(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】磁気トンネル接合をパターニングするためのハードマスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8239 20060101AFI20220301BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20220301BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20220301BHJP
H01L 43/08 20060101ALI20220301BHJP
H01L 43/12 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L29/82 Z
H01L43/08 Z
H01L43/12
(21)【出願番号】P 2017561795
(86)(22)【出願日】2016-05-11
(86)【国際出願番号】 US2016031941
(87)【国際公開番号】W WO2016195946
(87)【国際公開日】2016-12-08
【審査請求日】2019-05-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-20
(32)【優先日】2015-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シュエ, リン
(72)【発明者】
【氏名】パカラ, マヘンドラ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ハオ
(72)【発明者】
【氏名】アン, ジェス
【合議体】
【審判長】恩田 春香
【審判官】小川 将之
【審判官】▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-500846(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0055804(US,A1)
【文献】特表2009-531865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/105
H01L 21/8239
H01L 29/82
H01L 43/08
H01L 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜スタックであって、該膜スタックは、
磁気トンネル接合層と、
前記磁気トンネル接合層上に配置された誘電体キャップ層と、
前記誘電体キャップ層上に配置されたエッチング停止層と、
前記エッチング停止層上に配置された導電性ハードマスク層と、
前記導電性ハードマスク層上に配置された誘電体ハードマスク層と、
前記誘電体ハードマスク層上に配置されたスピンオンカーボン層であって、50nmと250nmとの間のピッチを有する磁気トンネル接合デバイスを生成するようにパターニングされている、スピンオンカーボン層と、
前記スピンオンカーボン層上に配置された反射防止被覆層と
を備え
、前記導電性ハードマスク層の側壁プロファイルが、前記エッチング停止層と前記導電性ハードマスク層との界面に対して平行な基準面に対して85°よりも大きい側壁角を有する、膜スタック。
【請求項2】
底部電極を備える基板であって、前記膜スタックの前記磁気トンネル接合層が前記基板上に配置されている基板をさらに備える、請求項1に記載の膜スタック。
【請求項3】
前記反射防止被覆層上に配置されたフォトレジスト層をさらに備える、請求項2に記載の膜スタック。
【請求項4】
前記誘電体キャップ層は、酸化マグネシウム材料、酸化アルミニウム材料、酸化亜鉛材料、酸化チタン材料、酸化タンタル材料、窒化タンタル材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物のうちの1つ以上から形成されている、請求項1に記載の膜スタック。
【請求項5】
前記エッチング停止層は、ルテニウム含有材料、タングステン含有材料、タンタル含有材料、白金含有材料、ニッケル含有材料、コバルト含有材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物のうちの1つ以上から形成されている、請求項1に記載の膜スタック。
【請求項6】
前記導電性ハードマスク層は、タンタル含有材料、窒化タンタル含有材料、チタン含有材料、窒化チタン含有材料、タングステン含有材料、窒化タングステン含有材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物のうちの1つ以上から形成されている、請求項1に記載の膜スタック。
