(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】カスケードポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 5/00 20060101AFI20220225BHJP
F04D 13/06 20060101ALI20220225BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
F04D5/00 G
F04D13/06 J
H02K7/14 B
(21)【出願番号】P 2018055260
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】小西 康貴
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-057513(JP,A)
【文献】特開2003-003984(JP,A)
【文献】実開昭57-198396(JP,U)
【文献】特開2002-372343(JP,A)
【文献】特開平05-340345(JP,A)
【文献】特開平07-310692(JP,A)
【文献】特開2011-132916(JP,A)
【文献】特開平02-196191(JP,A)
【文献】特開2002-213385(JP,A)
【文献】特開平09-042196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 5/00
F04D 13/06
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁部に複数の羽根溝を有し、回転によって流体を圧送するインペラと、
前記流体を前記インペラに導く吸込流路、前記インペラの周方向に沿って前記流体を昇圧させる昇圧流路、前記昇圧流路によって昇圧した
前記流体を吐出する吐出流路、および、前記吐出流路内の
前記流体を導く循環流路、を有するポンプハウジングと、
前記インペラを回転させる回転軸、前記回転軸に連結された回転子、および、前記回転子を回転駆動する固定子、を有するモータと、
前記回転子と前記固定子とを隔てる筒状のキャンと、
前記モータおよび前記キャンを収容するモータハウジングと、
前記回転子と前記インペラとの間において前記回転軸を支持する軸受と、
を備え、
前記モータハウジング内に、前記循環流路からの
前記流体を前記キャンと前記回転子との間に導くキャン流路、および、前記キャン流路を経た
前記流体を前記回転子と前記回転軸の間を通して前記ポンプハウジング内に導く返送流路が形成され、
前記ポンプハウジング内に、前記返送流路からの前記流体が導入される中間室と、前記中間室内の前記流体を前記吸込流路に導く戻り流路とが形成され
、
前記返送流路は、
前記回転子の内周面に形成された1または複数の溝によって形成された回転子流路と、
前記軸受の内周面に形成された1または複数の溝によって形成された軸受流路と、を有し、
前記軸受に、前記回転子流路と前記軸受流路とを連通させる周回溝が形成され、
前記周回溝は、前記軸受の前記回転子側の端面に、この端面の内周縁に沿って環状に形成されている、
カスケードポンプ。
【請求項2】
前記回転軸は、中実構造であり、
前記ポンプハウジングに、前記回転軸の一端の中心部を回転自在に支持する軸支持部が設けられている、請求項1記載のカスケードポンプ。
【請求項3】
前記中間室は、前記回転軸と平行に見て、前記吸込流路より前記インペラの径方向内方側に形成されている、請求項1または2に記載のカスケードポンプ。
【請求項4】
前記キャンは、前記モータハウジングと一体に形成されている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載のカスケードポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カスケードポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周縁部に複数の羽根溝が形成されたインペラを備えたカスケードポンプが用いられている。インペラを収容するハウジングには、インペラの周方向に沿う昇圧流路が形成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カスケードポンプでは、低流量であっても流体の圧力を高くすることができる。カスケードポンプでは、流体が高圧となるため、シール箇所からの流体の漏出を確実に防ぐことが求められている。
