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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】給送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/52 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
B65H3/52 330G
B65H3/52 330F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018039329
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019064827
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2017200027
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017171775
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】江口 陽介
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-114112(JP,A)
【文献】特開2014-111504(JP,A)
【文献】特開平06-263280(JP,A)
【文献】実開昭60-064931(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの給送方向に沿うように回転して当該シートを前記給送方向に給送するフィードローラと、
前記フィードローラとの間にニップ部を形成するように設置されて、前記ニップ部に1枚のシートが挟持されたときと前記ニップ部にシートが挟持されていないときとには前記給送方向に沿うように順方向に回転して、前記ニップ部に複数枚のシートが挟持されたときには前記順方向に対して逆方向に回転する分離ローラと、
支持部に回転可能に片持ち支持されて、前記分離ローラが設置された回転軸と、
前記回転軸において軸方向の異なる位置に設置された複数の従動ギアと、
前記複数の従動ギアにそれぞれ噛合して複数の駆動伝達経路を形成する複数の駆動ギアと、
前記複数の駆動伝達経路のうちいずれか1つの駆動伝達経路を選択可能に切替えて、その他の駆動伝達経路を遮断する切替手段と、
を備え、
前記複数の従動ギアは、前記支持部と前記分離ローラとの間に間隔をあけて並設され、
前記切替手段によって前記複数の駆動伝達経路のうちいずれか1つの駆動伝達経路が選択された状態で、その駆動伝達経路における前記従動ギアが前記駆動ギアから受ける力によって、前記分離ローラが前記フィードローラに向けて付勢され、
前記切替手段によって前記駆動伝達経路が切替えられることによって、前記分離ローラが前記フィードローラに向けて付勢される付勢力が可変されることを特徴とする給送装置。
【請求項2】
前記切替手段は、前記分離ローラの累積駆動時間が所定値に達したときに、前記付勢力が大きくなるように、前記駆動伝達経路を切替えることを特徴とする請求項1に記載の給送装置。
【請求項3】
前記切替手段は、操作者の操作によって前記駆動伝達経路を切替えることができるように構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給送装置。
【請求項4】
前記ニップ部にシートが挟持されているか否かを検知する検知手段を備え、
前記切替手段は、前記検知手段によって前記ニップ部にシートが挟持されていない状態が検知されたときに、前記ニップ部にシートが挟持されている状態が検知されたときに比べて、前記付勢力が大きくなるように前記駆動伝達経路を切替えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の給送装置。
【請求項5】
前記検知手段は、
前記ニップ部に対して軸方向に外れた位置に向けて光を照射する反射型フォトセンサと、
前記ニップ部に送入されるシートに押動されるフィラーを検知する透過型フォトセンサと、
前記ニップ部に対して前記給送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設置された一対の反射型センサと、
のうちいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の給送装置。
【請求項6】
前記ニップ部から複数枚のシートが重送されているか否かを検出する検出手段を備え、
前記切替手段は、前記検出手段によって重送が検出されたときに、前記検出手段によって1枚のシートの給送が検出されたときに比べて、前記付勢力が小さくなるように前記駆動伝達経路を切替えることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の給送装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記ニップ部に対して前記給送方向の下流側に設置された超音波センサであることを特徴とする請求項6に記載の給送装置。
【請求項8】
前記複数の従動ギアは、それぞれ、ワンウェイクラッチを介して前記回転軸に設置され、
前記複数の駆動ギアは、それぞれ、アイドラギアであって、
前記複数の駆動ギアにそれぞれ駆動を伝達するモータギアを具備した複数のモータを備え、
前記切替手段は、前記複数のモータの回転数の比率を可変する手段であることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の給送装置。
【請求項9】
前記複数の従動ギアは、それぞれ、ワンウェイクラッチを介して前記回転軸に設置され、
前記複数の駆動ギアは、1つの駆動ギアが軸部材とともに回転するように構成され、その他の駆動ギアがアイドラギアであって、
前記その他の駆動ギアに駆動を伝達するモータギアを具備したモータを備え、
前記軸部材は、前記フィードローラの駆動源となる給送モータを駆動源として、前記1つの駆動ギアとともに回転駆動され、
前記切替手段は、前記モータと前記給送モータとの回転数の比率を可変する手段であることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の給送装置。
【請求項10】
前記複数の従動ギアは、1つの従動ギアがワンウェイクラッチを介して前記回転軸に設置され、その他の従動ギアが前記回転軸とともに回転するように設置され、
前記複数の駆動ギアは、前記1つの従動ギアに噛合する駆動ギアが軸部材とともに回転するように構成され、その他の駆動ギアが電磁クラッチを介して前記軸部材に設置され、
前記軸部材を駆動するモータを備え、
前記電磁クラッチがオンされたときに、前記その他の従動ギアの回転数が前記1つの従動ギアの回転数よりも大きくなるように構成され、
前記切替手段は、前記電磁クラッチをオン・オフする手段であることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の給送装置。
【請求項11】
前記複数の従動ギアは、少なくとも1つが、対応する前記駆動ギアとの軸方向の噛合い位置を可変できるように、軸方向に移動可能に構成されたことを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載の給送装置。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれかに記載の給送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートを給送する給送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタや印刷機等の画像形成装置に設置される給送装置において、フィードローラと、分離ローラ(リバースローラ、リタードローラ)と、が設置されたものが広く知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
