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▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】粉末分注を用いた付加製造
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/165 20170101AFI20220301BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220301BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20220301BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20220301BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20220301BHJP
   B29C 64/232 20170101ALI20220301BHJP
   B22F 10/16 20210101ALI20220301BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220301BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220301BHJP
   B22F 12/40 20210101ALI20220301BHJP
   B22F 12/55 20210101ALI20220301BHJP
   B29C 64/25 20170101ALI20220301BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20220301BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20220301BHJP
【FI】
B29C64/165
B33Y30/00
B29C64/209
B29C64/264
B29C64/236
B29C64/232
B22F10/16
B29C64/393
B33Y50/02
B22F12/40
B22F12/55
B29C64/25
B29C64/245
B29C64/336
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020536585
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 US2018067670
(87)【国際公開番号】W WO2019133708
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】62/611,289
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/926,997
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/927,922
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/927,957
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/928,000
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウン, ホウ ティ-.
(72)【発明者】
【氏名】パティバンドラ, ナグ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ダイファ
【審査官】田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524579(JP,A)
【文献】特開2015-009509(JP,A)
【文献】特開2017-109324(JP,A)
【文献】国際公開第2017/142506(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームの上に位置づけされた1又は複数の支持体と、
前記プラットフォーム及び前記1又は複数の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記1又は複数の支持体が前記プラットフォームを横切って走査するように、それらの間に相対運動を生じさせるように構成されたアクチュエータと、
前記プラットフォームに支持された構築エリア上に複数の連続する粉末層を分注するように構成された第1のディスペンサシステムであって、前記1又は複数の支持体の第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し、第1の粉末を前記構築エリア上に選択的に分注するように構成された第1の粉末ディスペンサを含む、第1のディスペンサシステムと、
バインダ材料を前記構築エリア上に分注するように構成された第2のディスペンサシステムであって、第1のバインダ材料をボクセルごとに前記構築エリアの最上粉末層に選択的に分注して、粉末及びバインダ材料を有し且つ構築される部品の断面部分に対応するある体積の層を形成するように構成された第1のバインダ材料ディスペンサを含み、前記第1のバインダ材料は高密度化材料を含む、第2のディスペンサシステムと、
前記バインダ材料を固化させるために前記プラットフォームに向かって放射線を放出するように構成されたエネルギー源と
を備える装置
【請求項2】
前記第1の支持体は第1の軸に沿って移動可能であり、前記第1の粉末ディスペンサは、前記粉末を、前記第1の軸に対して非ゼロの角度をなす第2の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の粉末ディスペンサは、前記粉末を、前記第2の軸に沿ってボクセルごとに選択的に分注するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の粉末ディスペンサは、領域がボクセルよりも大きい場合に、前記粉末を、前記第2の軸に沿って前記領域ごとに選択的に分注するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の粉末ディスペンサは、第1の複数の個別に制御可能なオリフィスを有し、前記第1の複数の個別に制御可能なオリフィスの各オリフィスは、前記第1の粉末を制御可能に送達するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のバインダ材料ディスペンサ及び前記エネルギー源は、前記1又は複数の支持体の第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し、前記第2の支持体は第3の軸に沿って移動可能であり、前記第1のバインダ材料ディスペンサは、前記バインダ材料を、前記第3の軸に対して非ゼロの角度をなす第4の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のディスペンサシステムは複数の第1の粉末ディスペンサを含み、第1の粉末ディスペンサは各々、前記第1の支持体に取り付けられ、前記複数の第1の粉末ディスペンサは前記構築エリアの幅をカバーするように千鳥状のパターンで配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
製造される物体の層において前記バインダ材料を固化させるパターンを識別するデータオブジェクトを記憶するように構成されたメモリを有するコントローラを備え、前記コントローラは、前記層に対して、
前記アクチュエータに、前記支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を生じさせ、
前記第1のディスペンサシステムに、前記支持体が前記プラットフォームを横切って走査するときに、構築される部品の断面部分を包含する領域に粉末層を分注させ、
前記第2のディスペンサシステムに、前記データオブジェクトに基づく前記パターンで粉末層上にバインダ材料層を分注させて、前記構築される部品の断面に対応する粉末とバインダ材料との結合層を提供させ、
前記パターンに従って前記結合層の前記バインダ材料を固化させるために前記エネルギー源を制御する
ように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー源が、最上層に沿ってストライプを照射するように構成された光源を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記プラットフォーム、前記1又は複数の支持体、前記第1のディスペンサシステム、前記第2のディスペンサシステム及び前記エネルギー源を封入するチャンバを形成する密閉されたハウジングを備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、付加製造装置、例えば未加工部品の製造のための粉末ディスペンサシステム、バインダ分注システム、及びエネルギー送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造(AM)は、固体自由成形又は3D印刷とも呼ばれ、原料(例:粉末、液体、懸濁液、又は溶融固体)の二次元層への連続的な分注から3次元物体が作成される製造プロセスを指すものである。これとは対照的に、従来の機械加工技法では、素材をストック材料(例:木材、プラスチック、又は金属のブロック)から切り取るサブトラクティブプロセスを使用する。
【0003】
付加製造では、様々な付加プロセスが使用され得る。例えば、選択的レーザ溶融法(SLM)や直接金属レーザ焼結法(DMLS)、選択的レーザ焼結法(SLS)、熱溶解積層法(FDM)といった幾つかの方法では、層を作り出すために材料を融解又は軟化させる。幾つかの方法では、例えば光造形法(SLA)といった別の技術を用いて、液体材料を硬化させる。幾つかのシステムでは、バインダ材料を粉末等の供給材料の層上に配置し、エネルギー源を使用してバインダ材料を硬化させて、遊離した粉末粒子を結合させる。
【0004】
