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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】検査装置、検査システム及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20220301BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20220301BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220301BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220301BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B41J29/393 101
G01N21/892 A
G06T1/00 310A
B41J29/38 202
B41J29/393 105
G03G21/00 370
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017236290
(22)【出願日】2017-12-08
(65)【公開番号】P2019104117
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 仁美
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-177980(JP,A)
【文献】特開2016-121980(JP,A)
【文献】特開2014-137512(JP,A)
【文献】特開2014-012382(JP,A)
【文献】特開2014-008610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138266(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107104730(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/50
G06T 9/00 - 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像に基づく画像が印刷媒体に印刷された印刷物を検査する検査装置であって、
前記印刷物を読み取ることで読取画像を生成する読取画像生成部と、
前記原稿画像に基づいて、前記検査における品質の基準となる基準画像を生成する基準画像生成部と、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとに基づいて、前記検査を実施するか否かを判定する検査実施判定部と、
前記検査実施判定部により前記検査を実施すると判定された場合、前記基準画像と前記読取画像とを比較することで、前記印刷物の品質を検査する比較検査部と、
を有し、
前記検査実施判定部は、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとが一致する場合、前記検査を実施すると判定し、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとが一致しない場合、前記検査を実施する又は前記検査を実施しないと判定する、ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
ユーザの操作に応じて、検査実施又は検査不実施のいずれかを示す値を検査設定情報に設定する設定部を有し、
前記検査実施判定部は、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとが一致しない場合で、かつ、前記設定部により設定された前記検査設定情報の値が前記検査実施を示すものである場合、前記検査を実施すると判定する、ことを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項3】
前記設定部は、
ユーザの操作に応じて、前記検査実施、前記検査不実施、又は、前記印刷媒体のサイズが前記原稿画像のサイズよりも大きい場合に前記検査を実施することを表す部分実施のいずれかを示す値を前記検査設定情報に設定し、
前記検査実施判定部は、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとが一致しない場合で、かつ、前記設定部により設定された前記検査設定情報の値が前記部分実施を示すものである場合、前記印刷媒体のサイズが前記原稿画像のサイズよりも大きいときに、前記検査を実施すると判定する、ことを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項4】
前記基準画像生成部は、
前記原稿画像のサイズが前記印刷媒体のサイズよりも大きい場合、前記原稿画像の少なくとも一部の領域を削除することで、前記基準画像を生成し、
前記検査実施判定部は、
前記原稿画像のサイズが前記印刷媒体のサイズよりも大きい場合、前記基準画像生成部により削除された領域に含まれる画素に基づいて、前記検査を実施するか否かを判定する、ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査実施判定部は、
前記原稿画像のサイズが前記印刷媒体のサイズよりも大きい場合、前記基準画像生成部により削除された領域に、白色以外の画素が含まれるとき、前記検査を実施しないと判定する、ことを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記検査実施判定部は、
前記原稿画像のサイズが前記印刷媒体のサイズよりも大きい場合、前記基準画像生成部により削除された領域に含まれる画素の画素値の分散が所定の値以上であるとき、前記検査を実施しないと判定する、ことを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項7】
原稿画像に基づく画像が印刷媒体に印刷された印刷物を検査する検査システムであって、
前記印刷物を読み取ることで読取画像を生成する読取画像生成部と、
前記原稿画像に基づいて、前記検査における品質の基準となる基準画像を生成する基準画像生成部と、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとに基づいて、前記検査を実施するか否かを判定する検査実施判定部と、
前記検査実施判定部により前記検査を実施すると判定された場合、前記基準画像と前記読取画像とを比較することで、前記印刷物の品質を検査する比較検査部と、
を有し、
前記検査実施判定部は、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとが一致する場合、前記検査を実施すると判定し、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとが一致しない場合、前記検査を実施する又は前記検査を実施しないと判定する、ことを特徴とする検査システム。
【請求項8】
原稿画像に基づく画像が印刷媒体に印刷された印刷物を検査するコンピュータが、
前記印刷物を読み取ることで読取画像を生成する読取画像生成手順と、
