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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20220301BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H02G3/04 037
B60R16/02 623T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018090206
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2019198162
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】金次 良高
(72)【発明者】
【氏名】池本 浩平
(72)【発明者】
【氏名】芦田 司
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 明仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 将典
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-246253(JP,A)
【文献】実開昭57-180419(JP,U)
【文献】実開平06-029326(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側を開放させた収容空間が長手方向に沿って形成されるプロテクタであって、
前記一側を開放させるとともに反対側も開放させる複数の第1空間と、
前記一側を開放させ、反対側は閉じられている第2空間と、
が形成され、
複数の前記第1空間は並べて配置されており、
互いに隣り合う前記第1空間同士が前記第2空間を通じて繋がることにより、前記収容空間が形成され、
前記第1空間において、前記収容空間の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁が対をなして配置されており、
対で配置された前記内壁のうち一方の内壁の、前記収容空間の長手方向にも前記内壁が向かい合う方向にも垂直な方向で前記第2空間が開放している側と同じ側の端部に、反対側の前記内壁に向かって突出する止めリブが形成されており、
対で配置された前記内壁のうち前記止めリブが形成されていない側の内壁に、前記第1空間の両側の開放部を繋ぐ方向に細長い第1リブが、前記止めリブが形成されている側の内壁に向かって突出するように形成されていることを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
請求項に記載のプロテクタであって、
対で配置された前記内壁のうち前記止めリブが形成されている側の内壁に、前記第1空間の両側の開放部を繋ぐ方向に細長い第2リブが、前記止めリブが形成されていない側の内壁に向かって突出するように形成されていることを特徴とするプロテクタ。
【請求項3】
一側を開放させた収容空間が長手方向に沿って形成されるプロテクタであって、
前記一側を開放させるとともに反対側も開放させる複数の第1空間と、
前記一側を開放させ、反対側は閉じられている第2空間と、
が形成され、
複数の前記第1空間は並べて配置されており、
互いに隣り合う前記第1空間同士が前記第2空間を通じて繋がることにより、前記収容空間が形成され、
前記第1空間において、前記収容空間の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁が対をなして配置されており、
対で配置された前記内壁のうち一方の内壁の、前記収容空間の長手方向にも前記内壁が向かい合う方向にも垂直な方向で前記第2空間が開放している側と同じ側の端部に、反対側の前記内壁に向かって突出する止めリブが形成されており、
前記第2空間において、前記収容空間の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁が対をなして配置されており、
前記第2空間において対で配置された前記内壁の間の距離の最小値は、前記第1空間において対で配置された前記内壁の間の距離の最大値よりも小さいことを特徴とするプロテクタ。
【請求項4】
請求項に記載のプロテクタであって、
前記第2空間は、前記収容空間の長手方向に沿って形成され、
前記第2空間の長手方向中間部において対で配置された前記内壁の間の距離が、長手方向端部において対で配置された前記内壁の間の距離よりも大きくなっていることを特徴とするプロテクタ。
【請求項5】
請求項又はに記載のプロテクタであって、
前記第1空間において対で配置された前記内壁の間の距離は、前記第1空間が前記第2空間と接続する部分の近傍で小さくなっていることを特徴とするプロテクタ。
【請求項6】
一側を開放させた収容空間が長手方向に沿って形成されるプロテクタであって、
前記一側を開放させるとともに反対側も開放させる複数の第1空間と、
前記一側を開放させ、反対側は閉じられている第2空間と、
が形成され、
複数の前記第1空間は並べて配置されており、
互いに隣り合う前記第1空間同士が前記第2空間を通じて繋がることにより、前記収容空間が形成され、
