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特許7033157取付治具付きバルーンの包装体及びバルーン取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】取付治具付きバルーンの包装体及びバルーン取付方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220302BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20220302BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
A61B1/00 650
A61B1/01 513
G02B23/24 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020023742
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2020163114
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2019063242
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 伸治
(72)【発明者】
【氏名】川島 歩
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-193000(JP,A)
【文献】特開2004-337324(JP,A)
【文献】特開2009-028350(JP,A)
【文献】特開2009-011656(JP,A)
【文献】特開2015-000086(JP,A)
【文献】特表2016-525377(JP,A)
【文献】特開2018-057838(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013933(WO,A1)
【文献】特開2005-230084(JP,A)
【文献】特開2017-000222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 8/00 - 8/15
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部にバルーンを装着するためのバルーン取付治具と、前記バルーンと、が収納容器に収納される、取付治具付きバルーンの包装体であって、
前記バルーンは、
前記バルーンの一端に設けられる第1筒部と、
前記バルーンの他端に設けられる第2筒部と、
前記第1筒部と前記第2筒部との間に設けられるバルーン本体と、
を有し、
前記バルーン取付治具は、
中空筒状で平坦状に折りたたみ可能に形成され、一端に第1開口部を有し他端に第2開口部を有する本体部と、
前記第2開口部から前記第1開口部が設けられる側とは反対側に向かって延在して設けられ、互いに対向する一対のガイド片と、
を有し、
前記収納容器の内部において、
前記バルーンは、前記バルーン本体が内側に折り返され、前記バルーンの折り返し部分に形成された折り返し開口部の内側に、前記第2筒部が配置され、且つ、
前記バルーン取付治具は、前記折り返し開口部から、前記一対のガイド片と、少なくとも前記本体部の一部とが挿入され、前記一対のガイド片は、前記第1筒部及び前記第2筒部の内側に配置されている、
取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項2】
前記ガイド片は、前記第1開口部が設けられる側とは反対の先端側に設けられた先端部を有し、前記先端部は先端側に向かって、前記ガイド片の幅が狭まるように直線状で前記ガイド片の長手方向に対して斜めに形成された傾斜部を有し、
前記一対のガイド片の各々の前記傾斜部の位置が、前記本体部の中心軸に対して対称の位置に設けられる、
請求項1に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項3】
前記一対のガイド片は、前記内視鏡挿入部を挿入した際に、前記内視鏡挿入部と55%以上70%以下の接触面積をもつ接触面を有する、
請求項1又2に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項4】
前記本体部及び前記一対のガイド片の材料は、画用紙、ケント紙、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は、ポリカーボネート樹脂である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項5】
前記収納容器は、有底の筒状の胴部と、前記胴部の底部に設けられ且つ前記胴部の内径より小さい内径を有する小溝部と、前記底部の反対側に設けられた容器開口部と、を有し、
前記胴部は前記バルーン本体及び前記第2筒部を収納し、
前記小溝部は前記第1筒部を収納する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項6】
前記胴部は、前記底部から前記容器開口部に向かって内径が広がるテーパ形状で構成されている、
請求項5に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項7】
前記胴部の軸方向に垂直な方向に切断した前記小溝部の断面形状が、楕円形であり、
前記楕円形の短軸方向に沿って、前記一対のガイド片が配置される、
請求項5又は6に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項8】
前記胴部の内径は、前記バルーン本体の自然状態の外径の102%以上110%以下である、
請求項5から7のいずれか1項に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項9】
前記バルーン取付治具は、前記本体部の前記第1開口部から延在して設けられ且つ平坦状に折りたたまれた前記本体部より幅の広い翼部を有し、
前記胴部は、前記バルーン取付治具の挿入方向に垂直な方向で凹形状に形成された、前記翼部を収納する凹部を有し、
前記凹部は、前記収納容器に収納された前記バルーン取付治具の、前記バルーン取付治具の挿入方向に垂直な方向の位置を決定する位置決め面と、前記バルーン取付治具の挿入方向の中心軸に対する回転方向を規制する第1規制面と、を有する、
請求項5から8のいずれか1項に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項10】
前記胴部は、前記容器開口部側に設けられた胴部本体と、前記小溝部側に設けられ、前記胴部本体より幅の狭い中溝部と、前記胴部本体と前記中溝部との間に設けられた段差部と、を有し、
