(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】保護膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20220224BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20220224BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20220224BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20220224BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20220224BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
G03F7/11 503
H01L21/306
C08L63/00 Z
C08K5/13
G03F7/11 502
G03F7/40 521
H01L21/30 573
(21)【出願番号】P 2018539194
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2017033524
(87)【国際公開番号】W WO2018052130
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2016181956
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017014819
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄人
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 光
(72)【発明者】
【氏名】緒方 裕斗
(72)【発明者】
【氏名】大橋 智也
(72)【発明者】
【氏名】境田 康志
(72)【発明者】
【氏名】岸岡 高広
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099374(JP,A)
【文献】国際公開第2015/030060(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/084855(WO,A1)
【文献】特開2014-174428(JP,A)
【文献】特開2009-169085(JP,A)
【文献】特開2007-264483(JP,A)
【文献】特開2007-099943(JP,A)
【文献】特開2005-010753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
H01L 21/306
C08L 63/00
C08K 5/13
G03F 7/40
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1a)もしくは式(1b)、又は
下記式(1a-2)、(1a-3)もしくは(1a-10)乃至(1a-19)のいずれかで表される化合物、及び溶剤を含み、該溶剤を除く固形分に対し、前記式(1a)
もしくは式(1b)
、又は式(1a-2)、(1a-3)もしくは(1a-10)乃至(1a-19)のいずれかで表される化合物を0.1質量%乃至60質量%含有す
る、過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数
2乃至4のアルキレン基もしくはアルケニレン基又は直接結合を表し、kは0又は1を表し、mは
2乃至3の整数を表し、nは2乃至4の整数を表す。)
【化2】
【請求項2】
下記式(2)で表される置換基を有する分子量300以上800未満の化合物もしくは重量平均分子量300以上800未満である化合物、及び溶剤を含み、該溶剤を除く固形分に対し、前記式(2)で表される置換基を有する化合物を10質量%乃至100質量%含有する、過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【化3】
(式中、kは0又は1を表し、mは1乃至3の整数を表す。)
【請求項3】
エポキシ基、オキセタニル基、エポキシシクロヘキシル基又はエポキシシクロペンチル基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物をさらに含む、請求項1
又は請求項2記載の過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【請求項4】
フェノール性ヒドロキシ基を有さない化合物をさらに含み、該化合物に対し前記式(1a)又は式(1b)で表される化合物を0.1質量%乃至60質量%含有する、請求項1
乃至請求項3のいずれか一項に記載の過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【請求項5】
前記フェノール性ヒドロキシ基を有さない化合物はポリマーである、請求項
4に記載の過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【請求項6】
表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に請求項1乃至請求項
5のいずれか一
項に記載の過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成する第1工程、
前記保護膜上にレジストパターンを形成する第2工程、
前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させる第3工程、並びに
ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、過酸化水素水溶液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウエットエッチング及び洗浄する第4工程
を含むパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィープロセスにおいて、過酸化水素水溶液に対する耐性に優れた保護膜を形成するための組成物に関する。さらに前記保護膜を適用してパターンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板とその上に形成されるレジスト膜との間にレジスト下層膜を設け、所望の形状のレジストパターンを形成する、リソグラフィープロセスが知られている。しかしながら、従来のレジスト下層膜、例えば特許文献1に記載されている、アミノプラスト系架橋剤を含む組成物から形成されたレジスト下層膜は、過酸化水素水溶液に対する耐性に劣る。そのため、このようなレジスト下層膜を、過酸化水素水溶液を用いたウエットエッチングプロセスにおけるマスクとして使用することができなかった。
