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特許7031598感光性着色組成物、硬化物、着色スペーサー、画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】感光性着色組成物、硬化物、着色スペーサー、画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20220301BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220301BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220301BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20220301BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20220301BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20220301BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/027 515
G02B5/20 101
C08F2/50
C08F2/44 B
C08F290/00
G02F1/1339 500
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018545051
(86)(22)【出願日】2017-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2017037013
(87)【国際公開番号】W WO2018070477
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2016202697
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017172544
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】裴 麗華
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦哉
(72)【発明者】
【氏名】中谷 和裕
(72)【発明者】
【氏名】沢井 良尚
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-139137(JP,A)
【文献】特開平07-098409(JP,A)
【文献】特開2003-330186(JP,A)
【文献】特開2009-092924(JP,A)
【文献】特開2013-190573(JP,A)
【文献】特開2016-164623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004 - 7/18
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)着色剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)光重合開始剤、(d)エチレン性不飽和化合物、(e)溶剤、及び(f)分散剤を含有する感光性着色組成物であって、
前記感光性着色組成物の全固形分に占める前記(a)着色剤の含有割合が20質量%以上であり、
前記(b)アルカリ可溶性樹脂が、下記式(I)で表される部分構造(1)を有するアルカリ可溶性樹脂(b-1)を含有し、前記アルカリ可溶性樹脂(b-1)が、下記式(III)で表される部分構造を有することを特徴とする感光性着色組成物。
【化1】
(式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表し;
2、R3、R5及びR6は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し;
4はn+1価の連結基を表し;
7は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表し;
l及びmは各々独立に、0~12の整数を表し;
nは3以上の整数を表し;
*は結合手を表す。)
【化2】
(上記式(III)中、Rはエポキシ樹脂残基を表し;
pは1以上の整数を表し;
*は結合手を表す。)
【請求項2】
前記式(III)で表される部分構造が、下記式(III-1)で表される部分構造、下記式(III-2)で表される部分構造、下記式(III-3)で表される部分構造、及び下記式(III-4)で表される部分構造からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の感光性着色組成物。
【化3】
(上記式(III-1)中、γは2価の連結基を表し;
式(III-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。)
【化4】
(上記式(III-2)中、上記式(III-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。)
【化5】
(上記式(III-3)中、R10は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し;
式(III-3)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。)
【化6】
(上記式(III-4)中、γは2価の連結基を表し;
式(III-4)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。)
【請求項3】
前記アルカリ可溶性樹脂(b-1)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1000以上である、請求項1又は2に記載の感光性着色組成物。
【請求項4】
前記感光性着色組成物の全固形分に占める前記アルカリ可溶性樹脂(b-1)の含有割合が1質量%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項5】
前記(b)アルカリ可溶性樹脂が、さらにエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項6】
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)が、下記一般式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii)である、請求項に記載の感光性着色組成物。
【化7】
(式(ii)中、Rcは各々独立に、水素原子又はメチル基を表し;
dは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表し;
及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基を表し;
m及びnは各々独立に、0~2の整数を表し;
*は結合手を表す。)
【請求項7】
前記(a)着色剤が、有機着色顔料を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項8】
前記有機着色顔料が、赤色顔料及び橙色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する、請求項に記載の感光性着色組成物。
【請求項9】
前記(a)着色剤が、黒色顔料を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項10】
前記黒色顔料が、カーボンブラック及び有機黒色顔料の一方又は両方を含有する、請求項に記載の感光性着色組成物。
【請求項11】
前記有機黒色顔料が、下記一般式(1)で表される化合物、前記化合物の幾何異性体、前記化合物の塩、及び前記化合物の幾何異性体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む有機黒色顔料である、請求項10に記載の感光性着色組成物。
【化8】
(式(1)中、R11及びR16は各々独立に、水素原子、CH3、CF3、フッ素原子又は塩素原子を表し;
12、R13、R14、R15、R17、R18、R19及びR20は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、R21、COOH、COOR21、COO-、CONH2、CONHR21、CONR2122、CN、OH、OR21、COCR21、OOCNH2、OOCNHR21、OOCNR2122、NO2、NH2、NHR21、NR2122、NHCOR22、NR21COR22、N=CH2、N=CHR21、N=CR2122、SH、SR21、SOR21、SO221、SO321、SO3H、SO3 -、SO2NH2、SO2NHR21又はSO2NR2122を表し;
かつ、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R17とR18、R18とR19、及びR19とR20からなる群から選ばれる少なくとも1つの組み合わせは、互いに直接結合し、又は酸素原子、硫黄原子、NH若しくはNR21ブリッジによって互いに結合することもでき;
21及びR22は各々独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数3~12のシクロアルケニル基又は炭素数2~12のアルキニル基である。)
【請求項12】
硬化した塗膜の膜厚1μm当たりの光学濃度が1.0以上である、請求項1~11のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項13】
着色スペーサー形成用である、請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の感光性着色組成物を硬化して得られる硬化物。
【請求項15】
請求項14の硬化物から形成される着色スペーサー。
【請求項16】
請求項15の着色スペーサーを備える画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物等に関する。詳しくは、例えば画像表示装置等において着色スペーサー等の形成に好ましく用いられる感光性着色組成物、この感光性着色組成物を硬化して得られる硬化物、この硬化物から形成される着色スペーサー、この着色スペーサーを備える画像表示装置に関する。
2016年10月14日に日本国特許庁に出願された日本国特願2016-202697、及び2017年9月7日に日本国特許庁に出願された日本国特願2017-172544の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容、並びに、本明細書で引用された文献等に開示された内容の一部又は全部をここに引用し、本明細書の開示内容として取り入れる。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は液晶への電圧のオン・オフにより液晶分子の並び方が切り替わる性質を利用している。一方、LCDのセルを構成する各部材は、フォトリソグラフィーに代表される、感光性組成物を利用した方法によって形成されるものが多い。この感光性組成物は、微細な構造を形成し易く、大画面用の基板に対しての処理もし易いといった理由からも、今後さらに感光性組成物の適用範囲は広がる傾向にある。
【0003】
しかしながら、感光性組成物を用いたLCDでは、感光性組成物自体の電気特性や、感光性組成物中に含まれる不純物の影響で、液晶にかかる電圧が保持されず、これによってディスプレイの表示ムラといった問題が発生する場合がある。特に、カラー液晶ディスプレイにおいて液晶層により近い部材、例えば、液晶パネルにおける2枚の基板の間隔を一定に保つために使用されているもの、所謂、柱状スペーサー、フォトスペーサーなどではその影響は大きい。
【0004】
従来、透明スペーサーをTFT型LCDに使用する場合、スペーサーを透過してくる光によりスイッチング素子としてのTFTが誤作動を起こすことがあった。これを防止するため、例えば、特許文献1には、遮光性を有するスペーサー(着色スペーサー)を用いる方法が記載されている。また、特許文献2には、遮光性と液晶の電圧保持率を確保した上で、形状や段差のコントロールが可能で、基板との密着性に優れた着色スペーサーが得られるものとして、特定の組み合わせの顔料を含む着色感光性組成物が提案されている。
【0005】
一方で、ディスプレイ用感光性組成物には、高い硬化性や優れた機械的特性が要求される場合がある。液晶パネル製造時には、カラーフィルターと基板とを高温高圧下で圧着する工程を経るため、この圧着時の高温高圧条件によっても変形せず、スペーサー機能が維持されるという物性が要求される。即ち、外部圧力により変形しても、外部圧力が除かれた場合には元の形状に戻るための、回復率、弾性復元率等の機械的特性が、スペーサーとして必要とされる。この機械的特性を満たすものとして、従来、多官能アクリレートモノマーの含有量が特定範囲である樹脂組成物等が提案されている(特許文献3参照)。
また、機械的特性に優れ、さらにパターン精度、基板密着性にすぐれるものとして、特定の樹脂を含有する硬化性組成物等が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特開平8-234212号公報
【文献】国際公開第2013/115268号
【文献】日本国特開2002-174812号公報
【文献】日本国特開2006-312704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、パネル構造の変化に伴い、着色スペーサーの遮光性をさらに高くする要求がある。遮光性を高くする方法としては、感光性着色組成物中の着色剤の含有割合を高くする方法などが挙げられる。本発明者らが検討したところ、着色剤の含有割合を高くした感光性着色組成物を用いて着色スペーサーを形成した場合、その上層膜となる配向膜を形成する際の溶剤に対する、着色剤由来の不純物の溶出量が増え、その結果、LCDの表示信頼性を悪化させるといった問題があることが見出された。さらに、着色剤の含有割合を高くするにつれスペーサーの硬化に寄与する硬化性成分が減るため、スペーサーの機械的特性が悪くなる問題があることも見出された。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、遮光性が高く、耐溶剤性及び機械的特性に優れたパターンを形成することが可能な感光性着色組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、感光性着色組成物において、着色剤の含有割合が特定値以上で、特定のアルカリ可溶性樹脂を用いることで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の[1]~[16]の構成を有する。
【0011】
[1](a)着色剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)光重合開始剤、(d)エチレン性不飽和化合物、(e)溶剤、及び(f)分散剤を含有する感光性着色組成物であって、
前記感光性着色組成物の全固形分に占める前記(a)着色剤の含有割合が20質量%以上であり、
前記(b)アルカリ可溶性樹脂が、下記式(I)で表される部分構造(1)を有するアルカリ可溶性樹脂(b-1)を含有することを特徴とする感光性着色組成物。
【0012】
【化1】
【0013】
(式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表し;
2、R3、R5及びR6は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し;
4はn+1価の連結基を表し;
7は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表し;
l及びmは各々独立に、0~12の整数を表し;
nは3以上の整数を表し;
*は結合手を表す。)
【0014】
[2](a)着色剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)光重合開始剤、(d)エチレン性不飽和化合物、(e)溶剤、及び(f)分散剤を含有する感光性着色組成物であって、
前記感光性着色組成物の全固形分に占める前記(a)着色剤の含有割合が20質量%以上であり、
前記(b)アルカリ可溶性樹脂が、二重結合当量が400以下であるアルカリ可溶性樹脂(b-1)を含有することを特徴とする感光性着色組成物。
【0015】
[3]前記アルカリ可溶性樹脂(b-1)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1000以上である、[1]又は[2]に記載の感光性着色組成物。
[4]前記感光性着色組成物の全固形分に占める前記アルカリ可溶性樹脂(b-1)の含有割合が1質量%以上である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
[5]前記(b)アルカリ可溶性樹脂が、さらにエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)を含有する、[1]~[4]のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
[6]前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)が、下記一般式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii)である、[5]に記載の感光性着色組成物。
【0016】
【化2】
【0017】
(式(ii)中、Rcは各々独立に、水素原子又はメチル基を表し;
dは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表し;
及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基を表し;
m及びnは各々独立に、0~2の整数を表し;
*は結合手を表す。)
【0018】
[7]前記(a)着色剤が、有機着色顔料を含有する、[1]~[6]のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
[8]前記有機着色顔料が、赤色顔料及び橙色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する、[7]に記載の感光性着色組成物。
[9]前記(a)着色剤が、黒色顔料を含有する、[1]~[8]のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
[10]前記黒色顔料が、カーボンブラック及び有機黒色顔料の一方又は両方を含有する、[9]に記載の感光性着色組成物。
[11]前記有機黒色顔料が、下記一般式(1)で表される化合物、前記化合物の幾何異性体、前記化合物の塩、及び前記化合物の幾何異性体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む有機黒色顔料である、[10]に記載の感光性着色組成物。
【0019】
【化3】
【0020】
(式(1)中、R11及びR16は各々独立に、水素原子、CH3、CF3、フッ素原子又は塩素原子を表し;
12、R13、R14、R15、R17、R18、R19及びR20は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、R21、COOH、COOR21、COO-、CONH2、CONHR21、CONR2122、CN、OH、OR21、COCR21、OOCNH2、OOCNHR21、OOCNR2122、NO2、NH2、NHR21、NR2122、NHCOR22、NR21COR22、N=CH2、N=CHR21、N=CR2122、SH、SR21、SOR21、SO221、SO321、SO3H、SO3 -、SO2NH2、SO2NHR21又はSO2NR2122を表し;
かつ、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R17とR18、R18とR19、及びR19とR20からなる群から選ばれる少なくとも1つの組み合わせは、互いに直接結合し、又は酸素原子、硫黄原子、NH若しくはNR21ブリッジによって互いに結合することもでき;
21及びR22は各々独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数3~12のシクロアルケニル基又は炭素数2~12のアルキニル基である。)
【0021】
[12]硬化した塗膜の膜厚1μm当たりの光学濃度が1.0以上である、[1]~[11]のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
[13]着色スペーサー形成用である、[1]~[12]のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【0022】
[14][1]~[13]のいずれか1項に記載の感光性着色組成物を硬化して得られる硬化物。
[15][14]の硬化物から形成される着色スペーサー。
[16][15]の着色スペーサーを備える画像表示装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、遮光性が高く、耐溶剤性及び機械的特性に優れたパターンを形成することが可能な感光性着色組成物を提供することができる。また、遮光性に優れ、耐溶剤性及び機械的特性に優れた硬化物及び着色スペーサーを提供することができ、さらに、このような着色スペーサーを備える画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及びメタクリルの一方又は両方」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
【0025】
「(共)重合体」とは、単一重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)の双方を含むことを意味し、「酸(無水物)」、「(無水)…酸」とは、酸とその無水物の双方を含むことを意味する。また、本発明において「アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸を含む(共)重合体、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体を意味する。
【0026】
また、本発明において「モノマー」とは、いわゆる高分子物質(ポリマー)に相対する用語であり、狭義の単量体(モノマー)の外に、二量体、三量体、オリゴマー等も含む意味である。
本発明において「全固形分」とは、感光性着色組成物中又は後述するインク中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
また、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表される値である。なお、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定により算出される。
【0027】
また、本明細書において、「質量」で表される百分率や部は「重量」で表される百分率や部と同義である。
【0028】
[感光性着色組成物]
本発明の感光性着色組成物は、
(a)着色剤
(b)アルカリ可溶性樹脂
(c)光重合開始剤
(d)エチレン性不飽和化合物
(e)溶剤
(f)分散剤
を必須成分として含有する。
また、本発明の感光性着色組成物は、必要に応じて、さらにシランカップリング剤等の密着向上剤、界面活性剤(塗布性向上剤)、顔料誘導体、光酸発生剤、架橋剤、メルカプト化合物、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等、その他の配合成分を含むものであってもよく、通常、各配合成分が、溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
【0029】
本発明の第1の態様に係る感光性着色組成物は、感光性着色組成物の全固形分に占める(a)着色剤の含有割合が20質量%以上であり、かつ、(b)アルカリ可溶性樹脂が、後述の式(I)で表される部分構造(1)を有するアルカリ可溶性樹脂(b-1)を含有する。
他方、本発明の第2の態様に係る感光性着色組成物は、感光性着色組成物の全固形分に占める(a)着色剤の含有割合が20質量%以上であり、かつ、(b)アルカリ可溶性樹脂が、二重結合当量が400以下であるアルカリ可溶性樹脂(b-1)を含有する。
以下、特に断りがない限り、「本発明の感光性着色組成物」は、前記第1の態様に係る感光性着色組成物と、第2の態様に係る感光性着色組成物の両方を指す。また、特に断りがない限り「アルカリ可溶性樹脂(b-1)」とは、第1の態様に係る「アルカリ可溶性樹脂(b-1)」と第2の態様に係る「アルカリ可溶性樹脂(b-1)」の両方を指す。
【0030】
<(a)着色剤>
本発明の感光性着色組成物は、(a)着色剤を含有する。(a)着色剤を含有することで、適度な光吸収性、特に着色スペーサーなどの遮光部材を形成する用途に用いる場合には適度な遮光性を得ることができる。
また、本発明の感光性着色組成物は、全固形分に占める(a)着色剤の含有割合が20質量%以上である。このように(a)着色剤を所定量以上含有することにより、得られる硬化物、特に着色スペーサーの遮光性が高くなる。一方で、全固形分中に占める着色剤の割合が高くなる反面、光硬化に寄与する樹脂やモノマー等の硬化性成分の含有割合が相対的に低くなり、さらに、着色剤の含有割合が高くなることで露光時に着色剤に吸収される紫外光の割合も高くなる傾向にもあり、それらの結果として、硬化物の架橋密度が低くなり、耐溶剤性や機械的特性が悪化する傾向がある。
【0031】
本発明で用いる(a)着色剤の種類は特に限定されず、顔料を用いてもよいし、染料を用いてもよい。これらの中でも、耐久性の観点から、顔料を用いることが好ましい。
【0032】
(a)着色剤に含まれる顔料は、1種単独でもよいし、2種以上であってもよい。特に、可視領域において均一に遮光するとの観点からは、2種以上であることが好ましい。
(a)着色剤として用いることができる顔料の種類は特に限定されないが、例えば、有機顔料や無機顔料が挙げられる。これらの中でも、液晶の電圧保持率の低下を抑制し、また、紫外線の吸収を抑制して形状や段差をコントロールしやすくするとの観点からは、有機顔料を用いることが好ましい。
有機顔料としては、有機着色顔料や有機黒色顔料が挙げられる。ここで、有機着色顔料とは、黒色以外の色を呈する有機顔料のことを意味し、赤色顔料、橙色顔料、青色顔料、紫色顔料、緑色顔料、黄色顔料等が挙げられる。
【0033】
有機顔料の中でも、遮光性や紫外線吸収性の観点から有機着色顔料を用いることが好ましい。
有機着色顔料は、1種を単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。特に、遮光性の用途に用いる場合には、色の異なる有機着色顔料を組み合わせて用いることがより好ましく、黒に近い色を呈する有機着色顔料の組み合わせを用いることがさらに好ましい。
【0034】
これらの有機顔料の化学構造は特に限定されないが、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等が挙げられる。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0035】
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、遮光性、分散性の観点から好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、149、168、177、179、194、202、206、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。なお、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントレッド177、254、272を用いることが好ましく、感光性着色組成物を紫外線で硬化させる場合には、赤色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、係る観点からはC.I.ピグメントレッド254、272を用いることがより好ましい。
【0036】
橙色(オレンジ)顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも分散性や遮光性の観点から、C.I.ピグメントオレンジ13、43、64、72を用いることが好ましく、感光性着色組成物を紫外線で硬化させる場合には、オレンジ顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、係る観点からはC.I.ピグメントオレンジ64、72を用いることがより好ましい。
【0037】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、遮光性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、さらに好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
なお、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントブルー15:6、16、60を用いることが好ましく、感光性着色組成物を紫外線で硬化させる場合には、青色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、かかる観点からはC.I.ピグメントブルー60を用いることがより好ましい。
【0038】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、遮光性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、さらに好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
なお、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントバイオレット23、29を用いることが好ましく、感光性着色組成物を紫外線で硬化させる場合には、紫色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、係る観点からはC.I.ピグメントバイオレット29を用いることがより好ましい。
【0039】
赤色顔料、橙色顔料、青色顔料、紫色顔料の他に用いることができる有機着色顔料としては例えば、緑色顔料、黄色顔料などを挙げることができる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36を挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
【0040】
これらの中でも、遮光性や、形状及び段差のコントロールの観点から、赤色顔料、橙色顔料、青色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0041】
これらの中でも、遮光性や、形状及び段差のコントロールの観点からは、以下の顔料のうち少なくとも1種以上を含有するものとすることが好ましい。
赤色顔料:カラーインデックスピグメントレッド177、254、272
橙色顔料:カラーインデックスピグメントオレンジ43、64、72
青色顔料:カラーインデックスピグメントブルー15:6、60
紫色顔料:カラーインデックスピグメントバイオレット23、29
【0042】
また、有機着色顔料を2種以上併用する場合の、有機着色顔料の組み合わせについては特に限定されないが、遮光性の観点から、赤色顔料及び橙色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有することが好ましい。
なお、色の組み合わせについては特に限定されないが、遮光性の観点からは例えば、赤色顔料と青色顔料の組み合わせ、青色顔料と橙色顔料の組み合わせ、青色顔料と橙色顔料と紫色顔料の組み合わせなどが挙げられる。
【0043】
さらに、これらの有機着色顔料以外に、黒色顔料を用いてもよい。また、有機着色顔料に加えて、さらに黒色顔料を用いてもよい。
黒色顔料としては、無機黒色顔料や有機黒色顔料が挙げられるが、遮光性の観点から、カーボンブラック及び有機黒色顔料の一方又は両方を含有することが好ましい。
【0044】
黒色顔料の中でも、液晶の電圧保持率の低下を抑制し、また、紫外線の吸収を抑制して形状や段差をコントロールしやすくするとの観点からは、有機黒色顔料を用いることが好ましく、特に遮光性の観点からは、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」とも言う。)、化合物(1)の幾何異性体、化合物(1)の塩、及び化合物(1)の幾何異性体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む有機黒色顔料(以下、「一般式(1)で表される有機黒色顔料」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
【0045】
【化4】
【0046】
式(1)中、R11及びR16は各々独立に、水素原子、CH3、CF3、フッ素原子又は塩素原子を表し;
