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特許7031286機器、画像形成装置及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】機器、画像形成装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/025 20220101AFI20220301BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220301BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H04L67/025
B41J29/38 204
B41J29/38 301
B41J29/38 302
H04N1/00 127Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017245085
(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公開番号】P2019113932
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】窪倉 正俊
【審査官】今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-175719(JP,A)
【文献】特開2008-271231(JP,A)
【文献】特開2003-187123(JP,A)
【文献】特開2002-127572(JP,A)
【文献】特開2003-224686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/025
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置にネットワークを介して接続する機器であって、
前記情報処理装置から送信されるアドレス情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信されたアドレス情報を記憶部に記憶する記憶処理部と、
異常が発生している他の機器から前記異常に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に係る異常を通知する表示、と、前記異常の解消方法を入力させる少なくとも1つの画面を表示し、前記取得部によって前記異常に関する情報を取得できない場合に、複数の異常に関して、前記機器において当該異常が発生した際に表示される画面の画像を表示する表示制御部と、
表示された画像の中からユーザによって選択された画像に対応する情報を、前記記憶部が記憶するアドレス情報を宛先として送信する送信部と、
を有することを特徴とする機器。
【請求項2】
当該機器における異常の発生を検出する検出部を有し、
前記表示制御部は、前記検出部によって異常を検出した際に、ユーザに当該異常を通知する表示、と、当該異常の解消方法を入力させる少なくとも1つの画面とを表示し、
前記送信部は、前記画面に対するユーザによる操作に応じた内容の情報を、前記記憶部が記憶するアドレス情報を宛先として送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記ユーザに前記異常を通知する表示に対するユーザの接触を検知することにより、前記異常の解消方法を入力させる少なくとも1つの画面を表示する、請求項1又は2に記載の機器。
【請求項4】
前記アドレス情報は、メールアドレスであり、
前記送信部は、前記画面に対するユーザによる操作に応じた内容の情報を含むメールを、前記記憶部が記憶するアドレス情報を宛先として送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の機器。
【請求項5】
前記画面は、異常に対する対処要求の選択肢又は異常の種別に関する選択肢を含み、
前記送信部は、前記画面においてユーザによって選択された選択肢に応じた内容の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至いずれか一項記載の機器。
【請求項6】
情報処理装置とネットワークを介して接続する画像形成装置であって、
前記情報処理装置から送信されるアドレス情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信されたアドレス情報を記憶部に記憶する記憶処理部と、
異常が発生している他の機器から前記異常に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に係る異常を通知する表示、と、前記異常の解消方法を入力させる少なくとも1つの画面を表示し、前記取得部によって前記異常に関する情報を取得できない場合に、複数の異常に関して、前記機器において当該異常が発生した際に表示される画面の画像を表示する表示制御部と、
表示された画像の中からユーザによって選択された画像に対応する情報を、前記記憶部が記憶するアドレス情報を宛先として送信する送信部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記異常の解消方法を入力させる少なくとも1つの画面には、故障内容の選択手段、残量が所定値を下回った消耗品の選択手段、またはユーザによるテキスト入力手段のいずれかと、送信ボタンとをともに有することを特徴とする、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