前記原稿画像に基づいて、前記検査における品質の基準となる基準画像を生成する基準画像生成手順と、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとに基づいて、前記検査を実施するか否かを判定する検査実施判定手順と、
前記検査実施判定手順により前記検査を実施すると判定された場合、前記基準画像と前記読取画像とを比較することで、前記印刷物の品質を検査する比較検査手順と、
を実行し、
前記検査実施判定手順は、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとが一致する場合、前記検査を実施すると判定し、
前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとが一致しない場合、前記検査を実施する又は前記検査を実施しないと判定する、ことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、検査システム及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロダクションプリンティングでは、印刷装置により出力された印刷物の品質を検査することが行われている。このような検査方法として、例えば、基準となるマスタ画像と、検査対象となる印刷物をスキャナ等で読み取って得られる被検査画像とを比較する方法が従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、印刷機には、強制印刷と呼ばれる機能が存在する場合がある。強制印刷とは、印刷機に入力された原稿画像のサイズと、出力媒体である印刷用紙のサイズとが一致しない場合であっても、強制的に印刷を行う機能である。この強制印刷では、印刷用紙のサイズが原稿画像のサイズよりも小さい場合、原稿画像の一部がトリミングされた状態で印刷される。このため、一般に、強制印刷が利用される場合には、印刷物に対して高い品質が要求されないことが多い。
【0004】
しかしながら、上記の検査方法では、強制印刷を利用した印刷であるか否かが考慮されていなかった。このため、印刷物に対して高い品質が要求されていない場合にも検査が実施され、印刷物の生産性が低下することがあった。
【0005】
本発明の一実施形態は、不要な検査実施による生産性の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態は、原稿画像に基づく画像が印刷媒体に印刷された印刷物を検査する検査装置であって、前記印刷物を読み取ることで読取画像を生成する読取画像生成部と、前記原稿画像に基づいて、前記検査における品質の基準となる基準画像を生成する基準画像生成部と、前記原稿画像のサイズと、前記印刷媒体のサイズとに基づいて、前記検査を実施するか否かを判定する検査実施判定部と、前記検査実施判定部により前記検査を実施すると判定された場合、前記基準画像と前記読取画像とを比較することで、前記印刷物の品質を検査する比較検査部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、不要な検査実施による生産性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態に係る画像形成システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】第一の実施形態に係る検査装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】第一の実施形態に係るプリントエンジン及び検査装置の機械的な構成及び用紙の搬送経路の一例を示す図である。
図4】第一の実施形態に係る画像形成システムの機能構成の一例を示す図である。
図5】第一の実施形態に係る品質検査の全体処理の一例を示すフローチャートである。
図6】第一の実施形態に係る検査実施要否の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第一の実施形態に係る基準画像の生成処理の一例を示すフローチャートである。
図8】第一の実施形態に係る比較検査処理の一例を示すフローチャートである。
図9】第二の実施形態に係る画像形成システムの機能構成の一例を示す図である。
図10】第二の実施形態に係る検査設定情報の設定処理の一例を示すフローチャートである。
図11】第二の実施形態に係る検査設定情報の設定画面の一例を示す図である。
図12】第二の実施形態に係る検査実施要否の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図13】第二の実施形態に係る基準画像の生成処理の一例を示すフローチャートである。
図14】余白処理の一例を説明するための図である。
図15】第三の実施形態に係る検査設定情報の設定処理の一例を示すフローチャートである。
図16】第三の実施形態に係る検査設定情報の設定画面の一例を示す図である。
図17】第三の実施形態に係る検査実施要否の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図18】第四の実施形態に係る品質検査の全体処理の一例を示すフローチャートである。
図19】第四の実施形態に係る検査実施要否の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
[第一の実施形態]
<画像形成システム1の全体構成>
まず、本実施形態に係る画像形成システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、第一の実施形態に係る画像形成システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システム1には、DFE(Digital Front End)10と、エンジンコントローラ20と、プリントエンジン30と、検査装置40と、ユーザ端末50とが含まれる。
【0012】
DFE10は、印刷ジョブに基づいてRIP(Raster Image Processor)処理を行って、印刷対象の画像データ(すなわち、ビットマップデータ)を生成し、生成した画像データをエンジンコントローラ20に出力する画像処理装置である。また、DFE10は、生成した画像データを検査装置40に送信する。以降では、DFE10により生成されたビットマップデータを「RIP画像」とも表す。RIP画像は、印刷物を作成するための原稿となる画像である。
【0013】
エンジンコントローラ20は、DFE10から受信したRIP画像に基づいて、プリントエンジン30を制御して画像形成出力を実行させる。
【0014】
プリントエンジン30は、エンジンコントローラ20の制御に従い、RIP画像に基づいて、記録媒体である印刷用紙への画像形成出力を実行する画像形成装置である。印刷用紙への画像形成出力により、当該印刷用紙上に画像が形成された印刷物が出力される。なお、記録媒体としては、上述した印刷用紙の他、フィルム、プラスチック等のシート状の材料で、画像形成出力の対象物となるものであれば採用可能である。
【0015】
検査装置40は、DFE10から受信したRIP画像に基づいて、プリントエンジン30による画像形成出力の結果を検査するための基準となるマスタ画像(以降では、マスタ画像を「基準画像」とも表す。)を生成する。また、検査装置40は、プリントエンジン30による画像形成出力の結果である印刷物を読み取ることで読取画像を生成する。そして、検査装置40は、基準画像と読取画像とを比較することで、プリントエンジン30による画像形成出力の結果(すなわち、印刷物の品質)を検査する。
