(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】回転駆動装置、これを含む成膜装置、電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/50 20060101AFI20220302BHJP
C23C 14/56 20060101ALI20220302BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220302BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220302BHJP
C23C 16/54 20060101ALN20220302BHJP
C23C 16/44 20060101ALN20220302BHJP
【FI】
C23C14/50 K
C23C14/56 G
H05B33/14 A
H05B33/10
C23C16/54
C23C16/44 F
(21)【出願番号】P 2020196318
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】10-2019-0174083
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188868
【氏名又は名称】小川 智丈
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】金 栽賢
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2019-0000162(KR,U)
【文献】特開2011-066090(JP,A)
【文献】特開2012-195427(JP,A)
【文献】特開2018-182093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
C23C 16/00-16/56
H01L 21/68
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送体を保持する保持面を有する被搬送体キャリアが載置される
、第1キャリア載置面と、前記第1キャリア載置面と対向する第2キャリア載置面と、を有するキャリア載置部と、
前記第1キャリア載置面または前記第2キャリア載置面のいずれかに前記被搬送体キャリアを載置するために、前記キャリア載置部が表裏反転するように前記キャリア載置部を回転させる回転機構と、
前記被搬送体キャリアと前記被搬送体キャリアに載置された被搬送体との前記保持面に平行な方向における相対位置を調整するためのアライメント機構と、を備え、
前記アライメント機構は、
前記被搬送体を受け取るための被搬送体受取部が搭載されて前記保持面に平行な方向に移動可能なステージ部を
、前記第1キャリア載置面と前記第2キャリア載置面との間に有することを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
前記被搬送体受取部は、前記第1キャリア載置面または前記第2キャリア載置面に垂直な方向に移動可能に設けられることを特徴とする請求項
1に記載の回転駆動装置。
【請求項3】
前記アライメント機構は、前記被搬送体受取部を前記垂直な方向に移動させるための受取部駆動部を含み、
前記受取部駆動部は、前記ステージ部に搭載されることを特徴とする請求項
2に記載の回転駆動装置。
【請求項4】
前記被搬送体受取部は、少なくとも前記第1キャリア載置面または前記第2キャリア載置面の周縁部に沿って複数設けられることを特徴とする請求項
2に記載の回転駆動装置。
【請求項5】
複数個の前記被搬送体受取部は、それぞれ独立的に前記垂直な方向に移動可能であることを特徴とする請求項
4に記載の回転駆動装置。
【請求項6】
前記被搬送体受取部は、前記第1キャリア載置面または前記第2キャリア載置面から前記垂直な方向に突出可能に構成されることを特徴とする請求項
2に記載の回転駆動装置。
【請求項7】
前記被搬送体キャリアを前記第1キャリア載置面および前記第2キャリア載置面にそれぞれ固定する第1キャリア固定手段と第2キャリア固定手段とをさらに含むことを特徴とする請求項
1~請求項6のいずれか一項に記載の回転駆動装置。
【請求項8】
前記アライメント機構は、前記被搬送体と前記被搬送体キャリアに設けられたアライメントマークを撮影可能なカメラ部をさらに含み、
前記カメラ部によって撮像された画像に基づいて、前記ステージ部を駆動して、前記被搬送体受取部に支持された前記被搬送体を前記被搬送体キャリアに対して位置調整することを特徴とする請求項
1~請求項7のいずれか一項に記載の回転駆動装置。
【請求項9】
請求項1~請求項
8のいずれか一項に記載の回転駆動装置と、
