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特許7029646金属材料加工用金型およびその製造方法、ならびに金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】金属材料加工用金型およびその製造方法、ならびに金型
(51)【国際特許分類】
   C23F 1/44 20060101AFI20220225BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20220225BHJP
   B21D 37/01 20060101ALI20220225BHJP
   B21D 37/20 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
C23F1/44
C23C14/06 A
C23C14/06 F
B21D37/01
B21D37/20 Z
B21D37/20 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018552998
(86)(22)【出願日】2017-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2017042393
(87)【国際公開番号】W WO2018097286
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2016229852
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】進野 大樹
(72)【発明者】
【氏名】小関 秀峰
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-307687(JP,A)
【文献】国際公開第2016/171273(WO,A1)
【文献】特開2010-024518(JP,A)
【文献】特開平08-216160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 - 33/76
C23F 1/44
C23C 14/06
B21D 37/01
B21D 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質相と金属相とを含む複合材料から構成される金属材料加工用金型であって、
前記金型は、硬質相で構成される強化層を、少なくとも作業面の表面から深さ方向に0.2μmの範囲まで有し、
前記作業面は、算術平均粗さRa≦0.1μm、スキューネスRsk≦-0.01を満たしていることを特徴とする、金属材料加工用金型。
【請求項2】
前記金型の作業面は、スキューネスRsk≦-1.0であることを特徴とする、請求項1に記載の金属材料加工用金型。
【請求項3】
前記硬質相はWC、前記金属相はCoであることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属材料加工用金型。
【請求項4】
硬質相と金属相とを含む複合材料から構成される金型であって、
前記金型は、硬質相で構成される強化層を作業面に有し、
前記強化層の上面に硬質皮膜を有し、
前記硬質皮膜は、4、5、6族遷移金属、Si、Alの少なくとも一種の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物、並びにダイヤモンドライクカーボンから選択される一種以上であり、
前記硬質皮膜の表面は、算術平均粗さRa≦0.1μm、スキューネスRsk≦-1.0であることを特徴とする、金型。
【請求項5】
硬質相と金属相とを含む複合材料から構成される金属材料加工用金型の製造方法であって、
前記複合材料から構成された金属材料加工用金型の表面を加工してRa≦0.1μmに調整する形状加工工程と、
前記形状加工工程の後、Ra≦0.1μmに調整された前記金属材料加工用金型の表面をエッチングし、表面近傍の金属相を、少なくとも作業面の表面から深さ方向に0.2μmの範囲まで除去する表層改質工程と、を有することを特徴とする、金属材料加工用金型の製造方法。
【請求項6】
前記表層改質工程は、酸性溶液を使用したにウェットエッチングであることを特徴とする、請求項5に記載の金属材料加工用金型の製造方法。
【請求項7】
