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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/427 20060101AFI20220222BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H01L23/46 B
H05K7/20 D
H05K7/20 Q
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021037415
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2021-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】川畑 賢也
(72)【発明者】
【氏名】目黒 正大
(72)【発明者】
【氏名】津端 諒
(72)【発明者】
【氏名】青木 博史
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義勝
(72)【発明者】
【氏名】坂井 啓志
(72)【発明者】
【氏名】川端 秀明
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-085426(JP,A)
【文献】特開2020-176773(JP,A)
【文献】特開2010-212623(JP,A)
【文献】特開平10-267571(JP,A)
【文献】特開2004-119621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/427
H05K 7/20
H01L 23/36
F28D 15/02-15/04
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞部が内部に形成された、第1の面と前記第1の面に対向した第2の面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記第1の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有することで、前記コンテナが、平面部と前記平面部から外方向へ突出した凸部を有し、
前記コンテナの前記凸部の内部空間が、前記平面部の内部空間と連通していることで、前記空洞部が形成され、
前記第1の面のうち、前記平面部位の外面に第1の放熱フィンが設けられ、前記第2の面の外面に第2の放熱フィンが設けられ
前記凸部が、前記コンテナの幅方向における、中央部、一端及び/または他端に設けられているヒートシンク。
【請求項2】
空洞部が内部に形成された、第1の面と前記第1の面に対向した第2の面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記第1の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有し、前記第2の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有することで、前記コンテナが、平面部と前記平面部から外方向へ突出した凸部を有し、
前記コンテナの前記凸部の内部空間が、前記平面部の内部空間と連通していることで、前記空洞部が形成され、
前記第1の面のうち、前記平面部位の外面に第1の放熱フィンが設けられ、前記第2の面のうち、前記平面部位の外面に第2の放熱フィンが設けられているヒートシンク。
【請求項3】
前記コンテナが、一方の板状体と前記一方の板状体と対向する他方の板状体とにより形成され、前記一方の板状体が、外方向へ突出した凸部を有する請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記コンテナが、一方の板状体と前記一方の板状体と対向する他方の板状体とにより形成され、前記一方の板状体と前記他方の板状体が、外方向へ突出した凸部を有する請求項2に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記凸部が、被冷却体である発熱体が熱的に接続される受熱部を有し、前記凸部の先端に、放熱フィンが設けられていない請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記凸部が、段差部を有し、前記段差部の外面に、さらに第3の放熱フィンが設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記凸部の側面が、前記凸部の先端に向かうに従って幅狭である傾斜部を有し、前記傾斜部の外面に、さらに第4の放熱フィンが設けられている請求項1乃至6のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記凸部が、一つ設けられている請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項9】
前記凸部が、複数設けられている請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項10】
前記コンテナの平面部に段差が設けられている請求項1乃至9のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項11】
前記空洞部には、前記コンテナ全体にわたってウィック構造体が設けられている請求項1乃至10のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた放熱フィン効率を有することで、優れた冷却特性を発揮するヒートシンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器に搭載されている半導体素子等の電子部品は、高機能化に伴う高密度搭載等により、発熱量が増大し、近年、その冷却がより重要となっている。電子部品等の発熱体の冷却方法として、ベーパーチャンバに放熱フィンが設けられたヒートシンクが使用されることがある。
【0003】
ベーパーチャンバは、内部に空洞部が形成された平面型コンテナと、平面型コンテナの空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備えた熱輸送部材である。ベーパーチャンバの空洞部は、減圧処理された密閉空間となっている。ベーパーチャンバの熱輸送機能によって、ベーパーチャンバに熱的に接続された発熱体からの熱がベーパーチャンバ全体にわたって輸送され、ベーパーチャンバ全体に輸送された熱が、ベーパーチャンバの外面に熱的に接続された放熱フィンへ伝導し、放熱フィンから外部環境へ放熱されることで、発熱体が冷却される。
