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特許7032457量子ドット、これを含む硬化性組成物、前記組成物を用いて製造された硬化膜、前記硬化膜を含むカラーフィルタ、ディスプレイ装置、および前記硬化膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】量子ドット、これを含む硬化性組成物、前記組成物を用いて製造された硬化膜、前記硬化膜を含むカラーフィルタ、ディスプレイ装置、および前記硬化膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220301BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220301BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220301BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220301BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20220301BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B5/20 101
G03F7/004 504
G03F7/004 501
G03F7/027 502
G09F9/00 313
B82Y20/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020006250
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2020118971
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0007594
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】金 鐘 基
(72)【発明者】
【氏名】姜 龍 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 東 俊
(72)【発明者】
【氏名】金 美 善
(72)【発明者】
【氏名】朴 民 志
(72)【発明者】
【氏名】李 範 珍
(72)【発明者】
【氏名】林 知 ▲げん▼
(72)【発明者】
【氏名】崔 美 貞
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-105491(JP,A)
【文献】特開2020-041080(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105545(WO,A1)
【文献】特開2017-106006(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109994619(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0060430(KR,A)
【文献】国際公開第2005/093422(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/027
G09F 9/00
B82Y 20/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記化学式Kで表される化合物で表面改質された量子ドット。
【化1】
【請求項2】
前記量子ドットは、500nm~680nmで最大蛍光発光波長を有する、請求項1に記載の量子ドット。
【請求項3】
下記化学式および化学式Kで表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドット、または請求項2に記載の量子ドット、および
末端に炭素-炭素二重結合を有する重合性単量体
を含み、
前記重合性単量体は、無溶媒型硬化性組成物総量に対して40重量%~80重量%で含まれる無溶媒型硬化性組成物;
【化2】

上記化学式中、
はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
および はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【化3】
【請求項4】
前記重合性単量体は、220~1,000g/molの分子量を有する、請求項3に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項5】
前記重合性単量体は、下記化学式15で表される、請求項3または4に記載の無溶媒型硬化性組成物;
【化4】

上記化学式15中、
19およびR20はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
33およびL35はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
34は、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基またはエーテル基である。
【請求項6】
前記無溶媒型硬化性組成物は、重合開始剤、光拡散剤またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項3~5のいずれか1項に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項7】
前記光拡散剤は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、ジルコニアまたはこれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項8】
前記無溶媒型硬化性組成物は、重合禁止剤;マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レべリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項6または7に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項9】
下記化学式および化学式Kで表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドットと、
バインダー樹脂と、
溶媒と、
を含む溶媒型硬化性組成物。
【化5】

上記化学式中、
はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
および はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【化6】
【請求項10】
前記溶媒型硬化性組成物は、重合性単量体、重合開始剤、光拡散剤またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項9に記載の溶媒型硬化性組成物。
【請求項11】
前記溶媒型硬化性組成物は、感光性樹脂組成物である、請求項9または10に記載の溶媒型硬化性組成物。
【請求項12】
請求項3~8のいずれか1項または請求項9~11のいずれか1項による組成物を用いて製造された硬化膜。
【請求項13】
請求項12の硬化膜を含むカラーフィルタ。
【請求項14】
請求項13のカラーフィルタを含むディスプレイ装置。
【請求項15】
請求項3~8のいずれか1項または請求項9~11のいずれか1項による組成物を基板上にインクジェット噴射方法で塗布してパターンを形成する段階、および
前記パターンを硬化する段階
を含む硬化膜製造方法。
【請求項16】
請求項3~8のいずれか1項または請求項9~11のいずれか1項による組成物を基板上に塗布後露光してパターンを形成する段階と、
前記パターンを現像する段階と、
前記現像後熱処理する段階と、
を含む硬化膜製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドット、これを含む硬化性組成物、前記組成物を用いて製造された硬化膜、前記硬化膜を含むカラーフィルタ、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置、および前記硬化膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な量子ドットの場合、疎水性を有する表面特性によって分散される溶媒が制限的であり、それにより、バインダーや硬化性モノマーなどのような極性システムへの導入に多く困っているのが事実である。
【0003】
一例として、活発に研究されている量子ドットインク組成物の場合にも、その初期段階では相対的に極性度が低く疎水性程度が高い硬化型組成物に使用される溶媒にせめて(かろうじて)分散される水準であった。そのため、全体組成物総量に対して20重量%以上の量子ドットを含ませにくくてインクの光効率を一定水準以上増加させることができず、光効率を増加させるために無理に量子ドットを追加投入して分散させてもインク-ジェッティング(Ink-jetting)が可能な粘度範囲(12cPs)を超えるようになって、工程性を満足させることができなかった。
【0004】
また、ジェッティング(jetting)が可能な粘度範囲を実現するために全体組成物総量に対して50重量%以上の溶媒を含ませてインク固形分含量を低める方法を使用してきたが、この方法も粘度面ではある程度満足すべき結果を提供するが、ジェッティング(jetting)時溶媒揮発によるノズル乾燥、ノズル目詰り現象、ジェッティング(jetting)後時間による単膜減少などの問題と共に硬化後厚さ偏差が激しくなって、実際工程に適用し難い短所を有する。
【0005】
したがって、量子ドットインクは溶媒を含まない無溶媒タイプが実際工程に適用するのに最も好ましい形態であり、現在の量子ドット自体を溶媒型組成物に適用する技術はもうある程度限界に至ったと評価されている。
【0006】
