(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、撮影装置、撮影方法及び撮影プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20220301BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220301BHJP
H04N 5/357 20110101ALI20220301BHJP
【FI】
H04N5/232 290
G03B15/00 H
H04N5/357
(21)【出願番号】P 2018053861
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(72)【発明者】
【氏名】寺内 正和
(72)【発明者】
【氏名】上原 広靖
(72)【発明者】
【氏名】宮田 雅嗣
(72)【発明者】
【氏名】狩野 博
(72)【発明者】
【氏名】西村 武剛
【審査官】津幡 貴生
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-162851(JP,A)
【文献】特開2017-034473(JP,A)
【文献】国際公開第2009/001467(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-257
G03B 15/00
H04N 5/357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理部と、
前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部と、
前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成部と、
を有
し、
前記位置ずれ量検出部は、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、
前記画像データ合成部は、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、
前記ノイズリダクション処理部は、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ノイズリダクション処理部は、前記複数の画像データについてノイズリダクション処理が必要か否かを判定し、必要と判定した画像データにノイズリダクション処理を実行し、不要と判定した画像データにノイズリダクション処理を実行しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ノイズリダクション処理部は、前記複数の画像データの固定パターンノイズを除去可能である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ノイズリダクション処理部は、前記複数の画像データのランダムパターンノイズを除去可能である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ノイズリダクション処理部は、前記複数の画像データに対するノイズリダクション処理の強度を前記合成画像データに対するノイズリダクション処理の強度よりも強くする、
ことを特徴とする請求項
1から請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理ステップと、
前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出ステップと、
前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成ステップと、
を有
し、
前記位置ずれ量検出ステップでは、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、
前記画像データ合成ステップでは、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、
前記ノイズリダクション処理ステップでは、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理ステップと、
前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出ステップと、
前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成ステップと、
を有し、
前記位置ずれ量検出ステップでは、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、
前記画像データ合成ステップでは、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、
前記ノイズリダクション処理ステップでは、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、
ような各処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理部と、
前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部と、
前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成部と、
を有
し、
前記位置ずれ量検出部は、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、
前記画像データ合成部は、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、
前記ノイズリダクション処理部は、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、