情報処理装置と、前記情報処理装置にネットワークを介して接続する機器とを含む情報処理システムであって、
前記機器は、
前記情報処理装置から送信されるアドレス情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信されたアドレス情報を記憶部に記憶する記憶処理部と、
異常が発生している他の機器から前記異常に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に係る異常を通知する表示、と、前記異常の解消方法を入力させる少なくとも1つの画面を表示し、前記取得部によって前記異常に関する情報を取得できない場合に、複数の異常に関して、前記機器において当該異常が発生した際に表示される画面の画像を表示する表示制御部と、
表示された画像の中からユーザによって選択された画像に対応する情報を、前記記憶部が記憶するアドレス情報を宛先として送信する送信部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、前記機器に対して、前記画面で入力した情報の送信先を示す送信先アドレス、及び、送信元アドレスを設定する設定ツールを備え、
前記機器は、前記受信部と前記記憶処理部と前記表示制御部と前記送信部を含むとともに、前記画面で入力した情報を、前記設定ツールによって設定された前記送信先アドレスに対して、前記送信元アドレスを送信元として送信する、連絡用アプリケーションを備えることを特徴とする、請求項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器、画像形成装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置等の機器が、当該機器に設定された送信先に対して、当該機器内の情報(以下、「機器情報」という。)を送信する技術が開示されている。斯かる技術において、機器情報の送信先を、機器の保守サービスを提供するサービスマン等に設定することで、サービスマンは、機器の状況を監視することができる。その結果、機器の異常等の発生時において、ユーザは、円滑に機器の保守サービスを受けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来、機器の異常の発生に気付いたユーザが、サービスマン等に対して当該異常の発生や当該異常の内容等を簡易に通知するための仕組みは開示されていない。例えば、ユーザは、サービスマンに電話等をかけることで異常の発生等を通知することができるが、そのためにはサービスマンの連絡先を調べたり、異常の内容を詳細に伝えるための作業負担がユーザに発生してしまう。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、機器における異常の発生を簡易に通知可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置にネットワークを介して接続する機器は、前記情報処理装置から送信されるアドレス情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信されたアドレス情報を記憶部に記憶する記憶処理部と、異常が発生している他の機器から前記異常に関する情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した情報に係る異常を通知する表示、と、前記異常の解消方法を入力させる少なくとも1つの画面を表示し、前記取得部によって前記異常に関する情報を取得できない場合に、複数の異常に関して、前記機器において当該異常が発生した際に表示される画面の画像を表示する表示制御部と、表示された画像の中からユーザによって選択された画像に対応する情報を、前記記憶部が記憶するアドレス情報を宛先として送信する送信部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
機器における異常の発生を簡易に通知可能とすること。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態におけるシステム構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図3】第1の実施の形態における情報処理端末20のハードウェア構成例を示す図である
図4】第1の実施の形態における画像形成装置10の機能構成例を示す図である。
図5】第1の実施の形態において実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図6】設定情報入力画面の表示例を示す図である。
図7】異常情報に応じた画面の第1の表示例を示す図である。
図8】異常情報に応じた画面の第2の表示例を示す図である。
図9】メッセージ入力画面の表示例を示す図である。
図10】第2の実施の形態において異常が発生していない画像形成装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態におけるシステム構成例を示す図である。図1において、ユーザ環境E1は、インターネット等のネットワークを介して連絡先端末50に接続される。
【0009】