現在まで報告されたところでは、実際工程に適用するのに最も好ましい溶媒型組成物の場合、リガンド置換など表面改質されていない量子ドットが溶媒型組成物総量に対して約20重量%~25重量%程度の含量で含まれており、したがって粘度の限界によって光効率および吸収率を増加させ難い状況である。一方、他の改善方向として量子ドット含量を低め光拡散剤(散乱体)の含量を増加させる方法も試みられているが、これも沈降問題や低い光効率問題を改善できずにいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第2016-0119149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態は、優れた光特性を有する表面改質された量子ドットを提供するためのものである。
【0009】
他の一実施形態は、量子ドット含有無溶媒型硬化性組成物を提供するためのものである。
【0010】
また他の一実施形態は、前記量子ドットを含む溶媒型硬化性組成物を提供するためのものである。
【0011】
また他の一実施形態は、前記組成物を用いて製造された硬化膜を提供するためのものである。
【0012】
また他の一実施形態は、前記硬化膜を含むカラーフィルタを提供するためのものである。
【0013】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供するためのものである。
【0014】
また他の一実施形態は、前記硬化膜の製造方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態は、下記化学式1~化学式14で表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドットを提供する。
【0016】
【化1】
【0017】
上記化学式1~化学式6中、
~Rはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
~L16はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n1~n7はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0018】
【化2】
【0019】
上記化学式7~化学式9中、
およびRはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
17~L23はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n8~n10はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0020】
【化3】
【0021】
上記化学式10~化学式13中、
10~R15はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
24~L29はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n11~n16はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0022】
【化4】
【0023】
上記化学式14中、
16~R18はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
30~L32はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n17~n19はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0024】
前記量子ドットは、500nm~680nmで最大蛍光発光波長を有することができる。
【0025】
他の一実施形態は、量子ドット、および末端に炭素-炭素二重結合を有する重合性単量体を含み、前記重合性単量体は無溶媒型硬化性組成物総量に対して40重量%~80重量%で含まれる無溶媒型硬化性組成物を提供する。
【0026】
前記重合性単量体は、220g/mol~1,000g/molの分子量を有することができる。
【0027】
前記重合性単量体は、下記化学式15で表され得る。
【0028】
【化5】
【0029】
上記化学式15中、
19およびR20はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
33およびL35はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
34は、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基またはエーテル基である。
【0030】
前記無溶媒型硬化性組成物は、重合開始剤、光拡散剤またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0031】
前記光拡散剤は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、ジルコニアまたはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0032】
前記無溶媒型硬化性組成物は、重合禁止剤、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レべリング剤、フッ素系界面活性剤、またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0033】
前記無溶媒型硬化性組成物内の量子ドットは、前記化学式1~化学式14で表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドットであってもよい。
【0034】
また他の一実施形態は、前記化学式1~化学式14で表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドットと、バインダー樹脂と、溶媒とを含む溶媒型硬化性組成物を提供する。
【0035】
前記溶媒型硬化性組成物は、重合性単量体、重合開始剤、光拡散剤またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0036】
前記溶媒型硬化性組成物は、感光性樹脂組成物であってもよい。
【0037】
また他の一実施形態は、前記組成物を用いて製造された硬化膜を提供する。
【0038】
また他の一実施形態は、前記硬化膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0039】
また他の一実施形態は、前記組成物を基板上にインクジェット噴射方法で塗布してパターンを形成する段階、および前記パターンを硬化する段階を含む硬化膜製造方法を提供する。
【0040】
前記硬化は、光硬化または熱硬化であってもよい。
【0041】
また他の一実施形態は、前記組成物を基板上に塗布後露光してパターンを形成する段階と、前記パターンを現像する段階と、前記現像後熱処理する段階とを含む硬化膜製造方法を提供する。
【0042】
その他の本発明の側面の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0043】
一実施形態は、特定リガンドで表面改質された量子ドットを提供し、前記表面改質された量子ドットは既存の量子ドットと比較して、光硬化性組成物、溶媒型熱硬化性組成物および無溶媒型熱硬化性組成物の全てに容易に適用が可能であって工程性に優れるだけでなく、粘度および光特性も優れている。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲の範疇によって定義されるだけである。
【0045】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~20のアルキル基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~20のアルケニル基を意味し、“シクロアルケニル基”とは炭素数3~20のシクロアルケニル基を意味し、“ヘテロシクロアルケニル基”とは炭素数3~20のヘテロシクロアルケニル基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~20のアリール基を意味し、“アリールアルキル基”とは炭素数6~20のアリールアルキル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~20のアルキレン基を意味し、“アリーレン基”とは炭素数6~20のアリーレン基を意味し、“アルキルアリーレン基”とは炭素数6~20のアルキルアリーレン基を意味し、“ヘテロアリーレン基”とは炭素数3~20のヘテロアリーレン基を意味し、“アルコキシレン基”とは炭素数1~20のアルコキシレン基を意味する。
【0046】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”とは、少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸やその塩、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基、炭素数3~20のヘテロアリール基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0047】
また、本明細書で特別な言及がない限り、“ヘテロ”とは、化学式内にN、O、SおよびPのうちの少なくとも一つのヘテロ原子が少なくとも一つ含まれたことを意味する。
【0048】
また、本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリル酸”は“アクリル酸”と“メタクリル酸”の両方とも可能であるのを意味する。
【0049】
本明細書で特別な言及がない限り、“組み合わせ”とは混合または共重合を意味する。
【0050】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は、前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0051】
本明細書でカルド系樹脂とは、下記化学式16-1~化学式16-11からなる群より選択された一つ以上の官能基が樹脂内主鎖(backbone)に含まれる樹脂を意味する。
