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特許7032357構造体をキャリアの主表面領域から剥離するためのデバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】構造体をキャリアの主表面領域から剥離するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220301BHJP
   B65H 35/07 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65H35/07
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019130834
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2020025090
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2019-07-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】18184213.9
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジーグル, アルフレート
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ポーウォル, ダニエル
【合議体】
【審判長】辻本 泰隆
【審判官】▲吉▼澤 雅博
【審判官】小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-324142(JP,A)
【文献】特開2009-088397(JP,A)
【文献】特開2013-168616(JP,A)
【文献】特開平11-045934(JP,A)
【文献】特開2016-181613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体(110)をキャリア(120)の主表面領域から剥離するためのデバイス(100)であって、
前記構造体(110)に貼り合わせるためのテープ(130)と、
力を保って前記テープ(130)を架け渡す第1の保持部(140)及び第2の保持部(142)であって、少なくとも前記第2の保持部(142)が、前記キャリア(120)の前記主表面領域に対して垂直方向のずれ(146)を有する持上げ位置(144)に移動可能である、第1の保持部(140)及び第2の保持部(142)と、
前記第1の保持部(140)と前記第2の保持部(142)との間に配置される偏向線(152)を提供し、前記持上げ位置(144)への前記第2の保持部(142)の移動に応答して前記テープ(130)を偏向させるための偏向要素(150)とを備え、
前記偏向要素(150)が、前記偏向線(152)を前記キャリア(120)に平行に移動させ、前記テープ(130)に貼り合わされた前記構造体(110)を前記キャリア(120)から剥離するために、前記キャリア(120)に平行に移動可能であるように配置される、
デバイス(100)。
【請求項2】
前記偏向要素(150)が、ローラ、特に回転可能なローラ、又は楔、特に前記偏向線(152)での隅部である丸い隅部を備える楔である、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
前記偏向線(152)が、前記キャリア(120)に結合されて前記テープ(130)に貼り合わされた前記構造体(110)の第1の部分(132)と、前記キャリア(120)から剥離されて前記テープ(130)に移送される前記構造体(110)の第2の部分(134)とを分離する、請求項1又は2に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
前記第2の保持部(142)が、前記キャリア(120)の前記主表面に対して横方向にも移動可能であり、前記偏向線(152)での前記テープ(130)の偏向角(154)が、前記第2の保持部(142)の横方向移動と垂直方向移動の組合せに基づいて、及び前記偏向要素(150)の横方向位置に基づいて調節可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項5】
前記偏向角(154)が10°~170°である、請求項4に記載のデバイス(100)。
【請求項6】
前記第1の保持部(140)及び/又は前記第2の保持部(142)が、前記テープ(130)の張力を一定に保つように配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項7】
前記第1の保持部(140)及び/又は前記第2の保持部(142)が、ローラ、特に回転可能なローラである、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項8】
前記テープ(130)が、前記構造体(110)を前記キャリア(120)からテープフレーム(170、170)に移送するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項9】
剥離すべき前記構造体(110)が、可撓性であり、50μmよりも小さい前記キャリア(120)に垂直な伸長部を有するポリマーデバイス又はシリコンを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項10】
構造体(110)をキャリア(120)の主表面領域から剥離するための方法(200)であって、
テープ(130)を前記構造体(110)に貼り合わせるステップ(210)と、
1の保持部(140)と第2の保持部(142)との間に張力を保つようにして前記テープ(130)を架け渡すステップ(220)と、
前記第2の保持部(142)を、前記キャリア(120)の前記主表面領域に対して垂直方向のずれ(146)を有する持上げ位置(144)に移動させるステップ(230)と、
前記テープ(130)上で前記構造体(110)の第1の端部に向けて偏向要素(150)を設定するステップ(240)であって、前記第1の保持部(140)と前記第2の保持部(142)との間に配置される偏向線(152)を提供し、前記持上げ位置(144)への前記第2の保持部(142)の移動に応答して前記テープ(130)を偏向させるステップ(240)と、
前記偏向要素(150)を前記キャリア(120)に平行に前記構造体(110)の前記第1の端部から前記構造体(110)の第2の端部に移動させて、前記偏向線(152)を前記キャリア(120)に平行に移動させるステップ(250)であって、それによって、前記テープ(130)に貼り合わされた前記構造体(110)が前記キャリア(120)から剥離されるステップ(250)と、