【請求項7】
前記誘電体ハードマスク層は、酸化ケイ素含有材料、酸化アルミニウム含有材料、窒化ケイ素含有材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物のうちの1つ以上から形成されている、請求項1に記載の膜スタック。
【請求項8】
前記誘電体キャップ層は、8Åと12Åの間の厚さを有する、請求項1に記載の膜スタック。
【請求項9】
磁気トンネル接合層と、
前記磁気トンネル接合層上に配置された、5Åと20Åの間の厚さを有する誘電体キャップ層と、
前記誘電体キャップ層上に配置された、5Åと50Åの間の厚さを有するエッチング停止層と、
前記エッチング停止層上に配置された、400Åと1000Åの間の厚さを有する導電性ハードマスク層と、
前記導電性ハードマスク層上に配置された誘電体ハードマスク層と、
前記誘電体ハードマスク層上に配置されたスピンオンカーボン層と、
前記スピンオンカーボン層上に配置された反射防止被覆層と
を備え、
前記
導電性ハードマスク層の側壁プロファイルが、前記エッチング停止層と前記導電性ハードマスク層との界面に対して平行な基準面に対して85°よりも大きい側壁角を有する、膜スタック。
【請求項10】
前記誘電体ハードマスク層は、400Åと1000Åの間の厚さを有する、請求項9に記載の膜スタック。
【請求項11】
前記スピンオンカーボン層は、500Åと2500Åの間の厚さを有する、請求項9に記載の膜スタック。
【請求項12】
前記側壁角は、100nmと400nmの間のピッチを有する磁気トンネル接合デバイス上で達成される、請求項9に記載の膜スタック。
【請求項13】
膜スタックをエッチングする方法であって、
フォトレジスト層をパターニングして膜スタックの反射防止被覆層をエッチングすることと、
前記反射防止被覆層を第1のマスクとして用いて前記膜スタックのスピンオンカーボン層をエッチングすることであって、前記スピンオンカーボン層が、50nmと250nmとの間のピッチを有する磁気トンネル接合デバイスを生成するようにパターニングされている、スピンオンカーボン層をエッチングすることと、
前記スピンオンカーボン層を第2のマスクとして用いて前記膜スタックの誘電体ハードマスク層をエッチングすることと、
前記誘電体ハードマスク層を第3のマスクとして用いて前記膜スタックの導電性ハードマスク層をエッチングすることと、
前記導電性ハードマスク層を第4のマスクとして用いて前記膜スタックのエッチング停止層をエッチングし、前記膜スタックの誘電体キャップ層を露出することとを含み、前記誘電体キャップ層は磁気トンネル接合層上に配置されて
おり、
前記導電性ハードマスク層をエッチングすることによって、前記導電性ハードマスク層の側壁が、前記エッチング停止層と前記導電性ハードマスク層との界面に対して平行な基準面に対して85°よりも大きい側壁角を有する結果となる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、デバイス構造体及びデバイス構造体の形成方法に関する。具体的には、本書に記載の実施形態は、磁気トンネル接合(MTJ)をパターニングするためのハードマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスデバイスは、一般的に、集積回路として半導体基板上で製造される。こうしたデバイスの例は、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)である。MRAMデバイスは、一般的に、ストレージ要素として用いられる磁気多層膜スタックを含む。膜スタックは通常、例えばパーマロイ(NiFe)、コバルト鉄(CoFe)、タンタル(Ta)、銅(Cu)などといった、様々な材料からなる種々の層のスタックである。膜スタックは、膜スタックの層間に挟まれた薄いトンネリング層として、酸化アルミニウムといった絶縁体材料もまた含み得る。これらの層は通常、上層ブランケット膜(overlying blanketed film)として逐次的に堆積する。この膜は、膜スタックの1つ以上の層が部分的または全体的に除去されてデバイス特徴を形成する様々なエッチング処理によって、逐次的にパターニングされる。
【0003】
MRAMのうちの1タイプは、スピン注入磁気ランダムアクセスメモリ(STT-MRAM)である。従来型のSTT-MRAMの製造プロセスは、一般的に、マスクとしてフォトレジスト材料を利用し、ハードマスクに開口を形成するために反応性イオンエッチング(RIE)を利用する。この結果、ハードマスクは先細の側壁を有するようになる。ますます高密度となるSTT-MRAMデバイスで隣接するMTJ間のピッチが絶えず小さくなっていくのにつれて、従来のプロセスによって形成されたハードマスクの側壁が先細であることによって、隣接するMTJ間の間隔が小さくなっている。その結果、MTJのエッチングはますます困難になり、隣接するMTJの分離は不十分になり、それによってデバイスの生産量は低減し、デバイス不良の確率が上昇する。
