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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】流路形成装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220225BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20220225BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G03G21/00 538
G03G21/16 119
H05K7/20 K
H05K7/20 G
H05K7/20 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018093114
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019200237
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祥二
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-145576(JP,A)
【文献】特開2005-275253(JP,A)
【文献】特開2012-124246(JP,A)
【文献】特開2002-343912(JP,A)
【文献】特開平04-260065(JP,A)
【文献】特開2012-032663(JP,A)
【文献】特許第5861068(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/16
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材の内側表面に取り付けられた異物回収手段と、を備える流路形成装置において、
前記流路形成部材における前記異物回収手段が取り付けられた部分を冷却する冷却手段を備え
前記流路形成部材は、装置内部の気体を装置外部に案内する排気経路を形成する排気経路形成部材であり、
画像形成装置の内部の熱源の近傍の気体を外部に排気する構成であり、
前記冷却手段は、前記画像形成装置の作像部から前記画像形成装置の外部に向かう排気を前記排気経路形成部材における前記異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面に当てる構成であることを特徴とする流路形成装置。
【請求項2】
請求項1の流路形成装置において、
前記冷却手段は、前記流路形成部材における前記異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面に気流を当てる構成であることを特徴とする流路形成装置。
【請求項3】
請求項2の流路形成装置において、
前記外側表面に、前記冷却手段が当てる気流の流路と、前記流路形成部材における前記異物回収手段が取り付けられていない部分の内部との間に断熱手段を備えることを特徴とする流路形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の流路形成装置において、
前記冷却手段として、前記流路形成部材における前記異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面に放熱フィンを備えることを特徴とする流路形成装置。
【請求項5】
請求項4の流路形成装置において、
前記放熱フィンは、前記流路形成部材の外側を移動する流体の流れに平行に配置されていることを特徴とする流路形成装置。
【請求項6】
請求項4の流路形成装置において、
前記放熱フィンは、前記流路形成部材の外側を移動する流体の流れに対して傾斜して配置されていることを特徴とする流路形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の流路形成装置において、
前記流路形成部材における前記異物回収手段が取り付けられた部分を、前記異物回収手段が取り付けられていない部分よりも熱伝導率の高い材質で構成することを特徴とする流路形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の流路形成装置において、
前記異物回収手段は、前記流路形成部材に対して取り外し可能であることを特徴とする流路形成装置
【請求項9】
録媒体に画像を形成する作像手段と、
装置内部の気体を装置外部に排出する排気手段とを備える画像形成装置において、
前記排気手段として、請求項1乃至の何れか一項に記載の流路形成装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路形成装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、気体の流路を形成する流路形成部材と、流路形成部材の内側表面に取り付けられた異物回収手段と、を備える流路形成装置が知られている。
