(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】超純水製造装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20220301BHJP
B01D 61/22 20060101ALI20220301BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20220301BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
C02F1/44 J
B01D61/22
B01D61/14 500
F04D15/00 F
F04D15/00 J
(21)【出願番号】P 2018166220
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 洋一
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-129103(JP,A)
【文献】国際公開第2015/050125(WO,A1)
【文献】特開平05-096278(JP,A)
【文献】特開平02-056293(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0005008(KR,A)
【文献】特開2012-206073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00-71/82
C02F 9/00
F04D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次純水システムと、この一次純水システムで製造された一次純水を処理して超純水を製造するサブシステムとを備え、
前記サブシステムが、
前記一次純水を貯留するサブタンクと、
前記サブタンクとユースポイントとを連通する供給ラインと、
前記供給ラインの最下流に設けられる膜ろ過装置と、
前記ユースポイントで使用されない超純水を前記サブタンクに返送するための第一返送ラインと、
前記膜ろ過装置から排出される濃縮水を前記サブタンクに返送するための第二返送ラインとを備え、
前記供給ラインには、前記サブタンクと前記膜ろ過装置との間に給水ポンプ及びこれに続く第一開閉バルブが、前記膜ろ過装置の超純水の排出側に第二開閉バルブがそれぞれ設けられ、
前記第二返送ラインには、前記膜ろ過装置の濃縮水の排出側に第三開閉バルブが設けられている超純水製造装置において、
前記第一開閉バルブを微開状態、前記第二開閉バルブを全開状態、前記第三開閉バルブを全閉状態とする準備工程と、
前記準備工程後、前記第三開閉バルブを全開状態になるまで徐々に開放するとともに、前記給水ポンプによって前記供給ラインの流量を徐々に増加させる運転工程と、
前記運転工程後、前記第三開閉バルブを全閉状態になるまで徐々に閉鎖するとともに、前記給水ポンプによって前記供給ラインの流量を徐々に減少させる停止工程と
を備える超純水製造装置の運転方法。
【請求項2】
前記運転工程及び前記停止工程において、前記給水ポンプによる前記供給ラインの流量の制御を、インバータ制御により行う請求項1に記載の超純水製造装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子の少ない超純水を製造するための超純水製造装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程に使用される超純水は、主に、前処理システム、一次純水システム、サブシステム(二次純水システム)を備える超純水製造装置において、原水(工業用水、市水、井水等)を処理することにより製造され、ユースポイント(POU)に供給される。
【0003】
前処理システムは、凝集濾過、精密濾過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)等による除濁処理装置や活性炭等による脱塩素処理装置を用いて原水を除濁するためのものである。一次純水システムは、2床3塔式イオン交換装置、逆浸透膜(RO膜)装置等を備え、前処理水に含まれるイオン成分やTOC成分等の不純物を除去するためのものである。
【0004】
サブシステムは、一次純水中の極微量の微粒子や微量イオン、特に低分子の微量有機物のような不純物を除去し、より純度の高い超純水を製造するためのものであって、
図4に示すように、サブタンク、熱交換器、膜式脱気装置、紫外線酸化装置(UV装置)、イオン交換装置、限外ろ過膜装置(UF装置)をこの順に備えるものが一般的である。このように従来の超純水製造装置では、サブシステムの最後段にUF装置を設置することで、ナノメートルサイズの微粒子の除去を行っている。