前記表層改質工程の後に、4、5、6族遷移金属、Si、Alの少なくとも一種の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物、並びにダイヤモンドライクカーボン選択される一種以上の硬質皮膜を金型表面に形成する被覆工程を有することを特徴とする、請求項5または6に記載の金属材料加工用金型の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック等に代表される硬質相と、Ni、Co、Fe等に代表される金属相とから構成される複合合金は、室温および高温での耐衝撃性に優れることから治工具に適用されている。この複合合金を用いた治工具の機械的特性を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば特許文献1には、耐摩耗性と硬度を向上させるために、WCを主成分とする超硬合金であって、表面層が実質的にWC粒子のみ、或は鉄族金属以外の成分とWC粒のみが露出しており、且つ表面層のWC粒の平均粒径が内部のWC粒の平均粒径よりも大きい、および/または表面硬度が内部の硬度よりも大きいものであることを特徴とする超硬合金が開示されている。
また引用文献2には、耐摩耗性に優れるダイヤモンド膜を密着性よく被覆するために、超硬合金の表面に元素周期律表IVa族、Va族、VIa族の金属炭化物、炭化ケイ素又はアルミナ等のセラミック粒子を埋め込んだ後、電解エッチング処理を施すことにより凹凸を形成し、その後この凹凸形成後にダイヤモンド膜を被覆する、被覆超硬合金が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-11375号公報
【文献】特開平08-92741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冶工具、特に金型において、被加工材が金属材料である場合、金型の作業面と被加工材との摺動時に、金属同士の接触により発生する凝着による摩耗が生じ、金型が損傷するという課題があった。そのため金型には、さらなる精密化要求やより過酷な環境での使用に伴い、被加工材を攻撃して摩耗粉を発生させないように金型の作業面の平滑性を維持しつつ、さらなる耐凝着性の向上が求められている。このような要求に対して、前述の特許文献1の発明は、超硬合金の表面の硬度を増加させる優れた発明であるが、耐凝着性の向上については記載されておらず、検討の余地が残されている。また特許文献2の発明は、ダイヤモンド膜の密着性を向上させるために表面に凹凸を形成させた発明であり、特に精密金型において所望の耐凝着性が得られない可能性がある。本発明の目的は、良好な耐凝着性と平滑性を併せ持つ金型およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものである。
即ち本発明は、硬質相と金属相とを含む複合材料から構成される金型であって、
前記金型は、硬質相で構成される強化層を作業面に有し、
前記作業面は、算術平均粗さRa≦0.1μm、スキューネスRsk≦-0.01を満たしていることを特徴とする、金型である。
好ましくは、前記金型の表面は、スキューネスRsk≦-1.0である。
好ましくは、前記硬質相はWC,前記金属相はCoである。
また本発明は、硬質相と金属相とを含む複合材料から構成される金型であって、
前記金型は、硬質相で構成される強化層を作業面に有し、
前記強化層の上面に硬質皮膜を有し、
前記硬質皮膜は、4、5、6族遷移金属、Si、Alの少なくとも一種の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物、並びにダイヤモンドライクカーボンから選択される一種以上であり、
前記硬質皮膜の表面は、算術平均粗さRa≦0.1μm、スキューネスRsk≦-1.0であることを特徴とする、金型である。 また本発明の他の形態は、硬質相と金属相とを含む複合材料から構成される金型の製造方法であって、
前記複合材料から構成された金型の表面をRa≦0.1μmにする形状加工工程と、
前記形状加工工程の後、Ra≦0.1μmに調整された前記金型の表面をエッチングし、表面近傍の金属相をエッチングにより除去する、表層改質工程と、を有することを特徴とする、金型の製造方法である。
好ましくは、前記表層改質工程は、酸性溶液を使用したウェットエッチングである。
好ましくは、前記表層改質工程の後に、4、5、6族遷移金属、Si、Alの少なくとも一種の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物、並びにダイヤモンドライクカーボンの一種以上から選択される皮膜を金型表面に被覆する被覆工程を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、良好な耐凝着性と平滑性を併せ持つ金型を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明例の摺動試験結果を示す光学顕微鏡写真である。図1(a)は摺動部全体の外観、図1(b)は図1(a)のA部拡大写真、図1(c)は図1(a)のB部拡大写真である。