【0052】
また本明細書で特別な言及がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0053】
一実施形態による量子ドットは、極性基を有するリガンド、即ち、末端に炭素-炭素二重結合を有する重合性単量体と親和性の高いリガンドで表面改質された量子ドットであり得る。前記のように表面改質された量子ドットの場合、高濃度あるいは高濃縮量子ドット分散液の製造が非常に容易(単量体に対する量子ドットの分散性向上)であって、無溶媒型硬化性組成物実現および光効率改善に大きい影響を与えることができる。
【0054】
例えば、前記極性基を有するリガンドは、前記炭素-炭素二重結合を有する化合物を含む単量体の化学構造と親和性の高い構造を有することができる。
【0055】
例えば、前記極性基を有するリガンドは、下記化学式1~化学式14のうちのいずれか一つで表され得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0056】
【化6】
【0057】
上記化学式1~化学式6中、
~Rはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
~L16はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n1~n7はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0058】
【化7】
【0059】
上記化学式7~化学式9中、
およびRはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
17~L23はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n8~n10はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0060】
【化8】
【0061】
上記化学式10~化学式13中、
10~R15はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
24~L29はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n11~n16はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0062】
【化9】
【0063】
上記化学式14中、
16~R18はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
30~L32はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n17~n19はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0064】
例えば、前記化学式1~化学式14で表される化合物は、下記化学式A~化学式Pで表される化合物のうちのいずれか一つで表され得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0065】
【化10】
【0066】
上記化学式D中、m1は0~10の整数である。
【0067】
【化11】
【0068】
【化12】
【0069】
前記リガンドを使用する場合、量子ドットの表面改質がさらに容易であって、前記リガンドで表面改質された量子ドットを前述の単量体に投入して攪拌すれば、非常に透明な分散液を得ることができ、これは量子ドットの表面改質が非常によく行われたのを確認する尺度となる。
【0070】
例えば、前記量子ドットは、500nm~680nmで最大蛍光発光波長を有することができる。
【0071】
他の一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は量子ドットおよび重合性単量体を含み、前記単量体は無溶媒型硬化性組成物総量に対して40重量%~80重量%で含まれる。
【0072】
一実施形態は、量子ドットが含まれている無溶媒型硬化性組成物に関するものである。現在までの量子ドット含有硬化性組成物(インク)は、量子ドットとの相溶性が良いチオール系バインダーまたはモノマー(4Tなど含まれている量子ドットシート用樹脂)を特化させる方向に開発が行われており、さらに製品化まで行われている。
【0073】
一方、一般的であり汎用的に使用されている重合性単量体である-ene系単量体(ビニル系単量体、アクリレート系単量体、メタクリレート系単量体などを全て含み、単官能から多官能まで含む)は量子ドットとの相溶性が少なく、量子ドットの分散性において限界があることによって、量子ドット含有硬化性組成物に有用に適用させるための多様な開発が難しいのが事実である。何よりも前記-ene系単量体は高濃縮量子ドット分散性を示さないという点で、量子ドット含有硬化性組成物に適用させるのに困難があった。
【0074】
このような短所によって、量子ドット含有硬化性組成物は、溶媒を相当量(50重量%以上)含む組成として開発されてきたが、溶媒含量が多くなる場合、インクジェッティング(Ink jetting;インク噴射又はインク吐出)工程性が低下される問題がある。したがって、インクジェッティング(Ink jetting)工程性を満足させるために無溶媒型硬化性組成物に対する需要が日増しに増加している。
【0075】
即ち、一実施形態は日増しに需要が増大している無溶媒型硬化性組成物に関するものであって、量子ドットと共に末端に炭素-炭素二重結合を有する化合物を含む重合性単量体を硬化性組成物総量に対して40重量%~80重量%で含ませることによって、硬化性組成物に対する量子ドットの親和性を向上させて無溶媒システム(solvent-free system;無溶媒系)でも量子ドットの高濃度分散性を与えることができ、量子ドット本来(本然)の光特性を阻害しないパッシベーション(passivation)効果まで与えることができる。
【0076】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0077】
[量子ドット]
前記無溶媒型硬化性組成物に含まれる量子ドットとして前記化学式1~化学式14で表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドットを使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0078】
例えば、前記量子ドットは、360nm~780nmの波長領域、例えば400nm~780nmの波長領域の光を吸収して、500nm~700nmの波長領域、例えば500nm~580nmで蛍光を放出するか、600nm~680nmで蛍光を放出することができる。即ち、前記量子ドットは、500nm~680nmで最大蛍光発光波長(fluorescence λem)を有することができる。
【0079】
前記量子ドットはそれぞれ独立して、20nm~100nm、例えば20nm~50nmの半値幅(Full width at half maximum;FWHM)を有することができる。前記量子ドットが前記範囲の半値幅を有する場合、色純度が高いことによって、カラーフィルタ内色材料として使用時に色再現率が高まる効果がある。
【0080】
前記量子ドットはそれぞれ独立して、有機物であるか無機物または有機物と無機物のハイブリッド(混成物)であり得る。
【0081】
前記量子ドットはそれぞれ独立してコアおよび前記コアを囲むシェルから構成でき、前記コアおよびシェルはそれぞれ独立してII-IV族、III-V族などからなるコア、コア/シェル、コア/第1シェル/第2シェル、合金、合金/シェルなどの構造を有することができ、これに限定されるのではない。
【0082】
例えば、前記コアは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP、InAsおよびこれらの合金からなる群より選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。前記コアを囲んだシェルは、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、HgSeおよびこれらの合金からなる群より選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0083】
一実施形態では、最近、全世界的に環境に対する関心が大きく増加し有毒性物質に対する規制が強化されているので、カドミウム系コアを有する発光物質の代わりに、量子効率(quantum yield)は多少低いが環境にやさしい非カドミウム系発光素材(InP/ZnS、InP/ZeSe/ZnSなど)を使用したが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0084】
前記コア/シェル構造の量子ドットの場合、シェルを含む全体量子ドットそれぞれの大きさ(平均粒径)は、1nm~15nm、例えば5nm~15nmであり得る。
【0085】
例えば、前記量子ドットはそれぞれ独立して、赤色量子ドット、緑色量子ドットまたはこれらの組み合わせを含むことができる。前記赤色量子ドットはそれぞれ独立して、10nm~15nmの平均粒径を有することができる。前記緑色量子ドットはそれぞれ独立して、5nm~8nmの平均粒径を有することができる。
【0086】
一方、前記量子ドットの分散安定性のために、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は分散剤をさらに含むこともできる。前記分散剤は、量子ドットのような光変換物質が無溶媒型硬化性組成物内で均一に分散するように助け、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性分散剤の全てを使用することができる。具体的には、ポリアルキレングリコールまたはそのエステル類、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記分散剤は、量子ドットのような光変換物質の固形分に対して0.1重量%~100重量%、例えば10重量%~20重量%で使用できる。
