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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】カメラ、撮像方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20220222BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20220222BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20220222BHJP
【FI】
H04N5/232 380
H04N5/232 220
H04N5/232 941
H04N5/232 990
G03B17/18 Z
G03B7/091
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020508203
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2019009477
(87)【国際公開番号】W WO2019181579
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2018052742
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】石田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 潤
(72)【発明者】
【氏名】杉原 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】宮田 真彦
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-223481(JP,A)
【文献】特開2010-004113(JP,A)
【文献】特開2016-096487(JP,A)
【文献】特開2017-055268(JP,A)
【文献】国際公開第2009/142327(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/132204(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
G03B 7/00 - 7/30
G03B 17/18 -17/20
G03B 17/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像範囲を移動させながら露光を行い撮像画像を取得可能なカメラであって、
表示部と、
前記撮像画像の撮像予定領域よりも広角で撮像した第1の撮像画像を取得する第1の撮像画像取得部と、
前記露光を開始する直前における前記撮像予定領域の一部が撮像された第2の撮像画像を取得する第2の撮像画像取得部と、
前記カメラの姿勢情報を検出するセンサと、
前記露光を開始する状態からの前記センサの検出情報に基づいて、前記第2の撮像画像の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲を検出する撮像範囲検出部と、
前記単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像を、前記第1の撮像画像、又は前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像から生成する第1の再現画像生成部と、
前記第1の再現画像を積算した前記露光中の第2の再現画像を生成する第2の再現画像生成部と、
前記表示部に前記第2の再現画像を表示させる表示制御部と、
を備えるカメラ。
【請求項2】
前記第1の撮像画像と前記第2の撮像画像とを比較することによって、前記第1の撮像画像における前記露光の開始位置を検出する開始位置検出部を備え、
前記撮像範囲検出部は、前記開始位置に基づいて、前記単位時間毎の撮像範囲を検出する請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記センサは、前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像を取得する場合の前記カメラの姿勢情報を検出し、
前記撮像範囲検出部は、前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像を取得する場合の前記検出情報に基づいて、前記露光の前記開始位置を検出し、前記単位時間毎の撮像範囲を検出する請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記センサは、前記カメラの方位情報及び基準面からの高さ情報のうち少なくとも一つをさらに検出する請求項1から3のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項5】
前記撮像範囲検出部は、前記センサの前記検出情報に基づいて、前記単位時間毎の撮像範囲の移動方向を検出する請求項4に記載のカメラ。
【請求項6】
前記露光の設定された露光時間を取得し前記露光を制御する露光時間制御部を備える請求項1から5のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項7】
前記露光時間が閾値より長い場合に、前記表示制御部は、前記表示部に前記第2の再現画像を表示させる請求項6に記載のカメラ。
【請求項8】
前記第1の再現画像生成部は、前記撮像範囲検出部が検出する前記単位時間毎の撮像範囲が前記第1の撮像画像以外の範囲にある場合には、ユーザに報知する報知画像及び報知文字のうち少なくとも一方を含む前記第1の再現画像を生成する請求項1から7のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記第1の再現画像と前記第2の再現画像とを切り替えて前記表示部に表示させる請求項1から8のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項10】
前記センサは、手ぶれセンサである請求項1から9のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項11】
前記第1の撮像画像と前記単位時間毎の撮像範囲とに応じて、ズーム機能を固定させるズーム制御部を備える請求項1から10のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項12】
撮像範囲を移動させながら露光を行い撮像画像を取得可能な撮像方法であって、
前記撮像画像の撮像予定領域よりも広角で撮像した第1の撮像画像を取得する第1の撮像画像取得ステップと、
