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特許7028940半導体フォトレジスト用組成物およびこれを利用したパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】半導体フォトレジスト用組成物およびこれを利用したパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20220222BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220222BHJP
   C07F 7/22 20060101ALI20220222BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
G03F7/038 505
G03F7/004 501
C07F7/22 K
C07F7/22 H
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020171971
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2021063985
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0127958
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】文 京 守
(72)【発明者】
【氏名】姜 恩 美
(72)【発明者】
【氏名】金 宰 賢
(72)【発明者】
【氏名】金 智 敏
(72)【発明者】
【氏名】南宮 爛
(72)【発明者】
【氏名】禹 昌 秀
(72)【発明者】
【氏名】田 桓 承
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承 龍
(72)【発明者】
【氏名】韓 承
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-500490(JP,A)
【文献】特開昭50-072948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの1種以上の化合物を含む有機金属化合物、および溶媒を含む半導体フォトレジスト用組成物:
【化1】

前記化学式1~化学式3中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、-OR、または-OC(=O)Rであり、
この際、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の1価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数3~20の飽和脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の1価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記化学式1~化学式3中、R~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~10のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1~化学式3中のX~Xで用いられる、-ORまたは-OC(=O)R中のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の1価の炭素数1~10の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数3~10の飽和脂環式炭化水素基、1つもしくは2つの二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の1価の炭素数2~10の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数6~10の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1~化学式3中、Y~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~8の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~6の飽和脂環式炭化水素基、1つもしくは2つの二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~8の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~10のアリーレン基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項3】
前記化学式1~化学式3中、R~Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1~化学式3中のX~Xで用いられる、-ORまたは-OC(=O)R中のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1~化学式3中、Y~Yは、それぞれ独立して、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、エテニレン基、プロペニレン基、エチニレン基、プロピニレン基、フェニレン基、またはこれらの組み合わせである、請求項1または2に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項4】
前記化学式1~化学式3中、R~Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、およびベンジル基のうちのいずれか1つであり、
前記化学式1~化学式3中のX~Xで用いられる、-ORまたは-OC(=O)R中のRおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、
前記化学式1~化学式3中、Y~Yは、それぞれ独立して、メチレン基、およびエチレン基のうちのいずれか1つである、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項5】
前記化学式2中のRおよびRは互いに同一の基であり、X~Xは全て同一の基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項6】
前記化学式3中のRおよびRは互いに同一の基であり、YおよびYは互いに同一の基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項7】
前記化学式1~化学式3で表される化合物を全て含む有機金属化合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項8】
前記半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの一つ以上を1~20質量%含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項9】
前記半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式1で表される化合物を1~20質量%含む、請求項8に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項10】
前記半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式2で表される化合物を1~20質量%含む、請求項8に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項11】