12、R13、R14、R15、R17、R18、R19及びR20は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、R21、COOH、COOR21、COO-、CONH2、CONHR21、CONR2122、CN、OH、OR21、COCR21、OOCNH2、OOCNHR21、OOCNR2122、NO2、NH2、NHR21、NR2122、NHCOR22、NR21COR22、N=CH2、N=CHR21、N=CR2122、SH、SR21、SOR21、SO221、SO321、SO3H、SO3 -、SO2NH2、SO2NHR21又はSO2NR2122を表し;かつ、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R17とR18、R18とR19、及びR19とR20からなる群から選ばれる少なくとも1つの組み合わせは、互いに直接結合し、又は酸素原子、硫黄原子、NH若しくはNR21ブリッジによって互いに結合することもでき;R21及びR22は各々独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数3~12のシクロアルケニル基又は炭素数2~12のアルキニル基である。
【0047】
化合物(1)及び化合物(1)の幾何異性体は、以下のコア構造を有し(ただし、構造式中の置換基は省略している)、トランス-トランス異性体が恐らく最も安定である。
【0048】
【化5】
【0049】
化合物(1)がアニオン性である場合、その電荷を任意の公知の適したカチオン、例えば金属、有機、無機又は金属有機カチオン、具体的にはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、一級アンモニウム、二級アンモニウム、トリアルキルアンモニウムなどの三級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどの四級アンモニウム又は有機金属錯体によって補償した塩であることが好ましい。また、化合物(1)の幾何異性体がアニオン性である場合、同様の塩であることが好ましい。
【0050】
一般式(1)の置換基及びそれらの定義においては、遮蔽率が高くなる傾向があることから、以下のものが好ましい。これは、以下の置換基は吸収がなく、顔料の色相に影響しないと考えられるからである。
12、R14、R15、R17、R19及びR20は各々独立に、好ましくは水素原子、フッ素原子、又は塩素原子であり、さらに好ましくは水素原子である。
13及びR18は各々独立に、好ましくは水素原子、NO2、OCH3、OC25、臭素原子、塩素原子、CH3、C25、N(CH32、N(CH3)(C25)、N(C252、α-ナフチル、β-ナフチル、SO3H又はSO3 -であり、さらに好ましくは水素原子又はSO3Hであり、特に好ましくは水素原子である。
【0051】
11及びR16は各々独立に、好ましくは水素原子、CH3又はCF3であり、さらに好ましくは水素原子である。
好ましくは、R11とR16、R12とR17、R13とR18、R14とR19、及びR15とR20からなる群から選ばれる少なくとも1つの組み合わせが同一であり、より好ましくは、R11はR16と同一であり、R12はR17と同一であり、R13はR18と同一であり、R14はR19と同一であり、かつ、R15はR20と同一である。
【0052】
炭素数1~12のアルキル基は、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基又はドデシル基である。
【0053】
炭素数3~12のシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、トリメチルシクロヘキシル基、ツジル基、ノルボルニル基、ボルニル基、ノルカリル基、カリル基、メンチル基、ノルピニル基、ピニル基、アダマンタン-1-イル基又はアダマンタン-2-イル基である。
【0054】
炭素数2~12のアルケニル基は、例えば、ビニル基、アリル基、2-プロペン-2-イル基、2-ブテン-1-イル基、3-ブテン-1-イル基、1,3-ブタジエン-2-イル基、2-ペンテン-1-イル基、3-ペンテン-2-イル基、2-メンチル-1-ブテン-3-イル基、2-メチル-3-ブテン-2-イル基、3-メチル-2-ブテン-1-イル基、1,4-ペンタジエン-3-イル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基又はドデセニル基である。
【0055】
炭素数3~12のシクロアルケニル基は、例えば、2-シクロブテン-1-イル基、2-シクロペンテン-1-イル基、2-シクロヘキセン-1-イル基、3-シクロヘキセン-1-イル基、2,4-シクロヘキサジエン-1-イル基、1-p-メンテン-8-イル基、4(10)-ツジェン-10-イル基、2-ノルボルネン-1-イル基、2,5-ノルボルナジエン-1-イル基、7,7-ジメチル-2,4-ノルカラジエン-3-イル基又はカンフェニル基である。
【0056】
炭素数2~12のアルキニル基は、例えば、1-プロピン-3-イル基、1-ブチン-4-イル基、1-ペンチン-5-イル基、2-メチル-3-ブチン-2-イル基、1,4-ペンタジイン-3-イル基、1,3-ペンタジイン-5-イル基、1-ヘキシン-6-イル基、シス-3-メチル-2-ペンテン-4-イン-1-イル基、トランス-3-メチル-2-ペンテン-4-イン-1-イル基、1,3-ヘキサジイン-5-イル基、1-オクチン-8-イル基、1-ノニン-9-イル基、1-デシン-10-イル基又は1-ドデシン-12-イル基である。
【0057】
ハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0058】
前記一般式(1)で表される有機黒色顔料は、好ましくは下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」とも言う。)、及び化合物(2)の幾何異性体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む有機黒色顔料である。
【0059】
【化6】
【0060】
このような有機黒色顔料の具体例としては、商品名で、Irgaphor(登録商標) Black S 0100 CF(BASF社製)が挙げられる。
この有機黒色顔料は、好ましくは後述される分散剤、溶剤、方法によって分散して使用される。また、分散の際に化合物(1)のスルホン酸誘導体、特に化合物(2)のスルホン酸誘導体が存在すると、分散性や保存性が向上する場合があるため、有機黒色顔料がこれらのスルホン酸誘導体を含むことが好ましい。
【0061】
前記一般式(1)で表される有機黒色顔料以外の有機黒色顔料としては、例えば、アニリンブラックやペリレンブラック等が挙げられる。
【0062】
一方で、無機黒色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、シアニンブラック、チタンブラック等が挙げられる。これらの中でも、遮光性、画像特性の観点からカーボンブラックを好ましく用いることができる。カーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
【0063】
三菱ケミカル社製:MA7、MA8、MA11、MA77、MA100、MA100R、MA100S、MA220、MA230、MA600、MCF88、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#900、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#2650、#3030、#3050、#3150、#3250、#3400、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B
デグサ社製:Printex(登録商標、以下同じ。)3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black
FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170
キャボット社製:Monarch(登録商標、以下同じ。)120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL(登録商標、以下同じ。)99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN(登録商標、以下同じ。) XC72R、ELFTEX(登録商標)-8
ビルラー社製:RAVEN(登録商標、以下同じ。)11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
【0064】
カーボンブラックは、樹脂で被覆されたものを使用してもよい。樹脂で被覆されたカーボンブラックを使用すると、ガラス基板への密着性や体積抵抗値が向上する効果がある。樹脂で被覆されたカーボンブラックとしては、例えば日本国特開平09-71733号公報に記載されているカーボンブラック等が好適に使用できる。体積抵抗や誘電率の点で、樹脂被覆カーボンブラックが好適に用いられる。
【0065】
樹脂による被覆処理に供するカーボンブラックとしては、NaとCaの合計含有量が100ppm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常、製造時の原料油や燃焼油(又はガス)、反応停止水や造粒水、さらには反応炉の炉材等から混入したNaやCa、K、Mg、Al、Fe等を組成とする灰分が含有されている。この内、NaやCaは、各々数百ppm以上含有されているのが一般的であるが、これらを少なくすることで、透明電極(ITO)やその他の電極への浸透を抑制して、電気的短絡を防止できる傾向がある。
【0066】
これらのNaやCaを含む灰分の含有量を低減する方法としては、カーボンブラックを製造する際の原料油や燃料油(又はガス)並びに反応停止水として、これらの含有量が極力少ない物を厳選すること及びストラクチャーを調整するアルカリ物質の添加量を極力少なくすることにより可能である。他の方法としては、炉から製出したカーボンブラックを水や塩酸等で洗いNaやCaを溶解し除去する方法が挙げられる。
【0067】
具体的にはカーボンブラックを水、塩酸、又は過酸化水素水に混合分散させた後、水に難溶の溶媒を添加していくとカーボンブラックは溶媒側に移行し、水と完全に分離すると共にカーボンブラック中に存在した殆どのNaやCaは、水や酸に溶解、除去される。NaとCaの合計量を100ppm以下に低減するためには、原材料を厳選したカーボンブラック製造過程単独、又は水や酸溶解方式単独でも可能な場合もあるが、この両方式を併用することによりさらに容易にNaとCaの合計量を100ppm以下とすることができる。
【0068】
また樹脂被覆カーボンブラックは、pH6以下のいわゆる酸性カーボンブラックであることが好ましい。水中での分散径(アグロメレート径)が小さくなるので、微細ユニットまでの被覆が可能となり好適である。さらに平均粒子径40nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸収量140mL/100g以下であることが好ましい。前記範囲内とすることで、遮光性の良好な塗膜が得られる傾向がある。平均粒子径は数平均粒子径を意味し、電子顕微鏡観察により数万倍で撮影された写真を数視野撮影し、これらの写真の粒子を画像処理装置により2000~3000個程度計測する粒子画像解析により求められる円相当径を意味する。
【0069】
樹脂で被覆されたカーボンブラックを調製する方法には特に限定がないが、例えばカーボンブラック及び樹脂の配合量を適宜調整した後、1.樹脂とシクロヘキサノン、トルエン、キシレンなどの溶剤とを混合して加熱溶解させた樹脂溶液と、カーボンブラック及び水を混合した懸濁液とを混合撹拌し、カーボンブラックと水とを分離させた後、水を除去して加熱混練して得られた組成物をシート状に成形し、粉砕した後、乾燥させる方法;2.前記と同様にして調製した樹脂溶液と懸濁液とを混合撹拌してカーボンブラック及び樹脂を粒状化した後、得られた粒状物を分離、加熱して残存する溶剤及び水を除去する方法;3.前記例示した溶剤にマレイン酸、フマル酸などのカルボン酸を溶解させ、カーボンブラックを添加、混合して乾燥させ、溶剤を除去してカルボン酸添着カーボンブラックを得た後、これに樹脂を添加してドライブレンドする方法;4.被覆させる樹脂を構成する反応性基含有モノマー成分と水とを高速撹拌して懸濁液を調製し、重合後冷却して重合体懸濁液から反応性基含有樹脂を得た後、これにカーボンブラックを添加して混練し、カーボンブラックと反応性基とを反応させ(カーボンブラックをグラフトさせ)、冷却及び粉砕する方法などを採用することができる。
【0070】
被覆処理する樹脂の種類も特に限定されるものではないが、合成樹脂が一般的であり、さらに構造の中にベンゼン環を有する樹脂の方が両性系界面活性剤的な働きがより強いため、分散性及び分散安定性の点から好ましい。
具体的な合成樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、等の熱可塑性樹脂が使用できる。被覆樹脂の量は、カーボンブラックと樹脂の合計量に対し1~30質量%が好ましい。前記下限値以上とすることで被覆を十分なものとすることができる傾向がある。一方、前記上限値以下とすることで、樹脂同士の粘着を防ぎ、分散性が良好なものとすることができる傾向がある。
【0071】
このようにして樹脂で被覆処理してなるカーボンブラックは、常法に従い着色スペーサーの着色剤として用いることができ、この着色スペーサーを構成要素とするカラーフィルターを常法により作成することができる。このようなカーボンブラックを用いると、高遮光率でかつ表面反射率が低い着色スペーサーが低コストで形成できる傾向がある。また、カーボンブラック表面を樹脂で被覆したことにより、NaやCaを含む灰分をカーボンブラック中に封じ込める働きがあることも推測される。
【0072】
これらの顔料は、平均粒子径が通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.25μm以下となるよう、分散して用いることが好ましい。ここで平均粒子径の基準は顔料粒子の数である。
また、顔料の平均粒子径は、動的光散乱(DLS)により測定された顔料粒子径から求めた値である。粒子径測定は、十分に希釈された感光性着色組成物(通常は希釈して、顔料濃度0.005~0.2質量%程度に調製する。但し、測定機器により推奨された濃度があれば、その濃度に従う。)に対して行い、25℃にて測定する。
【0073】
また、上述の有機着色顔料、黒色顔料の他に、染料を使用してもよい。着色剤として使用できる染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
【0074】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0075】
<(b)アルカリ可溶性樹脂>
{アルカリ可溶性樹脂(b-1)}
(第1の態様)
第1の態様に係る本発明の感光性着色組成物において、(b)アルカリ可溶性樹脂は、下記式(I)で表される部分構造(1)を有するアルカリ可溶性樹脂(b-1)(以下、第1の態様における「アルカリ可溶性樹脂(b-1)」を「アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)」と称する場合がある。)を含有する。アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)は、式(I)で表される部分構造中に(メタ)アクリロイルオキシ基を3以上有するため、樹脂1分子中のエチレン性二重結合量が多く、当該樹脂を含む感光性着色組成物を用いて着色スペーサーを形成すると架橋密度が高くなり、溶剤への不純物の溶出が抑制され高い表示信頼性を確保でき、同様にスペーサーの架橋密度が高くなることで機械的特性も優れるものと考えられる。
【0076】
(部分構造(1))
【0077】
【化7】
【0078】
上記式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表し;
2、R3、R5及びR6は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し;
4はn+1価の連結基を表し;
7は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表し;
l及びmは各々独立に、0~12の整数を表し;
nは3以上の整数を表し;
*は結合手を表す。
【0079】
(R2、R3、R5及びR6
前記式(I)において、R2、R3、R5及びR6は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
アルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、1以上であって、また、通常6以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下である。前記上限値以下とすることで他の成分との相溶性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~6が好ましく、1~4がより好ましく、1~2がさらに好ましく挙げられる。
【0080】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられ、他の成分との相溶性の観点からメチレン基又はエチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0081】
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0082】
(R4
前記一般式(I)において、R4はn+1価の連結基を表す。n+1価の連結基の化学構造は特に限定されないが、置換基を有していてもよいn+1価の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、現像性の観点から脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、炭化水素基中の炭素-炭素単結合は、-O-、CO-及び-NH-からなる群から選ばれる少なくとも1種で中断されていてもよい。
【0083】
n+1価の連結基の具体例としては以下のものが挙げられる。化学式中の*は結合手を表す。
【0084】
【化8】
【0085】
(R7
前記式(I)において、R7は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
【0086】
7におけるアルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、1以上であって、好ましくは2以上、また、通常8以下、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、2~4がさらに好ましく挙げられる。
【0087】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基が挙げられ、硬化性の観点からメチレン基又はエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0088】
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0089】
7におけるアルケニレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、2以上であって、好ましくは4以上、また、通常8以下、好ましくは6以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、2~8が好ましく、4~6がより好ましく挙げられる。
【0090】
アルケニレン基の具体例としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、シクロへキセニレン基が挙げられ、硬化性の観点からエテニレン基又はシクロへキセニレン基が好ましく、エテニレン基がより好ましい。
【0091】
アルケニレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0092】
7における2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下がよりさらに好ましく、10以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~40が好ましく、5~30がより好ましく、6~20がさらに好ましく、6~15がよりさらに好ましく、6~10が特に好ましく挙げられる。
【0093】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも光硬化性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0094】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
【0095】
これらの中でも硬化性の観点から、R7が置換基を有していてもよいアルキレン基であることが好ましく、無置換のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基であることがさらに好ましい。
【0096】
(l及びm)
前記一般式(I)において、l及びmは各々独立に、0~12の整数を表す。現像密着性の観点から、0以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、また、硬化性の観点から、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、4以下がさらに好ましく、2以下が特に好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、0~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましく、1~2が特に好ましく挙げられる。一方で、硬化性の観点からは0であることが好ましい。
【0097】
(n)
前記一般式(I)において、nは3以上の整数を表す。nは4以上が好ましく、5以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下がさらに好ましく、6以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、3~10が好ましく、4~8がより好ましく、5~7がさらに好ましく、5~6が特に好ましく挙げられる。
【0098】
(部分構造(2))
また、アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)は、現像溶解性の観点から、下記式(II)で表される部分構造(2)を有することが好ましい。
【0099】
【化9】
【0100】
上記式(II)中、R8は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表し;
*は結合手を表す。
【0101】
(R8
前記式(II)において、R8は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
【0102】
8におけるアルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、1以上であって、好ましくは2以上、また、通常8以下、好ましくは6以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~8が好ましく、2~6がより好ましく挙げられる。
【0103】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基が挙げられ、硬化性の観点からメチレン基又はエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0104】
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0105】
8におけるアルケニレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、2以上であって、好ましくは4以上、また、通常8以下、好ましくは6以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0106】
アルケニレン基の具体例としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、シクロへキセニレン基が挙げられ、硬化性の観点からエテニレン基又はシクロへキセニレン基が好ましく、シクロへキセニレン基がより好ましい。
【0107】
アルケニレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0108】
8における2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下がよりさらに好ましく、10以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~40が好ましく、5~30がより好ましく、6~20がさらに好ましく、6~15がよりさらに好ましく、6~10が特に好ましく挙げられる。
【0109】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも光硬化性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0110】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
【0111】
これらの中でも硬化性の観点から、R8が置換基を有していてもよいアルケニレン基であることが好ましく、無置換のアルケニレン基であることがより好ましく、シクロへキセニレン基であることがさらに好ましい。
【0112】
前記式(II)で表される部分構造(2)の具体例としては、以下のものが挙げられる。化学式中の*は結合手を表す。
【0113】
【化10】
【0114】
(部分構造(3))
また、アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)は、硬化性の観点から、下記式(III)で表される部分構造(3)を有することが好ましい。
【0115】
【化11】
【0116】
上記式(III)中、R9はエポキシ樹脂残基を表し;
pは1以上の整数を表し;
*は結合手を表す。
【0117】
(R9
上記式(III)中、R9はエポキシ樹脂残基を表す。エポキシ樹脂残基とは、エポキシ樹脂からエポキシ基を除した残基を意味する。
ここで、エポキシ樹脂とは、熱硬化により樹脂を形成する以前の原料化合物をも含めて言うこととし、そのエポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂の中から適宜選択して用いることができる。
また、エポキシ樹脂は、フェノール性化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られる化合物を用いることができる。フェノール性化合物としては、2価以上のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、単量体でも重合体でもよい。
具体的には、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタンとの重合エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルフルオレン型エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルアルキレンオキシルフルオレン型エポキシ樹脂、9,9-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)アダマンタンのジグリシジルエーテル化物、などが挙げられ、これらのように主鎖に芳香族環を有するものを好適に用いることができる。
【0118】
(p)
前記式(III)中、pは1以上の整数を表す。硬化性と現像溶解性の両立の観点から、pは2であることが好ましい。一方で、硬化性の観点から、pは2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、また、現像溶解性の観点から20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となるとなる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、2~15がより好ましく、2~10がさらに好ましく挙げられる。
【0119】
(部分構造(3-1))
前記式(III)で表される部分構造(3)は、現像溶解性の観点から、下記式(III-1)で表される部分構造(3-1)であることが好ましい。
【0120】
【化12】
【0121】
上記式(III-1)中、γは2価の連結基を表し;
式(III-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。
【0122】
(γ)
前記式(III-1)中、γは2価の連結基を表す。2価の連結基としては、現像溶解性の観点から、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、-CO-又は-SO2-が挙げられる。
アルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、また、通常8以下、好ましくは6以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~8が好ましく、2~6がより好ましく挙げられる。
【0123】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ドデシレン基が挙げられ、硬化性の観点からメチレン基又はプロピレン基が好ましく、プロピレン基がより好ましく、プロパン-2,2-ジイル基がさらに好ましい。
【0124】
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
置換基を有する場合、その数は限定されず、1でもよく、2以上でもよい。
【0125】
また、アルキレン基におけるメチレン基(-CH2-)が有する2つの水素原子がいずれも置換基で置換されている場合、その2つの置換基同士が連結して炭化水素環を形成していてもよい。その場合のγの具体例としては下記式(IV)で表される基、下記式(V)で表される基が挙げられる。化学式中の*は結合手を表す。
【0126】
【化13】
【0127】
【化14】
【0128】
上記式(IV)及び上記式(V)中、*は結合手を表す。
中でも、式(IV)で記載される構造を有する樹脂が、硬化性の観点から好ましい。
【0129】
また、上記式(III-1)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、上記式(III-1)中のベンゼン環が置換基を有する場合、式(III-1)中の2つのベンゼン環が、該置換基によって連結されていてもよい。例えば、-O-で連結されていてもよい。
【0130】
これらの中でも、ある態様として、硬化性の観点から、γが置換基を有していてもよいアルキレン基であることが好ましく、無置換のアルキレン基であることがより好ましく、プロピレン基であることがさらに好ましく、プロパン-2,2-ジイルがさらに好ましい。また、別の態様として、硬化性の観点から、γが式(IV)で表される基であることが好ましい。
【0131】
(部分構造(3-2))
前記式(III)で表される部分構造(3)は、硬化性の観点から、下記式(III-2)で表される部分構造(3-2)であることが好ましい。
【0132】
【化15】
【0133】
上記式(III-2)中、上記式(III-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。
【0134】
上記式(III-2)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。これらの中でも、現像密着性の観点から、アルキル基が好ましく、シクロアルキル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
【0135】
(部分構造(3-3))
前記式(III)で表される部分構造(3)は、硬化性の観点から、下記式(III-3)で表される部分構造(3-3)を含むことが好ましい。
【0136】
【化16】
【0137】
上記式(III-3)中、R10は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し;
式(III-3)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。
【0138】
(R10
前記式(III-3)において、R10は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。
2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
【0139】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で現像密着性の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は1以上であって、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、3~15がより好ましく、6~10がさらに好ましく挙げられる。
【0140】
