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特許7031390画像処理装置、印刷可能範囲検知方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】画像処理装置、印刷可能範囲検知方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/16 20060101AFI20220301BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220301BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20220301BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B41J21/16
B41J29/38 601
B41J29/46 Z
G03G21/00 370
G03G21/00 386
G03G21/00 500
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018045350
(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公開番号】P2019155721
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 茂
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132087(JP,A)
【文献】特開2016-150491(JP,A)
【文献】特開2006-306062(JP,A)
【文献】特開2015-024505(JP,A)
【文献】特開2009-274218(JP,A)
【文献】特開2007-313717(JP,A)
【文献】特開2005-045644(JP,A)
【文献】特開2014-028439(JP,A)
【文献】特開2002-264426(JP,A)
【文献】特開2018-008467(JP,A)
【文献】特開平04-344666(JP,A)
【文献】特開平06-320705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0169438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01
B41J 5/00
B41J 21/00
B41J 29/00
G06F 3/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に付された印刷可能範囲を規定するマーカを検知するスキャンを実行するマーカ検知実行部と、
前記マーカ検知実行部により前記記録媒体上に付されたマーカの検知があった場合に、前記記録媒体の残りの範囲に対する追加スキャンを実行する追加スキャン実行部と、
前記追加スキャン実行部による追加スキャンによってマーカを検知した場合、マーカの検知エラーと判定するマーカ検知エラー判定部と、
前記追加スキャン実行部による追加スキャンによってマーカを検知しなかった場合、検知したマーカに基づいて印刷可能範囲を確定し、印刷を実行する印刷実行部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記追加スキャン実行部におけるマーカの検知精度は、前記マーカ検知実行部におけるマーカの検知精度に比べて低い、
ことを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記追加スキャン実行部における前記記録媒体に対するスキャン速度は、前記マーカ検知実行部におけるスキャン速度よりも高速である、
ことを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記追加スキャン実行部における前記記録媒体の搬送速度は、前記マーカ検知実行部における搬送速度よりも高速である、
ことを特徴とする請求項またはに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記マーカ検知エラー判定部は、マーカを再び検知した場合であっても、再び検知した複数のマーカがマーカを検出するセンサが備えられたキャリッジの主走査方向に対して平行に位置していない場合は、マーカの検知エラーと判定しない、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記マーカ検知実行部によりマーカを検知した後、前記記録媒体の残りの搬送距離に従って、前記追加スキャン実行部における追加スキャンのパラメータを変更する追加スキャンパラメータ設定部を備える、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記追加スキャン実行部による追加スキャンによってマーカを検知した場合、マーカの検知エラー発生を報知するメッセージ表示制御部を備える、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
マーカの検知エラー発生の通知として、マーカを何箇所検出したのかを通知するとともに、ユーザに対して何箇所目をマーカとして認識させるかの入力を促すメッセージを報知するメッセージ表示制御部を更に備える、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
記録媒体上の印刷可能範囲を規定するマーカに基づく位置に印刷を行う画像処理装置における印刷可能範囲検知方法であって、
前記マーカを検知するスキャンを実行するマーカ検知実行工程と、