【0004】
したがって、当該技術分野で必要とされているのは、改良されたMRAMデバイスを提供する、膜スタック及び製造プロセスである。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、膜スタックが提供される。膜スタックは、磁気トンネル接合層、磁気トンネル接合層上に配置された誘電体キャップ層、及び誘電体キャップ層上に配置されたエッチング停止層を含む。エッチング停止層の上に導電性ハードマスク層が配置されていてよく、導電性ハードマスク層の上に誘電体ハードマスク層が配置されていてよい。誘電体ハードマスク層の上にスピンオンカーボン層が配置されていてよく、スピンオンカーボン層の上に反射防止被覆層が配置されてよい。
【0006】
別の一実施形態では、膜スタックが提供される。膜スタックは、磁気トンネル接合層、及び磁気トンネル接合層上に配置された誘電体キャップ層を含む。誘電体キャップ層の厚さは、約5Åと約20Åの間であってよい。誘電体キャップ層の上にエッチング停止層が配置されていてよく、エッチング停止層の上に導電性ハードマスク層が配置されていてよい。エッチング停止層の厚さは、約5Åと約50Åの間であってよく、導電性ハードマスク層の厚さは、約400Åと約1000Åの間であってよい。導電性ハードマスク層の上に誘電体ハードマスク層が配置されていてよく、誘電体ハードマスク層の上にスピンオンカーボン層が配置されていてよく、スピンオンカーボン層の上に反射防止被覆層が配置されていてよい。
【0007】
さらに別の実施形態では、膜スタックをエッチングする方法が提供される。方法は、フォトレジスト層をパターニングして膜スタックの反射防止被覆層をエッチングすることと、反射防止被覆層を第1のマスクとして用いて膜スタックのスピンオンカーボン層をエッチングすることと、スピンオンカーボン層を第2のマスクとして用いて膜スタックの誘電体ハードマスク層をエッチングすることとを含む。膜スタックの誘電体キャップ層を露出させるため、膜スタックの導電性ハードマスク層が、誘電体ハードマスク層を第3のマスクとして用いてエッチングされてよく、膜スタックのエッチング停止層が、導電性ハードマスク層を第4のマスクとして用いてエッチングされてよい。誘電体キャップ層は、磁気トンネル接合層の上に配置されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照してなされてよい。実施形態の一部は、付随の図面に示されている。しかし、付随の図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに、留意されたい。
【0009】
【
図1】本書に記載の実施形態による、パターニングされたレジスト層を有する膜スタックの概略図を示す。
【
図2】本書に記載の実施形態による、スタック内の層をエッチングした後の、
図1の膜スタックの概略図を示す。
【
図3】本書に記載の実施形態による、スタック内の層をエッチングした後の、
図2の膜スタックの概略図を示す。
【
図4】本書に記載の実施形態による、スタック内の層をエッチングした後の、
図3の膜スタックの概略図を示す。
【
図5】本書に記載の実施形態による、スタック内の層をエッチングした後の
図4の膜スタックの概略図と、膜スタックのパターニングされた部分の側壁の拡大図を示す。
【
図6】本書に記載の実施形態による、スタック内の層をエッチングした後の、
図5の膜スタックの概略図を示す。
【
図7】本書に記載の実施形態による、膜スタックをエッチングする方法の工程を示す。
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると想定されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本書では、デバイス構造体及びデバイス構造体を製造する方法が提供される。本書に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスは、磁気トンネル接合層、誘電体キャップ層、エッチング停止層、導電性ハードマスク層、誘電体ハードマスク層、スピンオンカーボン層、及び反射防止被覆層を備える、膜スタックを含み得る。膜スタックの側壁の垂直性を向上させるため、膜スタックは、1つ以上の選択された化学物質によってエッチングされ得る。ますます均一で、ますます限界寸法が小さくなったメモリセルは、本書に記載の方法及びデバイスを利用することによって製造され得る。
【0012】