図2】比較例の摺動試験結果を示す光学顕微鏡写真である。図2(a)は摺動部全体の外観、図2(b)は図2(a)のA部拡大写真、図2(c)は図2(a)のB部拡大写真である。
図3】摺動試験後の本発明例の摺動部をさらに拡大して観察した写真である。図3(a)は図1(b)の拡大写真、図3(b)は図1(c)の拡大写真である。
図4】摺動試験後の比較例の摺動部をさらに拡大して観察した写真である。図4(a)は図2(b)の拡大写真、図4(b)は図2(c)の拡大写真である。
図5】実施例で使用した摺動試験装置の上面模式図である。
図6】実施例で使用した摺動試験装置の側面模式図である。図6(a)は円形板状部が試料と離れている時を示す側面模式図であり、図6(b)は円形板状部が試料と接しているときを示す側面模式図である。
図7】本発明の金型の作業面近傍を示す断面写真である。
図8】摺動試験後の本発明例である被覆金型の摺動部を観察した拡大写真である。
図9】摺動試験後の比較例である被覆金型の摺動部を観察した拡大写真である。
図10】摺動試験後の本発明例である被覆金型の作業面近傍を示す断面写真である。
図11】摺動試験後の比較例である被覆金型の作業面近傍を示す断面写真である。
図12】摺動試験後の別の本発明例である被覆金型の作業面近傍を示す断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明を詳しく説明する。ただし、本発明は、ここで取り挙げた実施形態に限定されるものではなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
本発明の金型は、硬質相と、バインダ(結合相)としての金属相の二相が混在する複合材料から構成される金型である。この金型は、硬質相の利点(優れた強度)と金属相の利点(高い延性および靭性)とを併せ持つ特徴がある。
【0009】
本発明の金型が有する硬質相は、W(タングステン)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)、Zr(ジルコニウム)、Al(アルミニウム)、Si(ケイ素)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)およびTi(チタン)のうちの少なくとも一種の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択されることが好ましい。
また本発明の金型が有する金属相は、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)のうちの少なくとも一種から選択されることが好ましい。
なお本実施形態の金型は、特に記載がなければ、硬質相に炭化タングステン(WC)を、金属相にCoを選択したWC-Co複合材料から構成されている。
【0010】
本発明の金型は、硬質相で構成される強化層を作業面(金型と被加工材とが互いに接する面)に有することを特徴とする。この硬質相で構成される強化層とは、実質的に金属相が存在しない層である。以下に記載する製造方法の実施形態のとおり、強化層を、硬質相と金属相とから構成される金型の表面から金属相を除去することにより作製することができる。この金属相の除去において、完全には除去されない部分が存在することもあり得るため、実質的に金属相が存在しないとしている。強化層ではない部分、つまり硬質相と金属相とで構成されている金型の主たる部分(表面以外の部分)と比較すれば、強化層における金属相の存在量は明白に異なり、実質的に金属相が存在しない層としての強化層を特定することは容易である。
また、強化層は、硬質相と空隙、あるいは硬質相と空隙を埋める金属相以外の材料とから構成される層であることが好ましい。この空隙は、金属相が除去されて構成されるものであっても良く、空隙のままとしておいても良いし、この空隙に金属相以外の材料を充填したものでもよい。もちろん、一部の空隙が残存していてもよい。
【0011】
また、断面観察による面積比率で、硬質相の面積と金属相の面積の合計に対する硬質相の面積の比率を硬質相比率としたとき、本発明の金型の主たる部分の硬質相比率よりも強化層の硬質相比率が高く、強化層の硬質相比率は99%以上であることが好ましい。この硬質相比率を測定する方法の一例を以下に示す。まず金型を作業面と直交する方向に切断して、金型の作業面部分が視野に入るように走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて所定の倍率(本実施形態では、1万倍の倍率)で写真を撮影する。作業面を形成する略平面状の硬質相上面を直線Aで繋ぎ、金型表面から深さ方向に少なくとも0.2μmの位置に、直線Aを金型の深さ方向に平行移動させた直線Bを作成する。そして直線A、直線B、写真端部で囲まれる矩形の領域から硬質相と金属相との面積率を100%とした際の、硬質相の占める面積率の割合を硬質相比率とする。なお本発明の金型は、作業面を構成する硬質相の表面が略平面であるため、上述した直線を作成することが可能である。ここで本明細書における「略平面」とは、作業面となる硬質相の上面に微小な凹凸が存在したり、非常に曲率半径が大きい曲面が含まれる場合もあるが、硬質相の上面に直線が作成できる程度に平面形状が主体的となっている形状を示す。尚、作業面が曲率を有する場合には、その曲率に応じた曲線を用いればよく、深さ方向においても表面の曲線から深さ方向に少なくとも0.2μmの間隔となる曲線を用いればよい。