前記回転駆動装置によって回転された基板に成膜動作を行う成膜手段と、を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の成膜装置を用いて電子デバイスを製造することを特徴とする電子デバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に成膜を行う成膜装置において、基板を回転させるのに用いられる回転駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置(有機ELディスプレイ)の製造においては、有機EL表示装置を構成する有機発光素子(有機EL素子;OLED)を形成する際に、成膜装置の蒸発源から蒸発した蒸着材料を、画素パターンが形成されたマスクを介して、基板に成膜することで、有機物層や金属層を形成する。
【0003】
かかる成膜装置又はこれを含む成膜システムには、いわゆるクラスタ式のものとインライン式のものがある。
【0004】
クラスタ式の成膜システムでは、基板に成膜が行われる複数の成膜室が、搬送ロボットが設けられる搬送室の周りにクラスタ状に配置され、基板が搬送ロボットによって各成膜室に順に搬送され成膜されることで、有機発光素子を構成する複数層の膜が形成される。
【0005】
一方、インライン式の成膜システムでは、成膜用の基板が搭載された搬送キャリアがライン状に配置された複数の成膜室にローラ式又は磁気浮上式の搬送機構によって搬送されながら成膜される。
【0006】
インライン式の成膜システムは、基板が搬入されるローディング部、搬送キャリアに搭載された基板への成膜が行われる成膜部、および基板を搬出するアンローディング部を含む第1搬送路を有している。インライン式の成膜システムは、空の搬送キャリアを回収する第2搬送路を有している。
【0007】
インライン式の成膜システムにおいて、基板は、成膜システムの外部から、第1搬送路のローディング部に搬入される。搬入された基板は、ロボットによって、第2搬送路からの空の搬送キャリアの上面に、成膜面が上方を向いた状態で載置される。搬送キャリアは、基板を吸着保持する。搬送キャリアに保持された基板は、搬送キャリアごと上下が反転され、成膜面が下方を向いた状態で、成膜部に搬送される。成膜部では、基板の下部に配置された成膜源により、成膜部に固定配置されたマスクを介して、基板が搬送されながら成膜が行われる。
【0008】
成膜完了後、アンローディング室に搬送された搬送キャリアは、再度反転され、基板の成膜面が上方を向いた状態で、第2搬送路に搬送される。第2搬送路に移動した搬送キャリアは、基板の保持を解除する。続いて、搬出ロボットにより基板のみが排出室に搬送され、成膜システム外部に搬出される。基板の保持を解除した空の搬送キャリアは、第2搬送路に沿って搬送されて、第1搬送路のローディング部に対応する位置に戻り、新たな基板の保持に用いられる。
【0009】
特許文献1(韓国公開実用新案第20-2019-0000162号)は、インライン式の成膜システムの反転室内で、基板を搬送キャリアに保持させた後、搬送キャリアを反転させる構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国公開実用新案第20-2019-0000162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
反転室で基板を搬送キャリアに載置して吸着する構成においては、基板を搬送キャリアの基板載置面に搬送する搬送ロボットの搬送誤差のため、基板が搬送キャリア上の基準位置からずれた位置に載置されることがある。
【0012】
しかし、特許文献1は、このような基板の搬送誤差によって基板が搬送キャリアのずれた位置に載置される場合、基板の位置を調整するためのアライメント機構について開示していない。
【0013】
また、反転室に基板の載置位置を調整するためのアライメント機構を設置する場合、アライメント機構は、搬送キャリアの反転に対応可能な構成にする必要があり、これによって、アライメント機構を含む反転室の構成が複雑になり得る。
【0014】
本発明は、反転室での基板の位置調整(アライメント)を可能とする回転駆動装置、これを含む成膜装置、電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1態様による回転駆動装置は、被搬送体を保持する保持面を有する被搬送体キャリアが載置される、第1キャリア載置面と、前記第1キャリア載置面と対向する第2キャリア載置面と、を有するキャリア載置部と、前記第1キャリア載置面または前記第2キャリア載置面のいずれかに前記被搬送体キャリアを載置するために、前記キャリア載置部が表裏反転するように前記キャリア載置部を回転させる回転機構と、前記被搬送体キャリアと前記被搬送体キャリアに載置された被搬送体との前記保持面に平行な方向における相対位置を調整するためのアライメント機構と、を備え、前記アライメント機構は、前記被搬送体を受け取るための被搬送体受取部が搭載されて前記保持面に平行な方向に移動可能なステージ部を、前記第1キャリア載置面と前記第2キャリア載置面との間に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、反転室内での基板の位置調整(アライメント)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、有機EL表示装置の成膜装置を示す概念図である。