前記露光を開始する直前における前記撮像予定領域の一部が撮像された第2の撮像画像を取得する第2の撮像画像取得ステップと、
カメラの姿勢情報をセンサにより検出する検出ステップと、
前記露光を開始する状態からの前記センサの検出情報に基づいて、前記第2の撮像画像の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲を検出する撮像範囲検出ステップと、
前記単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像を、前記第1の撮像画像、又は前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像から生成する第1の再現画像生成ステップと、
前記第1の再現画像を積算した前記露光中の第2の再現画像を生成する第2の再現画像生成ステップと、
表示部に前記第2の再現画像を表示させる表示制御ステップと、
を含む撮像方法。
【請求項13】
撮像範囲を移動させながら露光を行い撮像画像を取得可能な撮像工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記撮像画像の撮像予定領域よりも広角で撮像した第1の撮像画像を取得する第1の撮像画像取得ステップと、
前記露光を開始する直前における前記撮像予定領域の一部が撮像された第2の撮像画像を取得する第2の撮像画像取得ステップと、
カメラの姿勢情報をセンサにより検出する検出ステップと、
前記露光を開始する状態からの前記センサの検出情報に基づいて、前記第2の撮像画像の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲を検出する撮像範囲検出ステップと、
前記単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像を、前記第1の撮像画像、又は前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像から生成する第1の再現画像生成ステップと、
前記第1の再現画像を積算した前記露光中の第2の再現画像を生成する第2の再現画像生成ステップと、
表示部に前記第2の再現画像を表示させる表示制御ステップと、
を含む撮像工程をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、撮像方法、及びプログラムに関し、特に撮像範囲を移動させながら露光を行う場合の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、露光のタイミングを変化させたり、露光を行っている間に撮像範囲を移動させたりして、得られる画像に特殊な効果を持たせる撮像方法が知られている。これらの撮像方法として、例えば長時間露光撮像や多重露光撮像があげられる。
【0003】
長時間露光撮像とは、露光時間を通常の露光よりも長くして撮像を行う手法であり、多重露光撮像とは複数回の露光を行って1枚の画像を取得する手法である。
【0004】
ここで長時間露光や多重露光を行う場合に、撮像装置がユーザ(撮影者)の意図に反してブレてしまうと、ユーザの意図する画像は得られなくなる。したがって、長時間露光や多重露光を行う場合には、ユーザは撮像装置がブレることを抑制することが必要であり、ユーザのブレの抑制を補助する技術が考えられてきた。
【0005】
特許文献1では、多重露光を行う際に、表示装置に報知画像を表示し多重露光を行っていることをユーザに知らせることにより、撮像装置を大きく動かすことを抑制することを目的とした技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-232227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、長時間露光の期間中に意図的に所定の方向に撮像装置を移動させて、特殊な効果を持たせた画像を得る手法がある(移動撮像)。移動撮像を行う場合には、撮像装置の動きは得られる画像に現れてしまうので、ユーザが意図した方向に撮像装置を移動させることが必要であり、露光中に撮像素子に蓄積された電荷情報を確認することが望まれている。
【0008】
例えばユーザは、露光開始直後に既に撮像装置が意図していない方向に動いており撮像が失敗していたりする場合であっても、撮像素子に蓄積されている電荷情報を確認することができないので、最後まで露光を完了させてしまう。また、ユーザは、撮像素子に蓄積されている電荷情報を確認することができないので、撮像装置が意図していない方向に動いた場合に、その意図していない撮像装置の移動で得られた電荷情報を利用することができない。
【0009】
しかしながら、露光を行っている期間は、撮像素子に蓄積された電荷情報を読み出すことは困難であり、ユーザは、露光中に撮像素子に蓄積されている電荷情報を確認することができない。
【0010】
したがって、露光時間中に撮像素子に蓄積されている電荷情報を読み出すことなく、撮像素子に蓄積されている電荷情報を確認する手法が望まれている。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、露光中に撮像素子に蓄積されている電荷情報を読み出すことなく、ユーザに報知することができるカメラ、撮像方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための、本発明の一の態様は、撮像範囲を移動させながら露光を行い撮像画像を取得可能なカメラであって、表示部と、撮像画像の撮像予定領域よりも広角で撮像した第1の撮像画像を取得する第1の撮像画像取得部と、露光を開始する直前における撮像予定領域の一部が撮像された第2の撮像画像を取得する第2の撮像画像取得部と、カメラの姿勢情報を検出するセンサと、露光を開始する状態からのセンサの検出情報に基づいて、第2の撮像画像の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲を検出する撮像範囲検出部と、単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像を、第1の撮像画像、又は第1の撮像画像及び第2の撮像画像から生成する第1の再現画像生成部と、第1の再現画像を積算した露光中の第2の再現画像を生成する第2の再現画像生成部と、表示部に第2の再現画像を表示させる表示制御部と、を備えるカメラである。
【0013】