バインダジェッティング3Dプリンタ等の幾つかの乾燥粉末付加製造装置は、様々な材料で部品を製造することができる。典型的なバインダジェッティング付加製造プロセスには、プラットフォームを横切って第1の均一な粉末層を散布することが含まれる。粉末粒子は、金属、セラミック、砂、プラスチック、異なる材料の混合物等であり得る。次に、付加製造装置は、製造される物体の層に対応する位置で粉末層上にバインダ材料を堆積させる。エネルギー源は、粉末粒子を結合させるためにバインダ材料を硬化させるのに使用される。バインダ材料が層で硬化された後、装置は、第1の層の上に第2の均一な粉末層を散布し、バインダの堆積と硬化のステップを繰り返す。装置がすべての層の散布を完了すると、遊離した粉末のプール内に3次元の「未加工」部品が形成される。部品は「未加工」であり、主成分、すなわち粉末によって提供される材料はバインダ材料によって保持されており、まだ粉末を固体の材料の塊に固化させるために焼結又は焼成されていない。未加工部品は、硬化されたバインダ剤で接着された粉末で形成され、各粉末層の厚さに等しい垂直方向の空間解像度を有する。遊離した粉末粒子は、リサイクルして次の印刷のために保管することができる。粉末粒子の種類によっては、未加工部品が最終製品として機能する場合や、最終製品を形成するために、アニーリングや焼結、熱間静水圧プレス等の追加の後処理ステップが必要になる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、付加製造装置は、プラットフォームと、プラットフォームの上に位置づけされた1又は複数の支持体と、プラットフォーム及び1又は複数の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、1又は複数の支持体がプラットフォームを横切って走査するように、それらの間に相対運動を生じさせるように構成されたアクチュエータと、プラットフォームに支持された構築エリア上に複数の連続する粉末層を分注するように構成された第1のディスペンサシステムと、バインダ材料を構築エリア上に分注するように構成された第2のディスペンサシステムと、バインダ材料を固化させるためにプラットフォームに向かって放射線を放出するように構成されたエネルギー源とを含む。第1のディスペンサシステムは、1又は複数の支持体の第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し、第1の粉末を構築エリア上に選択的に分注するように構成された第1の粉末ディスペンサを含む。第2のディスペンサシステムは、第1のバインダ材料をボクセルごとに構築エリアの最上粉末層に選択的に分注して、粉末及びバインダ材料を有し且つ構築される部品の断面部分に対応するある体積の層を形成するように構成された第1のバインダ材料ディスペンサを含む。
【0006】
実装は1又は複数の下記の特徴を含み得る。
【0007】
第1の支持体は、第1の軸に沿って移動可能であり得、第1の粉末ディスペンサは、粉末を、第1の軸に対して非ゼロの角度をなす、例えば垂直である第2の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成され得る。第1の粉末ディスペンサは、粉末を、第2の軸に沿ってボクセルごとに、又は領域がボクセルよりも大きい場合、第2の軸に沿って領域ごとに、選択的に分注するように構成され得る。
【0008】
第1のバインダ材料ディスペンサ及びエネルギー源は、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1のバインダ材料ディスペンサは、バインダ材料を第2の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成され得る。第1のバインダ材料は、高密度化材料を含み得る。
【0009】
第1のバインダ材料ディスペンサ及びエネルギー源は、1又は複数の支持体の第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得、第2の支持体は、第3の軸に沿って移動可能であり得、第1のバインダ材料ディスペンサは、バインダ材料を、第3の軸に対して非ゼロの角度をなす、例えば垂直である第4の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成され得る。第3の軸は、第1の軸に平行であり得る。第4の軸は、第3の軸に平行であり得る。第1の支持体と第2の支持体は、ガイドレールに接続されてガイドレール上を個別に移動可能であり得る。第1の支持体は、第1のガイドレール上で移動可能であり得、第2の支持体は、第1のガイドレールに平行な第2のガイドレール上で移動可能であり得る。第3の軸は、第1の軸に対して垂直であり得る。第4の軸は、第3の軸に対して垂直であり得る。
【0010】
第1の粉末ディスペンサは、粉末を、ボクセルごとに選択的に分注するように構成され得る。第1の粉末ディスペンサは、粉末を、領域がボクセルよりも大きい場合に、領域ごとに選択的に分注するように構成され得る。第1の粉末ディスペンサは、第1の複数の個別に制御可能なオリフィスを有し得、第1の複数のオリフィスの各オリフィスは、第1の粉末を制御可能に送達するように構成される。第1の粉末ディスペンサは、構築エリアの幅にまたがっていてよい。第1のディスペンサシステムは、複数の第1の粉末ディスペンサを含み得、第1の粉末ディスペンサは各々、第1の支持体に取り付けられている。複数の第1の粉末ディスペンサは、構築エリアの幅をカバーするように千鳥状のパターンに配置され得る。
【0011】
コントローラは、製造される物体の層においてバインダ材料を固化させるパターンを識別するデータオブジェクトを記憶するように構成されたメモリを有し得る。コントローラは、層に対して、アクチュエータに、支持体とプラットフォームとの間に相対運動を生じさせ、第1のディスペンサシステムに、支持体がプラットフォームを横切って走査するときに、構築される部品の断面部分を包含する領域に粉末層を分注させ、第2のディスペンサシステムに、データオブジェクトに基づくパターンで粉末層上にバインダ材料層を分注させて、構築中の部品の断面に対応する粉末とバインダ材料との結合層を提供させ、パターンに従って結合層のバインダ材料を固化させるためにエネルギー源を制御するように構成される。
【0012】
第1のバインダ材料は、高密度化材料を含み得る。
【0013】
第3の分注システムは、粉末層又は粉末とバインダ材料の結合層に高密度化材料を送達するように構成され得る。第1の高密度化剤ディスペンサは、複数の個別に制御可能なオリフィスを含み得、第1の高密度化剤ディスペンサの複数のオリフィスの各オリフィスは高密度化材料を制御可能に送達するように構成される。第1のバインダディスペンサは、第1のバインダディスペンサの運動方向に沿って、第1の高密度化剤ディスペンサの前又は後に位置づけされ得る。第1の高密度化剤ディスペンサは、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1のバインダ材料ディスペンサ及びエネルギー源は、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得、又は1又は複数の支持体の第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第2の支持体は、第3の軸に沿って移動可能であり得、第1の高密度化剤ディスペンサは、高密度化材料を、第3の軸に対して非ゼロの角度をなす第4の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成され得る。第1のバインダ材料ディスペンサ及びエネルギー源は、第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。
【0014】
第3のディスペンサシステムは、高密度化材料を、構築エリアに選択的に分注するように構成された第2の高密度化剤ディスペンサを含み得る。第1の高密度化剤ディスペンサと第2の高密度化剤ディスペンサは、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1の高密度化剤ディスペンサは、1又は複数の支持体の第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得、第2の高密度化剤ディスペンサは、第3の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1のバインダディスペンサ及びエネルギー源は、1又は複数の支持体の第4の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。
【0015】
高密度化材料は、粉末と同じ組成を有するが、より小さい平均直径を有し得る。高密度化材料は、内部に分散されたナノ粒子を有するゾルゲルを含み得る。ゾルゲルは、第1の粉末と同じ組成のセラミックの前駆体を含み得る。第3のディスペンサシステムは、高密度化材料を、構築エリア上に選択的に分注するように構成された第1の高密度化ディスペンサを含み得る。
【0016】
第1の高密度化剤ディスペンサは、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1のバインダ材料ディスペンサとエネルギー源は、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動する、又は1又は複数の支持体の第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1の支持体は、第1の軸に沿って移動可能であり得、第2の支持体は、第1の支持体とは無関係に第1の軸に平行に移動可能であり得る。第1の支持体は、第1の軸に沿って移動可能であり、第2の支持体は、第1の支持体とは無関係に第1の軸に垂直に移動可能である。第1の支持体は、第1の軸に沿って移動可能であり得、第2の支持体は、第1の支持体とは無関係に第2の軸に沿って移動可能であり得、第1のバインダ材料ディスペンサは、バインダ材料を、第2の軸に対して非ゼロの角度をなす軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成され得る。
【0017】
第1の高密度化剤ディスペンサは、1又は複数の支持体の第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得、第2の支持体は、第3の軸に沿って移動可能であり得る。第1の高密度化剤ディスペンサは、高密度化材料を、第3の軸に対して非ゼロの角度をなす第4の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成され得る。第3の軸は、第1の軸と実質的に平行であり得る。第1のバインダ材料ディスペンサ及びエネルギー源は、第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。
【0018】
第1のバインダディスペンサ及び第1の高密度化剤ディスペンサは、第1のバインダディスペンサが運動方向に沿って第1の高密度化剤ディスペンサの前に位置づけされるように構成され得る。第1のバインダディスペンサ及び第1の高密度化剤ディスペンサは、第1のバインダディスペンサが運動方向に沿って第1の高密度化剤ディスペンサの後に位置づけされるように構成され得る。
【0019】
第3のディスペンサシステムは、高密度化材料を、構築エリア上に選択的に分注するように構成された第2の高密度化剤ディスペンサを含み得る。第1の高密度化剤ディスペンサ及び第2の高密度化剤ディスペンサは、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1の高密度化剤ディスペンサは1又は複数の支持体の第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得、第2の高密度化剤ディスペンサは第3の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1のバインダディスペンサ及びエネルギー源は、1又は複数の支持体の第4の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。高密度化材料は、粉末と同じ材料組成を有するが、より小さい平均直径の粒子サイズを有し得る。
【0020】