を含む方法(200)。
【請求項11】
前記テープ(130)を前記構造体(110)に貼り合わせる前記ステップの前に、前記テープ(130)を前記構造体(110)の寸法よりもわずかに大きい寸法に切断するステップを含む、請求項10に記載の方法(200)。
【請求項12】
前記構造体(110)を伴った前記テープ(130)をテープフレーム(170、170)に貼り合わせるステップを含む、請求項10又は11に記載の方法(200)。
【請求項13】
前記構造体(110)を伴った前記テープ(130)をテープフレーム(170、170)に貼り合わせる前記ステップの後に、前記テープ(130)を前記構造体(110)の寸法よりもわずかに大きい寸法に切断するステップを含む、請求項12に記載の方法(200)。
【請求項14】
前記第1の保持部(140)及び前記第2の保持部(142)は、前記キャリア(120)の前記主表面領域に対して垂直方向のずれ(146)を有していない場合に、前記構造体(110)の両側に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ャリアの主表面領域から構造体を剥離するためのデバイス及び方法に関するものである
【背景技術】
【0002】
構造体、デバイス、又は薄いウェハは、キャリアウェハからフィルムフレームに転写されなければならない。薄いウェハの取扱い技術では、構造体をキャリアウェハから持ち上げるために克服しなければならない残留力がある。実際に、剥離時のウェハからのデバイスの持上げは、
・滑らせて外す
・楔によって剥離する
・平行に持ち上げる(キャリアとデバイスとの間に角度を付けない)
といった動作によって行われる。
【0003】
通常、構造体、デバイス、又は薄いウェハは、湾曲していない状態又はごくわずかだけ湾曲した状態で、すべてを一度に持ち上げられる。したがって、剥離時にツールが加えなければならない全体の所要の力は非常に大きい。
【0004】
したがって、剥離時にツールによって加えられる力の低減と、キャリア/ウェハから新たな送達先への剥離された構造体の転写(以下、「移送」という)の最適化との間で、より良い折り合いを付ける概念を得ることが望まれる。
【0005】
この課題は、装置クレーム1又は方法クレーム10などの独立請求項によって解決される。
【0006】
実施形態は、従属請求項によって定義される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、構造体をキャリアの主表面領域から剥離するためのデバイスに関する。例えば、このデバイスは、構造体に貼り合わせる(laminateする)ためのテープと、力を保ってテープを架け渡す第1の保持部及び第2の保持部とを備える。少なくとも第2の保持部は、キャリアの主表面領域に対して垂直方向のずれ(offset)を有する持上げ位置に移動可能でよい。また、このデバイスは、第1の保持部と第2の保持部との間に配置される偏向(deflection)線を提供し、持上げ位置への第2の保持部の移動に応答してテープを偏向させるための偏向要素を備え得る。偏向要素は、偏向線をキャリアに平行に移動させ、及びテープに貼り合わされた構造体をキャリアから剥離するために、キャリアに平行に移動可能であるように配置することができる。
【0008】
一実施形態は、構造体をキャリアの主表面領域から剥離するための方法である。この方法は、テープを構造体に貼り合わせるステップと、1の保持部と第2の保持部との間に張力を保ってテープを架け渡すステップと、第2の保持部を、キャリアの主表面領域に対して垂直方向のずれを有する持上げ位置に移動させるステップと、テープ上で構造体の第1の端部に向けて偏向要素を設定するステップであって、第1の保持部と第2の保持部との間に配置される偏向線を提供し、持上げ位置への第2の保持部の移動に応答してテープを偏向させるステップと、偏向要素をキャリアに平行に構造体の第1の端部から構造体の第2の端部まで移動させて、偏向線をキャリアに平行に移動させ、それによって、テープに貼り合わされた構造体がキャリアから剥離されるステップとを含むことができる。
【0009】
上述した方法は、上述したデバイスと同じ考慮事項に基づくことができる。なお、方法は、デバイスに関しても述べるすべての特徴及び機能を完備することができる。
【0010】
図面は、必ずしも一律の縮尺ではなく、全般に本開示の態様の原理を示すことに強調が置かれている。以下の記載では、以下の図面を参照して様々な実施形態を述べる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるデバイスの概略図である。
図2a】一実施形態によるキャリアの主表面領域上の構造体の概略図である。
図2b】一実施形態による、テープが構造体に貼り合わされた状態でのデバイスの概略図である。
図2c】一実施形態による、構造体を剥離するために構成されたデバイスの概略図である。
図2d】一実施形態による、構造体がキャリアから剥離された状態でのデバイスを示す図である。
図2e】一実施形態による、構造体を伴ったテープをテープフレームに貼り合わせるために構成されたデバイスを示す図である。
図3a】一実施形態による、構造体が薄いウェハである、キャリアの主表面領域上の構造体の概略図である。
図3b】一実施形態による、構造体が薄いウェハである、テープが構造体に貼り合わされた状態でのデバイスの概略図である。
図3c】一実施形態による、構造体が薄いウェハである、構造体を剥離するために構成されたデバイスの概略図である。
図3d】一実施形態による、構造体が薄いウェハである、構造体がキャリアから剥離された状態でのデバイスを示す図である。
図3e】一実施形態による、構造体が薄いウェハである、構造体を伴ったテープをテープフレームに貼り合わせるために構成されたデバイスを示す図である。
図4a】一実施形態による、構造体がキャリアに接着された薄いウェハである、キャリアの主表面領域上の構造体の概略図である。
図4b】一実施形態による、構造体がキャリアに接着された薄いウェハである、テープが構造体に貼り合わされた状態でのデバイスの概略図である。
図4c】一実施形態による、構造体がキャリアに接着された薄いウェハである、構造体を剥離するために構成されたデバイスの概略図である。
図4d】一実施形態による、構造体がキャリアに接着された薄いウェハであり、偏向要素が楔である、構造体を剥離するために構成されたデバイスの概略図である。
図5a】一実施形態による、キャリアの主表面領域上の、キャリアに接着された構造体の概略図である。
図5b】一実施形態による、テープがキャリアに接着された構造体に貼り合わされた状態でのデバイスの概略図である。