詳しくは、FRR給送方式の給送装置は、フィードローラとピックアップローラとに加えて、トルクリミッタを介して駆動源に接続された分離ローラが設置されている。
そして、分離ローラは、フィードローラとの間にニップ部を形成して、ニップ部に1枚のシートが挟持されたときや、ニップ部にシートが挟持されていないときに、フィードローラの回転にともない給送方向に沿うように順方向に回転(連れ回り)する。これに対して、ニップ部に複数のシートが挟持されたときには、分離ローラは、最上方のシートのみがフィードローラの回転に沿って給送されて、最上方のシートに対して下方のシートを分離するように、順方向に対して逆方向に回転する。このような分離ローラの動作によって、シートの重送が防止される。
【0004】
一方、特許文献1、2には、FRR給送方式の給送装置であって、分離ローラが回転軸に片持ち支持されて、駆動ギアから回転軸上の従動ギアに駆動が伝達されて分離ローラが回転するように構成されたものが開示されている。
また、特許文献2には、従動ギアと駆動ギアとが一体的に軸方向に移動可能に構成されていて、従動ギアと駆動ギアとの軸方向の位置を調整することで、フィードローラに対する分離ローラの接触圧を可変する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の給送装置は、分離ローラの表面に多くの紙粉が付着してしまったときなどに、分離ローラの表面の摩擦係数が低下してしまって、分離ローラが順方向に正常に回転(連れ回り)しなくなってしまうことがあった。そして、そのような場合には、シートがニップ部に正常に送入又は送出されないなど、給送不良が生じてしまうことになる。
これに対して、特許文献2の技術を用いて、従動ギアと駆動ギアとの軸方向の位置を調整することで、分離ローラの摩擦係数が低下した分を補うように、フィードローラに対する分離ローラの接触圧を増加させる方策が考えられる。しかし、その場合、従動ギアと駆動ギアとの軸方向の位置を調整する作業に、時間や手間がかかってしまうことになる。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、分離ローラの順方向の回転不良が効率的に軽減される、給送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における給送装置は、シートの給送方向に沿うように回転して当該シートを前記給送方向に給送するフィードローラと、前記フィードローラとの間にニップ部を形成するように設置されて、前記ニップ部に1枚のシートが挟持されたときと前記ニップ部にシートが挟持されていないときとには前記給送方向に沿うように順方向に回転して、前記ニップ部に複数枚のシートが挟持されたときには前記順方向に対して逆方向に回転する分離ローラと、支持部に回転可能に片持ち支持されて、前記分離ローラが設置された回転軸と、前記回転軸において軸方向の異なる位置に設置された複数の従動ギアと、前記複数の従動ギアにそれぞれ噛合して複数の駆動伝達経路を形成する複数の駆動ギアと、前記複数の駆動伝達経路のうちいずれか1つの駆動伝達経路を選択可能に切替えて、その他の駆動伝達経路を遮断する切替手段と、を備え、前記複数の従動ギアは、前記支持部と前記分離ローラとの間に間隔をあけて並設され、前記切替手段によって前記複数の駆動伝達経路のうちいずれか1つの駆動伝達経路が選択された状態で、その駆動伝達経路における前記従動ギアが前記駆動ギアから受ける力によって、前記分離ローラが前記フィードローラに向けて付勢され、前記切替手段によって前記駆動伝達経路が切替えられることによって、前記分離ローラが前記フィードローラに向けて付勢される付勢力が可変されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分離ローラの順方向の回転不良が効率的に軽減される、給送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】給送装置を示す概略構成図である。
図3】給送装置の駆動系を示す概略構成図である。
図4】給送装置におけるピックアップローラの接離機構の動作を示す概略図である。
図5】給送装置においてニップ部に複数枚のシートが挟持されたときの動作を示す概略図である。
図6】分離ローラがフィードローラに付勢される付勢力が可変される動作を示す図である。
図7】変形例1としての、給送装置の駆動系を示す概略構成図である。
図8】変形例2としての、給送装置の駆動系を示す概略構成図である。
図9】変形例3としての、給送装置の駆動系を示す概略構成図である。
図10】変形例4としての、給送装置の駆動系を示す概略構成図である。
図11】変形例4における、給送時のニップ部の付勢力の変化を示す図である。
図12】変形例4における、給送時の制御を示すフローチャートである。
図13】変形例4における、別形態の検知手段を示す図である。
図14】変形例5としての、給送装置の駆動系を示す概略構成図である。
図15】変形例5における、給送時のニップ部の付勢力の変化を示す図である。
図16】変形例5における、給送時の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写部(画像形成部)、を示す。
また、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部(自動原稿搬送装置)、12、13は給紙カセット内に収容されたシートPを給送する給送装置、16はユーザーが手差しでセットしたシートPを給送する手差し給送装置、を示す。
また、17は転写部7に向けてシートPを搬送するレジストローラ対(搬送ローラ対)、20はシートP上に担持されたトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、31は装置本体1から排紙されたシートPが積載される排紙トレイ、を示す。
また、42、43は各給送装置12、13において昇降可能に構成された載置部(昇降板)、52は各給送装置12、13、16に設置された給送手段としての給送機構、を示す。
【0012】
図1を参照して、画像形成装置本体1における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送(給送)されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0013】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図1の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ対17により搬送されたシートP上に転写される。
【0014】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給送装置12、13のうち、1つの給送装置が自動又は手動で選択される(例えば、下段の給送装置13が選択されたものとする。)。そして、給送装置13に収納された用紙などのシートPの最上方の1枚が、給送機構52によって給送されて、搬送経路Kに向けて搬送される。その後、シートPは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路Kを通過して、レジストローラ対17の位置に達する。このとき、レジストローラ対17は、回転停止した状態であって、そのニップにシートPの先端が突き当たることで、シートPの斜行(スキュー)が補正されることになる。