前記半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式3で表される化合物を1~20質量%含む、請求項8に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項12】
界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項13】
基板上にエッチング対象膜を形成する段階;
前記エッチング対象膜の上に、請求項1~12のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階;
前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階;および
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして利用して前記エッチング対象膜をエッチングする段階;
を含むパターン形成方法。
【請求項14】
前記フォトレジストパターンを形成する段階は、5nm~150nmの波長の光を用いる、請求項13に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体フォトレジスト用組成物およびこれを利用したパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の1つとして、EUV(極端紫外線光)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは、露光光源として波長13.5nmのEUV光を利用するパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程で、極めて微細なパターン(例えば20nm以下)を形成できることが実証されている。
【0003】
極端紫外線(extreme ultra violet、EUV)リソグラフィの実現は、16nm以下の空間解像度(spatial resolutions)で遂行することができる互換可能なフォトレジストの現像(development)を必要とする。現在、伝統的な化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストは、次世代デバイスのための解像度(resolution)、光速度(photospeed)、およびフィーチャー粗さ(feature roughness、ラインエッジ粗さ(line edge roughnessまたはLER)とも呼ばれる)に対する仕様(specifications)を満足させるために、開発されている。
【0004】
これら高分子型フォトレジストで起きる酸触媒反応に起因した固有のイメージぼやけ(intrinsic image blur)は、小さいフィーチャー(feature)の大きさで解像度を制限するが、これは電子ビーム(e-beam)リソグラフィで長い間に知られてきた事実である。化学増幅型(CA)フォトレジストは、高い感度のために設計されたが、それらの典型的な構成が13.5nmの波長でフォトレジストの吸光度を低下させ、その結果、感度を低下させるため、部分的にはEUV露光下でより困難を経験することがある。
【0005】
CAフォトレジストはまた、小さいフィーチャーの大きさで粗さ(roughness)の問題により困難を経験することがあり、部分的に酸触媒工程の本質に起因して、光速度(photospeed)が減少することによってラインエッジ粗さ(LER)が増加することが実験で現れた。CAフォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では新たな類型の高性能フォトレジストに対する要求がある。
【0006】
上記の化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストの問題を克服するために、無機系の感光性組成物が研究されてきた。無機系感光性組成物の場合、主に非化学増幅型のメカニズムによる化学的変性により、現像剤による除去に耐性を有するネガティブトーンパターニングに用いられる。無機系感光性組成物の場合、炭化水素に比べて高いEUV吸収率を有する無機系元素を含有しており、非化学増幅型のメカニズムでも感度が確保され得るため、ストキャスティク効果も少なく敏感であるため、線エッジ粗さおよび欠陥個数も少ないということが知られている。
【0007】
最近、プロジェクションEUV露光により15nmハーフピッチ(HP)を現像するために、ペルオキソ錯化剤(peroxo complexing agent)と共に陽イオン性ハフニウムメタルオキシドスルフェート(cationic hafnium metal oxide sulfate、HfSOx)材料が用いられ、この場合、印象的な性能を示した。しかし、ペルオキソ錯化剤を有するメタルオキシド系の無機レジストの場合、腐蝕性の強酸を用いるため取り扱いが難しく、保管安定性が悪く、性能改善のための構成変更が難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-140057号公報
【文献】特許第5028887号公報
【文献】特開2008-7610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、感度および保管安定性に優れた半導体フォトレジスト用組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前記半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの1種以上の化合物を含む有機金属化合物および溶媒を含む。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1~化学式3中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、-OR、または-OC(=O)Rであり、
この際、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の1価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数3~20の飽和脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の1価の炭素数1~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせである。
【0014】
前記化学式1~化学式3中のR~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~10のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよく、
前記RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の1価の炭素数1~10の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数3~10の飽和脂環式炭化水素基、1つもしくは2つの二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の1価の炭素数2~10の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数6~10の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであってもよく、
前記化学式1~化学式3中のY~Yは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~8の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~6の飽和脂環式炭化水素基、1つもしくは2つの二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~8の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~10のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0015】
~Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであってもよく、
前記RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであってもよく、
前記化学式1~化学式3中のY~Yは、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、エテニレン基、プロペニレン基、エチニレン基、プロピニレン基、フェニレン基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0016】
前記化学式1~化学式3中のR~Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、およびベンジル基のうちのいずれか1つであってもよく、
前記RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であってもよく、
前記化学式1~化学式3中のY~Yは、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、およびエチレン基のうちのいずれか1つであってもよい。
【0017】
前記化学式2中のRおよびRは互いに同一の基であり、前記X~Xは全て同一の基であってもよい。
【0018】
前記化学式3中のRおよびRは互いに同一の基であり、YおよびYは互いに同一の基であってもよい。
【0019】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、前記化学式1~化学式3で表される化合物を全て含む有機金属化合物を含むことができる。
【0020】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式1~前記化学式3で表される化合物のうちの1つ以上を1~20質量%含むことができる。
【0021】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式1で表される化合物を1~20質量%含むことができる。
【0022】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式2で表される化合物を1~20質量%含むことができる。
【0023】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式3で表される化合物を1~20質量%含むことができる。
【0024】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0025】
本発明の他の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する段階、前記エッチング対象膜の上に前述した半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして利用して前記エッチング対象膜をエッチングする段階、を含む。
【0026】
前記フォトレジストパターンを形成する段階は、5nm~150nmの波長の光を用いてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の半導体フォトレジスト用組成物は、保管安定性および感度特性に優れ、これを利用すれば感度に優れ、高いアスペクト比を有してもパターンが崩れないフォトレジストパターンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図2】本発明の他の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図3】本発明の他の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図4】本発明の他の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図5】本発明の他の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本記載を説明するに当たり、既に公知となった機能あるいは構成に対する説明は、本記載の要旨を明瞭にするために省略する。
【0030】
本記載を明確に説明するために、説明上不要な部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本記載が必ずしも示されたものに限定されるのではない。
【0031】
図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0032】
本記載で、「置換」とは、水素原子が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、-NRR’(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、-SiRR’R”(ここで、R、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されずに水素原子で残っていることを意味する。
【0033】
本明細書で、「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、1つの官能基内にN(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、およびP(リン原子)からなる群より選択されるヘテロ原子を1~3個含有し、残りは炭素原子であるものを意味する。
【0034】
本明細書で、「アルキル(alkyl)基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、如何なる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であってもよい。
【0035】
前記アルキル基は、炭素数1~20のアルキル基であってもよい。例えば、前記アルキル基は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。例えば、炭素数1~4のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、またはtert-ブチル基であってもよい。
【0036】
本明細書で、「飽和脂肪族炭化水素基」とは、別途の定義がない限り、分子内の炭素原子間の結合が単結合からなる炭化水素基を意味する。
【0037】
前記飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。例えば、前記飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数1~10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数1~8の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数1~6の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数1~4の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数1~2の飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。例えば、炭素数1~6の飽和脂肪族炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、またはtert-ブチル基であってもよい。
【0038】