前記マーカ検知実行工程により前記記録媒体上に付されたマーカの検知があった場合に、前記記録媒体の残りの範囲に対する追加スキャンを実行する追加スキャン実行工程と、
前記追加スキャン実行工程による追加スキャンによってマーカを検知した場合、マーカの検知エラーと判定するマーカ検知エラー判定工程と、
前記追加スキャン実行工程による追加スキャンによってマーカを検知しなかった場合、検知したマーカに基づいて印刷可能範囲を確定し、印刷を実行する印刷実行工程と、
を含むことを特徴とする印刷可能範囲検知方法。
【請求項10】
コンピュータを、
記録媒体上に付された印刷可能範囲を規定するマーカを検知するスキャンを実行するマーカ検知実行部と、
前記マーカ検知実行部により前記記録媒体上に付されたマーカの検知があった場合に、前記記録媒体の残りの範囲に対する追加スキャンを実行する追加スキャン実行部と、
前記追加スキャン実行部による追加スキャンによってマーカを検知した場合、マーカの検知エラーと判定するマーカ検知エラー判定部と、
前記追加スキャン実行部による追加スキャンによってマーカを検知しなかった場合、検知したマーカに基づいて印刷可能範囲を確定し、印刷を実行する印刷実行部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、印刷可能範囲検知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被印刷材(記録媒体)である布地(Tシャツ等の加工品を含む)に対して画像を印刷するインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
特許文献1には、被印刷材上の所望の印刷場所の先端辺の両端にマーカを付し、印刷に先立ってこのマーカをセンサで検知し、印刷サイズと印刷場所とを判断して所望の位置に所望のサイズで画像を印刷するプリンタが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術によれば、被印刷材上のマーカをセンサで検知する際に、マーカではないものをマーカとして誤検知してしまうおそれがある。このようなマーカの誤検知が有った場合、プリンタは、印刷サイズおよび印刷場所を誤った画像印刷を実行してしまう、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、被印刷材(記録媒体)上のマーカが正しく検知できていないことを判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録媒体上の印刷可能範囲を規定するマーカを検知するスキャンを実行するマーカ検知実行部と、前記マーカ検知実行部により前記記録媒体上に付されたマーカの検知があった場合に、前記記録媒体の残りの範囲に対する追加スキャンを実行する追加スキャン実行部と、前記追加スキャン実行部による追加スキャンによってマーカを検知した場合、マーカの検知エラーと判定するマーカ検知エラー判定部と、前記追加スキャン実行部による追加スキャンによってマーカを検知しなかった場合、検知したマーカに基づいて印刷可能範囲を確定し、印刷を実行する印刷実行部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被印刷材(記録媒体)上のマーカが正しく検知できていないことを判定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる印刷装置を示す外観斜視図である。
図2図2は、印刷装置を示す分解斜視図である。
図3図3は、印刷手段および搬送手段の構成を示す図である。
図4図4は、印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図5は、印刷制御部の機能を示す機能ブロック図である。
図6図6は、マーカ検知実行部および追加スキャン実行部による動作を概略的に示す図である。
図7図7は、操作パネルの一例を示す正面図である。
図8図8は、マーカ検知エラー判定部によるエラー検知例を示す図である。
図9図9は、印刷可能範囲の一例を示す図である。
図10図10は、印刷制御部における電源ON時の動作の流れを概略的に示す図である。
図11図11は、印刷制御部におけるジョブ投入時の動作の流れを概略的に示す図である。
図12図12は、印刷制御部による印刷処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図13図13は、プリンタドライバのダイアログボックスの一例を示す正面図である。
図14図14は、第2の実施の形態にかかる印刷制御部によるエラー判定処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図15図15は、第3の実施の形態の印刷制御部の機能を示す機能ブロック図である。
図16図16は、印刷制御部による印刷処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図17図17は、第4の実施の形態にかかる印刷制御部による印刷処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図18図18は、メッセージ表示の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像処理装置、印刷可能範囲検知方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
ここで、図1は第1の実施の形態にかかる印刷装置1を示す外観斜視図、図2は印刷装置1を示す分解斜視図である。印刷装置1は、被印刷材(記録媒体)である布地400(図6参照)に画像を付与する画像処理装置である。図1および図2に示すように、印刷装置1は、装置本体100内に、画像が付与される(印刷される)布地400(図6参照)を保持するトレイであるカセット200を着脱可能に保持して進退移動する受け部材であるステージ111と、ステージ111で保持されたカセット200に保持されている布地400に印刷する印刷手段112(図3参照)とを備えている。