【
図2】
図2の(a)は、本発明の一実施形態に係る回転駆動装置の断面模式図であり、
図2の(b)は、回転駆動装置の上面模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る回転駆動装置による基板アライメント動作を示す図面である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る回転駆動装置による基板の反転処理動作を示す図面である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る回転駆動装置による基板の追加搬入動作を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置、あるいは装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更することができ、本発明の範囲を以下の記載の実施形態に限定する趣旨のものではない。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0019】
本発明は、成膜対象物に蒸発による成膜を行う成膜装置に好適であり、典型的には有機ELパネルを製造するために基板に対して有機材料及び/又は金属性材料等を蒸着して成膜する電子デバイス製造用の成膜装置に適用できる。成膜対象物たる基板の材料は、チャッキング可能な材料であればよく、ガラス以外にも、高分子材料のフィルム、金属、シリコンなどの材料を選択することができる。基板は、例えば、ガラス基板上にポリイミドなどのフィルムが積層された基板またはシリコンウエハであってもよい。成膜材料としても、有機材料以外に、金属性材料(金属、金属酸化物など)などを選択してもよい。
<成膜装置の全体構成>
図1は、有機EL表示装置の成膜装置100の全体構成を示す概念図である。概略、成膜装置100は、成膜処理工程搬送路100aと、リターン搬送路100bとを含み、成膜処理工程搬送路100aとリターン搬送路100bとの間でマスクM及び搬送キャリアCを回収及び供給するための、マスク回収搬送路100c、キャリア回収搬送路100d、マスク供給搬送路100e、および、キャリア供給搬送路100fを備えることで、循環型搬送路を構成する。
【0020】
成膜装置100は、循環型搬送路を構成する各構成要素、例えば基板搬入/反転室101、アライメント室103、成膜室105、マスク分離室107、基板排出/反転室109を含む。
【0021】
本実施形態による成膜装置100では、成膜装置の外部より基板Gが搬送方向(矢印A)に搬入され、基板GとマスクMが搬送キャリアC上に位置決めされて保持され、搬送キャリアCが成膜処理工程搬送路上100aを移動しながら基板Gに対して成膜処理を施された後、成膜済みの基板Gが排出される。リターン搬送路100bでは、成膜処理完了後に搬送キャリアCから分離されたマスクMと、成膜済みの基板Gが排出された後の空の搬送キャリアCが、基板搬入位置へ搬送される。
【0022】
以下、
図1を参照して、成膜装置100に含まれる構成要素での動作および処理についてより詳細に説明する。
【0023】
成膜装置100の成膜処理工程搬送路100aでは、成膜装置の外部から基板Gが基板搬入/反転室101に搬入されて搬送キャリアC上に保持され、搬送キャリアCとともに上下反転(表裏反転)される。
【0024】
すなわち、外部の基板ストッカ(不図示)から、成膜処理工程搬送路100a上の基板搬入/反転室101に基板Gが搬入されて、先に搬入されていた空の搬送キャリアC上の所定の保持位置で、基板チャッキング手段(例えば、静電チャックまたは、粘着チャック)によりチャッキングされる。この時、搬送キャリアCは、基板保持面または、基板チャッキング面が上方にある姿勢である。基板Gは、搬送ロボット(不図示)により基板チャッキング面上側に搬入されて、基板チャッキング面に載置される。
【0025】
基板Gを保持した搬送キャリアCは、基板搬入/反転室101の回転駆動装置200(
図2参照)により上下反転(表裏反転)される。例えば、回転駆動装置200は、基板Gを保持した搬送キャリアCを進行方向(A)を軸として180度回転させる。これにより、搬送キャリアCおよび基板Gの上下が反転し、基板Gが搬送キャリアCのチャッキング面の下方側になり、基板Gの成膜面は下方を向く。
【0026】
本発明の一実施形態による回転駆動装置200は、基板搬入/反転室101に搬入された基板Gが反転する前に、基板Gが搬送キャリアCに載置される位置を調整するためのアライメント機構を含む。
【0027】
反転した搬送キャリアCは、ローラ搬送または、磁気浮上搬送方式によって、アライメント室103に搬送され、マスクMとの相対位置が調整される。
【0028】
