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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】粒状物の分配装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/16 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
A01C7/16 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017249104
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019110874
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】597041747
【氏名又は名称】アグリテクノサーチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(72)【発明者】
【氏名】重松 健太
(72)【発明者】
【氏名】橘 保宏
(72)【発明者】
【氏名】高山 定之
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-101615(JP,U)
【文献】特開2009-136227(JP,A)
【文献】特開2004-065097(JP,A)
【文献】特開2008-136417(JP,A)
【文献】特開平05-168306(JP,A)
【文献】特開平08-188258(JP,A)
【文献】実公平06-042424(JP,Y2)
【文献】特許第3834221(JP,B2)
【文献】実開平02-100412(JP,U)
【文献】特開2017-176088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/00- 9/08
G01F 11/24
A01C 3/08- 3/08
B02B 1/00- 7/02
A01K 5/00
A01K 61/80
A01M 1/00-99/00
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパに供給された粒状物を所定量ごとに分配し、放出口から放出する粒状物の分配装置であって、
前記ホッパから流下された粒状物を収容する粒状物供給枠体に、鉛直方向に対して傾いて設置された駆動軸を中心として回転し粒状物を所定量ずつ前記放出口まで搬送する分配プレートが備えられ、
前記粒状物供給枠体内の、前記分配プレートの最下部よりも高い位置に、前記駆動軸に対して直交する前記分配プレートの上面と平行な方向に向けて、前記粒状物を検出するセンサが設けられていることを特徴とする、粒状物の分配装置。
【請求項2】
前記センサは、設置位置が変更可能であることを特徴とする、請求項1に記載の粒状物の分配装置。
【請求項3】
前記センサは、設置位置を無段階調節できることを特徴とする、請求項2に記載の粒状物の分配装置。
【請求項4】
前記粒状物供給枠体に、前記センサの設置位置を決めるプレート部材が固定され、前記センサは、前記プレート部材に取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の粒状物の分配装置。
【請求項5】
前記粒状物供給枠体に、前記プレート部材が固定される窪み部が複数個所設けられ、前記センサは、複数個所の前記窪み部のいずれか1つまたは複数個所に固定されたプレート部材に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の粒状物の分配装置。
【請求項6】
前記プレート部材は、前記分配プレートの外周に対向して湾曲する形状であることを特徴とする、請求項4に記載の粒状物の分配装置。
【請求項7】
前記プレート部材には、前記センサが前記プレート部材の裏面側の粒状物を検知可能な穴が複数個所に開けられており、前記センサは、前記穴のいずれか1つまたは複数の位置に取り付けられ、前記センサが取り付けられていない穴はエンドキャップで塞がれていることを特徴とする、請求項6に記載の粒状物の分配装置。
【請求項8】
前記センサは、静電容量式センサまたは光電センサであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒状物の分配装置。
【請求項9】
前記プレート部材が透明体であり、前記センサは光電センサであることを特徴とする、請求項6に記載の粒状物の分配装置。
【請求項10】
前記センサの出力に応じて警報を発する警報装置を備えていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の粒状物の分配装置。
