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特許7028731電線用外装体及び外装体付きワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】電線用外装体及び外装体付きワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20220222BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20220222BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20220222BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H01B7/18 G
H01B7/00 301
B60R16/02 623U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018127747
(22)【出願日】2018-07-04
(65)【公開番号】P2020010455
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】須山 博史
(72)【発明者】
【氏名】亀井 好一
(72)【発明者】
【氏名】押野 貴志
(72)【発明者】
【氏名】児島 直之
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第6310608(JP,B1)
【文献】特開2015-171304(JP,A)
【文献】特開2015-47057(JP,A)
【文献】特開2016-119785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01B 7/18
H01B 7/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートが折り曲げられて形成された、電線の外周に装着される電線用外装体であって、
前記電線を収容する収容部を形成する複数の壁部と、
前記複数の壁部のうち少なくとも1つの壁部から外側へ延在し、少なくとも対向する2枚のシート片により形成された付属部と、を備え、
前記付属部は、前記対向する2枚のシート片の一方の端部同士が互いに離間して前記壁部に固定された固定部と、前記固定部から前記外側へ所定の間隔を隔てた位置で前記対向する2枚のシート片の他方の端部同士が接合された接合部と、を有する電線用外装体。
【請求項2】
前記固定部と前記接合部との間には、隙間が形成されている請求項1記載の電線用外装体。
【請求項3】
前記付属部は、1枚の樹脂シートを折り曲げることにより一体的に形成されている請求項1又は2記載の電線用外装体。
【請求項4】
前記付属部の固定部は、前記壁部の樹脂シートの厚み方向に面する上面又は下面にそれぞれ固定されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の電線用外装体。
【請求項5】
前記付属部は、前記接合部から前記固定部と反対側において前記少なくとも2枚のシート部材が重なり合う重ね合わせ部を有し、
前記重ね合わせ部には、前記シート片の厚み方向に貫通して車体に取り付け可能な取付部材が挿入される貫通孔が形成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の電線用外装体。
【請求項6】
前記壁部には、前記固定部が挿入される挿入孔が形成されている請求項1乃至5のいずれか1項記載の電線用外装体。
【請求項7】
前記所定の間隔は、5mm以上30mm以下である請求項1乃至5のいずれか1項記載の電線用外装体。
【請求項8】
前記樹脂シートおよび前記付属部は、熱可塑性樹脂発泡シートが用いられる請求項1乃至6のいずれか1項記載の電線用外装体。
【請求項9】
外装体付きワイヤーハーネスであって、
ワイヤーハーネスと、
請求項1乃至8のいずれか1項記載の電線用外装体と、を備え、
前記電線用外装体は、前記ワイヤーハーネスの外周に装着されている外装体付きワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の外周に装着される電線用外装体及び外装体付きワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に配索される電線の外周に装着される電線用外装体として、板材を角筒状に形成した本体部を有し、本体部の内部に電線束を収容することにより、電線束を外部から保護するプロテクタが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このプロテクタは、2つの板状部材と、2つの板状部材の間に配設されて板状部材間に中空空間を形成する介在部分とからなる紙又は樹脂等で形成された板状部材を用いることにより、プロテクタの軽量化を図るとともに、板状部材により形成される形状の自由化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-127043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したプロテクタを車体に取り付ける方法として、長方形状の板材を本体部から外側へ延在させた付属部をさらに形成し、付属部を車体に固定することによりプロテクタを車体に取り付ける方法がある。