【0011】
また、印刷装置1は、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル104を備えている。
【0012】
カセット200は、ベース部材であるカセットベース201と、布地400の印刷が施される部分を平坦な状態で保持するプラテン部材300とを有している。
【0013】
なお、布地400としては、ハンカチ、タオルなどの一枚の布地で形成されるものだけではなく、Tシャツ、トレーナーなどの衣服として加工された布地、トートバック等の製品の一部となっている布地にも用いることができる。
【0014】
また、布地400には、2つのマーカM(マーカやシール)(図6参照)を布地400の印刷可能範囲となる右端および左端に付されている。また、これらの2つのマーカMは、矢印B方向(主走査方向)に対して平行に配置される。
【0015】
ステージ111は、搬送手段113上に設けられ、装置本体100に対して矢印A方向(副走査方向)に移動可能に保持される。
【0016】
ここで、図3は印刷手段112および搬送手段113の構成を示す図である。図3に示すように、印刷手段112は、ステージ111に対して矢印B方向(主走査方向)に移動するキャリッジ121と、キャリッジ121に搭載された記録ヘッド122とを備えている。
【0017】
キャリッジ121は、矢印B方向(主走査方向)に沿って配置されたガイド部材123で移動可能に保持される。キャリッジ121は、主走査モータ124によって回転駆動する駆動プーリ126と従動プーリ127間に渡したタイミングベルト125を介して矢印B方向(主走査方向)に往復移動される。
【0018】
また、キャリッジ121は、布地400上の2つのマーカMのセンシングを行うレジストセンサ(光学センサ)162(図4参照)を搭載する。
【0019】
記録ヘッド122は、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する4個の液吐出ヘッドから成る。記録ヘッド122は、複数のインク吐出口(ノズル)を形成したノズル面のノズル列を矢印B方向(主走査方向)と直交する方向(矢印A方向(副走査方向))に配列し、インク吐出口方向を下方に向けて装着している。
【0020】
なお、記録ヘッド122は、色毎に独立した液滴吐出ヘッドを用いているが、これに限るものではない。例えば、記録ヘッド122は、各色の記録液の液滴を吐出する複数のノズル列を有する1または複数のヘッドを用いる構成とすることもできる。また、色の数および配列順序は、これに限るものではない。
【0021】
記録ヘッド122としては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0022】
また、印刷手段112は、スリットを形成したエンコーダスケール128を主走査方向に沿って設けている。キャリッジ121は、エンコーダスケール128のスリットを検出するエンコーダセンサ129を備える。エンコーダスケール128およびエンコーダセンサ129は、キャリッジ121の矢印B方向(主走査方向)の位置を検知するためのリニアエンコーダを構成する。
【0023】
搬送手段113は、カセット200を着脱可能に保持するステージ111を搬送ローラ136とテンションローラ137との間に掛け渡し、矢印A方向(副走査方向方向)に水平に進退移動させる。搬送ローラ136は、副走査モータ130によって回転駆動する搬送ローラプーリ132を備える。そして、搬送手段113は、副走査モータ130によって回転駆動する搬送駆動プーリ131と搬送ローラプーリ132間に渡したタイミングベルト133を介して矢印A方向(副走査方向)にステージ111を往復移動する。
【0024】
搬送手段113は、スリットを形成したエンコーダホイール134を搬送ローラプーリ132と同軸に設けている。また、搬送手段113は、エンコーダホイール134のスリットを検出するエンコーダセンサ135を設けている。エンコーダホイール134およびエンコーダセンサ135は、ステージ111の矢印A方向(副走査方向)の位置を検知するためのホイールエンコーダを構成する。
【0025】
また、搬送手段113は、ステージ111を昇降させる昇降モータを含む昇降部140(図4参照)と、昇降部140で昇降したステージ111(カセット200)の位置を検出するLEDセンサ141(図4参照)とを備える。
【0026】
次に、印刷装置1のハードウェア構成について説明する。ここで、図4は印刷装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、印刷装置1は、装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)150を備えている。印刷装置1は、CPU150に対して、ROM(Read Only Memory)151と、RAM(Random Access Memory)152と、不揮発性メモリ(NVRAM:Non-Volatile RAM)153と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)154とを接続する。また、印刷装置1は、CPU150に対して操作パネル104を接続する。
【0027】
ROM151は、CPU150が実行するプログラム、その他の固定データを格納する。RAM152は、画像データ等を一時格納する。不揮発性メモリ153は、印刷装置1の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能なメモリである。ASIC154は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0028】