【0004】
ヒートシンクの冷却対象である半導体素子等の発熱体は発熱量がますます増大していることから、高発熱量の発熱体を効率よく冷却するために、例えば、発熱体から奪った熱を拡散する熱拡散部と、前記熱拡散部の厚み方向に積層され、前記熱拡散部が拡散する熱を輸送する熱輸送部と、を備え、前記熱拡散部は、上部板と、前記上部板と対向する下部板と、前記上部板と前記下部板との積層によって形成される冷媒を封入可能な内部空間と、を備え、前記熱輸送部は、上部板と、前記上部板と対向する下部板と、前記上部板と前記下部板との積層によって形成される冷媒を封入可能な内部空間と、を備えた冷却装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、熱拡散機能を有するベーパーチャンバと熱輸送機能を有するベーパーチャンバとの積層構造とすることで、高発熱量の発熱体を効率よく冷却させる装置である。
【0005】
しかし、特許文献1では、熱拡散機能を有するベーパーチャンバに熱輸送機能を有するベーパーチャンバが熱的に接続された構造となっているので、熱拡散機能を有するベーパーチャンバと熱輸送機能を有するベーパーチャンバとの間に熱抵抗が生じることから、高発熱量の発熱体を効率よく冷却する点で、改善の必要性があった。
【0006】
一方で、高発熱量の発熱体を冷却するために、ベーパーチャンバの外面に熱的に接続される放熱フィンのフィン面積を増大させて、放熱フィンの放熱特性を向上させることが提案されている。しかし、放熱フィンのフィン面積を増大させると、放熱フィンのうち、放熱に寄与する領域と放熱に十分には寄与できない領域が生じて、放熱フィンの放熱効率が低下してしまう場合があるという問題があった。すなわち、放熱フィンのフィン面積を増大させることでヒートシンク全体としての体積が増大しても、ヒートシンクとしての放熱特性の向上が十分とはいえないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-212623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、放熱フィンの放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることで、優れた放熱特性を発揮できるヒートシンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1]空洞部が内部に形成された、第1の面と前記第1の面に対向した第2の面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記第1の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有することで、前記コンテナが、平面部と前記平面部から外方向へ突出した凸部を有し、
前記コンテナの前記凸部の内部空間が、前記平面部の内部空間と連通していることで、前記空洞部が形成され、
前記第1の面のうち、前記平面部位の外面に第1の放熱フィンが設けられ、前記第2の面の外面に第2の放熱フィンが設けられているヒートシンク。
[2]空洞部が内部に形成された、第1の面と前記第1の面に対向した第2の面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記第1の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有し、前記第2の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有することで、前記コンテナが、平面部と前記平面部から外方向へ突出した凸部を有し、
前記コンテナの前記凸部の内部空間が、前記平面部の内部空間と連通していることで、前記空洞部が形成され、
前記第1の面のうち、前記平面部位の外面に第1の放熱フィンが設けられ、前記第2の面のうち、前記平面部位の外面に第2の放熱フィンが設けられているヒートシンク。
[3]前記コンテナが、一方の板状体と前記一方の板状体と対向する他方の板状体とにより形成され、前記一方の板状体が、外方向へ突出した凸部を有する[1]に記載のヒートシンク。
[4]前記コンテナが、一方の板状体と前記一方の板状体と対向する他方の板状体とにより形成され、前記一方の板状体と前記他方の板状体が、外方向へ突出した凸部を有する[2]に記載のヒートシンク。
[5]前記凸部が、被冷却体である発熱体が熱的に接続される受熱部を有し、前記凸部の先端に、放熱フィンが設けられていない[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[6]前記凸部が、段差部を有し、前記段差部の外面に、さらに第3の放熱フィンが設けられている[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[7]前記凸部の側面が、前記凸部の先端に向かうに従って幅狭である傾斜部を有し、前記傾斜部の外面に、さらに第4の放熱フィンが設けられている[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[8]前記凸部が、一つ設けられている[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[9]前記凸部が、複数設けられている[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[10]前記コンテナの平面部に段差が設けられている[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヒートシンクの態様によれば、コンテナの第1の面が平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有することで、前記コンテナが平面部と前記平面部から外方向へ突出した凸部を有し、前記第1の面のうち、前記平面部位の外面に第1の放熱フィンが設けられ、前記第2の面に第2の放熱フィンが設けられていることにより、放熱フィンの放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができるので、優れた放熱特性を発揮できる。すなわち、本発明のヒートシンクの態様によれば、放熱フィンが、第1の放熱フィンと第2の放熱フィンに分割された態様でコンテナに熱的に接続されているので、放熱フィンのフィン面積を増大させても、放熱に十分寄与できない領域の発生を防止して、放熱フィンの放熱効率の低下を防止できる。
【0011】