図5c】一実施形態による、キャリアに接着された構造体を剥離するために構成されたデバイスの概略図である。
図5d】一実施形態による、キャリアに接着された構造体がキャリアから剥離された状態でのデバイスを示す図である。
図5e】一実施形態による、構造体を伴ったテープをテープフレームに貼り合わせるために構成されたデバイスを示す図である。
図6a】一実施形態による、構造体がデバイスを備える、キャリアの主表面領域上の構造体の概略図である。
図6b】一実施形態による、構造体がデバイスを備える、テープが構造体に貼り合わされた状態でのデバイスの概略図である。
図6c】一実施形態による、構造体がデバイスを備える、構造体を剥離するために構成されたデバイスの概略図である。
図6d】一実施形態による、構造体がデバイスを備える、構造体がキャリアから剥離された状態でのデバイスを示す図である。
図6e】一実施形態による、構造体がデバイスを備える、構造体を伴ったテープをテープフレームに貼り合わせるために構成されたデバイスを示す図である。
図7】一実施形態による、構造体をキャリアの主表面領域から剥離するための方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記載では、同一若しくは同等の要素、又は同一若しくは同等の機能を有する要素は、異なる図に示されていても同一又は同等の参照番号で表す。
【0013】
以下の記載では、本開示の実施形態のより完全な説明を行うために複数の詳細事項を述べる。しかし、これらの具体的な詳細事項を伴わなくても実施形態を実現できることは、当業者には明らかであろう。なお、実施形態が不明瞭になるのを避けるために、よく知られている構造及びデバイスは、詳細にではなくブロック図の形式で示す。さらに、本明細書で述べる異なる実施形態の特徴は、特に指示がない限り、互いに組み合わせることができる。
【0014】
図1は、構造体110をキャリア120の主表面領域から剥離するためのデバイス100を示す。
【0015】
本実施形態は、構造体110をキャリア120の主表面領域から剥離するためのデバイス100によって加えられる力を、テープ130を偏向させることによって低減することができるという考えに基づくことができる。テープ130の偏向により、デバイス100によって構造体110をキャリア120の主表面領域から引き裂くのではなく、構造体110をキャリア120の主表面領域から引き剥がすことができるようになり、それにより、剥離時にデバイス100によって構造体110に引き起こされる応力がより小さくなる。したがって、キャリアの主表面領域からテープ130への構造体110の移送が、デバイス100によって最適化される。
【0016】
例えば、デバイス100は、構造体110に貼り合わせるためのテープ130と、張力を保ってテープ130を架け渡す第1の保持部140及び第2の保持部142とを備える。少なくとも第2の保持部142は、キャリア120の主表面領域に対して垂直方向のずれ146を有する持上げ位置144に移動可能でよい。したがって、第1の保持部140及び第2の保持部142は、このようにテープ130を架け渡すことによってテープ130が弛むのを防止することができる。キャリア120の主表面領域に対する持上げ位置144の垂直方向のずれ146は、キャリア120の主表面領域に対して垂直方向で、持上げ位置144とキャリア120の主表面領域との距離を定義することができる。例えば、持上げ位置144は、キャリア120の主表面領域に対して垂直方向のずれ146を有し、キャリア120の主表面領域に平行な平面内にあってよく、ここで、垂直方向のずれ146は、例えば連続的に調節可能である。
【0017】
また、デバイス100は、第1の保持部140と第2の保持部142との間に配置される偏向線152を提供し、持上げ位置144への第2の保持部142の移動に応答してテープ130を偏向させるための偏向要素150も備えることができる。偏向要素150の位置での偏向線152は、テープ130を2つの部分に分割することができる。したがって、例えば、2つの部分のうち第1の部分は、キャリア120の主表面領域に平行に配置することができ、2つの部分のうち第2の部分は、第1の部分と持上げ位置144とをつなぐことができ、それによって、テープ130を偏向線152で偏向させることができる。したがって、例えば、第2の部分は、キャリアの主表面領域とテープの第2の部分とが成す偏向角154を定義することができる。
【0018】
偏向要素150は、偏向線152をキャリア120に平行に移動させ、テープ130に貼り合わされた構造体110をキャリア120から剥離するために、キャリア120に平行に移動可能であるように構成することができる。したがって、構造体110は、例えば偏向線152でキャリア120の主表面領域からテープ130に移送される。偏向要素150は、例えば特にキャリア120の主表面領域に平行に移動可能である。
【0019】
第1の保持部140及び第2の保持部142は、ボックスとして図1に示されている。したがって、例えば、第2の保持部142は、テープ130の張力が保たれるように持上げ位置144に移動可能でよく、又は例えば第1の保持部140若しくは第2の保持部142は、テープ130の張力を保つためにテープ130を伸ばす又は縮めるようにテープ130に接続された移動要素を備えることができる。
【0020】
一実施形態によれば、第1の保持部140及び/又は第2の保持部142は、テープ130の張力を一定に保つように配置することができる。テープ130の張力を一定に保つことによって、制御下で、デバイス100によって構造体110をキャリア120の主表面領域から剥離することが可能である。また、構造体がテープ130に付着する(貼り合わせられる)とき、テープ130の一定の張力は、構造体110にかかり得る応力を低減するという点で有利であり得る。したがって、構造体110での長手方向及び垂直方向の応力を低減することができる。
【0021】
例えば、テープ130が、変化前よりも高い張力など張力変化を受けた場合には、構造体110は引張応力を受けることがあり、テープ130が、変化前よりも小さい張力を有する場合には、構造体110は圧縮応力を受けることがある。したがって、テープ130の一定の張力により、構造体110の応力を低減することができる。
【0022】
一実施形態によれば、第1の保持部140及び/又は第2の保持部142は、ローラ、特に回転可能なローラでよい。したがって、第1の保持部140及び/又は第2の保持部142を回転させることによって、テープ130を第1の保持部140及び/又は第2の保持部142上へ転動させて架け渡すことができる。第1の保持部140又は第2の保持部142がローラとして実現される場合、第1の保持部140及び/又は第2の保持部142を回転させることによって、テープ130の張力を容易に調節することが可能である。