前記第1空間において、前記収容空間の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁が対をなして配置されており、
対で配置された前記内壁のうち一方の内壁の、前記収容空間の長手方向にも前記内壁が向かい合う方向にも垂直な方向で前記第2空間が開放している側と同じ側の端部に、反対側の前記内壁に向かって突出する止めリブが形成されており、
前記第1空間のうち少なくとも1つは、前記プロテクタが曲がっている部分に配置され、
前記プロテクタが曲がっている部分に配置された前記第1空間において、前記止めリブは、内周側の前記内壁から外周側の前記内壁へ向かって突出するように設けられていることを特徴とするプロテクタ。
【請求項7】
請求項1からまでの何れか一項に記載のプロテクタであって、
複数の前記第1空間には、隣り合って配置され、前記止めリブの向きが互いに逆である2つの前記第1空間が含まれることを特徴とするプロテクタ。
【請求項8】
請求項1からまでの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記第1空間の両側の開放部を繋ぐ方向で見たときに、前記止めリブが突出する長さは、前記第1空間において対で配置された前記内壁の間の距離の1/2よりも小さいことを特徴とするプロテクタ。
【請求項9】
請求項1からまでの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記プロテクタが曲がっている部分又はその近傍部分に配置される複数の前記第1空間において、内周側の前記内壁から外周側の前記内壁へ向かって突出する前記止めリブの数が、外周側の前記内壁から内周側の前記内壁へ向かって突出する前記止めリブの数よりも多いことを特徴とするプロテクタ。
【請求項10】
請求項1からまでの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記第2空間において、開放側と反対側に位置する内壁には、前記第2空間の幅よりも小さい幅の溝が形成され、
前記溝の長手方向端部が前記第1空間に接続されていることを特徴とするプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスを保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、乗用車において、ワイヤハーネスが外部の部品と接触する等して損傷しないように機械的に保護するプロテクタが用いられている。特許文献1は、この種のプロテクタを開示する。
【0003】
特許文献1は、ワンボックスカーやワゴン車等に用いられるスライドドアの状態検出を行う検出部品を車両本体に組み付ける際に使用される検出部品組立体を開示する。検出部品組立体はカバー部材を備え、このカバー部材は、検出部品を保持すると共にハーネスを収納する。カバー部材を構成する本体部及び腕部には、検出部品組立体の裏側に向けて開口した溝状の収納部が全体に亘って設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-244587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成は、カバー部材の収納部に収納されたハーネスに対して負荷が掛かった場合に、その負荷を逃がすことが困難であった。従って、上記の負荷を原因として、溝から出る方向の力がハーネスに加わり、カバー部材からハーネスが外れてしまう原因となっていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、内部に収容されたワイヤハーネスに負荷が掛かった場合でも、当該ワイヤハーネスが外れにくいプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のプロテクタが提供される。即ち、このプロテクタには、一側を開放させた収容空間が長手方向に沿って形成される。プロテクタには、複数の第1空間と、第2空間と、が形成される。複数の前記第1空間は、前記一側を開放させるとともに反対側も開放させる。前記第2空間は、前記一側を開放させ、反対側は閉じられている。複数の前記第1空間は並べて配置されている。互いに隣り合う前記第1空間同士が前記第2空間を通じて繋がることにより、前記収容空間が形成される。前記第1空間において、前記収容空間の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁が対をなして配置されている。対で配置された前記内壁のうち一方の内壁の、前記収容空間の長手方向にも前記内壁が向かい合う方向にも垂直な方向で前記第2空間が開放している側と同じ側の端部に、反対側の前記内壁に向かって突出する止めリブが形成されている。対で配置された前記内壁のうち前記止めリブが形成されていない側の内壁に、前記第1空間の両側の開放部を繋ぐ方向に細長い第1リブが、前記止めリブが形成されている側の内壁に向かって突出するように形成されている。
【0009】