前記段差部は、前記収納容器に収納された前記バルーン取付治具の挿入方向の位置を規制する第2規制面を有する、
請求項5から9のいずれか1項に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項11】
前記バルーン取付治具は、前記本体部の前記ガイド片側に、被規制部を有し、
前記被規制部と前記第2規制面とが接触することで、前記バルーン取付治具の挿入方向の位置を規制する、
請求項10に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項12】
前記本体部は、幅方向の側部に折りたたみ可能な折り曲げ部を有し、
前記内視鏡挿入部の挿入方向に力を加えた場合、前記本体部の座屈強度は、前記ガイド片の座屈強度より大きい、
請求項10又は11に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項13】
前記バルーンが前記内視鏡挿入部に取り付けられた状態における、前記第1筒部の端部から前記第2筒部の端部までの長さをバルーン取付長さとした場合、
前記容器開口部は、鍔部を有し、
前記鍔部の長さが、前記バルーン取付長さと等しい、
請求項5から12のいずれか1項に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項14】
前記鍔部に貼付された蓋部を有し、
前記鍔部は、前記バルーン取付治具の挿入方向に垂直な方向に、前記容器開口部から広がって設けられた、外周部と内周部とにより構成され、
前記内周部は、前記外周部より内側で、前記外周部より底部側に形成されており、
前記蓋部は前記外周部に貼付される、
請求項13に記載の取付治具付きバルーンの包装体。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の取付治具付きバルーンの包装体を用いたバルーン取付方法であって、
前記内視鏡挿入部を、前記第1開口部から前記本体部に挿入し、
前記内視鏡挿入部を、前記一対のガイド片の間に挿入し、前記一対のガイド片を介して、前記第1筒部及び前記第2筒部に前記内視鏡挿入部を挿入し、
前記収納容器から、前記バルーン、前記バルーン取付治具及び前記内視鏡挿入部を取り出し、
前記第1筒部を前記内視鏡挿入部に固定した状態で、前記第2筒部及び前記バルーン取付治具を前記内視鏡挿入部の基端側に移動し、
前記第2筒部から前記バルーン取付治具を取り外し、前記内視鏡挿入部に前記バルーンを取り付ける、
バルーン取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付治具付きバルーンの包装体及びバルーン取付方法に係り、特に、内視鏡の挿入部にバルーンを取り付けるための取付治具付きバルーンの包装体及びバルーン取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置では、膨張及び収縮するバルーンが様々な用途で用いられている。例えば、小腸又は大腸等の深部硝化管を観察する内視鏡装置では、内視鏡の挿入部に膨縮自在なバルーンが装着され、このバルーンを膨張させることによって、内視鏡の挿入部を体内に固定できるようになっている。
【0003】
このようなバルーンは、ゴム等の弾性体によって構成されており、その端部は、自然状態で取付対象物(内視鏡の挿入部)の外径よりも小径の筒状に形成されている。そして、バルーンを装着する際は、バルーンの端部を拡径しながら取付対象物に被せた後、バルーンの端部の上から糸を巻回したりゴムバンドを外嵌させたりすることによって、バルーンの端部を取付対象物に固定している。
【0004】
ところで、バルーンの端部を拡径しながら取付対象物に被せる作業は非常に煩わしく、取付作業に手間がかかるという問題があった。例えば、下記の特許文献1には、取付け治具本体の両端部に、取付け治具本体の内腔に挿入したバルーンの開口部を保持する保持部を有するバルーン取付け治具が記載されている。このバルーン取付け治具は、取付け治具本体の保持部でバルーンの開口部を保持するとともに、バルーンを取付け治具本体に密着させた状態で、内視鏡の挿入部に外嵌し、バルーンを内視鏡の挿入部に取り付けている。
【0005】
また、特許文献2には、バルーン本体の両端に設けられた筒部に挿入される第1及び第2ガイド片を備えたバルーン取付治具が記載されている。このバルーン取付け治具は、第1ガイド片と第2ガイド片との間に内視鏡の挿入部を挿入することで、バルーンの筒部に内視鏡を挿入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-230084号公報
【文献】特開2009-11656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の取付治具は、パック内に入れられたバルーンを手作業で取付治具に取り付けた後、内視鏡の挿入部に取り付けていた。この作業は、バルーンの無菌状態を維持するため、手袋をして行うため、作業が煩わしく、手間がかかっていた。また、バルーンはパック内で無造作に入れられているため、バルーンの表面のべたつき(タック)によりバルーン同士が密着してパック内に収納されている。そのため、バルーンを内視鏡に取り付ける前に丁寧に剥がす必要があり、この点も作業に時間のかかる要因となっていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、バルーンを内視鏡の挿入部に取り付ける作業負担を軽減できる取付治具付きバルーンの包装体及びバルーン取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る取付治具付きバルーンの包装体は、内視鏡挿入部にバルーンを装着するためのバルーン取付治具と、バルーンと、が収納容器に収納される、取付治具付きバルーンの包装体であって、バルーンは、バルーンの一端に設けられる第1筒部と、バルーンの他端に設けられる第2筒部と、第1筒部と第2筒部との間に設けられるバルーン本体と、を有し、バルーン取付治具は、中空筒状で平坦状に折りたたみ可能に形成され、一端に第1開口部を有し他端に第2開口部を有する本体部と、第2開口部から第1開口部が設けられる側とは反対側に向かって延在して設けられ、互いに対向する一対のガイド片と、を有し、収納容器の内部において、バルーンは、バルーン本体が内側に折り返され、バルーンの折り返し部分に形成された折り返し開口部の内側に、第2筒部が配置され、且つ、バルーン取付治具は、折り返し開口部から、一対のガイド片と、少なくとも本体部の一部とが挿入され、一対のガイド片は、第1筒部及び第2筒部の内側に配置されている。
【0010】