【0023】
一実施形態によれば、第2の保持部142は、キャリア120の主表面領域に平行な第1の成分と、キャリア120の主表面領域に垂直な第2の成分とを有する方向に移動可能であるように構成することができる。言い換えると、第2の保持部142は、第1の成分及び第2の成分を有するベクトルに沿って移動可能でよい。したがって、第2の保持部142をキャリア120に対して斜めに移動させることができる。したがって、テープ130の張力を保ち、例えばテープ130の長さを一定に保つことが可能である。したがって、第2の保持部142は、例えばテープ130を伸ばす又は縮めるための要素を用いずにテープ130の張力を保つことができる。この機能により、第2の保持部142の移動によってテープ130の張力を保つことができる。
【0024】
任意選択で、第1の保持部140及び/又は第2の保持部142は、フックとして実現することもできる。一実施形態によれば、テープ130への接着接続、又はテープ130への吸着制御による接続、又はテープ130への面ファスナを用いた接続により、平面又は3次元物体として第1の保持部140及び/又は第2の保持部142を実現することも可能である。また、第1の保持部140及び/又は第2の保持部142は、2枚のプレートを備えて、これらの2枚のプレート間にテープ130を把持することもできる。第1の保持部140及び/又は第2の保持部142の実施形態の上記の列挙は、包括的ではなく例示的なものとみなされるべきである。
【0025】
一実施形態によれば、偏向要素150は、図1に示されるような楔、特に偏向線152での隅部である丸い隅部を備える楔、又はローラ、特に回転可能なローラである。楔150の丸い隅部の半径又は回転可能なローラの直径は、個別に変えることができる。偏向要素150の半径又は直径が小さいほど、偏向されていないテープ130と、持上げ位置144への第2の保持部142の移動によって偏向されたテープ130とが成す角度154が大きくなる。角度154が大きいほど、構造体110をキャリア120の主表面領域から容易に剥離することができるようになる。したがって、偏向要素(例えば、ローラの直径又は楔の半径)は、テープ130の偏向によって引き起こされる構造体110に関して許容されるテープ130の偏向と、小さい力だけで構造体110をキャリア120から剥離するための最適な角度154との最適化された妥協点が考慮されるように選択することができる。
【0026】
例えば、ローラ又は楔(偏向要素150の一例)の直径は、1mm~20cm、3mm~10cm、又は5mm~5cmの範囲内で定義することができる。したがって、例えば、構造体110が亀裂を生じずに小さい偏向のみを許容される場合、例えば、偏向要素150として約15cmの直径を有するローラを使用することが可能である。構造体110が可撓性である場合、例えば、小さい力で可撓性構造体110をキャリア120から剥離するための偏向要素として、約5mmの半径を有する丸い隅部を有する楔によって、大きい偏向角154を実現することができる。したがって、剥離すべき様々な構造体に関してデバイス100を個別化することが可能である。
【0027】
例えば、偏向要素150は、キャリア120からの構造体110の剥離を安定化することができる。したがって、例えば、構造体110は、偏向線152でデバイス100によって少しずつだけ剥離され、1回の操作で構造体全体が剥離されるわけではない。
【0028】
一実施形態によれば、偏向線152は、キャリア120に結合されてテープ130に貼り合わされている構造体110の第1の部分132と、キャリア120から剥離されてテープ130に移送される/貼り合わせられる構造体110の第2の部分134とを分離する。したがって、偏向線152は、デバイスが構造体110をキャリア120から剥離する場所を定義することができる。言い換えると、偏向線152は、構造体110がキャリア120からテープ130に移送される位置を定義することができる。
【0029】
任意選択で、偏向角154は、第1の部分132及び第2の部分134によって定義することができる。したがって、偏向角154は、180°から、構造体110の第1の部分132と構造体110の第2の部分134とが成す鋭角を減算した値として定義することができる。
【0030】
一実施形態によれば、第2の保持部142は、キャリア120の主表面に対して横方向(lateral)にも移動可能でよく、偏向線152でのテープ130の偏向角154は、第2の保持部142の横方向移動と垂直方向移動との連続又は同時の組合せに基づいて、及び偏向要素150の横方向位置に基づいて調節可能である。したがって、例えば第2の保持部142を持上げ位置144に移動させることによって、及び偏向要素150をキャリア120の主表面領域に平行に移動させることによって、偏向角154を変更することができる。
【0031】
例えば、第1の保持部140を第1の位置に設定し、第2の保持部142を持上げ位置144に設定することによって、及び偏向要素150をキャリア120に平行に単に移動させることによって、構造体110をキャリア120から剥離することができる。したがって、剥離時に偏向角154を変化させて、デバイス100によって構造体110をキャリア120から剥離することができる。一定の偏向角154で構造体110をキャリア120から剥離することも可能である。したがって、例えば、偏向要素150と第2の保持部142とはどちらも、剥離時にそれらの位置を変えることができる。したがって、例えば、偏向要素150はキャリア120に平行に移動し、第2の保持部142は、例えばキャリア120の主表面に対して垂直方向及び横方向に移動することによってその持上げ位置144を変える。
【0032】
一実施形態によれば、偏向角154は、10°~170°、15°~120°、又は20°~90°の間でよい。角度154が大きいほど、力が必要なくなるので、構造体110をキャリア120から剥離することが容易になる。定義された偏向角154を用いて、構造体110をより小さい力で、したがって非常に効率的にキャリア120から剥離することが可能である。
【0033】
一実施形態によれば、偏向要素150は、偏向要素150として使用することができるローラの直径又は楔の丸い隅部の半径によって偏向角154を制御するように構成することができる。したがって、直径又は半径は、デバイス100に関するできるだけ大きい偏向角154を定義することができる。一実施形態によれば、半径又は直径が小さいほど、大きい偏向角154を選択することができる。
【0034】
