(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】噴霧ノズルカバー
(51)【国際特許分類】
B05B 12/36 20180101AFI20220224BHJP
【FI】
B05B12/36
(21)【出願番号】P 2019202128
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-130519(JP,A)
【文献】特開2004-275980(JP,A)
【文献】特開2008-207074(JP,A)
【文献】実開昭52-118510(JP,U)
【文献】特開2010-229713(JP,A)
【文献】特開昭49-72630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M1/00-99/00
B05B1/00-3/18
7/00-9/08
12/16-12/36
14/00-16/80
F16B2/00-2/26
12/00-12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のカバー本体(2)と、このカバー本体(2)の外面に取り付けるブレード(3)を備え、前記カバー本体(2)は、内部に噴霧ノズル(20)が固定される筒状の取り付け部(4)と、その取り付け部(4)の下端に角度を持って連なって当該下端から開口を有する先端に向けて長円状の断面形状を維持しながら長円状断面の断面積が増大するように拡径する末広がり部(5)を有し、
前記末広がり部(5)と前記取り付け部(4)の外周には、当該取り付け部(4)の上端から前記末広がり部(5)の先端に至る突条の保持部(6)が設けられ、その保持部(6)の頭頂面に形成されたスリット(7)に前記ブレード(3)の傾斜した下縁(3c)とその下縁(3c)の内端に連なって立ち上がった内縁(3d)が嵌め込まれる噴霧ノズルカバーであって、
前記ブレード(3)の下端を固定する下部固定具(11)を有し、その下部固定具(11)は、上下に対向した一対の挟持片(12a、12b)と、その対の挟持片(12a、12b)の外端をつなぐ曲げ戻し部(12c)を有し、前記曲げ戻し部(12c)を前記末広がり部(5)の先端の周縁部に係止させて前記末広がり部(5)の外周部を前記対の挟持片(12a、12b)で挟むようにカバーの外側から内側に向けて装着されるクリップ(12)と、そのクリップ(12)の、上側の挟持片(12b)上に一体に立設される拘束部(13)とからなり、前記拘束部(13)と前記上側の挟持片(12b)に、前記ブレード(3)の下部と前記保持部(6)が嵌まる嵌合溝(13a)を備えた噴霧ノズルカバー。
【請求項2】
前記スリット(7)の長手方向の上端部に、前記保持部(6)の上端に開放するT溝(8)を有し、前記ブレード(3)の前記スリット(7)に差し込まれる内縁(3d)の上端付近の両面に前記T溝(8)に適合して嵌る突条(10)を有し、その突条(10)を前記T溝(8)に上から下に向けて差し込んで前記ブレード(3)の上部を前記保持部(6)
に機械的に係止させた請求項1に記載の噴霧ノズルカバー。
【請求項3】
前記カバー本体(2)の外面に添わせる基板(14a)と、その基板(14a)上に立設される拘束部(14b)とを備え、前記基板(14a)と拘束部(14b)に、前記ブレード(3)の上部の内端側と前記保持部(6)の上端側が嵌まる嵌合溝(14c)を、内外の側面(14d、14e)と下面(14f)に開放させて設けた上部固定具(14)を有し、その上部固定具(14)が前記ブレード(3)の上縁(3b)の内端側に装着されて前記保持部(6)とブレード(3)を挟持した請求項1又は2に記載の噴霧ノズルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体を霧状にして噴射する噴霧ノズルに装着して噴霧液の拡散を防ぐ噴霧ノズルカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
農薬などの薬液や水を霧状にして噴射する際に、カバーを使用して噴霧液の拡散を防ぐことが従来から行われている。
【0003】
その拡散防止用のカバーの従来品は、風の影響を受けて噴霧液が拡散し、噴霧対象周辺の液を掛けたくない作物などに付着し易かったことから、本出願人らは、その課題に対応した噴霧ノズルカバーを開発して下記特許文献1で提案した。
【0004】