【0005】
本発明の一態様は、流体の漏出を防ぐことができるカスケードポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、外周縁部に複数の羽根溝を有し、回転によって流体を圧送するインペラと、前記流体を前記インペラに導く吸込流路、前記インペラの周方向に沿って前記流体を昇圧させる昇圧流路、前記昇圧流路によって昇圧した流体を吐出する吐出流路、および、前記吐出流路内の流体を導く循環流路、を有するポンプハウジングと、前記インペラを回転させる回転軸、前記回転軸に連結された回転子、および、前記回転子を回転駆動する固定子、を有するモータと、前記回転子と前記固定子とを隔てる筒状のキャンと、前記モータおよび前記キャンを収容するモータハウジングと、を備え、前記モータハウジング内に、前記循環流路からの流体を前記キャンと前記回転子との間に導くキャン流路、および、前記キャン流路を経た流体を前記回転子と前記回転軸の間を通して前記ポンプハウジング内に導く返送流路が形成され、前記ポンプハウジング内に、前記返送流路からの前記流体が導入される中間室と、前記中間室内の前記流体を前記吸込流路に導く戻り流路とが形成されている、カスケードポンプを提供する。
【0007】
前記回転軸は、中実構造であり、前記ポンプハウジングに、前記回転軸の一端の中心部を回転自在に支持する軸支持部が設けられていることが好ましい。
【0008】
前記中間室は、前記回転軸と平行に見て、前記吸込流路より前記インペラの径方向内方側に形成されていることが好ましい。
【0009】
前記キャンは、前記モータハウジングと一体に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様は、モータの回転子と固定子とを隔てるキャンを備え、キャン内で流体を循環させる。そのため、メカニカルシール構造を採用する必要がなく、流体の漏出を防ぐことができる。前記態様によれば、流体を、キャン流路および返送流路を通してポンプハウジング内に循環させることができるため、回転軸に返送用の貫通流路を形成する必要がない。よって、回転軸が貫通流路を有する場合に比べて、回転軸の加工コストが不要となり、製造コスト削減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態のカスケードポンプの、中心軸に沿う断面を示す構成図である。
【
図3】
図1のカスケードポンプの内部構造を示す斜視図である。
【
図5】
図1のB-B線に示す位置における軸受を示す図である。
【
図6】
図1のカスケードポンプの回転軸の端部の支持構造を示す図であり、
図1のD部分の拡大図である。
【
図7】カスケードポンプの回転軸の端部の支持構造の他の例を示す図である。
【
図8】第2実施形態のカスケードポンプの、中心軸に沿う断面を示す構成図である。
【
図9】
図8のカスケードポンプのキャンの閉止部を前側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のカスケードポンプ10の、中心軸C1,C2に沿う断面を示す構成図である。
図2は、
図1のA-A線に沿う断面を示す図である。
図3は、カスケードポンプ10の内部構造を示す斜視図である。
図4は、
図1のC-C線に沿う断面を示す図である。
図5は、
図1のB-B線に示す位置における軸受6を示す図である。
図6は、カスケードポンプ10の回転軸の端部の支持構造を示す図であり、
図1のD部分の拡大図である。
【0013】
図1に示すように、カスケードポンプ10は、インペラ1と、ポンプハウジング2と、モータ3と、キャン4と、モータハウジング5と、軸受6とを備える。
以下、インペラ1はモータ3に対して前方に位置するとして、各部材の位置関係を説明することがある。中心軸C1はインペラ1の中心軸である。中心軸C2はモータ3の中心軸である。第1面11aはインペラ本体11の前面であり、第2面11bはインペラ本体11の後面である。
【0014】
図2および
図3に示すように、インペラ1は、円板状のインペラ本体11と、突出筒部12とを有する。インペラ本体11は、中央部から径方向外方に向けて、中央板部13と、主板部14と、羽根部15とを備えている。
【0015】
中央板部13は、円板状に形成されている。中央板部13の中央には、回転軸31が挿通する挿通孔16(