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、また、通常20以下、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、2~10がより好ましく挙げられる。2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、シクロドデカン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0141】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0142】
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~20が好ましく、5~15がより好ましく、6~10がさらに好ましく挙げられる。
【0143】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも光硬化性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0144】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
【0145】
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
【0146】
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、下記式(III-3-A)~(III-3-E)で表される基等が挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点から、下記式(III-3-A)で表される基が好ましい。化学式中の*は結合手を表す。
【0147】
【化17】
【0148】
前記のとおり、式(III-3)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でも硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0149】
(部分構造(3-4))
前記式(III)で表される部分構造(3)は、硬化性の観点から、下記式(III-4)で表される部分構造(3-4)を含むことが好ましい。
【0150】
【化18】
【0151】
上記式(III-4)中、γは2価の連結基を表し;
式(III-4)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。
【0152】
前記式(III-4)におけるγとしては、前記式(III-1)におけるγとして記載したものを好ましく採用することができる。
また、前記式(III-4)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、前記式(III-1)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基として記載したものを好ましく採用することができる。
【0153】
アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)は、部分構造(3-1)~部分構造(3-4)の中でも、現像溶解性の観点から、部分構造(3-1)を有するものであることが好ましい。
【0154】
(製造方法)
第1の態様に係る本発明の感光性着色組成物において、(b)アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)を含有するが、該アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)は、例えば、エポキシ樹脂(A)より得られるエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物(p1)に、場合によりイソシアネート基含有化合物(p3)を反応させた後、多価カルボン酸及びその無水物の一方又は両方(p2)を反応させる方法を挙げることができる。
【0155】
(エポキシ樹脂(A))
エポキシ樹脂(A)としては、前記式(III)のRのエポキシ樹脂残基におけるエポキシ樹脂として説明したものを用いることができ、具体的には下記式(III-5)に記載したエポキシ樹脂を用いることができる。
【0156】
【化19】
【0157】
(式(III-5)中、R9はエポキシ樹脂残基を表し;
pは1以上の整数を表し;
*は結合手を表す。)
【0158】
(エチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物(p1))
上述のようなエポキシ樹脂(A)より得られるエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物(p1)は、上述のエポキシ樹脂(A)を原料とした反応により、結果としてエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基が形成されていれば、その製造方法は限定されるものではないが、具体的には、上述のエポキシ樹脂(A)に、エチレン性不飽和基含有カルボン酸類(B)を反応させる方法、あるいは、上述のエポキシ樹脂にまずエチレン性不飽和基を含有しないカルボン酸類(C)を反応させた後に、続く反応によりエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を形成させる方法、例えば、生成した水酸基に反応する官能基を有する化合物(D)を反応させて、エチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を形成させる方法、などを挙げる事ができる。
【0159】
(エチレン性不飽和基含有カルボン酸類(B))
そのエチレン性不飽和基含有カルボン酸類(B)としては、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられ、具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸、(メタ)アクリル酸とラクトンあるいはポリラクトンとの反応生成物類;
無水コハク酸、無水アジピン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸等の飽和若しくは不飽和ジカルボン酸無水物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート等の1分子中に1個以上のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート誘導体とを反応させて得られる半エステル類;
飽和若しくは不飽和ジカルボン酸無水物と、フェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、8,9-エポキシ〔ビシクロ[4.3.0]ノナン-3-イル〕(メタ)アクリレート、8,9-エポキシ〔ビシクロ[4.3.0]ノナン-3-イル〕オキシメチル(メタ)アクリレート等の不飽和基含有グリシジル化合物とを反応させて得られる半エステル類;等が挙げられる。
これらの中で、本発明においては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等とを反応させて得られる半エステル類が特に好ましい。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0160】
(エチレン性不飽和基を含有しないカルボン酸類(C))
そのエチレン性不飽和基を含有しないカルボン酸類(C)としては、乳酸、ジヒドロキシプロピオン酸などの水酸基含有カルボン酸及びその無水物、コハク酸、フタル酸、酒石酸等のジカルボン酸及びその無水物が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0161】
(水酸基やカルボキシル基に反応する官能基を有する化合物(D))
前述のエポキシ樹脂(A)に、エチレン性不飽和基を含有しないカルボン酸類(C)を反応させた後、生成した水酸基やカルボキシル基に反応する官能基を有する化合物(D)を反応させて、エチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を形成させる際に用いられる、水酸基やカルボキシル基に反応する官能基を有する化合物(D)としては、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基を有する化合物が好ましく、具体的には、前記のエチレン性不飽和基含有カルボン酸類、前記の不飽和基含有グリシジル化合物等のエチレン性不飽和基含有化合物などを挙げる事ができるが、これらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0162】
(イソシアネート基含有化合物(p3))
得られる感光性着色組成物の現像性の調整などのため、前記のエポキシ樹脂(A)より得られるエチレン性不飽和基含有ヒドロキシル基を有する化合物(p1)に、場合によりイソシアネート基含有化合物(p3)を反応させてもよい。
【0163】
そのイソシアネート基含有化合物(p3)としては、ブタンイソシアネート、3-クロロベンゼンイソシアネート、シクロヘキサンイソシアネート、3-イソプロペノイル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等の有機モノイソシアネート;パラフェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω’-ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート;及びこれらの3量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。これらのうち、好ましいのは、有機ジイソシアネートの二量体若しくは三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、トリレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体である。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0164】
(多価カルボン酸及びその無水物の一方又は両方(p2))
アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)は、前記のエポキシ樹脂(A)より得られるエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物(p1)に、場合により前述のイソシアネート基含有化合物(p3)を反応させた後、4価以上のカルボン酸及びその無水物を実質的に含まない多価カルボン酸及びその無水物の一方又は両方(p2)を反応させることにより、得ることができる。
【0165】
多価カルボン酸及びその無水物(p2)としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、フタル酸等の飽和若しくは不飽和ジカルボン酸及びそれらの酸無水物;トリメリット酸及びその無水物、及び、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸及びそれらの酸無水物等が挙げられ、これらの中で、コハク酸、テトラヒドロフタル酸、フタル酸等のジカルボン酸及びその酸無水物、トリメリット酸及びその無水物、など3価以下のカルボン酸化合物を用いる。4価以上のカルボン酸化合物では、得られたエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物の保存安定性が悪化する傾向がある。3価以下のカルボン酸化合物の中でも、現像溶解性の観点から、特に酸解離定数(第一解離定数)が3.5以上の多価カルボン酸の酸無水物がさらに好ましい。酸解離定数はさらに3.8以上が好ましく、特に4.0以上が好ましい。そのような酸無水物としては、コハク酸、及びテトラヒドロフタル酸の酸無水物が特に好ましい。
【0166】
なお、酸解離定数は、Determination of Organic Structures by Physical Methods, Academic Press, New York, 1955(Brown,H.C.ら)を参照することができる。
本発明において、多価カルボン酸及びその酸無水物(p2)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0167】
また、アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)は、このようにして多価カルボン酸及びその無水物の一方又は両方(p2)を反応させて得られた化合物中のカルボキシル基の一部にさらに前記のエポキシ樹脂(A)を付加させた化合物であってもよい。
【0168】
アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)の具体的な製造方法としては、日本国特開2006-312704号公報、日本国特開2007-119718号公報に記載の方法を採用することができる。
【0169】
以上のように、アルカリ可溶性樹脂(b-1-1)として、エポキシ樹脂に由来する部分構造を有するものや、エポキシ樹脂を原料として用いてそれを変性させたものについて詳述したが、それらに限られない。例えば、グリシジルエーテル基を側鎖に含むアクリル系樹脂に、前記エチレン性不飽和基含有カルボン酸類(B)を付加したものなどが挙げられる。
【0170】
(分子量)
第1の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は特に限定されないが、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、2500以上が特に好ましく、また、6000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、4000以下がさらに好ましく、3500以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1000~6000が好ましく、1500~5000がより好ましく、2000~4000がさらに好ましく、2500~3500が特に好ましく挙げられる。
【0171】
(酸価)
第1の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)の酸価は特に限定されないが、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、15mgKOH/g以上がさらに好ましく、20mgKOH/g以上が特に好ましく、また、60mgKOH/g以下が好ましく、50mgKOH/g以下がより好ましく、40mgKOH/g以下がさらに好ましく、30mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、5~60mgKOH/gが好ましく、10~50mgKOH/gがより好ましく、15~40mgKOH/gがさらに好ましく、20~30mgKOH/gが特に好ましく挙げられる。
【0172】
(二重結合当量)
第1の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)の二重結合当量は特に限定されないが、20以上が好ましく、50以上がより好ましく、80以上がさらに好ましく、100以上が特に好ましく、また、600以下が好ましく、400以下がより好ましく、300以下がさらに好ましく、200以下がよりさらに好ましく、180以下が特に好ましく、150以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、20~600が好ましく、50~400がより好ましく、80~300がさらに好ましく、100~200が特に好ましく挙げられる。
また、アルカリ可溶性樹脂(b-1)の二重結合当量は下記式(x)から算出することができる。
【0173】
(アルカリ可溶性樹脂(b-1)の二重結合当量)
=(樹脂(b-1)の分子量)/(樹脂(b-1)1分子あたりのエチレン性不飽和二重結合の数) ・・・(x)
【0174】
(エチレン性不飽和二重結合数)
第1の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)の1分子中に含まれるエチレン性不飽和二重結合の数は特に限定されないが、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましく、6以上がよりさらに好ましく、8以上が特に好ましく、また、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、14以下がさらに好ましく、12以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、2~20が好ましく、4~18がより好ましく、6~14がさらに好ましく、8~12が特に好ましく挙げられる。
【0175】
上述のとおり、第1の態様に係る本発明の感光性着色組成物は、(b)アルカリ可溶性樹脂が、前記式(I)で表される部分構造(1)を有するアルカリ可溶性樹脂(b-1)を含むものであるが、アルカリ可溶性樹脂(b-1)は1種単独を含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0176】
(第2の態様)
第2の態様に係る本発明の感光性着色組成物において、(b)アルカリ可溶性樹脂は、二重結合当量が400以下であるアルカリ可溶性樹脂(b-1)(以下、第2の態様における「アルカリ可溶性樹脂(b-1)」を「アルカリ可溶性樹脂(b-1-2)」と称する場合がある。)を含有する。アルカリ可溶性樹脂(b-1-2)は、二重結合当量が400以下であるため、樹脂1分子中のエチレン性二重結合量が多く、当該樹脂を含む感光性着色組成物を用いて着色スペーサーを形成すると架橋密度が高くなり、溶剤への不純物の溶出が抑制され高い表示信頼性を確保でき、同様にスペーサーの架橋密度が高くなることで機械的特性も優れるものと考えられる。
【0177】
(分子量)
第2の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は特に限定されないが、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、2500以上が特に好ましく、また、6000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、4000以下がさらに好ましく、3500以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1000~6000が好ましく、1500~5000がより好ましく、2000~4000がさらに好ましく、2500~3500が特に好ましく挙げられる。
【0178】
(酸価)
第2の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)の酸価は特に限定されないが、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、15mgKOH/g以上がさらに好ましく、20mgKOH/g以上が特に好ましく、また、60mgKOH/g以下が好ましく、50mgKOH/g以下がより好ましく、40mgKOH/g以下がさらに好ましく、30mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、5~60mgKOH/gが好ましく、10~50mgKOH/gがより好ましく、15~40mgKOH/gがさらに好ましく、20~30mgKOH/gが特に好ましく挙げられる。
【0179】
(二重結合当量)
第2の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)の二重結合当量は400以下であれば特に限定されないが、20以上が好ましく、50以上がより好ましく、80以上がさらに好ましく、100以上が特に好ましく、また、350以下が好ましく、300以下が次に好ましく、200以下がより好ましく、180以下がよりさらに好ましく、160以下がさらに好ましく、150以下が特に好ましく、140以下が殊さらに好ましく、130以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、20~400が好ましく、50~400がより好ましく、80~300がさらに好ましく、100~200が特に好ましく挙げられる。
また、第2の態様におけるアルカリ可溶性樹脂(b-1)の二重結合当量は前記式(x)から算出することができる。
【0180】
(エチレン性不飽和二重結合数)
第2の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有される、アルカリ可溶性樹脂(b-1)の1分子中に含まれるエチレン性不飽和二重結合の数は特に限定されないが、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましく、6以上がよりさらに好ましく、8以上が特に好ましく、また、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、14以下がさらに好ましく、12以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、2~20が好ましく、4~18がより好ましく、6~14がさらに好ましく、8~12が特に好ましく挙げられる。
【0181】
第2の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)としては、第1の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)として挙げたものを好ましく用いることができる。
【0182】
また、第2の態様に係る本発明の感光性着色組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(b-1)としては、その二重結合当量が400以下であれば特に限定されず、第1の態様に係るアルカリ可溶性樹脂(b-1)以外のアルカリ可溶性樹脂を採用することもできる。例えば、側鎖にエチレン性二重結合を含む繰り返し単位を、二重結合当量が400以下となる量含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。側鎖にエチレン性二重結合を含む繰り返し単位としては、下記式(IV)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0183】
【化20】
【0184】
上記式(IV)中、R11及びR12は各々独立に、水素原子又はメチル基を表し;
*は結合手を表す。
【0185】
{エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)}
本発明の感光性着色組成物において、(b)アルカリ可溶性樹脂はさらに、アルカリ可溶性樹脂(b-1)以外のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)」と略記する場合がある。)を含有していてもよい。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)を含有することで、感光性着色組成物の酸価を高くすることができ、現像溶解性と硬化性の両立ができる傾向があると考えられる。
【0186】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)は、エポキシ樹脂にエチレン性不飽和モノカルボン酸又はエステル化合物を付加し、任意でイソシアネート基含有化合物を反応させた後、さらに多塩基酸又はその無水物を反応させた樹脂である。例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基に、不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基が開環付加されることにより、エポキシ化合物にエステル結合(-COO-)を介してエチレン性不飽和結合が付加されると共に、その際生じた水酸基に、多塩基酸無水物の一方のカルボキシ基が付加されたものが挙げられる。また多塩基酸無水物を付加するときに、多価アルコールを同時に添加して付加されたものも挙げられる。
また上記反応で得られた樹脂のカルボキシル基に、さらに反応し得る官能基を有する化合物を反応させて得られる樹脂も、上記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)に含まれる。
このように、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「(メタ)アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ化合物(エポキシ樹脂)が原料であり、かつ、「(メタ)アクリレート」が代表例であるので慣用に従いこのように命名されている。
【0187】
ここで、エポキシ樹脂とは、熱硬化により樹脂を形成する以前の原料化合物をも含めて言うこととし、そのエポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂の中から適宜選択して用いることができる。
また、エポキシ樹脂は、フェノール性化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られる化合物を用いることができる。フェノール性化合物としては、2価もしくは2価以上のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、単量体でも重合体でもよい。
具体的には、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタンとの重合エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルフルオレン型エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルアルキレンオキシルフルオレン型エポキシ樹脂、9,9-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)アダマンタンのジグリシジルエーテル化物、などが挙げられ、このように主鎖に芳香族環を有するものを好適に用いることができる。
【0188】
中でも、相溶性の観点から、ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタジエンとの重合エポキシ樹脂、9,9-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、アダマンチル基を有するエポキシ樹脂などが好ましく、アダマンチル基を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
【0189】
エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等、及び、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート無水コハク酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水コハク酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、(メタ)アクリル酸とε-カプロラクトンとの反応生成物などが挙げられる。中でも、感度の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
【0190】
多塩基酸(無水物)としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3-メチルテトラヒドロフタル酸、4-メチルテトラヒドロフタル酸、3-エチルテトラヒドロフタル酸、4-エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3-メチルヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、3-エチルヘキサヒドロフタル酸、4-エチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及びそれらの無水物などが挙げられる。中でも、現像溶解性の観点から、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物がより好ましく、テトラヒドロフタル酸無水物又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物がさらに好ましい。
【0191】
多価アルコールを用いることで、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の分子量を増大させ、分子中に分岐を導入することが出来、分子量と粘度のバランスをとることができる傾向がある。また、分子中への酸基の導入率を増やすことができ、感度や密着性等のバランスがとれやすい傾向がある。
多価アルコールとしては、例えばトリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、1,2,3-プロパントリオールの中から選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールであることが好ましい。
【0192】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)の酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上がさらに好ましく、80mgKOH/g以上がよりさらに好ましく、90mgKOH/g以上が特に好ましく、100mgKOH/g以上が最も好ましく、また、300mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下がさらに好ましく、130mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像密着性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、10~300mgKOH/gが好ましく、20~200mgKOH/gがより好ましく、50~150mgKOH/gがさらに好ましく、80~130mgKOH/gが特に好ましく挙げられる。
【0193】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、通常1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは4000以上、よりさらに好ましくは5000以上、特に好ましくは6000以上であり、また、通常30000以下、好ましくは20000以下、より好ましくは15000以下、さらに好ましくは10000以下、特に好ましくは8000以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1000~30000が好ましく、2000~20000がより好ましく、3000~15000がさらに好ましく、4000~10000がよりさらに好ましく、5000~8000が特に好ましく挙げられる。
【0194】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)の二重結合当量は特に限定されないが、400以上が好ましく、450以上がより好ましく、500以上がさらに好ましく、また、800以下が好ましく、700以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感度が高くなる傾向がある。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)の二重結合当量は前記式(x)と同様にして算出することができる。上限と下限の組み合わせとしては、400~800が好ましく、450~700がより好ましく、500~600がさらに好ましく挙げられる。
【0195】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)は、従来公知の方法により合成することができる。具体的には、前記エポキシ樹脂を有機溶剤に溶解させ、触媒と熱重合禁止剤の共存下、前記エチレン性不飽和結合を有する酸又はエステル化合物を加えて付加反応させ、さらに多塩基酸又はその無水物を加えて反応を続ける方法を用いることができる。
【0196】
ここで、反応に用いる有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの有機溶剤の1種又は2種以上が挙げられる。
また、上記触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリベンジルアミン等の第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンミニウム塩類、トリフェニルホスフィンなどの燐化合物、トリフェニルスチビンなどのスチビン類などの1種又は2種以上が挙げられる。
さらに、熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノンなどの1種又は2種以上が挙げられる。
【0197】
また、エチレン性不飽和結合を有する酸又はエステル化合物としては、エポキシ樹脂のエポキシ基の1化学当量に対して通常0.7~1.3化学当量、好ましくは0.9~1.1化学当量となる量とすることができる。また、付加反応時の温度としては、通常60~150℃、好ましくは80~120℃の温度とすることができる。さらに、多塩基酸(無水物)の使用量としては、前記付加反応で生じた水酸基の1化学当量に対して、通常0.1~1.2化学当量、好ましくは0.2~1.1化学当量となる量とすることができる。
