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特許7030448エピタキシチャンバのための上部コーン体
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  • 特許-エピタキシチャンバのための上部コーン体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】エピタキシチャンバのための上部コーン体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20220228BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220228BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20220228BHJP
   C30B 25/02 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 J
C30B29/06 504L
C30B25/02 Z
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017157338
(22)【出願日】2017-08-17
(65)【公開番号】P2018029181
(43)【公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/495,575
(32)【優先日】2016-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/380,114
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/393,942
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】大木 慎一
(72)【発明者】
【氏名】森 義信
(72)【発明者】
【氏名】青木 裕司
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-078808(JP,A)
【文献】特開2013-110145(JP,A)
【文献】特開平11-045861(JP,A)
【文献】特開2014-107358(JP,A)
【文献】特表2012-506622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/44
C30B 29/06
C30B 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバであって、
前記処理チャンバの第1の側に位置するガス導入口と前記処理チャンバの第2の側に位置するガス排気口との間に置かれたサセプタと、
前記サセプタの上方の前記処理チャンバ内のドームと、
前記ドームの上方の前記処理チャンバ内のプレートであり、中央開口部を有し、2つ以上の間隙によって前記中央開口部内部で横方向に分離された少なくとも2つの構成要素を支持する、プレートで、それぞれの構成要素が、
凹面の内表面および凸面の外表面を有する上部領域、および
前記上部領域から内向きにテーパが付いている下部領域
を有する
プレートと、
を備える、処理チャンバ。
【請求項2】
それぞれの構成要素の前記上部領域が固定の曲率半径を有し、それぞれの構成要素の前記下部領域が、変化する曲率半径を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項3】
それぞれの構成要素の前記上部領域が前記プレートにコンタクトするリップを有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記プレートの前記中央開口部の上方に2つの高温計を支持するチャンバリッドをさらに備え、少なくとも1つの高温計が前記2つ以上の間隙の少なくとも1つの上方で前記チャンバリッド上に置かれている、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
前記処理チャンバの前記プレートが環状プレートであり、それぞれの構成要素が、第1の凹面の内表面、第1の凸面の外表面、および前記第1の凹面の内表面の固定の曲率半径を有する部分円筒形領域と、
第2の凹面の内表面、第2の凸面の外表面、および前記第2の凹面の内表面の変化する曲率半径を有する部分円錐形領域であって、前記第2の凹面の内表面が前記部分円筒形領域から前記固定の曲率半径よりも小さい第2の曲率半径まで延在する、部分円錐形領域と、
