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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】レーザ装置及び光源装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02208 20210101AFI20220302BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20220302BHJP
   H01S 3/0941 20060101ALI20220302BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
H01S5/02208
H01S3/067
H01S3/0941
H01S5/40
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018537593
(86)(22)【出願日】2017-09-05
(86)【国際出願番号】 JP2017031902
(87)【国際公開番号】W WO2018043752
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2016173114
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】石毛 悠太
(72)【発明者】
【氏名】片山 悦治
(72)【発明者】
【氏名】小栗 淳司
(72)【発明者】
【氏名】森 肇
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-220191(JP,A)
【文献】特開2004-342779(JP,A)
【文献】特開2013-235943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0245315(US,A1)
【文献】特開2001-116958(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193150(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
H01S 3/00-3/30
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、
前記底板部上に設置された半導体レーザ素子と、
前記底板部に対して上向きに設けられ、外部と電気的に接続可能な端子部と
前記底板部を有する筐体と
を有し、
前記端子部が、前記筐体の外部に突出する外部接続部を有し、
前記外部接続部が、絶縁体で構成された絶縁部を有し、
前記筐体が、前記底板部に対向する天板部を有し、
前記天板部には、前記外部接続部に対応する開口部が設けられ、
前記外部接続部が、導体で構成された導体部を有し、
前記導体部と前記開口部とが前記絶縁部を介して接触し、
前記外部接続部に螺合するねじにより前記外部接続部に導体部品が接触しつつ固定され 、前記導体部品を介して前記外部接続部が前記外部と電気的に接続され、
前記外部接続部が、前記開口部を介して前記筐体の前記外部に部分的に突出していることを特徴とするレーザ装置。
【請求項3】
記筐体が、前記半導体レーザ素子を収容しており、
前記端子部が、前記筐体内の前記底板部上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記導体部品が、バスバー又は導体棒であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項5】
一方の前記レーザ装置と、他方の前記レーザ装置とが、前記導体部品により電気的に接 続されて直列に接続されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の光源装置と、
増幅用光ファイバと、
前記光源装置の前記複数のレーザ装置から出力されるレーザ光を前記増幅用光ファイバに入射させる入射部と
を有することを特徴とする光ファイバレーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ素子を有するレーザ装置、及び複数のレーザ装置を有する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザは、消費電力が小さい、小型である等の特徴を有しており、光通信、光記録、物質加工等の様々な分野において広く利用されるに至っている。半導体レーザが実装された半導体レーザモジュールとしては、パッケージ内に複数の半導体レーザが設けられたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5730814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光ファイバを利得媒質として用いた光ファイバレーザの高出力化のため、励起光源の高出力化が要請されている。励起光源の高出力化は、複数の半導体レーザモジュールを配列して励起光源を構成することにより実現しうる。
【0005】
しかしながら、従来の半導体レーザモジュールでは、リードピン等の棒状の電極がパッケージの筐体の側壁部から突出していた。このため、複数の半導体レーザモジュールが配列された光源装置では、そのフットプリントが増大し、省スペース化が困難になっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フットプリントを低減して省スペース化を実現することができるレーザ装置及び光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、底板部と、前記底板部上に設置された半導体レーザ素子と、前記底板部に対して上向きに設けられ、外部と電気的に接続可能な端子部とを有することを特徴とするレーザ装置が提供される。
【0008】
本発明の他の観点によれば、上記の複数のレーザ装置と、前記複数のレーザ装置が設置された設置面を有するベース部材とを有することを特徴とする光源装置が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の観点によれば、上記の光源装置と、増幅用光ファイバと、前記光源装置の前記複数のレーザ装置から出力されるレーザ光を前記増幅用光ファイバに入射させる入射部とを有することを特徴とする光ファイバレーザが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フットプリントを低減して省スペース化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、本発明の第1実施形態によるレーザ装置を示す概略図である。
図1B図1Bは、本発明の第1実施形態によるレーザ装置を示す概略図である。
図2A図2Aは、本発明の第1実施形態による光源装置を示す概略図である。
図2B図2Bは、本発明の第1実施形態による光源装置を示す概略図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態による光源装置を励起光源として用いた光ファイバレーザを示す概略図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態によるレーザ装置を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態による光源装置を示す平面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態によるレーザ装置を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の第4実施形態によるレーザ装置を示す斜視図である。