例えば、特許文献1には、画像形成装置の定着装置の近傍の空気を装置の外部に排出する排気経路を形成するダクト(流路形成部材)と、このダクトの天井面に取り付けられた面状のフィルタ(異物回収手段)とを備える構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の流路形成装置では、流路形成部材を通過する気体に含まれる異物を異物回収手段で回収する回収率の向上が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、気体の流路を形成する流路形成部材と、前記流路形成部材の内側表面に取り付けられた異物回収手段と、を備える流路形成装置において、前記流路形成部材における前記異物回収手段が取り付けられた部分を冷却する冷却手段を備え、前記流路形成部材は、装置内部の気体を装置外部に案内する排気経路を形成する排気経路形成部材であり、画像形成装置の内部の熱源の近傍の気体を外部に排気する構成であり、前記冷却手段は、前記画像形成装置の作像部から前記画像形成装置の外部に向かう排気を前記排気経路形成部材における前記異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面に当てる構成であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、流路形成部材を通過する気体に含まれる異物を異物回収手段で回収する回収率の向上を図ることができる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例1の排気流路形成部の説明図。
図2】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
図3】帯電部排気流路を示すプリンタの上面図。
図4】後側板よりも筐体の後方の帯電部排気流路及び定着部排気流路を示すプリンタにおける空気の流路を形成する排気流路形成部の側面図。
図5】排熱ダクトのダクト屈曲部材の斜視図。
図6】実施例2の排気流路形成部のダクト屈曲部材近傍の拡大側面図。
図7】実施例2の排気流路形成部のダクト屈曲部材近傍を背面側から見た斜視図。
図8】帯電部排気流路に沿って流れる空気の向きに対する放熱フィンの傾きを異ならせた二つの例の説明図。
図9】実施例3の排気流路形成部のダクト屈曲部材近傍の拡大側面図。
図10】実施例3の排気流路形成部のダクト屈曲部材近傍を背面側から見た斜視図。
図11】実施例4の排気流路形成部の説明図、(a)は、排気流路形成部のダクト屈曲部材近傍の拡大側面図、(b)は、排気流路形成部の排熱ダクトの排熱上流側ダクトの斜視図。
図12】実施例5の排気流路形成部のダクト屈曲部材近傍の拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る流路形成装置を画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置であるプリンタ100の概略構成図である。
プリンタ100は、給紙部2、レジストローラ対13、転写部14、定着装置15、排紙部10、現像装置3、感光体4、帯電チャージャ5、帯電部排気ダクト6、定着部排気ダクト9、反転搬送部11及び中継搬送部12等を備える。
【0008】
給紙部2によって給紙された用紙Pは、レジストローラ対13に搬送される。レジストローラ対13では用紙Pの先端の位置ずれを補正する。
ドラム状の感光体4の表面は、帯電チャージャ5でのコロナ放電によって均一に帯電され、その後、露光装置によって露光されることによって、部分的に電荷を逃がして静電潜像が形成される。
【0009】
プリンタ100では、静電潜像が形成された感光体4の表面に、現像装置3から帯電したトナーを静電潜像に供給する現像によって可視画像を形成する。感光体4の表面上の可視画像が、感光体4と転写部14の転写部材とが対向する転写位置に到達するタイミングに合わせてレジストローラ対13を駆動し、用紙Pを転写位置に向けて送り出す。
現像によって感光体4の表面上に形成した可視画像(トナー像)は、レジストローラ対13によって送り出されて転写位置に到達した用紙Pの表面上に転写する。転写位置で可視画像が転写された用紙Pを、転写部14の搬送ベルトによって搬送し、定着装置15に受け渡す。定着装置15では、用紙Pの表面上に転写された可視画像を熱によって融着して、用紙Pの表面上に可視画像を定着する。
【0010】
可視画像が定着された用紙Pは、排紙部10の排紙ローラ対10aによって筐体の外に排紙されるか、反転搬送部11に搬送される。反転搬送部11に搬送された用紙Pは、反転されて中継搬送部12に搬送され、再び、レジストローラ対13に搬送され、所定のタイミングで転写位置に向けて搬送される。その後、用紙Pの裏面にも画像が形成され、筐体の外へ排紙される。
【0011】
プリンタ100は、後側板1と前側板とを備え、図2に示す各部材は、後側板1と前側板との間に配置されている。
プリンタ100は、帯電チャージャ5近傍の空気を機外に向けて案内する帯電部排気ダクト6を備え、定着装置15近傍の空気を機外に向けて案内する定着部排気ダクト9を備える。
後側板1には、帯電部排気ダクト6と連通する帯電部排気開口部7と、定着部排気ダクト9と連通する定着部排気開口部8と、が設けられている。
【0012】
図2中の破線の矢印「F1」は、帯電チャージャ5の近傍を通過し、帯電部排気ダクト6及び帯電部排気開口部7を介して機外に排出される気流の流路(以下、「帯電部排気流路F1」という)を示している。
図2中の一点鎖線の矢印「F2」は、定着装置15の近傍を通過し、定着部排気ダクト9及び定着部排気開口部8を介して機外に排出される気流の流路(以下、「定着部排気流路F2」という)を示している。
【0013】
図3は、帯電部排気流路F1を示すプリンタ100の上面図である。