【0198】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)の化学構造は特に限定されないが、硬化性の観点から、下記式(i)で表される繰り返し単位構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-i)及び下記式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii)の一方又は両方が好ましい。また、表示信頼性の観点からは、下記式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂がより好ましい。
【0199】
下記式(i)で表される繰り返し単位構造を有するもの及び下記式(ii)で表される部分構造を有するものの一方又は両方は、アルカリ可溶性樹脂(b-1)との相溶性が高く、現像溶解性が良くなると考えられる。
【0200】
【化21】
【0201】
式(i)中、Raは水素原子又はメチル基を表し;
bは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し;
式(i)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。
【0202】
【化22】
【0203】
式(ii)中、Rcは各々独立に、水素原子又はメチル基を表し;
dは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表し;
及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基を表し;
m及びnは各々独立に、0~2の整数を表し;
*は結合手を表す。
【0204】
中でも、下記式(ii-a)で表される単位構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
【化23】
【0205】
(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-i))
次に、前記式(i)で表される繰り返し単位構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-i)」と略記する。)について詳述する。
【0206】
【化24】
【0207】
式(i)中、Raは水素原子又はメチル基を表し;
bは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し;
式(i)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよく;
*は結合手を表す。
【0208】
(Rb
前記式(i)において、Rbは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。
2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
【0209】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で現像密着性の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は1以上であって、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、3~15がより好ましく、6~10がさらに好ましく挙げられる。
【0210】
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく挙げられる。2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、シクロドデカン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0211】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0212】
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~20が好ましく、5~15がより好ましく、6~10がさらに好ましく挙げられる。
【0213】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも光硬化性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0214】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
【0215】
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
【0216】
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、下記式(i-A)~(i-E)で表される基等が挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点から、下記式(i-A)で表される基が好ましい。化学式中の*は結合手を表す。
【0217】
【化25】
【0218】
前記のとおり、式(i)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でも硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0219】
また、前記式(i)で表される繰り返し単位構造は、硬化性の観点から、下記式(i-1)で表される繰り返し単位構造であることが好ましい。
【0220】
【化26】
【0221】
式(i-1)中、Ra及びRbは前記式(i)のものと同義であり;
Xは水素原子又は多塩基酸残基を表し;
*は結合手を表し;
式(i-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0222】
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物に由来する多塩基酸からOH基を1つ除した1価の基を意味する。多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
【0223】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-i)1分子中に含まれる、前記式(i-1)で表される繰り返し単位構造は、1種でも2種以上でもよく、例えば、RXが水素原子のものと、RXが多塩基酸残基のものが混在していてもよい。
【0224】
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-i)1分子中に含まれる、前記式(i)で表される繰り返し単位構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、3~15がより好ましく挙げられる。
【0225】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-i)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましく、4000以上がよりさらに好ましく、5000以上が特に好ましく、また、30000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下がさらに好ましく、8000以下がよりさらに好ましく、7000以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1000~30000が好ましく、2000~20000がより好ましく、3000~10000がさらに好ましく、4000~8000がよりさらに好ましく、5000~7000が特に好ましく挙げられる。
【0226】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-i)の、酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、60mgKOH/g以上がさらに好ましく、80mgKOH/g以上が特に好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、180mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下がよりさらに好ましく、130mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、10~200mgKOH/gが好ましく、30~180mgKOH/gがより好ましく、60~150mgKOH/gがさらに好ましく、80~130mgKOH/gが特に好ましく挙げられる。
【0227】
以下にエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-i)の具体例を挙げる。
【0228】
【化27】
【0229】
【化28】
【0230】
【化29】
【0231】
【化30】
【0232】
【化31】
【0233】
(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii))
次に、前記式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii)」と略記する。)について詳述する。
【0234】
【化32】
【0235】
式(ii)中、Rcは各々独立に、水素原子又はメチル基を表し;
dは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表し;
及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基を表し;
m及びnは各々独立に、0~2の整数を表し;
*は結合手を表す。
【0236】
中でも下記式(ii-a)で表される単位構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
【0237】
【化33】
【0238】
(Rd
前記式(ii)において、Rdは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0239】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~40が好ましく、6~30がより好ましく、8~20がさらに好ましく挙げられる。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としてはシクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、シクロドデカン環等が挙げられる。これらの中でも表示信頼性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0240】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、3~4がさらに好ましく挙げられる。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がよりさらに好ましく、12以上が特に好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~40が好ましく、6~30がより好ましく、8~20がさらに好ましく、10~15が特に好ましく挙げられる。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でもパターニング特性の観点から、フルオレン環が好ましい。
【0241】
また、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基における、2価の炭化水素基は特に限定されないが、例えば、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
【0242】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のものが挙げられる。これらの中でも相溶性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で表示信頼性の観点からは環状のものが好ましい。
2価の脂肪族基の炭素数は1以上であって、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~25が好ましく、3~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく挙げられる。
【0243】
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、また、通常10以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、シクロドデカン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも表示信頼性の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0244】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0245】
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~30が好ましく、5~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく挙げられる。
【0246】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環、ナフタレン環又はフルオレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するフルオレン環がより好ましい。
【0247】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも現像溶解性、耐吸湿性の観点から、無置換が好ましい。
【0248】
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
【0249】
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、前記式(i-A)~(i-E)で表される基等が挙げられる。これらの中でも表示信頼性の観点から、前記式(i-C)で表される基が好ましい。
【0250】
これらの2価の炭化水素基に対する、側鎖である環状炭化水素基の結合態様は特に限定されないが、例えば、脂肪族基や芳香族環基の水素原子1つを側鎖で置換した態様や、脂肪族基の炭素原子の1つを含めて側鎖である環状炭化水素基を構成した態様が挙げられる。
【0251】
(R、R
前記一般式(ii)において、R及びRは各々独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基を表す。
【0252】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で露光部への現像液の浸透低減の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は1以上であって、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすく、表面荒れが生じにくく、基板への密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜の表面平滑性や感度の悪化を抑制しやすく、解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、3~15がより好ましく、6~10がさらに好ましく挙げられる。
【0253】
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、また、通常12以下、10以下が好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜となり、基板密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜の表面平滑性や感度の悪化を抑制しやすく、解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~12が好ましく、2~10がより好ましく挙げられる。2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、シクロドデカン環、ジシクロペンタジエン等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、ジシクロペンタジエン環、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0254】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0255】
(m、n)
前記一般式(ii)において、m及びnは各々独立に、0~2の整数を表す。前記下限値以上とすることでパターニング適正が良好となり、表面荒れが生じにくくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。現像性の観点からm及びnが0であることが好ましく、一方で、パターニング適正、表面荒れの観点からm及びnが1又は2であることが好ましい。
【0256】
また、前記式(ii)で表される部分構造は、相溶性の観点から、下記式(ii-1)で表される部分構造であることが好ましい。
【0257】
【化34】
【0258】
式(ii-1)中、Rcは前記式(ii)と同義であり;
αは、置換基を有していてもよい1価の環状炭化水素基を表し;
nは1以上の整数であり;
式(ii-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0259】
(Rα
前記式(ii-1)において、Rαは、1価の環状炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0260】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、また、通常6以下、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~6が好ましく、2~4がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~40が好ましく、6~30がより好ましく、8~20がさらに好ましく挙げられる。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としてはシクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、シクロドデカン環等が挙げられる。これらの中でも相溶性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0261】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられるまた、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~30が好ましく、5~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく挙げられる。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも表示信頼性の観点から、フルオレン環が好ましい。
【0262】
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アミル基、iso-アミル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の容易性の観点から、無置換が好ましい。
【0263】
nは1以上の整数を表すが、2以上が好ましく、また、3以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。nとしては、2又は3が好ましく、ある態様として2がより好ましく、別の態様として3がより好ましい。
nが2以上である場合、2以上のRαはそれぞれ同一でも、異なっていてもよい。
【0264】
これらの中でも、相溶性の観点から、Rαが1価の脂肪族環基であることが好ましく、アダマンチル基であることがより好ましい。
【0265】
前記のとおり、式(ii-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でもパターニング特性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0266】
以下に前記式(ii-1)で表される部分構造の具体例を挙げる。化学式中の*は結合手を表す。
【0267】
【化35】
【0268】
【化36】
【0269】
【化37】
【0270】
【化38】
【0271】
【化39】
【0272】
また、前記式(ii)で表される部分構造は、表示信頼性の観点から、下記式(ii-2)で表される部分構造であることが好ましい。
【0273】
【化40】
【0274】
式(ii-2)中、Rcは前記式(ii)と同義であり;
βは、置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表し;
式(ii-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0275】
(Rβ
前記式(ii-2)において、Rβは、2価の環状炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0276】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく挙げられる。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~40が好ましく、6~35がより好ましく、8~30がさらに好ましく挙げられる。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、シクロドデカン環等が挙げられる。これらの中でも相溶性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0277】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、1以上であって、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられるまた、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~40が好ましく、6~30がより好ましく、8~20がさらに好ましく、10~15が特に好ましく挙げられる。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも表示信頼性の観点から、フルオレン環が好ましい。
【0278】
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アミル基、iso-アミル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の簡易性の観点から、無置換が好ましい。
【0279】
これらの中でも、相溶性の観点から、Rβが2価の脂肪族環基であることが好ましく、2価のアダマンタン環基であることがより好ましい。
一方で、表示信頼性の観点から、Rβが2価の芳香族環基であることが好ましく、2価のフルオレン環基であることがより好ましい。
【0280】
前記のとおり、式(ii-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、これらの置換基を介して、式(ii-2)中の2つのベンゼン環が連結されていてもよい。
これらの中でもパターニング特性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0281】
以下に前記式(ii-2)で表される部分構造の具体例を挙げる。化学式中の*は結合手を表す。
【0282】
【化41】
【0283】
【化42】
【0284】
【化43】
【0285】
【化44】
【0286】
一方で、前記式(ii)で表される部分構造は、相溶性の観点から、下記式(ii-3)で表される部分構造であることが好ましい。
【0287】
【化45】
【0288】
式(ii-3)中、Rc及びRdは前記式(ii)と同義であり;
Zは水素原子又は多塩基酸残基を表す。
【0289】
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物に由来する多塩基酸からOH基を1つ除した1価の基を意味する。なお、さらにもう1つのOH基が除され、式(ii-3)で表される他の分子におけるRZと共用されていてもよく、つまり、RZを介して複数の式(ii-3)が連結していてもよい。
多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
【0290】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii)1分子中に含まれる、前記式(ii-3)で表される部分構造は、1種でも2種以上でもよく、例えば、RZが水素原子のものと、RZが多塩基酸残基のものが混在していてもよい。
【0291】
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii)1分子中に含まれる、前記式(ii)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、3~15がより好ましく、3~10がさらに好ましく挙げられる。
【0292】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、また、30000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下がさらに好ましく、8000以下がよりさらに好ましく、5000以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1000~30000が好ましく、1000~20000がより好ましく、1500~15000がさらに好ましく、1500~10000がよりさらに好ましく、2000~8000が特に好ましく、2000~5000が最も好ましく挙げられる。
【0293】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2-ii)の、酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、60mgKOH/g以上がさらに好ましく、80mgKOH/g以上が特に好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、180mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下がよりさらに好ましく、130mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像密着性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、10~200mgKOH/gが好ましく、30~180mgKOH/gがより好ましく、60~150mgKOH/gがさらに好ましく、80~130mgKOH/gが特に好ましく挙げられる。
【0294】
<その他のアルカリ可溶性樹脂>
本発明で用いる(b)アルカリ可溶性樹脂としては、前記アルカリ可溶性樹脂(b-1)や前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)以外に、その他のアルカリ可溶性樹脂を含有していてもよい。
【0295】
その他のアルカリ可溶性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂等が挙げられる。
【0296】
これらの中でも顔料や分散剤等との相溶性の観点から、アクリル系樹脂を用いることが好ましく、日本国特開2014-137466号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
【0297】
アクリル系樹脂としては、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物;コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイロキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート;p-ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0298】
また、不飽和単量体(b2)としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-位置換マレイミド;スチレン、α-メチルスチレン、p-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレン等の芳香族ビニル化合物;
【0299】
メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2~10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2~10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3-〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3-〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕-3-エチルオキセタン等の(メタ)アクリル酸エステル;
【0300】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3-(ビニルオキシメチル)-3-エチルオキセタン等のビニルエーテル;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ-n-ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0301】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは10~40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた感光性着色組成物を得ることができる傾向がある。
【0302】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、日本国特開平7-140654号公報、日本国特開平8-259876号公報、日本国特開平10-31308号公報、日本国特開平10-300922号公報、日本国特開平11-174224号公報、日本国特開平11-258415号公報、日本国特開2000-56118号公報、日本国特開2004-101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体は、公知の方法により製造することができるが、例えば、日本国特開2003-222717号公報、日本国特開2006-259680号公報、国際公開第2007/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0303】
<(c)光重合開始剤>
(c)光重合開始剤は、光を直接吸収し、分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。必要に応じて重合促進剤(連鎖移動剤)、増感色素等の付加剤を添加して使用してもよい。
【0304】
光重合開始剤としては、例えば、日本国特開昭59-152396号公報、日本国特開昭61-151197号公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;日本国特開2000-56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体;日本国特開平10-39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ハロメチル-s-トリアジン誘導体、N-フェニルグリシン等のN-アリール-α-アミノ酸類、N-アリール-α-アミノ酸塩類、N-アリール-α-アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α-アミノアルキルフェノン誘導体;日本国特開2000-80068号公報、日本国特開2006-36750号公報等に記載されているオキシムエステル誘導体等が挙げられる。
【0305】