【0016】
なお、検査装置40は、プリントエンジン30による画像形成出力の結果に欠陥があると判定した場合、欠陥があると判定されたページに関する情報をエンジンコントローラ20に通知する。これにより、欠陥があると判定されたページの再印刷制御がエンジンコントローラ20により実行される。
【0017】
ただし、欠陥があると判定されたページを再印刷しなくても良い。例えば、欠陥があると判定されたページに関する情報をユーザ端末50に表示させても良いし、欠陥があると判定されたページに関する情報をエンジンコントローラ20や検査装置40等が保持するに留めておいても良い。
【0018】
ユーザ端末50は、例えば、検査に用いられるパラメータをユーザが指定したり、検査装置40による検査結果をユーザが確認したりするための情報処理端末である。
【0019】
<検査装置40のハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る検査装置40のハードウェア構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、第一の実施形態に係る検査装置40のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る検査装置40は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様のハードウェア構成を有する。すなわち、本実施形態に係る検査装置40には、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、ROM(Read Only Memory)43と、HDD(Hard Disk Drive)44と、I/F45とが含まれる。これらは、バス49を介して接続されている。また、I/F45には、LCD(Liquid Crystal Display)46と、操作装置47と、専用デバイス48とが接続されている。
【0021】
CPU41は、ROM43やHDD44等の記憶装置からプログラムやデータをRAM42上に読み出して処理を実行することで、検査装置40全体の制御や機能を実現する演算装置である。RAM42は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM43は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。
【0022】
HDD44は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。HDD44に格納されるプログラムやデータには、検査装置40全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、OS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア等がある。
【0023】
なお、検査装置40は、HDD44に代えて又はHDD44と共に、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置(例えばソリッドステートドライブ:SSD)を有していても良い。
【0024】
I/F45は、バス49と、各種のハードウェアやネットワーク等とを接続するインタフェースである。LCD46は、ユーザが検査装置40の処理結果等を確認するためのユーザインタフェースである。操作装置47は、例えばキーボードやマウス等、ユーザが検査装置40に各種情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0025】
なお、検査装置40は、LCD46及び操作装置47の少なくとも一方を有していなくても良い。
【0026】
専用デバイス48は、専用の機能を実現するためのハードウェアである。専用デバイス48には、高速に画像処理を行うためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の演算装置、用紙上に出力された画像を読み取る読取装置等が挙げられる。
【0027】
本実施形態に係る検査装置40は、図2に示すハードウェア構成を有することで、後述する各種処理を実現することができる。
【0028】
<プリントエンジン30及び検査装置40の機械的な構成及び用紙の搬送経路>
次に、本実施形態に係るプリントエンジン30及び検査装置40の機械的な構成及び用紙の搬送経路について、図3を参照しながら説明する。図3は、第一の実施形態に係るプリントエンジン30及び検査装置40の機械的な構成及び用紙の搬送経路の一例を示す図である。
【0029】
図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン30には、ユーザインタフェースを提供する入出力装置61が接続されている。プリントエンジン30は、搬送ベルト71に沿って各色(Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(キープレート))の感光体ドラム72Y、72M、72C及び72K(以降、各色を区別しないときは「感光体ドラム72」と表す。)が並べられている。すなわち、給紙トレイ63から給紙される用紙(記録媒体の一例)に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト71に沿って、当該搬送ベルト71の搬送方向の上流側から順に感光体ドラム72Y~72Kが配列されている。
【0030】
各色の感光体ドラム72の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト71に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。搬送ベルト71上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す搬送経路上を搬送されてきた用紙の紙面上に転写ローラ73の機能により転写される。
【0031】
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ74にて画像を定着させた後、検査装置40に搬送される。なお、両面印刷の場合は、片面上に画像が形成及び定着された用紙が反転パス75に搬送され、反転された上で、再度、転写ローラ73による転写位置に搬送される。
【0032】
読取装置81は、検査装置40内部の搬送経路において用紙の紙面を読み取って、読取画像を生成する。なお、両面印刷の場合は、読取装置81及び82により用紙の両面を読み取って、読取画像を生成する。
【0033】
そして、紙面が読み取られた用紙は、検査装置40内部を更に搬送され、スタッカ62に搬送される。その後、スタッカ62に搬送された用紙は、排紙トレイ64に排出される。
【0034】
<画像形成システム1の機能構成>
次に、本実施形態に係る画像形成システム1に含まれるDFE10、エンジンコントローラ20、プリントエンジン30及び検査装置40の機能構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、第一の実施形態に係る画像形成システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0035】
≪DFE10≫