これにより、収容空間にワイヤハーネスを配置した場合に、両側が開放されている複数の第1空間において、ワイヤハーネスの周囲に空間を容易に形成することができる。従って、ワイヤハーネスに負荷が加わった場合でも、ワイヤハーネスのうち第1空間に位置している部分が必要に応じて動くことで、負荷を良好に逃がすことができる。また、簡素な構成の止めリブによって、ワイヤハーネスが開放部から出ることが防止される。この結果、ワイヤハーネスが収容空間の開放部から出にくくなるので、ワイヤハーネスがプロテクタから外れることを良好に防止することができる。更に、止めリブによるワイヤハーネスの外れ防止効果をより高めることができる。また、ワイヤハーネスが第1空間の内壁に接触しにくくなるので、内壁に形成される例えば凹凸等によってワイヤハーネスが損傷することも防止できる。また、第1リブの突出量を適宜定めることによって、ワイヤハーネスの周囲に適度な大きさの空間を形成することができる。
【0012】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成のプロテクタが提供される。即ち、このプロテクタには、一側を開放させた収容空間が長手方向に沿って形成される。プロテクタには、複数の第1空間と、第2空間と、が形成される。複数の前記第1空間は、前記一側を開放させるとともに反対側も開放させる。前記第2空間は、前記一側を開放させ、反対側は閉じられている。複数の前記第1空間は並べて配置されている。互いに隣り合う前記第1空間同士が前記第2空間を通じて繋がることにより、前記収容空間が形成される。前記第1空間において、前記収容空間の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁が対をなして配置されている。対で配置された前記内壁のうち一方の内壁の、前記収容空間の長手方向にも前記内壁が向かい合う方向にも垂直な方向で前記第2空間が開放している側と同じ側の端部に、反対側の前記内壁に向かって突出する止めリブが形成されている。対で配置された前記内壁のうち前記止めリブが形成されている側の内壁に、前記第1空間の両側の開放部を繋ぐ方向に細長い第2リブが、前記止めリブが形成されていない側の内壁に向かって突出するように形成されている
【0013】
これにより、収容空間にワイヤハーネスを配置した場合に、両側が開放されている複数の第1空間において、ワイヤハーネスの周囲に空間を容易に形成することができる。従って、ワイヤハーネスに負荷が加わった場合でも、ワイヤハーネスのうち第1空間に位置している部分が必要に応じて動くことで、負荷を良好に逃がすことができる。また、簡素な構成の止めリブによって、ワイヤハーネスが開放部から出ることが防止される。この結果、ワイヤハーネスが収容空間の開放部から出にくくなるので、ワイヤハーネスがプロテクタから外れることを良好に防止することができる。ワイヤハーネスが第1空間の内壁に接触しにくくなるので、内壁に形成される例えば凹凸等によってワイヤハーネスが損傷することを防止できる。また、第2リブの突出量を適宜定めることによって、ワイヤハーネスの周囲に適度な大きさの空間を形成することができる。
【0014】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2空間において、前記収容空間の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁が対をなして配置されている。前記第2空間において対で配置された前記内壁の間の距離の最小値は、前記第1空間において対で配置された前記内壁の間の距離の最大値よりも小さい。
【0015】
これにより、第1空間においてワイヤハーネスの負荷を逃がしてプロテクタからの外れ防止を実現する一方で、第2空間においてはワイヤハーネスの経路を良好に拘束することができる。
【0016】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2空間は、前記収容空間の長手方向に沿って形成される。前記第2空間の長手方向中間部において対で配置された前記内壁の間の距離が、長手方向端部において対で配置された前記内壁の間の距離よりも大きくなっている。
【0017】
これにより、第2空間の長手方向中間部において、ワイヤハーネスの周囲に空間を容易に形成することができる。従って、第2空間においても、ワイヤハーネスに加わった負荷を良好に逃がすことができるので、プロテクタからワイヤハーネスが外れるのを良好に防止することができる。
【0018】
前記のプロテクタにおいては、前記第1空間において対で配置された前記内壁の間の距離は、前記第1空間が前記第2空間と接続する部分の近傍で小さくなっていることが好ましい。
【0019】
これにより、第1空間を通過するワイヤハーネスは、第2空間に至る直前に、間隔が狭くなった内壁によって経路が拘束され、その後に第2空間を通過することになる。従って、第1空間と第2空間との境界部分において、ワイヤハーネスを円滑に保持することができる。
