(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】ポリイミドフィルム及び銅張積層板
(51)【国際特許分類】
B32B 27/34 20060101AFI20220222BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20220222BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B32B27/34
H05K1/03 610N
H05K1/03 630H
H05K1/03 630D
C08G73/10
(21)【出願番号】P 2021021371
(22)【出願日】2021-02-15
(62)【分割の表示】P 2017076967の分割
【原出願日】2017-04-07
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2016089514
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115118
【氏名又は名称】渡邊 和浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095588
【氏名又は名称】田治米 登
(74)【代理人】
【識別番号】100094422
【氏名又は名称】田治米 惠子
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 祐之
(72)【発明者】
【氏名】金子 和明
(72)【発明者】
【氏名】須藤 芳樹
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-350668(JP,A)
【文献】特開2007-045008(JP,A)
【文献】特開2010-202681(JP,A)
【文献】特開2006-190824(JP,A)
【文献】特開2012-076363(JP,A)
【文献】後藤幸平 他,ポリイミドの結晶性発現の構造要因,ポリイミド最近の進歩 2003,日本,2003年,pp89-94,http://www.ando-cap.mac.titech.ac.jp/DVD_new/pdf/2003_19.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08G73/10
C08J 5/00-5/02
5/12-5/22
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非熱可塑性ポリイミドからなる非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミドからなる熱可塑性ポリイミド層を有する長尺なポリイミドフィルムであって、
幅方向(TD方向)の長さであるフィルム幅が490mm以上1100mm以下の範囲内であり、
下記の条件(i)~(iv);
(i)熱膨張係数が10~30ppm/Kの範囲内であること;
(ii)前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度が200℃以上350℃以下の範囲内であること;
(iii)面内リタデーション(RO)の値が5nm以上50nm以下の範囲内であること;
(iv)前記幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO)が10nm以下であること;
を満たす
とともに、前記非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が20モル部以上70モル部以下の範囲内であることを特徴とするポリイミドフィルム。
【請求項2】
非熱可塑性ポリイミドからなる非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミドからなる熱可塑性ポリイミド層を有する長尺なポリイミドフィルムであって、
幅方向(TD方向)の長さであるフィルム幅が490mm以上1100mm以下の範囲内であり、
下記の条件(i)~(iv);
(i)熱膨張係数が10~30ppm/Kの範囲内であること;
(ii)前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度が200℃以上350℃以下の範囲内であること;
(iii)面内リタデーション(RO)の値が5nm以上50nm以下の範囲内であること;
(iv)前記幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO)が10nm以下であること;
を満たすとともに、前記非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン残基が20モル部以上であることを特徴とするポリイミドフィルム。
【化1】
[式中、R
1
、R
2
は、独立して、ハロゲン原子若しくはフェニル基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基若しくは炭素数2~3のアルケニル基を示す。]
【請求項3】
前記(i)~(iv)の条件に加え、更に
(v)温度360℃の環境下、圧力340MPa/m
2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量が、20nm以下であること;
を満たすことを特徴とする請求項1
又は2に記載のポリイミドフィルム。
【請求項4】
前記(i)~(iv)の条件に加え、更に
(vi)前記非熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、前記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基はいずれも芳香族基であり、前記芳香族基がビフェニルテトライル基又はビフェニレン基を含むものであって、前記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の合計100モル部に対して、前記ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基が40モル部以上であること;
を満たすことを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
【請求項5】
前記(i)~(iv)の条件に加え、更に
(vii)前記熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、前記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基はいずれも芳香族基であり、前記芳香族基がビフェニルテトライル基又はビフェニレン基を含むものであって、前記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の合計100モル部に対して、前記ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基が30モル部以上80モル部以下の範囲内であること;
を満たすことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が40モル部以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、下記一般式(2)で表されるジアミン残基が3モル部以上60モル部以下の範囲内であることを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
【化2】
[式中、R
3、R
4は、独立して、ハロゲン原子若しくはフェニル基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を示す。]
【請求項8】
前記非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン残基が20モル部以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【化3】
[式中、R
1
、R
2
は、独立して、ハロゲン原子若しくはフェニル基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基若しくは炭素数2~3のアルケニル基を示す。]
【請求項9】
絶縁層と、該絶縁層の少なくとも一方の面に銅層を備えた銅張積層板であって、
前記絶縁層が、前記銅層の表面に接する熱可塑性ポリイミド層と、間接的に積層された非熱可塑性ポリイミド層と、を有し、
前記絶縁層が、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムからなる
とともに、前記銅層のエッチング前後における長手方向(MD方向)の寸法変化量及び幅方向(TD方向)の寸法変化量が、いずれも2%以下であることを特徴とする銅張積層板。
【請求項10】
絶縁層と、該絶縁層の少なくとも一方の面に銅層を備えた銅張積層板であって、
前記絶縁層が、前記銅層の表面に接する熱可塑性ポリイミド層と、間接的に積層された非熱可塑性ポリイミド層と、を有し、
前記絶縁層が、非熱可塑性ポリイミドからなる非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミドからなる熱可塑性ポリイミド層を有する長尺なポリイミドフィルムであって、
幅方向(TD方向)の長さであるフィルム幅が490mm以上1100mm以下の範囲内であり、
下記の条件(i)~(iv);
(i)熱膨張係数が10~30ppm/Kの範囲内であること;
(ii)前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度が200℃以上350℃以下の範囲内であること;
(iii)面内リタデーション(RO)の値が5nm以上50nm以下の範囲内であること;
(iv)前記幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO)が10nm以下であること;
を満たすとともに、前記銅層のエッチング前後における長手方向(MD方向)の寸法変化量及び幅方向(TD方向)の寸法変化量が、いずれも2%以下であるポリイミドフィルムからなることを特徴とする銅張積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルム及び銅張積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話等の電子機器の可動部分の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
【0003】
FPCは、銅張積層板(CCL)の銅層をエッチングして配線加工することによって製造される。携帯電話やスマートフォンにおいて、連続屈曲や180°折り曲げされるFPCには、銅層の材料として、圧延銅箔が多く用いられている。例えば、特許文献1では、圧延銅箔を用いて作製された銅張積層板の耐屈曲性を耐はぜ折り回数で規定する提案がなされている。また、特許文献2では、光沢度と折り曲げ回数で規定された圧延銅箔を用いた銅張積層板が提案されている。
【0004】
銅張積層板に対するフォトリソグラフィ工程や、FPC実装の過程では、銅張積層板に設けられたアライメントマークを基準に接合、切断、露光、エッチング等のさまざまな加工が行われる。これらの工程での加工精度は、FPCを搭載した電子機器の信頼性を維持する上で重要となる。しかし、銅張積層板は、熱膨張係数が異なる銅層と樹脂層とを積層した構造を有するため、銅層と樹脂層との熱膨張係数の差によって、層間に応力が発生する。この応力は、その一部分又は全部が、銅層をエッチングして配線加工した場合に解放されることによって伸縮を生じさせ、配線パターンの寸法を変化させる要因となる。そのため、最終的にFPCの段階で寸法変化が生じてしまい、配線間もしくは配線と端子との接続不良を引き起こす原因となり、回路基板の信頼性や歩留まりを低下させる。従って、回路基板材料としての銅張積層板において、寸法安定性は非常に重要な特性である。しかし、上記特許文献1、2では、銅張積層板の寸法安定性については何ら考慮されていない。
【0005】
ポリイミドフィルムを製造する方法として、ポリアミド酸の自己支持性ゲルフィルムに対し、一軸延伸と熱イミド化を同時あるいは連続的に行うことによって、ポリイミド分子鎖を配向させて面内複屈折を発現させる方法が知られている。この際、リタデーションを制御するために一軸延伸操作及び熱イミド化時の昇温速度、最終キュア温度、荷重等の条件を高精度に制御している。例えば特許文献3では、ポリイミドフィルムを加熱しながら一軸延伸することにより、リタデーションを制御する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-15674公報(特許請求の範囲など)
【文献】特開2014-11451号公報(特許請求の範囲など)