スタックをパターニングするためのハードマスクとして、膜スタックの様々な層が利用され得る。膜スタックのエッチングに利用されるハードマスクの材料及びエッチング化学物質によって、膜スタック上に形成される特徴及び構造体の側壁の垂直プロファイルの改良につながる、エッチング選択性の向上がもたらされてよい。エッチング特性の向上によって、高密度MRAMデバイスという用途が達成され得る。膜スタックの1つ以上のハードマスクもまた、磁気トンネル接合の性能を向上させ得ると考えられている。
【0013】
図1は、膜スタック100の概略図である。膜スタック100は、基板101、MTJスタック102、誘電体キャップ層104、エッチング停止層106、導電性ハードマスク層108、誘電体ハードマスク層110、スピンオンカーボン層112、及び反射防止被覆層114を含む。膜スタック100には、フォトレジスト層116もまた含まれていてよい。基板101、MTJスタック102、誘電体キャップ層104、エッチング停止層106、及び導電性ハードマスク層108は、概して、MRAMデバイスのデバイス部分を形成している。誘電体ハードマスク層110、スピンオンカーボン層112、反射防止被覆層、及びフォトレジスト層116は、概して、デバイス部130をパターニングするのに利用される、パターニング部132を形成している。パターニング部132に含まれる様々な層は、デバイス部130のパターニング中またはその後に、除去される。
【0014】
基板101は、概して導電性または半導電性の材料から形成されている。一実施形態では、基板101は、STT-MRAMデバイス用の底部電極である。MTJスタック102は、基板101上に形成されていてよく、基板101と接触していてよい。MTJスタック102は、単一層構造または多層構造であってよい。例えば、MTJスタック102は、磁気ストレージ層、トンネルバリア層、磁気基準層、及びオプションでピンニング層といった、スタックに配列された様々な副層を含み得る。MTJスタック102は、コバルト含有材料、鉄含有材料、ニッケル含有材料、マンガン含有材料、ルテニウム含有材料、タンタル含有材料、白金含有材料、ホウ素含有材料、酸素含有材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物を含む、1つ以上の材料から形成されていてよい。
【0015】
一実施形態では、MTJスタック102の磁気ストレージ副層は、第1のコバルト:鉄:ホウ素材料層、第1のタンタル材料層、及び第2のコバルト:鉄:ホウ素材料層を含んでいてよい。トンネルバリア副層は酸化マグネシウム材料を含んでいてよく、磁気基準副層は第3のコバルト:鉄:ホウ素材料層と、第2のタンタル材料層と、第1のコバルト材料層と、第1のコバルト/白金材料層とを含んでいてよい。オプションのピンニング副層は、第2のコバルト材料層と、第2のコバルト/白金材料層と、白金材料層と、ボトムコンタクトを含んでいてよい。ある実施形態では、ボトムコンタクトは基板101であってよいか、またはボトムコンタクトは基板101上に形成されたさらなる材料層であってよい。一実施形態では、磁気基準副層とオプションのピンニング副層との間に、ルテニウム材料層が配置されていてよい。
【0016】
上記の実施形態では、オプションのピンニング副層は、基板101上に基板101と接触して配置されていてよく、磁気基準副層は、オプションのピンニング副層上にピンニング副層と接触して配置されていてよい。ある実施形態では、オプションのピンニング副層と磁気基準副層との間に、ルテニウム材料層が配置されていてよい。トンネルバリア副層は、磁気基準副層上に磁気基準副層と接触して配置されていてよく、磁気ストレージ副層は、トンネルバリア層上にトンネルバリア層と接触して配置されていてよい。誘電体キャップ層104は、磁気基準副層上に磁気基準副層と接触して配置されていてよい。
【0017】
一実施形態では、MTJスタック102は、MTJスタック102と誘電体キャップ層104の間の界面において、コバルト含有材料、ホウ素含有材料、及びこれらの組み合わせを含んでいてよい。代わりに、MTJスタック102は、MTJスタック102と誘電体キャップ層104との界面において、コバルト含有材料、ホウ素含有材料、鉄含有材料、及びこれらの組み合わせを含んでいてもよい。MTJスタック102の厚さ118は、約100Åと約1000Åの間であってよい。
【0018】
誘電体キャップ層104は、MTJスタック102上に形成されていてよく、MTJ102スタックと接触していてよい。誘電体キャップ層104は、概して、誘電体材料から形成されていてよい。例えば、誘電体キャップ層104は、酸化マグネシウム材料、酸化アルミニウム材料、酸化亜鉛材料、酸化チタン材料、酸化タンタル材料、窒化タンタル材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物のうちの1つ以上から形成されていてよい。誘電体キャップ層104の厚さ120は、約5Åと約200Åの間、例えば約8Åと約12Åの間であってよい。
