(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】半導体プロセスチャンバからのマイクロ波の漏洩を低減させるための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/76 20060101AFI20220301BHJP
H05B 6/80 20060101ALI20220301BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H05B6/76 C
H05B6/80 Z
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2020557226
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 US2019026929
(87)【国際公開番号】W WO2019204110
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-15
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, プリーサム ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジュプディ, アナンクリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】ガウタム, リブー
【審査官】田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/038667(WO,A1)
【文献】特開2008-13816(JP,A)
【文献】特開2013-73947(JP,A)
【文献】特開2014-165111(JP,A)
【文献】特開2008-191148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/76
H05B 6/80
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバからのマイクロ波の漏洩を低減させるための装置であって、
スリットバルブゲートを有するスリットバルブ、及び
前記スリットバルブと前記スリットバルブゲートとの間の間隙に対して垂直なスロットであって、ある範囲のマイクロ波の周波数が前記スロット内で共振するように、変化する表面を有する底部を有するスロットを備える、装置。
【請求項2】
前記変化する表面が、前記スロットの最高共振周波数の共振をもたらす最高点と前記スロットの最低共振周波数の共振をもたらす最低点を有する直線的な傾斜を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記変化する表面が、前記スロットの最高共振周波数の共振をもたらす最も高いピークと前記スロットの最低共振周波数の共振をもたらす谷を有する鋸歯状の縁部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記鋸歯状の縁部は、前記スロットから分離して形成され、前記スロットの中に挿入される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記スロットの幅が、ゼロより大きく且つ前記スロットの最高共振周波数の波長未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記スロットが、前記スリットバルブ内に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記スロットが、L形状を有し、前記L形状の中間点を通る前記スロットの全長が、前記スロット内で共振する周波数の波長の四分の一である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記スロットが、直線的であり、前記スリットバルブの部材の中に形成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記スロットが、直線的であり、前記スリットバルブの部材と前記スリットバルブの開口部の中に挿入される第2の要素との間の間隙によって形成される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記スロットが、前記スリットバルブゲートに対する減圧シールの内側に形成されるか、又は前記スリットバルブゲートに対する減圧シールの後ろに形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
プロセスチャンバからのマイクロ波の漏洩を低減させるための装置であって、
内部空間内に基板支持体を有する前記プロセスチャンバ、