ユーザ環境E1は、オフィス、ビル、又は拠点等に設置された各画像形成装置10を接続するネットワーク環境である。ユーザ環境E1においては、画像形成装置10a及び画像形成装置10b等の1以上の画像形成装置10と、設定端末30とは、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない)を介して通信可能に接続されている。
【0010】
画像形成装置10は、印刷、スキャン、コピー、及びFAX送受信等のうちの二以上の機能を一台の筐体によって実現する複合機である。但し、いずれか一つの機能を単体で有する機器が画像形成装置10として用いられてもよい。機器のその他の例としては、ユーザの操作を受け付ける操作画面を有するまたは表示可能な機器であれば、電子黒板、遠隔会議装置、プロジェクタ、などのオフィス機器や、テレビ、冷蔵庫、洗濯機等家庭用電化製品などの電子機器であってもよい。
【0011】
設定端末30は、画像形成装置10に対するプログラムのインストール指示や、当該プログラムに関する設定情報の入力等をユーザから受け付けるためのプログラム(設定ツール31)を備えた端末である。例えば、PC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン又はタブレット端末等が、設定端末30として用いられてもよい。なお、設定端末30は、ユーザ環境E1に常設されている端末でなくてもよい。例えば、設定端末30は、画像形成装置10の保守を行うサービスマンによって持ち込まれてもよい。
【0012】
連絡先端末50は、ユーザ環境E1に設置された画像形成装置10の保守作業等を担当するサービスが、ユーザ環境E1の外部において利用する端末である。本実施の形態において、連絡先端末50は、画像形成装置10において異常が発生した際の連絡先として機能する。例えば、PC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン又はタブレット端末等が、連絡先端末50として用いられてもよい。
【0013】
図2は、第1の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
【0014】
コントローラ11は、画像形成装置10の本体におけるコンピュータ(情報処理装置)である。図2において、コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、及びNVRAM115等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM115には、各種の設定情報等が記憶される。
【0015】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ13は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記憶されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記憶されたプログラムだけでなく、SDカード80に記憶されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。なお、他の記録媒体(例えば、CD-ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)によってSDカード80が代替されてもよい。すなわち、SDカード80の位置付けに相当する記録媒体の種類は、所定のものに限定されない。この場合、SDカードスロット17は、記録媒体の種類に応じたハードウェアによって代替されればよい。
【0016】
コントローラ11には、また、情報処理端末20が接続される。情報処理端末20は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等のスマート端末であり、単独で完結した情報処理を実行可能な電子機器である。本実施の形態において、情報処理端末20は、画像形成装置10の操作部として機能する。コントローラ11と情報処理端末20とは、例えば、USBケーブル、近距離無線通信、又はLAN等の通信回線を介して接続される。なお、本実施の形態では、情報処理端末20も画像形成装置10の構成要素(画像形成装置10の一部)として説明するが、画像形成装置10の外部の装置として把握されてもよい。
【0017】
図3は、第1の実施の形態における情報処理端末20のハードウェア構成例を示す図である。図3において、情報処理端末20は、CPU201、メモリ202、補助記憶装置203、タッチパネル204、及び無線通信装置205等を有する。
【0018】
補助記憶装置203は、情報処理端末20にインストールされたプログラム等を記憶する。メモリ202は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置203からプログラムを読み出して記憶する。CPU201は、メモリ202に記憶されたプログラムに従って情報処理端末20に係る機能を実現する。
【0019】
タッチパネル204は、入力機能と表示機能との双方を備えた電子部品であり、情報の表示や、ユーザからの入力の受け付け等を行う。タッチパネル204は、表示装置211及び入力装置212等を含む。
【0020】
表示装置211は、液晶ディスプレイ等であり、タッチパネル204の表示機能を担う。入力装置212は、表示装置211に対する接触物の接触を検出するセンサを含む電子部品である。接触物の接触の検出方式は、静電方式、抵抗膜方式、又は光学方式等、公知の方式のいずれであってもよい。なお、接触物とは、タッチパネル204の接触面(表面)に接触する物体をいう。斯かる物体の一例として、ユーザの指や専用又は一般のペン等が挙げられる。