また、印刷装置1は、ホストI/F155と、印刷制御部156と、主走査モータ駆動部157と、副走査モータ駆動部158と、ギャップ調整部159と、I/O160とを備えている。
【0029】
ホストI/F155は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行う。具体的には、ホストI/F155は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホストのプリンタドライバが生成した印刷データ等をケーブル或いはネットワークを介して受信する。
【0030】
印刷制御部156は、記録ヘッド122を駆動するための駆動波形を生成するとともに、記録ヘッド122の圧力発生手段を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ161に出力する。
【0031】
印刷制御部156は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ構成となっている。印刷制御部156は、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することによって所望の機能を発揮する。
【0032】
本実施の形態の印刷制御部156のCPUが実行するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0033】
さらに、本実施の形態の印刷制御部156のCPUが実行するプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の印刷制御部156のCPUが実行するプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0034】
主走査モータ駆動部157は、主走査モータ124を駆動する。副走査モータ駆動部158は、副走査モータ130を駆動する。ギャップ調整部159は、昇降部140で昇降したステージ111(カセット200)を上下駆動し、昇降部140で昇降したステージ111(カセット200)の高さ位置をLEDセンサ141で検出して高さ調整を行う。
【0035】
I/O160は、リニアエンコーダ、ホイールエンコーダからの検出パルス、及びその他の各種センサ(レジストセンサ162など)からの検知信号を入力する。
【0036】
ここで、印刷装置1における印刷制御処理の概略について説明する。
【0037】
印刷装置1のCPU150は、ホストI/F155の受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC154にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って印刷制御部156に転送する。
【0038】
印刷制御部156は、所要のタイミングでヘッドドライバ161に画像データや駆動波形を出力する。より詳細には、印刷制御部156は、ROM151に格納されてCPU150で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換して増幅することにより、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成する。
【0039】
なお、画像出力するための画像データ(ドットパターンデータ)の生成は、例えばROM151にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開して印刷装置1に転送するようにしても良い。本実施の形態では、プリンタドライバで行うものとする。
【0040】
ヘッドドライバ161は、シリアルに入力される記録ヘッド122の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて、印刷制御部156から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド122の圧力発生手段に対して印加することにより、記録ヘッド122を駆動する。
【0041】
なお、ヘッドドライバ161は、例えば、クロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッド122の圧力発生手段に印加する。
【0042】
次に、印刷制御部156の機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の印刷制御部156が発揮する特徴的な機能について詳述する。
【0043】
ここで、図5は印刷制御部156の機能を示す機能ブロック図である。図5に示すように、印刷制御部156は、印刷実行部181と、マーカ検知制御部182と、を備える。マーカ検知制御部182は、マーカ検知実行部183と、追加スキャン実行部184と、マーカ検知エラー判定部185と、メッセージ表示制御部186と、を備える。
【0044】
マーカ検知実行部183は、布地400上に付された印刷可能範囲を規定する2つのマーカMを検知するスキャンを実行する。より詳細には、マーカ検知実行部183は、ステージ111(カセット200)の搬送(副走査方向)、キャリッジ121の走査(主走査方向)、キャリッジ121に搭載されたレジストセンサ162を制御して、ステージ111(カセット200)の一方側からステージ111(カセット200)の全幅のスキャンと、Nmm(Nは任意)ずつのステージ111(カセット200)の搬送を繰り返し、キャリッジ121に搭載したレジストセンサ162で布地400上に付された2つのマーカMを検知する。
【0045】