なお、装置本体1の側方に設置された給送装置16(手差し給送装置)が選択された場合には、ユーザーによって給送装置16の載置部(手差しトレイ)に載置されたシートP(複数枚のシートPが積載された場合には、最上方のシートP)が、給送機構52(給送手段)によって搬送経路に向けて給送されて、レジストローラ対17の位置に達することになる。
【0015】
そして、レジストローラ対17の回転が開始されて、レジストローラ対17によって、斜行(スキュー)が補正された後のシートPが、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0016】
そして、転写工程後のシートPは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像が定着される(定着工程である)。トナー像が定着された定着工程後のシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出されて、出力画像として排紙トレイ31上に積載されることになる。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0017】
次に、図2図6等を用いて、本実施の形態における給送装置について詳述する。
なお、以下、装置本体1に内接された複数の給送装置12、13のうち、下段の給送装置13について説明するが、上段の給送装置12も設置位置が異なる点を除いて下段の給送装置13とほぼ同様の構成となっているため、その説明を省略することにする。
【0018】
図2等を参照して、給送装置13には、複数枚のシートPを積載できるように形成された載置部43(昇降板)、載置部43に載置されたシートPを給送するための給送手段としての給送機構52、等が設置されている。
載置部43は、回転中心軸43a(図1参照)を中心に正逆方向に回動することで、昇降するように構成されている。
また、図2図4を参照して、給送機構52は、フィードローラ53、ピックアップローラ54、分離ローラ55、トルクリミッタ65、給送モータ76、接離機構58、74、75、2つの駆動伝達経路81~84、85~88、等で構成されている。
【0019】
フィードローラ53は、載置部43に載置されたシートPに対して給送方向(図2の白矢印方向である。)の先端側に設置されていて、シートPの上面に接触してシートPの給送方向に沿うように回転(図2の反時計方向の回転である。)してシートPを一点鎖線矢印で示す給送方向に給送するものである。
図3を参照して、フィードローラ53は、第1シャフト61に片持ち支持によって設置されている。そして、給送モータ76(駆動モータ)からモータギア77、ギア78を介して第1シャフト61に駆動が伝達されて、フィードローラ53が第1シャフト61とともに図2の反時計方向に回転駆動されることになる。
【0020】
ピックアップローラ54は、載置部43に載置されたシートPの表面(上面)に当接した状態で、走行方向に沿うように図2の反時計方向に回転して、そのシートPをフィードローラ53の位置に向けて搬送するものである。
ピックアップローラ54に設置されたプーリと、フィードローラ53に設置されたプーリと、にはタイミングベルト59(図2参照)が張架・支持されている。そして、給送モータ76から、モータギア77、ギア78、第1シャフト61、フィードローラ53、タイミングベルト59を介して、ピックアップローラ54に駆動が伝達されて、ピックアップローラ54が図2の反時計方向に回転駆動されることになる。
【0021】
また、ピックアップローラ54は、載置部43に載置されたシートP(最上方のシートP1)に対して接離可能に構成されている。すなわち、ピックアップローラ54は、載置部43に載置されたシートPに対して、当接しない退避位置(図4(B)に示す位置である。)と、当接する当接位置(図2図4(A)に示す位置である。)と、の間を移動可能に形成されている。
詳しくは、図4等を参照して、ピックアップローラ54は、アーム58に回転可能に保持されている。アーム58は、フィードローラ53の軸部に回動可能に保持されている。アーム58の突出部58aには、ピックアップローラ54が退避位置に移動するように付勢するスプリング75や、ピックアップローラ54をスプリング75の付勢力に抗するように当接位置に移動させるソレノイド74、が接続されている。そして、制御部70に制御されて、ソレノイド74がオン状態になったときに図4(A)に示すようにピックアップローラ54が当接位置に移動して、ソレノイド74がオフ状態になったときに図4(B)に示すようにピックアップローラ54が退避位置に移動することになる。
なお、タイミングベルト59(図2参照)は、ピックアップローラ54の接離動作がおこなわれても、ピックアップローラ54のプーリとフィードローラ53のプーリとによって張架・支持されている。
【0022】
分離ローラ55は、フィードローラ53との間にニップ部を形成するように設置されている。
そして、分離ローラ55は、ニップ部に1枚のシートPが挟持されたときと、ニップ部にシートPが挟持されていないときと、には、給送方向に沿うように順方向(図2の破線矢印方向であって、時計方向である。)に回転する。
これに対して、分離ローラ55は、ニップ部に複数枚のシートが挟持されたときには、上述した順方向に対して逆方向(図2の実線矢印方向であって、反時計方向である。)に回転する。これにより、ニップ部に挟持された複数枚のシートPのうち最上方のシートP1がフィードローラ53の回転に沿って給送方向に給送されて、下方のシートP2が給送方向(順方向)に対して逆方向に搬送されて、シートPの重送が抑止される。
【0023】
さらに詳しくは、図3を参照して、分離ローラ55は、回転軸としての第2シャフト62に、トルクリミッタ65を介して設置されている。また、本実施の形態では、第2シャフト62(回転軸)を図2の反時計方向(逆方向)に回転駆動する2つの駆動伝達経路(第1駆動伝達経路81~84と、第2駆動伝達経路85~88と、である。)が設けられている。
そして、いずれかの駆動伝達経路から第2シャフト62に駆動が伝達されて、さらにトルクリミッタ65を介してその駆動が分離ローラ55に伝達されたり遮断されたりすることになる。
トルクリミッタ65は、分離ローラ55に所定値を超える回転負荷がかかると、分離ローラ55がトルクリミッタ65に対して相対的に空転するように構成されている。
【0024】
具体的に、トルクリミッタ65は、ニップ部(フィードローラ53と分離ローラ55との当接部である。)に1枚のシートPが挟持されたときと、ニップ部にシートPが挟持されていないときと、には、分離ローラ55にかかる回転負荷が比較的大きくなるため、第2シャフト62から分離ローラ55への駆動伝達を遮断する。このとき、分離ローラ55は、トルクリミッタ65に対して空転した状態になり、フィードローラ53の回転に沿うように図2の時計方向(順方向)に連れ回り(従動回転)することになる。
これに対して、トルクリミッタ65は、ニップ部に複数枚のシートPが挟持されたときには、シートP同士のすべりによって、分離ローラ55にかかる回転負荷が比較的小さくなるため、第2シャフト62から分離ローラ55に駆動を伝達する。これにより、分離ローラ55が図2の反時計方向(逆方向)に回転駆動されて、ニップ部に挟まれた複数枚のシートPのうち、最上方のシートP1を除く下方のシートが逆方向(図5(B)の黒矢印方向である。)に搬送されて載置部43に戻されることになる。
このような分離ローラ55の動作は、フィードローラ53と分離ローラ55とシートPとの相互間の摩擦係数の差を利用したものである。
このような構成により、フィードローラ53と分離ローラ55とのニップ部からシートPが重送されることなく、1枚のシートPが給送方向(搬送方向)に送出されることになる。