【0021】
無線通信装置205は、無線LAN(Local Area Network)又は移動体通信網等における通信を行うために必要とされるアンテナ等の電子部品である。但し、本実施の形態において、情報処理端末20は、無線通信装置205を有していなくてもよい。
【0022】
図4は、第1の実施の形態における画像形成装置10の機能構成例を示す図である。図4において、コントローラ11は、画像形成制御部121及び検出部122等を有する。これら各部は、コントローラ11にインストールされた1以上のプログラムが、CPU111に実行させる処理により実現される。
【0023】
画像形成制御部121は、画像形成処理(スキャナ12による画像の読み取りや、プリンタ13による印刷等)を制御する。検出部122は、画像形成処理に関する異常状態の発生を検出する。ここで、異常状態とは、例えば、処理が正常に実行されない状態(例えば、ジャムの発生等の障害(エラー又は故障等))や、近い時期に処理が正常に実行されなくなる可能性が高い状態等をいう。後者の状態として、トナー等の消耗品の消耗が所定量以上である状態(トナーニアエンドの状態等)が挙げられる。
【0024】
一方、情報処理端末20は、インストール部21を有する。インストール部21は、情報処理端末20にインストールされた1以上のプログラム(例えば、OS(Operating System))が、CPU201に実行させる処理により実現される。
【0025】
インストール部21は、設定端末30からの要求に応じ、情報処理端末20に対してアプリケーションプログラムをインストールする。本実施の形態において、インストール部21は、連絡アプリ22を情報処理端末20にインストールする。
【0026】
連絡アプリ22は、情報処理端末20を、設定受信部221、設定部222、情報取得部223、表示制御部224及び送信部225等として機能させるアプリケーションプログラムである。すなわち、情報処理端末20に連絡アプリ22がインストールされることにより、情報処理端末20は、設定受信部221、設定部222、情報取得部223、表示制御部224及び送信部225を有することになる。
【0027】
設定受信部221は、異常状態の発生の通知先のアドレス情報(メールアドレス)を含む設定情報の設定要求を受信する。本実施の形態では、連絡先端末50のアドレス情報が当該通知先とされる。
【0028】
設定部222は、設定受信部221が受信した設定要求に係る設定情報を設定記憶部23に記憶する。なお、設定記憶部23は、例えば、補助記憶装置203等を用いて実現可能である。
【0029】
情報取得部223は、異常状態に関する情報を検出部122から取得する。
【0030】
表示制御部224は、検出部122による異常状態の検出後に、当該異常状態に関する画面を表示する。
【0031】
送信部225は、ユーザによる当該画面の操作に応じた内容の情報を、設定部222によって記憶部に記憶された設定情報に含まれるアドレス情報を宛先として送信する。本実施の形態では、電子メール(以下、単に「メール」という。)によって当該情報が送信されるが、当該情報の送信のための通信プロトコルは所定のものに限定されない。
【0032】
以下、設定端末30及び画像形成装置10によって実行される処理手順について説明する。図5は、第1の実施の形態において実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0033】
ステップS101において、設定端末30のユーザである設定者が、画像形成装置10への連絡アプリ22のインストール指示を設定端末30に入力すると、設定端末30は、画像形成装置10に対して連絡アプリ22のインストール要求を送信する(S102)。設定者は、例えば、サービスマンであってもよい。また、インストール指示では、インストール先の画像形成装置10が指定される。また、設定端末30からのインストール要求には、連絡アプリ22の実体(インストールパッケージ等)が含まれてもよいし、連絡アプリ22のダウンロード先の識別情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator)等)が含まれてもよい。
【0034】
情報処理端末20のインストール部21は、インストール要求を受信すると、当該インストール要求において指定された連絡アプリ22を情報処理端末20にインストールする(S103)。この際、インストール部21は、当該インストール要求にインストールパッケージ等が含まれていれば、当該インストールパッケージに基づいて連絡アプリ22のインストールを行う。一方、当該インストール要求に連絡アプリ22の識別情報が含まれている場合、インストール部21は、当該識別情報に係るダウンロード先から連絡アプリ22をダウンロードして、当該連絡アプリ22を情報処理端末20にインストールする。連絡アプリ22が情報処理端末20にインストールされることで、情報処理端末20は、図4の設定受信部221、設定部222、情報取得部223、表示制御部224及び送信部225等として機能することが可能となる。
【0035】
なお、ステップS101~S103は、複数の画像形成装置10に対してまとめて実行されてもよい。すなわち、ステップS101におけるインストール指示では、複数の画像形成装置10がインストール先として指定されてもよい。この場合、設定端末30は、ステップS102において、指定された複数の画像形成装置10のそれぞれにインストール要求を送信してもよい。