追加スキャン実行部184は、マーカ検知実行部183により布地400上に付された2つのマーカMの検知があった場合に、すぐに印字を始めずに、追加スキャンを実行して布地400の残りの範囲をチェックする。
【0046】
追加スキャンは、マーカ検知実行部183によるマーカMの検知時とは異なる動作を行うものとする。本実施の形態においては、マーカ検知実行部183によるマーカMの検知時とは、例えばキャリッジ121の走査速度、ステージ111(カセット200)の所定時間あたりの搬送距離が異なる。
【0047】
ここで、図6はマーカ検知実行部183および追加スキャン実行部184による動作を概略的に示す図である。マーカ検知実行部183によるマーカMの検知における動作モードは、マーカMを100%検知できる精度が求められる。マーカ検知実行部183によるマーカMの検知における動作モードは、検知精度が高い詳細モードとする。また、追加スキャン実行部184による追加スキャンにおける動作モードは、マーカMの検知精度を100%未満の精度に落とす代わりに、検知速度を速くすることが求められる。追加スキャン実行部184による追加スキャンにおける動作モードは、検知精度が低いラフなラフモードとする。それぞれのモードの動作概要は、下記の通りである。
詳細モード:スキャンA(キャリッジ121の走査速度が遅い)
搬送A(ステージ111の所定時間あたりの搬送距離が短い)
ラフモード:スキャンB(キャリッジ121の走査速度が速い)
搬送B(ステージ111の所定時間あたりの搬送距離が長い)
【0048】
なお、追加スキャン実行部184による追加スキャンの実行要否は、操作パネル104を介してユーザが選択可能にしてもよい。ここで、図7は操作パネル104の一例を示す正面図である。図7に示すように、操作パネル104は、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能を有効または無効にするためのモードが用意されている。ユーザは、当該モードへ移行し、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能の有効または無効を選択することが可能である。
【0049】
図7に示すように、操作パネル104は、OKボタンB1と、CAボタンB2とを備えている。ユーザは、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能を有効にしたい場合には、OKボタンB1を押下する。これにより、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能が有効になる。一方、ユーザは、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能を無効にしたい場合には、CAボタンB2を押下する。これにより、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能が無効になる。
【0050】
上述のような追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能を有効または無効にする選択を行った印刷装置1に対してプリンタドライバから印刷指令を送ると、選択に応じた制御を印刷装置1が実行する。
【0051】
マーカ検知エラー判定部185は、追加スキャン実行部184による追加スキャンの実行後、マーカMの検知エラーの判定を行う。
【0052】
ここで、図8はマーカ検知エラー判定部185によるエラー検知例を示す図である。図8に示すように、マーカ検知エラー判定部185は、追加スキャン実行部184による追加スキャンによってマーカMを再び検知した場合、マーカ検知実行部183で検知したマーカM(汚れをマーカとして誤検知)と、追加スキャン実行部184による追加スキャンで検知したマーカMとのどちらが正しいマーカかが分からないため、エラーにする。すなわち、追加スキャン実行部184による追加スキャンを行うことで、マーカ検知実行部183および追加スキャン実行部184の何れかでマーカMを誤検知していること認識し、マーカMの検知エラーと判定する。
【0053】
メッセージ表示制御部186は、マーカ検知エラー判定部185によってマーカMの検知エラーと判定した場合に、後述する印刷実行部181での印刷実行はせず、操作パネル104に対するメッセージ表示でユーザにマーカMの検知エラー発生を報知する。
【0054】
印刷実行部181は、追加スキャン実行部184による追加スキャンによってマーカMを再び検知しなかった場合、検知した2つのマーカMに基づいて印刷可能範囲を確定し、印刷を実行する。
【0055】
ここで、図9は印刷可能範囲の一例を示す図である。印刷実行部181は、図9に示す印刷可能範囲を下記の手順にて確定する。
1.マーカM(右端、左端)の中央を画像のセンター位置とする。
2.マーカMの右端を印刷可能範囲(先端、右端)とする。
3.マーカMの左端を印刷可能範囲(左端)とする。
【0056】
なお、印刷実行部181は、印刷可能範囲(後端)を指定しない。また、印刷実行部181は、印刷可能範囲外ではインクを吐出しない(印字マスクする)。
【0057】
ここで、図10は印刷制御部156における電源ON時の動作の流れを概略的に示す図である。図10(a)に示すように、印刷制御部156は、電源がONされると、昇降部140を制御してステージ111(カセット200)を上方に移動させ、LEDセンサ141でステージ111(カセット200)の高さ位置を検出する。
【0058】
図10(b)に示すように、印刷制御部156は、ステージ111(カセット200)の高さ位置を検出すると、昇降部140を制御して所定量だけステージ111(カセット200)を下げる。
【0059】
次いで、図10(c)に示すように、印刷制御部156は、ステージ111(カセット200)を手前側(布地400のセット位置)へ移動する。この状態で、ユーザは、布地400をカセット200にセットし、布地400をセットしたカセット200をステージ111に装着する。