また、本発明のヒートシンクの態様によれば、前記コンテナの前記凸部の内部空間が前記平面部の内部空間と連通していることで前記コンテナの空洞部が形成されていることにより、コンテナの平面部と凸部との間の熱抵抗を防止できることから、高発熱量の発熱体を効率よく冷却することができる。
【0012】
本発明のヒートシンクの態様によれば、ヒートシンクの設置される環境と発熱体の配置等により、第1の面が平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有し、第2の面が平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した凸部位を有することで、前記コンテナが、平面部と前記平面部から外方向へ突出した凸部を有し、前記第1の面のうち、前記平面部位の外面に第1の放熱フィンが設けられ、前記第2の面のうち、前記平面部位の外面に第2の放熱フィンが設けられている態様とすることもできることから、発熱体の配置等に応じた設計の自由度に優れている。
【0013】
すなわち、本発明のヒートシンクの態様によれば、発熱体の配置等に応じた設計の自由度を有しつつ、放熱フィンが、第1の放熱フィンと第2の放熱フィンに分割された態様でコンテナに熱的に接続されているので、放熱フィンのフィン面積を増大させても、放熱に十分寄与できない領域の発生を防止して、放熱フィンの放熱効率の低下を防止できる。
【0014】
本発明のヒートシンクの態様によれば、凸部が段差部を有し、前記段差部の外面に、さらに第3の放熱フィンが設けられていることにより、凸部を有しつつコンテナに接続される放熱フィンの枚数をさらに増やすことができるので、放熱特性がさらに向上する。
【0015】
本発明のヒートシンクの態様によれば、凸部の側面が前記凸部の先端に向かうに従って幅狭である傾斜部を有し、前記傾斜部の外面に、さらに第4の放熱フィンが設けられていることにより、凸部を有しつつコンテナに接続される放熱フィンの枚数をさらに増やすことができるので、放熱特性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図2】本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図3】本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図4】本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図5】本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図6】本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図7】本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する底面図である。
図8】本発明の第8実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図9】本発明の第9実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図10】本発明の第10実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図1は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク1は、対向する2枚の板状体、すなわち、一方の板状体11と一方の板状体11と対向する他方の板状体12とを重ねることにより空洞部13が内部に形成されたコンテナ10と、空洞部13に封入された作動流体(図示せず)と、気相の作動流体が流通する、空洞部13に設けられた蒸気流路15と、を備えている。内部に空洞部13が形成されたコンテナ10と作動流体と蒸気流路15とで、ベーパーチャンバ14が形成されている。
【0019】
コンテナ10は、薄型の板状コンテナであり、一方の板状体11が第1の主表面である第1の面21を有し、他方の板状体12が第2の主表面である第2の面22を有している。従って、コンテナ10は、第1の主表面である第1の面21と、第1の面21に対向した、第2の主表面である第2の面22と、を有している。
【0020】
第1の面21は、平坦な平面部位32と平面部位32から外方向へ突出した凸部位31を有している。ヒートシンク1では、凸部位31は、第1の面21の中央部に1つ設けられている。また、凸部位31の側面は、平面部位32から鉛直方向へ突出している。一方で、第2の面22は、凸部位を有しておらず、第2の面22全体が、平坦な平面部位となっている。第1の面21が平面部位32と平面部位32から外方向へ突出した凸部位31を有していることで、コンテナ10が、平面部17と平面部17から外方向へ突出した凸部16を有している。従って、コンテナ10は、第1の面21の中央部に凸部16が一つ設けられており、第2の面22には凸部は設けられていない。上記から、コンテナ10の平面部17と凸部16は、一体成型されている。また、凸部16の側面は、平面部17から鉛直方向へ突出している。
【0021】
また、一方の板状体11には、第1の面21の周縁に沿って側壁23が立設され、他方の板状体12には、第2の面22の周縁に沿って側壁24が立設されている。一方の板状体11の側壁23の先端と他方の板状体12の側壁24の先端とを対向配置させて当接させることにより、コンテナ10の内部空間である空洞部13が形成される。従って、側壁23と側壁24にて、コンテナ10の側面が形成されている。空洞部13は、密閉空間であり、脱気処理により減圧されている。コンテナ10の凸部16の内部空間は、平面部17の内部空間と連通しており、凸部16の内部空間と平面部17の内部空間とから、コンテナ10の空洞部13が形成されている。従って、作動流体は、凸部16の内部空間と平面部17の内部空間との間で流通可能となっている。
【0022】
コンテナ10の形状は、特に限定されないが、ヒートシンク1では、例えば、平面視(コンテナ10の平面部17に対して鉛直方向から視認した状態)にて、四角形状等の多角形状、円形状、楕円形状、直線部と湾曲部を有する形状等が挙げられる。
【0023】
ヒートシンク1では、第1の面21のうち、平面部位32の外面に第1の放熱フィン41が立設されて、コンテナ10に第1の放熱フィン41が熱的に接続されている。第1の放熱フィン41は、平面部位32の延在方向に沿って、所定間隔にて、複数、並列配列されている。第1の放熱フィン41は、複数、並列配列されて、第1の放熱フィン群42を形成している。ヒートシンク1では、第1の放熱フィン群42を形成している複数の第1の放熱フィン41、41、41・・・の高さは、いずれも略同じとなっている。また、第1の放熱フィン41の高さは、凸部16の高さ以下となっている。ヒートシンク1では、第1の放熱フィン41の高さは、凸部16の高さよりも低くなっており、第1の放熱フィン41の先端は、凸部16の先端よりもコンテナ10の平面部17方向へ後退した態様となっている。