図8図8は、本発明の第5実施形態による光源装置を示す平面図である。
図9図9は、本発明の第6実施形態によるレーザ装置を示す分解斜視図である。
図10図10は、本発明の第6実施形態によるレーザ装置における電子部品及び端子部を示す拡大斜視図である。
図11A図11Aは、参考例によるレーザ装置を示す概略図である。
図11B図11Bは、参考例によるレーザ装置を示す概略図である。
図12図12は、参考例による光源装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態によるレーザ装置及び光源装置について図1A乃至図2Bを用いて説明する。
【0013】
まず、本実施形態によるレーザ装置の構成について図1A及び図1Bを用いて説明する。図1Aは、本実施形態によるレーザ装置を示す斜視図である。図1Bは、本実施形態によるレーザ装置を示す分解斜視図である。
【0014】
本実施形態によるレーザ装置は、レーザ素子として複数の半導体レーザ素子を有する半導体レーザモジュールである。図1A及び図1Bに示すように、本実施形態によるレーザ装置10は、複数の半導体レーザ素子12と、複数の半導体レーザ素子12に対応して設けられた光学系14を有している。また、本実施形態によるレーザ装置10は、複数の半導体レーザ素子12、光学系14等を収容するパッケージの筐体16を有している。さらに、本実施形態によるレーザ装置10は、レーザ光が出力される出力部18と、それぞれ外部と電気的に接続可能な端子部20、22とを有している。
【0015】
筐体16は、例えば扁平な略直方体状の形状を有し、底板部24と、蓋部26とを有している。蓋部26は、筐体16の一方の方向である長手方向において互いに対向する前側壁部28及び後側壁部30と、筐体16の一方の方向と交差する方向である短手方向において互いに対向する左側壁部32及び右側壁部34とを有している。さらに、蓋部26は、底板部24に対向するように各側壁部28、30、32、34上に設けられた天板部36を有している。蓋部26は、内部空間を空けて、底板部24の底面上に設けられた複数の半導体レーザ素子12、光学系14等を覆うように底板部24上に固定されている。なお、筐体16の形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状を採用することができる。
【0016】
筐体16内には、複数の半導体レーザ素子12、光学系14及び後述の集光レンズ64が収容されている。また、筐体16内には、後述するように端子部20、22の筐体16外に突出した部分以外の部分が収容されている。
【0017】
底板部24は、後述するように、レーザ装置10を基板上に設置する際に、基板の設置面上にその下面を接触させて設置される部分である。底板部24上には、段差部38が設けられている。段差部38は、階段状になっており、筐体16の前後方向に沿って並ぶように設けられた複数の段40を有している。段差部38の複数の段40は、前方から後方に向かうに従って段々に高くなっている。段差部38は、底板部24と一体的に形成されていてもよいし、はんだ付け等により底板部24に固定された別部品であってもよい。
【0018】
底板部24上及び段差部38の複数の段40上には、複数の半導体レーザ素子12が設置されている。複数の半導体レーザ素子12は、例えば、互いに発振波長、出力その他のレーザ特性を同じくする同一の半導体レーザ素子である。なお、複数の半導体レーザ素子12の数は、特に限定されるものではなく、レーザ装置10に要求されるレーザ出力等に応じて適宜設定することができる。
【0019】
複数の半導体レーザ素子12は、別々のチップに形成された互いに別個独立の素子である。各半導体レーザ素子12は、例えば、サブマント42上にはんだ付け等により固定されて搭載されたチップオンサブマウント(Chip On Submount、COS)の形態で、底板部24上及び段差部38の複数の段40上に設置されている。
【0020】
底板部24上及び段差部38の複数の段40上に設置された複数の半導体レーザ素子12は、筐体16の長手方向に沿って一列に配列されている。一列に配列された複数の半導体レーザ素子12の間には、段差部38による高低差が設けられている。複数の半導体レーザ素子12は、それぞれレーザ光の出力方向が筐体16の短手方向になるように配置されている。一列に配列された複数の半導体レーザ素子12は、その配列に対して同じ一方の側にレーザ光を出力するように配置されている。なお、複数の半導体レーザ素子12の配列は、一列のみならず、複数列設けられていてもよい。
【0021】
複数の半導体レーザ素子12の配列においては、隣接する半導体レーザ素子12の電極がワイヤボンディング等により電気的に接続されている。これにより、複数の半導体レーザ素子12が直列に接続されている。なお、半導体レーザ素子12を電気的に接続する方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができるが、例えば特開2015-185667号公報に記載されるワイヤボンディングによる方法を用いることができる。
【0022】
複数の半導体レーザ素子12の配列の前方側において、筐体16内の底板部24上には、端子部20が設けられている。また、複数の半導体レーザ素子12の配列の後方側において、筐体16内の底板部24上には、端子部22が設けられている。端子部20、22は、それぞれ外部の駆動電源に電気的に接続可能であり、駆動電源により複数の半導体レーザ素子12のそれぞれに駆動電流を印加するためのものである。端子部20、22のうち、一方が駆動電源の正極端子に接続され、他方が駆動電源の負極端子に接続される。
【0023】
端子部20、22は、それぞれ、素子接続部44と、素子接続部44と電気的に接続された外部接続部46とを有している。端子部20、22は、それぞれ外部との電気的な接続に際してねじを利用する接続形式のものである。
【0024】
各端子部20、22の素子接続部44は、底板部24上に設けられている。このように、各端子部20、22の一部である素子接続部44が、底板部24に設けられている。各端子部20、22の素子接続部44は、シート状導体48をそれぞれ有している。シート状導体48は、底板部24に平行に設けられている。シート状導体48は、直列に接続された複数の半導体レーザ素子12の配列における端部の半導体レーザ素子12の電極に、例えばワイヤボンディングによるワイヤを介して電気的に接続されている。
【0025】
より具体的には、端子部20における素子接続部44のシート状導体48は、直列に接続された複数の半導体レーザ素子12の配列における前側の端部の半導体レーザ素子12の電極に、ワイヤボンディングによるワイヤを介して電気的に接続されている。また、端子部22における素子接続部44のシート状導体48は、直列に接続された複数の半導体レーザ素子12の配列における後側の端部の半導体レーザ素子12の電極に、ワイヤボンディングによるワイヤを介して電気的に接続されている。なお、素子接続部44のシート状導体48と半導体レーザ素子12の電極とを電気的に接続する方法は、ワイヤボンディングによる方法に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
【0026】
各端子部20、22の外部接続部46は、素子接続部44上に設けられている。各端子部20、22の外部接続部46は、導体で構成された導体部として、例えば底板部24に垂直な柱状に形成された柱状導体50を有している。各端子部20、22において、柱状導体50は、シート状導体48に電気的に接続されている。各柱状導体50は、上方に向けて開口した雌ねじ孔52を上端に有している。各雌ねじ孔52は、後述するように、外部との電気的な接続のために用いられるものである。こうして、各端子部20、22の外部接続部46は、底板部24に対して上向きに設けられている。すなわち、各端子部20、22の一部である外部接続部46は、底板部24が設置されて固定される設置面とは反対側において、その設置面と反対方向に延伸するように設けられている。なお、底板部24に対して上向きとは、底板部24に直交する方向に底板部24に対して上向きである場合のほか、底板部24に直交する方向に対して所定の傾斜角度で傾斜する方向に底板部24に対して上向きである場合をも含みうる。すなわち、底板部24に対して上向く方向は、底板部24に直交する方向のみならず、底板部24に直交する方向に対して所定の傾斜角度で傾斜する方向であってもよい。