この強化層が構成されていることにより、軟質で被加工材に凝着しやすい金属相が金型の作業面に存在しない構成とすることができるため、耐凝着性を格段に向上させて金型寿命の大幅な向上が期待できる。加えて本発明は、作業面の表面粗さが、算術平均粗さRa(JIS-B-0601-2001に準拠)が0.1μm以下であるとともに、スキューネスRskが-0.01以下であることも重要である。これにより本発明の金型は、作業面の表面の粗さ曲線は凹部に対して凸部の方が広くなり、先鋭な凸部の形成を抑制することができるため、作業面の凸部を起点とした摩耗やかじりの発生を大幅に抑制し、良好な摺動特性を発揮することが可能である。また金型および被加工材の作業面が平滑である場合、互いの作業面同士が接触している箇所に潤滑油を含浸させることは困難であるが、本発明ではRskを-0.01以下にすることで、金型の作業面に適度な凹部(以下、空隙とも記載する。)を形成させることで、潤滑油の含浸性を向上させ、良好な摺動特性を発揮させることが可能である。また、金型および被加工材の作業面が平滑である場合、真空凝着が生じる可能性があるが、上述した凹部により金型と被加工材との接触面が真空状態となることを防止することができ、その効果により良好な摺動特性を得ることが可能である。上述した効果をより確実に得るためにも、本発明のRskは-1.0以下であることが好ましい。尚、本発明は、被加工材が金属材料からなる場合に、特に効果を発揮する。
【0012】
本発明の強化層は、少なくとも作業面の表面から深さ方向に0.2μmの範囲まで形成されていることが好ましい。これにより、上述した耐凝着性をより向上させることができる。この強化層は少なくとも作業面の表面から深さ方向に0.5μmの範囲まで形成されていることがより好ましく、1μmの範囲まで形成されていることがさらに好ましい。ここで、下記のように強化層上に硬質皮膜(以下、単に皮膜とも記載する)を形成した場合は、その被覆層と強化層との界面から強化層を測定する。また、本発明の金型は強化層に形成する空隙をより形成させやすくするために、硬質相の径を1μm以上にすることが好ましい。硬質相の径の上限は特に限定しないが、安定して金型の強度を保つために15μm程度としてもよい。なお後述する本発明の製造方法によれば、エッチングにより作業面全体でほぼ均一に強化層が形成されるので、走査線電子顕微鏡(SEM)などの測定装置で、例えば、作業面の断面で面内方向10μm~20μm程度の範囲を確認すればよい。また硬質相の径は、上記断面写真から切片法(インターセプト法)を用いて円相当径を求めればよい。
【0013】
本発明の金型の作業面は、強化層の上に硬質皮膜としてダイヤモンドライクカーボン膜(以下、DLC皮膜とも記載する)を被覆した構成とすることもできる。これにより、金型の耐摩耗性を向上させるとともに、DLC皮膜は強化層表面の凹凸に倣うように皮膜表面にも凹凸が形成されるため、上述した空隙を設けることによる利点も発揮することが期待できる。このDLC皮膜は、より高硬度かつ金型との密着性を向上させるために、DLC皮膜の表面における水素原子の含有量を0.5原子%以下とし、窒素の含有量を2原子%以下とすることができる。また、DLC皮膜の強化層との界面側における水素含有量を0.7原子%以上7原子%以下、窒素含有量を2原子%超10原子%以下とすることでさらなる耐摩耗性の向上が期待できる。
【0014】
DLC皮膜は、耐摩耗性や耐熱性等の特性を付与するために、金属(半金属を含む)元素を含有しても良く、金属の形態、合金の形態、または炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、炭ホウ化物等の化合物の形態で含有すればよい。好ましくは、DLC皮膜中の金属(半金属を含む)元素の含有比率(原子%)は2%以上であり、さらに好ましくは5%以上と設定することができる。但し、金属(半金属を含む)元素の含有比率が多くなると、摺動特性が低下する傾向にある。そのため、DLC皮膜中の金属(半金属を含む)元素の含有比率(原子%)が20%以下、より好ましくは10%以下に設定することができる。なおDLC皮膜の厚みは、耐久性や金型との密着性をさらに向上させるために、0.1μm~1.5μmと設定することができ、0.1μm~1.2μmに設定してもよく、金型に十分な耐摩耗性を付与するために、DLC皮膜の膜厚は0.2μm以上に設定してもよい。平滑な表面粗さと優れた耐摩耗性を同時に達成するには、DLC皮膜の膜厚を0.5μm~1.2μmに設定してもよい。
