(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】シート処理装置、画像形成装置および画像システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/38 20060101AFI20220301BHJP
B65H 29/70 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B65H31/38
B65H29/70
(21)【出願番号】P 2018015543
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】森 雄太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳也
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 宏次郎
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-030596(JP,A)
【文献】特開2014-144859(JP,A)
【文献】特開2012-214278(JP,A)
【文献】特開2012-180193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B65H 29/54-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段により搬送された複数の前記シートを積載するシート積載手
段と、
前記シート積載手段上の前記シート束を排出する排出手段と、
前記シートの幅方向から、複数の前記シートからなるシート束の両側端部に当接
する第1及び第2の整合手段と、
前記第1及び第2の整合手段を、
前記シートの搬送方向に平行な回動軸まわりで
あって、かつ互いに反対方向に回転させる回転手段と、を備え、
前記第1及び第2の整合手段は、前記シートの搬送方向から見たときの形状がそ
れぞれコの字状であり、前記コの字状の開口部が対面するように配置されている
シート処理装置。
【請求項2】
前記回転手段は、
前記シート束を前記シートの搬送方向から見た場合に、前記シ
ート束が弓状になる第1の回転方向に、前記第1及び第2の整合手段を回転させ
る、請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記回転手段は、
複数の前記シートの積載が終了した後に、
前記シート束を前記
シートの搬送方向から見た場合に、前記シート束が矩形状になる前記
第1の回転
方向とは逆方向である第2の回転方向に、前記第1及び第2の整合手段を回転さ
せる、請求項
2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の整合手段は、
前記シートの幅方向から、前記矩形状になった
前記シート束の両側端部に当接する整合動作を行う、請求項
3に記載のシート処
理装置。
【請求項5】
前記回転手段は、前記シート束の整合が終了した後、
前記シート束を前記シート
の搬送方向から見た場合に前記シート束が弓状になるように、前記第1及び第2
の整合手段を前記第1の回転方向において回転させ、
前記排出手段は、弓状になった前記シート束を排出する、
請求項
2乃至4のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記回転手段が
前記第1及び第2の整合手段を回転させる角度は、前記シート積
載手段に前記シートを積載させるときと、前記シート積載手段
上の前記シート束
を排出させるときでは、異なる角度である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記回転手段が前記シート積載手段に前記シートを積載させるときに
前記第1及
び第2の整合手段を回転させる角度は、前記シート積載手段
上の前記シート束を
排出させるときの角度よりも小さい角度である、
請求項6に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記回転手段は、
前記シート積載手段に積載される前記シートの種別を示すシー
ト情報、または
前記シート積載手段に積載される前記シートの積載量に応じて当
該整合手段を回転させる角度を
変更できるように構成されている、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記回転手段が前記整合手段を回転させる角度は、ユーザが任意に設定できる、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記シート束に対する綴じ処理を行なう綴じ手段を備える、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記シートに画像を形成する画像形成装置と、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシート処理装置と、を備えた画像形成
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、画像形成装置および画像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタあるいはデジタル複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)などの画像形成装置によって画像を形成したシートを積載して綴じるなどの処理(後処理)を行うシート処理装置が知られている。シート処理装置は、画像形成装置から排出されるシートを積載トレイに一旦集積し、シートの搬送方向の端部、搬送方向に直交する方向の端部、のそれぞれを合わせる整合処理を行い、その後、金属針などを使用して積み上げられているシート束を綴じる処理(綴じ処理)を行う。