【0027】
蓋部26の天板部36には、端子部20、22の外部接続部46にそれぞれ対応して開口部54、56が設けられている。端子部20、22の外部接続部46は、それぞれ天板部36に設けられた開口部54、56を介して、天板部36の上方、すなわち筐体16の外部に部分的に突出している。こうして、端子部20、22の外部接続部46は、それぞれ筐体16の上面から筐体16の外部に部分的に突出している。筐体16の外部に部分的に突出した各外部接続部46は、雌ねじ孔52を上方に向けている。また、端子部20、22の外部接続部46は、絶縁体で構成された絶縁部53を有していてもよい。天板部36に設けられた開口部54、56と柱状導体50とは、絶縁部53を介して接触する。さらに、絶縁部53を介して、天板部36に設けられた開口部54、56と柱状導体50とが封止されていてもよい。すなわち、柱状導体50と開口部54、56との間が、絶縁部53で密閉されて封止されていてもよい。
【0028】
各端子部20、22の外部接続部46は、雌ねじ孔52に螺合するねじ又はねじ部を利用して、外部と電気的に接続することができる。例えば、雌ねじ孔52に螺合するねじにより、導体棒であるバスバーを、柱状導体50と接触させつつ外部接続部46に固定し、固定したバスバーを介して外部接続部46を外部と電気的に接続することができる。また、雌ねじ孔52に螺合する雄ねじ部を有する外部端子を用い、外部端子の雄ねじ部を雌ねじ孔52に螺合して固定し、固定した外部端子を介して外部接続部46を外部と電気的に接続することができる。また、例えば丸形又は先開形の圧着端子である外部端子を、雌ねじ孔52に螺合する雄ねじにより、柱状導体50と接触させつつ外部接続部46に固定し、固定した外部端子を介して外部接続部46を外部と電気的に接続することができる。
【0029】
複数の半導体レーザ素子12の配列の一方の側には、光学系14が設けられている。光学系14は、複数組のコリメートレンズ58、60及び反射ミラー62を有している。複数組のコリメートレンズ58、60及び反射ミラー62は、複数の半導体レーザ素子12に対応して、底板部24上及び段差部38の複数の段40上に設置されている。複数のコリメートレンズ58は、光学特性を同じくする同一のものになっている。複数のコリメートレンズ60は、光学特性を同じくする同一のものになっている。複数の反射ミラー62は、光学特性を同じくする同一のものになっている。
【0030】
コリメートレンズ58、60及び反射ミラー62の各組において、コリメートレンズ58、60は、対応する半導体レーザ素子12のレーザ光の出力側に順次配置されている。また、反射ミラー62は、コリメートレンズ60の後段に配置されている。コリメートレンズ58、60は、対応する半導体レーザ素子12から出力されたレーザ光をそれぞれ縦方向及び横方向にコリメートして平行光とする。反射ミラー62は、対応するコリメートレンズ58、60によりコリメートされたレーザ光を前方側に90°反射して、出力部18が設けられた筐体16の前方側に導く。
【0031】
底板部24の前方端部上には、出力部18が設けられている。出力部18と光学系14との間には、集光レンズ64が設けられている。蓋部26の前側壁部28には、出力部18が嵌合する切り欠き部66が設けられている。出力部18は、レーザ光を出力するための光ファイバ68を有しており、光ファイバ68を通してレーザ光を出力するようになっている。なお、光ファイバ68の長さは、設計に応じて適宜変更することができる。
【0032】
出力部18の光ファイバ68は、筐体16の内部に固定された一端である固定端と、筐体16の外部に引き出された一端である出力端とを有している。集光レンズ64は、光学系14とともに、複数の半導体レーザ素子12から出力されたレーザ光を光ファイバ68の固定端に入射させるための光学系を構成している。集光レンズ64は、複数の反射ミラー62のそれぞれにより反射されたレーザ光を、光ファイバ68の固定端に集光して入射させる。光ファイバ68の固定端に入射したレーザ光は、光ファイバ68を伝搬して、レーザ装置10の出力として光ファイバ68の出力端から出力される。なお、光ファイバ68の固定端にレーザ光を入射させるための光学系の構成は、集光レンズ64を含む複数枚の集光レンズを有するものであってもよいし、各種フィルタを有するものであってもよい。
【0033】
また、底板部24の前端部及び後端部には、固定ねじが貫通する貫通孔70、72がそれぞれ設けられている。貫通孔70、72は、互いに対角に位置している。蓋部26の天板部36には、底板部24に設けられた貫通孔70、72に対応して、固定ねじが貫通する貫通孔74、76がそれぞれ設けられている。
【0034】
本実施形態によるレーザ装置10は、後述するように、例えば、基板上に複数配列されて光源装置として用いられる。レーザ装置10が配列される基板の設置面には、雄ねじである固定ねじが螺合する雌ねじ孔が設けられている。レーザ装置10は、貫通孔70、74を貫通して基板に設けられた雌ねじ孔に螺合する固定ねじ、及び貫通孔72、76を貫通して基板に設けられた雌ねじ孔に螺合する固定ねじにより、基板の設置面上に取り付けられて固定される。なお、レーザ装置10を基板の設置面上に固定する方法は、特に限定されるものではなく、固定ねじを用いた方法のほか、ボルト及びナットを用いた方法、接着剤を用いた方法等の種々の方法を用いることができる。
【0035】
こうして、本実施形態によるレーザ装置10が構成されている。
【0036】
本実施形態によるレーザ装置10の動作時には、端子部20、22に電気的に接続された外部の駆動電源により、直列に接続された複数の半導体レーザ素子12のそれぞれに駆動電流が印加される。駆動電流が印加されると、各半導体レーザ素子12は、レーザ発振してレーザ光を出力する。各半導体レーザ素子12から出力されたレーザ光は、対応するコリメートレンズ58、60によりコリメートされた後、対応する反射ミラー62により反射されて集光レンズ64に導かれる。各反射ミラー62により反射されたレーザ光は、集光レンズ64により集光されて出力部18の光ファイバ68の固定端に入射する。光ファイバ68の固定端に入射したレーザ光は、レーザ装置10の出力として、光ファイバ68の出力端から出力される。
【0037】
本実施形態によるレーザ装置10は、これを複数配列することにより光源装置を構成することができる。複数のレーザ装置10を用いることにより、光源装置の高出力化を図ることができる。以下、複数のレーザ装置10を配列した本実施形態による光源装置について図2A及び図2Bを用いて説明する。図2Aは、本実施形態による光源装置を示す斜視図である。図2Bは、本実施形態による光源装置を示す平面図である。
【0038】
図2A及び図2Bに示すように、本実施形態による光源装置80は、基板82と、基板82上に配列されて設置された複数のレーザ装置10とを有している。なお、複数のレーザ装置10の数は、特に限定されるものではなく、光源装置80に要求されるレーザ出力等に応じて適宜設定することができる。
【0039】
基板82は、配列される複数のレーザ装置10が設置された設置面を有し、その設置面上に設置された複数のレーザ装置10を支持するベース部材である。基板82の設置面上には、複数のレーザ装置10のそれぞれが、底板部24側を基板82側にして取り付けられて固定されている。各レーザ装置10は、上述のように、貫通孔70、74を貫通して基板82の雌ねじ孔に螺合する固定ねじ84、及び貫通孔72、76を貫通して基板82の雌ねじ孔に螺合する固定ねじ86により、基板82の設置面上に取り付けられて固定されている。