図1参照)が形成されている。挿通孔16は、中央板部13を厚さ方向に貫通して形成されている。中央板部13には、挿通孔16の径方向外方の位置に、1または複数の連通孔17が形成されている。連通孔17は、中央板部13を厚さ方向に貫通して形成されている。
図2および
図3では、中央板部13には4つの連通孔17が、インペラ1の周方向に等間隔に形成されている。連通孔17は、中間室25の第1空間27と第2空間28とを連通する。
【0016】
主板部14は、中央板部13より径方向外方側にあって、中央板部13より厚く形成されている。主板部14は、インペラ1の周方向に一定の幅を有する環状部分である。
図1に示すように、主板部14の前面は、ポンプハウジング2の内面と近接しており、第1空間27を区画している。主板部14の後面は、ポンプハウジング2のモータハウジング5側の壁部内面と近接しており、第2空間28を区画している。
【0017】
図2および
図3に示すように、羽根部15は、インペラ本体11の外周縁部に形成されている。羽根部15は、周方向に並ぶ複数の羽根溝18を有する。羽根溝18は、羽根部15の両面にそれぞれ形成されている。羽根溝18は、インペラ1の径方向に沿って形成されている。羽根溝18は、径方向外方に向けて徐々に深さを増す。
【0018】
図3に示すように、突出筒部12は、円筒状に形成されている。中央板部13からインペラ本体11の第1面11a側に、中心軸C1に沿って突出している。突出筒部12には、回転軸31が挿通する。
インペラ1は、
図2における反時計回り方向に回転する。
【0019】
図2および
図3に示すように、ポンプハウジング2は、インペラ1を収容している。ポンプハウジング2は、吸込流路21と、昇圧流路22と、吐出流路23と、循環流路24とを有する。
吸込流路21は、流体をインペラ1に導くことができる。
昇圧流路22は、インペラ1の周方向に沿ってC形状に形成された流路である。昇圧流路22の一端は吸込流路21に接続されている。昇圧流路22の他端は吐出流路23に接続されている。昇圧流路22内の流体は、インペラ1の羽根部15によって昇圧されつつ、
図2における反時計回り方向に流れる。
吐出流路23は、昇圧流路22によって昇圧した流体を外部に吐出する。
【0020】
図1に示すように、循環流路24は、ポンプハウジング2のモータハウジング5側の壁部を貫通して形成されている。循環流路24は、吐出流路23と、モータハウジング5内の空間とを連通させる。循環流路24は、吐出流路23内の流体の一部をモータハウジング5内に導入することができる。
【0021】
モータ3は、回転軸31と、回転子32と、固定子33とを備えている。
回転軸31は、インペラ1に固定され、インペラ1を回転させる。回転子32は、回転軸31に固定されている。回転軸31は、中実構造とされている。
図6に示すように、回転軸31の前端31aの端面の中央には、軸支持部30の先端部30aが挿入される受け凹部31bが形成されている。受け凹部31bは、例えば、中心軸C1に向かって深さを増す形状(すり鉢状)に形成されている。
【0022】
図1に示すように、回転子32は、固定子33の内側に配置される。回転子32は、樹脂被覆を施してもよい。これにより、流体との接触による腐食を防ぐことができる。
固定子33は、電磁気的な作用により回転子32を回転駆動する。
【0023】
キャン4は、中心軸C2を中心軸とする円筒状の胴部41と、胴部41の後端開口を閉止する円板状の閉止部42とを有する。キャン4は、非磁性材料で構成される。キャン4は、回転子32を収容しているため、回転子32と固定子33とを隔てている。キャン4は、モータハウジング5と一体に形成されていることが好ましい。これにより、部品点数を削減し、生産性を高めることができる。
モータハウジング5は、モータ3およびキャン4を収容している。
【0024】
図1に示すように、モータハウジング5内には、キャン流路51と、返送流路52とが形成されている。
キャン流路51は、キャン4と回転子32との間に確保された流路である。キャン流路51は、循環流路24を経てモータハウジング5内に流入した流体を、胴部41と回転子32との間を経て回転子32の後方空間53に導く。
【0025】
返送流路52は、回転子流路52Aと、軸受流路52Bとを有する。
回転子流路52Aは、回転子32の内周面と回転軸31の外周面との間に形成されている。
図4に示すように、回転子流路52Aは、回転子32の内周面に形成された1または複数の溝32aによって形成されている。
図4では、4つの溝32aは中心軸C2周りに間隔をおいて形成されている。溝32aは、