を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
前記第1の構成要素の前記部分円筒形領域が前記環状プレートにコンタクトするリップを有し、前記第2の構成要素の前記部分円筒形領域が前記環状プレートにコンタクトするリップを有する、請求項5に記載の処理チャンバ。
【請求項7】
前記環状プレートの前記中央開口部の上方に2つの高温計を支持するチャンバリッドをさらに備え、少なくとも1つの高温計が前記2つ以上の間隙の少なくとも1つの上方で前記チャンバリッド上に置かれている、請求項5に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
エピタキシチャンバで使用するためのコーン体であって、
第1の凹面の内表面、第1の凸面の外表面、前記第1の凹面の内表面の固定の曲率半径、および前記第1の凸面の外表面から外に向かって延在するリップを有する部分円筒形領域、ならびに
第2の凹面の内表面、第2の凸面の外表面、および前記第2の凹面の内表面の変化する曲率半径を有する部分円錐形領域であり、前記第2の凹面の内表面が前記部分円筒形領域から前記固定の曲率半径よりも小さい第2の曲率半径まで延在する、部分円錐形領域、
を有する第1の構成要素と、
第1の凹面の内表面、第1の凸面の外表面、前記第1の凸面の外表面から外に向かって延在するリップ、および前記第1の凹面の内表面の固定の曲率半径を有する部分円筒形領域、ならびに
第2の凹面の内表面、第2の凸面の外表面、および前記第2の凹面の内表面の変化する曲率半径を有する部分円錐形領域であり、前記第2の凹面の内表面が前記部分円筒形領域から前記固定の曲率半径よりも小さい第2の曲率半径まで延在する、部分円錐形領域、
を有する第2の構成要素と、
を支持する環状プレートを備える、コーン体。
【請求項9】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が同一である、請求項に記載のコーン体。
【請求項10】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素がアルミニウムから作られている、請求項に記載のコーン体。
【請求項11】
前記アルミニウム上に金メッキをさらに備える、請求項10に記載のコーン体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に半導体処理のための装置に関する。より詳細には、本開示は、エピタキシチャンバ内の空気流を制御するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エピタキシは、半導体デバイスのための均一な電気的特性を有する高品質材料を作製するために半導体処理において通常使用されるプロセスである。典型的なエピタキシチャンバでは、基板上に膜を形成するために、プロセスガスが基板と平行な方向に基板を横切って流れる。プロセスガスは、典型的には、チャンバの一方の側からもう一方の側に流れ、そこで排気ガスが除去される。
空気流を制御してエピタキシチャンバの上部ドーム上の堆積を制御するためのコーン体30の従来の実施態様が、下の図2と比較するために図1(従来技術)に示されている。図1に示すコーン体30は、円筒形部分およびテーパ付けされた下部部分31を有する。下部部分は、空気流を制御して、より均一な基板温度を生成するためにテーパ付けされている。単一のスリット32がコーン体30の頂部からコーン体30の底部まで延在する。エピタキシチャンバ内に配置される場合、コーン体30は、上部ドームの上方に置かれ、コーン体30の単一のスリット32は、赤外線波がコーン体30の単一のスリット32を通り抜けできるように高温計の真下に配置されている。
【0003】
図1の矢印は、空気がコーン体30の頂部に入るときの、コーン体30を通る空気流を示す。空気は、コーン体30を通って下に移動し、コーン体30の底部に出るが、コーン体30に導入された空気の一部は、単一のスリット32を通ってコーン体30の側面に出る。
コーン体30を使用するときに上部ドーム上に形成される堆積物は、処理中にチャンバの性能に影響を与える。例えば、上部ドーム上のいかなる被覆も、処理中に基板の一部に光照射が到達するのを妨げる可能性があり、基板上に形成される膜の均一性を損なう。また、上部ドーム上の被覆は、基板の表面を横切るスリップ転位の原因となることがある。上部ドームが処理中に不均一な温度を有する場合、上部ドーム上に被覆が形成されることがある。被覆は、しばしば、極めて高いおよび極めて低い温度領域で、チャンバの排気側で上部ドーム上に形成される。