本明細書で、「飽和脂環式炭化水素基」とは、分子中の炭素原子間の結合が単結合からなる環を含む炭化水素基を意味する。
【0039】
前記飽和脂環式炭化水素基は、炭素数3~10の飽和脂環式炭化水素基であってもよい。例えば、前記飽和脂環式炭化水素基は、炭素数3~9の飽和脂環式炭化水素基、炭素数3~6の飽和脂環式炭化水素基、炭素数3~5の飽和脂環式炭化水素基、炭素数3~4の飽和脂環式炭化水素基であってもよい。例えば、炭素数3~6の飽和脂環式炭化水素基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基であってもよい。
【0040】
本明細書で、「不飽和脂肪族炭化水素基」とは、分子中の炭素原子間の結合が二重結合、三重結合、またはこれらの組み合わせである結合を含む炭化水素基を意味する。
【0041】
前記不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。例えば、前記不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数2~10の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2~8の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2~6の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2~4の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。例えば、炭素数2~4の不飽和脂肪族炭化水素基は、ビニル基、エチニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基であってもよい。
【0042】
本明細書で、「不飽和脂環式炭化水素基」とは、二重結合または三重結合である炭素原子間の結合を含む環を含む炭化水素基を意味する。
【0043】
前記不飽和脂環式炭化水素基は、炭素数3~10の不飽和脂環式炭化水素基であってもよい。例えば、前記不飽和脂環式炭化水素基は、炭素数3~8の不飽和脂環式炭化水素基、炭素数3~6の不飽和脂環式炭化水素基、炭素数3~5の不飽和脂環式炭化水素基、炭素数3~4の不飽和脂環式炭化水素基であってもよい。例えば、炭素数3~6の不飽和脂環式炭化水素基は、1-シクロプロペニル基、2-シクロプロペニル基、1-シクロブテニル基、2-シクロブテニル基、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基、2-シクロヘキセニル基、3-シクロヘキセニル基であってもよい。
【0044】
本明細書で、「芳香族炭化水素基」とは、分子内に芳香族環を含む炭化水素基を意味する。
【0045】
前記芳香族炭化水素基は、炭素数6~10の芳香族炭化水素基であってもよい。例えば、前記芳香族炭化水素基は、フェニル基、またはナフタレン基であってもよい。
【0046】
本明細書で、「アルケニル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であり、1つ以上の二重結合を含んでいる脂肪族不飽和アルケニル基を意味する。
【0047】
本明細書で、「シクロアルキル基」とは、別途の定義がない限り、1価の環状脂肪族飽和炭化水素基を意味する。
【0048】
本明細書で、「アリール基」とは、環状である置換基の全ての元素がp-軌道を有しており、これらp-軌道が共役を形成している置換基を意味し、単環または縮合多環(つまり、炭素原子の隣接した対を共有する環)官能基を含む。
【0049】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、有機金属化合物および溶媒を含む。前記有機金属化合物は、下記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの1種以上の化合物を含む。
【0050】
【化2】
【0051】
前記化学式1~化学式3中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、-OR、または-OC(=O)Rであり、
この際、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の1価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数3~20の飽和脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の1価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせである。
【0052】
前記有機金属化合物は、前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの1種以上の化合物を含むことができる。前記化学式1~化学式3で表される化合物が含むスズ(Sn)は、波長13.5nmで極端紫外線光を強く吸収して高エネルギーを有する光に対する感度に優れる。
【0053】
一方、前記化学式1~化学式3で表される有機スズ化合物は、分子内にスズ(Sn)元素および2つのカルボニルオキシ基を含んでおり、2つのカルボニルオキシ基は、スズ(Sn)元素と2か所で結合して二座配位子の形態を示す。
【0054】
2つのカルボニルオキシ基がスズ(Sn)元素と2か所で結合する二座配位子となることによって、分子の形態は2つのカルボニルオキシ基がスズ(Sn)元素を囲む構造になり、これによって分子はよりバルキーな構造を有するようになる。したがって、2つのカルボニルオキシ基は、スズ(Sn)元素が水分と接触しないように遮断する役割を果たし、結果として化学式1~化学式3で表される化合物を含む半導体フォトレジスト組成物は、水分浸透力が減少して保管安定性に優れるようになる。
【0055】
前記化学式1~化学式3で表される化合物は、置換基R~R以外に、加水分解されてSn-O結合を形成する有機配位子をさらに含むことができる。該有機配位子は、酸性または塩基性触媒下で熱処理するか、または熱処理しないことによって加水分解されて、有機スズ化合物間のSn-O-Sn結合を形成し、これによって前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの少なくとも1つを含む有機スズ共重合体を形成するようになる。加水分解されてSn-O結合を形成する有機配位子としては、当該技術分野における通常の知識を有する技術者によく知られた任意の有機配位子を含むことができる。このような有機配位子としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミン基などを含むことができるが、これらの基に制限されない。
【0056】
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~10のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよく、具体的には、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、およびベンジル基のうちのいずれか1つであってもよい。
【0057】
前記化学式1~化学式3中のR~Rは、それぞれスズ(Sn)元素と結合してSn-Rの結合を形成し、この際、化合物はSn-R結合により有機溶媒に対する溶解性が付与される。また、前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの少なくとも1つが共重合して形成される有機スズ共重合体は、極端紫外線露光時にSn-R結合からR官能基が解離してラジカルを生成する。このように生成したラジカルは、追加的なラジカル反応で-Sn-O-Sn-結合を形成して、有機スズ共重合体間の縮重合反応を開始することによって、本発明の一実施形態による組成物から半導体フォトレジストが形成されるようにする。