ことを特徴とする撮影装置。
【請求項9】
複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理ステップと、
前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出ステップと、
前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成ステップと、
を有
し、
前記位置ずれ量検出ステップでは、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、
前記画像データ合成ステップでは、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、
前記ノイズリダクション処理ステップでは、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、
ことを特徴とする撮影方法。
【請求項10】
複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理ステップと、
前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出ステップと、
前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成ステップと、
を有し、
前記位置ずれ量検出ステップでは、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、
前記画像データ合成ステップでは、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、
前記ノイズリダクション処理ステップでは、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、
ような各処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする撮影プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、撮影装置、撮影方法及び撮影プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ほぼ同じ位置から撮影角度だけを変えて撮影された複数の色画像データから1枚の高解像度の色画像データを合成する画像合成装置を開示している。
【0003】
特許文献2は、複数の撮影画像を互いに微小変位シフトさせて重ね合わせる超解像処理を実行する画像処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-143635号公報
【文献】特開2011-180670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2は、対象になる撮影された複数の画像データの一部又は全部にノイズ(固定パターンノイズやランダムパターンノイズ)が発生した場合、合成画像データの品質が劣化するおそれがある。
【0006】
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、ノイズ(固定パターンノイズやランダムパターンノイズ)の影響を低減することができる画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、撮影装置、撮影方法及び撮影プログラムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態による画像処理装置は、複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理部と、前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部と、前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成部と、を有し、前記位置ずれ量検出部は、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、前記画像データ合成部は、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、前記ノイズリダクション処理部は、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、ことを特徴としている。
【0008】
本実施形態による画像処理方法は、複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理ステップと、前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出ステップと、前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成ステップと、を有し、前記位置ずれ量検出ステップでは、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、前記画像データ合成ステップでは、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、前記ノイズリダクション処理ステップでは、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、ことを特徴としている。
【0009】