第4のディスペンサシステムは、複数の連続する第2の粉末層を構築エリア上に分注するように構成され得、第4のディスペンサシステムは、第2の粉末を構築エリア上に選択的に分注するように構成される第2の粉末ディスペンサを含む。第2の粉末は、第1の粉末と組成が異なる場合がある。第1の粉末は金属粒子を含み得、第2の粉末はセラミック又はプラスチック粒子を含み得る。第1の粉末はセラミック粒子を含み得、第2の粉末はプラスチック粒子を含む。第2の粉末は、第1の粉末と同じ材料組成を有するが、第1の粉末とは異なるサイズ分布を有し得る。
【0021】
第2の粉末ディスペンサは、複数の個別に制御可能なオリフィスを含み得、第2の粉末ディスペンサの複数のオリフィスの各オリフィスは、第2の粉末を制御可能に送達するように構成される。第2の粉末ディスペンサは、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1の粉末ディスペンサ及びエネルギー源は、第1の支持体によって支持され得る、又は、1又は複数の支持体の第2の支持体によって支持されてそれと共に移動可能であり得る。第2の粉末ディスペンサは、1又は複数の支持体の第2の支持体によって支持されてそれと共に移動可能であり得る。
【0022】
第2の支持体は、第3の軸に沿って移動可能であり得、第2の粉末ディスペンサは、第2の粉末を、第3の軸に対して非ゼロの角度をなす第4の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成され得る。第1のバインダ材料ディスペンサ及びエネルギー源は、第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る、又は1又は複数の支持体の第3の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第3の軸は、第1の軸に対して実質的に平行であり得る。第4の軸は、第2の軸と実質的に平行であり得る。第4の軸は、第3の軸に垂直であり得る。第1の粉末ディスペンサ及び第2の粉末ディスペンサは、第1の粉末ディスペンサが運動方向に沿って第2の高密度化剤ディスペンサの前に位置づけされるように構成され得る。第3の軸は、第1の軸に実質的に垂直であり得る。第1の支持体及び第2の支持体は、同じガイドレール上で移動可能であり得、又は別個の平行なガイドレール上で移動可能であり得る。
【0023】
コントローラは、製造される物体の少なくとも1つの層に対応するデータオブジェクトを記憶するように構成されたメモリを有し得、コントローラは、第1のディスペンサシステムに、第1の粉末を、製造される物体に対応する領域に分注させ、第4のディスペンサシステムに、第2の粉末を、製造される物体に対応しない領域に分注させるように構成され得る。
【0024】
第1の粉末は金属粒子を含み得、第2の粉末はセラミック粒子を含み得る。第1の粉末は金属又はセラミック粒子を含み得、第2の粉末はプラスチック粒子を含み得る。コントローラは、第1のディスペンサシステムに、バインダ材料を、第1の粉末のみに分注させるように構成され得る。コントローラは、第1のディスペンサシステムに、バインダ材料を、第1の粉末及び第2の粉末の両方に分注させるように構成され得る。
【0025】
コントローラは、製造される物体の少なくとも1つの層に対応するデータオブジェクトを記憶するように構成されたメモリを有し、またコントローラは、第1のディスペンサシステムに、第1の粉末を、製造される物体に対応する第1の領域に分注させ、第4のディスペンサシステムに、第2の粉末を、第1の領域の一部に分注させるように構成される。第2の粉末は、第1の粉末のための高密度化材料を含み得る。
【0026】
第1のディスペンサシステムは、第1の粉末を分注するための第2の粉末ディスペンサを含み得る。第2のディスペンサシステムは、バインダ材料を分注するための第2のバインダ材料ディスペンサを含み得る。第1の粉末材料ディスペンサ、第2の粉末材料ディスペンサ、第1のバインダ材料ディスペンサ及び第2のバインダ材料ディスペンサは、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1のバインダ材料ディスペンサ、第2のバインダ材料ディスペンサ及びエネルギー源は、第2の支持体に取り付けられてそれと共に移動し、第2のバインダ材料ディスペンサは、第3の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1の支持体、第2の支持体、及び第3の支持体は、第1の軸に沿って個別に移動可能であり得る。第1の粉末ディスペンサ、第1のバインダ材料ディスペンサ、エネルギー源、第2のバインダ材料ディスペンサ及び第2の粉末ディスペンサは、第3の軸に沿って上記の順序で配置され得る。
【0027】
コントローラは、製造される物体の連続する層でバインダ材料を固化させるパターンを識別するデータオブジェクトを記憶するように構成されたメモリを有し得、コントローラは、第1の粉末ディスペンサが第1の軸に沿って第1の方向に移動するときに、第1の粉末ディスペンサに第1の粉末層を分注させ、第1のバインダ材料ディスペンサが第1の軸に沿って第1の方向に移動するときに、第1のバインダディスペンサに第1のバインダ材料層を第1の粉末層上に分注させて、粉末とバインダ材料の第1の結合層を提供させ、パターンに従って第1の結合層のバインダ材料を固化させるために、エネルギー源を制御し、第2の粉末ディスペンサが第1の軸に沿って第1の方向と反対の第2の方向に移動するときに、第2のディスペンサシステムに第2の粉末層を分注させ、第2のバインダディスペンサが第2の方向に移動するときに、第2のバインダディスペンサに第2のバインダ材料層を第2の粉末層上に分注させて、粉末とバインダ材料の第2の結合層を提供させ、パターンに従って第2の結合層のバインダ材料を固化させるために、エネルギー源を制御するように構成され得る。
【0028】
光源は、最上層に沿ってストライプを照射するように構成され得る。エネルギー源は、複数の支持体のうちの1つの支持体に連結され得、支持体は、構築エリアを横切ってストライプを掃引するために、ストライプに対して非ゼロの角度、例えば直角をなす軸に沿って移動可能であり得る。エネルギー源は、複数の個別に制御可能な光源を含み得る。光源は、発光ダイオード(LED)であり得る。光源は、UV又はIR光源であり得る。
【0029】
第1のディスペンサシステムは、プラットフォームによって支持された構築エリア上に複数の連続する粉末層を分注するように構成され得、第1のディスペンサシステムは、1又は複数の支持体の第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し、第1の粉末を構築エリア上に選択的に分注するように構成された第1の粉末ディスペンサと、第2の粉末を構築エリア上に選択的に分注するように構成された第2の粉末ディスペンサとを含み得る。
【0030】
第1の粉末ディスペンサは、第1の複数の個別に制御可能なオリフィスを含み得る。第1の粉末ディスペンサの第1の複数のオリフィスの各オリフィスは、第1の粉末を制御可能に送達するように構成され得る。第2の粉末ディスペンサは、第2の複数の個別に制御可能なオリフィスを含み得る。第2の粉末ディスペンサの第2の複数のオリフィスの各オリフィスは、第2の粉末を制御可能に送達するように構成され得る。
【0031】
第2の粉末ディスペンサは、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1のバインダディスペンサ及びエネルギー源は、第1の支持体によって支持され得る。第2の粉末ディスペンサは、1又は複数の支持体の第2の支持体によって支持されてそれと共に移動可能であり得る。第2の支持体は、第3の軸に沿って移動可能であり得、第2の粉末ディスペンサは、第2の粉末を、第3の軸に対して非ゼロの角度をなす第4の軸に沿って帯状に選択的に分注するように構成され得る。第1のバインダ材料ディスペンサ及びエネルギー源は、1又は複数の支持体の第3の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第3の軸は、第1の軸に実質的に平行であり得る。第3の軸は、第1の軸に実質的に垂直であり得る。
【0032】
コントローラは、製造される物体の少なくとも1つの層に対応するデータオブジェクトを記憶するように構成されたメモリを有し得る。
【0033】
コントローラは、第1のディスペンサシステムに、第1の粉末を、製造される物体に対応する領域に分注させ、第4のディスペンサシステムに、第2の粉末を、製造される物体に対応しない領域に分注させるように構成され得る。第1の粉末は金属粒子であり得、第2の粉末はセラミック粒子であり得る、又は第1の粉末は金属又はセラミック粒子であり得、第2の粉末はプラスチック粒子であり得る。コントローラは、第1のディスペンサシステムに、バインダ材料を、第1の粉末のみに分注させるように構成され得る。コントローラは、第1のディスペンサシステムに、バインダ材料を、第1の粉末と第2の粉末の両方に分注させるように構成され得る。
【0034】
コントローラは、第1のディスペンサシステムに第1の粉末を製造される物体に対応する第1の領域に分注させ、第4のディスペンサシステムに第2の粉末を第1の領域の一部に分注させるように構成され得る。第2の粉末は、第1の粉末のための高密度化材料であり得る。
【0035】
第2のディスペンサシステムは、バインダ材料を分注するための第2のバインダ材料ディスペンサを含み得る。第1の粉末材料ディスペンサ、第2の粉末材料ディスペンサ、第1のバインダ材料ディスペンサ及び第2のバインダ材料ディスペンサは、第1の支持体に取り付けられてそれと共に移動し得る。第1の粉末ディスペンサ、第1のバインダ材料ディスペンサ、エネルギー源、第2のバインダ材料ディスペンサ及び第2の粉末ディスペンサは、支持体を横切る第1の粉末ディスペンサの運動方向に沿って前述の順序で配置され得る。第2の粉末は、第1の粉末と同じ材料組成とサイズ分布を有し得る。
【0036】
コントローラは、製造される物体の連続する層でバインダ材料を固化させるパターンを識別するデータオブジェクトを記憶するように構成されたメモリを有し得る。コントローラは、第1の粉末ディスペンサが第1の軸に沿って第1の方向に移動するときに、第1の粉末ディスペンサに第1の粉末層を分注させ、第1のバインダ材料ディスペンサが第1の軸に沿って第1の方向に移動するときに、第1のバインダディスペンサに第1のバインダ材料層を第1の粉末層上に分注させて、粉末とバインダ材料の第1の結合層を提供させ、パターンに従って第1の結合層のバインダ材料を固化させるためにエネルギー源を制御し、第2の粉末ディスペンサが第1の軸に沿って第1の方向と反対の第2の方向に移動するときに、第2のディスペンサシステムに第2の粉末層を分注させ、第2のバインダディスペンサが第2の方向に移動するときに、第2のバインダディスペンサに第2のバインダ材料層を第2の粉末層上に分注させて、粉末とバインダ材料の第2の結合層を提供させ、パターンに従って第2の結合層のバインダ材料を固化させるために、エネルギー源を制御するように構成され得る。
【0037】
エネルギー源は、最上層に沿ってストライプを照射するように構成された光源を含み得る。エネルギー源は、複数の支持体のうちの1つの支持体に連結され得、支持体は、ストライプに対して非ゼロの角度をなす軸に沿って移動可能であり、構築エリアを横切ってストライプを掃引し得る。エネルギー源は、複数の個別に制御可能な光源を含み得る。
【0038】