【0003】
従来のシート処理装置において、複数のシートを重ねた状態で搬送可能な搬送部ベルトを備える積載トレイに、シート積載時に突出させることで、シートを湾曲させた状態で積載させ、シートの座屈を防止するシート座屈防止手段を備えるものが知られている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシート処理装置によれば、シートを積載するときに、シートの断面形状が弓状になるように湾曲させることで、シートの座屈を防止できる。しかし、特許文献1のシート処理装置のように、積載時の座屈を防止しても、コシの弱いタイプや、シート間の密着度が強く貼り付き易いタイプを積載してシート束にした場合、このシート束を積載トレイから放出(搬送)するときの座屈を防止することは困難である。すなわち、従来のシート処理装置が備えるようなシート座屈防止手段では、シート束の搬送を十分にできなくなる、という課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、シートの積載時やシート束の搬送時における座屈を防止するシート処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るシート処理装置は、シートを搬送
するシート搬送手段と、前記シート搬送手段により搬送された複数の前記シート
を積載するシート積載手段と、前記シート積載手段上の前記シート束を排出する
排出手段と、前記シートの幅方向から、複数の前記シートからなるシート束の両
側端部に当接する第1及び第2の整合手段と、前記第1及び第2の整合手段を、
前記シートの搬送方向に平行な回動軸まわりであって、かつ互いに反対方向に回
転させる回転手段と、を備え、前記第1及び第2の整合手段は、前記シートの搬
送方向から見たときの形状がそれぞれコの字状であり、前記コの字状の開口部が
対面するように配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの積載時および搬送時のいずれにおいても座屈を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るシート処理装置および画像形成装置の実施形態を示すシステム構成図。
【
図2】上記実施形態に係る後処理装置が備えるシート積載トレイの構成を例示する斜視図。
【
図3】上記シート積載トレイの構成を例示する側面図。
【
図4】本実施形態に係るジョガーフェンスの例を示す図。
【
図5】上記ジョガーフェンスの回転動作の例を示す図。
【
図6】上記ジョガーフェンスの一連の動作の一部を示す図。
【
図7】上記ジョガーフェンスの一連の動作の他の一部を示す図。
【
図8】上記ジョガーフェンスの一連の動作の他の一部を示す図。
【
図9】上記ジョガーフェンスの回転角を設定する情報を入力する画面の例を示す図。
【
図10】上記ジョガーフェンスの動作の例を示す図。
【
図11】上記ジョガーフェンスの動作の別の例を示す図。
【
図12】上記ジョガーフェンスの動作のさらに別の例を示す図。
【
図13】上記ジョガーフェンスの動作のさらに別の例を示す図。
【
図14】上記実施形態に係る後処理雄装置の機能構成の例を示す図。
【
図15】上記実施形態に係る後処理雄装置に用いられるシート情報の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るシート処理装置、画像形成装置および画像システムの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係るシート処理装置の実施形態としての後処理装置PD、画像形成装置の実施形態としてのMFP(MFP:MultiFunction Peripheral)200、画像システムの実施形態としてのシステム300の全体構成を示している。なお、本発明に係る画像形成装置は、MFPに限定されるものではなく、産業用プリンタ(PP)でもよい。すなわち、本発明に係るシート処理装置は、画像形成装置の種別によって、その特徴が限定されるものではない。
【0011】
後処理装置PDは、MFP200の後段に設置されて用いられる。後処理装置PDは、MFP200が画像を形成して排出するシートSを受け入れて、当該シートSに対する所定の後処理を施す機能を備える。ここで後処理とは、シートSを積載して綴じる処理(ステイプル処理)や、積載したシートに綴じ用の穴をあける処理(パンチ処理)などをいう。後処理装置PDは、
図1に例示するようにMFP200に付属させて用いる。これ以外の用い方として、シート状の物を扱う他の機器に付属させることもできる。また、後処理装置PDは、その他の機器に付属させるのではなく、単独で用いることもできる。なお、後処理装置PDにおいて処理対象となるシートSは、普通紙やOHPシートなどのシート状のものであれば、その種類を問わない。後処理装置PDの詳細については、後述する。
【0012】
MFP200は、複写機、プリンタあるいはデジタル複合機などであって、画像を形成する方式として、電子写真方式、インクジェット方式、熱転写方式など、公知に属する全ての方式を採用することができる。MFP200は、画像形成データに基づいてシート状の媒体に画像を形成して排出する機能を備える。
【0013】
