとは、水分をガスに置換してゲル状に生成した物質のことであり、体積のおよそ9割以上の空気を含んでおり、極めて軽く、また高い断熱性を有する物質をいう。エアロジェルは、例えばシリカ、アルミナ等を主成分として生成される。断熱層9は、例えば、エアロジェルをポリエステル不織布に含浸させて形成される。断熱層9の厚さは、たとえば10mm~50mmである。
【0028】
断熱層9の外周には、緩衝層11が設けられる。緩衝層11の圧縮弾性率は、断熱層9の圧縮弾性率よりも小さい。すなわち、緩衝層11は断熱層9よりも軟らかい。例えば、緩衝層11の圧縮弾性率は、断熱層9の圧縮弾性率の1/2以下1/10以上程度でよい。緩衝層11の圧縮弾性率が大きすぎると断熱層9の圧縮量が大きくなり、断熱層9の厚みばらつきを抑制することができない。一方、緩衝層11の圧縮弾性率が小さすぎると、保護層13の押し出し時に潰れすぎてしまい、却って断熱層9の圧縮量が大きくなり、断熱層9の厚みばらつきを抑制することができない。
【0029】
また、緩衝層11の厚みは断熱層9の厚みよりも薄い。緩衝層11の厚みは断熱層9の厚みばらつきを吸収可能な程度の厚みがあればよい。例えば、緩衝層11の厚みは、断熱層9の厚みの1/3~1/10程度でよい。緩衝層11の厚みが薄すぎると断熱層9の厚みばらつきを吸収しきれない。一方、緩衝層11の厚みが厚すぎると、かえって緩衝層11の厚みばらつきが大きくなる。なお、緩衝層11の厚みは、5mm以上であることが望ましい。
緩衝層には、断熱層と同種の材料、例えば、ブランケット状断熱材や発泡プラスチックが使用できる。緩衝層の融点は保護層の押出成形温度よりも低いことが望ましい。
【0030】
緩衝層11の外周には、保護層13が設けられる。すなわち、可撓管1の最外周部に保護層13が形成される。なお、緩衝層11の外周には、あらかじめ押さえテープを巻き付けてもよい。保護層13は、外部からの水の浸入を防ぐとともに、内管3の可撓性に追従して変形可能である。なお、緩衝層11の軟化温度は、保護層13の軟化温度よりも低いことが望ましい。例えば、緩衝層11の軟化温度は、保護層13の軟化温度よりも5℃以上低いことが望ましい。このようにすることで、保護層13の押し出し成形時に保護層13と緩衝層11とを一体化することができる。さらに、保護層13の押出成形温度は150℃~250℃程度となるため、緩衝層11の軟化点が押出成形温度よりも低ければ、保護層13と緩衝層11をより強固に一体化することができる。なお、各層の軟化点は、JIS K7206に基づいて測定する。
【0031】
なお、可撓管1は以上の構成には限らない。その他の機能層を有してもよく、可撓管1内に他の構成を有していてもよい。
【0032】
次に、可撓管1の製造方法について説明する。まず、内管3の外周に、補強テープを巻き付けて、補強層7を形成する。前述したように、内管3の外周に座床層5を形成した後に、補強層7を形成してもよい。
【0033】
次に、補強層7の外周に、断熱層9を形成する。断熱層9は、例えばテープ状の断熱部材を、幅方向の端部を突き合せて、隙間なく螺旋状に巻きつける(突き合せ巻き)ことで形成される。なお、断熱層9は、所定の断熱性能を確保するため、テープ状の断熱部材を複数層に重ね巻きして厚みを確保してもよい。
【0034】
次に、断熱層9の外周に、緩衝層11を形成する。緩衝層11は、緩衝部材を、端部が突き合わさるように、縦添え巻きまたは螺旋巻きして形成される。緩衝層11は、断熱層9の外周の全周を覆うように形成される。
【0035】
さらに、緩衝層11の外周に、保護層13を押出被覆(例えば加圧押出)する。図3は、保護層13を押出被覆する状態を示す図である。口金17a、17bの間に保護層13を構成する加熱された樹脂を注入し(図中A)、口金17a、17bの先端側で緩衝層11の外周に樹脂が押し出される。
【0036】