図4は、後側板1よりも筐体の後方(図2中の奥方向)の帯電部排気流路F1及び定着部排気流路F2を示すプリンタ100における空気の流路を形成する排気流路形成部200を図2及び図3中の右側から見た側面図である。
図3及び図4に示すように、後側板1の後方には、帯電部排気ファン23と定着部排気ファン19とが配置されている。
【0014】
図3及び図4に示すように、プリンタ100の後部には、帯電部排気流路F1及び定着部排気流路F2が内部を通過する流路カバー110が設けられている。また、図4に示すように、流路カバー110の下端には、帯電部排気流路F1及び定着部排気流路F2が機外に繋がる排気開口部111を有する。
図4に示すように、流路カバー110の内部には、定着部排気ファン19を通過した空気を排気開口部111の上方まで案内する排熱ダクト35が設けられている。
排熱ダクト35は、排熱上流側ダクト22と、ダクト屈曲部材28と、排熱下流側ダクト33とを備える。
【0015】
図3中の「F1」で示すように、プリンタ100の筐体の後方から吸引された外気は帯電チャージャ5の近傍に到達する。帯電部排気ファン23の駆動により帯電部排気ダクト6の内部に負圧が生じ、帯電チャージャ5の近傍の空気が帯電部排気ダクト6に流入する。帯電部排気ダクト6に流入した空気は、帯電部排気開口部7から帯電部排気ファン23によって吸引されて、流路カバー110の内部を通過し、排気開口部111から機外に排気される。
【0016】
帯電チャージャ5は、放電によって感光体4を帯電させており、この放電によってオゾンが発生する。このオゾンは、帯電部排気流路F1に沿って機外に排気される空気とともに、機外に向けて移動する。帯電部排気流路F1における帯電部排気ファン23の下流側には、機内で発生したオゾンを分解するオゾンフィルタ31が配置されている。
【0017】
定着装置15では、用紙Pを高温に加熱するため、機内の空気の温度が上昇する。このため、機内温度の上昇や用紙Pの冷却のために、定着部排気ファン19によって、定着部排気開口部8を介して定着部排気ダクト9から定着装置15近傍の空気を吸引して、機外に排出している。定着部排気ファン19によって吸引された空気は、排熱ダクト35を通過して、排熱ダクト開口部350及び排気開口部111を通過して機外に排気される。
定着部排気流路F2における定着部排気ファン19の下流側の排熱ダクト35内には、微粒子フィルタ20が配置されている。
【0018】
〔実施例1〕
次にプリンタ100が備える排気流路形成部200の一つ目の実施例(以下、「実施例1」と呼ぶ)について説明する。
図1は、実施例1の排気流路形成部200の説明図であり、図4に示す排気流路形成部200のオゾンフィルタ31及び微粒子フィルタ20近傍の拡大側面図である。
定着部排気ファン19が回転することで、定着装置15の上方の温度が上昇した空気が定着部排気ダクト9に吸引され、排熱ダクト35を介して機外に排出されることで、排熱される。定着部排気流路F2に沿って流れる空気が、微粒子フィルタ20をい通過することで定着装置15で発生した微粒子を微粒子フィルタ20で回収する。
定着装置15で発生する微粒子としては、定着ローラ等の定着部材を構成するゴム層から発生する微粒子(シロキサン等)、紙粉及びトナー粉塵を例示することができるが、これらに限るものではない。
【0019】
図5は、排熱ダクト35における排気方向の微粒子フィルタ20の下流側に位置するダクト屈曲部材28の斜視図である。図5(a)は、ダクト屈曲部材28を外側から見た斜視図であり、図5(b)はダクト屈曲部材28を内側から見た斜視図である。
図1及び図5に示すように、排気流路形成部200では、ダクト屈曲部材28における内側表面に、不織布からなる微粒子吸着部材21が貼り付けられている。微粒子吸着部材21によって、微粒子フィルタ20で取り切れなかった微粒子を回収することで微粒子の捕集能力を向上させることができる。
【0020】
また、図1及び図4に示すように、排気流路形成部200では、排熱ダクト35のカーブを形成するダクト屈曲部材28に微粒子吸着部材21を取り付けている。排熱ダクト35に沿って流れてきた気流が向きを変える箇所に微粒子吸着部材21を設けることで、微粒子吸着部材21による微粒子の捕集効率の向上を図っている。
【0021】
さらに、実施例1の排気流路形成部200では、ダクト屈曲部材28における内側表面に微粒子吸着部材21を貼り付けた部分の外側表面である吸着部材貼付外壁面28fに、オゾンフィルタ31を通過した気流を案内する気流ガイド板27を備える。
図1に示すように、帯電部排気ファン23によって送り出された空気は、Y軸方向に延在する排気ダクト34を通過してオゾンフィルタ31を通過して、Y軸方向に流れる。このとき、気流ガイド板27に突き当たり、下方に向かうように案内される。気流ガイド板27によって気流を案内することで、帯電部排気流路F1は、図1に示すように、吸着部材貼付外壁面28fに当たり、吸着部材貼付外壁面28fに沿って流れるような流路となる。
【0022】
排熱ダクト35内を定着部排気流路F2に沿って移動する空気は、プリンタ100内における定着装置15の上方の空気を排気するものであり、定着装置15で加熱され、比較的温度が高い空気である。一方、排熱ダクト35の外を帯電部排気流路F1に沿って移動する空気は、外気を吸引した空気が、帯電チャージャ5の近傍を通過し、帯電部排気ダクト6内を通過して排気するものであり、排熱ダクト35内の空気よりも温度が低い空気である。