図1に示すように、中心軸C2に沿って形成されている。回転子流路52Aは、後方空間53内の流体を前方に導く。
【0026】
軸受6は、円筒状の主部61と、主部61の後端に形成されたフランジ部62とを備える。
図5に示すように、フランジ部62の後面62aには、後面62aの内周縁に沿う環状の周回溝63と、フランジ部62の径方向に沿う縦溝64とが形成されている。周回溝63によって、回転子流路52Aと軸受流路52Bとを連通させることができる。
【0027】
軸受流路52Bは、軸受6の内周面と回転軸31の外周面との間に形成されている。
図5に示すように、軸受流路52Bは、軸受6の主部61(
図1参照)の内周面に形成された1または複数の溝6aによって形成されている。
図5では、4つの溝6aは中心軸C2周りに間隔をおいて形成されている。溝6aは、
図1に示すように、中心軸C2に沿って形成されている。軸受流路52Bは、回転子流路52Aからの流体をポンプハウジング2(中間室25)内に導く。
【0028】
ポンプハウジング2内には、中間室25と、戻り流路26とが形成されている。
中間室25は、第1空間27と、第2空間28とを有する。第1空間27は、インペラ本体11の前方にあって、主板部14より径方向内方側の空間である。第2空間28は、インペラ本体11の後方にあって、主板部14より径方向内方側の空間である。第1空間27と第2空間28とは、連通孔17により連通されている。中間室25には、返送流路52(詳しくは軸受流路52B)から流体が導入される。
【0029】
図2に示すように、戻り流路26は、ポンプハウジング2の内面の溝29(
図1参照)によって形成された流路である。戻り流路26は、中間室25と吸込流路21とを連通させる。戻り流路26は、中間室25内の流体を吸込流路21に導入することができる。
【0030】
図6に示すように、ポンプハウジング2には、回転軸31の前端31a(一端)の中心部を回転自在に支持する軸支持部30が形成されている。軸支持部30は、ポンプハウジング2の内面から後方に突出する。軸支持部30の先端部30aは、先端に向かって細くなる円錐状に形成されている。中心軸C1に対する先端部30aの外面の傾斜角度は、受け凹部31bの内面の傾斜角度より小さい。先端部30aは、回転軸31の受け凹部31bに挿入される。先端部30aの先端は受け凹部31bの内面の中心部に当接し、回転軸31の前端部(前端31aを含む部分)を支持する。
【0031】
次に、カスケードポンプ10の動作について説明する。
図2および
図3に示すように、インペラ1が回転すると、流体(例えば、水などの液体)は、吸込流路21からポンプハウジング2内に導入される。流体は昇圧流路22に流入し、インペラ1の羽根部15によって昇圧される。昇圧した流体は、吐出流路23を通して外部に吐出される。
【0032】
図1に示すように、吐出流路23内の流体の一部は、循環流路24を通してモータハウジング5内に導入される。流体は、キャン流路51を通って後方空間53に導入される。流体は、後方空間53から返送流路52を通して前方に導かれ、ポンプハウジング2の中間室25に流入する。中間室25内の流体は、戻り流路26を通って吸込流路21に導入される。このように、吸込流路21内の流体の一部は、吸込流路21から、昇圧流路22、吐出流路23、循環流路24、キャン流路51、返送流路52、中間室25、および戻り流路26を経て吸込流路21に循環する。循環の過程で、流体はモータ3を冷却する。戻り流路26を流れる流体は、ポンプハウジング2とインペラ1との間の潤滑液として機能させることもできる。
【0033】
カスケードポンプ10は、モータ3の回転子32と固定子33とを隔てるキャン4を備え、キャン4内で流体を循環させる。そのため、メカニカルシール構造を採用する必要がなく、流体の漏出を防ぐことができる。
カスケードポンプ10は、流体を、キャン流路51および返送流路52を通してポンプハウジング2内に循環させることができるため、回転軸31に返送用の貫通流路を形成する必要がない。そのため、回転軸が貫通流路を有する場合に比べて、回転軸の加工コストが不要となり、製造コスト削減が可能である。
【0034】
カスケードポンプ10は、回転軸31に貫通流路を形成する必要がないため、軸支持部30によって回転軸31の前端31aを支持することができる。よって、インペラ1を安定に動作させることができる。
【0035】
返送流路52によって返送された流体が導入される中間室25は、吸込流路21に比べてインペラ1の径方向内方側に形成されているため、ポンプハウジング2内のスペースを有効に利用することができる。そのため、カスケードポンプ10を小型化するうえで有利となる。