【0058】
前記RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の1価の炭素数1~10の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数3~10の飽和脂環式炭化水素基、1つもしくは2つの二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の1価の炭素数2~10の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の炭素数6~10の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであってもよい。具体的には、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であってもよい。
【0059】
前記化学式1~化学式3中のY~Yは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~8の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~6の飽和脂環式炭化水素基、1つもしくは2つの二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~8の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~10アリーレン基、またはこれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、およびエチレン基のうちのいずれか一つであってもよい。
【0060】
前記化学式1~化学式3中のY~Yは、2つのカルボニルオキシ基を連結する連結基であり、Y~Yが含む炭素数により、前記化学式1~化学式3で表される化合物の鎖の長さまたは環の大きさが決定される。したがって、Y~Yが含む炭素数が多くなるほど、前記化学式1~化学式3で表される化合物の分子の大きさはより大きくなる。この際、Y~Yが含む炭素数が過度に多くなる場合、例えば、20個超の炭素数を有する場合、前記化学式1~化学式3で表される化合物の分子内の2つのカルボニルオキシ基の水分遮断効果が減少するようになり、結果として前記化学式1~化学式3で表される化合物を含む半導体フォトレジスト用組成物の水分安定性、つまり、保管安定性は低下する虞がある。
【0061】
前記化学式2中のRおよびRは、互いに同一の基であってもよく、X~Xは、全て同一の基であってもよい。つまり、前記化学式2中のRおよびRが互いに同一の基であり、X~Xが全て同一の基であることによって、前記化学式2で表される化合物は対称構造を有することができる。
【0062】
前記化学式3中のRおよびRは、互いに同一の基であってもよく、YおよびYは、互いに同一の基であってもよい。つまり、前記化学式3中のRおよびRが互いに同一の基であり、YおよびYが互いに同一の基であることによって、前記化学式3で表される化合物は対称構造を有することができる。
【0063】
有機金属化合物は、前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの1種以上の化合物を含むところ、前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちのいずれか1つを単独で含んでもよく、前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちのいずれか2つを含んでもよく、または前記化学式1~化学式3で表される化合物を全て含んでもよい。
【0064】
半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの1つ以上を1~20質量%、例えば、1~18質量%、例えば、1~15質量%、例えば、1~13質量%、例えば、1~10質量%、例えば、1~8質量%、例えば、1~5質量%、例えば、1~3質量%含むことができる。半導体フォトレジスト用組成物が前記化学式1~化学式3で表される化合物のうちの1つ以上を上記の含有量の範囲で含む場合、半導体フォトレジスト用組成物の水分安定性、つまり、保管安定性が向上しうる。
【0065】
半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式1で表される化合物を1~20質量%、例えば、1~18質量%、例えば、1~15質量%、例えば、1~13質量%、例えば、1~10質量%、例えば、1~8質量%、例えば、1~5質量%、例えば、1~3質量%含むことができる。
【0066】
半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式2で表される化合物を1~20質量%、例えば、1~18質量%、例えば、1~15質量%、例えば、1~13質量%、例えば、1~10質量%、例えば、1~8質量%、例えば、1~5質量%、例えば、1~3質量%含むことができる。
【0067】
半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、前記化学式3で表される化合物を1~20質量%、例えば、1~18質量%、例えば、1~15質量%、例えば、1~13質量%、例えば、1~10質量%、例えば、1~8質量%、例えば、1~5質量%、例えば、1~3質量%含むことができる。
【0068】
前記化学式1~化学式3で表される化合物は、従来公知の方法を適宜参照してまたは組み合わせて合成することができる。より具体的には、前記化学式1~化学式3で表される化合物は、実施例に記載の方法により合成することができる。
【0069】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト組成物に含まれる溶媒は、有機溶媒であってもよく、一例として、芳香族化合物類(例えば、キシレン、トルエン)、アルコール類(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール)、エーテル類(例えば、アニソール、テトラヒドロフラン)、エステル類(n-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン)、これらの混合物などを含むことができるが、これらに限定されるのではない。
【0070】
本発明の一実施形態において、前記半導体フォトレジスト組成物は、前記有機金属化合物と溶媒以外に、追加的に樹脂をさらに含むことができる。
【0071】
このような樹脂としては、下記グループ1に挙げられる芳香族部分構造を少なくとも1つ含むフェノール系樹脂であってもよい。
【0072】
【化3】
【0073】
上記の樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される質量平均分子量が、500~20,000であってもよい。
【0074】
上記の樹脂は、半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準として、0.1質量%~50質量%で含まれてもよい。
【0075】
前記樹脂が上記の含有量の範囲で含まれる場合、優れた耐エッチング性および耐熱性を有することができる。
【0076】
一方、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、上記の有機金属化合物、溶媒、および樹脂からなることが好ましい。ただし、上記の実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、場合によって添加剤をさらに含むことができる。添加剤の例示としては、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0077】
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