【0087】
前記量子ドット、例えば、前記表面改質された量子ドットは、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して1重量%~40重量%、例えば3重量%~30重量%含まれ得る。前記量子ドット、例えば前記表面改質された量子ドットが前記範囲内に含まれる場合、光変換率に優れパターン特性と現像特性を阻害しないため優れた工程性を有することができる。
【0088】
[末端に炭素-炭素二重結合を有する重合性単量体]
前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体は、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して40重量%~80重量%で含まれなければならない。例えば、前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体は、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して50重量%~80重量%で含まれ得る。前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体の含量が前記範囲内であってこそ、インクジェッティングが可能な粘度を有する無溶媒型硬化性組成物の製造が可能であり、また製造された無溶媒型硬化性組成物内量子ドットが優れた分散性を有することができ、光特性も向上できる。
【0089】
例えば、前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体は、220g/mol~1,000g/molの分子量を有することができる。前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体の分子量が前記範囲である場合、量子ドットの光特性を阻害せずに組成物の粘度を高めないためインク-ジェッティングに有利であり得る。
【0090】
例えば、前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体は下記化学式15で表され得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0091】
【化13】
【0092】
上記化学式15中、
19およびR20はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
33およびL35はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
34は、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基またはエーテル基(*-O-*)である。
【0093】
例えば、前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体は、下記化学式15-1または15-2で表され得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0094】
【化14】
【0095】
例えば、前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体は、前記化学式15-1または化学式15-2で表される化合物以外にも、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートまたはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0096】
また、前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体とともに従来の熱硬化性または光硬化性組成物に一般に使用される単量体をさらに含むことができ、例えば前記単量体はビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン系化合物などをさらに含むことができる。
【0097】
[重合開始剤]
一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は重合開始剤をさらに含むことができ、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0098】
前記光重合開始剤は感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、アミノケトン系化合物などを使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0099】
前記アセトフェノン系の化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0100】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0101】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0102】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタルなどが挙げられる。
【0103】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0104】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0105】
前記アミノケトン系化合物の例としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1(2-Benzyl-2-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-butanone-1)などが挙げられる。
【0106】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0107】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0108】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0109】
前記熱重合開始剤の例としては、ペルオキシド、具体的に、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ヒドロペルオキシド(例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、2,2-アゾ-ビス(イソブチロニトリル)、t-ブチルペルベンゾエートなどが挙げられ、2,2’-アゾビス-2-メチルプロピオニトリルなども挙げられるが、必ずしもこれに限定されるのではなく、当業界に広く知られたものであれば何れも使用することができる。
【0110】
前記重合開始剤は、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して0.1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%で含まれ得る。重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、露光または熱硬化時に硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、未反応開始剤による透過率の低下を防止して量子ドットの光特性低下を防止することができる。
【0111】
[光拡散剤(または光拡散剤分散液)]
一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、光拡散剤をさらに含むことができる。
【0112】
例えば、前記光拡散剤は、硫酸バリウム(BaSO)、炭酸カルシウム(CaCO)、二酸化チタン(TiO)、ジルコニア(ZrO)またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0113】
前記光拡散剤は、前述の量子ドットに吸収されない光を反射させ、前記反射された光を量子ドットが再び吸収できるようにする。即ち、前記光拡散剤は、量子ドットに吸収される光の量を増加させて、硬化性組成物の光変換効率を増加させることができる。
【0114】
前記光拡散剤は、平均粒径(D50)が150nm~250nmであってもよく、具体的には180nm~230nmであり得る。前記光拡散剤の平均粒径が前記範囲内である場合、より優れた光拡散効果を有することができ、光変換効率を増加させることができる。
【0115】
前記光拡散剤は、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して1重量%~20重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれ得る。前記光拡散剤が前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して1重量%未満で含まれる場合、光拡散剤を使用することによる光変換効率向上効果を期待しにくく、20重量%を超過して含む場合には量子ドット沈降問題が発生するおそれがある。
【0116】
[その他添加剤]
前記量子ドットの安定性および分散性向上のために、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は重合禁止剤をさらに含むことができる。
【0117】
前記重合禁止剤は、ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。一実施形態による無溶媒型硬化性組成物が前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせをさらに含むことによって、無溶媒型硬化性組成物を印刷(コーティング)後、露光する間に常温架橋を防止することができる。
【0118】