アライメント室103内で、搬送キャリア302は、基板チャッキング手段によって保持された基板Gが下方にある状態で維持される。
【0029】
搬送キャリアCとは別のルート(マスク供給搬送路100e)でアライメント室103に搬入されたマスクMは、搬送キャリアCの下方に設置されたマスクトレー(不図示)に載置される。マスクMは、マスクトレーの上昇によって搬送キャリアCに保持された基板Gに接近し、所定の近接距離(計測位置)になると、基板GとマスクMに対しアライメント動作が行われる。
【0030】
アライメント動作では、アライメントカメラによって、基板GとマスクMに予め形成されているアライメントマークを撮像し、両者の位置ずれ量及び方向を計測する。
【0031】
計測された位置ずれ量及び方向に基づいて、搬送キャリアCの搬送駆動系(例えば、磁気浮上搬送系)により搬送キャリアCの位置を移動することによって位置調整(アライメント)を行う。基板GとマスクMの相対位置ずれ量が所定の閾値内に収まると、搬送キャリアCに設置された磁力印加手段(不図示)によりマスクMが引き寄せられ、搬送キャリアCに保持される。
【0032】
アライメントが完了しアライメント室103から排出された搬送キャリアCは、成膜室105に搬入される。
【0033】
成膜室105では、基板GおよびマスクMを保持した搬送キャリアCを所定の速度で移動させながら、成膜室105下部に配置された蒸発源から有機EL発光材料を蒸発させて上方の基板Gに真空成膜する。本実施形態では、マスクMが搬送キャリアCにより基板Gと共に保持されたまま搬送されて成膜処理が行われる構成について説明するが、本発明はこれに限らず、マスクMは各成膜室に設置されてもよい。
【0034】
成膜処理を終えて成膜室105から排出された搬送キャリアCは、マスク分離室107に搬送され、マスクMが搬送キャリアCから下方に分離される。搬送キャリアCから分離されたマスクMは、マスク分離室107からマスク回収搬送路100cに沿ってリターン搬送路100bに搬送される。
【0035】
そして、リターン搬送路100b上のマスク受取位置に、後述の基板排出後の空の搬送キャリアCが移動してくると、マスクMは再び搬送キャリアCの磁力印加手段によって保持される。このようにマスクMだけを保持した搬送キャリアCは、リターン搬送路100bに沿ってマスク供給搬送路100eに搬送される。
【0036】
一方、マスク分離室107でマスクMが分離された搬送キャリアCは、基板Gだけを保持したまま基板反転/排出室109に移動する。基板反転/排出室109内では、回転駆動装置(不図示)が搬送キャリアCを進行方向を軸として180度回転させる。これによって、基板Gの成膜面が上方を向くことになる。本実施形態において、基板反転/排出室109内の回転駆動装置は、基板搬入/反転室101内の回転駆動装置200とは違って、アライメント機構を含まない。
【0037】
続いて、基板Gが搬送キャリアCからチャッキング解除されて、基板Gは、図示していない排出機構によって次の工程に搬送される。
【0038】
基板反転/排出室109で基板Gを排出して空の状態になった搬送キャリアCは、キャリア回収搬送路100dに沿って、リターン搬送路100bの始点位置に搬送される。
【0039】
空の搬送キャリアCは、リターン搬送路100bに沿って基板搬入/反転室101に搬送される。この際、空の搬送キャリアCは、前述の通り、マスク回収搬送路100cからリターン搬送路100bに搬送されてきたマスクMを受け取る。
【0040】
リターン搬送路100bに沿って搬送された搬送キャリアCは、マスク供給搬送路100eでマスクMと再び分離され、分離されたマスクMは、成膜処理工程搬送路100a上のマスク装着位置に搬送される。
【0041】
キャリア供給搬送路100fでマスクMが分離された後の空の搬送キャリアCは、リターン搬送路100bから成膜処理工程搬送路100aの始点位置の基板搬入および反転位置に搬送される。
【0042】
これによって、本発明の一実施形態による成膜装置100は、循環型の搬送路をなすこととなる。
【0043】
<基板搬入/反転室の回転駆動装置>
図2(a)は、本発明の一実施形態による基板搬入/反転室101に設置される回転駆動装置200の断面模式図で、
図2の(b)は、回転駆動装置200上面模式図である。
【0044】
本発明の一実施形態による回転駆動装置200は、搬送キャリアCが載置されるキャリア載置台(キャリア載置部)201と、キャリア載置台201を回転して上下反転させるための回転機構203と、キャリア載置台201と基板Gの相対位置を調整するためのアライメント機構205を含む。
【0045】
キャリア載置台201は、キャリア供給搬送路100fに沿って基板搬入/反転室101に搬入された空の搬送キャリアCが載置される。本実施形態によるキャリア載置台201は、
図2の(a)に示すように、キャリア載置台201の対向する二つの主面に搬送キャリアCを載置できる。すなわち、キャリア載置台201は、第1キャリア載置面201aと第2キャリア載置面201bを有する。
【0046】