【0015】
本発明の金型は耐摩耗性をより向上させるために、強化層の上に4、5、6族遷移金属、Si、Alの少なくとも一種の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される一種以上の硬質皮膜を形成させることが好ましい。より好ましくはCr系窒化物、Ti系窒化物またはTi系炭窒化物からなる皮膜を適用し、さらに好ましくはTiCN、AlCrN、TiSiN、TiAlN、AlCrSiN、TiAlSiN、TiAlCrSiNの皮膜を適用することができる。最も好ましくはAlCrSiNからなる皮膜を適用する。また耐摩耗性を安定して向上させるために、AlCrSiNを適用する場合、AlCrSiの組成式において、20<x<75、25<y<75、0<z<10と制御することが好ましい。同様にTiAlSiNを適用する場合、TiAlSiの組成式において、25<x<75、20<y<75、0<z<10と制御することが好ましい。この皮膜の好ましい膜厚は0.1μm~5.0μmであり、より好ましい膜厚の下限は0.5μmであり、上限は2.0μmである。これは、膜厚が厚すぎると硬質相の凸部をトレースできず、上述した耐凝着性などの有利な効果が発揮されない可能性があり、膜厚が薄すぎると耐摩耗性向上効果が十分に得られない可能性がある。ここでAlCrSiN膜を用いる場合、基材側から皮膜表面側に向かって、x値が増加するとともにy値が減少する傾斜組成を有してもよい。これにより基材との密着強度をさらに向上させることができる。なお硬質相は、皮膜表層において離散的に形成されており、硬質皮膜はかかる硬質相を覆うように連続的に形成されているため、金型の断面を観察することで、硬質相と硬質皮膜とを識別することが可能である。
【0016】
皮膜を施した本発明の金型において、皮膜表面の表面粗さは、算術平均粗さRaで0.1μm以下、Rskで-1.0以下であることが好ましい。より好ましいRaは、0.06μm以下である。これにより、強化層による耐凝着性効果を損なわず、皮膜表面上の凹凸が摩耗の起点になることを抑制し、耐摩耗性をさらに向上させることができる。また過大な凸部の形成を抑制して耐摩耗性を向上させるために、皮膜表面における最大高さRzは、1.0μm以下に調整することが好ましい。
【0017】
続いて、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、硬質相と金属相を含む複合材料から構成される金型の表面をRa≦0.1μmとする形状加工工程と、前記形状加工工程の後、Ra≦0.1μmに調整された金型の表面をエッチングし、表面近傍の金属相を除去する、表層改質工程と、を有することを特徴とする。この複合材料から構成される金型は既存の方法で作製することが可能であり、例えば、硬質粉末と金属粉末との混合粉末を所定の形状に加圧・成型後、真空雰囲気下で1250~1550℃の温度で焼結することで、得ることができる。なお金型の強度をより向上させるために、本発明の製造方法で用いる混合粉末は、硬質粉末と金属粉末とが体積比で、97:3~70:30であることが好ましい。また上記硬質粉末は、W(タングステン)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)、Zr(ジルコニウム)、Al(アルミニウム)、Si(ケイ素)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)およびTi(チタン)のうちの少なくとも一種の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択されることが好ましく、上記金属粉末は、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)のうちの少なくとも一種から選択されることが好ましい。
【0018】
<形状加工工程>
本発明の製造方法では用意した金型の表面を、研削加工、研磨加工、切削加工および放電加工等によりRa≦0.1μmに調整する形状加工工程を行う。この形状加工工程により金型の表面、特に作業面となる金型の表面を平滑にし、後の表層改質工程を経て、平滑かつ適度な凹部が形成され、Ra≦0.1μm、スキューネスRsk≦-0.01の表面粗さを有する作業面を形成させることができる。より好ましいRaの上限は0.05μm、さらに好ましいRaの上限は0.02μmである。下限は特に限定しないが、量産性を考慮して例えば0.001μmと設定することができる。ここで形状加工工程は複数の工程を組み合わせても良く、例えば研削加工で荒加工した後、研磨による仕上げ加工でRa≦0.1μmに調整しても良い。この時の研磨には、既存の研削方法を用いることができるが、所望の表面粗さを確実に得るために、ダイヤモンドペーストを用いたバフ研磨を実施してもよい。