前記プロセスチャンバの壁内に配置されたスリットバルブであって、前記基板支持体上に基板を挿入し、前記基板支持体から前記基板を取り外すためのスリットバルブ開口部、及び前記プロセスチャンバを密封するためのスリットバルブゲートを有するスリットバルブ、並びに
前記スリットバルブ開口部を取り囲む前記スリットバルブ内の凹部キャビティであって、前記凹部キャビティの底部上に変化する表面を有する凹部キャビティを備える、装置。
【請求項12】
前記凹部キャビティが、前記スリットバルブゲートの開口部に向かう前記スリットバルブゲート用の減圧ガスケットの内側に位置付けられている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記変化する表面が、前記凹部キャビティの最高共振周波数の共振をもたらす最も高いピークと前記凹部キャビティの最低共振周波数の共振をもたらす谷を有する鋸歯状の縁部を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記凹部キャビティが、ゼロより大きく且つ前記凹部キャビティの最高共振周波数の波長未満の幅を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
プロセスチャンバからのマイクロ波の漏洩を低減させるための装置であって、
内部空間内に基板支持体を有する前記プロセスチャンバ、
前記プロセスチャンバの壁上に配置されたスリットバルブであって、前記基板支持体上に基板を挿入し、前記基板支持体から前記基板を取り外すためのスリットバルブ開口部、及び前記プロセスチャンバを密封するためのスリットバルブゲートを有するスリットバルブ、
前記スリットバルブ開口部の中に挿入された環形状を有する第1の分離可能な要素であって、前記スリットバルブと篏合し、チョークキャビティの1つの壁を形成し、前記スリットバルブが、前記チョークキャビティのもう1つの壁及び前記チョークキャビティの底面を形成する、第1の分離可能な要素、並びに、
前記チョークキャビティの中に挿入された環形状を有する第2の分離可能な要素であって、底面が前記チョークキャビティの前記底面において前記スリットバルブと篏合し、前記チョークキャビティの変化する底面を提供する頂面上の鋸歯状の縁部を有する第2の分離可能な要素を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本原理の実施形態は、広くは、半導体プロセスチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] マイクロ波は、例えば、アニール、洗浄、硬化、及びガス抜きのために半導体処理において使用される。マイクロ波はプロセスチャンバの外側で生成され、マイクロ波をチャンバの中に伝送するために導波管が使用される。チャンバは、処理されている間にウエハを保持するための基板支持体を有する。マイクロ波を使用して、単一のウエハ及び/又は複数のウエハをバッチで処理することができる。処理中にチャンバに入ったマイクロ波は、金属表面の間に間隙があるところであれば何処でもチャンバから外に伝播することになる。一部のチャンバは、チャンバにウエハを挿入し、チャンバからウエハを取り出すことを可能にするための、ドア又はバルブゲート付きのスリットバルブを有する。しばしば、バルブゲートによって、マイクロ波がチャンバから漏洩することがあり得る。チャンバ内に減圧を生成するためのシールを提供するバルブドア上の非金属ガスケットは、マイクロ波を透過する。金属ガスケットは、マイクロ波の漏洩を防止するために使用されてきたが、金属ガスケットは、故障し易く高レベルの保守を必要とする傾向がある。
【0003】
[0003] したがって、本発明者らは、バルブゲートにおける半導体プロセスチャンバからのマイクロ波の漏洩を低減させる方法を開発した。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 方法及び装置は、半導体プロセスチャンバにおけるマイクロ波の漏洩を防止する。
【0005】
[0005] 幾つかの実施形態では、プロセスチャンバからのマイクロ波の漏洩を低減させるための装置が、スリットバルブゲートを有するスリットバルブ、及び、スリットバルブとスリットバルブゲートとの間の間隙に垂直なスロットであって、ある範囲のマイクロ波の周波数がスロット内で共振するように、変化する表面を有する底部を有するスロットを備える。
【0006】
[0006] 幾つかの実施形態では、該装置が、以下のことを更に含み得る。すなわち、変化する表面は、スロットの最高共振周波数の共振をもたらす最高点、及びスロットの最低共振周波数の共振をもたらす最低点を有する直線的な傾斜を有し、変化する表面は、スロットの最高共振周波数の共振をもたらす最も高いピーク、及びスロットの最低共振周波数の共振をもたらす谷を有する鋸歯状の縁部を有し、鋸歯状の縁部は、スロットから分離して形成され、スロットの中に挿入され、スロットの幅は、スロットの最高共振周波数の波長未満であり、スロットは、スリットバルブ内に形成され、スロットは、L形状を有し、L形状の中間点を通るスロットの全長は、スロット内で共振する周波数の波長の四分の一であり、スロットは、直線的であり、スリットバルブの部材(material)とスリットバルブの開口部の中に挿入された第2の要素との間の間隙によって形成され、第2の要素は、シートメタルから形成され、スロットは、スリットバルブゲート内に形成され、及び/又は、スロットは、スリットバルブゲート用の減圧シールの内側に形成されるか、若しくはスリットバルブゲート用の減圧シールの後ろに形成される。