キャリア載置台201は、搬送キャリアCを第1キャリア載置面201aおよび第2キャリア載置面201bに固定するためのキャリア固定手段(不図示)をそれぞれ有する。キャリア載置台201の両載置面側にそれぞれ設置されるキャリア固定手段(第1キャリア固定手段及び第2キャリア固定手段)は、例えば、クランピング手段を含むことができる。
【0047】
このような構成により、キャリア載置台201の第1キャリア載置面201a上に載置されて固定された搬送キャリアCを反転させた後(第1キャリア載置面201aは、下方を向くようになり、第2キャリア載置面201bは、上方を向くようになる)、キャリア載置台201を再び元の位置で戻さなくても、新たな搬送キャリアCを第2キャリア載置面201b上に載置できる。これにより、工程時間(Tact time)を短縮することができる。
【0048】
回転機構203は、キャリア載置台201を180度回転させて上下を反転させる機構である。本実施形態による回転駆動装置200の回転機構203は、キャリア載置台201の対向する二つの側面の中央部を支持する支持部213と回転駆動力を付与する回転駆動部(不図示)を含む。
【0049】
アライメント機構205は、キャリア載置台201を上下反転させる前に、搬送キャリアC上に基板チャッキング手段によってチャッキングされる基板Gの載置位置を調整するための機構である。
【0050】
基板搬入/反転室101には、被搬送体としての基板Gが外部の基板ストッカから搬送ロボットによって搬入されて、キャリア載置台201の第1キャリア載置面201aまたは第2キャリア載置面201bに載置された搬送キャリアCのチャッキング面に載置される。しかしながら、搬送ロボットの搬送誤差によって、基板Gが搬送キャリアCのチャッキング面上の基準位置に載置できず、基準位置からずれた位置に載置されることがある。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、基板搬入/反転室101に、基板Gの載置位置を搬送キャリアCのチャッキング面上の基準位置に対して相対的に調整できるアライメント機構205を設けることで、搬送誤差によってずれた基板Gの位置を調整することができ、成膜処理の精度を向上させることができる。
【0052】
このため、アライメント機構205は、基板Gを一時的に受け取る基板受取部221と、基板受取部221をチャッキング面(基板保持面)に平行な方向(例えば、チャッキング面に平行な第1方向、チャッキング面に平行であり、第1方向と交差する第2方向および、チャッキング面に垂直である第3方向を中心とした回転方向のうち、少なくとも一つの方向)に移動させるためのステージ部223と、基板Gと搬送キャリアCに形成されたアライメントマークを撮像するためのカメラ部225とを含む。
【0053】
基板受取部221は、基板搬入/反転室101に搬入された基板Gを搬送ロボットのハンドから一時的に受け取るためのピン状の部材で、第1キャリア載置面201aまたは、第2キャリア載置面201b、または、搬送キャリアCのチャッキング面(基板保持面)に垂直の方向(第3方向)に移動可能に(例えば、
図2の(a)では、Z方向に昇降可能に)設置される。基板受取部221を昇降させるための受取部駆動部は、後述のように、ステージ部223に搭載され、サーボモータおよびボールネジ、または、リニアガイドを含む。
【0054】
基板受取部221は、基板Gを受け取る際は、搬送キャリアCに設置された貫通孔250を通して、+Z方向に上昇し、搬送キャリアCのチャッキング面から突出し、搬送ロボットから基板Gを受け取る。続いて、搬送キャリアCのチャッキング面(基板保持面)に平行な方向において、基板受取部221に載置された基板Gと搬送キャリアCの相対位置調整が行われる。位置調整が完了したら、基板受取部221は、-Z方向で下降して基板Gを搬送キャリアCのチャッキング面上におろす。
【0055】
搬送キャリアCが第2キャリア載置面201bに載置されている場合(すなわち、キャリア載置台201が反転されている場合)にも同様に、基板受取部221は、第2キャリア載置面201b側に移動して、第2キャリア載置面201bに載置された搬送キャリアCのチャッキング面上に突出し、基板Gを受け取る。
【0056】
このように、本実施形態の基板受取部221は、第1キャリア載置面201aおよび第2キャリア載置面201bに垂直である方向に、各載置面に載置された搬送キャリアCのチャッキング面から突出できるようにすることで、基板受取部221の構成をシンプルにできる。
【0057】
基板受取部221は、基板Gの複数個所を支持できるように設置される。例えば、基板受取部221は、
図2の(b)に示すように、第1キャリア載置面201aまたは、第2キャリア載置面201bの周縁部(したがって、搬送キャリアCのチャッキング面の周縁部または、基板Gの周縁部)に沿って複数個が設けられる。
【0058】