【0020】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成のプロテクタが提供される。即ち、このプロテクタには、一側を開放させた収容空間が長手方向に沿って形成される。プロテクタには、複数の第1空間と、第2空間と、が形成される。複数の前記第1空間は、前記一側を開放させるとともに反対側も開放させる。前記第2空間は、前記一側を開放させ、反対側は閉じられている。複数の前記第1空間は並べて配置されている。互いに隣り合う前記第1空間同士が前記第2空間を通じて繋がることにより、前記収容空間が形成される。前記第1空間において、前記収容空間の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁が対をなして配置されている。対で配置された前記内壁のうち一方の内壁の、前記収容空間の長手方向にも前記内壁が向かい合う方向にも垂直な方向で前記第2空間が開放している側と同じ側の端部に、反対側の前記内壁に向かって突出する止めリブが形成されている。前記第1空間のうち少なくとも1つは、前記プロテクタが曲がっている部分に配置される。前記プロテクタが曲がっている部分に配置された前記第1空間において、前記止めリブは、内周側の前記内壁から外周側の前記内壁へ向かって突出するように設けられている。
【0021】
これにより、収容空間にワイヤハーネスを配置した場合に、両側が開放されている複数の第1空間において、ワイヤハーネスの周囲に空間を容易に形成することができる。従って、ワイヤハーネスに負荷が加わった場合でも、ワイヤハーネスのうち第1空間に位置している部分が必要に応じて動くことで、負荷を良好に逃がすことができる。また、簡素な構成の止めリブによって、ワイヤハーネスが開放部から出ることが防止される。この結果、ワイヤハーネスが収容空間の開放部から出にくくなるので、ワイヤハーネスがプロテクタから外れることを良好に防止することができる。更に、プロテクタが曲がっている部分の内周側からワイヤハーネスが外れるのを良好に防止することができる。
【0022】
前記のプロテクタにおいては、複数の前記第1空間には、隣り合って配置され、前記止めリブの向きが互いに逆である2つの前記第1空間が含まれることが好ましい。
【0023】
これにより、交互配置された止めリブによって、ワイヤハーネスがプロテクタから外れるのを良好に防止することができる。
【0024】
前記のプロテクタにおいては、前記第1空間の両側の開放部を繋ぐ方向で見たときに、前記止めリブが突出する長さは、前記第1空間において対で配置された前記内壁の間の距離の1/2よりも小さいことが好ましい。
【0025】
これにより、止めリブが開放部を閉鎖し過ぎないので、組立時にワイヤハーネスを第1空間(収容空間)に容易に入れることができる。
【0026】
前記のプロテクタにおいては、前記プロテクタが曲がっている部分又はその近傍部分に配置される複数の前記第1空間において、内周側の前記内壁から外周側の前記内壁へ向かって突出する前記止めリブの数が、外周側の前記内壁から内周側の前記内壁へ向かって突出する前記止めリブの数よりも多いことが好ましい。
【0027】
これにより、プロテクタが曲がっている部分の周辺においてワイヤハーネスが外れてしまうのを良好に防止することができる。
【0028】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2空間において、開放側と反対側に位置する内壁には、前記第2空間の幅よりも小さい幅の溝が形成される。前記溝の長手方向端部が前記第1空間に接続されている。
【0029】
これにより、第2空間に水が侵入した場合でも、溝を介して第1空間に水を案内することで、排出が容易になる。また、例えばプロテクタを型によって樹脂成形する場合に、溝が形成されている部分は樹脂が素早く冷えて硬化するので、プロテクタの形状の崩れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係るプロテクタを下側から見た斜視図。
図2】プロテクタを上側から見た斜視図。
図3】プロテクタの収容空間を詳細に示す底面図。
図4】プロテクタを複数箇所で長手方向に垂直に切った断面をそれぞれ示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプロテクタ100を下側から見た斜視図である。図2は、プロテクタ100を上側から見た斜視図である。図3は、プロテクタ100の収容空間15を詳細に示す底面図である。図4は、プロテクタ100を複数箇所で長手方向に垂直に切った断面をそれぞれ示す図である。
【0032】
図1に示すプロテクタ100は、自動車用のワイヤハーネス50を保護するための部品であり、電気絶縁性を有する合成樹脂により成形されている。ワイヤハーネス50は、自動車が備える各種電気機器への電力供給や、電気機器間の通信などに利用される。なお、図2以降の図では、プロテクタ100の形状をより良く示すため、ワイヤハーネス50の図示が省略されている。
【0033】
プロテクタ100は、複数の屈曲部分を有する細長い形状となっている。ただし、図1及び図2には、プロテクタ100の複数ある屈曲部分11のうち1箇所を含む適当な長さの部分を取り出して示している。
【0034】
上側から見た図である図2に示すように、プロテクタ100の底面には、細長い収容空間15が形成されている。この収容空間15は、プロテクタ100の長手方向に沿うように細長く形成されている。収容空間15において、プロテクタ100の屈曲部分11に対応する部分は屈曲している。収容空間15は、その長手方向全体にわたって、プロテクタ100の上側を開放させている。
【0035】
プロテクタ100の上側の面に形成される開放部は、収容空間15にワイヤハーネス50を収容するためのものである。これを考慮して、以下の説明では、プロテクタ100の上側の面を「収容面」と呼び、収容面と反対側にある下側の面を「反収容面」と呼ぶことがある。図1はプロテクタ100を反収容面側から見た図であり、図2及び図3はプロテクタ100を収容面側から見た図である。