【0006】
しかしながら、付属部が板材で形成されているため、プロテクタを車体に取り付けた際、付属部が変形することによりプロテクタの位置が正確な取り付け位置からずれることにより、プロテクタとしての機能が損なわれるおそれがあった。このため、付属部の変形を抑制した電線用外装体及び外装体付きワイヤーハーネスの構造が求められている。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、付属部の変形を抑制することができる電線用外装体及び外装体付きワイヤーハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電線用外装体は、樹脂シートが折り曲げられて形成された、電線の外周に装着される電線用外装体であって、前記電線を収容する収容部を形成する複数の壁部と、前記複数の壁部のうち少なくとも1つの壁部から外側へ延在し、少なくとも対向する2枚のシート片により形成された付属部と、を備え、前記付属部は、前記対向する2枚のシート片の一方の端部同士が互いに離間して前記壁部に固定された固定部と、前記固定部から前記外側へ所定の間隔を隔てた位置で前記対向する2枚のシート片の他方の端部同士が接合された接合部と、を有する。
【0009】
本発明の一態様に係る電線用外装体において、前記固定部と前記接合部との間には、隙間が形成されている。
【0010】
本発明の一態様に係る電線用外装体において、前記付属部は、1枚の樹脂シートを折り曲げることにより一体的に形成されている。
【0011】
本発明の一態様に係る電線用外装体において、前記付属部の固定部は、前記壁部の樹脂シートの厚み方向に面する上面又は下面にそれぞれ固定されている。
【0012】
本発明の一態様に係る電線用外装体において、前記付属部は、前記接合部から前記固定部と反対側において前記少なくとも2枚のシート部材が重なり合う重ね合わせ部を有し、前記重ね合わせ部には、前記シート片の厚み方向に貫通して車体に取り付け可能な取付部材が挿入される貫通孔が形成されている。
【0013】
本発明の一態様に係る電線用外装体において、前記壁部には、前記固定部が挿入される挿入孔が形成されている。
【0014】
本発明の一態様に係る電線用外装体において、前記所定の間隔は、5mm以上30mm以下である。
【0015】
本発明の一態様に係る電線用外装体において、前記樹脂シートおよび前記付属部は、熱可塑性樹脂発泡シートが用いられる。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の外装体付きワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネスと、前記電線用外装体と、を備え、前記電線用外装体は、前記ワイヤーハーネスの外周に装着されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電線用外装体及び外装体付きワイヤーハーネスによれば、付属部の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る外装体及び外装体付きワイヤーハーネスを示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る外装体の壁部を展開した状態で示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る外装体の付属部を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る外装体の付属部を展開した状態で示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る外装体の付属部を示す側面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る外装体の付属部の第1の変形例を示す断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る外装体の付属部の第2の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0020】
[1.外装体付きワイヤーハーネスの全体構成]
はじめに、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る外装体付きワイヤーハーネス1の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1を示す斜視図である。
【0021】
以下、説明の便宜上、外装体3の長手方向(長さ方向)を「X」とし、外装体3の短手方向(幅方向)を「Y」とする。また、外装体3の高さ方向を「H」とする。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る外装体付きワイヤーハーネス1は、複数の電線が束ねられたワイヤーハーネス2と、ワイヤーハーネス2の外周に装着される電線用外装体(以下、「外装体」ともいう。)3と、を備える。ワイヤーハーネス2は、外装体3によって外部環境から保護されている。例えば、外装体3は、車の振動で車体とワイヤーハーネス2とが直接擦れることを防止するプロテクタとしての機能を有する。なお、図1においては、ワイヤーハーネス2を1本の円柱形状で示しているが、ワイヤーハーネス2は、1本以上の電線を備えたものである。