【0040】
基板82の設置面上に設置された複数のレーザ装置10は、例えば基板82の長手方向を配列方向として横方向に一列に配列されている。一列に配列された複数のレーザ装置10は、その配列に対して同じ側に出力部18を向けている。複数のレーザ装置10のそれぞれは、複数のレーザ装置10の配列方向に対して、その筐体16の長手方向が直交するように配置されている。なお、配列方向に対するレーザ装置10の傾斜角度は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0041】
隣接する2つのレーザ装置10のうち、一方のレーザ装置10の端子部20と、他方のレーザ装置10の端子部22とは、導体棒であるバスバー88により電気的に接続されている。バスバー88の一端は、一方のレーザ装置10の端子部20の雌ねじ孔52に螺合する固定ねじ90により、その端子部20に固定されて端子部20に電気的に接続されている。バスバー88の他端は、他方のレーザ装置10の端子部22の雌ねじ孔52に螺合する固定ねじ92により、その端子部22に固定されて端子部22に電気的に接続されている。こうして、複数のレーザ装置10が直列に接続されている。なお、複数のレーザ装置10を電気的に接続する方法は、バスバー88を用いた方法に限定されるものではなく、リード線を用いた方法等の種々の方法を用いることができる。
【0042】
こうして、本実施形態による光源装置80が構成されている。
【0043】
本実施形態による光源装置80は、例えば、光ファイバレーザの励起光源として用いることができる。ここで、本実施形態による光源装置80を励起光源として用いた光ファイバレーザについて図3を用いて説明する。図3は、本実施形態による光源装置80を励起光源として用いた光ファイバレーザを示す概略図である。
【0044】
図3に示すように、本実施形態による光源装置80を励起光源として用いた光ファイバレーザ94は、励起光源としての光源装置80と、光結合部としてのポンプコンバイナ96とを有している。また、光ファイバレーザ94は、増幅用光ファイバとしての希土類添加光ファイバ98と、出力側光ファイバ100とを有している。希土類添加光ファイバ98の入力端及び出力端には、それぞれ高反射FBG(Fiber Bragg Grating)102及び低反射FBG104が設けられている。
【0045】
光源装置80に含まれる複数のレーザ装置10における出力部18の光ファイバ68の出力端は、複数入力1出力のポンプコンバイナ96の複数の入力ポートにそれぞれ結合されている。ポンプコンバイナ96の出力ポートには、希土類添加光ファイバ98の入力端が接続されている。希土類添加光ファイバ98の出力端には、出力側光ファイバ100の入力端が接続されている。なお、複数のレーザ装置10から出力されるレーザ光を希土類添加光ファイバ98に入射させる入射部としては、ポンプコンバイナ96に代えて他の構成を用いることもできる。例えば、複数のレーザ装置10における出力部18の光ファイバ68を並べて配置し、複数の光ファイバ68から出力されたレーザ光を、レンズを含む光学系等の入射部を用いて、希土類添加光ファイバ98の入力端に入射させるように構成してもよい。
【0046】
こうして、本実施形態による光源装置80を励起光源として用いた光ファイバレーザ94が構成されている。
【0047】
光ファイバレーザ94において、複数のレーザ装置10の光ファイバ68から出力されたレーザ光は、ポンプコンバイナ96により結合されてその出力ポートから出力される。入射部としてのポンプコンバイナ96は、その出力ポートから出力された励起光としてのレーザ光を、希土類添加光ファイバ98の入力端に入射させる。希土類添加光ファイバ98においては、高反射FBG102及び低反射FBG104により、希土類添加光ファイバ98を含む共振器が形成されている。
【0048】
増幅用光ファイバである希土類添加光ファイバ98では、伝搬する励起光が、コアにドープされた希土類元素に吸収されて、基底準位と準安定準位との間に反転分布が生じて光が放出される。こうして放出された光は、希土類添加光ファイバ98の光増幅作用と高反射FBG102及び低反射FBG104により構成されるレーザ共振器の作用とによってレーザ発振する。こうして、レーザ発振によりレーザ光が生じる。生じたレーザ光は、希土類添加光ファイバ98の出力端に接続された出力側光ファイバ100の出力端から出力される。
【0049】
本実施形態によるレーザ装置10は、上述のように、外部と電気的に接続可能な端子部20、22が、基板82の設置面上に設置される底板部24に対して上向きに設けられている。このため、複数のレーザ装置10を例えば図2A及び図2Bに示すように横方向に配列して光源装置80を構成する場合に、端子部20、22のスペースを確保する必要がなく、光源装置80のフットプリントを低減することができる。これにより、省スペース化を実現することができる。
【0050】
一方、本実施形態によるレーザ装置10とは異なり、筐体の底板部に対して横向きの端子部が筐体の側壁部に設けられていたのでは、省スペース化を実現することは困難である。ここで、筐体の底板部に対して横向きの端子部が筐体の側壁部に設けられた参考例によるレーザ装置について図11A及び図11Bを用いて説明する。図11Aは、参考例によるレーザ装置を示す斜視図である。図11Bは、参考例によるレーザ装置を示す透過平面図である。
【0051】
図11A及び図11Bに示すように、参考例によるレーザ装置810は、複数の半導体レーザ素子812と、複数の半導体レーザ素子812に対応して設けられた光学系814とを有している。また、参考例によるレーザ装置810は、複数の半導体レーザ素子812、光学系814等を収容する筐体816を有している。さらに、参考例によるレーザ装置810は、レーザ光が出力される出力部818と、外部と電気的に接続可能な端子部であるリードピン820、822とを有している。
【0052】
複数の半導体レーザ素子812は、上記複数の半導体レーザ素子12と同様である。光学系814も、上記光学系14と同様であり、上記コリメートレンズ58、60及び反射ミラー62と同様のコリメートレンズ858、860及び反射ミラー862の組を複数有している。複数の半導体レーザ素子812、並びに複数組のコリメートレンズ858、860及び反射ミラー862は、上記段差部38と同様の段差部838の段上に同様に設置されている。各半導体レーザ素子812は、例えば、サブマント842上にはんだ付け等により固定されて搭載されたCOSの形態で設置されている。
【0053】
筐体816の前方端部には、出力部818が設けられている。出力部818と光学系814との間には、上記集光レンズ64と同様の集光レンズ864が設けられている。出力部818は、上記出力部18と同様に、レーザ光を出力するための光ファイバ868を有している。光ファイバ868は、筐体816の内部に固定された固定端と、レーザ光が出力される筐体816の外部の出力端とを有している。集光レンズ864は、反射ミラー862のそれぞれにより反射されたレーザ光を光ファイバ868の固定端に集光して入射させる。光ファイバ868の固定端に集光されて入射したレーザ光は、レーザ装置810の出力として、光ファイバ868の出力端から出力される。
【0054】
筐体816の側壁部において、複数の半導体レーザ素子812の配列の前方側及び後方側には、それぞれリードピン820、822が設けられている。リードピン820、822は、それぞれ筐体816の側壁部を貫通して横方向に突出し、筐体816の底板部に対して横向きに設けられている。リードピン820、822は、外部の駆動電源に電気的に接続される端子部として機能し、駆動電源により複数の半導体レーザ素子812のそれぞれに駆動電流を印加するためのものである。