例えば、前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ビス(1,1-ジメチルブチル)ヒドロキノン、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ヒドロキノン、カテコール、t-ブチルカテコール、4-メトキシフェノール、ピロガロール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-ナフトール、トリス(N-ヒドロキシ-N-ニトロソフェニルアミナト-O,O’)アルミニウム(Tris(N-hydroxy-N-nitrosophenylaminato-O,O’)aluminium)またはこれらの組み合わせを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0119】
前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは分散液の形態で使用でき、前記分散液形態の重合禁止剤は無溶媒型硬化性組成物総量に対して0.001重量%~3重量%、例えば0.1重量%~2重量%で含まれ得る。前記重合禁止剤が前記範囲内に含まれる場合、常温経時問題を解決すると同時に、感度低下および表面剥離現象を防止することができる。
【0120】
また、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、耐熱性および信頼性向上のために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レべリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0121】
例えば、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、基板との密着性などを改善するために、ビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤をさらに含むことができる。
【0122】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0123】
前記シラン系カップリング剤は、前記無溶媒型硬化性組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれ得る。シラン系カップリング剤が前記範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などが優れる。
【0124】
また、前記無溶媒型硬化性組成物は、必要によってコーティング性向上および欠点生成防止効果のために、即ち、レベリング(leveling)性能を改善させるために界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0125】
前記フッ素系界面活性剤は、4,000g/mol~10,000g/molの低い重量平均分子量を有することができ、具体的には6,000g/mol~10,000g/molの重量平均分子量を有することができる。また前記フッ素系界面活性剤は、表面張力が18mN/m~23mN/m(0.1%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液で測定)であり得る。前記フッ素系界面活性剤の重量平均分子量および表面張力が前記範囲内である場合、レベリング性能をさらに改善することができ、高速コーティング(high speed coating)時に染み発生を防止することができ、気泡発生が少なく膜欠陥が少ないため、高速コーティング法のスリットコーティング(slit coating)に優れた特性を付与する。
【0126】
前記フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社製のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業株式会社製のメガファックF 142D(登録商標)、同F 172(登録商標)、同F 173(登録商標)、同F 183(登録商標)など;住友スリーエム株式会社製のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;旭硝子株式会社製のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131(登録商標)、同S-141(登録商標)、同S-145(登録商標)など;東レシリコン株式会社製のSH-28PA(登録商標)、同-190(登録商標)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)など;DIC株式会社製のF-482、F-484、F-478、F-554などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0127】
また、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、前述のフッ素系界面活性剤と共にシリコン系界面活性剤を使用することもできる。前記シリコン系界面活性剤の具体的な例としては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社(旧東芝シリコン株式会社製)のTSF400、TSF401、TSF410、TSF4440などがあるが、これに限定されるのではない。
【0128】
前記フッ素系界面活性剤などを含む界面活性剤は、前記無溶媒型硬化性組成物100重量部に対して0.01重量部~5重量部、例えば0.1重量部~2重量部で含まれ得る。前記界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、噴射された組成物内に異物が発生される現象が減るようになる。
【0129】
また一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤などのその他の添加剤が一定量さらに添加されてもよい。
【0130】
また他の一実施形態は、前述の量子ドット(表面改質された量子ドット)、バインダー樹脂および溶媒を含む溶媒型硬化性組成物を提供する。
【0131】
[バインダー樹脂]
前記バインダー樹脂は、アクリル系樹脂(アクリル系バインダー樹脂ともいう)、カルド系樹脂、エポキシ樹脂またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0132】
前記アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体で、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂であり得る。
【0133】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0134】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれ得る。
【0135】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0136】
前記アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、ポリベンジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられ、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用してもよい。
【0137】
前記アクリル系樹脂の重量平均分子量は、5,000g/mol~15,000g/molであり得る。前記アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、基板との密着性に優れ、物理的、化学的物性が良く、粘度が適切である。
【0138】
前記カルド系樹脂は、下記化学式16で表される繰り返し単位を含むことができる。
【0139】
【化15】
【0140】
上記化学式16中、
31およびR32はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基であり、
33およびR34はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
は、単一結合、O、CO、SO、CR3536、SiR3738(ここで、R35~R38はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である)または下記化学式16-1~化学式16-11で表される連結基のうちのいずれか一つであり、
【0141】
【化16】
【0142】
上記化学式16-5中、
は、水素原子、エチル基、CCl、COH、CHCH=CHまたはフェニル基である。
【0143】
【化17】
【0144】
は、酸無水物残基であり、
t1およびt2はそれぞれ独立して、0~4の整数である。
【0145】
前記カルド系樹脂の重量平均分子量は、500g/mol~50,000g/mol、例えば1,000g/mol~30,000g/molであり得る。前記カルド系樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、硬化膜製造時に残渣なくパターン形成がよく行われ、溶媒型硬化性組成物の現像時に膜厚の損失がなく、良好なパターンを得ることができる。
【0146】
前記カルド系樹脂は、両末端のうちの少なくとも一つに下記化学式17で表される官能基を含むことができる。
【0147】
【化18】
【0148】
上記化学式17中、
は、下記化学式17-1~化学式17-7で表され得る。
【0149】
【化19】
【0150】
上記化学式17-1中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、エステル基またはエーテル基である。
【0151】
【化20】
【0152】
上記化学式17-5中、Rは、O、S、NH、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~20のアルキルアミン基または炭素数2~20のアルケニルアミン基である。
【0153】
【化21】
【0154】