架橋剤としては、例えばメラミン系架橋剤、置換尿素系架橋剤、またはポリマー系架橋剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋剤は少なくとも2個の架橋形成置換基を有する化合物であり、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素などの化合物を用いることができる。
【0079】
レベリング剤は、コーティング平坦性を向上させるためのものであり、商業的な方法で入手可能な公知のレベリング剤を用いることができる。
【0080】
これら添加剤の使用量は、所望する物性により容易に調節でき、使用しなくてもよい。
【0081】
また、本発明の半導体フォトレジスト用組成物は、基板との密着力などの向上のために(例えば半導体フォトレジスト用組成物の基板との接着力向上のために)、接着力向上剤として、シランカップリング剤をさらに用いることができる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン;または3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン;トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどの炭素-炭素不飽和結合含有シラン化合物などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
本発明の半導体フォトレジスト用組成物は、高いアスペクト比を有するパターンを形成しても、パターン崩壊を防止することができる。したがって、例えば、5nm~100nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~80nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~70nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~50nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~40nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~30nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~20nmの幅を有する微細パターンを形成するために、5nm~150nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5nm~100nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5nm~80nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5nm~50nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5nm~30nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5nm~20nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程に用いることができる。したがって、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用すれば、約13.5nmの波長のEUV光源を用いる極端紫外線リソグラフィを実現することができる。
【0083】
本発明の他の一実施形態によれば、上記の半導体フォトレジスト用組成物を用いてパターンを形成する方法が提供され得る。一例として、製造されたパターンはフォトレジストパターンであってもよい。
【0084】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する段階、前記エッチング対象膜の上に上記の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして利用して前記エッチング対象膜をエッチングする段階、を含む。
【0085】
以下、前述した半導体フォトレジスト用組成物を用いてパターンを形成する方法について図1~5を参照して説明する。図1図5は、本発明による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面図である。
【0086】
図1を参照すれば、まずエッチング対象物を設ける。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であってもよい。以下では、エッチング対象物が薄膜102である場合に限り説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために薄膜102の表面を洗浄する。薄膜102は、例えばシリコン窒化膜、ポリシリコン膜、またはシリコン酸化膜であってもよい。
【0087】
次に、洗浄された薄膜102の表面上に、レジスト下層膜104を形成するためのレジスト下層膜形成用組成物を、スピンコーティングにより塗布してコーティングする。ただし、コーティング方法がこれに限定されるのではなく、公知の多様なコーティング方法、例えばスプレーコーティング、ディップコーティング、ナイフエッジコーティング、インクジェット印刷およびスクリーン印刷などの印刷法を利用することもできる。
【0088】
上記のレジスト下層膜コーティングは省略することができ、以下ではレジスト下層膜をコーティングする場合について説明する。
【0089】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。このベーキング処理は、約100~約500℃で行うことができ、例えば約100℃~約300℃で行うことができる。
【0090】
レジスト下層膜104は、基板100とフォトレジスト膜106との間に形成されて、基板100とフォトレジスト膜106との界面または層間ハードマスクから反射される照射線が、意図しないフォトレジスト領域に散乱される場合、フォトレジスト線幅の不均一およびパターン形成性を妨害することを防止することができる。
【0091】
図2を参照すれば、レジスト下層膜104の上に上記の半導体フォトレジスト用組成物をコーティングして、フォトレジスト膜106を形成する。フォトレジスト膜106は、基板100上に形成された薄膜102の上に上記の半導体フォトレジスト用組成物をコーティングした後、熱処理を通じて硬化した形態であってもよい。
【0092】
より具体的に、半導体フォトレジスト用組成物を用いてパターンを形成する段階は、上記の半導体フォトレジスト用組成物を薄膜102が形成された基板100上に、スピンコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷などで塗布する工程、および塗布された半導体フォトレジスト用組成物を乾燥してフォトレジスト膜106を形成する工程を含むことができる。
【0093】
半導体フォトレジスト用組成物については既に詳細に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0094】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、約80℃~約120℃の温度で行うことができる。
【0095】
図3を参照すれば、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。
【0096】
一例として、露光工程で用いることができる光の例としては、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)などの短波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光などが挙げられる。
【0097】