【0055】
筐体816の側壁部の下端には、横方向に突出する複数の固定部870が設けられている。各固定部870には、固定ねじが貫通する貫通孔872がそれぞれ設けられている。レーザ装置810は、上記レーザ装置10と同様に、例えば、基板上に複数配列されて光源装置として用いられる。レーザ装置810が配列される基板の設置面には、雄ねじである固定ねじが螺合する雌ねじ孔が設けられている。レーザ装置810は、各固定部870に設けられた貫通孔872を貫通して基板の設置面に設けられた雌ねじ孔に螺合する固定ねじにより、基板の設置面上に取り付けられて固定される。
【0056】
こうして、参考例によるレーザ装置810が構成されている。
【0057】
上記参考例によるレーザ装置810を基板上に横方向に配列して光源装置を構成した場合、筐体816の底板部に対して横向きのリードピン820、822が横方向に突出している。このため、参考例によるレーザ装置810では、光源装置のフットプリントが増加し、その結果、省スペース化を図ることは困難である。
【0058】
図12は、複数の参考例によるレーザ装置810を横方向に配列して構成した参考例による光源装置を示す平面図である。図12に示すように、参考例による光源装置880は、基板882と、基板882上に配列されて設置された複数の参考例によるレーザ装置810とを有している。
【0059】
基板882の設置面上には、複数のレーザ装置810のそれぞれが、筐体816の底板部側を基板882側にして取り付けられている。各レーザ装置810は、上述のように、固定部870の貫通孔872を貫通して基板882の雌ねじ孔に螺合する固定ねじ884により、基板882の設置面上に取り付けられて固定されている。
【0060】
基板882の設置面上に設置された複数のレーザ装置810は、例えば基板882の長手方向を配列方向として横方向に一列に配列されている。一列に配列された複数のレーザ装置810は、その配列に対して同じ側に出力部818を向けている。複数のレーザ装置810のそれぞれは、その筐体816の長手方向が、複数のレーザ装置810の配列方向に対して所定の傾斜角度で傾斜するように配置されている。
【0061】
隣接する2つのレーザ装置810のうち、一方のレーザ装置810のリードピン820と、他方のレーザ装置810のリードピン822とは、はんだ付けにより電気的に接続される。
【0062】
こうして、参考例による光源装置880が構成されている。
【0063】
参考例によるレーザ装置810では、基板882の設置面上に設置される筐体816の底板部に対して横向きに設けられたリードピン820、822が横方向に突出している。このため、複数の参考例によるレーザ装置810を横方向に配列して光源装置880を構成するに際しては、リードピン820、822のための空間を確保する必要があり、その分だけ光源装置880のフットプリントが増加する。
【0064】
また、リードピン820、822は、通常、はんだ付けにより他の端子に接続されるため、はんだ付けの分だけ工数が増加することになる。また、リードピン820、822のはんだ付けは、一般的に作業性が良好なものではない。
【0065】
これに対して、本実施形態によるレーザ装置10は、図2A及び図2Bに示すように配列するに際して、筐体16の底板部24に対して上向きに端子部20、22が設けられているため、これら端子部20、22のスペースを確保する必要がない。このため、本実施形態によるレーザ装置10は、参考例によるレーザ装置810と比較して、光源装置80のフットプリントを低減することができる。したがって、本実施形態によるレーザ装置10によれば、省スペース化を実現することができる。
【0066】
さらに、本実施形態によるレーザ装置10では、端子部20、22が、雌ねじ孔52を有しており、ねじにより外部と電気的に接続されるようになっている。このため、本実施形態によるレーザ装置10によれば、リードピンのようにはんだ付けをする必要がない。したがって、本実施形態によるレーザ装置10によれば、外部との電気的な接続に際して良好な作業性を確保することができる。
【0067】
また、本実施形態によるレーザ装置10では、端子部20、22の外部接続部46が、天板部36の上方、すなわち筐体16の外部に部分的に突出している。このように外部接続部46が突出していることにより、本実施形態によるレーザ装置10によれば、例えば上述のように接続作業が容易なバスバー88の利用が可能である等、外部との電気的な接続を高い作業性で行うことができる。
【0068】
さらに、本実施形態によるレーザ装置10は、高価なハーメチックシールが施されたリードピンを用いる必要がない。したがって、本実施形態によるレーザ装置10によれば、より安価な価格を実現することができる。
【0069】
このように、本実施形態によれば、フットプリントを低減して省スペース化を実現することができるとともに、外部との電気的な接続に際して良好な作業性を確保することができる。
【0070】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態によるレーザ装置及び光源装置について図4及び図5を用いて説明する。なお、上記第1実施形態によるレーザ装置及び光源装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0071】
本実施形態によるレーザ装置の基本的構成は、第1実施形態によるレーザ装置10の構成と同様である。本実施形態によるレーザ装置は、レーザ装置10を基板の設置面上に取り付けて固定するための底板部24の貫通孔70、72及び天板部36の貫通孔74、76に代えて固定部を有する点で、第1実施形態によるレーザ装置10とは異なっている。
【0072】
図4は、本実施形態によるレーザ装置を示す斜視図である。図4に示すように、本実施形態によるレーザ装置210は、筐体16の底板部24に設けられた複数の固定部212を有している。なお、本実施形態によるレーザ装置210では、第1実施形態によるレーザ装置10とは異なり、底板部24には貫通孔70、72は設けられておらず、天板部36にも貫通孔74、76は設けられていない。
【0073】
各固定部212は、底板部24から筐体16の外側に突出するように底板部24に設けられている。例えば、底板部24の長手方向に沿った2つの縁端部のうち、一方に2つに固定部212が設けられ、他方に1つの固定部212が設けられている。なお、固定部212の数及び位置は、特に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0074】
各固定部212には、固定ねじが貫通する貫通孔214が設けられている。レーザ装置210は、レーザ装置10と同様に、例えば、基板の設置面上に複数配列されて光源装置として用いられる。レーザ装置210が配列される基板の設置面には、雄ねじである固定ねじが螺合する雌ねじ孔が設けられている。レーザ装置210は、各固定部212の貫通孔214を貫通して基板の設置面に設けられた雌ねじ孔に螺合する固定ねじにより、基板の設置面上に取り付けられて固定される。なお、レーザ装置210を基板の設置面上に固定する方法は、特に限定されるものではなく、固定ねじを用いた方法のほか、ボルト及びナットを用いた方法等の種々の方法を用いることができる。
【0075】
図5は、本実施形態による光源装置を示す平面図である。図5に示すように、本実施形態による光源装置280は、基板282と、基板282上に配列されて設置された複数のレーザ装置210とを有している。なお、図5では、端子部20と端子部22との間を電気的に接続するバスバー88及び固定ねじ90、92を省略している。
【0076】