プラットフォーム上に製造された未加工部品は、オーブンで焼結され得る。未加工部品は、ロボットによりプラットフォームからオーブンに移され得る。エッチングシステムにより、バインダ材料がエッチングで除去され得る。密閉されたハウジングは、プラットフォーム、1又は複数の支持体、第1のディスペンサシステム、第2のディスペンサシステム及びエネルギー源を取り囲むチャンバを形成し得る。ポンプにより、チャンバが排気され得る。ガス供給により、第1の粉末及び第1のバインダ材料に対して不活性なガスが提供され得る。
【0039】
別の態様では、未加工部品を製造する方法は、各層について、プラットフォームの構築エリア上に粉末層を選択的に分注することにより、未加工部品の複数の層を連続的に形成することを含み、選択的分注は全構築エリアよりも少ない範囲をカバーし、バインダ層を粉末層上に選択的に分注して粉末とバインダ材料の結合層を形成し、放射線をプラットフォームに方向づけしてバインダ材料を固化させ、未加工部品の複数の層のうちの1つの層を形成し、粉末は固化したバインダ材料によって保持される。
【0040】
実装態様は、以下の特徴の一又は複数を含み得る。未加工部品は、粉末を溶解して固体の塊にするように処理され得る。未加工部品は処理のために、プラットフォームから取り外すことができる。処理には、アニーリング、焼結、及び/又は熱間静水圧プレスの1又は複数が含まれる。
【0041】
粉末層を選択的に分注することは、粉末ディスペンサが第1の軸に沿って移動する間に、粉末ディスペンサの複数の個別に制御可能なノズルから粉末を分注することを含み得る。ノズルは、第1の軸に対して非ゼロの角度、例えば直角をなす第2の軸に沿って配置される。
【0042】
バインダ材料を選択的に分注することは、バインダ材料ディスペンサが第3の軸に沿って移動する間に、バインダ材料ディスペンサの複数の個別に制御可能なノズルからバインダ材料を分注することを含み得る。ノズルは、第3の軸に対して非ゼロの角度をなす第4の軸に沿って配置され得る。第3の軸は、第1の軸に平行又は垂直であり得る。第4の軸は、第3の軸に垂直であり得る。
【0043】
放射線は、第4の軸に平行なストライプに沿ってエネルギーを送達することにより、プラットフォームに方向づけされ得る。層の処理中、第3の軸と放射線のストライプとの間に一定の距離が維持され得る。一定の距離を維持することは、バインダ材料ディスペンサと光源を同じ支持体に固定することを含み得る。放射線をプラットフォームに方向づけすることは、ストライプに沿ってエネルギーを選択的に送達することを含み得る。
【0044】
粉末層を選択的に分注することは、部品によってカバーされる断面積の周囲を決定することと、断面積の周囲を囲む緩衝ゾーンを決定することと、断面積及び緩衝ゾーンと重なる領域に粉末を分注することを含み得る。粉末層を選択的に分注することは、緩衝ゾーンを囲む保持壁領域を決定することと、断面積、緩衝ゾーン及び保持リングエリアと重なる領域に粉末を分注することを含み得る。バインダ材料は、緩衝ゾーンには分注されなくてよい。粉末は、保持リングエリアと重なる領域の外側には分注されなくてよい。粉末層は第1のディスペンサから分注され得、バインダ材料は第2のディスペンサから分注され得、放射線はエネルギー源から生成され得、第1のディスペンサ、第2のディスペンサ及びエネルギー源は、各層が処理された後で、層の厚さとほぼ等しい高さだけ持ち上げられ得る。
【0045】
本明細書で説明する主題の特定の実施形態は、以下の利点のうちの1又は複数を実現するように実装することができる。付加製造における選択的な材料の分注により、原料の浪費及び汚染が低減され得、製造効率が改善され得る。高密度化材料の存在は、製品の剛性を高め、後処理中の製品の収縮を低減し得る。
【0046】
本明細書で説明する主題の1又は複数の実装態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の潜在的な特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1A】付加製造装置の一実装態様を示す概略上面図である。
図1B】付加製造装置の一実装態様を示す概略上面図である。
図1C】付加製造装置、例えば図1Aの付加製造装置を示す概略側面図である。
図1D】プリントヘッドアセンブリの実装態様を示す概略側面図である。
図2A】付加製造装置の実装態様を示す概略上面図である。
図2B】付加製造装置の実装態様を示す概略上面図である。
図2C】付加製造装置の実装態様を示す概略上面図である。
図3A】付加製造装置の実装態様を示す概略上面図である。
図3B】付加製造装置の実装態様を示す概略上面図である。
図3C】付加製造装置の実装態様を示す概略上面図である。
図3D】付加製造装置の実装態様を示す概略上面図である。
図3E】付加製造装置の実装態様を示す概略上面図である。
図4A】稼働中の付加製造装置の例を示す図である。
図4B】稼働中の付加製造装置の例を示す図である。
図5A】粉末を選択的に分注している粉末ディスペンサの例を示す図である。
図5B】粉末を選択的に分注している粉末ディスペンサの例を示す図である。
図6】1又は複数の未加工部品を形成するのに使用されるプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
未加工部品を形成するための現在の乾燥粉末付加製造装置では、粉末ディスペンサシステムは、工程中に構築エリア全体を横切って粉末を散布する。例えば、上記装置は、ローラ又はブレードリコータを使用し、構築エリアを横切って供給材料のプールを押すことができる。その結果、粉末は、製造される部品に対応しない構築エリアの領域に分注される。
【0049】
しかし、粉末を過剰に使用すると、製品の品質と製造効率の両方に幾つかの欠点が生じる。特に、粉末のかなりの部分が無駄になり、部品コストが増加する。粉末の再利用は、非現実的であり得る、高価であり得る、あるいは部品の品質低下につながり得る。例えば、再生粉末を使用して再コーティングすると、粉末汚染の可能性が大幅に増加する。粉末汚染の例には、バインダ材料汚染、焼結汚染、酸素汚染等が含まれるが、これらに限定されない。汚染された粉末粒子は、最終部品の品質に直接影響を及ぼす。更に、実際の印刷が行われないエリアに粉末を散布する必要があるため、システム全体の印刷速度及び/又はスループットが低下する。
【0050】
これらの問題のいくつかに対処するための技術は、粉末を構築エリアの上に選択的に送達し得るバインダジェッティング付加製造装置を使用することである。上記装置は、粉末の使用を減らし、印刷の効率を高め、粉末汚染の可能性を減らすことができる。
【0051】
粉末ディスペンサシステムは、個別に制御可能なノズルのアレイを使用し得る。粉末ディスペンサがプラットフォームを横切って移動するときに、粉末ディスペンサノズルを個別に作動させて、プラットフォーム上の選択された位置にのみ粉末を分注することができる。
【0052】
更に、バインダジェッティングプロセスでは、未加工部品の圧縮が低下し、後処理中に過度の収縮が発生することがしばしばある。粉末粒子間にバインダ材料粒子が存在すると、後処理中に潜在的な欠陥の原因となる空間が更にできる。しかしながら、付加製造装置は、層に分注された粒子間のボイドを低減させるために、バインダ配合物に高密度化材料を含み得る。高密度化材料は、最終製品の強度を向上させるための後処理中に、核生成部位としても機能し得る。
【0053】
付加製造装置は、印刷効率を向上させるために異なる構成で作製可能である。
【0054】
付加製造装置は少なくとも、部品が製造される構築エリアを提供するプラットフォーム、粉末材料ディスペンサ、バインダ材料ディスペンサ、及びバインダ材料を硬化させるためのエネルギーを送達するエネルギー源を含む。粉末材料ディスペンサ、バインダ材料ディスペンサ、及びエネルギー源は、プラットフォームの上の1又は複数の支持体によって保持され得る。
【0055】
図1Aに、付加製造装置100の上面図の例を示す。付加製造装置100は、部品が製造される構築エリアを提供するプラットフォーム102、プラットフォーム102の上に位置づけされた支持体104、及び支持体104上に装着されたプリントヘッドアセンブリ103を含む。
【0056】
様々な構成要素、例えば、プラットフォーム102、支持体104及びプリントヘッドアセンブリ103は、制御された動作環境を提供する密閉されたハウジング180に封入され得る。ハウジング180は、例えばAr又はN等のガス源に連結された入口182と、排気システム、例えばポンプに連結された出口184とを含み得る。これにより、ハウジング180の内部の圧力及び酸素含有量が制御され得る。例えば、Ti粉末粒子を処理する場合、酸素ガスは50ppm未満に維持され得る。
【0057】
付加製造装置は、他の特徴、例えば、プリントヘッドアセンブリ103の様々な構成要素をパージ及び/又は洗浄するためのサービスステーション190、又はディスペンサをプリントヘッドアセンブリ103に再装填するための粉末充填ステーション192を含み得る。これらのステーションは、ハウジング180の内側に位置づけされ得る。
【0058】
プリントヘッドアセンブリ103は、1又は複数のプリントヘッドを含み、各プリントヘッドは、支持体104に個別に取り外し可能に固定されるように構成される。各プリントヘッドは、粉末材料、バインダ材料、及び/又は高密度化材料を分注するための1又は複数の機構を含み得る。プリントヘッドの1つ、例えば、バインダ材料用のディスペンサを含むプリントヘッドは、バインダ材料を硬化させるためのエネルギーを送達するための機構も含み得る。あるいは、又は更に、エネルギーを送達するための機構は、支持体104に直接装着され得る。
【0059】
例えば、図1Dは、プリントヘッド103aの概略的な例を示す。プリントヘッド103aは、計測システム用のセンサ109、1又は複数の粉末ディスペンサ106(例えば、2つの粉末ディスペンサ106a及び106b)、1又は複数のバインダ材料ディスペンサ110(例えば、2つのバインダ材料ディスペンサ110a及び110b)、及び1又は複数のエネルギー送達システム112(例えば、2つのエネルギー送達システム112a及び112b)を含む。構成要素は共通のフレーム103bに装着され、フレーム103bは支持体104に取り外し可能に装着され得る。これにより、様々な構成要素を備えたプリントヘッド103aを、支持体104からユニットとして着脱することが可能になる。図1Dは、フレーム103bの下に吊り下げられている構成要素を示しているが、これは必須ではない。フレーム103bは、単に、構成要素が適合する開孔を有するプレートであり得る。
【0060】
図1Aを再び参照すると、支持体104がプラットフォーム102に対して移動可能であることで、プリントヘッドアセンブリ103が構築エリアの上を移動可能である。付加製造装置100は、1又は複数のアクチュエータ127aを含む。アクチュエータ127aは、支持体104とプリントヘッドアセンブリ103とがプラットフォーム102を横切って走査できるように、例えばX軸に沿って支持体104とプラットフォーム102との間に相対運動を生成するように操作可能である。例えば、1又は複数のレール125がプラットフォーム102に隣接して配置されてX軸に沿って延びていてよく、支持体104は、アクチュエータ127aによってレール125a上に支持され、レール125aに沿って移動可能であり得る。2つのレールが使用される場合、レール125aは、プラットフォーム102の反対側にあってもよい。例えば、図1Aに示すように、支持体104は、例えば2つのレール125a、125bによって2つの対向する側に支持されるガントリであり得る。あるいは、支持体104は、単一のレール上の片持ち式配置で保持され得る。