【0007】
[0007] 幾つかの実施形態では、処理チャンバからのマイクロ波の漏洩を低減させるための装置が、内部空間内に基板支持体を有するプロセスチャンバ、プロセスチャンバの壁内に配置されたスリットバルブであって、基板支持体上に基板を挿入し、基板支持体から基板を取り外すためのスリットバルブ開口部、及びプロセスチャンバを密封するためのスリットバルブゲートを有するスリットバルブ、並びに、スリットバルブ開口部を取り囲むスリットバルブ内の凹部キャビティであって、底部上に変化する表面を有する凹部キャビティを備える。
【0008】
[0008] 幾つかの実施形態では、装置が、以下のことを更に含み得る。すなわち、凹部キャビティは、スリットバルブゲートの開口部に向かうスリットバルブゲート用の減圧ガスケットの内側に位置付けられ、変化する表面は、凹部キャビティの最高共振周波数の共振をもたらす最も高いピーク、及び凹部キャビティの最低共振周波数の共振をもたらす谷を有する鋸歯状の縁部を有し、鋸歯状の縁部のピークは、凹部キャビティの開口部表面から近似的に11.2mmの深さであり、鋸歯状の縁部の谷は、凹部キャビティの開口部表面から近似的に12.8mmの深さであり、鋸歯状の縁部は、凹部キャビティから分離して形成され、凹部キャビティの中に挿入され、及び/又は、凹部キャビティが、ゼロより大きく且つ凹部キャビティの最高共振周波数の波長未満の幅を有する。
【0009】
[0009] 幾つかの実施形態では、プロセスチャンバからのマイクロ波の漏洩を低減させる装置が、内部空間内に基板支持体を有するプロセスチャンバ、プロセスチャンバの壁上に配置されたスリットバルブであって、基板支持体上に基板を挿入し、基板支持体から基板を取り外すためのスリットバルブ開口部、及びプロセスチャンバを密封するためのスリットバルブゲートを有するスリットバルブ、スリットバルブ開口部の中に挿入され且つスリットバルブと篏合する環形状を有する第1の分離可能な要素であって、チョークキャビティの1つの壁を形成し、スリットバルブが、チョークキャビティのもう1つの壁及びチョークキャビティの底面を形成する、第1の分離可能な要素、並びに、チョークキャビティの中に挿入された環形状を有する第2の分離可能な要素であって、底面がチョークキャビティの底面においてスリットバルブと篏合し、チョークキャビティの変化する底面を提供する頂面上の鋸歯状の縁部を有する第2の分離可能な要素を備える。
【0010】
[0010] 幾つかの実施形態では、装置が、以下のことを更に含み得る。すなわち、鋸歯状の縁部のピークは、チョークキャビティの開口部表面から近似的に11.2mmの深さであり、鋸歯状の縁部の谷が、チョークキャビティの開口部表面から12.8mmの深さである。
【0011】
[0011] 他の更なる実施形態が、以下で説明される。
【0012】
[0012] 上記で簡潔に要約されており、且つ以下で詳述する本原理の実施形態は、付随する図面に示している本原理の例示的な実施形態を参照することにより理解され得る。しかし、本原理は他の等しく有効な実施形態を許容し得ることから、付随する図面は、本原理の典型的な実施形態のみを例示しており、故に、範囲を限定するものと見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013] 本原理の幾つかの実施形態による、マイクロ波の漏洩を低減させるための装置が採用され得るか、又はマイクロ波の漏洩を低減させる方法が実行され得る、スリットバルブアセンブリを有するプロセスチャンバの図を描いている。
【
図2】[0014] 本原理の幾つかの実施形態による、
図1のスリットバルブアセンブリの拡大ビューの断面図を描いている。
【
図3】[0015] 本原理の幾つかの実施形態による、傾斜を有するチョークの底部の断面図を描いている。
【
図4】[0016] 本原理の幾つかの実施形態による、鋸歯状の縁部を有するチョークの底部の断面図を描いている。
【
図5】[0017] 本原理の幾つかの実施形態による、スリットバルブ開口部の周りのチョークの前面図を描いている。
【
図6】[0018] 本原理の幾つかの実施形態による、スリットバルブアセンブリの断面図を描いている。
【
図7】[0019] 本原理の幾つかの実施形態による、
図6のチョークを生成するための環状要素の断面図を描いている。
【
図8】[0020] 本原理の幾つかの実施形態による、スリットバルブアセンブリ内に設置された