基板282上には、複数のレーザ装置210のそれぞれが、底板部24側を基板282側にして取り付けられている。各レーザ装置210は、上述のように、各固定部212に設けられた貫通孔214を貫通して基板282の雌ねじ孔に螺合する固定ねじ216により、基板282の設置面上に取り付けられて固定されている。
【0077】
本実施形態のように、レーザ装置210を基板282の設置面上に取り付けて固定するための固定部212が、筐体16の外側に設けられていてもよい。
【0078】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態によるレーザ装置について図6を用いて説明する。なお、上記第1及び第2実施形態によるレーザ装置及び光源装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0079】
本実施形態によるレーザ装置の基本的構成は、第2実施形態によるレーザ装置210の構成と同様である。本実施形態によるレーザ装置は、端子部20、22に代えて、筐体16の外部に設けられた端子部を有している点で、第2実施形態によるレーザ装置210とは異なっている。
【0080】
図6は、本実施形態によるレーザ装置を示す斜視図である。図6に示すように、本実施形態によるレーザ装置310は、端子部20、22に代えて、筐体16の外部に設けられた端子部320、322を有している。
【0081】
端子部320は、蓋部26の前側壁部28に設けられている。端子部322は、蓋部26の後側壁部30に設けられている。端子部320、322は、外部と電気的に接続可能であり、それぞれ端子部20、22と同様の機能を有するものである。
【0082】
端子部320、322は、それぞれ、素子接続部344と、素子接続部344と電気的に接続された外部接続部346とを有している。端子部320、322は、それぞれ外部との電気的な接続に際してねじを利用する接続形式のものである。
【0083】
端子部320の素子接続部344は、蓋部26の前側壁部28を内外に貫通するように底板部24に平行に設けられている。端子部320の素子接続部344は、上記シート状導体48と同様の不図示のシート状導体を有している。このシート状導体は、複数の半導体レーザ素子12の配列における前側の端部の半導体レーザ素子12の電極に、ワイヤボンディングによるワイヤを介して電気的に接続されている。
【0084】
端子部322の素子接続部344は、蓋部26の後側壁部30を内外に貫通するように底板部24に平行に設けられている。端子部322の素子接続部344は、上記シート状導体48と同様の不図示のシート状導体を有している。このシート状導体は、複数の半導体レーザ素子12の配列における後側の端部の半導体レーザ素子12の電極に、ワイヤボンディングによるワイヤを介して電気的に接続されている。
【0085】
なお、各素子接続部344のシート状導体と半導体レーザ素子12の電極とを電気的に接続する方法は、ワイヤボンディングによる方法に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
【0086】
各端子部320、322の外部接続部346は、素子接続部344の筐体16外の部分上に設けられている。各端子部320、322の外部接続部346は、導体で構成された導体部として、例えば底板部24に垂直な柱状に形成された柱状導体350をそれぞれ有している。各端子部320、322において、柱状導体350は、素子接続部344のシート状導体に電気的に接続されている。各柱状導体350は、上方に向けて開口した雌ねじ孔352を上端に有している。こうして、各端子部320、322の外部接続部346は、第1実施形態における各端子部20、22の外部接続部46と同様に、底板部24に対して上向きに設けられている。すなわち、各端子部320、322の一部である外部接続部346は、底板部24が設置されて固定される設置面とは反対側において、その設置面と反対方向に延伸するように設けられている。
【0087】
各端子部320、322の外部接続部346は、上記端子部20、22の外部接続部46と同様に、雌ねじ孔352に螺合するねじ又はねじ部を利用して、外部と電気的に接続することができる。また、端子部320、322の外部接続部346は、絶縁体で構成された絶縁部353を有していてもよい。
【0088】
本実施形態のように、外部と電気的に接続可能な端子部320、322が、筐体16の外部に設けられていてもよい。
【0089】
なお、上記では、第2実施形態によるレーザ装置210と同様の構成において、端子部20、22に代えて端子部320、322を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではない。第1実施形態によるレーザ装置10と同様の構成においても、端子部20、22に代えて端子部320、322を設けることができる。
【0090】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態によるレーザ装置について図7を用いて説明する。なお、上記第1乃至第3実施形態によるレーザ装置及び光源装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0091】
本実施形態によるレーザ装置の基本的構成は、第2実施形態によるレーザ装置210の構成と同様である。本実施形態によるレーザ装置は、端子部20、22に代えて、端子部20、22とは形状及び外部との接続形式が異なる端子部を有している点で、第2実施形態によるレーザ装置210とは異なっている。
【0092】
図7は、本実施形態によるレーザ装置を示す斜視図である。図7に示すように、本実施形態によるレーザ装置410は、端子部20、22に代えて端子部420、422を有している。
【0093】
端子部420、422は、それぞれ端子部20、22と同様の機能を有するものである。ただし、端子部420、422は、端子部20、22とは形状及び外部との接続形式が異なっている。すなわち、端子部420、422は、それぞれ外部との電気的な接続に際して、以下に説明する開口部448を利用する接続形式のものである。
【0094】
端子部420、422は、それぞれ蓋部26の天板部36から上方に向かって、筐体16の外部に突出する外部接続部446を有している。各外部接続部446は、筐体16の上面から筐体16の外部に部分的に突出している。各外部接続部446は、導体で構成された導体部として、筐体16の長手方向に直交する板状導体450を有している。各外部接続部446の板状導体450には、筐体16の長手方向に沿って貫通する開口部448が設けられている。なお、各外部接続部446は、筐体16内において、素子接続部44と同様の素子接続部と電気的に接続されている。また、各端子部420、422の外部接続部446は、板状導体450と、絶縁体で構成された絶縁部453とを有していてもよい。さらに、天板部36には、図1Aの開口部54、56に相当する開口部を有し、それら開口部と板状導体450とは、絶縁部453を介して接触する。さらに、絶縁部453を介して、天板部36に設けられた開口部と板状導体450とが封止されていてもよい。すなわち、板状導体450と開口部との間が、絶縁部453で密閉されて封止されていてもよい。
【0095】
端子部420、422の外部接続部446には、それぞれ開口部448を利用して外部端子を電気的に接続することができる。例えば、丸形又は先開形の圧着端子である外部端子を、外部接続部446の側方から、開口部448に通したボルト及び対応するナットにより外部接続部446に固定することができる。このようにして、外部端子を端子部420、422にそれぞれ電気的に接続することができる。
【0096】
本実施形態のように、ねじを利用する接続形式の端子部20、22に代えて、開口部448を利用する接続形式の端子部420、422が設けられていてもよい。
【0097】