図4に示すように、本実施形態に係るDFE10は、RIP処理部101を有する。RIP処理部101は、DFE10にインストールされた1以上のプログラムが、CPUに実行させる処理により実現される。
【0036】
RIP処理部101は、DFE10とネットワークを介して接続される端末装置から受信した印刷ジョブやDFE10に格納されている印刷ジョブ等に基づいてRIP画像を生成する。例えば、RIP処理部101は、印刷ジョブに含まれるPostScript等のPDF(Page Description Language)やTIFF(Tagged Image File Format)等の画像からRIP画像を生成する。以降では、一例として、RIP画像は、CMYKで600dpiであるものとする。
【0037】
印刷ジョブには、例えば、印刷用紙サイズ、両面/片面、カラー/モノクロ等の種々の印刷設定が含まれる。このような印刷設定は、例えば、DFE10とネットワークを介して接続される端末装置上で値が設定されても良いし、デフォルトの値が設定されても良い。
【0038】
また、RIP処理部101は、生成したRIP画像と、印刷設定とをエンジンコントローラ20に送信する。更に、RIP処理部101は、生成したRIP画像と、RIP画像サイズとを検査装置40に送信する。
【0039】
≪エンジンコントローラ20≫
図4に示すように、本実施形態に係るエンジンコントローラ20は、エンジン制御部201を有する。エンジン制御部201は、エンジンコントローラ20にインストールされた1以上のプログラムが、CPUに実行させる処理により実現される。
【0040】
エンジン制御部201は、DFE10から受信したRIP画像と印刷設定とに基づいて、プリントエンジン30に画像形成出力を実行させる。
【0041】
≪プリントエンジン30≫
図4に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン30は、印刷処理部301を有する。印刷処理部301は、プリントエンジン30にインストールされた1以上のプログラムが、CPUに実行させる処理により実現される。
【0042】
印刷処理部301は、エンジンコントローラ20から送信されたRIP画像及び印刷設定を取得し、印刷設定に従って、印刷用紙に対してRIP画像に基づく印刷画像を画像形成出力する。そして、印刷処理部301は、画像形成出力された印刷用紙である印刷物を出力する。
【0043】
また、印刷処理部301は、印刷設定に含まれる印刷用紙サイズを検査装置40に送信する。
【0044】
≪検査装置40≫
図4に示すように、本実施形態に係る検査装置40は、基準画像生成部401と、読取部402と、検査実施判定部403と、比較検査部404とを有する。これら各部は、検査装置40にインストールされた1以上のプログラムが、CPU41に実行させる処理により実現される。
【0045】
基準画像生成部401は、DFE10から受信したRIP画像から基準画像を生成する。基準画像とは、プリントエンジン30による画像形成出力の結果(すなわち、印刷物)を検査するための基準となる画像である。
【0046】
読取部402は、プリントエンジン30により出力された印刷物を読み取って、読取画像を生成する。読取部402は、例えば、検査装置40内部に設けられた読取装置81や読取装置82等により実現される。以降では、一例として、読取画像は、RGBで200dpiであるものとする。
【0047】
検査実施判定部403は、DFE10から受信したRIP画像サイズと、プリントエンジン30から受信した印刷用紙サイズとが一致するか否かにより、基準画像と読取画像との比較検査を実施するか否かを判定する。すなわち、例えば、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しない場合、当該印刷物は強制印刷により印刷されたものであるため、検査実施判定部403は、当該比較検査を実施しないと判定する。強制印刷により印刷された場合には、印刷物に対して高い品質が要求されないことが多いためである。
【0048】
比較検査部404は、検査実施判定部403により比較検査を実施すると判定された場合、基準画像と読取画像との比較検査を実施する。基準画像と読取画像との比較結果が実施されることで、印刷物の品質が検査される。
【0049】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の処理の詳細について説明する。以降では、印刷物の品質を検査する全体処理について、図5を参照しながら説明する。図5は、第一の実施形態に係る品質検査の全体処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
まず、DFE10のRIP処理部101は、印刷ジョブに含まれるPDLや画像等からRIP画像を生成する(ステップS501)。そして、RIP処理部101は、生成したRIP画像と、印刷ジョブに含まれる印刷設定とをエンジンコントローラ20に送信する。また、RIP処理部101は、生成したRIP画像と、RIP画像サイズとを検査装置40に送信する。
【0051】
次に、エンジンコントローラ20のエンジン制御部201は、DFE10から受信したRIP画像と印刷設定とに基づいて、プリントエンジン30の印刷処理部301に画像形成出力を実行させることで、印刷物を作成する(ステップS502)。すなわち、印刷処理部301は、RIP画像及び印刷設定を受信すると、当該RIP画像及び印刷設定に基づく印刷画像を生成し、生成した印刷画像を印刷用紙に形成することで印刷物を作成する。
【0052】
ここで、強制印刷が利用された場合には、印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが異なる。このとき、印刷用紙サイズがRIP画像サイズよりも大きい場合には、印刷用紙サイズに合わせて、RIP画像に対して余白が追加されることで印刷画像が生成される。一方で、印刷用紙サイズがRIPサイズよりも小さい場合には、印刷用紙サイズに合わせて、RIP画像の一部がトリミングされることで印刷画像が生成される。
【0053】
これにより、印刷設定に従って、印刷用紙上に印刷画像が形成された印刷物が出力される。出力された印刷物は、検査装置40に搬送される。そして、印刷処理部301は、印刷設定に含まれる印刷用紙サイズを検査装置40に送信する。
【0054】
次に、検査装置40の読取部402は、プリントエンジン30から出力された印刷物を読み取って読取画像を生成する(ステップS503)。
【0055】
次に、検査装置40の検査実施判定部403は、印刷物の品質を検査するための比較検査(すなわち、基準画像と読取画像との比較検査)の実施要否を判定する(ステップS504)。
【0056】
ここで、上記のステップS504の処理(検査実施要否の判定処理)の詳細について、図6を参照しながら説明する。図6は、第一の実施形態に係る検査実施要否の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
まず、検査実施判定部403は、プリントエンジン30から送信された印刷用紙サイズと、DFE10から送信されたRIP画像サイズとを取得する(ステップS601)。
【0058】
次に、検査実施判定部403は、上記のステップS601で取得した印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが一致するか否かを判定する(ステップS602)。