本実施形態による画像処理プログラムは、複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理ステップと、前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出ステップと、前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成ステップと、を有し、前記位置ずれ量検出ステップでは、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、前記画像データ合成ステップでは、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、前記ノイズリダクション処理ステップでは、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、ような各処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0010】
本実施形態による撮影装置は、複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理部と、前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部と、前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成部と、を有し、前記位置ずれ量検出部は、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、前記画像データ合成部は、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、前記ノイズリダクション処理部は、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、ことを特徴としている。
【0011】
本実施形態による撮影方法は、複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理ステップと、前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出ステップと、前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成ステップと、を有し、前記位置ずれ量検出ステップでは、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、前記画像データ合成ステップでは、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、前記ノイズリダクション処理ステップでは、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、ことを特徴としている。
【0012】
本実施形態による撮影プログラムは、複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能なノイズリダクション処理ステップと、前記複数の画像データの位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出ステップと、前記位置ずれ量に応じて前記複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る画像データ合成ステップと、を有し、前記位置ずれ量検出ステップでは、ノイズリダクション処理の実行後の前記複数の画像データの位置ずれ量を検出し、前記画像データ合成ステップでは、ノイズリダクション処理の実行前の前記複数の画像データを合成し、前記ノイズリダクション処理ステップでは、前記合成画像データに位置ズレ検出時とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する、ような各処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ノイズ(固定パターンノイズやランダムパターンノイズ)の影響を低減することができる画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、撮影装置、撮影方法及び撮影プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、撮影装置、撮影方法及び撮影プログラムを搭載したカメラユニット付き電子機器の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】画素ずらしマルチショット合成モードの一例を示す概念図である。
【
図3】固定パターンノイズとランダムパターンノイズの一例を示す概念図である。
【
図4】固定パターンノイズに対するノイズリダクション処理の一例を示す概念図である。
【
図5】ランダムパターンノイズに対するノイズリダクション処理の一例を示す概念図である。
【
図6】ランダムパターンノイズを含む複数の画像データを合成することによりランダムパターンノイズが軽減される様子の一例を示す概念図である。
【
図7】画像データ合成処理の一例を示す第1の概念図である。
【
図8】画像データ合成処理の一例を示す第2の概念図である。
【
図9】画像データ合成処理の一例を示す第3の概念図である。
【
図10】位置合わせ演算を行う撮影手法によるノイズ除去の問題の一例を示す概念図である。
【
図11】本実施形態のデジタルカメラによる撮影処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図11のステップST5のノイズリダクション処理を示すフローチャートである。
【
図13】別の実施形態のデジタルカメラによる撮影処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、撮影装置、撮影方法及び撮影プログラムを搭載したカメラユニット付き電子機器1の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の画像処理方法、画像処理プログラム、撮影方法及び撮影プログラムは、電子機器1に内蔵されたコンピュータに所定の処理ステップを実行させることにより実現される。