【0024】
一方で、コンテナ10の凸部16には、放熱フィンは設けられていない。ヒートシンク1では、凸部16の先端にも側面にも、放熱フィンは設けられていない。上記から、複数の第1の放熱フィン41、41、41・・・は、第1の面21の凸部位31を除いて、第1の面21の一端から他端まで配置されている。
【0025】
図1に示すように、コンテナ10の凸部16は、被冷却体である発熱体100が熱的に接続される部位であり、ベーパーチャンバ14の受熱部、すなわち、ヒートシンク1の受熱部として機能する。発熱体100は、凸部16の先端に熱的に接続されている。上記から、凸部16は、発熱体100が熱的に接続される受熱部を有し、発熱体100が熱的に接続される凸部16の先端には、放熱フィンは設けられていない。発熱体100としては、例えば、配線基板(図示せず)に搭載された中央演算処理装置等の電子部品が挙げられる。第1の放熱フィン41の先端は凸部16の先端よりもコンテナ10の平面部17方向に位置しているので、配線基板に搭載された発熱体100であっても、第1の放熱フィン41に邪魔されずに、凸部16の先端に発熱体100を熱的に接続することができる。
【0026】
第2の面22には、凸部位は設けられておらず、全体が平坦面となっている。第2の面22の外面には、第2の放熱フィン43が立設されて、コンテナ10に第2の放熱フィン43が熱的に接続されている。第2の放熱フィン43は、第2の放熱フィン43の主表面が第1の放熱フィン41の主表面と略平行となるように、第2の面22の外面に立設されている。また、第2の放熱フィン43は、第2の面22の延在方向に沿って、所定間隔にて、複数、並列配列されている。第2の放熱フィン43は、複数、並列配列されて、第2の放熱フィン群44を形成している。ヒートシンク1では、第2の放熱フィン群44を形成している複数の第2の放熱フィン43、43、43・・・の高さは、いずれも略同じとなっている。複数の第2の放熱フィン43、43、43・・・は、第2の面22の一端から他端まで配置されている。
【0027】
上記から、コンテナ10は、凸部16に対応する部位では、第2の面22のみ、すなわち、板状であるコンテナ10の片面にのみ放熱フィンが熱的に接続されている。また、コンテナ10は、平面部17に対応する部位では、第1の面21と第2の面22、すなわち、板状であるコンテナ10の両面に放熱フィンが熱的に接続されている。上記から、コンテナ10の平面部17では、放熱フィンは、コンテナ10の両面(すなわち、第1の面21と第2の面22)に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されている。従って、コンテナ10の平面部17では、凸部16と比較して放熱フィンのフィン面積が増大している。第1の放熱フィン41、第2の放熱フィン43が熱的に接続されているコンテナ10の部位が、ベーパーチャンバ14の放熱部、すなわち、ヒートシンク1の放熱部として機能する。
【0028】
第1の放熱フィン41の高さと第2の放熱フィン43の高さの関係は、ヒートシンク1の設置環境や発熱体100の発熱量等により適宜選択可能であるが、ヒートシンク1では、第2の放熱フィン43の高さが、第1の放熱フィン41の高さよりも高い態様となっている。従って、ヒートシンク1では、第2の放熱フィン群44の高さが、第1の放熱フィン群42の高さよりも高い態様となっている。
【0029】
コンテナ10の空洞部13には、毛細管力を生じるウィック構造体(図示せず)が設けられている。ウィック構造体は、例えば、コンテナ10全体にわたって設けられている。ウィック構造体の毛細管力によって、ベーパーチャンバ14の放熱部にて気相から液相へ相変化した作動流体が、ベーパーチャンバ14の放熱部から受熱部へ還流する。ウィック構造体としては、特に限定されないが、例えば、銅粉等の金属粉の焼結体、金属線からなる金属メッシュ、不織布、コンテナ10の内面に形成されたグルーブ(複数の細溝)等、またはそれらを組み合わせたものを挙げることができる。また、凸部16のうち、発熱体100が接続される受熱部位、すなわち、凸部16の底部に、ウィック構造体として毛細管力の大きな第1のウィック構造体が設けられることでドライアウトを防止できる。一方で、凸部16の底部以外の部位、例えば、コンテナ10の凸部16の側面及びコンテナ10の平面部17やコンテナ10の側面に、ウィック構造体として第1のウィック構造体よりも毛細管力の小さな第2のウィック構造体が設けられることで、液相の作動流体が還流するときの流路抵抗を低減することができる。ウィック構造体が、例えば、金属粉の焼結体の場合には、第1のウィック構造体の原料となる金属粉の平均一次粒子径は、50μm以上100μm以下が挙げられ、第2のウィック構造体の原料となる金属粉の平均一次粒子径は、200μm以上300μm以下が挙げられる。
【0030】
蒸気流路15は、コンテナ10の内部空間であり、コンテナ10全体にわたって延在している。従って、気相の作動流体は、蒸気流路15によって、コンテナ10全体にわたって流通することができる。また、蒸気流路15には、コンテナ10の内部空間を維持するためのピラー(柱状部材)を設けることができる。ピラーとしては、特に限定されないが、液相の作動流体が還流するときの流路抵抗を低減するために、例えば、柱形状の金属部材(例えば、銅部材)の周囲にウィック構造体が被覆された複合材のピラー、柱形状である銅粉等の金属粉の焼結体等を挙げることができる。
【0031】
コンテナ10の材質としては、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、スズ、スズ合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金等を挙げることができる。第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の材質は、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料、黒鉛等の炭素材料、炭素材料を用いた複合部材などを挙げることができる。
【0032】
空洞部13に封入される作動流体としては、コンテナ10の材質との適合性に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール、これらの混合物等を挙げることができる。