【0023】
[2.外装体の構成]
次いで、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態に係る外装体3の構成について説明する。図2は、図1の外装体3の壁部4を展開した状態で示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように、外装体3は、ワイヤーハーネス(電線)2の延び方向(長手方向X)に沿って延在する複数の壁部4と、複数の壁部4の少なくとも1つの壁部4(本発明の実施の形態では、2つの壁部4)から外側へ延在する付属部5(本発明の実施の形態では、3つの付属部5)とを備えている。
【0025】
[2-1.壁部の構成]
図2に示すように、複数の壁部4は、1枚の樹脂シートを折曲部20a~20dで折り曲げることにより一体的に形成されている。樹脂シートは、例えば、熱可塑性樹脂発泡シートで実現することができる。よって、外装体3の軽量化を図ることができる。また、この樹脂シートを折曲部20a~20dで折り曲げることにより、複数の壁部4が形成されている。
【0026】
図1に示すように、樹脂シートを折曲部20a~20dで折り曲げることにより、複数の壁部4に囲まれて形成された空間がワイヤーハーネス2を収容する収容部6となっている。本発明の実施の形態にかかる複数の壁部4は、短手方向Yの断面形状が四角形状又は略四角形状であるとして説明するが、短手方向Yの断面形状は四角形状又は略四角形状に限定されない。
【0027】
複数の壁部4は、底壁部41と、底壁部41の端縁から折曲部20aを介して連設された側壁部42と、底壁部41の端縁から折曲部20bを介して連設された側壁部43と、側壁部42の端縁から折曲部20cを介して連設された内側蓋壁部44と、側壁部43の端縁から折曲部20dを介して連設された外側蓋壁部45とを有している。
【0028】
底壁部41は、側壁部42と側壁部43との間に配置され、底壁部41の端縁から折曲部20aを介して側壁部42が立設され、底壁部41の端縁から折曲部20bを介して側壁部43が立設されている。
【0029】
内側蓋壁部44と外側蓋壁部45とは、ワイヤーハーネス2の外周方向(短手方向Y)において互いに重なり合い、当該重なり合った部分が重ね合わせ部46となっている。具体的には、重ね合わせ部46は、外側蓋壁部45の端縁45aから短手方向Yの中央付近までの端部45bを内側蓋壁部44の上から覆い重ね合わせた部分である。この重ね合わせ部46において、内側蓋壁部44と外側蓋壁部45とが接合手段により接合されている。なお、接合手段としては、例えば、接着剤や粘着テープ等の接着手段、超音波溶着、熱溶着等の溶着手段、係止部材、リベット等を用いた嵌合手段、ホッチキス等を用いた貫通固定手段等を挙げることができる。
【0030】
内側蓋壁部44は、側壁部42の端縁から折曲部20cを介して底壁部41と平行又は略平行に配置されており、重ね合わせ部46において内側(収容部6側)に配置されている。
【0031】
外側蓋壁部45は、底壁部41と対向しており、側壁部43の端縁から折曲部20dを介して底壁部41と平行又は略平行に配置され、重ね合わせ部46において外側に配置されている。外側蓋壁部45は、内側蓋壁部44の上側に配置された状態で端縁45aが側壁部42と略面一に配置されている。
【0032】
図2に示すように、複数の壁部4には、後述する付属部5の固定部71が挿入される挿入孔40(本発明の実施の形態では、40a,40b,40cの3つの挿入孔)が形成されている。具体的には、側壁部42には2つの挿入孔40a,40bが形成され、側壁部43には挿入孔40cが形成されている。
【0033】
挿入孔40aは、一対の縁部40aaと40abのうち一方の縁部40aaは側壁部42に位置し、他方の縁部40abは折曲部20aと同一線上に位置している。同様に、挿入孔40bは、一対の縁部40baと40bbのうち一方の縁部40baは側壁部42に位置し、他方の縁部40bbは折曲部20aと同一線上に位置している。また、挿入孔40cは、一対の縁部40caと40cbのうち一方の縁部40caは側壁部42に位置し、他方の縁部40cbは折曲部20bと同一線上に位置している。これにより、折曲部20a,20bを折り曲げると、挿入孔40a,40bは、側壁部42に位置し、挿入孔40cは、側壁部43に位置する。
【0034】
[2-2.付属部]
図1に示すように、付属部5は、側壁部42,43から短手方向Y(収容部6と反対側の外側)へ延在し、少なくとも対向する2枚のシート片(本実施の形態では、上側シート片7と下側シート片8の2枚のシート片)により形成されている。詳細は後述するが、係止部材を付属部5に形成されている貫通孔77に挿入することにより、外装体3を車体に取り付けることが可能である。
【0035】
また、詳細は図5を用いて後述するが、付属部5は、対向する2枚のシート片7,8の一方の端部7a,8a同士が互いに離間して壁部4の底壁部41に固定された固定部71,81と、固定部71,81から外側へ所定の間隔を隔てた位置で対向する2枚のシート片7,8の他方の端部7b,8b同士が接合された接合部73,83とを有する。以下、図3乃至図5を参照して付属部5の構成を詳細に説明する。