なお、分離ローラ55の第2シャフト62を回転駆動する2つの駆動伝達経路(第1駆動伝達経路81~84と、第2駆動伝達経路85~88と、である。)については、後で詳しく説明する。
【0025】
本実施の形態において、フィードローラ53とピックアップローラ54と分離ローラ55とは、それぞれ、軸部上にゴム材料(又は、樹脂材料)で形成されたローラ部(コロ部)が、軸方向に1つ(又は、複数分割して)形成されたものである。また、フィードローラ53とピックアップローラ54と分離ローラ55とは、それぞれ、シャフトに対してローラ部が着脱可能(交換可能)に形成されていて、ローラ部のメンテナンスを容易にできるようになっている。
【0026】
ここで、本実施の形態における給送装置13は、ピックアップローラ54が載置部43に積載された最上方のシートPに当接できるように、載置部43上に積載されるシートPの枚数によって、載置部43が上下方向に昇降する。そして、上下方向の位置が調整された載置部43に載置されたシートPの上面に当接する位置までピックアップローラ54が降下してから、シートPの給送動作がおこなわれることになる。
また、載置部43と、フィードローラ53と分離ローラ55とのニップ部と、の間には、入口ガイド板が設置されている。
また、本実施の形態における給送装置13には、載置部43上に載置されたシートPの幅方向(図2の紙面垂直方向である。)の位置を規制するサイドフェンスが設けられている。サイドフェンスは、シートPを挟むように幅方向両端部にそれぞれ設置されていて、手動移動機構によってシートPの幅方向のサイズに合わせて幅方向に移動可能に構成されている。
また、本実施の形態における給送装置13には、載置部43上に載置されたシートPの給送方向(図2の左右方向である。)の位置を規制するエンドフェンスが設けられている。エンドフェンスは、シートPの給送方向後端に当接するように設置されていて、手動移動機構によってシートPの給送方向のサイズに合わせて給送方向に移動可能に構成されている。
【0027】
このように構成された給送装置13において、載置部43にシートPがセットされていない状態では、その状態がエンド検知センサ95によって検知されて、制御部70によるソレノイド74の制御によってピックアップローラ54が退避位置(図4(B)に示す位置である。)に退避した状態になっている。
そして、載置部43にシートPがセットされると、その状態がエンド検知センサ95によって検知されて、制御部70によるソレノイド74の制御によってピックアップローラ54が退避位置から当接位置(図4(A)に示す位置である。)に向けて移動される。
そして、図2に示すように、載置部43に載置された最上方のシートPの上面にピックアップローラ54が当接した状態でピックアップローラ54の反時計方向の回転駆動が開始されて、同じタイミングでフィードローラ53と分離ローラ55との回転が開始される。これにより、ピックアップローラ54によって載置部43に載置されたシート束のうち最上方のシートPが、フィードローラ53と分離ローラ55とのニップ部に向けて搬送されて、さらにそのニップ部から1枚のシートPが画像形成部に向けて分離され搬送されることになる。
また、載置部43に載置されたすべてのシートPが給送されて載置部43にシートPがセットされていない状態になると、その状態がエンド検知センサ95によって検知されて、制御部70によるソレノイド74の制御によってピックアップローラ54が再び退避位置に移動することになる(図4(B)の状態である。)。
【0028】
図5は、給送装置13の動作の一例を示すものであって、ニップ部に複数枚のシートPが挟持されたときの動作を示す概略図である。
まず、図5(A)に示すように、載置部43にシートPがセットされると、載置部43が最適な位置に上昇した後に、制御部70によるソレノイド74の制御によってピックアップローラ54が退避位置から当接位置(図5(A)に示す位置である。)に向けて移動される。そして、図5(A)に示すように、載置部43に載置された最上方のシートP1の上面にピックアップローラ54が当接した状態でピックアップローラ54の反時計方向の回転駆動が開始されて、ピックアップローラ54によって載置部43に載置されたシートP1、P2がフィードローラ53と分離ローラ55とのニップ部に向けて搬送される。このとき、2枚のシートP1、P2が重送されてしまったものとする。また、ニップ部にシートP1、P2が挟まれていない状態では、トルクリミッタ65が空転した状態になって、分離ローラ55は時計方向に回転している。
【0029】
そして、図5(B)に示すように、重送された2枚のシートP1、P2がニップ部まで搬送されると、ピックアップローラ54は再び退避位置に移動することになる。このとき、ニップ部に2枚のシートP1、P2が挟まれることで、トルクリミッタ65が連結した状態になって、分離ローラ55は反時計方向に回転開始する。
そして、分離ローラ55が反時計方向に回転することで、図5(C)に示すように、下方のシートP2が分離ローラ55の回転に沿うように黒矢印方向に搬送される(載置部43に向けて戻される。)。また、上方のシートP1(最上方のシートP1)は、フィードローラ53の回転に沿うように白矢印方向に搬送される(画像形成装置本体1の搬送経路に向けて搬送される)。
そして、図5(D)に示すように、分離ローラ55によって載置部43に向けて戻された下方のシートP2がニップ部を抜けると、トルクリミッタ65が再び空転した状態になって、分離ローラ55が再び時計方向に回転する。
なお、図5(A)の状態からニップ部に複数のシートPが挟持されることなく1枚のシートPが挟持されるときには、図5(B)、(C)のように分離ローラ55が反時計方向に回転することなく、時計方向に従動回転したまま図5(D)に示すように最上方のシートP1が白矢印方向に搬送されることになる。
【0030】
以下、本実施の形態における給送装置13(画像形成装置1)において、特徴的な構成・動作について説明する。
図3に示すように、本実施の形態における給送装置13は、分離ローラ55(及び、トルクリミッタ65)が設置された回転軸としての第2シャフト62が、支持部64に回転可能に片持ち支持されている。
詳しくは、第2シャフト62(回転軸)は、その軸方向両端がそれぞれ回転可能に支持されているのではなくて、その軸方向一端側のみが軸受を介して側板90(給送装置13の筐体の一部である。)に回転可能に支持されている。したがって、その軸受が、第2シャフト62を片持ち支持する支持部64として機能することになる。そして、第2シャフト62の幅方向他端側(自由端側)に、分離ローラ55(及び、トルクリミッタ65)が設置されている。そして、先に図5等を用いて説明したように、シートPの重送を防止するために、ニップ部に挟持されるシートPの枚数によるフィードローラ53、分離ローラ55、シートPの相互に生じる摩擦係数の差によって、第2シャフト62に伝達された駆動がトルクリミッタ65を介して分離ローラ55に伝達されたり遮断されたりすることになる。
【0031】
ここで、図3に示すように、第2シャフト62(回転軸)には、軸方向の異なる位置に複数の従動ギア(第1従動ギア84と第2従動ギア88とである。)が設置されている。具体的に、複数の従動ギア84、88は、第2シャフト62において支持部64と分離ローラ55との間に間隔をあけて並設されている。
詳しくは、第1従動ギア84は、支持部64から軸方向に距離M1だけ離れた位置に設置されていて、第2従動ギア88は、支持部64から軸方向に距離M2(>M1)だけ離れた位置に設置されていて、分離ローラ55は、支持部64から軸方向に距離M0(>M2>M1)だけ離れた位置に設置されている。また、複数の従動ギア84、88は、それぞれ、ワンウェイクラッチ84a、88aを介して第2シャフト62(回転軸)に設置されている。本実施の形態では、2つの従動ギア84、88は、設置位置が異なるだけで、同等に構成されている。