【0033】
また、ヒートシンク1は、必要に応じて、送風ファン(図示せず)により強制空冷されてもよい。送風ファンからの冷却風が、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の主表面に沿って供給されることで、第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44が冷却される。
【0034】
次に、ヒートシンク1の冷却機能のメカニズムについて説明する。まず、コンテナ10の凸部16の先端に被冷却体である発熱体100を熱的に接続する。コンテナ10が凸部16にて発熱体100から受熱すると、コンテナ10の凸部16において、発熱体100から空洞部13の液相の作動流体へ熱が伝達されて、液相の作動流体が気相の作動流体へと相変化する。気相の作動流体は、蒸気流路15をコンテナ10の凸部16から平面部17へ流通していき、平面部17全体にわたって拡散していく。気相の作動流体がコンテナ10の凸部16から平面部17全体にわたって拡散していくことで、コンテナ10が発熱体100からの熱を凸部16からコンテナ10全体に輸送して、発熱体100からの熱がコンテナ10全体に拡散する。コンテナ10全体にわたって流通可能な気相の作動流体は、第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44の熱交換作用によって潜熱を放出して気相から液相へ相変化する。放出された潜熱は、コンテナ10に熱的に接続されている第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44へ伝達される。コンテナ10から第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44へ伝達された熱は、第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44を介してヒートシンク1の外部環境へ放出される。潜熱を放出して気相から液相に相変化した作動流体は、コンテナ10に設けられたウィック構造体の毛細管力により、コンテナ10の平面部17から凸部16へ還流、すなわち、ベーパーチャンバ14の放熱部から受熱部へ還流する。
【0035】
本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク1では、コンテナ10の第1の面21が平面部位32と平面部位32から外方向へ突出した凸部位31を有することで、コンテナ10が平面部17と平面部17から外方向へ突出した凸部16を有し、第1の面21のうち、平面部17の外面に第1の放熱フィン41が設けられ、全体が平坦面である第2の面22に第2の放熱フィン43が設けられていることにより、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた冷却特性を発揮できる。すなわち、ヒートシンク1では、放熱フィンが、コンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、放熱フィンのフィン面積を増大させても、放熱に十分寄与できない領域の発生を防止でき、ひいては、放熱フィンの放熱効率の低下を防止できる。
【0036】
また、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク1では、コンテナ10の凸部16の内部空間が平面部17の内部空間と連通していることでコンテナ10の空洞部13が形成されているので、放熱部として機能するコンテナ10の平面部17と受熱部として機能するコンテナ10の凸部16との間の熱抵抗を防止できることから、高発熱量の発熱体100でも効率よく冷却することができる。
【0037】
また、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク1では、第2の放熱フィン43の高さが第1の放熱フィン41の高さよりも高いことにより、第2の放熱フィン43が設けられている第2の面22側に空間が形成されている場合に、放熱フィンのフィン面積を増大させることができるので、優れた放熱特性を発揮できる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図2は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。なお、第2実施形態例に係るヒートシンクは、第1実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0039】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、コンテナ10には第1の面21の中央部に凸部16が一つ設けられていたが、これに代えて、図2に示すように、第2実施形態例に係るヒートシンク2では、被冷却対象の発熱体100が複数存在することに対応して、コンテナ10の第1の面21に凸部16が複数設けられている。ヒートシンク2では、被冷却対象として、2つの発熱体100-1、100-2が存在することに対応して、発熱体100-1、100-2にそれぞれ熱的に接続される2つの凸部16-1、16-2が設けられている。
【0040】
複数設けられている凸部16の位置は、ヒートシンク2の使用条件と複数の発熱体100の配置等により、適宜選択可能であり、図2では、説明の便宜上、コンテナ10の両端部にそれぞれ1つずつの凸部16が設けられている。また、図示しないが、ヒートシンク2では、2つの凸部16-1、16-2は、いずれもコンテナ10の幅方向の中央部に設けられている。また、ヒートシンク2では、発熱体100-1、100-2の高さが同じであることに対応して、凸部16-1の高さは、凸部16-2の高さと同じとなっている。
【0041】
発熱体100が複数存在することに対応して、コンテナ10に凸部16が複数設けられているヒートシンク2でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0042】
次に、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図3は、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。なお、第3実施形態例に係るヒートシンクは、第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0043】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、コンテナ10の第1の面21の中央部に凸部16が一つ設けられていたが、これに代えて、図3に示すように、第3実施形態例に係るヒートシンク3では、コンテナ10の第1の面21の端部に凸部16が一つ設けられている。このように、ヒートシンク3の設置される環境と発熱体100の配置等により、コンテナ10におけるに凸部16の位置を適宜選択することができる。