【0036】
ステップS101~S103が実行された後、設定者が、連絡先端末50のメールアドレス等を含む設定情報を設定端末30に入力する(S111)。但し、設定情報の入力は、画像形成装置10側で行われてもよい。設定端末30への設定情報の入力は、例えば、設定ツール31が設定端末30に表示させる、図6に示されるような画面を介して行われてもよい。
【0037】
図6は、設定情報入力画面の表示例を示す図である。図6において、設定情報入力画面510は、エディットボックス511~513及びラジオボタン514等を含む。
【0038】
エディットボックス511は、送信先メールアドレス(連絡先端末50のメールアドレス)の入力を受け付けるための領域である。エディットボックス512は、送信元メールアドレスの入力を受け付けるための領域である。送信元メールアドレスは、ユーザ環境E1に対して1つであってもよいし、ユーザ環境E1の画像形成装置10ごとに異なっていてもよい。本実施の形態では、送信元メールアドレスがユーザ環境E1に対して1つである例について説明する。エディットボックス513は、顧客IDの入力を受け付けるための領域である。顧客IDとは、ユーザ環境E1に対して割り当てられた識別情報である。すなわち、サービスマンは、顧客IDに基づいて、各ユーザ環境E1(各顧客)を識別することができる。
【0039】
ラジオボタン514は、送信先メールアドレス、送信元メールアドレス及び顧客ID等の変更を機器側(すなわち、画像形成装置10側)で許可するか否かを選択させるためのラジオボタンであり、「禁止」及び「許可」を選択肢として含む。「禁止」は、機器側での設定変更の禁止に対応する選択肢である。「許可」は、機器側での設定変更の許可に対応する選択肢である。以下、ラジオボタン514において設定される情報を「設定変更許否情報」という。
【0040】
各領域に対して設定値が入力されてOKボタン515が押下されると、ステップS101が実行される。なお、設定情報の送信先(設定先)が1つの画像形成装置10に限定されない場合、設定情報入力画面510とは別に、設定先の画像形成装置10の識別情報(例えば、IPアドレス等)が入力されてもよい。
【0041】
続いて、設定端末30は、設定先として指定された1以上の画像形成装置10に対して、設定情報入力画面510に入力された送信先メールアドレス、送信元メールアドレス、顧客ID及び設定変更許否情報等を含む設定情報を送信する(S112)。すなわち、当該設定情報は、複数の画像形成装置10に対して送信されてもよい。この場合、ステップS113以降は、複数の画像形成装置10のそれぞれにおいて実行される。
【0042】
当該設定情報が、情報処理端末20の設定受信部221によって受信されると、設定部222は、当該設定情報を設定記憶部23に記憶する(S113)。
【0043】
以上で設定処理が終了する。図5におけるステップS121以降は、ステップS113とは非同期に実行される。
【0044】
その後、任意のタイミングで、画像形成装置10のコントローラ11の検出部122が、画像形成制御部121の処理に関して異常状態の発生を検出すると(S121)、検出部122は、当該異常状態に関する情報(以下、「異常情報」という。)を情報処理端末20の情報取得部223に通知する(S122)。例えば、異常情報には、故障の内容を示す情報又はトナーのニアエンド等の消耗品の消耗を示す情報等が含まれる。例えば、トナーのニアエンドを示す情報であれば、トナーの色(シアン、イエロー、マジェンタ、ブラック)ごとに、残量の割合が異常情報に含まれてもよい。
【0045】
続いて、表示制御部224は、当該異常情報に基づいて、異常情報に応じた画面を表示装置211に表示する(S123)。但し、表示制御部224は、異常情報が通知されたことを示すアイコンを表示装置211に表示してもよい。この場合、表示制御部224は、ユーザによってアイコンが選択された場合に当該異常情報に応じた画面を表示してもよい。
【0046】
図7は、異常情報に応じた画面の第1の表示例を示す図である。図7には、異常情報に応じた画面の一例としてトナー選択画面520が示されている。トナー選択画面520は、異常情報がトナーのニアエンドを示す情報である場合に表示される画面である。但し、トナー選択画面520は、異常情報が通知された場合に限らず、トナーの消耗状況の確認がユーザから要求された際に表示される画面であってもよい。
【0047】
図7において、トナー選択画面520は、トナーの色ごとのボタン521~524等を含む。各ボタンには、トナーの色と、当該色のトナーの残量の割合とが表示されている。ユーザは、各ボタンを、選択状態又は非選択状態に切り替えることができる。但し、図7では、ニアエンドに係る色(本実施の形態では、残量が10%以下である色)に対応するボタンのみが選択可能な状態とされている。すなわち、図7において、破線によって表現されているボタンは、グレーアウトされて操作不能な状態であるボタンである。但し、ニアエンドでない色の選択が可能とされてもよい。
【0048】