【0032】
また、給送装置13には、複数の従動ギア84、88にそれぞれ噛合して複数の駆動伝達経路を形成する複数の駆動ギア(第1駆動ギア83と、第2駆動ギア87と、である。)が設置されている。
詳しくは、第1駆動ギア83は、第1駆動伝達経路を形成するように第1従動ギア84に噛合していて、第2駆動ギア87は、第2駆動伝達経路を形成するように第2従動ギア88に噛合している。複数の駆動ギア83、87は、それぞれ、アイドラギアであって、非回転の第3シャフト63に回転可能に保持されている。本実施の形態では、2つの駆動ギア83、87は、設置位置が異なるだけで、同等に構成されている。
【0033】
また、給送装置13には、複数の駆動ギア83、87にそれぞれ駆動を伝達するモータギア82、86を具備した複数のモータ(第1モータ81と、第2モータ85と、である。)が設置されている。
詳しくは、第1モータ81のモータ軸には、第1駆動ギア83に噛合する第1モータギア82が設置されていて、第2モータ85のモータ軸には、第2駆動ギア87に噛合する第2モータギア86が設置されている。本実施の形態では、2つのモータギア82、86は、設置位置が異なるだけで、同等に構成されている。
2つのモータ81、85は、エンコーダ付きのDCモータ、又は、ステッピングモータであって、その回転数を可変制御できるように構成されている。特に、本実施の形態では、第2モータ85の回転数を、第1モータ81の回転数に対して、僅かに遅くしたり僅かに速くしたり制御できるように構成している。
【0034】
このように、本実施の形態における給送装置13には、第1モータ81から第1モータギア82、第1駆動ギア83、第1従動ギア84を介して第2シャフト62に駆動を伝達する第1駆動伝達経路81~84と、第2モータ85から第2モータギア86、第2駆動ギア87、第2従動ギア88を介して第2シャフト62に駆動を伝達する第2駆動伝達経路85~88と、の2つの駆動伝達経路が形成されていることになる。
【0035】
そして、本実施の形態では、制御部70が、複数の駆動伝達経路81~84、85~88のうちいずれか1つの駆動伝達経路を選択可能に切替えて、その他の駆動伝達経路を遮断する切替手段として機能することになる。
詳しくは、制御部70(切替手段)は、複数のモータ81、85の回転数の比率を可変することで、2つの駆動伝達経路のうち1つを駆動伝達経路として選択して用いて、もう1つの駆動伝達経路を遮断して用いないようにする。
【0036】
具体的に、本実施の形態では、第1駆動伝達経路81~84を選択して用いて第2シャフト62を回転駆動するときには、図6(A)に示すように、制御部70によって、第2モータ85の回転数が第1モータ81の回転数よりも僅かに小さくなるように、第2モータ85を制御する。これにより、第2従動ギア88は、その回転数が第1従動ギア84の回転数よりも小さくなるため、ワンウェイクラッチ88aによって第2シャフト62への駆動伝達が遮断される。すなわち、第2従動ギア88は、第2シャフト62に対して相対的に空転することになる。
これに対して、第2駆動伝達経路85~88を選択して用いて第2シャフト62を回転駆動するときには、図6(B)に示すように、制御部70によって、第2モータ85の回転数が第1モータ81の回転数よりも僅かに大きくなるように、第2モータ85を制御する。これにより、第1従動ギア84は、その回転数が第2従動ギア88の回転数よりも小さくなるため、ワンウェイクラッチ84aによって第2シャフト62への駆動伝達が遮断される。すなわち、第1従動ギア84は、第2シャフト62に対して相対的に空転することになる。このとき、第2シャフト62の回転数は僅かに大きくなることになるが、それによって分離ローラ55の機能に影響がでることはない。
なお、本実施の形態では、第1モータ81の回転数を一定にして、第2モータ85の回転数を可変することで、駆動伝達経路の切替えをおこなったが、2つの従動ギア84、88に回転数の差異が生じるように2つのモータ81、85の回転数の比率を可変制御できれば、どのような形態であっても良い。
【0037】
そして、このように制御部70(切替手段)によって複数の駆動伝達経路81~84、85~88のうちいずれか1つの駆動伝達経路が選択された状態で、その駆動伝達経路における従動ギアが駆動ギアから受ける力F0によって、図6に示すように、分離ローラ55がフィードローラ53に向けて付勢されることになる。
詳しくは、従動ギア84、88と駆動ギア83、87とは、互いに上方から下方に向かう方向に噛合するのではなくて、互いに下方から上方に向かう方向に噛合するため、従動ギア84、88が駆動ギア83、87から受ける力F0は図6の白矢印方向(上方)に向けて作用することになる。そして、この白矢印方向の力F0が、支持部64を支点とした力のモーメントによって、分離ローラ55をフィードローラ53に向けて上方に付勢する力F1(又は、F2)として作用することになる。
【0038】
そして、制御部70(切替手段)によって駆動伝達経路が切替えられることによって、分離ローラ55がフィードローラ53に向けて付勢される付勢力が可変されることになる。
具体的に、図3図6(A)を参照して、第1駆動伝達経路81~84が選択された場合には、第1従動ギア84と第1駆動ギア83との噛み合いによる力F0によって分離ローラ55の付勢力F1(接触力)が定まることになる。このときの付勢力F1は、図3に示す距離関係より、F1=F0×M1/M0となる。なお、このとき、第2従動ギア88は空転しているため、第2従動ギア88と第2駆動ギア87との噛み合いによる力F0によって分離ローラ55が付勢されることはない。
これに対して、図3図6(B)を参照して、第2駆動伝達経路85~88が選択された場合には、第2従動ギア88と第2駆動ギア87との噛み合いによる力F0によって分離ローラ55の付勢力F2(接触力)が定まることになる。このときの付勢力F2は、図3に示す距離関係より、F2=F0×M2/M0となり、第1駆動伝達経路81~84を選択した場合の付勢力F1より大きくなる(F2>F1)。このようにして、分離ローラ55の付勢力が可変されることになる。なお、このとき、第1従動ギア84は空転しているため、第1従動ギア84と第1駆動ギア83との噛み合いによる力F0によって分離ローラ55が付勢されることはない。
【0039】
このように分離ローラ55の付勢力を可変する理由は、分離ローラ55のローラ表面に多くの紙粉が付着してしまったときなどに、分離ローラ55のローラ表面の摩擦係数が低下してしまって、分離ローラ55が順方向に正常に連れ回り(従動回転)しなくなってしまうことがあるためである。
これに対して、本実施の形態では、駆動伝達経路を切替えて第2シャフト62に駆動を伝達する従動ギアの軸方向の位置を、制御部70(切替手段)による制御によって調整できるように構成している。そのため、分離ローラ55のローラ表面の摩擦係数が低下した分を補うように、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力(接触圧)を増加させて、連れ回り時における分離ローラ55の回転不良を軽減することができる。したがって、シートPがニップ部に正常に送入又は送出されないなどの給送不良も生じにくくなる。
特に、本実施の形態では、制御部70(切替手段)による第2モータ85の制御によって分離ローラ55の付勢力を調整できるように構成しているため、その調整作業に大きな時間や手間がかかってしまうことがなく、効率的に調整作業をおこなうことができる。
【0040】
ここで、本実施の形態において、分離ローラ55の累積駆動時間(新品時又はメンテナンス後からの累積駆動時間である。)が所定値に達したときに、分離ローラ55の付勢力が大きくなるように、制御部70(切替手段)によって駆動伝達経路を切替えることもできる。