【0036】
図3は、図1の外装体3の付属部5を示す斜視図である。図4は、図3の付属部5を展開した状態で示す斜視図である。図5は、図3の付属部5を示す側面図である。
【0037】
図3に示すように、付属部5は、高さ方向Hにおいて上側に配置される上側シート片7と、高さ方向Hにおいて下側に配置される下側シート片8とを有している。
【0038】
図4に示すように、付属部5の上側シート片7と下側シート片8は、1枚の樹脂シートを折曲部50で折り曲げることにより一体的に形成されている。樹脂シートは、例えば、熱可塑性樹脂発泡シートで実現することができる。よって、付属部5の軽量化を図ることができる。
【0039】
図5に示すように、付属部5の上側シート片7は、底壁部41の樹脂シートとの厚み方向(高さ方向H)の上側に面する上面41aに固定された固定部71と、下側シート片8との間で隙間Sを形成する被重ね合わせ部72と、下側シート片8と接合された接合部73と、下側シート片8と重なり合う重ね合わせ部74,75とを有している。
【0040】
図3に示すように、固定部71は、挿入孔40に挿入されて、溶着部分70において底壁部41の上面41aと溶着手段により溶着されて固定されている。なお、溶着手段としては、例えば、超音波溶着、熱溶着等の溶着手段を挙げることができる。また、溶着部分70は、溶着ではなく、接着剤や粘着テープ等により接着されてもよい。
【0041】
図3及び図5に示すように、被重ね合わせ部72は、固定部71と接合部73との間に位置し、後述する下側シート片8の被重ね合わせ部82との間で隙間Sを形成している。すなわち、被重ね合わせ部72は、下側シート片8と接していない部分である。
【0042】
接合部73は、後述する下側シート片8の接合部83と接合手段により接合された部分である。なお、接合部73と接合部83との接合手段としては、例えば、接着剤や粘着テープ等の接着手段、超音波溶着、熱溶着等の溶着手段等を挙げることができる。
【0043】
重ね合わせ部74,75は、接合部73から固定部71と反対側において上側シート片7と下側シート片8が重なり合う部分である。重ね合わせ部74と重ね合わせ部75の間を折曲部76で山折り状に折り曲げることにより、重ね合わせ部74に対して重ね合わせ部75を所定の角度に保持する。
【0044】
重ね合わせ部74は、後述する下側シート片8の重ね合わせ部84を上から覆い重ね合わせた部分である。また、重ね合わせ部75は、後述する下側シート片8の重ね合わせ部85を上から覆い重ね合わせた部分である。
【0045】
重ね合わせ部74には、上側シート片7の厚み方向(高さ方向H)に貫通して車体に取り付け可能な係止部材(図示せず)が挿入される貫通孔77が形成されている。なお、重ね合わせ部74,75は、重ね合わせ部84,85と接合手段により接合されていてもよい。
【0046】
図5に示すように、付属部5の下側シート片8は、底壁部41の樹脂シートとの厚み方向(高さ方向H)の下側に面する下面41bに固定された固定部81と、上側シート片7の被重ね合わせ部72との間で隙間Sを形成する被重ね合わせ部82と、上側シート片7と接合された接合部83と、上側シート片7と重なり合う重ね合わせ部84,85とを有している。
【0047】
図3に示すように、固定部81は、溶着部分80において底壁部41の下面41bと溶着手段により溶着されて固定されている。なお、溶着手段としては、例えば溶着部分70と同様に、超音波溶着、熱溶着等の溶着手段を挙げることができる。また、溶着部分80は、溶着ではなく、接着剤や粘着テープ等により接着されてもよい。
【0048】
図3及び図5に示すように、上側シート片7の固定部71と下側シート片8の固定部81は、底壁部41の樹脂シートの厚み方向に面する上面41a又は下面41bにそれぞれ固定されている。すなわち、上側シート片7の固定部71が底壁部41の上面41a側から、下側シート片8の固定部81が底壁部41の下面41b側から底壁部41を挟むようにして固定されている。
【0049】
図3及び図5に示すように、被重ね合わせ部82は、固定部81と接合部83との間に位置し、上側シート片7の被重ね合わせ部72との間で隙間Sを形成している。すなわち、被重ね合わせ部82は、上側シート片7と接していない部分である。この被重ね合わせ部82を折曲部88で谷折り状に折り曲げることにより、隙間Sの形状を保持する。
【0050】
具体的には、隙間Sは、上側シート片7の端部7aと下側シート片8の端部8aが互いに離間して固定された固定部71,81と、固定部71,81から外側に離間した位置で上側シート片7と下側シート片8とが接合された接合部73,83とにより形成されている。隙間Sは、短手方向Yの断面形状が概略三角形状を有しており、この概略三角形の頂点が上側シート片7と下側シート片8とが接合された接合部73,83となっている。
【0051】
図5に示すように、上側シート片7の被重ね合わせ部72と下側シート片8の被重ね合わせ部82の最大離間距離である隙間Sの高さ寸法Aの値は、底壁部41の樹脂シートの厚さの値と概略同じである。すなわち、底壁部41の端部41c側の隙間Sの高さ寸法Aの値は、上側シート片7の固定部71と下側シート片8の固定部81が底壁部41を挟んで固定されているため、底壁部41の樹脂シートの厚さ寸法の値と概略同じである。
【0052】