本発明の目的を達成するために、本発明に係るバルーン取付け方法は、上記記載の取付治具付きバルーンの包装体を用いたバルーン取付方法であって、内視鏡挿入部を、第1開口部から本体部に挿入し、内視鏡挿入部を、一対のガイド片の間に挿入し、一対のガイド片を介して、第1筒部及び第2筒部に内視鏡挿入部を挿入し、収納容器から、バルーン、バルーン取付治具及び内視鏡挿入部を取り出し、第1筒部を内視鏡挿入部に固定した状態で、第2筒部及びバルーン取付治具を内視鏡挿入部の基端側に移動し、第2筒部からバルーン取付治具を取り外し、内視鏡挿入部にバルーンを取り付ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明の取付治具付きバルーンの包装体によれば、収納容器内において、バルーン本体が内側に折り返され、その折り返し開口部の内側に第2筒部を配置することで、バルーン取付け治具の一対のガイド片を、第1筒部及び第2筒部に挿入された状態でバルーン及びバルーン取付治具を収納させることができる。
【0012】
そしてこの取付け治具付きバルーンの包装体を用いたバルーン取付け方法によれば、バルーン取付け治具の第1開口部から内視鏡挿入部を挿入することで、一対のガイド片を介して第1筒部及び第2筒部に内視鏡挿入部を挿入することができる。その後、収納容器から、バルーン、バルーン取付け治具及び内視鏡挿入部を取り出し、バルーン取付治具とともに第2筒部を移動させることで、第2筒部を所定の位置に移動させることができ、バルーンの内視鏡への取付を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】バルーンを使用する内視鏡装置のシステム構成図である。
図2】内視鏡の挿入部の先端部を示す斜視図である。
図3】バルーン取付治具の平面図である。
図4】本体部の第1開口部及び第2開口部が開いた状態の斜視図である。
図5】本体部が折りたたまれた状態の斜視図である。
図6】取付治具付きバルーンを説明する図である。
図7】収納容器の斜視図である。
図8】蓋部を外した平面図である。
図9】取付治具付きバルーンを収納した断面図である。
図10図9の底面側から見た図である。
図11】挿入部にバルーンを取り付ける方法を説明する図である。
図12】挿入部にバルーンを取り付ける方法を説明する図である。
図13】挿入部にバルーンを取り付ける方法を説明する図である。
図14】挿入部にバルーンを取り付ける方法を説明する図である。
図15】挿入部にバルーンを取り付ける方法を説明する図である。
図16】挿入部にバルーンを取り付ける方法を説明する図である。
図17】挿入部にバルーンを取り付ける方法を説明する図である。
図18】挿入部にバルーンを取り付ける方法を説明する図である。
図19】変形例の収納容器の斜視図である。
図20】変形例の収納容器に取付治具付きバルーンを収納した断面図である
図21】変形例の収納容器に収納されたバルーン取付治具に挿入部を挿入した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って、本発明に係る取付治具付きバルーンの包装体、及び、バルーン取付け方法について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る取付治具付きバルーンの包装体内に収納されるバルーンを使用する内視鏡装置の一例を示すシステム構成図である。図1に示すように内視鏡装置は主として、内視鏡10、バルーン60及びバルーン制御装置70で構成される。
【0016】
内視鏡10は、操作部14と、この操作部14に連設され、体内に挿入される挿入部12とを備える。操作部14には、ユニバーサルコード16が接続され、このユニバーサルコード16の先端にLGコネクタ18が設けられる。LGコネクタ18は光源装置20に着脱自在に連結され、これによって挿入部12の先端に設けた照明窓(不図示)に照明光が送られる。また、LGコネクタ18には、ケーブル22を介して電気コネクタ24が接続され、この電気コネクタ24がプロセッサ26に着脱自在に連結される。
【0017】
操作部14には、送気送水ボタン28、吸引ボタン30、シャッターボタン32、及び機能切替ボタン34が並設されるとともに、一対のアングルノブ36、36が設けられる。
【0018】
挿入部12は、操作部14側から順に軟性部40、湾曲部42、及び先端部44で構成される。軟性部40は、螺旋状に巻回された金属板の外周にネットを被せ、その外周を被覆することにより構成されており、十分な可撓性を有している。
【0019】
湾曲部42は、操作部14のアングルノブ36、36を回動することによって遠隔的に湾曲するように構成される。たとえば、湾曲部42は、円筒状の複数の節輪をピンによって回動自在に連結するとともに、その節輪の内部に複数本の操作ワイヤを挿通させてピンにガイドさせている。そして、操作ワイヤを押し引き操作することによって、節輪同士が回動して湾曲部42が湾曲操作されるようになっている。この湾曲部42を湾曲操作することによって、先端部44を所望の方向に向けることができる。
【0020】
図2に示すように、先端部44の先端面には、観察窓52、照明窓54、54、送気送水ノズル56、及び、鉗子口58が設けられる。観察窓52の後方には観察光学系及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子が配設され、この撮像素子を支持する基板に信号ケーブルが接続される。信号ケーブルは挿入部12、操作部14、及び、ユニバーサルコード16等に挿通されて電気コネクタ24まで延設され、プロセッサ26に接続される。よって、観察窓52で取り込まれた観察像が撮像素子の受光面に結像されて電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブルを介してプロセッサ26に出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサ26に接続されたモニタ50に観察画像が表示される。
【0021】
照明窓54は、その後方に照明光学系及びライトガイド(不図示)の出射端が配設される。ライトガイドは挿入部12、操作部14及びユニバーサルコード16に挿通されてLGコネクタ18内にその入射端が配設される。したがって、LGコネクタ18を光源装置20に連結することによって、光源装置20から照射された照明光がライトガイドを介して照明光学系に伝送され、照明窓54から前方に照射される。
【0022】
先端部44に設けた送気送水ノズル56は、送気送水ボタン28によって操作されるバルブ(不図示)に連通される。このバルブがLGコネクタ18に設けた送気送水コネクタ48に連通される。送気送水コネクタ48には不図示の送気送水手段が接続され、エア及び水が供給される。したがって、送気送水ボタン28を操作することによって、送気送水ノズル56からエア又は水が観察窓52に向けて噴射される。
【0023】