分離ローラ55のローラ表面に多くの紙粉が付着してしまって分離ローラ55の回転不良が生じる現象は、新品時又はメンテナンス後から分離ローラ55をある程度使い込んでから生じやすいため、経時においても分離ローラ55の機能を安定的に維持するために、このような制御が有用になる。
なお、分離ローラ55の累積駆動時間は、タイマー73(図2参照)によって直接的に検知することもできるし、シートPの通紙枚数をカウントするカウンタ72(図2参照)によって間接的に検知することもできる。
【0041】
また、本実施の形態において、ユーザーなど操作者の操作パネル100(図1図2参照)の操作によって駆動伝達経路を切替えることができるように制御部70(切替手段)を構成することもできる。
分離ローラ55の表面への紙粉の付着状況は、通紙するシートPの種類などによっても大きく変動する。例えば、シートPとして紙粉が生じやすい再生紙などが用いられた場合には、分離ローラ55の表面に紙粉が付着しやすくなって、分離ローラ55の回転不良が生じやすくなる。
操作パネル100(例えば、パネル上に、給送不良を改善するための選択ボタンが設けられている。)の操作によって、任意のタイミングで駆動伝達経路を切替えることができるように構成することで、種々の状況に柔軟に対応することが可能になる。
【0042】
<変形例1>
図7は、変形例1としての給送装置13の駆動系を示す概略構成図であって、本実施の形態における図3に対応する図である。
変形例1の給送装置13は、駆動系の構成が、本実施の形態のものと異なる。
図7に示すように、変形例1の給送装置13には、本実施の形態のものと同様に、複数の従動ギア84、88がそれぞれワンウェイクラッチ84a、88aを介して第2シャフト62(回転軸)に設置されている。
しかし、複数の駆動ギアのうち、1つの駆動ギア(第1駆動ギア89である。)は軸部材としての第3シャフト63とともに回転するように構成されていて、その他の駆動ギア(第2駆動ギア87である。)は本実施の形態のものと同様にアイドラギアとなっている。
そして、第2駆動ギア87(その他の駆動ギア)は、本実施の形態のものと同様に、第2モータ85の第2モータギア86に駆動を伝達されるように構成されている。すなわち、変形例1における第2駆動伝達経路85~88は、本実施の形態のものと同様に構成されている。
しかし、変形例1において、第3シャフト63(軸部材)は、フィードローラ53の駆動源となる給送モータ76を駆動源として、第1駆動ギア89(1つの駆動ギア)とともに回転駆動されるように構成されている。具体的に、給送モータ76からギア列77~79を介して、第3シャフト63に駆動が伝達されて第1駆動ギア89が回転駆動することになる。すなわち、給送モータ76を駆動源とした第1駆動伝達経路76~79、63、89、84が形成されることになる。
そして、切替手段としての制御部70は、第2モータ85と給送モータ76との回転数の比率を可変することになる。具体的には、変形例1においても、第2モータ85の回転数を可変して、第1従動ギア84の回転数に比べて第2従動ギア88の回転数を小さくしたり、第1従動ギア84の回転数に比べて第2従動ギア88の回転数を大きくしたりすることで、分離ローラ55の付勢力を調整している。
そして、変形例1においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。特に、変形例1では、給送装置13におけるモータの数が少なくなるため、装置を低コスト化することができる。
【0043】
<変形例2>
図8は、変形例2としての給送装置13の駆動系を示す概略構成図であって、本実施の形態における図3に対応する図である。
変形例2の給送装置13は、駆動系の構成が、本実施の形態のものと異なる。
図8に示すように、変形例2の給送装置13は、複数の従動ギアのうち、1つの従動ギア(第1従動ギア84である。)はワンウェイクラッチ84aを介して第2シャフト62(回転軸)に設置されていて、その他の従動ギア(第2従動ギア98である。)は第2シャフト62とともに回転するように設置されている。すなわち、第2従動ギア98には、ワンウェイクラッチは設けられていない。
また、複数の駆動ギアのうち、1つの駆動ギア(第1従動ギア84に噛合する第1駆動ギア89である。)は軸部材としての第3シャフト63とともに回転するように構成されていて、その他の駆動ギア(第2駆動ギア97である。)は電磁クラッチ96を介して第3シャフト63に設置されている。電磁クラッチ96は、オン時には第3シャフト63の回転を第2駆動ギア97に伝達して、オフ時には第3シャフト63の回転を第2駆動ギア97に伝達せずに第2駆動ギア97を第3シャフト63に対して相対的に空転させるものである。また、そして、第3シャフト63(軸部材)を駆動するモータ(給送モータ76である。)が設置されている。
そして、電磁クラッチ96がオンされたときに、第2従動ギア98(その他の従動ギア)の回転数が第1従動ギア84(1つの従動ギア)の回転数よりも大きくなるように構成されている。
そして、切替手段としての制御部70によって、電磁クラッチ96がオン・オフされることで、駆動伝達経路が切替えられて、分離ローラ55の付勢力が調整されることになる。
具体的に、電磁クラッチ96がオフされたときには、第1駆動伝達経路76~79、63、89、84が選択されて第2シャフト62が回転駆動されることになる。このとき、第2従動ギア98は、第2シャフト62とともに回転して、それにより第2駆動ギア97も回転することになるが、電磁クラッチ96がオフされているため、第2駆動ギア97は第3シャフト63の回転とは無関係にアイドラギアのように回転することになる。
これに対して、電磁クラッチ96がオンされたときには、第2駆動伝達経路76~79、63、96~98が選択されて第2シャフト62が回転駆動されることになる。このとき、第2従動ギア98の回転数は第1従動ギア84の回転数よりも大きいため、ワンウェイクラッチ84aによって第1従動ギア84は空転することになる。
そして、変形例2においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。特に、変形例2では、第2モータの回転数を可変するのではなくて、電磁クラッチ96のオン・オフの切替によって、駆動伝達経路を切替えているため、切替えの応答性を高めることができる。
【0044】
<変形例3>
図9は、変形例3としての給送装置13の駆動系を示す概略構成図であって、本実施の形態における図3に対応する図である。
変形例3の給送装置13は、駆動系の構成が、前記変形例2のものと異なる。
図9に示すように、変形例3の給送装置13は、複数の従動ギアのうち少なくとも1つ(第2従動ギア98である。)が、対応する第2駆動ギア97との軸方向の噛合い位置を可変できるように、軸方向に移動可能に構成されている。詳しくは、第2従動ギア98を図9の両矢印方向に手動で移動できるように構成されている。
このように構成することにより、第2駆動伝達経路76~79、63、96~98が選択されているときに、さらに第2従動ギア98を軸方向に移動させることで、分離ローラ55の付勢力を細かく調整することができる。具体的に、第2駆動伝達経路76~79、63、96~98が選択されているときに、分離ローラ55の付勢力をさらに増加させたいときには第2従動ギア98を図9の左方に移動させて、分離ローラ55の付勢力を減少させたいときには第2従動ギア98を図9の右方に移動させることになる。
そして、変形例3においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。特に、変形例3の構成は、手動操作するのは従動ギアのみであるため、手動操作によりかかる手間と時間はそれほど大きなものにはならず、分離ローラ55の付勢力を微調整したいときに有用となる。