これにより、大型化された基板Gをより安定的に支持することができる。また、基板Gの周縁部を複数個の基板受取部221により支持すれば、基板Gは、自重によって中央部が下方に撓むようになり、基板受取部221の下降につれ搬送キャリアCのチャッキング面に基板Gの中央部から周縁部に順次触れるようになるので、基板チャッキング手段によるチャッキングの際、基板Gにシワが生じることを抑制できる。
【0059】
ただし、本発明はこれに限らず、基板受取部221は、基板Gの撓みを低減させるために基板Gの中央部を支持できる位置に設けてもよい。これは、基板搬入/反転室101で搬送キャリアC上に載置される基板Gは、成膜面が上方に向かっていて、基板受取部221は基板Gの成膜面でない反対側面を支持するためである。
【0060】
また、基板受取部221は、基板Gの一長辺側からこれと対向する他の長辺側に向かって順次に下降することができるように構成されても良い。すなわち、複数の基板受取部221は、それぞれ独立に昇降可能に構成されてもよい。
【0061】
本発明の一実施形態による成膜装置100に用いられる被搬送体キャリアとしての搬送キャリアCは、
図2の(b)に示すように、基板受取部221が挿通可能にチャッキング面の周縁部に設置された複数の貫通孔250を有する。貫通孔250は、基板受取部221に載置された基板Gの搬送キャリアCに対する位置調整が行われる際、基板受取部221の移動を許容できるよう、搬送キャリアCのチャッキング面(基板保持面)に平行な方向または貫通孔250の半径方向において基板受取部221の断面直径より大きい直径を有するように設けられる。
【0062】
アライメント機構205のステージ部223は、基板受取部221に支持された基板Gを、搬送キャリアCに対して搬送キャリアCのチャッキング面に平行な方向(X方向、Y方向、およびZ軸を中心にした回転方向のうち少なくとも一つの方向;XYθ方向ともいう。)に移動させるための部材である。このため、ステージ部223は、例えば、ステージプレート(不図示)とステージプレートを+X方向および-X方向にそれぞれ移動させるための2個のサーボモータ(不図示)およびボールネジ(不図示)と、+Y方向および-Y方向にそれぞれ移動させるための2個のサーボモータ(不図示)およびボールネジ(不図示)を含む。ステージ部223のステージプレートには、基板受取部221およびこれをZ方向に駆動するための受取部駆動部(不図示)が搭載される。
【0063】
サーボモータおよびボールネジによってステージプレートをXYθ方向に移動させることで、ステージプレートに搭載された基板受取部221およびこれに支持された基板Gを搬送キャリアCに対して相対的にXYθ方向に移動させることができ、基板Gと搬送キャリアCの相対位置を調整することができる。
【0064】
特に、本実施形態によれば、アライメント機構205のステージ部223がキャリア載置台201内に設置される。これによって、搬送キャリアCの上下反転処理を行う回転駆動装置200において、基板Gと搬送キャリアC間の相対位置の調整を行うアライメント機構が複雑にならない。
【0065】
従来のアライメント機構は、通常、チャンバの外側にステージ部を設けて、基板を保持する基板ホルダとステージ部をシャフトによって接続してステージ部の駆動力を基板ホルダに伝える構造をとった。しかし、搬送キャリアCが反転処理される基板搬入/反転室101に従来の構成のアライメント機構を適用する場合、アライメント機構は非常に複雑になってしまう。
【0066】
本実施形態においては、アライメント機構205のステージ部223を基板搬入/反転室101の外部でなくキャリア載置台201内に設置することにより、キャリア載置台201が反転する構成においても、シンプルな構成でアライメント機構を実現できる。
【0067】
カメラ部225は、基板Gと搬送キャリアCのアライメントマークを撮像するための光学手段である。カメラ部225は、基板受取部221に支持された基板Gのアライメントマークと搬送キャリアCのアライメントマークを撮像して、これに基づいて(例えば、画像処理などにより)、基板Gが搬送キャリアCのチャッキング面上の基準位置からのずれ量および方向を計測する。
【0068】
基板Gが搬送キャリアCの基準位置から所定の閾値以上にずれている場合、そのずれ量に基づいて、基板受取部221が搭載されたステージ部223をXYθ方向に駆動することによって、基板Gと搬送キャリアCの相対位置を調整する。
【0069】
カメラ部225は、
図2の(a)に示すように、基板搬入/反転室101のハウジング280の上面外側に設置される。カメラ部225の位置に対応するハウジング280の部分には透明窓が設けられ、カメラ部225によってハウジング280内の基板Gと搬送キャリアCのアライメントマークを撮像できる。ただし、本発明はこれに限らず、カメラ部225は、ハウジング280の底面外側に設置されてもよい。
【0070】
<基板搬入/反転プロセス>
図3は、本発明の一実施形態に係る回転駆動装置200による基板の搬入およびアライメント動作を示す。
【0071】
図3の(a)に示すように、空の搬送キャリアCが基板搬入/反転室101内に搬入されて、キャリア載置台201の、例えば、第1キャリア載置面201aに載置される。
【0072】