システム300は、後処理装置PDとMFP200を連係させて構成される画像システムの例である。システム300は、MFP200から排出されたシート(画像が形成されたシート)に対して、後処理装置PDにおける所定の後処理を施し、これらを排出するように動作する。システム300から排出されるものは、束状のシートが綴じられた状態、または、パンチ穴が形成された状態など、所定の後処理が施された状態になっている。
【0014】
次に、後処理装置PDについて詳細に説明する。
図1に示すように、後処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D、及び搬送路Hを備える。後処理装置PDは、シートSを上記の各搬送路を構成するシート搬送手段のうちの所定の経路を構成するシート搬送手段を用いて搬送し、シート積載や綴じ処理を施す等の後処理を行う装置である。後処理装置PDは、シートSの種類や積載量に関わらず、シートSを積載するときや、綴じ処理等を施した後のシート束SBに搬送させるとき等において、シートSの端部の整合を確実に行うことができ、また、シートSやシート束SBの座屈を防ぐこともできる。
【0015】
後処理装置PDが備える各搬送路について説明する。まず。搬送路Aは、MFP200から排出されたシートSが受け入れられる部分である。したがって、MFP200からのシートSは、まず、パンチユニット100を有する搬送路Aへと搬送される。
【0016】
搬送路Bは、搬送路Aを通過したシートSを上トレイ201へ導くための搬送路である。搬送路Cは、搬送路Aを通過したシートSをシフトトレイ202へ導く搬送路である。また、搬送路Dは、シートSを端面綴じ処理トレイFに導く搬送路である。搬送路Aからその他の搬送路(B、C、D)へのシートSの振り分けは、第一の分岐爪15及び第二の分岐爪16を所定の方向に回動することによって行われる。第一の分岐爪15及び第二の分岐爪16の動作とシートSの振り分けとの関係は後述する。
【0017】
後処理装置PDは、シートSに対して、各種の後処理を行えるように構成されている。後処理装置PDが行える後処理とは、例えば、パンチユニット100による穴あけ、ジョガーフェンス53及び端面綴じステープラS1によるシート揃えと端部綴じ、などである。また、その他にも、中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b及び中綴じステープラS2によるシート揃えと中綴じ、シフトトレイ202によるシートSの仕分け、折りプレート74及び折りローラ81による中折り等も行える。これら各種の後処理は、搬送路Aに続く搬送路B、C、Dを選択することにより行うことができる。また、搬送路Dは、シート収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には、端面綴じ処理トレイF、中綴じ処理トレイG、搬送路Hが設けられている。
【0018】
搬送路Aの入口近傍には、MFP200から受け入れるシートSを検出する入口センサ301が配置されている。入口センサ301の下流には、入口ローラ1、パンチユニット100、パンチかす収容部101、搬送ローラ2、第一の分岐爪15及び第二の分岐爪16が順次配置されている。第一の分岐爪15及び第二の分岐爪16は、ばねにより
図1の状態(初期状態)に保持されており、第一のソレノイド及び第二のソレノイドをONすることにより、それぞれ駆動されようになっている。
【0019】
入口センサ301としては、シートSの有無、受け入れたシートSの量(シートSの積載量)を検出するもののほか、シートSのサイズ及び厚さを検出するものを備えることもできる。なお、シートSのサイズや厚さを検出するセンサは、後処理装置PDから見て外部装置であるMFP200に備えることもできる。これらのセンサは、シートSのコシ(剛性)の強弱に関するデータ(シート情報)を取得するシートデータ取得部として機能する。また、シートSのコシの強弱に関するデータには、シートSのサイズ及び厚さだけでなく、シートSの材質も挙げることができる。シートSの材質は、後処理装置PD又はMFP200に備えられた操作パネルを用いて入力することができる。この場合、操作パネルもシートデータ取得部として機能する。
【0020】
第一の分岐爪15及び第二の分岐爪16は、第一のソレノイド及び第二のソレノイドのON/OFFを選択して、第一の分岐爪15及び第二の分岐爪16の回動位置の組み合わせを変える。この回動位置の組み合わせを変えることにより、搬送路Aから搬送路B、搬送路C、搬送路DへのシートSの振り分けを行うことができる。
【0021】
搬送路Aを通過したシートSを搬送路Bへ導く場合は、第一のソレノイドをOFF状態のままとして、第一の分岐爪15を
図1の状態(初期状態)に維持する。これにより、シートSは搬送ローラ3から排出ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
【0022】
搬送路Aを通過したシートSを搬送路Cへ導く場合は、
図1の状態から第一及び第二のソレノイドをON状態に切り替え、第一の分岐爪15は上方に、第二の分岐爪16は下方(第二の分岐爪16は上向きが初期状態)にそれぞれ回動した状態とする。これにより、シートSは、搬送ローラ5及び排出ローラ対6(6a、6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。シートSは、搬送路Aから搬送路Cへ搬送される過程で仕分けが行われる。
【0023】