【0061】
幾つかの実装態様では、支持体104及びプラットフォーム102は、Y軸に沿って互いに対して動かないように構成され得る。あるいは、例えば図1Bに示すように、1又は複数のアクチュエータ127bを使用して、Y軸に沿って支持体104とプラットフォーム102との間に相対運動を生じさせることができる。
【0062】
図1Aに示すように、プリントヘッドアセンブリ103は、粉末ディスペンサ106、高密度化材料ディスペンサ108、バインダ材料ディスペンサ110、及びエネルギー送達システム112を支持する。これらのプリントヘッドはそれぞれ、支持体104上の固定位置に互いに対して配置される。プリントヘッドは、プリントヘッドアセンブリ103が単一動作で1つの材料層の印刷を終了できるように、プリントヘッドアセンブリ103に位置づけされ得る。例えば粉末ディスペンサ106は、運動方向、例えば、x軸に沿って、高密度化ディスペンサ108及びバインダ材料ディスペンサ110の前に配置され得、エネルギー送達システム112は、高密度化材料ディスペンサ108の後に配置され得る。その結果、プリントヘッドアセンブリ103は、構築エリアを横切る一方向の単一掃引で1つの層の印刷を完了し得る。
【0063】
高密度化材料ディスペンサ108はオプションであるため、幾つかの実装態様では、プリントヘッドアセンブリは、粉末ディスペンサ106、バインダ材料ディスペンサ110、及びエネルギー送達システム112のみを含む。
【0064】
幾つかの実装態様では、ディスペンサ106、110及びエネルギー送達システム112は、支持体104に直接装着され得る。
【0065】
幾つかの実装態様では、それぞれのプリントヘッドが各々プラットフォーム102に対して位置決めされ、材料がそれぞれのラインに沿って、支持体104の運動方向に対してそれぞれの非ゼロの角度で、例えば直角で送達され得る。材料は、平行ラインに沿って2つ以上のプリントヘッドから送達され得る。例えば、支持体104及びプリントヘッドアセンブリ103がX軸に沿って移動している場合、各プリントヘッドは、Y軸に沿ったラインに沿って材料を送達し得る。
【0066】
プリントヘッドは、プラットフォーム102の構築エリア全体にわたるラインに沿って材料を送達するように構成され得る。例えば、幾つかの実装態様(例えば、図1Aに示す)では、各プリントヘッドは、構築エリア全体にわたる。あるいは、プリントヘッドアセンブリは、2つ以上の列に配置された複数のプリントヘッドを含み、各プリントヘッドがY軸に沿ってプラットフォーム102全体を横切って広がるように千鳥状のアレイを形成し得る。
【0067】
エネルギー送達システム112は、放射線を生成し、粉末とバインダ材料の結合層に放射線を方向づけするエネルギー源、例えば、光源を含む。バインダ材料が液体である場合、エネルギー源はバインダ材料を硬化させてバインダ材料を固化させ得る。これにより、バインダ材料の硬化したマトリックスに粉末が浮遊している本体が形成され得る。エネルギー送達システムからの放射線は、紫外光、赤外光、及び/又は可視光を含み得る。
【0068】
幾つかの実装態様では、エネルギー源は、構築エリアの幅を横切って延在する帯を照射し、照射された帯を構築エリアの長さを横切って移動させて、構築エリア全体を横切って放射ビームを掃引するように構成される。帯は、帯の運動方向に対して非ゼロの角度、例えば垂直に延在し得る。幾つかの実装態様では、エネルギー源は、支持体に固定されてそれと共に移動し、支持体とプラットフォームとの間の相対運動により、光の帯が構築エリアを横切って掃引する。あるいは、光ビームを回転可能なミラーから偏向させ得、ミラーの回転により光の帯が移動し得る。
【0069】
幾つかの実装態様では、エネルギー送達システムは、個別に作動させることができる複数の光源を含む。各光源は、帯の主軸に沿って選択可能な照明を提供するように、アレイ、例えば線形アレイに配置され得る。エネルギー源は、例えば、LEDに送達される電流に依存する強度を有する放射線を放出するように構成された発光ダイオード(LED)を含み得る。エネルギー源はまた、例えば、レーザのアレイ、例えば、レーザダイオード、広域スペクトル照射を提供するランプ、例えば水銀ランプのアレイ、又は固体赤外線エミッタアレイを含み得る。
【0070】
幾つかの実装態様では、エネルギー源は、各放射ビームが層の異なるボクセルに方向づけされるように配置される。幾つかの実装態様では、エネルギー源は、各放射ビームが層の異なる領域に方向づけされ、その領域がバインダ材料ディスペンサによって提供されるボクセルよりも大きくなるように配置される。
【0071】
幾つかの実装態様では、アクチュエータ127aは、支持体104がプラットフォーム102に対して前方方向に前進するように、プラットフォーム102と支持体104との間に相対運動を引き起こす。粉末ディスペンサ106、高密度化材料ディスペンサ108、及びバインダ材料ディスペンサ110がエネルギー送達システム112の前の支持体104上に位置づけされ得、これにより、支持体104がプラットフォーム102に対して前進するときに、支持体としてのエネルギー送達システム110によって、最近分注された粉末116が続いて硬化され得る。
【0072】
幾つかの実装態様では、プラットフォーム102は、X軸に沿ってプラットフォームを移動させるように操作可能なコンベヤ上に位置づけされる。アクチュエータ127aは、X軸に沿ったコンベヤの直線運動を生成し得、それにより、プラットフォーム102及び支持体104の相対運動が引き起こされる。
【0073】
幾つかの実装態様では、装置100は、線形アレイ又は二次元アレイに配置された複数のプラットフォーム102を含む。
【0074】
幾つかの実装態様では、装置100は複数の粉末ディスペンサを含み得、各ディスペンサは異なる種類の粉末、例えば異なる材料組成の異なる粉末を分注するように構成される。例えば、図1Dでは、第1の粉末ディスペンサ106aは金属粒子を含む粉末を分注し得、第2の粉末ディスペンサ106bは、プラスチック粒子を含む粉末を分注し得る。
【0075】
幾つかの実装態様では、装置は、同じ組成であるが異なるサイズの粉末を分注するように構成された複数の粉末ディスペンサを含む。例えば、図1Dでは、粉末ディスペンサ106aは、第1の平均直径より大きい金属粒子を含む粉末を分注し得、粉末ディスペンサ106bは、第1の直径より小さい金属粒子を含む粉末を分注し得る。
【0076】
幾つかの実装態様では、アセンブリは、異なる種類のバインダ材料を分注するように構成された複数のバインダ材料ディスペンサを含む。例えば、図1Dでは、バインダ材料ディスペンサ110aは、粉末ディスペンサ106aからの粉末上で操作可能な第1のバインダ材料を分注するように構成され得、バインダ材料ディスペンサ110bは、粉末ディスペンサ106bからの粉末上で操作可能な第2のバインダ材料を分注するように構成され得る。
【0077】
バインダ材料は、粘度、硬化波長、硬化速度、及び/又は湿潤挙動が異なり得る。バインダ材料は、それぞれのバインダ材料ディスペンサから分注され得る。幾つかの実装態様では、第1のバインダ材料は、第1のバインダ材料が粉末層を通して迅速に内部ろ過され得るのに十分に低い粘度を有する。対照的に、第2のバインダ材料は、第1のバインダ材料より高い粘度、例えば、第2のバインダ材料が粒子間のギャップを埋めて層のレベリングを改善するのに十分に高い粘度を有し得る。これにより、良好な層間接着が促進され得る。
【0078】
幾つかの実装態様では、第1のバインダ材料は優先的に粉末を濡らし、第2のバインダ材料は優先的に第1のバインダ材料を濡らす。
【0079】
幾つかの実装態様では、第1のバインダ材料は、通常の放射線条件下で第2のバインダ材料よりも速く硬化する。これにより、第1のバインダ材料が粉末を適所に迅速に固定し、第2のバインダ材料が粉末をより確実に保持し得る。幾つかの実装態様では、第2のバインダ材料は、続いて堆積される層へのエネルギーの印加中に硬化され得る。
【0080】
図1Bに、付加製造装置100の別の例を示す。図1Bに示す実装態様は、図1Aに示す実装態様と同様であるが、図1Bでは、支持体104に装着されたプリントヘッド106~110及びエネルギー送達システム112は、プラットフォーム102の全幅に沿って延在しない。例えば、図1Bでは、粉末ディスペンサ106の幅は、プラットフォーム102の幅よりも短い。結果として、プリントヘッドアセンブリ103は、支持体104の主要な運動方向に対して非ゼロの角度、例えば直角をなす軸、例えばY軸に沿ってプラットフォーム102に対して移動可能であるように構成される。これにより、ディスペンサがプラットフォーム102の構築エリア全体をカバーすることが可能になる。プリントヘッドアセンブリ103は、支持体104に移動可能に装着され得るため、各構成要素を再位置づけして材料を分注し得る、又はプラットフォーム102の全幅を横切ってエネルギーを送達し得る。幾つかの実装態様では、1又は複数のアクチュエータ127bが支持体104上に位置づけされ、レール125b上のプリントヘッドアセンブリ103の構成要素を、支持体104及びプラットフォーム102に対してY軸に沿って移動させるように操作可能である。
【0081】
幾つかの実装態様では、粉末ディスペンサ106は、アクチュエータ127bを使用してレール125yに沿って、例えばY軸に沿って延在し得、これにより、粉末粒子116がラインに沿って、例えば支持体104の運動方向に垂直、例えばX軸に垂直なY軸に沿って分注される。したがって、支持体104が運動方向に沿って前進するときに、粉末粒子116は、プラットフォーム102全体を横切って送達され得る。
【0082】
図1Cに、付加製造装置100の側面図の例を示す。付加製造装置100は、例えば、プラットフォーム102の高さ又は粉末層116の上面の高さを検出するために、感知システム109を含み得る。例えば、感知システム109は、例えば、プリントヘッドアセンブリ103の底面に対する最上粉末層116の高さを測定する1又は複数の光センサを含み得る。
【0083】
装置100はまた、アクチュエータ127cを選択的に作動させて、プリントヘッドアセンブリ103とプラットフォーム102との間に(すなわち、Z軸に沿った)相対的な垂直運動を生じさせるように構成されたコントローラ111も含み得る。例えば、相対的な垂直運動は、プラットフォーム102又は支持体104をレール125cに沿ってZ軸に沿って移動させることによって達成され得る。特に、重金属部品の場合、プラットフォーム102が静止している間に、支持体104が移動し得る。
【0084】
コントローラ111は、コントローラ111が感知システム109からのデータを使用して適切な高さ調整を決定するように、感知システム109に結合され得る。例えば、各粉末層116が分注された後、感知システム109は、粉末層116の上面とプリントヘッドアセンブリ103の底面との間の新たな距離を決定する。コントローラ111は、このデータを受け取り、アクチュエータ127cを使用して、粉末層116の高さに等しい適切な高さだけ支持体104を持ち上げる。その結果、装置100は、粉末層116の上面とプリントヘッドアセンブリ103との間の層から層への一定の高さオフセットを維持し得る。
【0085】