【請求項11】
前記警報装置は、前記センサが前記粒状物を検出しない状態の継続時間が、予め設定した時間に達したときに警報を発することを特徴とする、請求項10に記載の粒状物の分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば種子や肥料、錠剤等の粒状物を一定の粒数ずつ放出する粒状物の分配装置において、ホッパから粒状物供給枠体へ供給された粒状物を検出する検出手段を備えた粒状物の分配装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば大豆等の種子を所定粒数ずつ所定位置に播く播種機に用いられる種子の分配装置には、ファンやブロアによる空気利用の真空式または加圧式、溝付きロールや目皿の回転によって種子を分配するロール式または傾斜目皿式などがあり、我が国では、傾斜目皿式種子繰出装置が搭載された播種機が広く普及している。
【0003】
近年、大豆生産現場において、害虫等を防除するために普及している種子処理剤は、従来の処理剤に比べて、塗布した種子の表面に粘性を帯びやすい。そのため、種子ホッパ内で固着(ブリッジ)等が起こりやすく、種子ホッパから種子操出部への種子の供給が滞り、欠株が発生することがある。この場合のブリッジとは、種子ホッパ内にある種子同士がくっついてアーチ橋のような形を形成し、種子が供給枠体内に流れなくなる現象のことである。
【0004】
このような現象が発生すると、欠株が始まった場所を特定する必要が生じるなど、作業能率が著しく低下する。特に、大豆用高速畝立て播種機等の高速対応播種機では、作業者は運転操作に専念する必要があり、運転中に種子ホッパ内のブリッジの発生を確認することが困難である。したがって、種子ホッパ内のブリッジ等で種子操出部内の種子が減ったことを早期に検知し、運転者に知らせるシステムが必要である。
【0005】
例えば特許文献1には、ロール式播種機において、ホッパおよび播種ホースに種子を検出するセンサを設置することが開示され、ホッパには例えば静電容量式センサ、播種ホースには例えば反射型のセンサを設置することが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、傾斜目皿式播種機において、種子操出部内に接触式圧力スイッチ(ダイヤフラムスイッチ)を設置し、播種機の種子残量を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3834221号公報
【文献】実公平06-42424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1では、ホッパと播種ホースの2個所にセンサを設置しなければならない。すなわち、ホッパ内のセンサは、ホッパ内でブリッジ等が起こってホッパから種子が供給されていない状態を検出することはできないため、別途ホース内のセンサを設けている。このようにホース内を通過する種子を検知する場合、種子の通路を広くすると、種子がセンサの検知エリアを通らないことがあり、一方、種子がセンサの検知エリアを確実に通過するように種子の通路を狭くすると、ホース内でブリッジ等による詰まりを誘発しやすくなるという問題がある。しかも、ホース内のセンサは、一定時間を越えて通過する種子がないことによって、種子が詰まって供給されていないことを検出するため、欠株の発生を事前に防ぐことはできない。
【0009】
特許文献2の場合は、種子操出部内にスイッチがあるため、種子ホッパ内でブリッジ等が起こって種子が供給されなくなったことを検出できるが、スイッチの設置位置が種子操出部の最下部であるため、種子操出部に種子がなくなった状態ではじめてスイッチが入るようになっている。そのため、欠株が発生する前に異常を知らせることができないという問題がある。
【0010】
以上のように、上記特許文献1、2ともに、ブリッジの発生を早期に発見し、欠株を防ぐことはできない。
【0011】
本発明は、傾斜目皿式の分配プレートを備えた粒状物の分配装置において、ホッパ内の粒状物が無くなったり、ホッパからの粒状物の供給不良が発生していることを早期に検出できる検出手段を備えた粒状物の分配装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題を解決するため、本発明は、ホッパに供給された粒状物を所定量ごとに分配し、放出口から放出する粒状物の分配装置であって、前記ホッパから流下された粒状物を収容する粒状物供給枠体に、鉛直方向に対して傾いて設置された駆動軸を中心として回転し粒状物を所定量ずつ前記放出口まで搬送する分配プレートが備えられ、前記粒状物供給枠体内の、前記分配プレートの最下部よりも高い位置に、前記駆動軸に対して直交する前記分配プレートの上面と平行な方向に向けて、前記粒状物を検出するセンサが設けられていることを特徴とする、粒状物の分配装置を提供する。