【0059】
ステップS602において、印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが一致しないと判定された場合、検査実施判定部403は、「検査実施不要」と判定する(ステップS603)。
【0060】
一方で、ステップS602において、印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが一致すると判定された場合、検査実施判定部403は、「検査実施要」と判定する(ステップS604)。
【0061】
このように、本実施形態に係る検査装置40は、印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが一致しない場合(すなわち、強制印刷が行われた場合)、印刷物の品質検査の実施を不要であると判定する。これにより、印刷物に対して高い品質が要求されないことが多い強制印刷では、印刷物の品質検査を実施しないようにすることができる。
【0062】
図5に戻る。ステップS504に続いて、比較検査部404は、上記のステップS504における検査実施判定部403の判定結果が「検査実施要」であるか否かを判定する(ステップS505)。
【0063】
ステップS505において、検査実施判定部403の判定結果が「検査実施要」でないと判定された場合(すなわち、当該判定結果が「検査実施不要」である場合)、比較検査部404は、処理を終了する。この場合、印刷物の品質検査は実施されない。
【0064】
一方で、ステップS505において、検査実施判定部403の判定結果が「検査実施要」であると判定された場合、基準画像生成部401は、印刷物の品質を検査するための基準画像を生成する(ステップS506)。
【0065】
ここで、上記のステップS506の処理(基準画像の生成処理)の詳細について、図7を参照しながら説明する。図7は、第一の実施形態に係る基準画像の生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、基準画像生成部401は、DFE10から送信されたRIP画像を取得する(ステップS701)。
【0067】
次に、基準画像生成部401は、上記のステップS701で取得したRIP画像の解像度を変換する(ステップS702)。すなわち、基準画像生成部401は、例えば、600dpiであるRIP画像の解像度を、読取画像と同様の解像度である200dpiに変換する。
【0068】
次に、基準画像生成部401は、RIP画像の色空間を、読取画像と同一の色空間に変換する(ステップS703)。すなわち、基準画像生成部401は、例えば、CMYKであるRIP画像を、読取画像と同一のRGBに変換する。なお、色空間の変換は、色変換情報を用いることで行うことができる。色変換情報は、例えば、事前にカラーパッチ等を印刷及び測色することで得ることができる。
【0069】
次に、基準画像生成部401は、RIP画像に基準点を設定する(ステップS704)。基準点とは、基準画像と読取画像との位置合わせに用いられる基準となる特徴的な画素である。なお、基準画像生成部401は、例えば、RIP画像に対して、基準画像と読取画像との位置合わせに用いられる所定のマーカ(例えばトンボマーカ等)を付与しても良い。
【0070】
以上のステップS701~ステップS704によりRIP画像から基準画像が生成される。
【0071】
図5に戻る。ステップS506に続いて、比較検査部404は、上記のステップS506で生成された基準画像と、上記のステップS503で生成された読取画像との比較検査を実施する(ステップS507)。基準画像と読取画像との比較検査が実施されることで、印刷物の品質が検査される。
【0072】
ここで、上記のステップS507の処理(比較検査処理)の詳細について、図8を参照しながら説明する。図8は、第一の実施形態に係る比較検査処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
まず、比較検査部404は、基準画像生成部401により生成された基準画像と、読取部402により生成された読取画像とを取得する(ステップS801)。
【0074】
次に、比較検査部404は、上記のステップS801で取得された基準画像と読取画像との位置合わせを行う(ステップS802)。基準画像と読取画像との位置合わせは、例えば、基準画像に設定された基準点を用いることで行うことができる。
【0075】
次に、比較検査部404は、基準画像と読取画像との差分を示す差分画像を生成する(ステップS803)。差分画像とは、基準画像と読取画像との各画素の差分値を、各画素の画素値とする画像である。
【0076】
次に、比較検査部404は、上記のステップS803で生成した差分画像の各画素値と、予め設定された閾値との大小関係に基づき、読取画像における欠陥の有無を判定する(ステップS804)。すなわち、比較検査部404は、予め設定された閾値よりも大きい画素値が所定の個数以上ある場合等に、読取画像に欠陥があると判定する。これにより、印刷物の品質検査が行われる。
【0077】
図5に戻る。ステップS507に続いて、比較検査部404は、上記のステップS507における比較検査の結果(すなわち、読取画像における欠陥の有無)を通知する(ステップS508)。通知先としては、例えば、エンジンコントローラ20やユーザ端末50等に通知すれば良い。エンジンコントローラ20に通知されることで、例えば、読取画像に欠陥がある場合、RIP画像の再印刷を行うように制御することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る検査装置40は、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しない場合(すなわち、強制印刷が行われた場合)には、印刷物の品質検査を実施しないように制御する。このため、本実施形態に係る検査装置40では、印刷物に対して高い品質が要求されない強制印刷が行われた場合には、不要な検査実施を抑制することができ、検査実施による印刷物の生産性低下を防止することができる。
【0079】
なお、図5に示す例では、検査実施判定部403の判定結果が「検査実施要」でないと判定された場合に基準画像の生成処理を行ったが、基準画像の生成処理は、例えば、ステップS505よりも前に実行されても良い。すなわち、基準画像の生成処理は、ステップS507の比較検査処理が実行される前であれば、任意のタイミングで実行することができる。
【0080】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態について説明する。第一の実施形態では、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しない場合(すなわち、強制印刷が利用された場合)には、印刷物の品質検査を実施しないものとした。しかしながら、ユーザによっては、強制印刷を利用した場合でも印刷物の品質検査を実施したいとのニーズが存在することもある。
【0081】
そこで、第二の実施形態では、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しない場合には、更に、ユーザにより設定された情報に応じて、印刷物の品質検査を実施するか否かを判定する場合について説明する。
【0082】