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ-1-イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニ-1-イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6-トリフルオロフェニ-1-イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6-ジフルオロフェニ-1-イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4-ジフルオロフェニ-1-イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ-1-イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6-ジフルオロフェニ-1-イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6-ジ-フルオロ-3-(ピロ-1-イル)-フェニ-1-イル〕等が挙げられる。
【0306】
また、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体類としては、2-(2’-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(2’-クロロフェニル)-4,5-ビス(3’-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(2’-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(2’-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、(4’-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
【0307】
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2-トリクロロメチル-5-(2’-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-(6”-ベンゾフリル)ビニル)〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等が挙げられる。
【0308】
また、ハロメチル-s-トリアジン誘導体類としては、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
【0309】
また、α-アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2-メチル-1〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、4-ジメチルアミノエチルベンゾエ-ト、4-ジメチルアミノイソアミルベンゾエ-ト、4-ジエチルアミノアセトフェノン、4-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-エチルヘキシル-1,4-ジメチルアミノベンゾエート、2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7-ジエチルアミノ-3-(4-ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4-(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
【0310】
光重合開始剤としては、特に、感度や製版性の点でオキシムエステル系化合物(オキシムエステル誘導体類)が有効であり、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を用いる場合などは、感度の点で不利になるため、特にこのような感度に優れたオキシムエステル系化合物が有用である。
オキシムエステル系化合物としては、例えば、国際公開第2008/075564号に記載のもの、国際公開第2009/131189号に記載のもの、日本国特開2011-132215号公報に記載のもの、国際公開第2008/078678号に記載のもの、日本国特表2014-500852号公報に記載のものなどが挙げられる。
【0311】
オキシムエステル系化合物の中でも、高感度の観点から、下記式(C-I)で表されるオキシムエステル系化合物を含むことが好ましい。
【0312】
【化46】
【0313】
上記一般式(C-I)中、Rc1は、置換基を有していてもよい芳香族環基を表し;
c2は、置換基を有していてもよいアルカノイル基、又は置換基を有していてもよいアリーロイル基を表し;
c3は水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
c4は、置換基を有していてもよい芳香族環基を表し;
c5及びRc6は各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表し、ただし、Rc5及びRc6の少なくともいずれか1つは、置換基を有していてもよいナフタレン環であり;
c1及びRc4の少なくともいずれか1つは、-ORc7基を有し、ただしRc7はハロゲノアルキル基を表し;
Xは、直接結合、又はカルボニル基を表し;
Zは、直接結合、又はカルボニル基を表す。
【0314】
c1における芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は30以下であることが好ましく12以下であることがより好ましく、通常4以上であり、6以上であることが好ましい。前記上限値以下とすることで、溶解性が良好となる傾向があり、前記下限値以上とすることで感度と溶解性の両立がしやすくなる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~30が好ましく、6~12がより好ましく挙げられる。
【0315】
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、後述の-ORc7基などが挙げられ、表面硬化性の観点からはハロゲン原子、ハロゲノアルキル基又は-ORc7基が好ましく、-ORc7基がより好ましく、一方で、合成容易性の観点からは無置換であることが好ましい。
これらの中でも、感度の観点からは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基であることが好ましく、-ORc7基で置換された芳香族炭化水素環基であることがより好ましく、-ORc7基で置換されたベンゼン環基であることがさらに好ましい。
【0316】
c2におけるアルカノイル基の炭素数は特に限定されないが、感度の観点から2以上であることが好ましい。また、感度の観点から20以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましく、5以下であることがよりさらに好ましく、3以下であることが特に好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、2~20が好ましく、2~12がより好ましく、2~7がさらに好ましく、2~5がよりさらに好ましく、2~3が特に好ましく挙げられる。
【0317】
アルカノイル基の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基などが挙げられ、これらの中でも感度の観点から、アセチル基又はプロパノイル基が好ましく、アセチル基がより好ましい。
アルカノイル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられ、感度の観点から無置換であることが好ましい。
【0318】
c2におけるアリーロイル基の炭素数は特に限定されないが、感度の観点から7以上であることが好ましい。また、感度の観点から20以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましく、8以下であることが特に好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、7~20が好ましく、7~12がより好ましく、7~10がさらに好ましく挙げられる。
【0319】
アリーロイル基の具体例としては、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基、ナフトイル基などが挙げられ、これらの中でも感度の観点から、ベンゾイル基がより好ましい。
アリーロイル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられ、感度の観点から無置換であることが好ましい。
これらの中でも、感度の観点からRc2を、置換基を有していてもよいアルカノイル基とすることが好ましく、無置換のアルカノイル基とすることがより好ましく、アセチル基とすることがさらに好ましい。
【0320】
c3におけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶解性の観点から1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、7以上であることが特に好ましい。また、相溶性の観点から20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、2~15がより好ましく、5~10がさらに好ましく挙げられる。
【0321】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基などが挙げられ、これらの中でも溶解性の観点から、オクチル基又は2-エチルヘキシル基が好ましく、2-エチルヘキシル基がより好ましい。
【0322】
アルキル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、リン酸基などが挙げられ、合成容易性の観点から無置換であることがさらに好ましい。
これらの中でも、溶解性の観点からRc3を、置換基を有していてもよいアルキル基とすることが好ましく、無置換のアルキル基とすることがより好ましく、2-エチルヘキシル基とすることがさらに好ましい。
【0323】
c4における芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は30以下であることが好ましく12以下であることがより好ましく、通常4以上であり、6以上であることが好ましい。前記上限値以下とすることで、溶解性が良好となる傾向があり、前記下限値以上とすることで感度と溶解性の両立がしやすくなる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~30が好ましく、6~12がより好ましく挙げられる。
【0324】
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
【0325】
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
【0326】
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられ、溶解性の観点からアルキル基、又はアルコキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。置換基の数は特に限定されないが、溶解性の観点から、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましいく、3以上であることがさらに好ましい。また、相溶性の観点から、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、3~4がさらに好ましく挙げられる。
【0327】
これらの中でも、溶解性の観点からRc4を、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基とすることが好ましく、2以上のメチル基を有する芳香族炭化水素環基とすることがより好ましく、メシチル基とすることがさらに好ましい。
【0328】
c5及びRc6は各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、又はナフタレン環を表す。ただし、Rc5及びRc6の少なくともいずれか1つは、置換基を有していてもよいナフタレン環である。具体的な組み合わせとしては、Rc5が置換基を有していてもよいベンゼン環であり、Rc6が置換基を有していてもよいナフタレン環である組み合わせ、Rc5が置換基を有していてもよいナフタレン環であり、Rc6が置換基を有していてもよいベンゼン環である組み合わせ、Rc5が置換基を有していてもよいナフタレン環であり、Rc6が置換基を有していてもよいナフタレン環である組み合わせが挙げられる。これらの中でも、吸光性の観点からは、Rc5が置換基を有していてもよいナフタレン環であり、かつ、Rc6が置換基を有していてもよいベンゼン環である組み合わせが挙げられる。
【0329】
c5が置換基を有していてもよいベンゼン環の場合、ベンゼン環の1位にN原子が結合し、2位にRc6が結合し、4位にXが結合する態様が挙げられる。同様に、Rc6が置換基を有していてもよいベンゼン環の場合、ベンゼン環の1位にN原子が結合し、2位にRc5が結合し、4位にZが結合する態様が挙げられる。
【0330】
他方、Rc5が置換基を有していてもよいナフタレン環の場合、式(C-I)においてRc5に結合するX、N原子、Rc6は、Rc5が示すナフタレン環の何位に結合していてもよい。例えば、ナフタレン環の1位にN原子が結合し、2位にRc6が結合し、4位にXが結合した態様や、ナフタレン環の1位にRc6が結合し、2位にN原子が結合し、6位にXが結合した態様などが挙げられる。同様に、Rc6が置換基を有していてもよいナフタレン環の場合、式(C-I)においてRc6に結合するZ、N原子、R5は、該ナフタレン環の何位に結合していてもよい。例えば、ナフタレン環の1位にN原子が結合し、2位にRc5が結合し、4位にZが結合した態様や、ナフタレン環の1位にRc5が結合し、2位にN原子が結合し、6位にZが結合した態様などが挙げられる。
【0331】
c5及びRc6におけるベンゼン環やナフタレン環が有していてもよい置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられ、感度の観点から、無置換であることがさらに好ましい。
【0332】
c1及びRc4の少なくともいずれか1つは、-ORc7基を有する。Rc1が-ORc7基を有していてもよく、Rc4が-OR7基を有していてもよく、Rc1及びRc4が各々独立に、-ORc7基を有していてもよい。これらの中でも感度の観点からは、Rc1が-ORc7基を有していることが好ましい。
【0333】
c7はハロゲノアルキル基を表し、Rc7におけるハロゲノアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶解性の観点から1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましい。また、相溶性の観点から10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1~10が好ましく、2~7がより好ましく、3~5がさらに好ましく挙げられる。
ハロゲノアルキル基における炭素鎖は、直鎖であっても、分岐鎖であっても、環状であってもよいが、製造容易性の観点からは直鎖であることが好ましい。
【0334】
ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の数は特に限定されないが、溶解性の観点から1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましい。また、相溶性の観点から7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1~7が好ましく、2~6がより好ましく、3~5がさらに好ましく挙げられる。
【0335】
ハロゲノアルキル基の具体例としては、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基などが挙げられ、これらの中でも製造容易性の観点から2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基がより好ましい。
ハロゲノアルキル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、アルコキシ基などが挙げられ、製造容易性の観点からは無置換であることが好ましい。
【0336】
Xは、直接結合又はカルボニル基を表すが、ある態様として、密着性の観点から直接結合であることが好ましく、別の態様として、感度の観点からカルボニル基であることが好ましい。
また、Zは、直接結合又はカルボニル基を表すが、ある態様として、密着性の観点から直接結合であることが好ましく、別の態様として、感度の観点からカルボニル基であることが好ましい。
【0337】
一方で、オキシムエステル系化合物の中でも、耐溶剤性の観点から、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系化合物を含むことが好ましい。このように、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系化合物を含むことにより、短波長の光吸収が強く、表面硬化性が向上するため、溶剤へ溶解しにくくなり耐溶剤性が高まると考えられる。また、溶剤の浸透を防ぐことで、塗膜内部からも着色剤などが溶け出すことを抑制できるようになる。そして、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系化合物は共役系の長さが短く、分子全体のエネルギーが高くなり、熱分解によるラジカル生成効率が高く重合反応を促進し、さらに、開始剤の未反応物も少なく、開始剤自体の溶剤への溶出も抑制できるものと考えられる。
【0338】
ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系化合物の化学構造は特に限定されないが、耐溶剤性の観点から、下記一般式(C-II)で表されるものを用いることが好ましい。
【0339】
【化47】
【0340】
上記一般式(C-II)において、R23は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表し;
24は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表し;
25は、水酸基、カルボキシル基又は下記一般式(C-II-1)で表される基を表し;
hは、0~5の整数を表し;
式(C-II)中に示されるベンゼン環は、さらに置換基を有していてもよい。
【0341】
【化48】
【0342】
式(C-II-1)中、R25aは、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-を表し;
25bは、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し;
25bのアルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-又は-OCO-により1~5回中断されていてもよく;
25のアルキレン部分は分岐側鎖があってもよく、シクロヘキシレンであってもよく;
25cは、水酸基又はカルボキシル基を表す。
【0343】
23におけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、感光性着色組成物への溶解性の観点から1以上であることが好ましい。また、現像性の観点から20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましく、5以下であることがよりさらに好ましく、3以下であることが特に好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~8がさらに好ましく、1~5がよりさらに好ましく、1~3が特に好ましく挙げられる。
【0344】
アルキル基の具体例としては、メチル基、ヘキシル基、シクロペンチルメチル基などが挙げられ、これらの中でも現像性の観点から、メチル基又はヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、芳香族環基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基などが挙げられ、アルカリ現像性の観点から水酸基、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。また、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
【0345】
23における芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、感光性着色組成物への溶解性の観点から5以上であることが好ましい。また、現像性の観点から30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、5~30が好ましく、5~20がより好ましく、5~12がさらに好ましく挙げられる。
【0346】
芳香族環基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基などが挙げられ、これらの中でも現像性の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基などが挙げられ、現像性の観点から水酸基、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
これらの中でも、現像性の観点から、R23が置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、無置換のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0347】
24におけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、感度の観点から1以上であることが好ましい。また、感度の観点から20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましく、3以下であることが特に好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5がさらに好ましく、1~3が特に好ましく挙げられる。
【0348】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられ、これらの中でも感度の観点から、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基などが挙げられ、アルカリ現像性の観点から水酸基、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基がより好ましく、他方合成容易性の観点からは無置換であることが好ましい。
【0349】
24における芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は30以下であることが好ましく12以下であることがより好ましく、通常4以上であり、6以上であることが好ましい。前記上限値以下とすることで、高感度となる傾向があり、前記下限値以上とすることで低昇華性となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、4~30が好ましく、6~12がより好ましく挙げられる。
【0350】
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基などが挙げられる。
これらの中でも、感度の観点から、R24が置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、無置換のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
他方、製版性の観点から、R24が置換基を有していてもよい芳香族環基であることが好ましく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることがより好ましく、無置換の芳香族炭化水素基であることがさらに好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
【0351】
25は、水酸基、カルボキシル基又は前記一般式(C-II-1)で表される基であるが、これらの中でも、感度及び現像性の観点から、前記一般式(C-II-1)で表される基であることが好ましい。
前記一般式(C-II-1)において、前述のとおり、R25aは、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-を表すが、これらの中でも、感度及び現像性の観点から、-O-又は-OCO-が好ましく、-O-がより好ましい。
【0352】
前述のとおり、R25bは、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
25bにおけるアルキレン基の炭素数は特に限定されないが、感光性着色組成物への溶解性の観点から1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、また、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましく、3以下であることが特に好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、2~5がさらに好ましく、2又は3が特に好ましく挙げられる。
アルキレン基は、直鎖でもよく、分岐していてもよく、脂肪族環を含むものであってもよい。これらの中でも、感光性着色組成物への溶解性の観点から、直鎖であることが好ましい。
【0353】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられ、これらの中でも感光性着色組成物への溶解性の観点から、エチレン基がより好ましい。
【0354】
前述のとおりR25cは、水酸基又はカルボキシル基である。耐溶剤性(液晶汚染性)の観点からは、R25cが水酸基であることが好ましい。
【0355】
前記一般式(C-II)において、hは0~5の整数を表す。特に、現像性の観点からはhは1以上であることが好ましく、また4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、0~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2がさらに好ましく挙げられる。
他方、合成容易性の観点からは、hは0であることが好ましい。
【0356】
光重合開始剤は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素、重合促進剤を配合させることができる。増感色素としては、日本国特開平4-221958号公報、日本国特開平4-219756号公報に記載のキサンテン色素、日本国特開平3-239703号公報、日本国特開平5-289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、日本国特開平3-239703号公報、日本国特開平5-289335号公報に記載の3-ケトクマリン化合物、日本国特開平6-19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、日本国特開昭47-2528号公報、日本国特開昭54-155292号公報、日本国特公昭45-37377号公報、日本国特開昭48-84183号公報、日本国特開昭52-112681号公報、日本国特開昭58-15503号公報、日本国特開昭60-88005号公報、日本国特開昭59-56403号公報、日本国特開平2-69号公報、日本国特開昭57-168088号公報、日本国特開平5-107761号公報、日本国特開平5-210240号公報、日本国特開平4-288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
【0357】
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、さらに好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-チアジアゾール、(p-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p-ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p-ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p-ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p-ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p-ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp-ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’-ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0358】
重合促進剤としては、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル等の芳香族アミン、n-ブチルアミン、N-メチルジエタノールアミン等の脂肪族アミン、後述するメルカプト化合物等が用いられる。重合促進剤は、1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0359】
<(d)エチレン性不飽和化合物>
本発明の感光性着色組成物は、(d)エチレン性不飽和化合物を含む。(d)エチレン性不飽和化合物を含むことで、感度が向上する。
本発明に用いられるエチレン性不飽和化合物は、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物である。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、及びエチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と、多価又は1価アルコールのエステル、等が挙げられる。
【0360】
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。多官能エチレン性単量体が有するエチレン性不飽和基の数は特に限定されないが、通常2個以上であり、好ましくは4個以上であり、より好ましくは5個以上であり、また、好ましくは8個以下であり、より好ましくは7個以下である。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、前記上限値以下とすることで溶媒への溶解性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~8個が好ましく、2~8個がより好ましく、5~7個がさらに好ましく挙げられる。
多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
【0361】
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0362】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0363】
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0364】
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
【0365】
上記ウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、DPHA-40H、UX-5000、UX-5002D-P20、UX-5003D、UX-5005(日本化薬社製)、U-2PPA、U-6LPA、U-10PA、U-33H、UA-53H、UA-32P、UA-1100H(新中村化学工業社製)、UA-306H、UA-510H、UF-8001G(協栄社化学社製)、UV-1700B、UV-7600B、UV-7605B、UV-7630B、UV7640B(日本合成化学社製)等が挙げられる。
【0366】
これらの中でも、硬化性の観点から(d)エチレン性不飽和化合物として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いることがより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0367】
<(e)溶剤>
本発明の感光性着色組成物は、(e)溶剤を含む。(e)溶剤を含むことで、顔料を溶剤中に分散でき、また、塗布が容易となる。
本発明の感光性着色組成物は、通常、(a)着色剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)光重合開始剤、(d)エチレン性不飽和化合物、(f)分散剤、及び必要に応じて使用されるその他の各種材料が、溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。溶剤の中でも、分散性や塗布性の観点から有機溶剤が好ましい。
【0368】
有機溶剤の中でも、塗布性の観点から沸点が100~300℃の範囲のものを選択するのが好ましく、沸点が120~280℃の範囲のものを選択するのがより好ましい。なお、ここでいう沸点は、圧力1013.25hPaにおける沸点を意味する。
【0369】
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