【0044】
発熱体100の配置等に対応して、凸部16がコンテナ10の端部に設けられているヒートシンク3でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図4は、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。なお、第4実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0046】
第1~第3実施形態例に係るヒートシンク1、2、3では、第2の放熱フィン43の高さが、第1の放熱フィン41の高さよりも高い態様となっていたが、これに代えて、図4に示すように、第4実施形態例に係るヒートシンク4では、第1の放熱フィン41の高さが、第2の放熱フィン43の高さよりも高い態様となっている。従って、ヒートシンク4では、第1の放熱フィン群42の高さが、第2の放熱フィン群44の高さよりも高い態様となっている。ヒートシンク4では、凸部16の高さが第1~第3実施形態例に係るヒートシンク1、2、3の凸部16の高さよりも高いことから、第1の放熱フィン41の高さが第2の放熱フィン43の高さよりも高い態様となっている。
【0047】
ヒートシンク4では、第1の放熱フィン41が設けられている第1の面21側、すなわち、発熱体100が配置されている側に、相対的に大きな空間が形成されている場合に、第1の面21側の空間を有効利用して、放熱フィンのフィン面積を増大させることができる。このように、第1の放熱フィン41の高さと第2の放熱フィン43の高さは、周囲のレイアウトや冷却風の供給方向等により、適宜選定可能である。
【0048】
また、第1の放熱フィン41の高さが第2の放熱フィン43の高さと同じとしてもよく、従って、第1の放熱フィン41が第2の放熱フィン43の高さ以上の高さを有していてもよい。
【0049】
第1の放熱フィン41が第2の放熱フィン43の高さ以上の高さを有しているヒートシンク4でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0050】
次に、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図5は、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。なお、第5実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第4実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1~第4実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0051】
図5に示すように、第5実施形態例に係るヒートシンク5では、凸部16が、段差部50を有し、段差部50の外面53に、さらに第3の放熱フィン51が立設されている。第3の放熱フィン51は、第3の放熱フィン51の主表面が第1の放熱フィン41の主表面と略平行となるように、段差部50の発熱体100に対向する外面53に立設されている。第3の放熱フィン51は、段差部50の外面53に沿って、複数の第3の放熱フィン51、51、51・・・が並列配置されて、第3の放熱フィン群52を形成している。複数の第3の放熱フィン51、51、51・・・の高さは、いずれも略同じとなっている。
【0052】
第3の放熱フィン51の先端は、凸部16の先端よりもコンテナ10の平面部17方向へ後退した態様となっている。また、第3の放熱フィン51の先端は、第1の放熱フィン41の先端と略同一平面上に位置している。
【0053】
ヒートシンク5では、凸部16のうち、第3の放熱フィン51が立設されている段差部50は放熱部として機能する。従って、凸部16は、その先端で発熱体100が熱的に接続される受熱部と、第3の放熱フィン51が熱的に接続されている放熱部を有している。
【0054】
ヒートシンク5では、凸部16が段差部50を有し、段差部50の外面53に、さらに第3の放熱フィン51が設けられていることにより、凸部16を有しつつコンテナ10に接続される放熱フィンの枚数をさらに増やすことができるので、放熱特性がさらに向上する。また、ヒートシンク5では、段差部50を有する凸部16にて、発熱体100からの熱を予めコンテナ10の面方向に拡散することができるので、ベーパーチャンバ14の熱負荷を低減することができる。
【0055】
凸部16が段差部50を有し、段差部50の外面53に第3の放熱フィン51が設けられているヒートシンク5でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0056】
次に、本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図6は、本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。なお、第6実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第5実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1~第5実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0057】
第1~第3実施形態例に係るヒートシンク1、2、3では、凸部16の側面は平面部17から鉛直方向へ突出していたが、これに代えて、図6に示すように、第6実施形態例に係るヒートシンク6では、凸部16の側面は平面部17から斜め方向へ突出しており、凸部16の側面が、凸部16の先端に向かうに従って幅狭となる傾斜部60となっている。また、凸部16の側面を形成している傾斜部60の外面63に、さらに第4の放熱フィン61が立設されている。第4の放熱フィン61は、第4の放熱フィン61の主表面が第1の放熱フィン41の主表面と略平行となるように、傾斜部60の外面63に立設されている。
【0058】