先端部44に設けた鉗子口58は、鉗子挿入部46に連通される。よって、鉗子挿入部46から鉗子等の処置具を挿入することによって、処置具を鉗子口58から導出することができる。また、鉗子口58は、吸引ボタン30によって操作されるバルブ(不図示)に連通され、このバルブがLGコネクタ18の吸引コネクタ49に接続される。したがって、吸引コネクタ49に不図示の吸引手段を接続し、吸引ボタン30で操作することによって、鉗子口58から病変部等を吸引することができる。
【0024】
内視鏡10の挿入部12の外周には、バルーン60が着脱自在に装着される。バルーン60は、シリコンゴム等の弾性材料から構成される。バルーン60は、一端に設けられた第1筒部60Aと、他端に設けられた第2筒部60Bと、第1筒部60Aと第2筒部60Bとの間に設けられるバルーン本体60Cと、を有し、第1筒部60A及び第2筒部60Bは、バルーン本体60Cに対して絞られた略筒状に形成されている。
【0025】
このバルーン60は、挿入部12を挿通させることによって、所定の装着位置(たとえば先端部44から湾曲部42にかけて)に配置される。第1筒部60A及び第2筒部60Bは、自然状態では、内視鏡10の挿入部12の外径より小さな内径で構成される。バルーン60が挿入部12に装着されると、第1筒部60Aの弾性力、及び、第2筒部60Bの弾性力は、挿入部12の径方向内側に向けて作用する。弾性力により、バルーン60は挿入部12の所定の位置に保持される。
【0026】
第1筒部60Aの外周上に、筒形状の第1バルーン固定部材61であるゴムバンドが嵌め込まれ、第2筒部60Bの外周上に、筒形状の第2バルーン固定部材62であるゴムバンドが嵌め込まれる。第1バルーン固定部材61及び第2バルーン固定部材62により、バルーン60が挿入部12に固定される。本発明の取付治具付きバルーンの包装体は、バルーン60、及び、バルーン60を挿入部12に装着させるためのバルーン取付治具を含んでおり、その説明は後述する。
【0027】
挿入部12のバルーン装着位置には、通気孔64が形成されており、この通気孔64が図1に示す操作部14のバルーン送気口38に連通される。バルーン送気口38には、図1のチューブ80が接続され、このチューブ80を介してバルーン制御装置70が接続される。バルーン制御装置70は、バルーン60にエア等の流体を供給・吸引する装置であり、このバルーン制御装置70から、流体(たとえばエア)を供給、吸引することによって、バルーン60にエアを供給、吸引することができる。バルーン60はエアを供給することによって略球状に膨張し、エアを吸引することによって挿入部12の外表面に張り付くようになっている。
【0028】
図1に示すように、バルーン制御装置70は主として、装置本体72と、リモートコントロール用のハンドスイッチ74で構成される。装置本体72の前面には、電源スイッチSW1、停止スイッチSW2、圧力表示部76が設けられる。圧力表示部76はバルーン60の圧力値を表示するパネルであり、バルーン破れ等の異常発生時にはこの圧力表示部76にエラーコードが表示される。
【0029】
装置本体72の前面には、バルーン60へのエア供給及び吸引を行うチューブ80が接続される。チューブ80と装置本体72との接続部分にはバルーン60が破れた時の体液の逆流を防止するための逆流防止ユニット82が設けられる。逆流防止ユニット82は、装置本体72に着脱自在に装着された中空円盤状のケース(不図示)の内部に気液分離用のフィルタを組み込むことによって構成されており、装置本体72内に液体が流入することをフィルタによって防止する。
【0030】
一方、ハンドスイッチ74には、各種のスイッチが設けられる。たとえば、装置本体72側の停止スイッチSW2と同様の停止スイッチや、バルーン60の加圧及び減圧を指示するON/OFFスイッチ、バルーン60の圧力を保持するためのポーズスイッチなどが設けられる。このハンドスイッチ74はコード84を介して装置本体72に電気的に接続されている。なお、図1には示してないが、ハンドスイッチ74には、バルーン60の送気状態、或いは排気状態を示す表示部が設けられている。
【0031】
バルーン制御装置70は、バルーン60にエアを供給して膨張させるとともに、そのエア圧を一定値に制御してバルーン60を膨張した状態に保持する。また、バルーン60からエアを吸引して収縮させるとともに、そのエア圧を一定値に制御してバルーン60を収縮した状態に保持する。
【0032】
バルーン制御装置70は、バルーン専用モニタ86に接続されており、バルーン60を膨張及び収縮させる際に、バルーン60の圧力値や膨張及び収縮状態をバルーン専用モニタ86に表示する。なお、バルーン60の圧力値や膨張及び収縮状態は、内視鏡10の観察画像にスーパーインポーズしてモニタ50に表示するようにしてもよい。
【0033】
内視鏡装置の操作方法の一例としては、挿入部12をプッシュ式で挿入していき、必要に応じてバルーン60を膨張させて挿入部12を体内(たとえば大腸)に固定する。そして、挿入部12を引いて体内(たとえば大腸)の管形状を単純化した後、バルーン60を収縮させて挿入部12をさらに腸管の深部に挿入する。たとえば、挿入部12を被検者の肛門から挿入し、挿入部12の先端がS状結腸を過ぎた際にバルーン60を膨張させて挿入部12を腸管に固定し、挿入部12を引いてS状結腸を略直線状にする。そして、バルーン60を収縮させて、挿入部12の先端を腸管の深部に挿入していく。これにより、挿入部12を腸管の深部に挿入することができる。なお、上述した内視鏡10を、バルーン付きの挿入補助具(不図示)とともに、ダブルバルーン式内視鏡装置として使用してもよい。
【0034】
[取付治具付きバルーンの包装体]
次に、本実施形態に係る取付治具付きバルーンの包装体について説明する。取付治具付きバルーンの包装体は、バルーン60を内視鏡10の挿入部12への装着を容易するために用いられる。取付治具付きバルーンの包装体は、内視鏡10の挿入部12にバルーン60を取付けるためのバルーン取付治具と、バルーン60とが、収納容器に収納されて構成されている。
【0035】
バルーン60の第1筒部60A及び第2筒部60Bは、自然状態では、その内径が挿入部12の外径よりも小さく、自然状態で挿入部12を挿通させることは難しい。本実施形態に係る取付治具付きバルーンの包装体によれば、バルーンに取付治具が取り付けた状態で収納容器内に収納されているため、バルーン取付治具をバルーンに取り付ける作業を省略できる。また、バルーン取付治具により、バルーンを内視鏡に容易に取り付けることができ、作業者の負担を軽減することができる。なお、自然状態とは外力が作用されていない状態を意味する。第1筒部60A及び第2筒部60Bは膨張、及び収縮されていない状態である。
【0036】
(バルーン取付治具)
まず、バルーン取付治具について説明する。図3は、バルーン取付治具の平面図である。図4は、本体部の第1開口部及び第2開口部が開いた状態の斜視図である。図5は、本体部が折りたたまれた状態の斜視図である。