その噴霧ノズルカバーは、ラッパ状に加工されたカバー本体と、このカバー本体の外面に取り付けるブレードを組み合わせている。
【0005】
カバー本体は、内部に噴霧ノズルが固定される筒状の取り付け部と、その取り付け部の下端に角度をもって連なって取り付け部のとの接続部から開口を有する先端に向けて長円状の断面形状を維持しながら長円状断面の断面積が増大するように拡径する末広がり部を有している。
【0006】
その末広がり部と前記取り付け部の外周には、当該取り付け部の上端から末広がり部の先端に至る保持部が設けられている。
【0007】
その保持部は丈が低くて細長い突条で形成されており、その保持部が、前記取り付け部を間に挟んで2組が対をなして前記末広がり部の長円断面形状の長軸に沿った位置に配置されている。
【0008】
その保持部は、頭頂面の中央部にスリットを有しており、そのスリットに前記ブレードが嵌め込まれて保持される。
【0009】
そのブレードは、外縁が前記カバー本体の先端から上に向かって前記末広がり部よりも大きな傾斜角を持って立ち上がって下側のコーナが三角形をなし、さらに、前記取り付け部の上端から外向きに延び出した上縁が円弧状をなし、その上縁の外端に前記外縁の上端が連なった形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1で提案した噴霧ノズルカバーは、前記ブレードの保持を、カバー本体の外面に設けた前記保持部による挟持力のみに依存して行っている。
【0012】
具体的には、前記末広がり部と同じ角度で傾斜したブレードの下縁と、その下縁の内端から立ち上がって前記上縁の径方向内端に至る内縁を、前記保持部に設けたスリットに圧入してブレードをカバー本体に固定している。
【0013】
ところが、この固定構造では、カバー本体が振動を受けたり、ブレードが外部の何らかの物に当たったりすると、保持部からブレードが外れる可能性があり、ブレード保持の信頼性が十分でない。
【0014】
ブレードは、そのブレードの一面に風が当たったときに、当該ブレードの風下側に渦流を生じさせ、その渦流がカバー本体の外部に流出して風に乗って拡散しようとする噴霧液をカバー側に引き戻す働きをする。
【0015】
そのブレードがカバー本体から外れると、カバー設置の効果が薄れる。
【0016】
この発明は、その不具合を回避するために、噴霧ノズルを覆うカバー本体の外面にブレードを有し、そのブレードの保持が、カバー本体の外面に設けたリブ状保持部のスリットにブレードの下縁と内縁を嵌め込んでなされた噴霧ノズルカバーを改善して前記ブレードの保持安定性を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、この発明においては、筒状のカバー本体と、このカバー本体の外面に取り付けるブレードを備え、前記カバー本体は、内部に噴霧ノズルが固定される筒状の取り付け部と、その取り付け部の下端に角度を持って連なって当該下端から開口を有する先端に向けて長円状の断面形状を維持しながら長円状断面の断面積が増大するように拡径する末広がり部を有し、
前記末広がり部と前記取り付け部の外周には、当該取り付け部の上端から末広がり部の先端に至る突条の保持部が設けられ、その保持部の頭頂面に形成されたスリットに前記ブレードの傾斜した下縁とその下縁の内端に連なって立ち上がった内縁が嵌め込まれる噴霧ノズルカバーに、前記ブレードの下端を固定する下部固定具を追設した。
【0018】
その下部固定具は、上下に対向した一対の挟持片と、その対の挟持片の外端をつなぐ曲げ戻し部を有し、前記曲げ戻し部を前記末広がり部の先端(これは即ち、カバー本体の先端)の周縁部に係止させて前記末広がり部の外周部を前記対の挟持片で挟むようにカバーの外側から内側に向けて装着されるクリップと、そのクリップの、カバー本体の外面に添わせる上側の挟持片上に一体に立設される拘束部とからなり、前記拘束部と前記上側の挟持片に、前記ブレードの下部と前記保持部が嵌まる嵌合溝を備えたものである。
【0019】
前記ブレードの上部は、そのブレードの内端側の上部と前記保持部との間に機械的係合部を設けて前記保持部からの外れを防止するか、又は、前記保持部に引き留められる上部固定具を追設してその上部固定具で前記ブレードの上縁の内端側を挟みつけて動き止めするとよい。
【0020】