なお、第二の実施形態では、主に、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成要素については、適宜、その説明を省略する。
【0083】
<画像形成システム1の機能構成>
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の機能構成について、図9を参照しながら説明する。図9は、第二の実施形態に係る画像形成システムの機能構成の一例を示す図である。なお、DFE10、エンジンコントローラ20及びプリントエンジン30の機能構成は、第一の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0084】
≪検査装置40≫
図9に示すように、本実施形態に係る検査装置40は、更に、設定部405を有する。設定部405は、検査装置40にインストールされた1以上のプログラムが、CPU41に実行させる処理により実現される。
【0085】
設定部405は、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しない場合において、RIP画像と読取画像との比較検査を実施するか否かを示す検査設定情報1000を設定する。設定部405により設定された検査設定情報1000は、例えば、HDD44内の所定の記憶領域に記憶される。
【0086】
また、本実施形態に係る検査実施判定部403は、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しないと判定した場合に、更に、検査設定情報1000を参照して、比較検査を実施するか否かを判定する。
【0087】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の処理の詳細について説明する。まず、検査設定情報1000をユーザが設定する処理について、図10を参照しながら説明する。図10は、第二の実施形態に係る検査設定情報の設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0088】
まず、設定部405は、例えば図11に示す検査設定情報の設定画面G100をLCD46上に表示する(ステップS1001)。図11に示す検査設定情報の設定画面G100は、ユーザが検査設定情報1000の値(「検査実施」又は「検査不実施」のいずれか)を設定するための画面である。
【0089】
図11に示す検査設定情報の設定画面G100には、「検査を実施」ボタンG110と、「検査を実施しない」ボタンG120とが含まれる。ユーザは、「検査を実施」ボタンG110を押下することで、検査設定情報1000に対して「検査実施」を設定することができる。一方で、ユーザは、「検査を実施しない」ボタンG120を押下することで、検査設定情報1000に対して「検査不実施」を設定することができる。以降では、「検査を実施」ボタンG110又は「検査を実施しない」ボタンG120のいずれかがユーザにより押下されたものとする。
【0090】
なお、図11に示す検査設定情報の設定画面G100は、検査装置40のLCD46上に表示される場合に限られず、例えば、プリントエンジン30入出力装置61上に表示されても良い。
【0091】
次に、設定部405は、ユーザによる押下操作(すなわち、「検査を実施」ボタンG110又は「検査を実施しない」ボタンG120のいずれかの押下操作)を受け付ける(ステップS1002)。
【0092】
次に、設定部405は、上記のステップS1002で受け付けた押下操作に応じて、検査設定情報1000の値を設定する(ステップS1003)。すなわち、例えば、上記のステップS1002で受け付けた押下操作が「検査を実施」ボタンG110の押下操作であった場合、設定部405は、検査設定情報1000に対して「検査実施」を設定する。一方で、例えば、上記のステップS1002で受け付けた押下操作が「検査を実施しない」ボタンG120の押下操作であった場合、設定部405は、検査設定情報1000に対して「検査不実施」を設定する。
【0093】
これにより、検査設定情報1000に値が設定される。なお、例えば、既に検査設定情報1000に値が設定されている場合は、設定部405は、検査設定情報1000の値を更新すれば良い。また、例えば、検査設定情報1000が存在しない場合は、設定部405は、検査設定情報1000を新規作成した上で、新規作成した検査設定情報1000に対して値を設定すれば良い。
【0094】
次に、印刷物の品質を検査する全体処理について説明する。本実施形態では、図5におけるステップS504の検査実施要否の判定処理と、ステップS506の基準画像の生成処理とが第一の実施形態と異なる。そこで、以降では、検査実施要否の判定処理及び基準画像の生成処理について説明する。
【0095】
まず、本実施形態に係る検査実施要否の判定処理について、図12を参照しながら説明する。図12は、第二の実施形態に係る検査実施要否の判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、図12のステップS601~ステップS602は、図6と同様であるための、その説明を省略する。
【0096】
ステップS602において、印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが一致しないと判定された場合、検査実施判定部403は、検査設定情報1000の値が「検査実施」であるか否かを判定する(ステップS1201)。
【0097】
ステップS1201において、検査設定情報1000の値が「検査実施」でないと判定された場合(すなわち、検査設定情報1000の値が「検査不実施」である場合)、検査実施判定部403は、「検査実施不要」と判定する(ステップS1202)。
【0098】
一方で、ステップS1201において、検査設定情報1000の値が「検査実施」であると判定された場合、検査実施判定部403は、「検査実施要」と判定する(ステップS1203)。
【0099】
このように、本実施形態に係る検査装置40は、強制印刷が行われた場合であっても、比較検査を実施することを示す情報がユーザにより予め設定されている場合は、印刷物の品質検査を実施すると判定する。
【0100】
次に、本実施形態に係る基準画像の生成処理について、図13を参照しながら説明する。図13は、第二の実施形態に係る基準画像の生成処理の一例を示すフローチャートである。なお、図13のステップS702~ステップS704は、図7と同様であるため、その説明を省略する。
【0101】
まず、基準画像生成部401は、DFE10から送信されたRIP画像と、プリントエンジン30から送信された印刷用紙サイズとを取得する(ステップS1301)。
【0102】
ステップS702に続いて、基準画像生成部401は、上記のステップS1301で取得された印刷用紙サイズにRIP画像サイズを合わせるための余白処理を行う(ステップS1302)。
【0103】
ここで、上記のステップS1302の余白処理について、図14を参照しながら説明する。図14は、余白処理の一例を説明するための図である。本実施形態では、検査設定情報1000の値によっては、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しない場合にも基準画像の生成処理が実行される。このため、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとの関係は、(a)RIP画像サイズ>印刷用紙サイズ、(b)RIP画像サイズ=印刷用紙サイズ、(c)RIP画像サイズ<印刷用紙サイズの3つの場合が存在する。