【0060】
次に、図11は印刷制御部156におけるジョブ投入時の動作の流れを概略的に示す図である。図11(a)に示すように、印刷制御部156は、PC(Personal Computer)上でプリンタドライバから印刷指示を行うことによりジョブが投入されると、ステージ111(カセット200)をキャリッジ121に搭載されたレジストセンサ162の直下に移動させる。
【0061】
次いで、図11(b)に示すように、印刷制御部156は、昇降部140を制御してステージ111(カセット200)を上方に移動させ、ステージ111(カセット200)が所定の位置に到達したことをLEDセンサ141で検知すると、上方への移動を停止する。その後、図11(c)に示すように、印刷制御部156は、昇降部140を制御してステージ111(カセット200)を一定距離だけ下方に移動させる。
【0062】
次いで、図11(d)に示すように、印刷制御部156は、ステージ111(カセット200)を手前側(布地400のセット位置)へ移動する。
【0063】
次いで、図11(e)に示すように、印刷制御部156は、ステージ111(カセット200)を印字待機位置まで移動させながら、全幅スキャンを実行する。また、印刷制御部156は、全幅スキャンの際に、マーカ検知処理を実行する。
【0064】
その後、図11(f)に示すように、印刷制御部156は、マーカMの検知エラーがないことを条件として、2つのマーカMを検知した印刷可能範囲を確定し、印字待機位置から印刷を開始する。
【0065】
図11(g)に示すように、印刷制御部156は、ステージ111(カセット200)を副走査方向に移動させて、印刷を完了する。
【0066】
図11(h)に示すように、印刷制御部156は、印刷が完了すると、昇降部140を制御してステージ111(カセット200)を一定距離だけ下方に移動させる。
【0067】
そして、図11(i)に示すように、印刷制御部156は、ステージ111(カセット200)を手前側(布地400のセット位置)へ移動する。この状態で、ユーザは、印刷済みの布地400をカセット200から取り外し、別の布地400をカセット200にセットしてステージ111に装着する。
【0068】
図12は、印刷制御部156による印刷処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図12に示すように、マーカ検知実行部183は、布地400上に付された2つのマーカMの検知を実行する(ステップS1)。
【0069】
マーカ検知実行部183により布地400上に付された2つのマーカMを検知できた場合(ステップS2のYes)、追加スキャン実行部184は、追加スキャンを実行し(ステップS3)、布地400の残りの範囲をチェックする。
【0070】
次いで、マーカ検知エラー判定部185は、追加スキャン実行部184による追加スキャンの実行後、エラー判定を行う(ステップS4)。
【0071】
追加スキャン実行部184による追加スキャンによってマーカMを再び検知しなかった場合、すなわちマーカ検知エラー判定部185によりエラー判定がなかった場合(ステップS5のNo)、印刷実行部181は、2つのマーカMに応じて印刷可能範囲を確定し、印刷を実行する(ステップS6)。
【0072】
一方、マーカ検知実行部183により布地400上に付された2つのマーカMを検知できなかった場合(ステップS2のNo)、マーカ検知エラー判定部185によりエラー判定があった場合(ステップS5のYes)、印刷実行部181は印刷を実行せず(ステップS7)、メッセージ表示制御部186は、操作パネル104に対するメッセージ表示でユーザにマーカMの検知エラー発生を報知する(ステップS8)。
【0073】
このように本実施の形態によれば、被印刷材(記録媒体)である布地400上の印刷可能範囲を規定するマーカMを検知して、検知したマーカMに基づく位置に印刷を行う印刷装置1において、マーカMを検知した後、布地400の残りの範囲に対してもマーカMの検知を継続し、マーカMとは異なるマーカMの検知に基づいてマーカMに基づく位置への印刷を実行するか否かを判定する。より詳細には、被印刷材(記録媒体)である布地400上に付された2つのマーカMを検出したあと、すぐに印字を開始せずに、布地400の全面を検出する追加スキャンを行う。これにより、被印刷材(記録媒体)である布地400の残りの範囲に対してもマーカMの検知を継続し、マーカMを誤検知していないかを判定するので、布地400上のマーカMが正しく検知できていないことを時間をかけずに判定することができる、という効果を奏する。また、本実施の形態によれば、布地400上のマーカMが正しく検知できていない場合にはエラーにすることで、誤検知して無駄な印刷を行うことはないので、被印刷材(記録媒体)である布地400を無駄にすることはない。
【0074】
また、本実施の形態によれば、追加スキャンでは、キャリッジ121の主走査方向の走査速度を速くするとともにステージ111(カセット200)の1回の搬送距離を広げることにより(ラフモード)、時間短縮できるので、布地400の全面に対してマーカ検知を行ってもスループット(生産性)を極力低下させないようにすることができる。
【0075】
なお、本実施の形態によれば、マーカ検知実行部183によるマーカMの検知における動作モードは検知精度が高い詳細モードとし、追加スキャン実行部184による追加スキャンにおける動作モードは検知精度が低いラフなラフモードとしたが、これに限るものではない。例えば、マーカ検知実行部183においてラフモードとし、追加スキャンは詳細モードとすることで、ラフモードでマーカMまで早く行き着いて、詳細モードで誤検知判定の精度を上げる、ということも可能になる。これはマーカMが被印刷材(記録媒体)である布地400の後端部に存在することが分かっている場合などに有効である。