【文献】特開2000-356713号公報(特許請求の範囲など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、第1に、高温加工時での寸法変化を低減させることができるポリイミドフィルム及びこれを用いた銅張積層板を提供することを目的とする。また、本発明は、第2に、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度以上の加熱環境下におかれても高い寸法安定精度を実現し、かつ、安定して生産が可能なポリイミドフィルム及びこれを用いた銅張積層板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムの面内リタデーションを制御することによって上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミドからなる非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミドからなる熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミドフィルムである。本発明のポリイミドフィルムは、下記の条件(i)~(iv);
(i)熱膨張係数が10~30ppm/Kの範囲内であること;
(ii)前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度が200℃以上350℃以下の範囲内であること;
(iii)面内リタデーション(RO)の値が5nm以上50nm以下の範囲内であること;
(iv)幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO)が10nm以下であること;
を満たすことを特徴とする。
【0010】
本発明のポリイミドフィルムは、温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量が、20nm以下であってもよい。
【0011】
本発明のポリイミドフィルムは、前記非熱可塑性ポリイミドがテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、前記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基はいずれも芳香族基であり、前記芳香族基がビフェニルテトライル基又はビフェニレン基を含むものであって、前記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の合計100モル部に対して、前記ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基が40モル部以上であってもよい。
【0012】
本発明のポリイミドフィルムは、前記熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、前記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基はいずれも芳香族基であり、前記芳香族基がビフェニルテトライル基又はビフェニレン基を含むものであって、前記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の合計100モル部に対して、前記ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基が30モル部以上80モル部以下の範囲内であってもよい。
【0013】
本発明のポリイミドフィルムは、前記非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が20モル部以上70モル部以下の範囲内であってもよい。
【0014】
本発明のポリイミドフィルムは、前記熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が40モル部以上であってもよい。
【0015】
本発明のポリイミドフィルムは、前記非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン残基が20モル部以上であってもよい。
【0016】
【化1】
[式中、R
1、R
2は、独立して、ハロゲン原子若しくはフェニル基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基若しくは炭素数2~3のアルケニル基を示す。]
【0017】
本発明のポリイミドフィルムは、前記熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、下記一般式(2)で表されるジアミン残基が3モル部以上60モル部以下の範囲内であってもよい。
【0018】
【化2】
[式中、R
3、R
4は、独立して、ハロゲン原子若しくはフェニル基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を示す。]
【0019】
本発明の銅張積層板は、絶縁層と、該絶縁層の少なくとも一方の面に銅層を備えた銅張積層板である。そして、本発明の銅張積層板は、前記絶縁層が、前記銅層の表面に接する熱可塑性ポリイミド層と、間接的に積層された非熱可塑性ポリイミド層と、を有し、
前記絶縁層が、上記のいずれかのポリイミドフィルムからなることを特徴とする。
【0020】
本発明の銅張積層板は、前記銅層のエッチング前後における長手方向(MD方向)の寸法変化量及び幅方向(TD方向)の寸法変化量が、いずれも2%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のポリイミドフィルムは、高温・高圧の環境下においてもリタデーションの変化量が抑制されているので、例えば、銅箔と高温で熱圧着する場合であっても、寸法安定性に優れている。そのため、本発明のポリイミドフィルムを用いることによって、銅張積層板の製造工程における時間の短縮化が可能となり、生産安定性に優れている。特に、広幅のポリイミドフィルムをロールトゥロールで処理し、銅箔を積層して銅張積層板を製造した場合でも、フィルムの全幅において寸法変化率が低く、寸法が安定しているので、該銅張積層板から得られるFPCを高密度実装が可能なものにすることができる。従って、本発明のポリイミドフィルム及びそれを用いた銅張積層板をFPC材料として利用することによって、回路基板に信頼性と歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る銅張積層板の寸法安定性を評価する評価方法に用いる銅張積層板と試験片の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】試験片におけるマーク位置を説明する図面である。
【
図5】孔と孔との間隔の寸法変化量について説明する図面である。
【
図6】実施例における評価サンプルの説明に供する図面である。
【
図7】実施例における評価サンプルの調製の説明に供する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<ポリイミドフィルム>
本実施の形態のポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミド層を有する。すなわち、熱可塑性ポリイミド層は非熱可塑性ポリイミド層の片面又は両面に設けられている。例えば本実施の形態のポリイミドフィルムと銅層から構成される銅張積層板とする場合、銅層は熱可塑性ポリイミド層の面に積層する。
ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、360℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上であるポリイミドをいう。また、熱可塑性ポリイミドとは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、DMAを用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、360℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa未満であるポリイミドをいう。
【0025】
本実施の形態のポリイミドフィルムは、フィルム(シート)であってもよく、銅箔、ガラス板、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムなどの樹脂シート等の基材に積層された状態のフィルムであってもよい。
【0026】
本実施の形態のポリイミドフィルムは、例えば回路基板の絶縁層として適用する場合において、反りの発生や寸法安定性の低下を防止するために、熱膨張係数(CTE)が10ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内であることが重要であり、好ましくは10ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内がよい。CTEが10ppm/K未満であるか、又は30ppm/Kを超えると、反りが発生したり、寸法安定性が低下したりする。また、本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、銅箔などからなる銅層のCTEに対してポリイミドフィルムのCTEが、±5ppm/K以下の範囲内がより好ましく、±2ppm/K以下の範囲内が最も好ましい。
【0027】
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、ポリイミドフィルムの厚みは、使用する目的に応じて、所定の範囲内の厚みに設定することができる。ポリイミドフィルムの厚みは、例えば8~50μmの範囲内にあることが好ましく、11~26μmの範囲内にあることがより好ましい。ポリイミドフィルムの厚みが上記下限値に満たないと、電気絶縁性が担保出来ないことや、ハンドリング性の低下により製造工程にて取扱いが困難になるなどの問題が生じることがある。一方、ポリイミドフィルムの厚みが上記上限値を超えると、面内リタデーション(RO)を制御するために、製造条件を高精度に制御する必要があり、生産性低下などの不具合が生じる。
【0028】
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、非熱可塑性ポリイミド層は低熱膨張性のポリイミド層を構成し、熱可塑性ポリイミド層は高熱膨張性のポリイミド層を構成する。ここで、低熱膨張性のポリイミド層は、熱膨張係数(CTE)が好ましくは1ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内、より好ましくは3ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内のポリイミド層をいう。また、高熱膨張性のポリイミド層は、CTEが好ましくは35ppm/K以上、より好ましくは35ppm/K以上80ppm/K以下の範囲内、更に好ましくは35ppm/K以上70ppm/K以下の範囲内のポリイミド層をいう。ポリイミド層は、使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望のCTEを有するポリイミド層とすることができる。
【0029】
また、本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層との厚み比(非熱可塑性ポリイミド層/熱可塑性ポリイミド層)が1.5~6.0の範囲内であることがよい。この比の値が、1.5に満たないとポリイミドフィルム全体に対する非熱可塑性ポリイミド層が薄くなるため、面内リタデーション(RO)のばらつきが大きくなりやすく、6.0を超えると熱可塑性ポリイミド層が薄くなるため、ポリイミドフィルムと銅層との接着信頼性が低下しやすくなる。この面内リタデーション(RO)の制御は、ポリイミドフィルムを構成する各ポリイミド層の樹脂構成とその厚みに相関がある。接着性すなわち高熱膨張性又は軟化を付与した樹脂構成である熱可塑性ポリイミド層は、その厚みが大きくなる程、ポリイミドフィルムのROの値に大きく影響する。そこで、非熱可塑性ポリイミド層の厚みの比率を大きくし、熱可塑性ポリイミド層の厚みの比率を小さくして、ポリイミドフィルムのROの値とそのばらつきを小さくする。
【0030】
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、熱可塑性ポリイミド層を構成するポリイミドは、銅層との密着性を向上させることができる。このような熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度が200℃以上350℃以下の範囲内、好ましくは200℃以上320℃以下の範囲内である。
【0031】
本実施の形態のポリイミドフィルムの寸法精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、本実施の形態のポリイミドフィルムは、フィルム幅が490mm以上1100mm以下の範囲内であり、長尺状の長さが20m以上のものが好ましい。本実施の形態のポリイミドフィルムが連続的に製造される場合、幅方向(以下、TD方向ともいう。)が広いフィルムほど発明の効果が特に顕著となる。なお、本実施の形態のポリイミドフィルムが連続的に製造された後、長尺なポリイミドフィルムの長手方向(以下、MD方向とも言う)及びTD方向にある一定の値でスリットされたフィルムも含まれる。
【0032】
本実施の形態のポリイミドフィルムは、面内リタデーション(RO)の値が5nm以上50nm以下の範囲内、好ましくは5nm以上20nm以下の範囲内、より好ましくは5nm以上15nm以下の範囲内である。また、TD方向のROのばらつき(ΔRO)が10nm以下、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下であり、このような範囲内で制御されているので、特に厚みが25μm以上のフィルムであっても、寸法精度が高いものとなっている。
【0033】