【0037】
バルーン取付治具100は、一端に第1開口部104を有し、他端に第2開口部106を有する中空筒状に形成された本体部102を有する。本体部102の第2開口部106には、第2の開口部106を挟んで、互いに対向する一対のガイド片108a、108bを有する。また、本体部102には、一端から他端に向かって設けられ、本体部102を両方向から内側に折り曲げ可能とする2組の折り曲げ部110a、110b、110cが形成されている。折り曲げ部110a、110cを山折り、折り曲げ部110bを谷折りとすることで、本体部102を内側に折り曲げることができる。また、折り曲げ部110a、110b、110cで折り曲げることで、本体部102は、平坦状に折りたたみ可能であり、図5に示すように、一対のガイド片108a、108bを重ね合わせることができる。
【0038】
一対のガイド片108a、108bは、第2開口部106から第1開口部104とは反対側の先端側に向かって延在して設けられている。一対のガイド片108a、108bの幅は、平坦状に折りたたまれた本体部102より狭い幅で形成されている。これにより、バルーン取付治具100をバルーン60に取り付けた際に、一対のガイド片108a、108bをバルーン60の第1筒部60A及び第2筒部60Bの内側に配置することができる。内視鏡10の挿入部12をバルーン60に取り付ける際に、挿入部12を一対のガイド片108a、108bに沿って挿入することで、第1筒部60A及び第2筒部60Bに挿入しやすくすることができる。
【0039】
本体部102の第1開口部104側は、第1開口部104側から延在して設けられ、且つ、平坦状に折りたたまれた本体部102より幅の広い翼部112を有する。翼部112は、本体部102が折りたたまれた状態において、第1開口部104の対向する端部の一方側からのみ延在して形成されているが、両側から形成してもよい。翼部112は、後述する収納容器(図8参照)に収納した際に、凹部に当接される部分であり、翼部112が凹部に当接されることで、本体部102の移動及び回転が防止される。
【0040】
本体部102及び一対のガイド片108a、108bの材質は、バルーンの材料である、シリコンゴム、及び、ラテックス等のゴム製品が密着しにくい材質とすることが好ましく、具体的には、画用紙及びケント紙等の紙、又は、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリカーボネート樹脂等の樹脂を用いることができる。また、紙で形成する場合、本体部102を拡げたり、折りたたんだりしやすく、また、破れにくいユポ紙(登録商標)を用いることが好ましい。
【0041】
(バルーン及びバルーン取付治具の収納容器内の形態)
次に、バルーン60及びバルーン取付治具100の、後述する収納容器内での形態について説明する。図6は、取付治具付きバルーンを説明する図である。取付治具付きバルーン200は、バルーン60にバルーン取付治具100を取付けることで構成される。
【0042】
バルーン60にバルーン取付治具100を取り付ける際は、まず、第2筒部60Bに、一対のガイド片108a、108bを挿入し、一対のガイド片108a、108bの先端側の部分を第2筒部60Bから突出させる。さらに、一対のガイド片108a、108bをバルーン本体60Cの内側に挿入していくことで、第2筒部60Bが、第1筒部60A側に移動するとともに、バルーン本体60Cが内側に折り返され、折り返し開口部66が形成される。そして、折り返し開口部66から、さらに、ガイド片108a、108b及び本体部102を挿入することで、第2筒部60Bから突出したガイド片108a、108bの先端側の部分を、第1筒部60Aに挿入し、バルーン取付治具100をバルーン60に取り付けることができる。
【0043】
図6に示すように、バルーン60にバルーン取付治具100を取付けた状態において、第2筒部60Bは、折り返し開口部66の内側に配置される。一対のガイド片108a、108bは、第1筒部60Aの内側にガイド片108a、108bの先端側が配置される。また、第2筒部60Bの内側にガイド片108a、108bの基端側が配置される。第1筒部60A内の一対のガイド片108a、108bは、F-F断面202に示すように、一対のガイド片108a、108bの長手方向A(図3参照)に沿って、外側に向かって折れ曲がって配置されている。これにより、バルーン取付治具100の収納状態において、第1開口部104を、完全に折りたたんだ状態から少し開くことができる。したがって、内視鏡10の挿入部12を第1開口部104に入れやすくすることができる。
【0044】
収納容器内において、バルーン60は、バルーン本体60Cが内側に折り返されているため、バルーン本体60Cの内側同士が接触して収納されている。バルーン60の製造方法としては、例えば、型をバルーンの材料となる樹脂溶液に浸した後、樹脂溶液から取り出し、乾燥させることで、型の周囲にバルーンを形成する。その後、バルーンの内部から型を取り出すことでバルーンを製造する。型の外表面には微細な凹凸が形成されており、製造時にバルーン60の内側は、型と接触しているため微細な凹凸が転写され、シボが付与されている。そのため、バルーン60の内側の面同士が接触したとき、べたつき(タック)があっても貼りつくことがなく、安定した形状を保つことができる。また、バルーン60の折り返し開口部66内に、バルーン取付治具100が配置されるため、バルーン60の表面同士が接触し、貼りつくことも防止することができる。これにより、収納容器からバルーン60を取り出した際の表面同士の貼りつきを防止することができる。
【0045】
(収納容器)
次に、取付治具付きバルーン200を収納する収納容器について説明する。図7は、収納容器の斜視図であり、図8は、蓋部を外した状態における平面図である。図9は、収納容器内に取付治具付きバルーンを収納した状態の断面図であり、図10は、底面側から見た図である。
【0046】
収納容器300は、有底の筒状の胴部302と、胴部302の底部304に設けられ、且つ、胴部302の内径より小さい内径を有する小溝部306と、底部304の反対側に設けられた容器開口部308と、を有する。胴部302の容器開口部308側には、バルーン取付治具100の挿入方向Bに垂直な方向で凹形状に形成された凹部310を有する。また、容器開口部308は、容器開口部308からバルーン取付治具100の挿入方向Bに垂直な方向に、広がって設けられた鍔部312を有し、鍔部312には蓋部314が貼付される。
【0047】
取付治具付きバルーン200の収納容器300の収納時において、バルーン60のバルーン本体60C及び第2筒部60Bが、胴部302に収納され、第1筒部60Aが、小溝部306に収納される。バルーン本体60Cを胴部302に収納することで、バルーン取付治具100の周囲に配置されたバルーン本体60C同士の貼りつきを防止し、バルーン本体60Cの形態を保持することができる。