なお、上記では、第2実施形態によるレーザ装置210と同様の構成において、端子部20、22に代えて端子部420、422を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではない。第1実施形態によるレーザ装置10と同様の構成においても、端子部20、22に代えて端子部420、422を設けることができる。また、第3実施形態によるレーザ装置310と同様の構成においても、端子部320、322に代えて端子部420、422を設けることができる。
【0098】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による光源装置について図8を用いて説明する。なお、上記第1乃至第4実施形態によるレーザ装置及び光源装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0099】
本実施形態による光源装置の基本的構成は、第1実施形態による光源装置80の構成と同様である。本実施形態による光源装置は、複数のレーザ装置10の配列方向に対するレーザ装置10の傾斜角度が、第1実施形態による光源装置80とは異なっている。
【0100】
図8は、本実施形態による光源装置を示す平面図である。図8に示すように、本実施形態による光源装置580は、第1実施形態による光源装置80と同様に、基板82と、基板82上に配列されて設置された複数のレーザ装置10とを有している。なお、図8では、端子部20と端子部22との間を電気的に接続するバスバー88及び固定ねじ90、92を省略している。
【0101】
第1実施形態による光源装置80においては、上述のように、複数のレーザ装置10のそれぞれは、複数のレーザ装置10の配列方向に対して、その筐体16の長手方向が直交するように配置されている。
【0102】
これに対して、本実施形態による光源装置580において、複数のレーザ装置10のそれぞれは、複数のレーザ装置10の配列方向に対して、その筐体16の長手方向が鋭角又は鈍角の傾斜角度で傾斜するように配置されている。すなわち、各レーザ装置10は、複数のレーザ装置10の配列方向に対して、その筐体16の長手方向が90°以外の所定の傾斜角度で傾斜するように配置されている。
【0103】
なお、傾斜するように配置された複数のレーザ装置10のそれぞれは、第1実施形態による光源装置80のレーザ装置10と同様に、基板82の設置面上に取り付けられて固定されている。
【0104】
本実施形態のように、複数のレーザ装置10の配列方向に対してレーザ装置10の筐体16の長手方向が鋭角又は鈍角の傾斜角度で傾斜するように、複数のレーザ装置10のそれぞれが配置されていてもよい。
【0105】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態によるレーザ装置について図9及び図10を用いて説明する。なお、上記第1乃至第5実施形態によるレーザ装置及び光源装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0106】
本実施形態によるレーザ装置の基本的構成は、第1実施形態によるレーザ装置10の構成と同様である。本実施形態によるレーザ装置は、第1実施形態によるレーザ装置10の構成に加えて、さらに半導体レーザ素子12とは異なる電子部品及びこれに対応する端子部を有している。
【0107】
図9は、本実施形態によるレーザ装置を示す分解斜視図である。図10は、本実施形態によるレーザ装置における電子部品を示す拡大斜視図である。
【0108】
図9及び図10に示すように、本実施形態によるレーザ装置610は、第1実施形態によるレーザ装置10の構成に加えて、電子部品612と、これに対応する端子部614、616とを有している。
【0109】
電子部品612は、筐体16内に収容されている。また、後述するように端子部614、616の筐体16外に突出した部分以外の部分も、筐体16内に収容されている。
【0110】
電子部品612は、半導体レーザ素子12とは異なるものであり、例えば、筐体16内の温度を検出するサーミスタ等の温度センサである。電子部品612は、底板部24の出力部18近傍の領域上に設置されている。電子部品612は、例えば、サブマント618上にはんだ付け等により固定されて搭載されたCOSの形態で、底板部24上に設置されている。底板部24は、電子部品612及び端子部614、616を設けるため、第1実施形態と比較して拡張されている。
【0111】
なお、電子部品612は、温度センサに限定されるものではない。電子部品612は、例えば、フォトダイオード等の光検出器であってもよい。
【0112】
電子部品612に対応する端子部614、616は、筐体16内において、それぞれ底板部24の電子部品612の近傍の領域上に設置されている。端子部614、616は、それぞれ電子部品612に応じた外部の回路部に電気的に接続され、電子部品612の機能を実現するためのものである。電子部品612がサーミスタ等の温度センサである場合、端子部614、616はそれぞれ測温回路の所定の端子に接続されて、温度センサによる温度測定が実現される。
【0113】
端子部614、616は、それぞれ、部品接続部620と、部品接続部620と電気的に接続された外部接続部622とを有している。端子部614、616は、それぞれ外部との電気的な接続に際してねじを利用する接続形式のものである。端子部614、616の部品接続部620及び外部接続部622は、それぞれ端子部20、22の素子接続部44及び外部接続部46と同様の構造を有している。
【0114】
各端子部614、616の部品接続部620は、底板部24上に設けられている。このように、各端子部614、616の一部である部品接続部620が、底板部24に設けられている。各端子部614、616の部品接続部620は、シート状導体624をそれぞれ有している。シート状導体624は、底板部24に平行に設けられている。シート状導体624は、電子部品612の電極に、例えばワイヤボンディングによるワイヤを介して電気的に接続されている。
【0115】
より具体的には、端子部614における部品接続部620のシート状導体624は、電子部品612の一方の電極に、ワイヤボンディングによるワイヤを介して電気的に接続されている。また、端子部616における部品接続部620のシート状導体624は、電子部品612の他方の電極に、ワイヤボンディングによるワイヤを介して電気的に接続されている。なお、部品接続部620のシート状導体624と電子部品612の電極とを電気的に接続する方法は、ワイヤボンディングによる方法に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
【0116】
各端子部614、616の外部接続部622は、部品接続部620上に設けられている。各端子部614、616の外部接続部622は、導体で構成された導体部として、例えば底板部24に垂直な柱状に形成された柱状導体626を有している。各端子部614、616において、柱状導体626は、シート状導体624に電気的に接続されている。各柱状導体626は、上方に向けて開口した雌ねじ孔628を上端に有している。各雌ねじ孔628は、後述するように、外部との電気的な接続のために用いられるものである。こうして、各端子部614、616の外部接続部622は、端子部20、22の外部接続部46と同様に、底板部24に対して上向きに設けられている。すなわち、各端子部614、616の一部である外部接続部622は、底板部24が設置されて固定される設置面とは反対側において、その設置面と反対方向に延伸するように設けられている。
【0117】