本態様によれば、撮像範囲検出部により、露光を開始する状態からのセンサの検出情報に基づいて、第2の撮像画像の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲が検出され、第1の再現画像生成部により、単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像が、第1の撮像画像、又は第1の撮像画像及び第2の撮像画像から生成され、第2の再現画像生成部により、第1の再現画像を積算した露光中の第2の再現画像が生成される。これにより、露光中に撮像素子に蓄積された電荷情報を読み出すことをせずにユーザに報知することができる。
【0014】
好ましくは、カメラは、第1の撮像画像と第2の撮像画像とを比較することによって、第1の撮像画像における露光の開始位置を検出する開始位置検出部を備え、撮像範囲検出部は、開始位置に基づいて、単位時間毎の撮像範囲を検出する。
【0015】
本態様によれば、開始位置検出部により、第1の撮像画像と第2の撮像画像とを比較することによって、第1の撮像画像における露光の開始位置が検出される。これにより、正確な露光の開始位置を検出し、その後の単位時間毎の撮像範囲を正確に特定することができる。
【0016】
好ましくは、センサは、第1の撮像画像及び第2の撮像画像を取得する場合のカメラの姿勢情報を検出し、撮像範囲検出部は、第1の撮像画像及び第2の撮像画像を取得する場合の検出情報に基づいて、露光の開始位置を検出し、単位時間毎の撮像範囲を検出する。
【0017】
本態様によれば、センサにより、第1の撮像画像及び第2の撮像画像を取得する場合のカメラの姿勢情報が検出され、撮像範囲検出部により、第1の撮像画像及び第2の撮像画像を取得する場合の検出情報に基づいて、露光の開始位置を検出し、単位時間毎の撮像範囲が検出される。これにより、正確な露光の開始位置を検出し、その後の単位時間毎の撮像範囲を正確に特定することができる。
【0018】
好ましくは、センサは、カメラの方位情報及び基準面からの高さ情報のうち少なくとも一つをさらに検出する。
【0019】
本態様によれば、センサにより、カメラの方位情報及び基準面からの高さ情報のうち少なくとも一つがさらに検出される。これにより、正確に撮像範囲の検出を行うことができる。
【0020】
好ましくは、撮像範囲検出部は、センサの検出情報に基づいて、単位時間毎の撮像範囲の移動方向を検出する。
【0021】
本態様によれば、撮像範囲検出部により、センサの検出情報に基づいて、単位時間毎の撮像範囲の移動方向が検出される。これにより、正確に撮像範囲の検出を行うことができる。
【0022】
好ましくは、カメラは、露光の設定された露光時間を取得し露光を制御する露光時間制御部を備える。
【0023】
本態様によれば、露光時間制御部により、露光の設定された露光時間が取得され露光が制御されるので、正確な期間の露光を行うことができる。
【0024】
好ましくは、露光時間が閾値より長い場合に、表示制御部は、表示部に第2の再現画像を表示させる。
【0025】
本態様によれば、露光時間が閾値より長い場合に、表示制御部により、表示部に第2の再現画像を表示させる。これにより、露光時間が閾値より長い長時間露光において、効率的に撮像素子に蓄積された電荷情報の報知が行われる。
【0026】
好ましくは、第1の再現画像生成部は、撮像範囲検出部が検出する単位時間毎の撮像範囲が第1の撮像画像以外の範囲にある場合には、ユーザに報知する報知画像及び報知文字のうち少なくとも一方を含む第1の再現画像を生成する。
【0027】
本態様によれば、第2の再現画像生成部により、撮像範囲検出部が検出する単位時間毎の撮像範囲が第1の撮像画像以外の範囲にある場合には、ユーザに報知する報知画像及び報知文字のうち少なくとも一方を含む第2の再現画像が生成される。これにより、ユーザに対して撮像範囲が第1の撮像画像以外の範囲にあること、すなわち大きく撮像範囲の移動が外れていることを報知することができる。
【0028】
好ましくは、表示制御部は、第1の再現画像と第2の再現画像とを切り替えて表示部に表示させる。
【0029】
本態様によれば、表示制御部は、第1の再現画像と第2の再現画像とを切り替えて表示部に表示させるので、ユーザに対して現在撮像されている画像と、現在までに積算された画像とを確認させることができる。
【0030】
好ましくは、センサは、手ブレセンサである。
【0031】
好ましくは、第1の撮像画像と単位時間毎の撮像範囲とに応じて、ズーム機能を固定させるズーム制御部を備える。
【0032】
本態様によれば、ズーム制御部により、第1の撮像画像と単位時間毎の撮像範囲とに応じて、ズーム機能が固定されるので、撮像予定領域以外の領域を撮像してしまうことを抑制することができる。
【0033】
本発明の他の態様は、撮像範囲を移動させながら露光を行い撮像画像を取得可能な撮像方法であって、撮像画像の撮像予定領域よりも広角で撮像した第1の撮像画像を取得する第1の撮像画像取得ステップと、露光を開始する直前における撮像予定領域の一部が撮像された第2の撮像画像を取得する第2の撮像画像取得ステップと、カメラの姿勢情報をセンサにより検出する検出ステップと、露光を開始する状態からのセンサの検出情報に基づいて、第2の撮像画像の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲を検出する撮像範囲検出ステップと、単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像を、第1の撮像画像、又は第1の撮像画像及び第2の撮像画像から生成する第1の再現画像生成ステップと、第1の再現画像を積算した露光中の第2の再現画像を生成する第2の再現画像生成ステップと、表示部に第2の再現画像を表示させる表示制御ステップと、を含む撮像方法である。
【0034】
本発明の他の態様は、撮像範囲を移動させながら露光を行い撮像画像を取得可能な撮像工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、撮像画像の撮像予定領域よりも広角で撮像した第1の撮像画像を取得する第1の撮像画像取得ステップと、露光を開始する直前における撮像予定領域の一部が撮像された第2の撮像画像を取得する第2の撮像画像取得ステップと、カメラの姿勢情報をセンサにより検出する検出ステップと、露光を開始する状態からのセンサの検出情報に基づいて、第2の撮像画像の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲を検出する撮像範囲検出ステップと、単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像を、第1の撮像画像、又は第1の撮像画像及び第2の撮像画像から生成する第1の再現画像生成ステップと、第1の再現画像を積算した露光中の第2の再現画像を生成する第2の再現画像生成ステップと、表示部に第2の再現画像を表示させる表示制御ステップと、を含む撮像工程をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、撮像範囲検出部により、露光を開始する状態からのセンサの検出情報に基づいて、第2の撮像画像の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲が検出され、第1の再現画像生成部により、単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像が、第1の撮像画像、又は第1の撮像画像及び第2の撮像画像から生成され、第2の再現画像生成部により、第1の再現画像を積算した露光中の第2の再現画像が生成されるので、露光中に撮像素子に蓄積された電荷情報を読み出すことをせずにユーザに報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、撮像範囲を移動させながら長時間露光を行う撮像について説明する図である。