本実施の形態のポリイミドフィルムは、好ましくは、温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量が20nm以下、より好ましくは10nm以下、更に好ましくは5nm以下である。本実施の形態のポリイミドフィルムは、熱可塑性ポリイミド層を構成するポリイミドのガラス転移温度を超える温度であっても、ROの変化量が上記上限値以下に制御されている。そのため、例えば本実施の形態のポリイミドフィルムと銅箔とを熱ラミネートにより貼り合せる工程の前後においても、ROが変化しにくいので、寸法安定性に優れたポリイミドフィルムとなる。
【0034】
また、本実施の形態のポリイミドフィルムの引張弾性率は3.0~10.0GPaの範囲内であることが好ましく、4.5~8.0GPaの範囲内であるのがより好ましい。ポリイミドフィルムの引張弾性率が3.0GPaに満たないとポリイミド自体の強度が低下することによって、銅張積層板を回路基板へ加工する際にフィルムの裂けなどのハンドリング上の問題が生じることがある。反対に、ポリイミドフィルムの引張弾性率が10.0GPaを超えると、銅張積層板の折り曲げに対する剛性が上昇する結果、銅張積層板を折り曲げた際に銅配線に加わる曲げ応力が上昇し、折り曲げ耐性が低下してしまう。ポリイミドフィルムの引張弾性率を上記範囲内とすることで、ポリイミドフィルムの強度と柔軟性を担保する。
【0035】
本実施の形態のポリイミドフィルムの製造方法の態様として、例えば、[1]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、イミド化してポリイミドフィルムを製造する方法、[2]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、ポリアミド酸のゲルフィルムを支持基材から剥がし、イミド化してポリイミドフィルムを製造する方法がある。また、本実施の形態のポリイミドフィルムは、複数層のポリイミド層からなるポリイミドフィルムであるので、その製造方法の態様としては、例えば[3]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、イミド化を行う方法(以下、キャスト法)、[4]多層押出により、同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥した後、イミド化を行う方法(以下、多層押出法)などが挙げられる。
【0036】
上記[1]の方法は、例えば、次の工程1a~1c;
(1a)支持基材にポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥させる工程と、
(1b)支持基材上でポリアミド酸を熱処理してイミド化することによりポリイミド層を形成する工程と、
(1c)支持基材とポリイミド層とを分離することによりポリイミドフィルムを得る工程と、
を含むことができる。
【0037】
上記[2]の方法は、例えば、次の工程2a~2c;
(2a)支持基材にポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥させる工程と、
(2b)支持基材とポリアミド酸のゲルフィルムとを分離する工程と、
(2c)ポリアミド酸のゲルフィルムを熱処理してイミド化することによりポリイミドフィルムを得る工程と、
を含むことができる。
【0038】
上記[3]の方法は、上記[1]の方法又は[2]の方法において、工程1a又は工程2aを複数回繰り返し、支持基材上にポリアミド酸の積層構造体を形成する以外は、上記[1]の方法又は[2]の方法と同様に実施できる。
【0039】
上記[4]の方法は、上記[1]の方法の工程1a、又は[2]の方法の工程2aにおいて、多層押出により、同時にポリアミド酸の積層構造体を塗布し、乾燥させる以外は、上記[1]の方法又は[2]の方法と同様に実施できる。
【0040】
本発明で製造されるポリイミドフィルムは、支持基材上でポリアミド酸のイミド化を完結させることが好ましい。ポリアミド酸の樹脂層が支持基材に固定された状態でイミド化されるので、イミド化過程におけるポリイミド層の伸縮変化を抑制して、ポリイミドフィルムの厚みや寸法精度を維持することができる。
【0041】
しかし、支持基材上でポリアミド酸のイミド化を完結させたポリイミドフィルムは、支持基材からポリイミドフィルムを分離する際に加わるポリイミドフィルムへのテンションや、例えばナイフエッジ等を用いた剥離の際に発生するポリイミドフィルムへの応力等によって、ポリイミドフィルムが延伸される。そのため、ポリイミドフィルムの面内リタデーション(RO)のばらつきが生じやすくなり、特にフィルム幅が490mm以上のポリイミドフィルムほどROのばらつきが顕著になる。本実施の形態のポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層を構成するポリイミドのいずれもが、秩序構造を形成しやすいようにすることによって、剥離に必要な応力をポリイミドフィルムの各層に分散させることによって、ROを制御できる。
【0042】
また、支持基材上のポリアミド酸のゲルフィルムを分離し、ポリアミド酸のゲルフィルムを一軸延伸又は二軸延伸と同時あるいは連続的にイミド化を行う方法によって、面内リタデ-ション(RO)を制御してもよい。この際、ROをより精密に高度に制御するために、延伸操作及びイミド化時の昇温速度、イミド化の完結温度、荷重等の条件を適宜調整することが好ましい。
【0043】
(非熱可塑性ポリイミド)
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、非熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、これらはいずれも芳香族基であり、ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基を含むものが好ましい。ここで、ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基は、ジフェニル骨格と同義であり、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基などの置換基がビフェニルテトライル基又はビフェニレン基に結合していてもよいが、特に高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を小さくする観点から、例えばアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基などの置換基の炭素数は1~3の範囲内とすることがより好ましい。
なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。また、ジアミン化合物は、二つのアミノ基を有する化合物であるが、各アミノ基における水素原子は、任意の置換基によって置換されていてもよい。
【0044】
非熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基は、いずれも芳香族基であるが、芳香族基とすることで、ポリイミドフィルムの高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を小さくすることができる。更に、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の合計100モル部に対して、好ましくはビフェニルテトライル基又はビフェニレン基を40モル部以上、より好ましくは50モル部以上とすることで、ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基による秩序構造を形成しやすくし、ポリイミドフィルムの高温環境下でのROの変化量を小さくするとともに、ROのばらつきを抑制することができる。
【0045】
また、非熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基としては、例えば3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等から誘導されるテトラカルボン酸残基が好ましく挙げられる。これらの中でも特に、BPDAから誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、BPDA残基ともいう。)は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を小さくすることができるので特に好ましい。また、BPDA残基は、ポリイミド前駆体のポリアミド酸としてのゲル膜の自己支持性を付与できるが、イミド化後のCTEを増大させる傾向になる。このような観点から、BPDA残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは20~70モル部の範囲内、より好ましくは20~60モル部の範囲内がよい。
【0046】
非熱可塑性ポリイミドに含まれる上記BPDA残基以外のテトラカルボン酸残基としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、PMDA残基ともいう。)が好ましく挙げられる。PMDA残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは0~60モル部の範囲内、より好ましくは0~50モル部の範囲内がよい。PMDA残基は任意であるが、熱膨張係数の制御とガラス転移温度の制御の役割を担う残基である。
【0047】
その他のテトラカルボン酸残基としては、例えば、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が挙げられる。
【0048】
非熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基において、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物及び2,3',3,4'-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物のテトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは20モル部以下、より好ましくは15モル部以下がよい。非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基に対し、これらのテトラカルボン酸残基が20モル部を超えると、分子の配向性が低下し、面内リタデーション(RO)の制御が困難となる。
【0049】
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、非熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、例えば下記の一般式(1)で表されるジアミン残基が好ましく挙げられる。
【0050】
【0051】
上記式(1)において、R1、R2は、独立して、ハロゲン原子若しくはフェニル基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のアルコキシ基若しくは炭素数2~3のアルケニル基を示す。
【0052】
一般式(1)で表されるジアミン残基は、秩序構造を形成しやすく、特に高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を有利に抑制することができる。このような観点から、一般式(1)で表されるジアミン残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、好ましくは20モル部以上、より好ましくは50モル部以上、更に好ましくは60~90モル部の範囲内がよい。
【0053】
一般式(1)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-EB)、2,2’-ジエトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル(m-EOB)、2,2’-ジプロポキシ-4,4’-ジアミノビフェニル(m-POB)、2,2’-n-プロピル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-NPB)、2,2’-ジビニル-4,4’-ジアミノビフェニル(VAB)、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。これらの中でも特に、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を小さくすることができるので特に好ましい。
【0054】
一般式(1)で表されるジアミン残基以外のジアミン残基としては、p‐フェニレンジアミン(p-PDA)、m‐フェニレンジアミン(m-PDA)等から誘導されるジアミン残基が好ましく挙げられ、より好ましくはp-PDAから誘導されるジアミン残基(以下、PDA残基ともいう。)がよい。PDA残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは0~80モル部の範囲内、より好ましくは0~50モル部の範囲内がよい。PDA残基は任意であるが、熱膨張係数の制御とガラス転移温度の制御の役割を担う残基である。
【0055】
また、ポリイミドフィルムとした場合の伸度及び折り曲げ耐性等を向上させるため、非熱可塑性ポリイミドが、下記の一般式(3)~(5)で表されるジアミン残基からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミン残基を含むことが好ましい。
【0056】