したがって、高成長速度のエピタキシチャンバでの処理中に基板の上方の上部ドーム上に形成される被覆を低減またはなくすための技法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
高成長速度のエピタキシ処理チャンバ100などのエピタキシチャンバで使用するためのマルチスリット上部コーン体70が、図2に示され、本明細書に記載される。一実施態様において、マルチスリット上部コーン体70は、長さがL1のエッジ49を有する第1の凹面の内表面51および第1の凸面の外表面52を有する部分円筒形領域と、長さL1よりも小さい長さL2を有するエッジ53までテーパが付いている部分円錐形領域58と、を有する本体構成要素46を有する。
図3の断面によって示す別の実施態様では、マルチスリット上部コーン体70は、等しい幅Wを有してもよい2つのスリット71(図2参照、図3の断面図では1つのスリットだけが示されている)を維持しながら、マルチスリット上部コーン体70の第1および第2の本体構成要素45、46を支持する環状プレート177を備える。
さらなる実施態様では、マルチスリット上部コーン体70を通る空気流を改善したエピタキシャル成長処理チャンバ100は、マルチスリット上部コーン体70の下方に中心がある、プロセスガスに対する入口ポート154と出口ポート157との間に置かれたサセプタ103を含む。上部ドーム121は、上部ドーム121の下方のすべてのプロセスガスを上部ドーム121の上方のマルチスリット上部コーン体70の中を通って循環する空気から分離する。
【0005】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、一部が添付図面に示す実施態様を参照することによって上で要約された本開示のより具体的な記載を行うことができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施態様のみを示し、したがって、本開示の範囲を限定していると考えられるべきではなく、その理由は本開示が他の等しく効果的な実施態様を受け入れることができるためである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(従来技術)従来の実施態様によるコーン体30の斜視図である。
図2】一実施態様による、本開示のマルチスリット上部コーン体70の斜視図である。
図3】一実施態様による、マルチスリット上部コーン体70を有するエピタキシ処理チャンバ100の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図2は、一実施態様による、本開示のマルチスリット上部コーン体70を示す。マルチスリット上部コーン体70は、図1のコーン体30と同様の形状をしているが、マルチスリット上部コーン体70は、2つ以上のスリット71を有し、したがって、マルチスリット上部コーン体70は、少なくとも第1の本体構成要素45および第2の本体構成要素46を含む。一実施態様によると、本体構成要素45および46は、図2では、図3に示すようなエピタキシ処理チャンバ100内部に置かれる仕方に従って置かれている。しかしながら、本開示は、この実施態様に限定されず、マルチスリット上部コーン体70は、3つ以上の本体構成要素を提供する3つ以上のスリット71を有してもよく、本体構成要素は、非円筒形であってもよい。
図2のマルチスリット上部コーン体70のそれぞれの本体構成要素45、46は、凹面の内表面50、51、および凸面の外表面48、52を有する部分円筒形領域を有する。それぞれの表面50、51、48、52は、第1または第2の底部エッジ56、53に向かって内向きにテーパが付いている部分円錐形領域57、58に当接する。このテーパのために、図2に示す本体構成要素45、46のそれぞれに対して、底部エッジ56、53の半径および長さL2は、頂部エッジ59、49の半径および長さL1よりも小さい。例えば、一実施態様では、それぞれの頂部エッジ59、49の長さL1は、それぞれの底部エッジ56、53の長さL2の2倍である。
【0008】
図2に示す実施態様では、第1の本体構成要素45の頂部エッジ59の半径および長さL1は、第2の本体構成要素46の頂部エッジ49の半径および長さL1と同じである。第1の本体構成要素45の底部エッジ56の半径および長さL2は、一実施態様において第2の本体構成要素46の底部エッジ53の半径および長さL2と同じである。さらに、図2に示す実施態様では、スリット71はすべて、同じ幅Wを有することができ、幅Wは、スリットの長さに沿って一定している。しかしながら、本開示は、追加の本体構成要素および追加のスリットを除外しない。
