(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】ポンプ装置の状態を表示する表示方法、ポンプ装置、ポンプシステム、コンピュータプログラム、および表示器
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20220222BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20220222BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
F04B49/10 311
F04B49/06 311
F04D15/00 Z
(21)【出願番号】P 2020028444
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2020-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】駒井 正和
(72)【発明者】
【氏名】堤 康太
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】塩澤 正和
【審判官】佐々木 芳枝
(56)【参考文献】
【文献】特許第4593585(JP,B2)
【文献】特開2017-152805(JP,A)
【文献】特開2019-11731(JP,A)
【文献】特開2014-235704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部表示器とポンプ装置との通信が確立された状態で前記ポンプ装置の状態を前記外部表示器の表示部に表示する表示方法であって、
前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、
当該複数の端子のそれぞれに入力または出力される信号の種別を変更可能であり、
前記表示方法は、
前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置
と一致する又は対応する配置で図形を用いて当該複数の端子を
模した端子グラフィックと、
前記複数の端子のそれぞれに
入力または出力される信号の種別と、
前記入出力部が入力または出力する信号の
ON状態またはOFF状態を示す入出力情報表示と、
を前記外部表示器の表示部に併せて表示し、
前記入出力情報表示は、前記信号の種別を強調表示する
ことにより前記入出力部が入力または出力する信号のON状態を示す、
表示方法。
【請求項2】
前記ポンプ装置は、前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置に関連した情報を記憶する記憶部を有し、
前記表示方法は、前記記憶部に記憶された情報に基づいて前記端子グラフィックを表示する、
請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記ポンプ装置は、前記複数の端子における第1の入力端子に入力される信号に基づいて、前記複数の端子における第1の出力端子から信号を出力し、
前記表示方法は、
前記第1の出力端子から出力される信号の
ON状態またはOFF状態と、
前記第1の入力端子に入力される信号の
ON状態またはOFF状態と、
を併せて前記入出力情報表示として表示する、
請求項1または2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記表示方法は、前記複数の端子に
入力または出力される信号を入出力信号履歴として記憶部に記憶するための保存ボタンを表示することを含む、請求項1から
3の何れか1項に記載の表示方法。
【請求項5】
前記表示部に併せて表示される前記端子グラフィックと前記信号の種別とは、拡張現実を利用して表示され、
前記拡張現実を利用した表示方法は、
前記ポンプ装置の前記複数の端子を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにより取得される撮像データに基づく画像に、前記端子グラフィックと、前記信号の種別と、を合成する画像合成ステップと、
当該合成された画像を表示する表示ステップと、
を含む請求項1から
4の何れか1項に記載の表示方法。
【請求項6】
前記ポンプ装置は、前記入出力部の識別標識を有し、
前記画像合成ステップは、前記撮像ステップにより取得される撮像データに基づく画像に、前記撮像データに含まれる前記識別標識に基づく情報を合成する、
請求項
5に記載の表示方法。
【請求項7】
前記表示方法は、前記端子グラフィックと前記信号の種別とを前記表示部に表示するための第1状態と第2状態を有し、
前記第1状態では
、前記端子グラフィックと、前記信号の種別と、を併せて表示し、
前記第2状態では、前記画像合成ステップで合成された画像を表示する、
請求項
5または
6に記載の表示方法。
【請求項8】
前記表示部は、前記第1状態と前記第2状態とを切り替える表示選択手段を有する、
請求項
7に記載の表示方法。
【請求項9】
前記表示方法は、前記端子グラフィックに、前記複数の端子の結線を示すための情報を併せてグラフィック表示する、請求項1から
8の何れか1項に記載の表示方法。
【請求項10】
前記ポンプ装置と前記外部表示器とを備え、請求項1から
9の何れか1つに記載の表示方法を実行可能に構成されたポンプシステム。
【請求項11】
前記外部表示器は、前記表示方法によって前記外部表示器の前記表示部に表示された表示の少なくとも一部を別の外部表示器にて同期して表示できるように当該別の外部表示器と通信可能に構成される、請求項
10に記載のポンプシステム。
【請求項12】
外部表示器とポンプ装置との通信が確立された状態で前記ポンプ装置の情報を前記外部表示器
の表示部に表示するために用いられるコンピュータプログラムであって、
前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、
当該複数の端子のそれぞれに入力または出力される信号の種別を変更可能であり、
前記コンピュータプログラムは、
前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置
と一致する又は対応する配置で図形を用いて当該複数の端子を
模した端子グラフィックと、
前記複数の端子のそれぞれに
入力または出力される信号の種別と、
前記入出力部が入力または出力する信号の
ON状態またはOFF状態を示す入出力情報表示と、
を前記外部表示器の表示部に併せて表示し、
前記入出力情報表示は、前記信号の種別を強調表示する
ことにより前記入出力部が入力または出力する信号のON状態を示す、
ことをコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
ポンプ装置との通信が確立された状態で前記ポンプ装置の情報を表示する表示器であって、
前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、
当該複数の端子のそれぞれに入力または出力される信号の種別を変更可能であり、
前記表示器は、
前記ポンプ装置における前記複数の端子
の配置と一致する又は対応する配置で図形を用いて当該複数の端子を
模した端子グラフィックと、
前記複数の端子のそれぞれに
入力または出力される信号の種別と、
前記入出力部が入力または出力する信号の
ON状態またはOFF状態を示す入出力情報表示と、
を併せて表示し、
前記入出力情報表示は、前記信号の種別を強調表示する
ことにより前記入出力部が入力または出力する信号のON状態を示すことを特徴とする、表示器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置の状態を表示する表示方法、ポンプ装置、ポンプシステム、コンピュータプログラム、および表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置の一例として、給水装置は、建物等の給水対象に水道水を供給するために広く使用されている。給水装置としては、外部出力端子を有し、当該外部出力端子から所定の情報を出力することで、給水装置の状態を外部に知らせることができるものが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置では、外部出力端子から出力される情報の種類を設定することができ、現場ごとに所望の種類の情報を外部出力端子から外部へ出力できる。
【0003】
また、給水装置は、給水装置における各種センサの入力端子が設定できるものが知られている。一例として、給水装置の市水流入方式や給水装置に接続された受水槽の数などを設定することで、検出する水位に対する入力端子が決定されるものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4593585号明細書
【文献】特許第4080913号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、給水装置では、複数の端子のそれぞれに入出力される情報の種別が現場ごとに異なる場合がある。また、出力する情報によって検出タイミングが異なる。このため、当該情報の出力が正しいか否かの確認作業では、検出対象に異常があるのか、給水装置の設定に誤りがあるのか、出力される情報に異常が生じているのか、複数の端子と接続先との配線に誤りであるのか、接続先の機器に異常が生じているのかなど、不具合の原因が多岐にわたり、確認作業が困難である。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ポンプ装置における複数の端子のそれぞれに入出力される信号を容易に確認することができる方法等を提案することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、ポンプ装置の状態を表示部に表示する表示方法が提案される。前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有する。そして、前記表示方法は、前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置に基づいて当該複数の端子を示す端子グラフィックと、前記複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別と、を表示器に併せて表示することを特徴とする。
【0008】
本発明の別の一実施形態によれば、ポンプ装置の情報を表示部に表示するために用いられるコンピュータプログラムが提案される。前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有する。そして、前記コンピュータプログラムは、前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置に基づいて当該複数の端子を示
す端子グラフィックと、前記信号の種別と、を表示器に併せて表示する、ことをコンピュータに実行させる。
【0009】
本発明の別の一実施形態によれば、ポンプ装置の情報を表示する表示器が提案される。前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、前記表示器は、前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置に基づいて当該複数の端子を示す端子グラフィックと、前記信号の種別と、を併せて表示することを特徴とする。
【0010】
本発明の別の一実施形態によれば、ポンプと前記ポンプを制御する制御部とを有するポンプ装置が提案され、前記制御部は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、当該複数の端子のそれぞれに入出力される情報の種別を設定変更可能であり、前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置を示す情報と、前記複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別と、を外部に送信可能な通信部を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態におけるシステムの構成概略の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態における給水装置の受水槽方式による使用例を示す図である。
【
図3】本実施形態における給水装置の直結給水方式による使用例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る給水装置と外部表示器との一例を模式的に示す平面図である。
【
図5】実施形態の給水装置の制御部の機能の一例を説明するためのブロック構成図である。
【
図6】制御部における電子回路や各部品が実装された基板の要部概略図である。
【
図7A】制御用メモリに記憶される給水方式に関する情報の一例を示す図である。
【
図7B】制御用メモリに記憶されるI/O部の各端子に関する情報の一例を示す図である。
【
図7C】制御用メモリに記憶される
図7Bの設定値に関する情報の一例を示す図である。
【
図7D】制御用メモリに記憶されるI/O部の各端子の配置順に関する情報の一例を示す図である。
【
図8】外部表示器によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9A】第1の例による外部出力端子と当該外部出力端子から出力される信号の種別とのグラフィック表示を示す図である。
【
図9C】外部表示器によって実行される表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9D】外部出力端子および入力端子と当該外部出力端子および入力端子から入出力される信号の種別とのグラフィック表示を示す図である。
【
図10】第2の例による外部出力端子と当該外部出力端子から出力される信号の種別とのグラフィック表示を示す図である。
【
図11】第3の例による外部出力端子と当該外部出力端子から出力される信号の種別とのグラフィック表示を示す図である。
【
図12】第1の例による給水装置の外部出力端子と監視装置との接続状態を試験するための外部表示器による表示を示す図である。
【
図13】第2の例による給水装置の外部出力端子と監視装置との接続状態を試験するための外部表示器による表示を示す図である。
【
図14】第3の例による給水装置の外部出力端子と監視装置との接続状態を試験するための外部表示器による表示を示す図である。
【
図16】給水装置の制御部によるデジタル信号における通常時の信号出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】給水装置の制御部によるデジタル信号における試験モード時の信号出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】給水装置の制御部による通常時の流入圧低下検出処理の一例を示すフローチャートである
【
図19】給水装置の制御部による試験モード時の流入圧低下検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】給水装置の外部出力端子と監視装置との接続状態を試験するための外部表示器による表示の一例を示す図である。
【
図21】給水装置の外部出力端子と監視装置との接続状態を試験するための外部表示器による表示の一例を示す図である。
【
図22】本実施形態における外部表示器による試験結果の表示の一例を示す図である。
【
図23】別の一例による給水システムの構成概略を示す図である。
【
図24】更に別の一例による給水システムの構成概略を示す図である。
【
図25】別の一例による給水システムの構成概略を示す図である。
【
図26】更に別の一例による給水システムの構成概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0013】
[給水システムの全体構成]
図1は、本実施形態におけるシステムの構成概略の一例を示す図である。本実施形態のシステム1000は、ポンプ装置の一例である給水装置10と、給水装置10を監視するための監視装置210と、給水装置10と通信可能な外部表示器80と、を備え、給水装置10の各種状態の監視や設定変更等を行うことができるように構成されている。給水装置10は、ポンプにて水供給源176(例えば、水道本管や受水槽)の水を加圧して、主にマンション、オフィスビル、商業施設、又は学校等の建物170(給水対象)に水を供給する。
【0014】
監視装置210と給水装置10とは、信号線184にて接続され、監視装置210は、給水装置10から出力される接点信号に基づいて給水装置10の状態を監視できるように構成されている。監視装置210は、給水装置10の「接続先」の一例に当たる。本実施形態では、給水装置10はポンプ室100に設置され、監視装置210はポンプ室100とは別の監視室200に設置される。監視室200は、ポンプ室100と同一の建物内の別のフロアであってもよいし、ポンプ室100と別の建物に設けられてもよい。ただし、こうした例に限定されず、監視装置210は、ポンプ室100に設置されてもよい。