【0036】
収容空間15は、プロテクタ100に形成された複数の第1空間31と、複数の第2空間32,32xと、により構成されている。
【0037】
複数の第1空間31は、プロテクタ100の長手方向に沿って、適宜の間隔をあけて並べて配置されている。第1空間31と第2空間32,32xとは、プロテクタ100の長手方向に交互に並べて配置されている。第1空間31は、隣の第1空間31と、第2空間32,32xを通じて互いに繋がっている。
【0038】
第1空間31も、第2空間32,32xも、プロテクタ100の少なくとも収容面側を開放させている。第1空間31が収容面側に形成する開放部と、第2空間32,32xが収容面側に形成する開放部とは、互いに連続しており、この結果、全体として細長い開放部がプロテクタ100の収容面に形成されている。この開放部を通じて、ワイヤハーネス50を収容空間15の内部に入れることができる。
【0039】
第1空間31は、プロテクタ100を上下方向に貫通するように形成された貫通孔の内部空間である。従って、第1空間31は、プロテクタ100の収容面側と、反収容面側と、の両方を開放させている。第1空間31は、プロテクタ100を収容面側から見たときに、プロテクタ100の長手方向と同じ方向に細長い矩形状に形成されている。
【0040】
第2空間32は、プロテクタ100の収容面に形成された溝の内部空間である。従って、第2空間32は、プロテクタ100の収容面側を開放させるが、反収容面側は開放させず、閉鎖された構成となっている。第2空間32は、プロテクタ100を収容面側から見たときに、プロテクタ100の長手方向と同じ方向に細長い矩形状に形成されている。
【0041】
それぞれの第1空間31には、図4(a)等に示すように、対をなして配置される2つの内壁1,2が設けられている。この内壁1,2は、互いに平行に配置されるとともに、収容空間15の長手方向と垂直な方向で向かい合うように配置されている。図3等に示すように、2つの内壁1,2は、細長い長方形状に形成された前記貫通孔の2つの長辺に相当する。図1及び図2に示すプロテクタ100は屈曲部分11を含んでいるが、それぞれの第1空間31の内壁のうち、内周側の内壁に符号1が、外周側の内壁に符号2が付されている。
【0042】
それぞれの第1空間31では、図4(a)で示すように、対で配置された内壁1,2のうち一方だけに、上下方向で収容面側の端部に止めリブ5が形成されている。上下方向は、収容空間15の長手方向に垂直な方向であり、内壁1,2が向かい合う方向にも垂直な方向である。この止めリブ5は、反対側の内壁に向かって突出するように形成されており、第1空間31の収容面側の開放部を一部閉鎖している。この止めリブ5により、収容空間15に入れられたワイヤハーネス50が収容面側から外部に出るのを阻止することができる。
【0043】
止めリブ5は、適宜の幅を有する板状のリブとして形成されている。止めリブ5は図4(a)に示すように、その先端側に近づくに従って反収容面側となるように、傾斜状に形成されている。これにより、ワイヤハーネス50が収容空間15から外部に出にくい構成とすることができる。
【0044】
止めリブ5は、プロテクタ100に一体的に形成されている。本実施形態では、止めリブ5は、プロテクタ100を上下方向に貫くように形成される貫通孔の内部空間(第1空間31)に配置されている。従って、前記貫通孔の向きに沿って開閉する金型によって、プロテクタ100とともに当該止めリブ5を成形することが容易になっている。
【0045】
止めリブ5の先端部と、止めリブ5が形成される内壁と反対側の内壁と、の間には、隙間が形成されている。図3に示すように上下方向で見たとき、止めリブ5が突出する長さL1は、対で配置された内壁1,2の間の距離W1の1/2よりも短くなっている(L1<W1/2)。なお、上下方向は、収容面と反収容面とが向かい合う方向と言い換えることができ、また、第1空間31の両側の開放部を繋ぐ方向と言い換えることもできる。これにより、止めリブ5が第1空間31の開放部を閉鎖し過ぎないので、組立時にワイヤハーネス50を第1空間31(収容空間15)に容易に入れることができる。止めリブ5が突出する長さL1は、ワイヤハーネス50を構成する電線のうち最も太い電線の半径以上であることが好ましく、直径以上であることが更に好ましい。また、止めリブ5が突出する長さL1は、ワイヤハーネス50の全体(束全体)の半径以上であることが好ましく、直径以上であることが更に好ましい。
【0046】
第1空間31は、収容面側にも反収容面側にも開放部を有する。従って、収容空間15にワイヤハーネス50が収容された状態で、第1空間31に相当する部分では、ワイヤハーネス50の周囲に空間を確保することが容易である。本実施形態では、この空間を、ワイヤハーネス50に負荷が加わったときに当該ワイヤハーネス50を動かして当該負荷を逃がすための空間(以下、逃がし空間と呼ぶことがある。)として利用している。これにより、止めリブ5の効果とも相まって、収容空間15からワイヤハーネス50が外れないように保持することができる。
【0047】