図2図2は、カメラの斜視図である。
図3図3は、カメラの背面図である。
図4図4は、カメラの内部構成の実施形態を示すブロック図である。
図5図5は、画像処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図6図6は、第1の撮像画像の撮像の一例を示す図である。
図7図7は、第1の撮像画像を示す図である。
図8図8は、第2の撮像画像を示す図である。
図9図9は、第1の再現画像の例を示す図である。
図10図10は、第2の再現画像の例を示す図である。
図11図11は、第2の再現画像の例を示す図である。
図12図12は、カメラの撮像の流れを示したフロー図である。
図13図13は、ゼブラパターンを有する第1の再現画像を示す図である。
図14図14は、撮像範囲の移動させる場合のカメラの動作形態の一例を示す図である。
図15図15は、表示部の表示の切替を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に従って本発明にかかるカメラ、撮像方法、及びプログラムの好ましい実施の形態について説明する。
【0038】
[長時間露光-移動撮像]
図1は、撮像範囲を移動させながら長時間露光を行う撮像について説明する図である。図1には、木125の幹126(幹126の外皮の模様145が示されている)の部分を撮像予定領域Hとして撮像する場合である。ユーザ(撮影者)は、カメラ10(図2)の撮像範囲を移動させながら撮像予定領域Hを撮像する。具体的にはカメラ10がチルト方向(図中の矢印L)に傾けられて、撮像範囲が移動し、撮像予定領域Hの全域が撮像される。
【0039】
カメラ10の露光時間の設定は1回の露光で撮像範囲の移動が完了するように設定され、比較的長い露光時間が設定される。具体的には露光時間は撮像範囲を移動させて撮像予定領域Hの撮像が完了する期間が必要であり、少なくとも1秒より大きく、このましくは5秒よりも大きい。撮像予定領域Hや被写体によっては、露光時間を10秒、30秒にしてもよい。
【0040】
このように、露光時間が比較的長時間に設定され、露光時間中に撮像範囲の移動を伴う撮像形態において、本発明は好適に用いられる。
【0041】
[カメラ]
図2及び図3は、カメラ(デジタルカメラ)10を示す斜視図及び背面図である。このカメラ10は、レンズを通った光を撮像素子で受け、デジタル信号に変換して静止画又は動画の画像データとして記録メディアに記録するデジタルカメラである。図2に示すようにカメラ10は、その正面に撮影レンズ12、ストロボ1等が配設され、上面にはシャッタボタン2、電源/モードスイッチ3、モードダイヤル4等が配設されている。一方、図3に示すように、カメラ背面には、液晶モニタ(LCD:Liquid Crystal Display)30、ズームボタン5、十字ボタン6、MENU/OKボタン7、再生ボタン8、BACKボタン9等が配設されている。
【0042】
撮影レンズ12は、沈胴式のズームレンズで構成されており、電源/モードスイッチ3によってカメラ10の作動モードを撮影モードに設定することにより、カメラ本体から繰り出される。ストロボ1は、主要被写体にストロボ光を照射するものである。
【0043】
シャッタボタン2は、いわゆる「半押し」と「全押し」とからなる2段ストローク式のスイッチで構成され、撮像準備指示部として機能するとともに、画像の記録指示部として機能する。
【0044】
カメラ10は、撮影モードとして静止画撮影モードが選択され、シャッタボタン2が「半押し」されると、AF(Autofocus)/AE(Auto Exposure)制御を行う撮像準備動作を行い、シャッタボタン2が「全押し」されると、静止画の撮像及び記録を行う。
【0045】
また、カメラ10は、撮影モードとして動画撮影モードが選択され、シャッタボタン2が「全押し」されると、動画の録画を開始し、シャッタボタン2が再度「全押し」されると、録画を停止して待機状態になる。
【0046】
電源/モードスイッチ3は、カメラ10の電源をON/OFFする電源スイッチとしての機能と、カメラ10のモードを設定するモードスイッチとしての機能とを併せ持っており、「OFF位置」と「再生位置」と「撮像位置」との間をスライド自在に配設されている。カメラ10は、電源/モードスイッチ3をスライドさせて、「再生位置」又は「撮像位置」に合わせることにより、電源がONになり、「OFF位置」に合わせることにより、電源がOFFになる。そして、電源/モードスイッチ3をスライドさせて、「再生位置」に合わせることにより、「再生モード」に設定され、「撮像位置」に合わせることにより、「撮影モード」に設定される。
【0047】
モードダイヤル4は、カメラ10の撮影モードを設定するモード切替部として機能し、このモードダイヤル4の設定位置により、カメラ10の撮影モードが様々なモードに設定される。例えば、静止画撮影を行う「静止画撮影モード」、動画撮影を行う「動画撮影モード」、図1で説明を行った「長時間露光-移動撮像モード」等である。
【0048】
液晶モニタ30は、表示部として機能し、撮影モード時のライブビュー画像の表示、再生モード時の静止画又は動画の表示を行うとともに、メニュー画面の表示等を行うことでグラフィカルユーザーインターフェースの一部としても機能する。また、液晶モニタ30は、後で説明をする第1の再現画像及び第2の再現画像を表示する。
【0049】
ズームボタン5は、ズームを指示するズーム指示手段として機能し、望遠側へのズームを指示するテレボタン5Tと、広角側へのズームを指示するワイドボタン5Wとからなる。カメラ10は、撮影モード時に、このテレボタン5Tとワイドボタン5Wとが操作されることにより、撮影レンズ12の焦点距離が変化する。また、再生モード時に、このテレボタン5Tとワイドボタン5Wとが操作されることにより、再生中の画像が拡大、縮小する。
【0050】