【0057】
上記式(3)において、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1~4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、Xは独立に-O-、-S-、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CO-、-COO-、-SO2-、-NH-又は-NHCO-から選ばれる2価の基を示し、m及びnは独立に1~4の整数を示す。
【0058】
【0059】
上記式(4)において、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1~4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、Xは独立に-O-、-S-、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CO-、-COO-、-SO2-、-NH-又は-NHCO-から選ばれる2価の基を示し、m、n及びoは独立に1~4の整数を示す。
【0060】
【0061】
上記式(5)において、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1~4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、X1及びX2はそれぞれ独立に単結合、-O-、-S-、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CO-、-COO-、-SO2-、-NH-又は-NHCO-から選ばれる2価の基を示すが、X1及びX2の両方が単結合である場合を除くものとし、m、n、o及びpは独立に1~4の整数を示す。
【0062】
一般式(3)~(5)で表されるジアミン残基は、屈曲性の部位を有するので、ポリイミドフィルムに柔軟性を付与することができる。ここで、一般式(4)及び(5)で表されるジアミン残基は、ベンゼン環が3個又は4個であるので、熱膨張係数(CTE)の増加を抑制するために、ベンゼン環に結合する末端基はパラ位とすることが好ましい。また、ポリイミドフィルムに柔軟性を付与しながら熱膨張係数(CTE)の増加を抑制する観点から、一般式(3)~(5)で表されるジアミン残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、好ましくは10~40モル部の範囲内、より好ましくは10~30モル部の範囲内がよい。一般式(3)~(5)で表されるジアミン残基が10モル部未満であると、フィルムとした場合の伸度が低下し、折り曲げ耐性等の低下が生じる。一方、40モル部を超えると、分子の配向性が低下し、低CTE化が困難となる。
【0063】
一般式(3)において、基R5及びR6の好ましい例としては、水素原子又は炭素数1~4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1~3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(3)において、連結基Xの好ましい例としては、-O-、-S-、-CH2-、-CH(CH3)-、-SO2-又は-CO-を挙げることができる。一般式(3)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(4,4'-DAPE)、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、3,4'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
【0064】
一般式(4)において、基R5、R6及びR7の好ましい例としては、水素原子又は炭素数1~4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1~3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(4)において、連結基Xの好ましい例としては、-O-、-S-、-CH2-、-CH(CH3)-、-SO2-又は-CO-を挙げることができる。一般式(4)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、ビス(4‐アミノフェノキシ)-2,5-ジ-tert-ブチルベンゼン(DTBAB)、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BAPK)、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
【0065】
一般式(5)において、基R5、R6、R7及びR8の好ましい例としては、水素原子又は炭素数1~4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1~3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(5)において、連結基X1及びX2の好ましい例としては、単結合、-O-、-S-、-CH2-、-CH(CH3)-、-SO2-又は-CO-を挙げることができる。但し、屈曲部位を付与する観点から、連結基X1及びX2の両方が単結合である場合を除くものとする。一般式(5)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
【0066】
その他のジアミン残基としては、例えば、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等の芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
【0067】
非熱可塑性ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、貯蔵弾性率、引張弾性率等を制御することができる。また、非熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、面内リタデーション(RO)のばらつきを抑制する観点から、ランダムに存在することが好ましい。
【0068】
(熱可塑性ポリイミド)
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、これらはいずれも芳香族基であり、ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基を含むものが好ましい。ここで、ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基は、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基などの置換基がビフェニルテトライル基又はビフェニレン基に結合していてもよいが、特に高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量の抑制の観点から、例えばアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基などの置換基の炭素数は1~3の範囲内とすることが好ましい。
【0069】
熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基は、いずれも芳香族基であるが、芳香族基とすることで、ポリイミドフィルムの高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を抑制することができる。更に、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の合計100モル部に対して、ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基を30モル部以上80モル部以下の範囲内とする。ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基が30モル部未満であると、ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基による秩序構造の形成が困難となって、ポリイミドフィルムの高温環境下でのROの変化量が増大する。一方、ビフェニルテトライル基又はビフェニレン基が80モル部を超えると、熱可塑性が損なわれる。
【0070】
また、熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基としては、例えばBPDA、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等から誘導されるテトラカルボン酸残基が好ましく挙げられる。これらの中でも特に、BPDA残基は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を抑えることができるので特に好ましい。従って、BPDA残基は、熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは40モル部以上、より好ましくは50モル部以上がよい。
【0071】
熱可塑性ポリイミドに含まれる上記BPDA残基以外のテトラカルボン酸残基としては、PMDA残基が好ましく挙げられる。PMDA残基は、熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは0~60モル部の範囲内、より好ましくは0~50モル部の範囲内がよい。PMDA残基は任意であるが、熱膨張係数の制御とガラス転移温度の制御の役割を担う残基である。
【0072】
その他のテトラカルボン酸残基としては、例えば、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が挙げられる。
【0073】
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、例えば下記一般式(2)で表されるジアミン残基が好ましく挙げられる。
【0074】
【0075】
上記式(2)において、R3、R4は、独立して、ハロゲン原子若しくはフェニル基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を示す。
【0076】
一般式(2)で表されるジアミン残基は、秩序構造を形成しやすく、特に高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を有利に抑制することができる。このような観点から、一般式(2)で表されるジアミン残基は、熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、好ましくは3~60モル部の範囲内、より好ましくは5~40モル部の範囲内がよい。一般式(2)で表されるジアミン残基が3モル部未満であると、秩序構造の形成が困難となって、ポリイミドフィルムの高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量が増大し、60モル部を超えると、熱可塑性が損なわれる。
【0077】
一般式(2)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-EB)、2,2’-ジエトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル(m-EOB)、2,2’-ジプロポキシ-4,4’-ジアミノビフェニル(m-POB)、2,2’-n-プロピル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-NPB)、2,2’-ジビニル-4,4’-ジアミノビフェニル(VAB)、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。これらの中でも特に、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量を小さくすることができるので特に好ましい。
【0078】
一般式(2)で表されるジアミン残基以外のジアミン残基としては、p‐フェニレンジアミン(p-PDA)、m‐フェニレンジアミン(m-PDA)等から誘導されるジアミン残基が好ましく挙げられ、より好ましくはp-PDAから誘導されるジアミン残基(以下、PDA残基ともいう。)がよい。PDA残基は、熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、好ましくは3~60モル部の範囲内、より好ましくは5~40モル部の範囲内がよい。PDA残基は任意であるが、剛直構造を有しているため、ポリマー全体に秩序構造を付与する作用を有している。
【0079】
また、ポリイミド分子鎖の柔軟性を向上させ、熱可塑性を付与するため、熱可塑性ポリイミドが、下記の一般式(6)~(12)で表されるジアミン残基からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミン残基を含むことが好ましい。
【0080】
【0081】