【0015】
外部表示器80(および外部表示器(外部端末)180)は、スマートフォン、携帯電話、パソコン、又は、タブレットなどの汎用端末機器もしくは、専用端末機器である。汎用端末機器を採用した場合には、これらの機器に、外部表示器80として作用するための専用のアプリケーションソフトウエアをインストールさせてもよい。この場合には、専用のアプリケーションソフトウエアをユーザーのレベル又は目的に沿って複数用意してもよい。給水装置10は、外部表示器(外部端末)80と有線または無線により通信可能であって、外部表示器80は、給水装置10の各種状態の表示や各種設定値の設定変更、各種操作等を行うことができる。また、外部表示器80は、ネットワークや通信(無線または有線)等を介して、他の端末(例えば、監視室200の端末180)と情報を共有でき、外部表示器80と情報を共有した外部表示器180も給水装置10の各種状態の表示や各種設定値の設定変更、各種操作等を行うことができる。
【0016】
[給水装置の給水方式]
ここで、本実施形態における給水装置10の給水方式について
図2、
図3を用いて説明する。
図2、
図3のいずれの例においても、建物170内の監視室200に監視装置210が設けられている。
図2は給水装置10が受水槽方式によって使用される例を示す図である。
図2に示す例では、給水装置10は、吸込側(一次側)に、ひとつの受水槽160が接続される受水槽1槽式で使用されている。水供給源である受水槽160と給水装置10の吸込口10Aとは、導入管171によって連通している。受水槽方式では、給水装置10は、水供給源である図示しない水道本管から受水槽160にためられた水をポンプにて加圧し、建物170の各給水栓172に水を供給する。
【0017】
受水槽160には、受水槽160内の水位レベルを検出する水位計の一例として電極式レベルスイッチ162が設けられている。本実施形態では、受水槽160内の水位が、ポンプを強制的に停止させる渇水水位よりも高い減水水位レベル以下で「減水状態」となり、更に水位が低くなりポンプ30A,30Bを強制的に停止させる所定の水位レベル(渇水水位レベル)以下となったら「渇水状態」となる。更に、水が溢れる虞がある所定の水位レベル(満水水位レベル)以上となったら「満水状態」となる。なお、制御部65は減水を検出するか否かの設定値を有し、制御部65が減水を検出しない場合は、水槽の水位が渇水の水位レベル以上満水の水位レベル未満であれば、水位情報は「正常状態」である。一方、制御部65が減水を検出する場合は、水槽の水位が減水レベル以上満水レベル未満であれば、水位情報は「正常状態」である。
【0018】
電極式レベルスイッチ162による検出信号は、詳細を後述する給水装置10の制御部65(I/O部70)に入力される。電極式レベルスイッチ162は、受水槽160内に配置される複数の電極棒162a~162eを備えている。複数の電極棒162a~162eは、水位検知器であって、コモン電極棒162a、及び、低い水位を検出できる順に、渇水水位レベルの検出のための電極棒162b、市水流入弁163を開放する開水位の水位レベルの検出のための電極棒162c、市水流入弁163を閉止する閉水位の水位レベルの検出のための電極棒162d、満水水位レベルの検出のための電極棒162eとなっている。なお、電極式レベルスイッチ162は、5本の電極棒162a~162eを有するものに限られず、3本、4本、または6本以上の電極棒を有してもよい。その場合でも、最も低い水位レベルを検出できる電極棒にて渇水水位レベルを検出し、最も高い水位レベルを検出できる電極棒にて満水水位レベルを検出するとよい。また、市水流入弁163を開放するための水位レベルは、市水流入弁163を閉止するための水位レベルよりも低い水位レベルとするとよい。
【0019】
ここで、電極式レベルスイッチ162においては、各電極棒162b~162eと最も長いコモン電極棒162aとの間の抵抗値の変化を検出することにより、水槽内の水位が各電極棒162b~162eの下端よりも高い位置にあることを検出するようになっている。すなわち、受水槽160の水位が各電極棒162b~162eの下端よりも高くなって電極棒162b~162eとコモン電極棒162aの間が水により導通されたときに各水位レベルの検出信号を出力する。
【0020】
受水槽160には、電極式レベルスイッチ162に代えて、もしくは加えて、受水槽160内の水位レベルを検出する水位計であるフロートスイッチが設けられていてもよい。フロートスイッチによる検出信号は、給水装置10の制御部65に入力される。なお、フロートスイッチは、渇水の水位レベル、市水流入弁163の開水位レベルおよび閉水位レベル、又は満水の水位レベルを検出するため、複数設けられてもよい。
【0021】
図3は給水装置10が直結給水方式によって使用される例を示す図である。
図3に示す例では、給水装置10は、水道本管173の本管圧を利用しポンプにて増圧することによ
り給水対象である給水栓172へ水を供給する直結給水直送式で使用されている。水道本管173と連通する流入管174には、圧力センサ175が設けられている。圧力センサ175は、ポンプの流入圧である水道本管173の圧力を測定するための圧力測定器である。以下、「流入圧」は、圧力センサ175によって検出される圧力値を示すものとする。圧力センサ175による検出信号は、給水装置の制御部65(I/O部70)に入力される。本実施形態では、流入圧(水道本管173の圧力)が一定以下(例えば7mAq以下)となり所定の時間経過したら、「流入圧低下状態」となる。その後、流入圧が一定以上(例えば10mAq以上)となり所定の時間経過したら、流入圧低下状態が解消される。
【0022】
なお、給水装置10の給水方式としては、ポンプにて増圧した水を屋上のタンク(高置水槽)に一旦貯留し、自然流下にて給水を行う高置水槽方式が採られてもよい。高置水槽方式では、受水槽方式にて説明したのと同様に、高置水槽内の水位を検出する水位計が設けられて高置水槽の「満水状態」、「渇水状態」などが検出されるとよい。
【0023】
[給水装置の構成]
続いて、本実施形態の給水装置10の具体的な構成を説明する。
図4は本実施形態に係る給水装置と外部表示器との一例を模式的に示す平面図である。図示するように給水装置10では、ベース20の上に、2台のポンプ30A,30Bと、これらポンプ30A,30Bの中間に配置される圧力タンク50とが載置されている。また、給水装置10は、ポンプ30A,30Bの吐出側に接続される吐出配管40と、圧力タンク50の上部に設置される制御盤60とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0024】
ベース20は、ポンプ30A,30B等の各機器をその上に取り付けて基礎に固定するための台であって、略矩形の平板状で、長手方向の両側辺は下方向に折り曲げられた後に外方向に折り曲げられることで、L字状の固定辺23,23を構成している。
【0025】
給水装置10は、ポンプ30A,30Bを駆動するモータ33A,33Bを備えている。ポンプ30A,30Bは、吸込口35A,35Bと吐出し口とを有している。なお、吸込口35A,35Bは、給水装置10の吸込口10Aに当たり、直結給水方式の場合には、吸込口35A,35Bが流入管174に逆流防止装置(不図示)を介して接続される。また、ポンプ30A,30Bには、ポンプ過熱を検知するための温度検知器である温度センサ36A,36Bが取り付けられている。温度センサ36A,36Bと給水装置10の制御部65とは、不図示の信号線にて接続される。そのため、正しい温度を検出するためには、当該信号線が正しく結線される必要がある。
【0026】
吐出配管40はポンプ30A,30Bの吐出し合流管であり、小水量を検知する流量検知器の一種であるフロースイッチ49A,49B、及びチェッキ弁(逆止弁)47A,47Bを介して、両ポンプ30A,30Bの吐出し口に接続されている。ポンプ30A,30Bは、並列運転を行うことができる。またチェッキ弁47A,47Bによって、ポンプ30A,30Bが停止したときに吐出配管40内の水がポンプ30A,30B側に逆流しない。また吐出配管40は圧力タンク50に連結し、さらに吐出配管40には配管内圧力を検出する圧力センサ48が取り付けられている。そして圧力タンク50とチェッキ弁47A,47Bの効果によって、ポンプ30A,30Bが停止した後の吐出配管40内の圧力は、水が使用されない限り一定圧力に保持される。以下、「吐出し圧力」は、圧力センサ48により検出される圧力値を示すものとする。
【0027】
なお、本実施例ではポンプ30A,30Bとポンプ2台の構成だが、ポンプ台数は1台もしくは3台以上の複数台の構成としてもよい。
【0028】
制御盤60は、ケース61を備え、そのケース61内に、不図示の電源端子、ポンプ毎の漏電遮断器、ノイズフィルタ、誘導雷サージ吸収素子、およびリアクトル等を収容し、更には、ポンプの運転制御を行う各種電気回路からなる制御部65(
図4では不図示)を収容して構成されている。
【0029】
[制御部65のブロック構成]
図5は、本実施形態の給水装置10の制御部65の機能の一例を説明するためのブロック構成図である。まず、システム1000における給水装置10の制御部65について説明する。図示するように、給水装置10の制御部65は、制御用メモリ(記憶部)66と、演算部69と、I/O部(入力部および出力部)70と、運転パネル79と、通信部73と、を備えている。運転パネル79は、設定部71及び表示部72を備えている。なお、制御部65は、CPU、メモリ等を備え、ソフトウェアを用いて所定の機能を実現するマイクロコンピュータとして構成されてもよいし、専用の演算処理を行うハードウェア回路として構成されてもよい。また、制御部65は通信部73、運転パネル79と別々の基板としてもよい。その場合は、制御部65と通信部73、運転パネル79はシリアル通信や信号線等の有線もしくは無線通信にて接続される。
【0030】
設定部71は、外部操作により、給水を行うのに必要な各種設定値(設定情報)を設定するのに使用される(設定入力)。具体的には、設定部71は不図示の操作ボタンやタッチパネル等を備え、設定部71において設定された各種設定値は、制御用メモリ66に記憶される。一例として、ユーザーは、設定部71を介して、停止圧力、始動圧力、外部出力の信号の種別、及び、その他制御に必要な情報を設定情報として入力(設定入力)し、設置現場にて設定情報を変更できるようになっている。
【0031】
表示部72は、ユーザーインタフェースとして機能し、制御用メモリ66に格納されている設定値等の各種データや、現在のポンプ30A,30Bの運転状況(運転情報)、例えばポンプ30A,30Bのそれぞれの運転または停止、運転周波数、電流、流入圧力、吐出し圧力、モータ部33A,33Bを駆動するインバータのトリップ、吸入圧力低下警報、及び、受水槽警報等を表示する。
【0032】
本実施形態では、表示部72として、7セグメントLED及び表示灯などの簡易な表示器を採用することができる。ただし、表示部72は、こうした例に限定されず、ドットマトリクス方式による液晶表示器などであってもよい。また、外部表示器80として、タッチ入力方式または押圧ボタン方式を用いた液晶画面での高機能表示器を採用することができる。この場合、表示部72には簡易な情報を表示でき、外部表示器80には大きな情報量の情報を表示できる。こうした構成により、外部表示器80に、制御部65によるポンプ30A,30Bの運転状況に関した情報など(例えば、目標圧SV、現在圧PV、ポンプ30A,30Bの運転・停止、及び、ポンプ30A,30Bの回転速度など)を同一画面上に表示することによって、給水装置に不慣れなユーザーも誤解することなく、給水装置10の状態を認識したり、設定変更を行うことができる。また、給水装置10は、機械室またはポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。こうした場合に備えて、表示部72として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器が使用されてもよい。これにより、外部環境から発生される電気的なノイズによって外部表示器80の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示部72により給水装置10の運転に必要な最低限度の表示および操作を行うことができる。したがって、給水装置10を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。
【0033】
なお、制御部65に運転パネル79または表示部72が設けられずに、外部表示器80のみが設けられてもよい。この場合、上述した運転パネル79の機能は外部表示器80に
て全て実施可能とする。給水装置10には表示器自体を設ける必要がなくなるので、給水装置10全体のコストを更に下げることが可能である。
【0034】
制御用メモリ66には、給水装置10を制御するための制御プログラム、給水装置10の装置情報、故障履歴、運転履歴、及び、設定部71を通じて入力された設定情報等が格納されている。ここで、ポンプの出力は、モータ部33A,33Bの容量やモータ部33A,33Bを駆動するためのインバータの容量等にて代用してもよい。また、故障発生時には故障履歴、定期的に給水装置10の運転履歴等の情報も制御用メモリ66に記憶される。さらに、後述する試験モードによる配線接続確認が行われた時には作業履歴も制御用メモリ66に記憶されるとよい。
【0035】
制御用メモリ66としては、ROM、HDD、EEPROM、FeRAM、及び、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリが使用される。制御用メモリ66には、各種データ、例えば演算部69における演算結果のデータ(運転時間、積算値等)、圧力値(流入圧力、吐出し圧力)、設定部71を通じて入力された設定値情報、及びI/O部70を通じて入力される、またはI/O部70を通じて出力されるデータ等が格納される。
【0036】
通信部73は、有線通信または無線通信によって外部表示器80と通信可能なように構成されている。無線通信としては、例えば近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術を利用することができる。また、Bluetooth(登録商標)およびWi-Fiなど、任意の方式の無線通信を利用することができる。ただし、NFCは、制御部65と外部表示器80とを近づけるだけで通信を完了させることができる点で有利である。また、有線通信としては、例えば制御部65にUSB(Universal Serial Bus)のような外部接続端子が設けられ、ここに外部表示器80が接続されることによって通信がなされてもよいし、RS422,RS232C,RS485等のシリアル通信を用いてもよい。
【0037】
I/O部70としては、ポート等が使用される。I/O部70は、圧力センサ48からの信号、及びフロースイッチ49A,49Bからの信号等を受け入れ、I/O部70は、入力された信号を演算部69へ送る。演算部69としては、CPUが使用される。演算部69は、制御用メモリ66に格納されているプログラム及び各種データ、並びにI/O部70から入力される信号に基づいて、ポンプ30A,30Bを運転するための各種データの設定、及び、演算等を行い、I/O部70から制御指令が出力される。
【0038】
また、上記したように、I/O部70は、給水装置10が受水槽方式で使用されるときには電極式レベルスイッチ162からの信号が入力され、給水装置10が直結給水方式で使用されるときには圧力センサ175からの信号が入力される。その他、圧力センサ48、フロースイッチ49A、49B、温度センサ36A、36B等からの信号が入力される。
【0039】
I/O部70とポンプ30A,30Bを駆動するインバータとは、RS422,RS232C,RS485等の通信手段により互いに接続される。I/O部70からインバータは、各種設定値や周波数指令値、発停信号(運転・停止信号)などの制御信号がインバータへ送られ、インバータからI/O部70へは、実際の周波数値や電流値等の運転状況(運転情報)が逐次送られる。
【0040】
なお、I/O部70とポンプ30A,30Bを駆動するインバータとの間で送受信される制御信号としては、アナログ信号および/またはデジタル信号を用いることができる。例えば、回転周波数等にはアナログ信号を用い、運転停止指令等にはデジタル信号を用い
ることができる。また、30A,30Bの可変速制御を行わない場合、インバータがなくてもよい。
【0041】