【0005】
上述のようなサブシステムは、通常、
図4に示すように、サブタンクとユースポイント(POU)とを連通する供給ラインに加えて、ユースポイントで使用されない超純水をサブタンクに返送するための第一返送ライン及び、限外ろ過膜装置から排出される濃縮水をサブタンクに返送するための第二返送ラインを備えている。供給ラインには、サブタンクの排出側に給水ポンプ及びこれに続く第一開閉バルブが、限外ろ過膜装置の超純水の排出側に第二開閉バルブがそれぞれ設けられている。第二返送ラインには、限外ろ過膜装置の濃縮水の排出側に第三開閉バルブが設けられている。
【0006】
上述のようなサブシステムを備える超純水製造装置の運転方法としては、装置の稼働時には、開閉バルブすべてを全開にしたまま、給水ポンプを駆動して、供給ラインに一次純水を導入して超純水を製造し、装置の停止時には、給水ポンプの駆動を停止して、供給ラインへの一次純水の導入を停止する方法が一般的である。
【0007】
このように、従来の運転方法では、超純水製造装置の稼働と停止の切り替え時においても、開閉バルブすべてを全開にしたまま、給水ポンプをオン又はオフにしているので、急激な圧力及び流量の変動により、サブシステムの最後段に設けられた膜ろ過装置内に負荷がかかってしまう。つまり、従来の超純水製造装置の運転方法では、長期間の使用によって、粒子の除去を目的として設けられた膜ろ過装置内の中空糸の破断が発生し、逆に微粒子を増加させてしまうという問題がある。また、第三開閉バルブが常に全開であるため、膜ろ過装置の濃縮水の排出側に許容流量以上の超純水が流出してしまうおそれもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、定期メンテナンス等による装置の稼働と停止の切り替え時であっても、サブシステムが備える膜ろ過装置内に負荷がかかるのを回避し、超純水に含まれる微粒子が増加するのを抑制することが可能な超純水製造装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第一に本発明は、一次純水システムと、この一次純水システムで製造された一次純水を処理して超純水を製造するサブシステムとを備え、前記サブシステムが、前記一次純水を貯留するサブタンクと、前記サブタンクとユースポイントとを連通する供給ラインと、前記供給ラインの最下流に設けられる膜ろ過装置と、前記ユースポイントで使用されない超純水を前記サブタンクに返送するための第一返送ラインと、前記膜ろ過装置から排出される濃縮水を前記サブタンクに返送するための第二返送ラインとを備え、前記供給ラインには、前記サブタンクと前記膜ろ過装置との間に給水ポンプ及びこれに続く第一開閉バルブが、前記膜ろ過装置の超純水の排出側に第二開閉バルブがそれぞれ設けられ、前記第二返送ラインには、前記膜ろ過装置の濃縮水の排出側に第三開閉バルブが設けられている超純水製造装置において、前記第一開閉バルブを微開状態、前記第二開閉バルブを全開状態、前記第三開閉バルブを全閉状態とする準備工程と、前記準備工程後、前記第三開閉バルブを全開状態になるまで徐々に開放するとともに、前記給水ポンプによって前記供給ラインの流量を徐々に増加させる運転工程と、前記運転工程後、前記第三開閉バルブを全閉状態になるまで徐々に閉鎖するとともに、前記給水ポンプによって前記供給ラインの流量を徐々に減少させる停止工程とを備える超純水製造装置の運転方法を提供する(発明1)。
【0010】
かかる発明(発明1)によれば、超純水製造装置の稼働前に準備工程を行い、超純水製造装置の稼働時に運転工程を行い、超純水製造装置の停止時に停止工程を行うことで、超純水製造装置の稼働と停止の切り替え時であっても、急激な流量及び圧力変動によってサブシステムが備える膜ろ過装置内に負荷がかかるのを回避することができるので、超純水に含まれる微粒子が増加するのを抑制することができる。
【0011】
上記発明(発明1)においては、前記運転工程及び前記停止工程において、前記給水ポンプによる前記供給ラインの流量の制御を、インバータ制御により行うことが好ましい(発明2)。
【0012】