前記カルド系樹脂は例えば、9,9-ビス(4-オキシラニルメトキシフェニル)フルオレンなどのフルオレン含有化合物;ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフタル酸無水物などの無水物化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのアルコール化合物;プロピレングリコールメチルエチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの溶媒類化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;およびテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどのアミンまたはアンモニウム塩化合物の中から二つ以上を混合して製造することができる。
【0155】
前記バインダー樹脂がカルド系樹脂である場合、これを含む溶媒型硬化性組成物、特に感光性樹脂組成物の現像性に優れ、光硬化時感度が良くて微細パターン形成性が優れる。
【0156】
前記アクリル系樹脂の酸価は、80mgKOH/g~130mgKOH/gであり得る。前記アクリル系樹脂の酸価が前記範囲内である場合、ピクセルパターンの解像度が優れる。
【0157】
前記エポキシ樹脂は、熱によって重合できるモノマー(monomer)またはオリゴマー(oligomer)であって、炭素-炭素不飽和結合および炭素-炭素環状結合を有する化合物などを含むことができる。
【0158】
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂および脂肪族ポリグリシジルエーテルなどを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0159】
このような化合物の市販品として、ビスフェニルエポキシ樹脂には三菱化学株式会社製(旧油化シェルエポキシ株式会社製)のYX4000、YX4000H、YL6121H、YL6640、YL6677;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂には日本化薬株式会社製のEOCN-102、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020、EOCN-1025、EOCN-1027および三菱化学株式会社製(旧油化シェルエポキシ株式会社製)のエピコート180S75;ビスフェノールA型エポキシ樹脂には三菱化学株式会社製(旧油化シェルエポキシ株式会社製)のエピコート1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010および828;ビスフェノールF型エポキシ樹脂には三菱化学株式会社製(旧油化シェルエポキシ株式会社製)のエピコート807および834;フェノールノボラック型エポキシ樹脂には三菱化学株式会社製(旧油化シェルエポキシ株式会社製)のエピコート152、154、157H65および日本化薬株式会社製のEPPN201、202;その他の環状脂肪族エポキシ樹脂にはCIBA-GEIGY A.G社製のCY175、CY177およびCY179、U.C.C社製のERL-4234、ERL-4299、ERL-4221およびERL-4206、昭和電工株式会社製のショーダイン509、CIBA-GEIGY A.G社製のアラルダイトCY-182、CY-192およびCY-184、大日本インキ化学工業株式会社製のエピクロン200および400、三菱化学株式会社製(旧油化シェルエポキシ株式会社製)のエピコート871、872およびEP1032H60、セラニーズコーティング株式会社製のED-5661およびED-5662;脂肪族ポリグリシジルエーテルには三菱化学株式会社製(旧油化シェルエポキシ株式会社製)のエピコート190Pおよび191P、共栄社油脂化学工業株式会社製のエポライト100MF、日本油脂株式会社製のエピオールTMPなどが挙げられる。
【0160】
前記バインダー樹脂は、前記溶媒型硬化性組成物総量に対して1重量%~30重量%、例えば、1重量%~20重量%で含まれてもよい。前記バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、現像性に優れ架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0161】
[溶媒]
前記溶媒は、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;メチルラクテート、エチルラクテートなどの乳酸アルキルエステル類;メチルヒドロキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、ブチルヒドロキシアセテートなどのヒドロキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシメチルアセテート、メトキシエチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシメチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどの酢酸アルコキシアルキルエステル類;メチル3-ヒドロキシプロピオネート、エチル3-ヒドロキシプロピオネートなどの3-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネートなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、プロピル2-ヒドロキシプロピオネートなどの2-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-エトキシプロピオネート、メチル2-エトキシプロピオネートなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-エトキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシエチルプロピオネート、2-ヒドロキシ-2-メチルエチルプロピオネート、ヒドロキシエチルアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエートなどのエステル類;またはピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類の化合物があり、またN-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フェニルセロソルブアセテートなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0162】
例えば、前記溶媒は、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレンジグリコールメチルエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;エタノールなどのアルコール類またはこれらの組み合わせを使用するのが好ましい。
【0163】
例えば、前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレンジグリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノール、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトンまたはこれらの組み合わせを含む極性溶媒であり得る。
【0164】
前記溶媒は、溶媒型硬化性組成物総量に対して20重量%~80重量%、例えば35重量%~80重量%で含まれ得る。溶媒が前記範囲内に含まれる場合、溶媒型硬化性組成物が適切な粘度を有することによってスピンコーティングおよびスリットを用いた大面積コーティング時に優れたコーティング性を有することができる。
【0165】
例えば、前記溶媒型硬化性組成物は、前記成分以外に前述の末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体、重合開始剤、拡散剤およびその他の添加剤のうちのいずれか一つ以上をさらに含むことができる。
【0166】
前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体は、前記溶媒型硬化性組成物総量に対して1重量%~10重量%、例えば2重量%~8重量%で含まれてもよい。前記末端に炭素-炭素二重結合を有する単量体が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起こり信頼性に優れ、パターンの耐熱性、耐光性、耐化学性、解像度および密着性も優れている。
【0167】
前記重合開始剤は、前記溶媒型硬化性組成物総量に対して0.1重量%~10重量%、例えば0.1重量%~5重量%で含まれてもよい。前記重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、露光時感度と現像性バランスに優れ残膜なく解像度が優れたパターンを得ることができる。
【0168】
前記拡散剤は、前記溶媒型硬化性組成物総量に対して0.1重量%~20重量%、例えば1重量%~15重量%で含まれてもよい。前記拡散剤が前記溶媒型硬化性組成物総量に対して0.1重量%未満で含まれる場合、拡散剤を使用することによる光変換効率向上効果を期待しにくく、20重量%を超過して含む場合にはパターン特性が低下する恐れがある。
【0169】
例えば、前記溶媒型硬化性組成物は、感光性樹脂組成物であり得る。この場合、前記溶媒型硬化性組成物は、前記重合開始剤として光重合開始剤を含むことができる。
【0170】
また、他の一実施形態は、前述の無溶媒型硬化性組成物および溶媒型硬化性組成物を用いて製造された硬化膜、前記硬化膜を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0171】
前記硬化膜の製造方法のうちの一つは、前述の無溶媒型硬化性組成物および溶媒型硬化性組成物を基板上にインクジェット噴射方法で塗布してパターンを形成する段階(S1);および前記パターンを硬化する段階(S2)を含む。
【0172】