また、I/O部70は、少なくとも1つの端子を含む外部出力端子70a(複数の端子の一例)を有し、外部出力端子70aは、例えば、端子台であって制御部65を構成する基板に実装されている。外部出力端子70aに接続される配線は、監視装置210の入力部214の対応する入力端子214aと接続される。例えば、外部出力端子70aからは、給水装置10の運転関連情報を示す接点信号が出力される。本実施形態では、外部出力端子70aは、5つの外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3を含む。外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3のそれぞれから出力する信号は、設置現場ごとの要求に応じて給水装置10の出荷時に設定される。
【0042】
システム1000において、制御部65に接続される監視装置210は、
図5に示すように、表示部213と、入力部214とを備えている。入力部214は、少なくとも1つの入力端子(ポート)214aを有し、給水装置10の外部出力端子70aと信号線184にて有線接続されて外部出力端子70aからの信号が入力される。表示部213は、入力部214に入力された情報に基づいて、給水装置10の状態を表示する。こうした監視装置210により、監視装置210が設置された監視室200において給水装置10の状態を監視することができる。
【0043】
ここで、監視装置210は、一例として、給水装置10の外部出力端子70aからの信号に基づいて単にランプを点灯/消灯させる簡易な構成とすることができる。この場合、ランプが表示部213の一例に当たる。また、監視装置210は、一例として、CPU、メモリ等を備え、ソフトウェアを用いて所定の機能を実現するマイクロコンピュータとして構成されてもよいし、専用の演算処理を行うハードウェア回路として構成されてもよい。こうした場合、監視装置210は、外部出力端子70aからの入力信号に基づいて給水装置10の状態の履歴をメモリに記憶してもよい。また、監視装置210は、単一の装置によって構成されるものに限定されず、一例として互いに離隔して設けられた複数の装置によって構成されてもよい。
【0044】
また、制御部65に接続される外部表示器80(外部端末)は、表示操作部80Aを有し、給水装置10の通信部73と通信して給水装置10に関する各種データを表示・変更可能なように構成されている。具体的には、外部表示器80は、制御用メモリ66に記憶された各種データを給水装置10の通信部73から受信し表示操作部80Aに表示する。また、外部表示器80は、ユーザーが表示操作部80Aを操作して入力した各種データの変更要求を給水装置10の通信部73へ送信する。表示操作部80Aは、タッチ入力方式または押圧ボタン方式を用いた液晶画面での高機能表示器を採用することができる。この場合、給水装置10の表示部72には簡易な情報を表示させ、外部表示器80には大きな情報量の情報を表示させてもよい。こうした構成により、外部表示器80は、制御用メモリ66に記憶された各種データのうち複数の情報を、表示操作部80Aの同一画面上に表示することができる。これにより、給水装置10に不慣れなユーザーも誤解することなく、給水装置10の状態を認識したり、設定入力を行うことができる。
【0045】
なお、上述した運転パネル79の機能は、外部表示器80にて全て実施可能としてもよい。こうすれば、給水装置10が操作しにくい場所(例えば、運転パネル79が操作者の足元あたり)に設置されていても給水装置10の状態確認や設定値情報の変更等の操作が容易となる。
【0046】
図6は、制御部65における電子回路や各部品が実装された基板の要部概略図である。制御部65の基板上には、I/O部70として、外部出力端子70aと、入力端子70b
との各種端子(またはコネクタ等)やその他CPUやメモリ等の各種部品(不図示)が実装されている。本実施形態では、入力端子70bは、電極式レベルスイッチ162の信号が入力される入力端子E11~E15、E31~E33、フロースイッチ49A、49Bの信号が入力される入力端子FS1、FS2、圧力センサ48、175の信号が入力される入力端子PS1、PS2を含む。これらの端子に制御部65の外部からの各種信号線が配線される。そのため、これら検出値が正しく検出されるためには、各種信号線が正しく結線される必要がある。
【0047】
外部出力端子70aは端子台やコネクタである。当該端子台が実装された基板上に外部出力端子70aを識別するための識別標識(ARマーカー)M1が印刷されている。入力端子E11~E15、E31~E33は端子台であって、当該端子台が実装された基板上に入力端子E11~E15、E31~E33を識別するための識別標識M2が印刷されている。入力端子FS1、FS2はコネクタであって、当該コネクタが実装された基板上に入力端子FS1、FS2を識別するための識別標識M3が印刷されている。入力端子PS1、PS2はコネクタであって、当該コネクタが実装された基板上に入力端子PS1、PS2を識別するための識別標識M4が印刷されている。
【0048】
識別標識M1~M4は、各端子の両側に配置され、各端子を他の端子と区別する情報が記録されている。例えば、本実施形態では、識別標識M1は、外部出力端子70aの端子の数や端子名、配置順等が含まれるQRコード(登録商標)であって、外部出力端子70aの両側に配置される。M2~M4も同様に、対応する入力端子70bの端子の数や端子名、配置順等が含まれるQRコードであって、各入力端子70bの両側に配置される。外部表示器80は、一例として、識別標識M1~M4並びに各端子を含む制御部65を撮像する撮像装置を備え、撮像した各端子の画像と識別標識M1~M4より取得した情報と給水装置10から取得した情報に基づいたグラフィックや文字情報とを合成して表示操作部80Aに表示する。つまり、外部表示器80は、表示方法として、以下のステップを有する。
(ステップ1)
入出力部70の何れかの端子を撮像する撮像ステップ。
(ステップ2)
当該撮像された入出力部70の端子の画像に、入出力部70における端子を示すグラフィックと、信号の種別と、を合成する画像合成ステップ。
(ステップ3)
当該合成された画像を表示する表示ステップ。
更に、制御部65は、その基板上に、入出力部70の各入力端子に対応する識別標識M1~M4を有し、上述の撮像ステップでは、撮像する端子と当該端子に対応する識別標識M1~M4を撮像する。そして、合成ステップで、撮像した識別標識M1~M4に基づいた情報を入出力部70の画像に合成するとよい。
なお、本実施形態では、識別標識M1~M4は、対応する端子の両側に配置される。一実施形態では、識別標識は、対応する端子の両端に配置されるのに限らず、ステップ1にて同一の画像にて撮像できるよう対応する端子の近傍に配置されればよい。
【0049】
図7A~
図7Dに、制御用メモリ66に記憶される情報の一例を記す。
図7Aは、給水方式に関する情報である。
図7Bは、I/O部70の各端子に関する情報である。
図7Cは、
図7Bの設定値に関する情報である。
図7Dは、I/O部70の各端子の配置順に関する情報である。以下、
図7A~
図7Dに示されている情報のそれぞれを、データテーブルA~Dという。本実施形態において、ユーザーは、運転パネル79または/および外部表示器80における所定の操作にて、データテーブルA~Dの各値を変更することができる。また、データテーブルA~Dは、少なくともその一部が外部表示器80の記憶部や識別標識M1~M4に記憶されてもよい。
【0050】
図7Aに示すデータテーブルAは、設定コードP10の設定値と給水方式に関する各情報との関係の一例を示す図である。本実施形態では、設定値情報として、直結給水方式であるか受水槽方式であるか、また受水槽方式において受水槽が一槽式または二槽式であるか、直結給水方式において直結給水直送式または直結給水高置水槽方式であるか、が設定される。具体的には、ユーザーによって運転パネル79または/および外部表示器80に所定の操作がなされると、設定値情報である設定コードP10が変更される。制御部65は、設定コードP10の値が値1である時に、
図2に示す受水槽が一槽式の受水槽方式で使用されると判断し、設定コードP10の値が値3である時に、
図3に示す直結給水方式の直送式で使用されると判断する。また、本実施形態では、給水方式に関連して、ユーザーによって運転パネル79または/および外部表示器80の所定の操作がなされると、電極式レベルスイッチ162における電極棒の本数、及び市水流入弁163の制御方法等が設定変更され、当該設定された制御方法に基づいて入力端子E11~E15、E31~E33の入力信号が決定される。
【0051】
図7Bに示すデータテーブルBは、各端子の信号の種別を設定する設定値の一例である。本実施形態では、設定値情報として各端子の信号の種別を有する。信号の種別は、I/O部70における端子毎に設定コードが割り付けられており、ユーザーは、当該設定コードの値を変更することで、どの端子からどの信号を入出力するか、を設定できる。また、データテーブルBには、
図7Bに示すように、端子名、端子の種別、ARマーカー等が設定変更可能に記憶されてもよい。具体的には、ユーザーによって運転パネル79または/および外部表示器80に所定の操作がなされると、端子名、端子の種別、ARマーカー等が変更できる。一例として、設定値情報である設定コードP11の値が変更されると、端子A1に出力される信号の種別が変更される。同様に、設定値情報である設定コードP12が変更されると、端子A2に出力される信号の種別が変更される。このように、設定値情報である設定コードを変更することで、当該設定コードに対応する入出力端子の信号の種別が変更できる。
【0052】
図7Cに示すデータテーブルCは、
図7Bの値の設置値と、信号の種別との関係を示す情報である。具体的には、
図7Bにて、設定コードP11の値の設定値として「1」が設定されている。
図7Cの値で「1」は、信号の種別1が「運転一括」、信号の種別2が「‐」、信号の種別3が「出力」のため、端子A1からは運転一括信号が出力される。他の端子も同様に、各端子に対応する設定コードの値の設置値によって信号の種別が設定される。また、データテーブルCには、
図7Cに示すように、複数の信号の種別が変更可能に記憶されてもよい。また、信号種別1の「なし」の値(値0)が設定された端子は入出力を行わない。
【0053】
ここで、信号種別1における各出力信号(
図7Cの信号種別3=出力)の一例について説明する。
「運転一括」の信号は、ポンプ30A,30Bの少なくとも一方が運転しているときにON信号が出力され、ポンプ30A,30Bが共に停止しているときにOFF信号が出力される信号である。
「故障一括」の信号は、給水装置10に何らかの故障が検出されているときにON信号が出力され、給水装置10に故障が検出されていないときにOFF信号が出力される信号である。
「満水」、「減水」、「渇水」の信号のそれぞれは、給水方式が受水槽方式の場合に、受水槽160が満水状態、減水状態、渇水状態であるときにON信号が出力され、満水状態、減水状態、渇水状態でないときにOFF信号が出力される信号である。
「No.1ポンプの運転」、「No.1ポンプの故障」の信号のそれぞれは、ポンプ30Aについて、運転しているとき、故障が検出されているときにON信号が出力され、停
止しているとき、故障が検出されていないときにOFF信号が出力される信号である。
「No.2ポンプの運転」、「No.2ポンプの故障」の信号のそれぞれは、ポンプ30Bについて、運転しているとき、故障が検出されているときにON信号が出力され、停止しているとき、故障が検出されていないときにOFF信号が出力される信号である。
「流入圧低下」の信号は、給水方式が直結給水方式の場合に、圧力センサ175にて計測する流入圧が所定の閾値よりも低下した状態が所定時間継続した状態であるときにON信号が出力され、流入圧低下状態ではないとき、または、流入圧が所定の圧力以上に復帰した状態が所定時間継続したときにOFF信号が出力される信号である。
高置水槽の「満水」、「渇水」の信号のそれぞれは、給水方式が高置水槽方式の場合に、図示しない高置水槽が満水状態、渇水状態であるときにON信号が出力され、高置水槽が満水状態、渇水状態ではないときにOFF信号が出力される信号である。
また、信号種別1における各入力信号(信号種別3=入力)の例を以下に示す。
「フロースイッチ1」「フロースイッチ2」に設定された端子には、フロースイッチ49A、49Bの信号が入力される。
「圧力センサ1」「圧力センサ2」に設定された端子には、圧力センサ48、175の信号が入力される。
「温度センサ1」「温度センサ2」に設定された端子には、温度センサ36A、36Bの信号が入力される。
「満水水位」、「減水水位」、「渇水復帰水位」、「渇水水位」に設定された端子には、給水方式が受水槽方式の場合に、満水水位の電極棒162eの信号、減水水位の電極棒162dの信号、渇水復帰水位の電極棒162cの信号、渇水水位の電極棒162bの信号が入力される。
【0054】
図7Dに示すデータテーブルDは、各端子の配置順の情報の一例を示す。例えば、
図7Dは、外部出力端子70aの配置順を記憶している。そのほか、入力端子E11~E15、E31~E33、入力端子FS1、FS2、入力端子PS1、PS2等の各種端子も同様に配置順が記憶されてもよい。
【0055】
[給水装置10による給水制御]
制御部65による給水装置10の給水制御の一例について説明する。ポンプ30A,30Bが停止している状態で吐出し圧力が所定の始動圧力にまで低下すると、制御部65はポンプ30A,30Bの少なくとも一方を始動させる。具体的には、制御部65はポンプ30A,30Bの駆動を開始するようにモータ部33A,33B(インバータを備える場合にはインバータ)に指令を出す。ポンプ30A,30Bの運転中は、設定された圧力(設定圧)により推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御などの制御が行われる。具体的には推定末端圧力一定制御の場合は、ポンプ30A,30Bの回転数と目標圧力制御カーブとを用いてポンプ30A,30Bの吐出し圧力に対する目標圧(SV)を設定し、目標圧力一定制御の場合は、設定圧を目標圧(SV)とする。また、吐出し圧力を現在圧(PV)とする。そして、SVとPVの偏差にてPI演算またはPID演算を行いポンプ30A,30Bの指令回転数が設定される。なお、直結給水にて推定末端圧力一定制御を行う場合、流入圧力に基づいて目標圧力制御カーブを補正してもよい。具体的には目標圧力制御カーブを流入圧力だけ加算し、目標圧(SV)を算出する。また、制御部65は、本実施形態のようにポンプが複数台ある場合は、同時に起動可能なポンプ台数(ポンプ並列運転台数)にて水量に応じたポンプの台数制御も行う。
【0056】
ポンプ30A,30Bの運転中に建物での水の使用が少なくなると、フロースイッチ49A,49Bは、過少水量を検出し、その検出信号を制御部65に送る。制御部65は、この検出信号を受けるとポンプ30A,30Bに指令を出してポンプ30A,30Bを所定回転数で運転させる。そして、制御部65は、吐出し圧力が所定の運転停止圧力に達することにより圧力タンク50に蓄圧したと判断すると、ポンプ30A,30Bを停止(小
水量停止)させる。ポンプ30A,30Bが小水量停止した後に、再び建物内で水が使用されると吐出し圧力が始動圧力以下まで低下しポンプ30A,30Bが始動する。なお、本実施形態のようにポンプが複数台ある場合には、始動するポンプ30A,30Bをローテーションさせ、ポンプ30A,30B内に水が滞留するのを防ぐことが好ましい。また、小水量を検知する方法としては、フロースイッチ49A,49Bを用いずに、モータ部33A,33Bの電流値による低負荷や締切圧力等その他の手段を用いてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、制御部65は、制御用メモリ66に記憶された情報、たとえば
図7A~
図7Dの各種情報を参照することにより、給水方式等を判断する。特に受水槽方式の場合には、受水槽の数、及び電極式レベルスイッチ162の電極の数などの情報を判断して受水槽制御を実行する。具体的には、制御部65は、受水槽1槽式、電極棒の数が5本であると判断すると、入力端子E14に接続される電極棒が水面より露出したときには、受水槽160の水位が渇水水位よりも低くなったと判断して水位状態を渇水状態とする。渇水状態で制御部65は、ポンプ30A,30Bを強制停止すると共に渇水警報を発し、その後、入力端子E13に接続される電極棒の一部が水没したときには、渇水復帰水位以上と判断して、ポンプ30A,30Bの強制停止と渇水警報を共に解除する。また、制御部65は、入力端子E11に接続される電極棒の一部が水没したときには、受水槽160の水位が満水水位よりも高くなったと判断して、水位状態を正満水状態とし、満水警報を発する。また、制御部65は、入力端子E12に接続される電極棒が水面より露出したときには、受水槽160の水位が減水水位よりも低くなったと判断して、水位状態を減水状態とし、減水警報を発し、その後、入力端子E1に接続される電極棒の一部が水没したときには、減水復帰水位以上と判断して、減水状態並びに減水水位警報を解除する。制御部65は、満水状態、減水状態、渇水状態の何れも発生していない場合に、水位状態は正常状態とする。