図7の環状要素の断面図を描いている。
【
図9】[0021] 本原理の幾つかの実施形態による、チョークキャビティ内に鋸歯状の縁部を生成するための環状要素を有するスリットバルブの一部分の等角切断図を描いている。
【
図10】[0022] 本原理の幾つかの実施形態による、
図9の環状要素の一部分の等角図を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0023] 理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりではなく、分かり易くするために簡略化されていることがある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると想定されている。
【0015】
[0024] 半導体チャンバからのマイクロ波の漏洩は、安全上及び製造上の問題を引き起こす可能性がある。スリットバルブからのマイクロ波の漏洩を防止するために使用される金属ガスケットは、特に異物が金属ガスケット内に詰まった場合、対合面と金属ガスケットとの間にアーク放電を引き起こすことが多い。更に、金属ガスケットと表面とが絶えず接触していると、摩耗及び発塵を引き起こし、ガスケットの性能及び基板処理における不具合に影響を及ぼす。本発明者らは、安全と製造の分野の両方において金属ガスケットを上回る非接触装置及び方法を見出した。該装置及び方法は、本原理によれば、有利なことに、表面に接触することなくマイクロ波の漏洩及び機能を確実に低減させ、保守及び摩耗を低減させ、粒子の生成を低減させ、金属ガスケットで生じるようなアーク放電を低減させることによって、作業者の安全性を高める。該装置及び方法は、更に有利なことに、マイクロ波を透過させる減圧シールなどの他のプロセスチャンバシールと併せて機能することもできる。幾つかの実施形態では、旧来の装備が、費用対効果に優れたやり方で変更されてよく、交換装備を購入する必要なしに安全性のアップグレードを可能にする。多くのプロセスチャンバの加熱サイクルは、加熱を均一に保つために、近似的に100マイクロ秒ごとに周波数を切り替える。該装置及び方法は、単一のマイクロ周波数ではなく、ある帯域の動作周波数にわたりマイクロ波の漏洩を防止することもでき、有利なことに、はるかに大きな柔軟性及び費用対効果を可能にする。
【0016】
[0025] マイクロ波は、間隙が存在するときに、マイクロ波が経路の端部で反射して戻ることをもたらす経路にマイクロ波が迂回されない限り、その間隙を通って漏洩することになる。反射したマイクロ波は、経路の距離が波長ラムダ(λ)を4で割ったもの(λ/4)である場合、入力マイクロ波を打ち消す。距離がλ/4である場合、マイクロ波は、行き(λ/4)及び帰り(λ/4)で移動することによって、λ/2の総距離を移動する。反射したマイクロ波が、1/2波長だけ離れた入射波に遭遇すると、マイクロ波は互いに打ち消し合う。λ/4に等しい経路は、四分の一波長共振チョークと呼ばれる。本発明者らは、金属ガスケットに代えて、ある帯域の周波数にわたり動作する共振チョークを半導体プロセスチャンバの中に組み込む、本原理に基づく技術を見出した。
【0017】
[0026] 本発明者らは、本原理によれば、共振チョークがより安全であり、複数の周波数にわたってより効率的に働くことを見出した。帯域内の周波数の何れかにおいて損失を取り除くために、その帯域内の周波数、殊により長い波長を有する周波数について漏洩を低減させる必要がある。より長い波長は、より容易に逃げ、より遠くに伝播し、更に、物体のより深くに浸透し、より多くの害をもたらす。チョークの深さは、単一周波数について反射と打ち消しを制御する。本発明者らは、チョークが全帯域の周波数にわたり機能することを可能とするため、単一のチョークに変化する深さを設ける方法を見出した。幾つかの実施形態(例えば、
図4、
図9、及び
図10について説明される)では、鋸歯状の縁部を使用して、広い数の周波数にわたりチョークの深さを変化させる。本発明者らは、鋸歯状の縁部の数が多いほど、チョークの性能が高くなり、マイクロ波の漏洩が少なくなることを見出した。幾つかの実施形態では、鋸歯状の縁部が、チョークのスロット又は凹部の長さと垂直に延在している。幾つかの実施形態(例えば、
図3について説明される)では、広い数の周波数にわたりチョークの深さを変化させるために傾斜が使用される。本発明者らは、チョークの幅が、チョークの性能に実質的に影響を及ぼすことなく、打ち消される周波数の波長よりも数桁小さい周波数の波長未満であってよいことを見出した。更に、本発明者らは、鋸歯状の縁部が、所与の量の空間に対して広い帯域の周波数にわたってより多くの周波数減衰を提供する(鋸歯状の縁部が、その帯域内の周波数に影響を及ぼし、傾斜よりも多くの鋸歯状の縁部を所与の量の空間内に配置することができる)ので、鋸歯状の縁部が傾斜よりも良好な漏洩制御を提供することを見出した。
【0018】
[0027]