上記式(6)~(12)において、R9は独立に炭素数1~6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、連結基Aは独立に-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO2-、-COO、-CH2-、-C(CH3)2-、-NH-若しくは-CONH-から選ばれる2価の基を示し、n1は独立に0~4の整数を示す。ただし、式(8)中から式(7)と重複するものは除き、式(10)中から式(9)と重複するものは除くものとする。なお、「独立に」とは、上記式(6)~(12)の内の一つにおいて、または二つ以上において、複数の連結基A、複数のR9若しくは複数のn1が、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
【0082】
一般式(6)~(12)で表されるジアミン残基は、少なくとも1種を合計で、熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、好ましくは40~97モル部の範囲内がよい。一般式(6)~(12)で表されるジアミン残基の合計量が40モル部未満であるとポリイミドの柔軟性不足で熱可塑性が得られず、97モル部を超えると、ポリイミドフィルムの高温環境下での面内リタデーション(RO)の変化量が増大する傾向になる。
【0083】
式(6)で表されるジアミン残基は、2つのベンゼン環を有する芳香族ジアミン残基である。式(6)で表されるジアミン残基の元となるジアミン化合物は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、式(6)で表されるジアミン残基を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-、-CH2-、-C(CH3)2-、-CO-、-SO2-、-S-が好ましい。
【0084】
式(6)で表されるジアミン残基としては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、(3,3’-ビスアミノ)ジフェニルアミン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を挙げることができる。
【0085】
式(7)で表されるジアミン残基は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミン残基である。式(7)で表されるジアミン残基の元となるジアミン化合物は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、式(7)で表されるジアミン残基を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
【0086】
式(7)で表されるジアミン残基としては、例えば1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン、3-[3-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を挙げることができる。
【0087】
式(8)で表されるジアミンは、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミン残基である。式(8)で表されるジアミン残基は、1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、式(8)で表されるジアミン残基を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
【0088】
式(8)で表されるジアミン残基としては、例えば1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、4,4'-[2-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[4-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[5-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を挙げることができる。
【0089】
式(9)で表されるジアミン残基は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミン残基である。式(9)で表されるジアミン残基の元となるジアミン化合物は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、式(9)で表されるジアミン残基を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-、-CH2-、-C(CH3)2-、-SO2-、-CO-、-CONH-が好ましい。
【0090】
式(9)で表されるジアミン残基としては、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を挙げることができる。
【0091】
式(10)で表されるジアミン残基は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミン残基である。式(10)で表されるジアミン残基は、少なくとも1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、式(10)で表されるジアミン残基を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
【0092】
式(10)で表されるジアミン残基としては、4-[3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]フェノキシ]アニリン、4,4’-[オキシビス(3,1-フェニレンオキシ)]ビスアニリン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を挙げることができる。
【0093】
式(11)で表されるジアミン残基は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミン残基である。式(11)で表されるジアミン残基は、少なくとも2つのエーテル結合を有することで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、式(11)で表されるジアミン残基を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-C(CH3)2-、-O-、-SO2-、-CO-が好ましい。
【0094】
式(11)で表されるジアミン残基としては、例えば、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン(BAPK)等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を挙げることができる。
【0095】
式(12)で表されるジアミン残基は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミン残基である。式(12)で表されるジアミン残基は、ジフェニル骨格の両側に、それぞれ屈曲性の高い2価の連結基Aを有するため、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、式(12)で表されるジアミン残基を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
【0096】
式(12)で表されるジアミン残基としては、例えば、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を挙げることができる。
【0097】
熱可塑性ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、引張弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。また、熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
【0098】
熱可塑性ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000~400,000の範囲内が好ましく、50,000~350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、フィルムの強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際にフィルム厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
【0099】
(非熱可塑性ポリイミド及び熱可塑性ポリイミドの合成)
一般にポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0~100℃の範囲内の温度で30分~24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~30重量%の範囲内、好ましくは10~20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5~30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
【0100】
合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cps~100,000cpsの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。ポリアミド酸をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80~400℃の範囲内の温度条件で1~24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
【0101】
<銅張積層板>
本実施の形態の銅張積層板は、絶縁層と、該絶縁層の少なくとも一方の面に銅箔等の銅層を備えており、絶縁層が、本実施の形態のポリイミドフィルムを用いて形成されていればよい。また、絶縁層と銅層の接着性を高めるために、絶縁層における銅層に接する層が、熱可塑性ポリイミド層である。銅層は、絶縁層の片面又は両面に設けられている。つまり、本実施の形態の銅張積層板は、片面銅張積層板(片面CCL)でもよいし、両面銅張積層板(両面CCL)でもよい。片面CCLの場合、絶縁層の片面に積層された銅層を、本発明における「第1の銅層」とする。両面CCLの場合、絶縁層の片面に積層された銅層を、本発明における「第1の銅層」とし、絶縁層において、第1の銅層が積層された面とは反対側の面に積層された銅層を、本発明における「第2の銅層」とする。本実施の形態の銅張積層板は、銅層をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成し、FPCとして使用される。
【0102】
銅張積層板は、例えば本実施の形態のポリイミドフィルムを含んで構成される樹脂フィルムを用意し、これに金属をスパッタリングしてシード層を形成した後、例えば銅メッキによって銅層を形成することによって調製してもよい。
【0103】
また、銅張積層板は、本実施の形態のポリイミドフィルムを含んで構成される樹脂フィルムを用意し、これに銅箔を熱圧着などの方法でラミネートすることによって調製してもよい。
【0104】
さらに、銅張積層板は、銅箔の上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する塗布液をキャストし、乾燥して塗布膜とした後、熱処理してイミド化し、ポリイミド層を形成することによって調製してもよい。
【0105】
(第1の銅層)
本実施の形態の銅張積層板において、第1の銅層に使用される銅箔(以下、「第1の銅箔」と記すことがある)は、特に限定されるものではなく、例えば、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。
【0106】
第1の銅箔の厚みは、好ましくは13μm以下であり、より好ましくは6~12μmの範囲内がよい。第1の銅箔の厚みが13μmを超えると、銅張積層板(又はFPC)を折り曲げた際の銅層(又は銅配線)に加わる曲げ応力が大きくなることにより耐折り曲げ性が低下することとなる。また、生産安定性及びハンドリング性の観点から、第1の銅箔の厚みの下限値は6μmとすることが好ましい。
【0107】
また、第1の銅箔の引張弾性率は、例えば、10~35GPaの範囲内であることが好ましく、15~25GPaの範囲内がより好ましい。本実施の形態で第1の銅箔として圧延銅箔を使用する場合は、熱処理によってアニールされると、柔軟性が高くなりやすい。従って、銅箔の引張弾性率が上記下限値に満たないと、長尺な第1の銅箔上に絶縁層を形成する工程において、加熱によって第1の銅箔自体の剛性が低下してしまう。一方、引張弾性率が上記上限値を超えるとFPCを折り曲げた際に銅配線により大きな曲げ応力が加わることとなり、その耐折り曲げ性が低下する。なお、圧延銅箔は、銅箔上に絶縁層を形成する際の熱処理条件や、絶縁層を形成した後の銅箔のアニール処理などにより、その引張弾性率が変化する傾向がある。従って、本実施の形態では、最終的に得られた銅張積層板において、第1の銅箔の引張弾性率が上記範囲内にあればよい。
【0108】
第1の銅箔は、特に限定されるものではなく、市販されている圧延銅箔を用いることができる。
【0109】
(第2の銅層)
第2の銅層は、絶縁層における第1の銅層とは反対側の面に積層されている。第2の銅層に使用される銅箔(第2の銅箔)としては、特に限定されるものではなく、例えば、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。また、第2の銅箔として、市販されている銅箔を用いることもできる。なお、第2の銅箔として、第1の銅箔と同じものを使用してもよい。