接合部83は、上側シート片7の接合部73と接合手段により接合された部分である。接合部73,83は、上側シート片7の固定部71及び下側シート片8の固定部81から外側へ所定の間隔(長さ寸法B)を隔てた位置で接合されている。すなわち、長さ寸法Bの値は、隙間Sの底壁部41の端部41c側から接合部73,83までの寸法の値と同一又は概略同一である。長さ寸法Bの値は、付属部5の変形を抑制する点から、5mm以上30mm以下が好ましく、10mm以上20mm以下がより好ましい。
【0053】
重ね合わせ部84,85は、接合部83から固定部81と反対側において上側シート片7と下側シート片8が重なり合う部分である。重ね合わせ部84と重ね合わせ部85の間を折曲部86で山折り状に折り曲げることにより、重ね合わせ部84に対して重ね合わせ部85を所定の角度に保持することができる。すなわち、折曲部86の上側に折曲部76が位置しており、折曲部76,86で折り曲げることにより重ね合わせ部74,84に対して重ね合わせ部75,85を底壁部41と概略平行に保持することができる。
【0054】
重ね合わせ部84は、上側シート片7の重ね合わせ部74の上から覆い重ね合わせた部分である。また、重ね合わせ部85は、上側シート片7の重ね合わせ部75の上から覆い重ね合わせた部分である。
【0055】
重ね合わせ部85には、下側シート片8の厚み方向(高さ方向H)に貫通して車体に取り付け可能な係止部材(図示せず)が挿入される貫通孔87が形成されている。貫通孔87は、図4に示すように、上側シート片7の貫通孔77より大きく形成されている。
【0056】
具体的には、図4に示すように、貫通孔87は、貫通孔77の長さ寸法C7及び幅寸法D7より大きい長さ寸法C8及び幅寸法D8を有している。すなわち、貫通孔87は、係止部材の基部(図示省略)と、車体の取付孔に挿入可能で基部より幅狭な先端部(図示省略)が挿入可能に大きく形成されている。また、貫通孔77は、先端部のみが挿入可能に貫通孔77より小さく形成されている。なお、図4では、貫通孔87は、上側シート片7の貫通孔77より大きく形成されている様子を示しているが、貫通孔77と同じ大きさでもよいし、貫通孔77よりも小さくてもよい。
【0057】
[3.外装体及び外装体付きワイヤーハーネスの形成方法]
次いで、図1乃至図5を参照して、上述した外装体3の形成方法、及び外装体3へワイヤーハーネス2を装着して外装体付きワイヤーハーネス1を形成する方法についてそれぞれ説明する。
【0058】
外装体3の形成方法では、先ず、外装体3を形成するための母材となる樹脂シートから、壁部4に相当する部分を打ち抜く、打ち抜き加工を行う。打ち抜き加工としては、例えば、低コスト化と加工簡易性の点から、トムソン刃金型での打ち抜き等が挙げられる。なお、外装体3の形成方法は、打ち抜き加工に限定されず、例えば、カッティングプロッタ等の切り抜き加工でもよい。
【0059】
また、打ち抜かれた外装体3に相当する部分のうち、挿入孔40(40a,40b,40c)に対応する部分を打ち抜く、打ち抜き加工を行う。挿入孔40に対応する部分を打ち抜くと、壁部4に挿入孔40が形成される。なお、カッティングプロッタ等の切り抜き加工により、外装体3に相当する部分から挿入孔40に対応する部分を切り抜いてもよい。
【0060】
また、外装体3を形成するための母材となる樹脂シートから、付属部5に相当する部分を打ち抜く、打ち抜き加工を行う。また、打ち抜かれた付属部5に相当する部分のうち、貫通孔77,87に対応する部分を打ち抜く、打ち抜き加工を行う。なお、カッティングプロッタ等の切り抜き加工により、樹脂シートから付属部5に相当する部分を切り抜いてもよい。貫通孔77,87に対応する部分を打ち抜くと、付属部5に貫通孔77,87が形成される。
【0061】
上記のように形成された外装体3をワイヤーハーネス2へ装着する方法では、まず、付属部5を折曲部50で折り曲げることにより、上側シート片7の下側に下側シート片8を配置する。
【0062】
上側シート片7の下側に下側シート片8を配置した後、上側シート片7の固定部71を挿入孔40に挿入し、底壁部41の上面41aに配置する。また、下側シート片8の固定部81を底壁部41の下面41bに配置する。すなわち、固定部71と固定部81とで底壁部41を挟むように配置する。
【0063】
固定部71,81を底壁部41の上面41a又は下面41bに配置した後、固定部71,81を溶着部分70,80において上面41a又は下面41bと溶着手段により溶着する。具体的には、固定部71は、溶着部分70において底壁部41の上面41aと溶着し、固定部81は、溶着部分80において底壁部41の下面41bと溶着する。
【0064】
固定部71,81を溶着すると、上側シート片7の端部7aと、下側シート片8の端部8aが互いに離間して壁部4に固定される(図3参照)。
【0065】
固定部71,81を溶着した後、上側シート片7の接合部73と、下側シート片8の接合部83とを接合する。接合部73と接合部83との接合は、図3及び図5に示すように、直線状の接合部73及び接合部83に沿って直線状に接合してもよい。
【0066】
接合部73と接合部83とを接合すると、上側シート片7の被重ね合わせ部72と下側シート片8の被重ね合わせ部82との間に隙間Sが形成される。
【0067】