【0048】
胴部302は、底部304から容器開口部308に向かって、内径が広がるテーパ形状で形成されていることが好ましい。容器開口部308側に向かって広がるテーパ形状とすることで、取付治具付きバルーン200を取り出し易くすることができる。また、収納容器300の製造においても、容器開口部308側を広くすることで、型から抜きやすくすることができる。
【0049】
胴部302の最大の内径L1はバルーン本体60Cの自然状態における外径の102%以上110%以下とすることが好ましい。胴部302の内径L1をこの範囲とすることで、収納容器300内に取付治具付きバルーン200を入れやすくすることができる。また、収納容器300内で、取付治具付きバルーン200が移動することを防止することができる。胴部302を容器開口部308に向かって、内径が広がるテーパ形状とした場合は、容器開口部308での胴部302の内径L1が最大の内径となる。
【0050】
小溝部306は、第1筒部60A及び一対のガイド片108a、108bを収納する。小溝部306は、胴部302の軸方向(バルーン取付治具100の挿入方向Bと同方向)に垂直な方向Cに切断した断面形状が楕円形である。収納容器300に取付治具付きバルーン200を収納した状態において、一対のガイド片108a、108bの先端は、小溝部306の楕円形状の短軸方向Dに沿って、配置されることが好ましい(図10)。なお、「ガイド片を短軸方向に沿って配置する」とは、一対のガイド片のそれぞれが小溝部306の短軸を挟んで両側に配置されていることを意味する。
【0051】
凹部310には、バルーン取付治具100の翼部112が収納される。凹部310は、バルーン取付治具100の挿入方向Bに垂直な方向に形成された位置決め面310aと、胴部の円周方向に形成された第1規制面310bと、を有する。位置決め面310aと、バルーン取付治具100の翼部112が接触することで、バルーン取付治具100の挿入方向Bに垂直な方向の位置を決定し、胴部302の側面にバルーン本体60Cが接触することを防止することができ、バルーンの形態を安定させることができる。
【0052】
また、第1規制面310bも同様に、翼部112と接触することで、バルーン取付治具100の挿入方向Bの中心軸に対する回転方向を規制することができる。これにより、輸送にともなう取付治具付きバルーン200の回転を防止することができ、バルーン取付治具100の周囲に配置されたバルーン本体60C同士の貼りつきを防止し、バルーン本体60Cの形態を保持することができる。
【0053】
鍔部312は、容器開口部308から、バルーン取付治具100の挿入方向Bに垂直な方向に、広がって形成されている。鍔部312は、外周部312aと内周部312bとにより構成されており、容器開口部308側から内周部312b、外周部312aの順で設けられている。内周部312bは、バルーン取付治具100の挿入方向Bにおいて、外周部312aより底部304側に形成されている。すなわち、外周部312aと内周部312bは段差状に形成されており、外周部312aが、底部304側と反対方向に突出して形成されている。
【0054】
蓋部314は、鍔部312に貼付され、収納容器300内を密閉し、滅菌性を確保する。蓋部314は鍔部312の外周部312aの基端側に設けられた被貼付面に貼付される。外周部312aに蓋部314を貼付することで、蓋部314を貼付する面積を小さくすることができる。
【0055】
[バルーン取付方法]
次に、図11から図18を用いて、バルーン取付方法について説明する。
【0056】
取付け治具付きバルーンの包装体を準備し、蓋部314外す。図11は、蓋部を外した取付け治具付きバルーンの包装体に内視鏡の挿入部を挿入する図である。図12に示すように、蓋部314を外した取付け治具付きバルーンの包装体は、バルーン取付治具100の第1開口部104側が、収納容器300の容器開口部308側に配置される。この状態で、内視鏡10の挿入部12を、第1開口部104から挿入する。挿入部12は、収納容器300の小溝部306に突き当たるまで差し込む。
【0057】
図12は、挿入部の先端を小溝部の先端に突き当たるまで挿入した状態を説明する図である。第1開口部104から挿入された挿入部12は、本体部102内を通過し、第2開口部106から一対のガイド片108a、108bの間に挿入される。取付治具付きバルーン200は、図6に示すように、一対のガイド片108a、108bの外側に、第1筒部60A及び第2筒部60Bが配置されている。したがって、一対のガイド片108a、108bの間に挿入部12を挿入することで、一対のガイド片108a、108bを介して、挿入部12を第1筒部60A及び第2筒部60Bの内部に挿入することができる。
【0058】
また、図10に示すように、収納容器300に取付治具付きバルーン200を収納した状態において、一対のガイド片108a、108bの先端は、小溝部306の楕円形状の短軸方向Dに沿って、配置される。挿入部12を一対のガイド片108a、108bを介して第1筒部60Aに挿入すると、小溝部306の短軸方向Dにおいては、挿入部12は第1筒部60Aと接触する。また、小溝部306の短軸方向Dから挟持される。小溝部306の長軸方向Eにおいては、挿入部12は一対のガイド片108a、108bと接触するため、第1筒部60Aと接触している場合と比較し、挿入部12を移動しやすくすることができる。さらに、長軸方向Eにおいては、挿入した挿入部12の第1筒部60Aを挟んで反対側は、空間316を有する。これにより、第1筒部60Aに挿入された挿入部は、小溝部306の短軸方向Dから固定され、長軸方向Eに挿入部12を動かすことができる。したがって、挿入部12を長軸方向に動かしながら、挿入することで、挿入部12を小溝部306の先端まで挿入することができる。
【0059】
また、取付治具付きバルーン200は、バルーン装着時に挿入部12の先端がバルーンを引き摺り、先端からはみ出てしまう寸法を考慮し、一対のガイド片108a、108bの先端が第1筒部60Aの先端から0.5~3mm程度突出した状態で収納容器300内に収納されていることが好ましい。一対のガイド片108a、108bを小溝部306の先端に接触した状態で、挿入部12の先端を小溝部306の先端に突き当たるまで挿入することで、第1筒部60Aの端部と挿入部12の先端を一致させることができる。
【0060】
次に、図13に示すように、収納容器300から、挿入部12が挿入された取付治具付きバルーン200を引き抜く。なお、引き抜いた取付治具付きバルーン200及び内視鏡10において、挿入部12の先端とバルーン60の第1筒部60Aの端部との位置が一致していない場合、バルーン取付治具100を挿入部12の長手軸方向に移動させ、挿入部12の先端とバルーン60の第1筒部60Aの端部との位置を一致させる。取付治具付きバルーン200及び内視鏡10を引き抜いた際に、挿入部12の先端とバルーン60の第1筒部60Aの端部との位置が一致している場合は、この工程は行わなくともよい。