【0016】
電子機器1は、例えば、デジタルカメラ、携帯電話、ゲーム機器等の撮影機能を搭載した各種機器とすることができるが、本実施形態では、電子機器1がデジタルカメラである場合を例示して説明する。あるいは、電子機器1は、撮影機能を搭載することなく、画像データの入力を受けて当該画像データに画像処理を施すPC等の各種機器とすることもできる。
【0017】
デジタルカメラ1は、カメラユニット10と、画像処理装置20と、メモリ(例えばRAM)30と、記録媒体(例えばUSBメモリ)40と、表示装置(例えばLCD)50と、入力装置60と、センサ70と、防振ユニット80と、CPU90と、これらの各構成要素を直接的又は間接的に接続するバス100とを有している。
【0018】
カメラユニット10は、撮影光学系(図示略)と、イメージセンサ(撮像素子)11(
図2)とを有している。撮影光学系による被写体像はイメージセンサ11の受光面上に結像され、マトリックス状に配置された検出色の異なる複数の画素によって電気信号に変換され、画像データとして画像処理装置20に出力される。画像処理装置20は、カメラユニット10による画像データに所定の画像処理を施す。画像処理装置20により画像処理が施された画像データは、メモリ30に一時的に記録される。メモリ30に記録された画像データは、ユーザの選択・決定に従って、記録媒体40に保存され、表示装置50に表示される。
【0019】
入力装置60は、例えば、電源スイッチ、レリーズスイッチ、各種機能の選択・設定を実行するためのダイヤルスイッチ、四方向スイッチ、タッチパネル等から構成される。センサ70は、例えば、デジタルカメラ1のボディ本体に加えられる加速度、角速度、角加速度を検出する加速度検出器、角速度検出器、角加速度検出器等から構成される。センサ70による出力は、デジタルカメラ1のボディ本体の振れを示す振れ検出信号として、CPU90に入力される。
【0020】
防振ユニット80は、カメラユニット10の撮影光学系とイメージセンサ11の少なくとも一方を移動部材として、当該移動部材を撮影光学系の光軸と異なる方向に(例えば撮影光学系の光軸と直交する平面内で)駆動する。CPU90は、防振ユニット80を駆動制御する。CPU90は、センサ70からデジタルカメラ1のボディ本体の振れを示す振れ検出信号の入力を受けて、防振ユニット80によって移動部材を撮影光学系の光軸と異なる方向に駆動する。これにより、イメージセンサ11における被写体像の結像位置を変位させて、手振れに起因する像振れを補正することができる。
【0021】
デジタルカメラ1は、防振ユニット80を利用して、カメラユニット10のイメージセンサ11を撮影光学系の光軸と異なる方向に(例えば撮影光学系の光軸と直交する平面内で)微細に移動させながら時系列に複数回の撮影を行い、その画像データを1枚に合成(画像データの単純な加算ではなくデータ上の画像処理による特殊演算を行っての合成)することで、超高精細(高画質、高精度)な画像データを生成する撮影モードを搭載している。以下ではこの撮影モードを「画素ずらしマルチショット合成モード」、「マルチショット合成モード」及び「RRS(リアル・レゾリューション・システム)撮影モード」と呼ぶことがある。これらのモードでは、1画素あたり1つの色情報のみを取得する従来のベイヤ方式と異なり、1画素毎にRGB各色の情報を得ることで、細部までのディティールや色再現に優れた極めて高精細な画像データを描き出すことができる。また、モアレや偽色が発生することが無く、高感度ノイズを低減する効果が得られる。
【0022】
図2A~
図2Dは、本実施形態の画素ずらしマルチショット合成モードの一例を示す概念図である。
図2A~
図2Dにおいて、イメージセンサ11は、受光面にマトリックス状に所定の画素ピッチで配置された多数の画素を備え、各画素の前面にベイヤ配列のカラーフィルタR、G(Gr、Gb)、Bのいずれかが配置されている。各画素は、前面のカラーフィルタR、G(Gr、Gb)、Bを透過して入射した被写体の色を検出、つまり、色成分(波長域)の光を光電変換し、その強さ(輝度)に応じた出力が得られる。より具体的に、
図2Aの基準位置で1枚の画像を撮影し、そこから太枠で囲んだ光束領域をイメージセンサ11に対して1画素ピッチだけ下方に相対移動させた
図2Bの位置で1枚の画像を撮影し、そこから太枠で囲んだ光束領域をイメージセンサ11に対して1画素ピッチだけ右方に相対移動させた
図2Cの位置で1枚の画像を撮影し、そこから太枠で囲んだ光束領域をイメージセンサ11に対して1画素ピッチだけ上方に相対移動させた
図2Dの位置で1枚の画像を撮影し、最後に
図2Aの基準位置に戻る。このように、光軸直交平面内で、太枠で囲んだ光束領域をイメージセンサ11に対して1画素ピッチの正方形を描くように駆動しながら時系列に撮影した4枚の画像が、RAW画像データとして、画像処理装置20に入力される。画像処理装置20は、イメージセンサ11が時系列に撮影した4枚の画像データを合成して合成画像データを得る。
【0023】
ところで、イメージセンサ11が時系列に撮影した4枚の画像データには、固定パターンノイズやランダムノイズが含まれる。
【0024】
図3Aは、固定パターンノイズの一例を示す概念図である。固定パターンノイズは、撮像素子(イメージセンサ11)の画素に固有のノイズであり、
図3Aでは、横方向に筋状に発生している固定パターンノイズが例示的に描かれている。
【0025】
図3Bは、ランダムパターンノイズの一例を示す概念図である。ランダムパターンノイズは、座標的(位置的)かつ時間的にランダムなノイズであり、
図3Bでは、画像データの全体に散りばめられたドット状のランダムパターンノイズが例示的に描かれている。
【0026】
本実施形態では、複数の画像データが持つノイズ(例えば
図3Aの固定パターンノイズや