ユーザによって、ボタン521~524のうち選択可能なボタンであって、ユーザが注文を所望する色に対応する(ユーザが所望する対処に対応する)ボタンが選択され、注文ボタン526が押下されたことを表示制御部224が検知すると(S124)、ステップS125が実行される。ステップS125において、送信部225は、設定記憶部23に記憶されている送信先メールアドレスを宛先とし、送信元メールアドレスを送信元とするメールであって、ユーザによって選択されたボタンの色に対応するトナーの注文を本文とするメールを生成し、当該メールを送信先メールアドレスに送信する。なお、当該メールには、異常情報を含むファイルが添付されてもよい。また、当該メールには、設定記憶部23に記憶されている顧客IDが含められてもよい。
【0049】
なお、表示制御部224は、注文ボタン526が押下された日時を、例えば、補助記憶装置203等に記憶しておき、当該日時の履歴を注文履歴525として、トナー選択画面520に含めてもよい。
【0050】
また、図8は、異常情報に応じた画面の第2の表示例を示す図である。図7には、異常情報に応じた画面の一例として障害選択画面530が示されている。障害選択画面530は、異常情報が障害の発生を示す情報である場合に表示される画面である。
【0051】
図8において、障害選択画面530は、障害の種別(状況)ごとのボタン531~533を含む。ボタン531は、ジャムの発生に対応するボタンである。ボタン532は、ADF(Auto Document Feeder)が正常に動作しない状況に対応するボタンである。ボタン533は、その他の障害に対応するボタンである。なお、障害の種別は一例に過ぎない。他の障害に対応するボタンが障害選択画面530に配置されてもよい。
【0052】
ボタン531~533のうち、ユーザによって、現在発生中の障害に対応するボタンが選択されたこと(すなわち、異常を通知する表示に対するユーザの接触)を検知すると、表示制御部224は、メッセージ入力画面を表示装置211に表示する。
【0053】
図9は、メッセージ入力画面の表示例を示す図である。図9において、メッセージ入力画面540は、テキスト入力手段の一例としてのメッセージ入力領域541等を含む。メッセージ入力領域541は、障害について詳細な状況や異常の解消方法を示す文章(以下、単に「メッセージ」という。)の入力をユーザから受け付けるための領域である。メッセージ入力領域541に対してメッセージが入力され、メール送信ボタン542が押下されると(S124)、ステップS125が実行される。
【0054】
なお、トナー選択画面520及び障害選択画面530は、ユーザに異常を通知すると共に、異常の解消方法を入力させる画面の一例である。トナー選択画面520の、ボタン521~524は、残量が所定値を下回った消耗品の選択手段の一例である。障害選択画面530のボタン531~533は、故障内容の選択手段の一例である。また、メッセージ入力画面540は、異常の解消方法をユーザに入力させる画面の一例である。なお、異常情報がいかなる場合であっても、メッセージ入力画面540のみが表示されるようにしてもよい。すなわち、ユーザに異常を通知する表示、と、当該異常の解消方法を入力させる少なくとも1つの画面が表示されればよい。
【0055】
ステップS125において、送信部225は、設定記憶部23に記憶されている送信先メールアドレスを宛先とし、送信元メールアドレスを送信元とするメールであって、ユーザによって選択された障害の種別と、ユーザによって入力されたメッセージとを本文に含むメールを生成し、当該メールを送信先メールアドレスに送信する。なお、当該メールには、異常情報を含むファイルが添付されてもよい。この場合、異常情報には、障害に関する詳細な情報(例えば、内部のエラーコード等)が含まれてもよい。また、当該メールには、設定記憶部23に記憶されている顧客IDが含められてもよい。
【0056】
ステップS125において送信されたメールが連絡先装置において受信されると、サービスマンは、当該メールの内容に応じた保守作業を実施する。
【0057】
上述したように、第1の実施の形態によれば、画像形成装置10に異常が発生すると、ユーザに対して異常に関する選択肢を含む画面が画像形成装置10において表示され、ユーザが異常に対応する選択肢を選択すると、選択された内容に応じたメールが、予め設定された送信先メールアドレス宛に送信される。したがって、画像形成装置10における異常の発生を簡易に通知可能とすることができる。
【0058】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0059】
第2の実施の形態では、異常が発生した画像形成装置10(以下「画像形成装置10a」という。)において、異常情報に応じた画面の表示が行えず、その結果としてメールの送信が行えない状況が考慮される。すなわち、異常の発生時には、当該異常の原因を除去されないと情報処理端末20の表示装置211において画面遷移ができず、トナー選択画面520や障害選択画面530等の異常情報に応じた画面を表示できない場合も考えられる。
【0060】
第2の実施の形態では、このような場合、他の画像形成装置10(以下「画像形成装置10b」という。)が、異常情報に応じた画面の表示及びメールの送信を代行する。なお、画像形成装置10a及び画像形成装置10bの双方について、図5のステップS101~S103及びS111~S112は実行済みであるとする。
【0061】
図10は、第2の実施の形態において異常が発生していない画像形成装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。すなわち、図10は、画像形成装置10bが実行する処理手順を示す。なお、以下の説明において、画像形成装置10aの構成要素の符号の末尾には「a」を付し、画像形成装置10bの構成要素の符号の末尾には「b」を付す。