十字ボタン6は、上下左右の4方向の指示を入力する操作部であり、メニュー画面から項目を選択したり、各メニューから各種設定項目の選択を指示したりするボタン(カーソル移動操作手段)として機能する。左/右キーは再生モード時のコマ送り(順方向/逆方向送り)ボタンとして機能する。
【0051】
MENU/OKボタン7は、液晶モニタ30の画面上にメニューを表示させる指令を行うためのメニューボタンとしての機能と、選択内容の確定及び実行などを指令するOKボタンとしての機能とを兼備した操作ボタンである。
【0052】
再生ボタン8は、撮像記録した静止画又は動画を液晶モニタ30に表示させる再生モードに切り替えるためのボタンである。
【0053】
BACKボタン9は、入力操作のキャンセルや一つ前の操作状態に戻すことを指示するボタンとして機能する。
【0054】
尚、本実施形態に係るカメラ10において、ボタン/スイッチ類に対して固有の部材を設けるのではなく、タッチパネルを設けこれを操作することでそれらボタン/スイッチ類の機能を実現するようにしてもよい。
【0055】
[カメラの内部構成]
図4はカメラ10の内部構成の実施形態を示すブロック図である。このカメラ10は、撮像した画像をメモリカード54に記録するもので、装置全体の動作は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)40によって統括制御される。
【0056】
カメラ10には、シャッタボタン2、電源/モードスイッチ3、モードダイヤル4、テレボタン5T、ワイドボタン5W、十字ボタン6、MENU/OKボタン7、再生ボタン8、BACKボタン9等の操作部38が設けられている。この操作部38からの信号はCPU40に入力され、CPU40は入力信号に基づいてカメラ10の各回路を制御し、例えば、センサ駆動部32により撮像素子16の駆動制御、レンズ駆動部36によりレンズ駆動制御、絞り駆動部34により絞り駆動制御、撮像動作制御、画像処理制御、画像データの記録/再生制御、及び、表示制御部61により液晶モニタ30の表示制御などを行う。
【0057】
撮影レンズ12、絞り14、メカシャッタ(機械的シャッタ)15等を通過した光束は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型のカラーイメージセンサである撮像素子16に結像される。尚、撮像素子16は、CMOS型に限らず、XYアドレス型、又はCCD(Charge Coupled Device)型のカラーイメージセンサでもよい。
【0058】
撮像素子16は、多数の受光素子(フォトダイオード)が2次元配列されており、各フォトダイオードの受光面に結像された被写体像は、その入射光量に応じた量の信号電圧(又は電荷)に変換され、撮像素子16内のA/D(Analog/Digital)変換器を介してデジタル信号に変換されて出力される。
【0059】
またCPU40は、露光時間制御部65及びズーム制御部67を備える。
【0060】
露光時間制御部65は、設定された露光時間を取得し露光の開始から露光の終了を制御する。具体的には、ユーザがシャッタボタン2を押下すると露光が開始され、露光時間制御部65は取得した露光時間が経過する露光を終了させるように、センサ駆動部32を制御する。
【0061】
ズーム制御部67は、レンズ駆動部36を制御して、ズーム機能に制限を加える。例えば、後で説明をする第1の撮像画像と単位時間毎の撮像範囲とに応じて、ズーム機能を固定させる。すなわち、撮像範囲が撮像予定領域Hから外れないように、ズーム機能を固定させる。
【0062】
動画又は静止画の撮影時に撮像素子16から読み出された画像信号(画像データ)は、画像入力コントローラ22を介してメモリ(SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory))48に一時的に記憶され、あるいはAF処理部42、AE検出部44等に取り込まれる。
【0063】
CPU40は、操作部38での操作に基づいてカメラ10の各部を統括制御するが、ライブビュー画像の撮影(表示)、及び動画の撮影(記録)中には、常時AF処理部42によりAF動作及びAE検出部44によるAE動作を行う。
【0064】
撮影モードが静止画撮影モードの場合には、シャッタボタン2の第1段階の押下(半押し)があると、CPU40は、前述のAF制御を再度行い、シャッタボタン2の全押しがあると、被写体の明るさ(撮影Ev値)を算出し、算出した撮影Ev値に基づいて絞り14のF値及びメカシャッタ15による露光時間(シャッタ速度)をプログラム線図にしたがって決定し、静止画の撮影(露出制御)を行う。
【0065】
一方、撮影モードが動画撮影モードの場合には、シャッタボタン2の全押しがあると、CPU40は、動画の撮影及び記録(録画)を開始させる。尚、動画撮影時には、メカシャッタ15を開放し、撮像素子16から画像データを連続的に読み出し(例えば、フレームレートとして30フレーム/秒、60フレーム/秒)、連続的に位相差AFを行うとともに、被写体の明るさを算出し、シャッタ駆動部33によりシャッタ速度(ローリングシャッタによる電荷蓄積時間)及び/又は絞り駆動部34による絞り14を制御する。
【0066】
CPU40は、ズームボタン5からのズーム指令に応じてレンズ駆動部36を介してズームレンズを光軸方向に進退動作させ、焦点距離を変更させる。
【0067】
また、ROM(Read Only Memory)47は、カメラ制御プログラム、撮像素子16の欠陥情報、画像処理等に使用する各種のパラメータやテーブルが記憶している。EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)により代用可能である。
【0068】
センサ63は、カメラ10の姿勢情報を検出する。例えば、手振れセンサによりカメラ10の姿勢情報を検出してもよい。さらに、センサ63は、カメラ10の方位情報、又は基準面からの高さ情報を検出するものであってもよい。具体的にはGPS(Global Positioning System)、ジャイロセンサ、圧力センサ等があげられる。
【0069】
画像処理部24は、動画又は静止画の撮影時に画像入力コントローラ22を介して取得され、メモリ48に一時的に記憶された未処理の画像データ(RAWデータ)を読み出す。画像処理部24は、読み出したRAWデータに対してオフセット処理、画素補間処理(位相差検出用画素、傷画素等の補間処理)、ホワイトバランス補正、感度補正を含むゲインコントロール処理、ガンマ補正処理、同時化処理(「デモザイク処理」ともいう)、輝度及び色差信号生成処理、輪郭強調処理、及び色補正等を行う。
【0070】
画像処理部24により処理された画像データであって、ライブビュー画像として処理された画像データは、VRAM(Video RAM Random access memory)50に入力される。