図2に示す実施態様では、第1の本体構成要素45は、第1の側端部81および第2の側端部83を有し、第2の本体構成要素46は、第1の側端部82および第2の側端部84を有する。第1の本体構成要素45の第1の側端部81は、第1の本体構成要素45の第1の側端部81と第2の本体構成要素46の第1の側端部82との間の間隙を形成するスリット71の幅Wだけ、第2の本体構成要素46の第1の側端部82から離間されている。加えて、第1の本体構成要素45の第2の側端部83は、第1の本体構成要素45の第2の側端部83と本体構成要素46の第2の側端部84との間の間隙を形成するスリット71の幅Wだけ、第2の本体構成要素46の第2の側端部84から離間されている。一実施態様において、スリット71の幅Wは、20mm~25mmである。しかしながら、1つまたは複数のスリット71の幅Wは、図3に示すような処理チャンバ100の上部ドーム121と高温計167との間の赤外線波の通路に必要な幅に基づいて選択されてもよく、および/または、もう1つのスリット71の幅Wは、図3を参照して本明細書で論じるように、上部ドーム121の温度に影響を及ぼすように選択されてもよい。
【0009】
マルチスリット上部コーン体70の本体構成要素45、46は、リップ55、47を有することができる。それぞれのリップ55、47によって、それぞれの本体構成要素45、46を図3に示すようなエピタキシ処理チャンバ100のチャンバ本体173内部に位置する環状プレート177によって支持することが可能となる。図2にさらに示すように、それぞれのリップ55、47は、それぞれの本体構成要素45、46をエピタキシ処理チャンバ100内部の環状プレート177に固定することができるように、孔85を有することができる。しかしながら、本開示は、図2に示す実施態様に限定されず、コーン体は、他の取付け手段によってエピタキシ処理チャンバ100に固定されてもよい。
【0010】
図3は、一実施態様によるエピタキシ処理チャンバ100の概略断面図である。エピタキシ処理チャンバ100は、チャンバ本体173内の透明な上部ドーム121の下方に反応チャンバ102を有する。エピタキシャル膜は、反応チャンバ102内部での処理中に基板S上に成長する。反応チャンバ102は、基板Sを載せるサセプタ103を含む。環状プレート177は、上部ドーム121の上方の内部構成要素を支持する。図3に示す実施態様は、基板Sと上部ドーム121との間の距離Hが10mm以上であってもよい高成長速度のエピタキシ処理チャンバである。
サセプタ103は、上側から見ると円形を有する板状の部材であり、基板Sよりもわずかに大きい面積を有する。サセプタ103は、多孔性であっても、または非多孔性であってもよく、サセプタ支持体106によって支持されている。サセプタ103は、サセプタ103上のホットスポットの温度の制御を支援するために1つまたは複数の孔179を有してもよい。別の実施態様では、サセプタ103は、孔を有さなくてもよい。サセプタ103は、膜が基板S上に形成される膜形成位置P1から、基板Sがエピタキシ処理チャンバ100の中に、および外に移送される基板搬送位置P2まで動く。サセプタ支持体106は、回転するように構成されてもよく、それによって、サセプタ103および基板Sが、膜形成位置P1にありながらサセプタ支持体106の軸を中心に回転する。
【0011】
本実施態様による処理チャンバ100は、コールドウォール型のエピタキシャル成長処理チャンバである。上部ドーム121は、上部ドーム121の上方に位置するランプ168から熱を受け取ることによって、反応チャンバ102の内部を加熱するように構成されている。マルチスリット上部コーン体70は、上部ドーム121の上方に、および複数のランプ168間に位置する。一実施態様において、上部ドーム121は、石英から作られてもよい。一実施態様において、マルチスリット上部コーン体70は、アルミニウムから成り、金メッキされた表面をさらに備えることができる。
【0012】
基板処理中に、反応性ガスは、チャンバ本体173の入口ポート154を通って導入される。本実施態様では、第1の原料ガスおよび第2の原料ガスが入口ポート154を通って導入される。また、第2の原料ガスは、キャリアガスとして働く。3種類以上のガスの混合物が反応性ガスとして使用されてもよい。反応性ガスが入口ポート154を通って導入されるとき、反応性ガスは、反応性ガス供給経路141に沿って流れ、基板Sの上面104の上を水平方向に流れ、次いで、出口ポート157でエピタキシ処理チャンバ100を出るまで、ガス排出経路142に沿って流れる。ガス入口ポート154は、エピタキシ処理チャンバ100のガス出口ポート157と向き合い、反応チャンバ102の中心がそれらの間に位置する。