デバイス100は、例えば制御装置を備えることができ、この制御装置は、例えば、第2の保持部142の移動、偏向要素150の移動、及び任意選択で第1の保持部140の移動を制御することができる。例えば、制御装置160は、第1の保持部140、第2の保持部142、及び偏向要素150との接続線を備えることができ、又は第1の保持部140、第2の保持部142、及び偏向要素150と無線で通信するように構成することができる。制御装置は、例えば、テープ130が架け渡されてその張力が保たれるようにして、第1の保持部140、第2の保持部142、及び偏向要素150の移動を制御することができる。制御装置160は、例えば、偏向角154が一定に保たれてテープ130の張力が保たれるように、移動を制御することができる。
【0035】
任意選択で、偏向要素150は、デバイスによって構造体110をキャリア120から剥離するための速度を制御するように構成することができる。例えば、偏向要素150をキャリア120に平行に移動させることによって、偏向線152は、その位置を経時的に変える。偏向線152がその位置を速く変えるほど、構造体110は、偏向線152でキャリア120から速く剥離される。
【0036】
一実施形態によれば、剥離すべき構造体110は、可撓性でよく、50μm、30μm、又は20μmよりも小さいキャリア120に垂直な伸長部を有するポリマーデバイス又はシリコンを備えることができる。可撓性構造体110は、亀裂を生じずに偏向要素150の湾曲部の半径に沿うことが可能な構造体110として理解することができる。したがって、例えば、偏向要素150がローラである場合、可撓性は、構造体110がローラの直径に沿うことができることを意味することができ、偏向要素150が楔である場合、可撓性は、例えば構造体110が丸い隅部の半径に従うことが可能であることを意味することができる。一実施形態によれば、構造体110は、シリコンの可撓性層、脆性層、又は可撓性金属層でよい。構造体の伸長部は、キャリア120の主表面に垂直な伸長部として理解することができる。任意選択で、構造体110は、50μmよりも大きいキャリア120の主表面と垂直な伸長部を有する小さいシリコンチップを備えることも可能であり、これらのシリコンチップは、キャリア120の主表面に平行な寸法が非常に小さいので、単一のチップは小さい湾曲しか生じない。
【0037】
言い換えると、デバイス100は、テープ130を使用して、薄いデバイス(例えば、構造体110)をキャリアウェハ(例えば、キャリア120)から引き剥がし、薄いデバイスを新たな送達先に移送するためのものである。薄いデバイスは、例えば、十分な可撓性を持つことができるほど薄くすることができる、又は可撓性材料から作成されている。テープ130は、例えばデバイスに接着され、キャリア120から引き剥がされる。デバイスは、例えばテープ130に付着し、したがってキャリア120から剥離する。一実施形態によれば、テープ130は、ステッカのように引き剥がすことができ、したがって引き剥がし時に必要となる全体の力は、ごくわずかである。したがって、デバイス100は、テープの引き剥がしによる薄いデバイスの剥離のために構成されてよい。
【0038】
デバイス100は、例えば、キャリア120からデバイス(構造体110)を剥離するために使用することができる。したがって、構造体110は、例えばMEMSマイクロフォン用の粒子フィルタでよい。したがって、デバイス100を使用して、MEMSマイクロフォン用の粒子バリアをキャリア120から剥離することができる。
【0039】
例えば、デバイス100を使用して、半導体構造体をキャリア120から剥離することができる。
【0040】
言い換えると、剥離されるデバイス(構造体110)は、亀裂を生じずに曲げることができるほど薄い。これは、例えば、約20μm未満のポリマーデバイス又はシリコンに当てはまる。まず、テープ130(例えば、ダイシングテープ)は、剥離すべきデバイスに接着される(例えば、図1図2b、図3b、図4b、図5b、又は図6b参照)。次いで、テープ130は、キャリアウェハ120から小さい角度154でステッカのように引き剥がされる(例えば、図1図2c、図3c、図4c、図4d、図5c、又は図6c参照)。このようにして、デバイス110は、剥離前面(偏向線152)においてのみ順次に剥離する。ローラ(例えば、偏向要素150)を使用して、剥離前面152を速度及び曲げ角度154に関して制御することができる。ローラ150の寸法は、デバイス110の曲げ角度154を定義することができる。すべてのデバイス110がキャリアウェハ120から剥離されたとき、すべてのデバイス110がテープ130にある。ここで、このテープを使用して、デバイスを別の送達先に移送することができる。一実施形態によれば、テープ130は、フィルムフレーム(例えば、図2d、図2e、図3d、図3e、図5d、図5e、又は図6d、図6eに示されるようなテープフレーム170、170)に貼り合わせることができる。この形状でデバイス110を顧客に送達することができる。デバイス(例えば、構造体110)は、例えば、他のデバイス及び接着剤を上に有する新たなウェハ(例えば、キャリア120)に位置合わせされて押圧され、デバイスをこの新たなデバイスウェハに移送することができる。UVテープ/サーマルテープ(テープ130)が使用された場合には、新たな送達先で、デバイス110をUV照射/熱処理によって移送テープ130から解放することができる。核心は、テープ130を使用して、薄いデバイス110をキャリアウェハ120から引き剥がし、薄いデバイス110を新たな送達先に移送することである。
【0041】
図2aは、以下ではキャリアウェハとして理解することもできるキャリア120を示す。例えば、キャリア120は、例えば約700μmの厚さ122を有するシリコン材料又はガラス材料を含むことができる。キャリア120の厚さ122は、キャリア120の主表面に垂直である。キャリア120の厚さは、100μm~5mm、300μm~1mm、又は500μm~900μmの範囲内でよい。
【0042】
構造体110は、キャリア120に配置することができる。構造体110は、例えば、ビルドアップデバイスでよい。一実施形態によれば、構造体110は、約45μmのキャリア120に垂直な寸法112を含むことができる。寸法112は、5μm~100μm、10μm~60μm、又は20μm~50μmの範囲内でもよい。一実施形態によれば、構造体110は、高分子構造体を備えることができる。
【0043】
例えば、構造体110は、キャリア120の主表面領域に対する所定の破壊点又は接着接続部を備えることができる。
【0044】