搬送キャリアCが第1キャリア載置面201aに載置されると、
図3の(b)に示すように、基板受取部221が受取部駆動部によって第1キャリア載置面201a側に移動して(例えば、上昇して)、搬送キャリアCの貫通孔250を通して搬送キャリアCのチャッキング面から突出する。この際、基板受取部221が突出する高さは、搬送ロボットのハンドが基板Gを基板受取部221に載置するにおいて、搬送キャリアCのチャッキング面と干渉しない程度の高さであることが好ましい。
【0073】
被搬送体としての基板Gが外部ストッカから搬送ロボットによって基板搬入/反転室101内に搬入されて、基板受取部221上に載置される。この際、基板Gは、成膜面が上方となるよう基板受取部221上に載置される。
【0074】
続いて、
図3の(c)に示すように、基板受取部221が下降し、基板受取部221に支持された基板Gと搬送キャリアCのチャッキング面の間の距離が所定の計測距離になったら、カメラ部225により、基板Gと搬送キャリアCのアライメントマークを撮像して、これに基づいて、XYθ方向においての相対位置ずれ量およびずれ方向を計測する。ただし、本発明はこれに限定されず、基板受取部221を下降させずに、基板Gを受け取った高さで、相対位置のずれを測定してもいい。つまり、基板受取部221が基板Gを受け取る高さが、計測高さであってもいい。
【0075】
相対位置ずれ量が所定の閾値より大きい場合、計測された相対位置ずれとずれ方向に基づいて、アライメント機構205のステージ部223を移動させ、ステージ部223のステージプレートに搭載された基板受取部221を移動させることによって、基板Gの搬送キャリアCに対する位置を調整する。この過程は、基板Gと搬送キャリアCの相対位置ずれ量が所定の閾値内に収まるまで繰り返される。
【0076】
基板Gと搬送キャリアCの相対位置ずれ量が所定の閾値内に収まると、
図3の(d)に示すように、基板受取部221を下降させ、基板Gを搬送キャリアCのチャッキング面に載置して、搬送キャリアCの基板チャッキング手段によってチャッキングする。後述の反転処理動作において、基板Gと搬送キャリアCが分離することをより確実に防ぐために、基板チャッキング手段以外に、別途のクランピング手段によって基板Gを搬送キャリアCに追加に固定してもよい
図4は、本発明の一実施形態に係る回転駆動装置200による基板の反前処理動作を示す図面である。
【0077】
基板Gが搬送キャリアCのチャッキング面にチャッキングされ固定されると、キャリア固定手段(不図示)によって搬送キャリアCをキャリア載置台201に固定した状態で、回転機構203によりキャリア載置台201を180度回転して上下を反転させる。
【0078】
これによって、搬送キャリアCおよび基板Gの上下関係が反転し、基板Gの成膜面は下方を向く。
【0079】
このように、本実施形態によれば、基板搬入/反転室101のアライメント機構205のステージ部223がキャリア載置台201内に設置されるので、基板Gの反転が行われる基板搬入/反転室101内においてのアライメント機構が実現できる。さらに、アライメント機構のステージ部が基板搬入/反転室101の外部に設置される場合に比べて、簡単な構造でアライメント機構を実現できる。
【0080】
図5は、本発明の一実施形態に係る回転駆動装置200による基板の追加搬入動作を示す。
【0081】
基板Gの反転処理が完了すると、キャリア固定手段によって固定が解除され、搬送キャリアCは基板Gが下方を向いたまま、基板搬入/反転室101から搬出されてアライメント室103に搬送される。
【0082】
続いて、基板搬入/反転室101で他の空の搬送キャリアC’が搬入され、上方を向いているキャリア載置台201の第2キャリア載置面201bに載置される。本発明の一実施形態による回転駆動装置200は、キャリア載置台201が互いに対向する二つの載置面を有するので、新たな空の搬送キャリアC’を載置するために、キャリア載置台201を再び180度回転して元の位置に戻す必要がなく、以前に反転処理された搬送キャリアCが搬出された状態で、すぐに新たな空の搬送キャリアC’を受け入れることができる。これにより、全体工程のタクトタイムを低減することができる。
【0083】
キャリア載置台201の第2キャリア載置面201bに搬送キャリアC’が載置されれば、
図3の(b)~(d)に示した動作と同じ動作によって、搬送キャリアC’のチャッキング面に位置調整された新しい基板G’をチャッキングして保持し、
図4に示したもの同様に、反転処理を行う。
【0084】
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施形態の成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。
【0085】
図6(a)は、有機EL表示装置60の全体図、
図6(b)は、1画素の断面構造を示している。
【0086】