前記機械的係合部は、前記保持部に設けられる前記スリットの長手方向の上端部に、保持部の上端に開放するT溝(Tスロット)を有し、前記ブレードの前記スリットに差し込まれる内縁の上端付近を前記T溝に適合して嵌る形状にしてその部分を前記T溝に上側から下向きに差し込むようにしたものが好ましい形態として考えられる。
【0021】
前記上部固定具は、カバー本体の外面に添わせる基板と、その基板上に立設される拘束部とを備え、前記基板と拘束部に、前記ブレードの上部の内端側と保持部の上端側が嵌まる嵌合溝を、上部固定具の内外の側面と下面に開放させて設けたものにする。
【0022】
その上部固定具は、前記保持部の上端側を前記嵌合溝の対向した溝側面で挟持して取り付け状態を保つものと、前記保持部で引き留めるものが考えられる。
【0023】
保持部で引き留める上部固定具は、保持部に引っかかり易い凸部などを内面に設け、その内面を保持部の表面に押し付けて保持部を挟み付けるものと、保持部で機械的に引き留めるものの2形態が考えられる。
【0024】
保持部に引っかかり易い凸部などを内面に設ける前者の上部固定具は、弾力性のある樹脂で形成して保持部の挟持力を高めたものが好ましい。
【0025】
また、保持部で機械的に引き留める後者の上部固定具は、保持部の長手方向に延びた溝と、上部固定具を保持部長手方向に向けて押し込んで保持部に嵌合させるときに前記溝に入り込む突条を上部固定具と保持部に対応させて設けてその溝と突条を互いに係止させるとよい。
【0026】
その保持部によって引き留めるタイプの上部固定具を備えた噴霧ノズルカバーも、前記ブレードの上部を前記保持部で直接引き止めるものと同様にブレードの上部の保持を安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明の噴霧ノズルカバーは、既述の下部固定具を追設し、カバー本体の外面の保持部に取り付けられた前記ブレードの下端をその下部固定具で拘束したので、ブレード保持の信頼性が高まり、振動や外部物体との接触によるブレードの外れが効果的に防止される。
【0028】
なお、前記ブレードの上部の内端側を、当該ブレードと前記保持部との間に機械的係合部を設けて前記保持部からの外れを防止したものや、前記保持部に引き留められる上部固定具を追設してその上部固定具で前記ブレードの上縁の内端側を固定したものは、ブレード保持の信頼性が特に高く、ブレード設置の効果が失われることがない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】この発明の噴霧ノズルカバーの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の噴霧ノズルカバーの部分破断側面図である。
【
図3】同図の(a)は、
図1の噴霧ノズルカバーが備える下部固定具を前面側から見た斜視図、同図の(b)は、背面側から見た斜視図である。
【
図4】
図3の下部固定具をカバー本体の下部に装着した状態を示す要部の拡大断面図である。
【
図5】
図1の噴霧ノズルカバーに装着したブレードの上側内端部の拡大斜視図である。
【
図6】
図1の噴霧ノズルカバーのカバー本体に設けた保持部とブレードの上側内端部の嵌合状態を拡大して示す平面図である。
【
図7】必要に応じて追設する上部固定具の斜視図である。
【
図9】必要に応じて追設する上部固定具の他の例を示す斜視図である。
【
図10】必要に応じて追設する上部固定具のさらに他の例を、
図11の突条を有する保持部に嵌合させた状態を示す平面図である。
【
図11】この発明の噴霧ノズルカバーのカバー本体に設ける保持部の上端側の両側面に機械的係合部を構成する突条を設けた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の噴霧ノズルカバーの実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
図1及び
図2に示すように、例示の噴霧ノズルカバー1は、透明な樹脂を材料にしてラッパ状に成形されたカバー本体2と、このカバー本体2の外部に取り付けた2枚のブレード3と、この発明を特徴づける下部固定具11を備えている。
【0032】
カバー本体2は、噴霧ノズル20を覆うものであって、下端に向かってやや拡径する円筒状の取り付け部4と末広がり部5を有する。
【0033】
取り付け部4は、液体供給管に接続された噴霧ノズル20を内側に固定してその噴霧ノズル20の外周を覆う天井壁4aの含まれた筒であり、この取り付け部4の下端に末広がり部5が角度をもって連なっている。