【0019】
誘電体キャップ層104は、さらなる磁性金属(MTJスタック102)と誘電体材料(誘電体キャップ層104)との界面を設けることによって、MTJスタック102の界面垂直磁気異方性を向上するように構成されていてよい。こうして、MTJデバイスの熱的安定性を向上させるMTJスタック102の保磁場は、増大し得る。さらに、誘電体キャップ層104によって、膜スタック100内の様々な他の層から拡散した金属が、MTJ層104内に拡散することが防止され得る。こうして、より純度の高い磁性体と誘電体との界面が維持され得、保磁場が改良され得る。
【0020】
エッチング停止層106は、誘電体キャップ層104上に形成されていてよく、誘電体キャップ層104と接触していてよい。エッチング停止層106は、同一の材料または種々の材料の、単一層または多層であってよい。概して、エッチング停止層106は、金属材料から形成されていてよい。例えば、エッチング停止層106は、ルテニウム含有材料、タングステン含有材料、タンタル含有材料、白金含有材料、ニッケル含有材料、コバルト含有材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物のうちの1つ以上から形成されていてよい。エッチング停止層106の厚さ122は、約5Åと約50Åの間、例えば約10Åと約20Åの間であってよい。エッチング停止層106は、エッチング処理中に、下にある誘電体キャップ層104がエッチングされるのを防止するように構成されている。誘電体キャップ層104がエッチングされる可能性を防止するかまたは低減することによって、MTJスタック102の保磁場の増大が維持され得る。
【0021】
導電性ハードマスク層108は、エッチング停止層106上に形成されていてよく、エッチング停止層106と接触していてよい。導電性ハードマスク層108は、概して、導電性の材料から形成されている。例えば、導電性ハードマスク層108は、タンタル含有材料、窒化タンタル含有材料、チタン含有材料、窒化チタン含有材料、タングステン含有材料、窒化タングステン含有材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物のうちの1つ以上から形成されていてよい。導電性ハードマスク層108の厚さ124は、約400Åと約1000Åの間、例えば約700Åと約900Åの間であってよい。導電性ハードマスク層108は、MTJデバイスの形成処理中、化学機械研磨(CMP)を停止する役割を果たすように構成されていてよい。さらに、導電性ハードマスク層108は、MTJデバイスのトップコンタクトの役割を果たすように構成されていてよい。
【0022】
誘電体ハードマスク層110は、導電性ハードマスク層108上に形成されていてよく、導電性ハードマスク層108と接触していてよい。誘電体ハードマスク層110は、概して、誘電体材料から形成されている。例えば、誘電体ハードマスク層110は、酸化ケイ素含有材料、酸化アルミニウム含有材料、窒化ケイ素含有材料、並びにこれらの組み合わせ及び混合物のうちの1つ以上から形成されていてよい。誘電体ハードマスク層110の厚さ126は、約400Åと約1000Åの間、例えば約500Åと約700Åの間であってよい。
【0023】
スピンオンカーボン層112は、誘電体ハードマスク層110上に形成されていてよく、誘電体ハードマスク層110と接触していてよい。スピンオンカーボン層112は、概して、アモルファスカーボン含有材料である。スピンオンカーボン層112は、約500Åと約2500Åの間、例えば、約1250Åと約1750Åの間といった、約1000Åと約2000Åの間の厚さ128を有し得る。スピンオンカーボン層112は、エッチング選択性を向上し、限界寸法均一性を制御するために利用されてよい。一実施形態では、スピンオンカーボン層112は、パターニングされて、隣接するMTJデバイス間のピッチが約500nm未満、例えば約50nmと約250nmの間であるMTJデバイスを生成してよい。
【0024】
反射防止被覆層114は、スピンオンカーボン層112上に形成されていてよく、スピンオンカーボン層112と接触していてよい。反射防止被覆層114は、一般的に、有機材料または無機材料のどちらかである。一実施形態では、反射防止被覆層114は、ケイ素含有無機材料であってよい。例えば、反射防止被覆層114は、窒化ケイ素材料、酸窒化ケイ素材料、炭化ケイ素材料、並びにそれらの組み合わせ及び混合物であってよい。この実施形態では、反射防止被覆層114は、ケイ素リッチ材料であってよい。例えば、この無機材料のケイ素重量含有率は、ケイ素75%超といった、ケイ素50%超の率であってよい。