図2bは、第1の保持部140、第2の保持部142、テープ130、及び任意選択で偏向要素150を備えるデバイス100を示す。図2bは、テープ130を構造体110に貼り合わせるステップを示す。例えば、デバイス100は、偏向要素150を使用して、テープ130を構造体110に貼り合わせることができる。そのために、テープ130は、例えば、第1の保持部140と第2の保持部142との間に架け渡され、例えば偏向要素150(例えば、ローラである)を構造体110の一端から構造体110の他端まで転動させることによって構造体110に接着される。
【0045】
第1の保持部140及び第2の保持部142は、例えば、長手方向及び横手方向の応力を保つという観点から張力が保たれるようにテープ130を架け渡すことができる。
【0046】
例えば、テープ130が、他の手段、例えば熱又はUV放射によって構造体110に貼り合わされた場合、デバイス100は、例えば偏向要素150を引き戻し、例えば偏向要素150を図2cに示される次のステップで使用することができる。
【0047】
一実施形態によれば、図2bは、例えば構造体110の上へのダイシングテープ130の貼り合わせを示す。一実施形態によれば、ダイシングテープ130は、ウェハ(キャリア120)前面と接触することが可能である。
【0048】
図2cは、デバイス100によって実施される次のステップを示す。図2b、図2c、図2d、及び図2eに示されるデバイス100は、図1でのデバイス100と同じ機能及び特徴を備えることができる。
【0049】
一実施形態によれば、第2の保持部142は、図2cに示されるように、キャリア120の主表面領域に対して垂直方向のずれを有する持上げ位置144に移動される。偏向要素150は、第1の保持部140と第2の保持部142との間に配置される偏向線152を提供し、持上げ位置144への第2の保持部142の移動に応答してテープ130を偏向させることができる。したがって、テープ130は、例えば、構造体110の第2の部分134に貼り合わされた、偏向要素150によって偏向されたテープ130の一部分と、キャリア120の主表面に平行な平面とが、約90°の偏向角154を保つように偏向される。したがって、例えば、構造体110の第2の部分134はキャリア120からすでに剥離されており、偏向要素150をキャリア120の主表面領域に平行に移動させることによって、構造体110の第1の部分132をデバイス100によって剥離することができる。言い換えると、図2cは、構造体110が引き剥がされた状態での、ダイシングテープ130のテープ剥がしを示す。言い換えると、ダイシングテープ130をウェハ(キャリア120)から引き剥がすことができ、構造体110は、ダイシングテープ130に留まることができる。
【0050】
図2dは、第1の保持部140及び第2の保持部142を備えるデバイス100を示し、このデバイス100は、第1の保持部140と第2の保持部142との間テープ130を架け渡すように構成される。さらに、テープ130は構造体110に貼り合わせられており、構造体110は、デバイス100によってキャリア120からすでに剥離されている。図2dに示されるステップでは、例えば、デバイス100の偏向要素150は、制御装置160によって引き戻され、それによりデバイス100は、例えば、構造体110を伴ったテープ130をテープフレーム170、170に移送することができる。
【0051】
第1の保持部140及び第2の保持部142は、例えば、長手方向及び横手方向の応力を保つという観点から張力が保たれるようにしてテープ130を架け渡すことができる。
【0052】
一実施形態によれば、テープ130は、構造体110をキャリア120からテープフレーム170、170に移送するように構成することができる。また、テープフレーム170、170を、ダイシングフレームとして理解することもできる。テープフレーム170、170によって、構造体110を伴ったテープ130を安定化させ、それにより新たな送達先により容易に移送することができる。
【0053】
図2eは、構造体110を伴ったテープ130をテープフレーム170、170に貼り合わせるステップを示す。偏向要素150を使用して、テープ130をテープフレーム170、170に貼り合わせることができる。したがって、偏向要素150は、例えば、第1のテープフレーム170から第2のテープフレーム170に転動することができる。構造体110を伴ったテープ130がテープフレーム170、170に貼り合わされた後、テープ130は、テープフレーム170、170において切断要素180によってダイシングすることができる。
【0054】
一実施形態によれば、デバイス100は、テープ130を、キャリア120から剥離された構造体110と貼り合わせるためのテープフレーム170、170を備える。したがって、この構造体は、キャリア120からテープ130に移送され、テープフレーム170、170によって安定化されて、構造体110に生じ得る損傷を低減しながら構造体110を確実に別の送達先に移送する。
【0055】
言い換えると、図2bは、デバイス100の第1のステップ、すなわち構造体110へのダイシングテープ130の貼り合わせを示し、図2cは、デバイス100によって実施される第2のステップ、すなわち移送された構造体110を伴ったダイシングテープ130のテープ剥がしを示し、図2d及び図2eは、デバイス100によって実施される第3のステップ、すなわちテープフレーム170、170へのテープ130の貼り合わせを示すことができる。
【0056】
テープフレーム170、170への構造体110の貼り合わせにより、次のピックアンドプレースプロセスを、デバイス100によって実現可能にすることができる。
【0057】
図3a~図3eは、図2a~図2eに示されるものと同じ特徴及び機能を示すことができる。図3a~図3eと図2a~図2eとの相違点は、構造体110が薄いウェハであり得ることである。言い換えると、キャリア120は、上に薄いウェハ(構造体110)を伴ったシリコンウェハ(例えば、700μm)でよい。したがって、図3bは、薄いウェハ110へのダイシングテープ130の貼り合わせを示し、図3cは、デバイス100によるキャリア120からの薄いウェハ110の剥離を示し、図3d及び図3eは、キャリア120から剥離された薄いウェハ110を伴ったダイシングテープを、テープフレーム170、170に貼り合わせる様子を示す。
【0058】
図4aは、例えば接着剤114によって構造体110がキャリア120の主表面領域に結合された状態でのキャリア120を示す。例えば、構造体110は、薄いウェハでよい。一実施形態によれば、薄いウェハ110は、接着剤114によってキャリア120の主表面領域に一時的に結合される。
【0059】