【0023】
排熱ダクト35内の空気よりも温度が低い空気を吸着部材貼付外壁面28fに当てることで、微粒子吸着部材21の近傍の排熱ダクト35の内側と外側とで温度差が生じ、排熱ダクト35内の微粒子吸着部材21の近傍の空気は冷却される。
プリンタ100では、排熱ダクト35内を定着部排気流路F2に沿って移動する空気の微粒子吸着部材21よりも上流側での温度は約60[℃]であった。また、気流ガイド板27によって吸着部材貼付外壁面28fに向けて案内される前の帯電部排気流路F1に沿って移動する空気の温度はプリンタ100が設置された室温とほぼ同じ温度であった。
定着部排気流路F2に沿って移動する空気の温度は、室温に比べて十分に高いため、帯電部排気流路F1に沿って移動する空気によって定着部排気流路F2に沿って移動する空気を冷却することが可能となる。
【0024】
帯電部排気流路F1を吸着部材貼付外壁面28fに向ける気流ガイド板27は、流路形成部材である排熱ダクト35における異物回収手段である微粒子吸着部材21が取り付けられた部分を冷却する冷却手段としての機能を有する。
【0025】
冷却された空気は容積が低下し、気圧が下がるため、微粒子吸着部材21近傍の気圧が低下し、排熱ダクト35内の温度が高く、気圧が高いところに位置する空気が、気圧の低い微粒子吸着部材21近傍に寄せ付けられる。これにより、排熱ダクト35内の空気に含まれる水蒸気も微粒子吸着部材21近傍に寄せ付けられて冷却されて液体(水)となり、この液体に周囲の空気に含まれる微粒子が吸着されて、液体が微粒子と結合し、粒径の大きい微粒子が形成される。粒径が大きくなることで微粒子吸着部材21に吸着し易くなり、排熱ダクト35内の空気に含有される微粒子についての微粒子吸着部材21による捕集効率を向上させることができる。微粒子吸着部材21は、排熱ダクト35の一部を形成するダクト屈曲部材28とは別体で構成されており、必要に応じてダクト屈曲部材28から取り外すことで微粒子吸着部材21の交換が可能となっている。
【0026】
図5に示すように、ダクト屈曲部材28は、取り外し可能な屈曲部カバー29が固定されており、微粒子吸着部材21は屈曲部カバー29の内側表面に両面テープで張り付けられている。微粒子吸着部材21に多くの微粒子が吸着されたり、微粒子吸着部材21が経時で劣化したりする等によって微粒子吸着部材21の微粒子の吸着性能が低下した際には、屈曲部カバー29を取り外すことで微粒子吸着部材21を容易に交換できる。これにより、微粒子吸着部材21の吸着性能を維持することができる。
【0027】
図1に示すように、帯電部排気流路F1に沿って流れる空気を、ダクト屈曲部材28の外側の面に当てて、吸着部材貼付外壁面28fを冷やすことで、排熱ダクト35の内側と外側とで温度差を生じさせる。これにより、排熱ダクト35における微粒子吸着部材21を設けた壁面を外側から冷却し、微粒子吸着部材21の周辺の空気を冷却して気圧を低くし、排熱ダクト35内の空気を微粒子吸着部材21の近傍に引き寄せることができる。このため、排熱ダクト35内の空気と微粒子吸着部材21との接触機会を増やすことができ、微粒子吸着部材21による微粒子の捕集効率が向上する。
【0028】
プリンタ100等の電子写真方式の画像形成装置では、定着装置が用紙P等の記録媒体上のトナーを高温で加熱することで、微粒子が発生することがある。このような微粒子が機外に排出されることを抑制する方法として、定着装置近傍の空気を機外に排出する排気経路に微粒子を捕集するフィルタを設けて、微粒子を回収する方法が考えられる。
【0029】
排気経路を塞ぐようにフィルタを設置して微粒子を回収する構成で、フィルタによる回収効率を向上させようとすると、フィルタを追加して複数枚のフィルタを並べる構成やフィルタをさらに厚くする構成等が考えられる。しかし、これらの構成では、フィルタにおける抵抗で排気経路内の圧損が非常に高くなる。圧損が高くなった状態で、必要とする排気流量を確保するためには、排気の気流を発生させる排気ファンの出力を大きくする必要があり、騒音や消費電力が増加するおそれがある。
【0030】
一方、実施例1の排気流路形成部200では、微粒子フィルタ20を備える構成に、ダクト屈曲部材28の内側表面に微粒子吸着部材21を追加した構成である。このような構成により、定着装置15の周囲から排出される空気が排熱ダクト35を通過するときに、空気に含有される微粒子を微粒子フィルタ20だけでなく微粒子吸着部材21でも回収する。このため、排熱ダクト35を通過する空気からの微粒子の回収効率を向上させることができる。
【0031】
さらに、実施例1の排気流路形成部200は、内側表面に微粒子吸着部材21を張り付けた排熱ダクト35の外側表面を冷却する構成を備える。これにより、微粒子吸着部材21近傍の排熱ダクト35の内外に温度差を生じさせ、上述したように排熱ダクト35内の空気を微粒子吸着部材21近傍に引き寄せ、微粒子吸着部材21による微粒子の回収能力を向上させることができる。微粒子フィルタ20の枚数を増やしたり、微粒子フィルタ20の厚みを厚くしたりすることなく、排熱ダクト35を通過する空気に含まれる微粒子の回収能力を向上できるため、排気ファンの出力を大きくする必要性が低下する。よって、排気ファンの出力を大きくすることに起因する騒音や消費電力が増加することを抑制できる。
【0032】