(S1)パターンを形成する段階
前記無溶媒型硬化性組成物は、インクジェット噴射方式で0.5~20μmの厚さで基板上に塗布するのが好ましい。前記インクジェット噴射は、各ノズル当り単一カラーのみ噴射して必要な色の数によって反復的に噴射することによってパターンを形成することができ、工程を減らすために必要な色の数を各インクジェットノズルを通じて同時に噴射する方式でパターンを形成することもできる。
【0173】
(S2)硬化する段階
前記得られたパターンを硬化させて画素を得ることができる。この時、硬化させる方法としては、熱硬化工程または光硬化工程を全て適用することができる。前記熱硬化工程は100℃以上の温度で加熱して硬化させるのが好ましく、さらに好ましくは100℃~300℃で加熱して硬化させることができ、より一層好ましくは160℃~250℃で加熱して硬化させることができる。前記光硬化工程は、190nm~450nm、例えば200nm~500nmのUV光線などの化学線を照射する。照射に使用される光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、金属ハロゲン化物ランプ、アルゴンガスレーザなどを使用することができ、場合によってX線、電子線なども用いることができる。
【0174】
前記硬化膜の製造方法のうちのまた他の一つは、前述の無溶媒型硬化性組成物および溶媒型硬化性組成物を用いてリソグラフィ法を用いて硬化膜を製造することであって、製造方法は次の通りである。
【0175】
(1)塗布および塗膜形成段階
前述の硬化性組成物を所定の前処理を行った基板上にスピンまたはスリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケータ法などの方法を使用して所望の厚さ、例えば2μm~10μmの厚さで塗布した後、70℃~90℃の温度で1分~10分間加熱して溶媒を除去することによって塗膜を形成する。
【0176】
(2)露光段階
前記得られた塗膜に必要なパターン形成のために所定形態のマスクを介した後、190nm~450nm、例えば200nm~500nmのUV光線などの化学線を照射する。照射に使用される光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、金属ハロゲン化物ランプ、アルゴンガスレーザなどを使用することができ、場合によってX線、電子線なども用いることができる。
【0177】
露光量は、前記硬化性組成物各成分の種類、配合量および乾燥膜の厚さによって異なるが、例えば、高圧水銀灯を使用する場合、500mJ/cm以下(365nmセンサーによる)である。
【0178】
(3)現像段階
前記露光段階に続き、アルカリ性水溶液を現像液として用いて不必要な部分を溶解、除去することによって露光部分のみを残存させて画像パターンを形成させる。即ち、アルカリ現像液で現像する場合、非露光部は溶解され、イメージカラーフィルタパターンが形成される。
【0179】
(4)後処理段階
前記現像によって得られた画像パターンを耐熱性、耐光性、密着性、耐クラック性、耐化学性、高強度、保存安定性などの面で優れたパターンを得るために、再び加熱するか化学線照射などを行って硬化させることができる。
【実施例
【0180】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。但し、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記実施例によって限定されるのではない。
【0181】
(表面改質された量子ドット分散液の製造)
(製造例1)
3口丸底フラスコにマグネチックバーを入れて、量子ドット-CHA(cyclohexyl acetate:酢酸シクロヘキシル)溶液(固形分26wt%~27wt%)を計量投入した。ここに下記化学式Aで表されるリガンドを投入した。
【0182】
化学式Aの合成方法:チオグリコール酸(thioglycolic acid)50g、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]-エタノール(2-[2-(2-methoxyethoxy)ethoxy]-ethanol)91g、p-トルエンスルホン酸一水和物(p-toluenesulfonic acid monohydrate)10.27gをフラスコに入れて窒素雰囲気でシクロヘキサン(cyclohexane)500mLに均一に分散した。フラスコ注入口にディーンスターク(dean stark)を連結し、ここにコンデンサー(condensor)を連結した。反応フラスコを80℃で加熱(heating)し、一定時間攪拌後、ディーンスターク(dean stark)内部に水が集まることを確認した。水が確認されれば、その後、12時間追加攪拌した。0.54molの水が出たことを確認して反応を終了した。エチルアセテート(Ethyl acetate)と過量の水を反応物に入れて抽出および中和後、真空蒸発装置(vacuum evaporator)で濃縮した後、真空オーブンで最終収得物を乾燥した。
【0183】
1分程度よく混合した後、80℃、窒素雰囲気で攪拌した。反応終了後、常温に冷却(cooling)した後、シクロヘキサン(Cyclohexane)に量子ドット反応液を入れて沈殿を取った。遠心分離を通じて沈殿した量子ドットパウダーとシクロヘキサン(cyclohexane)を分離した。澄んだ溶液は注いで廃棄し、沈殿は真空オーブンで一日間十分に乾燥して、表面改質された量子ドットを収得した。
【0184】
前記表面改質された量子ドットを下記化学式15-1で表される単量体(triethylene glycol dimethacrylate、美源商社)に12時間攪拌して表面改質された量子ドット分散液を収得した。
【0185】
【化22】
【0186】
(製造例2)
化学式Aで表されるリガンドの代わりに下記化学式Eで表されるリガンドを使用したことを除いては製造例1と同様に行った。
【0187】
化学式Eの合成方法:ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル(pentaethylene glycol monomethyl ether)100g、NaOH 14.3g、THF 500mL、HO 100mLが混合された溶液に、p-トルエンスルホン酸クロリド(p-toluenesulfonic chloride)79g、THF 150mL分散液を0℃で徐々に注入した。注入が終わって30分後から常温で12時間程度攪拌を継続的に行った。反応終了後、抽出と中和、濃縮過程を経て精製を終えた後、収得物を真空オーブンで十分に乾燥した。得られた収得物をフラスコに入れて窒素雰囲気下でエタノール(ethanol)に溶かした。チオ尿素(Thiourea)3~5当量を添加した後、100℃で12時間攪拌した。20当量程度のNaOH希釈液を反応物に注入した後、5時間程度さらに攪拌した。反応終了後、水と塩酸希釈液で数回洗浄(washing)および抽出、中和した後、濃縮した後、真空オーブンで十分に乾燥すれば製品が得られた。
【0188】
【化23】
【0189】
(製造例3)
化学式Aで表されるリガンドの代わりに下記化学式Kで表されるリガンドを使用したことを除いては製造例1と同様に行った。
【0190】
化学式Kの合成方法:PH-4(韓農化成社)260g、アリルコハク酸無水物(allylsuccinic anhydride)140gを80℃で20時間攪拌して製造した。
【0191】
【化24】
【0192】
(製造例4)
化学式15-1で表される単量体の代わりに下記化学式15-3で表される単量体(ブチルジメタクリレート(Butyl dimethacrylate)、韓農化成社)を使用したことを除いては製造例1と同様に行った。
【0193】
【化25】
【0194】
(比較製造例1)
化学式15-1で表される単量体の代わりに末端に炭素-炭素二重結合を有していない単量体のOXT221(3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン;東亞合成株式会社製)を使用したことを除いては製造例1と同様に行った。
【0195】
<評価1:分散性>
粒径分析器(Particle size analyzer)を用いて製造例1~製造例4および比較製造例1から製造された量子ドット分散液上の粒度をマイクロ粒度分析器(Micro Particle Size Analyzer)でそれぞれ3回ずつ測定して平均を求め、その結果を下記表1に示した。
【0196】
【表1】
【0197】
上記表1から、製造例1~製造例4の量子ドット分散液は粒度分布が狭い特性を有し、高沸点および高表面張力溶媒によく分散するのを確認することができたが、比較製造例1の量子ドット分散液は粒度分布が広い特性を有し、高沸点および高表面張力溶媒によく分散しないのを確認することができた。
【0198】
(無溶媒型硬化性組成物の製造)
(実施例1)
前記製造例1で得られた分散液を計量した後、前記化学式15-1で表される単量体と混合して希釈し、重合禁止剤(メチルヒドロキノン、東京化成工業株式会社(TOKYO CHEMICAL社)製;5wt% in 化学式2-1で表される単量体)を入れて5分間攪拌した。その次に光開始剤(TPO-L、ポリネトロン社製)を投入した後、光拡散剤(TiO;SDT89、イリドス社製)を入れた。全体分散液を1時間攪拌して無溶媒型硬化性組成物を製造した。無溶媒型硬化性組成物総量に対して量子ドットは8重量%、化学式15-1で表される単量体は80重量%、重合禁止剤は1重量%、光開始剤は3重量%および光拡散剤は8重量%で含まれていた。
【0199】
(実施例2)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記製造例2で得られた分散液を使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0200】
(実施例3)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記製造例3で得られた分散液を使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0201】