図6(a)に示すように、有機EL表示装置60の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例にかかる有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組合せにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組合せで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0087】
図6(b)は、
図6(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板63上に、陽極64と、正孔輸送層65と、発光層66R、66G、66Bのいずれかと、電子輸送層67と、陰極68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R、66G、66B、電子輸送層67が有機層に当たる。また、本実施形態では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。発光層66R、66G、66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、陽極64は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と陰極68は、複数の発光素子62R、62G、62Bに対して共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、陽極64と陰極68とが異物によってショートするのを防ぐために、陽極64間に絶縁層69が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層70が設けられている。
【0088】
図6(b)では正孔輸送層65や電子輸送層67が一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を含む複数の層で形成されてもよい。また、陽極64と正孔輸送層65との間には陽極64から正孔輸送層65への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成することもできる。同様に、陰極68と電子輸送層67の間にも電子注入層を形成することもできる。
【0089】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。
【0090】
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)および陽極64が形成された基板63を準備する。
【0091】
陽極64が形成された基板63の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、陽極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
【0092】
絶縁層69がパターニングされた基板63を第1の有機材料成膜装置に搬入し、正孔輸送層65を、表示領域の陽極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
【0093】
次に、正孔輸送層65までが形成された基板63を第2の有機材料成膜装置に搬入し、基板63の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。
【0094】
発光層66Rの成膜と同様に、第3の有機材料成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の有機材料成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。電子輸送層67は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。
【0095】
電子輸送層67まで形成された基板を金属性蒸着材料成膜装置で移動させて陰極68を成膜する。
【0096】
本発明によると、基板搬入/反転室で基板と搬送キャリアの相対位置を調整することができる。
【0097】
その後、プラズマCVD装置に移動して保護層70を成膜して、有機EL表示装置60が完成する。
【0098】
絶縁層69がパターニングされた基板63を成膜装置に搬入してから保護層70の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気の下で行われる。
【0099】
前記実施例は本発明の一例を現わしたことで、本発明は前記実施例の構成に限定されないし、その技術思想の範囲内で適切に変形しても良い。
【符号の説明】
【0100】
100:成膜装置、101:基板搬入/反転室、103:アライメント室、105:成膜室、200:回転駆動装置、201:キャリア載置台、201a:第1キャリア載置面、201b:第2キャリア載置面、203:回転機構、205:アライメント機構、221:基板受取部、223:ステージ部、225:カメラ部、250:貫通孔