【0370】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
【0371】
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
【0372】
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロリド、アミルクロリドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等。
【0373】
上記に該当する市販の有機溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ(「セロソルブ」は登録商標。以下同じ。)、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0374】
フォトリソグラフィー法にて着色スペーサーを形成する場合、有機溶剤としては沸点が100~200℃(圧力1013.25hPa条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120~170℃の沸点を持つものである。
【0375】
上記有機溶剤のうち、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよい。
グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用する有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、3-メトキシブタノールがより好ましい。
なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、グリコールモノアルキルエーテル類を併用する場合、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5質量%~30質量%が好ましく、5質量%~20質量%がより好ましい。
【0376】
また、150℃以上の沸点をもつ有機溶剤(以下「高沸点溶剤」と称す場合がある。)を併用することも好ましい。このような高沸点溶剤を併用することにより、感光性着色組成物は乾きにくくなるが、組成物中における顔料の均一な分散状態が、急激な乾燥により破壊されることを防止する効果がある。すなわち、例えばスリットノズル先端における、色材などの析出・固化による異物欠陥の発生を防止する効果がある。このような効果が高い点から、上述の各種溶剤の中でも、特にジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
【0377】
有機溶剤中の高沸点溶剤の含有割合は、3質量%~50質量%が好ましく、5質量%~40質量%がより好ましく、5質量%~30質量%が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、例えばスリットノズル先端で色材などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こすのを抑制できる傾向があり、また前記上限値以下とすることで組成物の乾燥温度が遅くなるのを抑制し、減圧乾燥プロセスにおけるタクトタイム不良や、プリベークのピン跡(プリベーク装置の基板支持用ピンに起因する乾燥ムラ)といった問題を抑制できる傾向がある。
【0378】
なお、沸点150℃以上の高沸点溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であってもよく、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の高沸点溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
好ましい高沸点溶剤として、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
【0379】
<(f)分散剤>
本発明の感光性着色組成物においては、(a)着色剤を微細に分散させ、かつその分散状態を安定化させることが品質の安定性確保には重要なため、(f)分散剤を含む。
(f)分散剤としては、官能基を有する高分子分散剤が好ましく、さらに、分散安定性の面からカルボキシル基;リン酸基;スルホン酸基;又はこれらの塩基;一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の官能基を有する高分子分散剤が好ましい。中でも特に、一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の塩基性官能基を有する高分子分散剤が顔料を分散する際に少量の分散剤で分散することができるとの観点から特に好ましい。
【0380】
また、高分子分散剤としては、例えばウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
【0381】
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(登録商標。BASF社製。)、DISPERBYK(登録商標。ビックケミー社製。)、ディスパロン(登録商標。楠本化成社製。)、SOLSPERSE(登録商標。ルーブリゾール社製。)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、アジスパー(登録商標。味の素社製。)等を挙げることができる。
これらの高分子分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0382】
高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常700以上、好ましくは1000以上であり、また通常100,000以下、好ましくは50,000以下である。
これらの内、顔料の分散性の観点から、(f)分散剤は官能基を有するウレタン系高分子分散剤及びアクリル系高分子分散剤の一方又は両方を含むことが好ましく、アクリル系高分子分散剤を含むことが特に好ましい。
また分散性、保存性の面から、塩基性官能基を有し、ポリエステル結合及びポリエーテル結合の一方又は両方を有する高分子分散剤が好ましい。
【0383】
ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、例えばDISPERBYK-160~167、182シリーズ(いずれもウレタン系)、DISPERBYK-2000、2001、BYK-LPN21116等(いずれもアクリル系)(以上すべてビックケミー社製)が挙げられる。
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10,000の化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1,000~200,000の分散樹脂等が挙げられる。これらをベンジルクロリド等の四級化剤で処理することで、3級アミノ基の全部又は一部を4級アンモニウム塩基にすることができる。
【0384】
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′-ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの三量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0385】
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
【0386】
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10,000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1~25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0387】
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1~25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
【0388】
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,8-オクタメチレングリコール、2-メチル-1,8-オクタメチレングリコール、1,9-ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N-メチルジエタノールアミン等のN-アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1~25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1~25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
【0389】
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0390】
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300~10,000、好ましくは500~6,000、さらに好ましくは1,000~4,000である。
【0391】
本発明に用いられる同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。
活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
【0392】
3級アミノ基は、特に限定されないが、例えば炭素数1~4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環又はトリアゾール環、などが挙げられる。
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジプロピル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジブチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジプロピルエチレンジアミン、N,N-ジブチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジエチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジプロピル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジブチル-1,4-ブタンジアミン等が挙げられる。
【0393】
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の含窒素ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
【0394】
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2-アミノイミダゾール、1-(2-アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、5-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-3-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジオール、3-アミノ-5-フェニル-1H-1,3,4-トリアゾール、5-アミノ-1,4-ジフェニル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1-ベンジル-1H-2,4-トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0395】
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10,000の化合物が10~200質量部、好ましくは20~190質量部、さらに好ましくは30~180質量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2~25質量部、好ましくは0.3~24質量部である。
【0396】
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0397】
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0398】
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は反応後のアミン価で1~100mgKOH/gの範囲に制御するのが好ましい。より好ましくは5~95mgKOH/gの範囲である。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。前記下限値以上とすることで分散能力が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良化する傾向がある。
【0399】
なお、以上の反応で高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合にはさらに、アルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
ウレタン系高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常1,000~200,000、好ましくは2,000~100,000、より好ましくは3,000~50,000の範囲である。前記下限値以上とすることで分散性及び分散安定性が良化する傾向があり、前記上限値以下とすることで溶解性が向上し分散性が良化する傾向がある。
【0400】
アクリル系高分子分散剤としては、官能基(ここでいう官能基とは、高分子分散剤に含有される官能基として前述した官能基である。)を有する不飽和基含有単量体と、官能基を有さない不飽和基含有単量体とのランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体を使用することが好ましい。これらの共重合体は公知の方法で製造することができる。
【0401】
官能基を有する不飽和基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸ダイマー等のカルボキシル基を有する不飽和単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの4級化物などの3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有する不飽和単量体が具体例として挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0402】
官能基を有さない不飽和基含有単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、スチレン及びその誘導体、α-メチルスチレン、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミドなどのN-置換マレイミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマーなどのマクロモノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0403】
アクリル系高分子分散剤は、特に好ましくは、官能基を有するAブロックと官能基を有さないBブロックからなるA-B又はB-A-Bブロック共重合体であるが、この場合、Aブロック中には上記官能基を含む不飽和基含有単量体由来の部分構造の他に、上記官能基を含まない不飽和基含有単量体由来の部分構造が含まれていてもよく、これらが該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。また、官能基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、通常80質量%以下であり、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0404】
Bブロックは、上記官能基を含まない不飽和基含有単量体由来の部分構造からなるものであるが、1つのBブロック中に2種以上の単量体由来の部分構造が含有されていてもよく、これらは、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
該A-B又はB-A-Bブロック共重合体は、例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。
リビング重合法には、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法があり、このうち、アニオンリビング重合法は、重合活性種がアニオンであり、例えば下記スキームで表される。
【0405】
【化49】
【0406】
上記スキーム中、Ar1は1価の有機基であり、Ar2はAr1とは異なる1価の有機基であり、Mは金属原子であり、s及びtはそれぞれ1以上の整数である。
【0407】
ラジカルリビング重合法は重合活性種がラジカルであり、例えば下記スキームで示される。
【0408】
【化50】
【0409】
上記スキーム中、Ar1は1価の有機基であり、Ar2はAr1とは異なる1価の有機基であり、j及びkはそれぞれ1以上の整数であり、Raは水素原子又は1価の有機基であり、RbはRaとは異なる水素原子又は1価の有機基である。
【0410】
このアクリル系高分子分散剤を合成するに際しては、日本国特開平9-62002号公報や、P.Lutz, P.Masson et al, Polym. Bull. 12, 79 (1984), B.C.Anderson, G.D.Andrews et al, Macromolecules, 14, 1601(1981), K.Hatada, K.Ute,et al, Polym. J. 17, 977(1985), 18, 1037(1986), 右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36, 366(1987),東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46, 189(1989), M.Kuroki, T.Aida, J. Am. Chem. Sic, 109, 4737(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43, 300(1985), D.Y.Sogoh, W.R.Hertler et al, Macromolecules, 20, 1473(1987)などに記載の公知の方法を採用することができる。
【0411】
本発明で用いることができるアクリル系高分子分散剤はA-Bブロック共重合体であっても、B-A-Bブロック共重合体であってもよく、その共重合体を構成するAブロック/Bブロック比は1/99~80/20、特に5/95~60/40(質量比)であることが好ましく、この範囲内にすることで分散性と保存安定性のバランスの確保ができる傾向がある。
また、本発明で用いることができるA-Bブロック共重合体、B-A-Bブロック共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、通常0.1~10mmolであることが好ましく、この範囲内にすることで良好な分散性を確保できる傾向がある。
【0412】
なお、このようなブロック共重合体中には、通常、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があるが、そのアミン価は1~100mgKOH/g程度であり、分散性の観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上、さらに好ましくは50mgKOH/g以上、また、好ましくは90mgKOH/g以下、より好ましくは80mgKOH/g以下、さらに好ましくは75mgKOH/g以下である。
ここで、これらのブロック共重合体等の分散剤のアミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表し、次の方法により測定する。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5~1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO4酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
【0413】
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)〔但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[質量%]を表す。〕
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常10mgKOH/g以下であり、その重量平均分子量(Mw)は、1000~100,000の範囲が好ましい。前記範囲内とすることで良好な分散性を確保できる傾向がある。
【0414】
4級アンモニウム塩基を官能基として有する場合、高分子分散剤の具体的な構造については特に限定されないが、分散性の観点からは、下記式(i)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(i)」ということがある。)を有することが好ましい。
【0415】
【化51】
【0416】
上記式(i)中、R31~R33は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表し;
31~R33のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよく;
34は水素原子又はメチル基であり;
Xは2価の連結基であり;
-は対アニオンである。
【0417】
上記式(i)のR31~R33における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、1以上であって、また、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
【0418】
上記式(i)のR31~R33における、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、又はジエチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、又はエチルフェニル基であることがより好ましい。
【0419】
上記式(i)のR31~R33における、置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルイソプロピル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、又はフェニルブチル基であることが好ましく、フェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることがより好ましい。
【0420】
これらの中でも、分散性の観点から、R31~R33が各々独立に、アルキル基、又はアラルキル基であることが好ましく、具体的には、R31及びR33が各々独立に、メチル基、又はエチル基であり、かつ、R32がフェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることが好ましく、R31及びR33がメチル基であり、かつ、R32がフェニルメチル基であることがさらに好ましい。
【0421】
また、前記高分子分散剤が官能基として3級アミンを有する場合、分散性の観点からは、下記式(ii)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(ii)」ということがある。)を有することが好ましい。
【0422】
【化52】
【0423】
上記式(ii)中、R35及びR36は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基であり;
35及びR36が互いに結合して環状構造を形成してもよく;
37は水素原子又はメチル基であり;
Zは2価の連結基である。
【0424】
上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアルキル基としては、上記式(i)のR31~R33として例示したものを好ましく採用することができる。
上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアリール基としては、上記式(i)のR31~R33として例示したものを好ましく採用することができる。
上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、上記式(i)のR31~R33として例示したものを好ましく採用することができる。
【0425】
これらの中でも、R35及びR36が各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、メチル基、又はエチル基であることがより好ましい。
【0426】
上記式(i)のR31~R33及び上記式(ii)のR35及びR36におけるアルキル基、アラルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ベンゾイル基、水酸基などが挙げられる。
【0427】
上記式(i)及び(ii)において、2価の連結基X及びZとしては、例えば、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-CONH-R43-基、-COOR44-基〔但し、R43及びR44は単結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は炭素数2~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である〕等が挙げられ、好ましくは-COO-R44-基である。
また、上記式(i)において、対アニオンのY-としては、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、BF4 -、CH3COO-、PF6 -等が挙げられる。
【0428】
前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合と前記式(ii)で表される繰り返し単位の含有割合の合計に対して、好ましくは60モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下であり、さらに好ましくは40モル%以下であり、特に好ましくは35モル%以下であり、また、好ましくは5モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上であり、さらに好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは30モル%以上である。
【0429】
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましく、10モル%以上であることがさらに好ましく、また、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましく、15モル%以下であることが特に好ましい。
【0430】
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(ii)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、15モル%以上であることがさらに好ましく、20モル%以上であることが特に好ましく、また、60モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることがさらに好ましく、25モル%以下であることが特に好ましい。
【0431】
また、高分子分散剤は、溶媒等のバインダー成分に対する相溶性を高め、分散安定性を向上させるとの観点から、下記式(iii)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(iii)」ということがある。)を有することが好ましい。
【0432】
【化53】
【0433】
上記式(iii)中、R40はエチレン基又はプロピレン基であり;R41は置換基を有していてもよいアルキル基であり;
42は水素原子又はメチル基であり;
nは1~20の整数である。
【0434】
上記式(iii)のR41における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、1以上であって、2以上であることが好ましく、また、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
【0435】
また、上記式(iii)におけるnは溶媒等バインダー成分に対する相溶性と分散性の観点から、1以上であって、2以上であることが好ましく、また、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
【0436】
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(iii)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、4モル%以上であることがさらに好ましく、また、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。前記範囲内の場合には溶媒等バインダー成分に対する相溶性と分散安定性の両立が可能となる傾向がある。
【0437】
また、高分子分散剤は、分散剤の溶媒等バインダー成分に対する相溶性を高め、分散安定性を向上させるという観点から、下記式(iv)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(iv)」ということがある。)を有することが好ましい。
【0438】
【化54】
【0439】
上記式(iv)中、R38は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基であり;R39は水素原子又はメチル基である。
【0440】
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、1以上であって、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、また、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
【0441】
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、又はジエチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、又はエチルフェニル基であることがより好ましい。
【0442】
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルイソプロピル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、又はフェニルブチル基であることが好ましく、フェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることがより好ましい。
【0443】
これらの中でも、溶剤相溶性と分散安定性の観点から、R38がアルキル基、又はアラルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又はフェニルメチル基であることがより好ましい。
38における、アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。また、アリール基又はアラルキル基が有していてもよい置換基としては、鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。また、R38で示される鎖状のアルキル基には、直鎖状及び分岐鎖状のいずれも含まれる。
【0444】
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(iv)で表される繰り返し単位の含有割合は、分散性の観点から、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましく、また、80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
【0445】
高分子分散剤は、繰り返し単位(i)、繰り返し単位(ii)、繰り返し単位(iii)及び繰り返し単位(iv)以外の繰り返し単位を有していてもよい。そのような繰り返し単位の例としては、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸クロリドなどの(メタ)アクリル酸塩系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N-メタクリロイルモルホリン等の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0446】