それぞれの第1空間31では、対で配置された内壁1,2のうち、止めリブ5が形成されていない側の内壁に、第1リブ3が配置されている。また、内壁1,2のうち、止めリブ5が形成されている側の内壁には、第2リブ4が配置されている。第1リブ3及び第2リブ4は、プロテクタ100に一体形成されている。
【0048】
1つの第1空間31につき、第1リブ3と第2リブ4は、それぞれ1つずつ設けられている。第1リブ3は、止めリブ5と向かい合う位置に設けられている。第2リブ4は、第1リブ3と向かい合う位置に設けられている。
【0049】
第1リブ3及び第2リブ4は、何れも、上下方向に細長い直線状のリブとして形成され、上記の内壁から少し突出している。第1リブ3及び第2リブ4が内壁から突出する長さは、止めリブ5が突出する長さL1よりも小さい。
【0050】
第1リブ3は、第1空間31において、収容面側の開放部と、反収容面側の開放部と、を繋ぐように形成されている。第2リブ4は、止めリブ5の根元部と、反収容面側の開放部と、を繋ぐように形成されている。
【0051】
第1リブ3及び第2リブ4は、第1空間31に入れられたワイヤハーネス50が当該第1空間31の内壁1,2と接触しないように(内壁1,2と適宜の隙間を形成するように)、当該ワイヤハーネス50を案内する。従って、例えば射出成形金型のパーティングラインが内壁1,2の部分に設定され、当該パーティングラインによる細長い凸部が内壁1,2の表面に形成されたとしても、ワイヤハーネス50が当該凸部に当たって損傷することを防止することができる。
【0052】
第1リブ3及び第2リブ4のそれぞれは、その長手方向に垂直に切った断面が円弧状となっている。このように滑らかな湾曲状のリブとすることで、ワイヤハーネス50が第1リブ3と第2リブ4によって傷付けられるのを防止できる。
【0053】
第1リブ3が止めリブ5と向かい合う位置に形成されることによって、第1空間31における収容面側の開口面積を実質的に狭めることができる。この結果、第1空間31からワイヤハーネス50を外れにくくすることができる。
【0054】
なお、第1リブ3及び第2リブ4の突出量を適宜定めることにより、第1空間31において、ワイヤハーネス50の周囲に適度な大きさの逃がし空間を確保することができる。これにより、ワイヤハーネス50に大きな弛みが生じたり、負荷が加わった場合にワイヤハーネス50が動ける空間が不足したりすることがなくなり、収容空間15の内部でワイヤハーネス50を安定して保持することができる。
【0055】
それぞれの第2空間32には、図4(b)で示すように、対をなして配置される2つの内壁7,8が設けられている。この内壁7,8は、互いに平行に配置されるとともに、収容空間15の長手方向と垂直な方向で向かい合うように配置されている。図1及び図2に示すプロテクタ100は屈曲部分11を含んでいるが、それぞれの第2空間32の内壁のうち、内周側の内壁に符号7が、外周側の内壁に符号8が付されている。
【0056】
第2空間32における内壁7,8の間の距離W2は、第1空間31における内壁1,2の間の距離W1よりも小さい(W2<W1)。これにより、第2空間32においてワイヤハーネス50を確実に拘束することができるので、収容空間15においてワイヤハーネス50を確実に案内することができる。
【0057】
なお、第1空間31が複雑な形状をしている場合、内壁1,2の間の距離W1は場所に応じて変化する。同様に、第2空間32が複雑な形状をしている場合、内壁7,8の間の距離W2は場所に応じて変化する。上記の「複雑な形状」としては、例えば、捻り、急な曲げ、幅方向でない斜めの曲げを有する形状等が考えられる。本実施形態では、第2空間32での内壁7,8の間の距離W2の最小値が、第1空間31での内壁1,2の間の距離W1の最大値よりも小さくなっている。これにより、第1空間31において逃がし空間を形成しつつ、第2空間32によってワイヤハーネス50を確実に案内することができる。
【0058】
屈曲部分11に配置される第2空間32xにおいては、図3に示すように、その長手方向中央部の内壁7x,8xの間の距離W3が、長手方向端部の内壁7,8の間の距離W2よりも大きくなっている(W3>W2)。これにより、第2空間32xにおいてもワイヤハーネス50の逃がし空間を確保することができるので、ワイヤハーネス50の外れ防止効果を高めることができる。
【0059】
また、屈曲部分11に配置される第2空間32xにおいては、図4(c)に示すように、開放側(収容面側)と反対側の壁部に、細長い溝9が形成されている。この溝9は、第2空間32xの幅方向両端に1対で配置され、互いに平行に向けられている。それぞれの溝9の長手方向両端部は、図3等に示すように、第1空間31に接続している。
【0060】
この溝9により、第2空間32x内に水が入った場合でも、溝9を介して水を第1空間31へ逃がして、容易に排出することができる。また、溝9が形成される分だけプロテクタ100の肉が薄くなるので、プロテクタ100の成形時に溝9の部分が冷え易くなり、形状が崩れるのを防止することができる。
【0061】
図3において破線の丸で囲った部分で示すように、第1空間31が第2空間32,32xと接続する部分の近傍で、第1空間31の内壁1,2には段差が形成されている。この段差により、内壁1,2の間の距離が少し小さくなっている。これにより、ワイヤハーネス50は、第1空間31を通過して第2空間32,32xに至る直前に、内壁1,2による保持が少し強められ、その状態で第2空間32,32xを通過することになる。従って、第1空間31と第2空間32xとの境界部分において、ワイヤハーネス50を円滑に保持することができる。