【0013】
前記粒状物の分配装置において、前記センサは、設置位置が変更可能であることが好ましい。前記センサは、設置位置を無段階調節できることとしてもよい。
【0014】
前記粒状物供給枠体に、前記センサの設置位置を決めるプレート部材が固定され、前記センサは、前記プレート部材に取り付けられていてもよい。前記粒状物供給枠体に、前記プレート部材が固定される窪み部が複数個所設けられ、前記センサは、複数個所の前記窪み部のいずれか1つまたは複数個所に固定されたプレート部材に取り付けられていてもよい。
【0015】
前記プレート部材は、前記分配プレートの外周に対向して湾曲する形状でもよい。前記プレート部材には、前記センサが前記プレート部材の裏面側の粒状物を検知可能な穴が複数個所に開けられており、前記センサは、前記穴のいずれか1つまたは複数の位置に取り付けられ、前記センサが取り付けられていない穴はエンドキャップで塞がれていてもよい。
【0016】
前記センサは、静電容量式センサまたは光電センサでもよい。
【0017】
また、前記プレート部材が透明体であり、前記センサは光電センサであってもよい。
【0019】
前記センサの出力に応じて警報を発する警報装置を備えていてもよい。前記警報装置は、前記センサが前記粒状物を検出しない状態の継続時間が、予め設定した時間に達したときに警報を発するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、粒状物供給枠体内において、分配プレートの最下部よりも高い位置での粒状物の有無を検出できるので、分配プレート上の粒状物がなくなる前に異常を検知することができる。したがって、播種機の種子繰り出し装置として用いた場合、走行中の播種の異常の有無を監視し、欠株を防いで確実に播種することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明にかかる粒状物の分配装置の例を示す断面図である。
図2図1のA-A方向から見た分配プレートの平面図である。
図3図2のB部の拡大図であり、本発明の一実施形態にかかるセンサ取り付け例を示す図である。
図4図2のB部の拡大図であり、本発明の異なる実施形態にかかるセンサ取り付け例を示す図である。
図5異なるセンサ取り付け例を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は図2のB部の拡大図である。
図6】本発明のさらに異なる実施形態にかかるセンサ取り付け例を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は図2のB部の拡大図である。
図7図2のB部の拡大図であり、本発明のさらに異なる実施形態にかかるセンサ取り付け例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態にかかる粒状物の分配装置の断面図である。本実施形態の分配装置は、いわゆる傾斜目皿式であり、駆動軸が鉛直方向に対して傾いて設置される。以下、本実施形態について、粒状物を種子Sとし、播種機に搭載される種子の分配装置の場合として説明する。
【0024】
種子の分配装置1は、回転機構として例えばステッピングモータ等のモータ(図示省略)を備え、このモータにより回転する駆動軸2、ホッパ3、供給枠体4、分配プレート5を有している。図1の供給枠体4から種子Sの移動における下流側が、種子操出部を構成している。
【0025】
ホッパ3は、種子Sを一時貯留するとともに、粒状物供給枠体としての供給枠体4内へ種子Sを流下する供給口11を備えている。供給枠体4は、略円筒状の枠体であり、下面側に、駆動軸2を中心として回転する分配プレート5が配置される。供給枠体4の内部空間12に種子溜まりを形成するために、供給枠体4は適宜厚みを有している。供給枠体4は、全体が円筒形でもよいし、直方体の中央に略円筒状の内部空間12を有していてもよい。分配プレート5は、例えば外周部に、一度に播種する所定量の粒数ずつ種子Sを収容するホルダ13を、円周方向に等間隔で複数有している。
【0026】
以上の分配装置1において、ホッパ3に一時貯留された種子Sは、供給口11を介して供給枠体4の内部空間12へ供給され、内部空間12にできた種子溜まりから、1回の播種に必要な所定の粒数ずつの種子Sが、分配プレート5のホルダ13に収容される。そして、分配プレート5の回転により、種子Sが放出口14まで搬送され、放出される。
【0027】