幾つかの実装態様では、プリントヘッドアセンブリ103とプラットフォーム102との間の相対運動は、増分的又は連続的であり得る。例えば、プリントヘッドアセンブリ103は、連続する分注工程の間、連続する硬化工程の間、又はその両方で、プラットフォーム102に対して移動し得る。あるいは、プリントヘッドアセンブリ103は、粉末116が分注され硬化されている間は連続的に移動し得る。
【0086】
幾つかの実装態様では、付加製造装置100は、複数の支持体を含み得、各支持体は、1又は複数のプリントヘッド又はエネルギー送達システムを装着し得る。複数の支持体が使用される幾つかの実装態様では、各支持体は個別に平行に移動可能であり得る。
【0087】
図2Aに、付加製造装置100の別の実装態様の上面図の例を示す。図2Aでは、装置100は、4つの支持体104a~104dを含む。粉末ディスペンサ106は、支持体104aに装着される。高密度化材料ディスペンサ108は、支持体104bに装着される。バインダ材料ディスペンサ110は、支持体104cに装着される。エネルギー送達システム112は、支持体104dに装着される。
【0088】
幾つかの実装態様では、各支持体は、例えばY軸に沿って平行に個別に移動可能である。例えば、支持体は、それぞれのアクチュエータによって、同じレール、例えばレール127aに連結されてそれに沿って移動可能であり得る。あるいは、各支持体は異なるレールに連結されて、個別に、また互いに平行に移動し得る。
【0089】
幾つかの実装態様では、すべてではなく一部の構成要素が同じ支持体に装着され得る。例えば、図2Bでは、粉末ディスペンサ106及び高密度化材料ディスペンサ108は、互いに対して及び支持体104aに対して固定された位置で、同じ支持体104a上に装着される。エネルギー送達システム112及びバインダ材料ディスペンサ110は、互いに対して、及び支持体104bに対して固定された位置で、別個の支持体104bに装着される。
【0090】
別のオプションとして、高密度化材料ディスペンサ108、バインダディスペンサ110及びエネルギー源112は、同じ支持体に装着され得、粉末ディスペンサ106は、別個の支持体に装着され得る。
【0091】
幾つかの実装態様では、支持体104a~104dは同じレール125aに連結され得る。あるいは、支持体は異なるレールに連結され得、個別に、また互いに平行に移動し得る。
【0092】
幾つかの実装態様では、1又は複数のプリントヘッドは、互いに垂直に移動する異なる支持体に装着され得る。例えば、図2Cでは、支持体104bはレール125aに沿ってX軸に移動し、支持体104aはレール125bに沿ってY軸に移動する。この場合、支持体104b上の各プリントヘッドは、支持体104a上の各プリントヘッドによって材料が送達されるラインに対して直角をなすラインに沿って材料を送達し得る。
【0093】
幾つかの実装態様では、付加製造装置は、同じ種類の複数のプリントヘッド(例えば、粉末送達、高密度化材料送達、又はバインダ材料送達)を含み得る。これにより、装置を双方向モードで作動させることが可能になり得る。
【0094】
図3Aに、互いに固定された位置で単一の支持体104に装着された6つのプリントヘッドを有する付加製造装置100の上面図の例を示す。エネルギー送達システム112は、2つのバインダ材料ディスペンサ110aと110bとの間に位置づけされ、2つのバインダ材料ディスペンサは2つの高密度化材料ディスペンサ108aと108bとの間に位置づけされ、2つの高密度化ディスペンサは2つの粉末ディスペンサ106aと106bとの間に位置づけされる。あるいは、高密度化ディスペンサ108a、108bとバインダ材料ディスペンサ110a、110bの位置を交換してもよい。アクチュエータ127aは、X軸に沿って支持体104とプラットフォーム102との間に相対運動を生じさせ得る。例えば、支持体104は、レール125xに移動可能に連結され得る。
【0095】
図3Aに示すように、支持体104が第1の走査運動で正のX方向にプラットフォーム102を横切って移動すると、粉末ディスペンサ106a、高密度化材料108a、及びバインダ材料ディスペンサ110aが、それぞれの材料をプラットフォーム102に順次に堆積させて、第1の材料マトリクス層を形成し得る。粉末ディスペンサ106a、高密度化材料ディスペンサ108a、及びバインダ材料ディスペンサ110aはすべてエネルギー送達システム112の前に位置づけされるため、エネルギー送達システム112は続いて、この第1の材料層を硬化させて未加工部品の第1の層を形成し得る。この走査運動の後、支持体104は、図3Bに示すように、プラットフォーム102に対する新たな位置で停止する。
【0096】
図3Bに示すように、次に、支持体104が反対方向、すなわち負のX方向に移動して、図3Aに示す初期位置に戻る。粉末ディスペンサ106b、高密度化材料ディスペンサ108b、及びバインダ材料ディスペンサ110bは、それぞれの材料をプラットフォーム102上に順次堆積させて、第2の材料層を形成し得る。次に、エネルギー送達システム112は、この第2の材料層を硬化させて、未加工部品の第2の層を形成し得る。その結果、支持体104がプラットフォームに対してその初期位置に戻ったときに、2つの材料層が堆積され硬化されている。
【0097】
幾つかの実装態様では、プリントヘッドは、高密度化材料ディスペンサ108a及びバインダ材料ディスペンサ110aがエネルギー送達システム112の前及び粉末ディスペンサ106aの後に位置づけされるように、支持体104に装着され得る。高密度化材料ディスペンサ108b及びバインダ材料ディスペンサ110bは、粉末ディスペンサ106bの前及びエネルギー送達システム112の後に位置づけされる。高密度化材料ディスペンサ及びバインダ材料ディスペンサの位置は交換可能である。
【0098】
幾つかの実装態様では、装置100は、図3Cに示すように、それぞれが1又は複数のプリントヘッドを保持する複数の支持体を含み得る。複数のプリントヘッドを保持する各支持体上で、プリントヘッドは、図3Bに開示された配置に従って位置づけされ得る。
【0099】
幾つかの実装態様では、装置100は、複数の対の粉末ディスペンサを含み得、2つの対は異なる種類の粉末を分注するように構成される。例えば、図3Dに示すように、装置100は、第1の対の粉末ディスペンサ106a及び106dと、第2の対の粉末ディスペンサ106b及び106cとを含み得る。第2の対の粉末ディスペンサ106b、106cは、第1の対の粉末ディスペンサ106a、106dの間に位置づけされる。これによっても、装置が双方向モードで作動することが可能になり得る。
【0100】
例えば、図3Dでは、粉末ディスペンサ106a及び106dは、第1の材料組成の第1の粉末、例えば金属粒子を含む粉末を分注し得、粉末ディスペンサ106b及び106cは、異なる第2の材料組成の粉末、例えばプラスチック粒子を含む粉末を分注し得る。
【0101】
幾つかの実装態様では、複数の粉末ディスペンサは、同じ材料組成であるが異なるサイズの粉末を分注するように構成される。例えば、図3Dでは、粉末ディスペンサ106a及び106dは、第1の材料組成及び第1のサイズ、例えば100ナノメートルより大きい範囲内の第1の粉末を分注し、粉末ディスペンサ106b及び106cは、同じ材料組成であるが、異なる第2のサイズ、例えば100ナノメートル未満の範囲内の第2の粉末を分注し得る。サイズ範囲は重複しなくてよい。
【0102】
幾つかの実装態様では、装置100は、複数の対のバインダ材料ディスペンサを含み得、2つの対は、異なる種類のバインダ材料を分注するように構成される。例えば、図3Eに示すように、装置100は、第1の対のバインダ材料ディスペンサ110a及び110dと、第2の対のバインダ材料ディスペンサ110b及び110cとを含み得る。第2の対のバインダ材料ディスペンサ110b、110cは、第1の対のバインダ材料ディスペンサ110a、110dの間に位置づけされる。これによっても、装置が双方向モードで作動することが可能になり得る。
【0103】
幾つかの実装態様では、複数のバインダ材料ディスペンサの異なる対は、異なる種類のバインダ材料を分注するように構成される。ディスペンサ110a及び110dから分注されたバインダ材料は、上記の様々な理由により、ディスペンサ110b及び110cから分注されたバインダ材料とは、粘度、硬化波長、硬化速度、及び/又は湿潤挙動が異なり得る。例えば、図3Eでは、バインダ材料ディスペンサ110a及び110dは、粉末ディスペンサ106a及び106dからの粉末上で操作可能なバインダ材料をそれぞれ分注するように構成され、バインダ材料ディスペンサ110b及び110cは、それぞれ粉末ディスペンサ106b及び106cからの粉末上で操作可能なバインダ材料を分注するように構成される。
【0104】
図3D及び図3Eに、前述のように、様々なディスペンサをすべて同じ支持体104上に示したが、一部のディスペンサは別個に移動可能な支持体上にあってよい。例えば、2つの粉末ディスペンサ106a、106bが第1の支持体上にあってよく、バインダ材料ディスペンサ110a~110d及びエネルギー送達システム112が第2の支持体上にあってよく、2つの粉末ディスペンサ106c、106dが第3の支持体上にあってよい。あるいは、各粉末ディスペンサ106a~106dは、それ自体の別個に移動可能な支持体上にあってもよい。高密度化材料ディスペンサ108a、108bは、それら自体の支持体上、又は隣接するディスペンサの1つの支持体上にあってもよい。
【0105】
図4に、三次元部品、例えば未加工部品を製造する付加製造装置100の例を示す。
【0106】
粉末ディスペンサ106は、最初に粉末粒子層116をプラットフォーム102上の所望の位置に分注する、すなわち、粉末ディスペンサ106は横方向空間解像度を有する。粉末ディスペンサの横方向解像度は、バインダ材料ディスペンサの横方向解像度よりも悪い、すなわち低い場合がある。例えば、バインダ材料ディスペンサは、ボクセルごとに構築エリアの最上粉末層にバインダ材料を分注して、粉末とバインダ材料を有し、構築される部品の断面部分に対応するある体積の層を形成し得る。対照的に、粉末ディスペンサは、ボクセルよりも大きい領域ごとに選択的に粉末を分注するように構成され得る。それでも、不要なエリアに一部の粉末が送達される可能性があるが、これにより粉末の使用を低減することが可能になる。幾つかの実装態様では、粉末ディスペンサの横方向解像度は例えばボクセルごとに、バインダ材料ディスペンサの横方向解像度と同じである。
【0107】
幾つかの実装態様では、機械的ローラ又はブレード401を使用して、粉末粒子の薄層116を続いて散布及び/又は圧縮する。
【0108】
層ごとに必要な粉末粒子116の量は、規定の層の厚さ、粒子のサイズ、未加工部品のサイズ、及び/又は保持壁、所望の空間解像度、有効な印刷エリア等を含むがこれに限定されない幾つかの要因に基づいて、コントローラ111によって決定される。コントローラ111は、プリントヘッドの動き及び材料の分注を制御するパターンを識別するデータオブジェクトを記憶するように構成されたメモリを有する。
【0109】
幾つかの実装態様では、高密度化材料ディスペンサ108は、前に散布された粉末粒子層116上の選択された位置に高密度化材料118を分注する。例えば、高密度化材料は、製造される物体の表面に対応する領域に堆積させることができる。高密度化材料118は、幾つかの異なる目的を果たし得る。例えば、高密度化材料118は、隣接する粉末粒子116間の空間を充填するのに役立ち、これにより、未加工部品の密度、収縮の低下及び剛性が改善され得る。
【0110】