なお、このように従動ギアを軸方向に移動可能にする構成は、第1駆動伝達経路に用いることもできるし、本実施の形態や変形例1の構成のものにも用いることができる。
【0045】
<変形例4>
図10は、変形例4としての給送装置13の駆動系を示す概略構成図であって、本実施の形態における図3に対応する図である。また、図11は、その給送装置13における給送時のニップ部の付勢力の変化を示す図である。図12は、その給送装置13における給送時の制御を示すフローチャートである。さらに、図13は、別形態の検知手段が設置された給送装置13の要部を示す概略図である。
変形例4の給送装置13は、一連の給送動作においてフィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力が可変される点が、本実施の形態のものと異なる。
変形例4における給送装置13には、図10図11に示すように、フィードローラ53と分離ローラ55とのニップ部にシートPが挟持されているか否かを検知する検知手段としての反射型フォトセンサ99が設置されている。この反射型フォトセンサ99は、発光素子と受光素子とを備え、ニップ部に対して軸方向に外れた位置に向けて発光素子から光を照射するものである。そして、反射型フォトセンサ99は、ニップ部にシートPがある場合にはシートPで反射した光を受光素子で受光して、ニップ部にシートPがない場合には受光素子で反射光を受光しないで、受光量に応じた出力の変化によってシートPの有無を検知する。
そして、制御部70(切替手段)は、図11(A)に示すように、反射型フォトセンサ99(検知手段)によってニップ部にシートPが挟持されていない状態が検知されたときに、図11(B)に示すようにニップ部にシートPが挟持されている状態が検知されたときに比べて、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力が大きくなるように、第1、第2モータ81、85を制御することにより、駆動伝達経路81~84、85~88を切替える。
具体的に、給送装置13において給送動作が開始されて、図11(A)に示すように、ニップ部にシートPが達するまでは、第1モータ81の回転数が第2モータ85の回転数よりも小さくなるように制御して、第2駆動伝達経路85~88を選択する。これにより、ニップ部にシートPが達するまでは、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力F2が大きくなる。そして、図11(B)に示すように、ニップ部にシートPが挟持されると、第1モータ81の回転数が第2モータ85の回転数よりも大きくなるように制御して、第1駆動伝達経路81~84を選択する。これにより、ニップ部にシートPが挟持された状態では、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力F1が小さくなる。
【0046】
すなわち、図12に示すように、給送装置13において給送動作が開始されると、反射型フォトセンサ99による検知によってニップ部にシートPが有るかが判別され(ステップS1)、シートPが無いものと判別された場合には第1モータ81の回転数が第2モータ85の回転数よりも小さくなるように制御して(ステップS2)、シートPが有るものと判別された場合には第1モータ81の回転数が第2モータ85の回転数よりも大きくなるように制御する(ステップS3)。そして、このような制御が一連の給送動作が終了するまで繰り返される(ステップS4)。
このような制御をおこなうのは、ニップ部にシートPが挟持されていない状態のときは、ニップ部にシートPが挟持されている状態のときに比べて、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力が同じであっても、シートPが挟持されていない分だけニップ圧が小さくなって、分離ローラ55の順方向の回転不良が生じやすくなるためである。
変形例4では、ニップ部にシートPが挟持されていない状態のときに、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力が大きくなるように制御しているため、分離ローラ55の順方向の回転不良が生じてニップ部に向けてシートPが正常に送入されずに給送不良となる不具合を軽減することができる。
【0047】
なお、変形例4において、ニップ部にシートPが挟持されているか否かを検知する検知手段は、図10図11にて説明した反射型フォトセンサ99の代わりに、図13(A)に示すように、ニップ部に送入されるシートPに押動されるフィラー102を検知する透過型フォトセンサ101を用いることもできる。具体的に、フィラー102は、給送装置13の筐体に支軸を中心に回動可能に支持されている。そして、フィラー102は、ニップ部にシートPがない場合には、図13(A)において実線で示すように、透過型フォトセンサ101の発光素子から受光素子に至る光路を妨げない位置にある。これに対して、フィラー102は、ニップ部にシートPがある場合には、図13(A)において破線で示すように、透過型フォトセンサ101の発光素子から受光素子に至る光路を妨げる位置に回動する。こうして、ニップ部にシートPが挟持されているか否かが検知される。このような透過型フォトセンサ101(及び、フィラー102)を用いた場合には、フィードローラ53と分離ローラ55とのニップ部が大きなニップ幅になってしまうような場合であっても、シートPの有無を精度良く検知しやすくなる。
また、図13(B)に示すように、ニップ部にシートPが挟持されているか否かを検知する検知手段として、ニップ部に対して給送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設置された一対の反射型センサ103、104を用いることもできる。このような一対の反射型センサ103、104を用いた場合には、シートPの検知の応答性を高めることができる。
【0048】
<変形例5>
図14は、変形例5としての給送装置13の駆動系を示す概略構成図であって、本実施の形態における図3に対応する図である。また、図15は、その給送装置13における給送時のニップ部の付勢力の変化を示す図である。図16は、その給送装置13における給送時の制御を示すフローチャートである。
変形例5の給送装置13は、シートPの重送が生じたときにフィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力が可変される点が、本実施の形態のものと異なる。
図14に示すように、変形例5の給送装置13は、第1、第2駆動伝達経路81~84、85~88に加えて、第3駆動伝達経路181~184が設けられている。第3駆動伝達経路181~184は、第3モータ181から第3モータギア182、第3駆動ギア183、第3従動ギア184を介して第2シャフト62に駆動を伝達するものである。第3従動ギア184は、第1従動ギア84よりも支持部64に近い位置で、ワンウェイクラッチ184aを介して第2シャフト62に設置されている。第3駆動伝達経路181~184は、軸方向の位置を除き、第1、第2駆動伝達経路81~84、85~88と同等に構成されている。したがって、制御部70による第1~第3モータ81、85、181に制御により、駆動伝達経路を切り替えて、第3駆動伝達経路181~184、第1駆動伝達経路81~84、第2駆動伝達経路85~88の順に、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力を大きくすることができる。
【0049】
一方、変形例5における給送装置13には、図14図15に示すように、フィードローラ53と分離ローラ55とのニップ部から複数枚のシートPが重送されているか否かを検知する検出手段としての超音波センサ105が設置されている。