【0036】
[第1実施形態の変形例]
図7は、カスケードポンプの回転軸の端部の支持構造の他の例を示す図である。
図7に示すように、回転軸131の前端131aの端面には、軸支持部130の先端部が挿入される受け凹部131bが形成されている。受け凹部131bは、例えば半球面状の内面を有する凹部である。軸支持部130は、ポンプハウジング2の内面から後方に突出する。軸支持部130の先端部130aは、湾曲凸状(例えば半球状)に形成されている。先端部130aの外面の曲率半径は、受け凹部131bの内面の曲率半径より小さい。先端部130aの先端は受け凹部131bの内面の中心部に当接し、回転軸131の前端部(前端131aを含む部分)を支持する。
この構造によれば、軸支持部130の先端部130aは、安定的に回転軸131の前端131aを支持することができる。
【0037】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態のカスケードポンプ110の、中心軸C1に沿う断面を示す構成図である。
図9は、カスケードポンプ110のキャン104の閉止部142を前側から見た図である。以下、第1実施形態のカスケードポンプ10と共通の構造については同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
図8に示すように、カスケードポンプ110は、インペラ1と、ポンプハウジング2と、モータ3と、キャン104と、モータハウジング105と、第1軸受106Aと、第2軸受106Bと、を備える。
第1軸受106Aは、
図1に示す第1実施形態のカスケードポンプ10に用いられている軸受6と同様の構成である。
【0039】
第2軸受106Bは、第1軸受106Aから後方に離れた位置に設けられている。第2軸受106Bは、円筒状の主部161と、主部161の前端に形成されたフランジ部162とを備える。
図8および
図9に示すように、主部161およびフランジ部162に対面するキャン104の閉止部142の内面には、溝164が形成されている。
【0040】
モータハウジング105内には、キャン流路151と、返送流路152とが形成されている。
キャン流路151は、循環流路24を経てモータハウジング105内に流入した流体を、胴部41と回転子32との間を経て、第2軸受106Bの外面側(溝164)を通して第2軸受106Bの後方側に導く。
【0041】
返送流路152は、軸受流路152Cと、回転子流路52Aと、軸受流路152Bとを有する。
軸受流路152Cは、第2軸受106Bの内周面と回転軸31の外周面との間に形成されている。軸受流路152Cは、第2軸受106Bの主部161の内周面に形成された1または複数の溝によって形成されている。
軸受流路152Bは、第1軸受106Aの内周面と回転軸31の外周面との間に形成されている。軸受流路152Bは、第1軸受106Aの主部61の内周面に形成された1または複数の溝によって形成されている。
【0042】
次に、カスケードポンプ110の動作について説明する。
図8に示すように、インペラ1が回転すると、流体は吸込流路21から昇圧流路22に流入し、インペラ1の羽根部15によって昇圧されて吐出流路23から吐出される。
【0043】
吐出流路23内の流体の一部は、循環流路24を通してモータハウジング5内に導入される。流体は、キャン流路151を通って第2軸受106Bの外面側(溝164)に導入される。流体は、返送流路152の軸受流路152C、回転子流路52A、軸受流路152Bを経て前方に導かれ、ポンプハウジング2の中間室25に流入する。中間室25内の流体は、戻り流路26を通って吸込流路21に導入される。
【0044】
カスケードポンプ110では、2つの軸受106A,106Bを有するため、回転軸31を複数箇所で支持し、インペラ1の動作を安定させることができる。
【0045】
本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…インペラ、2…ポンプハウジング、3…モータ、4,104…キャン、5,105…モータハウジング、10,110…カスケードポンプ、15…羽根部、18…羽根溝、21…吸込流路、22…昇圧流路、23…吐出流路、24…循環流路、25…中間室、26…戻り流路、30,130…軸支持部、31…回転軸、31a…前端(一端)、32…回転子、33…固定子、51,151…キャン流路、52,152…返送流路。