【0062】
第1空間31の段差の部分で間隔が小さくなった内壁1,2は、第2空間32,32xの内壁7,8に滑らかに繋がっている。これにより、第1空間31と第2空間32,32xとの間をワイヤハーネス50が円滑に通過することができる。
【0063】
この段差は、矩形状の第1空間31の4隅からそれぞれ円弧状に突出するように形成されている。これにより、金型の構造上エッジになり易い部分を滑らかな曲線状に形成できるので、ワイヤハーネス50の損傷を防止することができる。
【0064】
図2に示すように、屈曲部分11に配置された第1空間31と、その両隣の第1空間31と、からなる3つの第1空間31において、内周側の内壁から外周側の内壁へ突出する止めリブ5は3つである一方、外周側の内壁から内周側の内壁へ突出する止めリブ5はゼロである。このように、屈曲部分11とその周辺に配置される第1空間31において、内周側から外周側へ突出する止めリブ5の数が、外周側から内周側へ突出する止めリブ5の数よりも多い。これにより、屈曲部分11の内周側を通じてワイヤハーネス50が収容空間15から外れるのを良好に防止することができる。
【0065】
本実施形態において、止めリブ5は、プロテクタ100にワイヤハーネス50を組み付ける作業において、いわゆる仮止めとして機能する。収容空間15(言い換えれば、止めリブ5の内側)にワイヤハーネス50が入った状態で、プロテクタ100の周囲に粘着テープを巻き付けることで、プロテクタ100付きのワイヤハーネス50が製造される。本実施形態の構成により、上記の仮止め状態でワイヤハーネス50がプロテクタ100から外れにくくなるので、上記の組付作業を安定して行うことができる。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態のプロテクタ100には、一側(前記収容面側)を開放させた収容空間15が長手方向に沿って形成される。このプロテクタ100には、複数の第1空間31と、第2空間32,32xと、が形成される。複数の第1空間31は、収容面側を開放させるとともに反収容面側も開放させる。第2空間32,32xは、収容面側を開放させ、反収容面側は閉じられている。複数の第1空間31は並べて配置されている。互いに隣り合う第1空間31同士が第2空間32,32xを通じて繋がることにより、収容空間15が形成される。第1空間31において、収容空間15の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁1,2が対をなして配置されている。対で配置された内壁1,2のうち一方の内壁の、収容空間15の長手方向にも内壁1,2が向かい合う方向にも垂直な方向で第2空間32,32xが開放している側と同じ側(収容面側)の端部に、反対側の内壁に向かって突出する止めリブ5が形成されている。
【0067】
これにより、収容空間15にワイヤハーネス50を配置した場合に、両側が開放されている複数の第1空間において、ワイヤハーネス50の周囲に空間を容易に形成することができる。従って、ワイヤハーネス50に負荷が加わった場合でも、ワイヤハーネス50のうち第1空間31に位置している部分が必要に応じて動くことで、負荷を良好に逃がすことができる。また、簡素な構成の止めリブ5によって、ワイヤハーネス50が開放部から出ることが防止される。この結果、ワイヤハーネス50が収容空間15の開放部から出にくくなるので、ワイヤハーネス50がプロテクタ100から外れることを良好に防止することができる。
【0068】
また、本実施形態のプロテクタ100において、対で配置された内壁1,2のうち止めリブ5が形成されていない側の内壁に、第1空間31の両側の開放部を繋ぐ方向に細長い第1リブ3が、止めリブ5が形成されている側の内壁に向かって突出するように形成される。
【0069】
これにより、止めリブ5によるワイヤハーネス50の外れ防止効果をより高めることができる。また、ワイヤハーネス50が第1空間31の内壁に接触しにくくなるので、内壁に形成される例えば凹凸等によってワイヤハーネス50が損傷することも防止できる。また、第1リブ3の突出量を適宜定めることによって、ワイヤハーネス50の周囲に適度な大きさの空間を確保することができる。
【0070】
また、本実施形態のプロテクタ100において、対で配置された内壁1,2のうち止めリブ5が形成されている側の内壁に、第1空間31の両側の開放部を繋ぐ方向に細長い第2リブ4が、止めリブ5が形成されていない側の内壁に向かって突出するように形成されている。
【0071】
これにより、ワイヤハーネス50が第1空間31の内壁に接触しにくくなるので、内壁に形成される例えば凹凸等によってワイヤハーネス50が損傷することを防止できる。また、第2リブ4の突出量を適宜定めることによって、ワイヤハーネス50の周囲に適度な大きさの空間を確保することができる。
【0072】
また、本実施形態のプロテクタ100では、第2空間32,32xにおいて、収容空間15の長手方向と垂直な方向で向かい合うように内壁7,8が対をなして配置されている。第2空間32,32xにおいて対で配置される内壁7,8の間の距離の最小値(W2)は、第1空間31において対で配置される内壁1,2の間の距離の最大値(W1)よりも小さい(W2<W1)。