かかる発明(発明2)によれば、供給ラインの流量の微妙な調整が可能であるため、供給ラインの流量を徐々に増加又は減少させることができるとともに、最適な制御により運転コストの削減が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の超純水製造装置の運転方法によれば、超純水製造装置の稼働前に、第一開閉バルブを微開状態、第二開閉バルブを全開状態、第三開閉バルブを全閉状態とする準備工程を行い、超純水製造装置の稼働時に、第三開閉バルブを全開状態になるまで徐々に開放するとともに、給水ポンプによって供給ラインの流量を徐々に増加させる運転工程を行い、超純水製造装置の停止時に、第三開閉バルブを全閉状態になるまで徐々に閉鎖するとともに、給水ポンプによって供給ラインの流量を徐々に減少させる停止工程を行うことで、超純水製造装置の稼働と停止の切り替え時であっても、急激な流量及び圧力変動によってサブシステムが備える膜ろ過装置内に負荷がかかるのを回避することができるので、超純水に含まれる微粒子が増加するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る運転方法に使用する超純水製造装置が備えるサブシステムの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1のサブシステムの運転方法を示す説明図であって、(a)は準備工程、(b)は運転工程、(c)は停止工程を示している。
【
図3】本発明に係る運転方法に使用する超純水製造装置が備えるサブシステムの別の例を示すブロック図である。
【
図4】超純水製造装置が備える一般的なサブシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔超純水製造装置〕
本発明に係る運転方法について詳細に説明するに当たり、まず当該運転方法を実施するために用いられる超純水製造装置について説明する。当該超純水製造装置は、原水を除濁するための前処理システムと、前処理水に含まれるイオン成分やTOC成分などの不純物を除去するための一次純水システムと、一次純水に含まれる極微量の微粒子等を除去し、より純度の高い超純水を製造するためのサブシステムとを備える。
図1は、本発明に係る運転方法に使用する超純水製造装置が備えるサブシステムの一例を示すブロック図である。
【0016】
〈サブシステム〉
図1に示すサブシステム100は、一次純水W2に含まれる極微量の微粒子や微量イオン、特に低分子の微量有機物のような不純物を除去し、より純度の高い超純水W3を製造するためのものであって、サブタンク1、熱交換器2、膜式脱気装置3、紫外線酸化装置(UV装置)4、イオン交換装置5及び、膜ろ過装置としての限外ろ過膜装置(UF装置)6を主に備える。
【0017】
サブシステム100は、製造された超純水W3をユースポイント(POU)に供給するための供給ラインL1を備え、本実施形態において、サブタンク1、熱交換器2、膜式脱気装置3、UV装置4、イオン交換装置5、UF装置6は、供給ラインL1に、この順に設けられている。供給ラインL1には、サブタンク1と熱交換器2との間に給水ポンプ7及びこれに続く開閉バルブ8が、UF装置6の超純水の排出側に開閉バルブ9がそれぞれ設けられている。また、サブシステム100には、供給ラインL1に加えて、ユースポイントで使用されない超純水W3をサブタンク1に返送するための第一返送ラインR1、UF装置6から排出される濃縮水をサブタンク1に返送するための第二返送ラインR2が付設されている。第二返送ラインR2には、UF装置6の濃縮水の排出側に開閉バルブ10が設けられている。
【0018】
サブタンク1は、主に一次純水システムで製造された一次純水W2を一時的に貯留するためのものである。また、ユースポイントで使用されない超純水W3は第一返送ラインR1を経て、UF装置6から排出される濃縮水は第二返送ラインR2を経て、それぞれサブタンク1に返送されて貯留される。熱交換器2は、ユースポイントで使用される超純水W3の水温を設定するためのものである。膜式脱気装置3は、被処理水(供給ラインL1を流通する一次純水W2)中の溶存酸素量を低減するためのものである。UV装置4は、紫外線照射による酸化処理により、被処理水中に残存するTOC成分を酸化分解するためのものである。イオン交換装置5は、被処理水中の酸化分解されたTOC成分のうち、イオン化した成分を除去し、純度を高めるためのものである。UF装置6は、イオン交換装置5から流出したイオン交換樹脂の微粒子等、ナノメートルサイズの微粒子を除去することで、より純度の高い超純水W3を製造するためのものである。
【0019】
UF装置6としては、特に制限はなく、任意の方式のものを用いることができるが、微粒子数の少ない超純水を製造することに適していることから、外圧式の中空糸膜モジュールを用いるのが好ましい。なお、この外圧式の中空糸膜モジュールは、急激な流量変動によって破断するリスクが高く、破断が生じた場合には破断部分から微粒子が発生(発塵)することで超純水中の微粒子数が大幅に上昇してしまうことから、本発明に係る運転方法を適用するのが望ましい。