(実施例4)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記製造例4で得られた分散液を使用し、化学式15-1で表される単量体の代わりに前記化学式15-3で表される単量体を使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0202】
(実施例5)
無溶媒型硬化性組成物総量に対して量子ドットは48重量%、化学式15-1で表される単量体は40重量%、重合禁止剤は1重量%、光開始剤は3重量%および光拡散剤は8重量%で含まれるようにしたことを除いては実施例2と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0203】
(比較例1)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記比較製造例1で得られた分散液を使用し、化学式15-1で表される単量体の代わりに前記末端に炭素-炭素二重結合を有していない単量体OXT221(3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン;東亞合成株式会社製)を使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0204】
(比較例2)
無溶媒型硬化性組成物総量に対して量子ドットは50重量%、化学式15-1で表される単量体は38重量%、重合禁止剤は1重量%、光開始剤は3重量%および光拡散剤は8重量%で含まれるようにしたことを除いては実施例2と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0205】
(比較例3)
無溶媒型硬化性組成物総量に対して量子ドットは6重量%、化学式15-1で表される単量体は82重量%、重合禁止剤は1重量%、光開始剤は3重量%および光拡散剤は8重量%で含まれるようにしたことを除いては実施例2と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0206】
<評価2:光特性評価>
実施例1~実施例5および比較例1~比較例3で製造された無溶媒型硬化性組成物をそれぞれガラス基板(G-1、G-2)またはイエローフォトレジスト(YPR)(Y-1、Y-2)の上にスピンコーティング機(Mikasa社製、Opticoat MS-A150、800rpm、5秒)を使用して約15μmの厚さで塗布し、窒素雰囲気下395nm UV露光器で5000mJ(83℃、10秒)で露光した。その後、積分球装備(QE-2100、otsuka electronics)に2cm×2cm単膜試片をローディングして、光吸収率および光効率を測定し、測定結果を下記表2~表9に示した。
【0207】
【表2】
【0208】
【表3】
【0209】
【表4】
【0210】
【表5】
【0211】
【表6】
【0212】
【表7】
【0213】
【表8】
【0214】
【表9】
【0215】
<評価3:無溶媒型硬化性組成物の待機時間による吐出率評価>
実施例1~実施例5および比較例1~比較例3で製造された無溶媒型硬化性組成物に対する待機時間による吐出率を下記のような方法で評価して、その結果を下記表10に示した。
【0216】
前記無溶媒型硬化性組成物それぞれに対してインクジェット(Inkjet)装備上の100個のノズルを通じてジェッティング(jetting)を行って基板のピクセルの上に落とした後、そのまま止めた状態で維持した。その後、一定時間(Latency time)単位でジェッティング(jetting)を行ったとき、ノズルが詰まらずよく吐出されるノズルの個数を測定した。
【0217】
【表10】
【0218】
<評価4:無溶媒型硬化性組成物の常温(25℃)保存安定性評価>
実施例1~実施例5および比較例1~比較例3で製造された無溶媒型硬化性組成物に対する待機時間による常温保存安定性を初期粘度値に対する時間経過後の粘度値の差で評価して、その結果を下記表11に示した。
【0219】
粘度値は、粘度計(RheoStress6000、HAAKE社製)を用いて常温で100rpmで2分間測定後、測定した値を記載した。
【0220】
【表11】
【0221】
前記評価1~評価4から、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は光特性が非常に優れるだけでなく、インクジェッティングが可能なように粘度も適切に調節されるのを確認することができた。さらに、常温での保存安定性も優れるのも確認することができた。
【0222】
(溶媒型硬化性組成物の製造)
(実施例6)
前記製造例1で得られた分散液を計量して量子ドット(23重量%)をジメチルアジペート(dimethyl adipate)(45重量%)に分散させた後、カルド系バインダー樹脂(TSR-TA01、TAKOMA社製)(8重量%)と混合して量子ドット分散液を製造した。その後、熱硬化性単量体としてOXT-221(3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン;東亞合成株式会社製)(1重量%)およびPFM-02(SMS社製)(16.5重量%)、光拡散剤(TiO;SDT89、イリドス社製)(2重量%)、グリコールジ-3-メルカプトプロピオネート(BRUNO BOCK(ブルーノボック)社製)(4.2重量%)、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン(東京化成工業株式会社(TCI)製)(0.3重量%)を混合し、ここに前記で製造した量子ドット分散液を投入、攪拌して溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0223】
(実施例7)
下記に言及された構成成分を該当含量にして溶媒型硬化性組成物(感光性樹脂組成物)を製造した。
【0224】
具体的に、溶媒に光重合開始剤を溶解させた後、2時間常温で十分に攪拌した。その次に、バインダー樹脂を量子ドットおよび分散剤(EVONIK社製、TEGO D685(TEGO(登録商標) Dispers 685))と共に投入し、再び2時間常温で攪拌した。ここに重合性単量体、チオール添加剤、拡散剤およびフッ素系界面活性剤を添加した後、1時間常温で攪拌し、前記生成物を3回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0225】
1)量子ドット:製造例1から得られた量子ドット12重量%
2)バインダー樹脂:カルド系バインダー樹脂(TSR-TA01、TAKOMA社製)25重量%
3)重合性単量体:ペンタエリトリトールヘキサメタクリレート(DPHA、日本化薬株式会社(Nippon Kayaku社)製)5.4重量%
4)光重合開始剤:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO、Sigma-Aldrich社製)0.7重量%
5)溶媒:ジメチルアジペート(dimethyl adipate)39重量%
6)拡散剤:二酸化チタン分散液(TiO固形分20重量%、平均粒径:200nm、ディットーテクノロジー株式会社製)15重量%
7)チオール添加剤:グリコールジ-3-メルカプトプロピオネート(BRUNO BOCK(ブルーノボック)社製)2重量%
8)その他の添加剤:フッ素系界面活性剤(F-554、DIC株式会社製)0.9重量%。
【0226】
<評価5:量子ドットの光変換率および光変換維持率評価>
前記実施例6および実施例7で製造された溶媒型硬化性組成物をそれぞれガラス基板上にスピンコーティング機(Mikasa社製、Opticoat MS-A150、150rpm)を使用して2μmの厚さで単膜コーティングした後、熱板(hot-plate)を用いて80℃で1分間乾燥して塗膜を収得した後、初期青色光変換率を測定(第1段階)した。
【0227】
前記得られた塗膜を220℃の熱風循環式乾燥炉中で40分間乾燥した後、青色光変換率を測定(第2段階)した。
【0228】
前記第1段階および第2段階に対して、BLU(Back Light Unit)から入射される青色光の緑色への光変換率および光変換維持率を評価して、その結果を下記表12に示した。ここで、青色光変換率測定はCAS 140 CT spectrometer(コニカミノルタ株式会社製(旧Instrument Systems社)装備で測定し、拡散フィルム(diffusing film)が覆われたblue BLU(blue Back Light Unit)(455nm)の上にbare glass(ベアグラス)を置いて、ディテクターで測定して先ずレファレンス(reference)を取った後、同じ位置で実施例6~実施例7による溶媒型硬化性組成物がコーティングされた単膜を置き、青色光吸収ピークの減少量に対する緑色に変換されたピークの増加量を計算して、光変換率(Green/Blue)を測定した。また、第1段階での光変換率が第2段階でどれくらい維持されるか、即ち、第1段階から第2段階までの進行過程での光変換維持率も共に測定してその結果を下記表12に示した。
【0229】
また、実施例7の溶媒型硬化性組成物の場合、露光器(ウシオ電機株式会社(Ushio社)製、ghi broadband)を用いて100mJ/cmの出力(power)でUVを照射した後、convection clean oven(jongro株式会社製)で180℃で30分間ポスト-ベーキング(post-baking;POB)を行いて、光変換率を測定してその結果を表13に示した。
【0230】
【表12】
【0231】
【表13】
【0232】
上記表12および表13から分かるように、一実施形態による表面改質された量子ドットを用いた溶媒型硬化性組成物は、カラーフィルタ工程が行われることによる青色光変換率低下が小さく、光変換維持率が高いのを確認することができた。
【0233】
本発明は前記実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態で製造でき、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施され得るのを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。