【0076】
なお、本実施の形態においては、操作パネル104のパネルUI(User Interface)を利用して追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能の有効または無効をユーザに選択させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能の有効または無効を、印刷装置1に接続されたPC(Personal Computer)のプリンタドライバのダイアログボックス(プリンタドライバUI)で選択可能にしてもよい。
【0077】
図13は、プリンタドライバのダイアログボックスの一例を示す正面図である。図13に示すように、プリンタドライバのダイアログボックスは、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能を有効または無効にするためのチェックボックスCBを備えている。ユーザは、チェックボックスCBにチェックするか否かで、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能の有効あるいは無効を選択することが可能である。
【0078】
ユーザは、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能を有効にしたい場合には、チェックボックスCBにチェックを入れる。これにより、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能が有効になる。一方、ユーザは、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能を無効にしたい場合には、チェックボックスCBにチェックを入れない。これにより、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能が無効になる。
【0079】
また、印刷装置1に接続したPC等のWebブラウザに表示されたWebUIを利用して、追加スキャン実行部184による追加スキャンの機能の有効あるいは無効を選択するようにしてもよい。
【0080】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0081】
第2の実施の形態の印刷装置1は、追加スキャンの実施後のマーカMの検知エラー判定において、マーカMを再び検知した場合であっても、再び検知したマーカM(右端)とマーカM(左端)が平行に位置していない場合は、エラーにしないようにした点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0082】
ここで、図14は第2の実施の形態にかかる印刷制御部156によるエラー判定処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図14に示すように、マーカ検知エラー判定部185は、追加スキャン実行部184による追加スキャンによってマーカMを再び検知した場合(ステップS21のYes)、再び検知した2つのマーカMが平行に位置しているかを判定する(ステップS22)。
【0083】
再び検知した2つのマーカMが平行に位置している場合(ステップS22のYes)、マーカ検知エラー判定部185は、マーカMの検知エラーと判定する(ステップS23)。
【0084】
なお、再び検知した2つのマーカMは完全に平行(ずれ0度)である必要はなく、所定量以内のずれであれば、2つのマーカMが平行に位置しているものとする。
【0085】
すなわち、マーカ検知エラー判定部185は、下記の条件1もしくは条件2を満たした場合に、マーカMの右端とマーカMの左端が平行に位置していると判断する。
条件1.同じスキャン中に右端と左端を検出した場合
条件2.右端(または左端)を検出したスキャンからNスキャン以内で左端(または右端)を検出した場合
【0086】
一方、再び検知した2つのマーカMが平行に位置していない場合(ステップS22のNo)、追加スキャン実行部184による追加スキャンによってマーカMを再び検知しなかった場合(ステップS21のNo)、マーカ検知エラー判定部185は、マーカMの検知エラーと判定しない(ステップS24)。
【0087】
このように本実施の形態によれば、不容易にエラーになることがない。
【0088】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0089】
第3の実施の形態の印刷装置1は、マーカ検知実行部183によりマーカMを検知した後、布地400の残りの範囲(残りの搬送距離)に従って、追加スキャン実行部184における追加スキャンのスキャン速度と搬送量との少なくとも何れか一方を変更するようにした点が、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態または第2の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0090】
ここで、図15は第3の実施の形態の印刷制御部156の機能を示す機能ブロック図である。図15に示すように、印刷制御部156は、マーカ検知制御部182に追加スキャンパラメータ設定部187を含む。
【0091】
追加スキャンパラメータ設定部187は、マーカ検知実行部183によりマーカMを検知した後、布地400の残りの範囲(残りの搬送距離)に従って、追加スキャン実行部184における追加スキャンのスキャン速度と搬送量との少なくとも何れか一方を変更する。
【0092】