高分子分散剤は、分散性をより高めるとの観点から、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)を有するAブロックと、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)を有さないBブロックとを有する、ブロック共重合体であることが好ましい。該ブロック共重合体は、A-Bブロック共重合体又はB-A-Bブロック共重合体であることが好ましい。Aブロックに4級アンモニウム塩基だけでなく3級アミノ基も導入することにより、意外にも、分散剤の分散能力が著しく向上する傾向がある。また、Bブロックが繰り返し単位(iii)を有することが好ましく、さらに繰り返し単位(iv)を有することがより好ましい。
【0447】
Aブロック中において、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)は、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。また、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)は、1つのAブロック中に各々2種以上含有されていてもよく、その場合、各々の繰り返し単位は、該Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
【0448】
また、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)以外の繰り返し単位が、Aブロック中に含有されていてもよく、そのような繰り返し単位の例としては、前述の(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来の繰り返し単位等が挙げられる。繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)以外の繰り返し単位の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0~50モル%、より好ましくは0~20モル%であるが、かかる繰り返し単位はAブロック中に含有されないことが最も好ましい。
【0449】
繰り返し単位(iii)及び(iv)以外の繰り返し単位がBブロック中に含有されていてもよく、そのような繰り返し単位の例としては、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸クロリドなどの(メタ)アクリル酸塩系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N-メタクリロイルモルホリン等の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。繰り返し単位(iii)及び繰り返し単位(iv)以外の繰り返し単位の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0~50モル%、より好ましくは0~20モル%であるが、かかる繰り返し単位はBブロック中に含有されないことが最も好ましい。
【0450】
また分散安定性向上の点から、(f)分散剤は、後述する顔料誘導体と併用することが好ましい。
【0451】
<感光性着色組成物のその他の配合成分>
本発明の感光性着色組成物には、上述の成分の他、シランカップリング剤等の密着向上剤、界面活性剤(塗布性向上剤)、顔料誘導体、光酸発生剤、架橋剤、メルカプト化合物、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を適宜配合することができる。
【0452】
(1)密着向上剤
本発明の感光性着色組成物には、基板との密着性を改善するため、密着向上剤を含有させてもよい。密着向上剤としては、シランカップリング剤、燐酸基含有化合物等が好ましい。
シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、(メタ)アクリル系、アミノ系等種々のものを、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して使用できる。
【0453】
好ましいシランカップリング剤として、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン類が挙げられるが、特に好ましくは、エポキシシラン類のシランカップリング剤である。
燐酸基含有化合物としては、(メタ)アクリロイル基含有ホスフェート類が好ましく、下記一般式(g1)、(g2)又は(g3)で表されるものが好ましい。
【0454】
【化55】
【0455】
上記一般式(g1)、(g2)及び(g3)において、R51は水素原子又はメチル基を表し;
l及びl’は1~10の整数を表し;
mは1、2又は3を表す。
これらの燐酸基含有化合物は、1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0456】
(2)界面活性剤
本発明の感光性着色組成物には、塗布性向上ため、界面活性剤を含有させてもよい。
【0457】
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等各種のものを用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系やシリコン系の界面活性剤が塗布性の面で効果的である。
このような界面活性剤としては、例えば、TSF4460(ジーイー東芝シリコーン社製)、DFX-18(ネオス社製)、BYK-300、BYK-325、BYK-330(ビックケミー社製)、KP340(信越シリコーン社製)、メガファック F-470、F-475、F-478、F-559(DIC社製)、SH7PA(トーレシリコーン社製)、DS-401(ダイキン社製)、L-77(日本ユニカー社製)、FC4430(住友3M社製)等が挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0458】
(3)顔料誘導体
本発明の感光性着色組成物には、分散性、保存性向上のため、分散助剤として顔料誘導体を含有させてもよい。
顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもフタロシアニン系、キノフタロン系が好ましい。
顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。
【0459】
顔料誘導体の具体例としてはフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0460】
(4)光酸発生剤
光酸発生剤とは、紫外線により酸を発生することができる化合物であり、露光を行った際に発生する酸の作用により、例えばメラミン化合物等架橋剤があることで架橋反応を進行させることとなる。係る光酸発生剤の中でも、溶剤に対する溶解性、特に感光性着色組成物に使われる溶剤に対する溶解性が大きいものが好ましいものであり、例えば、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p-アニシル)ヨードニウム、ビス(m-ニトロフェニル)ヨードニウム、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウム、ビス(n-ドデシル)ヨードニウム、p-イソブチルフェニル(p-トリル)ヨードニウム、p-イソプロピルフェニル(p-トリル)ヨードニウムなどのジアリールヨードニウム、あるいはトリフェニルスルホニウムなどのトリアリールスルホニウムのクロリド、ブロミド、あるいはホウフッ化塩、ヘキサフルオロフォスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩、芳香族スルホン酸塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩等や、ジフェニルフェナシルスルホニウム(n-ブチル)トリフェニルボレート等のスルホニウム有機ホウ素錯体類、あるいは、2-メチル-4,6-ビストリクロロメチルトリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビストリクロロメチルトリアジンなどのトリアジン化合物等を挙げることができるがこの限りではない。
【0461】
(5)架橋剤
本発明の感光性着色組成物には、さらに架橋剤を加えることができ、例えばメラミン又はグアナミン系の化合物を用いることができる。これら架橋剤としては、例えば、下記一般式(6)で示されるメラミン又はグアナミン系の化合物を挙げることができる。
【0462】
【化56】
【0463】
式(6)中、R61は-NR6667基又は炭素数6~12のアリール基を表し;
61が-NR6667基の場合、R62、R63、R64、R65、R66及びR67の一つが-CH2OR68基を表し;
61が炭素数6~12のアリール基の場合、R62、R63、R64及びR65の一つが-CH2OR68基を表し;
62、R63、R64、R65、R66及びR67の残りは各々独立に、水素又は-CH2OR68基を表し;
68は水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
61における、炭素数6~12のアリール基は典型的にはフェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であり、これらのフェニル基やナフチル基には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などの置換基が結合していてもよい。アルキル基及びアルコキシ基は、それぞれ炭素数1~6程度であることができる。R68で表されるアルキル基は、上記のなかでも、メチル基又はエチル基、とりわけメチル基であるのが好ましい。
【0464】
一般式(6)に相当するメラミン系化合物、すなわち下記一般式(6-1)の化合物には、ヘキサメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミンなどが包含される。
【0465】
【化57】
【0466】
式(6-1)中、R62、R63、R64、R65、R66及びR67の一つがアリール基の場合:R62、R63、R64及びR65の一つが-CH2OR68基を表し;
62、R63、R64、R65、R66及びR67の残りは各々独立に、水素原子又は-CH2OR68基を表し;
68は水素原子又はアルキル基を表す。
【0467】
また、一般式(6)に相当するグアナミン系化合物、すなわち一般式(6)中のR61が炭素数6~12のアリールである化合物には、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、トリメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラエトキシメチルベンゾグアナミンなどが包含される。
【0468】
さらに、メチロール基又はメチロールアルキルエーテル基を有する架橋剤を用いることもできる。その例としては、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、4-tert-ブチル-2,6-ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、5-エチル-1,3-ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-オン(通称N-エチルジメチロールトリアゾン)又はそのジメチルエーテル体、ジメチロールトリメチレン尿素又はそのジメチルエーテル体、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ-1,3,5-オキサジアジン-4-オン(通称ジメチロールウロン)又はそのジメチルエーテル体、テトラメチロールグリオキザールジウレイン又はそのテトラメチルエーテル体を挙げることができる。
【0469】
なお、これら架橋剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
架橋剤を用いる際の量は、感光性着色組成物の全固形分に対して0.1~15質量%が好ましく、特に好ましくは0.5~10質量%である。
【0470】
(6)メルカプト化合物
重合促進剤として、また、基板への密着性の向上のため、メルカプト化合物を添加することも可能である。
【0471】
メルカプト化合物の種類としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトイソブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が挙げられる。
これらは種々のものを、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0472】
<感光性着色組成物中の成分配合量>
本発明の感光性着色組成物において、感光性着色組成物の全固形分に占める(a)着色剤の含有割合は20質量%以上であり、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく、また、通常60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。(a)着色剤の含有割合を前記下限値以上とすることで、十分な光学濃度(OD)が得られる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで十分な製版特性や耐溶剤性、機械的特性の確保ができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、20~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましく、35~50質量%がさらに好ましく、40~50質量%が特に好ましく挙げられる。
【0473】
また、(a)着色剤が有機着色顔料を含有する場合、(a)着色剤に占める有機着色顔料の含有割合は20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが最も好ましく、また、99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることで十分な光学濃度(OD)が得られる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで耐溶剤性や機械的特性の確保ができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、20~99質量%が好ましく、40~90質量%がより好ましく、60~85質量%がさらに好ましく、80~85質量%が特に好ましく挙げられる。
【0474】
また、(a)着色剤に占める、赤色顔料及び橙色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料の合計の含有割合は1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、また、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることがよりさらに好ましく、8質量%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで十分な光学濃度(OD)が得られる傾向があり、前記上限値以下とすることで製版特性の確保ができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~30質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましく、3~10質量%がよりさらに好ましく、3~8質量%が特に好ましく挙げられる。
【0475】
また、(a)着色剤に占める、青色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料の合計の含有割合は20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることがよりさらに好ましく、60質量%以上であることが特に好ましく、70質量%以上であることが最も好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで遮光性を確保できる傾向があり、前記上限値以下とすることで製版特性の確保ができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、20~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、40~85質量%がさらに好ましく、50~85質量%がよりさらに好ましく、60~85質量%が特に好ましく、70~80質量%が最も好ましく挙げられる。
【0476】
また、(a)着色剤が黒色顔料を含有する場合、(a)着色剤に占める黒色顔料の含有割合は1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、15質量%以上であることが特に好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが最も好ましい。前記下限値以上とすることで十分な光学濃度(OD)が得られる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで製版特性や機械的特性の確保ができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%、15~20質量%が挙げられる。
【0477】
(a)着色剤が有機黒色顔料を含有する場合、(a)着色剤に占める有機黒色顔料の含有割合は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで十分な光学濃度(OD)が得られる傾向があり、前記上限値以下とすることで製版特性の確保できる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましく挙げられる。
【0478】
(a)着色剤がカーボンブラックを含有する場合、(a)着色剤に占めるカーボンブラックの含有割合は1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、15質量%以上であることが特に好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで十分な光学濃度(OD)が得られる傾向があり、前記上限値以下とすることで製版特性や機械的特性の確保できる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましく挙げられる。
【0479】
感光性着色組成物の全固形分に占める(b)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。(b)アルカリ可溶性樹脂の含有割合を前記下限値以上とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下を抑制し、現像不良を抑制できる傾向がある。また前記上限値以下とすることで、露光部への現像液の浸透性が高くなるのを抑制でき、画素のシャープ性や密着性の低下を抑制できる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、10~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、25~50質量%がさらに好ましく、25~40質量%が特に好ましく挙げられる。
【0480】
感光性着色組成物の全固形分に占めるアルカリ可溶性樹脂(b-1)の含有割合は通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。アルカリ可溶性樹脂(b-1)の含有割合を前記下限値以上とすることで十分な耐溶剤性や機械的特性が得られる傾向があり、また前記上限値以下とすることで未露光部の現像性の確保ができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~30質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましく、3~10質量%が特に好ましく挙げられる。
【0481】
(b)アルカリ可溶性樹脂がエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)を含有する場合、感光性着色組成物の全固形分に占めるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)の含有割合は通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。アルカリ可溶性樹脂(b-2)の含有割合を前記下限値以上とすることで未露光部の現像性が良くなる傾向があり、また前記上限値以下とすることで現像性と耐溶剤性や機械的特性のコントロールができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、8~30質量%がさらに好ましく、10~20質量%が特に好ましく挙げられる。
【0482】
感光性着色組成物の全固形分に占める(c)光重合開始剤の含有割合は通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは4質量%以上、特に好ましくは6質量%以上であり、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下である。(c)光重合開始剤の含有割合を前記下限値以上とすることで感度低下を抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下を抑制し、現像不良を抑制できる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、0.1~15質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましく、4~8質量%が特に好ましく挙げられる。
【0483】
(c)光重合開始剤が前記式(C-I)で表されるオキシムエステル系化合物を含有する場合、感光性着色組成物の全固形分に占める該オキシムエステル系化合物の含有割合は通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。前記式(C-1)で表されるオキシムエステル系化合物の含有割合を前記下限値以上とすることで感度低下を抑制できる傾向があり、また前記上限値以下とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下を抑制し、現像不良を抑制できる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、0.5~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、2~6質量%がさらに好ましく、3~5質量%が特に好ましく挙げられる。
【0484】
(c)光重合開始剤がジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系化合物を含有する場合、感光性着色組成物の全固形分に占める該オキシムエステル系化合物の含有割合通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系化合物の含有割合を前記下限値以上とすることで十分な耐溶剤性が得られる傾向があり、また前記上限値以下とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下を抑制し、現像不良を抑制できる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、0.5~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましく挙げられる。
【0485】
(c)光重合開始剤と共に重合促進剤を用いる場合、感光性着色組成物の全固形分に占める重合促進剤の含有割合は好ましくは0.05質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下であり、重合促進剤は、(c)光重合開始剤100質量部に対して通常0.1~50質量部、特に0.1~20質量部の割合で用いることが好ましい。重合促進剤の含有割合を前記下限値以上とすることで、露光光線に対する感度の低下を抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下を抑制し、現像不良を抑制できる傾向がある。
また、本発明の感光性着色組成物中に占める増感色素の配合割合は感度の観点から感光性着色組成物中の全固形分中、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0486】
感光性着色組成物の全固形分に占める(d)エチレン性不飽和化合物の含有割合は通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。(d)エチレン性不飽和化合物の含有割合を前記上限値以下とすることで、露光部への現像液の浸透性が高くなるのを抑制し、良好な画像を得ることが容易となる傾向がある。なお、(d)エチレン性不飽和化合物の含有割合の下限値は、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上である。上限と下限の組み合わせとしては、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましく挙げられる。
【0487】
(d)エチレン性不飽和化合物100質量部に対するアルカリ可溶性樹脂の含有割合は特に限定されないが、100質量部以上が好ましく、150質量部以上がより好ましく、200質量部以上がさらに好ましく、250質量部以上が特に好ましく、また、800質量部以下が好ましく、600質量部以下がより好ましく、500質量部以下がさらに好ましく、400質量部以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで非画線部が現像液に均一に溶解する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感度が高くなる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、100~800質量部が好ましく、150~600質量部がより好ましく、200~500質量部がさらに好ましく、250~400質量部が特に好ましく挙げられる。
【0488】
なお、本発明の感光性着色組成物は、(e)溶剤を使用することで、その固形分濃度が通常5~50質量%、好ましくは10~30質量%となるように調液される。
【0489】
感光性着色組成物の全固形分に占める(f)分散剤の含有割合は通常1質量%以上であり、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、また通常30質量%以下、20質量%以下が好ましく、15質量%以下が特に好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましく挙げられる。
また、(a)着色剤100質量部に対する(f)分散剤の含有割合は、通常5質量部以上、10質量部以上が特に好ましく、通常50質量部以下、特に30質量部以下であることが好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、5~50質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましく挙げられる。(f)分散剤の含有割合を前記下限値以上とすることで、十分な分散性が得られやすい傾向があり、前記上限値以下とすることで相対的に他の成分の割合が減ることで感度、製版性等が低下するのを抑制できる傾向がある。
【0490】
密着向上剤を用いる場合、感光性着色組成物の全固形分に占める密着向上剤の含有割合は通常0.1~5質量%、好ましくは0.2~3質量%、さらに好ましくは0.4~2質量%である。密着向上剤の含有割合を前記下限値以上とすることで密着性の向上効果を十分に得ることができる傾向があり、前記上限値以下とすることで感度が低下したり、現像後に残渣が残り欠陥となったりするのを抑制できる傾向がある。
【0491】
また、界面活性剤を用いる場合、感光性着色組成物の全固形分に占める界面活性剤の含有割合は通常0.001~10質量%、好ましくは0.005~1質量%、さらに好ましくは0.01~0.5質量%、最も好ましくは0.03~0.3質量%である。界面活性剤の含有量を前記下限値以上とすることで塗布膜の平滑性、均一性が発現しやすい傾向があり、前記上限値以下とすることで塗布膜の平滑性、均一性が発現しやすく、他の特性の悪化も抑制できる傾向がある。
【0492】
<感光性着色組成物の物性>
本発明の感光性着色組成物は、着色スペーサー形成用に好適に使用することができ、着色スペーサーとして用いるとの観点からは黒色を呈していることが好ましい。また、その硬化した塗膜の膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が1.0以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましく、1.8以上であることが特に好ましく、通常4.0以下であり、3.0以下であることがより好ましい。上限と下限の組み合わせとしては、1.0~4.0が好ましく、1.2~4.0がより好ましく、1.5~3.0がさらに好ましく、1.8~3.0が特に好ましく挙げられる。
【0493】
<感光性着色組成物の製造方法>
本発明の感光性着色組成物(以下、「レジスト」と称することがある。)は、常法に従って製造される。
通常、(a)着色剤は、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理するのが好ましい。分散処理により(a)着色剤が微粒子化されるため、レジストの塗布特性が向上する。
【0494】
分散処理は、通常、(a)着色剤、(e)溶剤、及び(f)分散剤、並びに(b)アルカリ可溶性樹脂の一部又は全部を併用した系にて行うことが好ましい(以下、分散処理に供する混合物、及び分散処理にて得られた組成物を「インク」、「着色剤分散液」又は「顔料分散液」と称することがある)。特に(f)分散剤として高分子分散剤を用いると、得られたインク及びレジストの経時の増粘が抑制され、分散安定性に優れるため好ましい。
このように、レジストを製造する工程において、(a)着色剤、(e)溶剤、及び(f)分散剤を少なくとも含有する着色剤分散液を製造することが好ましい。着色剤分散液に用いることができる(a)着色剤、(e)有機溶剤、及び(f)分散剤としては、それぞれ感光性着色組成物に用いることができるものとして記載したものを好ましく採用することができる。
【0495】
なお、感光性着色組成物に配合する全成分を含有する液に対して分散処理を行った場合、分散処理時に生じる発熱のため、高反応性の成分が変性する可能性がある。従って、高分子分散剤を含む系にて分散処理を行うことが好ましい。
サンドグラインダーで(a)着色剤を分散させる場合には、0.1~8mm程度の粒子径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散処理条件は、温度は通常0℃から100℃であり、好ましくは室温から80℃の範囲である。分散時間は液の組成及び分散処理装置のサイズ等により適正時間が異なるため適宜調節する。レジストの20度鏡面光沢度(JIS Z8741)が50~300の範囲となるように、インキの光沢を制御するのが分散の目安である。レジストの光沢度が低い場合には、分散処理が十分でなく荒い顔料(色材)粒子が残っていることが多く、現像性、密着性、解像性等が不十分となる可能性がある。また、光沢値が上記範囲を超えるまで分散処理を行うと、顔料が破砕して超微粒子が多数生じるため、却って分散安定性が損なわれる傾向がある。
【0496】
また、インク中に分散した顔料の分散粒径は通常0.03~0.3μmであり、動的光散乱法等により測定される。
次に、上記分散処理により得られたインキと、レジスト中に含まれる、上記の他の成分を混合し、均一な混合液とする。レジストの製造工程においては、微細なゴミが液中に混じることが多いため、得られたレジストはフィルター等により濾過処理するのが望ましい。
【0497】
[硬化物]
本発明の感光性着色組成物を硬化させることで、硬化物を得ることができる。感光性着色組成物を硬化して得られる硬化物は、着色スペーサーとして好適に用いることができる。
【0498】
[着色スペーサー]
次に、本発明の感光性着色組成物を用いた着色スペーサーについて、その製造方法に従って説明する。
【0499】
(1)支持体
着色スペーサーを形成するための支持体としては、適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。主に透明基板が使用されるが、材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルフォンなどの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。また、基板の表面にITO、IZO等の透明電極が成膜されている場合もある。透明基板以外では、TFTアレイ上に形成することも可能である。
【0500】
支持体には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行ってもよい。
透明基板の厚さは、通常0.05~10mm、好ましくは0.1~7mmの範囲とされる。また各種樹脂の薄膜形成処理を行う場合、その膜厚は、通常0.01~10μm、好ましくは0.05~5μmの範囲である。
【0501】
(2)着色スペーサー