図4bは、図2b又は図3bに示されるデバイス100と同じ特徴及び機能を備えるデバイス100を示す。図4b、図2b、及び図3bの相違点は、構造体110が接着剤114によってキャリア120に接続されることである。図4bでは、デバイス100は、テープ130を構造体110に貼り合わせる。構造体110へのテープ130の貼り合わせによって作成される構造体110とテープ130との結合は、接着剤114によって成される構造体110とキャリア120との結合よりも強くすべきであることに留意されたい。
【0060】
構造体110とテープ130との結合の強さは、図4c及び図4dに示される剥離ステップに特に重要である。構造体110は、デバイス100によって剥離すべきキャリア120よりも強くテープ130に付着することができる。
【0061】
図4c及び図4dは、図2c及び図3cに示されるものと同じ特徴及び機能を備える構造体110の剥離を示し、接着剤114で構造体110がキャリア120に配置されるという相違点のみがある。
【0062】
図4cでは、デバイス100の偏向要素150は、例えばローラであり、図4dでは、デバイス100の偏向要素150は、例えば楔である。図4dに示される楔150は、例えば、図4cでのローラ150の直径よりも小さい偏向線152での丸い隅部の直径を有するため、図4dでの偏向角154は、図4cでの偏向角154よりも大きく選択することができる。一実施形態によれば、図4cに示されるように、偏向要素150がローラであるとき、偏向角154は90°でよく、又は図4dに示されるように、偏向要素150が、ローラの直径よりも小さい直径を有する楔であるとき、例えば最大で143°でよい。
【0063】
図5a~図5eは、図2a~図2e及び図3a~図3eと同じ特徴及び機能を示し、構造体110が、例えばキャリア120に接着剤114で接着された薄いダイ(非ビルトアップデバイス)を備えるという相違点がある。この接着剤114も、図4a~図4dに示される接着剤114と同様であり、キャリア120への構造体110の一時的な結合のためのものでよい。
【0064】
図6a~図6eは、図2a~図2e、図3a~図3e、及び図5a~図5eと同じ特徴及び機能を示し、構造体110が、保持構造体116によってキャリア120に接続されるデバイスを備えるという相違点がある。保持構造体116は、構造体110の下方(構造体110とキャリア120の主表面領域との間)に切り溝を作成することができる。例えば、構造体110におけるデバイスは、マイクロフォン用の可撓性粒子バリアでよい。
【0065】
一実施形態によれば、図6cに示されるように、構造体のみがテープ130に付着し、保持構造体116がキャリア120に留まるように、構造体を保持構造体116から破壊により外すことによって、構造体110をキャリア120から剥離することができる。例えば、保持構造体116に所定の破壊点があってよく、そこでデバイス100によって破壊して構造体110を切り離すことができる。
【0066】
図7は、構造体をキャリアの主表面領域から剥離するための方法200であって、
テープを構造体に貼り合わせるステップ210と、1の保持部と第2の保持部との間に張力を保ってテープを架け渡すステップ220と、第2の保持部を、キャリアの主表面領域に対して垂直方向のずれを有する持上げ位置に移動させるステップ230と、テープ上で構造体の第1の端部に向けて偏向要素を設定するステップ240であって、第1の保持部と第2の保持部との間に配置された偏向線を提供し、持上げ位置への第2の保持部の移動に応答してテープを偏向させるステップ240と、偏向要素を構造体の第1の端部から構造体の第2の端部までキャリアに平行に移動させて、偏向線をキャリアに平行に移動させ、それによって、テープに貼り合わされた構造体がキャリアから剥離されるステップ250とを含む方法200のブロック図を示す。剥離によって、例えば構造体をテープに移送することができる。
【0067】
任意選択で、貼り合わせるステップ210と架け渡すステップ220とは、架け渡すステップ220に対応し得る、第1の保持部と第2の保持部との間にテープを架け渡すステップ220aと、貼り合わせるステップ210に対応する、テープを構造体に貼り合わせるステップ210aとによって示されるように入れ替えることもできる。
【0068】
一実施形態によれば、方法200は、テープを構造体に貼り合わせるステップ210の前、又は第1の保持部と第2の保持部との間テープを架け渡すステップ220aの前に、テープを構造体の寸法よりもわずかに大きい寸法に切断するステップ260を含むことができる。したがって、テープは、デバイスによって構造体をキャリア120から剥離するのに適正な寸法をすでに有することができる。したがって、例えば、切断するステップ260によってテープが正しい寸法をすでに有することができるので、図2e、図3e、図5e、及び図6eに示されるステップは任意選択にすぎず、例えば、図2e、図3e、図5e、及び図6eに示されるようにテープがテープフレームに貼り合わせられたとき、第1の保持部及び第2の保持部は、切断要素を用いてテープを再度切断することなくテープを解放することができる。
【0069】
一実施形態によれば、方法200は、構造体を伴ったテープをテープフレームに貼り合わせるステップ270を含む。したがって、テープに結合された構造体は、テープフレームに固定され、デバイス100から解放することができる。
【0070】
一実施形態によれば、方法200は、構造体を伴ったテープをテープフレームに貼り合わせるステップ270の後、テープを構造体の寸法よりもわずかに大きい寸法に切断するステップ280を含むことができる。
【0071】
一実施形態によれば、方法200は、切断するステップ260又は切断するステップ280を含むことができる。テープは、方法の最初と方法の最後に2回切断される必要はなく、例えば、切断するステップ260によって最初に、又は切断するステップ280によって最後に1回切断すれば十分である。
【0072】
一実施形態によれば、構造体110をキャリア120の主表面領域から剥離するためのデバイス100は、構造体110に貼り合わせるためのテープ130と、力を保ってテープ130を架け渡す第1の保持部140及び第2の保持部142であって、少なくとも第2の保持部142が、キャリア120の主表面領域に対して垂直方向のずれ146を有する持上げ位置144に移動可能である、第1の保持部140及び第2の保持部142と、第1の保持部140と第2の保持部142との間に配置される偏向線152を提供し、持上げ位置144への第2の保持部142の移動に応答してテープ130を偏向させるための偏向要素150とを備え、偏向要素150が、偏向線152をキャリア120に平行に移動させ、テープ130に貼り合わされた構造体110をキャリア120から剥離するために、キャリア120に平行に移動可能であるように配置される。
【0073】