【0061】
次に、挿入部12と第1筒部60Aが接している部分を押さえる。具体的には、挿入部12の一対のガイド片108a、108bの部分を避けて、第1筒部60Aを挿入部12に押さえつける。そして、第1筒部60Aを押さえた状態で、図14に示すように、バルーン取付治具100を、挿入部12の基端側に移動させる。第1筒部60Aを押さえた状態で、バルーン取付治具100を移動させることで、第1筒部60Aの位置を固定して、第2筒部60Bの位置を、バルーン取付治具100と一緒に移動させることができる。これにより、図15に示すように、第2筒部60Bを折り返し開口部66の外側に出し、第2筒部60Bをバルーン取付長さとなる位置まで移動する。
【0062】
バルーン取付長さの調整は、収納容器300の鍔部312を用いて行うことができる。鍔部312の一方の端部から他方の端部までの長さL2を、バルーン取付長さと等しくする(図7参照)。「バルーン取付長さ」とは、バルーン60が内視鏡10の挿入部12に取り付けられた状態における、第1筒部60Aの端部から第2筒部60Bの端部までの長さのことをいう。鍔部312の長さL2を、バルーン取付長さと等しくすることで、挿入部12に装着したバルーン60を、適切な長さに調整する目安とすることができるので、バルーン60の長さの調整を容易に行うことができる。
【0063】
次に、図16に示すように、バルーン60の位置が動かないように注意して、一対のガイド片108a、108bが外れるまで、第2筒部60Bを、第1筒部60A側に向かって、巻き込む。第2筒部60Bを、一対のガイド片108a、108bが外れるまで、巻き回したら、バルーン取付治具100を取り外す。バルーン取付治具100は、本体部102の第1開口部104及び第2開口部106を開いた状態とし、バルーン取付治具100を挿入部12に先端方向に移動させることで、バルーン取付治具100を抜き取る。バルーン取付治具100が紙で形成されている場合は、バルーン取付治具100を破って取り除いてもよい。
【0064】
バルーン取付治具100を外したら、バルーン60の位置が動かないように固定し、第2筒部60Bを巻き戻す(図17)。次に、図18に示すように、収納容器300の鍔部312を用いて、最終的に、第2筒部60Bの位置をバルーン取付長さとなるように調整し、バルーン60を挿入部12に取り付ける。
【0065】
最後に、バルーン60の第1筒部60A及び第2筒部60Bに第1バルーン固定部材61及び第2バルーン固定部材62が嵌め込まれることで、バルーン60を挿入部12に固定する(図2参照)。第1バルーン固定部材61及び第2バルーン固定部材62としては、ゴムバンドを用いることができる。ゴムバンドの装着は、例えば特開2013-126526に記載の装置を用いて行うことができる。また、第1バルーン固定部材61及び第2バルーン固定部材62としては、糸を用いることができ、第1筒部60A及び第2筒部60Bを糸で巻くことで、バルーン60を挿入部12に固定することができる。
【0066】
<収納容器の変形例>
図19は、収納容器の変形例を示す斜視図であり、図20は、収納容器内に取付治具付きバルーンを収納した状態の断面図である。
【0067】
変形例の収納容器400の胴部402は、容器開口部308側に設けられた胴部本体418と、小溝部306側に設けれ、胴部本体418より幅の狭い中溝部420と、胴部本体418と中溝部420との間に設けられた段差部422と、を有する。図19に示す収納容器400においては、段差部422は、挿入部12の挿入方向に対して、垂直方向の面を有して形成されている。
【0068】
収納容器400においては、胴部本体418には、バルーン取付治具100の本体部102が収納される。小溝部306及び中溝部420には、バルーン取付治具の一対のガイド片108a、108bが収納される。このような構成とすることで、バルーン取付治具100が収納された状態において、胴部本体418と中溝部420の境界に、バルーン取付治具100の本体部102の一対のガイド片108a、108b側の端部を配置させることができる。すなわち、収納容器400の胴部本体418と中溝部420との間に設けられた段差部422と、バルーン取付治具100の本体部102の一対のガイド片108a、108b側の端部と、を内視鏡10の挿入部12の挿入方向と垂直方向において、同一面とすることができる。この構成により、段差部422が、バルーン取付治具100の本体部102の挿入方向の位置を規制する第2規制面424となり、第2規制面424と、被規制部116であるバルーン取付治具100の本体部102の一対のガイド片108a、108b側の端部とが接触することで、バルーン取付治具100の挿入方向の位置を規制することができる。
【0069】
バルーン取付治具100の本体部102には、図3から図5に示すように、幅方向の側部に折り曲げ部110a、110b、110cが設けられており、本体部102を内側に折り曲げることで、平坦状に折りたたみ可能としている。折り曲げ部110a、110b、110cは、内視鏡10の挿入部12の挿入方向に沿って形成されているので、挿入方向に力を加えた時の座屈強度を大きくすることができる。第2規制面424の位置は、バルーン取付治具100が収納された状態において、一対のガイド片108a、108bの幅方向に設けられている。本体部102の折り曲げ部110a、110b、110cの位置で第2規制面424と接触させることで、本体部102が挿入方向に座屈することを防止することができる。したがって、挿入部12の挿入時に、一対のガイド片108a、108bに力が加わることを防止することができ、一対のガイド片108a、108bが折れ曲がることを防止できる。これにより、挿入部12を安定して、バルーン60の第1筒部60A及び一対のガイド片108a、108bの先端まで挿入することができる。
【0070】
また、一対のガイド片108a、108bが折れ曲がることを防止することができるので、一対のガイド片108a、108bの座屈強度は、本体部102の座屈強度より小さくすることができる。これにより、一対のガイド片108a、108bの厚みを薄くすることができる。一対のガイド片108a、108bの厚みを薄くすることで、バルーン取付治具100が受けるバルーン60の張力の影響を減らすことができ、バルーン60からバルーン取付治具100を抜く時だけでなく、バルーン取付治具100とバルーン60を一体として、挿入部12上で移動させやすくなり、バルーン取付作業を容易に行うことができる。
【0071】