【0058】
[入出力部の入出力信号の表示方法並びに試験方法]
次に、入出力部(I/O部)70の入出力信号の表示方法並びに試験方法を、システム1000における外部出力端子70aの出力信号の確認並びに、外部出力端子70aと監視装置210との配線接続の確認をする際の手法と併せて説明する。以下の説明では、一例として、外部表示器80の表示操作部80Aにて表示をするものとする。しかしながら、こうした表示は、表示操作部80Aに代えてまたは加えて制御部65の表示部72にてなされてもよい。その場合、運転パネル79が外部表示器80と同様の構成並びに機能を有する。換言すれば、以下に説明する表示方法は、給水装置10の制御部65によって実行されてもよいし、給水装置10の制御部65から情報を取得可能な外部表示器80によって実行されてもよい。また、表示方法は、単独の装置によって実行されるものに限定されず、複数の装置の機能が組み合わされることによって実行されてもよい。
【0059】
図8は、外部表示器80によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、
図1に示す外部表示器80と給水装置10との通信が確立された状態で、ユーザーが外部表示器80を操作して給水装置10の入出力部の状態表示を指示したときに実行される。
【0060】
処理が開始されると、外部表示器80は、I/O部70の設定を取得する(ステップS102)。外部表示器80によるステップS102の処理は、給水装置10から情報を受信することにより行われる。本実施形態では、外部表示器80は、通信にてI/O部70における複数の端子(外部出力端子70a、入力端子70b)の配置に関連した情報、および複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別を取得する。具体的には、外部表示器80は、通信部73を介して制御部65の制御用メモリ66のデータテーブルA~Dにアクセスして、外部出力端子70aから出力される信号の種別を示す設定コードの設定値等を取得することにより、複数の端子の配置に関連した情報、および複数の端子における
信号の種別を取得してもよい。なお、入出力部I/O部70の設定は一度設定されるとその後に頻繁に変更されるものではないため、外部表示器80は、給水装置10からI/O部70に関する設定を一度だけ受信して図示しない記憶部に記憶し、以降は自身の記憶部を参照することによってI/O部70の設定を取得してもよい。
【0061】
続いて、外部表示器80は、I/O部70に入出力される信号に関連する各種状態を取得する(ステップS104)。このステップS104の処理は、I/O部70の設定に基づいて行われるとよい。例えば、外部出力端子70aの設定(例えば、設定コードP11~P15)にて、外部表示用端子の何れかに水位状態の何れかの信号(例えば、値3~5の何れか)が設定されている場合、外部表示器80は通信で制御部65の制御用メモリ66にアクセスして、水位状態(満水状態、減水状態、渇水状態等)を取得する。また、外部出力端子70aの設定にて、外部表示用端子の何れかにポンプ運転、故障などの給水装置10の状態(例えば、値1、2の何れか)が設定されている場合、外部表示器80は、通信部73を介して制御部65の制御用メモリ66にアクセスして、給水装置10の状態を取得する。また、一実施形態として、ステップS104で、外部表示器80は、I/O部70の設定に関わらす、給水装置10の関連する全ての状態を取得してもよい。
【0062】
次に、外部表示器80は、I/O部70における複数の端子を示す端子グラフィックと、当該端子が入出力する信号の種別と、を併せて表示する(ステップS106)。外部表示器80は、表示する端子グラフィックを、ステップS102にて取得した各種情報に基づいて作成する。具体的には、端子グラフィックは制御用メモリ66のデータテーブルDの情報を基に作成し、信号の種別はデータテーブルBの情報を基に作図する。ここで、外部出力端子70aのグラフィック表示としては、各外部出力端子70aを識別するための識別情報をグラフィック表示することが含まれる。
【0063】
図9Aは、外部表示器80における第1の例による外部出力端子70aと当該外部出力端子70aから出力される信号の種別とのグラフィック表示を示す図である。
図9Aでは、給水方式が受水槽方式である場合に使用され得る。具体的には、
図9Aは、ステップS102にて取得した設定コードP10が値1の時にステップS106にて表示される外部表示器80の画面の一例である。
図9Aに示す例では、外部出力端子70aをグラフィック表示する端子グラフィック部802、外部出力端子70aにおける給水装置10内の導通を結線で示す結線図グラフィック部806、及び外部出力端子70aのそれぞれから出力される信号の種別を文字情報で示す信号種別文字情報部808が、外部表示器80の表示操作部80Aに表示されている。なお、信号種別文字情報部808は、例えば、ステップ102にて取得したデータテーブルBの情報に基づくと共にデータテーブルCの各値に基づいて表示されるとよい。
【0064】
具体的には、端子グラフィック部802では、外部出力端子70aのグラフィック表示として、
図7のデータテーブルDの並びと同様の、外部表示用端子A1,A2、外部表示用端子A1,A2のコモン端子ACM、外部表示用端子B1,B2,B3、及び外部表示用端子B1,B2,B3のコモン端子BCMが並べて表示されている。なお、端子グラフィック部802は、実際の給水装置10における外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3,ACM,BCMの配置と一致する又は対応する配置でグラフィック表示されればよい。つまり、端子グラフィック部802は、I/O部70における複数の端子の配置に基づいて作成される。また、端子の配置順は、設定情報ではなく装置情報として外部表示器80または/および制御部65に記憶された固定の値でも構わない。また、
図9Aに示す例では、端子グラフィック部802の隣に、「外部表示用端子」と文字情報で示す端子種別文字情報部804が表示されている。端子種別文字情報部804は、例えば、ステップ102にて取得したデータテーブルBの端子の種別の各値に基づいて表示されるとよい。これにより、端子グラフィック部802の表示が外部表示用端子を示していることがユ
ーザーに分かり易くなる。
【0065】
図9Aに示す例では、端子グラフィック部802は、図形と文字とを使用して外部出力端子70aをグラフィック表示しているが、こうした例に限定されず、例えば実際の給水装置10の外部出力端子70aの画像を使用して外部出力端子70aをグラフィック表示してもよい。また、外部表示器80は、拡張現実(AR:Augmented Reality)を利用して、外部出力端子70aをグラフィック表示してもよい。具体的には、本実施形態の制御部65では、外部出力端子70aが実装された基板上に外部出力端子70aを識別するための識別標識M1が印刷されている。識別標識M1が外部出力端子70aの側に配置されることで、撮像した外部表示器80は、外部出力端子70aの配置順や大きさ等を識別できる。外部表示器80は、更に、識別標識M1並びに外部出力端子70aを含む制御部65を撮像する撮像装置を備え、撮像した外部出力端子70aの画像と、識別標識M1より取得した情報と、給水装置10から取得した情報に基づいた結線図グラフィック部806と、信号種別文字情報部808と、を合成して表示操作部80Aに表示する。
【0066】
図9Bは、表示の状態遷移図の一例である。
図9Bに示すように、外部表示器80は、表示操作部80Aに設けられたAR表示ボタン810(表示選択手段)が押される(矢印:S130)と拡張現実を利用して外部出力端子70aをグラフィック表示し、表示操作部80Aに設けられたAR解除ボタン812(表示選択手段)が押される(矢印:S131)と拡張現実による表示を解除して端子を模した図形の端子グラフィック部802を用いて外部出力端子70aをグラフィック表示してもよい。換言すると、外部表示器80における表示方法として、入出力部における複数の端子を示す端子グラフィックと信号の種別とを表示するための第1状態と第2状態を有し、外部表示器80は、第1状態では、図形を用いて入出力部70における複数の端子を模した端子グラフィック(端子グラフィック部802)と、各端子に入出力される信号の種別(端子種別文字情報部804、結線図グラフィック部806、信号種別文字情報部808)と、を併せた表示を行い、第2状態では、拡張現実を利用した表示(つまり、下記の画像合成ステップで合成された画像の表示)を行う。これにより、ユーザーは、給水装置10の設置環境や外部表示器80の画像処理等の性能等に応じて表示方法を選択できる。特に、給水装置10の設置場所がポンプ室や建物と建物間の暗い狭小地であったり、屋外で直射日光が直接当たるなど撮像や画像表示に不向きな環境下での作業となる場合がある。しかしながら、本実施形態では表示方法を選択できるので、作業者は設置環境に適した表示を選択できる。
【0067】
また、拡張現実を利用して外部出力端子70aをグラフィック表示する際には、「A1」、「A2」、「B1」、「B2」、「B3」といった外部出力端子70aを識別するための文字情報と、結線図グラフィック部806と、信号種別文字情報部808とのうち、少なくとも1つが撮像した外部出力端子70aの画像と併せて示されるとよい。
【0068】
図9Cに示すように、外部表示器80は、拡張現実(AR:Augmented Reality)を利用した表示方法として、以下のステップを有する。
(ステップ141)
入出力部70の何れかの端子を撮像する撮像ステップ。このとき、撮像する入出力部に対応する識別標識(ARマーカー)M1~M4も撮像する。
(ステップ142)
当該撮像された入出力部70の端子の画像に、入出力部70における複数の端子を示すグラフィック(端子グラフィック部802)と、信号の種別(端子種別文字情報部804、結線図グラフィック部806、信号種別文字情報部808)と、を合成する画像合成ステップ。
具体的には、撮像された入出力部70の各端子の画像と端子グラフィック部802の各端子が重なるように合成され、当該合成された端子グラフィック部802の横には、端子
種別文字情報部804、結線図グラフィック部806および信号種別文字情報部808のうち、少なくともひとつが併せて表示されるよう合成される。また、本ステップでは、後述する強調表示部849も併せて合成されるとよい。
(ステップ143)
当該合成された前記入出力部の画像を表示する表示ステップ。
【0069】
制御部65は、入出力部70と同じ基板上に、入出力部70の各入力端子に対応する識別標識M1~M4を有するため、上述の撮像ステップでは、撮像する端子と当該端子に対応する識別標識M1~M4が同時に撮像できる。そして、合成ステップで、撮像した識別標識M1~M4に基づいた情報を入出力部70の画像に合成する。なお、本実施形態では、識別標識M1~M4は、
図6に示すように、対応する端子の両側に配置される。これにより、撮像する端子と当該端子に対応する識別標識M1~M4とを同時に撮像するのが容易となる。一実施形態では、識別標識は、対応する端子の両端に配置されるのに限らず、ステップ141にて同一の画像にて撮像できるよう対応する端子の近傍に配置されればよい。
【0070】
結線図グラフィック部806は、外部出力端子70aと給水装置10内の導通による結線状態を示す結線図をグラフィック表示する。具体的には、
図9Aに示す第1の例では、結線図グラフィック部806として、外部表示用端子A1,A2は、コモン端子ACMと導通するか否かのON/OFF信号を示し、外部表示用端子B1,B2,B3は、コモン端子BCMと導通するか否かのON/OFF信号を示す。結線図グラフィック部806は、例えば、ステップ102にて取得したデータテーブルBのコモンの各値に基づいて各端子の電気回路を模したグラフィックが作成され、当該作成されたグラフィックが表示されるとよい。
【0071】
信号種別文字情報部808は、端子グラフィック部802に隣接して表示されている。具体的には、
図9に示す例では、ステップ102にて取得したデータテーブルBのP11~P15の各「値」の設定値と当該設定値に対応するデータテーブルCの信号の種別1とに基づいて、外部表示用端子A1から「運転一括」の信号が出力され、外部表示用端子A2から「故障一括」の信号が出力され、外部表示用端子B1から「満水」の信号が出力され、外部表示用端子B2から「減水」の信号が出力され、外部表示用端子B3から「渇水」の信号が出力されることが示されている。このように、端子グラフィック部802を実際の給水装置10における外部表示用端子A1,A2,ACM,B1,B2,B3,BCMの配置と一致する又は対応する配置にて表示し、なお且つ、端子グラフィック部802に隣接して、外部出力端子70aから出力される信号の種別が併せて表示されることにより、ユーザーは、給水装置10の外部出力端子70aと監視装置210との配線作業並びに配線の接続確認を容易に行うことができる。
【0072】
外部表示器80は、端子グラフィック部802、結線図グラフィック部806、及び信号種別文字情報部808のうちの少なくともひとつにおいて、現在ON状態の外部出力端子70aに対応する信号種別を強調表示部849で強調表示する。ON信号を意味する強調表示部849は、例えば、ステップ104にて取得した値に基づいて表示されるとよい。具体的には、ここでは、制御部65で、A1の端子がON信号を出力しているため、「運転一括」の文字を太枠線で強調表示する。これにより、ユーザーは、外部表示器80を見て、外部表示用端子A1がON信号を出力していることを容易に理解することができる。なお、強調表示では、強調表示部849の太枠に代えてまたは加えて、点灯や点滅、フォントや文字の大きさ、表示色、等でOFF状態の端子と区別できればよい。強調表示部849は、現在ON状態の外部出力端子70aと、現在OFF状態の外部出力端子70aとを区別してグラフィック表示するものであり、外部出力端子70aが出力する信号の状態をグラフィック表示する「入出力情報表示」の一例に当たる。なお、本実施形態では、
現在ON状態の外部出力端子70aに対応する信号種別が強調表示されるものとした。しかし、こうした例に限定されず、外部表示器80は、入出力部70における所定の信号(例えばON信号)が入出力されている箇所に対応する信号種別を強調表示するものとすることができる。
【0073】
なお、外部表示器80に表示される外部出力端子70aの信号の種別等で用いられる名称は、制御用メモリ66および/または外部表示器80に、設定値情報として記憶されてもよいし、装置情報として固定の値として記憶されてもよい。ただし、
図7Cに一例を示すように、設定値情報として記憶されている場合、表示の変更等が容易となる。
【0074】
図9Dは、外部表示器80に表示される外部出力端子70aおよび入力端子70bと当該外部出力端子70aおよび入力端子70bに入出力される信号の種別とのグラフィック表示を示す図である。
図9Dの表示は、
図9Aの表示における変形例に当たり、
図9Aと同様に給水方式が受水槽方式である場合に表示される一例である。
図9Dにおいて、
図9Aと重複する説明は省略する。
図9Dに示す表示は、外部出力端子70aに加えて、入力端子70b(端子E11~15,E31~E33)を示す端子グラフィックおよび入力端子70bに入力される信号の種別が示されている。ここで、
図9Dに示す例では、入力端子70bにおける端子E11~E15への入力信号の種別は、水位計の複数の電極棒162a~162eを模した水位計グラフィック部836と、水位計の複数の電極棒162a~162eの検出に対する制御を文字情報で示す制御文字情報部838とで示されている。
【0075】
図9Dに示す例では、端子B1~B3から出力される信号は受水槽の「満水」、「減水」、「渇水」であり、端子E11~E15に入力される信号に基づいて出力される。そして、
図9Dに示す例では、端子B1~B3から出力される信号に関係した入力端子E11~E15について、入力端子E11~E15を示す端子グラフィックと信号の種別とが併せて表示されている。具体的には、
図9Dに示す例では、一例として、外部出力端子70aの端子グラフィックおよび信号種別を含む出力表示部80A1が上方に表示され、外部出力端子70aの出力信号に関連した入力端子70bの端子グラフィックおよび信号種別を含む入力表示部80A2が下方に表示されている。外部出力端子70aと入力端子70bとの関連は、一例として、データテーブルC(
図7C)の「信号の種別2」における情報に基づいて判断されてもよい。つまり、例えば、外部表示器80は、給水装置10から取得したデータテーブルB(
図7B)の設定コードP11が「値1」であるとき、データテーブルCにおける値1の「信号種別2」に基づいて、関係する「値201」、「値202」が設定されている入力端子70bに関する情報を表示操作部80Aに表示するとよい。こうした表示により、外部表示器80を見たユーザーは、よりI/O部70に入出力される信号をより良く理解することができる。