【0071】
VRAM50には、それぞれが1コマ分の画像を表す画像データを記録するA領域とB領域とが含まれている。VRAM50において1コマ分の画像を表す画像データがA領域とB領域とで交互に書き換えられる。VRAM50のA領域及びB領域のうち、画像データが書き換えられている方の領域以外の領域から、書き込まれている画像データが読み出される。
【0072】
VRAM50から読み出された画像データは、ビデオエンコーダ28においてエンコーディングされ、カメラ背面に設けられている液晶モニタ30に出力される。これにより、被写体像を示すライブビュー画像が液晶モニタ30に表示される。
【0073】
画像処理部24により処理された画像データであって、記録用の静止画又は動画として処理された画像データ(輝度データ(Y)及び色差データ(Cb),(Cr))は、再びメモリ48に記憶される。
【0074】
圧縮伸張処理部26は、静止画又は動画の記録時に、画像処理部24により処理され、メモリ48に格納された輝度データ(Y)及び色差データ(Cb),(Cr)に対して圧縮処理を施す。静止画の場合には、例えばJPEG(Joint Photographic coding Experts Group)形式で圧縮し、動画の場合には、例えばH.264形式で圧縮する。圧縮伸張処理部26により圧縮された圧縮画像データは、メディアコントローラ52を介してメモリカード54に記録される。
【0075】
また、圧縮伸張処理部26は、再生モード時にメディアコントローラ52を介してメモリカード54から得た圧縮画像データに対して伸張処理を施す。メディアコントローラ52は、メモリカード54に対する圧縮画像データの記録及び読み出しなどを行う。
【0076】
<画像処理部の機能構成>
図5は、画像処理部24の機能構成例を示すブロック図である。
【0077】
画像処理部24は、第1の撮像画像取得部101、第2の撮像画像取得部103、撮像範囲検出部105、開始位置検出部107、第1の再現画像生成部109、及び第2の再現画像生成部111を備えている。以下に画像処理部24で行われる各処理について説明をする。
【0078】
[第1の撮像画像]
第1の撮像画像取得部101は、撮像範囲を移動させながら露光を行って得る撮像画像の撮像予定領域Hよりも広角で撮像した第1の撮像画像(以下、A画像と記載する)121(図7)を取得する。A画像121は、長時間露光-移動撮像を行う準備段階において撮像され、撮像予定領域Hよりも広角で撮像される。
【0079】
図6は、A画像121の撮像の一例を示す図である。なお、図6は、図1で説明をした長時間露光-移動撮像を行う場合のA画像121の撮像である。A画像121は、撮像予定領域Hを含むように広角でカメラ10により撮像される。
【0080】
図7は、図6で示した撮像形態により撮像されたA画像121を示す図である。A画像121は、木125の全体を画角内に収めており、当然に撮像予定領域Hである幹126も画角に収められている。A画像121には、撮像予定領域Hが示されており、単位時間毎の撮像範囲(127A、127B、127C)が示されている。撮像範囲に関しては後で詳述する。
【0081】
[第2の撮像画像]
第2の撮像画像取得部103は、露光を開始する直前における撮像予定領域Hの一部が撮像された第2の撮像画像(以下、B画像と記載する)131(図8)を取得する。B画像131は、長時間露光-移動撮像の本露光を開始する直前に撮像される撮像画像である。
【0082】
図8は、B画像131を示す図である。B画像131は、長時間露光を開始する直前に撮像される画像であり、A画像121よりも画角が狭くズームされた状態で、幹126の一部が大きく写されている。B画像131は例えば、本露光が行われる直前のライブビュー画像(確認画像)から静止画を切り出して、B画像131とする。
【0083】
[撮像範囲検出]
撮像範囲検出部105は、露光を開始する状態からのセンサ63の検出情報に基づいて、B画像131の撮像範囲を基準にした単位時間毎の撮像範囲を検出する。例えば撮像範囲検出部105は、B画像131の撮像範囲をA画像121において検出し、その検出した撮像範囲を露光開始位置として単位時間毎の撮像範囲をA画像121において検出する検出手法1を使用する。また、例えば撮像範囲検出部105は、B画像131及びA画像121を撮像した際のセンサ63の検出情報から単位時間毎の撮像範囲を検出する検出手法2を使用する。なお単位時間とは、後で説明する第1の再現画像又は第2の再現画像の表示のフレームレート(fps:frames per second)を意味する。
【0084】
≪検出手法1≫
撮像範囲検出部105は、開始位置検出部107で検出された開始位置に基づいて単位時間毎の撮像範囲を検出する。
【0085】
開始位置検出部107は、A画像121とB画像131とを比較することによって、A画像121における露光の開始位置を検出する。例えば開始位置検出部107は、A画像121とB画像131とのパターンマッチングにより、A画像121におけるB画像131の位置を検出する。そして撮像範囲検出部105は、開始位置検出部107の開始位置の検出結果を取得する。撮像範囲検出部105は、取得した開始位置を基準にして、センサ63の検出情報に基づいて単位時間毎の撮像範囲を検出する。
【0086】
≪検出手法2≫
撮像範囲検出部105は、A画像121及びB画像131の撮像した際のカメラ10の姿勢情報に基づいて、開始位置を検出し、単位時間毎の撮像範囲を検出する。
【0087】
センサ63は、A画像121及びB画像131を取得する場合のカメラ10の姿勢情報を検出する。例えば、センサ63は手振れセンサである場合には、撮像範囲検出部105は、A画像121及びB画像131を撮像した場合の手振れセンサの検出情報を比較して撮像範囲を検出する。そして撮像範囲検出部105は、露光の開始位置を検出し、検出した露光の開始位置を基準にして、その後の単位時間毎の撮像範囲を検出する。
【0088】
なお、撮像範囲検出部105は、センサ63の検出情報に基づいて、露光の単位時間毎の撮像範囲の移動方向を検出してもよい。撮像範囲検出部105は、撮像範囲の移動方向を取得することにより、正確な撮像範囲の検出を行うことができる。
【0089】
先に説明をした図7のA画像121には、撮像範囲検出部105で検出された撮像範囲が示されている。撮像範囲127A、撮像範囲127B、及び撮像範囲127Cは、単位時間毎に順次移動する撮像範囲である。露光の開始位置を撮像範囲127Aとして、カメラ10をチルトさせることによって順次撮像範囲が127B及び127Cと移動する(図1参照)。なお、図7では簡略化して3つの撮像範囲を示しているが、実際では撮像予定領域Hには多数の撮像範囲が存在する。
【0090】
[第1の再現画像]