【0104】
図14(a)に示すように、RIP画像サイズ>印刷用紙サイズである場合、基準画像生成部401は、余白処理として、印刷用紙サイズに合わせてRIP画像をトリミングする処理を行う。なお、余白処理におけるトリミングは、印刷処理部301がRIP画像から印刷画像を生成する場合に行われるトリミングと同様である。また、図14(a)では、RIP画像の下側の領域と右側の領域とがトリミングされている例を示しているが、これに限られない。例えば、RIP画像は、印刷用紙サイズに合わせて、上下左右の全ての領域がトリミングされても良い。
【0105】
図14(b)に示すように、RIP画像サイズ=印刷用紙サイズである場合、基準画像生成部401は、余白処理を行わない。この場合、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致するためである。
【0106】
図14(c)に示すように、RIP画像サイズ<印刷用紙サイズである場合、基準画像生成部401は、余白処理として、印刷用紙サイズに合わせてRIP画像に対して余白を追加する。なお、余白処理における余白の追加は、印刷処理部301がRIP画像から印刷画像を生成する場合に行われる余白の追加と同様である。また、図14(b)では、RIP画像の下側と右側とに余白が追加されている例を示しているが、これに限られない。例えば、RIP画像は、印刷用紙サイズに合わせて、上下左右の全ての方向に余白が追加されても良い。
【0107】
このように、印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが異なる場合には、RIP画像から印刷画像が生成された場合と同様に、印刷用紙サイズに合わせて、RIP画像がトリミング又は余白が追加されることで基準画像が生成される。一方で、印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが異ならない場合には、トリミング又は余白の追加は行われない。
【0108】
[第三の実施形態]
次に、第三の実施形態について説明する。第二の実施形態では、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しない場合には、ユーザにより設定された情報に応じて、印刷物の品質検査を実施するか否かを判定する場合について説明した。
【0109】
ところで、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が大きい場合には、RIP画像に対して余白が追加された上で、印刷が行われる。この場合には、印刷用紙サイズよりもRIP画像サイズの方が大きい場合と異なり、RIP画像がトリミング等されないため、強制印刷であっても印刷物に対して高い品質が要求されることがある。
【0110】
そこで、第三の実施形態では、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が大きい場合には、印刷物の品質検査を実施することをユーザが設定する場合について説明する。
【0111】
なお、第三の実施形態では、主に、第二の実施形態との相違点について説明し、第二の実施形態と同様の構成要素については、適宜、その説明を省略する。
【0112】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の処理の詳細について説明する。まず、検査設定情報1000をユーザが設定する処理について、図15を参照しながら説明する。図15は、第三の実施形態に係る検査設定情報の設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0113】
まず、設定部405は、例えば図16に示す検査設定情報の設定画面G200をLCD46上に表示する(ステップS1501)。図16に示す検査設定情報の設定画面G200は、ユーザが検査設定情報1000の値(「検査実施」、「部分実施」又は「検査不実施」のいずれか)を設定するための画面である。
【0114】
図16に示す検査設定情報の設定画面G200には、「検査を実施」ボタンG210と、「検査を部分実施」ボタンG220と、「検査を実施しない」ボタンG230とが含まれる。ユーザは、「検査を実施」ボタンG210を押下することで、検査設定情報1000に対して「検査実施」を設定することができる。また、「検査を実施」ボタンG220を押下することで、検査設定情報1000に対して「部分実施」を設定することができる。更に、ユーザは、「検査を実施しない」ボタンG230を押下することで、検査設定情報1000に対して「検査不実施」を設定することができる。以降では、「検査を実施」ボタンG210、「検査を部分実施」ボタンG220又は「検査を実施しない」ボタンG230のいずれかがユーザにより押下されたものとする。
【0115】
なお、図16に示す検査設定情報の設定画面G200は、検査装置40のLCD46上に表示される場合に限られず、例えば、プリントエンジン30入出力装置61上に表示されても良い。
【0116】
次に、設定部405は、ユーザによる押下操作(すなわち、「検査を実施」ボタンG210、「検査を部分実施」ボタンG220、又は「検査を実施しない」ボタンG230のいずれかの押下操作)を受け付ける(ステップS1502)。
【0117】
次に、設定部405は、上記のステップS1502で受け付けた押下操作に応じて、検査設定情報1000に値を設定する(ステップS1503)。すなわち、例えば、上記のステップS1502で受け付けた押下操作が「検査を実施」ボタンG210の押下操作であった場合、設定部405は、検査設定情報1000に対して「検査実施」を設定する。また、例えば、上記のステップS1502で受け付けた押下操作が「検査を部分実施」ボタンG220の押下操作であった場合、設定部405は、検査設定情報1000に対して「部分実施」を設定する。更に、例えば、上記のステップS1502で受け付けた押下操作が「検査を実施しない」ボタンG230の押下操作であった場合、設定部405は、検査設定情報1000に対して「検査不実施」を設定する。
【0118】
これにより、検査設定情報1000に値が設定される。なお、例えば、既に検査設定情報1000に値が設定されている場合は、設定部405は、検査設定情報1000の値を更新すれば良い、また、例えば、検査設定情報1000が存在しない場合は、設定部405は、検査設定情報1000を新規作成した上で、新規作成した検査設定情報1000に対して値を設定すれば良い。
【0119】
次に、印刷物の品質を検査する全体処理について説明する。本実施形態では、図5におけるステップS504の検査実施要否の判定処理が第二の実施形態と異なる。そこで、以降では、検査実施要否の判定処理について、図17を参照しながら説明する。図17は、第三の実施形態に係る検査実施要否の判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、図17のステップS601~ステップS602は、図6と同様であるための、その説明を省略する。
【0120】
ステップS602において、印刷用紙サイズとRIP画像サイズとが一致しないと判定された場合、検査実施判定部403は、検査設定情報1000の値が「検査実施」、「部分実施」又は「検査不実施」のいずれであるかを判定する(ステップS1701)。