【0076】
出力表示部80A1における表示は、概ね
図9Aにおける表示と同一である。ただし、
図9Dでは、
図9Aと異なり、端子A1からOFF信号が出力され、端子B1からON信号が出力されている。このため、強調表示部849は、端子B1に関する情報を強調して示している。また、
図9Aに示す例では、履歴保存ボタン813が操作表示部80Aに更に設けられている。ユーザーは、履歴保存ボタン813を選択することで、表示されているI/O部の入出力信号を入出力信号履歴として保存することができる。なお、入出力信号履歴は、外部表示器80における図示しない記憶部に記憶されてもよいし、給水装置10における制御用メモリ66に記憶されてもよい。
【0077】
入力表示部80A2における表示は、入力端子70bの端子E11~E15、E31~E33を示す入力端子グラフィック部835、水位計の複数の電極棒162a~162eを模した水位計グラフィックを表示する水位計グラフィック部836、水位計の複数の電
極棒162a~162eと入力端子70bとの結線図を模した入力端子結線を示す入力端子結線図部837、水位計の複数の電極棒162a~162eの検出に対する制御を文字情報で示す制御文字情報部838を有している。
図9Dに示す例では、入力端子70bの入力信号の状態として、コモン端子E11に対して端子E12~E15がすべて短絡していることを文字情報で示す文字情報部844が表示されていると共に、入力端子グラフィック部835における短絡している端子E12~E15(および/または端子E11)が強調表示されている。また、
図9Dに示す例では、入力表示部80A2における表示は、入力端子70bに入力される信号に基づくシステム1000の状態を示す情報として、受水槽160の水位を模した水位グラフィック部843と、制御文字情報部838における現在の状態を強調して示す強調表示部842と、を有する。
【0078】
図10は、
図8のステップS106にて表示される外部表示器80における第2の例による外部出力端子70aと当該外部出力端子70aから出力される信号の種別とのグラフィック表示を示す図である。
図10に示す表示は、給水方式が高置水槽方式であるときに使用され得る。具体的には、
図10は、ステップS102にて取得した設定コードP10が値4の時に、ステップS106の表示の一例である。
図10に示す表示は、信号種別文字情報部808に表示される文字情報が異なり、その他の点については
図9Aに示す表示と同一である。つまり、
図10に示す例では、表示操作部80Aには、端子グラフィック部802、端子種別文字情報部804、結線図グラフィック部806が表示されている。以下では、
図9と重複するAR表示ボタン810、AR解除ボタン812並びに各機能の説明は省略する。
【0079】
図10に示す例では、外部表示用端子B1,B2,B3から出力される信号の種別が
図9に示す例と異なる。これは、各外部表示用端子から出力される信号の種別が変更できることによる。具体的には、外部表示器80は、
図8に示したステップS102にて、通信部73を介してデータテーブルA~Dにアクセスして、外部出力端子70aから出力される信号の種別を示す設定コード(P11~P15)の設定値を取得する。第1の例と第2の例とはデータテーブルBに設定された値が異なるため、信号種別文字情報部808に表示される文字情報が異なる。具体的には、第2の例のデータテーブルBは、P11~P15の各「値」に、「運転一括」、「故障一括」、「流入圧低下」、高置水槽の「満水」、高置水槽の「渇水」に該当する値が設定されており、取得した情報に基づいて、外部表示器80は、外部表示用端子A1から「運転一括」の信号が出力され、外部表示用端子A2から「故障一括」の信号が出力され、外部表示用端子B1から「流入圧低下」の信号が出力され、外部表示用端子B2から高置水槽の「満水」の信号が出力され、外部表示用端子B3から高置水槽の「渇水」の信号が出力されると判断し、信号種別文字情報部808を作成する。これにより、
図10に示すように、信号種別文字情報部808は、端子グラフィック部802に併せて、外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3の信号種別として「運転一括」「故障一括」「流入圧低下」「高置水槽の満水」「高置水槽の渇水」の文字情報を示す。外部表示器80は、
図8に示したステップS104にて、通信部73を介して制御部65にアクセスして、外部出力端子70aの各外部表示用端子より出力されるON信号またはOFF信号の状態を取得して、結線図グラフィック部806、または/および信号種別文字情報部808に当該状態を識別可能に表示する。
【0080】
図11は、外部表示器80における第3の例による外部出力端子70aと当該外部出力端子70aから出力される信号の種別とを併せてグラフィック表示を示す図である。
図11に示す表示は、給水方式が直結給水方式であるときに使用され得る。
図11に示す表示は、信号種別文字情報部808に表示される情報が
図9に示す表示と異なり、その他の点では同一である。つまり、
図11に示す例では、表示操作部80Aには、端子グラフィック部802、端子種別文字情報部804、結線図グラフィック部806が表示されている。以下では、
図9と重複するAR表示ボタン810、AR解除ボタン812並びに、各機
能の説明は省略する。
【0081】
図11に示す例では、外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3から出力される信号の種別が
図9に示す例と異なる。具体的には、外部表示器80は、
図8に示したステップS102にて、通信部73を介してデータテーブルAにアクセスして、外部出力端子70aから出力される信号の種別を示す設定コード(P11~P15)の設定値を取得する。第1の例と第2の例とはデータテーブルBに設定された値が異なるため、信号種別文字情報部808に表示される文字情報が異なる。具体的には、第3の例のデータテーブルBは、P11~P15の「値」に、「No.1ポンプの運転信号」、「No.1ポンプの故障信号」、「No.2ポンプの運転信号」、「No.2ポンプの故障信号」、「流入圧低下」に該当する値が設定されており、取得した情報に基づいて、外部表示器80は、外部表示用端子A1から「No.1ポンプの運転信号」が出力され、外部表示用端子A2から「No.1ポンプの故障信号」が出力され、外部表示用端子B1から「No.2ポンプの運転信号」が出力され、外部表示用端子B2から「No.2ポンプの停止信号」が出力され、外部表示用端子B3から「流入圧低下信号」が出力されると判断し、信号種別文字情報部808を作成する。これにより、
図11に示すように、信号種別文字情報部808は、端子グラフィック部802に併せて、外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3における信号の種別として「No.1ポンプの運転信号」,「No.1ポンプの故障信号」,「No.2ポンプの運転信号」,「No.2ポンプの停止信号」,「流入圧低下信号」という文字情報を示す。外部表示器80は、
図8に示したステップS104にて、通信部73を介して制御部65にアクセスして、外部出力端子70aの各外部表示用端子より出力されるON信号またはOFF信号の状態を取得して、結線図グラフィック部806、または/および信号種別文字情報部808に当該状態を識別可能に表示する。
【0082】
ここで、上述したように、ポンプ設備では、出力信号の検出対象(例えば、受水槽160)と給水装置10と外部出力端子70aの接続先(監視装置210)とが、異なるフロア、屋外と屋内、又は異なる建物など、離れた場所に設置されている場合がある。特にこうした場合には、上記した信号の検出対象(受水槽160)と給水装置10、給水装置10の外部出力端子70aの各端子と接続先(監視装置210)との接続確認は複数の作業者が連携して、互いに状態確認を行う、といった煩雑な作業になる。このような接続確認作業を容易とするため、本実施形態では、下記に示すように疑似信号を用いた信号出力試験(
図8のステップS110)を実行する。
【0083】
上述の
図9、
図10、
図11に示す例では、外部表示器80は、信号出力試験を開始するための試験ボタン809を表示している。試験ボタン809は、前記試験モードへの切り替手段であって、ユーザーが試験ボタン809を選択することにより、
図8のステップS109以下の外部出力の試験が開始される。また、外部表示器80は、試験ボタンが選択されると、給水装置10を試験モードに切り替える信号を送信する。また、外部表示器80は、ステップS108にて、ユーザーによって試験モードへの切り替えが入力される試験ボタン809が押されるまで(
図8:ステップS108:No)、ステップS104~S108を繰り返す。
【0084】
再び
図8を参照する。上述の
図9、
図10、
図11において、外部表示器80は、ユーザーによって試験ボタン809が選択される(ステップS108:Yes)と、制御部65に試験モード指令を送信する(ステップS109)。ユーザーによる試験ボタン809の選択は、給水装置10を試験モードに切り替えるための切替指示を受け付けることの一例に当たる。そして、外部出力端子70aにおける外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3のうち、少なくともひとつの外部表示用端子の接続試験のための表示(試験表示)を実行する(ステップS110)。
【0085】
図12は、第1の例による給水装置10の外部出力端子70aと監視装置210との接続状態を試験するための外部表示器80による表示を示す図である。
図12は、
図9Aの試験ボタン809が選択されたときのステップS110における表示の一例であって、外部出力端子70aから出力される情報の種類が
図9に示す例と同一であり、また、ユーザーが電極式レベルスイッチ162と入力端子E11との接続状態、および外部表示用端子B1と監視装置210との接続状態を試験するときの表示の一例を示している。
【0086】
図12に示す例では、表示操作部80Aの下側の領域80Cに、
図9と同様に外部出力端子70aを示す端子グラフィックと当該外部出力端子70aから出力される信号の種別とが表示されている。具体的には、
図12に示す例では、表示操作部80Aは、端子グラフィック部802、端子種別文字情報部804、結線図グラフィック部806、及び信号種別文字情報部808とを有し、
図8に示したステップS102にて取得した外部出力端子70aの信号の種別を示す設定コード(P11~P15)の値により信号種別を判断して表示する。なお、
図12に示す例では、外部出力端子70aのためのAR表示ボタン、AR解除ボタンが示されていないが、
図9と同様に外部出力端子70aのためのAR表示ボタン、AR解除ボタンが設けられてもよい。
【0087】
そして、
図12に示す例では、信号種別文字情報部808において、接続試験を行う外部出力端子70aに対応する信号種別が強調表示部849の一例である太枠で囲まれて強調表示されている。具体的には、ここでは、外部表示器80は、試験される外部出力が外部表示用端子B1から出力される満水信号であると判断し「満水」の文字を強調表示する。これにより、ユーザーは、外部表示器80を見て、外部表示用端子B1及び「満水」の信号の接続試験を行っていることを容易に理解することができる。なお、強調表示部849は、接続試験を行う外部出力端子70aに対応する信号種別文字情報部808に代えて、又は加えて、接続試験を行う外部出力端子70aに対応する端子グラフィック部802を強調表示してもよい。なお、強調表示では、強調表示部849の太枠に代えてまたは加えて、点灯や点滅、フォントや文字の大きさ、表示色、等で他の端子または信号種別と区別できればよい。
【0088】
図12に示す例では、表示操作部80Aの上側の領域80Bに、接続試験を行う外部出力端子70aからON信号またはOFF信号を出力するための方法を表示している。このように、表示操作部80Aの画面を領域80Bと領域80Cに分割し、領域80Bに接続試験方法を表示し、領域80Cに外部出力端子70aからの出力信号を表示する。つまり、試験信号を出力する出力方法に併せて、当該出力方法に関連する前記ポンプ装置の状態を表示する。これにより、ユーザーは、どの端子の試験を行うのかを容易に視認できる。なお、本実施形態では、表示操作部80Aの上側の領域80Bに接続試験方法を表示し、下側の領域80Cに、外部出力端子70aからの出力信号を表示している。一実施形態では、表示操作部80Aの上側の領域80Bに外部出力端子70aからの出力信号を表示し、下側の領域80Cに接続試験方法を表示してもよい。また、画面の分割方法は、上下に依らず、例えば、左右に分割してもよい。
【0089】
図12に示す例では、試験信号として満水信号をOFF信号からON信号へと変化させる方法として、給水装置10の端子E11と端子E15とを短絡させることが示されている。ここで、外部表示器80は、接続試験を行うために外部出力端子70aから試験信号を出力するための方法をステップS102またはS104において給水装置10から通信で取得してもよい。また、外部表示器80は、接続試験を行う端子の信号の種別と、外部出力に関連する各種設定と、に基づいて予め定められた関係に従って、接続試験を行うために外部出力端子70aから試験信号を出力する方法を導出してもよい。つまり、例えば、接続試験の対象(
図12に示す例では「満水信号」)と、設定コードP20の「値」に設定された設定値(
図7Cと
図7Cに示す例では値「201」が「満水水位」)とに基づ
いて、予め定められた関係に従って、接続試験を行うために外部表示用端子B1からON信号を出力する方法(
図12に示す例では、端子E11と端子E15とを短絡させること)を導出して表示操作部80Aにグラフィック表示するとよい。
【0090】
図12に示す例では、接続試験を行う外部出力信号の情報の種類を文字情報で示す試験対象文字情報部831、設定コードを文字情報で示す設定コード文字情報部832、試験信号を出力する出力方法を文字情報で示す試験方法文字情報部833が表示されている。具体的には、試験対象文字情報部831では、「外部出力試験:満水」と表示し、接続試験を行う外部出力信号が満水信号であることをユーザーに示している。設定コード文字情報部832では、「液面入力端子(設定=2)」と表示し、給水装置の市水流入方式や給水装置に接続された水槽の数や水供給源などの設定である水槽設定の設定値が値「2」であることをユーザーに示している。また、試験方法文字情報部833では、「E11-E15短絡」と表示し、端子E11と端子15、もしくは、電極棒162aと162eとを接続して短絡させることをユーザーに示している。
【0091】
また、
図12に示す例では、試験方法文字情報部833に加えて、試験信号の出力方法のグラフィック表示として、入力端子70bの端子E11~E15、E31~E33を模した入力端子グラフィックを表示する入力端子グラフィック部835、水位計の複数の電極棒162a~162eを模した水位計グラフィックを表示する水位計グラフィック部836、水位計の複数の電極棒162a~162eと入力端子70bとの結線図を模した入力端子結線を示す入力端子結線図部837、水位計の複数の電極棒162a~162eの検出に対する制御を文字情報で示す制御文字情報部838、及び入力端子グラフィック部835において試験方法をグラフィック(本実施例では、端子E11と端子E15とを短絡させることを示す矢印)で示す試験方法グラフィック部834を有している。ここで、入力端子グラフィック部835は、実際の給水装置10の入力端子70bの端子E11~E15,E31~E33の配置と一致する又は対応する配置でグラフィック表示されるとよい。入力端子グラフィック部835、水位計グラフィック部836、入力端子結線図部837、及び制御文字情報部838は、設定コードP10の設定値に対応するグラフィックが予め給水装置10の制御用メモリ66または外部表示器80の図示しない記憶部に記憶され、当該記憶された情報を用いて表示操作部80Aに表示されるとよい。このように、外部表示器80は、試験信号を出力する方法を表示するため、外部表示器80を操作するユーザーは、外部表示器80を見ながら、容易に、電極式レベルスイッチ162の各電極棒と給水装置10、または/および、給水装置10と監視装置210との接続確認を行うことができる。
【0092】
また、
図12に示す例では、入力端子70b(端子E11~E15、E31~E33)の各端子を模した図と文字とを表示しているが、こうした例に限定されず、例えば実際の給水装置の入力端子70bの画像を使用して表示してもよい。例えば、外部表示器80は、接続試験を行うための方法を、拡張現実を利用して表示してもよい。具体的には、制御部65は、外部出力端子70aが実装された基板上に入力端子70bを識別するための識別標識M2~M4が印刷されている。識別標識M2~M4は、例えば、入力端子70bの両側に配置されることで、外部表示器80は、撮像した画像や識別標識M2~M4によって入力端子70bの配置順や大きさ等を識別できる。外部表示器80は、更に、識別標識M2~M4並びに入力端子70bを含む制御部65を撮像する撮像装置を備え、