より具体的に、本発明の一実施形態による露光用の光は、5nm~150nmの波長範囲を有する短波長光であってもよく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光であってもよい。
【0098】
フォトレジスト膜106中の露光領域106aは、有機金属化合物間の縮合など架橋反応により重合体を形成することによって、フォトレジスト膜106の未露光領域106bと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0099】
次に、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、約90℃~約200℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜106の露光領域106aは、現像液に溶解されにくい状態となる。
【0100】
図4には、現像液を利用して未露光領域に該当するフォトレジスト膜106bを、溶解して除去することによって形成されたフォトレジストパターン108が図示されている。具体的には、2-ヘプタノンなどの有機溶媒を用いて未露光領域に該当するフォトレジスト膜106bを、溶解した後に除去することによって、ネガティブトーンイメージに該当するフォトレジストパターン108が完成される。
【0101】
前述したように、本発明の一実施形態によるパターン形成方法で用いられる現像液は、有機溶媒であってもよい。有機溶媒の例としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート、n-ブチルアセテート、ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0102】
ただし、本発明の一実施形態によるフォトレジストパターンが、必ずネガティブトーンイメージで形成されることに制限されるのではなく、ポジティブトーンイメージを有するように形成することもできる。この場合、ポジティブトーンイメージ形成のために用いられ得る現像剤としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、またはこれらの組み合わせなどの第4級アンモニウムヒドロキシ化合物などが挙げられる。
【0103】
前述したように、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)などの波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギーを有する光などにより露光されて形成されたフォトレジストパターン108は、5nm~100nmの幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108は、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、10nm~50nm、10nm~40nm、10nm~30nm、10nm~20nmの幅で形成されてもよい。
【0104】
一方、フォトレジストパターン108は、約50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば25nm以下のハーフピッチ、および、約10nm以下、約5nm以下の線幅粗さを有するピッチを有することができる。
【0105】
次に、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとしてレジスト下層膜104をエッチングする。このようなエッチング工程で、有機膜パターン112が形成される。形成された有機膜パターン112もフォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。
【0106】
図5を参照すれば、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして用いて、露光された薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は、薄膜パターン114として形成される。
【0107】
薄膜102のエッチングは、例えばエッチングガスを用いた乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えばCHF、CF、Cl、BCl、およびこれらの混合ガスを用いることができる。
【0108】
先に行われた露光工程において、EUV光源を用いて行われた露光工程により形成されたフォトレジストパターン108を利用して形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108と同じく、5nm~100nmの幅を有することができる。例えば、EUV光源を用いて行われた露光工程により形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108と同様に5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、10nm~50nm、10nm~40nm、10nm~30nm、10nm~20nmの幅を有することができ、より具体的に20nm以下の幅で形成されてもよい。
【実施例
【0109】
以下、前述した化合物の合成およびこれを含む半導体フォトレジスト用組成物の製造に関する実施例を通じて、本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例により本発明が技術的に限定されるのではない。
【0110】
〔有機金属化合物の製造〕
(合成例1:化学式4で表される化合物の合成)
50mlの2口丸底フラスコ中で、iPrSnPh(3g、7.6mmol)、およびマロン酸(0.4g、3.8mmol)を20mlのアセトニトリルに溶かし、10時間加熱還流した。その後、真空蒸留で溶媒を完全に除去した後、プロピオン酸(propionic acid)(2g、27mmol)を添加して24時間加熱還流した。その後、真空でプロピオン酸を除去して、下記化学式4で表される化合物を80%の収率で得た。
【0111】
【化4】
【0112】
(合成例2:化学式5で表される化合物の合成)
50mlの2口丸底フラスコ中で、BnSnCl(3g、9.5mmol)、およびEtN(0.96g、9.5mmol)を20mlのトルエンに溶かし、アセトニトリル10mlに溶かしたマロン酸(0.5g、4.8mmol)を氷浴中で徐々に滴下した。その後、常温で3時間攪拌した後、生成した固体を、フィルターを利用して除去し、真空蒸留で溶媒を完全に除去した後、再びEtN(1.92g、19mmol)およびトルエン20mlを添加した。プロピオン酸(1.4g、19mmol)を氷浴中で徐々に滴下後、3時間常温で攪拌した。その後、生成した固体を、フィルターを利用して除去し、真空蒸留で溶媒を完全に除去して、下記化学式5で表される化合物を60%の収率で得た。
【0113】
【化5】
【0114】
(合成例3:化学式6で表される化合物の合成)
合成例1でマロン酸の代わりにコハク酸を用いたことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式6で表される化合物を82%の収率で得た。
【0115】
【化6】
【0116】
(合成例4:化学式7で表される化合物の合成)
50mlの2口丸底フラスコ中で、iPrSnPh(3g、7.6mmol)、およびマロン酸(0.8g、7.6mmol)を20mlのアセトニトリルに溶かし、10時間加熱還流する。その後、真空蒸留で溶媒を完全に除去した後、プロピオン酸(2g、27mmol)を添加し、24時間加熱還流して、下記化学式7で表される化合物を75%の収率で得る。
【0117】
【化7】
【0118】
(合成例5:化学式8で表される化合物の合成)
合成例4でマロン酸の代わりにコハク酸を用いたことを除いては、合成例4と同様の方法で合成して、下記化学式8で表される化合物を79%の収率で得た。