第1の再現画像生成部109は、単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像(図9)を、A画像121、又は、A画像121及びB画像131から生成する。第1の再現画像生成部109は、第1の再現画像における単位時間毎の撮像範囲の画像情報を用いて、第1の再現画像を生成する。また、第1の再現画像生成部109は、露光を開始する直前に撮像されたB画像131に基づいて、第1の再現画像を生成してもよい。特に、露光開始直後であって、カメラ10の姿勢の変化が微小である場合には、B画像131と、A画像121における開始直後の撮像範囲に対応する領域とは重なる部分が多い。したがって、第1の再現画像生成部109は、B画像131とA画像121とから第1の再現画像を生成してもよい。
【0091】
図9は、第1の再現画像の例を示す図である。図7で説明をした撮像範囲127A、撮像範囲127B、撮像範囲127Cに対応する第1の再現画像133A、第1の再現画像133B、及び第1の再現画像133Cが示されている。具体的には、撮像範囲127Aを露光の開始位置とし、それに対応する第1の再現画像133Aが示されており、次の単位時間経過後の撮像範囲127Bに対応する第1の再現画像133Bが示されており、次の単位時間経過後の撮像範囲127Cに対応する第1の再現画像133Cが示されている。すなわち、第1の再現画像133は、単位時間毎に撮像素子16に蓄積される電荷情報を表している。なお、第1の再現画像を符号133で表し、各単位時間での第1の再現画像を符号133A、133B、及び133Cで表す。
【0092】
[第2の再現画像]
第2の再現画像生成部111は、第1の再現画像133を積算することにより第2の再現画像を生成する。具体的には第2の再現画像生成部111は、露光開始から現在まで得られた、単位時間毎の第1の再現画像133を重ねることにより、第2の再現画像を生成する。
【0093】
図10は、第2の再現画像の例を示す図である。なお、第2の再現画像135においてボケが発生している箇所を点線で示している。
【0094】
第2の再現画像135は、図9で示した第1の再現画像133A、第1の再現画像133B、及び第1の再現画像133Cを重ねることによって得られる。単位時間毎に異なる像が写された第1の再現画像(133A、133B、133C)を重ねるので、第2の再現画像135ではボケが発生する。具体的には、第2の再現画像135において幹126の輪郭の部分ではボケが発生しており、また幹126の外皮の模様145でもボケが発生している。
【0095】
このように得られた第2の再現画像135は、単位時間毎の第1の再現画像133を重ねて生成されているので、露光開始から現在までに撮像素子16に蓄積された電荷情報を表している。
【0096】
図11は、第2の再現画像135の他の例を示す図である。図11の場合には、カメラ10の移動が意図しない方向へ移動してしまった場合であり、ユーザの意図する画像が得られないという観点からは失敗例である。
【0097】
第2の再現画像135は、図10と同様に木125の幹126を撮像したものである。図11に示した場合では、撮像範囲を移動させる際にカメラ10の姿勢がブレてしまった場合である。この場合カメラ10のセンサ63の検出情報に基づいて、撮像範囲及び第1の再現画像133もカメラ10の姿勢のブレの影響が反映される。したがって、第1の再現画像133を積算して生成される第2の再現画像135においてもカメラ10のブレの影響が表現されることになる。
【0098】
このように、露光中のカメラ10の姿勢のブレを第2の再現画像135で表現することができると、ユーザは、第2の再現画像135を確認することにより、露光が完了する前に撮像を中止して撮り直しを行うことができる。また、露光中のカメラ10の姿勢のブレを利用して新たな画像を作成することができる。
【0099】
[撮像方法]
次に、カメラ10の撮像方法(撮像工程)に関して説明する。図12は、カメラ10の撮像の流れを示したフロー図である。
【0100】
長時間露光で撮像を行う領域(撮像予定領域H)を含む広角で、撮像したA画像121がカメラ10により撮像され(ステップS10)、第1の撮像画像取得部101はA画像121を取得する(第1の撮像画像取得ステップ)。次にカメラ10は、長時間露光の露光が開始するまで、ライブビュー画像を撮像し記憶保存をする(ステップS11)。
【0101】
次に、カメラ10は移動撮像の本露光を開始する(ステップS12)。そして、第2の撮像画像取得部103は、本露光開始の直前に撮像されたB画像131を記憶されたライブビュー画像から取得する(ステップS13:第2の撮像画像取得ステップ)。
【0102】
その後、開始位置検出部107は、A画像121におけるB画像131の位置(露光の開始位置)を検出する(ステップS14:検出ステップ)。そして、開始位置検出部107は、A画像121の中にB画像131の位置が検出可能か否かを判定する(ステップS15)。開始位置検出部107がA画像121の中にB画像131の位置が検出できない場合には、表示制御部61は液晶モニタ30にエラーメッセージを表示させる(ステップS23)。
【0103】
開始位置検出部107は、A画像121の中にB画像131の位置の検出ができた場合には、露光時間制御部65は、取得した露光時間が閾値以下であるかを判定する(ステップS16)。露光時間制御部65が取得した露光時間が閾値以下と判定した場合には、表示制御部61は、第2の再現画像135を液晶モニタ30に表示させることなく表示を終了させる。一方、露光時間制御部65が取得した露光時間が閾値より大きいと判定した場合には、表示制御部61は、第2の再現画像135を液晶モニタ30に表示させるために以下の処理を行う。
【0104】
撮像範囲検出部105は、現在のカメラ10の姿勢情報(煽り等)及び相対位置座標(Δx、Δy、Δz)を取得する(ステップS17)。なお、相対位置座標は、撮像範囲の中心の座標であり、A画像121における相対的な座標である。相対位置座標は、撮像範囲に基づいて算出することでき、露光の開始位置の撮像範囲の中心(B画像の中心)を原点として、センサ63からの検出情報により座標(Δx、Δy、Δz)を取得することが可能である。その後、撮像範囲検出部105はA画像121、B画像131、相対位置座標から現在の撮像範囲を検出し(撮像範囲検出ステップ)、第1の再現画像生成部109は第1の再現画像133を生成する(ステップS18:第1の再現画像生成ステップ)。
【0105】
そして、撮像範囲検出部105は撮像範囲がA画像121の範囲外にあるか否かを判定する(ステップS19)。そして、撮像範囲検出部105が撮像範囲がA画像121の範囲外であると判定した場合には、第1の再現画像生成部109は範囲外の部分をゼブラパターンで表示した第1の再現画像133を生成する(ステップS24)。