図8Cと同様に、撮像した入力端子70bの画像と識別標識より取得した情報とステップS102にて給水装置10から取得した情報に基づいて、入力端子70bの画像と入力端子グラフィック部835と重ねて表示することができる。外部表示器80は、
図8Bと同様に、表示操作部80Aに設けられたAR表示ボタン839が押されると拡張現実を利用して表示し、表示操作部80Aに設けられたAR解除ボタン840が押されると拡張現実による表示を解除する。また、拡張現実を利用して表示する際には、入力端子70bの画像と、試
験対象文字情報部831、設定コード文字情報部832、試験方法文字情報部833、試験方法グラフィック部834、入力端子グラフィック部835、水位計グラフィック部836、入力端子結線図部837、制御文字情報部838のうち、少なくとも1つが併せて示されるとよい。
【0093】
図13は、ステップS110における第2の例による給水装置10の外部出力端子70aと監視装置210との接続状態を試験するための外部表示器80による表示を示す図である。
図13は、
図10の試験ボタン809が選択されたときのステップS110における表示の一例であって、外部出力端子70aから出力される情報の種類が
図10に示す例と同一であり、また、ユーザーが外部表示用端子B1と監視装置210との接続状態を試験するときの表示の一例を示している。以下、
図12と同様の構成や機能については説明を省略する。
【0094】
図13に示す例では、表示操作部80Aの下側の領域80Cに、
図10と同様の表示がなされる。なお、
図13に示す例では、外部出力端子70aのためのAR表示ボタン、AR解除ボタンが示されていないが、
図9と同様に外部出力端子70aのAR表示ボタン、AR解除ボタンが設けられてもよい。
【0095】
そして、
図13に示す例では、信号種別文字情報部808において、接続試験を行う外部出力端子70aに対応する信号種別が、強調表示部849の一例である太枠で囲まれて強調表示されている。具体的には、ここでは、外部表示器80は、試験される外部出力が外部表示用端子B1から出力される流入圧低下信号であると判断し「流入圧低下」の文字を強調表示する。これにより、ユーザーは、外部表示器80を見て、外部表示用端子B1及び流入圧低下信号の接続試験を行っていることを容易に理解することができる。なお、強調表示部849は、接続試験を行う外部出力端子70aに対応する信号種別文字情報部808に代えて、又は加えて、接続試験を行う外部出力端子70aに対応する端子グラフィック部802を強調表示してもよい。なお、強調表示では、強調表示部849に代えてまたは加えて、点灯や点滅、フォントや文字の大きさ、表示色、等で他の端子と区別できればよい。
【0096】
図13に示す例では、表示操作部80Aの上側の領域80Bに、接続試験を行うために外部出力端子70aからON信号またはOFF信号を出力する方法を表示している。
図13に示す例では、試験信号として流入圧低下信号をOFF信号からON信号へと変化させるために、運転パネル79を操作することが示されている。上述したように、流入圧低下は、圧力センサ175にて計測する流入圧が所定の閾値よりも低下した状態が所定時間継続したらON状態となるため、状態を変化させるためには、圧力センサ175の計測値を疑似的に変化させる必要があり、上述の満水水位の様に疑似的な信号を入力しての試験は難しい。よって、ユーザーによる運転パネル79への所定の操作で、制御部65は疑似的に流入圧低下信号の出力を発生させる。
【0097】
図13に示す例では、試験対象文字情報部831、設定コード文字情報部832が表示されている。具体的には、試験対象文字情報部831では、「外部出力試験:流入圧低下」と、接続試験を行う外部出力の信号の種別が流入圧低下信号であることを示している。設定コード文字情報部832は、「設定値=0」と表示し、給水装置の市水流入方式や給水装置に接続された水槽の数や水供給源などの設定である水槽設定が直結給水方式を示す値「0」であることを示している。
【0098】
また、
図13に示す例では、試験方法グラフィック部834に運転パネル79を模した運転パネルグラフィックを表示し、更に、試験手順グラフィック部834aと、試験方法文字情報部833と、を備える。試験手順グラフィック部834aは、運転パネル79に
おける操作部位とその操作順を示すための操作部位を示し、試験方法文字情報部833には、運転パネル79の詳細な操作手順を文字情報で示す操作手順文字情報が表示されている。ここで、試験方法グラフィック部834に表示される運転パネルグラフィックは、実際の給水装置10の運転パネル79と一致する又はデフォルメしたグラフィック表示とするとよい。運転パネルグラフィックの操作部位の配置は、運転パネル79と同じ配置がよい。試験手順グラフィック部834aに示す操作部位グラフィックは、操作順を示す数字(
図13に示す例では、「1」~「4」)と共に運転パネル79における操作部位を示している。また、試験方法グラフィック部834に示す操作手順文字情報は、試験手順グラフィック部834aの操作順と対応させて、運転パネル79の詳細な操作手順を文字情報で示している。具体的には、
図13に示す例では、操作手順文字情報は、「1:設定ボタン押下」、「2:上下ボタンにてA01の設定コード表示」、「3:A01=1に設定」、「4:設定ボタン長押し」と、作業とその順番がわかるように表示されている。このように、外部表示器80は、試験方法グラフィック部834にて試験信号の出力方法を表示するため、外部表示器80を操作するユーザーは、外部表示器80を見ながら、容易に給水装置10と監視装置210との接続確認を行うことができる。
【0099】
図12および
図13に示すように、外部出力端子70aの試験のため、外部出力端子70aから出力される信号を変化させる方法は、出力される信号の種別に応じて異なり得る。このため、外部出力端子70aの試験は、建物の管理者など給水装置に不慣れな作業者にとって煩雑な作業であった。これに対して、本実施形態の方法では、試験方法グラフィック部834にて試験信号の出力方法が表示されるので、外部表示器80を操作するユーザーは、外部表示器80を見ながら、外部出力端子70aの試験を行うことができる。
【0100】
上述の
図12、
図13では、外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3うち、外部表示用端子B1と監視装置210との接続状態を試験するための外部表示器80による表示を示す図を説明した。
図9のステップS110では、試験を実施する他の外部表示用端子についても、同様に、試験方法グラフィック部834等を備える画面を用いて、接続状態の試験を行うとよい。
【0101】
給水装置10は、試験モードにおいて、外部出力端子70aと監視装置210の入力部214との配線が正しくなされているか否かを確認するために、外部表示器80を操作して、外部出力端子70aから接続試験信号を出力できるとよい。
図14は、
図9の試験ボタン809が選択されたときのステップS110におけるにおける表示の一例であって、第3の例による給水装置10の外部出力端子70aと監視装置210との接続状態を試験するための外部表示器80による表示を示す図である。
【0102】
外部出力端子70aは、外部表示用端子70aのうちユーザーが選択した端子から接続試験信号が出力される。つまり、満水信号など、通常時に信号の入力に基づいてON/OFFが切り替えられるよう設定された端子についても、入力信号にかかわらず接続試験信号の出力として、ON/OFFが切り替えできるとよい。外部表示器80は、出力接点ごとの接続試験信号の出力選択部を有し、当該出力選択部によるON信号の出力選択を受信した制御部65は、該当する外部出力の接点にON信号を出力する。具体的には、
図14に示すように、外部表示用端子70aの各端子A1~B3に対応する出力選択部807a1~807b3を有し、出力選択部807a1~807b3の何れかが選択されたら、外部表示器80は、通信部73を介して、制御部65に当該選択された外部表示用端子のON信号出力指令を送信する。ON信号出力指令を受信した制御部65は、該当する外部表示用端子A1~B3の出力をONにする。
図12又は
図13の領域80Bにて示した作業では、各端子に出力する信号を疑似的に発生させる。それと異なり、
図14に示す例では、接続試験信号が出力する端子をユーザーが選択する。こうした出力選択部807a1~807b3による接続試験信号を外部出力端子70aから出力することにより、
図12又
は
図13の領域80Bにて示した作業を行うのに比べて、外部出力端子70aと監視装置210の入力部214との配線が正しくなされているか否かを容易に判断することができる。その一方、
図14に示した方法では、入力端子E11~E33の異常を発見することができない。そのため、
図12にて示した作業行うことで、入力端子E11~E33の異常、並びに、電極式レベルスイッチ162と入力端子E11~E33間の誤配線等を発見できる。
【0103】
なお、制御部65が、
図14に示す出力選択部807a1~807b3にて該当する外部表示用端子A1~B3の出力をONにした場合、再びユーザーが出力選択部807a1~807b3操作することで該当する外部表示用端子A1~B3の出力をOFFにできる。また、ユーザーの戻し忘れによる不具合を防止するために、制御部65は、接続試験信号をONにした後、所定時間(例えば数秒~数十秒)経過したら自動的に接続試験信号のONを解除するとよい。および/または、外部表示器80は、接続試験信号をONにした後、所定時間(例えば数秒~数十秒)経過したら、制御部65にOFF信号を送信すると良い。
【0104】
図14に示す出力選択部807a1~807b3は、端子グラフィック部802、結線図グラフィック部806または/および信号種別文字情報部808における外部表示用端子A1~B3に対応する表示位置に重ねて表示されてもよい。また、
図12または
図13に示す表示の前または後に表示されてもよいし、
図12または
図13の領域80Cに重ねて表示されてもよい。
【0105】
なお、接続試験信号は、例えば運転パネル79を操作して所定の設定値を予め定めた値とすることで、所望の外部出力端子70aから出力されてもよい。設定値A0を値1とすることにより、流入圧低下信号をON信号とすることも接続試験信号の出力の一例に当たる。また、制御部65は、外部表示用端子A1~B3に対応する設定コード(例えば、PTa1、PTa2、PTb1、PTb2、PTb3)を有し、運転パネル79が操作され、PTa1、PTa2、PTb1、PTb2、PTb3が値0から値1に設定変更されると、外部表示用端子A1、A2、B1、B2、B3にON信号を出力する。
【0106】
[試験モード]
給水装置10は、
図12~
図14に示す外部出力試験表示処理が開始されたとき、または試験ボタン809が押されたときなどに、外部表示器80からの信号に基づいて、外部出力端子70aと接続先との接続状態を試験するための試験モードとされるとよい。また、給水装置10は、外部表示器80からの信号に変えて、又は加えて、ユーザーによる運転パネル79の操作に応じて試験モードとされてもよい。
【0107】
図15は、給水装置10の状態遷移図の一例である。給水装置10は、制御モードとして、給水に適した入出力を行う通常時のモードである通常モードと、入出力の接続確認を行うための試験モードとを有する。通常モードは、試験モード以外のモード、つまり監視装置210との接続確認を行うとき以外のモードと言うこともできる。外部表示器80は、試験ボタン809が選択されると、給水装置10の制御モードを試験モードに切り替える信号を送信する(
図8のステップS109)。給水装置10は、外部表示器80からの試験モードに切り替える信号の受信、又は運転パネル79の所定の操作(例えば、ユーザーによる
図9Aの試験ボタン809の選択)などの所定の外部入力がなされると、試験モードに設定される(
図15中、上側の矢印S150参照)。また、給水装置10は、外部表示器80から接続試験が終了したことを示す外部入力がなされたとき(例えば、後述する
図22に示す保存ボタン875がユーザーによって選択されたとき)、又は、運転パネル79の所定の操作などの所定の外部入力がなされると、試験モードが解消されて通常モードに設定される(
図15中、下側の矢印S151参照)。また、給水装置10は、試験
モードとされてから所定時間(第1所定時間、例えば数分など)が経過したとき、又は試験モードにおいて外部表示器80からの信号もしくは運転パネル79の操作が所定時間(第2所定時間、例えば数分など)ないときに、試験モードが解消されて通常モードに設定されるとよい。これにより、作業者の操作忘れによる試験モードが解消されないことに基づく不具合を防止できる。
【0108】
給水装置10は、通常時モードでは給水に適した入出力を行うため、検出対象に適した時間間隔で各種状態(例えば、ON/OFF状態)が確定される。そのため、外部出力の出力信号が確定された状態に変化するまでに、少なくとも当該時間間隔を要する。例えば、上記した受水槽160の水位検出や流入圧低下等の異常の判断は、誤検知をさけるため比較的長い時間の周期(例えば、数100m秒から数秒)で行われる。そのため、従来の給水装置では、外部出力の結線状態を確認する時に、外部出力端子から出力される信号を変化させるための疑似信号を給水装置に入力しても実際に外部出力端子から出力される信号が変化するまでに時間を要する。
【0109】
そこで、本実施形態の給水装置10は、通常モード(通常時)と試験モード時とで、外部出力端子70aから出力される信号の出力条件を変化させる。具体的には、給水装置10は、試験モードでは、通常時の設定条件に比して外部出力端子70aから出力される情報が早く変化する試験モード時設定条件で、給水装置10への入力信号に基づいて外部出力端子70aから出力する情報を設定するとよい。これにより、従来の給水装置に比べて、外部出力の結線状態を確認する時に、外部出力端子から出力される信号を変化させるための疑似信号を給水装置に入力した後に、実際に外部出力端子から出力される信号が変化するまでに時間を短縮できる。
【0110】
図16は、給水装置10の制御部65によるデジタル信号(例えばON/OFF信号)における通常時の信号出力処理の一例を示すフローチャートである。通常時の信号出力処理は、給水装置10が通常モードであるときに第1の時間間隔T1(例えば数m秒~数十秒)にて繰り返し実行される。デジタル信号としては、一例として、複数の電極棒162a~162eを有する電極式レベルスイッチ162からの検出信号が挙げられる。
【0111】
通常時の信号出力処理では、制御部65は、入力端子70bに入力される入力信号を取得し(ステップS202)、入力信号が確定信号であるか否かを判定する(ステップS204)。ステップS204の処理は、ステップS202に入力される信号ごとに予め定められた信号(確定信号)となっているか否かが判定される。一例として、給水装置10は、満水水位を検出する電極棒162eからの入力信号について、コモン電極棒162aと短絡しているか否かを判定する。
【0112】
入力信号と確定信号が同じ状態のときには(ステップS204:No)、給水装置10は、制御用メモリ66に記憶されているカウントC1の値を「0」とし(ステップS212)、信号出力処理を終了する。確定信号に基づいて給水装置10の外部出力端子70aの出力信号を決定する。このときには、信号の出力を現状のまま維持すべく信号出力処理を終了する。
【0113】
一方、入力信号と確定信号が異なるときには(ステップS204:Yes)、給水装置10は、制御用メモリ66に記憶されているカウントC1の値をインクリメントし(ステップS206)、カウントC1の値が閾値N1に至っているか否かを確認する(ステップS208)。ここで、閾値N1は、入力信号の種類と、信号出力処理が実行される時間間隔T1とに基づいて予め定められた値(例えば、3~10)を用いることができる。この閾値N1は、ノイズ、又は受水槽160の水面の揺れなどの短期的な要素などによって、確定信号が決定されてしまうことを防止するために定められている。給水装置10の制御
部65は、カウントC1の値が閾値N1に至っていないときには(ステップS208:No)、信号の出力を現状のまま維持すべく信号出力処理を終了する。
【0114】
そして、カウントC1の値が閾値N1に至ると(ステップS208:Yes)、給水装置10は、確定信号を入力信号とする(ステップS209)。そして、出力端子70aから確定信号に基づいた出力を行う条件が満たされたと判断して、確定信号に基づいた信号に、外部出力端子70aからの出力信号を設定し(ステップS210)、信号出力処理を終了する。
【0115】