偏向要素(150)が、ローラ、特に回転可能なローラ、又は楔、特に偏向線(152)での隅部である丸い隅部を備える楔である、一実施形態によるデバイス(100)。
【0074】
偏向線(152)が、キャリア(120)に結合されてテープ(130)に貼り合わされた構造体(110)の第1の部分(132)と、キャリア(120)から剥離されてテープ(130)に移送される構造体(110)の第2の部分(134)とを分離する、一実施形態によるデバイス(100)。
【0075】
第2の保持部(142)が、キャリア(120)の主表面に対して横方向にも移動可能であり、偏向線(152)でのテープ(130)の偏向角(154)が、第2の保持部(142)の横方向移動と垂直方向移動の組合せに基づいて、及び偏向要素(150)の横方向位置に基づいて調節可能である、一実施形態によるデバイス(100)。
【0076】
偏向角(154)が10°~170°である、一実施形態によるデバイス(100)。
【0077】
第1の保持部(140)及び/又は第2の保持部(142)が、テープ(130)の張力を一定に保つように配置される、一実施形態によるデバイス(100)。
【0078】
第1の保持部(140)及び/又は第2の保持部(142)が、ローラ、特に回転可能なローラである、一実施形態によるデバイス(100)。
【0079】
テープ(130)が、構造体(110)をキャリア(120)からテープフレーム(170、170)に移送するように構成される、一実施形態によるデバイス(100)。
【0080】
剥離すべき構造体(110)が、可撓性であり、50μmよりも小さいキャリア(120)に垂直な伸長部を有するポリマーデバイス又はシリコンを備える、一実施形態によるデバイス(100)。
【0081】
構造体(110)をキャリア(120)の主表面領域から剥離するための方法(200)であって、
テープ(130)を構造体(110)に貼り合わせるステップ(210)と、
テープ(130)の張力を保つために、第1の保持部(140)と第2の保持部(142)との間テープ(130)を架け渡すステップ(220)と、
第2の保持部(142)を、キャリア(120)の主表面領域に対して垂直方向のずれ(146)を有する持上げ位置(144)に移動させるステップ(230)と、
テープ(130)上で構造体(110)の第1の端部に向けて偏向要素(150)を設定するステップ(240)であって、第1の保持部(140)と第2の保持部(142)との間に配置される偏向線(152)を提供し、持上げ位置(144)への第2の保持部(142)の移動に応答してテープ(130)を偏向させるステップと、
偏向要素(150)をキャリア(120)に平行に構造体(110)の第1の端部から構造体(110)の第2の端部まで移動させて、偏向線(152)をキャリア(120)に平行に移動させるステップ(250)であって、それによって、テープ(130)に貼り合わされた構造体(110)がキャリア(120)から剥離されるステップと
を含む方法(200)。
【0082】
テープ(130)を構造体(110)に貼り合わせるステップの前に、テープ(130)を構造体(110)の寸法よりもわずかに大きい寸法に切断するステップを含む、一実施形態による方法(200)。
【0083】
構造体(110)を伴ったテープ(130)をテープフレーム(170、170)に貼り合わせるステップを含む、一実施形態による方法(200)。
【0084】
構造体(110)と伴ったテープ(130)をテープフレーム(170、170)に貼り合わせるステップの後に、テープ(130)を構造体(110)の寸法よりもわずかに大きい寸法に切断するステップを含む、一実施形態による方法(200)。
【0085】
いくつかの態様は、装置の文脈での特徴として記載してきたが、そのような記載が、方法の対応する特徴の記載とみなされてもよいことは明らかである。いくつかの態様は、方法の文脈での特徴として記載してきたが、そのような記載が、装置の機能に関する対応する特徴の記載とみなされてもよいことは明らかである。
【0086】
前述の発明を実施するための形態の項では、本開示をわかりやすくする目的で、様々な特徴がいくつかの例にまとめられていることがわかる。この開示方法は、特許請求される例が各請求項に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を表すものと解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が表すように、発明の主題は、単一の開示される例の特徴すべてでなくてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書において発明を実施するための形態の項に組み込まれ、各請求項が別個の例として自立することができる。各請求項が別個の例として自立することができる一方で、特許請求の範囲において、従属請求項が1つ又は複数の他の請求項との特定の組合せを表すことがあるが、他の例は、従属請求項と他の各従属請求項の主題との組合せ、又は各特徴と他の従属請求項又は独立請求項との組合せも含むことがあることに留意されたい。そのような組合せは、特定の組合せが意図されていないことが明記されていない限り、本明細書において提案される。さらに、ある請求項が任意の他の独立請求項に直接的に従属していない場合でさえ、その請求項の特徴をその独立請求項に含めることも意図されている。
【0087】
本明細書では特定の実施形態を図示及び記載してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、図示及び記載した特定の実施形態の代わりに様々な代替及び/又は等価実装形態を使用することができることを当業者は理解されよう。本願は、本明細書において論じた特定の実施形態の任意の適合又は変形を網羅することが意図されている。したがって、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【符号の説明】
【0088】
100 デバイス
110 構造体
112 寸法
114 接着剤
116 保持構造体
120 キャリア
122 厚さ
130 テープ
132 第1の部分
134 第2の部分
140 第1の保持部
142 第2の保持部
144 持上げ位置
146 垂直方向のずれ
150 偏向要素
152 偏向線
154 偏光角
160 制御装置
170 第1のテープフレーム
170 第2のテープフレーム
180 切断要素
210、210a、270 貼り合わせるステップ
220、220a 架け渡すステップ
230 移動させるステップ
240 設定するステップ
250 剥離させるステップ
260、280 切断するステップ
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7