【0003】
下記特許文献2には、保護されたカルボキシル基を有する化合物、カルボキシル基と反応可能な基を有する化合物、及び溶剤を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物、又はカルボキシル基と反応可能な基と保護されたカルボキシル基とを有する化合物、及び溶剤を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物が記載されており、当該組成物はアミノプラスト系架橋剤を必須成分として含まない。しかしながら特許文献2には、当該組成物から形成されたレジスト下層膜の過酸化水素水溶液に対する耐性について、何ら記載も示唆もない。
【0004】
下記特許文献3には、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を有するレジスト下層膜を用いたパターン形成方法が記載されている。そして、当該レジスト下層膜を形成するための組成物は、重量平均分子量1000乃至100,000の、エポキシ基を有するポリマー、及び溶剤を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4145972号公報
【文献】国際公開第2005/013601号
【文献】国際公開第2015/030060号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
過酸化水素水溶液に対する耐性を、従来よりも更に向上させた保護膜の要求は、近年ますます強まっている。本発明は、過酸化水素水溶液に対する耐性を有する保護膜を形成するための新規な組成物、及び該保護膜を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、フェノール性ヒドロキシ基を2つ以上有する化合物を、添加剤すなわち副成分として含むか、又は溶剤を除く固形分中の主成分として含む組成物を適用することによって、上記課題を解決することができた。本発明の第一態様は、下記式(1a)もしくは式(1b)で表される化合物、又は下記式(2)で表される置換基を有する分子量300以上800未満の化合物もしくは重量平均分子量300以上800未満である化合物、及び溶剤を含み、該溶剤を除く固形分に対し、前記式(1a)又は式(1b)で表される化合物を0.1質量%乃至60質量%含有するか、又は、前記式(2)で表される置換基を有する化合物を10質量%乃至100質量%含有する、過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物である。
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数1乃至4のアルキレン基もしくはアルケニレン基又は直接結合を表し、kは0又は1を表し、mは1乃至3の整数を表し、nは2乃至4の整数を表す。)
【0008】
本発明の保護膜形成組成物は、エポキシ基、オキセタニル基、エポキシシクロヘキシル基又はエポキシシクロペンチル基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物をさらに含有してもよい。当該化合物は、架橋剤として添加される。
【0009】
本発明の保護膜形成組成物は、フェノール性ヒドロキシ基を有さない化合物をさらに含有してもよく、その場合、該化合物に対し前記式(1a)又は式(1b)で表される化合物を0.1質量%乃至60質量%含有する。ここで、フェノール性ヒドロキシ基とは、ベンゼン環に結合したヒドロキシ基を意味する。
【0010】
前記フェノール性ヒドロキシ基を有さない化合物は、単量体、二量体、三量体、オリゴマー及びポリマーいずれでもよい。前記化合物がポリマーである場合、例えば、下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位及び下記式(5)で表される構造単位を有する共重合体、並びに下記式(6)で表される構造単位を有する共重合体が挙げられる。
【化2】
(式中、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
5は炭素原子数1乃至8のアルキル基又は炭素原子数2乃至8のアルコキシアルキル基を表し、R
6及びR
7はそれぞれ独立に直接結合又は炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表し、Zはエポキシ基、エポキシシクロヘキシル基又はエポキシシクロペンチル基を表し、Arはフェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基を表し、Xは炭素原子数1乃至6のアルキル基、アリル基又はグリシジル基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表し、Qは主鎖に酸素、硫黄及び窒素からなる群から選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ有してもよい二価の有機基を表す。)
【0011】
本発明の保護膜形成組成物は、有機酸、その他の添加剤をさらに含有してもよい。
【0012】
本発明の第二態様は、表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に、本発明の第一態様の過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成する第1工程、
前記保護膜上にレジストパターンを形成する第2工程、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させる第3工程、並びに
ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、過酸化水素水溶液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウエットエッチング及び洗浄する第4工程、
を含むパターン形成方法である。
【0013】
前記過酸化水素水溶液として、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリエタノールアミン又は尿素を含む塩基性過酸化水素水溶液、及び塩酸又は硫酸を含む酸性過酸化水素水溶液が挙げられる。前記過酸化水素水溶液がアンモニアを含む塩基性過酸化水素水溶液である場合、当該塩基性過酸化水素水溶液は、例えば、25質量%乃至30質量%のアンモニア水溶液(A)、30質量%乃至36質量%の過酸化水素水溶液(B)及び水(C)の混合物であり、前記アンモニア水溶液(A)に対する前記過酸化水素水溶液(B)の体積比:(B)/(A)は例えば0.1乃至20.0、及び前記アンモニア水溶液(A)に対する前記水(C)の体積比:(C)/(A)は例えば1.0乃至50.0である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の保護膜形成組成物から形成される保護膜は、過酸化水素水溶液に対する耐性を有する。そのため、本発明の保護膜形成組成物から形成される保護膜は、過酸化水素水溶液を用いたエッチングプロセス及び洗浄プロセスにおけるマスクとして使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の保護膜形成組成物に含まれる成分について、以下に詳細を説明する。