【0119】
【化8】
【0120】
(合成例6:化学式9で表される化合物の合成)
50mlの2口丸底フラスコ中で、PhSnCl(3g、9.9mmol)、およびEtN(2g、19.8mmol)を20mlのトルエンに溶かし、アセトニトリル10mlに溶かしたマロン酸(1g、9.9mmol)を氷浴中で徐々に滴下した。その後、常温で3時間攪拌した後、生成した固体を、フィルターを利用して除去し、真空蒸留で溶媒を完全に除去した後、再びEtN(1g、9.9mmol)と20mlのトルエンとを添加した。プロピオン酸(0.73g、9.9mmol)を氷浴中で徐々に滴下した後、3時間常温で攪拌する。その後、生成した固体を、フィルターを利用して除去し、真空蒸留で溶媒を完全に除去して、下記化学式9で表される化合物を65%の収率で得た。
【0121】
【化9】
【0122】
(合成例7:化学式10で表される化合物の合成)
50mlの2口丸底フラスコ中で、iPrSnPh(3g、7.6mmol)、およびマロン酸(1.2g、11.4mmol)を20mlのアセトニトリルに溶かし、24時間加熱還流した。その後、真空蒸留で溶媒を完全に除去して、下記化学式10で表される化合物を83%の収率で得た。
【0123】
【化10】
【0124】
(合成例8:化学式11で表される化合物の合成)
合成例7でマロン酸の代わりにコハク酸を用いたことを除いては、合成例7と同様の方法で合成して、下記化学式11で表される化合物を82%の収率で得た。
【0125】
【化11】
【0126】
(比較合成例1:化学式12で表される化合物の合成)
ネオペンチルスズトリクロリド(Neopentyltin trichloride)(10g、18.7mmol)を無水ペンタンに溶かして、温度を0℃まで冷却した。その後、ジエチルアミン(7.4g、101.3mmol)を徐々に滴下した後、続いてエタノール(6.1g、101.3mmol)を添加して、常温で1時間攪拌した。反応終了後、溶液を濾過して濃縮し、真空乾燥して、下記化学式12で表される化合物を60%の収率で得た。
【0127】
【化12】
【0128】
(実施例1~8)
合成例1~8で合成された化学式4~化学式11の化合物を、キシレンに2.5質量%の濃度に溶かし、0.1μmのPTFEシリンジフィルターで濾過して、実施例1~8による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0129】
(実施例9)
合成例1で合成された化学式4の化合物、および合成例4で合成された化学式7の化合物をそれぞれ同一の質量で混合して、2つの化合物の合計で2.5質量%の濃度となるようにキシレンに溶かし、0.1μmのPTFEシリンジフィルターで濾過して、実施例9による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0130】
(実施例10)
合成例4で合成された化学式7の化合物、および合成例7で合成された化学式10の化合物を、それぞれ同一の質量で混合してキシレンに2.5質量%の濃度で溶かし、0.1μmのPTFEシリンジフィルターで濾過して、実施例10による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0131】
(実施例11)
合成例1で合成された化学式4の化合物、合成例4で合成された化学式7の化合物、および合成例7で合成された化学式10の化合物を、それぞれ同一の質量で混合してキシレンに2.5質量%の濃度で溶かし、0.1μmのPTFEシリンジフィルターで濾過して、実施例11による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0132】
自然酸化膜を有する直径4インチの円形シリコンウエハーを、薄膜フィルム蒸着のための基板として用い、これをUVオゾンクリーニングシステム下で10分間事前処理した。その後、実施例1~11による半導体用フォトレジスト組成物を、1,500rpmで30秒間の条件で、事前処理された基板上にスピンコーティングし、その後ホットプレートの上で100℃で120秒間焼成(塗布後焼成、post-apply bake、PAB)して薄膜を形成した。コーティングおよびベーキング後、フィルムの厚さを偏光解析法(ellipsometry)により測定した結果、厚さは25nmであった。
【0133】
(比較例1)
比較合成例1で合成した化学式12の化合物を、キシレンに2質量%の濃度で溶かした後、0.1μmのPTFEシリンジフィルターで濾過して、比較例1による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0134】
その後、製造した比較例1による半導体フォトレジスト用組成物に対して、前述した実施例と同一の過程を経て、基板上に薄膜を形成した。
【0135】
コーティングおよびベーキング後、フィルムの厚さを偏光解析法により測定した結果、厚さは20nmであった。
【0136】
(評価)
〔評価1:感度の評価〕
直径500μmである50個の円形パッド直線アレイを、EUV光(Lawrence Berkeley National Laboratory Micro Exposure Tool、MET)を用いて、実施例1~11および比較例1の半導体フォトレジスト用組成物がコーティングされたウエハーに投射した。露光時間を調節して、EUVの積算光量が各パッドに適用されるようにした。
【0137】
その後、レジストと基材とを、ホットプレート上で、160℃で120秒間、露光後焼成(post-exposure bake、PEB)を行った。焼成したフィルムを現像液(2-ヘプタノン)にそれぞれ30秒間浸漬させた後、同一の現像剤で追加的に10秒間洗浄して、ネガティブトーンイメージを形成、つまり、EUV光で露光されていないコーティング部分を除去した。最終的に、150℃、2分で、ホットプレートでの焼成を行って、工程を終えた。
【0138】
エリプソメーターを用いて、露光されたパッドの残留レジスト厚さを測定した。各露光量に対して残っている厚さを測定して露光量に対する関数でグラフ化して、レジストの種類別にDg(Does to gel、初期厚さの95%水準が残っている時のエネルギー)を下記表1に示した。
【0139】
評価2:保管安定性の評価
実施例1~11、および比較例1で用いられた組成物に対して、以下のような方法で保管安定性を評価して、下記表1に示した。
【0140】
[保管安定性]
常温(0℃~30℃)条件下で、実施例1~11および比較例1による半導体フォトレジスト組成物を特定期間放置し、沈澱が発生される程度を肉眼で観察して、下記基準により2段階で評価した:
○:1ヶ月以上保管可能
×:2週間未満保管可能。
【0141】
【表1】
【0142】
上記表1から明らかなように、実施例1~11による半導体フォトレジスト用組成物は、比較例1の組成物に比べて、保管安定性がより優れていることが分かった。また、半導体フォトレジスト用組成物を利用して形成されたパターンも、実施例1~11の場合が比較例1に比べて、より優れた感度を示すことを確認できた。
【0143】
上記で、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるのではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せずに多様に修正および変形できることは当該技術分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、このような修正例または変形例は、本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0144】
100:基板、
102:薄膜、
104:フォトレジスト下層膜、
106:フォトレジスト膜、
106a:露光された領域、
106b:未露光された領域、
108:フォトレジストパターン、
112:有機膜パターン、
114:薄膜パターン。
図1
図2
図3
図4
図5