図17は、給水装置10の制御部65によるデジタル信号における試験モード時の信号出力処理の一例を示すフローチャートである。試験モード時の信号出力処理は、給水装置10が試験モードであるときに第2の時間間隔T2(例えば数m秒~数十秒)にて繰り返し実行される。ここで、第2の時間間隔T2は、通常時の第1の時間間隔T1以下(T2≦T1)であることが好ましい。ここで、試験モード時の信号出力処理は、ステップS208の処理に代えてステップS208Aの処理が実行され、その他の点では
図16に示す通常時の信号出力処理と同一である。このため、重複する処理については同じ符号を用い、詳細の説明を省略する。
【0116】
図17に示す試験モード時の信号出力処理では、ステップS208Aにて、カウントC1の値が閾値N2に至っているか否かを確認する(ステップS208A)。ここで、試験モード時に用いられる閾値N2は、通常時に用いられる閾値N1より小さい値(例えば、1~3、N1>N2)であるとよい。試験モード時の信号出力処理では、第2の時間間隔T2が通常時の第1の時間間隔T1よりも短いか、又は閾値N2が通常時の閾値N1よりも小さいか、の少なくとも一方であるとよい。こうすれば、試験モード時の信号出力処理では、通常時に比して早く確定信号を決定し、当該外部出力端子70aから出力することができる。これにより、給水装置10と監視装置210との接続確認に要する時間を短くすることができ、作業を簡易なものとすることができる。
【0117】
図18は、給水装置10の制御部65による流入圧低下の信号出力を判断する通常時の流入圧低下検出処理の一例を示すフローチャートである。通常時の流入圧低下検出処理は、給水装置10が通常モードであるときに第3の時間間隔T3(例えば数m秒~数秒)にて繰り返し実行される。
【0118】
通常時の流入圧低下検出処理では、制御部65は、入力端子70bに入力された流入圧が閾値(例えば7mAq)より小さいか否かを判定する(ステップS302)。流入圧が閾値以上であるときには(ステップS302:No)、制御用メモリ66に記憶されているカウントC2の値を「0」とし(ステップS310)、流入圧低下検出処理を終了する。このときには、制御部65は、外部出力端子70aからの流入圧低下の信号出力を前回の状態のまま維持する。
【0119】
一方、流入圧が閾値未満であるときには(ステップS302:Yes)、制御用メモリ66に記憶されているカウントC2の値をインクリメントし(ステップS304)、カウントC2の値が閾値N3に至っているか否かを確認する(ステップ306)。ここで、閾値N3は、信号出力処理が実行される時間間隔T3に基づいて予め定められた値を用いることができる。一例として、閾値N3は、時間間隔T3との積が約7秒となるように定めることができる。給水装置10の制御部65は、カウントC2の値が閾値N3に至っていないときには(ステップS306:No)、流入圧低下の信号出力を現状のまま維持すべく信号出力処理を終了する。流入圧低下検出処理を終了する。
【0120】
そして、流入圧が閾値未満であると繰り返し判定されて(S302:Yes)、カウン
トC2の値が閾値N3に至ると(ステップS306:Yes)、給水装置10は、流入圧低下状態であると判断する(ステップS307)。そして、給水装置10は、流入圧低下信号が割り付けられた外部出力端子70a(
図13に示す例では、外部表示用端子B1)から流入圧低下信号としてON信号を出力して(ステップS308)、流入圧低下検出処理を終了する。
【0121】
図19は、給水装置10の制御部65による試験モード時の流入圧低下検出処理の一例を示すフローチャートである。試験モード時の流入圧低下検出処理は、給水装置10が試験モードであるときに第4の時間間隔T4(例えば数十m秒~数百m秒)にて繰り返し実行される。ここで、第4の時間間隔T4は、通常時の第3の時間間隔T3よりも短くてもよい。
【0122】
試験モード時の流入圧低下検出処理では、給水装置10の制御部65は、流入圧低下試験信号が入力されているか否かを判定する(ステップS402)。ここで、S402の処理は、一例として、流入圧低下信号をON信号とするための外部入力がなされたか否かを判定すればよい。つまり、例えば
図13を参照して上記したように設定値A0が値1と設定変更されたときに、給水装置10の制御部65は、流入圧低下試験信号が入力されていると判断し、設定値A0が値1とされていないときには、制御部65は、流入圧低下試験信号が入力されていないと判断するとよい。制御部65は、流入圧低下試験信号が入力されていないときには(ステップS402:No)、流入圧低下検出処理を終了する。
【0123】
流入圧低下試験信号が入力されると(ステップS402:Yes)、制御部65は、制御用メモリ66に記憶されているカウントC2の値をインクリメント処理し(ステップS404)、カウントC2の値が閾値N4に至っているか否かを確認する(S406)。なお、カウントC2は、給水装置10が試験モードとされたときに、値0にリセットされるとよい。閾値N4は、試験モードにおいて流入圧低下信号を自動で解除するために使用されるものであり、第4の時間間隔T4に基づいて予め定められた値を用いることができる。
【0124】
そして、カウントC2の値が閾値N4未満であるときには(ステップS406:Yes)、試験信号として流入圧低下を発報すると判断して(ステップS408)、流入圧低下検出処理を終了する。つまり、試験モード時では、ユーザーによって例えば設定値A0が値1と設定変更されることにより、流入圧低下が割り付けられた外部出力端子70a(
図13に示す例では、外部表示用端子B1)から即座に流入圧低下信号としてON信号が出力される。これにより、給水装置10と監視装置210との接続確認に要する時間を短くすることができ、作業を簡易なものとすることができる。
【0125】
制御部65は、カウントC2の値が閾値N4に至ったときには(ステップS406:No)、流入圧低下の発報を解除すると判断して(ステップS410)、流入圧低下検出処理を終了する。これにより、所定時間(例えば数秒~数十秒)が経過したら、流入圧低下が割り付けられた外部出力端子70aからの流入圧低下信号がOFF信号に戻される。こうすれば、作業者の戻し忘れによる不具合を防止できる。なお、カウントC2の値が閾値N4に至ったことにより、流入圧低下信号をOFF信号に戻したときには、外部表示器80の表示操作部80Aまたは運転パネル79にてその旨を知らせる表示をするとよい。
【0126】
[外部出力端子からの出力情報の表示・不具合状態の入力]
図20は、給水装置10の外部出力端子70aと監視装置210との接続状態を試験するための外部表示器80による表示の一例を示す図である。
図20に示す例では、
図12に示す例において、AR表示ボタン810及びAR解除ボタン812が省略されている。また、
図20に示す例では、試験方法グラフィック部834にて示す入力端子E11~E
33における入力信号を文字情報で示す第1確認情報部880、当該入力端子E11~E33における入力信号を強調表示する強調表示部881、外部出力端子70aへの出力信号を文字情報で示す第2確認情報部882、ユーザーが接続試験を正常に完了したことを入力するためのOKボタン885、及びユーザーが接続試験に不具合が生じていることを入力するためのNGボタン886が、加えられている。
図20に示す例は、
図12に示す例と同じ機能を有する構成は同じ符号を付与し、詳細の説明は省略する。
【0127】
図20に示すように、外部表示器80が、試験方法グラフィック部834と、接続試験に関連する制御部65の各種状態表示(ここでは、第1確認情報部880および/または強調表示部881による入力端子E11~E33の各状態の表示)と、を併せて表示することで、ユーザーは、試験信号を出力するための方法を正しく実施しているか否かを確認できる。
図20に示す例では、試験方法グラフィック部834には電極式レベルスイッチ162が示されている。よって、外部表示器80は、給水装置10から電極式レベルスイッチ162の検出値を取得し、当該取得した検出値に基づいて第1確認情報部880の表示を行う。本実施形態では、制御部65におけるE11の入力がONであり、第1確認情報部880では、「E11入力あり」との文字情報で表示されている。このように、外部表示器80は、文字情報で表示することにより、ユーザーによる端子E11と端子E15との短絡作業が正しく完了していることが示されている。また、試験を行うために関連する箇所(入力端子E11~E33)に対応する信号種別が強調表示部881で強調表示されることで、ユーザーは、試験信号を出力するための方法を正しく実施しているか否かを容易に確認できる。
【0128】
また、
図20に示すように、外部表示器80は、試験信号が外部出力試験を行う外部出力端子70aから試験信号が出力されているか否かを表示操作部80Aに表示するとよい。
図20に示す例では、外部表示器80は、外部出力試験を行う外部出力端子70aからの出力情報を給水装置10から取得し、当該取得した出力情報に基づいて第2確認情報部882並びに強調表示部849の表示を行う。つまり、試験を行う箇所(外部表示用端子B1)に対応する信号種別が強調表示部849で強調表示されている。本実施形態では、制御部65においてB1の出力がONであり、第2確認情報部882に「B1出力あり」との文字情報で表示し、端子グラフィック部802の外部表示用端子B1に対応する部分に強調表示部849を重ねて表示する。
【0129】
また、表示操作部80Aのひとつの画面上の領域80Bにて試験方法グラフィック部834と、ユーザーによるその試験方法の達成を示すための情報とを表示し、領域80Cにて外部表示用端子B1から試験信号としてのON信号が出力されていることが示されている。これにより、外部出力端子の接続試験における作業手順と作業結果が同時に表示されるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0130】
また、外部表示器80は、現在に外部出力試験を行う外部出力端子70aから出力されている出力情報を、外部出力端子70aと当該外部出力端子70aから出力される信号の種別と併せて表示するとよい。
図20に示すように、第2確認情報部882による「B1出力あり」の表示と、信号種別文字情報部808と、端子グラフィック部802と、が領域80Cに併せて表示されるので、現在に外部出力試験を行う満水の信号が外部出力端子70aから出力されている出力情報であることを表示することの一例に当たる。
図20に示すように、試験信号が外部出力試験を行う外部出力端子70aから試験信号が出力されているか否かを表示操作部80Aに表示することにより、ユーザーは、作業を適正に進めていることを、外部表示器80にて確認することができる。なお、試験対象文字情報部831および/または制御文字情報部838等に基づいて、第1確認情報部880は水位状態(ここでは、「満水入力あり」)を表示してもよいし、第2確認情報部882は試験される信号の種別(ここでは、「満水」)と、表示してもよい。
【0131】
ユーザーがOKボタン885を選択することにより、外部出力試験を行う外部出力端子70a(
図12に示す例では、外部表示用端子B1)の接続試験を正常に完了したことが入力される。このときには、外部表示器80は、次の外部出力端子70a(例えば外部表示用端子B2)の接続試験へと接続作業を進めるように表示操作部80Aによる表示を切り替えるとよい。
【0132】
図21は、給水装置10の外部出力端子70aと監視装置210との接続状態を試験するための外部表示器80による表示の一例を示す図である。
図21に示す例では、第1確認情報部880、強調表示881、第2確認情報部882、強調表示883の表示内容が異なることを除いて、
図20に示す例と同一であり、同一の機能を有する構成は同じ符号を用い、詳細の説明は省略する。
【0133】
図21に示す例では、
図20に示す例と同様に、外部表示器80は、外部出力試験を行う外部出力端子70aから試験信号を出力するための方法に関する情報を給水装置10から取得し、当該取得した情報に基づいて第1確認情報部880並びに強調表示881の表示を行う。本実施形態では、試験信号を出力する方法としてユーザーが入力端子E11にON信号となるよう作業(具体的には、端子E11とE15を短絡する、もしくは、電極棒162aと162eとを接続)する必要がある。しかしながら、制御部65において入力端子E12の入力のみがONであり、それ以外の入力はOFF状態である。よって、第1確認情報部880では、「E11入力なし E12入力あり」との文字情報で表示することにより、端子E11と端子E15とが導通していないこと、及び端子E12と端子E15とが導通していることが示されている。こうした表示により、ユーザーは、外部表示用端子B1から満水信号としてON信号を出力するための作業を正しく実施していないことを認識できる。
【0134】
なお、第1確認情報部880と第2確認情報部882、
図20に示す強調表示881と
図21に示す強調表示881は、異なる表示とするとよい。具体的には、第1確認情報部880と
図20の強調表示881は正常を示す点灯、表示色(例えば、赤や緑など)を用い、第2確認情報部882と
図21の強調表示881は異常を示す点滅、表示色(例えば、赤や緑など)、拡大表示、強調フォント等を用いると良い。換言すれば、外部表示器80は、試験信号を出力する出力方法が正しく行われているか否か、または入出力部70から試験信号が出力されているか否かに応じて異なる表示をすることができる。
【0135】
また、
図21に示す例では、第1確認情報部880に「B1出力なし」との文字情報で表示することにより、外部表示用端子B1から試験信号としてのON信号が出力されていない(つまり、外部表示用端子B1の出力はOFF信号である)ことが示されている。外部表示用端子B1は、試験方法グラフィック部834にて示された正しい試験方法を実施すればON信号が出力される端子である。外部表示器80は、当該端子(ここでは、B1)を、試験手順グラフィック部834aおよび/または試験方法文字情報部833等を表示するためにステップS102にて制御部65から取得した情報に基づいて判断するとよい。なお、
図21に示す「B1出力なし」の表示は、現在に外部出力試験を行う外部出力端子70aから出力されている出力情報を表示することの一例に当たる。こうした表示によりユーザーは、正しい試験方法を実施すればON信号が出力される外部表示用端子B1からはON信号が出力されていないことを認識できる。
【0136】
図21に示す状態において、NGボタン886が選択されて不具合入力がなされたときには、外部表示器80は、試験方法グラフィック部834にて示された正しい試験方法である端子E11と端子E15との短絡がユーザーによって実施されていないため、外部表示用端子B1から満水のON信号が出力されていないと判断し、
図21の下方に示すよう
に、ユーザーへのエラーメッセージ887として「E11-E15が短絡されていません
入力信号をご確認ください」などと、不具合状態と当該不具合を解消するための方法を表示するとよい。このとき、エラーメッセージ887に試験方法グラフィック部834を表示してもよい。
【0137】
このように、ユーザーがNGボタン886を選択することにより、外部出力試験を行う外部出力端子70a(
図12に示す例では、外部表示用端子B1)の接続試験に不具合が生じていることが入力される。そこで、外部表示器80は、NGボタン886が選択されて不具合入力がなされたときには、想定される不具合状態を解消するための方法をエラーメッセージ887に表示するとよい。例えば、
図20に示す例で、外部表示器80が制御部65から取得した入力信号並びに出力信号は正しい、にも関わらず、ユーザーにてNGボタン886が選択されたものとする。この場合、外部表示器80は、監視装置210にて正しく表示されないため、ユーザーがNGボタン886を選択したと想定できる。その場合、不具合状態を解消するための方法として、ユーザーへのエラーメッセージ887に「外部表示用端子B1が接続先と正しく配線が接続されているかご確認ください」などと表示する。このとき、
図1のような給水装置10と監視装置210の配置場所や配線が示された模式図をグラフィック表示するとよい。ユーザーへのエラーメッセージ887に表示されるエラーメッセージは、入力信号と出力信号の組み合わせ毎に、外部表示器80もしくは記憶部66に予め記憶されていてもよいし、入力信号と出力信号をパラメータとして該当するエラーメッセージを導き出すプログラムにて作成されてもよい。
【0138】
ユーザーが、OKボタン885又はNGボタン886を選択することにより、外部出力試験を行う外部出力端子70a(
図12に示す例では、外部表示用端子B1)の接続試験を完了したことが入力される。そして、外部表示用端子A1~B5における試験する全ての出力端子の試験が終了したら、
図8のステップS110が終了し、つまり試験表示を終了し、次のステップS118に移行する。
【0139】
図8の説明に戻る。
図22は、本実施形態における外部表示器80による試験結果の表示の一例を示す図である。外部表示器80は、実施する全ての試験が完了すると、試験結果を表示操作部80Aに表示して(