【0121】
ステップS1701において、検査設定情報1000の値が「部分実施」であると判定された場合、検査実施判定部403は、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が大きいか否かを判定する(ステップS1702)。
【0122】
ステップS1702において、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が大きいと判定されなかった場合(すなわち、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が小さい場合)、検査実施判定部403は、「検査実施不要」と判定する(ステップS1703)。この場合、図5のステップS502でRIP画像がトリミングされた印刷画像が生成されたためである。
【0123】
一方、ステップS1702において、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が大きいと判定された場合、検査実施判定部403は、「検査実施要」と判定する(ステップS1704)。この場合、図5のステップS502でRIP画像に対して余白が追加された印刷画像が生成されためである。
【0124】
このように、本実施形態に係る検査装置40は、強制印刷が行われた場合であっても、検査設定情報1000の値が「部分実施」であり、かつ、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が大きい場合には、印刷物の品質検査を実施すると判定する。
【0125】
[第四の実施形態]
次に、第四の実施形態について説明する。第三の実施形態では、RIP画像サイズと印刷用紙サイズとが一致しない場合であっても、RIP画像に対して余白が追加される場合には、印刷物の品質検査を行う場合について説明した。
【0126】
ところで、RIP画像がトリミング等される場合であっても、例えば、文字や図形等が含まれない領域がトリミングされる場合(すなわち、例えば、背景のみがトリミングされるような場合)には、印刷物の品質検査を行う要求があると考えられる。
【0127】
そこで、第四の実施形態では、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が小さい場合であっても、例えば、背景のみがトリミングされて印刷されるような場合には、印刷物の品質検査を実施する場合について説明する。
【0128】
なお、第四の実施形態では、主に、第三の実施形態との相違点について説明し、第三の実施形態と同様の構成要素については、適宜、その説明を省略する。
【0129】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の処理の詳細について説明する。以降では、印刷物の品質を検査する全体処理について、図18を参照しながら説明する。図18は、第四の実施形態に係る品質検査の全体処理の一例を示すフローチャートである。なお、図18のステップS501~ステップS503及びステップS505~ステップS508は、図5と同様であるため、その説明を省略する。
【0130】
ステップS503に続いて、基準画像生成部401は、印刷物の品質を検査するための基準画像を生成する(ステップS1801)。なお、基準画像の生成処理の詳細は、図13と同様である。
【0131】
次に、検査実施判定部403は、印刷物の品質を検査するための比較検査の実施要否を判定する(ステップS1802)。
【0132】
このように、本実施形態に係る品質検査の全体処理では、基準画像の生成処理を、検査実施要否の判定処理の前に実行する。これは、後述する検査実施要否の判定処理において、基準画像の生成処理における余白処理の結果を利用するためである。
【0133】
ここで、上記のステップS1802の処理(検査実施要否の判定処理)の詳細について、図19を参照しながら説明する。図19は、第四の実施形態に係る検査実施要否の判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、図19のステップS601~ステップS602及びステップS1701~ステップS1702は、図17と同様であるため、その説明を省略する。
【0134】
ステップS1702において、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が大きいと判定されなかった場合、検査実施判定部403は、図13のステップS1302(余白処理)でトリミングされた領域に文字や図形等が含まれていたか否かを判定する(ステップS1901)。
【0135】
ここで、トリミングされた領域に文字や図形等が含まれていたか否かは、例えば、当該領域内に着色画素があるか否かを判定すれば良い。着色画素の有無は、例えば、トリミングされた領域に含まれる各画素が白色であるか否かを判定すれば良い。この場合、トリミングされた領域に白色でない画素が含まれる場合、着色画素が有ると判定される。これにより、RIP画像の地色(背景)が白色である場合に、トリミングされた領域に文字や図形等(の少なくとも一部)が含まれていたか否かを判定することができる。
【0136】
また、トリミングされた領域に文字や図形等が含まれていたか否かは、例えば、当該領域に含まれる各画素の画素値の分散が所定の値以上であるか否かを判定しても良い。これは、トリミングされた領域に含まれる各画素の画素値の分散が大きい場合、当該領域に文字や図形等が含まれている可能性が高いためである。分散を用いることで、RIP画像の地色(背景)が白色以外の場合であっても、トリミングされた領域に文字や図形等が含まれている否かを判定することができる。
【0137】
ステップS1901において、トリミングされた領域に文字や図形等が含まれていたと判定された場合、検査実施判定部403は、「検査実施不要」と判定する(ステップS1902)。この場合、図5のステップS502では、RIP画像の文字や図形等が含まれる領域がトリミングされた印刷画像が生成されたためである。
【0138】
一方、ステップS1902において、トリミングされた領域に文字や図形等が含まれていたと判定されなかった場合、検査実施判定部403は、「検査実施要」と判定する(ステップS1903)。この場合、図5のステップS502では、RIP画像の文字や図形等が含まれない領域がトリミングされた印刷画像が生成されたためである。
【0139】
このように、本実施形態に係る検査装置40は、強制印刷が行われ、かつ、RIP画像サイズよりも印刷用紙サイズの方が小さい場合であっても、RIP画像の文字や図形等がトリミングされていない場合には、印刷物の品質検査を実施すると判定する。
【0140】
本発明は、具体的に開示された上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0141】
10 DFE
20 エンジンコントローラ
30 プリントエンジン
40 検査装置
50 ユーザ端末
101 RIP処理部
201 エンジン制御部
301 印刷処理部
401 基準画像生成部
402 読取部
403 検査実施判定部
404 比較検査部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0142】
【文献】特開2007-33247号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19