シートSの仕分けは、シフト機構と、シフトトレイ昇降機構と、により行われる。シフト機構は、排出ローラ対6(6a、6b)と、戻しコロ13と、シート面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202をシートSの搬送方向に直交する方向に往復動させる。シフトトレイ昇降機構は、シフトトレイ202を昇降させる。
【0024】
搬送路Aを通過したシートSを搬送路Dへ導く場合は、第一の分岐爪15を駆動する第一のソレノイドをON、第二の分岐爪を駆動する第二のソレノイドをOFFとする。これにより、第一の分岐爪15は上方に回動し、第二の分岐爪16は上方に回動した状態となるので、シートSは搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれたシートSは、端面綴じ処理トレイFへ導かれ、整合及び端面綴じ等が施される。端面綴じ処理トレイFで整合及び端面綴じ等を施されたシートSは、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、または、折り等を施す中綴じ処理トレイGへ振り分けられる。
【0025】
シフトトレイ202に導かれる場合、シート束SBは、排出ローラ対6からシフトトレイ202に排出される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれたシート束SBは、中綴じ処理トレイGで折り処理及び綴じ処理を施され、搬送路Hを通って排出ローラ83から下トレイ203へ排出される。
【0026】
搬送路Dには、分岐爪17が配置され、搬送路Aを通過したシートSをシート収容部Eへ導けるようになっている。分岐爪17は、低荷重ばねにより
図1の状態に保持されており、搬送ローラ7によって搬送されるシートSの後端が分岐爪17を通過した後に、搬送ローラ9、10、ステープル排出ローラ11のうちの少なくとも1つ、例えば搬送ローラ9を逆転させる。搬送ローラ9を逆転させることにより、シートSをターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、シートSの搬送方向後端をシート収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次に導かれてくるシートSと重ね合せて搬送することが可能になる。
【0027】
また、この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せてシート束SBとして搬送することも可能である。なお、符号304は用紙をプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
【0028】
搬送路Dを通過したシートSについてシート端部揃え処理および端部綴じ処理を行う場合には、搬送路Dを通過したシートSをステープル排出ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導き、順次、端面綴じ処理トレイF上に積載する。端面綴じ処理トレイFに積載されたシートSは、1枚毎に叩きコロ12で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(シート搬送方向と直交する方向:幅方向とも称す)の整合が行われる。また、ジョブの切れ目において、後述するCPU_PD1からのステープル信号により綴じ手段としての端面綴じステープラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。なお、ジョブの切れ目とは、綴じ処理の対象となるシート束SB(シートSが積載された束)において、最終片となるシートSから次のシート束SBにおける先頭片のシートSが端面綴じ処理トレイFに搬送されるまでの間をいう。
【0029】
綴じ処理が行われたシート束SBは、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(
図2参照)により排出ローラ対6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排出される。
【0030】
なお、端面綴じステープラS1は、
図1に示すように、ステープル針を打ち出すステッチャ(ドライバ)S1aと、ステープル針の先端を折り曲げるクリンチャS1bとからなる。また、ステッチャS1aとクリンチャS1bとの間に形成される空間部S1cは、後端基準フェンス51が通り抜けることができる大きさになっている。この大きさにより、端面綴じステープラS1と後端基準フェンス51とが干渉することなく、端面綴じステープラS1を移動できる。端面綴じステープラS1は、中綴じステープラS2とは異なり、ステッチャS1aとクリンチャS1bとが一体となっている。
【0031】
ステッチャS1aは、シート面に対して垂直方向には移動せずに固定側として機能し、クリンチャS1bがシート面に対して垂直な方向に移動する移動側として機能している。これにより、シート束SBに対して綴じ動作を行う場合には、後端基準フェンス51のスタック面に当接したシート束SBの所定の被綴じ部分をクリンチャS1bがステッチャS1a側に移動し、その過程で綴じ動作が行われる。
【0032】
本実施形態に係る後処理装置PDにおいて本発明に係るシート処理装置の特徴を最も反映している点は、端面綴じ処理トレイFの構造にある。以下、端面綴じ処理トレイFの構造について詳細に説明する。
【0033】
すでに説明したとおり、