図21は、変形例の収納容器に収納されたバルーン取付治具に挿入部を挿入した図である。内視鏡10の挿入部12を、バルーン取付治具100の第1開口部104から一対のガイド片108a、108bに沿って挿入すると、バルーン60の第1筒部60A及び第2筒部60Bの張力の影響で挿入抵抗がかかり、バルーン取付治具100は、挿入部12の挿入方向に力が加わる。収納容器400においては、段差部422とバルーン取付治具100の被規制部116が接することで、バルーン取付治具100が挿入部12の挿入方向に移動することを防止できる。したがって、一対のガイド片108a、108bに、挿入部12の挿入方向に力が加わることを防止でき、一対のガイド片108a、108bが折れ曲がることを防止できる。これにより、挿入部12をバルーン60の第1筒部60Aの先端まで容易に挿入することができる。
【0072】
[一対のガイド片の形状]
次に、一対のガイド片108a、108bの好ましい形状について説明する。図3に示すように、一対のガイド片108a、108bは、ガイド片108a、108bの先端側に設けられた先端部を有し、ガイド片108a、108bの幅方向の一方の端部は、長手方向Aに対して、斜めに形成された傾斜部114を有する。傾斜部114は、先端側に向かって直線状で、ガイド片108a、108bの幅が狭まるように、形成されている。これにより、ガイド片108a、108bがバルーン60の第1筒部60A及び第2筒部60Bに挿入しやすくすることができる。傾斜部114を設けることで、一対のガイド片108a、108bを介して第1筒部60Aに挿入部12を挿入した際の、挿入部12と第1筒部60Aとが接触する領域を広くすることができる。これにより、挿入部12と第1筒部60Aとが接触する領域を指で押さえることで、バルーン取付治具100を第1筒部60Aから容易に抜くことができる。
【0073】
傾斜部114は、一対のガイド片108a、108bのそれぞれに設けられている。傾斜部114の位置は、本体部102の中心軸に対して対称の位置に設けられている。すなわち、ガイド片108a、108bのいずれか一方側から一対のガイド片108a、108bを見た場合、傾斜部114が重ならない位置に設けられている。本体部102の中心軸に対して、対称の位置とすることで、挿入部12の幅方向の両側から第1筒部60Aを押さえることができ、バルーン取付治具100を抜きやすくすることができる。
【0074】
また、傾斜部114を設けることで、一対のガイド片108a、108bと、第1筒部60Aとの接触面積を小さくすることができる。一対のガイド片108a、108bと、第1筒部60Aとの接触面積を小さくすることで、挿入部12を挿入する際に、挿入部12が第1筒部60A及び第2筒部60Bと接する面積が大きくなる。したがって、挿入部12は挿入しにくくなる。一方で、ガイド片108a、108bを抜く際は、第1筒部60Aを挿入部12に抑えることができるので、ガイド片108a、108bを抜きやすくすることができる。
【0075】
反対に、内視鏡10の挿入部12を挿入した時の、一対のガイド片108a、108bと、第1筒部60Aとの接触面積が大きいと、ガイド片108a、108bの間に挿入部12を挿入させることができるため、容易に挿入することができる。しかしながら、ガイド片108a、108bを第1筒部60Aから抜く際に、第1筒部60A及び挿入部12を抑える面積が少なくなるため、ガイド片108a、108bを抜きにくくなる。
【0076】
挿入部12の挿入しやすさ、及び、一対のガイド片108a、108bの抜きやすさを両立させるためには、一対のガイド片108a、108bが、挿入部12を挿入した際に挿入部12と55%以上70%以下の接触面積をもつ接触面を有することが好ましい。以下は、一対のガイド片108a、108bの面積を変更し、挿入部12と一対のガイド片108a、108bの接触面積に対する挿入部12の挿入しやすさ、バルーン取付治具100の抜きやすさを比較した表である。なお、評価は以下の基準で行った。
【0077】
〔挿入しやすさ〕
A:問題なく挿入できる。
B:挿入できるが、内視鏡を強く押す必要がある。
C:挿入できるが、バルーンの先端位置がずれる場合がある。
【0078】
〔抜きやすさ〕
A:問題なく抜くことができる。
B:抜くことはできるがバルーンを強く押さえる必要がある。
C:抜くことはできるがバルーンの先端位置がずれる場合がある。
【0079】
【表1】
【0080】
表1に示すように、接触面積を55%以上70%以下とすることで、挿入部12の挿入しやすさと、ガイド片108a、108bの抜きやすさを両立することができる。
【0081】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、バルーン取付治具100の第1開口部104から内視鏡10の挿入部12を挿入することで、挿入部12を一対のガイド片108a、108bを介して、第1筒部60A及び第2筒部60Bに挿入することができる。その後、収納容器300から、バルーン60、バルーン取付治具100及び内視鏡10を取り出し、バルーン取付治具100と一緒に第2筒部60Bを移動させ、内視鏡10に取り付けたバルーン60の位置を調整することで、バルーン60を内視鏡10に容易に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0082】
10 内視鏡
12 挿入部
14 操作部
16 ユニバーサルコード
18 LGコネクタ
20 光源装置
22 ケーブル
24 電気コネクタ
26 プロセッサ
28 送気送水ボタン
30 吸引ボタン
32 シャッターボタン
34 機能切替ボタン
36 アングルノブ
38 バルーン送気口
40 軟性部
42 湾曲部
44 先端部
46 鉗子挿入部
48 送気送水コネクタ
49 吸引コネクタ
50 モニタ
52 観察窓
54 照明窓
56 送気送水ノズル
58 鉗子口
60 バルーン
60A 第1筒部
60B 第2筒部
60C バルーン本体
61 第1バルーン固定部材
62 第2バルーン固定部材
64 通気孔
66 折り返し開口部
70 バルーン制御装置
72 装置本体
74 ハンドスイッチ
76 圧力表示部
80 チューブ
82 逆流防止ユニット
84 コード
86 バルーン専用モニタ
100 バルーン取付治具
102 本体部
104 第1開口部
106 第2開口部
108a、108b ガイド片
110a、110b、110c 折り曲げ部
112 翼部
114 傾斜部
116 被規制部
200 取付治具付きバルーン
202 断面
300、400 収納容器
302、402 胴部
304 底部
306 小溝部
308 容器開口部
310 凹部
312 鍔部
312a 外周部
312b 内周部
314 蓋部
316 空間
418 胴部本体
420 中溝部
422 段差部
424 第2規制面
SW1 電源スイッチ
SW2 停止スイッチ
図1
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