【0016】
[式(1a)又は式(1b)で表される化合物]
前記式(1a)で表される化合物として、例えば下記式(1a-1)乃至式(1a-19)で表される化合物が挙げられる。
【化3】
【0017】
前記式(1b)で表される化合物として、例えば下記式(1b-1)乃至式(1b-31)で表される化合物が挙げられる。
【化4】
【0018】
[式(2)で表される置換基を有する化合物]
前記式(2)で表される置換基として例えば下記式(2-1)乃至式(2-14)が挙げられる。当該式(2)で表される置換基を有する分子量300以上800未満の化合物もしくは重量平均分子量300以上800未満の化合物は、単量体、二量体、三量体、オリゴマーいずれでもよく、例えば下記式(2a-1)乃至式(2a-3)で表される化合物が挙げられる。前記式(2)で表される置換基を有する化合物の含有量は、本発明の保護膜形成組成物から後述する溶剤を除く固形分に対し10質量%乃至100質量%、好ましくは20質量%乃至90質量%、さらに好ましくは30質量%乃至80質量%である。
【化5】
【化6】
【0019】
[フェノール性ヒドロキシ基を有さない化合物]
本発明の保護膜形成組成物が任意で含有する、フェノール性ヒドロキシ基を有さない化合物がポリマーである場合、前記式(3)で表される構造単位として、例えば下記式(3-1)乃至式(3-9)で表される構造単位が挙げられる。
【化7】
【0020】
前記フェノール性ヒドロキシ基を有さないポリマーの、前記式(4)で表される構造単位として、例えば下記式(4-1)乃至式(4-7)が挙げられる。
【化8】
【0021】
前記フェノール性ヒドロキシ基を有さないポリマーの、前記式(5)で表される構造単位として、例えば下記式(5-1)乃至式(5-9)が挙げられる。
【化9】
【0022】
前記フェノール性ヒドロキシ基を有さないポリマーとして、例えば、前記式(3-2)で表される構造単位、前記式(3-9)で表される構造単位、前記式(4-3)で表される構造単位及び前記式(5-9)で表される構造単位を有する、下記共重合体が挙げられる。
【化10】
【0023】
前記フェノール性ヒドロキシ基を有さない化合物として、前記共重合体の他、例えば、下記式(6-1)で表される構造単位を有する共重合体、下記式(6-2)で表される構造単位を有する共重合体、下記式(6-3)で表される構造単位を有する共重合体、下記式(7)で表される化合物及び下記式(8)で表される化合物が挙げられる。
【化11】
【0024】
前記フェノール性ヒドロキシ基を有さない化合物がポリマーである場合、その重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準試料としてポリスチレンを用いて得られる値で、例えば、1,000乃至200,000である。
【0025】
[架橋剤]
本発明の保護膜形成組成物が任意で含有する、エポキシ基、オキセタニル基、エポキシシクロペンチル基又はエポキシシクロヘキシル基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物として、例えば、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、1,2-エポキシ-4-(エポキシエチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス[N,N-ビス(オキシラニルメチル)アニリン]、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテル、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル、日産化学工業(株)製のTEPIC〔登録商標〕-L、TEPIC-SS、TEPIC-PAS B26L、TEPIC-PAS B22、TEPIC-VL、TEPIC-UC、(株)ダイセル製のエポフレンドAT501、同CT301、セロキサイド〔登録商標〕2021、同2081、同8000、エポリード〔登録商標〕GT-401、同PB3600、同PB4700、EHPE3150、EHPE3150CE、三菱化学(株)製の152、154、157S70、168V70、604、630、801N、801PN、802、806、807、811、813、816A,816C,819、825、827、828、828EL、828US、828XA、834X90、871、872、1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010、1031S、1032H60、1256、4004P、4005P、4007P、4010P、4250、4275、5046B80、YL980、YL983U、YL6810、YL6121L、YX4000、YX4000H、YX8000、YX8034、YX8800、日本化薬(株)製のNC-3000、NC-3000-L、NC-3000-H、NC-3000-FH-75M、NC-3100、CER-3000-L、NC-2000-L、XD-1000、NC-7000L、NC-7300L、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、CER-1020、EPPN201、BREN-S、BREN-105、GAN、GOT、RE-303S-L、RE-310S、ナガセケムテックス(株)製のデナコール〔登録商標〕EX-211、同EX-212、同EX-252、同EX-810、同EX-811、同EX-850、同EX-851、同EX-821、同EX-830、同EX-832、同EX-841、同EX-861、同EX-911、同EX-941、同EX-920、同EX-931、同EX-313、同EX-314、同EX-321、同EX-411、同EX-421、同EX-512、同EX-612、同EX-614、BASFジャパン(株)製のCY175、CY177、CY179、CY182、CY184、CY192、DIC(株)製のエピクロン840、同804-S、同850、同850-S、同850-CRP、同850-LC、同860、同1050、同1055、同3050、同4050、同7050、同AM-020-P、同AM-040-P、同HM-091、同HM-101、同830、同830-S、同EXA-830LVP、同835、同EXA-835LV、同1051