図3Bのランダムパターンノイズ)に対して適切なノイズリダクション処理を施した上で、当該ノイズリダクション処理後の複数の画像データを合成することによって、ノイズの影響により位置ズレ検出の精度を落とさない高品質な合成画像データを得る機能を有している。以下では、この機能に関する画像処理装置20の構成及び作用効果について詳細に説明する。なお、以下では、適宜、複数の画像データとして、画素ずらしマルチショット合成のために取得した4枚の画像データを用いる場合を例示して説明する。
【0027】
画像処理装置20は、ノイズリダクション処理部21と、位置ずれ量検出部22と、画像データ合成部23とを有している。
【0028】
ノイズリダクション処理部21は、画素ずらしマルチショット合成のために取得した4枚の画像データ(複数の画像データ)に対してノイズリダクション処理を実行可能である。ノイズリダクション処理部21は、4枚の画像データのそれぞれを精査してノイズリダクション処理が必要か否かを判定し、必要と判定した画像データにノイズリダクション処理を実行し、不要と判定した画像データにノイズリダクション処理を実行しない。従って、4枚の画像データの全てにノイズリダクション処理を実行する場合、4枚の画像データの全てにノイズリダクション処理を実行しない場合、4枚の画像データの一部の画像データにノイズリダクション処理を実行して他の画像データにノイズリダクション処理を実行しない場合がある。ここで述べたノイズリダクション処理は、例えば、4枚の画像データの撮影条件(例えばF値やシャッタスピード等により定まる露光値)をそれぞれ異ならせた場合に適用して有効である。これは、撮影条件によっては、ある画像データについてはノイズリダクション処理が必要である一方、他の画像データについてはノイズリダクション処理が不要である場合があり、これらの場合に柔軟な処理が可能になるからである。
【0029】
ノイズリダクション処理部21は、4枚の画像データに対してノイズリダクション処理を施すか否かを一括して(一度に)判定することも可能である。例えば、4枚の画像データの撮影条件(例えばF値やシャッタスピード等により定まる露光値)が同一の場合には、4枚の画像データのそれぞれに対して判定を行う場合よりも、4枚の画像データに対してノイズリダクション処理を施すか否かを一括して(一度に)判定した方が、ノイズリダクション処理部21による演算量(処理量)を低減できて好適である。
【0030】
このように、ノイズリダクション処理部21は、複数の画像データを取得する際の撮影条件が同一であるか異なっているかに応じて、複数の画像データに対するノイズリダクション処理の態様を柔軟に変更する制御を行うことができる。より具体的に、ノイズリダクション処理部21は、撮影条件が同一である場合は、複数の画像データに対してノイズリダクション処理を施すか否かを一括して(一度に)判定し、撮影条件が異なっている場合は、複数の画像データに対してノイズリダクション処理を施すか否かをそれぞれ独立して判定することができる。
【0031】
図4は、固定パターンノイズに対するノイズリダクション処理の一例を示す概念図である。
図4に示すように、固定パターンノイズを含んだ画像データから固定パターンノイズを減算することにより、固定パターンノイズを除去した画像データを得ることができる。
【0032】
図5は、ランダムパターンノイズに対するノイズリダクション処理の一例を示す概念図である。
図5に示すように、ランダムパターンノイズを含んだ画像データに対して線形・非線形などのノイズリダクション処理を実行することにより、ランダムパターンノイズを除去(低減)した画像データを得ることができる。ランダムパターンノイズに対するノイズリダクション処理では、例えば、画像データに含まれる高周波成分を除去し、且つ/又は、画像データをエッジ部と平坦部に分けて別個の非線形処理を実行することができる。
【0033】
ランダムパターンノイズは複数枚の画像データを合成すると低減するという特徴もある。
図6に示すように、ランダムパターンノイズを含む複数(ここでは3枚)の画像データを合成したときに、合成画像データにおいて、合成前の各画像データのランダムパターンノイズが軽減される場合がある。このような場合には、位置検出用の画像に対してノイズリダクションを施して位置検出によりズレ量を算出し、合成画像にはノイズリダクションを施さない画像を用いて先の位置ズレ情報をもとに合成を行うことでノイズリダクション処理に代えることが可能である。
【0034】
このように、ノイズリダクション処理部21は、4枚の画像データ(複数の画像データ)の固定パターンノイズ及び/又はランダムパターンノイズを除去することが可能である。
【0035】
位置ずれ量検出部22は、ノイズリダクション処理部21が必要に応じてノイズリダクション処理を施した4枚の画像データ(複数の画像データ)の位置ずれ量(画素ずれ量)を検出する。位置ずれ量検出部22は、例えば、特許第4760923号公報に開示されているブロックマッチング等の周知技術を用いて、複数の画像データの位置ずれ量を確実かつ精密に検出することができる。
【0036】
位置ずれ量検出部22は、イメージセンサ11の画素出力に基づいて、ピクセル毎又はサブピクセル毎に、複数の画像データの位置ずれ量を検出することができる。また位置ずれ量検出部22は、イメージセンサ11の画素出力に基づいて、RGBプレーン毎に、複数の画像データの位置ずれ量を検出することができる。その際、位置ずれ量検出部22は、RGBプレーンのうちの特定のRプレーン、Gプレーン、または、Bプレーンだけを使用してもよいし、使用するプレーンを変動させてもよい。例えば、ある画像データ間の位置ずれ量を検出するときにはGプレーンを使用し、その他の画像データ間の位置ずれ量を検出するときにはRプレーンを使用するといった柔軟な対応が可能である。また位置ずれ量検出部22は、上記画像データの位置ずれ情報と、センサ70を構成する加速度検出器、角速度検出器、角加速度検出器の少なくとも1つの出力とに基づいて、複数の画像データの位置ずれ量を検出することができる。
【0037】