この超音波センサ105(検出手段)は、ニップ部に対して給送方向下流側に設置されていて、超音波発振部から所定の周波数の振動を空気中に伝えて、その振動の伝わり方(減衰量)の変化を受信部で読み取ることで、ニップ部から送出されたシートPが1枚であるか2枚以上で重送されたものであるかを検出するものである。
そして、制御部70(切替手段)は、図15(B)に示すように、超音波センサ105(検出手段)によって重送が検出されたときに、図15(A)に示すように1枚のシートPの給送が検出されたとき(重送が検出されなかったとき)に比べて、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力が小さくなるように、第1、第3モータ81、181(又は、第1、第2モータ81、85)を制御することにより、第1、第3駆動伝達経路81~84、181~184(又は、第1、第2駆動伝達経路81~84、85~88)を切替える。
ここで、初期的な設定は、標準設定として第1駆動伝達経路81~84が選択されて、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力が中程度の大きさF1となるように制御される。具体的に、給送装置13において給送動作が開始されて、図15(A)に示すように、超音波センサ105によって重送なく給送された状態が検出されると、第1駆動伝達経路81~84が選択される。これにより、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力F1が標準設定のままになる。これに対して、給送装置13において給送動作が開始されて、図15(B)に示すように、超音波センサ105によって重送が検出されると、第3駆動伝達経路181~184が選択される。これにより、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力F3が小さくなる。
【0050】
すなわち、図16に示すように、給送装置13において給送動作が開始されると、超音波センサ105による検出によって重送が有るかが判別され(ステップS11)、重送が無いものと判別された場合には第2、第3モータ85、181の回転数が第1モータ81の回転数よりも小さくなるように制御して(ステップS12)、重送が有るものと判別された場合には第1、第2モータ81、85の回転数が第3モータ181の回転数よりも小さくなるように制御する(ステップS13)。そして、このような制御が一連の給送動作が終了するまで繰り返される(ステップS14)。したがって、重送が生じて第3駆動伝達経路181~184が選択された後に重送が解消すると、標準設定である第1駆動伝達経路81~84が再び選択されることになる。
このような制御をおこなうのは、フィードローラ53に対する分離ローラ55の付勢力を弱めることで、重送が生じにくくなるためである。
【0051】
ここで、変形例5では、分離ローラ55の順方向の回転不良が生じるような場合に、本実施の形態のものと同様に、標準設定である第1駆動伝達経路81~84から第2駆動伝達経路85~88に切り替えられることになる。したがって、変形例5では、分離ローラ55の順方向の回転不良を軽減するとともに、重送の発生を軽減することができる。
なお、変形例5において、重送が生じているか否かを検知する検出手段は、図14図15にて説明した超音波センサ105の代わりに、分離ローラ55の変位を検出する測距センサや接触式センサ、ニップ部から送出されるシートPの厚さ(位置)を検出する測距センサや接触式センサ、などを用いることもできる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態における給送装置13は、フィードローラ53との間にニップ部を形成するように設置された分離ローラ55と、支持部64に回転可能に片持ち支持されて分離ローラ55が設置された第2シャフト62(回転軸)と、第2シャフト62において軸方向の異なる位置に設置された複数の従動ギア84、88と、複数の従動ギア84、88にそれぞれ噛合して複数の駆動伝達経路81~84、85~88を形成する複数の駆動ギア83、87と、が設置されている。そして、複数の駆動伝達経路81~84、85~88のうちいずれか1つの駆動伝達経路を選択可能に切替えて、その他の駆動伝達経路を遮断する制御部70(切替手段)が設けられている。
これにより、分離ローラ55の順方向の回転不良を効率的に軽減することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される給送装置13に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される給送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される給送装置13に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に設置される給送装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、画像形成装置1の内部に設置された給送装置13に対して本発明を適用したが、画像形成装置1の外部に露呈するように設置される手差し用の給送装置16に対しても本発明を適用することができるし、給送装置としての原稿搬送部10(自動原稿搬送装置)に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、2つの駆動伝達経路81~84、85~88のうち1つの駆動伝達経路を選択するように構成したが、3つ以上の駆動伝達経路のうち1つの駆動伝達経路を選択するように構成することもできる。
また、本実施の形態では、2つの駆動伝達経路81~84、85~88を構成するそれぞれのギア列82~84、86~88を同等に構成したが、それらのギア列は同等でなくても、駆動伝達経路を切替えたときに2つの従動ギアの回転数の大小関係が逆転するような構成になっていれば良い。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0056】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、通常の用紙(紙)の他に、コート紙、ラベル紙、OHPシート、金属シート、フィルム、プリプレグ、布、等のシート状の記録媒体のすべてを含むものと定義する。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
13 給送装置、
52 給送機構(給送手段)、
53 フィードローラ、
54 ピックアップローラ、
55 分離ローラ(リバースローラ)、
61 第1シャフト、
62 第2シャフト(回転軸)、
63 第3シャフト(軸部材)、
64 支持部、
65 トルクリミッタ、
70 制御部(切替手段)、
76 給送モータ、
81 第1モータ、
82 第1モータギア、
83 第1駆動ギア(駆動ギア)
84 第1従動ギア(従動ギア)、
84a ワンウェイクラッチ、
85 第2モータ、
86 第2モータギア、
87 第2駆動ギア(駆動ギア)
88 第2従動ギア(従動ギア)、
88a ワンウェイクラッチ、
89 第1駆動ギア(1つの駆動ギア)、
96 電磁クラッチ、
97 駆動ギア(その他の駆動ギア)、
98 従動ギア(その他の従動ギア)。
P シート。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【文献】特開2014-111504号公報
【文献】実公平2-8915号公報
図1
図2
図3
図4
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