-75M、同7070-40K、同HM-091-40AX、同152、同153、同153-60T、同153-60M、同1121N-80M、同1123P-75M、同N-660、同N-665、同N-670、同N-673、同N-680、同N-695、同N-655-EXP-S、同N-662-EXP-S、同N-665-EXP、同N-672-EXP、同N-670-EXP-S、同N-685-EXP-S、同N-673-80M、同N-680-75M、同N-690-75M、同N-740、同N-770、同N-775、同N-865、同HP-4032、同HP-4032D、同HP-4700、同HP-4710、同HP-4770、同HP-5000、同HP-7200、同HP-7200H、同HP-820、同5500、同5800、四国化成(株)製のMA-DGIC、DAG-G、TG-G、新日鉄住金化学(株)製のエポトート〔登録商標〕YD-127、同YD-128、同YDF-170、同YD-8125、同YDF-8170C、同ZX-1059、同YD-825GS、同YD-825GSH、同YDF-870GS、同YDPN-138、同YDCN-700、同YDC-1312、同YSLV-80XY、同YSLV-120TE、同ST-3000、同ST-4000D、同YD-171、同YH-434、同YH-434L、同FX-289BEK75、同FX-305EK70、同ERF-001M30を挙げることができる。
【0026】
本発明の保護膜形成組成物が、前記エポキシ基、オキセタニル基、エポキシシクロペンチル基又はエポキシシクロヘキシル基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物を含む場合、その含有量は、当該保護膜形成組成物から後述する溶剤を除く固形分に対し、例えば、1質量%乃至80質量%である。
【0027】
[有機酸]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として有機酸を含有することができる。前記有機酸としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム-p-トルエンスルホナート、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5-スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-フェノールスルホン酸、4-フェノールスルホン酸メチル、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸等のスルホン酸化合物及びカルボン酸化合物が挙げられる。これらの有機酸は1種単独で含有してもよいし、2種以上の組み合わせで含有することもできる。本発明の保護膜形成組成物が有機酸を含む場合、その含有量は、当該保護膜形成組成物から後述する溶剤を除く固形分に対し、例えば、0.01質量%乃至10質量%である。
【0028】
[溶剤]
本発明の保護膜形成組成物は、上記各成分を、溶剤に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。前記溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2―ヒドロキシイソ酪酸メチル、2―ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
[その他の成分]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、半導体基板に対する塗布性を向上させるために界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-30N、同R-40、同R-40-LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の保護膜形成組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、当該保護膜形成組成物から後述する溶剤を除く固形分に対し、例えば、0.01質量%乃至10質量%である。
【0030】
調製した保護膜形成組成物は、孔径が例えば0.2μm又は0.1μmのフィルター及び/又は0.01μmのフィルターを用いてろ過した後、使用することが好ましい。
【0031】
本発明の保護膜形成組成物を用いたパターン形成方法について、以下に説明する。
【0032】
本発明の保護膜形成組成物が塗布される半導体基板としては、例えば、シリコン基板、ゲルマニウム基板、及びヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム等の化合物半導体ウエハが挙げられる。表面に無機膜が形成された半導体基板を用いる場合、当該無機膜は、例えば、ALD(原子層堆積)法、CVD(化学気相堆積)法、反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スピンコーティング法(スピンオングラス:SOG)により形成される。前記無機膜として、例えば、ポリシリコン膜、酸化ケイ素膜、窒化珪素膜、BPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜、窒化チタン膜、窒化酸化チタン膜、タングステン膜、窒化ガリウム膜、及びヒ化ガリウム膜が挙げられる。
【0033】
このような半導体基板上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の保護膜形成組成物を塗布する。その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることにより保護膜を形成する。ベーク条件としては、ベーク温度100℃乃至400℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、ベーク温度120℃乃至350℃、ベーク時間0.5分乃至30分間、より好ましくは、ベーク温度150℃乃至300℃、ベーク時間0.8分乃至10分間である。形成される保護膜の膜厚としては、例えば0.001μm乃至10μm、好ましくは0.002μm乃至1μm、より好ましくは0.005μm乃至0.5μmである。ベーク時の温度が、上記範囲より低い場合には架橋が不十分となり、形成される保護膜の、レジスト溶剤又は過酸化水素水溶液に対する耐性が得られにくくなることがある。一方、ベーク時の温度が上記範囲より高い場合は、保護膜が熱によって分解してしまうことがある。
【0034】