この際、保護層13の押し出し被覆前の緩衝層11の外径(図中C)が、保護層13を押出被覆する際の口金17aの内径(図中B)よりも大きい。したがって、緩衝層11が口金17bで圧縮されながら口金17a、17bの先端に送られて、保護層13が押出被覆される。前述したように、緩衝層11の圧縮弾性率は、断熱層9の圧縮弾性率よりも小さい。このため、緩衝層11を圧縮すると、断熱層9よりも緩衝層11が優先的に潰される。
【0037】
この状態で緩衝層11の外周に保護層13が押し出し被覆されると、緩衝層11は、それ以上の潰れ代が少ないため、保護層13の押し出し後の縦じわなどの外観不良が抑制される。また、断熱層9の厚み変化が抑制されるため、断熱効果の部位によるばらつきを抑制することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態にかかる可撓管1によれば、緩衝層11によって、断熱層9の潰れを抑制することができる。このため、断熱層9の部位による断熱性のばらつきを抑制することができる。
【0039】
また、保護層13の押出時に緩衝層11を潰しながら送り出すことで、緩衝層11が保護層13の押し出し圧力によって緩衝層11のそれ以上の潰れを抑制することができる。このため、保護層13を押し出す際に、保護層13と口金17aとの間に隙間が生じることを抑制することができ、保護層13の縦じわの発生を抑制することができる。
【0040】
また、緩衝層11の軟化温度が保護層13の押出温度よりも低いため、押出時には緩衝層11と保護層13とを融着させることができる。このため、保護層13と緩衝層11との間に隙間が生じることがなく、曲げ時にもしわが生じにくい。この際、断熱層9には融着層が形成されないため、断熱性の低下を抑制することができる。
【実施例
【0041】
緩衝層の有無の異なる可撓管を作成し、押し出し成形後の外観および曲げしわの状態を評価した。
【0042】
内管のサイズは6インチとした。断熱層の材質は圧縮弾性率が172kPa(ASTM C165)のエアロジェルとした。断熱層は、厚み10mmのテープ状部材を3層重ねて突き合せ巻きして形成した。すなわち、断熱層の厚みは30mmとした。
【0043】
断熱層の外周には緩衝層を形成した。緩衝層は、発泡倍率が30倍の発泡架橋ポリエチレン製とした。緩衝層の圧縮弾性率は46kPa(ASTM C165)とした。厚さ5mmのテープ状部材を縦添え巻きして緩衝層を形成した。
【0044】
保護層は、EPゴム製とした。保護層の厚みは10mmとし、保護層の外径は273mmとした。なお、比較例として、上記緩衝層のみをなくした可撓管を作成した。
【0045】
緩衝層を設けた可撓管は、緩衝層を設けない可撓管と比較すると、成形時の縦じわの発生が抑制された。これは、保護層を押出被覆する際に、緩衝層を潰しながら押出成形を行ったため、保護層と口金との間に隙間が生じず、これにより縦じわの発生が抑制されたものと考えられる。
【0046】
また、緩衝層の無い可撓管を曲げると、曲げの内側にしわが生じるが、緩衝層を設けた可撓管では、このしわの発生が抑制された。以上の様に、緩衝層をもうけることで、外観不良などの生じにくい可撓管を得ることができた。
【0047】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
例えば、低温流体輸送用の可撓管に対して、緩衝層を設けたが、他の用途のホースやケーブルに対しても適用が可能である。例えば、最外周に保護層が形成され、その内側に断熱層などの圧縮弾性率の比較的低い層を有するものであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1………可撓管
3………内管
5………座床層
7………補強層
9………断熱層
11………緩衝層
13………保護層
17a、17b………口金
100………可撓管
101………内管
103………補強層
105………断熱層
107………保護層
109a、109b………口金
113………しわ
図1
図2
図3
図4
図5