パージガスは、エピタキシチャンバの底部部分161の中心を通って下部チャンバ164内に導入される。パージガスは、チャンバ本体173に形成されたパージ孔144を通って下部チャンバ164を出る。パージ孔144は、ガス排出経路142と通じ、したがって、反応性ガスおよびパージガスは両方とも、ガス排出経路142を通って排出される。
【0013】
エピタキシ処理チャンバ100の頂部の天板166は、少なくとも2つの高温計165、167を保持する。第1の高温計165は、中空管170を介して基板Sの温度を測定し、マルチスリット上部コーン体70の中心の上方に位置する。第2の高温計167は、上部ドーム121の温度を測定する。第2の高温計167は、マルチスリット上部コーン体70の1つのスリット71の上方に位置し、それによって、赤外線波が上部ドーム121からマルチスリット上部コーン体70のスリット71を通って高温計167まで通過することができる。
空気源(図示せず)は、チャンバ本体173の第1の開口部172を通して冷気を導入する。空気は、図3に示すように、空気が空気経路175に沿って移動するように、チャンバ本体173を通って誘導される。空気は、マルチスリット上部コーン体70の頂部に入り、マルチスリット上部コーン体70を通って下方に移動し、マルチスリット上部コーン体70を出て、中央開口部105を通って下に移動し、次いで、中央開口部105の下方を、および基板Sの上面104の上方に位置する上部ドーム121の上方を水平に移動する。次いで、空気は、第2の開口部174を通ってチャンバ本体173を出る。
【0014】
マルチスリット上部コーン体70を通る空気流は、マルチスリット上部コーン体70内部のじゃま板171によってさらに制御される。じゃま板171は、マルチスリット上部コーン体70の中心内部で天板166からつり下げた中空管170によって支持される。じゃま板171は、空気経路175に沿ってマルチスリット上部コーン体70を通る空気流を妨害し、じゃま板171の周囲の空気を誘導して、空気をマルチスリット上部コーン体70の内壁に沿って強制的に流し、またさらなる空気をスリット71の幅Wを通して強制的に外に出す。スリット71の幅Wを増加または減少させることによって、スリット71の幅Wによって提供される間隙を通り抜ける空気の量、また空気経路175に沿ってマルチスリット上部コーン体70の底部エッジ56、53を通り過ぎて出る空気の量をさらに制御する。
【0015】
本実施態様のエピタキシ処理チャンバ100によるエピタキシャル成長装置を使用する膜形成方法について以下に記載する。
初めに、サセプタ103を基板搬送位置P2に移動させ、基板Sをチャンバ本体173の基板搬送ポートからエピタキシ処理チャンバ100内に移送し、サセプタ103を膜形成位置P1に移動させる。例えば、一実施態様では、200mmの直径を有するシリコン基板が基板Sとして使用される。次いで、基板Sは、待機温度(例えば、800℃)から成長温度(例えば、1100℃)に加熱される。パージガス(例えば、水素)が下部チャンバ164内に導入される。反応性ガス(例えば、第1の原料ガスとして三塩化シランおよび第2の原料ガスとして水素)が、反応性ガス入口ポート154から反応性ガス供給経路141に沿って反応チャンバ102内に導入される。反応性ガスは、基板Sの上面104に境界層を形成し、反応がこの境界層で行われる。それに応じて、シリコン膜が基板S上に形成される。反応性ガスは、反応チャンバ102と通じるガス排出経路142に沿って排出される。パージガスは、パージ孔144を通ってガス排出経路142に排出される。エピタキシャル成長が完了した後、温度を待機温度に下げ、基板Sをエピタキシ処理チャンバ100から外に移送する。
【0016】
一実施態様において、図2に示すようなマルチスリット上部コーン体70が図3に示すようなエピタキシ処理チャンバ100内部に配置される場合、本体構成要素45、46は、エピタキシ処理チャンバ100内での処理中に、開口部105の中心を通る垂直軸の周りに横方向に離間されており、この開口部105の中心も上部ドーム121の中心および基板Sの中心を通る。本実施態様では、スリット71は、180度、離間されている。
【0017】