また、接合部73と接合部83とを接合すると、下側シート片8の重ね合わせ部84の上に上側シート片7の重ね合わせ部74が重ね合わせられる。また、下側シート片8の重ね合わせ部85の上に上側シート片7の重ね合わせ部75が重ね合わせられる。重ね合わせ部85の上に重ね合わせ部75が重ね合わせられると、貫通孔87の上に貫通孔87が配置される。
【0068】
壁部4に付属部5が取り付けられると、底壁部41に対して側壁部42,43が略垂直となるように、折曲部20a,20bで折り曲げる。折曲部20a,20bで折り曲げると、側壁部42と側壁部43との間が長手方向Xに沿って上方に開口した形状となる。
【0069】
折曲部20a,20bを折り曲げた後、底壁部41にワイヤーハーネス2を載置し、底壁部41に対して内側蓋壁部44が略平行となるように、折曲部20cで折り曲げる。次に、底壁部41に対して外側蓋壁部45が略平行となるように、折曲部20dで折り曲げる。折曲部20dで外側蓋壁部45を折り曲げると、内側蓋壁部44と外側蓋壁部45とが重なって重ね合わせ部46となる。また、側壁部42と側壁部43間の開口が塞がれて収容部6が形成されるとともに、収容部6内にワイヤーハーネス2が挿通された状態で収容される。重ね合わせ部46において、内側蓋壁部44と外側蓋壁部45とを接合することにより、側壁部42と側壁部43との間の開口が塞がれた状態が固定され、外装体3がワイヤーハーネス2の外周に装着される。
【0070】
収容部6が形成されると、上側シート片7の固定部71は収容部6内に配置され、挿入孔40から収容部6の外側に向かって被重ね合わせ部72、接合部73、重ね合わせ部74、重ね合わせ部75の順に位置する。
【0071】
また、下側シート片8の固定部71は底壁部41の下面41bに配置され、側壁部42,43から収容部6の外側に向かって被重ね合わせ部82、接合部83、重ね合わせ部84、重ね合わせ部85の順に位置する。
【0072】
なお、外装体3は、ワイヤーハーネス2を構成する複数の電線を分散しないように固定するための固定用テープの外周に装着されていてもよく、固定用テープを使用していない複数の電線の外周に装着されていてもよい。また、外装体3は、1本の電線の外周に装着されていてもよい。
【0073】
このように、外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1において、付属部5は、上側シート片7と下側シート片8の2枚のシート片により形成されているため、強度を向上させることができるので、変形を抑制することができる。
【0074】
特に、付属部5は、シート片7,8の端部7a,8aが互いに離間して壁部4に固定された固定部71,81と、固定部71,81から外側へ所定の間隔を隔てた位置でシート片7,8同士が接合された接合部73,83とにより隙間Sが形成されている。外装体3は、付属部5に隙間Sが形成されることにより、被重ね合わせ部72,82の厚み方向(高さ方向H)への移動が抑制され、付属部5の形状を維持することができるため、ワイヤーハーネス2の重量や振動などの外部応力に耐えることができ、外装体3の変形や位置ズレを防止することができる。また、外装体3は、付属部5に隙間Sが形成されることにより、付属部5を車体へ取り付ける際の位置決めを容易に行うことができる。
【0075】
また、付属部5の上側シート片7と下側シート片8は、1枚の樹脂シートを折曲部50で折り曲げることにより一体的に形成されている。このため、上側シート片7と下側シート片8との重ね合わせが容易になる。
【0076】
さらに、付属部5の上側シート片7の固定部71と下側シート片8の固定部81は、底壁部41の樹脂シートの厚み方向に面する上面41a又は下面41bにそれぞれ固定されている。すなわち、底壁部41を固定部71と固定部81とで挟んで固定することにより容易に隙間Sを形成することができる。
【0077】
また、付属部5の重ね合わせ部75,85には、付属部5の厚み方向(高さ方向H)に貫通して車体に取り付け可能な係止部材が挿入される貫通孔77,87が形成されている。このため、係止部材が挿入された付属部5を車体へ取り付ける際の位置決めが容易になり、外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1の車体への取り付け作業の作業効率を向上することができる。
【0078】
さらに、複数の壁部4には、付属部5の固定部71が挿入される挿入孔40(40a,40b,40c)が形成されている。このため、底壁部41の上面41aと固定部71との位置決めが容易となり、底壁部41の上面41aと固定部71との固定作業の作業効率を向上することができる。また、壁部4への付属部5の取り付けが容易となり、付属部5の取り付け作業の作業効率を向上することができる。
【0079】
そして、付属部5の接合部73,83と固定部71,81との間の寸法である長さ寸法Bは、5mm以上30mm以下であるため、付属部5の厚み方向(高さ方向H)への移動が抑制されて付属部5の強度を向上させることができる。
【0080】
なお、壁部4及び付属部5を含む外装体3に用いられる樹脂シートは折り曲げが可能であれば、特に限定されず、樹脂種としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれも使用することができる。このうち、軽量性、形状設計の自由度、コスト等の点で、熱可塑性樹脂発泡シートが好ましい。熱可塑性樹脂発泡シートの具体的な樹脂種については、特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。