【0019】
<表層改質工程>
続いて本発明の製造方法では、形状加工工程の後、Ra≦0.1μmに調整された金型の表面をエッチングし、表面近傍の金属相を除去する表層改質工程を行い、本発明の金型を得る。これにより金型の作業面に、硬質相で構成された強化層を形成させることができる。本発明ではこの表層改質工程にエッチングを適用しており、エッチングには酸性溶液やアルカリ性溶液を用いてエッチングするウェットエッチングや、放電プラズマを用いるドライエッチングを用いることができる。より好ましくは、硬質相で構成される強化層を厚く形成させやすく、Rskを安定して負値に調整しやすいウェットエッチングを用いる。
【0020】
本実施形態では表層改質工程にウェットエッチングを適用した場合、エッチング液には塩酸、硝酸、王水等の酸性溶液を使用することができるが、金属相の除去能力が高く、強化層を形成させやすい王水を使用することが好ましい。ここでウェットエッチングに王水を使用した場合、確実にRskを-1.0μm以下の値に調整させるために、エッチング処理時間は30秒超であることが好ましい。より好ましい処理時間は60秒以上、さらに好ましい処理時間は90秒以上である。表層改質工程にドライエッチングを適用する場合、既存の手法を適用することができる。本実施形態では、例えば、プラズマを発生させるチャンバー内を2Pa程度の減圧Ar雰囲気とし、Arガスをプラズマ化させ、基材に―300Vのバイアスをかけてエッチングすることで、所望の強化層を有した金型を得ることができる。
【0021】
本発明の金型の製造方法では、耐摩耗性をより向上させるために強化層の直上に硬質皮膜としてDLC皮膜を被覆することが好ましい。DLC皮膜の被覆には、スパッタリング法やプラズマCVD法など既存の成膜法を採用することができるが、フィルタードアークイオンプレーティング法を使用すると、ドロップレットが少なくより平滑なDLC皮膜を被覆することが期待できる。また高硬度かつ金型との密着性が高いDLC皮膜を形成させるために、本実施形態では炉内に導入する窒素ガスおよび/または炭化水素等の水素を含有するガスの流量を減少させながら、DLC皮膜を被覆することが好ましい傾向にある。ここで水素含有ガスを導入する代わりに、強化層側のDLC皮膜表面に水素を含有させつつ、強化層の表面に存在する酸化膜や汚れ等を除去するために、水素を含んだ混合ガスを用いたガスボンバード処理を行ってもよい。この時の水素混合ガスは、アルゴンガスと、混合ガス総質量に対して4質量%以上の水素ガスと、を含有する混合ガスであることがより好ましい。
【0022】
本発明の金型の製造方法では、耐摩耗性をより向上させるために上述したDLC皮膜以外にも、強化層の直上に4、5、6族遷移金属、SiおよびAlの炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、硼化物から選択される一種以上からなる硬質皮膜を被覆してもよい。より好ましくはCrの窒化物、Tiの窒化物またはTiの炭窒化物からなる皮膜を適用し、さらに好ましくはTiCN、AlCrN、TiSiN、TiAlN、AlCrSiN、TiAlSiN、TiAlCrSiNの皮膜を適用することができる。最も好ましくはAlCrSiNからなる皮膜を適用する。また耐摩耗性を向上させるために、AlCrSiNを適用する場合、AlCrSiの組成式において、25<x<75、20<y<75、0.0<z<10と制御することが好ましい。同様にTiAlSiNを適用する場合、TiAlSiの組成式において、25<x<75、20<y<75、0.0<z<10と制御することが好ましい。この皮膜の成膜方法としてはPVD法を用いることができるが、ドロップレットが少なくより平滑な皮膜表面を得ることができる、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いる場合は、さらに表面平滑度を向上させつつ基材と皮膜との密着強度を向上させるために、基材に印加するバイアス電圧を40~150V、と設定することがより好ましい。また、CVD法を用いてもよく、CVD法を用いることでより平滑な皮膜を得ることが可能である。例えばTiCNを熱CVD法で被覆する場合、膜厚を0.5~2.0μm、成膜温度を700~900℃と設定することが好ましい。
【実施例
【0023】
(実施例1)