第4の放熱フィン61は、傾斜部60の外面63に沿って、複数の第4の放熱フィン61、61、61・・・が並列配置されて、第4の放熱フィン群62を形成している。第4の放熱フィン61の先端は、凸部16の先端よりもコンテナ10の平面部17方向へ後退した態様となっている。また、第4の放熱フィン61の先端は、第1の放熱フィン41の先端と略同一平面上に位置している。従って、第4の放熱フィン61の高さは、熱的に接続されている傾斜部60の位置に応じて異なる高さとなっている。
【0059】
ヒートシンク6では、凸部16のうち、第4の放熱フィン61が立設されている傾斜部60は放熱部として機能する。従って、凸部16は、その先端で発熱体100が熱的に接続される受熱部と、第4の放熱フィン61が熱的に接続されている放熱部を有している。
【0060】
ヒートシンク6では、凸部16の側面が凸部16の先端に向かうに従って幅狭である傾斜部60を有し、傾斜部60の外面63に、さらに第4の放熱フィン61が設けられていることにより、凸部16を有しつつコンテナ10に接続される放熱フィンの枚数をさらに増やすことができるので、放熱特性がさらに向上する。また、ヒートシンク6では、傾斜部60を有する凸部16にて、発熱体100からの熱を予めコンテナ10の面方向に拡散することができるので、ベーパーチャンバ14の熱負荷を低減することができる。
【0061】
凸部16が傾斜部60を有し、傾斜部60の外面63に第4の放熱フィン61が設けられているヒートシンク6でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0062】
次に、本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図7は、本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する底面図である。なお、第7実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第6実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1~第6実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0063】
第2実施形態例に係るヒートシンク2では、2つの凸部16-1、16-2は、いずれもコンテナ10の幅方向の中央部に設けられていたが、これに代えて、図7に示すように、第7実施形態例に係るヒートシンク7では、凸部16-1はコンテナ10の幅方向Wの一端70、凸部16-2はコンテナ10の幅方向Wの他端71に、それぞれ、設けられている。
【0064】
ヒートシンク7では、2つの凸部16-1、16-2が、コンテナ10の幅方向Wについて、異なる位置に設けられていることにより、冷却風が、コンテナ10の幅方向Wに対して直交方向から供給される場合でも、発熱体100-1に熱的の接続された凸部16-1と発熱体100-2に熱的の接続された凸部16-2に、十分な冷却風を供給することができる。また、ヒートシンク7でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0065】
次に、本発明の第8実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図8は、本発明の第8実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。なお、第8実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第7実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1~第7実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0066】
第2実施形態例に係るヒートシンク2では、複数の凸部16の高さは同じ、すなわち、凸部16-1の高さは、凸部16-2の高さと同じとなっていたが、これに代えて、図8に示すように、第8実施形態例に係るヒートシンク8では、複数の凸部16の高さが異なる高さとなっている。ヒートシンク8では、発熱体100-1の高さが発熱体100-2の高さよりも低いことに対応して、凸部16-1の高さは凸部16-2の高さよりも高くなっている。このように、複数設けられている凸部16の高さは、ヒートシンク8が熱的に接続される複数の発熱体100の高さ等により、適宜選択可能である。
【0067】
ヒートシンク8では、複数の発熱体100の高さが異なっていても、それぞれの発熱体100に対する熱的接続性に優れている。また、ヒートシンク8でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0068】
次に、本発明の第9実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図9は、本発明の第9実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。なお、第9実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第8実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1~第8実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0069】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、第2の面22は凸部位を有しておらず、第2の面22全体が平坦な平面部位となっており、第1の面21が平面部位32と平面部位32から外方向へ突出した凸部位31を有していることで、コンテナ10が平面部17と平面部17から外方向へ突出した凸部16を有していた。これに代えて、図9に示すように、第9実施形態例に係るヒートシンク9では、第1の面21が平面部位32と平面部位32から外方向へ突出した凸部位31を有し、第2の面22が平面部位82と平面部位82から外方向へ突出した凸部位81を有していることで、コンテナ10が平面部17と平面部17から外方向へ突出した凸部16、86を有している。
【0070】
従って、コンテナ10は、第1の面21に凸部16が設けられており、第2の面22に凸部86が設けられている。なお、説明の便宜上、ヒートシンク9では、第1の面21の一端に凸部16が1つ設けられており、第2の面22の他端に凸部86が1つ設けられている。
【0071】