次いで前記保護膜の上に、レジストパターンを形成する。レジストパターンの形成は一般的な方法、すなわち、フォトレジスト溶液を前記保護膜上へ塗布し、プリベーク、露光、PEBと略称される露光後ベーク(必要な場合)、現像、及びリンスによって行なうことができる。前記レジストパターンの形成に使用するフォトレジスト溶液としては、露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はなく、ポジ型フォトレジストが使用できる。酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、露光部と未露光部のアルカリ溶解速度の差を利用したDNQ-ノボラック型の非化学増幅型フォトレジストが挙げられる。例えば、住友化学(株)製,商品名:PAR710、東京応化工業(株)製,商品名:TDUR-P3435LP、THMR-iP1800及び信越化学工業(株)製,商品名:SEPR430が挙げられる。ポジ型フォトレジストに代えて、ネガ型フォトレジストを使用することもできる。
【0035】
前記露光は、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して行われ、例えば、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)またはEB(電子線)が使用される。前記現像にはアルカリ現像液が用いられ、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液を挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。アルカリ現像液に代えて、酢酸ブチル等の有機溶媒で現像を行い、フォトレジストのアルカリ溶解速度が向上していない部分を現像する方法を用いることもできる。
【0036】
次いで、形成したレジストパターンをマスクとして、前記保護膜をドライエッチングする。その際、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されている場合、その無機膜の表面を露出させ、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されていない場合、その半導体基板の表面を露出させる。
【0037】
さらに、ドライエッチング後の保護膜(その保護膜上にレジストパターンが残存している場合、そのレジストパターンも)をマスクとして、過酸化水素水溶液を用いてウエットエッチングすることにより、所望のパターンが形成される。ウエットエッチングの薬液としては、塩基性を示す物質、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリエタノールアミン等の有機アミンと過酸化水素水とを混合しpHを塩基性にした塩基性過酸化水素水溶液、及び塩酸、硫酸等の無機酸と過酸化水素水とを混合した酸性過酸化水素水溶液を挙げることができる。その他、pHを塩基性にすることができるもの、例えば、尿素と過酸化水素水を混合し、加熱により尿素の熱分解を引き起こすことでアンモニアを発生させ、最終的にpHを塩基性にするものも、ウエットエッチングの薬液として使用できる。塩基性過酸化水素水溶液及び酸性過酸化水素水溶液の使用温度は25℃乃至90℃であることが望ましく、40℃乃至80℃であることがさらに望ましい。ウエットエッチング時間としては、0.5分乃至30分であることが望ましく、1分乃至20分であることがさらに望ましい。
【実施例】
【0038】
本明細書の下記合成例1乃至合成例6に示すポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)による測定結果である。測定には東ソー(株)製GPC装置を用い、測定条件等は次のとおりである。
GPCカラム:Shodex KF803L、Shodex KF802、Shodex KF801〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.0ml/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株)製)
【0039】
<合成例1>
1-ブトキシエチルメタクリレート6.30g、グリシジルメタクリレート5.66g、メチルメタクリレート10.96g、9-アントラセニルメチルメタクリレート4.40g及びアゾイソブチロニトリル2.73gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル30.05gに溶解させた混合溶液を、80℃に昇温したプロピレングリコールモノメチルエーテル40.06gにゆっくりと滴下し、滴下後80℃で2時間反応させ、ポリマーを含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量6000であった。
【0040】
<合成例2>
トリグリシジルイソシアヌレート11.48g、サリチル酸18.24g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.28gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル70.00gに溶解させた後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量710であった。
【0041】
<合成例3>
トリグリシジルイソシアヌレート11.48g、3-ヒドロキシ安息香酸18.24g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.28gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル70.00gに溶解させた後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量720であった。
【0042】
<合成例4>
トリグリシジルイソシアヌレート11.48g、4-ヒドロキシ安息香酸18.24g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.28gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル70.00gに溶解させた後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量710であった。
【0043】
<合成例5>
トリグリシジルイソシアヌレート10.72g、3,4-ジヒドロキシ安息香酸19.01g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.26gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル69.97gに溶解させた後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量760であった。
【0044】
<合成例6>