【0025】
フォトレジスト層116は、反射防止被覆層114上に形成されていてよく、反射防止被覆層114と接触していてよい。フォトレジスト層116は、概して、193nmフォトリソグラフィプロセスといったフォトリソグラフィプロセスで電磁放射に曝すことによるパターニングに適切な、感光性材料である。フォトレジスト層116に使用される材料は、約200nm未満、例えば約130nmのピッチ寸法を有するデバイスといった、約400nm未満のピッチ寸法を有するデバイス構造体をパターニングするのに適切であり得ると考えられている。
【0026】
膜スタック100のデバイス部130は、概して、基板101、MTJスタック102、誘電体キャップ層104、エッチング停止層106、及び導電性ハードマスク層108を含み得る。デバイス部130は、MTJデバイス内に構造体として残ったままであってよい。膜スタックのパターニング部132は、誘電体ハードマスク層110、スピンオンカーボン層112、反射防止被覆層114、及びフォトレジスト層116を含み得る。パターニング部132の各層は、デバイス部130の各層をパターニングするために利用されてよく、MTJデバイスにパターニング部の層が含まれないように、パターニング部132は除去されてよい。
【0027】
膜スタック100を形成する基板101並びに層102、104、106、108、110、112、114及び116は、膜スタック100のエッチング処理を実施する際のエッチング選択性及びエッチング性能を向上させるために、選択されてよい。層102、104、106、108、110、112、114、及び116のエッチング特性を向上させるため、ドーピング処理といった様々な材料変更処理が、膜スタック100の形成中に実施されてよい。材料変更処理は、例えば、様々な膜スタック層の側壁の垂直プロファイルを改良するために利用されてよい。
【0028】
膜スタック100のエッチング方法700の工程を示している
図7が、
図2~
図6と同時に検討される。以下のエッチング処理は、反応性イオンエッチングチャンバといった、ドライプラズマエッチングチャンバ内で実施されてよい。適切なチャンバの一例は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能な、ADVANTEDGE MESAである。本書に記載のエッチング処理は、他の製造業者の他の適切に構成された装置でも実施され得ると考えられている。
【0029】
図2は、本書に記載の実施形態による、膜スタック100内の層をエッチングした後の、
図1の膜スタック100の概略図を示す。工程710で、フォトレジスト層116がパターニングされてよく、反射防止被覆層114がエッチングされてよい。所望のピッチと限界寸法を有するMTJデバイス装置を製造するため、エッチング処理パラメータが調整され得るか、さもなければ設定され得る。
【0030】
一実施形態では、反射防止被覆層114をエッチングするため、O2、CHF3及びCF4といった処理ガスが利用されてよい。O2ガスは、約10sccmといった、約1sccmと約50sccmの間の流量で供給されてよい。CHF3ガスは、約100sccmといった、約50sccmと約150sccmの間の流量で供給されてよい。CF4ガスは、約150sccmといった、約100sccmと約200sccmの間の流量で供給されてよい。これらの処理ガスは、約500Wといった、約250Wと約750Wの間のソース電力でイオン化されてよい。処理環境はまた、処理ガスイオンを膜スタック100に向けて導くように付勢されていてもよい。例えば約80Wといった、約50Wと約150Wの間の付勢力が利用されてよい。処理環境の圧力は、例えば約4mTorrといった、約1mTorrから約10mTorrの間に維持されてよい。反射防止被覆層114のエッチングは、約20秒と約30秒の間、例えば約21秒といった、約5秒と約60秒の間の時間で実施されてよい。
【0031】
別の実施形態では、反射防止被覆層114をエッチングするため、CHF3、及びCF4といった処理ガスが利用されてよい。CHF3ガスは、約100sccmといった、約50sccmと約150sccmの間の流量で供給されてよい。CF4ガスは、約150sccmといった、約100sccmと約200sccmの間の流量で供給されてよい。これらの処理ガスは、約500Wといった、約250Wと約750Wの間のソース電力でイオン化されてよい。処理環境はまた、処理ガスイオンを膜スタック100に向けて導くように付勢されていてもよい。例えば約80Wといった、約50Wと約150Wの間の付勢力が利用されてよい。処理環境の圧力は、例えば約4mTorrといった、約1mTorrから約10mTorrの間に維持されてよい。反射防止被覆層114のエッチングは、約20秒と約30秒の間、例えば約25秒といった、約5秒と約60秒の間の時間で実施されてよい。