図1に示したステープル排出ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれたシートSは、順次、端面綴じ処理トレイFに積載される。このとき、叩きコロ12で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53にて横方向(シート幅方向)の整合が行われる。そして、端部が整合されたシートSからなるシート束SBに対して、ステープラS1により綴じ処理が行われる。
【0034】
後述するとおり、ジョガーフェンス53は、シートSの搬送方向を軸とする回転駆動機構(回転手段)を備える整合手段である。回転手段を備える整合手段であるジョガーフェンス53が、回転手段により所定の回転方向に回転した状態で端面綴じ処理トレイFにシートSが導かれる。また、シート束SBを放出するとき(端面綴じ処理トレイFからシート束SBを搬出するとき)にも、ジョガーフェンス53を所定の方向に回転させた状態にする。これらによって、シートSの積載時やシート束SBの放出時における、シートSおよびシート束SBを湾曲状態に保つ。シートSを湾曲させると、シートSのコシ(剛性)を高めることができるので、シートSの座屈を防止することができる。また、シートSを積載するときにシートS同士の密着を防止することもできるので、シートSの積載性を向上させることができる。シート束SBを湾曲させると、シート束SBのコシ(剛性)を高めることができるので、シート束SBの座屈を防止することができる。
【0035】
図2は、シートSを積載するシート積載手段の実施形態である端面綴じ処理トレイFを拡大した斜視図である。
図2に示すように端面綴じ処理トレイFは、シート積載トレイであって、シートSの搬送方向に直交する方向であってシートSの幅方向を整合するための一対のジョガーフェンス53が設置されている。また、端面綴じ処理トレイFは、シートSを搬入するときの先端側(積載されたシートSの後端側)に、シートSの端部を整合させるための後端基準フェンス51と、積載されたシート束SBに綴じ処理を施すステープラS1と、を備えている。なお、端面綴じ処理トレイFにおけるシートSの搬送方向とは、当該端面綴じ処理トレイFにシートSを搬入する方向と、当該端面綴じ処理トレイFからのシートSを搬出する方向を含む。以下、「端面綴じ処理トレイFにシートSを搬入する方向」を「搬入方向」とし、「端面綴じ処理トレイFからのシートSを搬出する方向」を「搬出方向」として表記する。
【0036】
ジョガーフェンス53は、シートSの幅方向の整合をするために一対からなる、第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bから構成される。第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bは、
図2に示すように、シートSの搬入方向および搬出方向におけるシートSの長さと同等かそれ以上の長さを有する長尺の部材から構成される。シートSの幅方向おける一方の端部側に位置する第一ジョガーフェンス53aと他方の端部側に位置する第二ジョガーフェンス53bが対向する空間にシートSが搬入されて積載され、シート束SBを形成する。
【0037】
第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bは、それぞれ独立した駆動源を備えている。すなわち第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bは、それぞれが備える駆動源が供給する駆動力を利用して、それぞれが独立した回転動作をするように構成されている。第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bの回転動作は、それぞれの長手方向の軸を回転軸とする動作になる。この回転動作は、お互いにおける反対方向への回転であって、所定の角度(回転角)の状態を保持する動作である。
【0038】
後端基準フェンス51は、シートSの幅方向のそれぞれの端部側に分かれて2箇所あり、駆動源を備え、シートSの搬送方向と直交する方向に動作可能な構成になっている。端面綴じ処理トレイFに搬入されたシートSに対する搬入方向の先端部分を整合させるために、先端ストッパ57a、57bがシートSの搬入方向後端側か先端側に向けてシートSを叩き、シートSの搬入方向の先端側を後端基準フェンス51に突き当てるようにする。後端基準フェンス51に突き当てられたシートSの端部は、これによって整合される。そして、整合されたシートSの束である「シート束SB」に対してステープラS1によりステープル処理が行われる。
【0039】
ステープラS1は、シートSの幅方向において、その位置を自由に設定できるように構成されている。したがってステープラS1は、所定の位置に移動してステープル処理を行い、シート束SBを幅方向の所定の位置で綴じることができる。なお、ステープル処理は複数回行われてもよい。
【0040】
上記のように端面綴じ処理トレイFに搬送されたシートSが、例えば、80gsm以下のもののように薄く、剛性が弱い(コシが弱い)ものの場合を例に説明する。このようなシートSは、ステープル排出ローラ11にて搬送されて端面綴じ処理トレイFへ誘導されるとき、または誘導されて後端基準フェンス51へ当接するまでの間において、シートS同士が密着して、「張り付き」や「座屈」が発生することがある。シートSに座屈等が発生すると、シート束SBを形成するための積載時に整合ミス(端部不揃え)の原因となる。そうすると、整合ミスの状態のままでシート束SBにステープル処理が行われるので、不揃のシート束SBが綴じられてしまう。
【0041】
図3は、端面綴じ処理トレイFを側面方向からみた図であって、一部の構成を省略したものである。