【0020】
給水ポンプ7としては、特に制限はなく、超純水製造装置において汎用的に用いられるキャンドポンプや渦巻きポンプを用いることができるが、供給ラインL1の流量の微妙な調整が可能であることから、インバータを併設することでインバータ制御により行うことが好ましい。具体的には、インバータにより給水ポンプ7の周波数を一定周波数(例えば、1Hz/min)ずつ上昇又は低下させることにより、供給ラインL1の流量を制御する。なお、インバータ制御を採用した場合であっても、複数台のポンプを並列使用する大規模な超純水製造装置においては、必ずしも十分な流量変動の緩和効果が得られないことも多いため、本発明に係る運転方法を適用するのが望ましい。
【0021】
開閉バルブ8、開閉バルブ9及び開閉バルブ10としては、特に制限はなく、公知の開閉式バルブを用いることができるが、不図示の制御手段からの電気信号により開閉が可能な電磁バルブを用いるのが好ましい。
【0022】
〔超純水製造装置の運転方法〕
次に、上述した超純水製造装置の運転方法について、
図1及び
図2を参照しつつ、詳説する。なお、
図2では図面の簡略化のため、符号の表示を一部省略している。また、
図2において、開閉バルブ8、9及び10については、全開状態(徐々に開放する場合又は徐々に閉鎖する場合を含む)を白抜きで、全閉状態を黒の塗りつぶしで、微開状態をグレーの塗りつぶしで、それぞれ示している。
【0023】
超純水製造装置の稼働前には、
図2(a)に示すように、サブシステム100において、開閉バルブ8が微開状態、開閉バルブ9が全開状態、開閉バルブ10が全閉状態となるよう、各開閉バルブの開閉状態の制御が行われる(準備工程)。
【0024】
超純水製造装置の稼働時には、まず、原水が前処理システムで処理されることにより、前処理水が生成され、一次純水システムでこの前処理水が処理されることにより、一次純水W2が生成される。生成された一次純水W2は、サブシステム100に供給される。このとき、
図2(b)に示すように、サブシステム100においては、開閉バルブ10を全開状態になるまで徐々に開放するとともに、給水ポンプ7によって供給ラインL1の流量を徐々に増加させるよう、開閉バルブ10の開閉状態の制御及び給水ポンプ7による供給ラインL1の流量の制御が行われる(運転工程)。
【0025】
より具体的には、運転工程において、被処理水(一次純水W2)は、徐々に流量を増加させながら各装置において処理され、最終的にUF装置6において、ナノメートルサイズの微粒子が除去されて、超純水W3が製造される。製造された超純水W3は、ユースポイントに移送される。このとき、UF装置6から排出される濃縮水は、第二返送ラインR2を経て、サブタンク1に返送されて再利用される。また、ユースポイントで使用されない余剰水(超純水W3)は、返送ラインL2を経て、サブタンク1に返送されて再利用される。
【0026】
このように、本実施形態に係る超純水製造装置の運転方法によれば、超純水製造装置の稼働前には、準備工程において、開閉バルブ8を微開状態、開閉バルブ9を全開状態、開閉バルブ10を全閉状態とした後、超純水製造装置の稼働時には、運転工程において、開閉バルブ10を全開状態になるまで徐々に開放するとともに、給水ポンプ7によって供給ラインL1の流量を徐々に増加させているので、急激な流量及び圧力変動によってサブシステム100が備えるUF装置6内に負荷がかかるのを回避することができ、もって、製造される超純水W3に含まれる微粒子が増加するのを抑制することができる。
【0027】
そして、超純水製造装置の停止時には、
図2(c)に示すように、サブシステム100において、開閉バルブ10を全閉状態になるまで徐々に閉鎖するとともに、給水ポンプ7によって供給ラインL1の流量を徐々に減少させるよう、開閉バルブ10の開閉状態の制御及び給水ポンプ7による供給ラインL1の流量の制御が行われる(停止工程)。このように、本実施形態に係る超純水製造装置の運転方法によれば、超純水製造装置の停止時にも、停止工程において、開閉バルブ10を全閉状態になるまで徐々に閉鎖するとともに、給水ポンプ7によって供給ラインL1の流量を徐々に減少させているので、急激な流量及び圧力変動によってサブシステム100が備えるUF装置6内に負荷がかかるのを回避することができる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して説明してきたが、本発明は上記実施形態に限らず種々の変更実施が可能である。例えば、本発明は、