【0032】
上記の実施形態では、フォトレジスト層116は、反射防止被覆層114がエッチングされた後も反射防止被覆層114上に配置されたままであってよいか、または、フォトレジスト層116は後続するエッチング処理に先立って除去されてよいと考えられている。
【0033】
図3は、本書に記載の実施形態による、膜スタック100内の層をエッチングした後の、
図2の膜スタック100の概略図を示す。工程720で、膜スタック100のスピンオンカーボン層112が、反射防止被覆層114をマスクとして使用してエッチングされてよい。スピンオンカーボン層112のエッチングは、後続して形成される任意のMTJデバイス構造体の限界寸法を縮小するための処理として利用され得ると考えられている。
【0034】
一実施形態では、スピンオンカーボン層112をエッチングするため、C12、HBr、O2、及びN2といった処理ガスが利用されてよい。C12ガスは、約25sccmといった、約10sccmと約50sccmの間の流量で供給されてよい。HBrガスは、約200sccmといった、約100sccmと約300sccmの間の流量で供給されてよい。O2ガスは、約50sccmといった、約10sccmと約100sccmの間の流量で供給されてよい。N2ガスは、約150sccmといった、約100sccmと約200sccmの間の流量で供給されてよい。これらの処理ガスは、約800Wといった、約500Wと約1500Wの間のソース電力でイオン化されてよい。処理環境はまた、処理ガスイオンを膜スタック100に向けて導くように付勢されていてもよい。例えば約225Wといった、約150Wと約300Wの間の付勢力が利用されてよい。処理環境の圧力は、例えば約10mTorrといった、約1mTorrから約20mTorrの間に維持されてよい。スピンオンカーボン層112のエッチングは、約20秒と約30秒の間、例えば約25秒といった、約5秒と約60秒の間の時間で実施されてよい。
【0035】
別の実施形態では、スピンオンカーボン層112をエッチングするため、C12、HBr、O2、及びN2といった処理ガスが利用されてよい。C12ガスは、約25sccmといった、約10sccmと約50sccmの間の流量で供給されてよい。HBrガスは、約300sccmといった、約200sccmと約400sccmの間の流量で供給されてよい。O2ガスは、約50sccmといった、約10sccmと約100sccmの間の流量で供給されてよい。N2ガスは、約150sccmといった、約100sccmと約200sccmの間の流量で供給されてよい。これらの処理ガスは、約800Wといった、約500Wと約1500Wの間のソース電力でイオン化されてよい。処理環境はまた、処理ガスイオンを膜スタック100に向けて導くように付勢されていてもよい。例えば約175Wといった、約100Wと約250Wの間の付勢力が利用されてよい。処理環境の圧力は、例えば約10mTorrといった、約1mTorrから約20mTorrの間に維持されてよい。スピンオンカーボン層112のエッチングは、約40秒と約60秒の間、例えば約50秒といった、約15秒と約90秒の間の時間で実施されてよい。
【0036】
上記の実施形態では、反射防止被覆層114は、スピンオンカーボン層112がエッチングされた後もスピンオンカーボン層112上に配置されたままであってよいか、または、反射防止被覆層114は後続するエッチング処理に先立って除去されてよいと考えられている。
【0037】
図4は、本書に記載の実施形態による、膜スタック100内の層をエッチングした後の、
図3の膜スタック100の概略図を示す。工程730で、膜スタック100の誘電体ハードマスク層110が、スピンオンカーボン層112をマスクとして使用してエッチングされてよい。
【0038】
一実施形態では、誘電体ハードマスク層110をエッチングするため、O2、及びCHF3といった処理ガスが利用されてよい。O2ガスは、約10sccmといった、約5sccmと約50sccmの間の流量で供給されてよい。CHF3ガスは、約300sccmといった、約200sccmと約400sccmの間の流量で供給されてよい。これらの処理ガスは、約300Wといった、約200Wと約400Wの間のソース電力でイオン化されてよい。処理環境はまた、処理ガスイオンを膜スタック100に向けて導くように付勢されていてもよい。例えば約500Wといった、約250Wと約750Wの間の付勢力が利用されてよい。処理環境の圧力は、例えば約4mTorrといった、約1mTorrから約10mTorrの間に維持されてよい。誘電体ハードマスク層110のエッチングは、約90秒と約110秒の間、例えば約100秒といった、約50秒と約150秒の間の時間で実施されてよい。別の実施形態では、上記の処理パラメータは、約30秒と約50秒の間、例えば約40秒といった、約10秒と約60秒の間の時間で使用されてよい。