ヒートシンク9でも、第1実施形態例に係るヒートシンク1と同じく、第1の面21に設けられた凸部16には、放熱フィンは設けられていない。ヒートシンク9でも、凸部16の先端にも側面にも、放熱フィンは設けられていない。上記から、複数の第1の放熱フィン41、41、41・・・は、第1の面21の凸部位31を除いて、第1の面21の一端から他端まで配置されている。一方で、ヒートシンク9では、第2の面22に凸部86が設けられており、凸部86には、放熱フィンは設けられていない。ヒートシンク9では、凸部86の先端にも側面にも、放熱フィンは設けられていない。上記から、複数の第2の放熱フィン43、43、43・・・は、第2の面22の凸部位81を除いて、第2の面22の一端から他端まで配置されている。
【0072】
上記から、コンテナ10は、凸部16に対応する部位では、第2の面22のみ、すなわち、板状であるコンテナ10の片面にのみ放熱フィンが熱的に接続されている。また、凸部86に対応する部位では、第1の面21のみ、すなわち、板状であるコンテナ10の片面にのみ放熱フィンが熱的に接続されている。また、コンテナ10は、凸部16、86以外の部位である平面部17に対応する部位では、第1の面21と第2の面22、すなわち、板状であるコンテナ10の両面に放熱フィンが熱的に接続されている。
【0073】
このように、ヒートシンク9の設置される環境と発熱体100の配置等により、コンテナ10の第1の面21に凸部16が設けられるだけではなく、さらに第2の面22にも凸部86が設けられてもよい。ヒートシンク9でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0074】
次に、本発明の第10実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図10は、本発明の第10実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。なお、第10実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第9実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、同じ構成要素については第1~第9実施形態例に係るヒートシンクと同じ符号を用いて説明する。
【0075】
図10に示すように、第10実施形態例に係るヒートシンク10では、コンテナ10の平面部17に、コンテナ10の厚さ方向に段差83が設けられている。従って、ヒートシンク10では、コンテナ10の平面部17は、平面が多段に形成された多段状の平面部となっている。コンテナ10の平面部17は、段差83が設けられていることにより、空洞部13が相対的に厚い第1部位84と空洞部13が相対的に薄い第2部位85を有している。ヒートシンク10では、第1の面21の平面部位32に段差83-1が形成され、凸部位は設けられていない第2の面22に段差83-2が形成されている。コンテナ10の平面部17は、段差83-1と段差83-2の間が第1部位84となっている。
【0076】
また、第1の放熱フィン41は、第1部位84と第2部位85に設けられ、第2の放熱フィン43は、第1部位84と第2部位85に設けられている。
【0077】
放熱フィンが熱的に接続されるコンテナ10の平面部17に、空洞部13が相対的に厚い第1部位84と空洞部13が相対的に薄い第2部位85が形成されているヒートシンク10でも、放熱フィンはコンテナ10を挟んで第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されているので、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることができ、結果、優れた放熱特性を発揮できる。
【0078】
次に、本発明の他の実施形態例について説明する。上記各実施形態例のヒートシンクでは、第1の放熱フィンは、凸部位を除いて第1の面の一端から他端まで配置され、第2の放熱フィンは、第2の面の一端から他端まで配置されていたが、これに代えて、第1の放熱フィンは凸部位を除いた第1の面の一部領域にのみ設けられていてもよく、第2の放熱フィンは第2の面の一部領域にのみ設けられていてもよい。また、上記各実施形態例のヒートシンクでは、第1の放熱フィンの主表面と第2の放熱フィンの主表面が略平行となるように、第1の放熱フィンと第2の放熱フィンが立設されていたが、ヒートシンクの使用条件等に応じて、第1の放熱フィンの主表面と第2の放熱フィンの主表面が平行ではないように、第1の放熱フィンと第2の放熱フィンが立設されていてもよい。
【0079】
また、コンテナの空洞部のうち、必要に応じて、凸部に、コンテナ内部の表面積を増大させるためのフィン(コンテナ内面表面積増大フィン)を設けてもよい。凸部にコンテナ内面表面積増大フィンを設けることで、液相の作動流体の気相への相変化が促進されて、ベーパーチャンバの熱輸送特性がさらに向上する。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のヒートシンクは、放熱フィンの放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることで、優れた冷却特性を発揮できるので、サーバーに搭載される電子部品等、狭小空間に設置される高発熱量の電子部品を冷却する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0081】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10 ヒートシンク
10 コンテナ
11 一方の板状体
12 他方の板状体
13 空洞部
14 ベーパーチャンバ
15 蒸気流路
16、86 凸部
17 平面部
21 第1の面
22 第2の面
41 第1の放熱フィン
43 第2の放熱フィン
【要約】      (修正有)
【課題】放熱フィンの放熱効率の低下を防止しつつ、放熱フィンのフィン面積を増大させることで、優れた放熱特性を発揮できるヒートシンクを提供する。
【解決手段】ヒートシンク1は、内部に空洞部13が形成された、第1の面21と第1の面に対向した第2の面22を有するコンテナ10と、空洞部に封入された作動流体と、気相の作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路15と、を備える。第1の面が、平面部位と平面部位から外方向へ突出した凸部位を有することで、コンテナが、平面部と平面部から外方向へ突出した凸部16を有し、コンテナの凸部の内部空間が、前記平面部の内部空間と連通していることで、空洞部が形成される。第1の面のうち、平面部位の外面に第1の放熱フィン41が設けられ、第2の面の外面に第2の放熱フィン43が設けられている。
【選択図】図1
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