【0034】
末広がり部5の傾斜角は、噴霧ノズル20の噴霧パターン(噴霧液の噴射角)に対応させた角度になっており、取り付け部4の周壁4bの傾斜角よりも小さい。
【0035】
末広がり部5は、取り付け部4との接続部から開口を有する先端に向けて長円状の断面形状を維持しながら長円状断面の断面積が増大するように拡径したフードになっている。
【0036】
その末広がり部5の先端側は
図4に示すようにわずかに下向きに屈曲し、屈曲部の下端に幅の小さな径方向外向きに張り出したフランジ5aが形成されている。
【0037】
前記取り付け部4と末広がり部5の外周には、取り付け部4の上端から末広がり部5の先端に至る保持部6が設けられている。その保持部6は、丈が低くて細長い、カバー本体2の補強を兼ねた突条で形成されている。
【0038】
その保持部6は、2組が対をなし、その対をなす2組の保持部6が、
図1、
図2に示すように、取り付け部4を間に挟んでカバーの平面視において末広がり部5の長円断面形状の長軸に沿った位置に配置されている。
【0039】
取り付け部4を間に挟む位置に設けられた2組の保持部6は、頭頂面の中央部にスリット7を有しており、そのスリット7にブレード3の下縁3cと内縁3dが嵌め込まれて保持される。
【0040】
スリット7の上端側には、
図6に示すように、保持部6の上端に開放するT溝8が形成されている。そのT溝8は、保持部6の長手方向寸法が取り付け部4の高さよりも小さい。
【0041】
図1の9は、末広がり部5の外面に必要に応じて形成される補強用のリブである。
【0042】
ブレード3は、外縁3a(
図1、
図2参照)がカバー本体2の先端(末広がり部5の先端)から上に向かって末広がり部5よりも大きな傾斜角を持って立ち上がって下側のコーナ(径方向外端のコーナ)が三角形をなし、さらに、取り付け部4の上端から外向きに延び出した上縁3b(これも
図1、
図2参照)が円弧状をなし、その上縁3bの外端に外縁3aの上端が連なった形状を有している。
【0043】
また、このブレード3は、末広がり部5と同じ角度で傾斜した下縁3c(
図2、
図4参照)と、その下縁3cの内端から立ち上がって上縁3bの径方向内端に至る内縁3d(
図2参照)を有している。3eは、ブレード3の両面に設けられたリブである。
【0044】
さらに、ブレード3は、内端側の上部の左右の表面に、前記T溝8の拡幅部に対応させた突条10を有している。その突条10は、ブレード3の左右の表面に相反する向きに突出して設けられている。
【0045】
その突条10は、ブレード3を保持部6の長手方向に変位させて保持部6の上端側からT溝8の拡幅部に挿入される。その突条10は、ブレード3の上縁3bが保持部6の上端と面一になったところでT溝8の終端長手方向の奥端に突き当たる。
【0046】
そのため、ブレード3は、所定の取り付け箇所に位置決めされる。このとき、ブレード3の下縁3cと内縁3dは、保持部6のスリット7に差し込まれて保持部6に挟持される。
【0047】
しかしながら、ブレード3の下端側は、スリット7に単に差し込まれているだけであるため、上に持ち上げるような力が加わるとスリット7から外れる虞がある。
【0048】
ブレード3の上部は、
図6のように、突条10がT溝8の拡幅部に嵌まり込んでいるため、T溝8の長手直角方向へは動けない。しかし、T溝8の長手方向には動けるため、ブレード3を上に持ち上げるような力が加わると、ブレード3の下縁3cと内縁3dがスリット7から抜け出し、前記突条10もT溝8から抜け出してブレード3がカバー本体2から外れてしまう。
【0049】
例示の噴霧ノズルカバー1では、その外れが下部固定具11によって防止される。その
下部固定具11は、樹脂の成形品であって、
図3に示すように、一体成形されたクリップ12と拘束部13を有する。
【0050】
この下部固定具11の材料樹脂は、弾力性のあるポリアセタール樹脂(POM)やポリアミド樹脂(PA)などがブレード3を安定して挟みつけることができて好ましい。
【0051】
クリップ12は、上下に対向した一対の挟持片12a、12bと、その対の挟持片12a、12bの外端をつなぐ曲げ戻し部12cを有する。挟持片12a、12bの内面は末広がり部のフランジ5aに引っかかり易い凸部12dの加工された面になっている。
【0052】
拘束部13は、クリップ12の上側の挟持片12b上に立設されている。この拘束部13は、ブレード3の下部と保持部6が嵌まる嵌合溝13aを備えている。例示の嵌合溝13aは、ブレード3の下部と保持部6が適合して嵌まる溝になっている。