図1は、幾つかの実施形態による、マイクロ波の漏洩を低減させるための装置が採用され得るか、又はマイクロ波の漏洩を低減させる方法が実行され得る、スリットバルブアセンブリ130を有するプロセスチャンバ100を描いている。
図1では、スリットバルブアセンブリ130が、スリットバルブ本体132内のスリットバルブ開口部122、及びスリットバルブ開口部122を密封するスリットバルブゲート120を含んでよい。ガスケット124は、スリットバルブゲート120とスリットバルブ本体132との間に減圧密封(減圧シール)を提供することができる。ガスケット124は、減圧密封(減圧シール)を提供するが、ガスケット124は、マイクロ波を透過し、マイクロ波の漏洩を防止しない。スリットバルブアセンブリ130は、プロセスチャンバ100の内部空間110内の基板支持体104上に基板108を挿入し、基板支持体104から基板108を取り外す方法を提供する。スリットバルブ開口部122は、プロセスチャンバ100の壁102を貫通してプロセスチャンバ100の内部空間110に対するアクセスを提供する。基板支持体104は、基板支持体104を支持し且つ電気接続及び/又は冷却液なども提供する、支持アセンブリ106を含む。幾つかの実施形態では、スリットバルブアセンブリ130が、任意選択的に、
図2に関して更に詳細に説明される、スリットバルブ本体132内のL形状の共振チョーク128を含んでよい。幾つかの実施形態では、スリットバルブアセンブリ130が、任意選択的に、
図2に関して更に詳細に説明される、スリットバルブゲート120内の直線的な共振チョーク126を含んでよい。
【0019】
[0028] プロセスチャンバ100は、中央処理装置(CPU)114、メモリ116、及び/又は支持回路118を含む、プロセスコントローラ112を含んでよい。プロセスコントローラ112は、スリットバルブアセンブリ130の制御を提供することができる。プロセスチャンバ100は、単独で利用してもよく、又は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から購入可能なENDURA(登録商標)という統合型半導体基板処理システムなどの、統合型半導体基板処理システム若しくはクラスタツールの処理モジュールとして利用してもよい。プロセスチャンバ100は、乾性チャンバ、又はApplied Materials, Inc.から購入可能なCHARGER(商標)Under Bump Metallization (UBM) PVDチャンバなどのPVDチャンバであってもよい。他のプロセスチャンバ及び/又はクラスタツールも同様に適切に使用され得る。
【0020】
[0029] ガスケット124は、マイクロ波を透過するので、マイクロ波の漏洩を防止するために、共振チョークが、スリットバルブアセンブリ130の中に導入される。
図2は、幾つかの実施形態による、
図1のスリットバルブアセンブリ130の拡大
図200を描いている。幾つかの実施形態では、L形状共振チョーク128が、ガスケット124の内側且つスリットバルブ開口部122の外側のスリットバルブ本体内に形成されている。複雑な機械加工を低減させるために、L形状共振チョーク128は、任意選択的に、スリットバルブ本体132内のスリットバルブ開口部122の周りの環状矩形スロットとして形成されてよい。その場合、より小さい環状矩形インサート242がL形状を形成する。L形状の共振チョーク128の中間点を通る、開口部246の表面244から底部216までの総距離は、線202によって表されている。線202は、それぞれ、点A’において開口部246で開始し、点Aにおいて底部216で終端する。線202は、L形状の共振チョーク128によって打ち消される周波数の波長の四分の一の全長を有する。L形状の共振チョーク128の幅210は、L形状の共振チョーク128の共振波長よりも数桁小さくてよい。
【0021】
[0030] 幾つかの実施形態では、直線的な共振チョーク126が、スリットバルブゲート120内に形成される。幾つかの実施形態では、直線的な共振チョーク126が、
図2で示されているように、ガスケット124の後ろに形成されてよい。スリットバルブゲート120の表面248から直線的な共振チョーク126の底部214までの、直線的な共振チョーク126の深さ208は、直線的な共振チョーク126によって打ち消される周波数の波長の四分の一である。直線的な共振チョーク126の幅206は、直線的な共振チョーク126の共振波長よりも数桁小さくてよい。ガスケット124は、直線的な共振チョーク126と干渉しない。というのも、ガスケット124は、マイクロ波を透過するからである。
【0022】
[0031]
図3は、幾つかの実施形態による、傾斜314を有するチョーク302の底部316の断面
図300を描いている。チョーク302は、例えば、
図2の直線的な共振チョーク126であってよく、及び/若しくは、