トリグリシジルイソシアヌレート10.72g、3,5-ジヒドロキシ安息香酸19.01g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.26gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル69.97gに溶解させた後、140℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量770であった。
【0045】
<合成例7>
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業(株)製、製品名:MA-DGIC)27.72g、1,6-ビス(2,3-エポキシプロパン-1-イルオキシ)ナフタレン(DIC(株)製、製品名:HP-4032D)18.00g、3,3’-ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製、商品名:DTDPA)38.07g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド3.06gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル347.39gに溶解させた後、105℃で24時間反応させ、ポリマーを含有する溶液(固形分20質量%)を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は3300であった。
【0046】
<合成例8>
エピクロンHP-4700(DIC(株)製)10.00g、アクリル酸4.37g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.56g及びヒドロキノン0.03gにプロピレングリコールモノメチルエーテル34.91gを加え、窒素雰囲気下、100℃で21時間加熱撹拌し反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた溶液に、陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))15g及び陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))15gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。前記陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を分離後、反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた反応生成物は、前記式(7)で表される化合物である。
【0047】
<合成例9>
エピクロンHP-4700(DIC(株)製)9.00g、N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド9.84g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド1.04g及びヒドロキノン0.02gにプロピレングリコールモノメチルエーテル45.22gを加え、窒素雰囲気下、100℃で25時間加熱撹拌し、反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた溶液に、陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス(株))20g及び陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ(株))20gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。前記陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を分離後、反応生成物を含有する溶液(固形分30質量%)を得た。得られた反応生成物は、前記式(8)で表される化合物である。
【0048】
以下、本発明について実施例によってさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例の記載に限定されるものではない。また、塩基性過酸化水素水溶液として、以下の表2に示す組成の薬液を用いたが、本発明に適用される塩基性過酸化水素水溶液は当該組成に限定されない。
【0049】
<実施例1>
合成例1で得られたポリマーを含有する溶液2.11gに、没食子酸水和物0.01g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル17.88gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0050】
<実施例2>
合成例1で得られたポリマーを含有する溶液2.11gに、3,4-ジヒドロキシ安息香酸0.01g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル17.88gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0051】
<実施例3>
合成例1で得られたポリマーを含有する溶液2.11gに、3,5-ジヒドロキシ安息香酸0.01g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル17.88gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0052】
<実施例4>
合成例5で得られた反応生成物を含有する溶液1.23gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.27g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル18.50gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0053】
<実施例5>
合成例6で得られた反応生成物を含有する溶液1.23gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.27g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル18.50gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0054】
<実施例6>
没食子酸水和物0.19gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.45g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル19.36gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0055】