図8:ステップS118)、例えば、ユーザーが不図示の終了ボタンを押下することで外部出力試験表示用処理を終了する。
図22は、本実施形態における外部表示器80による試験結果の表示の一例を示す図である。図示するように、外部表示器80は、試験結果の表示として、接続試験を行った外部出力端子70aを文字情報で示す対象文字情報部873a~873eと、対象文字情報部873a~873eに隣接して各試験結果を文字情報で示す結果文字情報部874a~874eが示されている。具体的には、対象文字情報部873aとして、外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3が文字情報で示されている。また、結果文字情報部874a~874eとして、外部表示用端子A1,A2,B1,B2,B3の各接続試験が正常になされたことが示されている(
図14に示す例では、「OK」が表示されている)。
【0140】
また、
図22に示す例では、接続試験を行った日時を文字情報で示す試験日時情報部871、作業者を文字情報で示す作業者情報部872が、接続試験結果と併せて表示操作部80Aに示されている。そして、
図22に示す例では、接続試験結果を作業履歴として保存するための保存ボタン875が表示操作部80Aに更に設けられている。ユーザーは、保存ボタン875を選択することで、接続試験結果を作業履歴として保存することができる。また、保存ボタン875を選択せずに、終了すれば、今回の接続試験結果は保存されずに破棄される。このように、保存ボタン875を設けることで、必要な接続試験結果のみを保存できるため、履歴を保存するためのメモリを節約できる。
【0141】
ここで、接続試験結果の保存は、外部表示器80の図示しないメモリになされてもよい
し、外部表示器80から接続試験結果を他の装置に出力して当該他の装置において作業履歴として記憶されてもよい。他の装置としては、給水装置10、監視装置210、又は図示しない外部サーバが挙げられる。これにより、給水装置10、又は給水装置10と監視装置210との接続等に問題が生じた場合などに、過去の接続試験の結果を参照することができる。
【0142】
[変形例1]
図23は、別の一例による給水システムの構成概略を示す図である。
図23に示すシステム1000では、
図1に示すシステム1000と給水装置10および監視装置210の構成は同一である。
図23に示すシステム1000では、外部表示器80は、表示操作部80Aによる表示の少なくとも一部を別の外部表示器180で同期して表示できるように、別の外部表示器180と通信可能に構成されている。こうすれば、例えばポンプ室100にいるユーザーが有する外部表示器80と、監視室200にいる別のユーザーが有する外部表示器180とで、外部出力端子70aと当該外部出力端子から出力される情報の種類とを併せてグラフィック表示させることができる。これにより、給水装置10と監視装置210との接続確認作業をより容易に行うことができる。
【0143】
また、
図23に示す例では、外部表示器80は、ネットワーク300に接続されると共に、ネットワーク300を介して外部サーバ400に接続されている。こうすることにより、外部表示器80は、ネットワーク300を介して専用のアプリケーションソフトウエアをダウンロードしたり、給水装置10から取得した情報を外部サーバ400に送信できる。
【0144】
[変形例2]
図24は、更に別の一例による給水システムの構成概略を示す図である。
図24に示すシステム1000は、外部表示器80と外部表示器180とがネットワーク300を介して接続されており、その他の点では
図23に示すシステム1000と同一である。こうした構成においても、外部表示器80は、表示操作部80Aによる表示の少なくとも一部を外部表示器180で同期して表示できるとよい。
【0145】
[変形例3]
図25は、別の一例による給水システムの構成概略を示す図である。
図25に示すシステム1000は、
図1等を参照して説明した給水装置10および監視装置210と、
図2等を参照して説明した受水槽160とを備える。
図25に示すシステム1000では、
図23、
図24に示すシステム1000と同様に、外部表示器80、180、280がネットワーク300を介して接続されている。
【0146】
外部表示器80は、表示操作部80Aによる表示の少なくとも一部を別の外部表示器180、280とも同期して表示できるように、通信可能に構成されている。こうすれば、例えばポンプ室100にいるユーザーが有する外部表示器80と、監視室200にいるユーザーが有する外部表示器180、さらに、受水槽160のそばにいるユーザーが有する外部表示器280とで、I/O部70における複数の端子(外部出力端子70a、入力端子70b)と当該複数の端子に入出力される信号の種別とを併せてグラフィック表示させることができる。なお、これらのユーザーはそれぞれの機器・監視装置に各1人ずついる必要がなく、各機器・監視装置間を移動しても構わない。ユーザーはそれぞれの機器・監視装置の前にいるときに別のそれぞれの機器・監視装置の信号の入出力状態を把握できるため、故障が発生した時の原因の把握を行いやすくなる。
【0147】
たとえば、受水槽の満水状態を示す信号出力が制御装置65から発報されているにも関わらず、受水槽160の実際の水位が満水となっていない場合、受水槽160の電極棒1
62a~162eの異常(例えば電極棒162eの落下)、電極棒162a~162eと制御装置間の信号線の異常、制御装置65自体の異常などが考えられる。電極式レベルスイッチ162の信号が入力される入力端子E11~E15の配線を付け外ししても表示器上の
図9Dの液面入力端子の表示が変わらなければ、制御部65の異常、また信号入出力の設定の異常が考えられる。入力端子E11~E15の配線を付け外しして表示器上の
図9Dの特定の液面入力端子の表示が変化しない場合は、電極棒162a~162eのうちの特定の電極棒の異常や、電極棒162a~162eと制御装置間の信号線の断線当の異常が考えられる。
【0148】
また、受水槽160の実際の水位の状況と制御装置65から出力される信号が同期しているにも関わらず、監視装置210の表示が同期しない場合は、制御部65と監視装置210間の信号線の異常や監視装置210の異常が考えらえる。本実施形態のシステム1000によれば、それぞれの機器・監視装置前で配線の付け外しを行ったり、実際の水位を変化させたりしながら、他の場所にある機器・監視装置の入出力信号の状況を確認できるため、故障個所を早期に特定することができる。さらに、外部表示器からネットワーク300を介して故障状況や交換部品の発注連絡を行うことで、故障解消を迅速に行うことが可能となる。
【0149】
また、
図25に示すように、ネットワーク300を介して遠隔監視端末380を接続し、給水装置10、監視装置210、及び、受水槽160の状態を遠隔監視端末380に同期して表示させてもよい。こうすることで、それぞれの場所にいる複数人が機側や遠隔地を問わず同じ外部端子情報を共有することができる。その結果、給水装置側と遠隔地での同時作業を行うことが可能となり、作業の時間短縮を図ることができる。各種結線図の情報を給水装置側と遠隔地で別途紙等の図面を準備する必要がなくなり、さらにその共有化した図面を元に給水装置や受水槽近傍での作業時に遠隔監視端末380から作業指示や問い合わせ対応を行うことも可能となる。点検時の接続試験終了時に保存ボタン875(
図22参照)を押し、さらにその試験結果を外部サーバ400に送信する送信機能を設ければ、遠隔監視端末で試験終了の状況を即座に、または履歴として確認することができる。また上記の通り、点検時等に故障や不具合が発生していた場合、給水装置側と遠隔地で情報を共有できているため、故障対応の初動を速く行うことができるようになる。
【0150】
[変形例4]
図26は、更に別の一例による給水システムの構成概略を示す図である。
図26に示すシステム1000では、給水装置10の制御部65と外部表示器80、180とがネットワーク300を介して無線通信により接続されている。なお、外部表示器80、180は、少なくとも一部の表示が同期されてもよい。その他の点では、
図25に示すシステム1000と概ね同一である。こうした例によれば、ユーザーは、受水槽160のそばで外部表示器80の操作表示部80Aにおける入出力信号を確認しながら、実際の受水槽160(および水位計)の状態を確認することができる。同様に、ユーザーは、監視室200内で外部表示器180の表示を確認しながら、監視装置210の状態を確認することができる。
【0151】
以上説明した本実施形態は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、ポンプ装置の状態を表示部に表示する表示方法が提案され、前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、前記表示方法は、前記ポンプ装置における前記複数の端子に基づいて前記複数の端子を示す端子グラフィックと、前記複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別と、を表示部に併せて表示することを特徴とする。形態1によれば、複数の端子の配置に基づく端子グラフィックと、信号の種別と、が表示部に表示され、複数の端子のそれぞれに入出力される信号を容易に確認することができる。
【0152】
[形態2]形態2によれば、形態1において、前記ポンプ装置は、前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置に関連した情報を記憶する記憶部を有し、前記表示方法は、前記記憶部に記憶された情報に基づいて前記端子グラフィックを表示する。
【0153】
[形態3]形態3によれば、形態1または2において、前記表示方法は、入出力情報表示として、前記入出力部が入力または出力する信号の状態を更に併せて表示することを特徴とする。形態2によれば、実際に入出力部が入力または出力する信号の状態を確認することができる。
【0154】
[形態4]形態4によれば、形態3において、前記ポンプ装置は、前記複数の端子における第1の入力端子に入力される信号に基づいて、前記複数の端子における第1の出力端子から信号を出力し、前記表示方法は、前記第1の出力端子から出力される信号の状態と、前記第1の入力端子に入力される信号の状態と、を併せて前記入出力情報表示として表示する。形態4によれば、第1の出力端子からの信号の状態と、当該出力信号に関連する第1の入力端子に入力される信号の状態と、を併せて確認することができる。
【0155】
[形態5]形態5によれば、形態1から4において、前記ポンプ装置は、前記複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別を変更可能である。
【0156】
[形態6]形態6によれば、形態1から5において、前記複数の端子に入出力される信号を入出力信号履歴として記憶部に記憶するための保存ボタンを表示することを含む。形態6によれば、保存ボタンによって入出力信号履歴を記憶部に記憶することができる。
【0157】
[形態7]形態7によれば、形態1から6において、前記表示方法は、前記複数の端子における所定の信号が入出力されている箇所に対応する前記信号の種別を強調表示することを含む。形態7によれば、入出力部において所定の信号が入出力されていることを作業者が容易に認識することができる。
【0158】
[形態8]形態8によれば、形態1から7において、前記表示部に併せて表示される前記端子グラフィックと前記信号の種別とは、拡張現実を利用して表示され、前記拡張現実を利用した表示方法は、前記ポンプ装置の前記複数の端子を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより取得される撮像データに基づく画像に、前記端子グラフィックと、前記信号の種別と、を合成する画像合成ステップと、当該合成された画像を表示する表示ステップと、を含む。形態8によれば、ポンプ装置の入出力部の撮像データが併せて表示されるので、実際の装置に即して接続確認を容易に行うことができる。
【0159】
[形態9]形態9によれば、形態8において、前記ポンプ装置は、前記入出力部の識別標識を有し、前記画像合成ステップは、前記撮像ステップにより取得される撮像データに基づく画像に、前記撮像データに含まれる前記識別標識に基づく情報を合成する。形態9によれば、入出力部の識別標識に基づいて表示を行うことができる。
【0160】
[形態10]形態10によれば、形態8または9において、前記表示方法は、前記端子グラフィックと前記信号の種別とを前記表示部に表示するための第1状態と第2状態を有し、前記第1状態では、図形を用いて前記複数の端子を模した前記端子グラフィックと、前記信号の種別と、を併せて表示し、前記第2状態では、前記画像合成ステップで合成された画像を表示する。形態10によれば、ポンプ装置の設置環境や表示部の画像処理などの性能等に応じて表示方法を選択できる。
【0161】
[形態11]形態11によれば、形態10において、前記表示部は、前記第1状態と前記
第2状態とを切り替える表示選択手段を有する。形態11によれば、作業者が表示器のスペックや使用環境等によって表示方法を選択できる。
【0162】
[形態12]形態12によれば、形態1から11において、前記表示方法は、前記端子グラフィックに、前記複数の端子の結線を示すための情報を併せてグラフィック表示する。形態12によれば、複数の端子の結線を示すための情報が併せて示されるので、入出力部の接続確認を容易に行うことができる。
【0163】
[形態13]形態13によれば、形態1から12の何れか1つに記載の表示方法を実行可能な表示部を備えるポンプ装置が提案される。
【0164】
[形態14]形態14によれば、ポンプ装置と、形態1から12の何れか1つに記載の表示方法を実行可能な外部表示器と、を備えるポンプシステムが提案される。
【0165】
[形態15]形態15によれば、ポンプ装置の情報を表示部に表示するために用いられるコンピュータプログラムが提案され、前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、前記コンピュータプログラムは、前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置に基づいて当該複数の端子を示す端子グラフィックと、前記複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別と、を表示部に併せて表示する、ことをコンピュータに実行させる。形態15によれば、形態1から12の表示方法と同様の効果を奏することができる。
【0166】
[形態16]形態16によれば、ポンプ装置の情報を表示する表示器が提案される。前記ポンプ装置は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、前記表示器は、前記ポンプ装置における前記複数の端子に基づいて当該複数の端子を示す端子グラフィックと、前記複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別と、を併せて表示することを特徴とする。形態16によれば、形態1から12の表示方法と同様の効果を奏することができる。
【0167】
[形態17]形態17によれば、ポンプと前記ポンプを制御する制御部とを有するポンプ装置が提案され、前記制御部は、少なくとも1つの信号を入力または出力する入出力部として複数の端子を有し、当該複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別を設定変更可能であり、前記ポンプ装置における前記複数の端子の配置に関連した情報と、前記複数の端子のそれぞれに入出力される信号の種別と、を外部に送信可能な通信部を有することを特徴とする。形態27によれば、形態1から22の表示方法と同様の効果を奏することができる。
【0168】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0169】
30A,30B…ポンプ
65…制御部
66…制御用メモリ
69…演算部
70…I/O部
70a…外部出力端子
70b…入力端子
71…設定部
72…表示部
73…通信部
79…運転パネル
80…外部表示器
80A…表示操作部
100…ポンプ室
10A…吸込口
160…受水槽
162…電極式レベルスイッチ
180…外部表示器
200…監視室
210…監視装置
802…端子グラフィック部
804…端子種別文字情報部
806…結線図グラフィック部
808…信号種別文字情報部
809…試験ボタン
813…履歴保存ボタン
831…試験対象文字情報部
832…設定コード文字情報部
833…試験方法文字情報部
834…試験方法グラフィック部
834a…試験手順グラフィック部
835…端子グラフィック部
836…水位計グラフィック部
837…入力端子結線図部
838…制御文字情報部
839…AR表示ボタン
840…AR解除ボタン
880…第1確認情報部
882…第2確認情報部
1000…システム