図2のL形状の共振チョーク128であってよく、又は別のチョークであってよい。チョーク302の比率は、歪められ、チョーク302の底部316に関してより詳細に示されることを可能にしている。幾つかの実施形態では、チョーク302が、側壁表面306を有してよく、底部316が、直線的な傾斜314を有することとなる。傾斜314は、チョーク302の底部316上に、最小の深さ312から最大の深さ310まで変化する深さを生成する。底部316の傾斜314は、変化する底部により、チョーク302を種々の周波数で共振させる。最小深さ312は、チョーク302内で共振することとなる最高周波数(最高周波数=1/(4×最小深さ))を決定づけ、最大深さ310は、チョーク302内で共振することとなる最低周波数(最低周波数=1/(4×最大深さ))を決定づける。最高周波数と最低周波数との間の周波数も、チョーク302内で共振することとなる。傾斜314は、有利なことに、チョーク302が、単一の周波数ではなく、ある帯域の周波数にわたり動作することを可能にし、単一のチョークが複数の用途をカバーすることを可能にし、実質的に費用を削減し、柔軟性を高める。
【0023】
[0032] 幾つかの実施形態では、チョーク302が、5.85GHzから6.69GHZまでの周波数で共振する。その場合、最小深さ312が11.2mmで、最大深さ310が12.8mmである。幾つかの実施形態では、深さ及びカバーされる周波数帯域を調整するために、傾斜314の角度318の調整が行われ得る。チョーク302の幅308は、チョーク302で動作する周波数帯域の波長よりも数桁小さくてよい。幾つかの実施形態では、幅308が近似的に1.0mmである。幾つかの実施形態では、幅308が、ゼロより大きく且つチョークの最高共振周波数の波長未満の範囲内であってよい。幾つかの実施形態では、幅308が、チョークの最高共振周波数の波長よりも数桁小さい。幾つかの実施形態では、チョーク302が、スリットバルブゲート120内の部材304内に、又はスリットバルブ本体132内の部材304内に配置されてよい(例えば、
図2参照)。幾つかの実施形態では、底部316が、部材304の部分(部材304から機械加工されるか、又は部材304内に形成されるなど)であってよい。幾つかの実施形態では、底部316が、分離可能な要素であってよい。その要素は、先ず形成され、次いで、チョーク302を形成するキャビティ又は凹部の中に配置又は挿入される。底部316を分離可能な要素として形成することによって、機械加工及び製造の費用が、実質的に低減されてよく、時間と支出の両方の節約になる。
【0024】
[0033]
図4は、幾つかの実施形態による、鋸歯状の縁部を有するチョークの底部418の断面
図400を描いている。チョーク402は、例えば、
図2の直線的な共振チョーク126又は
図2のL形状の共振チョーク128であってよい。チョーク402の比率は、歪められ、チョーク402の底部418に関してより詳細に示されることを可能にしている。幾つかの実施形態では、チョーク402が、側壁表面406を有してよく、底部418は鋸歯状の縁部416を有することとなる。鋸歯状の縁部416は、最小深さ412から最大深さ410までチョーク402の底部418上に変動する深さを生成する。底部418の鋸歯状の縁部416は、変動する底部により、チョーク402を種々の周波数で共振させる。最小深さ412は、チョーク402内で共振することとなる最高周波数(最高周波数=1/(4×最小深さ))を決定づけ、最大深さ410は、チョーク402内で共振することとなる最低周波数(最低周波数=1/(4×最大深さ))を決定づける。最高周波数と最低周波数との間の周波数も、チョーク402内で共振することとなる。
【0025】
[0034] 幾つかの実施形態では、チョーク402が、5.85GHzから6.69GHzまでの周波数で共振する。その場合、最小深さ412は、11.2mmであり、最大深さ410は、12.8mmである(鋸歯状の縁部の高さは、1.6mmである)。鋸歯状の縁部416は、有利なことには、チョーク402が単一の周波数ではなく、ある帯域の周波数にわたり動作することを可能にし、単一のチョークが複数の用途をカバーすることを可能にし、実質的に費用を削減し、柔軟性を高める。カバーされる周波数帯域を調整するために、鋸歯状の縁部416の高さ420が調整されてよい。チョーク402の幅408は、チョーク402で動作する周波数帯域の波長よりも数桁小さくてよい。幾つかの実施形態では、幅408が、近似的に1.0mmである。幾つかの実施形態では、幅408が、ゼロより大きく且つチョークの最高共振周波数の波長未満の範囲内にあってよい。幾つかの実施形態では、幅408が、チョークの最高共振周波数の波長よりも数桁小さい。幾つかの実施形態では、チョーク402が、スリットバルブゲート120内の材料404内、又はスリットバルブ本体132内の材料404内に配置されてよい(例えば、