蓋部26の天板部36には、端子部614、616の外部接続部622にそれぞれ対応して開口部630、632が設けられている。端子部614、616の外部接続部622は、それぞれ天板部36に設けられた開口部630、632を介して、天板部36の上方、すなわち筐体16の外部に部分的に突出している。こうして、端子部614、616の外部接続部622は、それぞれ筐体16の上面から筐体16の外部に部分的に突出している。筐体16の外部に部分的に突出した各外部接続部622は、雌ねじ孔628を上方に向けている。なお、蓋部26は、電子部品612及び端子部614、616を筐体16内に収容するため、拡張された底板部24に対応して第1実施形態と比較して拡張されている。また、端子部614、616の外部接続部622は、絶縁体で構成された絶縁部629を有していてもよい。天板部36に設けられた開口部630、632と柱状導体626とは、絶縁部629を介して接触する。さらに、絶縁部629を介して、天板部36に設けられた開口部630、632と柱状導体626とが封止されていてもよい。すなわち、柱状導体626と開口部630、632との間が、絶縁部629で密閉されて封止されていてもよい。
【0118】
各端子部614、616の外部接続部622は、雌ねじ孔628に螺合するねじ又はねじ部を利用して、外部と電気的に接続することができる。例えば、雌ねじ孔628に螺合するねじにより、導体棒であるバスバーを、柱状導体626と接触させつつ外部接続部622に固定し、固定したバスバーを介して外部接続部622を外部と電気的に接続することができる。また、雌ねじ孔628に螺合する雄ねじ部を有する外部端子を用い、外部端子の雄ねじ部を雌ねじ孔628に螺合して固定し、固定した外部端子を介して外部接続部622を外部と電気的に接続することができる。また、例えば丸形又は先開形の圧着端子である外部端子を、雌ねじ孔628に螺合する雄ねじにより、柱状導体626と接触させつつ外部接続部622に固定し、固定した外部端子を介して外部接続部622を外部と電気的に接続することができる。
【0119】
本実施形態のように、電子部品612及びこれに対応する端子部614、616がさらに設けられていてもよい。この場合において、電子部品612に対応する端子部614、616も、基板の設置面上に設置される底板部24に対して上向きに設けられている。このため、端子部20、22と同様に、光源装置を構成する場合に端子部614、616のスペースを確保する必要がなく、光源装置のフットプリントを低減することができる。これにより、省スペース化を実現することができる。
【0120】
また、端子部614、616も、雌ねじ孔628を有しており、ねじにより外部と電気的に接続されるようになっている。このため、端子部614、616についても、リードピンのようにはんだ付けをする必要がなく、外部との電気的な接続に際して良好な作業性を確保することができる。
【0121】
なお、上記では、第1実施形態によるレーザ装置10の構成に加えて電子部品612及び端子部614、616が設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。第2乃至第4実施形態によるレーザ装置210、310、410の構成に加えて、電子部品612及び端子部614、616が設けられていてもよい。
【0122】
また、電子部品612に対応する端子部614、616は、第3実施形態における端子部320、322と同様に、筐体16の外部に設けられていてもよい。また、電子部品612に対応する端子部614、616は、第4実施形態における端子部420、422と同様に、開口部を利用する接続形式のものであってもよい。
【0123】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
【0124】
例えば、上記実施形態では、レーザ装置10、210、310、410、610が複数の半導体レーザ素子12を有する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。レーザ装置10、210、310、410、610は、1つの半導体レーザ素子12を有するものであってもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、端子部20、22、320、322が雌ねじ孔52、352を有する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。端子部20、22、320、322は、雌ねじ孔52、352に代えて、外部との電気的な接続のための雄ねじ部を有するものとすることができる。この場合、例えば、その雄ねじ部に螺合するナット等を用いて、雄ねじ部に挿入された環状部等により雄ねじ部と接触した外部端子を端子部20、22、320、322に固定することができる。電子部品612に対応する端子部614、616についても、同様に雄ねじ部を有するものを用いることができる。
【0126】
また、上記実施形態では、端子部20、22、320、322、420、422としてねじ又は開口部を利用する接続形式のものを例に説明したが、これらに限定されるものではなく、他の接続形式のものを用いることができる。例えば、端子部20、22、320、322、420、422として、バナナプラグ等のプラグが挿入可能なジャックを利用する接続形式のものとすることができる。電子部品612に対応する端子部614、616についても、同様に他の接続形式のものを用いることができる。
【0127】
また、上記実施形態では、複数のレーザ装置10、210を基板82、282上に設置する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。複数のレーザ装置10、210は、基板82、282のほか、設置台等の種々のベース部材の設置面上に設置することができる。
【0128】
また、上記実施形態では、図2A及び図2Bに示すように、一列に配列された複数のレーザ装置10が、その配列に対して同じ側に出力部18を向けている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、一列に配列された複数のレーザ装置10が、その配列に対して一方の側と他方の側に互い違いに出力部18を向けていてもよい。この場合、隣接する2つのレーザ装置10におけるバスバー88で接続すべき端子部20、22が互いに同じ側に位置するので、バスバー88の長さを短縮することができ、よって、電気的な接続経路を短縮することができる。
【0129】
また、上記実施形態では、図3に示すように、光源装置80を光ファイバレーザ94の励起光源として用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。光源装置80は、波長合成を行う装置、偏波合成を行う装置等、種々の装置又はシステムの光源として用いることができる。また、光源装置80は、ダイレクトダイオードレーザとして用いることができる。例えば、光源装置80は、その複数のレーザ装置10から出力されたレーザ光が入射される光学系とともに用いることができる。光学系には、集光レンズ等のレンズ、コンバイナ、ミラー等が含まれる。より具体的には、光源装置80における複数のレーザ装置10から出力されたレーザ光を、レンズを含む光学系により集光して出力することができる。また、光源装置80における複数のレーザ装置10から出力されたレーザ光を、コンバイナにより結合して出力することができる。なお、光源装置80における複数のレーザ装置10は、レーザ光の波長等のレーザ特性が互いに同一であっても異なっていてもよい。複数のレーザ装置10のレーザ特性は、光源装置80の用途に応じて適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0130】
10、210、310、410、610…レーザ装置
12…半導体レーザ素子
16…筐体
18…出力部
20、320、420…端子部
22、322、422…端子部
80、280、580…光源装置
82…基板
94…光ファイバレーザ
96…ポンプコンバイナ
98…希土類添加光ファイバ
612…電子部品
614…端子部
616…端子部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12