幾つかの実装態様では、高密度化材料118は粒子の粉末であるか、又はそれを含む。上記高密度化粒子118は、未加工部品の後処理中に核形成部位として作用し得、より強い結合とより低い焼結温度をもたらす。幾つかの実装態様では、高密度化材料118は、粉末粒子116の化学組成と同様又は同一の化学組成の粒子を含む。特に、粉末粒子及び高密度化材料の粒子の両方がセラミック粒子であり得る。あるいは、高密度化材料118は、高密度化剤及び化学的ドーパントの両方として作用する様々な化学組成の粒子を含み得る。
【0111】
高密度化材料118の粒子は、ナノ粒子であり得る。例えば、粒子は、10から1000nm、例えば、50から500nmの平均直径を有し得る。対照的に、粉末粒子116は、高密度化材料118の粒子の平均直径よりも2倍から100倍、例えば3倍から50倍、2倍から10倍、又は10倍から20倍大きい平均直径を有し得る。幾つかの実装態様では、粉末粒子110は、1から500μm、例えば、5から50μm、例えば、5μmから10μmの平均直径を有し、高密度化粒子は、例えば、10nmから10μm、例えば10nmから1μm、例えば10nmから100nmの平均直径を有する。
【0112】
幾つかの実装態様では、高密度化材料118は、キャリア流体又はゲルと混合された粒子を含む。例えば、高密度化材料118は、ゲル、例えばゾルゲルと混合されたナノ粒子を含み得る。ゾルゲルは、セラミック材料、例えば粉末粒子と同じセラミック材料の前駆体であり得る。別の例として、高密度化材料118は、キャリア流体と混合されたナノ粒子を含み得る。あるいは、高密度化材料118は、液体であり得る。
【0113】
幾つかの実装態様では、分注する前に、高密度化粒子118をバインダ材料120aと混合させ得る。この場合、単一のディスペンサが、バインダ材料と高密度化粒子の混合物を構築エリア上に送達し得る。
【0114】
バインダ材料を分注して硬化させる前に、ブレード及び/又はローラを使用して、滑らかで均一な層を得ることができる。ナノスケールの高密度化剤の場合、ブレードとローラの組み合わせを用いて高密度化剤を取り外して押し、層に散布し得る。
【0115】
幾つかの実装態様では、高密度化粒子118は、分注する前にバインダ材料120aと混合され得る。この場合、単一のディスペンサが、バインダ材料と高密度化粒子との混合物を構築エリア上に送達し得る。
【0116】
粉末粒子116及び高密度化粒子118の層130がプラットフォーム102上に散布され、圧縮されると、バインダ材料ディスペンサ110が、バインダ材料120aを層130上に選択的に配置し得る。
【0117】
図4Aに示すように、バインダ材料ディスペンサ110は、バインダ材料120aを粉末及び高密度化材料の層130上に配置する。
【0118】
幾つかの実装態様では、バインダ材料ディスペンサ110は、インクジェッティング(この場合、バインダ材料は液滴で分注され得る)、ピペッティング、接触転写、インプリント転写等を介してバインダ材料120aを分注し得る。幾つかの実装態様では、バインダ材料120aが粉末粒子116間の空間に浸透し得る。幾つかの実装態様では、バインダ材料は液体である。幾つかの実装態様では、バインダ材料は固体であり、この場合、バインダ材料の粒子は、バインダ材料が粉末に浸透するように、粉末よりも小さくなくてはならない。
【0119】
バインダ材料120aが粉末粒子116及び高密度化材料118の層130上の選択された位置に配置されると、エネルギー送達システム110は、バインダ材料120aを粉末粒子116とオプションの高密度化粒子118の両方の周りで固化、例えば重合させる放射ビーム122を送達することができる。これにより、粉末粒子116がバインダ材料120aのマトリックス中に保持される。
【0120】
放射ビーム122の例には、電子ビーム、熱放射、UV放射、IR放射、単色放射、マイクロ波放射等が含まれるが、これらに限定されない。硬化の結果として、硬化したバインダ材料120bは、隣接する粉末粒子116と118を互いに物理的に結合させる接着剤として機能し得る。硬化したバインダ材料120bは、同じ層内の粒子を結合し、隣接する層の粒子を結合し得る。
幾つかの実装態様では、バインダ材料は、水溶性又は溶媒可溶性になるように配合され得る。幾つかの実装態様では、バインダ材料120aは、熱又はUV硬化性ポリマーであり得る。幾つかの実装態様では、バインダ材料120aは、無色又は特定の色のいずれかであり得る。
【0121】
粉末粒子116、高密度化粒子118、バインダ材料120a、及び放射ビーム122を続いて適用すると、遊離した粉末粒子116のプールに未加工部品が形成される。
【0122】
それぞれがそれぞれの粉末を選択的に分注できる複数の粉末ディスペンサを備えた装置では、異なる粉末が異なる領域に提供され得る。
【0123】
図4Bに、分注された粉末、バインダ、及び高密度化材料の層の様々な領域の例を示す。例えば、粉末は、製造される物体の周囲を囲み、そこから分離された保持壁領域403に分注され得る。この粉末は、硬化したバインダ材料120bによって適所に保持されて、保持壁403を形成する。保持壁403の粉末は、物体の形成に使用される粉末の組成と同じ又は異なる組成であり得る。例えば、未加工部品の粉末が金属粉末である場合、保持壁の粉末はセラミック粉末又はプラスチック粉末であり得る。別の例として、未加工部品の粉末がセラミック粉末である場合、保持壁の粉末はプラスチック粉末であり得る。
【0124】
保持壁403は、製造される未加工部品の層を含む未加工部品領域407と、遊離した粉末粒子を含む緩衝領域405の両方を囲む。遊離した粉末粒子は、硬化したバインダ材料120bで囲まれていない粉末粒子であり、横方向の支持を提供して、未加工部品領域の粉末が横方向に滑るのを防止する。緩衝領域405の遊離した粉末粒子は、後続の層の粉末粒子を垂直に支持し得る。緩衝領域405は、保持壁403を未加工部品領域407から分離させて、保持壁が部品に結合するのを防止する。この結果、未加工部品は、一旦完成すると、プラットフォーム102から容易に取り外すことができる。緩衝領域405の粉末は、物体を形成するために使用される粉末の組成と同じ又は異なる組成であり得る。例えば、未加工部品の粉末が金属粉末の場合、緩衝領域の粉末はセラミック粉末又はプラスチック粉末であり得る。別の例として、未加工部品の粉末がセラミック粉末の場合、緩衝領域の粉末はプラスチック粒子であり得る。構築中の部品の構造的剛性を向上させるために、緩衝領域405にバインダ材料を選択的に配置することにより、水平の「ブリッジ」又は「テザー構造」が形成され得る。
【0125】
未加工部品が形成されると、未加工部品はプラットフォーム102から取り外され、未結合の粉末粒子116は、将来の使用のために付加製造装置100によってリサイクルされる。次に、未加工部品は、粉末を固体の塊に固化させるために更に処理され、したがって最終製品の密度又は剛性が増加する。未加工部品の後処理の例は、焼結とアニーリングを含むが、これらに限定されない。高密度化粒子118の存在により、これらの後処理ステップ中の未加工部品の収縮の度合いが低下する。バインダ材料は、後続の処理中に蒸発又は溶融する可能性がある。
【0126】
幾つかの実装態様では、粉末ディスペンサ106及び高密度化材料ディスペンサ108は、それぞれの粒子を選択的に分注するように構成される。
【0127】
粉末ディスペンサ106は、粉末が流れるプラットフォーム102の上に吊り下げられた複数のノズルを含み得る。例えば、粉末は重力下で流れるか、又は例えば圧電アクチュエータによって排出され得る。個々のノズルの分注の制御は、空気圧バルブ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)バルブ、ソレノイドバルブ、及び/又は磁気バルブによって提供され得る。粉末を分注するのに使用可能な他のシステムは、制御可能な開孔を有するローラ、及び複数の制御可能な開孔を有するチューブ内部のオーガを含む。
【0128】
粉末は、乾燥粉末又は液体懸濁液の粉末、又は材料のスラリー懸濁液であり得る。例えば、圧電プリントヘッドを使用するディスペンサの場合、供給材料は通常、液体懸濁液の粒子である。例えば、ディスペンサは、粉末をキャリア流体、例えば高蒸気圧キャリア、例えばイソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、又はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で送達して、粉末材料層を形成し得る。キャリア流体は、層の焼結ステップの前に蒸発する可能性がある。あるいは、乾式分注機構、例えば、超音波攪拌及び加圧された不活性ガスによって支援されるノズルのアレイを使用して、粒子を分注し得る。
【0129】
図5Aに、プラットフォーム102に向かって粉末粒子116を選択的に分注するように構成された粉末ディスペンサ106の例を示す。粉末ディスペンサ106は、それぞれが粉末粒子116を分注することができる複数の個別に制御可能なマイクロディスペンサ106aを含む。
【0130】
マイクロディスペンサ106aは、各マイクロディスペンサ106aが粉末粒子116を形成されるべき未加工部品の対応するエリアに分注し得るように位置づけされる。マイクロディスペンサ106aの上記配置により、マイクロディスペンサ106aが、粉末ディスペンサ106とプラットフォーム102との間のY軸に沿った相対運動を必要とせずに、Y軸に沿って延在する複数の粉末粒子116を一度に選択的に分注することが可能になる。
【0131】
図5Bに、マイクロディスペンサ106aの概略例を示す。例えば、マイクロディスペンサ106aは、ディスペンサの開口部にあるバルブアクチュエータ501によって制御され得る。バルブアクチュエータ501が開いて、重力下で粉末の流れが起きる。別の例では、マイクロディスペンサ106aは、ディスペンサの開口部にあるマイクロギア502によって制御され得る。マイクロギア502が回転して、マイクロギア502と粉末粒子116との間の摩擦により、粉末の流れが引き起こされ得る。
【0132】
幾つかの実装態様では、マイクロディスペンサ106aの開口部の幾何学的形状は、円形、三角形、細長いスロット、正方形等を含み得る。
【0133】
粉末ディスペンサ106がプラットフォーム102を横切って走査すると、マイクロディスペンサ106aが作動して、粉末を構築エリア上に選択的に分注する。例えば、マイクロディスペンサ106aは、粉末ディスペンサ106がX軸に沿った第1の位置にある間、部品の第1の列のボクセルに沿って第1のセットの粉末粒子116を分注するように作動し得、次に、粉末ディスペンサがX軸に沿った第2の位置にある間、第1のセットのボクセルからオフセットされた第2の列のボクセルに沿って第2のセットの粉末粒子116を分注し得る。粉末ディスペンサ106の動きは、粉末の分注中は連続的であり得る、又は粉末ディスペンサは、分注工程間で段階的に移動し得、特定の列のボクセルへの分注中は粉末ディスペンサは静止している状態である。
【0134】
マイクロディスペンサ106aのアレイは、Y軸に沿って、例えばプラットフォーム102と支持体104の相対運動の方向に対して垂直な方向に延在する。
幾つかの実装態様では、マイクロディスペンサ106aのアレイは、プラットフォーム102の全幅を横切って延在する。支持体104は、マイクロディスペンサ106aが、プラットフォーム102全体を横切って粉末粒子116を選択的に分注し得るように、X軸に沿って走査する。
【0135】