図2参照)。幾つかの実施形態では、鋸歯状の縁部416が、部材404の部分であってよい(部材404から機械加工されるか、又は部材404内に形成されるなど)。幾つかの実施形態では、鋸歯状の縁部416が、分離可能な要素であってよい。その要素は、先ず形成され、次いで、チョーク402を形成するキャビティ又は凹部の中に配置又は挿入される。鋸歯状の縁部416を分離可能な要素として形成することによって、機械加工及び製造の費用が実質的に低減され、時間と支出の両方の節約になる。
【0026】
[0035]
図5は、幾つかの実施形態による、スリットバルブ開口部522の周りのチョーク506の前面
図500を描いている。スリットバルブアセンブリ530は、スリットバルブ開口部522を有するスリットバルブ本体502、及びスリットバルブゲートアクチュエータ504を含んでよい。幾つかの実施形態では、チョーク506が、スリットバルブ開口部522の外側に位置付けられ、スリットバルブ開口部522を取り囲んでいる。
図5のチョーク506は、適切な帯域の周波数で共振することができる寸法の、スリットバルブ本体502内のスロット、凹部、又はキャビティであってよい。幾つかの実施形態では、チョーク506が、直線的な共振チョーク及び/又はスリットバルブ本体502内のL形状の共振チョークであってよい。
【0027】
[0036]
図6は、幾つかの実施形態による、スリットバルブアセンブリ630の断面
図600を描いている。スリットバルブアセンブリ630は、スリットバルブ開口部622を有するスリットバルブ本体602、及びスリットバルブゲート620を含む。チョーク606は、スリットバルブ開口部622の外側で、且つガスケット624の内側に位置付けられている。ガスケット624は、スリットバルブ本体602に対してスリットバルブゲート620を密封して、気密密封を可能にする(例えば、チャンバが減圧を維持することを可能にするなど)。ガスケット624は、マイクロ波を透過し、マイクロ波の漏洩を防止しない。スリットバルブゲート620は、スリットバルブゲートアクチュエータ(
図5参照)によって上げ下げ(矢印610)されてよい。チョーク606は、単一のピースとして及び/又は複数のピースとして、スリットバルブ本体602の中に形成され及び/又は機械加工されてよい。複数のピースとは、例えば、
図3及び
図4で説明された変化する底部を生成するための個別のピースである。
【0028】
[0037]
図7は、幾つかの実施形態による、
図6のチョークを生成するための装置の断面
図700を描いている。スリットバルブ本体602は、スリットバルブ開口部622の周りに空間702を生成するために形成及び/又は機械加工される。空間702の外側表面720は、チョーク606の外壁を形成することとなる。環状要素704は、スタンピング及び/又は機械加工などによって形成される。環状要素704は、スリットバルブ本体602のスリットバルブ開口部622の内側寸法710と近似的に同様である内側寸法708を有する。環状要素704の外側表面722は、チョーク606の内壁を形成することとなる。環状要素704の厚さ706は、チョーク606の幅を調整するように変更されてよい。
図8は、幾つかの実施形態による、スリットバルブアセンブリ630内に設置された、
図7の環状要素704の断面
図800を描いている。環状要素704をスリットバルブ本体602の中に挿入すると、チョーク606が、環状要素704によって設けられた内壁と、スリットバルブ本体602によって設けられた外壁及び底部とによって形成される。幾つかの実施形態では、環状要素704も、チョーク606の変化する底部を提供する(チョークの変化する底部の異なる実施形態について
図3及び
図4を参照のこと)。幾つかの実施形態では、変化する底部が、別の環状要素であってよい(
図9参照)。
【0029】
[0038]
図9は、幾つかの実施形態による、チョークキャビティ906内に鋸歯状の縁部を生成するための環状要素903を有するスリットバルブ902の一部分の等角切断
図900を描いている。環状要素903は、凹部、キャビティ、又はスロットの中に挿入されて、ある帯域の周波数にわたる共振チョークを生成する、変化する底部を形成する。幾つかの実施形態では、環状要素903が、鋸歯状の縁部を備える。環状要素903の一部分904が、
図10の等角
図1000で描かれている。一部分904は、ピーク1002及び谷1004を有する鋸歯状の縁部を示している。ピーク1002の高さ1008及び/又はピーク間の間隔は、チョークのある帯域の共振周波数の最高周波数を増加させ又は低減させるために変更されてよい。環状要素903は、厚さ1006であって、環状要素903を取り扱うことを可能にし、環状要素903をチョークのスロット、キャビティ、又は凹部の底部の中に挿入することを容易にするための厚さ1006を有してよい。環状要素903の幅1010は、近似的に、チョークキャビティ906の幅である。
【0030】
[0039] 上記は本原理の実施形態を対象としているが、本原理の基本的な範囲から逸脱することなしに、本原理の他の実施形態及び更なる実施形態が考案され得る。