また、プリンタ100内の空気に水蒸気が含まれている場合は、排熱ダクト35内の空気が微粒子吸着部材21近傍に引き寄せられ、冷却されることで水となり、この水が空気中の微粒子を吸着することで、微粒子の粒径が大きくなる。粒径が大きくなることで微粒子吸着部材21によって捕集し易くなり、排熱ダクト35を通過する空気に含まれる微粒子の捕集効率を向上でき、排気とともに微粒子が機外に排出されることを抑制できる。
【0033】
排熱ダクト35は、排気される空気である気体の流路を形成する流路形成部材である。また、排熱ダクト35の一部であるダクト屈曲部材28の内側表面に取り付けられた微粒子吸着部材21は、空気に含まれる微粒子等の異物を回収する異物回収手段である。そして、気流ガイド板27は、排熱ダクト35における微粒子吸着部材21が取り付けられた部分である屈曲部カバー29の外側表面に、帯電部排気流路F1に沿って流れる空気が当たるように気流を案内して、冷却する冷却手段である。屈曲部カバー29を冷却することで、排熱ダクト35内の微粒子吸着部材21近傍の空気の温度が下がり、気圧が下がることで、排熱ダクト35を通過する空気が微粒子吸着部材21に引き寄せられる。これにより、排熱ダクト35を通過する空気の微粒子吸着部材21との接触機会が増加し、空気中に含まれる微粒子等の異物を微粒子吸着部材21が回収する回収性能の向上を図ることができる。
【0034】
プリンタ100の排気に含まれる微粒子等の異物を微粒子吸着部材21で回収する回収性能が向上することにより、プリンタ100の内部の異物がプリンタ100の装置外部に流出することを抑制できる。
また、プリンタ100の定着装置15の近傍の空気を排出する排気に含まれる微粒子等の異物を微粒子吸着部材21で回収する回収性能が向上することにより、定着時に生じた異物がプリンタ100の装置外部に流出することを抑制できる。
【0035】
実施例1の排気流路形成部200は、冷却手段として、排熱ダクト35における微粒子吸着部材21が取り付けられた部分の外側表面に気流を当てる気流ガイド板27を備える。冷却手段としては、気流を当てる方式に限らない。例えば、ヒートシンクや冷却ファンを用いるもの、ペルチエ素子を用いるものや、これらを組み合わせたものなどを採用することができる。また、気流等の気体に向けて放熱する空冷方式に限らず、水冷方式やガス冷方式等の冷却方式も採用することが可能である。
冷却手段として、気流を当てる方式を採用することにより、簡易な構成で、排熱ダクト35における微粒子吸着部材21が取り付けられた部分を冷却する構成を実現することが可能となる。これにより、微粒子フィルタ20の追加や厚みの増加をすることなく、排熱ダクト35を通過する空気からの捕集効率を向上することができるため、装置の大型化やコストの増大を抑制できる。
【0036】
〔実施例2〕
次にプリンタ100が備える排気流路形成部200の二つ目の実施例(以下、「実施例2」と呼ぶ)について説明する。図6及び図7は、実施例2に係る排気流路形成部200の説明図であり、図6は、排気流路形成部200のダクト屈曲部材28近傍の拡大側面図であり、図7は、排気流路形成部200のダクト屈曲部材28近傍をプリンタ100の背面側から見た斜視図である。
図6及び図7に示すように、実施例2の排気流路形成部200は、図1等を用いて説明した実施例1の排気流路形成部200に対して、ダクト屈曲部材28の屈曲部カバー29にヒートシンク30を追加した構成である。ヒートシンク30を追加した点以外は、実施例1と共通する。
【0037】
実施例2では、微粒子吸着部材21が内側表面に取り付けられた屈曲部カバー29の外側表面にヒートシンク30を配置している。ヒートシンク30は、鉄、銅及びアルミニウム等の伝熱性の良好な部材を用いる。図6に示すように、オゾンフィルタ31を通過した帯電部排気流路F1に沿って流れる空気を、ヒートシンク30に当てることで、屈曲部カバー29の外側表面の冷却効果が高まり、ダクト屈曲部材28の内外での温度差が大きくなる。これにより、微粒子吸着部材21による微粒子の捕集効率が向上する。
【0038】
図6及び図7に示すように、ヒートシンク30は、放熱フィン301を備え、帯電部排気流路F1に沿って流れる気流が放熱フィン301に当たるように案内する。放熱フィン301を備えることで、ヒートシンク30の放熱効率が向上し、屈曲部カバー29の外側表面の冷却効果の向上を図ることができる。
放熱フィン301としては、屈曲部カバー29の材質を樹脂として、放熱フィン301を屈曲部カバー29と一体で設けても良いし、さらに放熱性を高めるために、屈曲部カバー29よりも伝熱性の良好な別部材としても良い。
【0039】
排熱ダクト35における微粒子吸着部材21が取り付けられた部分の外側表面に放熱フィン301を備えることで、送風手段である定着部排気ファン19の追加や高出力化をすることなく、屈曲部カバー29の外側表面の冷却効果の向上を図ることができる。これにより、微粒子吸着部材21による微粒子の捕集効率が向上し、送風手段の追加や高出力化をすることによる騒音や消費電力の増加を抑制しつつ、排気とともに排出される微粒子の量を抑制することができる。
【0040】
図8は、帯電部排気流路F1に沿って流れる空気の向きに対する放熱フィン301の傾きを異ならせた二つの例の説明図である。
図8(a)は、放熱フィン301を、流路形成部材である排熱ダクト35の外側を移動する流体である帯電部排気流路F1に沿って流れる空気の流れに平行に配置した例の説明図である。図8(a)に示すように、帯電部排気流路F1に沿って流れる空気の流れに対して放熱フィン301が平行になるように構成したヒートシンク30は、空気の流れを妨げることなく、放熱フィン301によって冷却効率を向上できる。