【0106】
図13は、ゼブラパターンを有する第1の再現画像133を示す図である。第1の再現画像133には木の幹126が写っているが、画角が図に向かって左側により過ぎてしまっているため、A画像121の範囲を超えてしまっている。したがって、A画像121の範囲を超えてしまっている部分に関してはゼブラパターン143により、ユーザに範囲外であることを報知しており、ゼブラパターン143は報知画像の一例である。また、ユーザへの報知は、報知画像だけではなく報知文字により行ってもよいし、報知画像及び報知文字によって行ってもよい。
【0107】
図12に戻って、撮像範囲検出部105が検出した撮像範囲がA画像121の範囲内である場合には、第2の再現画像生成部111は、現時点までに撮像素子16に積算されている画像を、第1の再現画像133を積算することにより生成し(第2の再現画像生成ステップ)、表示制御部61は生成された第2の再現画像135を液晶モニタ30に表示させる(ステップS20:表示制御ステップ)。
【0108】
次に露光時間制御部65により、現在時刻が取得された露光時間内であるか否かの判定がされる(ステップS21)。そして、現在時刻が露光時間内である場合には、撮像範囲検出部105は、現在のカメラ10の姿勢情報及び相対位置座標値を取得して、現在の撮像範囲を検出する。なお、一点鎖線Fで示したフローは、例えば通常のフレームレート(50から60fps)毎に行われる。その後、露光時間が終了すると、表示制御部61は液晶モニタ30での再現画像の表示を終了させる(ステップS22)。
【0109】
上記実施形態において、各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0110】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0111】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0112】
上述の各構成及び機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組み合わせによって適宜実現可能である。例えば、上述の処理ステップ(処理手順)をコンピュータに実行させるプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的記録媒体)、或いはそのようなプログラムをインストール可能なコンピュータに対しても本発明を適用することが可能である。
【0113】
以上説明したように、本発明では第1の再現画像生成部109により、単位時間毎の撮像範囲に対応する第1の再現画像133が、A画像121、又は、A画像121及びB画像131から生成され、第2の再現画像生成部111により、第1の再現画像133を積算した露光中の第2の再現画像135が生成される。これにより、露光中に撮像素子16に積算されている情報を再現することにより、ユーザに報知することができる。
【0114】
<その他>
[カメラの移動形態]
上述の説明では、カメラ10はチルト方向に動作させることにより撮像範囲を移動させることを説明したが、撮像範囲を移動させるカメラ10の動作はこれに限定されるものではない。
【0115】
図14は、撮像範囲の移動させる場合のカメラ10の動作形態の一例を示す図である。図に示すようにカメラ10の姿勢はそのままで、高さを変えることにより、撮像範囲を移動させて、撮像予定領域Hを撮像してもよい。カメラ10は本露光が開始であるt=0からt=Δtまでに地面に対して垂直上方に移動し、撮像範囲を移動させて撮像予定領域Hの撮像を行っている。
【0116】
[第1の再現画像と第2の再現画像との表示切替]
上述の説明では、カメラ10の液晶モニタ30に第2の再現画像135を表示する形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、液晶モニタ30に第1の再現画像133と第2の再現画像を切り替えて表示させてもよい。
【0117】
図15は、液晶モニタ30の表示の切り替えを説明するための図である。符号140で示された表示形態では、第1の再現画像133が液晶モニタ30に表示されている。また符号141で示された表示形態では、第2の再現画像135が液晶モニタ30に表示されている。例えばユーザは、必要とする情報に応じて操作部38を使用して、液晶モニタ30に第1の再現画像133を表示させるか、第2の再現画像135を表示させるかを切り替えてもよい。
【0118】
このように液晶モニタ30での表示を制御することにより、ユーザは現在撮像している画像と積算された画像とを切り替えて確認することができる。
【0119】
[露光時間]
上述の説明では、予め露光時間が設定されている場合に関して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カメラ10のシャッタボタン2をユーザが押下し、ユーザが押下を解放した場合に露光が終了するような長時間露光においても、本発明は適用される。
【0120】
以上で本発明の例に関して説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0121】
1 :ストロボ
2 :シャッタボタン
3 :電源/モードスイッチ
4 :モードダイヤル
5 :ズームボタン
6 :十字ボタン
7 :MENU/OKボタン
8 :再生ボタン
9 :BACKボタン
10 :カメラ
12 :撮影レンズ
14 :絞り
15 :メカシャッタ
16 :撮像素子
22 :画像入力コントローラ
24 :画像処理部
26 :圧縮伸張処理部
28 :ビデオエンコーダ
30 :液晶モニタ
32 :センサ駆動部
33 :シャッタ駆動部
34 :絞り駆動部
36 :レンズ駆動部
38 :操作部
40 :CPU
42 :AF処理部
44 :AE検出部
47 :ROM
48 :メモリ
50 :URAM
52 :メディアコントローラ
54 :メモリカード
61 :表示制御部
63 :センサ
65 :露光時間制御部
67 :ズーム制御部
101 :第1の撮像画像取得部
103 :第2の撮像画像取得部
105 :撮像範囲検出部
107 :開始位置検出部
109 :第1の再現画像生成部
111 :第2の再現画像生成部
121 :第1の撮像画像
125 :木
126 :木の幹
127A :撮像範囲
127B :撮像範囲
127C :撮像範囲
131 :第2の撮像画像
133 :第1の再現画像
133A :第1の再現画像
133B :第1の再現画像
133C :第1の再現画像
135 :第2の再現画像
145 :木の幹の模様
H :撮像予定領域
ステップS10-S24:カメラの動作工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15