【0073】
これにより、第1空間31においてワイヤハーネス50の負荷を逃がしてプロテクタ100からの外れ防止を実現する一方で、第2空間32においてはワイヤハーネス50の経路を良好に拘束することができる。
【0074】
また、本実施形態のプロテクタ100において、第2空間32xは、収容空間15の長手方向に沿って形成される。第2空間32xの長手方向中間部において対で配置される内壁7x,8xの間の距離W3が、長手方向端部において対で配置される内壁7,8の間の距離W2よりも大きい(W3>W2)。
【0075】
これにより、第2空間32xの長手方向中間部において、ワイヤハーネス50の周囲に空間を容易に形成することができる。従って、第2空間32xにおいても、ワイヤハーネス50に加わった負荷を良好に逃がすことができるので、プロテクタ100からワイヤハーネス50が外れるのを良好に防止することができる。
【0076】
また、本実施形態のプロテクタ100において、第1空間31において対で配置された内壁1,2の間の距離は、第1空間31が第2空間32,32xと接続する部分の近傍で小さくなっている。
【0077】
これにより、第1空間31を通過するワイヤハーネス50は、第2空間32,32xに至る直前に、間隔が狭くなった内壁1,2によって経路が拘束され、その後に第2空間32を通過することになる。従って、第1空間31と第2空間32との境界部分において、ワイヤハーネス50を円滑に保持することができる。
【0078】
また、本実施形態のプロテクタ100において、複数の第1空間31のうち少なくとも1つは、プロテクタ100が曲がっている部分である屈曲部分11に配置される。プロテクタ100の屈曲部分11に配置された第1空間31において、止めリブ5は、内周側の内壁から外周側の内壁へ向かって突出するように設けられている。
【0079】
これにより、プロテクタ100の屈曲部分11の内周側からワイヤハーネス50が外れるのを良好に防止することができる。
【0080】
また、本実施形態のプロテクタ100において、複数の第1空間31には、隣り合って配置され、止めリブ5の向きが互いに逆である2つの第1空間31が含まれる。
【0081】
これにより、交互配置された止めリブ5によって、ワイヤハーネス50を収容空間15から外れにくくすることができる。
【0082】
また、本実施形態のプロテクタ100において、第1空間31の両側の開放部を繋ぐ方向(上下方向)で見たときに、止めリブ5が突出する長さL1は、第1空間31における内壁の間の距離W1の1/2よりも小さい(L1<W1/2)。
【0083】
これにより、止めリブ5が開放部を閉鎖し過ぎないので、組立時にワイヤハーネス50を第1空間31(収容空間15)に容易に入れることができる。
【0084】
また、本実施形態のプロテクタ100では、プロテクタ100の屈曲部分11又はその近傍部分に配置される複数の第1空間31において、内周側の内壁から外周側の内壁へ向かって突出する止めリブ5の数が、外周側の内壁から内周側の内壁へ向かって突出する止めリブ5の数よりも多い。
【0085】
これにより、プロテクタ100の屈曲部分11の周辺においてワイヤハーネス50が外れてしまうのを良好に防止することができる。
【0086】
また、本実施形態のプロテクタ100では、第2空間32xにおいて、開放側と反対側に位置する内壁(天井壁)には、第2空間32xの幅(即ち、対で配置された内壁7,8の間の距離)W2,W3よりも小さい幅W4の溝9が形成される。溝9の長手方向端部が第1空間31に接続されている。
【0087】
これにより、第2空間32に水が侵入した場合でも、溝9を介して第1空間31に水を案内することで、排出が容易になる。また、プロテクタ100を型によって樹脂成形する場合に、溝9が形成されている部分は樹脂が素早く冷えて硬化するので、プロテクタ100の形状の崩れを防止することができる。
【0088】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0089】
第1空間31、第2空間32,32xの数は、任意に変更することができる。
【0090】
それぞれの第1空間31において、止めリブ5、第1リブ3及び第2リブ4は、1つに代えて2つ以上配置することもできる。
【0091】
第1リブ3は、止めリブ5と対向しない位置に配置されても良い。第2リブ4は、第1リブ3と対向しない位置に配置されても良い。
【0092】
止めリブ5は、リブ状に形成されている限り、どのような形状に変更しても良い。
【0093】
溝9の数は、1本又は3本以上に変更しても良い。また、直線部分に配置される第2空間32において、溝9が形成されても良い。
【0094】
プロテクタ100に屈曲部分11は1つだけ形成されても良いし、2つ以上形成されても良い。また、屈曲部分11において曲がる向きも任意である。
【0095】
プロテクタ100の収容空間15は、上側に代えて、任意の側を開放させるように変更しても良い。
【符号の説明】
【0096】
1,2 第1空間の内壁
3 第1リブ
4 第2リブ
5 止めリブ
7,8 第2空間の内壁
11 屈曲部分
15 収容空間
31 第1空間
32 第2空間
50 ワイヤハーネス
100 プロテクタ
図1
図2
図3
図4