【0110】
本実施の形態の銅張積層板は、下記の評価方法によって得られる、10mmの回路基板サイズ(FPCサイズ)における配線パターンの配線幅と配線間隔との和に対する累積換算寸法変化量の比率の、試験片における面内のばらつきが、±2%以下であることが好ましい。このばらつきの値が±2%以下であるということは、エッチング前後における長手方向(MD方向)の寸法変化量及び幅方向(TD方向)の寸法変化量が、いずれも2%以下であることを意味する。このばらつきの値が±2%を超える場合には、銅張積層板から加工されたFPCにおいて、配線間もしくは配線と端子との接続不良を引き起こす原因となり、回路基板の信頼性や歩留まりを低下させる要因となる。ここで、
図1~
図7を参照しながら、本実施の形態において使用される銅張積層板の寸法安定性の評価方法について説明する。この評価方法は、以下の工程(1)~(6)を備えている。
【0111】
(1)試験片を準備する工程:
本工程では、
図1に例示するように、長尺な銅張積層板100を、所定の長さに切断することによって試験片10を準備する。なお、以下の説明では、長尺な銅張積層板100の長手方向をMD方向、幅方向をTD方向と定義する(試験片10についても同様である)。試験片10は、正方形に近い形状となるように、銅張積層板100の幅(TD方向の長さ)と切断間隔(MD方向の長さ)がほぼ等しくなるようにすることが好ましい。銅張積層板100は、図示は省略するが絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の片側又は両側に積層された銅層とを有する。
【0112】
本評価方法の対象となる銅張積層板100は、任意の方法で調製したものを使用できる。例えば、銅張積層板100は、樹脂フィルムを用意し、これに金属をスパッタリングしてシード層を形成した後、メッキによって銅層を形成することによって調製したものでもよい。また、銅張積層板100は、樹脂フィルムと銅箔とを熱圧着などの方法でラミネートすることによって調製したものでもよい。さらに、銅張積層板100は、銅箔の上に樹脂溶液を塗布して絶縁樹脂層を形成することによって調製したものでもよい。
【0113】
(2)試験片に複数のマークを形成する工程:
本工程では、
図2に示すように、まず試験片10において、MD方向及びTD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形20(以下、単に「正四角形20」と記すことがある)を想定する。この仮想の正四角形20の一辺の長さは、銅張積層板100の幅(TD方向の長さ)に応じた長さとすることができる。また、仮想の正四角形20の面積は、多数個採りの場合にFPCに加工する範囲の限界まで評価対象に含めるため、FPCに加工する範囲をカバーできる面積に設定することが好ましい。従って、正四角形20の一辺の長さは、試験片10におけるTD方向の長さ(銅張積層板100の幅)の60~90%の範囲内とすることが好ましく、70~80%の範囲内とすることがより好ましい。例えば、銅張積層板100の幅(TD方向の長さ)が250mmである場合には、仮想の正四角形20の一辺の長さは、150~225mmの範囲内に設定することが好ましく、175~200mmの範囲内に設定することがより好ましい。
【0114】
次に、
図2~
図4に示すように、仮想の正四角形20の中心20aを含む中心領域21と、正四角形20におけるTD方向の一辺を共有する2つの角部20bの1つずつを含む2つのコーナー領域23a,23bとに、それぞれ、直線状の配列を含む複数のマークを形成する。マークは、例えば試験片10を貫通する丸い孔30である。複数の孔30は、等間隔に形成することが好ましい。なお、マークとしての孔30は、例えば三角形、長方形などの多角形状でもよい。また、マークは、その位置を識別可能であれば、貫通孔に限らず、例えば試験片10に溝、切り込みなどを形成したものであってもよいし、インクなどを利用して印刷した模様であってもよい。
【0115】
<中心領域>
仮想の正四角形20の中心20aは、試験片10の伸縮を測定するための座標の基準になることから、本評価方法では、当該中心20aを含む中心領域21を測定対象とする。中心領域21においては、直線状の配列を含む限り、複数の孔30を形成する位置は任意であり、例えばT字形、L字形などに配列してもよいが、仮想の正四角形20の中心20aから、MD方向及びTD方向に均等に配列できる十字型が好ましい。すなわち、
図3に示すように、複数の孔30を、仮想の正四角形20の中心20aを通る十字形に沿ってMD方向及びTD方向に形成することが好ましく、十字型の交差部分が、仮想の正四角形20の中心20aに重なるように配置することがより好ましい。この場合、中心20aに重なる孔30は、MD方向及びTD方向の両方向の配列を構成する孔30として重複してカウントされる。
【0116】
また、中心領域21では、試験片10の面内での寸法変化のばらつきを含めた寸法安定性を正確に評価できるようにするため、正四角形20における中心20aからMD方向及びTD方向に、それぞれ、正四角形20の1辺の長さに対して、少なくとも12.5%以上、好ましくは12.5~32.5%の範囲内、より好ましくは12.5~25%の範囲内に亘って孔30を形成することがよい。
【0117】
<コーナー領域>
正四角形20におけるTD方向の一辺を共有する2つの角部20bの周囲は、
図1に示すような長尺な銅張積層板100において、最も伸縮しやすく、寸法変化が大きくなりやすい領域である。そのため、本評価方法では、正四角形20におけるTD方向の一辺を共有する2つの角部20bの1つずつを含む2つのコーナー領域23a,23bの両方を測定対象とする。
【0118】
コーナー領域23a,23bにおいては、直線状の配列を含む限り、孔30を形成する位置は任意であるが、例えば
図4に示すように、複数の孔30を、仮想の正四角形20の角部20bを挟む2つの辺に沿ってMD方向及びTD方向にL字形に形成することが好ましい。この場合、角部20bに重なる孔30は、MD方向及びTD方向の両方向の配列を構成する孔30として重複してカウントされる。なお、
図4は、片方のコーナー領域23bのみを示しているが、他方のコーナー領域23aについても同様である。
【0119】
2つのコーナー領域23a,23bでは、試験片10の面内での寸法変化のばらつきを含めた寸法安定性を正確に評価できるようにするため、正四角形20におけるTD方向の一辺の両端(つまり、正四角形20の角部20b)からMD方向の中央側へ、それぞれ、MD方向の一辺の長さに対して、少なくとも12.5%以上、好ましくは12.5~32.5%の範囲内、より好ましくは12.5~25%の範囲内に亘って孔30を形成することがよい。
【0120】
また、2つのコーナー領域23a,23bでは、試験片10の面内での寸法変化のばらつきを含めた寸法安定性を正確に評価できるようにするため、正四角形20におけるTD方向の一辺の両端(つまり、正四角形20の角部20b)からTD方向の中央側へ、それぞれ、TD方向の一辺の長さに対して、少なくとも12.5%以上、好ましくは12.5~32.5%の範囲内、より好ましくは12.5~25%の範囲内に亘って孔30を形成することがよい。
【0121】
また、試験片10の面内を網羅し、部位毎の寸法変化を正確に把握できるようにするために、中心領域21において直線状に配列された両端の孔30間の配列範囲と、コーナー領域23a,23bにおいて同方向に直線状に配列された両端の孔30間の配列範囲とが、重なるようにしてもよい。
具体的には、少なくとも、中心領域21内でMD方向に配列される複数の孔30の両端の位置と、2つのコーナー領域23a,23b内でそれぞれMD方向に配列される複数の孔30の中で最も内側(角部20bから遠い側)の孔30の位置とが、TD方向に平行移動させたときにオーバーラップするように配置してもよい。
同様に、少なくとも、中心領域21内でTD方向に配列される複数の孔30の中で最もコーナー領域23a,23bに近接した孔30の位置と、2つのコーナー領域23a,23b内でTD方向にそれぞれ配列される複数の孔30の中で最も内側(角部20bから遠い側)の孔30の位置とが、MD方向に平行移動させたときにオーバーラップするように配置してもよい。
以上のような配置を考慮すると、中心領域21では、複数の孔30を十字形に配列することが最も合理的であり、また、2つのコーナー領域23a,23bでは、複数の孔30をL字形に配列することが最も合理的である。
【0122】
試験片10の仮想の正四角形20において、孔30を形成する範囲は、孔30の大きさ、孔30の数、孔30と孔30との間隔の長さによって調節することができる。
【0123】
孔30の大きさは、寸法変化の検出精度を高くするため、孔30と孔30との間隔の長さの20%以下の範囲内とすることが好ましい。
【0124】
上記中心領域21と2つのコーナー領域23a,23bに形成する複数の孔30は、試験片10の面内での寸法変化のばらつきを含めた寸法安定性を正確に評価できるようにするため、MD方向及びTD方向のそれぞれにおいて、少なくとも11個以上の直線状の配列を含むことが好ましく、20個以上の直線状の配列を含むことがより好ましい。ここで、孔30の数をn個とすると、後の工程(3)、工程(5)で計測の対象となる隣り合う孔30と孔30との間隔の数はn-1箇所となる。隣り合う孔30と孔30との間隔は、例えば、孔30の数が10個である場合には9箇所となり、孔30の数が21個である場合には20箇所となる。この場合、MD方向及びTD方向において、孔30の数は同じであることが好ましい。
【0125】
孔30と孔30との間の距離は、寸法変化の検出精度を高くするため、2mm以上とすることが好ましい。
【0126】
(3)第1の計測工程:
本工程では、複数の孔30の位置を測定する。そして、各孔30の位置の測定結果から、隣接する孔30と孔30の間の距離L0を算出する。例えば孔30の数が21個であれば、隣接する孔30と孔30の間の20か所の間隔について距離L0を求める。ここで、隣接する孔30と孔30の間の距離L0は、
図5に示すように、ある孔30の中心30aから、隣接する孔30の中心30aまでの距離を意味する。
【0127】
孔30の位置の計測は、特に限定されるものではなく、例えば、試験片10の画像を元に孔30の位置を検出する方法によって実施できる。
【0128】
本工程の孔30の位置の計測は、上記工程(2)に引き続いて実施してもよいが、計測前に、試験片10のコンディションを調整する工程を設けることが好ましい。試験片10のコンディション調整の一例として、調湿処理を挙げることができる。調湿処理は、一定の環境に一定時間(例えば23℃、50RH%の環境で24時間)、試験片10を静置することにより行うことができる。
【0129】
(4)エッチング工程:
本工程では、試験片10の銅層の一部分又は全部をエッチングする。現実に即した寸法安定性を評価するため、エッチングの内容は、銅張積層板100から形成するFPCの配線パターンに準じて行うことが好ましい。試験片10が両面銅張積層板から調製したものである場合は、両側の銅層をエッチングしてもよい。なお、実際のFPCの加工において、熱処理を伴う場合は、エッチング後に、試験片10を任意の温度で加熱する処理を行ってもよい。
【0130】
(5)第2の計測工程:
本工程は、上記(4)のエッチング後に、再度、複数の孔30の位置を測定する工程である。そして、各孔30の位置の測定結果から、
図5に示すように、隣接する孔30と孔30の間の距離L1を算出する。本工程における孔30の位置の計測は、上記工程(3)と同様の方法で行うことができる。
【0131】
本工程の孔30の位置の計測は、上記工程(4)に引き続いて実施してもよいが、上記工程(3)と同様に、試験片10のコンディションを調整する工程を設けることが好ましい。特に、上記工程(3)でコンディション調整を行った場合は、本工程でも、計測前に、同様の条件でコンディション調整を実施することが好ましい。
【0132】
(6)寸法変化量を算出する工程:
本工程では、
図5に示すように、エッチングの前後で同じ2つの孔30の間隔について、第1の計測工程で得られた距離L0と、第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する。そして、同一の直線状に配列された孔30と孔30との間隔の2箇所以上、好ましくは10箇所以上、より好ましくは全てについて、同様に差分L1-L0を算出する。この差分L1-L0を「寸法変化量Δ」とする。
【0133】
(7)配線スケールに換算する工程:
本工程では、工程(6)で得られた寸法変化量Δを、銅張積層板100から形成するFPCにおける配線パターンのスケールに換算し、得られた換算値を、配線パターンの配線幅と配線間隔との和に対する比率で表す。本工程によって、試験に供した銅張積層板100を実際にFPCに加工した場合に、FPCの配線パターンに対し、銅張積層板100の寸法変化が与える影響をわかりやすく表現できる。
【0134】
本工程では、まず、寸法変化量Δを、銅張積層板100から形成する予定のFPCにおけるL/Sの配線パターンにおける配線幅/配線間隔のスケールに換算し、換算した寸法変化量を累積して累積換算寸法変化量を求める。例えばエッチング前の2つの孔30の間の距離L0に対して、形成予定のFPCにおける配線パターンにおける配線幅と配線間隔が、それぞれ、距離L0の1/Yである場合、次式に基づき、寸法変化量Δを2×(1/Y)のスケールにダウンサイジングしたときの値に換算し、2×(1/Y)のスケールの累積換算寸法変化量を求める。