図3に示すように、綴じ処理後のシート束SBを、放出爪52aによって端面綴じ処理トレイFから搬出する際、シート束SBの幅方向の中央部分を放出爪52aによって持ち上げて、搬出方向に押し上げるようにする。このとき、シート束SBは、鋭角に立ち上がった端面綴じ処理トレイFの積載トレイの上を、搬出方向の先端部が排出ローラ対6(
図1参照)に至るまで押し上げられる。この動作において、シート束SBの剛性が弱い場合は、放出爪52aの近傍でシート束SBの搬出方向後端部が座屈してしまい、シート束SBの搬出方向先端が排出ローラ対6まで運ばれない場合がある。このように剛性が弱いシート束SBを端面綴じ処理トレイFから搬出する場合であっても、座屈が生じないように、本実施形態における端面綴じ処理トレイFは、以下のような特徴的な構成を備える。なお、放出爪52a、排出ローラ対6は、シート排出手段を構成する。
【0042】
図4および
図5は、端面綴じ処理トレイFが備える第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bと、これらを動作させる構成を図示したものである。
図4は、整合手段であるジョガーフェンス53(第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53b)がシートSまたはシート束SBを湾曲させない状態を例示している。
図5は、ジョガーフェンス53がシートSまたはシート束SBを湾曲させるように、所定の回転角で保持されている状態を例示している。
【0043】
図4に示すように、第一ジョガーフェンス53aは、シートSの搬送方向と平行な方向の軸531aを回転軸として、所定の角度をもって回転する構成として、第一回転手段Paを備えている。また、第二ジョガーフェンス53bは、シートSの搬送方向と平行な方向の軸531bを回転軸として、所定の角度をもって回転する構成として、第二回転手段Pbを備えている。
【0044】
第一回転手段Paは、第一ジョガーフェンス53aを回転動作させるための駆動力を供給するための第一ジョガー回転モータMaと、第一ジョガー回転モータMaからの駆動力を第一ジョガーフェンス53aに伝達するためギアGa1とギアGa2を備えている。ギアGa1は第一ジョガー回転モータMaの回転軸に取り付けられていて、ギアGa2は第一ジョガーフェンス53aの背面側(シートSが積載される面の反対面)に配置されている軸531aに取り付けられている。
【0045】
同様に、第二回転手段Pbは、第二ジョガーフェンス53bを回転動作させるための駆動力を供給するための第二ジョガー回転モータMbと、第二ジョガー回転モータMbからの駆動力を第二ジョガーフェンス53bに伝達するためギアGb1とギアGb2を備えている。ギアGb1は第二ジョガー回転モータMbの回転軸に取り付けられていて、ギアGb2は第二ジョガーフェンス53bの背面側(シートSが積載される面の反対面)に配置されている軸531bに取り付けられている。
【0046】
第一ジョガー回転モータMaと第二ジョガー回転モータMbは、それぞれ独立して回転するように制御される。第一ジョガー回転モータMaと第二ジョガー回転モータMbは、それぞれ回転角を制御可能な形式のモータであって、例えばステッピングモータや、エンコーダを内蔵する直流モータなどである。なお、第一ジョガー回転モータMaと第二ジョガー回転モータMbの形式は、回転角を制御可能なものであればよい。第一ジョガー回転モータMaと第二ジョガー回転モータMbの回転方向は互いに逆方向であって、
図5に例示するように、第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bは、互いに反対方向に回転し、所定の回転角で保持される。
【0047】
次に、整合手段であるジョガーフェンス53の回転動作について、
図6、
図7、
図8を用いて、より詳細に説明をする。
図6、
図7、
図8は、端面綴じ処理トレイFをステープラS1の方から見た状態を例示する図である。
【0048】
図6は、後処理装置PDにシートSが搬送された後の第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bの状態を例示している。後処理装置PDにシートが搬送された後、第一ジョガー回転モータMaおよび第二ジョガー回転モータMbは、それぞれが独立して、回転し、所定の回転角を保持する。これによって、第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bは、各々の任意の角度で回転した状態で待機状態になる。
【0049】
その後、ステープル排出ローラ11により、シートSが端綴じ処理トレイFへ導かれる。端綴じ処理トレイFへ搬入されたシートSは、任意の角度で保持された状態の第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bの間の空間に搬送される。このとき、第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bはそれぞれ、端綴じ処理トレイFにおける内側の端部側が、非回転時よりも高い状態になっている。言い換えると、第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bはそれぞれ、シートSの幅方向の内側の端部が持ち上がった状態で保持されている。この状態の第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bは、内側の端部が外側よりも高い状態になっているので、シートSは、幅方向の断面形状が弓状になる状態で搬入されて積載される。このようにして端綴じ処理トレイFに積載されるシートSは、幅方向の中央部分から外側に向かって弓形に湾曲した状態になる。端綴じ処理トレイFにシートSが搬入されて積載されるときの第一ジョガーフェンス53aおよび第二ジョガーフェンス53bの回転角度を「第一の角度」とする。