本発明の感光性着色組成物は、公知のカラーフィルター用感光性着色組成物と同様の用途に使用されるが、以下、着色スペーサー(ブラックフォトスペーサー)として使用される場合について、本発明の感光性着色組成物を用いたブラックフォトスペーサーの形成方法の具体例に従って説明する。
【0502】
通常、ブラックフォトスペーサーが設けられるべき基板上に、感光性着色組成物を、塗布等の方法により膜状あるいはパターン状に供給し、溶剤を乾燥させる。続いて、露光及び現像を行うフォトリソグラフィー法などの方法によりパターン形成を行う。その後、必要により追露光や熱硬化処理を行うことにより、該基板上にブラックフォトスペーサーが形成される。
【0503】
(3)着色スペーサーの形成
[1]基板への供給方法
本発明の感光性着色組成物は、通常、溶剤に溶解あるいは分散された状態で、基板上へ供給される。その供給方法としては、従来公知の方法、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行うことができる。また、インクジェット法や印刷法などにより、パターン状に供給されてもよい。中でも、ダイコート法によれば、塗布液の使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くない、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
【0504】
塗布量は用途により異なるが、例えばブラックフォトスペーサーの場合には、乾燥膜厚として、通常0.5μm~10μm、好ましくは1μm~9μm、特に好ましくは1μm~7μmの範囲である。また、乾燥膜厚あるいは最終的に形成されたスペーサーの高さが、基板全域に渡って均一であることが重要である。ばらつきが大きい場合には、液晶パネルにムラ欠陥を生ずることとなる。
【0505】
ただし、本発明の感光性着色組成物を用いて、フォトリソグラフィー法により高さの異なるブラックフォトスペーサーを一括形成する場合は、最終的に形成されたブラックフォトスペーサーの高さは異なるものとなる。
【0506】
なお、基板としてはガラス基板など、公知の基板を使用することができる。また、基板表面は平面であることが好適である。
【0507】
[2]乾燥方法
基板上に感光性着色組成物を供給した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥方法によるのが好ましい。また、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法を組み合わせてもよい。
【0508】
乾燥の条件は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は、40℃~130℃の温度で15秒~5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50℃~110℃の温度で30秒~3分間の範囲で選ばれる。
【0509】
[3]露光方法
露光は、感光性着色組成物の塗布膜上に、ネガのマスクパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。露光マスクを用いて露光を行う場合には、露光マスクを感光性着色組成物の塗布膜に近接させる方法や、露光マスクを感光性着色組成物の塗布膜から離れた位置に配置し、該露光マスクを介した露光光を投影する方法によってもよい。また、マスクパターンを用いないレーザー光による走査露光方式によってもよい。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、脱酸素雰囲気下で行ったり、光重合性層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ったりしてもよい。
【0510】
本発明の好ましい態様として、フォトリソグラフィー法により高さの異なるブラックフォトスペーサーを同時に形成する場合は、例えば、遮光部(光透過率0%)と、複数の開口部として、平均光透過率の最も高い開口部(完全透過開口部)に対して平均光透過率の小さい開口部(中間透過開口部)を有する露光マスクを用いる。この方法により、中間透過開口部と完全透過開口部の平均光透過率の差、即ち露光量の差により、残膜率の差異を生じさせる。
中間透過開口部は、例えば、微小な多角形の遮光ユニットを有するマトリックス状遮光パターンによって作成する方法等が知られている。また吸収体として、クロム系、モリブデン系、タングステン系、シリコン系などの材料の膜によって、光透過率を制御し作成する方法等が知られている。
【0511】
上記の露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
【0512】
光学フィルターとしては、例えば薄膜で露光波長における光透過率を制御可能なタイプでも良く、その場合の材質としては、例えばCr化合物(Crの酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物など)、MoSi、Si、W、Al等が挙げられる。
【0513】
露光量としては、通常、1mJ/cm2以上、好ましくは5mJ/cm2以上、より好ましくは10mJ/cm2以上であり、通常300mJ/cm2以下、好ましくは200mJ/cm2以下、より好ましくは150mJ/cm2以下である。
また、近接露光方式の場合には、露光対象とマスクパターンとの距離としては、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。
【0514】
[4]現像方法
上記の露光を行った後、アルカリ性化合物の水溶液、又は有機溶剤を用いる現像によって、基板上に画像パターンを形成することができる。この水溶液には、さらに界面活性剤、有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
【0515】
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン又はトリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン又はトリエチルアミン、モノイソプロピルアミン又はジイソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。
これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
【0516】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤、が挙げられる。
【0517】
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、単独でも水溶液と併用して使用できる。
【0518】
現像処理の条件は特に制限はなく、通常、現像温度は10~50℃の範囲、中でも15~45℃、特に好ましくは20~40℃で、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
【0519】
[5]追露光及び熱硬化処理
現像の後の基板には、必要により上記の露光方法と同様な方法により追露光を行っても良く、また熱硬化処理を行ってもよい。この際の熱硬化処理条件は、温度は100℃~280℃の範囲、好ましくは150℃~250℃の範囲で選ばれ、時間は5分間~60分間の範囲で選ばれる。
【0520】
本発明の着色スペーサーの大きさや形状等は、これを適用するカラーフィルターの仕様等によって適宜調整されるが、本発明の感光性着色組成物は、特に、フォトリソグラフィー法によりスペーサーとサブスペーサーの高さの異なるブラックフォトスペーサーを同時に形成するのに有用であり、その場合、スペーサーの高さは通常2~7μm程度であり、サブスペーサーは、スペーサーよりも通常0.2~1.5μm程度低い高さを有する。
また、本発明の着色スペーサーの1μm当たりの光学濃度(OD)は、遮光性の観点から、1.2以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.8以上がさらに好ましく、通常4.0以下であり、3.0以下であることが好ましい。ここで光学濃度(OD)は後述する方法にて測定した値である。
【0521】
[カラーフィルター]
本発明のカラーフィルターは、上述のような本発明の着色スペーサーを備えるものであり、例えば透明基板としてのガラス基板上に、ブラックマトリクスと、赤色、緑色、青色の画素着色層と、オーバーコート層とが積層されて、着色スペーサーを形成した後、配向膜を形成して製造される。画素着色層及び着色スペーサーは液晶駆動側基板上に形成される場合もあり、あるいは透明基板上と液晶駆動側基板上に別々に形成される場合もある。
【0522】
[画像表示装置]
このような本発明の着色スペーサーを有するカラーフィルターと液晶駆動側基板とを貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入することで、本発明の着色スペーサーを備えた、液晶表示装置等の画像表示装置を製造することができる。画素着色層及び着色スペーサーが液晶駆動側基板上に形成される場合についても同様に製造することができる。
【実施例
【0523】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いた感光性着色組成物の構成成分は次の通りである。
【0524】
<アルカリ可溶性樹脂-I>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145質量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10質量部、グリシジルメタクリレート85.2質量部及びトリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)66質量部を滴下し、及び2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル8.47質量部を3時間かけて滴下し、さらに90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2質量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7質量部及びハイドロキノン0.12質量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2質量部、トリエチルアミン0.7質量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られたアルカリ可溶性樹脂-IのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価は80mgKOH/g、二重結合当量は480g/molであった。
【0525】
<アルカリ可溶性樹脂-II>
日本化薬(株)製「ZCR-1642H」(Mw=6500、酸価=98mgKOH/g、二重結合当量=560g/mol)
【0526】
<アルカリ可溶性樹脂-III>
【0527】
【化58】
【0528】
上記構造のエポキシ化合物(エポキシ当量264)50g、アクリル酸13.65g、メトキシブチルアセテート60.5g、トリフェニルホスフィン0.936g、及びパラメトキシフェノール0.032gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
上記エポキシアクリレート溶液25質量部及び、トリメチロールプロパン(TMP)0.76質量部、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)3.3質量部、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)3.5質量部を、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温し反応させた。
樹脂溶液が透明になったところで、メトキシブチルアセテートで希釈し、固形分50質量%となるよう調製し、酸価113mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)2600、二重結合当量520g/molのカルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂(アルカリ可溶性樹脂-III)を得た。
【0529】
<アルカリ可溶性樹脂-IV>
無水コハク酸17質量部と市販のジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学社製A-9550)350質量部を、トリエチルアミン1.8質量部、及び4-メトキシフェノール0.12質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート91.8質量部の存在下に85℃で6時間反応させることにより、1分子中に1個のカルボキシル基と5個のアクリロイル基を有する多官能アクリレートを含む混合物(a-1)を得た。
続いて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製jER828、エポキシ当量186)32.7g、前記混合物(a-1)460.7g、2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン1-オキシル0.2g、トリフェニルホスフィン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.9gを80℃で酸価が2mgKOH/g以下になるまで撹拌した。引き続いて、得られた反応生成物520.5gにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート161.6gを加えて溶解させた後、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸24.2gを加え、90℃で4時間反応させることにより、アルカリ可溶性樹脂-IVを得た。得られたアルカリ可溶性樹脂-IVは、酸価23mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が3000、二重結合当量は120g/molのものであった。なお、アルカリ可溶性樹脂-IVには以下の構造のアルカリ可溶性樹脂が含まれ、その二重結合当量は189g/molであった。
【0530】
【化59】
【0531】
<アルカリ可溶性樹脂-V>
無水コハク酸120質量部と市販のペンタエリスリトールトリアクリレート596質量部を、トリエチルアミン2.5質量部、及びハイドロキノン0.25質量部の存在下に100℃で5時間反応させることにより、1分子中に1個のカルボキシル基と3個のアクリロイル基を有する多官能アクリレート67質量%とペンタエリスリトールトリアクリレート33質量%とからなる酸価94mgKOH/gの多官能アクリレート混合物(a-2)を得た。
次に9,9-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)フルオレンのジエポキシ化物(エポキシ当量231)231質量部、前記多官能アクリレート混合物(a-2)597質量部、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド17.08質量部、及びp-メトキシフェノール0.25質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート219質量部を仕込み、25mL/分の速度で空気を吹き込みながら88~90℃で加熱溶解させ、酸価が0.8mgKOH/gに達するまで溶液を8時間加熱攪拌し続け、無色透明の反応生成物を得た。引き続いて、得られた反応生成物に1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸137質量部を加えて88~90℃で4時間反応させることにより、アルカリ可溶性樹脂-Vを得た。得られたアルカリ可溶性樹脂-Vは、酸価54mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が2500、二重結合当量は219g/molのものであった。なお、アルカリ可溶性樹脂-Vには以下の構造のアルカリ可溶性樹脂が含まれ、その二重結合当量は261g/molであった。
【0532】
【化60】
【0533】
<有機黒色顔料>
BASF社製、Irgaphor(登録商標) Black S 0100 CF(下記式(I-1)で表される化学構造を有する)
【0534】
【化61】
【0535】
<分散剤-I>
ビックケミー社製「BYK-LPN21116」(側鎖に4級アンモニウム塩基及び3級アミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及び3級アミノ基を有さないBブロックからなる、アクリル系A-Bブロック共重合体。アミン価は70mgKOH/g。酸価は1mgKOH/g以下。)
分散剤-IのAブロック中には、下記式(1a)及び(2a)の繰り返し単位が含まれ、Bブロック中には下記式(3a)の繰り返し単位が含まれる。分散剤-Iの全繰り返し単位に占める下記式(1a)、(2a)、及び(3a)の繰り返し単位の含有割合はそれぞれ11.1モル%、22.2モル%、6.7モル%である。
【0536】
【化62】
【0537】
<分散剤-II>
ビックケミー社製「DISPERBYK-167」(ウレタン系高分子分散剤)
【0538】
<顔料誘導体>
ルーブリゾール社製「Solsperse12000」
<溶剤-I>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<溶剤-II>
MB:3-メトキシブタノール
<光重合開始剤-I>
Irgacure OXE03(BASF社製)
【0539】
【化63】
【0540】
<光重合開始剤-II>
【0541】
【化64】
【0542】
<光重合性モノマー>
DPHA:日本化薬社製 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
<添加剤-I>
日本化薬社製、KAYAMER PM-21(メタクリロイル基含有ホスフェート)
<添加剤-II>
東レ・ダウコーニング社製 SH6040
<界面活性剤>
DIC社製 メガファック F-559
【0543】
感光性着色組成物の評価方法及び条件は次の通りである。
【0544】
<単位膜厚当たりの光学濃度(単位OD値)の測定>
単位膜厚当たりの光学濃度は以下の手順にて測定した。
後述のパターン2及びパターン2’を有するガラス基板の光学濃度(OD)を透過濃度計グレタグマクベスD200-IIによって測定し、膜厚を菱化システム社製非接触表面・層断面形状計測システム VertScan(R)2.0により測定した。光学濃度(OD)及び膜厚から、単位膜厚当たりの光学濃度(単位OD値)を算出した。表2及び3中、「単位OD」と表記する。なお、OD値は遮光能力を示す数値であり、数値が大きいほど高遮光性であることを示す。
【0545】
<NMP溶出試験>
N-メチルピロリドン(NMP)溶出試験は以下の手順にて行った。
後述のパターン2及びパターン2’を有するガラス基板から測定用基板(2.5cm×1.0cm角)2枚を切り出してN-メチルピロリドン(NMP)8mL入りの10mL容バイアル瓶に浸漬した。そして、その測定用基板入りのバイアル瓶を80℃の熱浴に、40分間静置した状態でNMP溶出試験を実施した。その後に熱浴からバイアル瓶を取り出して、そのNMP溶出溶液(試料溶液)を用いて分光光度計(島津製作所社製「UV-3100PC」)により300~800nmの波長範囲で1nmおきに吸光度を測定した。光源には、ハロゲンランプ及び重水素ランプ(切り替え波長360nm)を使用して、検出器には、フォトマルを使用して、スリット幅2nmを測定条件とした。また、試料溶液は1cm角の石英セルに入れて測定した。吸光度とは、分光法において、ある物体を光が通過した際に光強度がどの程度減衰するかを示す無次元量であり、以下の式で定義される。
【0546】
A(吸光度)=-log10(I/I0) (I:透過光強度、I0:入射光強度)
【0547】
また、同じ光源から試料溶液とNMP単独液へそれぞれ光を入射させた際、NMP単独液を透過してきた光強度をI0、試料溶液を透過してきた光強度をIと見なすことができる。
したがって、上式の(I/I0)は光透過率を表しており、吸光度Aは、透過率の逆数を対数表現した値ということになる。吸光度Aは、試料溶液に含有する物質の濃度などを算出する際に用いられる表記である。吸光度A=0の場合は、全く光を吸収しない状態(透過率100%)を示しており、吸光度A=∞の場合は、全く光を透過しない状態(透過率0%)を示していることになる。つまり、吸光度が強いほど、レジスト塗膜成分が多くNMPへ溶出しており、NMP耐性が悪いことを示している。測定した吸光度のスペクトル面積(nm)を算出して、面積値30(nm)未満をA、30(nm)以上をBとしてNMP耐性を評価した。表2及び3中、「NMP耐性」と表記し、上段にNMP耐性の評価結果を、下段に実際の面積値を示す。吸光度のスペクトル面積は、各波長における吸光度の和で表すことができ、溶出したレジスト成分の総和を意味していることになる。
【0548】
(NMP耐性の評価基準)
NMP溶出溶液の吸収スペクトルの面積値による判定(波長300~800nm)
A:30(nm)未満
B:30(nm)以上
【0549】
<圧縮特性の評価>
後述のパターン1及びパターン1’を有するガラス基板について、以下の手順にて弾性復元率を測定した。
負荷-除荷試験の微小硬度計として、島津製作所社製(島津ダイナミック超微小硬度計DUH-W201S)を用い、測定温度23℃、直径50μmの平面圧子を使用し、一定速度(3.06gf/sec)でスペーサーに荷重を加え、荷重が30.6gfに達したところで5秒間保持し、続いて同速度にて除荷を行い、荷重-変位曲線を得た。この荷重-変位曲線より、最大変位(μm)及び最終変位(μm)を測定し、下記式により弾性復元率(%)を算出し、以下の評価基準にて圧縮特性を評価した。
【0550】
弾性復元率(%)={(最大変位-最終変位)/最大変位}×100
【0551】
(圧縮特性の評価基準)
A:弾性復元率85%以上
B:弾性復元率85%未満
【0552】
<相溶性の評価>
得られた感光性着色組成物を35℃で9日間保存し、保存後の粘度上昇率で相溶性を評価した。粘度は東機産業株式会社製 RC80L型粘度計(測定条件:23℃、50rpm)により測定した。保存後の粘度上昇率は下記式により算出し、以下の評価基準にて相溶性を評価した。
粘度上昇率(%)=(保存後の粘度-保存前の粘度)/保存前の粘度
【0553】
(相溶性の評価基準)
A:粘度上昇率10%以下
B:粘度上昇率10%超過
【0554】
<現像形態の評価>
現像形態の評価は以下の手順にて行った。
調製した感光性着色組成物を最終的な膜厚が2.3μmとなるようにスピンコーターにてガラス基板に塗布し、1分間減圧乾燥した後にホットプレートで80℃にて70秒間乾燥した。その後、露光及び現像工程を行い、現像時の非画線部(未露光部)の溶解のしかたを目視観察した。非画線部が現像液に均一に溶解するタイプと非画線部が膜状に剥離されるタイプに大別し、以下の評価基準にて現像性の善し悪しを判定した。剥離するタイプは現像液にレジストの剥離片が残り、パーティクルとして汚染する可能性があり、着色スペーサー製造時の歩留りが低下する場合がある。
【0555】
(現像形態の評価基準)
AA:非画線部が均一に溶解する
A:わずかに剥離がみられるが、それ以外はほぼ均一に溶解する。
B:膜状の剥離が見られる。
C:現像できない。
【0556】
<表面平滑性の評価>
表面平滑性及び下記の表面粗度の評価は以下の手順にて行った。
まず、調製した感光性着色組成物を最終的な膜厚が2.3μmとなるようにスピンコーターにてガラス基板に塗布し、1分間減圧乾燥した後にホットプレートで80℃にて70秒間乾燥した。露光及び現像工程を経てからオーブンで230℃にて20分間加熱してレジスト塗工基板を得た。作製したレジスト塗工基板について、前記加熱後の表面におけるシワの発生有無を光学顕微鏡にて70μm×70μmの視野で観察し、以下の評価基準にて評価した。
【0557】
(表面平滑性の評価基準)
A:パターンの表面にミクロンオーダーのシワが観察されない
B:パターンの表面にミクロンオーダーのシワが僅かに観察される
C:パターンの表面にミクロンオーダーのシワが著しく目立つ
【0558】
<表面粗度の評価>
上記<表面平滑性の評価>にて作製したレジスト塗工基板について、菱化システム社製三次元非接触表面形状計測システム Micromapにて、50倍の光学レンズを用い、Focusモードで70μm×70μmの視野において表面粗度Sa(算術平均粗さ、μm)を測定した。
【0559】
<着色剤分散液1及び3の調製>
表1に記載の着色剤、分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び溶剤を、表1に記載の質量比となるように混合した。
この混合物をペイントシェーカーにより25~45℃の範囲で3時間分散処理を行った。ビーズとしては、0.5mmφのジルコニアビーズを用い、分散液の2.5倍の質量を加えた。分散終了後、フィルターによりビーズと分散液を分離して、着色剤分散液1及び着色剤分散液3を調製した。
【0560】
<着色剤分散液2(カーボンブラック分散液)の調製>
着色剤としてのカーボンブラック(ビルラー社製、RAVEN1060U)、分散剤、分散助剤及び溶剤を、表1に記載の質量比となるように混合した。
この混合物を攪拌機により十分に攪拌し、プレミキシングを行った。次に、ペイントシェーカーにより25~45℃の範囲で6時間分散処理を行った。ビーズとしては、0.5mmφのジルコニアビーズを用い、分散液と同じ質量を加えた。分散終了後、フィルターによりビーズと分散液を分離して着色剤分散液2を調製した。
【0561】
表1中の略号は、以下の意味を表す。
Or64:C.I.ピグメントオレンジ64、
V29:C.I.ピグメントバイオレット29、
B60:C.I.ピグメントブルー60、
CB:カーボンブラック。
また、表1中の配合割合はいずれも質量部で表されており、溶剤以外は固形分換算した値である。
【0562】
【表1】
【0563】
[実施例1~9及び比較例1、2]
上記で調製した着色剤分散液1~3を用いて、固形分中の比率が表2~3の配合割合となるように各成分を加え、さらに全固形分の含有割合が19質量%となるようにPGMEAを加え、攪拌、溶解させて、感光性着色組成物を調製した。得られた感光性着色組成物を用いて、後述する方法でパターンを作成し、前述の方法にて評価を行った。
【0564】
表2及び3中の配合割合はいずれも固形分の質量部で表されている。
【0565】
【表2】
【0566】
【表3】
【0567】
<スペーサーパターンの形成方法>
ガラス基板(旭硝子社製「AN100」)上にスピンコーターを用いて実施例1~4、比較例1及び2の各感光性着色組成物を塗布した。次いで、100℃にて70秒間、ホットプレート上で加熱乾燥して膜厚が2.7μmの塗布膜を形成した。
得られた塗布膜に対し、直径5~50μm(5~20μm:1μmおき、25μm~50μm:5μmおき)の各種直径の円形パターンの完全透過開口部を有する露光マスクを用いて露光処理を施した。露光ギャップ(マスクと塗布面間の距離)は、300μmであった。照射光としては、波長365nmでの強度が32mW/cm2である紫外線を用い、露光量は60mJ/cm2とした。また、紫外線照射は空気下で行った。
【0568】
続いて、0.05質量%の水酸化カリウムと0.08質量%のノニオン性界面活性剤(花王社製「A-60」)を含有する水溶液よりなる現像液を用い、25℃において水圧0.05MPaのシャワー現像を施した後、純水にて現像を停止し、水洗スプレーにて洗浄した。シャワー現像時間は、10~120秒間の間で調整し、未露光部の塗膜が溶解除去される時間の1.3倍とした。
これらの操作により、不要部分を除去したパターンを得た。当該パターンの形成された基板をオーブン中、230℃で20分間加熱してパターンを硬化させ、高さが2.3μm、底面の直径が30±2μmの略円柱状のスペーサーパターン(パターン1)を得た。また、露光マスクを使わなかった以外は同様の手順で膜厚が2.3μmの全面被覆パターン(パターン2)も作成した。なお、スペーサーパターンの底面の直径は、(株)キーエンス社製超深度カラー3D形状測定顕微鏡「VK-9500」を用いて測定した。実施例5~9についても同様に膜厚が2.7μmの塗布膜を形成し、同一の露光、現像、及び加熱条件にて、底面の直径が30±2μmの略円柱状のスペーサーパターン(パターン1’)と全面被覆のパターン(パターン2’)を作成した。
【0569】
次に、前記パターン2及びパターン2’の単位膜厚(1μm)あたりの光学濃度(OD)を前述の方法で測定した。また、前記パターン2及びパターン2’を用いNMP溶出試験を前述の方法で実施した。さらに、前記パターン1及びパターン1’について、前述の方法で圧縮特性の評価を行った。それぞれ結果を表2~3に示した。
【0570】
次に、表面平滑性、表面粗度の評価を前述の方法で測定した。表面平滑性の結果を表2~3に示した。また表面粗度の結果は、実施例1が0.003μm、実施例2が0.004μm、実施例5が0.807μm、実施例6が0.001μm、実施例7が0.002μm、実施例8が0.003μm、実施例9が0.002μmであった。
【0571】
実施例1~9の感光性着色組成物を用いた塗布基板は、単位ODが高く遮光性に優れ、NMP溶出及び機械的特性に優れることが確認された。
これに対して、比較例1の感光性着色組成物を用いた塗布基板は、NMP溶出及び機械的特性が良いが、単位ODが低く遮光性が不足である。また、比較例2は単位ODの値は実施例と同等であるものの、NMP溶出及び機械的特性が悪いことが確認された。
【0572】
一般に、着色スペーサーの遮光性を向上させるための方法として、顔料濃度を高くする方法がある。しかしながらそのような方法を適用すると、パターンの硬化性に寄与する硬化成分が減少するため、パターンの架橋密度が低くなる傾向がある。そのため、NMPへ不純物が溶出しやすく耐溶剤性が悪くなり、圧縮特性等の機械的特性も悪くなる傾向がある。
比較例1のように、顔料濃度が低い場合には、エチレン性二重結合が少ない樹脂のみを使用した場合でもNMP溶出や機械的特性は十分なものとなるが、樹脂種はそのままにして、単に顔料濃度を高くするだけでは、比較例2のようにNMP溶出や機械的特性が不十分なものとなる。
【0573】
これに対して、実施例1~9のように、顔料濃度を高くした場合において、さらにエチレン性二重結合の多い樹脂を使用することで、パターンの架橋密度を高くでき、NMP溶出や機械的特性を良好なものとすることができると考えられる。
【0574】
また、実施例1~3と実施例4の比較から、アルカリ可溶性樹脂(b-1)と共にエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)を用いることで、現像形態が良化することがわかった。これはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)を用いることで感光性着色組成物の酸価が高くなり、現像溶解性が良化したと考えられる。
また、実施例1と2との比較から、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)の中でも前記式(ii)で表される部分構造を有するものを採用することで、相溶性が良化することがわかった。これは前記式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(b-2)と分散液との相溶性が良好であるためと考えられる。相溶性が良好な場合には、感光性着色組成物の保存安定性が良化する傾向がある。
さらに、実施例1と3との比較から、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ可溶性樹脂(b-1)の含有割合を高くすることでNMP溶出と圧縮特性がさらに良化することがわかった。
【0575】
また、実施例1、5及び6の比較から、着色剤をカーボンブラック単独とすることで、少ない着色剤含有割合でも遮光性を高くでき、NMP溶出及び現像形態が良化することがわかった。これは着色剤含有割合を低くできることで、相対的に感光性組成物中のアルカリ可溶性樹脂の含有割合が高く現像溶解性が良化し、同様にエチレン性不飽和化合物の含有割合が高く光硬化性が高くなるからであると考えられる。これに対して、着色剤として有機顔料を用いることで表面平滑性が良化することがわかった。これは着色剤として有機顔料を用いる場合、有機顔料の紫外透過率が高いため、膜の底部の光硬化性が高く、膜厚方向の架橋密度の差が小さくなるからであると考えられる。
【0576】
実施例1と7の比較から、エチレン性不飽和化合物の含有割合に対するアルカリ可溶性樹脂の含有割合を低くすることで、NMP溶出及び圧縮特性が良化することがわかった。これはエチレン性不飽和化合物の含有割合が高く、膜の架橋密度が高いからであると考えられる。一方で、現像形態が悪化する傾向があったが、これはアルカリ可溶性樹脂の含有割合が低く、現像溶解性が悪化したからであると考えられる。
【0577】
実施例1と8の比較から、アルカリ可溶性樹脂IVに代えてアルカリ可溶性樹脂Vを用いた場合でも、NMP溶出及び圧縮特性が良好であることがわかった。
実施例1と9の比較から、着色剤として有機黒色顔料を用いた場合でも、NMP溶出及び圧縮特性が良好であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0578】
本発明の感光性着色組成物によれば、遮光性が高く、耐溶剤性及び機械的特性に優れた硬化物及び着色スペーサーを提供することができ、さらに、このような着色スペーサーを備える画像表示装置を提供することができる。よって、本発明は感光性着色組成物、硬化物、着色スペーサー及び画像表示装置の各分野において、産業上の利用可能性は極めて高い。