<実施例7>
3,4-ジヒドロキシ安息香酸0.23gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.41g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル19.36gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0056】
<実施例8>
3,5-ジヒドロキシ安息香酸0.23gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.41g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル19.36gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0057】
<実施例9>
没食子酸水和物0.18gに、4,4-メチレンビス[N、N-ビス(オキシラニルメチル)アニリン]0.46g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル19.36gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0058】
<実施例10>
合成例7で得られたポリマーを含有する溶液251.88gに、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート1.60g、没食子酸水和物2.14g、界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-30N)0.043g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル494.34gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0059】
<実施例11>
合成例8で得られた反応生成物を含有する溶液1.00gに、没食子酸水和物0.01g、界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-40)0.0003g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.996g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル2.32gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0060】
<実施例12>
合成例9で得られた反応生成物を含有する溶液1.00gに、没食子酸水和物0.01g、界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-40)0.00023g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.928g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル2.17gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0061】
<比較例1>
合成例1で得られたポリマーを含有する溶液2.13gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル17.87gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0062】
<比較例2>
合成例1で得られたポリマーを含有する溶液2.11gに、3-ヒドロキシ安息香酸0.01g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル17.88gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0063】
<比較例3>
合成例2で得られた反応生成物を含有する溶液1.53gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.18g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル18.29gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0064】
<比較例4>
合成例3で得られた反応生成物を含有する溶液1.53gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.18g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル18.29gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0065】
<比較例5>
合成例4で得られた反応生成物を含有する溶液1.53gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.18g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル18.29gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0066】
<比較例6>
サリチル酸0.27gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.37g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル19.36gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0067】
<比較例7>
3-ヒドロキシ安息香酸0.27gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.37g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル19.36gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0068】
<比較例8>
4-ヒドロキシ安息香酸0.27gに、1,3,4,6-テトラグリシジルグリコールウリル0.37g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル19.36gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0069】
<比較例9>