【0050】
第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bが第一の角度で保持された状態において、端綴じ処理トレイFにシートSを搬入すると、シートSの剛性が低くても、すでに積載されている他のシートSとの吸着や、端綴じ処理トレイFへの搬入途中での座屈を防止することができる。したがって、ジョガーフェンス53を第一の角度にした状態で端綴じ処理トレイFにシートSが搬入されるようにすることで、シートSを後端基準フェンス51まで確実に落とすことができ、シートSの搬送方向の整合を確実に行うことができる。すなわち、積載性を高めることができる。
【0051】
端綴じ処理トレイFへのシートSの積載が終了した後は、
図7に示すように、第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bを第一の角度から戻して非回転時の状態にする。これによって、シート束SBは湾曲状態から平坦状態になり、幅方向の断面形状が略矩形状になる。その後、第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bをシート束SBの幅方向と同じ方向に移動させて、シート束SBの幅方向の端部の整合を行う。シート束SBの整合後、ステープラS1にてシート束SBの綴じ動作を実施する。
【0052】
シート束SBを綴じた後、
図8に示すように、第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bを、再度回転させる。この場合の回転角度は「第二の角度」とする。第一ジョガーフェンス53aと第二ジョガーフェンス53bが第二の角度で回転した状態になると、シート束SBが湾曲する。湾曲した状態のシート束SBの長さ方向の端部を放出爪52aにより持ち上げながら搬出方向に向けて押し出す。これによってシート束SBの後端中央部を持ち上げながら搬送し、シート束SBの先端部を排出ローラ対6にまで押し上げるように搬送する。
【0053】
「第一の角度」と「第二の角度」は、それぞれ独立して設定することができる。例えば、後処理装置PDが備える操作パネルPR1に表示されるユーザインターフェースを介して、ユーザまたはメンテナンス要員が任意に設定し、指定可能に構成されている。
図9は、操作パネルPR1に表示される入力画面の例である。
図9に示すように、ジョガーフェンス53の回転角を任意に設定することができる。この場合、「第一の角度」と「第二の角度」は個別に設定でき、また、シートSの種類や、シートSの積載量(シート束SBの厚さ)、すなわち、綴じ枚数に応じて、最適な角度を区別して設定できる。
【0054】
なお、シートSを搬入して積載するときよりも、シート束SBを搬出するとき方が座屈の発生確率が高くなりやすい。したがって、ジョガーフェンス53の回転角は、「第一の角度」よりも「第二の角度」を大きくする。これによって、シート束SBの幅方向の湾曲度合いがより大きくなり、搬出時の座屈防止の効果を高めることができる。
【0055】
また、シートSまたはシート束SBの座屈は、シートSが薄紙コート紙等の剛性が低いものにおいて顕著に発生する。したがって、シートSが薄い素材の場合は、厚みのある素材を積載するときに比べて「第一の角度」と「第二の角度」はそれぞれ大きく設定する方が望ましい。また、シートSの種類が、例えばコート紙であれば同様に「第一の角度」と「第二の角度」の回転量を大きく設定すればよい。さらに、シートSの綴じ枚数が多い場合は、シート束SBの剛性は高くなるので、このような場合であれば、ジョガーフェンス53の回転角を小さくするように設定してもよい。
【0056】
なお、操作パネルPR1を用いた「第一の角度」および「第二の角度」の設定は、ユーザが自ら行ってもよいし、専門の担当者のみが行うようにしてもよい。
【0057】
シートSの種類や綴じ量(シートSの積載枚数)の組み合わせが複数想定できる場合であれば、各組み合わせにおいて最適な「第一の角度」と「第二の角度」を指定する情報を「シート情報」として、後処理装置PDが備える記憶手段に記憶させておいてもよい。
【0058】
ここで、後処理装置PDにおいて、ジョガーフェンス53の回転角を上記のように制御するための機能構成の例について
図14を用いて説明する。
図14に示すように、後処理装置PDは、CPU_PD1と、I/O(インタフェース)PD2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路(制御部)を備えている。CPU_PD1には、MFP200のCPUあるいは操作パネルPR1の各スイッチ等、および各センサからの信号が通信インタフェースPD3を介して入力され、CPU_PD1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。これら各センサによって、シートSの積載量や、シートSの種類など、シート情報に相当するデータを取得できる。
【0059】