【0041】
図8(b)は、放熱フィン301を、流路形成部材である排熱ダクト35の外側を移動する流体である帯電部排気流路F1に沿って流れる空気の流れに対して傾斜して配置した例の説明図である。図8(b)に示すように、帯電部排気流路F1に沿って流れる空気の流れに対して放熱フィン301が斜めになるように構成したヒートシンク30は、空気の流れに対して平行な構成よりも放熱フィン301による冷却効率の向上を図ることができる。
【0042】
〔実施例3〕
次にプリンタ100が備える排気流路形成部200の三つ目の実施例(以下、「実施例3」と呼ぶ)について説明する。図9及び図10は、実施例3に係る排気流路形成部200の説明図であり、図9は、排気流路形成部200のダクト屈曲部材28近傍の拡大側面図であり、図10は、排気流路形成部200のダクト屈曲部材28近傍をプリンタ100の背面側から見た斜視図である。
【0043】
図9及び図10に示すように、実施例3の排気流路形成部200は、図1等を用いて説明した実施例1の排気流路形成部200に対して、以下の点で異なる。
すなわち、気流ガイド板27を備えておらず、オゾンフィルタ31を通過した気流の流路に、ヒートシンク30を配置し、ダクト屈曲部材28の屈曲部カバー29と、ヒートシンク30とを、接続するヒートパイプ32を備える点で異なる。これらの点以外は、上述した実施例1と共通する。
【0044】
実施例3では、微粒子吸着部材21が内側表面に取り付けられた屈曲部カバー29の外側表面にヒートパイプ32が取り付けられ、ヒートパイプ32にはヒートシンク30が取り付けられている。帯電部排気流路F1に沿って流れる空気が、オゾンフィルタ31を通過してヒートシンク30に当たる。ヒートパイプ32を介してヒートシンク30に伝わった熱を、オゾンフィルタ31を通過した気流に放熱することで、屈曲部カバー29の表面の熱を放熱している。ヒートシンク30は熱伝導率の高いアルミニウムや銅で構成され、屈曲部カバー29の外側表面の冷却効果を向上する。
【0045】
図9に示すように、ヒートパイプ32に取り付けたヒートシンク30に、帯電部排気流路F1に沿って流れる空気を当てることで、ヒートパイプ32からヒートシンク30に伝わった熱を放熱でき、屈曲部カバー29を冷却できる。これにより、屈曲部カバー29の内側表面に張り付けられた微粒子吸着部材21による微粒子の捕集効率が向上する。
【0046】
〔実施例4〕
次にプリンタ100が備える排気流路形成部200の四つ目の実施例(以下、「実施例4」と呼ぶ)について説明する。図11は、実施例4に係る排気流路形成部200の説明図であり、図11(a)は、排気流路形成部200のダクト屈曲部材28近傍の拡大側面図であり、図11(b)は、排気流路形成部200の排熱ダクト35を構成する排熱上流側ダクト22の斜視図である。
図11に示すように、実施例4の排気流路形成部200は、図1等を用いて説明した実施例1の排気流路形成部200に対して、排熱上流側ダクト22の上部の排気ダクト34との間に断熱材36を追加した構成である。断熱材36を追加した点以外は、実施例1と共通する。
【0047】
断熱材36を配置することで、微粒子吸着部材21を設けた位置よりも上流側で、定着部排気流路F2に沿って移動する空気の熱が帯電部排気流路F1に沿って移動する空気に伝達することを抑制できる。これにより、排気ダクト34を通過する空気が、排熱ダクト35を通過する高温になった空気の影響を受けにくくなり、微粒子吸着部材21が取り付けられたダクト屈曲部材28の内部と外部とでの温度差を効率よく発生できる。このため、排熱ダクト35内の微粒子吸着部材21の近傍の空気を効率的に冷却でき、排熱ダクト35内の空気を微粒子吸着部材21の近傍に引き寄せることができ、微粒子吸着部材21による微粒子の捕集効率が向上する。
【0048】
実施例4では、気流による冷却の効率を向上することで、微粒子フィルタ20の枚数を増やしたり、微粒子フィルタ20の厚みを厚くしたりすることなく、排熱ダクト35を通過する空気に含まれる微粒子の回収能力を向上できる。このため、排気ファンの出力を大きくする必要性が低下し、排気ファンの出力を大きくすることに起因する騒音や消費電力が増加することを抑制できる。
【0049】
図11(b)に示すように、排熱上流側ダクト22は、その内側の流路断面の断面積が下流側ほど広くなる形状である。これにより、排熱ダクト35における排熱上流側ダクト22の下流側に配置した透過型のフィルタである微粒子フィルタ20を排熱ダクト35の断面積に合わせて大きくでき、空気が微粒子フィルタ20を通過するときの平均流速を低くできる。透過型のフィルタで異物を除去する場合、透過する流体の流速が遅い方がフィルタでの捕集効率は高くなるため、微粒子フィルタ20を通過するときの空気の平均流速を低くすることで、微粒子フィルタ20による微粒子の捕集効率の向上を図ることができる。
【0050】
〔実施例5〕
次にプリンタ100が備える排気流路形成部200の二つ目の実施例(以下、「実施例5」と呼ぶ)について説明する。図12は、実施例5に係る排気流路形成部200のダクト屈曲部材28近傍の拡大側面図である。
図11に示すように、実施例5の排気流路形成部200は、図1等を用いて説明した実施例1の排気流路形成部200に対して、微粒子フィルタ20を微粒子吸着部材21よりも下流側に配置した構成である。微粒子フィルタ20の位置が異なる点以外は、実施例1と共通する。
【0051】