位置ずれ量検出部22は、上述したセンサ70の出力を利用した検出態様とイメージセンサ11の画素出力を利用した検出態様を組み合わせることができる。すなわち、センサ70の出力を利用して位置ずれ量の方向性におおよその見当をつけた後に、イメージセンサ11の画素出力を利用して精密な位置ずれ量を検出することができる。
【0038】
位置ずれ量検出部22は、イメージセンサ11の画素出力に特定用途の画素出力が含まれている場合、当該特定用途の画素出力を当該画素以外の周辺の画素を利用して補間、補正するか、当該特定用途の画素出力を除外するか、低い重み付けを与えて位置ずれ量を検出することができる。特定用途の画素出力とは、例えば、撮影に無関係な位相差検出画素などを含むことができる。
【0039】
画像データ合成部23は、位置ずれ量検出部22が検出した位置ずれ量に応じて、ノイズリダクション処理部21が必要に応じてノイズリダクション処理を施した4枚の画像データ(複数の画像データ)を相対移動して合成することにより、合成画像データを得る。ここで、「複数の画像データを相対移動して合成する」とは、当該複数の画像データが相対移動するように当該複数の画像データをオフセットすることを意味する。
【0040】
画像データ合成部23は、4枚の画像データのいずれかの画像データを基準画像データに設定して、この基準画像データとその他の画像データの位置ずれ量に応じて、その他の画像データが基準画像データに重なるように、4枚の画像データを相対移動して合成することができる。
【0041】
画像データ合成部23は、位置ずれ量検出部22による位置ずれ量の検出精度とは異なる移動精度で、4枚の画像データを相対移動させることができる。例えば、位置ずれ量検出部22による位置ずれ量の検出精度をサブピクセル単位とする一方、画像データ合成部23による4枚の画像データの移動精度をピクセル単位としてもよい。
【0042】
図7は、画像データ合成処理の一例を示す第1の概念図である。
図7に示すように、本実施形態の画素ずらしマルチショット合成では、被写体光束に対してイメージセンサ11の撮像面を画素単位で相対移動させながら4枚の画像データ(複数の画像データ)を取得する。
図7の例では、左上の初期位置(基準位置)で1枚目の画像データを取得し、右上の移動位置で2枚目の画像データを取得し、左下の移動位置で3枚目の画像データを取得し、右下の移動位置で4枚目の画像データを取得している。1枚目~4枚目の画像データにおける各画像データの撮影範囲を実線で描いており、2枚目~4枚目の画像データにおける1枚目の画像データの撮影範囲を破線で描いている。つまり、1枚目の画像データを基準画像データとしたとき、2枚目~4枚目の画像データにおける実線と破線の撮影範囲のずれ量が位置ずれ量として検出される。画像データ合成部23は、
図7における1枚目~4枚目の画像データに対してSAD(Sum of Absolute Difference)等のマッチング処理を行うことにより、同一被写体が写っている位置を探索することができる。
【0043】
図8A、
図8Bは、画像データ合成処理の一例を示す第2の概念図である。画素ずらしマルチショット合成画像(高解像度画像)を作成する場合、複数の画像データの位置合わせ演算を行う必要がある(複数の画像データを実際に重ね合わせる必要はない)。位置合わせ演算は、例えば、SAD等の手法によって画像データ間の位置ずれ量を算出することにより行われ、その後、位置ずれ量を補正するようにして複数の画像データを合成する。SAD等のマッチングは、ある画像データにおいて探したい部分を切り出すことで注目部分とし、他の画像データにおいて当該注目部分に対応する部分を探索することにより実行する。
【0044】
図8Aに示すように、複数の画像データにノイズが無い場合において複数の画像データに同じ被写体が写っているときには、画像データの探索を実行すると、注目部分の一致度が高く出る場所が存在する。これに対し、
図8Bに示すように、複数の画像データに固定パターンノイズがある場合には、イメージセンサ11の撮像面に対してノイズは一定だが、被写体との位置関係がずれてしまうので、同じ被写体が写っている場所での注目部分の一致度が低くなってしまう。従って、本実施形態のように、高精度な位置探索を行うために、位置合わせ演算を行う前の複数の画像データに必要に応じてノイズリダクション処理を施すことで、注目部分の一致度を高めることが有効である。
【0045】
図9A~
図9Dは、画像データ合成処理の一例を示す第3の概念図である。ランダムパターンノイズの場合には被写体に対してランダムにノイズが発生するため、SAD等のマッチング処理の精度が下がりやすい。画素ずらしマルチショット合成画像(高解像度画像)を作成する場合、位置合わせ演算を高精度に行うことが重要なので、ランダムパターンノイズを除去した上で複数の画像データを比較することが有効である。位置検出の際のコントラストを下げることになるランダムパターンノイズを除去すれば、注目部分の特徴点だけを効率的に残すことが可能である。
【0046】
図9A、
図9Bはランダムパターンノイズが相対的に少ない場合を示している。
図9Bに明らかなように、探索点の位置情報に対するSAD出力のエッジが鋭く出ており、注目部分の探索精度が高くなっている。
図9C、
図9Dはランダムパターンノイズが相対的に多い場合を示している。
図9Dに明らかなように、探索点の位置情報に対するSAD出力のエッジが緩く出ており、注目部分の探索精度が低くなっている。
【0047】
以上の実施形態では、画像処理装置20に入力する複数の画像データが、画素ずらしマルチショット合成のために取得した4枚の画像データである場合を例示して説明した。しかし、画像処理装置20に入力する複数の画像データは、カメラユニット10が撮影した直後のものに限定されない。例えば、指定のフォルダ、クラウドストレージ、動画等といった記録済みの画像群が存在する中から、構図やアングル、撮影時間、画質的特徴が近しい複数の画像を選択・抽出することができる。この選択・抽出の処理を連続的に繰り返す場合は、複数の画像をN枚の独立した組としてもよいし、N-1枚のオーバーラップを持った組としてもよい。あるいは、画像処理装置20に入力する複数の画像データは、防振ユニット80を利用することなく(イメージセンサ11の能動的に動かすのではなく)、撮影者の手振れ(揺らぎ)によるショット毎の画像のずれを利用して行う、所謂「手振れ利用画素ずらしマルチショット合成、手振れ利用マルチショット合成」により得られたものであってもよい。