幾つかの実装態様では、マイクロディスペンサ106aのアレイは、プラットフォーム102の運動方向に沿って、例えばX軸に沿って延在する。したがって、マイクロディスペンサ106aは、X軸に沿って粉末粒子116を分注し得る。
この結果、マイクロディスペンサ106aにプラットフォーム102の全長を横切って走査させるための、X軸に沿った支持体104とプラットフォーム102との間の相対運動のインクリメント数が削減され得る。
【0136】
幾つかの実装態様では、マイクロディスペンサ106aのアレイは、X軸とY軸の両方に沿って延在する。例えば、マイクロディスペンサ106aのアレイは、マイクロディスペンサ106aが平行な段と列に配置される長方形のアレイを形成し得る。あるいは、マイクロディスペンサ106aの隣接する列は相対的に千鳥状になっている、又はマイクロディスペンサ106aの隣接する段が相対的に千鳥状になっている。
【0137】
幾つかの実装態様では、マイクロディスペンサ106aのアレイは、X軸及びY軸に沿って延在し、マイクロディスペンサ106aのアレイは、プラットフォーム102を横切って延在する。プラットフォーム102と支持体104の相対運動の間、プラットフォーム102はマイクロディスペンサ106aのアレイに対して、構築エリアがマイクロディスペンサ106aのアレイの下になり、マイクロディスペンサ106aが未加工部品の構築エリアの任意の部分に向かって直接分注し得るように、位置づけされる。
【0138】
幾つかの実装態様では、バインダ材料ディスペンサ110及び高密度化材料ディスペンサ108は、異なる材料及び分注機構(例えば、バインダ材料ディスペンサは圧電アクチュエータを使用して液体バインダ材料の液滴を射出し得る)にもかかわらず、上記の粉末ディスペンサ106と同様のアーキテクチャで構成され得る。
【0139】
図6に、未加工部品を形成する例示のプロセス600を示す。例えば、コントローラ111を含む装置100は、プロセス600を実行し得る。
【0140】
支持体104とプラットフォーム102との間に相対運動が生成される(602)。例えば、コントローラ111によって1又は複数のアクチュエータ127aが相対運動を生成するように作動し得る。相対運動は、プリントヘッドアセンブリ103が、粉末粒子116、高密度化粒子118、及びバインダ粒子120が選択的に分注されるターゲット位置に再位置づけされ得るように制御される。
【0141】
粉末粒子116の層がプラットフォーム102上に分注される(604)。例えば、プリントヘッドアセンブリ103は、コントローラ111によって、粉末粒子116を分注するように作動し得る。図5も参照すると、コントローラ111は、マイクロディスペンサ106aがどのように粉末粒子116を分注するかを制御し得る。粉末ディスペンサ106がプラットフォーム102の全幅を横切って延在せず、支持体104に対して移動可能である場合、幾つかの実装態様では、工程604において、粉末ディスペンサ106はY軸に沿って走査し、プラットフォーム102の全幅に沿って粉末粒子116を分注する。
【0142】
オプションとして、高密度化粒子118は、粉末粒子116の層上の選択された位置に分注される(606)。例えば、高密度化材料ディスペンサ108は、コントローラ111によって、高密度化粒子を分注するように作動し得る。高密度化材料ディスペンサ108がプラットフォーム102の全幅を横切って延在せず、支持体104に対して移動可能である場合、幾つかの実装態様では、工程606において、高密度化材料ディスペンサ108はY軸に沿って走査して、高密度化粒子118をプラットフォーム102の全幅に沿って分注する。
【0143】
バインダ材料120は、粉末層-高密度化粒子混合物上の選択された位置に分注される(608)。バインダ材料ディスペンサ110がプラットフォーム102の全幅を横切って延在せず、支持体104に対して移動可能である場合、幾つかの実装態様では、工程608において、バインダ材料ディスペンサ110はY軸に沿って走査してバインダ粒子120aをプラットフォーム102の幅に沿って分注する。
【0144】
エネルギー送達システム112は、バインダ材料120aを固化させて、粉末粒子がバインダ材料の固化したマトリックス中に保持される層を形成する。例えば、エネルギー送達システムは、液体バインダ材料120bを硬化させ得る。
【0145】
コントローラ(コントローラ111等)は、デジタル電子回路において、又はコンピュータのソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアにおいて、又はそれらの組み合わせにおいて、実装され得る。コントローラは、1又は複数のコンピュータプログラム製品、すなわち、情報キャリアにおいて(例えば、非一過性のマシン可読記憶媒体又は伝播信号において)有形に具現化され、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は、複数のプロセッサ若しくはコンピュータ)によって実行されるか、又は、かかるデータ処理装置の動作を制御するための、1又は複数のコンピュータプログラムを含み得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても既知である)は、コンパイラ型又はインタープリタ型の言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書かれ得、かつ、任意の形態で展開され得る(スタンドアロンプログラムとして、又は、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくは、演算環境での使用に適したその他のユニットとして、展開されることを含む)。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータで実行されるよう、又は、1つの場所の、あるいは複数の場所にわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータで実行されるように展開され得る。
【0146】
この明細書に記載のプロセス及び論理フローは、1又は複数のプログラマブルプロセッサによって実施され得、このプログラマブルプロセッサは、入力データに対して動作すること、及び出力を生成することによって機能を実施するために、1又は複数のコンピュータプログラムを実行する。プロセス及び論理フローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)といった特殊用途の論理回路によって実施され得、かつ、装置が、かかる特殊用途の論理回路として実装されることも可能である。
【0147】
上述のシステムのコントローラ111及びその他の演算デバイス部分は、データオブジェクト(例えば、供給材料が各層として形成されるべきパターンを特定する、コンピュータ支援設計(CAD)対応型ファイル)を記憶するための、非一過性のコンピュータ可読媒体を含み得る。例えば、このデータオブジェクトは、STLフォーマットのファイル、3D製造フォーマット(3MF)のファイル、又は、付加製造ファイルフォーマット(AMF)のファイルであることが可能である。例えば、コントローラは、遠隔コンピュータからデータオブジェクトを受信することもある。例えばファームウェア又はソフトウェアによって制御されている、コントローラ111のプロセッサは、コンピュータから受信したデータオブジェクトを解釈して、各層を望ましいパターンに堆積させ、かつ/又は硬化させるよう、装置100の構成要素を制御するために必要な信号のセットを生成し得る。
【0148】
幾つかの実装態様について説明してきた。それでもなお、様々な改変が行われ得ることが、理解されよう。
【0149】
粉末粒子116の層の各層の厚さ、及び、各ボクセルのサイズは、実装態様ごとに変動し得る。幾つかの実装態様では、プラットフォーム102上に分注が行われる時に、各ボクセルは、例えば10μmから1mm、例えば10μm50μm(例えば、10μmから30μm、20μmから40μm、30μmから50μm、約20μm、約30μm、又は約50μm)、又は50μmから1mm(例:50μmから300μm、50μmから100μm、100μmから300μm)の幅を有し得る。この厚さは、例えば、10μmから125μm(例えば、10μmから20μm、10μmから40μm、40μmから80μm、80μmから125μm、約15μm、約25μm、約60μm、又は約100μm)であり得る。
【0150】
粉末は、金属粒子を含み得る。金属粒子の例は、金属、合金、金属間合金を含む。金属粒子の材料の例は、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、及びこれらの金属の様々な合金又は金属間合金を含む。
【0151】
粉末は、セラミック粒子を含み得る。セラミック材料の例は、セリア、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、又はアルミニウム合金粉末等のこれらの材料の組み合わせといった、金属酸化物を含む。
【0152】
幾つかの実施態様では、粉末粒子116は、1~500μm、例えば、5μm~50μm、例えば、5μm~10μm、10μm~100μmの平均直径であり得る。
【0153】
幾つかの例では、1、2、又は3つのプリントヘッドを含む付加製造装置100が記載されている。あるいは、装置100は、4つ又はそれ以上のプリントヘッドを含む。各プリントヘッドは、例えば、支持体104上に装着される。プリントヘッドはしたがって、プラットフォーム102を横切って一単位として移動可能である。幾つかの例では、プリントヘッドは異なる支持体に装着され、互いに独立して移動可能であり得る。ある場合には、装置100は、走査方向に沿って整列した8つ又はそれ以上のプリントヘッド、例えば8つのプリントヘッド、12個のプリントヘッド等を含む。
【0154】
上記の説明では、具体的な詳細とともに多数の例が示されている。しかしながら、これらの例は、これらの特定の詳細に対する制限なしに実施され得ることを理解すべきである。更に、これらの例は互いに組み合わせて使用できることを理解すべきである。
【0155】
バインダジェッティングを使用して物品を製造することに関して装置を説明してきたが、この装置は、他の粉末ベースの方法による物品の製造にも適合し得る。例えば、
・ 幾つかの実装態様では、高密度化材料ディスペンサ108はオプションである。例えば、エネルギー送達システム112は、粉末及びバインダ材料のみの層を硬化させる。
・ 幾つかの実装態様では、エネルギー送達システム112はオプションである。例えば、バインダ材料120は、冷却することにより自己硬化させることができ、追加の放射ビーム122は必要ではない。
・ 幾つかの実装態様では、バインダ材料ディスペンサはオプションである。例えば、システムを使用して(未加工部品ではなく)最終部品を製造する場合、1又は複数のディスペンサ106によって粉末が送達され得る。エネルギー送達システムを使用して、プラットフォーム上の粉末を溶解させ得る。
・ エネルギー源は、バインダ材料ディスペンサと同じ支持体上ではなく、別個の支持体上にあってもよい。あるいは、エネルギー源は、プラットフォームに対して不動であり、層全体を同時に溶解させるように構成され得る。
【0156】
したがって、その他の実装態様も特許請求の範囲に含まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図6