また、CPU_PD1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及び第一ジョガー回転モータMaと第二ジョガー回転モータMbを含む複数のモータの駆動を制御し、インタフェースから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/OインタフェースPD2を介してモータドライバによって各モータの駆動制御を行い、センサからのセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、ROMに格納されたプログラムコードをCPU_PD1が読み込んでRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。なお、シート情報は、ROMに予め格納されていてもよいし、操作パネルPR1を介してRAMに格納されてもよい。
【0060】
また、後処理装置PDの動作制御を、MFP200のCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行してもよい。この場合、ユーザの操作指示は、MFP200の操作パネルPR1から行われ、MFP200と操作パネルPR1は通信インタフェースPR2を介して相互に接続されている。これにより、MFP200からは後処理装置PDへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、後処理装置PDの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザに通知される。
【0061】
次に、シート情報について説明する。
図15は、シート情報の例である。
図15に示すようにシート情報は、シートSの種別である「シート種別」と、シートSの積載枚数(シート束SBの厚み)を示す「積載量」と、ジョガーフェンス53を所定の角度で回転させて保持する第一の角度を規定する「第一の回転量」と、第二の角度を規定する「第二の回転量」と、が関連付けられて保持されるデータ群である。すでに説明したとおり、後処理装置PDが備えるセンサにおいて検知されるシートSの種別や量、または、後処理装置PDにシートSを搬送するMFP200から通知されるシートSの種別や量に基づいて、シート情報群の中から該当する「第一の回転量」と「第二の回転量」が特定される。この特定された情報に基づいて、ジョガーフェンス53における「第一の角度」と「第二の角度」が設定される。設定された「第一の角度」および「第二の角度」に基づいて、ジョガーフェンス53を所定のタイミングで適宜回転させて保持する。なお、
図15に例示した「第一の回転量」と「第二の回転量」における「大/中/小」は、絶対的な角度を一義的に示すものではなく、相対的な関係を例示しているものである。したがって、シート種別「薄紙コート紙」における第一の回転量の「中」と、「コート紙」の「中」が同じ角度に当たることを限定するものではない。
【0062】
次に、ジョガーフェンス53に対して設定される様々な回転角の例について
図10乃至
図13を用いて説明する。
図10は、例えば、シート種別が「コート紙」であって、さらに「薄紙」など剛性が弱い場合における「第一の角度」でジョガーフェンス53が保持される例である。
図10に例示した「第一の角度」を角度α1とする。
図11は、例えば、シート種別が「コート紙」であって、さらに「薄紙」など剛性が弱い場合の「第二の角度」でジョガーフェンス53が保持される例である。
図11に例示した「第二の角度」を角度α2とする。
【0063】
図12は、例えば、積載量が多い場合の「第一の角度」でジョガーフェンス53が保持される例である。
図12に例示した「第一の角度」を角度β1とする。
図13は、例えば、積載量が多い場合の「第二の角度」でジョガーフェンス53が保持される例である。
図13に例示した「第二の角度」を角度β2とする。
【0064】
上記に例示したように、シートSの種別や、シートSの積載量に基づいてジョガーフェンス53の回転角を調整して保持する。ここで、上記に例示した各角度の関係は、例えば、角度β1<角度β2<角度α1<角度α2である。すなわち、シートSの剛性が低くければ(コシが弱いものであれば)、ジョガーフェンス53の回転角を大きくすることで、シートSの湾曲度合いを大きくして剛性と高める。これによって、密着しやすく、座屈しやすいようなタイプのシートSであっても、積載時の密着と座屈を防ぎながら確実に積載させて整合させることができる。したがって、積載性を高めることができる。なお、この場合、綴じた後のシート束SBの座屈を防ぎつつ、搬出することもできる。
【0065】
また、シートSの積載量が大きければ、自ずとシート束SBの剛性は高まるので、ジョガーフェンス53の回転角を小さくし、シート束SBの湾曲度合いを小さくしても、搬出時の座屈などを防止することができる。
【0066】
以上のとおり、本実施形態に係る後処理装置PDによれば、搬入されて積載されるシートSの種別や積載量に基づいて、整合性を向上させ、また、座屈を防止する最適な状態にすることができる。これによって、シートSの積載性を向上させ、シート束SBを高い整合性をもって綴じ、これを適切に搬出させることができる。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施形態の例に基づき具体的に説明した。本発明は、上記の実施形態を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 入口ローラ
6 排出ローラ対
51 後端基準フェンス
52 放出ベルト
52a 放出爪
53 ジョガーフェンス
53a 第一ジョガーフェンス
53b 第二ジョガーフェンス
83 排出ローラ
200 MFP
300 システム
Pa 第一回転手段
Pb 第二回転手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】