【0081】
また、外装体3に用いられる熱可塑性樹脂発泡シートの密度は、特に限定されず、例えば、軽量性と機械的強度とのバランスを向上させる点から200Kg/m以上700Kg/m以下が好ましく、300Kg/m以上600Kg/m以下がより好ましく、350Kg/m以上550Kg/m以下が特に好ましい。なお、熱可塑性樹脂発泡シートの密度は、JIS K 7222に基づいて測定する。
【0082】
熱可塑性樹脂発泡シートの厚さは、特に限定されず、例えば、折り曲げ容易性と機械的強度の点から、0.50mm以上4.0mm以下が好ましく、0.8mm以上2.5mm以下が特に好ましい。
【0083】
また、熱可塑性樹脂発泡シートには、両面または片面に、非発泡層が形成されていてもよい。すなわち、熱可塑性樹脂発泡シートは、発泡層と該発泡層上に形成された非発泡層とを有する構成としてもよい。熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成されていることにより、外装体3の機械的強度が向上して、収容されるワイヤーハーネス2の保護性能がより向上する。外装体3の機械的強度を確実に向上させる点から、両面に非発泡層が形成されることが好ましい。非発泡層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0084】
熱可塑性樹脂発泡シートのショア硬さ(HSC)は、特に限定されないが、機械的強度の点から、例えば、60以上100以下が好ましい。
【0085】
[4.変形例]
次いで、図6及び図7を参照して、上述した実施の形態に係る外装体3の付属部5の第1の変形例及び第2の変形例について説明する。図6は、外装体3の付属部5における第1の変形例を示すための付属部150aの断面図であり、図7は、外装体3の付属部5における第2の変形例を示すための付属部150bの断面図である。
【0086】
以下、前述実施の形態に係る外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1と同様又は類似する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図6に示すように、付属部150aは、対向する3枚のシート片107a,108a,109aのうち、シート片107a,109aの一方の端部7a,9aと、シート片108aの一方の端部8aが離間して壁部4の底壁部41に固定された固定部71,81と、固定部71,81,91から外側へ所定の間隔を隔てた位置で対向する3枚のシート片107a,108a,109aの他方の端部7b,8b,9bが接合された接合部73,83,93と、接合部73,83,93から固定部71,81,92と反対側において3枚のシート片107a,108a,109aが重なり合う重ね合わせ部75,85,95とを有する。固定部71,81,91と接合部73,83,93との間には、隙間Sが形成されている。
【0088】
シート片107aの固定部71及びシート片109aの固定部91は、挿入孔に挿入されて、溶着部70,90において底壁部41の上面41aと溶着されて固定されている。また、シート片108aの固定部81は、溶着部80において底壁部41の下面41bと溶着されている。すなわち、シート片107a,108a,109aは、固定部71,91と、固定部81とにより底壁部41を挟むようにして溶着されて固定されている。また、溶着部70,80,90は、溶着ではなく、接着剤や粘着テープ等により接着されてもよい。
【0089】
シート片107a,108a,109aにおいて、接合部73,83,93は、固定部71,81,91から所定の間隔を隔てた位置で接合されている。所定の間隔は、付属部105aの変形を抑制する点から、5mm以上30mm以下が好ましく、10mm以上20mm以下がより好ましい。
【0090】
また、シート片107a,108a,109aにおいて、重ね合わせ部75,85,95には、それぞれ車体に取り付け可能な係止部材(図示せず)が挿入される貫通孔77,87,97が形成されており、貫通孔77の上に貫通孔87、貫通孔87の上に貫通孔77が配置されている。
【0091】
このようにして、第1の変形例の外装体3は、固定部71,81,91と接合部73,83,93との間に隙間Sが形成されることにより、固定部71,81,91の厚み方向(高さ方向H)への移動が抑制され、付属部5の形状を維持することができるため、ワイヤーハーネス2の重量や振動などの外部応力に耐えることができ、外装体3の変形や位置ズレを防止することができる。また、外装体3は、固定部71,81,91と接合部73,83,93との間に隙間Sが形成されることにより、付属部5を車体へ取り付ける際の位置決めを容易に行うことができる。
【0092】
図7に示すように、付属部150bは、対向する3枚のシート片107b,108b,109bのうち、シート片107b,109bの一方の端部7a,9aと、シート片108bの一方の端部8aが離間して壁部4の底壁部41に固定された固定部71,81と、固定部71,81,91から外側へ所定の間隔を隔てた位置で対向する3枚のシート片107b,108b,109bの他方の端部7b,8b,9bが接合された接合部73,83,93と、接合部73,83,93から固定部71,81,92と反対側において3枚のシート片107b,108b,109bが重なり合う重ね合わせ部75,85,95とを有する。固定部71,81,91と接合部73,83,93との間には、隙間S1,S2が形成されている。