このような種子の分配装置1において、ホッパ3から供給された種子Sは、先ず内部空間12の低い位置に堆積されて種子溜まりが形成されるが、分配プレート5が回転すると、種子Sが上方に持ち上げられる。この持ち上げられた種子Sを検出可能な高さに、センサ21が設置される。図2は、分配プレート5を正面から見た図であり、図2の下側が、実際の使用状態でも低い位置になる。図2において、分配プレート5は反時計回りに回転し、回転によって種子Sが右上方向に持ち上げられている。センサ21は、持ち上げられた種子Sを検出可能な位置、すなわち、分配プレート5の最下部よりも高い位置の外周に対向する供給枠体4の内周壁15に取り付けられ、対向する位置の分配プレート5の上面よりも高い位置に設けられる。本発明において、センサ21は、接触式でも非接触式でもよく、例えば静電容量式センサ、圧力センサ(ダイヤフラムスイッチ)、リミットスイッチ、光電センサ等が用いられる。なお、分配プレート5の回転は時計回りでもよく、その場合には、種子Sが持ち上げられる左上方向にセンサ21が設けられる。
【0028】
センサ21を分配プレート5の最下部よりも高い位置に設置することにより、供給枠体4内の種子Sの量が減少すると、無くなる前に速やかに異常が検知される。センサ21は、制御部22を介して警報装置23に接続され、センサ21が種子Sを検出しなくなると、異常として警報を発するように設定される。警報を発するタイミングは、制御部22で適宜設定することができ、例えばセンサ21が種子Sを検出しなくなると即時に警報を発してもよいし、検出しない状態が一定の時間継続した後に警報を発するようにしてもよい。継続時間の変更は、制御部22で行うことができる。このように、内部空間12の種子Sが無くなる前に警報を発して播種機の運転者に異常を知らせることで、欠株の発生を防ぐことができる。
【0029】
分配プレート5の上で持ち上げられる種子Sの上端の位置は、分配プレート5の回転速度、種子Sの形状や質量等によって異なるため、センサ21の設置位置は容易に変更できることが好ましい。センサ21による検出位置を、種子Sの種類等に応じて設定することにより、ホッパ3に種子Sがなくなった場合、またはブリッジ等により種子Sの落下不良を起こしている場合等によるホッパ3からの種子Sの供給不良を早期に検出できる。
【0030】
以下、センサ21の取り付け方法について説明する。
【0031】
図3は、センサ21の取り付け方法の一例を示す図であり、センサ21の位置が固定されている場合を示している。センサ21を1個所に固定する場合には、分配プレート5の外周の最下部(0°の方向、6時の位置)よりも高い位置、好ましくは分配プレート5の回転方向と同じ方向に30°の方向(5時の位置)から、90°の方向(すなわち3時の位置)までの間の適宜位置に対向する供給枠体4の内周壁15を切り欠いて、そこにセンサ21を埋め込む。例えば種子Sが大豆の場合には、3時の方向程度まで種子が持ち上がるが、粒の小さい種子Sの場合には、もう少し低い位置までしか持ち上がらない。したがって、センサ21を埋め込む位置は種子Sの種類によって異なるが、概ね4時の方向であれば、ほとんどの種子Sに対応でき、種子Sが不足した場合に早期に検出できる。供給枠体4内においてどの程度の種子Sの残量を検出するかによって、センサ21の位置(高さ)を決めればよい。この取り付け方法は、センサ21が静電容量式センサ、圧力センサ、リミットスイッチ、光電センサ等、どの場合でも適用できる。
【0032】
図4は、供給枠体4の内周壁15に、センサ21の固定位置が、最下部よりも高い位置(5時の位置)から3時の位置までの間に複数個所設けられている例を示す図である。例えば図4に示すように切り欠き部31が3個所設けられている場合、種子Sの種類等に応じていずれか1個所を選択してセンサ21を設けてもよいし、全ての切り欠き部31に3つのセンサ21を設けてもよい。なお、切り欠き部31とセンサ21との隙間に種子Sが入り込まないように、センサ21の形状に合わせて切り欠き部31を形成するか、あるいは切り欠き部31とセンサ21との隙間を適宜部材で埋めることが好ましい。また、センサ21を設けていない切り欠き部31には、充填部材やセンサ21と同じ形状のダミーセンサ、カバー等を取り付けることが好ましい。
【0033】
図5は、センサ21の異なる取り付け方法の例を示す。分配プレート5の外周側の、6時の位置から3時の位置までの間の適宜位置において、供給枠体4の内周壁15の一部に窪み部32が形成され、窪み部32に、図5(a)に示すようにセンサ21を固定したL字状のプレート部材33がはめ込まれる。L字状のプレート部材33は、例えばねじ止めにより供給枠体4に取り付けられ、これによりセンサ21の位置が決められる。この場合も、図5(b)に示すように窪み部32を複数個所設けることにより、種子Sの種類等に応じてセンサ21の設置位置を変えたり、複数のセンサ21を同時に設けたりすることができる。この取り付け方法は、センサ21が静電容量式センサの場合の他、圧力センサまたはリミットスイッチ等でも適用できる。この場合にも、窪み部32の形状をL字状のプレート部材33に合わせて形成し、センサ21を設けていない窪み部32を充填部材やカバー等で塞ぐことが好ましい。