合成例8で得られた反応生成物を含有する溶液1.00gに、界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-40)0.00025g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.52g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル3.54gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0070】
<比較例10>
合成例9で得られた反応生成物を含有する溶液1.00gに、界面活性剤(DIC(株)製、商品名:R-40、フッ素系界面活性剤)0.00023g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.01g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル2.36gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。
【0071】
(塗膜の形成)
シリコン基板又は窒化チタン膜が表面に形成されたシリコン基板上に、実施例1乃至実施例10で調製した保護膜形成組成物及び比較例1乃至比較例8で調製した膜形成組成物をそれぞれスピンコートにて塗布し、220℃で60秒ベークすることで、100nmの膜厚の塗膜を作製した。
【0072】
(フォトレジスト溶剤への溶出試験)
実施例1乃至実施例10で調製した保護膜形成組成物を用いてシリコン基板上に作製した塗膜を、フォトレジスト塗布時に使用する溶剤であるOK73シンナー(東京応化工業(株)製、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを7対3(質量比)で含む混合物)に1分間浸漬し、浸漬の前後での塗膜の膜厚の変化が5%以下であることを確認した。この結果は、実施例1乃至実施例10で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、その上層にレジスト又はレジスト下層膜を積層することが可能であることを示している。
【0073】
実施例11及び実施例12で調製した保護膜形成組成物を、それぞれ、スピナーを用いてシリコン基板上に塗布(スピンコート)し、ホットプレート上240℃で90秒ベークすることで、膜厚110nmの塗膜を形成した。この塗膜に対して、UV照射ユニット(波長172nm)を用いた紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製)により、500mJ/cm2の紫外線を照射した後、硬化した該塗膜の膜厚を測定した。紫外線照射後の塗膜を、前記OK73シンナーに1分間浸漬し、スピンドライ後に100℃で1分間ベークし、再び該塗膜の膜厚を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0074】
【表1】
上記表1の結果より、溶剤浸漬の前後での、紫外線照射後の塗膜の膜厚の変化が5%以下であることを確認した。この結果は、実施例11及び実施例12で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、その上層にレジスト又はレジスト下層膜を積層することが可能であることを示している。
【0075】
(レジスト現像液への溶出試験)
実施例1乃至実施例10で調製した保護膜形成組成物を用いてシリコン基板上に作製した塗膜を、フォトレジスト現像時に使用される現像液であるNMD-3(東京応化工業(株)製)に1分間浸漬し、浸漬の前後での塗膜の膜厚の変化が5%以下であることを確認した。
【0076】
(塩基性過酸化水素水溶液への耐性試験)
実施例1乃至実施例10で調製した保護膜形成組成物及び比較例1乃至比較例8で調製した膜形成組成物を用いて窒化チタン膜が表面に形成されたシリコン基板上に作製した塗膜を、下記表2で示した組成の塩基性過酸化水素水溶液に、同表に示す温度で3分間浸し、その後水洗、乾燥後の塗膜の状態を目視で観察した。その結果を下記表3に示す。表3中の“○”は3分処理後も塗膜に剥がれが見られない状態を、“×”は3分処理後に塗膜の一部又は全てにおいて剥がれが観察された状態を示している。
【0077】
【0078】
上記表3の結果より、実施例1乃至実施例10で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対して十分な耐性を有することが示された。すなわち、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜となり得ることがわかった。一方、比較例1乃至比較例8で調製した膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を有さないことが示され、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜となり得ないことが明らかとなった。
【0079】
(塩基性過酸化水素水溶液への耐性試験)
実施例11及び実施例12で調製した保護膜形成組成物並びに比較例9及び比較例10で調製した膜形成組成物を用いて窒化チタン膜が表面に形成されたシリコン基板上に塗膜を作製した。この塗膜に対して、カッターナイフを用いて1mm×1mm(100マス)のクロスカット傷をつけた。これを前記表2で示した組成の塩基性過酸化水素水溶液に、同表に示す温度で浸漬させ、その後水洗、乾燥後の塗膜の剥離状態を目視で確認した。その結果を下記表4に示す。表4中に示す時間は、塗膜の剥がれる浸漬時間を示している。ただし、実施例11で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、浸漬時間が15分を超えても剥離しなかった。
【0080】
【0081】
上記表4の結果より、実施例11及び実施例12で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対して十分な耐性を有することが示された。すなわち、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜となり得ることがわかった。一方、比較例9及び比較例10で調製した膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、実施例11及び実施例12で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜と比較して、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性が低いことを示された。すなわち、比較例9及び比較例10で調製した膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、より過酷な条件での塩基性過酸化水素水溶液による処理を行う際には、耐性が不足することを確認した。