【0062】
例えば、画像形成装置10aに異常が発生し、画面遷移を実行できない場合、ユーザは、画像形成装置10bに移動し、画像形成装置10bの情報処理端末20の表示装置211に表示されている、連絡アプリ22のアイコンをクリックすることで、画像形成装置10bの情報処理端末20において連絡アプリ22を起動する。
【0063】
連絡アプリ22が起動されると、画像形成装置10bの情報取得部223bは、異常情報の取得先の画像形成装置10aの識別情報(例えば、ホスト名又はIPアドレス等)の入力をユーザから受け付ける(S201)。例えば、情報取得部223bが、当該識別情報の入力用の画面を表示装置211bに表示し、当該画面を介して当該識別情報の入力を受け付けてもよい。
【0064】
続いて、情報取得部223bは、入力された識別情報に係る画像形成装置10aからの異常情報の取得を実行する(S202)。例えば、情報取得部223bが情報取得部223aに対して異常情報の送信を要求してもよい。又は、情報取得部223bが、検出部122aから異常情報を取得してもよい。
【0065】
異常情報の取得に成功した場合(S203でYes)、ステップS204~S206において、図5のステップS123~S125と同様の処理が画像形成装置10bにおいて実行される。その結果、画像形成装置10bによって、画像形成装置10aの異常に関する異常情報に応じた画面の表示及びメールの送信が代行される。
【0066】
一方、何らかの理由により異常情報の取得に失敗した場合(S203でNo)、表示制御部224bは、異常の発生時に表示される画面の各候補の画像データを生成する(S211)。ここで、画像データの生成対象とされる画面は、全ての異常のそれぞれに対応する画面であってもよいし、一部の画面であってもよい。一部の画面の場合、発生頻度の高い異常に対応する画面が画像データの生成対象とされてもよい。なお、画像データは、例えば、サムネイル画像(縮小画像)であってもよい。
【0067】
続いて、表示制御部224bは、ステップS204において生成した複数の画像データが選択可能な状態で配列された画面(以下、「画像選択画面」という。)を表示装置211bに表示する(S212)。
【0068】
続いて、表示制御部224bは、表示した画像選択画面に配列された画像データの中から、画像形成装置10aにおいて現在表示されている画面(現在発生中の異常に関する画面)に類似又は一致する画像データの選択をユーザから受け付ける(S213)。この際、画像形成装置10aにおいて表示されている異常の識別番号(コード番号等)が、別途入力されてもよい。
【0069】
続いて、画像選択画面におけるメール送信ボタンがユーザによって押下されると、送信部225は、画像選択画面において選択された画像データに対応する異常に関する情報を含むメールを、設定記憶部23bに記憶されている送信先メールアドレス宛に送信する(S206)。異常の識別番号が入力された場合には、当該識別番号も当該メールに含められてもよい。また、選択された画像データが当該メールに添付されてもよい。更に、異常の発生元が画像形成装置10aであることを示す文字列が当該メールに含まれてもよい。その結果、画像形成装置10aから異常情報を取得できない場合であっても、サービスマンは、画像形成装置10aの異常の状況を或る程度把握することができる。
【0070】
上述したように、第2の実施の形態によれば、異常が発生した画像形成装置10において画面遷移を実行できない場合であっても、他の画像形成装置10を用いて当該異常に関するメールを送信することができる。したがって、画像形成装置10における異常の発生を簡易に通知可能とすることができる。
【0071】
なお、上記各実施の形態では、画像形成装置10が機器の一例である例について説明したが、プロジェクタ、電子黒板、又はテレビ会議システム等の他の機器に関して上記各実施の形態が適用されてもよい。
【0072】
なお、上記各実施の形態において、設定部222は、記憶処理部の一例である。設定記憶部23は、記憶部の一例である。情報取得部223は、取得部の一例である。設定端末30は、情報処理装置の一例である。ボタン521~524は、異常に対する対処要求に対応する選択肢の一例である。連絡アプリ22は、連絡用アプリケーションの一例である。送信先メールアドレスは、送信先アドレスの一例である。送信元メールアドレスは、送信元アドレスの一例である。画像形成装置10及び設定端末30は、情報処理システムの一例である。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
20 情報処理端末
21 インストール部
22 連絡アプリ
23 設定記憶部
30 設定端末
31 設定ツール
50 連絡先端末
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
115 NVRAM
121 画像形成制御部
122 検出部
201 CPU
202 メモリ
203 補助記憶装置
204 タッチパネル
205 無線通信装置
211 表示装置
212 入力装置
221 設定受信部
222 設定部
223 情報取得部
224 表示制御部
225 送信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【文献】特開2016-157370号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10