【0034】
図6は、センサ21の異なる取り付け方法の例を示す。分配プレート5の外周側の、5時の位置から3時の位置を含む範囲の供給枠体4の内周壁15が切り欠かれ、そこに、分配プレート5の外周に対向して湾曲する湾曲プレート部材34がはめ込まれる。センサ21は湾曲プレート部材34の外周側に配置され、湾曲プレート部材34には、センサ21を取り付けた面の反対側(裏面側)にある種子Sをセンサ21で検知(接触)できるような穴35が複数個所、例えば図6(b)に示すように、湾曲プレート部材34を供給枠体4にはめ込んだときに分配プレート5の5時の位置、4時の位置、3時の位置となる3個所に開けられている。この湾曲プレート部材34によりセンサ21の位置が決められ、穴35に対応する位置にセンサ21が配置される。センサ21は、供給枠体4または湾曲プレート部材34にネジ止めされ、種子Sの種類等に応じて、いずれか1個所の穴35、または全ての穴35の位置に対応して取り付けられる。センサ21を取り付けない穴35がある場合には、エンドキャップ36等で穴35を塞いで種子Sが入り込まないようにする。
【0035】
また、センサ21としてリミットスイッチを用いる場合、図6に示す湾曲プレート部材34の穴35の代わりに、リミットスイッチの検知レバーのみを貫通させる細長い切り欠きを周方向に連続して設けてもよい。これにより、センサ21を湾曲プレート部材34の切り欠きが形成された範囲、例えば6時の位置から3時の位置までの間であればどの位置に配置しても種子Sの検出が可能であり、種子S等の条件に応じて、センサ21の位置を無段階に調節できる。さらに、リミットスイッチの検知レバーの長さを変えることによって、種子Sの検出位置を所望する任意の位置に調節できるようにしてもよい。
【0036】
図7は、センサ21が、発光素子と受光素子とからなる光電センサの場合の取り付け方法の例を示す。分配プレート5の外周側の、例えば6時の位置から3時の位置までの範囲の供給枠体4の内周壁15が切り欠かれ、そこに、分配プレート5の外周に対向した湾曲プレート部材37がはめ込まれる。この湾曲プレート部材37は透明体であり、湾曲プレート部材37の外周側に、発光素子と受光素子からなるセンサ21を、分配プレート5の6時の位置から3時の位置までの間の適宜位置に配置し、供給枠体4にねじ等で固定する。また、発光素子からの光を受光素子に向けて反射する反射板38を、分配プレート5の中央に取り付けられているノブ16に巻き付ける。この場合、センサ21を湾曲プレート部材37のどの位置に配置しても種子Sの検出が可能であり、種子S等の条件に応じて、センサ21の位置を無段階に微調整できる。
【0037】
センサ21は、上記の取り付け方法の他、例えばホッパ3の底面17の裏面側(供給枠体4の上面)に取り付けてもよい。この場合、センサ21を取り付けるねじ穴を複数個所設けておくことで、センサ21の位置を変更できるようにする。この場合にも、上述の取り付け方法と同様に、1つのセンサ21を種子Sの種類等に応じて位置を変えて設けてもよいし、複数のセンサ21を設けてもよく、前述の静電容量式センサ、圧力センサ、リミットスイッチ、光電センサ等、全ての種類が適用できる。光電センサの場合には、センサ21に対応する位置の分配プレート5の円周上に反射材を貼り付ければよい。
【0038】
本発明によれば、簡単な構成で、ホッパ3内の粒状物の残量が無くなったり、ホッパ3からの粒状物の供給不良が起こったりしていることを早期に検出できるので、粒状物が放出されなくなる前に異常を検知できる。また、粒状物の種類や作動環境等に応じてセンサの位置変更が容易に行えるため、安価なセンサを1個所設置するだけでも異常を検知できる。
【0039】
以上のような分配装置を、播種機に搭載される種子の分配装置として仕様したところ、欠株が発生する5~10秒前に異常が検知されることが確認できた。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、目皿式の分配プレートを有する分配装置として、例えば大豆用の高速播種機等の種子繰出装置として利用できる。また、種子に限らず、肥料や食品、薬剤等の粒状物を高速かつ正確に分配する装置に適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 分配装置
2 駆動軸
3 ホッパ
4 供給枠体
5 分配プレート
11 供給口
12 内部空間
13 ホルダ
14 放出口
15 内周壁
16 ノブ
17 底面
21 センサ
22 制御部
23 警報装置
31 切り欠き部
32 窪み部
33 L字状のプレート部材
34、37 湾曲プレート部材
35 穴
36 エンドキャップ
38 反射板
S 種子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7