冷却空気が図3に示す空気経路175に沿って処理中にエピタキシ処理チャンバ100を吹き抜けるとき、スリット71の近くでマルチスリット上部コーン体70の頂部に流入する空気の少なくとも一部が、マルチスリット上部コーン体70の真下の上部ドーム121上に流れ落ちるのではなく、マルチスリット上部コーン体70の側面から出るため、スリット71の直下に位置する上部ドーム121の上面104に到達する冷却空気は、上部ドーム121の表面の残りの部分に比べて少ない。そのため、処理中に低温領域であることがわかっている上部ドーム121の上面104の領域の上方にスリット71の少なくとも1つを配置することによって、結果としてこの低温領域上に流れ落ちる冷気が少なくなり、したがって、低温領域の温度を上昇させる。
【0018】
さらに、上部ドーム121上の1つまたは複数の低温領域の上方に1つまたは複数のスリット71を戦略的に配置することと併せて、空気経路175に沿って冷気流の速度を増加させることによって、冷気の速度の増加が、結果として(スリット71によって提供される間隙の真下に位置していない)上部ドーム121の1つまたは複数の高温領域上に直接吹き付ける冷気の速度/大きさの増加をもたらし、したがって、高温領域の温度を下げる。高温領域の温度のこの低下は、低温領域の上方のマルチスリット上部コーン体70内に吹き込む冷気が、低温領域の上方に位置するスリット71によって提供される間隙を通ってコーン体70の側面に逃げ、結果として低温領域上に直接吹き付けられる冷気の速度/大きさが減少し、これによって、低温領域の温度を上昇させるため、1つまたは複数の低温領域の温度も低下させずに行われる。このように、上部ドーム121の1つまたは複数の低温領域の上方に1つまたは複数のスリット71を配置することによって、かつエピタキシ処理チャンバ100内の空気経路175に沿って冷気流の速度を増加させることによって、低温領域の温度が処理中に上昇し、高温領域の温度が処理中に低下し、上部ドーム121の表面全体にわたる温度がより均一になる。スリット71の下の上部ドーム121の低温領域は、代替として、スリット71の幅Wを増加または減少させ、より多くのまたはより少ない冷気を低温領域上に直接吹き付けることができるようにすることによって制御されてもよい。
【0019】
例えば、一実施態様において、堆積が上部ドーム121の排気端で起きるのを防ぐために、上部ドーム121の下方の温度は、摂氏485~515度に制御されるべきである。そのため、上部ドーム121の排気端の低温領域(摂氏485度未満)および上部ドーム121の排気端の高温(摂氏515度超)は、堆積の危険性がある。マルチスリット上部コーン体70は、スリット71が上部ドーム121の排気端の低温領域の上方に配置されるように、戦略的に配置されてもよい。また、マルチスリット上部コーン体70は、スリット71が上部ドーム121の排気端の高温領域の上方に配置されないように、戦略的に配置されてもよい。その場合、冷気流速度を、従来の空気流速度を超えて増加させることができる。例えば、一実施態様において、従来技術のコーン体30を使用する、処理中に適用される従来の空気流速度は、9m/s~12m/sの範囲にあり、本明細書に記載されたマルチスリット上部コーン体70を使用する場合は、空気流速度は、13m/s~14.5m/sの範囲に増加する。スリット71の配置は、上部ドーム121上の低温領域の温度を上昇させる。冷気流速度の増加は、上部ドーム121上の高温領域の温度を低下させる。そのため、高温領域および低温領域に堆積が生じる可能性が低下する。
【0020】
前述の事項は、本開示の実施態様を対象としているが、本開示の他のおよびさらなる実施態様が本開示の基本的な範囲から逸脱せずに、考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0021】
30 コーン体
45 第1の本体構成要素
46 第2の本体構成要素
47 リップ
48 凸面の外表面
49 頂部エッジ
50 凹面の内表面
51 凹面の内表面
52 凸面の外表面
53 底部エッジ
55 リップ
56 底部エッジ
57 部分円錐形領域
58 部分円錐形領域
59 頂部エッジ
70 コーン体
71 スリット
81 第1の側端部
82 第1の側端部
83 第2の側端部
84 第2の側端部
85 孔
100 処理チャンバ
102 反応チャンバ
103 サセプタ
104 上面
105 開口部
106 サセプタ支持体
121 上部ドーム
141 反応性ガス供給経路
142 ガス排出経路
144 パージ孔
154 入口ポート
157 出口ポート
161 エピタキシチャンバの底部部分
164 下部チャンバ
165 第1の高温計
166 天板
167 第2の高温計
168 ランプ
170 中空管
171 じゃま板
172 第1の開口部
173 チャンバ本体
174 第2の開口部
175 空気経路
177 環状プレート
179 孔
図1
図2
図3