【0048】
図1のブロック図には描いていないが、画像処理装置20は、画像処理装置20に入力した複数の画像データが本実施形態の高解像度撮影に適しているか否かを評価するマッチング部を有することができる。例えば、上述した画素ずらしマルチショット合成の場合の他、複数の画像データが同構図や同アングルで連写モードを利用して撮影されたものである場合、複数の画像データは本実施形態の高解像度撮影に適していると判定される可能性が高い。一方、複数の画像データが構図やアングルを異ならせて時間的にずらして撮影されたものである場合、複数の画像データは本実施形態の高解像度撮影に適していないと判定される可能性が高い。
【0049】
図1のブロック図には描いていないが、画像処理装置20は、位置ずれ量検出部22が検出した位置ずれ量に応じて複数の画像データの中から合成対象となる画像データを選択する画像データ選択部を有することができる。この画像データ選択部は、例えば、複数の画像データが上述した「手振れ利用画素ずらしマルチショット合成、手振れ利用マルチショット合成」により得たものである場合に特に有用である。すなわち、防振ユニット80を利用した画素ずらしマルチショット合成の場合とは異なり、手振れ利用画素ずらしマルチショット合成では、高解像度撮影に適していない画像データが入力すること、及び/又は、RGBのカラーフィルタの画素位置が同一パターンの複数の画像データが重複して入力することがあり得るので、高品質な合成画像データを得るために要求される画像データを選択することが好ましい。例えば、RGBのカラーフィルタの画素位置が異なるパターンの複数の画像データを選択することで高解像度撮影(画素ずらしマルチショット合成)をより高精度に実行することができる。
【0050】
図10は、位置合わせ演算を行う撮影手法によるノイズ除去の一例を示す概念図である。
図10は、被写体光束に対してイメージセンサ11の撮像面を画素単位で相対移動させて(イメージセンサ11による撮影範囲をずらして)2枚の画像データを得る場合を示している。固定パターンノイズはイメージセンサ11の同位置に発生するので、2枚の画像データにおいて被写体と固定パターンノイズの位置関係がずれる。そして、高解像度撮影(画素ずらしマルチショット合成)を行う場合には、被写体位置に応じて画像データをずらして合成(位置合わせ切り出し)するので、固定パターンノイズがずれた位置で合成される。
【0051】
しかしながら、
図10のように固定パターンノイズがずれた位置で合成された合成画像データに対して、通常は固定パターンであるため合成後に補正を掛けることができる。例えば、被写体光束に対するイメージセンサ11の画素ずれ量に応じて固定パターンノイズをずらし、さらに画像データが複数枚で平均化されている場合は平均化された枚数分の固定パターンノイズを除して減算することにより、合成画像データを補正することができる。ゆえに、合成前の画像データの各々に(1枚毎に)ノイズリダクション処理を施すことは必須ではない。
【0052】
図11は、本実施形態のデジタルカメラ1による撮影処理を示すフローチャートである。
【0053】
ステップST1では、通常撮影(1枚撮影)であるか、画素ずらしマルチショット合成であるかを判定する。通常撮影(1枚撮影)である場合はステップST2に進み、画素ずらしマルチショット合成である場合はステップST3に進む。
【0054】
ステップST2では、通常撮影(1枚撮影)を実行して1枚の画像データを取得した後、撮影処理を終了する。
【0055】
ステップST3では、被写体光束に対してイメージセンサ11の撮像面を画素単位で相対移動させながら複数回(例えば4回)の撮影を行うことにより、複数枚(例えば4枚)の画像データを取得する。
【0056】
ステップST4では、複数枚(例えば4枚)の画像データのいずれかについて、ノイズリダクション処理が必要か否かを判定する。ノイズリダクション処理が必要な場合(ステップST4:Yes)はステップST5に進み、ノイズリダクション処理が不要な場合(ステップST4:No)はステップST6に進む。
【0057】
ステップST5では、ステップST4でノイズリダクション処理が必要と判定された画像データに対してノイズリダクション処理を実行する。このノイズリダクション処理については、サブルーチンとして後に詳細に説明する。
【0058】
ステップST6では、全ての画像データに対してノイズリダクション処理判定(つまりノイズリダクション処理が必要であればそれを実行し不要であればそれを実行しない)を行ったか否かを判定する。全ての画像データに対してノイズリダクション処理判定を行った場合(ステップST6:Yes)はステップST7に進み、全ての画像データに対してノイズリダクション処理判定を行っていない場合(ステップST6:No)はステップST4に戻る。
【0059】
ステップST7では、必要に応じてノイズリダクション処理を施した複数枚(4枚)の画像データを合成して高解像度画像を得る。
【0060】
図12は、
図11のステップST5のノイズリダクション処理を示すフローチャートである。
【0061】
ステップST51では、画像データに固定パターンノイズが含まれるか否かを判定する。例えば、長時間露光撮影且つ/又は高感度撮影である場合に画像データに固定パターンノイズが含まれると判定し、長時間露光撮影且つ/又は高感度撮影でない場合に画像データに固定パターンノイズが含まれないと判定することができる。または、画像データを解析して画像データに固定パターンノイズが含まれるか否かを判定することができる。画像データに固定パターンノイズが含まれる場合(ステップST51:Yes)はステップST52に進み、画像データに固定パターンノイズが含まれない場合(ステップST51:No)はステップST53に進む。