実施例5のように、透過型フィルタである微粒子フィルタ20を接触型の捕集手段である微粒子吸着部材21の下流側に配置することで、微粒子吸着部材21である程度の微粒子が除去された空気が微粒子フィルタ20を通過する。このため、微粒子フィルタ20の目詰まりを抑制でき、圧損が生じにくくなる。
また、水蒸気が冷却されて液化した液体に微粒子が吸着して、粒径が大きくなった微粒子を微粒子吸着部材21で捕集しきれなかった場合、微粒子フィルタ20が下流側にある構成であれば、捕集でき、装置外に排出されることを防止できる。
【0052】
微粒子フィルタ20の配置としては、微粒子吸着部材21の上流側と下流側との両方に配置してもよい。
上述した実施例1乃至5の排気流路形成部200では、異物回収手段である微粒子吸着部材21の上流側また下流側の少なくとも一方に、流路を塞ぐように配置された透過型のフィルタ部材である微粒子フィルタ20を備える。
微粒子吸着部材21の上流側に微粒子フィルタ20を配置する構成では、微粒子フィルタ20で回収しきれなかった異物(微粒子)を微粒子吸着部材21で回収し、外部に排出されることを抑制できる。
微粒子吸着部材21の下流側に微粒子フィルタ20を配置する構成では、微粒子フィルタ20に向かう気体に含まれる異物(微粒子)を予め除去し、微粒子フィルタ20を通過する気体に含まれる異物の量を少なくできる。これにより、微粒子フィルタ20の目詰まりを抑制し、目詰まりに起因する圧損を抑制できる。
【0053】
上述した実施例1乃至実施例5では、本発明に係る流路形成装置をプリンタ100等の画像形成装置の排気装置を構成する排気流路形成部200に適用した構成である。
流路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分を冷却する冷却手段を備える流路形成装置としては、プリンタ100等の装置内の気体を装置外に排出する排出装置に限らず、装置外の気体を装置内に吸気する吸気装置にも適用可能である。本発明に係る流路形成装置を吸気装置に適用することで、外気に含まれる異物の装置内への侵入を抑制できる。
【0054】
さらに、装置の吸気または排気を行う装置に限らず、気体の流路を形成する流路形成部材と、流路形成部材の内側表面に取り付けられた異物回収手段と、を備える流路形成装置であれば、本発明は適用可能である。
【0055】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0056】
(態様1)
排気等の気体の流路(定着部排気流路F2等)を形成する排熱ダクト35等の流路形成部材と、流路形成部材の内側表面に取り付けられた微粒子吸着部材21等の異物回収手段と、を備える排気流路形成部200等の流路形成装置において、流路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分を冷却する気流ガイド板27等の冷却手段を備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1について説明したように、冷却手段を備えることで、流路形成部材内における異物回収手段近傍の気体の温度が低下して体積が減少し、気圧が低下する。これにより、流路形成部材内における異物回収手段近傍以外の部分に位置する気体を異物回収手段近傍に引き寄せ、流路形成部材内の気体が異物回収手段に接触する機会が増加する。よって、流路形成部材を通過する気体に含まれる異物を異物回収手段で回収する回収率の向上を図ることができる。
【0057】
(態様2)
態様1において、冷却手段は、流路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面(吸着部材貼付外壁面28f等)に気流を当てる構成であることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1について説明したように、簡易な構成で、流路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分を冷却する構成を実現することが可能となる。また、微粒子フィルタ20等の透過型フィルタと併用する構成では、透過型フィルタの追加や厚みの増加をすることなく、流路形成部材を通過する気体からの異物の回収効率を向上することができるため、装置の大型化やコストの増大を抑制できる。
【0058】
(態様3)
態様2において、外側表面に、冷却手段が当てる気流の流路(帯電部排気流路F1等)と、流路形成部材における異物回収手段が取り付けられていない部分の内部との間に断熱材36等の断熱手段を備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施例4について説明したように、異物回収手段を設けた位置よりも上流側等の流路形成部材における異物回収手段が取り付けられていない部分で、流路形成部材内の気体の熱が冷却に用いられる気体に伝達することを抑制できる。これにより、冷却に用いられる気体が、流路形成部材を通過する気体の熱の影響を受けにくくなり、流路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分の内部と外部とでの温度差を効率よく発生できる。このため、流路形成部材内の異物回収手段の近傍の気体は冷却され、流路形成部材内の気体を異物回収手段の近傍に引き寄せることができ、異物回収手段による微粒子等の異物の回収効率が向上する。
【0059】
(態様4)