マーカ検知実行部183による検知動作の開始直後にマーカMを検知した場合、追加スキャン実行部184によって追加スキャンする範囲は広くなる。したがって、このような場合、本実施の形態の追加スキャンパラメータ設定部187は、例えば、追加スキャン実行部184における追加スキャンの1スキャンごとの搬送距離を広くし、追加スキャンが早く完了するようにする。なお、追加スキャンパラメータ設定部187は、キャリッジ121の走査速度を変えてもよい。
【0093】
また、追加スキャンパラメータ設定部187は、追加スキャン実行部184による追加スキャンの範囲が狭い場合、追加スキャン実行部184における追加スキャンの1スキャンごとの搬送距離を狭くし、精度を上げてもよい。ここで、追加スキャン実行部184による追加スキャンの範囲が狭い場合とは、例えば、布地400の全体に対して、マーカ検知実行部183によるマーカMの検知の範囲が全体の2/3を占め、追加スキャン実行部184による追加スキャンは1/3未満の範囲である場合である。
【0094】
図16は、印刷制御部156による印刷処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図16に示すように、マーカ検知実行部183は、布地400上に付された2つのマーカMの検知を実行する(ステップS1)。
【0095】
マーカ検知実行部183により布地400上に付された2つのマーカMを検知できた場合(ステップS2のYes)、追加スキャンパラメータ設定部187は、布地400の残りの範囲(残り搬送距離)に従って、追加スキャン実行部184における追加スキャンのパラメータ(スキャン速度と搬送量との少なくとも何れか一方)を変更する(ステップS31)。
【0096】
追加スキャン実行部184は、追加スキャンパラメータ設定部187により変更されたパラメータに従って追加スキャンを実行し(ステップS3)、布地400の残りの範囲をチェックする。
【0097】
続くステップS4~S8については、第1の実施の形態における図12で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0098】
このように本実施の形態によれば、マーカMの位置によらず、スループット(生産性)を同等にすることが可能である。
【0099】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0100】
第4の実施の形態の印刷装置1は、マーカ検知エラー判定部185においてマーカMの検知エラーと判定した場合、メッセージ表示制御部186は、マーカMを何箇所検出したのかを通知するとともに、ユーザから何箇所目をマーカMとして認識させるかの入力があった場合、該当箇所から印刷を開始するようにした点が、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる。以下、第4の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0101】
ここで、図17は第4の実施の形態にかかる印刷制御部156による印刷処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図17に示すステップS1~S6については、第1の実施の形態における図12で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0102】
図17に示すように、マーカ検知エラー判定部185によりエラー判定があった場合(ステップS5のYes)、メッセージ表示制御部186は、操作パネル104に対するメッセージ表示でユーザにマーカMの検知エラー発生を通知する(ステップS41)。
【0103】
図18は、メッセージ表示の一例を示す正面図である。図18に示すメッセージ例では、メッセージ表示制御部186は、マーカMの検知エラー発生の通知として、マーカMを何箇所検出したのかを通知するとともに、ユーザに対して何箇所目をマーカMとして認識させるかの入力を促すメッセージを操作パネル104に表示する。
【0104】
次いで、メッセージ表示制御部186は、操作パネル104に対するユーザ入力があり(ステップS42)、ユーザ入力が何箇所目をマーカMとして認識させるかの入力であった場合(ステップS43のYes)、ステップS6に進む。
【0105】
ステップS6では、印刷実行部181は、選択された2つのマーカMに応じて印刷可能範囲を確定し、印刷を実行する(ステップS6)。
【0106】
一方、メッセージ表示制御部186は、操作パネル104に対するユーザ入力があり(ステップS42)、ユーザ入力が印刷を実行しないことを示す入力であった場合(ステップS43のNo)、ステップS7に進む。
【0107】
ステップS7では、印刷実行部181は、印刷を実行しない。
【0108】
このように本実施の形態によれば、全く印刷できない、という状況を回避することができる。
【0109】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像処理装置を、布地に画像を付与する印刷装置1に適用した例を挙げて説明するが、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像処理装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 画像処理装置
181 印刷実行部
183 マーカ検知実行部
184 追加スキャン実行部
185 マーカ検知エラー判定部
186 メッセージ表示制御部
187 追加スキャンパラメータ設定部
400 記録媒体
M マーカ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【文献】特開2016-150491号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18