【0135】
累積換算寸法変化量=[Σi=1
i(2×Δi/Y)]
【0136】
上記式において、記号Σi=1
iは、1からiまでの総和を表す。また、寸法変化量Δは、エッチング後における第n番目の孔30と第n-1番目の孔30との距離L1から、エッチング前における第n番目の孔30と第n-1番目の孔30との距離L0を差し引いた値を表す(ここで、nは2以上の整数である)。例えば、Δ1は、第1番目の間隔の長さ(隣り合う2つの孔30間の距離)の寸法変化量であり、Δiは、第i番目(iは正の整数を意味する)の間隔の長さの寸法変化量である。
【0137】
次に、累積換算寸法変化量から、次式に基づき、配線の位置ずれ比率を求める。この配線の位置ずれ比率は、累積換算寸法変化量を、形成予定のL/Sの配線パターンにおける配線幅(Lmm)と配線間隔(Smm)との和に対する比率で表したものである。
配線の位置ずれ比率(%)=
{[Σi=1
i(2×Δi/Y)]/[L+S]}×100
【0138】
以上のようにして算出したFPCにおけるMD及びTDの配線の位置ずれ比率をグラフ上にプロットすることによって、FPCサイズに応じた近似直線が得られる(なお、グラフは図示を省略する)。ここで、「FPCサイズ」とは、FPCにおいて形成された複数の配線の中で最も離れた両端の配線間の距離を意味する。グラフの傾きの大小は、配線の位置ずれの大小を意味し、グラフの傾きのばらつきの大小は、配線の位置ずれの面内ばらつきの大小を意味する。
【0139】
本工程によって、試験に供した銅張積層板100を実際に回路に加工した場合に、FPCの配線パターンに対し、銅張積層板100の寸法変化が与える影響をわかりやすく表現できる。また、近似直線のグラフを作成することによって、FPCサイズに応じて、被試験体である銅張積層板100から作成される配線の位置ずれの大きさや面内のばらつきを可視化して表現できる。
【0140】
なお、上記工程(6)において得られた寸法変化量Δを累積した後、累積寸法変化量を銅張積層板100から形成する予定のFPCにおけるL/Sの配線パターンにおける配線幅/配線間隔のスケールに換算し、累積換算寸法変化量を求めることもできる。例えば、それぞれの間隔における寸法変化量Δを累積し、累積寸法変化量Σを得る。この累積寸法変化量Σは、次の式によって算出することができる。
【0141】
Σ=Δ1+Δ2+Δ3+・・・+Δi=Σi=1
iΔi
【0142】
累積寸法変化量Σは、銅張積層板100のMD方向、TD方向のいずれか片方、好ましくは両方について求めることができる。累積寸法変化量Σの大小によって、銅張積層板100のMD方向、TD方向の寸法安定性を評価できる。また、累積寸法変化量Σの実測値に基づき、スケールアップした近似直線が得られる。
【0143】
以上のように、本評価方法によれば、工程(1)~(7)によって、銅張積層板100の寸法変化を、面内でのばらつきを含めて高精度に評価することが可能になる。また、銅張積層板100から多数個採りを行う場合であっても、FPCへの加工領域毎に、個別に寸法安定性を評価することが可能になる。
【0144】
<FPC>
本実施の形態の銅張積層板は、主にFPC材料として有用である。すなわち、本実施の形態の銅張積層板の銅層を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPCを製造できる。
【実施例】
【0145】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
【0146】
[粘度の測定]
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
【0147】
[重量平均分子量の測定]
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー株式会社製、商品名;HLC-8220GPC)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にはN,N-ジメチルアセトアミドを用いた。
【0148】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。なお、DMAを用いて測定された30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、360℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa未満を示すものを「熱可塑性」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、360℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上を示すものを「非熱可塑性」とした。
【0149】
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
【0150】
[銅箔の表面粗度の測定]
銅箔の表面粗度は、AFM(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:Dimension Icon型SPM)、プローブ(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:TESPA(NCHV)、先端曲率半径10nm、ばね定数42N/m )を用いて、タッピングモードで、銅箔表面の80μm×80μmの範囲について測定し、十点平均粗さ(Rz)を求めた。
【0151】
[ピール強度の測定]
1)片面銅張積層板のキャスト側(樹脂塗工側)
片面銅張積層板(銅箔/樹脂層)の銅箔を幅1.0mmに回路加工した後、幅;8cm×長さ;4cmに切断し、測定サンプル1を調製した。測定サンプル1のキャスト側のピール強度は、テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE-1D)を用いて、測定サンプル1の樹脂層側を両面テープによりアルミ板に固定し、銅箔を90°方向に50mm/分の速度で、銅箔を樹脂層から10mm剥離したときの中央強度を求めた。この値をピール強度1Aとする。
2)両面銅張積層板のキャスト側(樹脂塗工側)
両面銅張積層板(銅箔/樹脂層/銅箔)の熱圧着側とキャスト側の両面の銅箔を幅0.8mmに回路加工(両面の銅箔が同じ位置になるように配線加工)した後、幅;8cm×長さ;4cmに切断し、測定サンプル2を調製した。測定サンプル2のキャスト側のピール強度は、テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE-1D)を用いて、測定サンプル2の熱圧着側の銅箔面を両面テープによりアルミ板に固定し、銅箔を90°方向に50mm/分の速度で、樹脂塗工側の銅箔と樹脂層から10mm剥離したときの中央値強度を求めた。この値をピール強度2Aとする。
【0152】
[面内リタデーション(RO)の測定]
面内リタデーション(RO)は、複屈折率計(フォトニックラティス社製、商品名;ワイドレンジ複屈折評価システムWPA-100、測定エリア;MD:140mm×TD:100mm)を用いて、所定のサンプルの面内方向のリタデーションを求めた。なお、入射角は、0°、測定波長は、543nmである。
【0153】
[引張弾性率の測定]
銅箔の引張弾性率は、真空オーブンを用いて銅張積層板の処理工程と同等の熱処理を与えた銅箔を適用し、株式会社東洋精機製作所製ストログラフR-1を用いて、温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張弾性率の値を測定した。
【0154】
実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
NTCDA:2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
m‐EOB:2,2'-ジエトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
DAPE:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
【0155】
(合成例1)
窒素気流下で、反応槽に、1146.4重量部のm-TB(5.4モル部)及び175.4重量部のTPE-R(0.6モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、706.1重量部のBPDA(2.4モル部)及び965.4重量部のNTCDA(3.6モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液1を得た。ポリアミド酸溶液1の溶液粘度は41,100cpsであった。
【0156】
次に、ステンレス製の支持基材上に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミドフィルム1(ビフェニルテトライル基及びビフェニレン基;65モル%、非熱可塑性、Tg;400℃以上、CTE;7.7ppm/K)を調製した。
【0157】
(合成例2)
窒素気流下で、反応槽に、743.0重量部のm-TB(3.5モル部)及び672.4重量部のTPE-R(2.3モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、353.1重量部のBPDA(1.2モル部)及び1233.6重量部のNTCDA(4.6モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液2を得た。ポリアミド酸溶液2の溶液粘度は41,900cpsであった。
【0158】
次に、ステンレス製の支持基材上に、ポリアミド酸溶液2を硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミドフィルム2(ビフェニルテトライル基及びビフェニレン基;41モル%、非熱可塑性、Tg;391℃、CTE;19.1ppm/K)を調製した。
【0159】
(合成例3)
窒素気流下で、反応槽に、1040.2重量部のm-TB(4.9モル部)及び350.8重量部のTPE-R(1.2モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、529.6重量部のBPDA(1.8モル部)、643.6重量部のNTCDA(2.4モル部)及び392.6重量部のPMDA(1.8モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液3を得た。ポリアミド酸溶液3の溶液粘度は32,500cpsであった。
【0160】
次に、ステンレス製の支持基材上に、ポリアミド酸溶液3を硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミドフィルム3(ビフェニルテトライル基及びビフェニレン基;55モル%、非熱可塑性、Tg;377℃、CTE;14.8ppm/K)を調製した。
【0161】
(合成例4)
窒素気流下で、反応槽に、552.0重量部のm-TB(2.6モル部)及び760.9重量部のDAPE(3.8モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、1716.3重量部のNTCDA(6.4モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液4を得た。ポリアミド酸溶液4の溶液粘度は42,300cpsであった。
【0162】
次に、ステンレス製の支持基材上に、ポリアミド酸溶液4を硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミドフィルム4(ビフェニレン基;20モル%、非熱可塑性、Tg;400℃以上、CTE;32.1ppm/K)を調製した。
【0163】
(合成例5)
窒素気流下で、反応槽に、898.7重量部のm-EOB(3.3モル部)及び660.8重量部のDAPE(3.3モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、1439.6重量部のPMDA(6.6モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液5を得た。ポリアミド酸溶液5の溶液粘度は31,700cpsであった。
【0164】
次に、ステンレス製の支持基材上に、ポリアミド酸溶液5を硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミドフィルム5(ビフェニレン基;25モル%、非熱可塑性、Tg;376℃、CTE;33.5ppm/K)を調製した。
【0165】
(合成例6)
窒素気流下で、反応槽に、63.7重量部のm-TB(0.3モル部)及び1490.9重量部のTPE-R(5.1モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、1118.0重量部のBPDA(3.8モル部)及び349.0重量部のPMDA(1.6モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液6を得た。ポリアミド酸溶液6の溶液粘度は6,700cps、重量平均分子量は163,400であった。
【0166】
次に、ステンレス製の支持基材上に、ポリアミド酸溶液6を硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミドフィルム6(ビフェニルテトライル基及びビフェニレン基;38モル%、熱可塑性、Tg;242℃、30℃の貯蔵弾性率;4.3×109Pa、360℃の貯蔵弾性率;1.4×107Pa)を調製した。