硬質相にWC、金属相にCoを選択した複合材料から構成される金型(超硬合金製)を準備した。この複合材料の硬質粉末と金属粉末との体積比は、82:18であった。この金型を、研削工具によりRa=1.5μmまで研削した後、ダイヤモンドペーストを用いたバフ研磨により金型の表面をRa=0.005μmとなるまで研磨した。試料No.1は、研磨後の金型表面を王水に60秒間浸漬させてCo(金属相)を除去して強化層を形成させた本発明例である。試料No.2は研磨後の金型表面にバイアス電圧-300V、雰囲気圧力2PaのAr雰囲気下でプラズマエッチングを施してCo(金属相)を除去し、強化層を形成させた本発明例である。比較例である試料No.11には、研磨後に何も処理を行わなかった。作製した試料No.1の垂直断面における表層付近の写真を図7に示す。図7において、符号20が硬質相、符号21が金属相、符号22が空隙、符号23が保護層のNiメッキ層である。図7より、試料No.1の表層(作業面25側)は金属相21が除去されて空隙22となっており、硬質相20から構成される強化層が形成されていることが確認できる。この強化層は実質的に金属相が存在しない層であり、表面から少なくとも1μmの厚さが強化層として形成されていた。また、その1μmの範囲内において、強化層の硬質相比率はほぼ100%であった。なお層23は、図7の断面観察写真の撮影に際して金型表面を保護するためのNiメッキ層である。このNiメッキ層を形成しておくと、例えば、金型を切断する時などに形状を保持させることができる。
【0024】
(表面粗さ測定)
試料No.1、No.2、No.11について表面粗さを測定した。表面粗さの測定には、東京精密(株)製触針式粗さ計(サーフコム)を用いた。測定条件は評価長さ4mm、測定速度0.3mm/s、カットオフ値0.8mm、フィルタ種別をガウシアンとした。測定結果を表1に示す。測定の結果、本発明例であるNo.1とNo.2の試料は、表面が研摩によって平滑に仕上げたのみのNo.11と比較してもRaの差が小さく、絶対値も0.1μm以下であり、十分な平滑性を有していることも確認できた。またNo.1、No.2の試料はRskが-0.01以下であり、No.11の試料よりも先鋭な凸部が少ないことが確認できた。特に王水によるウェットエッチングで処理を行ったNo.1の試料は、Rskが-1.6と大きい負値を示している。これは作業面の粗さ曲線における先鋭な凸部がさらに抑制されていることを示しており、このことから本発明の強化層が深くまで形成されていることが推定できる。表層改質処理を行っていない比較例である試料No.11は、Rsk>0であり、目標とする表面粗さを有していなかった。
【0025】
【表1】
【0026】
(摺動試験)
続いてNo.1の条件で作製した本発明例の試料と、本発明の処理を施していない比較例の試料の摺動特性を比較する試験を行った。この摺動試験で用いた装置の模式図を図5図6(a)(b)に示す。図5は試験装置の上面図であり、図6(a)(b)は図5の側面図である。上記の図に示すように、本実施形態で用いた試験装置は、試料設置部14に試料を取り付けて保持するアーム部15を含む保持機構11と、回転しながら上記試料に対して接触及び非接触を繰り返す接触治具10と、接触治具10を回転自在に保持する回転機構(図示省略)とを備えている。接触治具10は、回転軸Ax1を有する軸部12と、回転軸Ax1から偏心した中心軸Ax2を有する円形板状部13とから構成される。なお図5、6からは確認できないが、アーム部が設置される保持機構の本体部には、上記アーム部15を進退自在に収納保持する収納穴が形成されており、収納穴の中には弾発部(例:バネ)が設置されており、試料が垂直抗力を受けるとその試料を押し返すように構成されている。上述した構成により、本実施形態で用いる試験装置は、実際の加工状態を模擬した金型を準備しなくても、実際の使用環境に近い金型材料の摩耗評価を行うことができる。
上述したアーム部15の先端に本発明例および比較例の試料を取り付け、SCM420製の円形板状部(被加工材に相当する)を回転速度30m/minで回転させ、試料に付与する垂直抗力を120Nに設定し、本発明例および比較例の試料に1000回摺動させた。試験後の本発明例の試料の摺動部外観を図1に、比較例の試料の摺動部外観を図2に示す。図1(a)および図2(a)より、本発明例の試料は、比較例の試料よりも被加工材の凝着部が減少していることが確認できる。続いて被加工材の凝着が発生しやすい円形板状部の入口部である図1(b)および図2(b)の走査電子顕微鏡(SEM)による拡大写真を図3(a)および図4(a)に,出口部である図1(c)および図2(c)の走査電子顕微鏡(SEM)による拡大写真を図3(b)および図4(b)に示す。比較例である図4(a)、(b)からは被加工材からの凝着物が確認されるが、本発明例である図3(a)、(b)からは被加工材の凝着物が大幅に抑制されており、本発明例の試料の摺動性が大幅に向上していることが確認できた。また本発明例と比較例における凝着量を評価するために、電子線マイクロアナライザー(EPMA、日本電子製JXA‐8500F)による面分析を行い、マッピング結果の130μm×280μmの測定領域内におけるFeの平均カウント数を測定した。その結果、比較例の平均カウント数は38.17であったのに対し、本発明例の平均カウント数は12.84であり、本発明例の試料は比較例の試料よりも大幅にFeの凝着量を抑制することができたと考えられる。