【0093】
隙間S1は、シート片107bとシート片108bとの間で形成されており、隙間S2は、シート片107bとシート片109bとの間で形成されている。
【0094】
シート片107bの固定部71及びシート片109bの固定部91は、挿入孔に挿入されて、溶着部70,90において底壁部41の上面41aと溶着されて固定されている。また、シート片108aの固定部81は、溶着部80において底壁部41の下面41bと溶着されている。すなわち、シート片107a,108a,109aは、固定部71,91と、固定部81とにより底壁部41を挟むようにして溶着されて固定されている。また、溶着部70,80,90は、溶着ではなく、接着剤や粘着テープ等により接着されてもよい。
【0095】
シート片107b,108b,109bにおいて、接合部73,83,93は、固定部71,81,91から所定の間隔を隔てた位置で接合されている。所定の間隔は、付属部105aの変形を抑制する点から、5mm以上30mm以下が好ましく、10mm以上20mm以下がより好ましい。
【0096】
また、シート片107b,108b,109bにおいて、重ね合わせ部75,85,95には、それぞれ車体に取り付け可能な係止部材(図示せず)が挿入される貫通孔77,87,97が形成されており、貫通孔87の上に貫通孔87、貫通孔87の上に貫通孔97が配置されている。
【0097】
このようにして、第2の変形例の外装体3は、外装体3は、隙間S1及び隙間S2が形成されることにより、固定部71,81,91の厚み方向(高さ方向H)への移動が抑制され、付属部5の形状を維持することができるため、ワイヤーハーネス2の重量や振動などの外部応力に耐えることができ、外装体3の変形や位置ズレを防止することができる。また、外装体3は、隙間S1及び隙間S2が形成されることにより、付属部5を車体へ取り付ける際の位置決めを容易に行うことができる。
【0098】
[4.他の実施の形態]
上述した本発明の実施の形態における付属部5は、側壁部42,43から外側、すなわち、短手方向Yに延在している場合について説明したが、付属部5は、底壁部41、内側蓋壁部44及び外側蓋壁部45から外側、すなわち、長手方向X又は高さ方向Hに延在していてもよい。また、付属部5は、壁部4に少なくとも1つ設けられていればよく、付属部5の数は適宜変更が可能である。
【0099】
また、付属部5は、上側シート片7の被重ね合わせ部72と、下側シート片8の被重ね合わせ部82との間で隙間Sを形成している場合について説明したが、被重ね合わせ部72と被重ね合わせ部82との間で複数の隙間が形成されていてもよい。また、2枚以上のシート片で付属部5を形成することにより、複数の隙間が形成されていてもよい。さらに、重ね合わせ部74,75と重ね合わせ部84,85との間の一部に隙間が形成されていてもよい。
【0100】
上述した本発明の実施の形態では、上側シート片7の固定部71と下側シート片8の固定部81とにより底壁部41を挟むように固定される構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、上側シート片7の固定部71が外側蓋壁部45の表面に接合され、下側シート片8の固定部81が底壁部41の下面41bに接合されて、側壁部42を挟むようにして固定されてもよい。
【0101】
上述した本発明の実施の形態における外装体3は、ワイヤーハーネス2の延び方向(長手方向X)に沿って延在する複数の壁部4により形成されている場合について説明したが、延在方向の途中でワイヤーハーネス2の形状に沿うように上下左右方向に分岐されていてもよい。また、この分岐された壁部に付属部5が設けられていてもよい。
【0102】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に係る外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0103】
1…外装体付きワイヤーハーネス、2…ワイヤーハーネス(電線)、3…外装体(電線用外装体)、4…壁部、5…付属部、6…収容部、7…上側シート片、7a…一方の端部、7b…他方の端部、8…下側シート片、8a…一方の端部、8b…他方の端部、20a~20d…折曲部、40a~40c…挿入孔、41…底壁部、41a…上面、41b…下面、41c…端部、42…側壁部、43…側壁部、44…内側蓋壁部、45…外側蓋壁部、45a,45b…端縁、46…重ね合わせ部、50…折曲部、70…溶着部分、71…固定部、72…被重ね合わせ部、73…接合部、74,75…重ね合わせ部、76…折曲部、77…貫通孔、80…溶着部分、81…固定部、82…被重ね合わせ部、83…接合部、84,85…重ね合わせ部、86…折曲部、87…貫通孔、88…折曲部、91…固定部、93…接合部、95…重ね合わせ部、107a,108a,109a…シート片、107b,108b,109b…シート片、150a,150b…付属部、X…長手方向、Y…短手方向、Z…高さ方向、A…高さ寸法、B…長さ寸法、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7