【0062】
ステップST52では、画像データに対して固定パターンノイズを除去するためのノイズリダクション処理を実行する(
図4参照)。
【0063】
ステップST53では、画像データにランダムパターンノイズが含まれるか否かを判定する。例えば、長時間露光撮影且つ/又は高感度撮影である場合に画像データにランダムパターンノイズが含まれると判定し、長時間露光撮影且つ/又は高感度撮影でない場合に画像データにランダムパターンノイズが含まれないと判定することができる。または、画像データを解析して画像データにランダムパターンノイズが含まれるか否かを判定することができる。画像データにランダムパターンノイズが含まれる場合(ステップST53:Yes)はステップST54に進み、画像データにランダムパターンノイズが含まれない場合(ステップST53:No)は処理を終了してリターンする。
【0064】
ステップST54では、画像データに対してランダムパターンノイズを除去するためのノイズリダクション処理を実行する(
図5参照)。その後、処理を終了してリターンする。
【0065】
図13は別の実施形態のデジタルカメラ1による撮影処理を示すフローチャートである。
【0066】
上記実施の形態では、位置ずれ量検出部22が、ノイズリダクション処理の実行後の複数の画像データの位置ずれ量を検出し、画像データ合成部23が、ノイズリダクション処理の実行後の複数の画像データを合成する。これに対して、
図13の別の実施形態では、位置ずれ量検出部22が、ノイズリダクション処理の実行後の複数の画像データの位置ずれ量を検出し、画像データ合成部23が、ノイズリダクション処理の実行前の複数の画像データを合成し、ノイズリダクション処理部21が、合成画像データに前述と異なるノイズリダクション処理を実行する。この場合において、ノイズリダクション処理部21は、複数の画像データに対するノイズリダクション処理の強度を合成画像データに対するノイズリダクション処理の強度よりも強くする。
【0067】
ステップST1’では、被写体光束に対してイメージセンサ11の撮像面を画素単位で相対移動させながら複数回(例えば4回)の撮影を行うことにより、複数枚(例えば4枚)の画像データを取得する。
【0068】
ステップST2’では、複数枚(4枚)の画像データに対して必要に応じてノイズリダクション処理を実行する。その際、ノイズリダクション処理の実行前の複数枚(4枚)の画像データも保持しておく。
【0069】
ステップST3’では、ステップST2’においてノイズリダクション処理を実行した後の複数枚(4枚)の画像データの位置ずれ量を検出する。また、複数枚(4枚)の画像データの位置ずれ量に基づいて位置合わせ演算処理を実行する。
【0070】
ステップST4’では、ステップST3’で検出した位置ずれ量(及び位置合わせ演算処理の結果)に応じて、ステップST2’においてノイズリダクション処理を実行する前の複数枚(4枚)の画像データを合成して合成画像データを得る。
【0071】
ステップST5’では、ステップST4’で得た合成画像データに対してノイズリダクション処理を実行する。ステップST5’のノイズリダクション処理の強度は、ステップST2’のノイズリダクション処理の強度よりも弱くする。すなわち、ステップST5’では、合成画像データに位置ズレ検出時(ステップST2’)とは異なる強度のノイズリダクション処理を実行する。例えば、複数の画像データの枚数がN枚である場合(N枚撮影時)には、位置合わせ演算用のノイズリダクション処理(ステップST2’)の強度を、合成画像用のノイズリダクション処理(ステップST5’)の強度のルートN倍、つまり(N)1/2倍とすることができる。
【0072】
このように、位置合わせ演算用のノイズリダクション処理(ステップST2’)と、合成画像用のノイズリダクション処理(ステップST5’)とを別々に行った場合であっても、撮影感度や露光時間等に起因するノイズの影響を低減することができる。位置合わせ演算用のノイズリダクション処理(ステップST2’)と合成画像用のノイズリダクション処理(ステップST5’)を別々に行うことにより、非線形・線形のノイズ処理(
図5)よりも合成によるノイズ軽減効果(
図6)の方が効果が高く真の値に近いため、合成によるNRを行ってノイズレベルを下げた後により弱いノイズ処理を行うことで高品位な結果を得ることができる。
【0073】
このように本実施形態の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、撮影装置、撮影方法及び撮影プログラムでは、ノイズリダクション処理部21が、複数の画像データにノイズリダクション処理を実行可能であり、位置ずれ量検出部22が、複数の画像データの位置ずれ量を検出し、画像データ合成部23が、位置ずれ量に応じて複数の画像データを合成することにより合成画像データを得る。これにより、撮影感度や露光時間等に起因するノイズの影響を低減することができる。
【0074】
また、本実施形態では、複数の画像データを用いた高解像度撮影(例えば画素ずらしマルチショット合成)において、高感度撮影や長時間露光撮影などのノイズが多い状況でより正確な位置合わせ演算処理を実行することができる。すなわち、各画像データのノイズ成分を除去した後に位置合わせ演算処理を実行することで、当該位置合わせ演算処理ひいては高解像度撮影(例えば画素ずらしマルチショット合成)を高精度に実行することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 デジタルカメラ(カメラユニット付き電子機器)
10 カメラユニット
11 イメージセンサ(撮像素子)
20 画像処理装置
21 ノイズリダクション処理部
22 位置ずれ量検出部
23 画像データ合成部
30 メモリ
40 記録媒体
50 表示装置
60 入力装置
70 センサ
80 防振ユニット
90 CPU
100 バス