【0027】
(実施例2)
次に被覆金型における本発明の効果を確認した。まず本発明例として、実施例1の試料No.1と同じ条件で作成した試料に、硬質皮膜としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を被覆した試料No.3を準備した。成膜装置には、フィルタードアークイオンプレーティング装置を用い、基材に印加する負圧のバイアス電圧を-2000Vとし、アルゴンガスに5質量%の水素ガスを含有した混合ガスによるガスボンバード処理を90分実施した。混合ガスの流量は50sccm~100sccmとした。ガスボンバード処理後、成膜チャンバーに10sccm窒素ガスを導入し、基材に-150Vのバイアス電圧を印加して、基材温度を100℃以下とした。そして、グラファイトターゲットに50Aの電流を投入し、DLC皮膜を約10分間被覆した。次いで、窒素ガスを5sccmとし、DLC皮膜を約10分間被覆した。次いで、窒素ガスの導入を止めて、DLC皮膜を30分間被覆し、試料No.3とした。なお比較例として、実施例1の比較例11にDLC皮膜を被覆したものを作成し、試料No.12とした。なおNo.3、No.12の皮膜厚みは、0.5μmであった。
【0028】
続いて作成した本発明例および比較例の試料を、実施例1と同様の摩耗試験装置を用い、実施例1と同様の試験条件にて摺動試験を行った。摺動試験後の試料は、実施例1と同様のEPMA装置と方法を使用し、凝着量(Feの平均カウント数)を評価した。Ra、Rskおよび凝着量の評価結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
試験後の試料No.3のSEMによる摺動部拡大写真を図8に、試料No.12のSEMによる摺動部拡大写真を図9に示す。比較例である図9からは被加工材からの凝着物が確認されるが、本発明例である図8からは被加工材の凝着物が少なくなっており、被覆を施しても本発明例の凝着物抑制効果が発揮されていることを確認できた。表2より、比較例の試料は、Ra、RskにおいてはそれぞれRa≦0.1μm、スキューネスRsk≦-0.01であったが、基材表面の結合層が除去できていないため本発明の凝着抑制効果が得られず、本発明例より劣る結果であった。本発明例である試料No.3の作業面近傍の表面および断面を観察するための斜視写真を図10に、比較例である試料No.12の斜視写真を図11に示す。図10より、本発明例である試料No.3は、DLC皮膜を被覆しても、基材表面の凹凸形状が転写されている様子が確認できた。
【0031】
(実施例3)
続いて実施例2とは異なる材質の皮膜を金型に被覆した。本発明例として、実施例のNo.1と同じ条件で作成した試料に、AlCrSiN膜を被覆した試料No.4を準備した。成膜装置にはスパッタリング装置を用い、基材に-200Vの直流バイアス電圧を印加し、Arイオンによるクリーニングを実施した。その後容器内にNガスを導入し、バイアス電圧を-100Vに設定してTiターゲットに2kWのスパッタ電力を供給して、10分間保持し、TiN最下層を被覆した。続いて、バイアス電圧を-140Vに設定してAl65Cr35ターゲット(数値は原子比)に4kWのスパッタ電力を供給して、15分間保持し、AlCrN層を被覆した。続いて、Al65Cr35ターゲットに電力を供給した状態で、Al55Cr43Siターゲットに4kWのスパッタ電力を供給して、65分間保持し、AlCrSiN層を被覆した。この皮膜の総厚は、約2.7μmであった。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
試料No.4のSEMによる摺動部拡大写真を図12に示す。表3より、試料No.4はRa≦0.1μm、スキューネスRsk≦-0.01であることを確認した。またFeの平均カウント数も、実施例1の試料No.11より低く、No.4の試料は十分に凝着抑制効果を発揮しつつ、高い耐摩耗性を発揮できることが確認できた。
【符号の説明】
【0034】
10:接触治具
11:ワーク保持機構
12:軸部
13:板状部
14:試料設置部
15:アーム部
20:硬質相
21:金属相
22:空隙
23:樹脂
25:作業面
26:硬質皮膜
Ax1:回転軸
Ax2:板状部の中心軸

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12