【0039】
上記の実施形態では、スピンオンカーボン層112は、誘電体ハードマスク層110がエッチングされた後も誘電体ハードマスク層110上に配置されたままであってよいか、または、スピンオンカーボン層112は後続するエッチング処理に先立って除去されてよいと考えられている。
【0040】
図5は、本書に記載の実施形態による、膜スタック100内の層をエッチングした後の
図4の膜スタック100の概略図と、膜スタック100のパターニングされた部分132の側壁の拡大図を示す。工程740で、膜スタック100の導電性ハードマスク層108が、誘電体ハードマスク層110をマスクとして使用してエッチングされてよい。
【0041】
一実施形態では、導電性ハードマスク層108をエッチングするため、CF4といった処理ガスが利用されてよい。CF4ガスは、約50sccmといった、約25sccmと約75sccmの間の流量で供給されてよい。この処理ガスは、約500Wといった、約250Wと約750Wの間のソース電力でイオン化されてよい。処理環境はまた、処理ガスイオンを膜スタック100に向けて導くように付勢されていてもよい。例えば約25Wといった、約10Wと約100Wの間の付勢力が利用されてよい。処理環境の圧力は、例えば約5mTorrといった、約1mTorrと約10mTorrの間の圧力に維持されてよい。導電性ハードマスク層108のエッチングは、約100秒と約130秒の間、例えば約120秒といった、約60秒と約180秒の間の時間にわたって実施されてよい。別の実施形態では、上記の処理パラメータは、約130秒と約150秒の間、例えば約140秒といった、約60秒と約180秒の間の時間で使用されてよい。
【0042】
上記の実施形態では、誘電体ハードマスク層110は、導電性ハードマスク層108がエッチングされた後も導電性ハードマスク層108上に配置されたままであってよいか、または、誘電体ハードマスク層110は後続するエッチング処理に先立って除去されてよいと考えられている。
【0043】
導電性ハードマスク層108の側壁プロファイルは、ほぼ垂直であってよい。本書で使用する場合、垂直という用語は、絶対的な方向ではなく、むしろ側壁の、膜スタック100内の他の層に対する関係を表していてよい。例えば、エッチング停止層106と、エッチングされた導電性ハードマスク層108の側壁との間に規定される角度502は、基準面504から約75°超であってよい。基準面504は、エッチング停止層106と導電性ハードマスク層108との界面に対して、平行であってよい。一実施形態では、角度502は、約85°超であるなど、約80°超であってよい。膜スタック100内のエッチングされた層の垂直プロファイルの改良によって、基板上の隣接するMTJデバイス構造体間のピッチ寸法を縮小することで、MTJデバイス構造体の密度の向上がもたらされ得ると考えられている。
【0044】
図6は、本書に記載の実施形態による、膜スタック100内の層をエッチングした後の、
図5の膜スタック100の概略図を示す。工程750で、膜スタック100のエッチング停止層106、誘電体キャップ層104、及びMTJスタック102が、導電性ハードマスク層108をマスクとして使用してエッチングされてよい。層106、104、102の金属材料をエッチングするための適切なエッチャント及び処理パラメータは、基板101が露出するまで、層106、104、102をエッチングするために使用されてよい。例えば、層106、104、102は、アルゴン、キセノン、クリプトン、メタノール、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及びこれらの組み合わせを含む処理ガスを使用して、エッチングされ得る。結果として生じるデバイス部130は、基板101、MTJスタック102、誘電体キャップ層104、エッチング停止層106、及び導電性ハードマスク層108を含み得る。こうして、誘電体キャップ層104によってもたらされる便益は、誘電体キャップ層104をMTJデバイス構造体のデバイス部130内に組み込むことによって保たれてよい。
【0045】
それによって、本書に記載の膜スタック100及びエッチング処理を利用したMTJデバイス構造体によって、膜スタック内でエッチングされた層の垂直プロファイルが改善される結果、デバイス密度の向上がもたらされてよい。こうして、ピッチ寸法及び限界寸法は縮小され得る。結果として生じるMTJデバイス構造体の保磁場もまた改良されてよく、層間の拡散は低減されるか防止され得る。
【0046】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。