【0167】
(合成例7)
窒素気流下で、反応槽に、743.0重量部のm-TB(3.5モル部)及び672.4重量部のTPE-R(2.3モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、1206.3重量部のBPDA(4.1モル部)及び370.8重量部のPMDA(1.7モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液7を得た。ポリアミド酸溶液7の溶液粘度は7,200cps、重量平均分子量は112,000であった。
【0168】
次に、ステンレス製の支持基材上に、ポリアミド酸溶液7を硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミドフィルム7(ビフェニルテトライル基及びビフェニレン基;66モル%、熱可塑性、Tg;266℃、30℃の貯蔵弾性率;4.3×109Pa、360℃の貯蔵弾性率;7.1×107Pa)を調製した。
【0169】
(合成例8)
窒素気流下で、反応槽に、233.5重量部のm-TB(1.1モル部)及び1344.7重量部のTPE-R(4.6モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、676.7重量部のBPDA(2.3モル部)及び741.6重量部のPMDA(3.4モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液8を得た。ポリアミド酸溶液8の溶液粘度は7,400cps、重量平均分子量は163,400であった。
【0170】
次に、ステンレス製の支持基材上に、ポリアミド酸溶液8を硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミドフィルム8(ビフェニルテトライル基及びビフェニレン基30モル%、熱可塑性、Tg;279℃、30℃の貯蔵弾性率;4.1×109Pa、360℃の貯蔵弾性率;7.9×107Pa)を調製した。
【0171】
[実施例1-1]
エンドレスベルト状のステンレス製の支持基材上に、マルチマニホールド式の3共押出多層ダイを用いて、ポリアミド酸溶液7/ポリアミド酸溶液1/ポリアミド酸溶液7の順の3層構造で連続的に押し出して塗布し、130℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、熱可塑性ポリイミド層/非熱可塑性ポリイミド層/熱可塑性ポリイミド層の厚みが、それぞれ2.5μm/20μm/2.5μmのポリイミドフィルム1a’を調製した。支持基材上のポリイミドフィルム1a’をナイフエッジ法により剥離して、幅方向の長さが1100mmの長尺状ポリイミドフィルム1aを調製した。
【0172】
<面内リタデーション(RO)評価用サンプルの調製>
長尺状ポリイミドフィルム1aにおけるTD方向の左右2つの端部(Left及びRight)並びに中央部(Center)のそれぞれにおいて、A4サイズ(TD:210mm×MD:297mm)に切断し、サンプルL1(Left)、サンプルR1(Right)及びサンプルC1(Center)を調製した。
【0173】
<面内リタデーション(RO)の評価>
サンプルL1、サンプルR1及びサンプルC1のそれぞれについて面内リタデーション(RO)をそれぞれ測定した。各サンプルの測定値の最大値を「面内リタデーション(RO)」とし、面内リタデーション(RO)の測定値における最大値と最小値の差を「幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO)」とした。また、「温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量」は、サンプルC1における加圧前及び加圧後のそれぞれの面内リタデーション(RO)の測定値における最大値の差とした。
なお、各サンプルにおける測定エリアは以下のとおりである。
サンプルL1:TD方向の左側端部領域及びMD方向の中央領域
サンプルR1:TD方向の右側端部領域及びMD方向の中央領域
サンプルC1:TD方向及びMD方向の中央領域
【0174】
長尺状ポリイミドフィルム1aの評価結果は以下のとおりである。
CTE;17ppm/K
面内リタデーション(RO);11nm
幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO);1nm
温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量;3nm
【0175】
[実施例1-2]
幅方向(TD方向)の長さを540mmとした以外、実施例1-1と同様にして、長尺状ポリイミドフィルム1bを調製した。
【0176】
長尺状ポリイミドフィルム1bの評価結果は以下のとおりである。
CTE;17ppm/K
面内リタデーション(RO);11nm
幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO);1nm
温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量;3nm
【0177】
[実施例1-3]
長尺状の銅箔1(圧延銅箔、JX金属株式会社製、商品名;GHY5-93F-HA-V2箔、厚み;12μm、熱処理後の引張弾性率;18GPa、幅方向の長さ;540mm)の表面に、ポリアミド酸溶液7を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、120℃で1分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その上にポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。更に、その上にポリアミド酸7を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、120℃で1分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化後を完結して、片面銅張積層板1aを調製した。
【0178】
片面銅張積層板1aの銅箔をエッチング除去して調製した長尺状ポリイミドフィルムの評価結果は以下のとおりである。
CTE;17ppm/K
面内リタデーション(RO);11nm
幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO);1nm
【0179】
上記の片面銅張積層板1aのポリイミド層側に、銅箔1を重ね合わせ、温度360℃、圧力340MPa/m2の条件で15分間熱圧着して、両面銅張積層板1aを調製した。両面銅張積層板1aの銅箔をエッチング除去して調製した長尺状ポリイミドフィルムの面内リタデーション(RO)は8nmであった。
【0180】
調製した両面銅張積層板1aの中央部をスリット加工し、寸法安定性の評価用サンプルの材料として、長尺状の銅張積層板1a’(端幅;250mm)を準備した。
【0181】
<寸法安定性の評価用サンプルの調製>
上記の銅張積層板1a’をMD方向に長さ250mmに切断し、MD:250mm×TD:250mmとした。
図6に示したとおり、切断後の銅張積層板におけるMD:200mm×TD:200mmの範囲に仮想の正四角形を想定した。この仮想の正四角形のTD方向の一辺を共有する2つの角部を1つずつ含む左右2つのコーナー領域(Left及びRight)並びに仮想の正四角形の中心を含む中央領域(Center)のそれぞれにおいて、MD及びTD方向に2.5mm間隔で連続して21個の孔あけ加工を行って、評価用サンプルを調製した。なお、孔あけ加工は、0.105mm径のドリルを用いた。
【0182】
<寸法安定性の評価>
非接触CNC画像測定機(Mitutoyo社製、商品名;クイックビジョン QV-X404PIL-C)を使用して、評価用サンプルにおける両面の銅箔層の全部をエッチングして除去した前後における各孔の位置を測定した。測定値からエッチング前後における隣り合う2孔間距離の寸法変化量及び累積寸法変化量を算出した。
【0183】
長尺状の銅張積層板1a’を準備し、
図7に示すように、評価用サンプル1、2を調製した。評価用サンプル1、2のそれぞれについて、Center、Left、及びRightにおけるエッチング前後の各孔の位置を測定した。測定値からエッチング前後における隣り合う2孔間の距離の寸法変化量及びそれらの合計(20ケ所)の累積寸法変化量を算出した。
【0184】
銅張積層板1a’における評価結果をもとに、MDの累積寸法変化量とばらつきを表1に示した。なお、表1では、Left、Center、Rightにおける累積寸法変化率と、累積寸法変化量を想定FPCサイズ10mmに換算した累積換算寸法変化量で示しており、Left、Center、Rightの全範囲におけるばらつきも示している。なお、「累積寸法変化率」は、エッチング前の2孔間距離の合計値に対する累積寸法変化量の比率(%)を意味する。また、表中の「範囲」の数値は、Left、Center、Rightの全範囲における中央値±上下範囲を意味する(表2、表3において同じ)。
【0185】
【0186】
この結果より、銅張積層板1a’を材料として形成した回路配線基板(L/S=0.025mm/0.0025mm)について、配線の位置ずれ比率及び試験片の面内での寸法変化率のばらつきが評価できることを確認すると共に、実施例1-3の両面銅張積層板1aにおける各FPCサイズでの配線の位置ずれ比率のばらつきが小さいことを確認出来た。また、ポリイミドフィルムのCTEの制御だけでは成し得なかった銅張積層板の高い寸法安定精度を実現するために、面内リタデーションの制御が重要であることが確認出来た。
【0187】
[実施例1-4]
実施例1-2で調製した長尺状ポリイミドフィルム1bの両面に銅箔1を重ね合わせ、温度360℃、圧力340MPa/m2の条件で15分間熱圧着して、両面銅張積層板1bを調製し、実施例1-3と同様にして、長尺状の銅張積層板1b’(端幅;250mm)を準備し、寸法安定性の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0188】
【0189】
[比較例1-1]
長尺状ポリイミドフィルム1c(厚さ;25μm、カネカ社製、商品名;ピクシオ)を準備した。
長尺状ポリイミドフィルム1cの評価結果は以下のとおりである。
CTE;17ppm/K
面内リタデーション(RO);200nm
幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO);80nm
温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量;30nm
【0190】
[比較例1-2]
長尺状ポリイミドフィルム1cの両面に銅箔1を重ね合わせ、温度360℃、圧力340MPa/m2の条件で15分間熱圧着して、両面銅張積層板1cを調製し、実施例1-3と同様にして、長尺状の銅張積層板1c’(端幅;250mm)を準備し、寸法安定性の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0191】
【0192】
[実施例2-1]
ポリアミド酸溶液8/ポリアミド酸溶液1/ポリアミド酸溶液8の順の3層構造以外は、実施例1-1と同様にして、幅方向の長さが1100mmの長尺状ポリイミドフィルム2を調製した。
長尺状ポリイミドフィルム2の評価結果は以下のとおりである。
CTE;17ppm/K
面内リタデーション(RO);11nm
幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO);1nm
温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量;5nm
【0193】
[実施例3-1]
ポリアミド酸溶液6/ポリアミド酸溶液2/ポリアミド酸溶液6の順の3層構造以外は、実施例1-1と同様にして、幅方向の長さが1100mmの長尺状ポリイミドフィルム3を調製した。
長尺状ポリイミドフィルム3の評価結果は以下のとおりである。
CTE;17ppm/K
面内リタデーション(RO);17nm
幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO);3nm
温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量;7nm
【0194】
[実施例4-1]
ポリアミド酸溶液8/ポリアミド酸溶液3/ポリアミド酸溶液8の順の3層構造以外は、実施例1-1と同様にして、幅方向の長さが1100mmの長尺状ポリイミドフィルム4を調製した。
長尺状ポリイミドフィルム4の評価結果は以下のとおりである。
CTE;17ppm/K
面内リタデーション(RO);15nm
幅方向(TD方向)の面内リタデーション(RO)のばらつき(ΔRO);2nm
温度360℃の環境下、圧力340MPa/m2、保持時間15分間の加圧前後における面内リタデーション(RO)の変化量;10nm
【0195】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
【0196】
本出願は、2016年4月27日に出願された日本国特願2016-89514号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容をここに援用する。
【符号の説明】
【0197】
10…試験片、20…仮想の正四角形、20a…中心、20b…角部、21…中心領域、23a,23b…コーナー領域、30…孔、100…銅張積層板