態様1乃至3の何れかの態様において、冷却手段として、流路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面に放熱フィン301等の放熱フィンを備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施例2について説明したように、放熱フィンを備えることで、異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面の放熱効率が向上し、異物回収手段近傍を冷却する冷却効果の向上を図ることができる。
【0060】
(態様5)
態様4において、放熱フィンは、流路形成部材の外側を移動する空気等の流体の流れに平行に配置されていることを特徴とする。
これによれば、上記実施例2で図8(a)を用いて説明したように、流体の流れを妨げることなく、放熱フィンによって冷却効率を向上できる。
【0061】
(態様6)
態様4において、放熱フィンは、流路形成部材の外側を移動する空気等の流体の流れに対して傾斜して配置されていることを特徴とする。
これによれば、上記実施例2で図8(b)を用いて説明したように、放熱フィンが流体の流れに対して平行な構成よりも放熱フィンによる冷却効率の向上を図ることができる。
【0062】
(態様7)
態様1乃至6において、流路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分(屈曲部カバー29の外側表面に取り付けられたヒートパイプ32等)を、異物回収手段が取り付けられていない部分よりも熱伝導率の高い材質(アルミニウムや銅等)で構成することを特徴とする。
これによれば、上記実施例3について説明したように、流路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面の放熱効率が向上し、異物回収手段近傍を冷却する冷却効果の向上を図ることができる。
【0063】
(態様8)
態様1乃至7において、異物回収手段は、流路形成部材に対して取り外し可能であることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1について説明したように、異物を回収する性能が低下したときに異物回収手段を交換することで、異物回収手段による異物の回収性能を維持することができる。
【0064】
(態様9)
態様1乃至8において、流路形成部材は、プリンタ100内部等の装置内部の空気等の気体を装置外部に案内する定着部排気流路F2等の排気経路を形成する排熱ダクト35等の排気経路形成部材であることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1について説明したように、装置内部の異物が装置外部に流出することを抑制できる。
【0065】
(態様10)
態様9において、プリンタ100等の画像形成装置の内部の定着装置15等の熱源の近傍の気体を外部に排気する構成であり、冷却手段は、帯電チャージャ5近傍等の作像部から画像形成装置の外部に向かう排気を排気経路形成部材における異物回収手段が取り付けられた部分の外側表面に当てる構成であることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1について説明したように、定着時等の熱源の稼働時に生じた異物が、排気とともに画像形成装置の装置外部に流出することを抑制できる。熱源としては、定着装置15等の加熱方式の定着手段に限らず、稼働時に発熱し、近傍の気体を加熱するものであればよい。他の熱源としては、駆動モータ等の駆動源を挙げることができるが、これに限るものではない。
【0066】
(態様11)
用紙P等の記録媒体に画像を形成する現像装置3、感光体4、帯電チャージャ5及び転写部14等の作像手段と、装置内部の空気等の気体を装置外部に排出する排気流路形成部200等の排気手段とを備えるプリンタ100等の画像形成装置において、排気手段として、態様9または10に係る排気装置を備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1について説明したように、装置内部の異物が装置外部に流出することを抑制できる画像形成装置を実現できる。
【符号の説明】
【0067】
1 後側板
2 給紙部
3 現像装置
4 感光体
5 帯電チャージャ
6 帯電部排気ダクト
7 帯電部排気開口部
8 定着部排気開口部
9 定着部排気ダクト
10 排紙部
10a 排紙ローラ対
11 反転搬送部
12 中継搬送部
13 レジストローラ対
14 転写部
15 定着装置
19 定着部排気ファン
20 微粒子フィルタ
21 微粒子吸着部材
22 排熱上流側ダクト
23 帯電部排気ファン
27 気流ガイド板
28 ダクト屈曲部材
28f 吸着部材貼付外壁面
29 屈曲部カバー
30 ヒートシンク
31 オゾンフィルタ
32 ヒートパイプ
33 排熱下流側ダクト
34 排気ダクト
35 排熱ダクト
36 断熱材
100 プリンタ
110 流路カバー
111 排気開口部
200 排気流路形成部
301 放熱フィン
350 排熱ダクト開口部
F1 帯電部排気流路
F2 定着部排気流路
P 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【文献】特許第5861068号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12