【0053】
嵌合溝13aは、一部が挟持片12bにも形成されており、その嵌合溝13aに、
図4に示すように、ブレード3の下部と保持部6を入り込ませて下部固定具11を末広がり部5の先端の外周に装着することができる。
【0054】
この下部固定具11を装着した噴霧ノズルカバー1は、ブレード3の上側への移動が下部固定具11によって阻止され、さらに、ブレード3の径方向外側への移動が、T溝8と突条10の係合部と下部固定具11とによって阻止されてブレード3のカバー本体2からの外れが確実に防止される。
【0055】
なお、ブレード3の上部の内端側の固定は、ブレード3の上縁3bの内端側に装着する上部固定具14(
図1)を追設して行ってもよい。
【0056】
その上部固定具14は、カバー本体2の外面に添わせる基板14a(
図6、
図7参照)と、その基板14a上に立設される拘束部14bを備えており、拘束部14bに、ブレード3の上部の内端側と保持部6が嵌まる嵌合溝14c(これもブレード3の上部の内端側と保持部6が適合して嵌る溝になっている)が設けられている。
【0057】
嵌合溝14cは、上部固定具14の内外の側面14d、14eと下面14fに開放している。そのため、上部固定具14を上から押し下げるようにして保持部6に取り付けられたブレード3の上部内側コーナ部に装着することができる。
【0058】
例示の上部固定具14は、弾力性のあるポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂で形成されたものであって、保持部6の上端側を嵌合溝14cの対向溝側面で挟持して取り付け状態を保つ(挟持力で位置保持を行う)ものになっている。この上部固定具14は、保持部6で引き留めるタイプのものが好ましい。
【0059】
保持部6で引き留める上部固定具14の一例を
図9に示す。
図9の上部固定具14は、ポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂で形成されて保持部6を挟持するように構成されており、保持部6を挟みつける嵌合溝14cの内面にさらに、複数の凸部15を備えている。その凸部15が保持部6に引っかかることで、固定の安定性が高まっている。
【0060】
上部固定具14は保持部6で機械的に引き留めるタイプのものも考えられる。そのタイプの上部固定具14の具体例を
図10に示す。同図の上部固定具14は、保持部6との間に機械的係合部16を設けて上部固定具14の保持部長手直角方向への動きを阻止するものになっている。
【0061】
例示の機械的係合部16は上部固定具14の嵌合溝14cの溝側面に設ける嵌合溝の溝幅方向に入り込んだ係止溝16aと、保持部6の上端部の両側面に設けた突条16b(
図11を同時参照)とで構成されている。
【0062】
その機械的係合部16は、上部固定具14を上から下に向けて押し込むことで突条16bを係止溝16aに挿入する。これにより、上部固定具14の保持部長手直角方向への動きがその機械的係合部16によって阻止される。
【0063】
なお、機械的係合部16は、保持部6の両側面に係止溝16aを、上部固定具14に設けられた嵌合溝14cの対向した溝側面に突条16bをそれぞれ設けたものであっても構わない。
【0064】
保持部6に機械的に係止させる上部固定具14を採用した噴霧ノズルカバーも、ブレード3に設ける既述の突条10と、保持部のスリット7の上端側のT溝8を備えたものが好ましい。
【0065】
なお、例示の噴霧ノズルカバー1の機能や、ブレード3、そのブレード3の表面に設けられたリブ3eなどの働きについては、既述の特許文献1に詳しく記載されているので、ここでの説明は省く。
【符号の説明】
【0066】
1 噴霧ノズルカバー
2 カバー本体
3 ブレード
3a 外縁
3b 上縁
3c 下縁
3d 内縁
3e リブ
4 取り付け部
4a 天井壁
4b 周壁
5 末広がり部
5a フランジ
6 保持部
7 スリット
8 T溝
9 リブ
10 突条
11 下部固定具
12 クリップ
12a、12b 挟持片
12c 曲げ戻し部
12d 凸部
13 拘束部
13a 嵌合溝
14 上部固定具
14a 基板
14b 拘束部
14c 嵌合溝
14d、14e 側面
14f 下面
15 凸部
16 機械的係合部
16a 係止溝
16b 突条
20 噴霧ノズル