図1に示すサブシステム100に限らず、種々の形式のサブシステムに適用可能であって、
図3に示すサブシステム101のように、供給ラインL1に、サブタンク1と熱交換器2との間に設けられる第一の給水ポンプとしてのサブポンプ71及びこれに続く開閉バルブ81に加えて、UV装置4とイオン交換装置5との間に、第二の給水ポンプとしてのブースターポンプ72及びこれに続く開閉バルブ82が設けられていてもよい。
【0029】
図3に示すサブシステム101の運転方法は次の通りである。超純水製造装置の稼働前には、開閉バルブ81及び開閉バルブ82を共に微開状態、開閉バルブ9を全開状態、開閉バルブ10を全閉状態とする準備工程を行い、超純水製造装置の稼働時には、開閉バルブ10を全開状態になるまで徐々に開放するとともに、サブポンプ71及びブースターポンプ72によって供給ラインL1の流量を徐々に増加させる運転工程を行い、超純水製造装置の停止時には、開閉バルブ10を全閉状態になるまで徐々に閉鎖するとともに、サブポンプ71及びブースターポンプ72によって供給ラインL1の流量を徐々に減少させる停止工程を行う。
【0030】
また、上記実施形態においては、サブシステムの最後段に設置される膜ろ過装置として、限外ろ過膜装置(UF装置)を用いているが、UF装置の代わりに、精密ろ過膜装置(MF装置)を採用した場合であっても、本発明の超純水製造装置の運転方法は適用可能である。
【実施例】
【0031】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳説するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
〔実施例〕
図3に示すサブシステム101を備える超純水製造装置を用いて、上述の運転方法により、超純水の製造を行い、製造された超純水に含まれる微粒子を測定した。具体的には、超純水製造装置の定期メンテナンスによる稼働と停止の切り替えに当たって、装置の稼働前には、開閉バルブ81及び開閉バルブ82を共に微開状態、開閉バルブ9を全開状態、開閉バルブ10を全閉状態とする準備工程を行い、装置の稼働時には、開閉バルブ10を全開状態になるまで徐々に開放するとともに、サブポンプ71及びブースターポンプ72によって供給ラインL1の流量を徐々に増加させる運転工程を行った。そして、装置の停止時には、開閉バルブ10を全閉状態になるまで徐々に閉鎖するとともに、サブポンプ71及びブースターポンプ72によって供給ラインL1の流量を徐々に減少させる停止工程を行った。
【0033】
〔結果〕
超純水製造装置の稼働時に製造された超純水に含まれる微粒子数は、粒子径>0.05μmが0.25個/mL、粒子径>0.1μmが0.03個/mLであったのに対して、定期メンテナンスによる停止後の再稼働時に製造された超純水に含まれる微粒子数は、粒子径>0.05μmが0.21個/mL、粒子径>0.1μmが0.01個/mLであった。
【0034】
上記結果より、超純水製造装置の定期メンテナンスによる稼働と停止の切り替えの前後であっても、超純水に含まれる微粒子数にほとんど変化はなく、水質の安定した超純水をユースポイント(POU)に供給することが可能であることが分かる。
【0035】
以上説明したように、本発明の超純水製造装置の運転方法によれば、超純水製造装置の稼働前に、第一開閉バルブを微開状態、第二開閉バルブを全開状態、第三開閉バルブを全閉状態とする準備工程を行い、超純水製造装置の稼働時に、第三開閉バルブを全開状態になるまで徐々に開放するとともに、給水ポンプによって供給ラインの流量を徐々に増加させる運転工程を行い、超純水製造装置の停止時に、第三開閉バルブを全閉状態になるまで徐々に閉鎖するとともに、給水ポンプによって供給ラインの流量を徐々に減少させる停止工程を行うことで、超純水製造装置の稼働と停止の切り替え時であっても、急激な流量及び圧力変動によってサブシステムが備える膜ろ過装置内に負荷がかかるのを回避することができるので、超純水に含まれる微粒子が増加するのを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、半導体の製造工程に使用される超純水の製造装置の運転方法として有用である。
【符号の説明】
【0037】
100、101 サブシステム
1 サブタンク
2 熱交換器
3 膜式脱気装置
4 UV装置
5 イオン交換装置
6 膜ろ過装置(UF装置)
7 給水ポンプ
71 サブポンプ
72 ブースターポンプ
8、9、10 開閉バルブ
L1 供給ライン
R1 第一返送ライン
R2 第二返送ライン
W2 一次純水
W3 超純水
POU ユースポイント